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特開2024-152394装入物の表面プロフィール検出装置及び操業方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152394
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】装入物の表面プロフィール検出装置及び操業方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 15/04 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
G01B15/04 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066558
(22)【出願日】2023-04-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】593207271
【氏名又は名称】株式会社WADECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】萱野 早衛
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 憲二
(72)【発明者】
【氏名】松本 幸一
(72)【発明者】
【氏名】井本 博之
【テーマコード(参考)】
2F067
【Fターム(参考)】
2F067AA53
2F067BB24
2F067CC07
2F067EE02
2F067HH02
2F067JJ02
2F067KK08
2F067NN04
2F067NN08
2F067NN09
2F067RR35
(57)【要約】
【課題】装入物の表面プロフィールを3次元的に検出するための装置構成をより簡素化して、安価な検出装置を提供する。また、このような検出装置を用い、検出結果を基に設備の容器への装入物の供給を行う操業方法を提供する。
【解決手段】装入物の表面プロフィール検出装置100は、検出波Mを発信し、受信する送受信手段101と、送受信手段101に接続し、検出波Mを送信・受信するアンテナ104と、検出波Mを容器1の周方向に走査する周方向走査手段と、検出波Mを角度可変反射板106の傾動により容器1の径方向に走査する径方向走査手段とを備えるとともに、径方向走査手段は、周方向走査手段を駆動する駆動源により駆動される揺動機構(トラバースカム121)とスプライン123とにより角度可変反射板106を傾動させる。そして、周方向走査手段と径方向走査手段とを協働して装入物の表面プロフィールを3次元的に検出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種設備の容器の開口に設置され、前記容器に供給され、堆積している装入物の表面に向けて前記開口を通じて検出波を送信し、前記表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置であって、
前記検出波を発信し、受信する送受信手段と、
前記送受信手段に接続し、前記検出波を送信し、受信するアンテナと、
前記検出波を、前記容器の周方向に走査する周方向走査手段と、
前記検出波を、角度可変反射板の傾動により前記容器の径方向に走査する径方向走査手段と、を備えるとともに、
前記径方向走査手段は、前記周方向走査手段を駆動する駆動源により駆動される揺動機構とスプラインとにより前記角度可変反射板を傾動させるとともに、
前記周方向走査手段と前記径方向走査手段とを協働し、前記検出波で前記容器の周方向に走査しながら、前記容器の径方向に走査させることを特徴とする装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項2】
前記揺動機構は、トラバースカム又はクランク機構であることを特徴とする請求項1に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項3】
前記トラバースカムを、前記スプラインとは別に単独で駆動することを特徴とする請求項2に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項4】
前記容器と対向する底面に開口が形成された回転ケースを設けることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項5】
前記回転ケース内に、前記アンテナを収納し、前記アンテナを回転させないことを特徴とする請求項4に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項6】
