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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152428
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 1/01 20060101AFI20241018BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B23Q1/01 W
B23Q7/04 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066613
(22)【出願日】2023-04-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)日刊工業新聞 令和4年11月7日付第2部,第11面 (2)第31回日本国際工作機械見本市(開催日:令和4年11月8日~11月13日)
(71)【出願人】
【識別番号】509060730
【氏名又は名称】株式会社サワイリエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】澤入 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】庵原 聡
【テーマコード(参考)】
3C033
3C048
【Fターム(参考)】
3C033HH13
3C033HH14
3C048AA01
3C048BC03
3C048CC04
3C048DD10
(57)【要約】
【課題】設置スペースを小さくすることができるとともに、移載装置によるワークの移載動作と加工装置によるワークの加工動作の同期を精度よく且つ良好に行わせることができる加工システムを提供する。
【解決手段】載置手段1に対してワークWを搬入及び搬出する移載装置2と、移載装置2を搬入位置と前記搬出位置との間で移動させるラックアンドピニオン機構と、載置手段1の加工領域に載置されたワークWを切削加工可能な加工ヘッド3aを有した加工装置3とを備えた加工システムであって、加工装置3は、ラックアンドピニオン機構にて移動可能とされるとともに、加工装置3がラックアンドピニオン機構で移動することにより加工ヘッド3aを同方向に移動させて加工領域のワークWを加工するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを載置可能な載置手段と、
前記載置手段に対して前記ワークを搬入及び搬出するとともに、前記載置手段に前記ワークを搬入する搬入位置と前記載置手段から前記ワークを搬出させる搬出位置との間を移動可能とされた移載装置と、
前記移載装置を前記搬入位置と前記搬出位置との間で移動させる移動手段と、
前記載置手段の加工領域に載置された前記ワークを切削加工可能な加工ヘッドを有した加工装置と、
を備えた加工システムであって、
前記加工装置は、前記移動手段にて移動可能とされるとともに、前記加工装置が前記移動手段によって移動することにより前記加工ヘッドを同方向に移動させて前記加工領域の前記ワークを加工することを特徴とする加工システム。
【請求項2】
前記加工装置は、前記加工領域に対して前記加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向に移動可能とされるとともに、前記加工装置が前記移動手段によって移動することにより前記加工ヘッドをX軸方向に移動させることを特徴とする請求項1記載の加工システム。
【請求項3】
前記移動手段は、前記載置手段に延設されたラックと、前記加工装置及び移載装置にそれぞれ形成されたピニオンとを有するラックアンドピニオン機構から成ることを特徴とする請求項1記載の加工システム。
【請求項4】
前記移動手段は、前記載置手段に延設されたボールネジと、前記加工装置及び移載装置にそれぞれ形成されたナットを有するボールネジ機構から成ることを特徴とする請求項1記載の加工システム。
【請求項5】
前記ボールネジ機構は、固定状態の前記ボールネジに対して前記ナットを回転駆動させることにより前記加工装置及び移載装置を移動可能とすることを特徴とする請求項4記載の加工システム。
【請求項6】
前記移載装置は、前記載置手段に複数配設され、前記ワークを移載するとき、前記ワークの長手方向の寸法に応じて互いに離間して配置されるとともに、前記加工装置による加工が行われるとき、互いに近接して配置されることを特徴とする請求項1記載の加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置部にワークを搬入及び搬出する載置部と、載置部に載置されたワークを加工するための加工装置とを有する加工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、NC加工装置は、ワーク(素材)に対して所定の加工を施すための加工ヘッドを有した加工装置と、ワークを載置可能な載置部とを有しており、クランプ手段等により載置部上のワークを位置決め固定した後、加工装置の加工ヘッドをX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向に移動させることにより加工ヘッドに取り付けられた切削具にてワークに対する切削加工が行われていた。
