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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152377
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20241018BHJP
   H02K 3/50 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066532
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 理乙
(72)【発明者】
【氏名】兼石 友宏
(72)【発明者】
【氏名】守谷 幸次
(72)【発明者】
【氏名】松本 佑太
【テーマコード(参考)】
5H604
5H605
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604BB01
5H604BB14
5H604CC01
5H604DB01
5H604DB16
5H604QA08
5H604QB03
5H604QB04
5H604QB16
5H605BB05
5H605CC01
5H605CC06
5H605EC01
5H605EC04
5H605EC05
5H605EC07
5H605FF08
5H605GG04
5H605GG06
(57)【要約】
【課題】配線に関する不具合の発生を抑制できるアクチュエータを提供する。
【解決手段】ハウジング18と、ハウジング18に固定されるとともにハウジング18の内側又は外側において配線54を含む第1配線体56の中間部を保持する第1配線保持部材58と、を備えるアクチュエータである。第1配線保持部材58は、第1配線体56を保持する保持部60を備え、保持部60は、ハウジング18の内側又は外側に突出していてもよい。ハウジング18は、互いに連結される第1ハウジング部材50及び第2ハウジング部材52を備え、第1配線保持部材58は、第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52の間に挟まれることで固定される固定部62を備えてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに固定されるとともに前記ハウジングの内側又は外側において配線を含む第1配線体の中間部を保持する第1配線保持部材と、を備えるアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1配線保持部材は、前記第1配線体を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記ハウジングの内側又は外側に突出する請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記ハウジングは、互いに連結される第1ハウジング部材及び第2ハウジング部材を備え、
前記第1配線保持部材は、前記第1ハウジング部材と前記第2ハウジング部材の間に挟まれることで固定される請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1配線保持部材は、前記ハウジングに埋設されて一体化されることで固定される請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記ハウジングは、前記第1配線体を収納する収納溝を備え、
前記第1配線保持部材は、前記収納溝に連通し前記第1配線体を保持する保持溝を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1配線保持部材は、前記ハウジングの外形内に収まっている請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記保持溝の開口幅は、前記収納溝の開口幅よりも小さい請求項5に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記第1配線体が収納された配線溝と、
前記配線溝に向けて前記第1配線体を押圧するカバーと、を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
外部配線を含む第2配線体が挿通される中空部と、
前記第2配線体の中間部を保持する第2配線保持部材と、を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項10】
前記第2配線保持部材は、前記中空部の長手方向の端部又は前記端部の近傍において前記第2配線体を保持する請求項9に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ハウジングを備えるアクチュエータを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-97430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクチュエータのハウジングの内側又は外側では、通常、アクチュエータに用いられる配線を含む配線体の中間部がハウジングに固定されていない。本願発明者は、これに起因して、配線に関する不具合が発生する場合があるとの認識を得た。
【0005】
そこで、本開示の目的の1つは、配線に関する不具合の発生を抑制できるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様のアクチュエータは、ハウジングと、前記ハウジングに固定されるとともに前記ハウジングの内側又は外側において配線を含む第1配線体の中間部を保持する第1配線保持部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、配線に関する不具合の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のアクチュエータを模式的に示す部分断面側面図である。
