(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152401
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電極構造体
(51)【国際特許分類】
B62D 1/06 20060101AFI20241018BHJP
H01H 36/00 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
B62D1/06
H01H36/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066577
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】山田 匠
(72)【発明者】
【氏名】澤田 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】内藤 浩
【テーマコード(参考)】
3D030
5G046
【Fターム(参考)】
3D030DA25
3D030DA35
3D030DB13
3D030DB15
5G046AA11
5G046AB02
5G046AC21
(57)【要約】
【課題】ステアリングホイールのリムへの組み付け工程を簡略化することができる電極構造体を提供する。
【解決手段】電極構造体10は、車両1に搭載されたステアリングホイール2のリム21に巻き付けられる電極構造体10であって、基材11と、基材11の一方面111に配置された第1センサ電極12と、基材11の一方面111において、第1センサ電極12と並ぶように配置された第2センサ電極13と、第1センサ電極12から引き出される第1ハーネス31と、第2センサ電極13から引き出される第2ハーネス32と、第1ハーネス31と第2ハーネス32とが接続されるコネクタ3bと、雄コネクタと、雄コネクタと接続する雌コネクタとを有する中継コネクタとを備える。そして、中継コネクタは、第1ハーネス31と第2ハーネス32とのうちの少なくとも1つに設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されたステアリングホイールのリムに巻き付けられる電極構造体であって、
基材と、
前記基材の一方面に配置された第1センサ電極と、
前記基材の前記一方面において、前記第1センサ電極と並ぶように配置された第2センサ電極と、
前記第1センサ電極から引き出される第1ハーネスと、
前記第2センサ電極から引き出される第2ハーネスと、
前記第1ハーネスと前記第2ハーネスとが接続されるコネクタと、
雄コネクタと、前記雄コネクタと接続する雌コネクタとを有する中継コネクタとを備え、
前記中継コネクタは、前記第1ハーネスと前記第2ハーネスとのうちの少なくとも1つに設けられる
電極構造体。
【請求項2】
前記リムに前記基材が配置された状態において、
前記第1センサ電極は、前記リムにおける前記車両の後方側に配置され、
前記第2センサ電極は、前記リムにおける前記車両の前方側に配置される
請求項1に記載の電極構造体。
【請求項3】
前記中継コネクタは、前記第1ハーネスに設けられる第1中継コネクタと、前記第2ハーネスに設けられる第2中継コネクタとを含み、
前記第1中継コネクタは、第1雄コネクタと、前記第1雄コネクタと接続する第1雌コネクタとを有し、
前記第2中継コネクタは、第2雄コネクタと、前記第2雄コネクタと接続する第2雌コネクタとを有する
請求項1または2に記載の電極構造体。
【請求項4】
前記基材の他方面に配置されるグランド電極と、
前記グランド電極から引き出される第3ハーネスとを、さらに備え、
前記コネクタには、さらに、前記第3ハーネスが接続される
請求項3に記載の電極構造体。
【請求項5】
前記第1ハーネスおよび前記第2ハーネスのうちの少なくとも一方の長さは、前記中継コネクタを前記ステアリングホイールの中央領域であって前記ステアリングホイールのシャフト近傍に配置可能な長さである
請求項1または2に記載の電極構造体。
【請求項6】
前記第1ハーネスは、前記第1センサ電極側の第1ハーネスと、前記コネクタ側の第1ハーネスとを含み、
前記第2ハーネスは、前記第2センサ電極側の第2ハーネスと、前記コネクタ側の第2ハーネスとを含み、
前記第1雄コネクタが前記第1センサ電極側の第1ハーネスに配置され、前記第1雌コネクタは前記コネクタ側の第1ハーネスに配置され、前記第2雌コネクタが前記第2センサ電極側の第2ハーネスに配置され、前記第2雄コネクタは前記コネクタ側の第2ハーネスに配置される、または、
前記第1雌コネクタが前記第1センサ電極側の第1ハーネスに配置され、前記第1雄コネクタは前記コネクタ側の第1ハーネスに配置され、前記第2雄コネクタが前記第2センサ電極側の第2ハーネスに配置され、前記第2雌コネクタは前記コネクタ側の第2ハーネスに配置される
請求項3に記載の電極構造体。
【請求項7】
前記第1雄コネクタと前記第2雌コネクタとが接続可能な構成を有し、
前記第2雄コネクタと前記第1雌コネクタとが接続可能な構成を有する
請求項6に記載の電極構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のセンサシステムは、ステアリングホイールの前面左側との接触を検出するために、ステアリングホイールの第1の部分内に配置される第1のセンサと、ステアリングホイールの前面右側との接触を検出するために、第1の部分とは別のステアリングホイールの第2の部分内に配置される第2のセンサと、ステアリングホイールの裏面との接触を検出するために、ステアリングホイール内に配置される第3のセンサとを含んでいる。第1のセンサ、第2のセンサおよび第3のセンサは、ステアリングホイールの前面左側、前面右側および裏面への接触を検出できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1のセンサシステムでは、例えば基材の一面に第1のセンサ、第2のセンサおよび第3のセンサに配置している場合、第1のセンサ、第2のセンサおよび第3のセンサのそれぞれに接続されているハーネスをECU(Electronic Control Unit)用のコネクタとして1つに束ねられることがある。このとき、ステアリングホイールのリムに対する第1のセンサ、第2のセンサおよび第3のセンサの配置によっては、第1のセンサ、第2のセンサおよび第3のセンサを配置した基材と、それぞれのハーネスと、ECU用のコネクタとでループ状になることがあるため、この状態で出荷をすると、ステアリングホイールのリムへの組み付けを行うことができなくなる。このため、リムへの組み付け後にそれぞれのハーネスをECU用のコネクタへ接続する等の工程が必要となり、リムへの組み付け時の工程が複雑化してしまうという課題がある。
