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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152444
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】コイル体、電機子及び回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/26 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
H02K3/26 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066640
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立石 祐介
(72)【発明者】
【氏名】牧田 真治
(72)【発明者】
【氏名】小出 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】林 祐史
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603BB01
5H603BB09
5H603BB14
5H603CA01
5H603CA05
5H603CC14
5H603CC17
5H603CD25
5H603CE06
(57)【要約】
【課題】体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図る。
【解決手段】コイル体32は、基板34と、複数のコイル部16と、を備えている。基板34は、絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されている。複数のコイル部16は、導電性の材料を用いて基板34上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部16Bを有している。一の層の基板34上に形成された導体部16Bと他の層の基板34上に形成された導体部16Bとが周方向に沿って交互に配置されている。また、一の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bと他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bとが周方向に重なっている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されたベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部(16B)を有し、一の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と他の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部とが周方向に沿って交互に配置されていると共に一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記導体部と他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記導体部とが周方向に重なっている構成となっている複数のコイル部(16)と、
を備えたコイル体(32)。
【請求項2】
軸方向に隣り合う一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部及び他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部の構成であって、
一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部のパターンと他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部のパターンとが一致している請求項1に記載のコイル体。
【請求項3】
軸方向に隣り合う一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部及び他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部の構成であって、
一の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の周方向への幅寸法(W1)が、他の層の前記ベース部材側へ向かうにつれて次第に小さくなっており、
他の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の周方向への幅寸法が、一の層の前記ベース部材側へ向かうにつれて次第に小さくなっている請求項1に記載のコイル体。
【請求項4】
軟磁性材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の磁性体部(150)をさらに備えた請求項1に記載のコイル体。
【請求項5】
一の層の前記ベース部材上において周方向に隣接する前記導体部の間には、空隙が形成されており、
前記空隙の径方向外側の部分の周方向への幅寸法が、前記空隙の径方向内側の部分の周方向への幅寸法に対して大きな寸法に設定されている請求項1に記載のコイル体。
【請求項6】
一の層の前記ベース部材及び他の層の前記ベース部材からは、複数の前記コイル部とつながっている接続部(17)がそれぞれ延出しており、
一の層の前記ベース部材及び他の層の前記ベース部材からそれぞれ延出する前記接続部が軸方向に並んでいる請求項1に記載のコイル体。
【請求項7】
複数の前記コイル部のうちの一部は、一の相の前記コイル部を構成しており、
複数の前記コイル部のうちの他の一部は、他の相の前記コイル部を構成しており、
同じ相の前記コイル部の前記導体部が、軸方向に並んで配置されている請求項1に記載のコイル体。
【請求項8】
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されたベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部(16B)を有する複数のコイル部(16)と、
軟磁性材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成された複数の磁性体部(150)と、
を備え、
一の層の前記ベース部材上に形成された前記磁性体部と他の層の前記ベース部材上に形成された前記磁性体部とが、周方向の同じ位置に配置されているコイル体(32)。
【請求項9】
請求項1に記載のコイル体を備えた電機子(14)。
【請求項10】
軟磁性材料を用いて環状に形成された電機子コア(26)をさらに備え、
前記コイル体は、前記電機子コアに沿って配置されており、
前記電機子コアと対向して配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と前記電機子コアとが凹凸嵌合している請求項9に記載の電機子。
【請求項11】
軟磁性材料を用いて環状に形成された電機子コア(26)をさらに備え、
前記コイル体は、前記電機子コアに沿って配置されており、
前記電機子コアと対向して配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と前記電機子コアに形成された凸部とが凹凸嵌合しており、
前記電機子コアと対向して凹凸嵌合している前記導体部の周方向への幅寸法が、前記電機子コアの前記凸部の周方向への幅寸法よりも小さな寸法に設定されている請求項9に記載の電機子。
【請求項12】
軟磁性材料を用いて環状に形成された電機子コア(26)をさらに備え、
前記電気子コアには、前記コイル体側へ向けて突出する複数のティース部(26B)が形成され、
前記ベース部材には、複数の前記ティース部がそれぞれ挿入される複数のティース部挿入孔(34H)が形成されている請求項9に記載の電機子。
【請求項13】
請求項9~請求項12のいずれか1項に記載の電機子を含んで構成された固定子(14)及び回転子(12)の一方と、
前記コイル体と軸方向に対向して配置されたマグネット(18)を有する固定子及び回転子の他方と、
を備えた回転電機(10)。
【請求項14】
前記コイル体と前記マグネットとが対向する軸方向への前記導体部の寸法を厚み寸法(T1)とした場合に、
前記マグネット側に配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の厚み寸法が、前記マグネットとは反対側に配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の厚み寸法よりも小さな寸法に設定されている請求項13に記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コイル体、電機子及び回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、モータ等の回転電機に用いられる回転電機用コイルが開示されている。この文献に記載された回転電機用コイルは、円板状に形成された複数層のコイルプレート要素を備えており、これらのコイルプレート要素には、所定の配線パターンが形成されている。また、これらのコイルプレート要素同士は、中間部において離間しつつ内周部および外周部において接合されることで、所定のコイル巻線パターンを有するコイルプレートを構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-061357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、回転電機の体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることが望まれているが、上記特許文献1に記載された構成にはこの点で改善の余地がある。
【0005】
