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特開2024-152404医療用具包装体の滅菌方法および医療用具包装体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152404
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】医療用具包装体の滅菌方法および医療用具包装体
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61L2/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066586
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居村 真人
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA12
4C058BB02
4C058BB07
4C058CC05
4C058CC10
4C058DD20
4C058EE12
4C058JJ15
4C058JJ26
4C058KK01
4C058KK11
4C058KK50
(57)【要約】
【課題】滅菌を効果的に行うことができ、滅菌後の医療用具包装体をロボットハンドによって把持したり吸着したりしやすくすることができる滅菌方法と、その滅菌方法によって滅菌された医療用具包装体を提供する。
【解決手段】包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む医療用具包装体を滅菌用筐体内で滅菌する方法であって、滅菌用筐体内に、複数の医療用具包装体を、医療用具包装体の厚み方向に並べるステップと、医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態で医療用具包装体を滅菌するステップと、滅菌するステップの後に、医療用具包装体が入れられた状態の滅菌用筐体を医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように傾けるステップと、を有する医療用具包装体の滅菌方法と、該医療用具包装体の滅菌方法によって滅菌された医療用具包装体。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む医療用具包装体を滅菌用筐体内で滅菌する方法であって、
前記滅菌用筐体内に、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向に並べるステップと、
前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態で前記医療用具包装体を滅菌するステップと、
前記滅菌するステップの後に、前記医療用具包装体が入れられた状態の前記滅菌用筐体を前記医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように傾けるステップと、
を有する医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項2】
前記滅菌するステップにおいて、複数の前記医療用具包装体は加温されるとともに加湿される請求項1に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項3】
前記包装体は、箱であり、少なくとも一部が紙で構成されている請求項2に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項4】
前記包装体は、不織布と、前記不織布と対向するように配置されているフィルムとで形成されている請求項2に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項5】
前記滅菌用筐体内に、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向に並べるステップは、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向くように、前記滅菌用筐体内に並べることによって実施される請求項1に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項6】
前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態で前記医療用具包装体を滅菌するステップは、前記医療用具包装体が入れられた状態の前記滅菌用筐体を前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向くように傾けるステップと、前記医療用具包装体を滅菌するステップと、を有する請求項1に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項7】
前記滅菌用筐体内に、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向に並べるステップは、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように、前記滅菌用筐体内に並べることによって実施される請求項6に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の医療用具包装体の滅菌方法を用いて滅菌を行った医療用具包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具包装体の滅菌方法と、該医療用具包装体の滅菌方法によって滅菌された医療用具包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な物品の製造工程の多くがロボットによって実施されるようになってきている。包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む医療用具包装体の製造工程についてもその例外ではない。
