(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152378
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H02K7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066533
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【弁理士】
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 理乙
(72)【発明者】
【氏名】兼石 友宏
(72)【発明者】
【氏名】守谷 幸次
(72)【発明者】
【氏名】松本 佑太
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB01
5H607BB14
5H607CC01
5H607CC03
5H607DD04
5H607DD08
5H607DD19
5H607EE21
5H607FF01
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
5H607JJ00
5H607JJ01
5H607JJ04
5H607JJ05
(57)【要約】
【課題】互いに連結される軸の小外径化を図りつつ、中空部の大内径化を図ることができるアクチュエータを提供する。
【解決手段】軸方向に貫通する中空部56A、56Bを備えるアクチュエータであって、中空部56A、56Bを取り囲む第1軸70A、70Bと、中空部56A、56Bを取り囲み第1軸70A、70Bと一体回転可能に連結される第2軸72A、72Bと、を備え、第1軸70A、70B及び第2軸72A、72Bは、第2軸72A、72Bの内周に第1軸70A、70Bが嵌合する嵌合部74A、74Bを備え、嵌合部74A、74Bにおいて連結される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通する中空部を備えるアクチュエータであって、
前記中空部を取り囲む第1軸と、
前記中空部を取り囲み前記第1軸と一体回転可能に連結される第2軸と、を備え、
前記第1軸及び前記第2軸は、前記第2軸の内周に前記第1軸が嵌合する嵌合部を備え、前記嵌合部において連結されるアクチュエータ。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジング内において前記第2軸から径方向外側に離れて位置する外側部材と、
前記第1軸及び前記第2軸を径方向に締結する締結部材と、を備え、
前記締結部材は、前記外側部材と径方向に重なる位置に配置される請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記第2軸は、その内周部に設けられる内段部を備え、
前記第2軸は、前記第1軸の軸方向端面に前記内段部が当接することによって、前記第1軸に対して軸方向に位置決めされる請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記第1軸は、減速機の入力軸であり、
前記第2軸は、モータ軸であり、
前記入力軸及び前記モータ軸は、モータコイルにおける反負荷側コイルエンド部と径方向に重なる位置において連結される請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第2軸が軸方向に貫通するドライバユニットを備え、
前記第1軸及び前記第2軸は、前記ドライバユニットに形成された切欠部を通してアクセス可能な位置において連結される請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第2軸が軸方向に貫通するドライバユニットと、
前記ドライバユニットよりも反負荷側において前記第2軸を支持する軸受と、を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記ドライバユニットに設けられる検出部と、前記検出部と対向する位置に設けられる被検出部とを有する回転検出器を備え、
前記第1軸は、減速機の出力部材に連結されるセンターパイプであり、
前記第2軸は、前記被検出部が取り付けられる取付軸である請求項5または6に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
モータコイルから引き出される配線と、
前記配線の前記モータコイル側の基端部を被覆し、前記モータコイルからの前記配線の引出方向を固定する第1モールド部材と、を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
モータコイルから引き出される配線と、
ハウジングに設けられる配線溝と、
前記配線溝内に前記配線を固定する第2モールド部材と、を備える請求項1に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、モータと減速機とを備えるアクチュエータを開示する。このアクチュエータでは、モータ軸と減速機の入力軸とが一体回転可能に設けられ、それらを貫通する中空部が設けられている。このアクチュエータでは、モータ軸と入力軸とが一体成形されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のモータ軸と入力軸とが別体となる場合、通常、フランジ接続によりモータ軸と入力軸とが連結される。このようにフランジ接続により複数軸を連結してしまうと、複数軸の小外径化を図りつつ、それらが取り囲む中空部の大内径化を図ることが難しくなる。これは、モータ軸と入力軸を連結しようとする場合に限った問題ではなく、アクチュエータに用いられ中空部を取り囲む第1軸と第2軸を連結する場合に共通する問題である。
