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特開2024-152403ケラチン繊維を再成形するための組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152403
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を再成形するための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/41 20060101AFI20241018BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K8/41
A61Q5/04
A61K8/49
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023066580
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロマン・フロー
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・マレ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC102
4C083AC531
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC642
4C083AC792
4C083AC852
4C083CC34
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE25
(57)【要約】
【課題】さほど高くないpH条件下でも、許容されるケラチン繊維再成形効率にて、一工程で、毛髪等のケラチン繊維を再成形することができる新規の技法を提供すること。
【解決手段】本発明は、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための組成物であって、(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、(a-4)環状アミン及びその塩、(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物からなる群から選択される(a)少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、アルキルアミノスルホン酸並びに式(I)及び(II)の化合物から選択される、成分(a)以外の、(b)少なくとも1種の化合物とを含み、pHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、組成物に関する。本発明は、さほど高くないpH条件下でも、許容されるケラチン繊維再成形効率にて、一段階で、毛髪等のケラチン繊維を再成形することができる新規の技法を提供することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪等のケラチン繊維を再成形するための組成物であって、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【化1】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
pHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、
組成物。
【請求項2】
(a-1)脂肪族モノアミンが、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a-2)脂肪族ジアミンが、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
(a-3)脂肪族ポリアミンが、スペルミジン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、ジエチレントリアミン、3,3-ジアミノジプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(a-4)環状アミンが、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン、4-アミノピリジン、イミダゾール、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミンが、2-(メチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール、(S)-(+)-2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール、1-アミノプロパン-2-オール、2-アミノ-1-ブタノール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、ヒドラジノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(a-6)化合物が、グリシンメチルエステル、尿素、ビウレット、チオ尿素、グアニジン、アミノグアニジン、N-(4-アミノブチル)グアニジン、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の(a)アミノ官能性有機化合物の量が、0.001~1mol/100g、好ましくは0.005~0.5mol/100g、より好ましくは0.01~0.1mol/100gであり、ここで、100gが組成物の総質量である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(b)化合物が、アルキルアミノスルホン酸、例えば、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸;アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、β-アラニン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシン;グリシルグリシン等のアミノ酸のオリゴマー;アミノスルホン酸、例えば、タウリン;並びにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
(b)化合物が、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物中の(b)化合物の量が、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(c)少なくとも1種の一価アルコール、好ましくはC2~4脂肪族一価アルコール、より好ましくはエタノールを更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
アンモニア若しくはチオール化合物を一切含まない、又は組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のアンモニア若しくはチオール化合物を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
還元剤若しくは酸化剤を一切含まない、又は組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の還元剤若しくは酸化剤を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
毛髪等のケラチン繊維を再成形する方法であって、
(i)ケラチン繊維を再成形するための組成物をケラチン繊維上に適用する工程と、
(ii)60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上の温度でケラチン繊維を再成形する工程と、
(iii)任意選択でケラチン繊維をすすぐ且つ/又は乾燥させる工程と
を含み、
ケラチン繊維を再成形するための組成物が、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【化2】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
組成物のpHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪等のケラチン繊維の再成形に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪等のケラチン繊維を好ましくは永久的に再成形するために、2つの技法が使用されてきた。それらは、ケラチン繊維中に存在するジスルフィド共有結合(シスチン)の切断に基づく。
【0003】
第1の技法は、第1の段階において、このジスルフィド結合の開裂を、還元剤を含有する組成物を使用して実施する工程と、次いで毛髪を好ましくはすすいだ後、第2の段階において、頭髪に所望の形状を付与するように、予めローラー等で張力下に置いておいた又は他の手段により成形した若しくは矯正した毛髪に、定着液としても知られる酸化組成物を適用することによって、前記ジスルフィド結合を再構成する工程と、を含む。この技法は、毛髪をウェーブにするか、又は縮れ毛を伸ばす、巻きを取る、若しくは矯正するかのいずれかを可能にする。
【0004】