上記事実を考慮し、体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることを本開示が解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するコイル体(32)は、絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されたベース部材(34)と、導電性の材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部(16B)を有し、一の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と他の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部とが周方向に沿って交互に配置されていると共に一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記導体部と他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記導体部とが周方向に重なっている構成となっている複数のコイル部(16)と、を備えている。
また、コイル体(32)は、絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されたベース部材(34)と、導電性の材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部(16B)を有する複数のコイル部(16)と、軟磁性材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成された複数の磁性体部(150)と、を備え、一の層の前記ベース部材上に形成された前記磁性体部と他の層の前記ベース部材上に形成された前記磁性体部とが、周方向の同じ位置に配置されている。
また、電機子(14)は、上記コイル体を備えている。
また、回転電機(10)は、上記電機子を含んで構成された固定子(14)及び回転子(12)の一方と、上記コイル体と軸方向に対向して配置されたマグネット(18)を有する固定子及び回転子の他方と、を備えている。
【0007】
この様に構成することで、体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態のモータを示す斜視図であり、モータの一部を切断して示している。
図2】第1実施形態のモータを分解して示す分解斜視図であり、一部の部品を切断して示している。
図3】コイル体を分解して示す分解斜視図であり、コイル体の一部を切断して示している。
図4】コイル体を模式的に示す平面図である。
図5】スター結線を説明する図である。
図6】一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部等を模式的に示す平面図である。
図7】第1実施形態のモータのコイル部において、特定の層の基板の一部及び当該基板上に形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
図8】第1実施形態のモータのコイル部において、複数の層の基板の一部及び複数の層の基板上にそれぞれ形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
図9】第2実施形態のモータのコイル体を分解して示す分解斜視図であり、コイル体の一部を切断して示している。
図10】第2実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図である。
図11】第2実施形態のモータの一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部等を模式的に示す平面図である。
図12】第2実施形態のモータのコイル部において、特定の層の基板の一部及び当該基板上に形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
図13】第2実施形態のモータのコイル部において、複数の層の基板の一部及び複数の層の基板上にそれぞれ形成されたコイル部の断面を示す断面図である。
図14】第3実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図15】第4実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図16】第5実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図17】第6実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図18】第7実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図19】第8実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図20】第9実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図である。
図21】第10実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図である。
図22】第10実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図23】第10実施形態のモータのコイル体の一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部及び軟磁性部等を模式的に示す平面図である。
図24】第10実施形態のモータのコイル体の一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部及び軟磁性部を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図25】第11実施形態のモータのステータを模式的に示す平面図である。
図26】第11実施形態のモータのステータを軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図27】第11実施形態のモータのコイル体の一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部等を模式的に示す平面図である。
図28】第12実施形態のモータのコイル体を模式的に示す平面図である。
図29】第12実施形態のモータのコイル体の一の基板及び一の基板上に形成されたコイル部等を模式的に示す平面図である。
図30】第13実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図31】第14実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図32】第15実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図33】第16実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図34】第17実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図35】第18実施形態のモータのコイル体を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図である。
図36】第19実施形態のモータのコイル体の一部を構成する一の層の基板の一方側の面上に形成されたコイル部のみを示す平面図である。
図37】第20実施形態のモータのコイル体の一部を構成する一の層の基板及び当該基板上に形成されたコイル部を示す部分断面斜視図である。
図38】第21実施形態のモータのコイル体を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態のモータの構成)
図1図8を用いて本開示の第1実施形態に係るモータ10の構成について説明する。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、後述するロータ12の回転軸方向一方側、回転径方向外側及び回転周方向一方側をそれぞれ示すものとする。また、以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、ロータ12の回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。また、モータ10及び後述する各実施形態のモータは、回転電機の一例である。
【0010】
図1及び図2に示されるように、モータ10は、回転子としてのロータ12と電機子及び固定子としてのステータ14とが軸方向に対向して配置されたアキシャルギャップ型のブラシレスモータである。なお、図1及び図2に示された図は、一例として示したモータ10等の図であり、後の説明とコイル部16の数やマグネット18の数、細部の形状が互いに一致していない箇所がある。
【0011】
ロータ12は、図示しない一対のベアリングを介して回転可能に支持された回転軸22と、回転軸22に固定されたロータコア24と、ロータコア24の軸方向他方側の面に固定された複数のマグネット18と、を含んで構成されている。なお、一対のベアリングは、フレーム21及びフレームエンド23にそれぞれ支持されている。フレーム21とフレームエンド23との間には、ステータ14等が収容される。
【0012】
ロータコア24は、円筒状に形成されていると共に回転軸22が圧入等により固定される第1円筒部24Aと、第1円筒部24Aの軸方向一方側の端部から径方向外側に向けて延在する円板部24Bと、を備えている。円板部24Bは、軸方向を厚み方向とする円板状に形成されている。この円板部24Bの軸方向他方側の面には、後述するマグネット18が固定されている。
【0013】
複数のマグネット18は、固有保磁力Hcが400[kA/m]以上かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上の磁性化合物を用いて形成されている。一例として、マグネット18は、NdFe11TiN、NdFe14B、SmFe17、FeNi等の磁性化合物を用いて形成されている。また、複数のマグネット18が、ロータコア24の円板部24Bの軸方向他方側の面に固定されている。また、軸方向他方側の面がN極とされたマグネット18と軸方向他方側の面がS極とされたマグネット18とは、周方向に交互に配列されている。なお、マグネット18の数は、モータ10に要求される出力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0014】
ステータ14は、環状に形成された電機子コアとしてのステータコア26と、ステータコア26の軸方向一方側の面に沿って配置されたコイル体32と、を備えている。本実施形態のステータ14は、コイル体32の一部を構成するコイル部16の間にステータコア26の一部が配置されないティースレス構造となっている。