【0003】
また、載置部には、ワークを位置決めしつつ保持する治具が載置され、その治具によって載置部の加工領域に位置決め固定されたワークに対して加工装置が所望の加工を行うよう構成されている。さらに、多関節ロボット等の移載装置を配設し、移載装置とNC加工装置とを同期させてワークの搬入及び搬出と、ワークの加工とを協働して行わせる加工システムが普及しており、加工の自動化が図られている。なお、かかる先行技術は、文献公知発明に係るものでないため、記載すべき先行技術文献情報はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の加工システムにおいては、ワークを移載する移載装置と、ワークを加工する加工装置とが別個独立して設置されていたため、比較的広い設置スペースが必要とされてしまうとともに、移載装置によるワークの移載動作と加工装置によるワークの加工動作との同期を精度よく且つ良好に行わせるのが困難とされていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、設置スペースを小さくすることができるとともに、移載装置によるワークの移載動作と加工装置によるワークの加工動作の同期を精度よく且つ良好に行わせることができる加工システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、ワークを載置可能な載置手段と、前記載置手段に対して前記ワークを搬入及び搬出するとともに、前記載置手段に前記ワークを搬入する搬入位置と前記載置手段から前記ワークを搬出させる搬出位置との間を移動可能とされた移載装置と、前記移載装置を前記搬入位置と前記搬出位置との間で移動させる移動手段と、前記載置手段の加工領域に載置された前記ワークを切削加工可能な加工ヘッドを有した加工装置とを備えた加工システムであって、前記加工装置は、前記移動手段にて移動可能とされるとともに、前記加工装置が前記移動手段によって移動することにより前記加工ヘッドを同方向に移動させて前記加工領域の前記ワークを加工することを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の加工システムにおいて、前記加工装置は、前記加工領域に対して前記加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向に移動可能とされるとともに、前記加工装置が前記移動手段によって移動することにより前記加工ヘッドをX軸方向に移動させることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の加工システムにおいて、前記移動手段は、前記載置手段に延設されたラックと、前記加工装置及び移載装置にそれぞれ形成されたピニオンとを有するラックアンドピニオン機構から成ることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の加工システムにおいて、前記移動手段は、前記載置手段に延設されたボールネジと、前記加工装置及び移載装置にそれぞれ形成されたナットを有するボールネジ機構から成ることを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の加工システムにおいて、前記ボールネジ機構は、固定状態の前記ボールネジに対して前記ナットを回転駆動させることにより前記加工装置及び移載装置を移動可能とすることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の加工システムにおいて、前記移載装置は、前記載置手段に複数配設され、前記ワークを移載するとき、前記ワークの長手方向の寸法に応じて互いに離間して配置されるとともに、前記加工装置による加工が行われるとき、互いに近接して配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、加工装置は、移動手段にて移動可能とされるとともに、加工装置が移動手段によって移動することにより加工ヘッドを同方向に移動させて加工領域のワークを加工するので、移動手段の構成部品を共用させることができ、設置スペースを小さくすることができるとともに、移載装置によるワークの移載動作と加工装置によるワークの加工動作の同期を精度よく良好に行わせることができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、加工装置は、加工領域に対して加工ヘッドをY軸方向及びZ軸方向に移動可能とされるとともに、加工装置が移動手段によって移動することにより加工ヘッドをX軸方向に移動させるので、加工ヘッドのX軸方向の移動を移動手段による加工装置の移動によって実行させることができ、加工装置の構成を簡素化することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、移動手段は、載置手段に延設されたラックと、加工装置及び移載装置にそれぞれ形成されたピニオンとを有するラックアンドピニオン機構から成るので、ラックアンドピニオン機構による加工装置及び移載装置の円滑な移動を行わせることができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、移動手段は、載置手段に延設されたボールネジと、加工装置及び移載装置にそれぞれ形成されたナットを有するボールネジ機構から成るので、ボールネジ機構による加工装置及び移載装置の円滑な移動を行わせることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、ボールネジ機構は、固定状態のボールネジに対してナットを回転駆動させることにより加工装置及び移載装置を移動可能とするので、加工装置及び移載装置のそれぞれのナットを独立して回転駆動させることができ、加工装置と移載装置とを別個独立して移動させることができる。
【0017】
請求項6の発明によれば、移載装置は、載置手段に複数配設され、ワークを移載するとき、ワークの長手方向の寸法に応じて互いに離間して配置されるとともに、加工装置による加工が行われるとき、互いに近接して配置されるので、加工装置による加工時、移載装置をコンパクトに退避させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態に係る加工システムを示す正面側から見た斜視図
図2】同加工システムを示す背面側から見た斜視図
図3】同加工システムを示す平面図
図4】同加工システムを示す背面図
図5】同加工システムにおける移載装置を示す斜視図
図6】同加工システムにおける移載装置を示す正面図
図7】同加工テーブルにおける加工装置を示す斜視図
図8】同加工システムにおける加工装置を示す正面図
図9】同加工システムにおける加工装置及び移載装置の位置関係(移載装置によるワークの搬入時又は搬出時)を示す模式図
図10】同加工システムにおける加工装置及び移載装置の位置関係(加工装置によるワークの加工時)を示す模式図
図11】本発明の他の実施形態に係る加工システムを示す背面図
図12】本発明のさらに他の実施形態に係る加工システムを示す斜視図
図13】同加工システムにおける移載装置を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る加工システムは、ワークを所望の加工具(刃具)にて切削加工可能なもので、図1~4に示すように、箱状に形成された載置手段1と、多関節ロボットから成る移載装置2と、NC加工(Numeric Control milling)装置から成る加工装置3と、ラック4及びピニオン5で構成された移動手段とを有して構成されている。
【0020】
載置手段1は、移載装置2で搬入されたワークW(素材)を載置可能なもので、長手方向に複数のクランプ装置11を具備している。ワークWは、長尺状の金属製部材から成り、移載装置2により載置手段1内の加工位置に搬入され、クランプ装置11により固定された後、加工装置3により任意の切削加工され得るようになっている。また、本実施形態に係る載置手段1は、その長手方向に沿ってラック4と上下一対のガイドレール6とがそれぞれ取り付けられており、ラック4を介して移載装置2及び加工装置3が移動可能に取り付けられている。なお、ラック4には、ピニオン5及びピニオン8と噛み合う歯部が形成されている。
【0021】
移載装置2は、載置手段1に対してワークWを搬入及び搬出するとともに、載置手段1にワークWを搬入する搬入位置と載置手段1からワークWを搬出させる搬出位置との間を移動可能とされている。また、本実施形態に係る移載装置2は、図5、6に示すように、取付台D1に取り付けられたロボット部2a及び挟持部2bを有した多関節ロボットから成り、予め記憶されたデータに基づいてロボット部2a及び挟持部2bが動作してワークWを挟持及び搬送して載置手段1に対する搬入及び搬出が可能とされている。
【0022】
さらに、取付台D1には、載置手段1に形成されたラック4に噛み合って組付けられるピニオン5と、載置手段1に形成されたガイドレール6に嵌合して摺動可能な案内部7とが取り付けられている。ピニオン5は、取付台D1に取り付けられたモータ(不図示)により回転駆動可能とされており、ピニオン5及びラック4によりラックアンドピニオン機構が構成されている。
【0023】
移動手段は、ラックアンドピニオン機構から成り、移載装置2を搬入位置と搬出位置との間で移動させよう構成されている。すなわち、ピニオン5が予め記憶されたデータに基づいて所定方向に所定回転数駆動することにより、取付台D1が載置手段1のX軸方向に対して移動し、移載装置2が搬入位置及び搬出位置の間を任意タイミングで移動可能とされているのである。
【0024】
また、ガイドレール6及び案内部7によりLMガイドが構成されており、ピニオン5の回転駆動に伴って取付台D1が移動する際、ガイドレール6に対して案内部7が嵌合しつつ摺動することにより、移載装置2がX方向に対して円滑に案内されるようになっている。なお、本実施形態に係る取付台D1には、載置手段1の背面に取り付けられたガイドレール6に嵌合した案内部7に加え、載置手段1の上面に形成された別個のガイドレールR(図2参照)に嵌合した案内部Jが取り付けられており、ピニオン5の回転駆動に伴って取付台D1が移動する際、案内部Jによっても案内されるよう構成されている。