【0005】
そこで、本開示の目的は、互いに連結される軸の小外径化を図りつつ、中空部の大内径化を図ることができるアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様のアクチュエータは、軸方向に貫通する中空部を備えるアクチュエータであって、前記中空部を取り囲む第1軸と、前記中空部を取り囲み前記第1軸と一体回転可能に連結される第2軸と、を備え、前記第1軸及び前記第2軸は、前記第2軸の内周に前記第1軸が嵌合する嵌合部を備え、前記嵌合部において連結されるアクチュエータ。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、互いに連結される軸の小外径化を図りつつ、中空部の大内径化を図ることができるアクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態のアクチュエータを示す部分断面側面図である。
【
図4】第2実施形態の第1モールド部材を示す側面断面図である。
【
図5】第3実施形態の第2モールド部材を示す側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示のアクチュエータを実施するための実施形態を説明する。同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。
【0010】
(第1実施形態)第1実施形態のアクチュエータを説明する。
図1を参照する。アクチュエータ10は、例えば、多関節ロボット等の各種ロボット(産業用ロボット、サービスロボット等)の他、各種産業機械(工作機械、建設機械等)、輸送機器(コンベア、車両等)等の各種機械に用いられる。
【0011】
アクチュエータ10は、モータ12と、モータ12から出力される回転を減速する減速機14と、モータ12を駆動するドライバユニット16と、ハウジング18と、を備える。なお、アクチュエータ10は、このような構成に限定されるものではなく、各種構成を採用できる。例えば、減速機14やドライバユニット16を備えなくてもよい。また、駆動装置として、モータ12とは異なる駆動源(例えば、エンジン)を備えていてもよい。
【0012】
モータ12は、モータ本体20と、モータ本体20により回転駆動されるモータ軸22と、を備える。モータ軸22は、回転動力を出力する駆動軸の一例となる。モータ本体20は、ハウジング18に固定されるステータ24と、ステータ24と協働して回転磁界を生成するロータ26とを備える。ステータ24は、ステータ本体28と、ステータ本体28に巻き付けられたモータコイル30とを備える。ステータ本体28は、例えば、ステータコア等を用いて構成される。モータコイル30は、ステータ本体28に対して負荷側に設けられる負荷側コイルエンド部30aと、ステータ本体28に対して反負荷側に設けられる反負荷側コイルエンド部30bとを備える。ここでの負荷側とは軸方向において減速機14のある側をいい、反負荷側とは負荷側とは軸方向反対側をいう。
【0013】
減速機14は、モータ軸22から回転が入力される入力軸32と、入力軸32に入力された回転を減速する減速機構(不図示)と、減速機構により減速された回転を外部に出力する出力部材34と、を備える。入力軸32は、減速機14に設けられた入力軸軸受36により回転自在に支持される。出力部材34は、不図示の軸受により回転自在に支持される。
【0014】
減速機構は、例えば、歯車、トラクションドライブ等の伝動要素を用いて動力を伝達する。ここでは、減速機構としてセンタークランク型の偏心揺動型減速機構が用いられ、偏心揺動型減速機構に回転を伝達するための偏心体38が入力軸32に設けられる例を示す。この種の減速機構の動作原理そのものは公知のため、ここでは詳細な説明は省略する。減速機構の具体例は特に限定されず、振り分け型の偏心揺動型減速機構の他に、単純遊星減速機構、撓み噛合型減速機構(シルクハット型、カップ型、筒型等)、直交軸減速機構、平行軸減速機構等を用いてもよい。
【0015】
ドライバユニット16は、少なくとも一つの回路基板40A、40Bと、回路基板40A、40Bを収容するドライバケーシング42と、を備える。回路基板40A、40Bは、ドライバ基板40Aの他に、回転検出用基板40Bと、を含む。ドライバ基板40Aには、ドライバIC(Integrated Circuit)等からなる制御部40aが設けられる。制御部40aは、電源装置から供給される電力を用いて駆動電力を生成し、これを用いてモータ本体20を駆動することで、モータ本体20を制御する。
【0016】
ドライバケーシング42は、回路基板40A、40Bを径方向外側から覆う周壁部42aと、回路基板40A、40Bを軸方向片側(反負荷側)から覆う端壁部42bと、を備える。ドライバケーシング42には、不図示のねじ等を用いて回路基板40A、40Bが固定される。ドライバケーシング42は、回路基板40A、40Bの発した熱を熱伝導により受けて外部に放熱するためのヒートシンクとして機能する。
【0017】
