(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152406
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】搬送対象物の搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 59/04 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B65G59/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066588
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】居村 真人
【テーマコード(参考)】
3F030
【Fターム(参考)】
3F030AA04
(57)【要約】
【課題】容器内に搬送対象物が配置されている場合であっても、搬送対象物の位置がずれたり、搬送対象物が落下したりすることを防ぐことができる搬送対象物の搬送方法を提供する。
【解決手段】搬送対象物を吸着する吸着部材と、吸着部材が接続されており長手方向に延在している内腔を有する筒状部材と、筒状部材と接続されており筒状部材よりも剛性が低い樹脂チューブと、を有している吸着ハンドを準備するステップと、容器内に搬送対象物を配置するステップと、筒状部材を容器内に挿入するステップと、吸着部材が搬送対象物を吸着するステップと、を有し、筒状部材を容器内に挿入するステップにおいて、樹脂チューブは容器内に挿入されない搬送対象物の搬送方法。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を吸着する吸着部材と、前記吸着部材が接続されており長手方向に延在している内腔を有する筒状部材と、前記筒状部材と接続されており前記筒状部材よりも剛性が低い樹脂チューブと、を有している吸着ハンドを準備するステップと、
容器内に前記搬送対象物を配置するステップと、
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップと、
前記吸着部材が前記搬送対象物を吸着するステップと、
を有し、
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記樹脂チューブは前記容器内に挿入されない搬送対象物の搬送方法。
【請求項2】
前記筒状部材は、前記長手方向の端であって前記樹脂チューブと接続されている第1端と、前記長手方向の端であって前記第1端とは異なる位置に存在している第2端と、を有しており、
前記第1端は開口しており、
前記第2端は閉塞している請求項1に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項3】
前記吸着ハンドは、前記筒状部材を支持している支持部材を有している請求項2に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項4】
前記支持部材には、前記筒状部材の第1端部が貫通する孔が形成されている請求項3に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項5】
前記支持部材は、天井部と、前記天井部下に配置されている側部とを有しており、
前記支持部材の側部に前記筒状部材の第1端部が貫通する孔が形成されている請求項4に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項6】
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記支持部材は前記容器内に挿入されない請求項3~5のいずれか一項に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項7】
容器内に前記搬送対象物を配置するステップにおいて、複数の前記搬送対象物が一定の方向に積層される請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項8】
容器内に前記搬送対象物を配置するステップの後であって、前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップの前に、前記一定の方向が鉛直方向となるように前記容器を傾けるステップを有する請求項7に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項9】
前記一定の方向が鉛直方向となるように前記容器を傾けた状態において、前記容器は底部と側部を有し、前記側部に開口部が形成されている請求項8に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項10】
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記側部に形成されている開口部を介して前記筒状部材が前記容器内に挿入される請求項9に記載の搬送対象物の搬送方法。