【0015】
ステータコア26は、鋼材等の軟磁性材料を用いて形成されている。このステータコア26は、軸方向を厚み方向とする板状に形成されていると共に軸方向から見て環状に形成されている。このステータコア26は、ロータ12と同軸上に配置されており、ステータコア26の径方向の中心位置とロータコア24に固定された複数のマグネット18の径方向の中心位置とは径方向に一致している。
【0016】
図3に示されるように、コイル体32は、絶縁性の材料を用いてシート状に形成されたベース部材としての複数の基板34と、複数の基板34上にそれぞれ形成された複数のコイル部16と、を含んで構成されている。
【0017】
基板34は、軸方向を厚み方向とする板状に形成されていると共に軸方向から見て環状に形成されている。なお、基板34は、その厚み方向に湾曲させることが可能なフレキシブル基板であってもよいし、その厚み方向に湾曲させることが不能な基板であってもよい。そして、本実施形態のコイル体32では、複数の基板34が軸方向に積層された構成となっている。
【0018】
図3及び図4に示されるように、複数のコイル部16は複数の基板34上にそれぞれ形成されている。そして、複数の基板34が軸方向に積層されることで、複数のコイル部16が周方向及び軸方向の所定の位置に配置されるようになっている。
【0019】
ここで、図5に示されるように、U相を構成する複数のコイル部16(U相のコイル群42U)と、V相を構成する複数のコイル部16(V相のコイル群42V)と、W相を構成する複数のコイル部16(W相のコイル群42W)と、がスター結線で結線されている。すなわち、U相のコイル群42Uにおいて電源に接続される入力部43とは反対側の端部と、V相のコイル群42Vにおいて電源に接続される入力部43とは反対側の端部と、W相のコイル群42Wにおいて電源に接続される入力部43とは反対側の端部と、が中性点44において接続されている。
【0020】
図6には、1層目の基板34及び当該基板34上に形成された複数のコイル部16が示されている。ここで、1層目の基板34上には、U相を構成する20個のコイル部16、V相を構成する20個のコイル部16及びW相を構成する20個のコイル部16が形成されている。なお、以下の説明において、U相を構成するコイル部16をコイル部16Uと呼ぶ場合がある。また、V相を構成するコイル部16をコイル部16Vと呼ぶ場合がある。また、W相を構成するコイル部16をコイル部16Wと呼ぶ場合がある。また、以下の説明において、U相を構成する20個のコイル部16をそれぞれコイル部16U1~コイル部16U20と呼ぶ場合がある。また、V相を構成する20個のコイル部16をそれぞれコイル部16V1~コイル部16V20と呼ぶ場合がある。また、W相を構成する20個のコイル部16をそれぞれコイル部16W1~コイル部16W20と呼ぶ場合がある。
【0021】
詳述すると、コイル部16U1は、周方向一方側へ向かうにつれて径方向内側へ傾斜している第1延在部A1と、第1延在部A1における周方向一方側の端から径方向内側に向けて伸びる第2延在部A2と、を備えている。また、コイル部16U1は、第2延在部A2における第1延在部A1とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向内側へ傾斜している第3延在部A3と、第3延在部A3における第2延在部A2とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜している第4延在部A4と、を備えている。さらに、コイル部16U1は、第4延在部A4における第3延在部A3とは反対側の端から径方向外側へ向けて伸びる第5延在部A5と、第5延在部A5における第4延在部A4とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜している第6延在部A6と、を備えている。なお、以下の説明においては、第1延在部A1~第6延在部A6を導体部16Bと呼ぶ場合がある。本構成のコイル体32では、導体部16Bが周方向に規則的に並んで配置された構成となっている。
【0022】
ここで、第1延在部A1、第2延在部A2及び第3延在部A3は、基板34の一方側の面34A(ステータコア26側の面)側に形成されている。また、第4延在部A4、第5延在部A5及び第6延在部A6は、基板34の他方側の面34B(ステータコア26とは反対側の面)側に形成されている。第3延在部A3と第4延在部A4とは、一例として図示しないビアやスルーホール等を介して電気的に接続されている。なお、図6では、コイル部16U1において基板34の一方側の面34Aに形成されている部分を実線で示している。また、コイル部16U1において基板34の他方側の面34Bに形成されている部分を破線で示している。
【0023】
また、以上説明した第2延在部A2及び第5延在部A5を鉛直部36と呼ぶ場合がある。また、第1延在部A1及び第6延在部A6を一方のコイルエンド部である外側コイルエンド部38Aと呼び、第3延在部A3及び第4延在部A4を他方のコイルエンド部である内側コイルエンド部38Bと呼ぶ場合がある。そして、1つのコイル部16が第1延在部A1~第6延在部A6を有することにより、1つのコイル部16U1を基板34の厚み方向から見た形状が基板34の径方向外側が開放されかつ径方向内側が閉止された略V字(U字)形状になっている。
【0024】
U相を構成する他のコイル部16U2~コイル部16U20もコイル部16U1と同様に構成されている。すなわち、U相を構成する全てのコイル部16がほぼ同一の構成となっている。
【0025】
コイル部16U1と接続されたコイル部16U2は、コイル部16U1に対して周方向一方側に配置されている。また、コイル部16U2と接続されたコイル部16U3は、コイル部16U2に対して周方向一方側に配置されている。また、コイル部16U3と接続されたコイル部16U4は、コイル部16U3に対して周方向一方側に配置されている。また、コイル部16U4と接続されたコイル部16U5は、コイル部16U4に対して周方向一方側に配置されている。ここで、コイル部16U5の第6延在部A6とコイル部16U1の第1延在部U1とは、軸方向から見て交差している。これにより、コイル部16U5においてコイル部16U6に接続される側の端部が、コイル部16U1における入力部43側の端部に対して周方向一方側に位置している。
【0026】
また、コイル部16U5と接続されたコイル部16U6は、コイル部16U5に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U1と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U6と接続されたコイル部16U7は、コイル部16U6に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U2と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U7と接続されたコイル部16U8は、コイル部16U7に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U3と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U8と接続されたコイル部16U9は、コイル部16U8に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U4と周方向に隣り合って配置されている。また、コイル部16U9と接続されたコイル部16U10は、コイル部16U9に対して周方向一方側に配置されていると共にコイル部16U5と周方向に隣り合って配置されている。コイル部16U10におけるコイル部16U9とは反対側の端部は中性点44となっている。
【0027】
コイル部16U1~コイル部16U10と並列で接続されるコイル部16U11~コイル部16U20は、コイル部16U1~コイル部16U10と同様に構成されている。コイル部16U11~コイル部16U20は、コイル部16U1~コイル部16U10に対してそれぞれ周方向一方側に36°オフセットして配置されている。これにより、コイル部16U11~コイル部16U20の鉛直部36とコイル部16U1~コイル部16U10の鉛直部36とが、周方向の同じ位置に配置されている。
【0028】
なお、図面に符号を付した詳細な説明は省略するが、V相を構成するコイル部16V1~コイル部16V20は、U相を構成するコイル部16U1~コイル部16U20と同様の構成となっている。V相を構成するコイル部16V1~コイル部16V20は、U相を構成するコイル部16U1~コイル部16U20に対して周方向他方側に12°オフセットして配置されている。また、W相を構成するコイル部16W1~コイル部16W20は、U相を構成するコイル部16U1~コイル部16U20と同様の構成となっている。W相を構成するコイル部16W1~コイル部16W20は、V相を構成するコイル部16V1~コイル部16V20に対して周方向他方側に12°オフセットして配置されている。
【0029】
1層目の基板34と重ねられる2層目の基板34及び2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16も1層目の基板34及び1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16と同様の構成となっている。本実施形態では、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16のパターンと2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16のパターンとが一致している。2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16は、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16に対して周方向他方側に6°オフセットして配置されている。そして、1層目の基板34と2層目の基板34とが軸方向に重ねられることで、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16及び2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16が、周方向及び軸方向の所定の位置に配置される。