ハウジング18は、アクチュエータ10の種々の内部部品を収容する。ハウジング18は、モータ12の一部を構成するモータハウジング44と、減速機14の一部を構成する減速機ハウジング46と、ドライバユニット16を覆うカバー48と、を備える。モータハウジング44は、モータ本体20等を収容する。減速機ハウジング46は、減速機構、出力部材34等を収容する。カバー48は、ドライバユニット16等を収容する。カバー48は、ドライバユニット16を覆う筒状部48aと、筒状部48aの端部に設けられる端板部48bとを備える。ハウジング18の各構成要素は、ボルト、ねじ構造、リベット等を用いて互いに連結される。
【0018】
アクチュエータ10は、任意の構成として、減速機14の出力部材34と一体回転可能に設けられるセンターパイプ50と、センターパイプ50に連結される取付軸52と、取付軸52の回転を検出するための回転検出器54と、軸方向に貫通する中空部56A、56Bと、を備える。センターパイプ50は、モータ軸22、入力軸32を軸方向に貫通している。
【0019】
本実施形態の回転検出器54はエンコーダ(光学式エンコーダ、磁気式エンコーダ等)である。回転検出器54の具体例は特に限定されず、レゾルバ、ポテンショメータ等でもよい。回転検出器54は、ドライバユニット16の一部となる回転検出用基板40Bに設けられる検出部54aと、検出部54aと対向する位置に設けられる被検出部54bと、を備える。被検出部54bは、接着、ねじ等により取付軸52に取り付けられる。ここでは検出部54aと軸方向に対向する位置に被検出部54bが設けられる例を示すが、検出部54aと径方向に対向する位置に被検出部54bが設けられてもよい。被検出部54bは取付軸52の外周部に設けられるフランジ部52aに取り付けられる。
【0020】
例えば、検出部54aは、センサを内蔵するエンコーダIC(Integrated Circuit)等であり、被検出部54bは、光学スケール、磁気スケール等のスケールである。この例の検出部54aは、取付軸52とともに被検出部54bが回転したときに、被検出部54bの回転に起因する所定の物理量(磁場、光量等)の変化をセンサにより検出し、それにより得られた検出信号を処理することで、取付軸52の回転を検出する。このように検出部54aは、取付軸52とともに回転する被検出部54bを用いて取付軸52の回転を検出する。
【0021】
本実施形態の中空部56A、56Bは、モータ軸22及び入力軸32を軸方向に貫通する第1中空部56Aと、センターパイプ50及び取付軸52を軸方向に貫通する第2中空部56Bと、を含む。
【0022】
中空部56A、56Bは、アクチュエータ10の外部にある少なくとも一つの外部配線58を挿通するために用いられる。外部配線58は、アクチュエータ10の外部にある外部機器とアクチュエータ10を接続するために用いられる。ここでの外部機器とは、例えば、電源装置、情報処理装置(上位制御装置等)、他のアクチュエータ等である。外部配線は、例えば、電力ライン、通信ライン等を構成する。外部配線58は、例えば、端子(圧着端子、圧接端子、タブ端子等)、コネクタ、はんだ等の各種接続手段を用いてアクチュエータ10に搭載される回路基板62に接続される。この回路基板62は、不図示の配線を用いてドライバ基板40Aに接続される。
【0023】
図2、
図3を参照する。アクチュエータ10は、第1軸70A、70Bと、第1軸70A、70Bと一体回転可能に連結される第2軸72A、72Bとを備える。第1軸70A、70B及び第2軸72A、72Bは、それぞれの軸方向範囲の少なくとも一部において、第2軸72A、72Bの内側に第1軸70A、70Bが配置されている。以下、これら第1軸70A、70B、第2軸72A、72Bを区別するため、内側にある第1軸70A、70Bを内側軸、外側にある第2軸72A、72Bを外側軸という。なお、本明細書では、各軸の回転中心線Caに沿った方向を単に軸方向といい、その中心線Caを円中心とする半径方向及び円周方向を単に径方向、周方向という。
【0024】
アクチュエータ10は、互いに連結される第1内側軸70A及び第1外側軸72Aと、互いに連結される第2内側軸70B及び第2外側軸72Bとを備える。本実施形態において、第1内側軸70Aは入力軸32であり、第1外側軸72Aはモータ軸22である。また、本実施形態において、第2内側軸70Bはセンターパイプ50であり、第2外側軸72Bは取付軸52である。
【0025】
互いに連結される内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bは中空部56A、56Bを取り囲んでいる。これは、言及している軸の内側に中空部56A、56Bの一部が形成されているを意味する。第1内側軸70A(入力軸32)、第1外側軸72A(モータ軸22)は、これら軸の内側に第1中空部56Aが形成されることで、その第1中空部56Aを取り囲んでいる。第2内側軸70B(センターパイプ50)、第2外側軸72B(取付軸52)は、これら軸の内側に第2中空部56Bが形成されることで、その第2中空部56Bを取り囲んでいる。第1内側軸70A及び第1外側軸72Aの第1中空部56Aの内側には第2内側軸70B及び第2外側軸72Bが挿通されている。
【0026】
内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bは、外側軸72A、72Bの内周に内側軸70A、70Bが嵌合する嵌合部74A、74Bを備える。嵌合部74A、74Bは、第1外側軸72Aの内周に第1内側軸70Aが嵌合された第1嵌合部74Aと、第2外側軸72Bの内周に第2内側軸70Bが嵌合された第2嵌合部74Bとを含んでいる。