図2図1の拡大図である。
図3】第1実施形態の第1-1配線保持部材を示す分解斜視図である。
図4】第1実施形態の第1-1配線保持部材を貫通方向から見た断面図である。
図5】第2実施形態の第1-1配線保持部材を示す側面断面図である。
図6】第2実施形態の第1-1配線保持部材を示す分解斜視図である。
図7】第2実施形態の第1-1配線保持部材を貫通方向から見た断面図である。
図8】第3実施形態の第1配線保持部材を示す側面断面図である。
図9】第4実施形態のカバーを周辺構造とともに示す側面断面図である。
図10】第5-1実施形態の第2配線保持部材を模式的に示す側面断面図である。
図11】第5-1実施形態の第2配線保持部材を模式的に示す分解斜視図である。
図12図12(A)は、第5-2実施形態の第2配線保持部材を模式的に示す軸方向断面図であり、図12(B)は、第5-3実施形態の第2配線保持部材を模式的に示す軸方向断面図である。
図13図13(A)は、第5-4実施形態の第2配線保持部材を模式的に示す側面断面図であり、図13(B)は、その軸方向断面図である。
図14図14(A)は、第5-5実施形態の配線保持部材を模式的に示す側面断面図であり、図14(B)は、その軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のアクチュエータを実施するための実施形態を説明する。同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0010】
まず、実施形態のアクチュエータを想到するに至った背景から説明する。ハウジングの内側又はハウジングの外側では、通常、配線を含む配線体の中間部がハウジングに固定されていない。このため、ハウジングに対して配線体の中間部が自由に動けるようになることに起因して不具合が発生し得る。
【0011】
例えば、ハウジング内において配線体の周囲に回転軸等の可動部品がある場合、その配線体がハウジング内で自由に動けてしまうと、可動部品に配線体が絡まる恐れがある。また、ハウジング外において配線体の一部が配置される場合、その配線体の一部がハウジング外で自由に動けてしまうと、ハウジング外にある外部構造物に配線体が接近することで、外部構造物と配線体が干渉する恐れがある。このような配線体の動きは、例えば、アクチュエータに振動が付与されるときに生じ得る。
【0012】
これをふまえ、本開示のアクチュエータは、ハウジングに固定されるとともにハウジングの内側又は外側において配線体の中間部を保持する第1配線保持部材を備えている。この第1配線保持部材によって、ハウジングに配線体の中間部を固定できるようになる。これにより、ハウジングに対して配線体の中間部が自由に動けることに起因する不具合の発生を抑制できる。
【0013】
例えば、ハウジング内において第1配線保持部材により配線体の中間部を保持する場合、ハウジング内の可動部品への配線体の接近を第1配線保持部材により抑制でき、可動部品に対する配線体の絡まりを抑制できる。また、ハウジング外において第1配線保持部材により配線体の中間部を保持する場合、ハウジング外の外部構造物への配線体の接近を第1配線保持部材により抑制でき、外部構造物に対する配線の干渉を抑制できる。いずれの場合も、可動部品、外部構造物への接近を阻害するプレート等の阻害部材を用いることなく、可動部品、外部構造物に対する配線体の絡まり、干渉を抑制できる点で有利である。
【0014】
実施形態のアクチュエータの詳細を説明する。図1を参照する。アクチュエータ10は、例えば、多関節ロボット等の各種ロボット(産業用ロボット、サービスロボット等)の他、各種産業機械(工作機械、建設機械等)、輸送機器(コンベア、車両等)等の各種機械に用いられる。
【0015】
アクチュエータ10は、駆動装置12と、駆動装置12から出力される動力を減速する減速装置14と、駆動装置12を駆動するドライバ装置16と、ハウジング18と、を備える。
【0016】
駆動装置12は、電動モータを例に説明するが、その具体例は特に限定されず、ギヤモータ、エンジン等でもよい。本実施形態の駆動装置12は、ハウジング18に固定されるステータ20と、ステータ20と協働して回転磁界を生成するロータ22と、ロータ22と一体回転可能な第1回転軸24と、を備える。ステータ20は、ステータコア27と、ステータコア27に巻き付けられたステータコイル28と、を備える。
【0017】
減速装置14は、例えば、歯車、トラクションドライブ、チェーン、ベルト等の伝動要素を用いて動力を伝達する。減速装置14として歯車装置を用いる場合、その具体例は特に限定されず、単純遊星歯車装置、偏心揺動型歯車装置(センタークランク型、振り分け型等)、撓み噛合型歯車装置(シルクハット型、カップ型、筒型等)、直交軸歯車装置、平行軸歯車装置等でもよい。減速装置14は、駆動装置12から伝達される動力(ここでは回転動力)を外部に出力する出力部材30と、出力部材30と一体に回転可能に設けられる第2回転軸32と、を備える。第2回転軸32は、第1回転軸24及びドライバ装置16を貫通している。
【0018】
ドライバ装置16は、ドライバ基板34を備える。ドライバ基板34には、ドライバIC等からなる制御部が実装される。制御部は、電源装置から供給される電力を用いて駆動電力を生成し、これを用いて駆動装置12を駆動することで、駆動装置12を制御する。ドライバ基板90には、エンコーダ用のセンサが搭載されてもよい。この場合、第1回転軸24及び/又は出力部材30の回転をセンサにより検出し、その検出結果に基づいて、駆動装置12を制御してもよい。
【0019】