前記回転ケース内に、前記アンテナからの前記検出波を角度固定反射板に送る角度固定板と、前記角度可変反射板と、前記角度可変反射板に連結するリンク機構とを収納し、前記角度固定反射板と前記角度可変反射板と前記リンク機構とを同時に回転させることを特徴とする請求項4に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項7】
前記検出波を透過する耐熱材料からなる断熱材で前記回転ケースの前記開口を覆うとともに、前記断熱材を半径方向に沿って前記容器側からパージガスを噴出して前記断熱材に付着した粉塵を除去することを特徴とする請求項4に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項8】
前記回転ケースを包囲して前記容器の前記開口に取りけられる外箱と、
前記容器の前記開口を塞ぎ、前記検出波を透過する耐熱材料からなるエアーフィルタと、を備えるとともに、
前記外箱に付設したパージガス取込口から取り入れたパージガスを、前記エアーフィルタから排出することを特徴とする請求項4に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項9】
前記周方向走査手段と、前記径方向走査手段の駆動を間歇的に停止し、停止位置にて複数回計測して平均値を求めることを特徴とする請求項1に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【請求項10】
請求項1~3及び9の何れか1項に記載の装入物の表面プロフィール検出装置による検出結果を基に、前記容器への前記装入物の供給を行うことを特徴とする操業方法。
【請求項11】
請求項4に記載の装入物の表面プロフィール検出装置による検出結果を基に、前記容器への前記装入物の供給を行うことを特徴とする操業方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種設備の容器内に堆積している装入物の表面プロフィールを3次元的に検出するための検出装置に関する。また、本発明は、前記検出装置を用いて操業する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉内の鉄鉱石やコークス、転炉内の溶鋼、ホッパー内の石炭、焼却炉内のゴミ、サイロ等の貯蔵庫内の穀物類等、各種設備の容器に装入され、堆積している装入物の表面に向けて検出波を送信し、その反射波を受信して装入物の表面プロフィールを検出するための検出装置が知られている。
【0003】
例えば高炉では、通常、炉頂から鉄鉱石とコークスとを交互に装入し、装入物の表面プロフィールが蟻地獄の如き逆錘状になるように装入操作を行う。このような高炉では、鉄鉱石やコークスの適正な堆積状態を形成することにより、炉内のガス流れが安定し、燃料費低減や炉体の長寿命化が可能となる。適正な堆積状態を得るためには、鉄鉱石やコークスの表面プロフィールを短時間で正確に測定し、予め求めておいた理論的な堆積状態、即ち「理論堆積プロフィール」となるように鉄鉱石やコークスを補給する必要がある。
【0004】
このような高炉の装入物の表面プロフィールを検出するために、本出願人も先に特許文献1に示す検出装置を提案している。特許文献1に記載の検出装置では、検出波の反射面の高炉側への傾斜角度を可変にした角度可変反射板と、角度固定反射板とを用いるとともに、角度可変反射板及び角度固定反射板を、高炉の開口部と水平に回動する回転板に取り付け、回転板を回動させることにより、高炉内に堆積していている装入物の表面プロフィールを線状又は面状に、迅速に検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6857933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の検出装置では、回転板を回動させながら、角度可変反射板の傾斜角度により高炉の径方向に検出波を送信する構成となっている。そのため、回転板を回動させるためのモータ(特許文献1の図2の符号113)と、角度可変反射板の傾斜角度を変えるためのモータ(特許文献1の図2の符号125)の2つのモータが必要になる。また、モータを制御するための制御手段も2つ必要になる。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出するための装置構成をより簡素化して、安価な検出装置を提供することを目的とする。また、本発明は、このような検出装置を用い、検出結果を基に設備の容器への装入物の供給を行う操業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、下記(1)~(9)の装入物の表面プロフィール検出装置を提供する。
