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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152449
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/33 20180101AFI20241018BHJP
   F21S 41/143 20180101ALI20241018BHJP
   F21S 41/37 20180101ALI20241018BHJP
   F21S 41/25 20180101ALI20241018BHJP
   F21S 41/43 20180101ALI20241018BHJP
   F21W 102/155 20180101ALN20241018BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241018BHJP
【FI】
F21S41/33
F21S41/143
F21S41/37
F21S41/25
F21S41/43
F21W102:155
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066650
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】小島 裕之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 飛諒
(57)【要約】
【課題】投影レンズを備えた車両用灯具において、簡素な灯具構成により灯具配光パターンの明るさを増大させることができるようにする。
【解決手段】第1灯具ユニット20Aとして、基板40Aの上面40Aaに搭載された光源24Aからの出射光を、リフレクタ26Aによって投影レンズ22Aへ向けて反射させる構成とする。その上で、リフレクタ26Aよりも灯具前方側に、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタ32Aが配置された構成とする。そして、光源24Aからの直射光の一部をサブリフレクタ32Aによって基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させることにより、この反射光を上記周辺領域においてリフレクタ26Aへ向けて反射させた後、このリフレクタ26Aにおいて投影レンズ22Aへ向けて再度反射させるようにする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影レンズと、上記投影レンズの後側焦点よりも灯具後方側に配置された光源と、上記光源の上方側に配置された状態で上記光源からの出射光を上記投影レンズへ向けて反射させるリフレクタと、を備えた車両用灯具において、
上記光源は、基板の上面に搭載された発光素子で構成されており、
上記リフレクタよりも灯具前方側に、上記光源からの直射光を上記基板の上面における上記光源の周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタが配置されている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記サブリフレクタの反射面は、灯具前後方向に間隔をおいて配置された複数の反射素子で構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記基板は、アルミ板で構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記基板は、灯具後方へ向けて下方側に傾斜して延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記サブリフレクタは、上記リフレクタとの一体成形により形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記投影レンズは、左右幅よりも上下幅が狭い細幅レンズとして構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【請求項7】
上記光源と上記投影レンズとの間に配置された状態で上記リフレクタからの反射光の一部を遮光することにより、ロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するように構成されたシェードを備えており、
上記サブリフレクタよりも灯具前方側に、上記光源からの直射光を上記シェードよりも灯具前方側へ向けて下向きに反射させる第2サブリフレクタが配置されており、
上記後側焦点よりも灯具前方側でかつ下方側に、上記第2サブリフレクタで反射した上記光源からの出射光を上記投影レンズへ向けて反射させる第3サブリフレクタが配置されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、投影レンズを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、光源からの出射光を投影レンズを介して車両前方へ照射することにより、ロービーム用配光パターンやハイビーム用配光パターン等の灯具配光パターンを形成するように構成された、いわゆるプロジェクタ型の車両用灯具が知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具の構成として、投影レンズと、その後側焦点よりも灯具後方側に配置された光源と、この光源の上方側に配置された状態で光源からの出射光を投影レンズへ向けて反射させるリフレクタとを備えたものが記載されている。
【0004】