ハウジング18は、アクチュエータ10の種々の内部部品を収容する。内部部品は、例えば、駆動装置12のステータ20及びロータ22、減速装置14の減速機構、ドライバ基板34等である。ハウジング18は、駆動装置12の一部を構成する駆動装置ハウジング36と、ドライバ装置16の一部を構成するドライバハウジング38と、減速装置14の一部を構成する減速装置ハウジング40と、駆動装置ハウジング36及びドライバハウジング38の少なくとも一部を覆うカバー42と、を備える。ドライバハウジング38にはドライバ基板34が収容される。カバー42は、駆動装置ハウジング36及びドライバハウジング38を覆う筒状部42aと、筒状部42aの端部に設けられる端板部42bとを備える。
【0020】
図2を参照する。ハウジング18は、互いに連結される第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52とを備える。本実施形態では第1ハウジング部材50が駆動装置ハウジング36であり、第2ハウジング部材52がドライバハウジング38である例を説明する。第2ハウジング部材52は、ボルト、ねじ構造、リベット、圧入等を用いて第1ハウジング部材50に連結される。第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52は互いに対向する端面部50a、52aを突き合わせた状態で連結される。
【0021】
第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52の組み合わせの具体例は特に限定されない。例えば、減速装置ハウジング40、駆動装置ハウジング36、ドライバハウジング38、カバー42及び他の構成要素のうちの任意の二つの構成要素の組み合わせでもよい。この他にも、これら構成要素のうちのいずれかを複数部材で構成し、その複数部材により二つのハウジング部材50、52を構成してもよい。
【0022】
アクチュエータ10は、配線54を含む第1配線体56と組み合わせて用いられる。第1配線体56は、少なくとも1つの配線54を含む。ここでは、第1配線体56が1つの配線54からなる例を示すが、複数の配線54を含んでいてもよい。また、複数の配線54を含む場合、第1配線体56は、任意の構成として、複数の配線54を束ねる被覆チューブ等の他の構成を含んでいてもよい。図面では、図2に示すように、配線の中心線を用いて配線を示す場合がある。
【0023】
配線54は、例えば、アクチュエータ10を構成する二つの電気部品同士を接続する部品間配線である。この電気部品の具体例は特に限定されないが、例えば、ステータコイル28、ドライバ基板34等の基板、センサ、ブレーキ装置、エンコーダ等である。この他にも、配線54は、アクチュエータ10の外部にある外部機器とアクチュエータ10を接続する外部配線であってもよい。ここでの外部機器の具体例は特に限定されないが、例えば、電源装置、情報処理装置(上位制御装置等)、他のアクチュエータ等である。配線54の端部は、端子台、端子(圧着端子、圧接端子、タブ端子等)、コネクタ、はんだ等の各種接続手段を用いて電気部品又は外部機器に接続されてもよい。配線54は、例えば、電源ライン、通信ライン等を構成するが、その具体的な用途は特に限定されない。
【0024】
ここでは部品間配線となる配線54が、ステータコイル28とドライバ基板34を接続する例を説明する。また、ここでは、第1配線体56がハウジング18の内部空間を経由するように配置される例を示す。第1配線体56の周囲には、ハウジング18の内部空間において、第1回転軸24等の可動部品が配置される。
【0025】
本実施形態のアクチュエータ10は、ハウジング18に固定されるとともに第1配線体56の中間部を保持する二つの第1配線保持部材58を備える。ここでの第1配線体56の中間部とは、電気部品又は外部機器に接続される配線54の両端部の間の部位(配線54の両端部以外の部位)をいう。二つの第1配線保持部材58は、複数のハウジング部材50、52の間に配置される第1-1配線保持部材58Aと、ハウジング18に埋設されて一体化される第1-2配線保持部材58Bとを含む。まず、これらに共通する構成を説明する。
【0026】
図2図3図4を参照する。第1配線保持部材58は、第1配線体56を保持する第1保持部60と、ハウジング18に固定される第1固定部62と、を備える。第1配線保持部材58は、ハウジング18とは別体である。
【0027】
第1保持部60は、第1配線体56を把持することで保持する。本実施形態の第1保持部60には、第1配線体56との接触箇所に第1弾性体が設けられ、その弾性変形に起因する復元力により第1弾性体を把持している。これを実現するうえで、本実施形態の第1配線保持部材58は、その全体が第1弾性体により構成される。この他にも、第1配線体56との接触箇所のみに第1弾性体を設けてもよい。第1弾性体は、例えば、ゴム等により構成される。
【0028】
第1保持部60は、第1配線体56を保持する保持溝66を備える。保持溝66は、第1配線保持部材58を貫通方向Daに貫通し第1配線体56を保持する保持孔の一例である。保持孔は、貫通方向Daと直交する断面において、保持溝66のように、貫通方向Daと交差する方向に開口する開断面形状をなす場合の他に、閉断面形状をなしていてもよい。保持溝66は、貫通方向Daに直交する断面において、貫通方向Daと交差する方向に向かって開口する第1開口部68を有する。これにより、第1開口部68を経由して保持溝66内に第1配線体56を出し入れし易くなる。
【0029】
保持溝66の第1開口部68の開口幅L68は、保持溝66の第1開口部68よりも奥側にある奥側部分71の最大幅L71よりも幅狭となる。ここでの幅とは、貫通方向Daに直交する断面において、保持溝66を形成する対の側面66aが対向する幅方向Dbでの内寸をいう。これにより、保持溝66の奥側部分71の内側に配置される第1配線体56が第1開口部68に引っ掛かることで、第1開口部68からの抜けを阻害できる。
【0030】
第1保持部60は、ハウジング18の内側に突出している。これは、ハウジング18の内面部18aに対して第1保持部60が突出していることを意味する。これにより、第1保持部60がハウジング18の内側に突出していない場合と比べ、第1保持部60内に第1配線体56を配置し易くなる。
【0031】