【0005】
そこで、本開示は、ステアリングホイールのリムへの組み付け工程を簡略化することができる電極構造体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る電極構造体は、車両に搭載されたステアリングホイールのリムに巻き付けられる電極構造体であって、基材と、前記基材の一方面に配置された第1センサ電極と、前記基材の前記一方面において、前記第1センサ電極と並ぶように配置された第2センサ電極と、前記第1センサ電極から引き出される第1ハーネスと、前記第2センサ電極から引き出される第2ハーネスと、前記第1ハーネスと前記第2ハーネスとが接続されるコネクタと、雄コネクタと、前記雄コネクタと接続する雌コネクタとを有する中継コネクタとを備え、前記中継コネクタは、前記第1ハーネスと前記第2ハーネスとのうちの少なくとも1つに設けられる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の電極構造体では、ステアリングホイールのリムへの組み付け工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態におけるグリップセンサが配置された車両の車室の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態における電極構造体をリムへ巻き付けるときの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII-III線におけるステアリングホイールの断面図である。
【
図4】
図4は、ステアリングホイールに搭載された電極構造体の第1ハーネスおよび第2ハーネスと、第1中継コネクタおよび第2中継コネクタとの配置を示す部分断面図である。
【
図5】
図5は、実施の形態の変形例1における電極構造体を示す平面図である。
【
図6】
図6は、実施の形態の変形例1における電極構造体がリムに巻き付けられた状態の第1センサ電極と第2センサ電極との位置関係を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施の形態の変形例2における電極構造体を示す平面図である。
【
図8】
図8は、実施の形態の変形例2における電極構造体がリムに巻き付けられた状態の第1センサ電極と第2センサ電極との位置関係を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施の形態の変形例3における電極構造体を示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例3における別の電極構造体を示す平面図である。
【
図11】
図11は、実施の形態の変形例3におけるさらに別の電極構造体を示す平面図である。
【
図12】
図12は、その他変形例における電極構造体を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0011】
また、以下の実施の形態において、帯状および周方向等の表現を用いている。例えば、帯状および周方向は、完全に帯および周方向であることを意味するだけでなく、実質的に帯および周方向である、すなわち数%程度の誤差を含むことも意味する。また、帯状および周方向は、本開示による効果を奏し得る範囲において帯状および周方向という意味である。他の「状」、「方向」を用いた表現がある場合についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0013】
(実施の形態)
<構成>
本実施の形態では、
図1~
図4を参照して、電極構造体10について説明する。
【0014】
図1は、実施の形態におけるグリップセンサ100が配置された車両1の車室の一例を示す図である。
図2は、実施の形態における電極構造体10をリム21へ巻き付けるときの一例を示す図である。
図3は、
図1のIII-III線におけるステアリングホイール2の断面図である。
図4は、ステアリングホイール2に搭載された電極構造体10の第1ハーネス31および第2ハーネス32と第1中継コネクタ41および第2中継コネクタ42との配置を示す部分断面図である。
図4では、図面が複雑になることを避けるため、第3ハーネス33等を省略している。
図4では、ステアリングホイール2から電極構造体10を部分的に露出させた状態の断面を示している。
【0015】
図1および
図2に示されるように、本実施の形態の電極構造体10は、帯状をなしており、車両1に搭載されたステアリングホイール2のリム21に巻き付けられている。
【0016】
ステアリングホイール2は、車両1の操舵輪に対して操舵角を与えることができる。ステアリングホイール2は、リム21と、リム21の内周面に一体的に形成されたT字状のスポーク22と、電極構造体10と、制御回路3とを有している。
【0017】
図2および
図3に示されるように、リム21は、ステアリングホイール2の周方向と直交する方向で切断した場合の断面において、円環状をなした金属製の芯金23aと、芯金23aを覆う樹脂部材23bとを有している。スポーク22には、中央部分に配置されたホーンスイッチを覆うホーンスイッチカバーが設けられている。電極構造体10は、円環状のリム21の表面を覆うように、リム21の周方向に沿ってリム21に巻き付けられている。この場合、電極構造体10の長手方向の両端部は、リム21の下端部で隣り合うように配置される。電極構造体10の外周面には第1表層部15が積層され、第1表層部15のさらに外周面には第2表層部16が積層されている。第1表層部15は、例えば、ウレタン等の樹脂材料で構成されている。第2表層部16は、人の手と直接接触する部分であり、ステアリングホイール2の外周面を構成している。第2表層部16は、革、木材、または、樹脂等の材料で構成されている。
【0018】
本実施の形態の電極構造体10は、車載用のグリップセンサ100の一部として構成されている。
【0019】
図2に示すように、グリップセンサ100は、人の手によるステアリングホイール2への把持を検出する静電容量式のセンサである。グリップセンサ100は、車両1のステアリングホイール2に備えられている。具体的には、グリップセンサ100は、ステアリングホイール2に埋設される電極構造体10と、電極構造体10からの信号に基づいて把持を検出する制御回路3とを備えている。制御回路3は、例えばスポーク22に埋設されている。
【0020】
以下、電極構造体10の具体的な構成について説明する。
【0021】