【請求項11】
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記吸着ハンドを水平方向に移動させることによって前記筒状部材を前記容器内に挿入する請求項10に記載の搬送対象物の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送対象物は、様々な方法で搬送され得る。搬送対象物を搬送する主体の例として、特許文献1には、基板の層をピックアップし、移動し、解放するように構成されたエンドエフェクタを含んでいるロボットワークステーションについて記載されている。エンドエフェクタは、第1および第2の支持部材と、第1および第2のクロス部材と、第1および第2のピックアップおよびリリース部材と、を含む。ロボットワークステーションは、エンドエフェクタを移動させることができるロボットマニピュレータを含む。第1および第2のピックアップおよびリリース部材はチューブと接続されており、チューブによって第1および第2のピックアップおよびリリース部材に真空空気圧が提供される。これによって、基板(または他のアイテム)との間で真空シールが形成され、第1および第2のピックアップおよびリリース部材は基板をピックアップできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、容器内に搬送対象物が配置されている場合に、特許文献1に記載されているロボットワークステーションを用いると、比較的剛性の低いチューブが容器内で意図しない方向に折れ曲がったりすることで、チューブが搬送対象物に接触してしまうことがあった。また、チューブが搬送対象物に接触することによって、搬送対象物の位置がずれたり、搬送対象物が落下したりすることがあった。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、容器内に搬送対象物が配置されている場合であっても、搬送対象物の位置がずれたり、搬送対象物が落下したりすることを防ぐことができる搬送対象物の搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決できた本発明の搬送対象物の搬送方法とは、以下の通りである。
[1] 搬送対象物を吸着する吸着部材と、前記吸着部材が接続されており長手方向に延在している内腔を有する筒状部材と、前記筒状部材と接続されており前記筒状部材よりも剛性が低い樹脂チューブと、を有している吸着ハンドを準備するステップと、
容器内に前記搬送対象物を配置するステップと、
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップと、
前記吸着部材が前記搬送対象物を吸着するステップと、
を有し、
前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記樹脂チューブは前記容器内に挿入されない搬送対象物の搬送方法。
【0007】
筒状部材よりも剛性が低い樹脂チューブが容器内に挿入されると、樹脂チューブが容器内で意図しない方向に折れ曲がったりすることで、搬送対象物に接触してしまうことがある。そして、樹脂チューブが搬送対象物に接触することによって、搬送対象物の位置がずれたり、搬送対象物が落下したりすることがある。しかしながら、本発明の搬送対象物の搬送方法においては、吸着部材が接続されている筒状部材が容器内に挿入される際に樹脂チューブが容器内に挿入されない。このため、樹脂チューブが容器内で意図しない方向に折れ曲がることを防止できる。よって、樹脂チューブが搬送対象物に接触することによって、搬送対象物の位置がずれたり、搬送対象物が落下したりするのを防ぐことができる。
【0008】
本発明の搬送対象物の搬送方法は、以下の[2]~[11]であることが好ましい。
[2] 前記筒状部材は、前記長手方向の端であって前記樹脂チューブと接続されている第1端と、前記長手方向の端であって前記第1端とは異なる位置に存在している第2端と、を有しており、
前記第1端は開口しており、
前記第2端は閉塞している[1]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[3] 前記吸着ハンドは、前記筒状部材を支持している支持部材を有している[2]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[4] 前記支持部材には、前記筒状部材の第1端部が貫通する孔が形成されている[3]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[5] 前記支持部材は、天井部と、前記天井部下に配置されている側部とを有しており、