この「特許文献1」に記載された車両用灯具においては、リフレクタよりも灯具前方側に、光源からの出射光を灯具後方へ向けて反射させる第1サブリフレクタが配置されるとともに、投影レンズの後側焦点よりも灯具後方側に、第1サブリフレクタからの反射光を投影レンズへ向けて反射させる第2サブリフレクタが配置された構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-225392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記「特許文献1」に記載されているような灯具構成を採用すれば、灯具配光パターンとして、リフレクタからの反射光によって形成される配光パターンに対して、第1および第2サブリフレクタで順次反射した光によって形成される配光パターンが付加されたものとすることができ、これにより灯具配光パターンの明るさを増大させることが可能となる。その際、これをできるだけ簡素な灯具構成によって実現することが望まれる。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、投影レンズを備えた車両用灯具において、簡素な灯具構成により灯具配光パターンの明るさを増大させることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、サブリフレクタの構成等に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
投影レンズと、上記投影レンズの後側焦点よりも灯具後方側に配置された光源と、上記光源の上方側に配置された状態で上記光源からの出射光を上記投影レンズへ向けて反射させるリフレクタと、を備えた車両用灯具において、
上記光源は、基板の上面に搭載された発光素子で構成されており、
上記リフレクタよりも灯具前方側に、上記光源からの直射光を上記基板の上面における上記光源の周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタが配置されている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「発光素子」は、基板の上面に搭載されていれば、その具体的な構成や配置は特に限定されるものではない。
【0011】
上記「基板」は、その上面に発光素子が搭載されていれば、その具体的な構成や配置は特に限定されるものではない。
【0012】
上記「リフレクタ」は、光源の上方側に配置された状態で光源からの出射光を投影レンズへ向けて反射させるように構成されていれば、その具体的な配置やその反射面形状等は特に限定されるものではない。
【0013】
上記「サブリフレクタ」は、リフレクタよりも灯具前方側において光源からの直射光を基板の上面における光源の周辺領域へ向けて反射させるように構成されていれば、その具体的な配置やその反射面形状等は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0014】
本願発明に係る車両用灯具は、光源からの出射光をリフレクタによって投影レンズへ向けて反射させることにより灯具配光パターンを形成する構成となっているが、上記光源は基板の上面に搭載された発光素子で構成されており、また、上記リフレクタよりも灯具前方側には、光源からの直射光を基板の上面における光源の周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタが配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0015】
すなわち、光源からの直射光の一部をサブリフレクタによって基板の上面における光源の周辺領域へ向けて反射させることにより、この反射光を上記周辺領域においてリフレクタへ向けて反射させた後、このリフレクタにおいて投影レンズへ向けて再度反射させるようにすることができる。
【0016】
そしてこれにより、直接リフレクタで反射した光によって形成される基本配光パターンと、基板の上面で反射した後にリフレクタで反射した光によって形成される付加配光パターンとの合成配光パターンとして灯具配光パターンを形成することができ、これにより灯具配光パターンの明るさを増大させることができる。しかも、これをサブリフレクタが追加配置されただけの簡素な灯具構成によって実現することができる。
【0017】
このように本願発明によれば、投影レンズを備えた車両用灯具において、簡素な灯具構成により灯具配光パターンの明るさを増大させることができる。
【0018】
さらに、本願発明の構成を採用することにより、次のような作用効果も得ることができる。
【0019】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具において、基板の上面で反射した後にリフレクタで反射した光は、直接リフレクタで反射した光よりも多少拡散する光として投影レンズに到達するので、付加配光パターンは基本配光パターンよりも均一な明るさで拡がりのある配光パターンとして形成される。したがって、これらの合成配光パターンとして形成される灯具配光パターンを、配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
【0020】
上記構成において、さらに、サブリフレクタの反射面として、灯具前後方向に間隔をおいて配置された複数の反射素子で構成されたものとすれば、これら複数の反射素子の向きを適宜設定することにより、光源からの直射光を基板の上面における光源の周辺領域へ向けて反射させることが容易に可能となる。そしてこれにより、サブリフレクタの形状や配置の自由度を高めることができる。
【0021】
上記構成において、さらに、基板がアルミ板で構成されたものとすれば、サブリフレクタからの反射光を適度な反射率でリフレクタへ向けて反射させることができ、これにより付加配光パターンを略均一な明るさで形成することが容易に可能となる。
【0022】
上記構成において、さらに、基板の構成として、灯具後方へ向けて下方側に傾斜して延びるように形成されたものとすれば、光源からの出射光の多くを、その上方側に配置されたリフレクタによって投影レンズへ向けて反射させることができ、これにより基本配光パターンの明るさを増大させることができる。また、サブリフレクタからの反射光についても、灯具後方へ向けて下方側に傾斜した基板によってリフレクタへ向けて効率良く反射させることができるので、これにより付加配光パターンについてもその明るさを増大させることができる。
【0023】