本実施の形態における電極構造体10は、基材11と、第1センサ電極12と、第2センサ電極13と、第1ハーネス31と、第2ハーネス32と、グランド電極14と、第3ハーネス33と、制御回路3のコネクタ3aと電気的に接続するためのコネクタ3b(以下、ECU用のコネクタ3bと呼ぶことがある)と、中継コネクタとを備えている。
【0022】
基材11は、弾性、柔軟性および延性を有する材質によって長尺のシート状に形成される絶縁部材である。例えば、基材11は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリウレタン(PU)等の合成樹脂によって構成されたフォーム材である。基材11は、リム21の形状、および、大きさに応じて形成される。なお 、基材11は、延性を有する材質に限定されるものではなく、延性の小さい例えば不織布を用いてもよい。
【0023】
また、基材11は、一方面111と他方面112とを有する。一方面111には、第1センサ電極12と第2センサ電極13とが配置されている。
【0024】
第1センサ電極12は、基材11の長手方向に沿った帯状をなし、基材11の一方面111に配置されている。第2センサ電極13は、基材11の長手方向に沿った帯状をなし、基材11の一方面111において、第1センサ電極12と並ぶように配置されている。第1センサ電極12と第2センサ電極13とは、電気的に接続されないように、所定の隙間Sを空けて基材11の一方面111に配置されている。
【0025】
本実施の形態では、第1センサ電極12と第2センサ電極13とは、基材11の短手方向を二分した中心線Oを境に、所定の隙間Sを空けて基材11の一方面111に配置されている。電極構造体10をリム21に巻き付けた場合、基材11の中心線Oがリム21の外周縁に位置し、基材11の長手方向に沿った両端縁がリム21の内周縁に位置する。また、電極構造体10をリム21に巻き付けた際に、第1センサ電極12および第2センサ電極13がリム21の外周側からリム21の内周側に亘って配置されることで、第1センサ電極12が車両1の座席と対向する側に配置され、第2センサ電極13が第1センサ電極12と反対側に配置される。言い換えれば、電極構造体10をリム21に巻き付けた際に、第1センサ電極12はリム21における車両1の後方側に配置され、第2センサ電極13はリム21における車両1の前方側に配置される。
【0026】
このように、第1センサ電極12が車両1の後方側におけるリム21を覆うように環状に配置され、第2センサ電極13が車両1の前方側におけるリム21を覆うように環状に配置されるため、人の手がステアリングホイール2のどの位置を把持しても、グリップセンサ100はその把持を検出できるようになる。
【0027】
第1センサ電極12および第2センサ電極13は、粘着層によって基材11の一方面111に固定されている。第1センサ電極12および第2センサ電極13は、導体または抵抗体による面状構造のべた電極である。なお、第1センサ電極12および第2センサ電極13は、線状の電極であってよく、導電性を有する部材であれば、どのような形態であってもよい。
【0028】
第1センサ電極12からは、第1ハーネス31が引き出されている。第1センサ電極12から第1ハーネス31が引き出されている箇所は、電極構造体10をリム21に巻き付けた場合に、スポーク22が配置される位置と対応する箇所である。第1ハーネス31が引き出されている箇所に対応するように、基材11には、第1突出部11aが形成されている。第1突出部11aは、電極構造体10をリム21に巻き付けた場合に、スポーク22に配置される。第1突出部11aでは、第1センサ電極12と第1ハーネス31の一端とが締結部材によって電気的に接続されている。また、第1ハーネス31の他端は、ECU用のコネクタ3bに接続されている。
【0029】
第2センサ電極13からは、第2ハーネス32が引き出されている。第2センサ電極13から第2ハーネス32が引き出されている箇所は、電極構造体10をリム21に巻き付けた場合に、スポーク22が配置される位置と対応する箇所である。第2ハーネス32が引き出されている箇所に対応するように、基材11には、第2突出部11bが形成されている。第2突出部11bは、電極構造体10をリム21に巻き付けた場合に、スポーク22に配置される。第2突出部11bでは、第2センサ電極13と第2ハーネス32の一端とが締結部材によって電気的に接続されている。また、第2ハーネス32の他端は、ECU用のコネクタ3bに接続されている。
【0030】
第1ハーネス31と第2ハーネス32とのうちの少なくとも1つには、中継コネクタが設けられている。本実施の形態では、第1ハーネス31と第2ハーネス32とのそれぞれに中継コネクタが設けられている。なお、
図2に示すように、後述する第3ハーネス33を備える場合、基材11と、第1ハーネス31、第2ハーネス32および第3ハーネス33と、コネクタ3bとでループ状にならないようにするために、第2ハーネス32に中継コネクタを設ける必要がある。
【0031】
第1ハーネス31に設けられる中継コネクタは、1本の第1ハーネス31を分離したり、1本の第1ハーネス31を形成したりすることができる。また、第2ハーネス32に設けられる中継コネクタは、1本の第2ハーネス32を分離したり、1本の第2ハーネス32を形成したりすることができる。ここで、第1ハーネス31は、第1センサ電極12側の第1ハーネス31aと、ECU用のコネクタ3b側の第1ハーネス31bとを含んでいる。また、第2ハーネス32は、第2センサ電極13側の第2ハーネス32bと、ECU用のコネクタ3b側の第2ハーネス32aとを含んでいる。
【0032】
中継コネクタは、第1ハーネス31に設けられる第1中継コネクタ41と、第2ハーネス32に設けられる第2中継コネクタ42とを含んでいる。
【0033】
第1中継コネクタ41は、第1雄コネクタ41aと、第1雄コネクタ41aと接続する第1雌コネクタ41bとを有する。第1雄コネクタ41aが第1センサ電極12側の第1ハーネス31aに接続され、第1雌コネクタ41bがECU用のコネクタ3b側の第1ハーネス31bに接続されている。なお、第1雄コネクタ41aがECU用のコネクタ3b側の第1ハーネス31bに接続され、第1雌コネクタ41bが第1センサ電極12側の第1ハーネス31aに接続されていてもよい。第1雄コネクタ41aと第1雌コネクタ41bとが接続することで、一本の第1ハーネス31を形成することができ、第1雄コネクタ41aと第1雌コネクタ41bとが非接続となることで、一本の第1ハーネス31を2つに分離することができる。
【0034】