第2の技法は、水酸化物のファミリーに属する塩基を含有する組成物を使用して「ランチオナイゼーション(lanthionization)」の操作を実施する工程を含む。これは、ジスルフィド結合(-CH2-S-S-CH2-)の、ランチオニン結合(-CH2-S-CH2-)による置き換えにつながる。このランチオナイゼーション操作は、2つの逐次化学反応を要する。
【0005】
第1の反応は、水酸化物イオンによってもたらされるシスチン上のベータ脱離からなり、この結合の切断及びデヒドロアラニンの形成をもたらす。
【0006】
【化1】
【0007】
第2の反応は、デヒドロアラニンとチオール基との反応である。具体的には、形成されたデヒドロアラニンの二重結合は、反応性二重結合である。これが、放出されたシステイン残基のチオール基と反応して、ランチオニン架橋又は結合又は残基と称する新しい結合を形成することができる。
【0008】
【化2】
【0009】
還元剤を使用する第1の技法と比較して、このランチオナイゼーション技法は、シスチンの開裂及びランチオニン架橋の形成が一工程のみで且つ不可逆的に進行するため、定着工程を必要としない。そのため、これは単一工程で実施され、毛髪をウェーブにするか、又は縮れ毛を伸ばす、巻きを取る若しくは矯正するかのいずれかを可能にする。しかしながら、これは主に、天然の縮れ毛を伸ばすために使用される。
【0010】
第1の技法の場合、永久的ウェーブ形成の操作又は縮れ毛を伸ばす操作の第1の工程に一般に使用される還元剤組成物は、チオール、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩を還元剤として含有する。チオールの中でも、一般に使用されるものは、チオグリコール酸、システアミン、モノチオグリコール酸グリセリル、チオ乳酸、ブチロラクトンチオール及びシステインである。特にチオグリコール酸アンモニウムの形態のチオグリコール酸が、アルカリ性のpHでケラチンのジスルフィド結合を還元する上で特に効率的であり、これは、永久的ウェーブ形成(「ヘアウェーブ形成」)において最も頻繁に使用される製品を構成する。しかしながら、チオールは不快臭を放出する。不快臭を放出し、ある程度の有効な香料を使用して臭いを消す必要があるという欠点以外にも、アルカリ性のpHでチオールを使用すると、ケラチン繊維の分解、最も具体的には人工着色の減損ももたらす。縮れ毛を伸ばすために、亜硫酸塩又は亜硫酸水素塩が主に使用される。これらは、チオールと同様の欠点を有する。主に過酸化水素又は臭素酸ナトリウムで構成される定着工程の利用もまた、開裂されたジスルフィド結合を過酸化することにより、更なる毛髪の損傷につながりうる。結果として生じるシステイン酸部分の生成は、新しい形状を作るとき、ジスルフィド結合の完全な回復を制限する。
【0011】
第2の技法の場合、ランチオナイゼーションを実施するために一般に使用される組成物は、塩基として、水酸化ナトリウム、水酸化グアニジン又は水酸化リチウム等の水酸化物を含有する。水酸化ナトリウムが、最も頻繁に使用される作用剤として存続している。現在では、水酸化グアニジンが、多くの組成物にとって好ましい化合物である。これらの2つの水酸化物、すなわち水酸化ナトリウム及び水酸化グアニジンが、天然の縮れ毛を伸ばすために又は巻きを取るために使用される2つの主な作用剤である。これらは、チオグリコール酸アンモニウム及び亜硫酸塩に勝る幾つかの利点があり、具体的には、不快臭がなく、必要とされる操作工程が1つのみである(処置時間がより短縮される)という事実を有し、毛髪の再成形の耐久性及び効率が非常に高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】欧州特許出願第0354835号
【特許文献2】欧州特許出願第0368763号
【特許文献3】欧州特許出願第0432000号
【特許文献4】欧州特許出願第0514282号
【特許文献5】仏国特許出願第2679448号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
第2の技法は、多数のヒドロキシルイオン(OH-)を存在させるために非常に高いpH(12~14)を必要とする。pH12未満では、水酸化ナトリウム(pKa=15.7)等の水酸化物から多数のヒドロキシルイオンを生成させることが難しく、ヒドロキシルイオンの寿命は非常に短くなりうる。そのため、毛髪深部における反応が制限され得、再成形の性能を低減するおそれがある。
【0014】
その一方で、第2の技法が非常に高いpHで実施された場合、上記の欠点は克服されうる。しかしながら、非常に高いpHは、ケラチン繊維を侵襲して破壊する傾向にあるため、ケラチン繊維にとって好ましくない。
【0015】
本発明の目的は、さほど高くないpH条件下でも、許容されるケラチン繊維再成形効率にて、一工程で、毛髪等のケラチン繊維を再成形することができる新規の技法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の上記の目的は、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための組成物であって、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0017】
【化3】
【0018】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換され、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
該組成物のpHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、組成物によって達成することができる。
【0019】
(a-1)脂肪族モノアミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0020】
(a-2)脂肪族ジアミンは、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0021】
(a-3)脂肪族ポリアミンは、スペルミジン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、ジエチレントリアミン、3,3-ジアミノジプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0022】
(a-4)環状アミンは、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン、4-アミノピリジン、イミダゾール、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0023】
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミンは、2-(メチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール、(S)-(+)-2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール、1-アミノプロパン-2-オール、2-アミノ-1-ブタノール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、ヒドラジノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0024】
(a-6)化合物は、グリシンメチルエステル、尿素、ビウレット、チオ尿素、グアニジン、アミノグアニジン、N-(4-アミノブチルグアニジン)、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0025】
本発明による組成物中の(a)アミノ官能性有機化合物の量は、0.001~1mol/100g、好ましくは0.005~0.5mol/100g、より好ましくは0.01~0.1mol/100gであってもよく、ここで、100gは組成物の総質量である。
【0026】
(b)化合物は、アルキルアミノスルホン酸、例えば、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸;アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、β-アラニン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシン;グリシルグリシン等のアミノ酸のオリゴマー;アミノスルホン酸、例えば、タウリン;並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0027】
(b)化合物は、好ましくは2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0028】
本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってもよい。
【0029】
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の一価アルコール、好ましくはC2~4脂肪族一価アルコール、より好ましくはエタノールを更に含んでもよい。
【0030】
本発明による組成物は、アンモニア若しくはチオール化合物を一切含まなくてもよい、又は組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満のアンモニア若しくはチオール化合物を含んでもよい。
【0031】