上記構成において、さらに、サブリフレクタの構成として、リフレクタとの一体成形により形成されたものとすれば、部品点数を増やすことなく上記作用効果を得ることができ、これにより車両用灯具の一層の構成簡素化を図ることができる。
【0024】
上記構成において、さらに、投影レンズが、左右幅よりも上下幅が狭い細幅レンズとして構成されている場合には、本願発明の構成を採用することが特に効果的である。その理由は以下のとおりである。
【0025】
すなわち、投影レンズがこのような細幅レンズとして構成されている場合、投影レンズは上下1対の立壁面が形成されたものとなる。このため仮にリフレクタの構成として、光源からの出射光の多くを投影レンズへ向けて反射させるように構成されたものとすると、投影レンズに入射したリフレクタからの反射光の一部は下側の立壁面に到達してしまい、これが制御されない有害光として灯具前方へ向けて出射してしまうこととなる。その際、投影レンズに入射した後その下側の立壁面に到達するのは、リフレクタの前端縁寄りの反射領域からの反射光である。
【0026】
そこで本願発明のように、リフレクタよりも灯具前方側に配置されたサブリフレクタによって、光源からの直射光を基板の上面における光源の周辺領域へ向けて反射させる構成とすることにより、リフレクタの前端縁の位置を灯具後方側に変位させても光源からの出射光に対する利用光束が減少しないようにすることができる。そしてこれにより、リフレクタからの反射光が投影レンズの下側の立壁面に到達して投影レンズから有害光として出射してしまうのを未然に防止することができる。
【0027】
上記構成において、さらに、車両用灯具の構成として、光源と投影レンズとの間に配置された状態でリフレクタからの反射光の一部を遮光するシェードによりロービーム用配光パターンのカットオフラインを形成するようにした上で、サブリフレクタよりも灯具前方側に、光源からの直射光をシェードよりも灯具前方側へ向けて下向きに反射させる第2サブリフレクタが配置された構成とするとともに、投影レンズの後側焦点よりも灯具前方側でかつ下方側に、第2サブリフレクタで反射した光源からの出射光を投影レンズへ向けて反射させる第3サブリフレクタが配置された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0028】
すなわち、光源からの出射光を第2および第3サブリフレクタで順次反射させることにより、ロービーム用配光パターンに対して、そのカットオフラインの上方空間にOHS照射用配光パターン(すなわち車両前方路面の上方に設置された頭上標識を照射するための配光パターン)を追加形成することができる。
【0029】
その際、サブリフレクタはリフレクタと第2サブリフレクタとの間に配置されているので、光源からの直射光をサブリフレクタによって基板の上面における光源の周辺領域へ向けて効率良く反射させるようにした上で、光源からの直射光を第2サブリフレクタによって第3サブリフレクタへ向けて効率良く反射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図1のIII-III線断面図
図4図1のIV-IV線断面図
図5】上記車両用灯具における第1灯具ユニットの要部を示す斜視図
図6】上記車両用灯具からの照射光により形成されるロービーム用配光パターンを透視的に示す図
図7】上記車両用灯具からの照射光により形成されるハイビーム用配光パターンを透視的に示す図
図8】上記実施形態の変形例を示す、図4と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0032】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を示す正面図であり、図2は、そのII-II線断面図である。
【0033】
図1、2において、Xで示す方向が「灯具前方」であり、Yで示す方向が「灯具前方」と直交する「左方向」(灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。図1、2以外の図においても同様である。
【0034】
図1、2に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両の右前端部に配置されるヘッドランプであって、ランプボディ12とその前端開口部に取り付けられた素通し状の透光カバー14とで形成される灯室内に、第1および第2灯具ユニット20A、20Bが収容された構成となっている。
【0035】
車両用灯具10は、第1灯具ユニット20Aからの照射光によってロービーム用配光パターンを形成するとともに、第2灯具ユニット20Bからの照射光を追加することによってハイビーム用配光パターンを形成するように構成されている。
【0036】
第1および第2灯具ユニット20A、20Bは、いずれもプロジェクタ型の灯具ユニットとして構成されており、左右方向(すなわち車幅方向)に並んだ状態で配置されている。具体的には、第1灯具ユニット20Aが右側(灯具正面視では左側)に位置しており、第2灯具ユニット20Bが左側に位置している。
【0037】
次に、第1および第2灯具ユニット20A、20Bの各々の具体的な構成について説明する。
【0038】
まず、第1灯具ユニット20Aの具体的な構成について説明する。
【0039】
図3は、図1のIII-III線断面図である。また、図5は、第1灯具ユニット20Aの要部を示す斜視図である。
【0040】
図3、5にも示すように、第1灯具ユニット20Aは、灯具前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ22Aと、この投影レンズ22Aの後側焦点Fよりも灯具後方側に配置された光源24Aと、この光源24Aを上方側から覆うように配置された状態で、光源24Aからの出射光を投影レンズ22Aへ向けて反射させるリフレクタ26Aと、このリフレクタ26Aと投影レンズ22Aとの間に配置された状態で、リフレクタ26Aからの反射光の一部を遮光するシェード28Aとを備えている。
【0041】
