(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152427
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】羽根駆動装置
(51)【国際特許分類】
G03B 9/10 20210101AFI20241018BHJP
【FI】
G03B9/10 A
G03B9/10 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066612
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001225
【氏名又は名称】ニデックプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤登 孝司
【テーマコード(参考)】
2H081
【Fターム(参考)】
2H081AA43
2H081AA45
2H081BB12
2H081BB26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シャッタ羽根の開閉動作時に発生するシャッタ機構のぶれを抑制する。
【解決手段】羽根駆動装置1は、第1枠部2aおよび第2枠部2bと、第1枠部2aと第2枠部2bとに直交する第3枠部2cおよび第4枠部2dとからなり、かつ開口部2eを備える四角形のベース2と、開口部2eを開閉し、ベース2内に配置される回転可能なシャッタ羽根11,12,13,14と、シャッタ羽根11,12,13,14を回転させる駆動部と、を有する。シャッタ羽根11,12,13,14とベース2とは、第1枠部2aと第2枠部2bとに平行に延びる第1仮想線2f上で当接可能であり、かつ、第3枠部2cと第4枠部2dとに平行に延びる第2仮想線2g上で当接可能である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に設けられる第1枠部および第2枠部と、前記第1枠部と前記第2枠部とに直交し、互いに平行に設けられる第3枠部および第4枠部と、からなり、かつ、開口部を備える四角形の枠体と、
前記開口部を開閉し、前記枠体内に配置される回転可能なシャッタ羽根と、
前記シャッタ羽根を回転させる駆動部と、
を有する羽根駆動装置であって、
前記シャッタ羽根と前記枠体とは、前記第1枠部と前記第2枠部とに平行に延びる第1仮想線上で当接可能であり、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部とに平行に延びる第2仮想線上で当接可能である、羽根駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の羽根駆動装置において、
前記シャッタ羽根と前記枠体とが当接する当接部は、前記第1枠部と前記第2枠部との間の中央に位置する前記第1仮想線上に配置され、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部との間の中央に位置する前記第2仮想線上に配置される、羽根駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の羽根駆動装置において、
前記当接部は、前記第1枠部と前記第2枠部との間の中央に位置する前記第1仮想線に対して線対称の位置に存在し、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部との間の中央に位置する前記第2仮想線に対して線対称の位置に存在する、羽根駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の羽根駆動装置において、
前記シャッタ羽根は、外周部に平坦部を有し、
前記シャッタ羽根と前記枠体とは、前記当接部において前記平坦部により面接触で当接する、羽根駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の羽根駆動装置において、
前記当接部は、前記第1枠部と前記第2枠部との間の中央に位置する前記第1仮想線の両側において前記第1仮想線から等しい距離の位置に亘って配置され、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部との間の中央に位置する前記第2仮想線の両側において前記第2仮想線から等しい距離の位置に亘って配置される、羽根駆動装置。
【請求項6】
請求項1に記載の羽根駆動装置において、
前記駆動部は、
コイルと、
前記コイルが捲回され、前記コイルに印加される電流によって磁性を帯びる鉄心と、
前記鉄心が帯びる磁性に応じて回転するマグネットと、