本発明による組成物は、還元剤若しくは酸化剤を一切含まなくてもよい、又は組成物の総質量に対して1質量%未満、好ましくは0.5質量%未満、より好ましくは0.1質量%未満の還元剤若しくは酸化剤を含んでもよい。
【0032】
本発明はまた、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための方法であって、
(i)ケラチン繊維を再成形するための組成物をケラチン繊維上に適用する工程と、
(ii)60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上の温度でケラチン繊維を再成形する工程と、
(iii)任意選択でケラチン繊維をすすぐ且つ/又は乾燥させる工程と
を含み、
ケラチン繊維を再成形するための組成物が、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0033】
【化4】
【0034】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
該組成物のpHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
鋭意検討の結果、本発明者らは、さほど高くないpH条件下でも、許容されるケラチン繊維再成形効率で、一工程で、毛髪等のケラチン繊維を再成形することができる新規の技法を提供することが可能であることを発見した。
【0036】
そのため、本発明の態様の1つは、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための組成物であって、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0037】
【化5】
【0038】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
該組成物のpHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、組成物である。
【0039】
本発明の別の態様は、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための方法であって、
(i)ケラチン繊維を再成形するための組成物をケラチン繊維上に適用する工程と、
(ii)60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上の温度でケラチン繊維を再成形する工程と、
(iii)任意選択でケラチン繊維をすすぐ且つ/又は乾燥させる工程と
を含み、
ケラチン繊維を再成形するための組成物が、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0040】
【化6】
【0041】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
該組成物のpHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、方法である。
【0042】
本発明による組成物及び方法は、さほど高くないpH条件(例えば、12.0未満)下でも、許容されるケラチン繊維再成形効率にて、一工程で、毛髪等のケラチン繊維を再成形することができる。
【0043】
本発明による組成物及び方法は、毛髪等のケラチン繊維を再成形又は変形させるために使用することができる。再成形は、カール形成又はウェーブ形成のみだけでなく、矯正も含む。
【0044】
本発明による組成物及び方法は、少なくとも、ケラチン繊維をカール形成若しくはウェーブ形成する場合、許容される再成形効率、例えば許容されるカール数、カール形状、及びウェーブ強度の、カール形成若しくはウェーブ形成されたケラチン繊維をもたらすことができる、又はケラチン繊維を矯正する場合、許容されるストレート形状、カール若しくはウェーブの減少、及びケラチン繊維のボリュームの減少をもたらすことができる。
【0045】
好ましい実施形態において、本発明による組成物及び方法は、ケラチン繊維をカール形成若しくはウェーブ形成する場合、十分な再成形効率、例えば良好なカール数、カール形状、及びウェーブ強度の、カール形成若しくはウェーブ形成されたケラチン繊維をもたらすことができる、又はケラチン繊維を矯正する場合、良好なストレート形状、カール若しくはウェーブの減少、及びケラチン繊維のボリュームの減少をもたらすことができる。
【0046】
本発明による組成物及び方法が、さほど高くないpH条件下で使用されるため、毛髪等のケラチン繊維への損傷を低減することができる。したがって、本発明によって処置されたケラチン繊維は、乾燥及び/又は濡れ条件下で、より良好な触感、例えば滑らかな触感をもたらすことができる。加えて、本発明で処置されたケラチン繊維は、容易に扱うことができる。また、本発明によって処置されたケラチン繊維は、従来の再成形技術で処置されたものより強力でありうる。
【0047】
本発明による組成物及び方法は、一工程で、すなわち還元及び酸化工程を実施せずに、毛髪等のケラチン繊維を再成形することができる。したがって、これらは、良好な有用性を有し、例えば、処理時間が短く、且つ硫黄含有化合物又はアンモニアを使用しない場合は悪臭がない。
【0048】
以下、本発明を、詳細に説明する。
【0049】
[組成物]
本発明による、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための組成物は、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0050】
【化7】
【0051】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
該組成物のpHは、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である。
【0052】
(第1の化合物)
本発明による組成物は、第1の化合物として、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物を含む。
【0053】
2種以上の(a)アミノ官能性有機化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(a)アミノ官能性有機化合物、又は異なるタイプの(a)アミノ官能性有機化合物の組合せが使用されてもよい。
【0054】
(a)アミノ官能性有機化合物は、本発明による組成物中で唯一のアルカリ剤であってもよい。
【0055】
(a)アミノ官能性有機化合物は、4以上、好ましくは7以上、より好ましくは9以上の(25℃での)pKaを有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、14以下、好ましくは13以下、より好ましくは12以下の(25℃での)pKaを有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、4~14、好ましくは7~13、より好ましくは9~12の(25℃での)pKaを有してよい。
【0056】
(a)アミノ官能性有機化合物は、30以上、好ましくは40以上、より好ましくは50以上のモル質量(g/mol)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、250以下、好ましくは200以下、より好ましくは150以下のモル質量(g/mol)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、30~250、好ましくは40~200、より好ましくは50~150のモル質量(g/mol)を有してよい。
【0057】
(a)アミノ官能性有機化合物は、-3以上、好ましくは-2.5以上、より好ましくは-2以上の、pH10.6での親水性(log d)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、1.5以下、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.5以下の、pH10.6での親水性(log d)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、-3~1.5、好ましくは-2.5~1.0、より好ましくは-2~0.5の、pH10.6での親水性(log d)を有してよい。
【0058】
(a)アミノ官能性有機化合物は、10以上、好ましくは100以上、より好ましくは500以上の、pH10.6での水溶性(mg/mL)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、5,000以下、好ましくは3,000以下、より好ましくは1,500以下の、pH10.6での水溶性(mg/mL)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、10~5,000、好ましくは100~3,000、より好ましくは500~1,500の、pH10.6での水溶性(mg/mL)を有してよい。
【0059】
(a)アミノ官能性有機化合物は、1以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の分極率(Å3)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下の分極率(Å3)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、1~25、好ましくは3~20、より好ましくは5~15の分極率(Å3)を有してよい。