第2中継コネクタ42は、第2雄コネクタ42aと、第2雄コネクタ42aと接続する第2雌コネクタ42bとを有する。第2雌コネクタ42bが第2センサ電極13側の第2ハーネス32bに接続され、第2雄コネクタ42aがECU用のコネクタ3b側の第2ハーネス32aに接続されている。なお、第2雌コネクタ42bがECU用のコネクタ3b側の第2ハーネス32aに接続され、第2雄コネクタ42aが第2センサ電極13側の第2ハーネス32bに接続されていてもよい。第2雄コネクタ42aと第2雌コネクタ42bとが接続することで、一本の第2ハーネス32を形成することができ、第2雄コネクタ42aと第2雌コネクタ42bとが非接続となることで、一本の第2ハーネス32を2つに分離することができる。
【0035】
また、本実施の形態では、第1ハーネス31に設けられる第1雄コネクタ41aおよび第1雌コネクタ41bの配置と、第2ハーネス32に設けられる第2雄コネクタ42aおよび第2雌コネクタ42bの配置とが異なっている。
【0036】
具体的には、第1雄コネクタ41aが第1センサ電極12側の第1ハーネス31aに配置され、第1雌コネクタ41bがECU用のコネクタ3b側の第1ハーネス31bに配置されている場合、第2雄コネクタ42aがECU用のコネクタ3b側の第2ハーネス32aに配置され、第2雌コネクタ42bが第2センサ電極13側の第2ハーネス32bに配置される。なお、第1雌コネクタ41bが第1センサ電極12側の第1ハーネス31aに配置され、第1雄コネクタ41aがECU用のコネクタ3b側の第1ハーネス31bに配置されている場合、第2雄コネクタ42aが第2センサ電極13側の第2ハーネス32bに配置され、第2雌コネクタ42bがECU用のコネクタ3b側の第2ハーネス32aに配置されてもよい。
【0037】
第1雄コネクタ41aおよび第2雄コネクタ42aは雄コネクタに含まれる。また、第1雌コネクタ41bおよび第2雌コネクタ42bは雌コネクタに含まれる。
【0038】
第1中継コネクタ41および第2中継コネクタ42は同じ構成を有する。つまり、第1雄コネクタ41aと第2雌コネクタ42bとが接続可能な構成を有し、第2雄コネクタ42aと第1雌コネクタ41bとが接続可能な構成を有する。
【0039】
図4に示すように、第1ハーネス31および第2ハーネス32のうちの少なくとも一方の長さは、中継コネクタをステアリングホイール2の中央領域Tであってステアリングホイール2のシャフト24近傍に配置可能な長さである。本実施の形態では、第1ハーネス31に第1中継コネクタ41が配置され、第2ハーネス32に第2中継コネクタ42が配置されている。このため、第1中継コネクタ41および第2中継コネクタ42は、ステアリングホイール2のシャフト24近傍に配置されている。
【0040】
図2および
図3に示すように、基材11の他方面112には、グランド電極14が配置されている。グランド電極14は、第1センサ電極12および第2センサ電極13と電気的に接続されないように、基材11の他方面112に配置されている。電極構造体10をリム21に巻き付けた場合、グランド電極14は、リム21の表面に配置される。
【0041】
グランド電極14は、粘着層によって基材11の他方面112に固定されている。グランド電極14は、銅線等の金属線(導電線)で構成される。なお、グランド電極14は、導体または抵抗体による面状構造のべた電極であってよく、導電性を有する部材であれば、どのような形態であってもよい。
【0042】
図2に示すように、グランド電極14からは、第3ハーネス33が引き出されている。グランド電極14から第3ハーネス33が引き出されている箇所は、電極構造体10をリム21に巻き付けた場合に、スポーク22が配置される位置と対応する箇所である。第3ハーネス33が引き出されている箇所に対応するように、基材11には、第3突出部11cが形成されている。第3突出部11cは、電極構造体10をリム21に巻き付けた場合に、スポーク22に配置される。第3突出部11cでは、グランド電極14と第3ハーネス33の一端とが締結部材によって電気的に接続されている。また、第3ハーネス33の他端は、ECU用のコネクタ3bに接続されている。
【0043】
ECU用のコネクタ3bには、第1ハーネス31の他端、第2ハーネス32の他端、および、第3ハーネス33の他端が接続されている。ECU用のコネクタ3bは、制御回路3のコネクタ3aと電気的に接続することができる。
【0044】
本実施の形態では、グランド電極14は金属線で構成されているため、一端が第1電線33aと電気的に接続され、他端が第2電線33bと電気的に接続されている。第1電線33aおよび第2電線33bは、グランド電極14を制御回路3に電気的に接続するためのケーブルであり、第3ハーネス33を構成している。第1電線33aおよび第2電線33bは、締結部材によりグランド電極14と電気的に接続される。
【0045】
グランド電極14は、ジグザグ形状のパターンが形成されるように、基材11の他方面112に縫い付けられている。グランド電極14は、樹脂被覆された金属線であって、ヒータエレメントとして用いられる。制御回路3によってグランド電極14に電流が流れると、グランド電極14が発熱する。この発熱によって、グランド電極14は、電極構造体10を温めることで、ステアリングホイール2を温めることができる。これにより、車両1の人は、車内が寒くても、ステアリングホイール2を快適に把持できる。なお、グランド電極14はヒータエレメントとして用いられるため、第1電線33aおよび第2電線33bの一方に直流の電源部(図示せず)の正極が、他方に電源部の負極が、それぞれ接続されることとなる。しかし、交流駆動される第1センサ電極12および第2センサ電極13から見ると、直流電源の正極および負極はいずれもグランド電位になるため、金属線の全体をグランド電極14と呼ぶ。
【0046】
制御回路3は、第1センサ電極12および第2センサ電極13と電気的に接続され、第1センサ電極12および第2センサ電極13から伝送される信号に基づいて、人の手がステアリングホイール2に接触しているか否か、つまり、人の手によるステアリングホイール2への接触、および、その手の接触位置を検出する。人の手によってステアリングホイール2が把持されると、電極構造体10の第1センサ電極12および第2センサ電極13とその手との間の静電容量が変化する。制御回路3は、これらのセンサ電極からの静電容量が変化した出力信号に基づいて把持を検出する。例えば、制御回路3は、検出された静電容量が規定値以上となれば、人の手がステアリングホイール2に触れている、または、把持していると判定することができる。このような、制御回路3は、専用回路または汎用プロセッサで構成されている。
【0047】
また、グランド電極14が金属線で構成されている場合、制御回路3は、電源部からの直流電圧を印加する。これにより、グランド電極14をステアリングヒータとして機能させることができる。この場合、グランド電極14が電源部からの電力によって発熱し、ステアリングホイール2の表面を温めることができるため、ステアリングホイール2を把持する手を温めることができる。