【0030】
ここで、図4には、1層目の基板34と2層目の基板34とが重ねられた状態を模式的に示す図が示されている。この図においては、1層目の基板34と2層目の基板34との間に配置されるコイル部16の各部を実線で示しており、それ以外のコイル部16の各部を破線で示している。この図に示されるように、1層目の基板34上に形成されたコイル部16の各部と2層目の基板34上に形成されたコイル部16の各部とは、周方向に沿って交互に配置されると共に周方向重なっている。なお、この点については、より簡略された図7及び図8を用いて後に詳述する。
【0031】
なお、3層目の基板34及び4層目の基板34も、1層目の基板34と2層目の基板34との関係と同様の関係で積層される。また、5つ(3層)以上の基板34を有する構成においても、1層目の基板34と2層目の基板34との関係と同様の関係で積層される。コイル体32の積層数(基板34の積層数)は、モータ10に要求される出力等を考慮して適宜設定すればよい。
【0032】
図7及び図8には、コイル体32の一部を軸方向及び周方向に沿って切断した断面が示されている。詳述すると、図7には、特定の層の基板34の一部及び当該基板34上に形成されたコイル部16(導体部16B)の断面が示されている。また、図8には、複数の層の基板34の一部及び複数の層の基板34上にそれぞれ形成されたコイル部16(導体部16B)の断面が示されている。なお、図7及び図8においては断面のハッチングを省略している。図7及び図8に示されるように、本実施形態では、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bと他の層の基板34上に形成された導体部16Bとが周方向に沿って交互に配置される。また、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bと他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bとが周方向に重なっている。また、図4図6図7及び図8に示されるように、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、同じ相のコイル部16の導体部16B(鉛直部36)が、軸方向に並んで配置されている。
【0033】
また、本実施形態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、他の層の基板34側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。また、他の層の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、一の層の基板34側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。
【0034】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態のモータ10の作用並びに効果について説明する。
【0035】
図1図2図4図5に示されるように、本実施形態のモータ10では、ステータ14の一部を構成するU相のコイル群42U、V相のコイル群42V、W相のコイル群42Wへの通電が切り替えられることで、ステータ14に回転磁界が生じる。これにより、ロータ12が回転する。
【0036】
ここで、コイル体32は、複数の基板34と、複数の基板34上にそれぞれ形成された複数のコイル部16と、を含んで構成されている。そして、複数の基板34が軸方向に積層されることで、複数のコイル部16が周方向及び軸方向の所定の位置に配置される。この構成により、コイル体32の軸方向への体格の大型化を抑制することができる。その結果、モータ10の体格の大型化を抑制することができる。
【0037】
また、図8に示されるように、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bと他の層の基板34上に形成された導体部16Bとが周方向に沿って交互に配置される。また、一の層の基板34と他の層の基板34とが軸方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bと他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bとが周方向に重なっている。これにより、本実施形態のモータ10のコイル体32では、占積率を上げることが可能となっている。その結果、モータ10の体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることができる。
【0038】
また、本実施形態のモータ10のコイル体32では、基板34上における導体部16Bの周方向への間隔を広くとることができる。これにより、例えば、エッチング処理を施すことにより基板34上に導体部16Bを形成する製法を採用した場合において、導体部16Bの厚みの制限を少なくすることができる。これにより、導体部16Bの厚みを厚くすることが可能となり、これによってもコイル体32の占積率を上げることができる。なお、プレス成型によって形成された導体部16Bを基板34上に固定した構成としてもよい。プレス成型によって導体部16Bを形成する場合においては、導体部16Bを形成する金型パンチ強度を確保する為に、周方向に隣接する導体部16B間の狭小隙間に限界があり占積率を犠牲にせざるを得ない場合がある。しかしながら、本実施形態では、基板34上における導体部16Bの周方向への間隔を広くとる構成となっているため、このような問題は生じ難い。
【0039】
また、本実施形態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、他の層の基板34側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。また、他の層の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、一の層の基板34側へ向かうにつれて次第に小さくなっている。これにより、一の層の基板34と他の層の基板34とを重ね合わせる際に、一の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bの間に他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bを配置させ易くすることができる。また、本実施形態では、各層の基板34上に形成された複数のコイル部16のパターンが互いに一致している。これにより、各層の基板34毎にコイル部16のパターンを設定することを不要にすることができる。
【0040】
(第2実施形態)
図9図13を用いて、第2実施形態のモータについて説明する。なお、第2実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10と対応する部材及び部分には、モータ10と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0041】
図9図10図11及び図12は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図3図4図6及び図7とそれぞれ対応する図である。これらの図に示されるように、本実施形態のモータでは、基板34の一方側の面34Aに形成された鉛直部36と基板34の他方側の面34Bに形成された鉛直部36とが、周方向にオフセットして配置されていることを除いては、前述の第1実施形態のモータ10と同様に構成されている。
【0042】
図13は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図8と対応する図である。この図に示されるように、一の層の基板34と他の層の基板34とが径方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された導体部16Bと他の層の基板34上に形成された導体部16Bとが周方向に沿って交互に配置される。また、一の層の基板34と他の層の基板34とが径方向に積層された状態では、一の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bと他の層の基板34上に形成された複数の導体部16Bとが周方向に重なっている。これにより、本実施形態のモータのコイル体32においても、前述のモータ10と同様に、占積率を上げることができる。
【0043】
(第3実施形態)
図14を用いて、第3実施形態のモータについて説明する。なお、第3実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0044】
図14には、第3実施形態のモータのステータ14を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図が示されている。この図に示されるように、ステータ14の一部を構成するコイル体32の構成は、前述の第2実施形態のモータのコイル体32と同様の構成となっている。
【0045】
ここで、本実施形態のモータのステータ14では、ステータコア26と対向して配置された層の基板34上に形成された導体部16Bとステータコア26とが凹凸嵌合している。詳述すると、ステータコア26におけるコイル体32側の面には、軸方向一方側へ向けて突出する複数の嵌合凸部26Aが形成されている。そして、これらの嵌合凸部26Aは、ステータコア26と対向して配置された層の基板34上に形成された一対の導体部16Bの間にそれぞれ嵌合している。このように構成することで、コイル体32のステータコア26に対する固定を行うことができる。また、複数の嵌合凸部26Aをティースのように機能させることができる。なお、ティースとは、ステータコアの一部分のことであり、導電性の巻線が巻回されることによってコイルが形成される構成においては当該ステータコアの一部分のまわりにコイルが形成される。また、本実施形態のモータのステータ14では、ステータコア26と対向して配置された層の基板34上に形成された導体部16Bがステータコア26の軸方向一方側の部分に入り込んだ状態となることにより、ステータコア26の軸方向一方側の面からコイル体32の軸方向一方側の面までの距離が長くなることを抑制することができる。
【0046】
(第4実施形態)
図15を用いて、第4実施形態のモータについて説明する。なお、第4実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0047】