前記支持部材の側部に前記筒状部材の第1端部が貫通する孔が形成されている[4]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[6] 前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記支持部材は前記容器内に挿入されない[3]~[5]のいずれか一項に記載の搬送対象物の搬送方法。
[7] 容器内に前記搬送対象物を配置するステップにおいて、複数の前記搬送対象物が一定の方向に積層される[1]~[6]のいずれか一項に記載の搬送対象物の搬送方法。
[8] 容器内に前記搬送対象物を配置するステップの後であって、前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップの前に、前記一定の方向が鉛直方向となるように前記容器を傾けるステップを有する[7]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[9] 前記一定の方向が鉛直方向となるように前記容器を傾けた状態において、前記容器は底部と側部を有し、前記側部に開口部が形成されている[8]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[10] 前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記側部に形成されている開口部を介して前記筒状部材が前記容器内に挿入される[9]に記載の搬送対象物の搬送方法。
[11] 前記筒状部材を前記容器内に挿入するステップにおいて、前記吸着ハンドを水平方向に移動させることによって前記筒状部材を前記容器内に挿入する[10]に記載の搬送対象物の搬送方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明の搬送対象物の搬送方法は、容器内に搬送対象物が配置されている場合であっても、搬送対象物の位置がずれたり、搬送対象物が落下したりすることを防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法の一例を示す斜視図を表す。
【
図2】
図2は、吸着ハンドの一例を示す平面図を表す。
【
図3】
図3は、
図2に示す吸着ハンドのIII-III線における断面図を表す。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法を示すフローチャートを表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に関して、図面を参照しつつ具体的に説明するが、本発明はもとより図示例に限定されることはなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。各図において、便宜上、ハッチングや符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図を参照するものとする。また、図面における種々部品の寸法は、本発明の特徴を理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0012】
本発明の搬送対象物の搬送方法は、搬送対象物を吸着する吸着部材と、吸着部材が接続されており長手方向に延在している内腔を有する筒状部材と、筒状部材と接続されており筒状部材よりも剛性が低い樹脂チューブと、を有している吸着ハンドを準備するステップと、容器内に搬送対象物を配置するステップと、筒状部材を容器内に挿入するステップと、吸着部材が搬送対象物を吸着するステップと、を有し、筒状部材を容器内に挿入するステップにおいて、樹脂チューブは容器内に挿入されない点に要旨を有する。
【0013】
図1~
図5を参照して本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法の一例を示す斜視図を表す。より詳細には、
図1は、吸着ハンドの筒状部材が容器内に挿入されており、吸着ハンドの樹脂チューブが容器内に挿入されていない態様を示している。
図2は、吸着ハンドの一例を示す平面図を表す。
図3は、
図2に示す吸着ハンドのIII-III線における断面図を表す。
図4は、
図1に示した容器のみを示す斜視図を表す。
図5は、本発明の実施の形態に係る搬送対象物の搬送方法を示すフローチャートを表す。本図面においては、水平方向をx、鉛直方向をyで示している。
【0015】
本明細書内において、上方とは鉛直方向のうちの上側に向かう方向のことを指し、下方とは鉛直方向のうちの下側に向かう方向のことを指す。各部材の上部とは各部材のうちの上方側半分を指し、各部材の下部とは各部材のうちの下方側半分を指す。各部材の上端とは各部材のうち鉛直方向において最も上に位置している端である。各部材の下端とは各部材のうち鉛直方向において最も下に位置している端である。
【0016】
図1、
図5に示すように、搬送対象物の搬送方法は、吸着ハンド30を準備するステップを有する。
【0017】
図1~
図3に示すように、吸着ハンド30は、吸着部材31と、筒状部材32と、樹脂チューブ34と、を有している。
【0018】