【0048】
<作用効果>
次に、本実施の形態における電極構造体10の作用効果について説明する。
【0049】
上述したように、本実施の形態に係る電極構造体10は、車両1に搭載されたステアリングホイール2のリム21に巻き付けられる電極構造体10であって、基材11と、基材11の一方面111に配置された第1センサ電極12と、基材11の一方面111において、第1センサ電極12と並ぶように配置された第2センサ電極13と、第1センサ電極12から引き出される第1ハーネス31と、第2センサ電極13から引き出される第2ハーネス32と、第1ハーネス31と第2ハーネス32とが接続されるコネクタ3bと、雄コネクタと、雄コネクタと接続する雌コネクタとを有する中継コネクタとを備える。そして、中継コネクタは、第1ハーネス31と第2ハーネス32とのうちの少なくとも1つに設けられる。
【0050】
例えば、従来技術では、基材と、ハーネスと、ECU用のコネクタとでループ状にならないように、基材をリムに巻き付けた後に、第1ハーネスを基材の第1センサ電極に電気的に接続する工程と、第2ハーネスを基材の第2センサ電極に電気的に接続する工程とを要するため、電極構造体のリムへの組み付け工程が複雑化してしまう。
【0051】
しかしながら、本実施の形態によれば、基材11と、第1ハーネス31と、第2ハーネス32と、ECU用のコネクタ3bとによってループが形成されても、第1ハーネス31と第2ハーネス32とのうちの少なくとも1つに、雄コネクタと雌コネクタとの接続を解除可能な中継コネクタが設けられている。このため、電極構造体10をリム21に組み付ける場合、雄コネクタと雌コネクタとの接続を解除した状態で電極構造体10をリム21に巻き付けた後に、雄コネクタと雌コネクタとを接続することができる。
【0052】
したがって、本実施の形態に係る電極構造体10によれば、ステアリングホイール2のリム21への組み付け工程を簡略化することができる。その結果、ステアリングホイール2の製造コストの高騰化を抑制することができる。
【0053】
また、本実施の形態に係る電極構造体10では、リム21に基材11が配置された状態において、第1センサ電極12はリム21における車両1の後方側に配置され、第2センサ電極13はリム21における車両1の前方側に配置される。
【0054】
これによれば、リム21に電極構造体10を巻き付けた後に、雄コネクタと雌コネクタとを接続することができるため、上記したループが形成されない。そのため、基材11をリム21に巻き付けた後に、第1ハーネス31を基材11の第1センサ電極12に接続する工程と、第2ハーネス32を基材11の第2センサ電極13に接続する工程とを簡略化することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係る電極構造体10において、中継コネクタは、第1ハーネス31に設けられる第1中継コネクタ41と、第2ハーネス32に設けられる第2中継コネクタ42とを含む。また、第1中継コネクタ41は、第1雄コネクタ41aと、第1雄コネクタ41aと接続する第1雌コネクタ41bとを有する。そして、第2中継コネクタ42は、第2雄コネクタ42aと、第2雄コネクタ42aと接続する第2雌コネクタ42bとを有する。
【0056】
例えば、電極構造体を折り曲げずに出荷する場合、第1ハーネスおよび第2ハーネスの長さを長くする必要がある。この場合、電極構造体の製造コストが高騰化してしまう。
【0057】
しかしながら、本実施の形態によれば、第1ハーネス31および第2ハーネス32の長さが長くなり過ぎてしまうことを抑制することができるため、電極構造体10における製造コストが高騰化してしまうことを抑制することができる。
【0058】
また、第1雄コネクタ41aと第1雌コネクタ41bとの接続を解除し、かつ、第2雄コネクタ42aと第2雌コネクタ42bとの接続を解除した状態にすれば、第1ハーネス31および第2ハーネス32の長さを短くしても、出荷時に電極構造体10が折り曲げられることによる電極構造体10の変形を抑制することができる。このため、電極構造体10の品質を保ったまま出荷することができる。
【0059】
また、電極構造体10をリム21に組み付ける際に、第1ハーネス31および第2ハーネス32が長過ぎることで、スポーク22上で第1ハーネス31および第2ハーネス32が大きく撓んでしまうといったことが生じ難くなる。このため、電極構造体10のリム21への組み付け工程が複雑化してしまうことをより抑制することができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る電極構造体10は、基材11の他方面112に配置されるグランド電極14と、グランド電極14から引き出される第3ハーネス33とを、さらに備える。そして、コネクタ3bには、さらに、第3ハーネス33が接続される。
【0061】
これによれば、第1ハーネス31に第1中継コネクタ41が設けられ、第2ハーネス32に第2中継コネクタ42が設けられているため、電極構造体10を出荷する際に、第1雄コネクタ41aと第1雌コネクタ41bとの接続を解除し、かつ、第2雄コネクタ42aと第2雌コネクタ42bとの接続を解除した状態にすることができる。このため、第1ハーネス31および第2ハーネス32だけでなく第3ハーネス33の長さを短くしても、電極構造体10が折り曲げられることによる電極構造体10の変形を抑制することができる。このため、電極構造体10の品質を保ったまま出荷することができる。
【0062】
また、電極構造体10をリム21に組み付ける際に、第3ハーネス33が長過ぎることで、スポーク22上で第3ハーネス33が大きく撓んでしまうといったことが生じ難くなる。このため、電極構造体10のリム21への組み付け工程が複雑化してしまうことをより抑制することができる。
【0063】
また、本実施の形態に係る電極構造体10において、第1ハーネス31および第2ハーネス32のうちの少なくとも一方の長さは、中継コネクタをステアリングホイール2の中央領域Tであってステアリングホイール2のシャフト24近傍に配置可能な長さである。
【0064】
例えば、中継コネクタをシャフトから離れた位置に配置すると、車両の走行によってステアリングホイールが振動した場合、シャフトの中心から径方向に離れた長さ分に応じた慣性モーメントが発生するため、中継コネクタに与えられる慣性モーメントが大きくなる。これにより、中継コネクタの破損、あるいは、雄コネクタと雌コネクタとの接続が解除されてしまうことが考えられる。
【0065】