【0003】
製造された医療用具包装体には、その製造過程で微生物が付着したりする。付着した微生物を死滅させるため、医療用具包装体の滅菌が行われる。
【0004】
滅菌方法としては、例えば、エチレンオキサイドガスによって微生物を死滅させるガス滅菌(EOG滅菌)、放射線を照射して微生物を死滅させる放射線滅菌、適当な温度および圧力の飽和水蒸気中で加熱することによって微生物を死滅させるオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)、乾燥空気中で加熱することによって微生物を死滅させる乾熱滅菌、紫外線を照射することによって微生物を死滅させる紫外線滅菌などがある。
【0005】
他にも、滅菌剤を用いる方法として、特許文献1には、チャンバ内に医療器具を配置する工程と、再結合イオン化加湿空気を含む滅菌剤を供給する工程と、医療器具の温度がチャンバの温度より低くなるように、医療器具および/またはチャンバの温度を制御する工程と、少なくとも部分的に滅菌剤を医療器具上に凝縮させる工程と、を備える医療用具の滅菌方法が記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、オゾンを発生させるオゾン発生器と、オゾンを吸着する吸着剤が収納されたオゾン吸着塔と、被処理物が収納された処理容器と、処理容器とオゾン吸着塔とを接続する配管と、を備え、大気圧以上の圧力でオゾン吸着塔の吸着剤に吸着されたオゾンが、大気圧未満の圧力に保持された処理容器に配管を通じて供給され、オゾンと被処理物を接触させることで被処理物を殺菌する滅菌装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2023-505314号公報
【特許文献2】特許第7146138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来から様々な滅菌方法が開発されてきている。しかしながら、これらの滅菌方法は、ロボットが実施する際に適した工程を開示していない。このため、ロボットが実施する際に適した滅菌方法の開発が望まれていた。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、滅菌を効果的に行うことができ、滅菌後の医療用具包装体をロボットハンドによって把持したり吸着したりしやすくすることができる滅菌方法と、その滅菌方法によって滅菌された医療用具包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決できた本発明の医療用具包装体の滅菌方法とは、以下の通りである。
[1] 包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む医療用具包装体を滅菌用筐体内で滅菌する方法であって、
前記滅菌用筐体内に、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向に並べるステップと、
前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態で前記医療用具包装体を滅菌するステップと、
前記滅菌するステップの後に、前記医療用具包装体が入れられた状態の前記滅菌用筐体を前記医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように傾けるステップと、
を有する医療用具包装体の滅菌方法。
【0011】
滅菌用筐体内に複数の医療用具包装体を医療用具包装体の厚み方向に並べ、医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態にすることにより、医療用具包装体同士の間に隙間ができやすくなる。この状態で滅菌することにより、滅菌に用いられるガスや蒸気が医療用具包装体同士の間の隙間に入りやすくなるため、滅菌を効果的に行うことができる。さらに、滅菌後に、医療用具包装体が入れられた状態の滅菌用筐体を医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように傾ける。医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態のままであると、滅菌用筐体内で、一の医療用具包装体が傾いて他の医療用具包装体にもたれかかる状態になりやすい。このように医療用具包装体が傾いたままであると、ロボットハンドによって医療用具包装体を把持したり吸着したりしにくい場合がある。滅菌後に、医療用具包装体が入れられた状態の滅菌用筐体を医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように傾けることにより、医療用具包装体同士の間にあった隙間が塞がれて医療用具包装体の傾きが解消されやすくなる。これにより、ロボットハンドによって滅菌後の医療用具包装体を把持したり吸着したりしやすくすることができる。
【0012】
本発明の医療用具包装体の滅菌方法は、以下の[2]~[7]であることが好ましい。
[2] 前記滅菌するステップにおいて、複数の前記医療用具包装体は加温されるとともに加湿される[1]に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
[3] 前記包装体は、箱であり、少なくとも一部が紙で構成されている[2]に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
[4] 前記包装体は、不織布と、前記不織布と対向するように配置されているフィルムとで形成されている[2]に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