ハウジング18は、第1配線保持部材58の第1固定部62を収容する収容凹部70を備える。収容凹部70は、ハウジング18の表面部18bに対して凹むように設けられる。ここでの表面部18bとは、ハウジング18の内側にある内面部18aと外側にある外面部18c(後述する)との双方を含む概念である。
【0032】
ハウジング18は、収容凹部70に対する第1配線保持部材58の抜けを規制する抜け止め部72を備える。抜け止め部72は、第1配線保持部材58に設けられる抜け止め受け部74と接触することで第1配線保持部材58の抜けを規制する。ここでは、抜け止め部72がハウジング18の収容凹部70に設けられる嵌合凸部であり、抜け止め受け部74が第1配線保持部材58に設けられ嵌合凸部が嵌合する嵌合凹部である例を示す。この抜け止め受け部74となる嵌合凹部は、嵌合凸部が貫通方向Daに貫通する閉断面形状の孔である例を示す。この他にも、抜け止め部72がハウジング18に設けられる嵌合凹部、抜け止め受け部74が第1配線保持部材58に設けられる嵌合凸部であってもよい。この抜け止め部72により、ハウジング18に固定される第1配線保持部材58の固定度が高まる。
【0033】
次に、第1-1配線保持部材58Aに関する特徴を説明する。図2を参照する。第1-1配線保持部材58Aの第1固定部62は、第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52の間に挟まれることで固定される。このとき、第1固定部62は、第1ハウジング部材50及び第2ハウジング部材52それぞれの対向する端面部50a、52aの間に挟まれる。このとき、第1固定部62を弾性変形させた状態で複数のハウジング部材50、52の間に挟んでもよい。
【0034】
これにより、第1-1配線保持部材58Aに専用のねじ等を用いることなく、第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52を連結するだけで、第1-1配線保持部材58Aをハウジング18に簡単に固定できる。また、第1ハウジング部材50と第2ハウジング部材52の連結を解除することで、各ハウジング部材50,52から第1-1配線保持部材58Aを分離でき、その交換が容易となる。この観点から、第1,第2ハウジング部材50,52は、ボルト、ねじ構造等により着脱可能に連結されると好ましい。
【0035】
第1-1配線保持部材58Aを収容する収容凹部70は、第1ハウジング部材50及び第2ハウジング部材52の少なくとも一方に設けられていればよい。ここでは第1ハウジング部材50のみに収容凹部70が設けられるが、それらの双方に跨がるように設けられてもよい。
【0036】
次に、第1-2配線保持部材58Bに関する特徴を説明する。第1-2配線保持部材58Bの第1固定部62は、ハウジング18に埋設されて一体化されることで固定される。この第1固定部62は、ハウジング18を構成する単数のハウジング構成部材に第1固定部62が埋設された状態で一体化されることになる。このハウジング構成部材は、ハウジング18において第1-2配線保持部材58Bと接触する全ての箇所を構成する。これを実現するうえで、ハウジング構成部材と第1-2配線保持部材58Bとは一体成形により一体化される。この一体成形は、例えば、第1-2配線保持部材58Bをインサート品としてハウジング構成部材を成形するインサート成形により実現してもよい。このとき、樹脂製のハウジング構成部材は射出成形等により成形し、金属製のハウジング構成部材はダイカスト等により成形してもよい。
【0037】
これにより、第1配線保持部材58に専用のねじ等を用いることなく、第1配線保持部材58をハウジング18に簡単に固定できる。また、複数のハウジング部材50、52間以外の箇所でも第1配線保持部材58をハウジング18に固定でき、第1配線保持部材58のハウジング18への固定位置の自由度が高まる。
【0038】
以上の第1配線保持部材58により、前述のように、ハウジング18に対して第1配線体56の中間部が自由に動けることに起因する不具合の発生を抑制できる。ここでは、ハウジング18内において第1配線保持部材58により第1配線体56の中間部を保持するため、ハウジング18内の可動部品(第1回転軸24等)への第1配線体56の接近を第1配線保持部材58により抑制でき、可動部品に対する第1配線体56の絡まりを抑制できる。
【0039】
(第2実施形態)図5図6図7を参照する。次に、第1配線保持部材58の変形例を説明する。ここでは、前述した第1-1配線保持部材58Aを参照して説明するが、以降で説明する特徴は、第1-2配線保持部材58Bに適用されてもよい。
【0040】
ハウジング18は、第1配線体56を収容する収納溝80を備える。第1配線体56は、収納溝80の長手方向に沿って配置される。収納溝80は、ハウジング18の表面部18bに対して凹むように設けられる。収納溝80は、その長手方向に直交する断面において、その長手方向と交差する方向に向かって開口する第2開口部82を備える。
【0041】
第1配線保持部材58の保持溝66は、第1配線保持部材58の貫通方向Daにおいて収納溝80に連通する。収納溝80は、ハウジング18において第1配線保持部材58に対して貫通方向Da両側に隣り合う二つの箇所の少なくとも一方に設けられていればよい。ここでは、このような二つの箇所の双方に収納溝80が設けられるが、その一方のみに設けられていてもよい。このように、ハウジング18の収納溝80に連通する保持溝66により第1配線体56を保持することで、ハウジング18の表面部18bよりも第1配線体56が大きく突き出ない構造とでき、第1配線体56と周辺構造との干渉の回避に有利となる。
【0042】
第1配線保持部材58は、ハウジング18の外形内に収まっている。ここでの「外形」とは、ハウジング18の表面部18bのなす形をいう。ここでの「ハウジング18の外形内に収っている」とは、第1配線保持部材58がハウジング18の表面部18bに形成される収容凹部70内に収まっており、その表面部18bから突出していないことを意味する。これにより、ハウジング18の表面部18bよりも第1配線保持部材58が突き出ない構造とでき、第1配線保持部材58と周辺構造との干渉の回避に有利となる。