【0025】
加工装置3は、例えばCADデータ等の製品データから得られる制御プログラムに基づいて数値制御可能な自動切削加工機から成り、載置手段1の加工領域に載置されたワークWを切削加工可能なもので、図7、8に示すように、ドリル等の任意の切削刃具Tが取り付けられる加工ヘッド3aと、加工ヘッド3aが取り付けられた本体部3bと、複数種類の切削刃具を保持したツールストック部10とを有して構成されている。
【0026】
加工ヘッド3aは、本体部3b上に配設されるとともに、制御プログラムに基づいてZ軸方向に移動可能とされている。また、本体部3bは、取付台D2上に配設されるとともに、制御プログラムに基づいてY軸方向に移動可能とされている。したがって、加工ヘッド3aは、制御プログラムに基づいて取付台D2に対してZ軸方向及びY軸方向に移動可能とされており、加工ヘッド3aに取り付けられた切削刃具Tを同方向(すなわち、Z軸方向及びY軸方向)に移動可能とされている。
【0027】
さらに、取付台D2は、載置手段1に形成されたラック4に噛み合って組付けられるピニオン8と、載置手段1に形成されたガイドレール6に嵌合して摺動可能な案内部9とが取り付けられている。ピニオン8は、取付台D2に取り付けられたモータ(不図示)により回転駆動可能とされており、ピニオン8及びラック4によりラックアンドピニオン機構が構成されている。
【0028】
ここで、本実施形態に係る加工装置3は、ラックアンドピニオン機構から成る移動手段にて移動可能とされるとともに、加工装置3が移動手段によって移動することにより加工ヘッド3aを同方向に移動させて加工領域のワークWを加工するよう構成されている。すなわち、本実施形態に係る加工装置3は、加工領域に対して加工ヘッド3aをY軸方向及びZ軸方向に移動可能とされるとともに、加工装置3が移動手段によって移動することにより加工ヘッド3aをX軸方向に移動させることにより、制御プログラムに基づいて切削刃具Tを3次元的に移動して切削加工可能とされているのである。
【0029】
よって、移載装置2の移動手段であるラック4を共用して加工装置3を移動させることができるとともに、加工装置3のX軸方向の移動のための別個の駆動機構を不要とすることができる。なお、本実施形態においては、加工ヘッド3aにツールストック部10が取り付けられて所謂ツールチェンジャが構成されており、任意タイミングで切削刃具Tを交換可能とされている。
【0030】
また、ガイドレール6及び案内部9によりLMガイドが構成されており、ピニオン8の回転駆動に伴って取付台D2が移動する際、ガイドレール6に対して案内部9が嵌合しつつ摺動することにより、加工装置3がX方向に対して円滑に案内されるようになっている。なお、本実施形態に係る取付台D2には、載置手段1の背面に取り付けられたガイドレール6に嵌合した案内部9に加え、載置手段1の上面に形成された別個のガイドレールR(図2参照)に嵌合した案内部Hが取り付けられており、ピニオン8の回転駆動に伴って取付台D2が移動する際、案内部Hによっても案内されるよう構成されている。
【0031】
さらに、上記実施形態に係る加工システムは、移載装置2が載置手段1に複数配設され、ワークWを移載するとき、ワークWの長手方向の寸法に応じて互いに離間して配置されるとともに、加工装置3による加工が行われるとき、互いに近接して配置されるよう構成されている。例えば、ワークWを加工領域に搬入する際、図9に示すように、加工装置3が退避領域(同図左隅の領域)に位置するとともに、移載装置2がワークWの長さ寸法に応じて互いに離間した位置とされ、ワークWを載置手段1に搬入する。
【0032】
その後、図10に示すように、移載装置2が退避領域(同図右隅の領域)まで移動するとともに、加工装置3が加工領域まで移動し、切削刃具Tにて所望の切削加工を行う。このとき、退避領域に位置する移載装置2は、互いに近接して配置されており、占有領域を小さくすることができるとともに、切削加工する加工装置3との干渉が確実に回避できるようになっている。なお、加工装置3による加工が終了すると、図9に示すように、再び加工装置3が退避領域に移動し、移載装置2が移動してワークWを加工領域から搬出可能とされている。
【0033】
上記実施形態によれば、加工装置3は、移動手段(ラックアンドピニオン機構)にて移動可能とされるとともに、加工装置3が移動手段によって移動することにより加工ヘッド3aを同方向(X軸方向)に移動させて加工領域のワークWを加工するので、移動手段の構成部品(本実施形態においてはラック4)を共用させることができ、設置スペースを小さくすることができるとともに、移載装置2によるワークWの移載動作と加工装置3によるワークWの加工動作の同期を精度よく良好に行わせることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る加工装置3は、加工領域に対して加工ヘッド3aをY軸方向及びZ軸方向に移動可能とされるとともに、加工装置3が移動手段(ラックアンドピニオン機構)によって移動することにより加工ヘッド3aをX軸方向に移動させるので、加工ヘッド3aのX軸方向の移動を移動手段による加工装置3の移動によって実行させることができ、加工装置3の構成を簡素化することができる。