[5] 前記滅菌用筐体内に、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向に並べるステップは、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向くように、前記滅菌用筐体内に並べることによって実施される[1]~[4]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
[6] 前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態で前記医療用具包装体を滅菌するステップは、前記医療用具包装体が入れられた状態の前記滅菌用筐体を前記医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向くように傾けるステップと、前記医療用具包装体を滅菌するステップと、を有する[1]~[4]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
[7] 前記滅菌用筐体内に、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向に並べるステップは、複数の前記医療用具包装体を、前記医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように、前記滅菌用筐体内に並べることによって実施される[6]に記載の医療用具包装体の滅菌方法。
【0013】
本発明には、以下の医療用具包装体も含まれる。
[8] [1]~[7]のいずれか一項に記載の医療用具包装体の滅菌方法を用いて滅菌を行った医療用具包装体。
【発明の効果】
【0014】
本発明の医療用具包装体の滅菌方法は、滅菌を効果的に行うことができ、滅菌後の医療用具包装体をロボットハンドによって把持したり吸着したりしやすくすることができる。この方法を用いて滅菌されたものが本発明の医療用具包装体である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、医療用具包装体の一例を示す斜視図を表す。
図2図2は、滅菌用筐体の一例を示す斜視図を表す。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法の一例を示す斜視図を表す。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法の一例を示す斜視図を表す。
図5図5は、医療用具包装体の一例を示す平面図を表す。
図6図6は、図5に示す医療用具包装体の側面図を表す。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法を示すフローチャートを表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0017】
本発明の医療用具包装体の滅菌方法は、包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む医療用具包装体を滅菌用筐体内で滅菌する方法であって、滅菌用筐体内に、複数の医療用具包装体を、医療用具包装体の厚み方向に並べるステップと、医療用具包装体の厚み方向が水平方向を向いている状態で医療用具包装体を滅菌するステップと、上記滅菌するステップの後に、医療用具包装体が入れられた状態の滅菌用筐体を医療用具包装体の厚み方向が鉛直方向を向くように傾けるステップと、を有する点に要旨を有する。
【0018】
図1図7を参照して本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法について説明する。
【0019】
図1は、医療用具包装体の一例を示す斜視図を表す。図2は、滅菌用筐体の一例を示す斜視図を表す。図3は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法の一例を示す斜視図を表す。より詳細には、図3は、図1に示す医療用具包装体が図2に示す滅菌容筐体内に入れられている状態を表す。図4は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法の一例を示す斜視図を表す。より詳細には、図4は、図3に示す滅菌容筐体が傾けられた状態を表す。図5は、医療用具包装体の一例を示す平面図を表す。図6は、図5に示す医療用具包装体の側面図を表す。図7は、本発明の実施の形態に係る医療用具包装体の滅菌方法を示すフローチャートを表す。本図面においては、水平方向をx、鉛直方向をyで示している。
【0020】
本明細書内において、上方とは鉛直方向のうちの上側に向かう方向のことを指し、下方とは鉛直方向のうちの下側に向かう方向のことを指す。各部材の上部とは各部材のうちの上方側半分を指し、各部材の下部とは各部材のうちの下方側半分を指す。各部材の上端とは各部材のうち鉛直方向において最も上に位置している端である。各部材の下端とは各部材のうち鉛直方向において最も下に位置している端である。
【0021】
医療用具包装体10は包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む。医療用具包装体の滅菌方法は、医療用具包装体10を滅菌用筐体20内で滅菌する方法である。
【0022】
図1図3図7に示すように、医療用具包装体の滅菌方法は、滅菌用筐体20内に、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tに並べるステップを有する。これにより、滅菌用筐体20内において、医療用具包装体10が医療用具包装体10の厚み方向tに並んでいる状態になる。
【0023】
図1図3図7に示すように、医療用具包装体の滅菌方法は、滅菌用筐体20内に、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tに並べるステップの後に、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップを有する。ここで、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態には、医療用具包装体10の厚み方向tと水平方向xとの間の角度が±30度の範囲内にある態様が含まれるものとする。以降の説明でも同様である。なお、複数の医療用具包装体10のうち一部の医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いていてもよいし、複数の医療用具包装体10全ての厚み方向tが水平方向xを向いていてもよい。