【0027】
アクチュエータ10は、外側軸72A、72Bから径方向外側に離れて位置する外側部材76A、76Bを備える。外側部材76A、76Bは、第1外側軸72Aに対応する第1外側部材76Aと、第2外側軸72Bに対応する第2外側部材76Bとを含む。本実施形態では第1外側部材76Aは、ステータ24であり、第2外側部材76Bは、ドライバハウジング18である。外側部材76A、76Bは、ハウジング18内において、自身に対応する外側軸72A、72Bを取り囲んでいる。このような取り囲むという条件を満たすううえで、外側部材76A、76Bには周方向の一部に切欠部83(後述する)が形成されていてもよい。
【0028】
アクチュエータ10は、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bを径方向に締結する締結部材78A、78Bを備える。本実施形態の締結部材78A、78Bは、第1内側軸70A及び第1外側軸72Aを締結する第1締結部材78Aと、第2内側軸70B及び第2外側軸72Bを締結する第2締結部材78Bとを含む。ここでの「径方向に締結する」とは、径方向に沿って延びる軸部78aを有する締結部材78A、78Bを用いて言及している二つの要素を固定することを意味する。ここでは締結部材78A、78Bとして止めねじ(イモネジ)を例に説明するが、これに限定されず、各種ねじ、ボルト、リベット等を採用してもよい。
【0029】
止めねじとなる締結部材78A、78Bは、径方向に沿って延びるとともに雄ねじが形成された軸部78aを備え、その基端部に頭部が設けられていない。この軸部78aの基端部には締結部材78A、78Bを回転させる工具を差し込むための工具孔が設けられる。この締結部材78A、78Bは、外側軸72A、72Bに設けられる挿通孔80にねじ込まれることで、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bを径方向に締結する。これを実現するうえで、締結部材78A、78Bは、軸部78aの先端にくぼみ先等の押圧面78bが設けられ、その押圧面78bが内側軸70A、70Bに押圧されることで、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bを径方向に締結する。この他にも、締結部材78A,78Bは、径方向内側の内側軸70A、70Bに設けられる孔内に挿入されることで、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bを径方向に締結してもよい。この締結部材78A、78Bは外側軸72A、72Bの挿通孔80内に収まるように設けられる。ここでは締結対象毎に単数の締結部材78A、78Bのみを図示するが、締結対象毎に複数の締結部材78A、78Bを用いてもよい。
【0030】
内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bは、それらの嵌合部74A、74Bにおいて連結される。これを実現するうえで、本実施形態の内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bは、それらの嵌合部74A、74Bにおいて、締結部材78A、78Bによって径方向に締結することで連結される。第1内側軸70A及び第1外側軸72Aは、第1嵌合部74Aにおいて、第1締結部材78Aによって径方向に締結することで連結される。第2内側軸70B及び第2外側軸72Bは、第2嵌合部74Bにおいて、第2締結部材78Bによって径方向に締結することで連結される。
【0031】
以上のアクチュエータ10の効果を説明する。仮に、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bをフランジ接続により連結する場合、双方の軸の外周部にフランジ部を設けたうえで、両者を締結部材によって軸方向に締結する必要がある。
【0032】
この点、本実施形態の内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bは、嵌合部74A、74Bにおいて連結されている。よって、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bを連結するにあたり、双方の軸の外周部にフランジ部を設けずに済むため、双方の軸をフランジ接続する場合と比べ、双方の軸の小外径化に有利となる。また、双方の軸の外周部にフランジ部を設けずに済むため、双方の軸の小外径化を図るうえで、双方の軸が取り囲む中空部56A、56Bの小内径化が不要となる。よって、双方の軸をフランジ接続する場合と比べ、その中空部56A、56Bの大内径化にも有利となる。ひいては、互いに連結される第1軸70A、70B及び第2軸72A、72Bの小外径化を図りつつ、それらが取り囲む中空部56A、56Bの大内径化を図ることができる。
【0033】
これは、互いに連結される第1内側軸70A、第2内側軸70Bに関していえば、それらの小外径化を図りつつ、それらが取り囲む第1中空部56Aの大内径化を図ることができることを意味する。また、これは、互いに連結される第2内側軸70B、第2外側軸72Bに関していえば、それらの小外径化を図りつつ、それらが取り囲む第2中空部56Bの大内径化を図ることができることを意味する。このような中空部56A、56Bの大内径化を図ることで、その中空部56A、56Bに外部配線58を挿通し易くなる点で有利となる。また、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bを連結するにあたって、両者を連結するカップリングが不要となるため、その分、アクチュエータ10の軸方向寸法の小型化に有利となる。