図15には、第4実施形態のモータのステータ14を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図が示されている。この図に示されるように、ステータ14の構成は、後述する点を除いては前述の第3実施形態のモータのステータ14と同様の構成となっている。
【0048】
第4実施形態のモータのコイル体32では、ステータコア26と凹凸嵌合している導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、ステータコア26と凹凸嵌合していない導体部16Bの周方向への幅寸法W1よりも小さな寸法に設定されている。具体的には、基板34におけるステータコア26側の面上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、基板34におけるステータコア26とは反対側の面上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1よりも小さい寸法に設定されている。また、嵌合凸部26Aの周方向への幅寸法W2が、前述の第3実施形態のモータの嵌合凸部26Aの周方向への幅寸法よりも大きな寸法に設定されている。また、ステータコア26と凹凸嵌合している導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、嵌合凸部26Aの周方向への幅寸法W2よりも小さな寸法に設定されている。このように構成することで、第4実施形態のモータのステータ14では、第3実施形態のモータのステータ14と比べて、マグネット18とステータコア26との間の磁気ギャップG1を短縮した効果が得られる。これにより、モータの出力を向上させることができる。
【0049】
(第5実施形態)
図16を用いて、第5実施形態のモータについて説明する。なお、第5実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0050】
図16には、第5実施形態のモータのステータ14を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図が示されている。この図に示されるように、ステータ14の一部を構成するコイル体32の構成は、前述の第1実施形態のモータ10のコイル体32と同様の構成となっている。また、ステータ14の一部を構成するステータコア26の構成は、前述の第3実施形態のモータのステータコア26と同様の構成となっている。
【0051】
以上説明した第5実施形態のモータのステータ14においても、前述の第3実施形態のモータのステータ14と同様の効果を得ることができる。
【0052】
(第6実施形態)
図17を用いて、第6実施形態のモータについて説明する。なお、第6実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0053】
図17には、第6実施形態のモータのステータ14を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図が示されている。この図に示されるように、ステータ14の一部を構成するコイル体32では、最もステータコア26側に配置された基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1が、それ以外の基板34上に形成された導体部16Bの周方向への幅寸法W1よりも小さな寸法に設定されている。また、ステータ14の一部を構成するステータコア26の構成は、前述の第4実施形態のモータのステータコア26と同様の構成となっている。
【0054】
以上説明した第6実施形態のモータのステータ14においても、前述の第4実施形態のモータのステータ14と同様の効果を得ることができる。
【0055】
(第7実施形態)
図18を用いて、第7実施形態のモータについて説明する。なお、第7実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0056】
図18には、第7実施形態のモータのステータ14を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図が示されている。この図に示されるように、ステータ14の一部を構成するコイル体32の構成は、後述する点を除いては前述の第2実施形態のモータのコイル体32と同様の構成となっている。
【0057】
本実施形態のモータのコイル体32では、マグネット18側に配置された層の基板34上に形成された導体部16Bの厚み寸法T1が、マグネット18とは反対側に配置された層の基板34上に形成された導体部16Bの厚み寸法T1よりも小さな寸法に設定されている。なお、導体部16Bの厚み寸法T1とは、コイル体32とマグネット18とが対向する方向(軸方向)への導体部16Bの寸法のことである。
【0058】
本実施形態のモータのコイル体32では、5枚の基板34が軸方向に積層された構成となっている。ここで、5枚の基板34をステータコア26側からマグネット18側へかけて順番に1層目の基板34、2層目の基板34、3層目の基板34、4層目の基板34、5層目の基板34と呼ぶことにする。
【0059】
2層目の基板34と3層目の基板34との間に配置された導体部16Bの厚み寸法T1は、1層目の基板34と2層目の基板34との間に配置された導体部16Bの厚み寸法T1よりも小さな寸法に設定されている。また、3層目の基板34と4層目の基板34との間に配置された導体部16Bの厚み寸法T1は、2層目の基板34と3層目の基板34との間に配置された導体部16Bの厚み寸法T1よりも小さな寸法に設定されている。また、4層目の基板34と5層目の基板34との間に配置された導体部16Bの厚み寸法T1は、3層目の基板34と4層目の基板34との間に配置された導体部16Bの厚み寸法T1よりも小さな寸法に設定されている。ここで、図18に示された矢印T2は鎖交磁束を表しており、矢印T3は漏れ磁束を表している。漏れ磁束T3が周方向に鎖交するマグネット18側の層の基板34上に形成された導体部16Bの厚み寸法T1を小さくすることにより、いわゆる渦損を低減することができる。また、周方向鎖交磁束の少ないマグネット18とは反対側の層の基板34上に形成された導体部16Bの厚み寸法T1を大きくすることにより、いわゆる直流損を低減することができる。
【0060】
(第8実施形態)
図19を用いて、第8実施形態のモータについて説明する。なお、第8実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0061】
図19には、第8実施形態のモータのステータ14を軸方向及び周方向に沿って切断した断面の模式図が示されている。この図に示されるように、ステータ14の一部を構成するコイル体32の基本的な構成は、前述の第1実施形態のモータ10のコイル体32と同様の構成となっている。また、本実施形態のモータのコイル体32では、各導体部16Bの厚み寸法T1が前述の第7実施形態のモータのコイル体32と同様の寸法に設定されている。
【0062】
以上説明した本実施形態のモータのコイル体32においても、第7実施形態のモータのコイル体32と同様の効果を得ることができる。
【0063】
(第9実施形態)
図20を用いて、第9実施形態のモータについて説明する。なお、第9実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0064】
図20は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図4と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、以下の点を除いては第1実施形態のモータ10のコイル体32と同様の構成となっている。本実施形態のモータのコイル体32では、1層目の基板34上に形成されたU相の複数のコイル部16と2層目の基板34上に形成されたU相の複数のコイル部16とが、繋ぎ線47を介して接続されている。また、1層目の基板34上に形成されたV相の複数のコイル部16と2層目の基板34上に形成されたV相の複数のコイル部16とが、繋ぎ線47を介して接続されている。また、1層目の基板34上に形成されたW相の複数のコイル部16と2層目の基板34上に形成されたW相の複数のコイル部16とが、繋ぎ線47を介して接続されている。これにより、本実施形態のモータのコイル体32では、第1実施形態のモータ10のコイル体32と比べてターン数を増加させた効果を得ることができる。
【0065】
(第10実施形態)
図21図24を用いて、第10実施形態のモータについて説明する。なお、第10実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0066】
図21図24に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、基板34上に磁性体部としての軟磁性部150が形成されていることに特徴がある。なお、図21及び図23は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図4及び図6とそれぞれ対応する図である。
【0067】
図23には、1層目の基板34、当該基板34上に形成された複数のコイル部16及び当該基板34上に形成された複数の軟磁性部150が示されている。軟磁性部150は、軟磁性材料を用いてコイル部16と同様のパターンで基板34上に形成されている。なお、軟磁性部150にはコイル部16のように電流が流されることは無い。
【0068】
詳述すると、軟磁性部150は、周方向一方側へ向かうにつれて径方向内側へ傾斜している第1延在部B1と、第1延在部B1における周方向一方側の端から径方向内側に向けて伸びる第2延在部B2と、を備えている。また、軟磁性部150は、第2延在部B2における第1延在部B1とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向内側へ傾斜している第3延在部B3と、第3延在部B3における第2延在部B2とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜している第4延在部B4と、を備えている。さらに、軟磁性部150は、第4延在部B4における第3延在部B3とは反対側の端から径方向外側へ向けて伸びる第5延在部B5と、第5延在部B5における第4延在部B4とは反対側の端から周方向一方側へ向かうにつれて径方向外側へ傾斜している第6延在部B6と、を備えている。