【0009】
(1) 各種設備の容器の開口に設置され、前記容器に供給され、堆積している装入物の表面に向けて前記開口を通じて検出波を送信し、前記表面で反射された前記検出波を受信して前記装入物の表面プロフィールを検出する検出装置であって、
前記検出波を発信し、受信する送受信手段と、
前記送受信手段に接続し、前記検出波を送信し、受信するアンテナと、
前記検出波を、前記容器の周方向に走査する周方向走査手段と、
前記検出波を、角度可変反射板の傾動により前記容器の径方向に走査する径方向走査手段と、を備えるとともに、
前記径方向走査手段は、前記周方向走査手段を駆動する駆動源により駆動される揺動機構とスプラインとにより前記角度可変反射板を傾動させるとともに、
前記周方向走査手段と前記径方向走査手段とを協働し、前記検出波で前記容器の周方向に走査しながら、前記容器の径方向に走査させることを特徴とする装入物の表面プロフィール検出装置。
(2) 前記揺動機構は、トラバースカム又はクランク機構であることを特徴とする(1)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(3) 前記トラバースカムを、前記スプラインとは別に単独で駆動することを特徴とする(2)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(4) 前記容器と対向する底面に開口が形成された回転ケースを設けることを特徴とする(1)~(3)の何れか1つに記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(5) 前記回転ケース内に、前記アンテナを収納し、前記アンテナを回転させないことを特徴とする(4)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(6) 前記回転ケース内に、前記アンテナからの前記検出波を角度固定反射板に送る角度固定板と、前記角度可変反射板と、前記角度可変反射板に連結するリンク機構とを収納し、前記角度固定反射板と前記角度可変反射板と前記リンク機構とを同時に回転させることを特徴とする(4)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(7) 前記検出波を透過する耐熱材料からなる断熱材で前記回転ケースの前記開口を覆うとともに、前記断熱材を半径方向に沿って前記容器側からパージガスを噴出して前記断熱材に付着した粉塵を除去することを特徴とする(4)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(8) 前記回転ケースを包囲して前記容器の前記開口に取りけられる外箱と、
前記容器の前記開口を塞ぎ、前記検出波を透過する耐熱材料からなるエアーフィルタと、を備えるとともに、
前記外箱に付設したパージガス取込口から取り入れたパージガスを、前記エアーフィルタから排出することを特徴とする(4)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
(9) 前記周方向走査手段と、前記径方向走査手段の駆動を間歇的に停止し、停止位置にて複数回計測して平均値を求めることを特徴とする(1)に記載の装入物の表面プロフィール検出装置。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明は、下記(10)の操業方法を提供する。
【0011】
(10) (1)~(9)の何れか1つに記載の装入物の表面プロフィール検出装置による検出結果を基に、前記容器への前記装入物の供給を行うことを特徴とする操業方法。
【0012】
なお、以降の説明において、「装入物の表面プロフィール検出装置」を、単に「検出装置」ともいう。
【発明の効果】
【0013】
本発明の検出装置では、周方向走査手段及び径方向走査手段を備え、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出できるとともに、周方向走査手段及び径方向走査手段の駆動源を共通化しているため、装置構成が簡素であり、安価である。
【0014】
また、本発明の操業方法では、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出でき、各種の設備において装入物を的確に供給でき、良好な操業が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の検出装置に係る第1実施形態の装置構成を模式的に示す断面図である。
図1A図1Aは、付着物除去用のパージガスを噴出するノズルの構造を示す図であり、図1Aの(a)は、断熱材から見た上面図、図1Aの(b)は、図1Aの(a)のA-A矢視図、図1Aの(c)は、図1Aの(a)のB-B矢視図である。