投影レンズ22Aは、前面22Aaが凸曲面で後面22Abが左右方向に延びる凸シリンドリカル曲面で構成されており、その後側焦点(正確には鉛直断面内における後側焦点)Fを含む焦点面である後側焦点面上に形成される光源像を、反転像として灯具前方の仮想鉛直スクリーン上に投影するようになっている。
【0042】
投影レンズ22Aは、左右幅よりも上下幅が狭い細幅レンズとして構成されており、灯具正面視において横長矩形状の外形形状を有している。このため投影レンズ22Aには、上下1対の立壁面22Acが形成されている。
【0043】
投影レンズ22Aは、その外周縁部から灯具後方へ向けて延びる脚部22Adおよびこの脚部22Adの後端部から外周側に延びる外周フランジ部22Aeを備えている。そして、この投影レンズ22Aは、その外周フランジ部22Aeにおいてレンズホルダ30Aに支持されている。
【0044】
光源24Aは、発光素子(具体的には白色発光ダイオード)であって、横長矩形状の発光面24Aaを有している。そして、この光源24Aは、その発光面24Aaを光軸Ax上において上向きにした状態で、水平面に沿って配置された基板40Aの上面40Aaに搭載されている。この基板40Aは、アルミ板で構成されており、平面視において横長矩形状の外形形状を有している。
【0045】
リフレクタ26Aは、光源24Aからの出射光を上下方向および左右方向に関して収束する光として投影レンズ22Aに入射させるように構成されている。
【0046】
具体的には、リフレクタ26Aの反射面26Aaは、光源24Aの発光中心を第1焦点とする略楕円面状の曲面で構成されており、その離心率が鉛直断面から水平断面へ向けて徐々に大きくなるように設定されている。そしてこれにより、リフレクタ26Aは、光源24Aからの出射光を鉛直断面内においては後側焦点Fの灯具前方側に位置する点に収束させるとともに水平断面内においてはその収束位置をさらに灯具前方側へ変位させるようになっている。
【0047】
シェード28Aには、リフレクタ26Aからの反射光の一部を投影レンズ22Aへ向けて上向きに反射させる上向き反射面28Aaが形成されている。この上向き反射面28Aaは、光軸Axよりも左側(灯具正面視では右側)に位置する左側領域が光軸Axを含む水平面で構成されており、光軸Axよりも右側に位置する右側領域が、短い斜面を介して左側領域よりも一段低い水平面で構成されている。また、上向き反射面28Aaは、その前端縁28Aa1が投影レンズ22Aの後側焦点Fから左右両側へ向けて灯具前方側へ湾曲して延びるように形成されており、その後端縁も左右両側へ向けて灯具前方側へ湾曲して延びるように形成されている。
【0048】
第1灯具ユニット20Aにおいては、リフレクタ26Aおよびシェード28Aがレンズホルダ30Aと一体的に形成されている。すなわち、これらリフレクタ26Aおよびシェード28Aは、レンズホルダ30Aとの一体成形によって単一の樹脂成形品として構成されている。
【0049】
レンズホルダ30Aは、水平面に沿って段違いで平板状に延びる水平面部30A1と、この水平面部30A1の前端位置において灯具前後方向と直交する鉛直面に沿ってフレーム状に延びる鉛直面部30A2とを備えている。そして、リフレクタ26Aは、その下端位置においてレンズホルダ30Aの水平面部30A1に接続されており、また、シェード28Aは、その左右両端位置においてレンズホルダ30Aの水平面部30A2に接続されている。また、投影レンズ22Aは、その外周フランジ部22Aeの後面をレンズホルダ30Aの鉛直面部30A2に当接させた状態でレンズホルダ30Aに支持されている。
【0050】
レンズホルダ30Aの鉛直面部30A2には、投影レンズ22Aの脚部22Adの内周面に沿って灯具前方へ向けて延びる上下1対のフランジ部30A2aが形成されている。これら上下1対のフランジ部30A2aは、その内面が灯具前方へ向けて互いに拡がるように傾斜した状態で、投影レンズ22Aの後面22Abの近傍まで延びるように形成されている。
【0051】
レンズホルダ30Aは、その水平面部30A1において基板40Aに載置されており、この基板40Aは、金属製のヒートシンク50Aに支持されている。このヒートシンク50Aは、水平面に沿って左右方向に延びる本体部50A1と、この本体部50A1の下面から下方へ延びるようにして左右方向に間隔をおいて形成された複数の放熱フィン50A2とを備えている。そして、このヒートシンク50Aは、その本体部50A1の上面において基板40Aを支持するようになっている。
【0052】
リフレクタ26Aよりも灯具前方側には、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタ32Aが配置されている。このサブリフレクタ32Aは、リフレクタ26Aとの一体成形(すなわちレンズホルダ30Aとの一体成形)により形成されている。
【0053】
サブリフレクタ32Aの反射面32Aaは、灯具前後方向に間隔をおいて配置された複数の反射素子32Asで構成されている。その際、複数の反射素子32Asは、灯具前後方向および左右方向に格子状に分割されたセグメントに配置されている。これら複数の反射素子32Asは、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの前方近傍領域へ向けて反射させるように、その表面形状が設定されている。
【0054】
また、サブリフレクタ32Aよりも灯具前方側には、第2サブリフレクタ34Aが配置されている。この第2サブリフレクタ34Aは、サブリフレクタ32Aの反射面32Aaの前端縁から灯具前方へ向けてやや下向きに傾斜して延びるように形成された反射面34Aaを備えている。そして、この第2サブリフレクタ34Aは、その反射面34Aaにおいて、光源24Aからの直射光を、シェード28Aの上向き反射面28Aaの前端縁28Aa1よりも灯具前方側の空間へ向けて下向きに反射させるように構成されている。この第2サブリフレクタ34Aも、リフレクタ26Aとの一体成形(すなわちレンズホルダ30Aとの一体成形)により形成されている。
【0055】
なお、第2サブリフレクタ34Aは、その反射面34Aaの前端縁がシェード28Aの上向き反射面28Aaの後端縁よりも灯具後方側に位置するように形成されており、これにより平面視においてシェード28Aと第2サブリフレクタ34Aとが重複しないように構成されている。