前記マグネットに回転自在に設けられ、前記シャッタ羽根と係合し、かつ、前記シャッタ羽根を回転させる駆動ピンと、
を含む、羽根駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、羽根駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学撮像機器等に用いられる羽根駆動装置の一例として、光が通過する開口部を開閉するシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根を電磁駆動により回転させる駆動ピンと、前記駆動ピンを駆動させる電磁アクチュエータと、を有する羽根駆動装置が知られている。
【0003】
上述のような羽根駆動装置として、例えば、特許文献1には、電磁アクチュエータによるシャッタ羽根の開き動作をバネの復元力によってアシストする羽根駆動装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1に記載された羽根駆動装置においては、シャッタ羽根を含むシャッタ機構の中心から片寄った位置に電磁アクチュエータ等の駆動部が設けられている。その結果、羽根駆動装置の重心のバランスが良くない。
【0006】
したがって、上記羽根駆動装置において、シャッタ羽根の開閉動作が行われると、羽根駆動装置の重心のバランスが崩れてシャッタ機構がぶれてしまうことが懸念される。
【0007】
本発明の目的は、シャッタ羽根の開閉動作時に発生するシャッタ機構のぶれを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施様態の羽根駆動装置は、互いに平行に設けられる第1枠部および第2枠部と、前記第1枠部と前記第2枠部とに直交し、互いに平行に設けられる第3枠部および第4枠部と、からなり、かつ、開口部を備える四角形の枠体と、前記開口部を開閉し、前記枠体内に配置される回転可能なシャッタ羽根と、前記シャッタ羽根を回転させる駆動部と、を有する羽根駆動装置であって、前記シャッタ羽根と前記枠体とは、前記第1枠部と前記第2枠部とに平行に延びる第1仮想線上で当接可能であり、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部とに平行に延びる第2仮想線上で当接可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャッタ羽根の開閉動作時に発生するシャッタ機構のぶれを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】
図1Aは、羽根駆動装置におけるシャッタ羽根の開き状態を示す正面図である。
【
図2A】
図2Aは、
図1Aに示される羽根駆動装置におけるシャッタ羽根の閉じ状態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ機構の分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の開き状態における枠部との当接位置を示す正面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の閉じ状態における枠部との当接位置を示す正面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の開き状態におけるシャッタ羽根の動作位置を示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の開き状態におけるリンク用レバーの動作位置を示す正面図である。
【
図8】
図8は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の開き状態における駆動ピンの動作位置を示す正面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の閉じ状態におけるシャッタ羽根の動作位置を示す正面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の閉じ状態におけるリンク用レバーの動作位置を示す正面図である。
【
図11】
図11は、
図1に示される羽根駆動装置のシャッタ羽根の閉じ状態における駆動ピンの動作位置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一又は実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。以下の説明では、特に言及がない場合、「第1」、「第2」、「第3」および「第4」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