【0060】
(a)アミノ官能性有機化合物は、10以上、好ましくは11以上、より好ましくは12以上の、H2O中でのMayr求核性(N)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、18以下、好ましくは16以下、より好ましくは14以下の、H2O中でのMayr求核性(N)を有してよい。(a)アミノ官能性有機化合物は、10~18、好ましくは11~16、より好ましくは12~14の、H2O中でのMayr求核性(N)を有してよい。
【0061】
(a-1)脂肪族モノアミンは、1つのアミノ官能基及び少なくとも1つの脂肪族基を有する有機化合物である。
【0062】
(a-1)脂肪族モノアミンは、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基から選択されるアミノ官能基を有する。
【0063】
(a-1)脂肪族モノアミンは、少なくとも1つの、直鎖状又は分枝状のアルキル基を有することが好ましい。この場合、(a-1)脂肪族モノアミンは、アルキルモノアミンと称してもよい。アルキル基の数は、1、2又は3つであってもよい。アルキル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-1)脂肪族モノアミンは、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のC1~C6アルキル基を有してもよい。プロピル基は、n-プロピル基又はイソプロピル基であってもよい。ブチル基は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基又はtert-ブチル基であってもよい。
【0064】
(a-1)脂肪族モノアミンは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、tert-ブチルアミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0065】
(a-1)脂肪族モノアミンの塩は限定されず、塩酸塩及び硫酸塩等の無機酸塩、又はギ酸塩及び酢酸塩等の有機酸塩であってもよい。
【0066】
(a-2)脂肪族ジアミンは、2つのアミノ官能基及び少なくとも1つの脂肪族基を有する有機化合物である。
【0067】
(a-2)脂肪族ジアミンは、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基から選択されるアミノ官能基を有する。
【0068】
(a-2)脂肪族ジアミンは、少なくとも1つの、直鎖状又は分枝状のアルキレン基を有することが好ましい。この場合、(a-2)脂肪族ジアミンは、アルキレンジアミンと称してもよい。アルキレンの数は、1つ又は2つであってもよい。アルキレン基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-2)脂肪族ジアミンは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基及びヘキシレン基等のC1~C6アルキレン基を有してもよい。プロピレン基は、n-プロピレン基又はイソプロピレン基であってもよい。ブチレン基は、n-ブチレン基又はイソブチレン基であってもよい。ペンチレン基は、n-ペンチレン基又はネオペンチレン基であってもよい。
【0069】
(a-2)脂肪族ジアミンは、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン(プトレッシン)、1,6-ジアミノヘキサン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0070】
(a-2)脂肪族ジアミンの塩は限定されず、塩酸塩及び硫酸塩等の無機酸塩、又はギ酸塩及び酢酸塩等の有機酸塩であってもよい。
【0071】
(a-3)脂肪族ポリアミンは、3つ以上のアミノ官能基及び少なくとも1つの脂肪族基を有する有機化合物である。
【0072】
(a-3)脂肪族ポリアミンは、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基から選択されるアミノ官能基を有する。
【0073】
(a-3)脂肪族ポリアミンは、少なくとも1つの、直鎖状又は分枝状のアルキレン基を有することが好ましい。この場合、(a-3)脂肪族ポリアミンは、アルキレンポリアミンと称してもよい。アルキレンの数は、1~3つであってもよい。アルキレン基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-3)脂肪族ポリアミンは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基及びヘキシレン基等のC1~C6アルキレン基を有してもよい。プロピレン基は、n-プロピレン基又はイソプロピレン基であってもよい。ブチレン基は、n-ブチレン基又はイソブチレン基であってもよい。ペンチレン基は、n-ペンチレン基又はネオペンチレン基であってもよい。
【0074】
(a-3)脂肪族ポリアミンは、ポリリジン等の繰り返し単位を有するポリマーでないことが好ましい場合がある。
【0075】
(a-3)脂肪族ポリアミンは、スペルミジン、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン(スペルミン)、ジエチレントリアミン、3,3-ジアミノジプロピルアミン(ノルスペルミジン)、トリス(2-アミノエチル)アミン(トレン)、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0076】
(a-3)脂肪族ポリアミンの塩は限定されず、塩酸塩及び硫酸塩等の無機酸塩、又はギ酸塩及び酢酸塩等の有機酸塩であってもよい。
【0077】
(a-4)環状アミンは、少なくとも1つのアミノ官能基及び脂環式であってもよい少なくとも1つの環構造を有する有機化合物である。
【0078】
(a-4)環状アミンは、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基から選択されるアミノ官能基を有する。
【0079】
(a-4)環状アミンは、脂環式5員環又は6員環を有することが好ましい。
【0080】
(a-4)環状アミンの環構造は、少なくとも1つの置換基を有してもよい。置換基の数は、1、2又は3つであってもよい。置換基は、アミノ基、ハロゲン原子(Cl及びBr等)、及び直鎖状又は分枝状のアルキル基から選択されてもよい。アルキル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-4)環状アミンは、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のC1~C6アルキル基を有してもよい。プロピル基は、n-プロピル基又はイソプロピル基であってもよい。ブチル基は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基又はtert-ブチル基であってもよい。
【0081】
(a-4)環状アミンは、シクロヘキシルアミン、ピペリジン、アニリン、ピリジン、4-アミノピリジン、イミダゾール、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0082】
(a-4)環状アミンの塩は限定されず、塩酸塩及び硫酸塩等の無機酸塩、又はギ酸塩及び酢酸塩等の有機酸塩であってもよい。
【0083】
(a-5)ヒドロキシルアミンは、本明細書では、HO-NH2又は少なくとも1つのアミノ官能基及び少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機化合物(モノエタノールアミンを除く)である。アミノ官能基の数は、1、2又は3つであってもよい。ヒドロキシル基の数は、1、2又は3つであってもよい。
【0084】
(a-5)ヒドロキシルアミンは、第一級アミノ基、第二級アミノ基及び第三級アミノ基から選択されるアミノ官能基を有する。
【0085】
(a-5)ヒドロキシルアミンは、少なくとも1つの、直鎖状又は分枝状のアルキル基又はアルキレン基を有してもよい。アルキル基又はアルキレン基の数は、1、2又は3つであってもよい。
【0086】
アルキル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-5)ヒドロキシルアミンは、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のC1~C6アルキル基を有してもよい。プロピル基は、n-プロピル基又はイソプロピル基であってもよい。ブチル基は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基又はtert-ブチル基であってもよい。
【0087】
アルキレン基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-5)ヒドロキシルアミンは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基及びヘキシレン基等のC1~C6アルキレン基を有してもよい。プロピレン基は、n-プロピレン基又はイソプロピレン基であってもよい。ブチレン基は、n-ブチレン基又はイソブチレン基であってもよい。ペンチレン基は、n-ペンチレン基又はネオペンチレン基であってもよい。