【0043】
保持溝66の第1開口部68の開口幅L68は、収納溝80の第2開口部82の開口幅L82よりも狭くなる。収納溝80の幅とは、収納溝80の長手方向に直交する断面において、収納溝80を形成する対の側面80aが対向する幅方向Dcの内寸をいう。これにより、保持溝66の開口幅L68を収納溝80の開口幅L82よりも広くする場合と比べ、保持溝66内から第1配線体56を抜け難くすることができる。なお、保持溝66の開口幅L68は、収納溝80の開口幅L82よりも大きくともよい。
【0044】
本実施形態のハウジング18の抜け止め部72と、第1配線保持部材58の抜け止め受け部74とは、図4の例と同様に、嵌合凸部と嵌合凹部の組み合わせである。ハウジング18に抜け止め部72として設けられる嵌合凸部は、貫通方向Daから見て、ハウジング18の収容凹部70において幅方向Dbに対向する対の凹側面70aのそれぞれから幅方向Dbに突出している。第1配線保持部材58に抜け止め受け部74として設けられる嵌合凹部は、第1配線保持部材58の幅方向Dbの両外面に設けられる。
【0045】
以上の第1配線保持部材58により、第1実施形態と同様、ハウジング18に対して第1配線体56の中間部が自由に動けることに起因する不具合の発生を抑制できる。
【0046】
(第3実施形態)図8を参照する。本実施形態のハウジング18は、第1実施形態と異なり、駆動装置ハウジング36と、ドライバハウジング38と、を備え、カバー42を備えていない。
【0047】
第1実施形態の第1配線保持部材58は、ハウジング18の内側において第1配線体56を保持する例を説明した。これに替えて、第1配線保持部材58は、ハウジング18の外側において第1配線体56を保持してもよい。この場合、第1配線体56は、ハウジング18の外部空間を少なくとも一部が経由するように配置される。これを実現するうえで、ここでは、ハウジング18に形成される引出孔90を経由して第1配線体56がハウジング18の内部空間から外部空間に引き出される。この場合、第1配線体56の第1配線54は、部品間配線、外部配線のいずれでもよい。ここでは、第1配線54が、第1実施形態と同様に、ステータコイル28とドライバ基板34とを接続する部品間配線となる例を説明する。
【0048】
この場合、前述したような、第1保持部60内に第1配線体56を配置し易くするという観点からは、第1配線保持部材58の第1保持部60は、ハウジング18の外側に突出していてもよい。これは、ハウジング18の外面部16cに対して第1保持部60が突出していることを意味する。これにより、第1保持部60がハウジング18の外側に突出していない場合と比べ、第1保持部60内に第1配線体56を配置し易くなる。
【0049】
以上の第1配線保持部材58により、第1実施形態と同様、ハウジング18に対して第1配線体56の中間部が自由に動けることに起因する不具合の発生を抑制できる。この例では、ハウジング18外において第1配線保持部材58により第1配線体56を保持するため、ハウジング18外の外部構造物への第1配線体56の接近を第1配線保持部材58により抑制でき、外部構造物に対する第1配線体56の干渉を抑制できる。
【0050】
(第4実施形態)図9を参照する。以降の実施形態では、図示しないものの、前述の実施形態で説明した第1配線保持部材58と組み合わせて用いられてもよい。ここでは、第1配線体56が、駆動装置ハウジング36内→引出孔90→駆動装置ハウジング36及びドライバハウジング38とカバー42の筒状部42aとの間→ドライバハウジング38とカバー42の端板部42bとの間を順に経由する例を示す。
【0051】
ハウジング18は、第1配線体56が収納された配線溝100を備える。本実施形態の配線溝100は、第1ハウジング部材50及び第2ハウジング部材52の外面部(外周部)に形成される。
【0052】
アクチュエータ10のカバー42は、配線溝100を覆っている。本実施形態のカバー42は、第1ハウジング部材50及び第2ハウジング部材52において配線溝100が形成された外面部を外側から覆っている。本実施形態のカバー42は、配線溝100を閉塞している。カバー42は、ボルト、ねじ構造等を用いて、ハウジング18の他のハウジング部材(ここでは第1ハウジング部材50)に連結される。
【0053】
カバー42は、配線溝100との間で第1配線体56を挟み込むことで第1配線体56を配線溝100の底側に向けて押圧している。これにより、カバー42と配線溝100との間で第1配線体56が保持され、これらの間でも第1配線体56の中間部をハウジング18に固定できる。よって、第1配線保持部材58とカバー42により第1配線体56の自由に動ける箇所を更に減らすことで、それに起因する不具合の発生を抑制できる。
【0054】
このような効果との関係で、カバー42の内面部には第1配線体56と接触する第2弾性体102が取り付けられていてもよい。第2弾性体102は、配線溝100が形成されたハウジング部材50、52とカバー42との間に配置され、カバー42により自身の弾性変形を伴い第1配線体56に押圧されている。第2弾性体102は、ハウジング部材50、52の外面部と対向するカバー42の内面部に取り付けられる。第2弾性体102は、例えば、ゴム等により構成される。これにより、第2弾性体102の弾性変形に起因する復元力を用いてしっかりと第1配線体56を配線溝100に向けて押圧でき、第1配線体56の固定度が高まる。
【0055】
(第5-1~第5-5実施形態)次に、第5-1~第5-5実施形態のアクチュエータ10を説明する。図10を参照する。アクチュエータ10は、外部配線110を含む第2配線体130が挿通される中空部26と、外部配線110を接続可能な接続部材114と、接続部材114が固定される第1被固定部材116と、を備える。接続部材114は、例えば、端子台、コネクタ等である。本実施形態の第1被固定部材116は、ハウジング18に固定される回路基板である例を示す。この回路基板は、不図示の配線を用いてドライバ基板34に接続される。第1被固定部材116の具体例は特に限定されず、ハウジング18等でもよい。