【0012】
図1Aは、本実施形態に係る羽根駆動装置におけるシャッタ羽根の開き状態を示す正面図、
図1Bは、
図1Aの側面図、
図1Cは、
図1Aの背面図である。
図2Aは、本実施形態に係る羽根駆動装置におけるシャッタ羽根の閉じ状態を示す正面図、
図2Bは、
図2Aの側面図、
図2Cは、
図2Aの背面図である。
図3は、本実施形態に係る羽根駆動装置におけるシャッタ機構の分解斜視図である。
【0013】
<羽根駆動装置の概要>
本実施形態の羽根駆動装置1の用途は特に限定されない。羽根駆動装置1は、例えば、赤外線カメラなどの光学撮像機器に搭載可能である。羽根駆動装置1は、例えば、赤外線を検出可能な赤外線センサを備えた赤外線カメラにおいて、赤外線の進入を遮断もしくは許容する装置として用いられる。赤外線を検出する際には、赤外線の進入を許容し、赤外線センサが高温になることを抑制する際には、赤外線の進入を遮断する。上述のような赤外線カメラでは、赤外線の検出によって赤外線センサが発熱すると、画像が徐々にぼやけてくる。その際、羽根駆動装置1によって赤外線の進入を一時的に遮断することで、赤外線センサをリセットし、画像のぼやけを解消することができる。
【0014】
<羽根駆動装置の構成>
羽根駆動装置1は、
図1A、
図1B、
図1C、
図2A、
図2Bおよび
図1Cに示されるように、互いに平行に設けられる第1枠部2aおよび第2枠部2bと、第1枠部2aと第2枠部2bとに直交し、かつ、互いに平行に設けられる第3枠部2cおよび第4枠部2dと、からなる四角形のベース(枠体)2を有する。
図3に示されるように、ベース2は、箱型であり、外周に4つの側壁2hを備えている。4つの側壁2hの表面側に第1枠部2a、第2枠部2b、第3枠部2cおよび第4枠部2dが形成されている。本実施形態では、第1枠部2a側を羽根駆動装置1の上方側と定義し、第2枠部2b側を羽根駆動装置1の下方側と定義する。
【0015】
ベース2の4つの側壁2hの内側には、収容部として凹部2iが設けられている。凹部2iの底面の中央に開口部2eを備えている。開口部2eは、ベース2の表面側と背面側とを貫通させる貫通孔でもある。ベース2の第1枠部2a、第2枠部2b、第3枠部2cおよび第4枠部2dからなる四角形の枠部の四隅には、ベース2をネジ等で固定するための貫通孔2jが形成されている。
【0016】
羽根駆動装置1は、開口部2eを開閉し、かつ、ベース2内に配置される回転可能なシャッタ羽根10と、シャッタ羽根10を回転させる駆動部15と、を有する。具体的には、
図3に示されるように、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14を備えている。以降、シャッタ羽根10と言う場合、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14のことを意味する。例えば、赤外線カメラにおいては、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14の回転により、赤外線の進入を遮断もしくは許容する。
【0017】
また、ベース2の表面には、カバー3が設けられている。カバー3の内側のベース2の凹部2iには、シャッタ機構22として、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14と、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14をリンクさせるリンク用レバー5と、リンク用レバー5を介して4枚のシャッタ羽根11,12,13,14を同時に回転させる駆動部15と、が設けられている。
【0018】
4枚のシャッタ羽根11,12,13,14とリンク用レバー5とは、仕切り板4によって仕切られている。リンク用レバー5と駆動部15とは、仕切り板6によって仕切られている。カバー3および仕切り板4には、ベース2の開口部2eと同じ位置に、かつ、開口部2eと略同じ大きさの開口部3a,4aがそれぞれ設けられている。
【0019】
駆動部15は、コイルプレート8に支持されるコイル7と、コイル7が捲回され、コイル7に印加される電流によって磁性を帯びるヨーク(鉄心)16と、ヨーク16が帯びる磁性に応じて回転するマグネット17と、マグネット17に回転自在に設けられ、シャッタ羽根11,12と係合し、かつ、シャッタ羽根11,12を回転させる駆動ピン18と、を含んでいる。
【0020】
言い換えると、マグネット17が有する駆動ピン18とシャッタ羽根11,12とが係合しており、駆動ピン18の上下動によってシャッタ羽根11,12が回転する。
【0021】