【0088】
(a-5)ヒドロキシルアミンは、脂環式であってもよい少なくとも1つの環構造を有してもよい。環構造は、脂環式5員環又は6員環であることが好ましい。環構造は、少なくとも1つの置換基を有してもよい。置換基の数は、1、2又は3つであってもよい。置換基は、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(Cl及びBr等)、及び直鎖状又は分枝状のアルキル基から選択されてもよい。アルキル基は、1~10個の炭素原子、好ましくは1~8個の炭素原子、より好ましくは1~6個の炭素原子を有しうる。(a-5)ヒドロキシルアミンは、メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等のC1~C6アルキル基を有してもよい。プロピル基は、n-プロピル基又はイソプロピル基であってもよい。ブチル基は、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基又はtert-ブチル基であってもよい。
【0089】
(a-5)ヒドロキシルアミンは、2-(メチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、ヒドロキシルアミン、(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール(プロリノール)、(S)-(+)-2-アミノ-3-メチル-1-ブタノール(バリノール)、1-アミノプロパン-2-オール、2-アミノ-1-ブタノール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール(セリノール)、ヒドラジノエタノール、3-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0090】
(a-5)ヒドロキシルアミンの塩は限定されず、塩酸塩及び硫酸塩等の無機酸塩、又はギ酸塩及び酢酸塩等の有機酸塩であってもよい。
【0091】
(a)アミノ官能性有機化合物は、(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物から選択されてもよい。
【0092】
アミノ酸エステルは、アミノ酸の、メチル又はエチルエステル等のアルキルエステルであってもよい。
【0093】
(a-6)化合物は、グリシンメチルエステル、尿素、ビウレット、チオ尿素、グアニジン、アミノグアニジン(ピマゲジン)、N-(4-アミノブチル)グアニジン(アグマチン)、ホルムアミド(カルバモイル)、N-メチルホルムアミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0094】
(a-6)化合物の塩は限定されず、塩酸塩及び硫酸塩等の無機酸塩、又はギ酸塩及び酢酸塩等の有機酸塩であってもよい。
【0095】
本発明による組成物中の(a)アミノ官能性有機化合物の量は、0.001mol/100g以上、好ましくは0.005mol/100g以上、より好ましくは0.01mol/100g以上であってもよく、ここで、100gは組成物の総質量である。
【0096】
その一方で、本発明による組成物中の(a)アミノ官能性有機化合物の量は、1mol/100g以下、好ましくは0.5mol/100g以下、より好ましくは0.1mol/100g以下であってもよく、ここで、100gは組成物の総質量である。
【0097】
本発明による組成物中の(a)アミノ官能性有機化合物の量は、0.001~1mol/100g、好ましくは0.005~0.5mol/100g、より好ましくは0.01~0.1mol/100gであってもよく、ここで、100gは組成物の総質量である。
【0098】
(第2の化合物)
本発明による組成物は、第2の化合物として、(b)アルキルアミノスルホン酸、並びに上記の式(I)及び(II)の化合物から選択される少なくとも1種の化合物を、ケラチン繊維を再成形するための活性成分として含む。2種以上の(b)化合物を組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプの(b)化合物、又は異なるタイプの(b)化合物の組合せが使用されてもよい。
【0099】
(b)化合物は、(a)アミノ官能性有機化合物とは異なる。
【0100】
(b)化合物は、本発明による組成物のアルカリ性条件を効果的に維持するための緩衝剤として機能することができる。
【0101】
(b)化合物は不揮発性であることが好ましい。用語「不揮発性」が、(b)化合物が、一般に室温で0.02mmHg(2.66Pa)未満の蒸気圧を有することを意味することが想起されるべきである。
【0102】
アルキルアミノスルホン酸は、好ましくは、イミノ基(-NH-)及びスルホン酸部分に結合している、C1~C20アルキル基、好ましくはC5~C16シクロアルキル基、より好ましくはC6~C12シクロアルキル基を有することができる。アルキルアミノスルホン酸は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0103】
上記の式(I)及び(II)の(b)化合物は、それらの非イオン化形態の(I)若しくは(II)であってもよく、又はそれらのイオン化若しくはベタイン形態の(I')若しくは(II')であってもよい:
【0104】
【化8】
【0105】
[式中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]。
【0106】
C1~C5アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基及びペンチル基を挙げることができる。メチル基及びエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0107】
アミノ基としては、-NH2、スルホニルアミノ基等の-NH2を含む基、並びにヒドロキシアミノ基及びC1~C5アルキルアミノ基等の-NH-R'(式中、R'は、ヒドロキシル基又は上に挙げたC1~C5アルキル基を示す)を含む基を挙げることができる。用語「アミノ」基が、本明細書において、尿素基の一部を意味するのではないことが留意されるべきである。アミノ基として、-NH2が好ましい。
【0108】
C6~C18芳香族基としては、フェニル基等の一価のC6~C18アリール基、並びにヒドロキシフェニル基及びアミノフェニル基等の置換フェニル基、並びにトリル基等の一価のC7~C18アラルキル基を挙げることができる。
【0109】
複素環式基としては、一価の、飽和又は不飽和の、置換又は非置換の複素環式基、例えば置換又は非置換のピロリル基、置換又は非置換のピロリジニル基、置換又は非置換のピリジル基、置換又は非置換のピペリドノ基、置換又は非置換のピペリジニル基、置換又は非置換のモルホリノ基、置換又は非置換のモルホリニル基、置換又は非置換のフリル基、及び置換又は非置換のインドリル基、例えば3-インドリル基を挙げることができる。
【0110】
上記の式(I)及び(II)の化合物は、それぞれ、アミノ酸及びアミノスルホン酸に相当する。
【0111】
(b)化合物は、「中性の」、「塩基性の」又は「酸性の」アミノ酸又はアミノスルホン酸から選択されてもよい。用語「中性の」は、室温(25℃)で、水中で、両端を含めて5から7の間のpH値をもたらすことができるアミノ酸又はアミノスルホン酸を意味すると意図される。用語「塩基性の」は、室温で、水中で、8超のpH値をもたらすことができるアミノ酸又はアミノスルホン酸を意味すると意図される。用語「酸性の」は、室温で、水中で、6未満のpH値をもたらすことができるアミノ酸又はアミノスルホン酸を意味すると意図される。
【0112】
好ましくは、アミノ酸又はアミノスルホン酸は、酸基の数以下の数のアミノ基を含んでもよい。
【0113】
(b)化合物は、アルキルアミノスルホン酸,例えば、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸;アミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、アスパラギン、グリシン、アラニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、フェニルアラニン、β-アラニン、イソロイシン、ロイシン、プロリン、グルタミン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン及びチロシン;グリシルグリシン等のアミノ酸のオリゴマー;アミノスルホン酸、例えば、タウリン;並びにこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0114】
(b)化合物は、2-(シクロヘキシルアミノ)エタンスルホン酸、グリシン、アラニン、タウリン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0115】
本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であってもよい。
【0116】
その一方で、本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でありうる。
【0117】
本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して、1質量%~20質量%、好ましくは3質量%~15質量%、より好ましくは5質量%~10質量%であってもよい。
【0118】