【0069】
ここで、第1延在部B1、第2延在部B2及び第3延在部B3は、基板34の一方側の面34B(ステータコア26側の面)側に形成されている。また、第4延在部B4、第5延在部B5及び第6延在部B6は、基板34の他方側の面34B(ステータコア26とは反対側の面)側に形成されている。第3延在部B3と第4延在部B4とは、一例として図示しないビアやスルーホール等を介して電気的に接続されている。なお、図23では、軟磁性部150において基板34の一方側の面34Bに形成されている部分を実線で示している。また、軟磁性部150において基板34の他方側の面34Bに形成されている部分を破線で示している。
【0070】
そして、各々の軟磁性部150の第1延在部B1、第2延在部B2及び第3延在部B3は、周方向に隣り合う一のコイル部16の第1延在部A1、第2延在部A2及び第3延在部A3と他のコイル部16の第1延在部A1、第2延在部A2及び第3延在部A3との間に配置されている。また、各々の軟磁性部150の第4延在部B4、第5延在部B5及び第6延在部B6は、周方向に隣り合う一のコイル部16の第4延在部A4、第5延在部A5及び第6延在部A6と他のコイル部16の第4延在部A4、第5延在部A5及び第6延在部A6との間に配置されている。
【0071】
1層目の基板34と重ねられる2層目の基板34、2層目の基板34上に形成された複数のコイル部16及び2層目の基板34上に形成された複数の軟磁性部150も1層目の基板34、1層目の基板34上に形成された複数のコイル部16及び1層目の基板34上に形成された複数の軟磁性部150と同様の構成となっている。
【0072】
図21及び図22には、1層目の基板34と2層目の基板34とが重ねられた状態を模式的に示す図が示されている。これらの図に示されるように、1層目の基板34上に形成されたコイル部16の各部と2層目の基板34上に形成されたコイル部16の各部とは、周方向に沿って交互に配置されると共に周方向重なっている。また、1層目の基板34上に形成された軟磁性部150の各部と2層目の基板34上に形成された軟磁性部150の各部とは、周方向に沿って交互に配置されると共に周方向重なっている。
【0073】
以上説明した本実施形態のコイル体32においても占積率を上げることができる。これにより、モータの体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることができる。また、本実施形態のコイル体32を含んで構成されたステータ14では、各軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0074】
(第11実施形態)
図25図27を用いて、第11実施形態のモータについて説明する。なお、第11実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0075】
図25及び図26に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、ステータコア26に形成された複数のティース部26Bがコイル体32の一部を構成する複数の基板34に挿入されていることに特徴がある。なお、図25及び後の説明で用いる図27は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図4及び図6とそれぞれ対応する図である。
【0076】
詳述すると、ステータコア26は、軸方向を厚み方向とする板状に形成されていると共に軸方向から見て環状に形成された環状部26Cと、環状部26Cからコイル体32側(軸方向一方側)へ向けて突出すると共に周方向に等間隔に配置された複数のティース部26Bと、を備えている。複数のティース部26Bは、直方体状に形成されている。また、複数のティース部26Bを軸方向一方側から見た形状は、径方向を長手方向とする矩形状となっている。
【0077】
図27には、1層目の基板34及び当該基板34上に形成された複数のコイル部16が示されている。この図に示されるように、基板34には、複数のティース部26B(図25参照)と対応する数の複数のティース部挿入孔34Hが形成されている。ティース部挿入孔34Hを軸方向一方側から見た形状は、径方向を長手方向とする矩形状となっている。なお、1層目の基板34と同様に、他の層の基板34にも複数のティース部挿入孔34Hが形成されている。
【0078】
そして、複数のティース部26Bが、複数の基板34に形成された複数のティース部挿入孔34Hにそれぞれ挿入された状態で、コイル体32がステータコア26に支持されている。
【0079】
以上説明した本実施形態のステータ14のコイル体32においても占積率を上げることができる。これにより、モータの体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることができる。また、本実施形態のステータ14では、複数のティース部26Bが複数のティース部挿入孔34Hにそれぞれ挿入されることで、コイル体32のステータコア26に対する周方向への回り止めをすることができる。
【0080】
(第12実施形態)
図28及び図29を用いて、第12実施形態のモータについて説明する。なお、第12実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0081】
図28及び図29は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図4及び図6とそれぞれ対応する図である。これらの図に示されるように、本実施形態のモータのコイル体32は、コイル部16の第1延在部A1、第2延在部A2及び第3延在部A3と対応する部分が直線状となっていると共に第4延在部A4、第5延在部A5及び第6延在部A6と対応する部分が直線状となっていることを除いては、前述の第1実施形態のモータ10と同様に構成されている。本実施形態のモータのコイル体32においても占積率を上げることができる。これによりモータ10の体格の増加を抑制しつつ高効率化や高トルク化を図ることができる。
【0082】
(第13実施形態)
図30を用いて、第13実施形態のモータについて説明する。なお、第13実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0083】
図30は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図8と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、最もステータコア26側に配置された1層目の基板34上に軟磁性部150が形成されていることを除いては第1実施形態のモータ10のステータ14と同様に構成されている。軟磁性部150は、1層目の基板34の一方側の面34A上に形成されている。そして、1層目の基板34の一方側の面34A上においては、コイル部16の導体部16Bと軟磁性部150とが周方向に沿って交互に配置されている。
【0084】
以上説明した本実施形態のモータのステータ14においても前述の第10実施形態のモータのステータ14と同様に軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0085】
(第14実施形態)
図31を用いて、第14実施形態のモータについて説明する。なお、第14実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0086】
図31は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図8と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、ステータコア26側から数えて奇数層目の基板34上に形成されたコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっていることを除いては第1実施形態のモータ10のステータ14と同様に構成されている。本実施形態のモータのステータ14では、一の層の基板34上に形成された各軟磁性部150と他の層の基板34上に形成された各軟磁性部150とが、それぞれ周方向の同じ位置に配置されている。これにより、一の層の基板34上に形成された各軟磁性部150と他の層の基板34上に形成された各軟磁性部150とが、それぞれ軸方向に積層された構成となっている。
【0087】
以上説明した本実施形態のモータのステータ14においても前述の第10実施形態のモータのステータ14と同様に軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0088】
(第15実施形態)
図32を用いて、第15実施形態のモータについて説明する。なお、第15実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0089】
図32は、第14実施形態のモータの説明で用いた図31と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、ステータコア26側から数えて偶数層目の基板34上に形成された一部のコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっていることを除いては第14実施形態のモータのステータ14と同様に構成されている。本実施形態のモータのステータ14では、奇数層の一の層の基板34上に形成された各軟磁性部150と奇数層の他の層の基板34上に形成された各軟磁性部150とが、それぞれ周方向の同じ位置に配置されている。また、本実施形態のモータのステータ14では、偶数層の一の層の基板34上に形成された各軟磁性部150と偶数層の他の層の基板34上に形成された各軟磁性部150とが、それぞれ周方向の同じ位置に配置されている。さらに、奇数層の基板34上に形成された各軟磁性部150と偶数層の基板34上に形成された各軟磁性部150とが、それぞれ周方向に隣り合って配置されている。
【0090】
以上説明した本実施形態のモータのステータ14においても前述の第10実施形態のモータのステータ14と同様に軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0091】
(第16実施形態)
図33を用いて、第16実施形態のモータについて説明する。なお、第16実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0092】