コイルプレート8には、シャッタ羽根11とシャッタ羽根12のそれぞれの回転の主軸8a,8bが設けられ、さらに、リンク用レバー5の回転の主軸8cが設けられている。ベース2の凹部2iには、シャッタ羽根13とシャッタ羽根14のそれぞれの回転の主軸9a,9bを備えた羽根支持プレート9が設けられている。さらに、ベース2の凹部2iには、連結ピン19aおよび駆動ピン19bを備えたヒンジレバー19と、外部と電気的に接続可能なポゴピン21と、ポゴピン21を支持するプレート20と、が設けられている。
【0022】
ヒンジレバー19は、詳細には、一方の端部に連結ピン19aを備えており、連結ピン19aと反対側の他方の端部に駆動ピン19bを備えている。ヒンジレバー19の一方の端部は、連結ピン19aを介してリンク用レバー5と係合している。ヒンジレバー19の他方の端部は、駆動ピン19bを介してシャッタ羽根13およびシャッタ羽根14と係合している。したがって、駆動ピン19bの上下動によってシャッタ羽根13,14が回転する。
【0023】
ポゴピン21は、ユーザ等で給電を行う際にコネクタとして用いるものであり、ポゴピン21を介してコイル7に電流を印加して給電を行う。コイル7に電流が印加されると、マグネット17が回転し、マグネット17の回転により、駆動ピン18が上下動する。駆動ピン18の上下動により、リンク用レバー5が回転し、リンク用レバー5の回転によって駆動ピン19bも上下動する。
【0024】
シャッタ羽根11は、
図3および
図6に示されるように、薄板状で、かつ、L字形状の羽根部材である。シャッタ羽根11は、長孔であるガイド孔11cを有しており、このガイド孔11cで駆動ピン18と係合するとともに、主軸8aによって回転可能に支持されている。シャッタ羽根11は、外周部にベース2の枠部と当接可能な平坦部11a,11bを備えている。これにより、シャッタ羽根11は、駆動ピン18の上下動によって主軸8aを中心として回転する。
【0025】
シャッタ羽根12は、薄板状で、かつ、コの字形状の羽根部材である。シャッタ羽根12は、長孔であるガイド孔12cを有しており、このガイド孔12cで駆動ピン18と係合するとともに、主軸8bによって回転可能に支持されている。シャッタ羽根12は、外周部にベース2の枠部と当接可能な平坦部12a,12bを備えている。これにより、シャッタ羽根12は、駆動ピン18の上下動によって主軸8bを中心として回転する。
【0026】
シャッタ羽根13は、シャッタ羽根12と同様に、薄板状で、かつ、コの字形状の羽根部材である。シャッタ羽根13は、長孔であるガイド孔13cを有しており、このガイド孔13cで駆動ピン19bと係合するとともに、主軸9aによって回転可能に支持されている。シャッタ羽根13は、外周部にベース2の枠部と当接可能な平坦部13a,13bを備えている。これにより、シャッタ羽根13は、駆動ピン19bの上下動によって主軸9aを中心として回転する。
【0027】
シャッタ羽根14は、シャッタ羽根11と同様に、薄板状で、かつ、L字形状の羽根部材である。シャッタ羽根14は、長孔であるガイド孔14cを有しており、このガイド孔14cで駆動ピン19bと係合するとともに、主軸9bによって回転可能に支持されている。シャッタ羽根14は、外周部にベース2の枠部と当接可能な平坦部14a,14bを備えている。これにより、シャッタ羽根14は、駆動ピン19bの上下動によって主軸9bを中心として回転する。
【0028】
リンク用レバー5は、
図3および
図7に示されるように、薄板状で、かつ、L字形状のレバーである。リンク用レバー5は、一端に長孔5aを有し、上記一端と反対側の他端に長孔5bを有している。リンク用レバー5は、長孔5aで駆動ピン18と係合し、かつ、長孔5bで連結ピン19aと係合する。リンク用レバー5は、主軸8cによって回転可能に支持されており、駆動ピン18の上下動によって主軸8cを中心として回転する。
【0029】
<シャッタ羽根の開き動作>
図3に示されるポゴピン21を介して駆動部15のコイル7に第1電流が印加されると、
図8に示されるように磁性を帯びたヨーク16の作用によりマグネット17が外側に向かって回転する。さらに、マグネット17の回転により、駆動ピン18が、
図6に示されるように下方(外側)に向かって移動することで、シャッタ羽根11は、主軸8aを中心として外側に向けて回転し、第2枠部2bに当接して止まる。同様に、シャッタ羽根12は、主軸8bを中心として外側に向けて回転し、第2枠部2bに当接して止まる。シャッタ羽根11とシャッタ羽根12は、
図4に示されるように、羽根の開き動作においては、第2枠部2bに対して当接部30a(30)で当接する。
【0030】
一方、
図7に示されるように、駆動ピン18と係合するリンク用レバー5は、駆動ピン18の外側への移動によって主軸8cを中心として回転する。リンク用レバー5の回転により、連結ピン19aを介してリンク用レバー5と係合するヒンジレバー19(