しかしながら、本実施の形態によれば、中継コネクタをシャフト24近傍に配置することができるため、車両1の走行によってステアリングホイール2が振動したとしても、中継コネクタに与えられる慣性モーメントが小さくなるため、中継コネクタに与えられる振動を抑制することができる。これにより、中継コネクタの破損、あるいは、雄コネクタと雌コネクタとの接続が解除されてしまうことを抑制することができる。
【0066】
また、本実施の形態に係る電極構造体10において、第1ハーネス31は、第1センサ電極12側の第1ハーネス31aと、コネクタ3b側の第1ハーネス31bとを含む。また、第2ハーネス32は、第2センサ電極13側の第2ハーネス32bと、コネクタ3b側の第2ハーネス32aとを含む。また、第1雄コネクタ41aが第1センサ電極12側の第1ハーネス31aに配置され、第1雌コネクタ41bはコネクタ3b側の第1ハーネス31bに配置され、第2雌コネクタ42bが第2センサ電極13側の第2ハーネス32bに配置され、第2雄コネクタ42aはコネクタ3b側の第2ハーネス32aに配置される。または、第1雌コネクタ41bが第1センサ電極12側の第1ハーネス31aに配置され、第1雄コネクタ41aはコネクタ3b側の第1ハーネス31bに配置され、第2雄コネクタ42aが第2センサ電極13側の第2ハーネス32bに配置され、第2雌コネクタ42bはコネクタ3b側の第2ハーネス32aに配置される。
【0067】
これによれば、第1中継コネクタ41の第1雄コネクタ41aと第1雌コネクタ41bの配置と、第2中継コネクタ42の第2雄コネクタ42aと第2雌コネクタ42bの配置とを互い違いにすることができる。このため、第1中継コネクタ41と第2中継コネクタ42における雄雌の関係を同じにした構成に対し、電極構造体10をリム21に組み付ける際に、第1雄コネクタ41aと第2雄コネクタ42aとを接続したり、第1雌コネクタ41bと第2雌コネクタ42bとを接続したりしてしまうことを回避することができる。
【0068】
また、本実施の形態に係る電極構造体10において、第1雄コネクタ41aと第2雌コネクタ42bとが接続可能な構成を有し、第2雄コネクタ42aと第1雌コネクタ41bとが接続可能な構成を有する。
【0069】
これによれば、第1雄コネクタ41aと第2雌コネクタ42bとを接続し、第1雌コネクタ41bと第2雄コネクタ42aとを接続することで、電極構造体を折り曲げずに出荷することができるとともに、出荷、輸送時に各コネクタへの異物混入と各コネクタの破損とを抑制することができる。
【0070】
(実施の形態の変形例1)
まず、
図5および
図6を用いて本変形例の電極構造体10aについて説明する。
【0071】
図5は、実施の形態の変形例1における電極構造体10aを示す平面図である。
図6は、実施の形態の変形例1における電極構造体10aがリム21に巻き付けられた状態の第1センサ電極12aと第2センサ電極13aとの位置関係を示す斜視図である。また、
図6では、図面が複雑になることを避けるため、引出配線131、所定の隙間等を省略している。
【0072】
本変形例では、第1センサ電極12aと第2センサ電極13aの構成が実施の形態と異なる点で実施の形態と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0073】
図5では、リム21に巻き付けた基材11を時計の時刻のように見立てた場合、基材11の長手方向の中心の位置を12hと示し、基材11の両端を6hと示し、基材11の一方端と12hとの間を9hと示し、基材11の他方端と12hとの間を3hと示している。これは、以降の図においても、同様に示すことがある。
【0074】
第1センサ電極12aおよび第2センサ電極13aは、基材11の長手方向に沿って長尺な帯状をなしている。
【0075】
第2センサ電極13aの両端部には、一部が切り欠かれた切欠部131a、131bが形成されている。具体的には、切欠部131aは基材11の一方端における6hから7hまでの位置に亘って形成され、切欠部131bは基材11の他方端における5hから6hまでの位置に亘って形成されている。
【0076】
第1センサ電極12aの両端部には、基材11の中心線Oから、切欠部131a、131bに向かって張り出した張出部121a、121bが形成されている。具体的には、張出部121aは、基材11の一方端における6hから7hまでの位置に亘って形成され、張出部121bは基材11の他方端における5hから6hまでの位置に亘って形成されている。
【0077】
第1センサ電極12aから第1ハーネス31が引き出されている箇所に対応するように、基材11には3hの位置において第1突出部11aが形成されている。第2センサ電極13aには、基材11の6hの位置における切欠部131bから、基材11における第1センサ電極12aの張出部121bの傍を通過して、当該基材11の第1突出部11aに至る引出配線131が形成されている。第1突出部11aでは、第1センサ電極12aと第1ハーネス31の一端とが締結部材によって電気的に接続され、第2センサ電極13aの引出配線131と第2ハーネス32の一端とが締結部材によって電気的に接続されている。また、第1ハーネス31の他端および第2ハーネス32の他端は、ECU用のコネクタ3bに接続されている。ここで、引出配線131は、第2センサ電極13aの一部であってもよく、基材11に縫製して固定した金属線であってもよく、リード線であってもよい。
【0078】
図6に示すように、このような構成の電極構造体10aをリム21に巻き付けた場合、ステアリングホイール2の下端部分である下肢対向部25には、第1センサ電極12aの両端部が配置されることとなる。下肢対向部25は、車両1の座席に人が着座した場合に、人の下肢の鉛直上方に位置し、かつ、人の下肢と対向するステアリングホイール2の部分である。この場合、下肢対向部25に人の下肢が接触したとしても、第2センサ電極13aの検出感度が低く、第1センサ電極12aの張出部121a、121bによって下肢の接触を検出することとなり、第1センサ電極12aおよび第2センサ電極13aの両方が同時に下肢の接触を検出し難くできる。このため、不意に人の下肢がステアリングホイール2に接触したとしても、下肢の接触による誤検出を抑制することができる。
【0079】
なお、切欠部131a、131b、および、張出部121a、121bを上記実施の形態に組み合わせてもよい。
【0080】
(実施の形態の変形例2)
まず、
図7および
図8を用いて本変形例の電極構造体10bについて説明する。
【0081】
図7は、実施の形態の変形例2における電極構造体10bを示す平面図である。
図8は、実施の形態の変形例2における電極構造体10bがリム21に巻き付けられた状態の第1センサ電極12bと第2センサ電極13bとの位置関係を示す斜視図である。また、