図1B図1Bは、図1Aに示すノズルを用いた時の検出波Mの反射状態を示す模式図であり、図1Aの(a)のC-C断面図である。
図1C図1Cは、図1Aに示すノズルを用いた時の検出波Mの反射状態を示す模式図であり、図1Aの(a)のD-D断面図である。
図2図2は、本発明の検出装置に係る第2実施形態の装置構成を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の検出装置に係る第3実施形態の装置構成を模式図に示す断面である。
図4図4は、本発明の検出装置に係る第4実施形態の装置構成を、第1実施形態を基に示す模式図である。
図5図5は、本発明の検出装置の走査原理を示す模式図である。
図6図6は、第2実施形態において、クランク機構の動作を変えた時の走査線を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に関して図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
[検出装置]
(基本構成)
検出装置の基本構成は、検出波Mを容器の周方向に走査する周方向走査手段と、検出波Mを容器の径方向に走査する径方向走査手段とを備え、周方向走査手段及び径方向走査手段を共に稼働して検出波を容器の周方向に走査しながら、容器の径方向への走査を行う構成になっており、後述するように、容器内の装入物の挿入面の高さZ(図5参照)と、角度可変反射板の反射面の傾斜角度を基に刻々と計算することにより、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出することができる。また、周方向走査手段と径方向走査手段の駆動源を共通化している。
【0018】
(第1実施形態)
このような検出装置の例として、図1に要部断面図で示す検出装置100を挙げることができる。なお、検出波Mは設備や装入物の種類により適宜選択されるが、ここでは、検出波Mとしてマイクロ波やミリ波を例示して説明する。マイクロ波やミリ波は、高温で、ミストや粉塵を伴う高炉のような設備でも好適に使用できる。
【0019】
図示されるように、検出波Mの発信及び受信を行う送受信手段101に、固定軸102の内部を挿通する導波管103を通じてアンテナ104が接続している。なお、同図では、アンテナ104には誘電体レンズ104aが付随されており、アンテナ104の小型化や検出波Mの指向性を高めているが、誘電体レンズ104aは必ずしも必要ではない。また、アンテナ104を図示されるホーンアンテナとする他にも、パラボラアンテナやカセグレンアンテナにすることもできる。
【0020】
アンテナ104の図中下方には、角度固定反射板105が配置されている。角度固定反射板105は、回転ケース115に収容されており、角度固定反射板105の反射面105aは、アンテナ104のアンテナ面に対して、45°傾斜して対向配置されている。
【0021】
また、角度固定反射板105と対向して、角度可変反射板106が配置されている。角度可変反射板106は、反射面106aの傾斜角度が図中の符号Xで示す方向に可変する反射板である。この角度可変反射板106では、反射面106aとは反対側の面(裏面)の中心に、リンク機構120の第1リンク124が固定されており、第1リンク124には第2リンク125が連結している。リンク機構120により、角度可変反射板106の反射面106aが傾動する。
【0022】
回転ケース115は、天板116の図中の上から見た形状は小判形であり、天板116を囲むように側壁が連続している。そして、側壁の直線部分に、角度固定反射板105、角度可変反射板106及びリンク機構120が固定されている。また、天板116の中央が開口しており、開口部117に固定軸102が挿通される。そのため、アンテナ104は、回転ケース115の内部に吊り下げられた状態で収容される。
【0023】
固定軸102の外周面には、上下回転軸114が遊嵌されている。そして、上下回転軸114が、回転ケース115の開口部117に挿通される。また、上下回転軸114は、下端から回転ケース115の側壁118aに向かってクランク状に延びており、先端が角度可変反射板106の第2リンク125に連結している。
【0024】
回転ケース115の開口部117には、中心に貫通口を有する円盤からなるギア113が一体に設けられている。ギア113には、モータ111のシャフトに取り付けたギア112が噛合しており、モータ111を駆動することにより、回転ケース115が図中のY方向に回転する。回転ケース115の回転は、ギア131を介して回転検出エンコーダ132により検出される。
【0025】
また、ギア113には、スプライン123が取り付けられており、スプライン123の内周面に上下回転軸114の外周面が取り付けられている。