図3参照)が回転する。このヒンジレバー19の回転により、駆動ピン19bが、
図6に示されるように上方(外側)に向かって移動することで、シャッタ羽根13は、主軸9aを中心として外側に向けて回転し、第1枠部2aに当接して止まる。同様に、シャッタ羽根14は、主軸9bを中心として外側に向けて回転し、第1枠部2aに当接して止まる。シャッタ羽根13とシャッタ羽根14は、
図4に示されるように、羽根の開き動作においては、第1枠部2aに対して当接部30b(30)で当接する。
【0031】
以上のように、羽根の開き動作においては、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14のそれぞれが、同時に外側に向かって回転することで、ベース2の開口部2eが開いた状態となる。これにより、赤外線カメラにおいては、赤外線を通過させることができる(赤外線の進入を許容する)。
【0032】
<シャッタ羽根の閉じ動作>
図3に示されるポゴピン21を介して駆動部15のコイル7に第1電流とは異なる第2電流が印加されると、
図11に示されるように磁性を帯びたヨーク16の作用によりマグネット17が内側に向かって回転する。さらに、マグネット17の回転により、駆動ピン18が、
図9に示されるように上方(内側)に向かって移動することで、シャッタ羽根11は、主軸8aを中心としてベース2の中心に向けて回転し、第3枠部2cに当接して止まる。同様に、シャッタ羽根12は、主軸8bを中心としてベース2の中心に向けて回転し、第3枠部2cに当接して止まる。シャッタ羽根11とシャッタ羽根12は、
図5に示されるように、羽根の閉じ動作においては、第3枠部2cに対して当接部30c(30)で当接する。
【0033】
一方、
図10に示されるように、駆動ピン18と係合するリンク用レバー5は、駆動ピン18の内側への移動によって主軸8cを中心として回転する。リンク用レバー5の回転により、連結ピン19aを介してリンク用レバー5と係合するヒンジレバー19(
図3参照)が回転する。このヒンジレバー19の回転により、駆動ピン19bが、
図9に示されるように下方(内側)に向かって移動することで、シャッタ羽根13は、主軸9aを中心としてベース2の中心に向けて回転し、第4枠部2dに当接して止まる。同様に、シャッタ羽根14は、主軸9bを中心としてベース2の中心に向けて回転し、第4枠部2dに当接して止まる。シャッタ羽根13とシャッタ羽根14は、
図5に示されるように、羽根の閉じ動作においては、第4枠部2dに対して当接部30d(30)で当接する。
【0034】
以上のように、羽根の閉じ動作においては、4枚のシャッタ羽根11,12,13,14のそれぞれが、同時にベース2の中心に向かって回転することで、
図4に示されるベース2の開口部2eが閉じた状態となり、赤外線カメラにおいては、赤外線を遮断させることができる(赤外線の進入を遮断する)。
【0035】
<シャッタ羽根の当接位置>
図4に示されるように、シャッタ羽根11,12,13,14の開き動作において、シャッタ羽根11およびシャッタ羽根12は、第3枠部2cと第4枠部2dとに平行に延びる第2仮想線2g上の当接部30a(30)で第2枠部2bと当接可能に設けられている。さらに、シャッタ羽根13およびシャッタ羽根14は、第3枠部2cと第4枠部2dとに平行に延びる同一の第2仮想線2g上の当接部30b(30)で第1枠部2aと当接可能に設けられている。すなわち、シャッタ羽根11,12,13,14は、羽根の開き動作において、第3枠部2cと第4枠部2dとに平行に延びる同一の第2仮想線2g上の当接部30aおよび当接部30bでそれぞれ当接可能に設けられている。ここで、当接部30aおよび当接部30bは、ベース2の枠部において互いに対向する位置にあり、かつ、同一の第2仮想線2g上の位置である。言い換えると、シャッタ羽根11,12,13,14は、羽根の開き動作において、四角形のベース2に対して対向する2つの枠部と平行に配置された同一の第2仮想線2g上で、互いに対向する枠部と当接するように設けられている。
【0036】
一方、
図5に示されるように、シャッタ羽根11,12,13,14の閉じ動作において、シャッタ羽根11およびシャッタ羽根12は、第1枠部2aと第2枠部2bとに平行に延びる第1仮想線2f上の当接部30c(30)で第3枠部2cと当接可能に設けられている。さらに、シャッタ羽根13およびシャッタ羽根14は、第1枠部2aと第2枠部2bとに平行に延びる同一の第1仮想線2f上の当接部30d(30)で第4枠部2dと当接可能に設けられている。すなわち、シャッタ羽根11,12,13,14は、羽根の閉じ動作において、第1枠部2aと第2枠部2bとに平行に延びる同一の第1仮想線2f上の当接部30cおよび当接部30dで当接可能に設けられている。ここで、当接部30cおよび当接部30dは、ベース2の枠部において互いに対向する位置にあり、かつ、同一の第1仮想線2f上の位置である。言い換えると、シャッタ羽根11,12,13,14は、羽根の閉じ動作において、四角形のベース2に対して対向する2つの枠部と平行に配置された同一の第1仮想線2f上で、互いに対向する枠部と当接するように設けられている。