図8では、図面が複雑になることを避けるため、引出配線131、所定の隙間等を省略している。
【0082】
本変形例では、第1センサ電極12bと第2センサ電極13bの構成が実施の形態と異なる点で実施の形態と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0083】
第1センサ電極12bおよび第2センサ電極13bは、基材11の長手方向に沿って長尺な帯状をなしている。
【0084】
第1センサ電極12bの両端部には、一部が切り欠かれた切欠部122a、122bが形成されている。具体的には、切欠部122aは基材11の一方端における6hから7hまでの位置に亘って形成され、切欠部122bは基材11の他方端における5hから6hまでの位置に亘って形成されている。
【0085】
第2センサ電極13bの両端部には、一部が切り欠かれた切欠部131a、131bが形成されている。具体的には、切欠部131aは基材11の一方端における6hから7hまでの位置に亘って形成され、切欠部131bは基材11の他方端における5hから6hまでの位置に亘って形成されている。
【0086】
第1センサ電極12bから第1ハーネス31が引き出されている箇所に対応するように、基材11には3hの位置において第1突出部11aが形成されている。第2センサ電極13bには、基材11の6hの位置における切欠部131bから、基材11における第1センサ電極12bの切欠部122bの傍を通過して、当該基材11の第1突出部11aに至る引出配線131が形成されている。第1突出部11aでは、第1センサ電極12bと第1ハーネス31の一端とが締結部材によって電気的に接続され、第2センサ電極13bの引出配線131と第2ハーネス32の一端とが締結部材によって電気的に接続されている。また、第1ハーネス31の他端および第2ハーネス32の他端は、ECU用のコネクタ3bに接続されている。
【0087】
このような構成の電極構造体10bをリム21に巻き付けた場合、ステアリングホイール2の下端部分である下肢対向部25には、第1センサ電極12bおよび第2センサ電極13bの両方が配置されないこととなる。このため、下肢対向部25を不感領域とすることができる。
【0088】
この場合、下肢対向部25に人の下肢が接触したとしても、第1センサ電極12bおよび第2センサ電極13bの検出感度が低く、第1センサ電極12bおよび第2センサ電極13bの両方がステアリングホイール2への下肢の接触を検出し難い。このため、不意に人の下肢がステアリングホイール2に接触したとしても、下肢の接触による誤検出を抑制することができる。
【0089】
なお、切欠部122a、122b、131a、131bを上記実施の形態に組み合わせてもよい。
【0090】
(実施の形態の変形例3)
まず、
図9を用いて本変形例の電極構造体10cについて説明する。
【0091】
図9は、実施の形態の変形例3における電極構造体10cを示す平面図である。
【0092】
本変形例では、基材11の長手方向に沿った不感体を形成している点で実施の形態と相違する。本変形例における他の構成は、特に明記しない場合は、実施の形態と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0093】
第1センサ電極12cおよび第2センサ電極13cは、基材11の長手方向に沿って長尺な帯状をなしている。
【0094】
第1センサ電極12cと基材11の一方側端縁との間には、第1センサ電極12cを配置していない第1不感体F1が形成されている。第2センサ電極13cと基材11の他方側端縁との間には、第2センサ電極13cを配置していない第2不感体F2が形成されている。
【0095】
第1不感体F1および第2不感体F2は、基材11の長手方向に沿って長尺である。第1不感体F1の幅は第1センサ電極12cの幅よりも小さく、第2不感体F2のそれぞれの幅は第2センサ電極13cの幅よりも小さい。また、第1不感体F1および第2不感体F2のそれぞれの幅は、引出配線131の幅よりも大きい。
【0096】
これは、引出配線131が配置されている部分を除き、第1不感体F1に第1センサ電極12cを配置すると、第1センサ電極12cと第2センサ電極13cとに感度差が生じることがある。このような第1センサ電極12cと第2センサ電極13cとの感度差ができるだけ生じないように、第1センサ電極12cと第2センサ電極13cとの大きさ(表面積)を同等にするためには、第1センサ電極12cの短手方向の幅を略均一にし、かつ、第2センサ電極13cの短手方向の幅も略均一にする。また、第1センサ電極12cの短手方向の幅と第2センサ電極13cの短手方向の幅とを同様にしてもよい。これにより、基材11に第1不感体F1および第2不感体F2を形成する。第1不感体F1および第2不感体F2は、電極構造体10cをリム21に巻き付けた場合、ステアリングホイール2の内周側に位置することとなる。
【0097】
このような構成の電極構造体10cをリム21に巻き付けた場合、ステアリングホイール2の場所による感度差を抑制することができるため、第1センサ電極12cの検出精度と第2センサ電極13cの検出精度とを同等にすることで、人の手によるステアリングホイール2に対する把持をより検出することができる。
【0098】
なお、
図10に示すように、本変形例を実施の形態の変形例1に適用してもよく、
図11に示すように、本変形例を実施の形態の変形例2に適用してもよい。
図10は、実施の形態の変形例3における別の電極構造体10dを示す平面図である。
図11は、実施の形態の変形例3におけるさらに別の電極構造体10eを示す平面図である。
【0099】
図10に示すように、第1センサ電極12dにおける短手方向の幅と第2センサ電極13dにおける短手方向の幅とが同等の長さとなっている。第1センサ電極12dと基材11の一方側端縁との間には、第1センサ電極12dを配置していない第1不感体F1が形成されている。第2センサ電極13dと基材11の一方側端縁との間には、第2センサ電極13dを配置していない第2不感体F2が形成されている。
【0100】
図11に示すように、第1センサ電極12eにおける短手方向の幅と第2センサ電極13eにおける短手方向の幅とが同等の長さとなっている。第1センサ電極12eと基材11の一方側端縁との間には、第1センサ電極12eを配置していない第1不感体F1が形成されている。第2センサ電極13eと基材11の一方側端縁との間には、第2センサ電極13eを配置していない第2不感体F2が形成されている。
【0101】
これら
図10および
図11の構成の場合、下肢の接触による誤検出の抑制と、人の手によるステアリングホイール2に対する把持を検出との両立をより図ることができる。
【0102】
(その他の変形例)