【0056】
さらに、投影レンズ22Aの後側焦点Fよりも灯具前方側でかつ下方側には、第3サブリフレクタ36Aが配置されている。この第3サブリフレクタ36Aは、シェード28Aの上向き反射面28Aaの前端縁28Aa1の下方近傍位置から灯具前方へ向けて下向きに傾斜して延びるように形成された反射面36Aaを備えている。そして、この第3サブリフレクタ36Aは、その反射面36Aaにおいて、第2サブリフレクタ34Aで反射した光源24Aからの出射光を投影レンズ22Aへ向けて反射させるように構成されている。この第3サブリフレクタ36Aは、シェード28Aとの一体成形(すなわちレンズホルダ30Aとの一体成形)により形成されている。
【0057】
第1灯具ユニット20Aは、車両用灯具10に組み込まれた状態では、その光軸Axが水平面に対して灯具前方へ向けて0.5~0.6°程度下向きの方向に延びた状態で配置されるようになっている。
【0058】
次に、第2灯具ユニット20Bの具体的な構成について説明する。
【0059】
図4は、図1のIV-IV線断面図である。
【0060】
図4にも示すように、第2灯具ユニット20Bは、第1灯具ユニット20Aと同様、灯具前後方向に延びる光軸Axを有する投影レンズ22Bと、この投影レンズ22Bの後側焦点Fよりも灯具後方側に配置された光源24Bと、この光源24Bを上方側から覆うように配置された状態で、光源24Bからの出射光を投影レンズ22Bへ向けて反射させるリフレクタ26Bとを備えているが、第1灯具ユニット20Aのシェード28Aに相当する部材は備えていない。
【0061】
光源24Bは、第1灯具ユニット20Aの光源24Aと同様の構成を有しており、基板40Aと同様の構成を有する基板40Bの上面40Baに搭載されている。そして、この基板40Bは、ヒートシンク50Aと同様の構成を有するヒートシンク50Bに支持されている。
【0062】
第2灯具ユニット20Bにおいても、リフレクタ26Bよりも灯具前方側には、光源24Bからの直射光を基板40Bの上面40Baにおける光源24Bの周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタ32Bが配置されている。このサブリフレクタ32Bは、リフレクタ26Bとの一体成形により形成されている。
【0063】
サブリフレクタ32Bの反射面32Baは、灯具前後方向に間隔をおいて配置された複数の反射素子32Bsで構成されている。その際、複数の反射素子32Bsは、灯具前後方向および左右方向に格子状に分割されたセグメントに配置されている。これら複数の反射素子32Bsは、光源24Bからの直射光を基板40Bの上面40Baにおける光源24Bの前方近傍領域へ向けて反射させるように、その表面形状が設定されている。
【0064】
そして、第2灯具ユニット20Bにおいても、サブリフレクタ32Bからの反射光を、基板40Bの上面40Baにおける光源24Bの前方近傍領域においてリフレクタ26Bへ向けて反射させた後、このリフレクタ26Bの反射面26Baにおいて投影レンズ22Bへ向けて再度反射させるようになっている。
【0065】
第2灯具ユニット20Bにおいても、リフレクタ26Bはレンズホルダ30Bと一体的に形成されている。このレンズホルダ30Bは、レンズホルダ30Aと同様、水平面部30B1と鉛直面部30B2とを備えているが、レンズホルダ30Aのシェード28Aおよび第3サブリフレクタ36Aの代わりに左右方向に延びる鉛直フランジ部38Bが形成された構成となっている。
【0066】
灯具ユニットアッシー20Bは、車両用灯具10に組み込まれた状態でも、その光軸Axが水平方向に延びたままの状態で配置されるようになっている。
【0067】
図6は、第1灯具ユニット20Aからの照射光によって形成されるロービーム用配光パターンPLを透視的に示す図である。
【0068】
図6に示すように、ロービーム用配光パターンPLは、左配光のロービーム用配光パターンであって、その上端縁に左右段違いのカットオフラインCL1、CL2を有している。このカットオフラインCL1、CL2は、灯具正面方向の消点であるH-Vを鉛直方向に通るV-V線を境にして左右段違いで水平方向に延びており、V-V線よりも右側の部分が対向車線側カットオフラインCL1として形成されるとともに、V-V線よりも左側の部分が、対向車線側カットオフラインCL1から傾斜部を介して段上がりになった自車線側カットオフラインCL2として形成されている。
【0069】
ロービーム用配光パターンPLにおいて、対向車線側カットオフラインCL1とV-V線との交点であるエルボ点Eは、H-Vの0.5~0.6°程度下方に位置している。これは、第1および第2灯具ユニット20A、20Bの光軸Axが水平面に対して灯具前方へ向けて0.5~0.6°程度下向きの方向に延びていることによるものである。
【0070】
ロービーム用配光パターンPLは、リフレクタ26Aからの反射光によって投影レンズ22Aの後側焦点面上に形成された光源24Aの光源像を、投影レンズ22Aにより上記仮想鉛直スクリーン上に反転投影像として投影することにより形成され、そのカットオフラインCL1、CL2は、シェード28Aにおける上向き反射面28Aaの前端縁28A1の反転投影像として形成されるようになっている。
【0071】
このロービーム用配光パターンPLは、基本配光パターンPL0と付加配光パターンPL1との合成配光パターンとして形成されている。
【0072】
基本配光パターンPL0は、直接リフレクタ26Aで反射した光源24Aからの出射光によって形成される配光パターンであり、付加配光パターンPL1は、基板40Aの上面40Aaで反射した後にリフレクタ26Aで反射した光源24Aからの出射光によって形成される配光パターンである。
【0073】
その際、基板40Aの上面40Aaで反射した後にリフレクタ26Aで反射した光は、直接リフレクタ26Aで反射した光よりも多少拡散する光として投影レンズ22Aに到達するので、付加配光パターンPL1は基本配光パターンPL0よりも均一な明るさで拡がりのある配光パターンとして形成される。したがって、これらの合成配光パターンとして形成されるロービーム用配光パターンPLは、配光ムラの少ない配光パターンとして形成される。