【0037】
そして、シャッタ羽根10とベース2とが当接する一方の当接部30は、第1枠部2aと第2枠部2bとの間の中央に位置する第1仮想線2f上に配置されていることが好ましい。さらに、シャッタ羽根10とベース2とが当接する他方の当接部30は、第3枠部2cと第4枠部2dとの間の中央に位置する第2仮想線2g上に配置されていることが好ましい。
【0038】
具体的には、
図4に示されるように、シャッタ羽根11,12,13,14の開き動作において、シャッタ羽根11およびシャッタ羽根12とベース2とが当接する当接部30a(上記他方の当接部30)は、第3枠部2cと第4枠部2dとの間の中央に位置する第2仮想線2g上に配置されていることが好ましい。さらに、シャッタ羽根11,12,13,14の開き動作において、シャッタ羽根13およびシャッタ羽根14とベース2とが当接する当接部30b(上記他方の当接部30)も、第3枠部2cと第4枠部2dとの間の中央に位置する第2仮想線2g上に配置されていることが好ましい。
【0039】
一方、
図5に示されるように、シャッタ羽根11,12,13,14の閉じ動作において、シャッタ羽根11およびシャッタ羽根12とベース2とが当接する当接部30c(上記一方の当接部30)は、第1枠部2aと第2枠部2bとの間の中央に位置する第1仮想線2f上に配置されていることが好ましい。さらに、シャッタ羽根11,12,13,14の閉じ動作において、シャッタ羽根13およびシャッタ羽根14とベース2とが当接する当接部30d(上記一方の当接部30)も、第1枠部2aと第2枠部2bとの間の中央に位置する第1仮想線2f上に配置されていることが好ましい。
【0040】
なお、上述のように第1仮想線2fおよび第2仮想線2gのそれぞれが、対向する枠部間の中央に配置されている場合、
図4に示されるシャッタ羽根11,12,13,14の開き動作における当接部30の位置を別の言い方で表現すると、当接部30aと当接部30bとは、第1枠部2aと第2枠部2bとの間の中央に位置する第1仮想線2fに対して線対称の位置に存在している。
【0041】
同様に、
図5に示されるシャッタ羽根11,12,13,14の閉じ動作における当接部30の位置を別の言い方で表現すると、当接部30cと当接部30dとは、第3枠部2cと第4枠部2dとの間の中央に位置する第2仮想線2gに対して線対称の位置に存在している。
【0042】
また、シャッタ羽根11,12,13,14は、それぞれの外周部に平坦部を有している。具体的には、
図4および
図5に示されるように、シャッタ羽根11は、その外周部に平坦部11aと平坦部11bを有している。シャッタ羽根12は、その外周部に平坦部12aと平坦部12bを有している。シャッタ羽根13は、その外周部に平坦部13aと平坦部13bを有している。シャッタ羽根14は、その外周部に
図3に示される平坦部14aと平坦部14bを有している。
【0043】
これにより、シャッタ羽根11とベース2とは、当接部30aにおいて平坦部11aにより面接触で当接し、かつ、当接部30cにおいて平坦部11bにより面接触で当接する。同様に、シャッタ羽根12とベース2とは、当接部30aにおいて平坦部12aにより面接触で当接し、かつ、当接部30cにおいて平坦部12bにより面接触で当接する。さらに、シャッタ羽根13とベース2とは、当接部30bにおいて平坦部13aにより面接触で当接し、かつ、当接部30dにおいて平坦部13bにより面接触で当接する。同様に、シャッタ羽根14とベース2とは、当接部30bにおいて平坦部14aにより面接触で当接し、かつ、当接部30dにおいて平坦部14bにより面接触で当接する。
【0044】
このとき
図5に示されるように、当接部30cおよび当接部30dは、第1枠部2aと第2枠部2bとの間の中央に位置する第1仮想線2fの両側において第1仮想線2fから等しい距離の位置に亘って配置されている。具体的には、当接部30cおよび当接部30dのそれぞれは、第1仮想線2fの両側において第1仮想線2fから等しい距離L1,L2の位置まで配置されており、領域M1に存在している。言い換えると、当接部30cおよび当接部30dのそれぞれの中央に第1仮想線2fが配置されている。
【0045】
一方、