【0035】
さらに、本実施形態に係る移動手段は、載置手段1に延設されたラック4と、加工装置3及び移載装置2にそれぞれ形成されたピニオン(5、8)とを有するラックアンドピニオン機構から成るので、ラックアンドピニオン機構による加工装置3及び移載装置2の円滑な移動を行わせることができる。
【0036】
またさらに、本実施形態に係る移載装置2は、載置手段1に複数配設され、ワークWを移載するとき、ワークWの長手方向の寸法に応じて互いに離間して配置されるとともに、加工装置3による加工が行われるとき、互いに近接して配置されるので、加工装置3による加工時、移載装置2をコンパクトに退避させることができる。なお、本実施形態においては、移載装置2が2つ配設されているが、3つ以上或いは単独で載置手段1に配設するようにしてもよい。
【0037】
次に、本発明の他の実施形態に係る加工システムについて説明する。
本実施形態に係る加工システムは、先の実施形態と同様、ワークを所望の加工具(刃具)にて切削加工可能なもので、図11に示すように、箱状に形成された載置手段1と、多関節ロボットから成る移載装置2と、NC加工(Numeric Control milling)装置から成る加工装置3と、ボールネジ12及びナット(13,14)で構成された移動手段とを有して構成されている。なお、先の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0038】
本実施形態に係る載置手段1は、その長手方向に沿ってボールネジ12と上下一対のガイドレール6とがそれぞれ取り付けられており、ボールネジ12を介して移載装置2及び加工装置3が移動可能に取り付けられている。なお、ボールネジ12には、取付台D1に取り付けられたナット13及び取付台D2に取り付けられたナット14とそれぞれ螺合するオネジ部が形成されている。
【0039】
さらに、本実施形態に係るナット(13、14)は、取付台D1、D2にそれぞれ配設されたモータ(不図示)により回転駆動可能とされており、これらナット(13、14)がそれぞれ独立して回転駆動することにより、制御プログラムに基づいて移載装置2及び加工装置3が移動可能とされている。すなわち、本実施形態に係る移動手段は、載置手段1に延設されたボールネジ12と、加工装置3及び移載装置2にそれぞれ形成されたナット(13、14)を有するボールネジ機構から成るとともに、ボールネジ機構は、固定状態のボールネジ12に対してナット(13、14)を回転駆動させることにより加工装置3及び移載装置2を移動可能とされているのである。
【0040】
本実施形態によれば、移動手段は、載置手段1に延設されたボールネジ12と、加工装置3及び移載装置2にそれぞれ形成されたナット(13、14)を有するボールネジ機構から成るので、ボールネジ機構による加工装置3及び移載装置2の円滑な移動を行わせることができる。また、ボールネジ機構は、固定状態のボールネジ12に対してナット(13、14)を回転駆動させることにより加工装置3及び移載装置2を移動可能とするので、加工装置3及び移載装置2のそれぞれのナット(13、14)を独立して回転駆動させることができ、加工装置3と移載装置2とを別個独立して移動させることができる。
【0041】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば移載装置は、多関節型ロボットに限定されず、載置手段1に対してワークWを搬入及び搬出するとともに、載置手段1にワークWを搬入する搬入位置と載置手段1からワークWを搬出させる搬出位置との間を移動可能とされたものであれば足り、例えば図12、13に示すような移載装置15としてもよい。
【0042】
かかる移載装置15は、取付台D1に取り付けられたローダ・アンローダから成り、図13に示すように、取付台D1上に配設された本体部15aと、本体部15aに対して摺動可能な摺動部15bと、摺動部15bの先端に形成された挟持部15cとを有して構成されており、摺動部15bで移動した挟持部15cにてワークWを挟持しつつ任意位置まで搬送可能とされている。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本実施形態と同趣旨の加工システムであれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等に適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 載置手段
2 移載装置(多関節ロボット)
2a ロボット部
2b 挟持部
3 加工装置(NC加工装置)
3a 加工ヘッド
3b 本体部
4 ラック
5 ピニオン
6 ガイドレール
7 案内部
8 ピニオン
9 案内部
10 ツールストック部
11 クランプ装置
12 ボールネジ
13、14 ナット
15 移載装置(ローダ・アンローダ)
D1、D2 取付台
T 切削刃具
H、J 案内部
R ガイドレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13