図1に示すように、吸着部材31は、搬送対象物10を吸着する部材である。搬送対象物10は、吸着部材31によって吸着されることによって搬送される。
【0019】
図3に示すように、筒状部材32は、吸着部材31が接続されている部材である。筒状部材32は、長手方向に延在している内腔320を有する。
【0020】
図3に示すように、樹脂チューブ34は、筒状部材32と接続されている。樹脂チューブ34は筒状部材32よりも剛性が低い。
【0021】
図5に示すように、搬送対象物の搬送方法は、容器20内に搬送対象物10を配置するステップを有する。搬送対象物10を容器20内に配置する主体は、機械であってもよいし、人間であってもよい。
【0022】
図1、
図5に示すように、搬送対象物の搬送方法は、容器20内に搬送対象物10を配置するステップの後に、筒状部材32を容器20内に挿入するステップを有する。筒状部材32を容器20内に挿入するステップにおいて、樹脂チューブ34は容器20内に挿入されない。
【0023】
図5に示すように、筒状部材32を容器20内に挿入するステップの後に、吸着部材31が搬送対象物10を吸着するステップを有する。なお、吸着部材31が搬送対象物10を吸着するステップを実施する際にも、樹脂チューブ34は容器20内に挿入されないことが好ましい。
【0024】
筒状部材32よりも剛性が低い樹脂チューブ34が容器20内に挿入されると、樹脂チューブ34が容器20内で意図しない方向に折れ曲がったりすることで、搬送対象物10に接触してしまうことがある。そして、樹脂チューブ34が搬送対象物10に接触することによって、搬送対象物10の位置がずれたり、搬送対象物10が落下したりすることがある。しかしながら、本発明の搬送対象物の搬送方法においては、吸着部材31が接続されている筒状部材32が容器20内に挿入される際に樹脂チューブ34が容器20内に挿入されない。このため、樹脂チューブ34が容器20内で意図しない方向に折れ曲がることを防止できる。よって、樹脂チューブ34が搬送対象物10に接触することによって、搬送対象物10の位置がずれたり、搬送対象物10が落下したりするのを防ぐことができる。
【0025】
吸着ハンド30に、吸着部材31は一つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。吸着部材31の形状は、特に限定されないが、例えば、多角柱状、多角錐状、多角錐台状、円柱状、円錐状、円錐台状、半球状や板状など、種々の形状にすることができる。
【0026】
吸着部材31を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0027】
吸着部材31は、搬送対象物10を吸着することができる構成であればよい。例えば、
図1~
図3に示すように、吸着部材31は外部のエアを吸引する孔310を有しており、その吸引力によって搬送対象物10を吸着するものであってもよい。吸着部材31は可撓性を有する材料で構成されていることが好ましく、例えば、シリコン樹脂やゴム等のエラストマーで構成されていることが好ましい。これにより、吸着部材31による搬送対象物10の吸着性を向上させやすくすることができる。
【0028】
吸着部材31がエアの吸引によって搬送対象物10を吸着するもので、吸着部材31がそれぞれエアを吸引するための孔310を有しているような場合は、当該エアが通過するための流路が吸着ハンド30に形成されていてもよい。例えば、
図3に示すように、筒状部材32の内腔320と吸着部材31の孔310とが連通していることが好ましい。これにより、筒状部材32を介して吸着部材31に吸着力を付与することができる。
【0029】
筒状部材32の形状は、例えば、円筒状、角筒状、またはこれらの組み合わせ、などが挙げられる。
【0030】
筒状部材32は、吸着ハンド30に1つのみ設けられていてもよいし、2つ以上設けられていてもよい。
【0031】
筒状部材32を構成する材料としては、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられるが、筒状部材32は金属を含む材料で構成されていることが好ましい。筒状部材32は、その全体が金属のみで構成されていてもよいし、その一部のみが金属で構成されており他の部分が金属以外の材料で構成されていてもよい。筒状部材32が金属を含む材料で構成されていることにより、筒状部材32に剛性を付与しやすくすることができる。
【0032】
筒状部材32は、長手方向の端であって樹脂チューブ34と接続されている第1端321と、長手方向の端であって第1端321とは異なる位置に存在している第2端322と、を有していてもよい。筒状部材32の第1端321は開口しており、第2端322は閉塞していることが好ましい。これにより、筒状部材32において、第1端321側に向かってエアを吸引しやすくなる。
【0033】
図3に示すように、筒状部材32は、水平方向xに延在していることが好ましい。これにより、吸着部材31をより多く筒状部材32の下部に設けやすくなる。
【0034】