図4に示されるように、当接部30aおよび当接部30bは、第3枠部2cと第4枠部2dとの間の中央に位置する第2仮想線2gの両側において第2仮想線2gから等しい距離の位置に亘って配置されている。具体的には、当接部30aおよび当接部30bのそれぞれは、第2仮想線2gの両側において第2仮想線2gから等しい距離L1,L2の位置まで配置されており、領域M1に存在している。言い換えると、当接部30aおよび当接部30bのそれぞれの中央に第2仮想線2gが配置されている。
【0046】
<実施形態の作用>
羽根駆動装置1では、シャッタ羽根10とベース2とは、
図4および
図5に示されるように、第1枠部2aと第2枠部2bとに平行に延びる第1仮想線2f上で当接可能であり、かつ、第3枠部2cと第4枠部2dとに平行に延びる第2仮想線2g上で当接可能となっている。具体的には、シャッタ羽根11,12,13,14は、羽根の開き動作において、四角形のベース2に対して対向する2つの枠部と平行に配置された同一の第2仮想線2g上の位置で、互いに対向する2つの枠部と当接するように設けられている。さらに、シャッタ羽根11,12,13,14は、羽根の閉じ動作においても、四角形のベース2に対して対向する2つの枠部と平行に配置された同一の第1仮想線2f上の位置で、互いに対向する2つの枠部と当接するように設けられている。
【0047】
したがって、羽根の開き動作と閉じ動作の両方の動作におけるシャッタ羽根10とベース2との当接時に、四角形のベース2内に収容されたシャッタ機構22において、回転モーメントが掛からないように当接させることができる。
【0048】
その結果、シャッタ羽根10の開閉動作時に発生するシャッタ機構22のぶれを抑制することができる。すなわち、羽根駆動装置1において、シャッタ羽根10の開閉動作時に回転モーメントが発生しないようにすることができ、回転モーメントによって羽根駆動装置1の重心のバランスが崩れてシャッタ機構22がぶれてしまうことを抑制できる。
【0049】
例えば、羽根駆動装置1がドローンなどの無人航空機に搭載される赤外線カメラに組み込まれる場合、無人航空機にはジンバル機構が組み込まれているため、無人航空機に搭載された赤外線カメラによって撮影している際に、羽根駆動装置1のシャッタ機構22のぶれによってジンバル機構が振動することは、赤外線カメラの撮影において好ましくない。したがって、ジンバル機構が振動しないようにするという観点から、本実施形態の羽根駆動装置1が無人航空機に搭載される赤外線カメラに組み込まれる場合には、より効果的である。
【0050】
また、シャッタ羽根10とベース2とが当接する4つの当接部30が、ベース2における対向する2つの枠部間の中央に位置する第1仮想線2f上および第2仮想線2g上に配置されることで、羽根駆動装置1に対して回転モーメントを発生させる回転成分をより少なくすることができ、シャッタ機構22のぶれをさらに抑制することができる。
【0051】
また、シャッタ羽根10とベース2とが当接する4つの当接部30のうち、対向する2つの当接部30が、ベース2における対向する2つの枠部間の中央に位置する第1仮想線2fもしくは第2仮想線2gの何れかに対して線対称の位置に存在することで、前記同様、羽根駆動装置1に対して回転モーメントを発生させる回転成分をより少なくすることができる。その結果、シャッタ機構22のぶれをさらに抑制することができる。
【0052】
また、4枚のシャッタ羽根10のそれぞれとベース2とが、4つの当接部30のそれぞれにおいて4枚のシャッタ羽根10のそれぞれの平坦部11a,11b,12a,12b,13a,13b,14a,14bにより面接触で当接することで、枠部との当接時の衝撃を当接面の広さにより分散させることができ、当接時の衝撃を緩和させることができる。これにより、シャッタ機構22のぶれを抑制することができる。さらに、面接触による当接においては、点接触による当接の場合に比べてシャッタ羽根10の摩耗を低減することができる。その結果、羽根駆動装置1の信頼性および耐久性を高めることができる。
【0053】
また、シャッタ羽根10とベース2とが当接する4つの当接部30のそれぞれが、ベース2における対向する2つの枠部間の中央に位置する第1仮想線2fまたは第2仮想線2gの何れかの両側において第1仮想線2fまたは第2仮想線2gの何れかから等しい距離の位置に亘って配置されることで、各当接部30において当接時の衝撃を仮想線の両側に均等に分散させることができる。これにより、当接部30における当接時の衝撃を緩和させることができ、シャッタ機構22のぶれを抑制することができる。
【0054】
また、羽根駆動装置1では、4つの当接部30のそれぞれにおいて、シャッタ羽根10の開閉動作を止めるストッパー部材は設けておらず、ベース2の4つの枠部のそれぞれが、シャッタ羽根10の開閉動作を止める機能を兼ね備えている。これにより、羽根駆動装置1の部品点数を削減することができ、羽根駆動装置1のコストの低減化を図ることができる。