図33は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図8と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、ステータコア26側から数えて奇数層目の基板34上に形成された一部のコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっていることを除いては第1実施形態のモータ10のステータ14と同様に構成されている。本実施形態のモータのステータ14では、1層目と5層目の基板34における他方側の面34B上に形成されたコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっている。また、本実施形態のモータのステータ14では、3層目と7層目の基板34における一方側の面34A上に形成されたコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっている。
【0093】
以上説明した本実施形態のモータのステータ14においても前述の第10実施形態のモータのステータ14と同様に軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0094】
(第17実施形態)
図34を用いて、第17実施形態のモータについて説明する。なお、第17実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0095】
図34は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図8と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、ステータコア26側から数えて1層目~3層目の基板34上に形成された一部のコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっていることを除いては第1実施形態のモータ10のステータ14と同様に構成されている。本実施形態のモータのステータ14では、1層目~3層目の基板34における他方側の面34B上に形成されたコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっている。
【0096】
以上説明した本実施形態のモータのステータ14においても前述の第10実施形態のモータのステータ14と同様に軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0097】
(第18実施形態)
図35を用いて、第18実施形態のモータについて説明する。なお、第18実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0098】
図35は、第1実施形態のモータ10の説明で用いた図8と対応する図である。この図に示されるように、本実施形態のモータのステータ14は、ステータコア26側から数えて1層目、2層目、3層目、4層目及び6層目の基板34上に形成された一部又は全部のコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっていることを除いては第1実施形態のモータ10のステータ14と同様に構成されている。本実施形態のモータのステータ14では、1層目及び3層目の基板34上に形成された全てのコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっている。また、本実施形態のモータのステータ14では、2層目、4層目及び6層目の基板34上に形成された一部のコイル部16の導体部16Bが軟磁性部150に置き換わっている。また、1層目及び3層目の基板34上に形成された軟磁性部150は軸方向に積層されており、2層目、4層目及び6層目の基板34上に形成された軟磁性部150は軸方向に積層されている。さらに、1層目及び3層目の基板34上に形成された軟磁性部150は、2層目、4層目及び6層目の基板34上に形成された軟磁性部150に対して周方向の両側に配置されている。
【0099】
以上説明した本実施形態のモータのステータ14においても前述の第10実施形態のモータのステータ14と同様に軟磁性部150をティースのように機能させることができる。
【0100】
(第19実施形態)
図36を用いて、第19実施形態のモータについて説明する。なお、第19実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0101】
図36には、第19実施形態のモータのコイル体32の一部を構成する一の層の基板34の一方側の面34A上に形成されたコイル部16のみが示されている。この図に示されるように、本実施形態では、導体部16Bの径方向外側の部分の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向内側の部分の周方向への幅寸法に対して大きな寸法に設定されている。また、周方向に隣接する導体部16Bの間には空隙152が形成されており、この空隙152の径方向外側の部分の周方向への幅寸法W3が、空隙152の径方向内側の部分の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。
【0102】
詳述すると、導体部16Bの径方向外側の部分を構成する第1延在部A1の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向内側の部分を構成する第3延在部A3の周方向への幅寸法W1に対して大きな寸法に設定されている。また、導体部16Bの径方向外側の部分を構成する第1延在部A1の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向の中間部分を構成する第2延在部A2の周方向への幅寸法W1に対して大きな寸法に設定されている。さらに、導体部16Bの径方向の中間部分を構成する第2延在部A2の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向内側の部分を構成する第3延在部A3の周方向への幅寸法W1に対して大きな寸法に設定されている。なお、幅寸法W1とは、導体部16Bを軸方向及び周方向に沿って切断した断面における周方向一方側の端から他方側の端までの寸法のことである。また、第1延在部A1の周方向への幅寸法W1は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、第2延在部A2の周方向への幅寸法W1は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、第3延在部A3の周方向への幅寸法W1は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。
【0103】
また、周方向に隣接する導体部16Bの第1延在部A1間の空隙152の周方向への幅寸法W3が、周方向に隣接する導体部16Bの第3延在部A3間の空隙152の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第1延在部A1間の空隙152の周方向への幅寸法W3が、周方向に隣接する導体部16Bの第2延在部A2間の空隙152の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。さらに、周方向に隣接する導体部16Bの第2延在部A2間の空隙152の周方向への幅寸法W3が、周方向に隣接する導体部16Bの第3延在部A3間の空隙152の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第1延在部A1間の空隙152の周方向への幅寸法W3は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第2延在部A2間の空隙152の周方向への幅寸法W3は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第3延在部A3間の空隙152の周方向への幅寸法W3は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。
【0104】
なお、図示は省略するが、導体部16Bの径方向外側の部分を構成する第6延在部A6の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向内側の部分を構成する第4延在部A4の周方向への幅寸法W1に対して大きな寸法に設定されている。また、導体部16Bの径方向外側の部分を構成する第6延在部A6の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向の中間部分を構成する第5延在部A5の周方向への幅寸法W1に対して大きな寸法に設定されている。さらに、導体部16Bの径方向の中間部分を構成する第5延在部A5の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向内側の部分を構成する第4延在部A4の周方向への幅寸法W1に対して大きな寸法に設定されている。また、第6延在部A6の周方向への幅寸法W1は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、第5延在部A5の周方向への幅寸法W1は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、第4延在部A4の周方向への幅寸法W1は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。
【0105】
また、周方向に隣接する導体部16Bの第6延在部A6間の空隙152の周方向への幅寸法W3が、周方向に隣接する導体部16Bの第4延在部A4間の空隙152の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第6延在部A6間の空隙152の周方向への幅寸法W3が、周方向に隣接する導体部16Bの第5延在部A5間の空隙152の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。さらに、周方向に隣接する導体部16Bの第5延在部A5間の空隙152の周方向への幅寸法W3が、周方向に隣接する導体部16Bの第4延在部A4間の空隙152の周方向への幅寸法W3に対して大きな寸法に設定されている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第6延在部A6間の空隙152の周方向への幅寸法W3は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第5延在部A5間の空隙152の周方向への幅寸法W3は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。また、周方向に隣接する導体部16Bの第4延在部A4間の空隙152の周方向への幅寸法W3は、径方向外側へ向かうにつれて次第に大きくなっている。