【0034】
このような効果との関係では、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bは、それらの嵌合部74A、74Bにおいて、締結部材78A、78B以外の連結要素を用いて連結してもよい。ここでの連結要素とは、例えば、内側軸70A、70B及び外側軸72A、72Bの嵌合部74A、74Bにおいて、それらの径方向に対向する面同士を接着させる接着剤をいう。
【0035】
次に、実施形態のアクチュエータ10の他の特徴を説明する。締結部材78A、78Bは、外側部材76A、76Bと径方向に重なる位置に配置される。第1締結部材78Aは、第1外側部材76Aとなるステータ24と径方向に重なる位置に配置される。第2締結部材78Bは、第2外側部材76Bとなるドライバハウジング18と径方向に重なる位置に配置される。この条件を満たすうえで、締結部材78A、78Bの軸部78aを通る中心線C78が外側部材76A、76Bと径方向に重なる位置に配置されていればよい。
【0036】
仮に、外側部材76A、76Bと径方向に重ならない位置に、締結部材78A、78Bを配置する場合を考える。この場合、外側部材76A、76Bの軸方向寸法はそのままに、外側部材76A、76Bと径方向に重ならない位置において締結部材78A、78Bのためのスペースを外側軸72A、72Bにおいて確保する必要があり、外側軸72A、72Bの軸方向寸法を余計に長くする必要が生じる。ここでの締結部材78A、78Bのためのスペースとは、例えば、締結部材78A、78Bを挿通する挿通孔80のためのスペースという。
【0037】
この点、本実施形態によれば、締結部材78A、78Bは、ハウジング18内の外側部材76A、76Bと径方向に重なる位置に配置される。よって、外側部材76A、76Bと径方向に重ならない位置に締結部材78A、78Bを配置する場合と比べ、外側部材76A、76Bと径方向に重ならない位置において、締結部材78A、78Bのためのスペースを外側軸72A、72Bに確保せずに済む。ひいては、アクチュエータ10の軸方向寸法の小型化に有利となる。
【0038】
図2を参照する。入力軸32は、ロータ26よりも反負荷側に延在する反負荷側延在部32aを備える。入力軸32は、減速機ハウジング46内の入力軸軸受36による支持箇所から反負荷側延在部32aのある箇所まで反負荷側に延在している。モータ軸22は、ロータ26が配置されるロータ配置部22aと、ロータ配置部22aよりも反負荷側に設けられロータ配置部22aよりも外径の大きい大外径部22bとを備える。モータ軸22の大外径部22bは、ロータ26と接触することでロータ26の軸方向位置を位置決め可能である。
【0039】
入力軸32及びモータ軸22は、モータコイル30の反負荷側コイルエンド部30bと径方向に重なる位置において連結される。これは、各軸の連結に要する連結要素(締結部材、接着剤等)の少なくとも一部が反負荷側コイルエンド部30bと径方向に重なる位置にあることを意味する。これを実現するうえで、これらを連結する第1締結部材78Aがモータコイル30の反負荷側コイルエンド部30bと径方向に重なる位置に配置される。本実施形態の第1締結部材78Aは、少なくともその軸部78aを通る中心線C78において、この条件を満たしている。この他にも、第1締結部材78Aの全体(軸方向全範囲)がこの条件を満たしていてもよい。第1締結部材78Aは、入力軸32の反負荷側延在部32aとモータ軸22とを連結している。この条件を満たすうえで、第1締結部材78Aの軸部78aが入力軸32の反負荷側延在部32aに押圧されているが、その反負荷側延在部32aに設けられる孔に第1締結部材78Aの軸部78aが挿入されていてもよい。また、本実施形態の第1締結部材78Aは、モータ軸22の大外径部22bと入力軸32とを連結している。これを実現するうえで、モータ軸22の大外径部22bに第1締結部材78Aを挿通するための挿通孔80が形成されている。
【0040】
仮に、ステータ24と径方向に重ならない位置において入力軸32及びモータ軸22を連結する場合を考える。この場合、ステータ24の軸方向寸法はそのままに、ステータ24と径方向に重ならない位置のみにおいて、各軸の連結に要する連結要素のためのスペースを、各軸において確保する必要があり、両者の軸方向寸法を余計に長くする必要がある。ここでの連結要素のためのスペースとは、例えば、締結部材78A、78B、接着剤等のためのスペースである。
【0041】
ここで、モータ軸22においてモータコイル30の反負荷側コイルエンド部30bと径方向内側に重なる位置は、通常、デッドスペースとなる。特に、モータコイル30の負荷側コイルエンド部30aと径方向内側に重なる位置と比べ、反負荷側コイルエンド部30bと径方向に重なる位置には、軸方向寸法の広いデッドスペースのあることが多い。本実施形態の入力軸32及びモータ軸22は、このような広い軸方向寸法のデッドスペースとなる位置において連結している。よって、このようなデッドスペースを利用して、連結要素のためのスペースを確保できる。このため、ステータ24と径方向に重ならない位置のみにおいて入力軸32及びモータ軸22を連結する場合と比べ、連結要素のスペースを確保するために、入力軸32、モータ軸22の軸方向寸法を余計に長くせずに済む。ひいては、アクチュエータ10の軸方向寸法の小型化に有利となる。