【0056】
中空部26は、中空部26の長手方向に並ぶ第2回転軸32とカバー42の内側に設けられる。中空部26の具体例は特に限定されず、例えば、第2回転軸32のみに設けてもよいし、他の構成要素に設けられてもよい。中空部26は、一方向に長く延びて貫通するように設けられる。第2配線体130は、中空部26の長手方向の一端部26aから引き出されており、その引き出された箇所において外部配線110が接続部材114に接続される。
【0057】
以下、第5-1~第5-5実施形態の説明では、中空部26の長手方向を単に軸方向といい、中空部26の中心線C112を円中心とする半径方向及び円周方向を単に径方向、周方向という。以下、この軸方向一側(図10の紙面上側)を軸方向外側といい、それとは軸方向反対側(図10の紙面下側)を軸方向内側という。
【0058】
第2配線体130は、少なくとも一つの外部配線110を含む。本実施形態の第2配線体130は、二つの外部配線110を含んでいるが、その個数は特に限定されない。第2配線体130が複数の外部配線110を含む場合、第2配線体130は、任意の構成として、複数の外部配線110を被覆する被覆チューブ132を備えてもよい。外部配線110は、前述のように、アクチュエータ10の外部にある外部機器とアクチュエータ10の接続に用いられる。外部配線110は、例えば、電源ライン、通信ライン等を構成するが、その具体的な用途は特に限定されない。外部配線110の一端部は接続部材114に接続され、その他端部は外部機器に接続される。外部配線110は、端子(圧着端子、圧接端子等)、コネクタ等を用いて接続部材114等に接続してもよいし、外部配線110の導体露出部を接続部材114等に接続してもよい。ここでは、二つの外部配線110のうち一つの外部配線110が接続される一つの接続部材114のみを示すが、第1被固定部材116には個々の外部配線110のそれぞれに対応する個別の接続部材114が固定されていてもよい。
【0059】
アクチュエータ10の中空部26を挿通される第2配線体130は、通常、接続部材114以外の箇所ではアクチュエータ10に固定されていない。このため、外部機器、アクチュエータ10の動作により両者の相対位置が変化するときに、第2配線体130の中間部が大きく動くことで、ねじれ、屈曲等の異常変形を起こし、外部配線110の断線の恐れがある。
【0060】
そこで、第5-1~第5-5実施形態のアクチュエータ10は、アクチュエータ10の中空部26を挿通される第2配線体130の中間部を保持する第2配線保持部材134を備えている。よって、接続部材114以外の箇所でアクチュエータ10に第2配線体130を固定しない場合と比べ、第2配線保持部材134によって第2配線体130の中間部の大きな動きが抑えられ、第2配線体130の異常変形を抑制できる。
【0061】
ここで、接続部材114との接続箇所からアクチュエータ10等への固定箇所まで連続する第2配線体130の配線経路を第2配線体130の可動区間という。この接続部材114との接続箇所に連続する第2配線体130の可動区間は、ハウジング18に対して自由に動くことのできる区間となる。この第2配線体130の可動区間が短くなるほど、この可動区間が動いたときに、接続部材114との接続箇所への負荷の増大を抑制でき、接続部材114からの外部配線110の外れを回避するうえで有利となる。本実施形態のような第2配線保持部材134を用いることで、ハウジング18の外部にある他部材に第2配線体130を固定する場合と比べ、接続部材114との接続箇所に連続する第2配線体130の可動区間を短くできる。よって、接続部材114との接続箇所への負荷の増大を抑制できる点で有利となる。
【0062】
また、第5-1~第5-5実施形態の第2配線保持部材134は、アクチュエータ10の中空部26の端部又は端部の近傍において第2配線体130を保持している。よって、アクチュエータ10の中空部26の他端部よりも外部機器側に大きく離れた箇所で第2配線体130をアクチュエータ10に固定する場合と比べ、接続部材114との接続箇所に連続する第2配線体130の可動区間を短くできる点で有利となる。特に、このような観点から、第2配線保持部材134は、アクチュエータ10の中空部26の一端部26a又は一端部26aの近傍において第2配線体130を保持できると好ましい。
【0063】
以下、第2配線保持部材134の詳細な特徴を説明する。まず、図10図11を参照して、第5-1実施形態の第2配線保持部材134から説明する。第2配線保持部材134は、第2配線体130の中間部を把持することで第2配線体130の中間部を保持する第2保持部136を備える。第2配線体130の中間部とは、接続部材114又は外部機器に接続される外部配線110の両端部の間の部位(外部配線110の両端部以外の部位)をいう。本実施形態の第2保持部136は、アクチュエータ10の中空部26の中心線C112を取り囲むように配置される。ここでの中心線C112は、中空部26の内側に存在する中心線の他に、その線を中空部26の外側で軸方向に沿って延長した延長線も含まれる。
【0064】
本実施形態の第2保持部136は筒状部材138により構成される。本実施形態の第2保持部136は、筒状部材138を周方向に分割した一対の分割部分140により構成される。本実施形態の第2保持部136は、少なくとも一部が第3弾性体142により構成され、第3弾性体142の弾性変形に起因する復元力を用いて第2配線体130を把持する。本実施形態の第2保持部136は、その全体が第3弾性体142により構成される。第3弾性体142は、例えば、ゴム等を用いて構成される。
【0065】