(一価アルコール)
本発明による組成物は、(c)少なくとも1種の一価アルコールを更に含んでもよい。2種以上のそのようなアルコールを組み合わせて使用してもよい。したがって、単一のタイプのそのようなアルコール、又は異なるタイプのそのようなアルコールの組合せを使用することができる。
【0119】
(c)一価アルコールは、好ましくは、大気圧(760mmHg又は105Pa)下、室温、例えば25℃で液体の形態である。
【0120】
用語「一価アルコール」は、本明細書では、1つのヒドロキシ基を有するアルコールを意味する。
【0121】
(c)一価アルコールは、非芳香族(脂肪族)であっても芳香族であってもよい。
【0122】
非芳香族一価アルコールは、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の低級脂肪族一価アルコール、より好ましくはC2~C6脂肪族一価アルコール、更により好ましくは飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC2~C5脂肪族一価アルコール、最も好ましくは飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC2~C4脂肪族一価アルコールである。好ましい非芳香族一価アルコールは、エタノール、イソプロパノール、及びこれらの混合物である。
【0123】
芳香族一価アルコールは、好ましくは、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、ジフェニルエタノール、ケイ皮アルコール、トリプトフォール、3-ニトロベンジルアルコール、ベラトリルアルコール、ベンゾイン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0124】
(c)一価アルコールは、脂肪族アルコール又は高級アルコールでないことが好ましい。
【0125】
(c)一価アルコールは、低級脂肪族アルコール、芳香族アルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくは、エタノール、ベンジルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0126】
本発明による組成物中の(c)一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上であってもよい。
【0127】
その一方で、本発明による組成物中の(c)一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下でありうる。
【0128】
本発明による組成物中の(c)一価アルコールの量は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは1質量%~10質量%の範囲であってもよい。
【0129】
(水)
本発明による組成物は、(d)水を更に含んでよい。
【0130】
本発明による組成物が水を含む(すなわち、無水でない)ことが好ましい。
【0131】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上でありうる。
【0132】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、98質量%以下、好ましくは94質量%以下、より好ましくは90質量%以下でありうる。
【0133】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して、50質量%~98質量%、好ましくは60質量%~94質量%、より好ましくは70質量%~90質量%でありうる。
【0134】
(pH)
本発明による組成物のpHは、25℃で測定されて7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である。
【0135】
本発明による組成物のpHは、以下の平衡状態:
【0136】
【化9】
【0137】
のpKaに等しいpHに対して±2以内であることが好ましい。
【0138】
(アンモニア及びチオール化合物)
本発明による組成物が、アンモニア又はチオール化合物を非含有であることが好ましい。用語「アンモニア又はチオール化合物を非含有である」は、本発明による組成物が、実質的な量のアンモニア又はチオール化合物を含まないことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下のアンモニア又はチオール化合物を含み、特に、アンモニア又はチオール化合物を含まない。
【0139】
アンモニア及び/又はチオール化合物が極めて少量である又は存在しないために、本発明による組成物の使用中の悪臭を、低減又は防止できる。
【0140】
チオール化合物は、本明細書では、少なくとも1つのチオール(-SH)基を有する化合物を意味する。
【0141】
チオール化合物は、還元剤であってもよい。チオール還元剤は、チオグリコール酸及びその誘導体、とりわけ、モノチオグリコール酸グリセロール又はモノチオグリコール酸グリコール等のそのエステル;チオ乳酸及びその誘導体、とりわけ、モノチオ乳酸グリセロール等のそのエステル;3-メルカプトプロピオン酸及びその誘導体、とりわけ、3-メルカプトプロピオン酸グリセロール及び3-メルカプトプロピオン酸エチレングリコール等のそのエステル;システアミン及びその誘導体、とりわけ、N-アセチルシステアミン及びN-プロピオニルシステアミン等のそのC1~C4アシル誘導体;モノチオグリセロール及びその誘導体、とりわけエステル;チオグリセリン及びその誘導体、とりわけs-アルキル誘導体、並びにそれらの塩;並びにブチロラクトンチオールからなる群から選択されてもよい。
【0142】
上記の塩としては、例えば、アンモニウム塩;第一級、第二級又は第三級アミン塩;アルカリ金属塩、及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。第一級、第二級又は第三級アミンとして、例えば、それぞれ、ジイソプロパノールアミン又はトリエタノールアミンを挙げることができる。
【0143】
チオール還元剤の他の例には、糖N-メルカプトアルキルアミド[N-(メルカプト-2-エチル)グルコンアミド、β-メルカプトプロピオン酸、及びそれらの誘導体等];チオリンゴ酸;パンテテイン;N-(メルカプトアルキル)ω-ヒドロキシアルキルアミド(欧州特許出願第0354835号に記載されているもの等)及びN-モノ-又はN,N-ジアルキルメルカプト4-ブチルアミド(欧州特許出願第0368763号に記載されているもの等);アミノメルカプトアルキルアミド(欧州特許出願第0432000号に記載されているもの等)及びアルキルアミノメルカプトアルキルアミド(欧州特許出願第0514282号に記載されているもの等);(2/3)ヒドロキシ-2プロピルチオグリコレート;並びに仏国特許出願第2679448号に記載されているヒドロキシ-2メチル-1エチルチオグリコレート系混合物(67/33)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0144】
(還元剤及び酸化剤)
本発明による組成物は還元剤を含んでもよいが、しかしながら、本発明による組成物が含む還元剤又は酸化剤が減じられた量であること、好ましくは還元剤又は酸化剤を非含有であることが好ましい。
【0145】
用語「還元剤又は酸化剤を非含有である」は、本発明による組成物が、実質的な量の還元剤又は酸化剤を含まないことを意味する。好ましくは、本発明による組成物は、1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更により好ましくは0.1質量%以下の還元剤又は酸化剤を含み、特に還元剤又は酸化剤を含まない。
【0146】
還元剤は、チオール還元剤又は非チオール還元剤であってよい。チオール還元剤は、上に記載したものである。
【0147】
非チオール還元剤は、本明細書では、チオール基を含まない還元剤を意味する。非チオール還元剤は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、スルフィネート、ホスフィン、糖、リダクトン及び水素化物からなる群から選択されてもよい。非チオール還元剤は、亜硫酸アンモニウム及び亜硫酸水素アンモニウム、並びに金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属の亜硫酸塩及び亜硫酸水素塩、より好ましくは亜硫酸ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウム、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムから選択されてもよい。
【0148】
酸化剤は、過酸化水素、アルカリ金属臭素酸塩、フェリシアン化物、過酸素化塩、及び加水分解によって過酸化水素を生成することができる化合物から選択されてもよい。例えば、酸化剤は、過酸化水素水溶液、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、並びに過ホウ酸塩及び過硫酸塩等の過酸塩から選択することができる。
【0149】
本発明の一実施形態によれば、毛髪等のケラチン繊維を矯正するために、還元剤も酸化剤も、全く又はほとんど使用されないことがある。したがって、従来の、ケラチン繊維の還元/酸化を必要とする、ケラチン繊維のための矯正法に比べると、本発明は、ケラチン繊維を矯正するのに必要とされる時間を減らすことができる。更に、本発明の一実施形態は、還元剤又は酸化剤を全く又はほとんど使用しないことがあり、したがって、ケラチン繊維への損傷が、還元剤又は酸化剤の使用を必要とする従来の方法と比べ、低減されうる。
【0150】
(その他の成分)
本発明による組成物は、少なくとも1種の追加の任意選択の成分を含んでもよい。
【0151】
例えば、本発明による組成物は、アセトアミドアクリル酸、イタコン酸及びメチルビニルケトン等のアルケン含有化合物を含んでもよい。
【0152】
追加の任意選択の成分の量は限定されないが、組成物の総質量に対して、0.001質量%~20質量%、0.01質量%~10質量%、又は0.1質量%~1質量%であってもよい。
【0153】
追加の任意選択の成分は、塩基;酸;親水性又は疎水性増粘剤;アニオン性、非イオン性又は両性界面活性剤;アニオン性、非イオン性又は両性ポリマー;油;ペプチド及びその誘導体;タンパク質水解質;膨潤剤及び浸透剤;脱毛に有効な作用剤;ふけ防止剤;懸濁剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;日焼け止め剤;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、安定剤;並びにこれらの混合物からなる群から選択してもよい。
【0154】
本発明による組成物は、従来使用されてきた配合物の形態のうちの任意のものとすることができ、特に、水性、アルコール性若しくは水性-アルコール性の、又は油性の、溶液又は懸濁液の形態;ローション若しくはセラムタイプの溶液又は分散体の形態;O/W、W/O若しくは多重タイプの、特に液状若しくは半液状の稠度を有するエマルションの形態;(O/W)若しくは(W/O)クリームタイプの、軟質な稠度を有する懸濁液又はエマルションの形態;水性のゲルの形態、又は他の任意の化粧用の形態とすることができる。
【0155】
[方法]
本発明による、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための方法は:
(i)ケラチン繊維を再成形するための組成物をケラチン繊維上に適用する工程と、
(ii)60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上の温度でケラチン繊維を再成形する工程と、
(iii)任意選択でケラチン繊維をすすぐ且つ/又は乾燥させる工程と
を含み、
ケラチン繊維を再成形するための組成物は、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物と、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0156】
【化10】
【0157】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物と
を含み、
該組成物のpHは、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である。
【0158】
本発明による方法において使用される組成物の詳細を、上記の[組成物]という題名の項で既に説明している。そのため、本発明による方法において使用される組成物は、本発明による組成物と同じであってもよい。
【0159】
本発明による方法は、毛髪等のケラチン繊維の再成形又は変形、好ましくは一時的又は永久的なウェーブ形成又は矯正、より好ましくは永久的なウェーブ形成又は矯正を意図する。
【0160】
工程(i)において、上記の[組成物]という題名の項で既に説明されている組成物を、毛髪等のケラチン繊維に適用する。組成物の適用は、ブラシ及び櫛等の任意の手段によって実施されうる。
【0161】
適用される組成物の、ケラチン繊維に対する浴比は、0.1~10、より特定すると0.5~5、好ましくは0.8から1.2の範囲であってもよい。用語「浴比」は、適用される組成物の総質量とケラチン繊維の総質量との間の質量比を意味すると意図される。
【0162】
組成物の適用後、ケラチン繊維を、必要に応じて、特定の長さの時間にわたり、通常1分間から1時間、好ましくは2~30分間、より好ましくは3~10分間そのままの状態で放置して、組成物をケラチン繊維中に浸透させることが可能でありうる。
【0163】
少なくとも1つの被覆手段で、組成物を適用したケラチン繊維を被覆し、ケラチン繊維を濡れた状態に保つことが好ましい。ケラチン繊維は、好ましくは、以下で説明する工程(ii)の間、濡れた状態のままであるように被覆される。
【0164】
被覆手段は、硬質又は軟質であってよい。被覆手段は、フィルム及びシートからなる群から選択される少なくとも1つの部材を含んでもよい。フィルム又はシートの材料は限定されない。例えば、フィルム又はシートは、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂、紙、織物材料、覆い、アルミニウム箔等の金属箔等を含んでもよい。
【0165】
フィルム又はシートでありうる被覆手段は、耐熱性であることが好ましく、より好ましくは100℃超、更により好ましくは110℃以上、更により好ましくは120℃以上の温度に耐性である。また、フィルム又はシートでありうる被覆手段は、高熱伝導性を有し、水分蒸発を防止することができることも好ましい。したがって、被覆手段は、アルミニウム箔等の金属箔を含むことが好ましい。
【0166】
フィルム又はシート等の被覆手段は、ケラチン繊維を含む少なくとも1つの閉塞空間を形成できることが好ましい。
【0167】
閉塞空間は、ケラチン繊維に適用された組成物中の水等の蒸発性成分の蒸発を制限することができ、したがって、ケラチン繊維の温度は、開放状態におけるケラチン繊維に対して従来の加熱プロセス又は装置により得ることができる温度より高く上昇させることができる。更に、ケラチン繊維は効率よく加熱することが可能であり、且つケラチン繊維は均等に加熱されることが可能である。
【0168】
閉塞空間は、本発明による方法において使用される組成物中の水及び成分(複数可)がケラチン繊維から蒸発し、フィルム又はシートの壁に付着し、ケラチン繊維上に落ちることができる凝結ケージを形成してもよい。このサイクルは、工程(ii)の間、すなわち、ケラチン繊維の加熱の間、繰り返されてもよい。こうして、ケラチン繊維を濡れた状態に常に保つことができ、ケラチン繊維の乾燥及び劣化が防止されうる。
【0169】
閉塞空間中のケラチン繊維を濡れた状態に保つことができ、ケラチン繊維の温度を一定に維持することができるため、閉塞空間の形成は好ましいものでありうる。ケラチン繊維の濡れた状態は、本発明による方法において使用される組成物中の成分にとって、ケラチン繊維中に効果的に浸透させる上で好ましいことがある。
【0170】
本発明の一変形形態によれば、閉塞空間は開口部を備えていてもよく、その表面積は、被覆手段の総表面積の5%未満、好ましくは3%未満、より特定すれば0.5%未満である。この変形形態によれば、被覆手段の総表面積は、被覆手段のための開放手段(存在する場合)の表面積を含む。
【0171】
開口部は、通路、穴又は孔であってもよく、それにより、特に、反応(閉塞空間の内側で蒸気を形成する等)が大きすぎる場合は、閉塞空間とその外部との間の空気の交換を可能にすることができる。一方で、当業者であれば、閉塞空間中での熱の拡散が損なわれないように開口部を形成することができる。
【0172】
工程(ii)において、好ましくは濡れた状態にあるケラチン繊維が加熱される。
【0173】
ケラチン繊維は、(ii)加熱工程の間、60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上に加熱されることが好ましい場合がある。
【0174】
ケラチン繊維は、(ii)加熱工程の間、210℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下に加熱されることが好ましい場合がある。
【0175】
ケラチン繊維は、(ii)加熱工程の間、60℃~210℃、好ましくは70℃~200℃、より好ましくは80℃~190℃に加熱されることが好ましい場合がある。加熱時間は、例えば、5~30分、好ましくは10~20分であってもよい。(ii)加熱工程は、制御されて本プロセスにとって望ましい温度を実現できる任意の加熱手段によって実施することができる。
【0176】
本発明によれば、毛髪等のケラチン繊維は、典型的にケラチン繊維の再成形又は変形に使用される機械的張力に供してもよい。機械的張力は、ケラチン繊維を、意図した形状に再成形する又は変形するための任意の手段によってケラチン繊維に適用されうる。
【0177】
機械的張力は、工程(i)の前及び/又は後、好ましくは工程(ii)の前及び/又はその間に、毛髪等のケラチン繊維に適用されうる。
【0178】
例えば、ウェーブ形成の場合、機械的張力は、カーラー、ローラー、及びクリップからなる群から選択される少なくとも1つの再成形手段により加えることができる。再成形手段は、少なくとも1つのヒーターを備えていてもよい。ケラチン繊維をカーラーに巻き付ける場合、この巻上げは、ケラチン繊維の全長に対して、又は、例えば、ケラチン繊維の長さの半分に対して実施することができる。例えば所望のヘアスタイルの形状及びカールの量によっては、巻上げは、多少なりとも厚い束で実施されてもよい。一実施形態において、デジタルパーマ機を使用してもよい。
【0179】
一方で、矯正の場合、少なくとも1つの加熱用アイロンによって機械的張力が印加されうる。