【0042】
図3を参照する。第2外側軸72B内には軸方向一側(ここでは反負荷側)に向かう挿入方向Daに第2内側軸70Bが挿入される。第2外側軸72Bは、その内周部に設けられる内段部81と、内段部81に対して第2嵌合部74Bよりも挿入方向Daに設けられる小内径部82と、を備える。内段部81は、挿入方向Daに向かって第2外側軸72Bの内径が小さくなるように形成される。小内径部82は、第2外側軸72Bにおいて第2嵌合部74Bを構成する箇所よりも内径が小さくなる。小内径部82は、第2内側軸70Bの挿入方向Da側の端部の内径と同等の大きさとなる。ここでの同等とは同一又は略同一を含む概念である。
【0043】
第2外側軸72Bは、第2内側軸70Bの軸方向端面70aに内段部81が当接することによって、第2内側軸70Bに対して軸方向に位置決めされる。ここでの軸方向端面70aとは、第2内側軸70Bの軸方向で最も端側(挿入方向Da側)にある端面をいう。第2外側軸72Bは、第2内側軸70Bに対して位置決めされるにあたって、第2内側軸70Bの軸方向端面70aよりも反挿入方向(挿入方向Daとは軸方向反対側)において第2内側軸70Bと当接していないことになる。第2内側軸70Bは、その軸方向端面70aよりも反挿入方向において、第2外側軸72Bを軸方向に位置決めするための外段部が、第2内側軸70Bの外周部に設けられていないともいえる。
【0044】
これにより、第2外側軸を軸方向に位置決めするにあたって、第2内側軸70Bの外周部に第2外側軸72Bの位置決め用の外段部を設けずに済むため、第2外側軸72B及び第2内側軸70Bの小外径化に有利となる。また、第2内側軸70Bの外周部に位置決め用の外段部を設けずに済むため、第2外側軸72B及び第2内側軸70Bの小外径化を図るうえで、両者が取り囲む第2中空部56Bの小内径化が不要となる。よって、第2内側軸70B及び第2外側軸72Bの小外径化を図りつつ、それらが取り囲む第2中空部56Bの大内径化に有利となる。
【0045】
なお、同様の効果を得る観点から、第1外側軸72Aの内周部に内段部81(
図2参照)を設けたうえで、第1内側軸70Aの軸方向端面70aに内段部81が当接することによって、第1内側軸70Aに対して第1外側軸72Aが軸方向に位置決めされてもよい。
【0046】
第2外側軸72Bは、ドライバユニット16を軸方向に貫通している。ドライバユニット16は、第2外側軸72Bを取り囲んでいる。この条件を満たすうえで、ドライバユニット16は、例えば、第2外側軸72Bの全周を取り囲む必要はなく、その周方向範囲の一部において次に説明する切欠部83が形成し、その周方向範囲の半周以上の範囲を取り囲んでいてもよい。ドライバユニット16には、第2外側軸72Bのある箇所から径方向外側に向かって開放する切欠部83が形成される。本実施形態の切欠部83は、ドライバケーシング42の周壁部42a及び端壁部42bの一部の周方向範囲に形成されるとともに、回路基板40A、40Bの一部の周方向範囲にも形成される。
【0047】
第2内側軸70B及び第2外側軸72Bは、ドライバユニット16の切欠部83を通して外部からアクセス可能な位置において連結される。ここでのアクセス可能とは、切欠部83を通して径方向外側から手を入れたときに届く位置に、第2内側軸70B及び第2外側軸72Bの連結箇所(第2外側軸72Bの連結箇所の外周部)があることを意味する。本実施形態のように第2内側軸70B及び第2外側軸72Bが第2締結部材78Bにより連結されるとときは、切欠部83を通して手をいれたときに、手又は手に持った工具が届く位置に第2締結部材78Bがあることを意味する。第2外側軸72Bの回転により第2締結部材78Bの周方向位置が変化する。このため、第2外側軸72Bの回転により取り得るドライバユニット16に対する相対位置のうち、いずれかの位置に第2外側軸72Bがあるときに、切欠部83を通して手等が届く位置に第2締結部材78Bがあればよい。本実施形態のようにドライバユニット16を覆うカバー48が存在する場合、そのカバー48を取り外したときに、切欠部83を通してアクセス可能であればよい。第2内側軸70B及び第2外側軸72Bは、ドライバユニット16と径方向に重なる位置において連結されるともいえる。
【0048】
仮に、ドライバユニット16と径方向に重ならない位置において第2内側軸70B及び第2外側軸72Bを連結する場合を考える。この場合、ドライバユニット16の軸方向寸法はそのままに、ドライバユニット16と径方向に重ならない位置において、各軸の連結に要する連結要素のためのスペースを各軸において確保する必要があり、両者の軸方向寸法を余計に長くする必要がある。ここでの連結要素のためのスペースとは、例えば、締結部材78A、78B、接着剤等のためのスペースである。
【0049】
ここで、第2外側軸72Bにおいてドライバユニット16と径方向内側に重なる位置は、通常、デッドスペースとなる。本実施形態の第2内側軸70B及び第2外側軸72Bは、ドライバユニット16の切欠部83を通してアクセス可能な位置において連結される。つまり、各軸70B、72Bは、デッドスペースとなる箇所として、ドライバユニット16と径方向に重なる位置において連結される。よって、このようなデッドスペースを利用して、連結要素のためのスペースを確保できる。このため、ドライバユニット16と径方向に重ならない位置において各軸を連結する場合と比べ、連結要素のスペースを確保するために、各軸の軸方向寸法を余計に長くせずに済む。ひいては、アクチュエータ10の軸方向寸法の小型化に有利となる。