本実施形態の第2保持部136は、周方向に対向する対の対向端部136aを備える。本実施形態では、一対の分割部分140それぞれの周方向両側の周方向端部により対向端部136aが構成され、計2組の対の対向端部136aが設けられる。本実施形態の対の対向端部136aは、軸方向から見て一部が重なるように設けられる。これを実現するうえで、本実施形態の対の対向端部136aそれぞれの周方向端面は、軸方向に向かって周方向位置が周方向の同じ側に段階的に変化する階段状に形成される。この他にも、これを実現するうえで、後述する第5-4実施形態のように、対の対向端部136aそれぞれの周方向端面は、軸方向に向かって周方向の同じ側に斜めに延びるように形成されてもよい。これにより、対の対向端部136a間の間隔を狭めるとき、対の対向端部136a間に第2配線体130が挟まると、その間隔を狭めにくくなり、両者の間に第2配線体130が挟まったことを把握し易くなる。
【0066】
第2配線保持部材134は、アクチュエータ10の一部となる第2被固定部材143に固定される。本実施形態の第2被固定部材143は、中空部26の一端部26aを構成するカバー42である。第2被固定部材143には、中空部26の一端部26aにおいて第2配線保持部材134を収容する収容部144が設けられる。収容部144は、第2被固定部材143の外面部において軸方向内側に凹む凹部として設けられる。収容部144には、第2配線保持部材134を軸方向に位置決めするための段部146が設けられる。第2配線保持部材134の第2保持部136は収容部144内に嵌め込まれる。このとき、第2保持部136(第3弾性体142)は、自身の弾性変形を伴い収容部144内に嵌め込まれ、その弾性変形に起因する復元力により第2被固定部材143に固定されるとともに第2配線体130を把持する。これにより、第2配線保持部材134を中空部26内に嵌め込むだけで、第2配線体130をしっかりと把持できる。
【0067】
本実施形態のアクチュエータ10は、第2配線保持部材134を軸方向外側から押さえる押さえ部材148を備える。押さえ部材148は、収容部144内からの第2配線保持部材134の軸方向外側への脱落を阻止する。押さえ部材148は、ネジ等の固定具により第2被固定部材143に固定される。押さえ部材148には、第2配線体130を挿通するための軸方向に貫通する貫通孔148aが形成される。このような押さえ部材148を用いる場合、第2被固定部材143の外面部に軸方向内側に凹む座ぐり部を設け、その座ぐり部に押さえ部材148を収容してもよい。これにより、第2被固定部材143の外面部から軸方向外側に押さえ部材148も大きく突き出ない構造にすることができる。
【0068】
図12(A)を参照して、第5-2実施形態の第2配線保持部材134を説明する。本実施形態の第2保持部136も、第5-1実施形態と同様、筒状部材138により構成される。本実施形態の第2保持部136は、筒状部材138を周方向に分断する切り込み150が形成された単一部分により構成される。このように、一対の分割部分140又は切り込み150を形成した単一部分により第2保持部136を構成することで、第2保持部136の内側に第2配線体130を配置し易くなる。
【0069】
図12(B)を参照して、第5-3実施形態の第2配線保持部材134を説明する。本実施形態の第2保持部136も、第5-1実施形態と同様、筒状部材138により構成される。第2保持部136は、第5-2実施形態と同様、筒状部材138に切り込み150が形成された単一部分により構成される。本実施形態の切り込み150は、筒状部材138の中心線から延びる半径線L1に対して、径方向外側に向かって周方向一側(ここでは反時計回り)に斜めとなるように延びている。これにより、筒状部材138の周方向一側部分138aの外側に周方向他側部分138bを径方向に重ねた状態で、筒状部材138を中空部26内に嵌め込むことができる。この筒状部材138の周方向両側部分138a、138bを径方向に重ねた箇所の周方向長さを調整することで、第2配線体130の大きさに合わせて、第2保持部136における第2配線体130を把持する把持箇所の大きさを調整可能となる。
【0070】
以上の第5-1~第5-3実施形態の第2配線保持部材134は、アクチュエータ10の中空部26の一端部26aに固定される。これを実現するうえで、これら実施形態の第2配線保持部材134は、その一端部26aに設けられた収容部144内に自身の弾性変形を伴い嵌め込まれる。これを実現するうえで、第5-2、第5-3実施形態においても、第5-1実施形態と同様の押さえ部材148が用いられてもよい。
【0071】
第5-1~第5-3実施形態のように、中空部26に収容部144を設ける場合、収容部144の内周面又は第2配線保持部材134の外周面(第2保持部136の外周面)のいずれかに軸方向内側に向かうに連れて縮径するテーパー部を設けてもよい。これにより、第3弾性体142の潰れ度合いを軸方向内側に向かうほど大きくでき、第2配線保持部材134による第2配線体130の保持力が高くなる。
【0072】
図13(A)、図13(B)を参照して、第5-4実施形態の第2配線保持部材134を説明する。第5-4実施形態の第2配線保持部材134は、第2被固定部材143に固定される板状の第2固定部150と、第2固定部150から軸方向外側に立ち上がる第2保持部136と、を備える。本実施形態の第2配線保持部材134は、一対の分割部品152により構成される。一対の分割部品152のそれぞれは、個別の第2固定部150の他に、第2保持部136を構成する前述の分割部分140を備える。
【0073】
本実施形態の第2保持部136は、第5-1実施形態と同様、筒状部材138により構成される。筒状部材138は、第5-1実施形態と同様、一対の分割部分140により構成される。本実施形態の第2保持部136は、第2配線体130との接触箇所を構成する第3弾性体142と、その第3弾性体142が接着等により固定されるベース体154とを備える。ベース体154は、第3弾性体142よりも硬質な硬質素材(例えば、金属、樹脂等)を用いて構成される。
【0074】