【0180】
加熱用アイロンとしては、従来のいずれのものも使用してよい。加熱用アイロンは、例えば電熱によって加熱することができる少なくとも1つのプレート、好ましくは2つのプレートを有することができる。加熱したプレートを、被覆したケラチン繊維上に適用し、ケラチン繊維の方向に沿って移動させ、ケラチン繊維を矯正することができる。
【0181】
加熱用アイロンは、2つのプレートを有することが好ましく、ケラチン繊維は、加熱用アイロンの2つのプレートで挟まれ、その内の少なくとも1つのプレートを加熱することができ、次いで2つのプレートをケラチン繊維の方向に沿って移動させて、ケラチン繊維が矯正されることが好ましい。
【0182】
次いで、ケラチン繊維が被覆されていた場合、被覆されたケラチン繊維の被覆を取り除き、被覆手段からケラチン繊維を露出させる。
【0183】
工程(iii)では、ケラチン繊維を好ましくは水ですすいでもよく、且つ/又は乾燥させてもよい。ケラチン繊維の乾燥は、ヘアドライヤー等の従来の乾燥手段で実施することができる。
【0184】
本発明による方法は、毛髪等のケラチン繊維を再成形又は変形、好ましくは一時的又は永久的ウェーブ形成又は矯正、より好ましくは永久的ウェーブ形成又は矯正することができる。
【0185】
[使用]
本発明はまた、好ましくは還元剤又は酸化剤を使用せずに、ランチオナイゼーションにより、毛髪等のケラチン繊維を再成形するための、
(b)アルキルアミノスルホン酸並びに次式(I)及び(II):
【0186】
【化11】
【0187】
[式(I)及び(II)中、
- Rは、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状の、好ましくは直鎖状のC1~C5アルキル基を表し、前記アルキル基は、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキサミド基、C6~C18芳香族基、複素環式基、-C(O)-OH、-S(O)2-OH、-C(O)-O-M+、-S(O)2-O-M+、及びこれらの混合物から選択される少なくとも1つの基で任意選択により置換されており、M+は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウム等のカチオン性対イオンを表し、
- nは、0又は1である]
の化合物から選択される、後述する成分(a)以外の、少なくとも1種の化合物
を含む組成物における、
(a)
(a-1)脂肪族モノアミン及びその塩、
(a-2)脂肪族ジアミン及びその塩、
(a-3)脂肪族ポリアミン及びその塩、
(a-4)環状アミン及びその塩、
(a-5)モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミン及びその塩、並びに
(a-6)アミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミド、これらの塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される化合物
からなる群から選択される少なくとも1種のアミノ官能性有機化合物
の使用であって、
該組成物のpHが、7.5~12.0未満、好ましくは8.0~11.5、より好ましくは8.5~11.0である、使用にも関しうる。
【実施例0188】
本発明は、実施例によって、より詳細な方法で記載されることになる。しかしながら、これらの実施例が本発明の範囲を限定するものとは解釈すべきでない。
【0189】
(実施例1~46)
表1~7に示す実施例1~46による次の組成物を、表1~7に示す成分を混合することによって調製した。表1~7に示す成分の量についての数値はすべて、別段の指定がない限り、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0190】
【表1】
【0191】
【表2】
【0192】
【表3】
【0193】
【表4】
【0194】
【表5】
【0195】
【表6】
【0196】
【表7】
【0197】
[評価]
(カール形成手順)
各組成物1gを、予め洗髪した中国人の毛髪見本(長さ:27cm)1gに適用し、毛髪を16mmパーマロッドに巻き、閉塞空間が形成されて毛髪を濡れた状態に保つようにプラスチック膜(HDPE)の物理的ラップによって被覆し、次いで毛髪を濡れた状態に保ちながら、デジタルパーマ機(OOHIRO ODIS EX)によって15分間、90℃で加熱した。物理的ラップを取り外した後、ロッドに巻いた毛髪を室温で5分間冷やし、ロッドから外した。次いで毛髪を水道水ですすぎ、毛髪をオーブン中で乾燥した。
【0198】
(濡れカール径)
上記の通りにカール形成し、乾燥する前は濡れていた各毛髪見本を、プレートの平らな表面上に自然に置いた。定規を使用して、毛髪見本のカールの最長径を測定した。より短いカール径は、より高いカール形成性能を意味する。
【0199】
結果を表1~7に示す。
【0200】
(濡れカール数)
上記の通りにカール形成し、乾燥する前は濡れていた各毛髪見本を、プレートの平らな表面上に自然に置いた。上記の通りにカール形成し、乾燥する前は濡れていた毛髪見本のカール数を、目視観察によって計数した。
【0201】
結果を表1~7に示す。
【0202】
(乾燥カール数)
上記の通りにカール形成して乾燥した各毛髪見本を、プレートの平らな表面上に自然に置いた。毛髪見本のカール数を、目視観察によって計数した。
【0203】
結果を表1~7に示す。
【0204】
(カール効率)
カール形成して乾燥した毛髪のカール効率を、以下の通りに決定した。
【0205】
(L0-L)/L0 (式中、L0は、カール形成前の毛髪の長さを意味し、Lは、カール形成後の毛髪の長さを意味する)の値を、カール形成の前及び後に毛髪の長さを測定することによって、プレート上に置いた各毛髪見本の「カール効率」として決定した。全長27cmの毛髪見本の上部1cmは、毛髪見本をプレート上に固定するために使用したため、カール形成前の毛髪見本の長さは26cmとしたことに留意すべきである。
【0206】
結果を表1~7に示す。
【0207】
(概略)
表1は、本発明による組成物中のアルキルモノアミンの使用が、少なくとも、許容されるカール効率、及び特定の場合において十分なカール効率をもたらすことができ、したがって、ケラチン繊維を再成形するためにアルキルモノアミンを本発明において使用することができることを実証している。
【0208】
表2は、本発明による組成物中のアルキルジアミンの使用が、少なくとも、許容されるカール効率、及び特定の場合において十分なカール効率をもたらすことができ、したがって、ケラチン繊維を再成形するためにアルキルジアミンを本発明において使用することができることを実証している。特に、表2は、エチレンジアミン、1,3-ジアミノプロパン及び2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミンが、比較的より高いカール効率をもたらすことができるため、これらの使用が好ましいことを実証している。
【0209】
表3は、本発明による組成物中のアルキルポリアミンの使用が、少なくとも、許容されるカール効率、及び特定の場合において十分なカール効率をもたらすことができ、したがって、ケラチン繊維を再成形するためにアルキルポリアミンを本発明において使用することができることを実証している。特に、表3は、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)-1,4-ブタンジアミン、ジエチレントリアミン、3,3-ジアミノジプロピルアミン、トリス(2-アミノエチル)アミンが、比較的より高いカール効率をもたらすことができるため、これらの使用が好ましいことを実証している。
【0210】
表4は、本発明による組成物中の環状アミンの使用が、少なくとも、許容されるカール効率、及び特定の場合において十分なカール効率をもたらすことができ、したがって、ケラチン繊維を再成形するために環状アミンを本発明において使用することができることを実証している。特に、表4は、シクロヘキシルアミンが比較的より高いカール効率をもたらすことができるため、その使用が好ましいことを実証している。
【0211】
表5及び6は、本発明による組成物中の、モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミンの使用が、少なくとも、許容されるカール効率、及び特定の場合において十分なカール効率をもたらすことができ、したがって、ケラチン繊維を再成形するために、モノエタノールアミンを除くヒドロキシルアミンを本発明において使用することができることを実証している。特に、表5及び6は、(S)-(+)-2-ピロリジンメタノール、1,3-ジアミノ-2-プロパノール、及び3-アミノ-1-プロパノールが、比較的より高いカール効率をもたらすことができるため、これらの使用が好ましいことを実証している。
【0212】
表7は、本発明による組成物中のアミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミドの使用が、少なくとも、許容されるカール効率、及び特定の場合において十分なカール効率をもたらすことができ、したがって、ケラチン繊維を再成形するためにアミノ酸エステル、尿素類、グアニジン類、アミドを本発明において使用することができることを実証している。特に、表7は、N-(4-アミノブチル)グアニジンが、比較的より高いカール効率をもたらすことができるため、その使用が好ましいことを実証している。
【外国語明細書】