【0024】
図1図4図7に示すように、医療用具包装体の滅菌方法は、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップの後に、医療用具包装体10が入れられた状態の滅菌用筐体20を医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向くように傾けるステップを有する。これにより、滅菌用筐体20内において、医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向いている状態になる。ここで、医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向いている状態には、医療用具包装体10の厚み方向tと鉛直方向yとの間の角度が±30度の範囲内にある態様が含まれるものとする。以降の説明でも同様である。なお、複数の医療用具包装体10のうち一部の医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向いていてもよいし、複数の医療用具包装体10全ての厚み方向tが鉛直方向yを向いていてもよい。
【0025】
滅菌用筐体20内に複数の医療用具包装体10を医療用具包装体10の厚み方向tに並べ、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態にすることにより、医療用具包装体10同士の間に隙間ができやすくなる。この状態で滅菌することにより、滅菌に用いられるガスや蒸気が医療用具包装体10同士の間の隙間に入りやすくなるため、滅菌を効果的に行うことができる。さらに、滅菌後に、医療用具包装体10が入れられた状態の滅菌用筐体20を医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向くように傾ける。医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態のままであると、滅菌用筐体20内で、一の医療用具包装体10が傾いて他の医療用具包装体10にもたれかかる状態になりやすい。このように医療用具包装体10が傾いたままであると、ロボットハンドによって医療用具包装体10を把持したり吸着したりしにくい場合がある。滅菌後に、医療用具包装体10が入れられた状態の滅菌用筐体20を医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向くように傾けることにより、医療用具包装体10同士の間にあった隙間が塞がれて医療用具包装体10の傾きが解消されやすくなる。これにより、ロボットハンドによって滅菌後の医療用具包装体10を把持したり吸着したりしやすくすることができる。
【0026】
包装体に入れられている医療用具は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンジ、カテーテル、メス、縫合糸などが挙げられる。
【0027】
包装体とは、医療用具を包装するための入れものである。包装体は、図1に示すような箱状のもの、または、図5および図6に示すような袋状のものなどが挙げられる。
【0028】
包装体を構成する材料としては、例えば、紙や不織布、フィルムなどが挙げられる。紙には段ボールなどの板紙が含まれる。
【0029】
滅菌用筐体20の形状、特に外観は、例えば多角柱状、多角錐台状、四角柱状、箱状などにすることができるが、四角柱状であることが好ましい。
【0030】
滅菌用筐体20を構成する材料は特に限定されるものではないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、木材、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0031】
医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップにおいて用いられる滅菌方法としては、例えば、ガス滅菌(EOG滅菌)、放射線滅菌、オートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)、乾熱滅菌、紫外線滅菌などが挙げられる。
【0032】
医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップにおいて、複数の医療用具包装体10は加温されるとともに加湿されることが好ましい。滅菌用筐体20内に複数の医療用具包装体10を医療用具包装体10の厚み方向tに並べ、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態にすることにより、医療用具包装体10同士の間に隙間ができやすくなる。この状態で滅菌することにより、滅菌に用いられる蒸気が医療用具包装体10同士の間の隙間に入りやすくなるため、滅菌を効果的に行うことができる。
【0033】
医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップにおいて、複数の医療用具包装体が加温されるとともに加湿される場合、包装体は、箱であり、少なくとも一部が紙で構成されていてもよい。包装体は、その全体が紙で構成されていてもよいし、その一部のみが紙で構成されていてもよい。加湿によって水分を吸収した紙は破れやすくなる。また、医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向いている状態であれば、一の医療用具包装体10に対してその上方に位置している他の医療用具包装体10の重さが掛かるため、上方に位置している医療用具包装体10の重みによって下方に位置している医療用具包装体10を構成している紙が破れやすくなる。上記滅菌方法においては、複数の医療用具包装体10は医療用具包装体10の厚み方向tに並べられており、医療用具包装体10の厚み方向tは水平方向xを向いている状態であり、この状態で加湿を伴う滅菌が行われる。これにより、一の医療用具包装体10の上に他の医療用具包装体10が積層されて他の医療用具包装体10の重みが加わることが無くなるため、加湿によって水分を吸収した紙が破損するのを防止することができる。