【0026】
したがって、モータ111により回転ケース115をY方向に回転させると、角度固定反射板105、角度可変反射板106及びリンク機構120、上下回転軸114が同方向に共回りする。これにより、装入物に対して周方向への走査を行う。
【0027】
一方、アンテナ104は、回転ケース115の軸線が回転しても、固定軸102とともに回転せず、固定したままである。
【0028】
また、上下回転軸114の外周面には、トラバースカム121が取り付けられている。トラバースカム121は、シャフトに螺旋溝が加工されていて、両端でその螺旋溝が繋がって無限ループを形成している。そして、トラバースカム121が回転すると、トラバースカム121がシャフト上を一方の端部から他方の端部に向かう移動を繰り返し行う。この移動が「揺動」である。また、トラバースカム121の適所に、トラバースカム121のトラバースカム上下反転金具122が設けられている。なお、図1では、トラバースカム121が上端まで移動した状態を示しており、トラバースカム121が上端にくると方向が反転して下方に移動し、トラバースカム上下反転金具122により再び上方向に反転する。この上下方向への移動を符号Hで示すが、上下の移動量が上下検出エンコーダ133で検出され、制御される。
【0029】
このようなトラバースカム121の動作が、上下回転軸114を通じてリンク機構120に伝達され、リンク機構120の動きに連動して角度可変反射板106の反射面106aの傾斜角が図中左右方向に変化する。そして、角度可変反射板106の傾動に伴い、検出波Mの送信角度θが変化する。検出波Mの送信角度θは、角度可変反射板106の反射面106aの傾斜角が角度固定反射板105の反射面105aの傾斜角と同じ45°のときにゼロ(θ)となり、角度可変反射板106の反射面106aが角度固定反射板105の反射面105aに対して最大の仰角となったときに最大(θmax)となる。このθmaxは、容器の内径に応じて、適宜設定される。なお、θmaxは、トラバースカム121の長さを変えたり、第1リンク124及び第2リンク125の長さを変えることにより、決めることができる。このように、角度可変反射板106の反射面106aの傾動により、装入物に対して径方向への走査を行うことができる。
【0030】
また、回転ケース115が、外箱144に収容される。
【0031】
このように、周方向の走査を行う回転ケース115の回転を行う駆動源と、径方向の走査を行う上下回転軸114の上下方向へ移動を、トラバースカム121を介して行う駆動源とを、同一のモータ111で行うことができる。更に、モータ111は一方向に連続して回転するため、制御盤(図示せず)が不要となる。
【0032】
なお、検出装置100は、外箱144を容器1の開口2に取り付けて使用されるが、容器1の内部の浮遊物が開口2から侵入する。そこで、検出装置100の回転ケース115の底面118bの開口部119を、検出波Mを透過する耐熱材料からなる断熱材141で覆うとともに、断熱材141の容器側(図中の下側)にノズル142を配置し、パージガスGを噴出して断熱材141の付着物を除去する。なお、回転ケース115の底面118bの開口部119は、回転ケース115が回転するため、図示されるように、角度可変反射板106の下方部分、即ち天板116の長軸の半分に相当する部分が開口していればよく、開口部119が断熱材141で覆われる。
【0033】
ノズル142による検出波Mの送信への影響を抑えるために、例えば図1Aに示すノズル142を用いることが好ましい。なお、図1Aは、ノズル142の構造を示す図であり、図1Aの(a)は、断熱材141から見た上面図、図1Aの(b)は、図1Aの(a)のA-A矢視図、図1Aの(c)は、図1Aの(a)のB-B矢視図である。
【0034】
図示されるように、ノズル142は、円形パイプ(円管)からなる本体部142aから突出し、パージガスGの噴出口(噴射口)142bに向かって徐々に広がる突出部142cから構成されている。本体部142aにパージガスGが供給され、突出部142cを通じて噴出口142bからパージガスGを外部に噴出する。回転ケース115が回転するため、図示のように、パージガスGは回転ケース115の半径に沿って噴出されればよい。
【0035】
また、図1Bは、図1Aの(a)のC-C断面図、図1Cは、図1Aの(a)のD-D断面図であるが、断熱材141を透過し、ノズル142に入射する検出波Mにおいて、図1Bに実線で示すように、検出波Mの一部は、ノズル先端の噴出口142bにより入射方向と同方向に反射される。この入射方向と同方向の反射波が、断熱材141を透過する検出波Mと干渉し、送受信手段101から送信される検出波Mの送信強度を減衰させる。
【0036】