【0074】
ロービーム用配光パターンPLにおけるカットオフラインCL1、CL2の上方空間には、OHS照射用配光パターンPL2が付加的に形成されている。このOHS照射用配光パターンPL2は、車両前方路面の上方に設置された頭上標識OHSを照射するための配光パターンであって、カットオフラインCL1、CL2から上方に離れた位置においてV-V線を中心にして左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
【0075】
図7は、第1および第2灯具ユニット20A、20Bからの照射光によって形成されるハイビーム用配光パターンPHを透視的に示す図である。
【0076】
図7に示すように、ハイビーム用配光パターンPHは、ロービーム用配光パターンPLに対してハイビーム用付加配光パターンPAが付加されたものとなっている。
【0077】
ハイビーム用付加配光パターンPAは、H-Vを中心としてロービーム用配光パターンPLと略同程度の拡散角で左右方向に拡がる横長の配光パターンとして形成されている。
【0078】
このハイビーム用付加配光パターンPAも、基本配光パターンPA0と付加配光パターンPA1との合成配光パターンとして形成されている。
【0079】
基本配光パターンPA0は、直接リフレクタ26Bで反射した光源24Bからの出射光によって形成される配光パターンであり、付加配光パターンPA1は、基板40Bの上面40Baで反射した後にリフレクタ26Bで反射した光源24Bからの出射光によって形成される配光パターンである。
【0080】
その際、基板40Bの上面40Baで反射した後にリフレクタ26Bで反射した光は、直接リフレクタ26Bで反射した光よりも多少拡散する光として投影レンズ22Bに到達するので、付加配光パターンPB1は基本配光パターンPB0よりも均一な明るさで拡がりのある配光パターンとして形成される。したがって、これらの合成配光パターンとして形成されるハイビーム用付加配光パターンPAは、配光ムラの少ない配光パターンとして形成される。
【0081】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0082】
本実施形態に係る車両用灯具10の第1灯具ユニット20Aは、光源24Aからの出射光をリフレクタ26Aによって投影レンズ22Aへ向けて反射させることにより灯具配光パターンとしてのロービーム用配光パターンPLを形成する構成となっているが、光源24Aは基板40Aの上面40Aaに搭載された発光素子で構成されており、また、リフレクタ26Aよりも灯具前方側には、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタ32Aが配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0083】
すなわち、光源24Aからの直射光の一部をサブリフレクタ32Aによって基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させることにより、この反射光を上記周辺領域においてリフレクタ26Aへ向けて反射させた後、このリフレクタ26Aにおいて投影レンズ22Aへ向けて再度反射させるようにすることができる。
【0084】
そしてこれにより、直接リフレクタ26Aで反射した光によって形成される基本配光パターンPL0と、基板40Aの上面40Aaで反射した後にリフレクタ26Aで反射した光によって形成される付加配光パターンPL1との合成配光パターンとしてロービーム用配光パターンPLを形成することができ、これによりロービーム用配光パターンPLの明るさを増大させることができる。しかも、これをサブリフレクタ32Aが追加配置されただけの簡素な灯具構成によって実現することができる。
【0085】
また、本実施形態に係る車両用灯具10の第2灯具ユニット20Bは、光源24Bからの出射光をリフレクタ26Bによって投影レンズ22Bへ向けて反射させることにより灯具配光パターンとしてのハイビーム用付加配光パターンPAを形成する構成となっているが、光源24Bは基板40Bの上面40Baに搭載された発光素子で構成されており、また、リフレクタ26Bよりも灯具前方側には、光源24Bからの直射光を基板40Bの上面40Baにおける光源24Bの周辺領域へ向けて反射させるサブリフレクタ32Bが配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0086】
すなわち、光源24Bからの直射光の一部をサブリフレクタ32Bによって基板40Bの上面40Baにおける光源24Bの周辺領域へ向けて反射させることにより、この反射光を上記周辺領域においてリフレクタ26Bへ向けて反射させた後、このリフレクタ26Bにおいて投影レンズ22Bへ向けて再度反射させるようにすることができる。
【0087】
そしてこれにより、直接リフレクタ26Bで反射した光によって形成される基本配光パターンPA0と、基板40Bの上面40Baで反射した後にリフレクタ26Bで反射した光によって形成される付加配光パターンPA1との合成配光パターンとしてハイビーム用付加配光パターンPAを形成することができ、これによりハイビーム用付加配光パターンPAの明るさを増大させることができる。しかも、これをサブリフレクタ32Bが追加配置されただけの簡素な灯具構成によって実現することができる。
【0088】
このように本実施形態によれば、投影レンズ22Aを備えた車両用灯具10において、簡素な灯具構成により灯具配光パターンの明るさを増大させることができる。
【0089】
さらに、本実施形態の第1灯具ユニット20Aは、基板40Aの上面40Aaで反射した後にリフレクタ26Aで反射した光は、直接リフレクタ26Aで反射した光よりも多少拡散する光として投影レンズ22Aに到達するので、付加配光パターンPL1は基本配光パターンPL0よりも均一な明るさで拡がりのある配光パターンとして形成される。したがって、これらの合成配光パターンとして形成されるロービーム用配光パターンPLを、配光ムラの少ない配光パターンとして形成することができる。