【0055】
以上、一実施形態の羽根駆動装置1について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0056】
上記実施形態では、シャッタ羽根10とベース2とが当接する4つの当接部30が、ベース2における対向する2つの枠部間の中央に位置する第1仮想線2f上または第2仮想線2g上に配置される例について説明したが、この例に限定されることはない。例えば、第1仮想線2fおよび第2仮想線2gは、ベース2における対向する2つの枠部間の必ずしも中央に位置していなくてもよい。すなわち、第1仮想線2fおよび第2仮想線2gは、ベース2における対向する何れか2つの枠部に対して少なくとも平行であればよく、対向する2つの枠部のうちの片方の枠部により近い位置に配置されていてもよい。
【0057】
なお、本技術は、以下のような構成をとることが可能である。
【0058】
(1)互いに平行に設けられる第1枠部および第2枠部と、前記第1枠部と前記第2枠部とに直交し、互いに平行に設けられる第3枠部および第4枠部と、からなり、かつ、開口部を備える四角形の枠体と、
前記開口部を開閉し、前記枠体内に配置される回転可能なシャッタ羽根と、
前記シャッタ羽根を回転させる駆動部と、
を有する羽根駆動装置であって、
前記シャッタ羽根と前記枠体とは、前記第1枠部と前記第2枠部とに平行に延びる第1仮想線上で当接可能であり、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部とに平行に延びる第2仮想線上で当接可能である、羽根駆動装置。
【0059】
(2)前記シャッタ羽根と前記枠体とが当接する当接部は、前記第1枠部と前記第2枠部との間の中央に位置する前記第1仮想線上に配置され、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部との間の中央に位置する前記第2仮想線上に配置される、前記(1)に記載の羽根駆動装置。
【0060】
(3)前記当接部は、前記第1枠部と前記第2枠部との間の中央に位置する前記第1仮想線に対して線対称の位置に存在し、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部との間の中央に位置する前記第2仮想線に対して線対称の位置に存在する、前記(2)に記載の羽根駆動装置。
【0061】
(4)前記シャッタ羽根は、外周部に平坦部を有し、
前記シャッタ羽根と前記枠体とは、前記当接部において前記平坦部により面接触で当接する、前記(2)または前記(3)に記載の羽根駆動装置。
【0062】
(5)前記当接部は、前記第1枠部と前記第2枠部との間の中央に位置する前記第1仮想線の両側において前記第1仮想線から等しい距離の位置に亘って配置され、かつ、前記第3枠部と前記第4枠部との間の中央に位置する前記第2仮想線の両側において前記第2仮想線から等しい距離の位置に亘って配置される、前記(2)から前記(4)の何れか1つに記載の羽根駆動装置。
【0063】
(6)前記駆動部は、
コイルと、
前記コイルが捲回され、前記コイルに印加される電流によって磁性を帯びる鉄心と、
前記鉄心が帯びる磁性に応じて回転するマグネットと、
前記マグネットに回転自在に設けられ、前記シャッタ羽根と係合し、かつ、前記シャッタ羽根を回転させる駆動ピンと、
を含む、前記(1)から前記(5)の何れか1つに記載の羽根駆動装置。
【符号の説明】
【0064】
1 羽根駆動装置、2 ベース(枠体)、2a 第1枠部、2b 第2枠部、
2c 第3枠部、2d 第4枠部、2e 開口部、2f 第1仮想線、
2g 第2仮想線、2h 側壁、2i 凹部、2j 貫通孔、3 カバー、
3a 開口部、4 仕切り板、4a 開口部、5 リンク用レバー、5a 長孔、
5b 長孔、6 仕切り板、7 コイル、8 コイルプレート、8a 主軸、
8b 主軸、8c 主軸、9 羽根支持プレート、9a 主軸、9b 主軸、
10 シャッタ羽根、11 シャッタ羽根、11a 平坦部、11b 平坦部、
11c ガイド孔、12 シャッタ羽根、12a 平坦部、12b 平坦部、
12c ガイド孔、13 シャッタ羽根、13a 平坦部、13b 平坦部、
13c ガイド孔、14 シャッタ羽根、14a 平坦部、14b 平坦部、
14c ガイド孔、15 駆動部、16 ヨーク(鉄心)、17 マグネット、
18 駆動ピン、19 ヒンジレバー、19a 連結ピン、19b 駆動ピン、
20 プレート、21 ポゴピン、22 シャッタ機構、30 当接部、
30a 当接部、30b 当接部、30c 当接部、30d 当接部、L1 距離、
L2 距離、M1 領域