そのため、噴出口142bで反射される検出波Mをより少なくするためには、噴出口142bの開口面積をより小さくすればよく、例えば噴出口142bを本体部142aに沿って線状に配置するとともに、噴出口142bの開口形状を、図1Aの(a)に示すように、本体部142aの長手方向を長径とする横長にする。噴出口142bの短径が短いほど、噴出口142bで反射される検出波Mを少なくすることができる。また、図1Cに実線で示すように、噴出口142bと噴出口142bとの間では、検出波Mは本体部142aの外周面で反射され、その一部が入射方向と同方向に反射される。このように、検出波Mの一部が、本体部142aの長手方向に沿って、線状に反射される。
【0037】
一方、その他の検出波Mは、図1B及び図1Cに破線で示すように、本体部142aの外周面により種々の方向に反射される、
【0038】
このように、入射方向と同方向に反射される検出波Mを、入射方向とは異なる方向に反射される検出波Mよりも少なくすることにより、ノズル142による反射波の影響を、実質的に排除することができる。
【0039】
(第2実施形態)
第1実施形態の検出装置100では、「揺動機構」としてトラバースカム121を用いていたが、第2実施形態では図2に示すように、クランク機構220を用いることもできる。なお、図2では、クランク機構220以外は、第1実施形態の検出装置100と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0040】
図2に示すように、第2実施形態の検出装置200において、モータ111はシャフトが貫通したものであり、シャフトの一端がギア112に接続し、他端がベベルギア232に接続している。ベベルギア232は、第1ベベルギア233と第2ベベルギア234とで構成される。そのため、モータ111が回転すると、回転ケース115とともに、第1ベベルギア233が同方向に回転し、第2ベベルギア234へと伝達される。
【0041】
クランク機構220は、第1クランク226と第2クランク227とで構成されている、そして、第1クランク226が第2ベベルギア234に連結し、第2クランク227が上下回転軸114に連結している。
【0042】
そして、第1ベベルギア233がモータ111により回転すると、第2ベベルギア234に回転が伝達され、図2の右側に示すように、第1クランク226がR方向に回転して、一点鎖線で示すように円運動する。それに伴って第2クランク227も円運動し、第2クランク227に連結している上下回転軸114が、符号Hで示すように上下に移動する。
【0043】
このように、周方向の走査を行う回転ケース115の回転を行う駆動源と、径方向の走査を行う上下回転軸114の上下方向へ移動を、クランク機構220を介して行う駆動源とを、同一のモータ111で行うことができる。
【0044】
(第3実施形態)
第1実施形態では、トラバースカム121を上下回転軸114に直接取り付けていたが、第3実施形態では図3に示すように、トラバースカム121Aを独立して駆動することもできる。なお、図3では、トラバースカム121A以外は、第1実施形態と同様であり、同じ符号を付して説明を省略する。
【0045】
図3に示すように、第3実施形態の検出装置300において、モータ111にはトラバースカム121Aを回転させるためのギア316、317が噛合している。そして、モータ111が回転して、トラバースカム上下反転金具122Aが上下に移動して、上下回転軸114がH方向に上下に移動する。すると、ギア316、317が回転し、トラバースカム121Aが回転してH方向に上下に移動する。なお、図3では、トラバースカム上下反転金具122Aが上端まで移動した状態を示しており、トラバースカム上下反転金具122Aが上端にくると、方向が反転して下方に移動し、トラバースカム上下反転金具122Aにより再び上方向に反転する。
【0046】
また、トラバースカム上下反転金具122Aが上下に移動している間に、ギア112、113が回転して回転ケース115がY方向に回転する。それと同時に、スプライン123が回転し、トラバースカム上下反転金具122Aが上下に移動することにより、上下回転軸114が上下に移動し、角度可変反射板106が傾動する。第3実施形態ではトラバースカム上下反転金具122Aが固定されていたが、第3実施形態ではトラバースカム上下反転金具122Aが上下することが、第1実施形態とは異なる。
【0047】
この場合も、回転ケース115の回転を行う駆動源と、上下回転軸114の上下方向への移動を行う駆動源とを、同一のモータ111で行うことができる。
【0048】
また、第1実施形態と比べると、導波管103を短くすることができる。そのため、検出波Mが導波管103の内部を伝搬する際の減衰を少なくすることができ、検出装置300の高さ方向の寸法が短くなり、装置全体を小型にすることができる。