【0090】
その際、第1灯具ユニット20Aのサブリフレクタ32Aは、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの前方近傍領域へ向けて反射させるように構成されているので、基板40Aの上面40Aaからの反射光を、光源24Aからの直射光に極めて近い条件でリフレクタ26Aに入射させることができる。
【0091】
本実施形態の第1灯具ユニット20Aは、サブリフレクタ32Aの反射面32Aaとして、灯具前後方向に間隔をおいて配置された複数の反射素子32Asで構成されているので、これら複数の反射素子32Aの向きを適宜設定することにより、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させることが容易に可能となる。そしてこれにより、サブリフレクタ32Aの形状や配置の自由度を高めることができる。
【0092】
特に本実施形態においては、サブリフレクタ32Aの反射面32Aaとして、左右方向にも分割された状態で複数の反射素子32Asが配置された構成となっているので、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させる際の精度を高めることができる。そしてこれにより、サブリフレクタ32Aからの反射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの前方近傍領域へ向けて反射させることも容易に可能となる。
【0093】
本実施形態の第1灯具ユニット20Aは、基板40Aがアルミ板で構成されているので、サブリフレクタ32Aからの反射光を適度な反射率でリフレクタ26Aへ向けて反射させることができ、これにより付加配光パターンPL1を略均一な明るさで形成することが容易に可能となる。
【0094】
しかも、本実施形態のサブリフレクタ32Aは、リフレクタ26Aとの一体成形により形成されているので、部品点数を増やすことなく上記作用効果を得ることができ、これにより第1灯具ユニット20Aの一層の構成簡素化を図ることができる。
【0095】
以上の点に関しては、第2灯具ユニット20Bにおいても同様である。
【0096】
本実施形態の第1灯具ユニット20Aは、投影レンズ22Aが左右幅よりも上下幅が狭い細幅レンズとして構成されており、この投影レンズ22Aには上下1対の立壁面22Acが形成されている。このため仮にリフレクタ26Aの構成として、図3において2点鎖線で示すように、光源24Aからの出射光の多くを投影レンズ22Aへ向けて反射させるように構成されたものとすると、図3において2点鎖線で示すように、投影レンズ22Aに入射したリフレクタ26Aからの反射光の一部は下側の立壁面22Acに到達してしまい、これが制御されない有害光として灯具前方へ向けて出射してしまうこととなる。その際、投影レンズ22Aに入射した後その下側の立壁面22Acに到達するのは、リフレクタ26Aの前端縁寄りの反射領域からの反射光である。
【0097】
そこで本実施形態のように、リフレクタ26Aよりも灯具前方側に配置されたサブリフレクタ32Aによって、光源24Aからの直射光を基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて反射させる構成とすることにより、光源24Aからの出射光に対する利用光束が減少してしまわないようにした上で、リフレクタ26Aからの反射光が投影レンズ22Aの下側の立壁面22Acに到達して投影レンズ22Aから有害光として出射してしまうのを未然に防止することができる。
【0098】
なお、本実施形態の第1灯具ユニット20Aにおいては、レンズホルダ30Aの鉛直面部30A2に、投影レンズ22Aの脚部22Adの内周面に沿って灯具前方へ向けて延びる上下1対のフランジ部30A2aが形成されているので、光源24Aからの出射光が投影レンズ22Aの脚部22Adに不用意に入射することによって迷光が発生してしまうのを未然に防止することができる。
【0099】
本実施形態の第1灯具ユニット20Aは、光源24Aと投影レンズ22Aとの間に配置された状態でリフレクタ26Aからの反射光の一部を遮光するシェード28Aによりロービーム用配光パターンPLのカットオフラインCL1、CL2を形成するように構成されているが、サブリフレクタ32Aよりも灯具前方側には、光源24Aからの直射光をシェード28Aよりも灯具前方側へ向けて下向きに反射させる第2サブリフレクタ34Aが配置されており、かつ、投影レンズ22Aの後側焦点Fよりも灯具前方側でかつ下方側には、第2サブリフレクタ34Aで反射した光源24Aからの出射光を投影レンズ22Aへ向けて反射させる第3サブリフレクタ36Aが配置されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0100】
すなわち、光源24Aからの出射光を第2および第3サブリフレクタ34A、36Aで順次反射させることにより、ロービーム用配光パターンPLに対して、そのカットオフラインCL1、CL2の上方空間にOHS照射用配光パターンPL2を追加形成することができる。
【0101】
その際、サブリフレクタ32Aはリフレクタ26Aと第2サブリフレクタ34Aとの間に配置されているので、光源24Aからの直射光をサブリフレクタ32Aによって基板40Aの上面40Aaにおける光源24Aの周辺領域へ向けて効率良く反射させるようにした上で、光源24Aからの直射光を第2サブリフレクタ34Aによって第3サブリフレクタ36Aへ向効率良く反射させることができる。
【0102】
上記実施形態においては、第1および第2灯具ユニット20A、20Bのサブリフレクタ32A、32Bが、光源24A、24Bからの直射光を基板40A、40Bの上面40Aa、40Baにおける光源24A、24Bの前方近傍領域へ向けて反射させるように構成されているものとして説明したが、光源24A、24Bの前方近傍領域以外の周辺領域へ向けて反射させる構成とすることも可能である。
【0103】