【0050】
第2外側軸72Bは、ドライバユニット16よりも反負荷側まで延在している。アクチュエータ10は、ドライバユニット16よりも反負荷側において第2外側軸72Bを支持する軸受84を備える。軸受84は、第2外側軸72Bを回転自在に支持する。軸受84は、玉軸受等の各種転がり軸受の他に、各種滑り軸受であってもよい。これにより、第2内側軸70Bに連結された第2外側軸72Bの軸振れを軸受84により規制でき、安定して第2内側軸70B及び第2外側軸72Bを支持できる。
【0051】
アクチュエータ10は、軸受84を支持する軸受支持部材86を備える。軸受支持部材86は、ドライバユニット16よりも反負荷側に配置される。軸受支持部材86は、ドライバユニット16のドライバケーシング42にボルト等の固定具を用いて固定される。本実施形態の軸受支持部材86は、ドライバユニット16との間にドライバケーシング42を挟むことで軸受84の軸方向移動を規制している。
【0052】
(第2実施形態)
図4を参照する。第2実施形態のアクチュエータ10を説明する。以降の実施形態のアクチュエータ10で説明する内容は、第1実施形態で説明した内容と組み合わせて用いられてもよい。本実施形態のハウジング18は、第1実施形態と異なり、モータハウジング44を備え、カバー48を備えていない。
【0053】
アクチュエータ10は、モータコイル30の反負荷側コイルエンド部30bから引き出される配線90を備える。配線90の先端部は、ドライバユニット16の一部(例えば、ドライバ基板40A)に接続される。配線90は、ドライバ基板40Aの制御部から供給される電力をモータコイル30に供給する電力ライン用配線を含む。電力ライン用配線は、例えば、三相モータに用いられる三相分のモータコイルに対応する三本の配線であってもよいし、それとは異なる本数の配線であってもよい。配線90は、この他にも、ステータ24に組み込まれたセンサ(温度センサ等)とドライバ基板40Aとの間で情報を伝送する通信ライン用配線を含んでもよい。ここでは単数の配線90のみを示すが複数の配線90が存在していてもよい。
【0054】
ハウジング18は、ハウジング18の内部空間の一部として、モータコイル30よりも反負荷側において反負荷側空間92を形成する。本実施形態の反負荷側空間92は、モータコイル30とドライバユニット16との間に形成される。反負荷側空間92にはモータ軸22等の可動部品が配置される。配線90は、ハウジング18の反負荷側空間92を経由したうえで、ハウジング18に形成される引出孔94を経由して径方向外側に引き出される。この後、配線90は、ドライバユニット16の外周側で径方向外側に重なる位置を経由したうえで、径方向内側に延びるように設けられ、その先端部がドライバユニット16の一部に接続される。なお、この配線90の配線経路は一例であり、これに限定されない。
【0055】
アクチュエータ10は、モータコイル30を被覆する第1モールド部材96を備える。第1モールド部材96は絶縁性を持つ樹脂材料によって形成されるモールド樹脂である。第1モールド部材96は、モータコイル30の負荷側コイルエンド部30aを被覆する負荷側モールド部96aと、モータコイル30の反負荷側コイルエンド部30bを被覆する反負荷側モールド部96bとを含む。第1モールド部材96は、モールド成形等によって成形され、モータコイル30と一体化する。
【0056】
第1モールド部材96は、配線90のモータコイル30側の基端部90aを被覆し、モータコイル30からの配線90の引出方向Dbを固定している。第1モールド部材96は、通常、モータコイル30を被覆しているが、その被覆範囲を配線90の基端部90aまで広げることになる。ここでは、配線90の引出方向Dbが軸方向である例を示すが、これに限定されず、例えば、径方向等であってもよい。
【0057】
これにより、第1モールド部材96によって、第1モールド部材96によって被覆された箇所での配線90の自由な動きを拘束できる。よって、第1モールド部材96によって配線90の基端部90aを被覆しない場合と比べ、ハウジング18の反負荷側空間92における、配線90が大きく動くことに起因するモータ軸22等の可動部品と配線90との干渉の回避に有利となる。
【0058】
配線90は、反負荷側空間92において、その先端側に向かって径方向外側に延びる径方向延在部90bを備える。径方向延在部90bは、ハウジング18の引出孔94を経由して反負荷側空間92から引き出されている。本実施形態の径方向延在部90bは、第1モールド部材96から径方向外側に引き出されている。これを実現するうえで、配線90の径方向延在部90bの基端側部分は第1モールド部材96に被覆されている。
【0059】
これにより、第1モールド部材96から軸方向に沿って配線90を引き出す場合と比べ、配線90に径方向延在部90bを設けるうえで、その径方向延在部90bの基端側において、大曲率半径の曲げ部を形成せずに済む。ひいては、反負荷側空間92において配線90に要する軸方向スペースを削減でき、その分、アクチュエータ10の軸方向の小型化に有利となる。
【0060】
(第3実施形態)
図5を参照する。第3実施形態のアクチュエータ10を説明する。本実施形態では、第2実施形態で用いられる配線90に関する他の特徴を説明する。本実施形態の特徴は、第2実施形態の第1モールド部材96と組み合わせて用いられてもよいし、第1モールド部材96と組み合わせずに単独で用いられてもよい。
【0061】