以上、本開示に係る電極構造体について、上記実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲に含まれてもよい。
【0103】
例えば、本開示に係る電極構造体10fにおいて、
図12に示す構成であってもよい。
図12は、その他変形例における電極構造体10fを示す平面図である。
図12に示すように、第2センサ電極13fから第2ハーネス32が引き出されている箇所に対応するように、基材11には3hの位置において第1突出部11aが形成されている。第2センサ電極13fには、基材11の他方端の6hの位置から、基材11の他方端における第1センサ電極12fの傍を通過して、当該基材11の第1突出部11aに至る引出配線131が形成されている。当該第1突出部11aでは、第1センサ電極12fと第1ハーネス31の一端とが締結部材によって電気的に接続され、第2センサ電極13fの引出配線131と第2ハーネス32の一端とが締結部材によって電気的に接続されている。このような構成にすることで、同一の場所(第1突出部11a)から第1ハーネス31と第2ハーネス32とを引き出し、第1ハーネス31と第2ハーネス32とを束ねて纏めることができる。このため、第1センサ電極12fおよび第2センサ電極13fを配置した基材11と、束ねた第1ハーネス31および第2ハーネス32と、ECU用のコネクタとでループ状にならない。この場合、第1ハーネス31および第2ハーネス32に中継コネクタが設けなくてもよくなる。また、引出配線131を6hの位置に配置すれば、電極構造体10fをリムに巻き付けた場合、引出配線131がステアリングホイールの下肢対向部に位置することで、人の手による把持頻度の低い位置に引出配線131を配置することができる。引出配線131は面積の小さく検出感度が低いため、人の手による把持頻度の低い位置に引出配線131を配置しても、第1センサ電極12fの検出精度の低下に影響を与え難くなる。このように、引出配線131を下肢対向部に配置することで、第1センサ電極12fの検出精度の低下を抑制することができる。
【0104】
また、
図12の構成を上記実施の形態および上記実施の形態の変形例1~3に組み合わせてもよい。
【0105】
なお、上記の実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態、および、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0106】
(付記)
以下に、上記実施の形態に基づいて説明した電極構造体の特徴を示す。
【0107】
<技術1>
車両に搭載されたステアリングホイールのリムに巻き付けられる電極構造体であって、
基材と、
前記基材の一方面に配置された第1センサ電極と、
前記基材の前記一方面において、前記第1センサ電極と並ぶように配置された第2センサ電極と、
前記第1センサ電極から引き出される第1ハーネスと、
前記第2センサ電極から引き出される第2ハーネスと、
前記第1ハーネスと前記第2ハーネスとが接続されるコネクタと、
雄コネクタと、前記雄コネクタと接続する雌コネクタとを有する中継コネクタとを備え、
前記中継コネクタは、前記第1ハーネスと前記第2ハーネスとのうちの少なくとも1つに設けられる
電極構造体。
【0108】
<技術2>
前記リムに前記基材が配置された状態において、
前記第1センサ電極は、前記リムにおける前記車両の後方側に配置され、
前記第2センサ電極は、前記リムにおける前記車両の前方側に配置される
技術1に記載の電極構造体。
【0109】
<技術3>
前記中継コネクタは、前記第1ハーネスに設けられる第1中継コネクタと、前記第2ハーネスに設けられる第2中継コネクタとを含み、
前記第1中継コネクタは、第1雄コネクタと、前記第1雄コネクタと接続する第1雌コネクタとを有し、
前記第2中継コネクタは、第2雄コネクタと、前記第2雄コネクタと接続する第2雌コネクタとを有する
技術1または2に記載の電極構造体。
【0110】
<技術4>
前記基材の他方面に配置されるグランド電極と、
前記グランド電極から引き出される第3ハーネスとを、さらに備え、
前記コネクタには、さらに、前記第3ハーネスが接続される
技術3に記載の電極構造体。
【0111】
<技術5>
前記第1ハーネスおよび前記第2ハーネスのうちの少なくとも一方の長さは、前記中継コネクタを前記ステアリングホイールの中央領域であって前記ステアリングホイールのシャフト近傍に配置可能な長さである
技術1から4のいずれか1つに記載の電極構造体。
【0112】
<技術6>
前記第1ハーネスは、前記第1センサ電極側の第1ハーネスと、前記コネクタ側の第1ハーネスとを含み、
前記第2ハーネスは、前記第2センサ電極側の第2ハーネスと、前記コネクタ側の第2ハーネスとを含み、
前記第1雄コネクタが前記第1センサ電極側の第1ハーネスに配置され、前記第1雌コネクタは前記コネクタ側の第1ハーネスに配置され、前記第2雌コネクタが前記第2センサ電極側の第2ハーネスに配置され、前記第2雄コネクタは前記コネクタ側の第2ハーネスに配置される、または、
前記第1雌コネクタが前記第1センサ電極側の第1ハーネスに配置され、前記第1雄コネクタは前記コネクタ側の第1ハーネスに配置され、前記第2雄コネクタが前記第2センサ電極側の第2ハーネスに配置され、前記第2雌コネクタは前記コネクタ側の第2ハーネスに配置される
技術3または4に記載の電極構造体。
【0113】
<技術7>
前記第1雄コネクタと前記第2雌コネクタとが接続可能な構成を有し、
前記第2雄コネクタと前記第1雌コネクタとが接続可能な構成を有する
技術6に記載の電極構造体。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本開示に係る電極構造体は、移動体のステアリングホイール等に適用可能である。
【符号の説明】
【0115】
1 車両
2 ステアリングホイール
3b コネクタ
10、10a、10b、10c、10d、10e、10f 電極構造体
11 基材
12、12a、12b、12c、12d、12e、12f 第1センサ電極
13、13a、13b、13c、13d、13e、13f 第2センサ電極
14 グランド電極
21 リム
24 シャフト
31 第1ハーネス
31a 第1センサ電極側の第1ハーネス
31b コネクタ側の第1ハーネス
32 第2ハーネス
32a コネクタ側の第2ハーネス
32b 第2センサ電極側の第2ハーネス
33 第3ハーネス
41 第1中継コネクタ(中継コネクタ)
42 第2中継コネクタ(中継コネクタ)
41a 第1雄コネクタ(雄コネクタ)
41b 第1雌コネクタ(雌コネクタ)
42a 第2雄コネクタ(雄コネクタ)
42b 第2雌コネクタ(雌コネクタ)
111 一方面
112 他方面