上記実施形態においては、車両用灯具10として第1および第2灯具ユニット20A、20Bを備えているものとして説明したが、単一の灯具ユニットを備えた構成や、3つ以上の灯具ユニットを備えた構成とすることも可能である。
【0104】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0105】
図8は、本変形例に係る車両用灯具の第2灯具ユニット120Bを示す、図4と同様の図である。
【0106】
図8に示すように、本変形例の第2灯具ユニット120Bの基本的な構成は、上記実施形態の第2灯具ユニット20Bと同様であるが、基板140Bの配置ならびにリフレクタ126Bおよびサブリフレクタ132Bの構成が上記実施形態の場合と異なっており、これに伴ってレンズホルダ130Bの構成も上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0107】
具体的には、本変形例の第2灯具ユニット120Bにおいては、基板140Bが灯具後方へ向けて下方側に傾斜して延びるように形成されている。このため、基板140Bの上面140Baに搭載された光源124Bは、その発光面124Baを斜め上後方へ向けた状態で配置されている。また、ヒートシンク150Bも、その本体部150B1が灯具後方へ向けて下方側に傾斜して延びるように形成されている。
【0108】
本変形例のリフレクタ126Bも、光源124Bを上方側から覆うように配置されており、その反射面126Baにおいて、光源124Bからの出射光を投影レンズ122Bへ向けて反射させるように構成されている。なお、投影レンズ122Bの構成は、上記実施形態の投影レンズ22Bと同様である。
【0109】
また、本変形例のサブリフレクタ132Bも、リフレクタ126Bよりも灯具前方側に配置された状態で、光源124Bからの直射光を基板140Bの上面140Baにおける光源124Bの周辺領域(具体的には光源124Bの前方近傍領域)へ向けて反射させるように構成されている。ただし、本変形例のサブリフレクタ132Bは、その反射面132Baが単一の凹曲面で構成されている。
【0110】
本変形例の第2灯具ユニット120Bにおいても、サブリフレクタ132Bおよびリフレクタ126Bは、レンズホルダ130Bと一体的に形成されている。
【0111】
本変形例の構成を採用した場合においても、上記実施形態の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
【0112】
すなわち、光源124Bからの直射光の一部を基板140Bの上面140Baにおける光源124Bの周辺領域へ向けて反射させることにより、この反射光を上記周辺領域においてリフレクタ126Bへ向けて反射させた後、このリフレクタ126Bにおいて投影レンズ122Bへ向けて再度反射させるようにすることができる。
【0113】
そしてこれにより、直接リフレクタ126Bで反射した光によって形成される基本配光パターンと、基板140Bの上面140Baで反射した後にリフレクタ126Bで反射した光によって形成される付加配光パターンとの合成配光パターンとしてハイビーム用付加配光パターンを形成することができる。
【0114】
また、本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0115】
すなわち、本変形例の第2灯具ユニット120Bのように、基板140Bが灯具後方へ向けて下方側に傾斜して延びるように形成された構成とすることにより、光源124Bからの出射光の多くを、その上方側に配置されたリフレクタ126Bによって投影レンズ122Bへ向けて反射させることができ、これによりハイビーム用付加配光パターンの基本配光パターンの明るさを増大させることができる。また、サブリフレクタ132Bからの反射光についても、灯具後方へ向けて下方側に傾斜した基板140Bによってリフレクタ126Bへ向けて効率良く反射させることができるので、これによりハイビーム用付加配光パターンの付加配光パターンについてもその明るさを増大させることができる。
【0116】
上記変形例においては、ハイビーム用付加配光パターンの付加配光パターンを形成するための第2灯具ユニット120Bについて説明したが、上記変形例の構成をロービーム用配光パターンを形成するための第1灯具ユニットに適用することも可能である。
【0117】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0118】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0119】
10 車両用灯具
12 ランプボディ
14 透光カバー
20A 第1灯具ユニット
20B、120B 第2灯具ユニット
22A、22B 投影レンズ
22Aa 前面
22Ab 後面
22Ac 立壁面
22Ad 脚部
22Ae 外周フランジ部
24A、24B、124B 光源(発光素子)
24Aa、124Ba 発光面
26A、26B、126B リフレクタ
26Aa、26Ba 反射面
28A シェード
28Aa 上向き反射面
28Aa1 前端縁
30A、30B、130B レンズホルダ
30A1、30B1 水平面部
30A2、30B2 鉛直面部
30A2a フランジ部
32A、32B、132B サブリフレクタ
32Aa、32Ba、34Aa、36Aa、126Ba、132Ba 反射面
32As、32Bs 反射素子
34A 第2サブリフレクタ
36A 第3サブリフレクタ
38B 鉛直フランジ部
40A、40B、140B 基板
40Aa、40Ba、140Ba 上面
50A、50B、150B ヒートシンク
50A1、150B1 本体部
50A2 放熱フィン
Ax 光軸
CL1 対向車線側カットオフライン
CL2 自車線側カットオフライン
E エルボ点
F 後側焦点
OHS 頭上標識
PA ハイビーム用付加配光パターン
PA0、PL0 基本配光パターン
PA1、PL1 付加配光パターン
PH ハイビーム用配光パターン
PL ロービーム用配光パターン
PL2 OHS照射用配光パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8