アクチュエータ10は、ハウジング18に設けられる配線溝100を備える。本実施形態の配線溝100は、ハウジング18の内面部(内周部)に設けられる例を示すが、その外面部(外周部)に設けられていてもよい。配線溝100は、ハウジング18の表面部に対して凹むように設けられる。ここでの表面部とは、ハウジング18の内面部及び外面部の双方を含む概念である。配線溝100は、軸方向に延びるように設けられる。モータコイル30から引き出された配線90は、配線溝100内に配線溝100に沿うように配置される。ここでは、一つの配線90を一つの配線溝100内に配置する場合を想定している。この他にも、複数の配線90を同じ配線溝100内にまとめて配置してもよいし、個別の配線90のそれぞれに対応する個別の配線溝100内に対応する配線90を配置してもよい。
【0062】
アクチュエータ10は、配線溝100内に配線90を固定する第2モールド部材102を備える。第2モールド部材102は、配線溝100内の配線90を被覆しつつ配線溝100を埋めるように設けられる。第2モールド部材102は絶縁性を持つ樹脂材料によって形成されるモールド樹脂である。第2モールド部材102は、モールド成形等によって成形され、ハウジング18と一体化される。第2モールド部材102を成形する場合、本実施形態の場合、ハウジング18内のステータ24の配置予定位置にステータ24を配置した後に、モータコイル30から引き出される配線90を配線溝100内に配置したうえで第2モールド部材102を成形すればよい。
【0063】
これにより、第2モールド部材102によって、配線溝100内に配置される配線90の自由な動きを拘束できる。よって、第2モールド部材102によって配線90を固定しない場合と比べ、配線90が大きく動くことに起因する配線90と周辺構造との干渉回避に有利となる。ここでの周辺構造とは、例えば、ハウジング18内にて配線90の一部を固定する場合はハウジング18内のモータ軸22等の可動部品等をいい、ハウジング18外にて配線90の一部を固定する場合は、ハウジング18の周辺にある外部構造物をいう。特に、可動部品等の周辺構造への接近を阻害するプレート等の阻害部材を用いることなく、周辺構造との干渉を回避できる点で有利である。
【0064】
次に、ここまで説明した各構成要素の変形形態を説明する。
【0065】
ここまで、互いに連結される第1内側軸70A、第1外側軸72Aの例として入力軸32、モータ軸22を説明し、互いに連結される第2内側軸70B、第2外側軸72Bの例としてセンターパイプ50、取付軸52を説明した。このような互いに連結される内側軸と外側軸の具体例は実施形態の内容に限定されない。例えば、内側軸をモータ軸22(駆動軸)、外側軸をモータ軸22の反負荷側に連結される取付軸52としてもよい。また、内側軸をモータ軸22(駆動軸)、センターパイプ50のいずれか、外側軸を取付軸52以外の軸としてもよい。また、第1内側軸70A、第1外側軸72Aの組み合わせと、第2内側軸70B、第2外側軸72Bの組み合わせのうちの一方のみが存在していればよく、それらの他方は必須ではない。例えば、第2内側軸70B(センターパイプ50)、第2外側軸72B(取付軸52)はなくともよい。また、第2内側軸70Bと第2外側軸72Bがある場合、モータ軸22(駆動軸)と入力軸32が別体ではなく一体成形されていてもよい。また、第1内側軸70A、第1外側軸72Aの組み合わせと、第2内側軸70B、第2外側軸72Bの組み合わせとのうちの一方のみが嵌合部74A、74Bにおいて連結され、それらの他方がフランジ接続、カップリング等により連結されていてもよい。
【0066】
外側軸72A、72Bは、内側軸70A、70Bの軸方向端面70a以外の箇所(例えば、内側軸70A、70Bの外周部に設けた外段部)に当接することによって、内側軸70A、70Bに対して軸方向に位置決めされていてもよい。外側部材76A、76Bの具体例は実施形態の内容に限定されない。
【0067】
ドライバユニット16を貫通する外側軸は、回転検出器54の被検出部54bが取り付けられる取付軸52に限定されない。軸受84により支持される外側軸も同様に取付軸52に限定されない。例えば、この外側軸は、被検出部54bが取り付けられずにセンターパイプ50に連結されるものであってもよい。
【0068】
モータコイル30は、ステータ24の一部となる場合の他に、ロータ26のロータ本体(ロータコア等)に巻き付けられるロータコイルであってもよい。ドライバユニット16は回転検出用基板40Bを備えていなくともよい。
【0069】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態において単数部材により構成された構成要素は複数部材で構成されてもよい。同様に、実施形態において複数部材により構成された構成要素は単数部材で構成されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10…アクチュエータ、12…モータ、14…減速機、16…ドライバユニット、18…ハウジング、22…モータ軸、30…モータコイル、30b…反負荷側コイルエンド部、32…入力軸、34…出力部材、50…センターパイプ、52…取付軸、54…回転検出器、54a…検出部、54b…被検出部、56A…中空部、70A、70B…第1軸、72A、72B…第2軸、74A、74B…嵌合部、76A、76B…外側部材、78A、78B…締結部材、81…内段部、83…切欠部、84…軸受、90…配線、96…第1モールド部材、100…配線溝、102…第2モールド部材。