図3に示すように、吸着部材31は筒状部材32の下部に接続されていることが好ましい。これにより、吸着部材31で搬送対象物10を吸引した後に搬送対象物10を吊り下げやすくなるので、搬送中に搬送対象物10を落下させにくくすることができる。
【0035】
樹脂チューブ34は、例えば押出成形によって製造することができる。樹脂チューブ34は単層または複数層から構成することができる。樹脂チューブ34はその長手方向または周方向の一部が単層から構成されており、他部が複数層から構成されていてもよい。樹脂チューブ34は、合成樹脂、天然樹脂、またはこれらの組み合わせから構成されることができる。
【0036】
図2、
図3に示すように、樹脂チューブ34の内腔と筒状部材32の内腔320が連通していることが好ましい。これにより、吸着部材31は、筒状部材32と樹脂チューブ34を介してエアを吸引しやすくなる。
【0037】
図2、
図3に示すように、吸着ハンド30は、筒状部材32を支持している支持部材33を有していてもよい。支持部材33は、筒状部材32を1つのみ支持していてもよいし、2つ以上支持していてもよい。
【0038】
支持部材33を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0039】
支持部材33には、筒状部材32の第1端部が貫通する孔330が形成されていることが好ましい。具体的には、
図3に示すように、支持部材33は、天井部331と、天井部331下に配置されている側部332とを有しており、支持部材33の側部332に筒状部材32の第1端部が貫通する孔330が形成されていてもよい。これにより、樹脂チューブ34を筒状部材32の第1端321に接続しやすくすることができる。なお、筒状部材32の第1端321と第2端322は、長手方向において最も端に位置している。端部とは、端の周辺部分を含む。即ち、第1端部とは第1端321の周辺部分を含み、第2端部とは第2端322の周辺部分を含む。
【0040】
支持部材33が有している天井部331と側部332は、
図1~
図3に示すように板状であってもよい。
【0041】
容器20の形状、特に外観は、例えば多角柱状、多角錐台状、四角柱状、箱状などにすることができるが、四角柱状であることが好ましい。
【0042】
容器20を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、合成樹脂、天然樹脂、金属、木材、またはこれらの組み合わせなどが挙げられる。
【0043】
搬送対象物10は、特に限定されるものではないが、例えば、ラベルや包装体などが挙げられる。包装体とは、物品を包装するための入れものである。包装体としては、袋状、または、箱状のものなどが挙げられる。また、搬送対象物10は、物品が包装体に入れられているものであってもよい。より具体的には、搬送対象物10は、包装体と該包装体に入れられている医療用具を含む医療用具包装体であってもよい。包装体に入れられている医療用具は、特に限定されるものではないが、例えば、シリンジ、カテーテル、メス、縫合糸などが挙げられる。
【0044】
包装体を構成する材料としては、例えば、紙や不織布、フィルムなどが挙げられる。紙には段ボールなどの板紙が含まれる。
【0045】
容器20内に搬送対象物10を配置するステップにおいて、複数の搬送対象物10が一定の方向に積層されることが好ましい。その場合、容器20内に搬送対象物10を配置するステップの後であって、筒状部材32を容器20内に挿入するステップの前に、一定の方向が鉛直方向yとなるように容器20を傾けるステップを有していてもよい。もしくは、容器20内に搬送対象物10を配置するステップにおいて、複数の搬送対象物10が一定の方向に積層される場合に、一定の方向が鉛直方向yとなるように容器20内に搬送対象物10を配置してもよい。これにより、吸着部材31によって搬送対象物10を吸着しやすくすることができる。
【0046】
筒状部材32を容器20内に挿入するステップにおいて、支持部材33は容器20内に挿入されないことが好ましい。これにより、支持部材33が搬送対象物10に接触することによって、搬送対象物10の位置がずれたり、搬送対象物10が落下したりするのを防ぐことができる。
【0047】
図1、
図4に示すように、上記一定の方向が鉛直方向yとなるように容器20を傾けた状態において、容器20は底部21と側部22を有し、側部22に開口部23が形成されていてもよい。この場合、
図1に示すように、筒状部材32を容器20内に挿入するステップにおいて、側部22に形成されている開口部23を介して筒状部材32が容器20内に挿入されることが好ましい。側部22に形成されている開口部23を介して吸着ハンド30の吸着部材31を容器20内に挿入するという構成により、搬送対象物10よりも上に存在している空間が比較的狭い場合であっても、吸着ハンド30の筒状部材32を容器20内に挿入しやすくすることができる。
【0048】