【0106】
以上説明したように、本実施形態では、導体部16Bの径方向外側の部分の周方向への幅寸法W1が、導体部16Bの径方向内側の部分の周方向への幅寸法に対して大きな寸法に設定されている。これにより、導体部16Bの径方向外側の部分の周方向への幅寸法W1と導体部16Bの径方向内側の部分の周方向への幅寸法とが同じ寸法に設定されている場合と比べて、コイル体32の占積率を向上させることができる。
【0107】
(第20実施形態)
図37を用いて、第20実施形態のモータについて説明する。なお、第20実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0108】
図37には、第20実施形態のモータのコイル体32の一部を構成する一の層の基板34及び当該基板34上に形成されたコイル部16が示されている。この図に示されるように、本実施形態では、導体部16Bの一部を構成する第1延在部A1から第2延在部A2にかけての範囲が軸方向視でインボリュート曲線に沿う形状に形成されている。また、導体部16Bの一部を構成する第6延在部A6から第5延在部A5にかけての範囲が軸方向視でインボリュート曲線に沿う形状に形成されている。これにより、本実施形態では、導体部16Bにおける上記の部位がインボリュート曲線に沿わない形状に形成されている構成と比べて、コイル体32の占積率を向上させることができる。
【0109】
(第21実施形態)
図38を用いて、第21実施形態のモータについて説明する。なお、第21実施形態のモータにおいて既に説明したモータ10等と対応する部材及び部分には、モータ10等と対応する部材及び部分と同じ符号を付して、その説明を省略することがある。
【0110】
図38には、コイル体32を模式的に示す斜視図が示されている。この図に示されるように、本実施形態では、積層された各基板34からそれぞれ径方向外側へ向けて接続部17が延出している。これらの接続部17は、互いに周方向の一カ所に集中するように配置されていると共に軸方向に並んでいる。なお、接続部17とは、基板34上に形成された各コイル部16とつながっている部分であり、一例として前述の入力部43や中性点44のことである。本実施形態では、これらの接続部17を周方向の一カ所に集中するように配置すると共に軸方向に並んでいる構成とすることで、各接続部17間の結線を容易にすることができる。なお、これらの接続部17が互いに周方向にオフセットしている構成としてもよい。
【0111】
以上、本開示の各実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。また、以上説明した各実施形態の構成の全部又は一部は、互いに組み合わせることができる。
【0112】
例えば、モータ10等の用途に応じて適宜選択すればよい。また、モータ10等の構成は、発電機に適用してもよい。また、モータ10等の構成は、ロータ12がステータ14の径方向外側に配置されたアウタロータ型のブラシレスモータにも適用することができる。また、コイル体32を含んで構成されたロータにも、本開示の構成を適用することができる。
【0113】
<付記>
(付記1)
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されたベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部(16B)を有し、一の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と他の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部とが周方向に沿って交互に配置されていると共に一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記導体部と他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記導体部とが周方向に重なっている構成となっている複数のコイル部(16)と、
を備えたコイル体(32)。
(付記2)
軸方向に隣り合う一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部及び他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部の構成であって、
一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部のパターンと他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部のパターンとが一致している付記1に記載のコイル体。
(付記3)
軸方向に隣り合う一の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部及び他の層の前記ベース部材上に形成された複数の前記コイル部の構成であって、
一の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の周方向への幅寸法(W1)が、他の層の前記ベース部材側へ向かうにつれて次第に小さくなっており、
他の層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の周方向への幅寸法が、一の層の前記ベース部材側へ向かうにつれて次第に小さくなっている付記1又は付記2に記載のコイル体。
(付記4)
軟磁性材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の磁性体部(150)をさらに備えた付記1~付記3のいずれか1つに記載のコイル体。
(付記5)
一の層の前記ベース部材上において周方向に隣接する前記導体部の間には、空隙が形成されており、
前記空隙の径方向外側の部分の周方向への幅寸法が、前記空隙の径方向内側の部分の周方向への幅寸法に対して大きな寸法に設定されている付記1~付記4のいずれか1つに記載のコイル体。
(付記6)
一の層の前記ベース部材及び他の層の前記ベース部材からは、複数の前記コイル部とつながっている接続部(17)がそれぞれ延出しており、
一の層の前記ベース部材及び他の層の前記ベース部材からそれぞれ延出する前記接続部が軸方向に並んでいる付記1~付記5のいずれか1つに記載のコイル体。
(付記7)
複数の前記コイル部のうちの一部は、一の相の前記コイル部を構成しており、
複数の前記コイル部のうちの他の一部は、他の相の前記コイル部を構成しており、
同じ相の前記コイル部の前記導体部が、軸方向に並んで配置されている付記1~付記6のいずれか1つに記載のコイル体。
(付記8)
絶縁性の材料を用いて径方向に延在する形状に形成され、軸方向に積層されたベース部材(34)と、
導電性の材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成され、周方向に沿って並んで配置された複数の導体部(16B)を有する複数のコイル部(16)と、
軟磁性材料を用いて前記ベース部材上にそれぞれ形成された複数の磁性体部(150)と、
を備え、
一の層の前記ベース部材上に形成された前記磁性体部と他の層の前記ベース部材上に形成された前記磁性体部とが、周方向の同じ位置に配置されているコイル体。
(付記9)
付記1~付記8のいずれか1つに記載のコイル体を備えた電機子(14)。
(付記10)
軟磁性材料を用いて環状に形成された電機子コア(26)をさらに備え、
前記コイル体は、前記電機子コアに沿って配置されており、
前記電機子コアと対向して配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と前記電機子コアとが凹凸嵌合している付記9に記載の電機子。
(付記11)
軟磁性材料を用いて環状に形成された電機子コア(26)をさらに備え、
前記コイル体は、前記電機子コアに沿って配置されており、
前記電機子コアと対向して配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部と前記電機子コアに形成された凸部とが凹凸嵌合しており、
前記電機子コアと対向して凹凸嵌合している前記導体部の周方向への幅寸法が、前記電機子コアの前記凸部の周方向への幅寸法よりも小さな寸法に設定されている付記1に記載のコイル体を備えた付記9に記載の電機子。
(付記12)
軟磁性材料を用いて環状に形成された電機子コア(26)をさらに備え、
前記電気子コアには、前記コイル体側へ向けて突出する複数のティース部(26B)が形成され、
前記ベース部材には、複数の前記ティース部がそれぞれ挿入される複数のティース部挿入孔(34H)が形成されている付記9に記載の電機子。
(付記13)
付記9~付記12のいずれか1つに記載の電機子を含んで構成された固定子(14)及び回転子(12)の一方と、
前記コイル体と軸方向に対向して配置されたマグネット(18)を有する固定子及び回転子の他方と、
を備えた回転電機(10)。
(付記14)
前記コイル体と前記マグネットとが対向する軸方向への前記導体部の寸法を厚み寸法(T1)とした場合に、
前記マグネット側に配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の厚み寸法が、前記マグネットとは反対側に配置された層の前記ベース部材上に形成された前記導体部の厚み寸法よりも小さな寸法に設定されている付記13に記載の回転電機。
【符号の説明】
【0114】
10 モータ(回転電機)、12 ロータ(回転子)、14 ステータ(固定子、電機子)、16 コイル部、16B 導体部、17 接続部、26 ステータコア(電機子コア)、26B ティース部、32 コイル体、34 基板(ベース部材)、34H ティース部挿入孔、150 軟磁性部(磁性体部)、W1 導体部の周方向への幅寸法、T1 導体部の厚み寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38