このように第2配線保持部材134は、第2固定部150から立ち上がる第2保持部136を備える。よって、アクチュエータ10の中空部26の一端部26aから引き出された第2配線体130を、その中空部26の一端部26aの近傍、かつ、その一端部26aの軸方向延長上において、第2保持部136により保持できる。ここでの「近傍」とは、例えば、アクチュエータ10の中空部26から引き出された第2配線体130の引出部分のうちの中空部26寄りの末端部を保持できる箇所をいう。
【0075】
第5-4実施形態の分割部品152の第2固定部150は、ねじ等の固定具により第2被固定部材143に固定される。第2固定部150には、固定具の軸部を挿通するための通し穴156が形成される。一対の分割部品152のうちの一方の分割部品152の通し穴156は、一対の分割部品152が対向する対向方向Dbに沿って延びる長孔である。これにより、一対の分割部品152の対向方向Dbでの間隔を調整可能となり、第2配線体130の大きさに合わせて、第2保持部136における第2配線体130を把持する把持箇所の大きさを調整可能となる。
【0076】
第2保持部136における対の対向端部136aは、軸方向から見て一部が重なるように設けられる。これを実現するうえで、第5-4実施形態の対の対向端部136aそれぞれの周方向端面は、軸方向に向かって周方向の同じ側に斜めに延びるように形成される(図13(A)参照)。この他にも、第5-1実施形態のような階段状に形成されてもよい(図10参照)。これにより、第5-1実施形態と同様、対の対向端部136a間に第2配線体130が狭まったときに、そのことを把握し易くなる。また、本実施形態のように、中空部26内に第2配線保持部材134の第2保持部136を嵌め込まない場合、対の対向端部136a間から第2保持部136内の第2配線体130を抜け難くすることができる。
【0077】
図14(A)、図14(B)を参照して、第5-5実施形態の第2配線保持部材134を説明する。本実施形態の第2配線保持部材134は、第5-4実施形態と同様、第2固定部150と第2保持部136を備える。本実施形態の第2配線保持部材134は、第5-4実施形態のような分割部品152に替えて,単数部品により構成される。本実施形態の第2保持部136は、前述した筒状部材138に替えて、バンド部材160により構成される。バンド部材160は、周方向一側部分160aと周方向他側部分160bを結合することで、第2配線体130を把持する把持箇所を設けることができる。バンド部材160は、周方向一側部分160aにおける周方向他側部分160bとの結合箇所を周方向に変更可能であり、それにより、第2配線体130を把持する把持箇所の周方向長さを調整可能である。これを実現するための具体例は特に限定されず、バンド部材160を結束バンドにより構成したり、後述する複数の第1結合部162と第2結合部164を用いてもよいし、
【0078】
本実施形態のバンド部材160は、バンド部材160の周方向一側部分160aに設けられ周方向に間隔を空けて設けられた複数の第1結合部162と、バンド部材160の周方向他側部分160bに設けられ周方向に間隔を空けて設けられた複数の第2結合部164とを備える。第1結合部162及び第2結合部164の一方は凸部であり、他方は凸部と嵌合することで結合可能な凹部である。複数の第1結合部162のなかから、第2結合部164と結合される第1結合部162を周方向に変更することで、周方向一側部分160aにおける周方向他側部分160bとの結合箇所を周方向に変更可能となる。
【0079】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0080】
第1配線保持部材58は、第1配線体56を保持できていればよく、そのための具体例は実施形態の内容に限定されない。例えば、第2配線保持部材134により第2配線体130を保持するための前述した構成が第1配線保持部材58に適用されてもよい。ハウジング18に対する第1配線保持部材58の固定態様は前述の内容に限定されない。例えば、第1配線保持部材58に専用のねじ等の固定具を用いてハウジング18に固定してもよい。実施形態の第1配線保持部材58は、第1-1配線保持部材58Aと第1-2配線保持部材58Bとを含む例を説明したが、それらの一方のみを含んでいてもよいし、それらの個数も特に限定されない。
【0081】
第2配線保持部材134は、第2配線体130を保持できていればよく、そのための具体例は実施形態の内容に限定されない。例えば、第1配線保持部材58により第1配線体56を保持するための前述した構成が第2配線保持部材134に適用されてもよい。第2配線保持部材134は、アクチュエータ10の中空部26の一端部26aの他にも、中空部26の他端部又は他端部の近傍において第2配線体130を保持していてもよい。この場合、アクチュエータ10のハウジング18以外の箇所(例えば、出力部材30)で第2配線保持部材134がアクチュエータ10に固定されてもよい。
【0082】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0083】
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形形態に対して実施形態及び他の変形形態の任意の説明事項を組み合わせてもよい。実施形態において単数部材により構成された構成要素は複数部材で構成されてもよい。同様に、実施形態において複数部材により構成された構成要素は単数部材で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
10…アクチュエータ、18…ハウジング、26…中空部、42…カバー、50…第1ハウジング部材、52…第2ハウジング部材、54…第1配線、56…第1配線体、58…第1配線保持部材、60…保持部、66…保持溝、80…収納溝、100…配線溝、110…外部配線、130…第2配線体、134…第2配線保持部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14