筒状部材32を容器20内に挿入するステップにおいて、吸着ハンド30を水平方向xに移動させることによって筒状部材32を容器20内に挿入することが好ましい。これにより、搬送対象物10よりも上に存在している空間が比較的狭い場合であっても、吸着ハンド30の筒状部材32を容器20内に挿入しやすくすることができる。
【0049】
なお、筒状部材32を容器20内に挿入するステップは、吸着ハンド30を水平方向xに移動させることによって筒状部材32を容器20内に挿入するステップと、吸着ハンド30を容器20内において下方に移動させるステップと、を有していても構わない。筒状部材32を容器20内に挿入するステップは、吸着ハンド30を容器20内において下方に移動させるステップを有していなくてもよい。
【0050】
吸着部材31が搬送対象物10を吸着するステップの後に、容器20の側部22に形成されている開口部23を介して吸着ハンド30を容器20内から引き抜くステップをさらに有していてもよい。このとき、吸着ハンド30を水平方向xに移動させることによって吸着ハンド30を容器20内から引き抜くことが好ましい。これにより、搬送対象物10よりも上に存在している空間が比較的狭い場合であっても、吸着ハンド30を容器20内から引き抜きやすくすることができる。
【0051】
なお、容器20の側部22に形成されている開口部23を介して吸着ハンド30を容器20内から引き抜くステップは、吸着ハンド30を容器20内において上方に移動させるステップと、吸着ハンド30を水平方向xに移動させることによって吸着ハンド30を容器20内から引き抜くステップと、を有していても構わない。容器20の側部22に形成されている開口部23を介して吸着ハンド30を容器20内から引き抜くステップは、吸着ハンド30を容器20内において上方に移動させるステップを有していなくてもよい。
【0052】
図1、
図4に示すように、容器20は、底部21に対向するように設けられている天井部24を有していてもよい。天井部24は、側部22の上端部に位置していることが好ましい。
【0053】
側部22に形成されている開口部23は一つのみ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。開口部23が複数設けられていることにより、容器20に搬送対象物10を入れた状態で滅菌を行うような場合に、滅菌に用いるガスや蒸気が容器20内で行きわたりやすくなる。例えば、筒状部材32を容器20内に挿入するステップにおいて、側部22に形成されている開口部23を介して筒状部材32が容器20内に挿入される場合に、筒状部材32が挿入される第1開口部231と、第1開口部231よりも面積が小さい複数の第2開口部232を有していてもよい。これにより、滅菌に用いるガスや蒸気が容器20内で行きわたりやすくなるうえ、第2開口部232から搬送対象物10が落下するのを抑制することができる。筒状部材32を容器20内に挿入するステップにおいて、筒状部材32は、第2開口部232に挿入されないことが好ましい。
【0054】
図4に示すように、底部21に穴210が形成されていてもよい。容器20に搬送対象物10を入れた状態で滅菌を行うような場合に、滅菌に用いるガスや蒸気が容器20内で行きわたりやすくなる。
【0055】
図1、
図4に示すように、天井部24に穴240が形成されていてもよい。容器20に搬送対象物10を入れた状態で滅菌を行うような場合に、滅菌に用いるガスや蒸気が容器20内で行きわたりやすくなる。
【0056】
底部21に形成される穴210、天井部24に形成される穴240、および側部22に形成される開口部23の形状は、特に限定されないが、例えば、多角形状、円形状、楕円形状など、種々の形状にすることができる。なかでも、
図4に示すように、四角形状であることが好ましい。
【0057】
本明細書内において、容器20内は容器20の内部空間のことであり、容器20の内部空間は下記のようにして区画されることが好ましい。容器20が底部21と側部22を有しており天井部24を有していない場合は、容器20の内部空間の下端は容器20の底部21で区画され、容器20の内部空間の水平方向xにおける端は容器20の底部21の水平方向xにおける端で区画され、容器20の内部空間の上端は容器20の側部22の上端で区画されることが好ましい。容器20が底部21と側部22と天井部24を有する場合は、容器20の内部空間の下端は容器20の底部21で区画され、容器20の内部空間の水平方向xにおける端は容器20の底部21の水平方向xにおける端で区画され、容器20の内部空間の上端は天井部24によって区画されることが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
10:搬送対象物
20:容器
21:底部
210:穴
22:側部
23:開口部
231:第1開口部
232:第2開口部
24:天井部
240:穴
30:吸着ハンド
31:吸着部材
32:筒状部材
320:内腔
321:第1端
322:第2端
33:支持部材
330:孔
331:天井部
332:側部
34:樹脂チューブ
x:水平方向
y:鉛直方向