【0034】
医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップにおいて、複数の医療用具包装体が加温されるとともに加湿される場合、図5図6に示すように、包装体は、不織布11と、不織布11と対向するように配置されているフィルム12とで形成されていてもよい。加湿によって水分を吸収した不織布11は破れやすくなる。また、医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向いている状態であれば、一の医療用具包装体10に対してその上方に位置している他の医療用具包装体10の重さが掛かるため、上方に位置している医療用具包装体10の重みによって下方に位置している医療用具包装体10を構成する不織布11が破れやすくなる。上記滅菌方法においては、複数の医療用具包装体10は医療用具包装体10の厚み方向tに並べられており、医療用具包装体10の厚み方向tは水平方向xを向いている状態であり、この状態で加湿を伴う滅菌が行われる。これにより、一の医療用具包装体10の上に他の医療用具包装体10が積層されて他の医療用具包装体10の重みが加わることが無くなるため、加湿によって水分を吸収した不織布11が破損するのを防止することができる。
【0035】
包装体が不織布11と不織布11と対向するように配置されているフィルム12とで形成されている場合、図5に示すように、包装体は不織布11とフィルム12とが加熱溶着されている部分である溶着部131と非溶着部132が形成されることが好ましい。
【0036】
滅菌用筐体20内に、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tに並べるステップは、人間が実施してもよいし、ロボットハンドが実施してもよい。
【0037】
滅菌用筐体20内に、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tに並べるステップは、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向くように、滅菌用筐体20内に並べることによって実施されてもよい。これにより、医療用具包装体10を滅菌用筐体20内に並べた後に、すぐに滅菌するステップに移ることができるようになる。
【0038】
医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向いている状態で医療用具包装体10を滅菌するステップは、医療用具包装体10が入れられた状態の滅菌用筐体10を医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向くように傾けるステップと、医療用具包装体10を滅菌するステップと、を有していてもよい。この場合に、滅菌用筐体20内に、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tに並べるステップは、複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向くように、滅菌用筐体20内に並べることによって実施されることが好ましい。複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tが水平方向xを向くように、滅菌用筐体20内に並べる場合、滅菌用筐体20内で、一の医療用具包装体10が傾いて他の医療用具包装体10にもたれかかったり、一の医療用具包装体10が傾いて滅菌用筐体20内で意図しない方向に倒れたりしやすい。このように医療用具包装体10が傾いたり倒れたりしていると、ロボットハンドによって次の医療用具包装体10を滅菌用筐体20内に配置しにくくなることがある。複数の医療用具包装体10を、医療用具包装体10の厚み方向tが鉛直方向yを向くように、滅菌用筐体20内に並べることで、滅菌用筐体20内で、一の医療用具包装体10が傾いて他の医療用具包装体10にもたれかかったり、一の医療用具包装体10が傾いて滅菌用筐体20内で意図しない方向に倒れたりしにくくすることができる。このため、ロボットハンドによって医療用具包装体10を滅菌用筐体20内に配置しやすくすることができる。
【0039】
なお、図4では、医療用具包装体10を吸着する吸着部材31と、吸着部材31に接続されている筒状部材32と、筒状部材32を支持している支持部材33と、を有しているロボットハンド30が開示されている。用いられるロボットハンド30はこの態様に限定されることはない。
【0040】
図2に示すように、滅菌用筐体20は、底部21と側部22とを有していてもよい。側部22には開口部220が形成されていてもよい。底部21には穴210が形成されていてもよい。開口部220や穴210が形成されていることにより、滅菌に用いるガスや蒸気が滅菌用筐体20内で行きわたりやすくなる。
【0041】
本発明には、上述した医療用具包装体の滅菌方法を用いて滅菌を行った医療用具包装体10も含まれる。医療用具包装体10については医療用具包装体の滅菌方法を説明した際に既に説明しているため、ここでは説明を省略する。
【符号の説明】
【0042】
10:医療用具包装体
11:不織布
12:フィルム
131:溶着部
132:非溶着部
20:滅菌用筐体
21:底部
210:穴
22:側部
220:開口部
30:ロボットハンド
31:吸着部材
32:筒状部材
33:支持部材
t:医療用具包装体の厚み方向
x:水平方向
y:鉛直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7