【0049】
(第4実施形態)
上記の第1~3実施形態では、回転ケース115の開口部119を断熱材141で塞ぎ、ノズル142からパージガスGを吹き付けて容器1からの粉塵の侵入及び付着物の除去を行っていたが、図4に示す構成とすることもできる。なお、図4は、第1実施形態の検出装置100を例にして示すが、第2実施形態及び第3実施形態においても同様である。
【0050】
図示されるように、外箱144にパージガスGを取り込むパージガス取込口145を付設する、また、容器1の開口2を、検出波Mを透過する耐熱性の材料からなるエアーフィルタ146で塞ぐ。なお。エアーフィルタ146の開口2側に、金網147を付設してもよく、金網147により大きな塊の粉塵からエアーフィルタ146を保護することができる。そして、パージガス取込口145から取り入れたパージガスGを、エアーフィルタ146を通じて容器1の内部に排出する。このような構成により、エアーフィルタ146を通じて粉塵が侵入するのを防止するとともに、エアーフィルタ146に付着した粉塵を除去することができる。
【0051】
(走査原理)
上記した第1実施形態の検出装置100、第2実施形態の検出装置200及び第3実施形態の検出装置300では、図5に模式的に示すように、回転ケース115をY方向に回転させながら、上下回転軸114を符号Hで示すように上下移動させて、検出波Mの周方向走査と径方向走査とを同時に行う。その際、検出波Mの送信角度θが0°(θ=0)の時に上下回転軸114のH方向の位置が最高点にあり、検出波Mの送信角度が最大(θ=θmax)の時に上下回転軸114のH方向の位置が最低点にあるとすると、回転ケース115の回転に伴って上下回転軸114の上下位置が連続的に変わり、検出波Mの走査線Sは、θ=0に相当する中心Cからθmaxに相当する最外周の点Fに向かって渦巻きしながら向かう。そして、θ=θmaxに達すると、上下移動が反転し、Pから中心Cに渦巻きしながら向かう。この渦巻状の走査線Sに沿った測定点Pがあり、各測定点Pにおける位置情報と、送受信手段101から測定点Pまでの距離情報(送受信の時間差)とが得られ、装入物の表面プロフィールを3次元的に検出することができる。
【0052】
また、第2実施形態の検出装置200では、第1ベベルギア233と第2ベベルギア234とのギア比を調整して、回転ケース115が1回転する間に角度可変反射板106の反射面106a(図1参照)を複数回傾斜させることができ、図6に示すように、走査線Sを花びら状にすることができる。
【0053】
第3実施形態でも、トラバースカム121Aが別駆動されているため、ギア316、317のギア比を調整して、回転ケース115が1回転する間に角度可変反射板106(の反射面106a(図1参照)を複数回傾斜させることができ、図6に示す花びら状の走査線Sにすることができる。
【0054】
上記の走査において、モータ111を間歇的に停止させ、停止位置にて複数回(N回)繰り返して計測し、得られた受信データスペクトル波形を加算平均することにより、フロアノイズを1/√Nだけ下げることができる。この機能をつけると、アンテナ104の開口径をより小さくすることができ、省スペースにできる。なお、このノイズレベルを下げる方法については、例えば特許第7149026号公報を参照することができる。
【0055】
[操業方法]
本発明はまた、上記の検出装置100、200、300を用いて各種装置を操業する方法に関する。即ち、検出装置100、200、300を用い、設備の容器に供給され、堆積している装入物の表面プロフィールを3次元的に検出することにより、検出結果を基に装入物の供給を的確に行うことができ、安定した操業が可能になる。例えば、高炉では、鉄鉱石及びコークスの各供給量、「O/C」などの操業条件を調整することで、より安定した操業が可能になる。
【符号の説明】
【0056】
100、200、300 検出装置(装入物の表面プロフィール検出装置)
101 送受信手段
102 固定軸
103 導波管
104 アンテナ
104a 誘電体レンズ
105 角度固定反射板
106 角度可変反射板
111 モータ
114 上下回転軸
115 回転ケース
120 リンク機構
121、121A トラバースカム
122,122A トラバースカム上下反転金具
123 スプライン
132 回転検出エンコーダ
133 上下検出エンコーダ
141 断熱材
142 ノズル
145 パージガス取込口
146 エアーフィルタ
147 金網
220 クランク機構
226 第1クランク
227 第2クランク
232 ベベルギア
図1
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6