(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152452
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 25/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
F25D25/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066654
(22)【出願日】2023-04-14
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 掲載アドレス1: https://panasonic.jp/reizo/ 掲載アドレス2: https://panasonic.jp/reizo/products/NR-F489MEX.html 掲載年月日:令和4年12月14日
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】淺川 直也
(72)【発明者】
【氏名】山中 直樹
(57)【要約】
【課題】冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制可能な冷凍室容器の上面カバーの開閉自由度を向上させることができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫は、冷凍室と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口に設けられた上面カバーと、前記冷凍室の背面側に設けられ前記上面カバーに沿って前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、を備え、前記上面カバーは、第1上面カバーと第2上面カバーとを有し、前記第1上面カバーおよび前記第2上面カバーには、それぞれ、前後方向に間隔を空けて冷気の流れを調整する複数の開口孔が形成され、前記冷凍室容器には、前記第1上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第1スライド部と、前記第2上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第2スライド部と、が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍室と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口に設けられた上面カバーと、前記冷凍室の背面側に設けられ前記上面カバーに沿って前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、を備え、
前記上面カバーは、第1上面カバーと第2上面カバーとを有し、
前記第1上面カバーおよび前記第2上面カバーには、それぞれ、前後方向に間隔を空けて冷気の流れを調整する複数の開口孔が形成され、
前記冷凍室容器には、前記第1上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第1スライド部と、前記第2上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第2スライド部と、が形成されている
冷蔵庫。
【請求項2】
前記上面開口の外側に設けられた前後に一対の前記第1スライド部と、
前記上面開口の内側に設けられた前後に一対の前記第2スライド部と、
を備える
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記一対の第1スライド部は、前記上面開口の前後にフランジ状に設けられ、
前記第1上面カバーには、前記一対の第1スライド部に対応して一対の曲げ支持部が形成され、
前記曲げ支持部は、対応する前記第1スライド部を外側から回り込んで前記対応する前記第1スライド部の下方に進入する
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記第2スライド部は、前記上面開口の開口端よりも下方に設けられる
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記第1上面カバーは、前記第2上面カバーの一部を上方から覆うように左右方向にスライド可能に支持され、
前記冷凍室容器には、前記第1上面カバーのスライドを規制するストッパーが設けられ、
前記ストッパーは、前記第1上面カバーの過スライドを規制する規制位置と、前記第1上面カバーの過スライドを許容して前記第1上面カバーの離脱を許容する解除位置と、の間を移動可能に支持される
請求項4に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記第2スライド部の上方に設けられ、前記第2上面カバーが上方に離脱することを規制する抜け止め部と、
前記抜け止め部の左右方向一側に設けられ、前記第2上面カバーが上下方向に前記第2スライド部に着脱される着脱開口部と、
前記着脱開口部側に設けられた前記ストッパーと、
を備える
請求項5に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記第2上面カバーの左右方向他端部には、前記第1上面カバーの左右方向他端に当接可能な操作部が形成されている
請求項6に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記複数の開口孔は、前記冷凍室容器の前側から後側にわたった領域に、前後方向、左右方向に、繰り返し形成されている
請求項1から7のいずれかに記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷凍室に収納された貯蔵容器の開口部を蓋体で覆う構成が記載されている。特許文献1では、蓋体を、樹脂からなる枠体にアルミニウム板を一体化して形成しており、蓋体を貯蔵容器の開口部に設けられたレール部に装着することにより、スライド可能にしている。また、蓋体の周縁部には、冷気を流す長孔を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制可能な冷凍室容器の上面カバーの開閉自由度を向上させることができる冷蔵庫を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における冷蔵庫は、冷凍室と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口に設けられた上面カバーと、前記冷凍室の背面側に設けられ前記上面カバーに沿って前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、を備え、前記上面カバーは、第1上面カバーと第2上面カバーとを有し、前記第1上面カバーおよび前記第2上面カバーには、それぞれ、前後方向に間隔を空けて冷気の流れを調整する複数の開口孔が形成され、前記冷凍室容器には、前記第1上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第1スライド部と、前記第2上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第2スライド部と、が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本開示における冷蔵庫は、冷凍室容器の上面開口には、冷気の流れを調整する複数の開口孔が設けられた第1上面カバーと第2上面カバーとが設けられるため、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しつつ冷凍室容器内を冷却できる。また、第1上面カバーと第2上面カバーとは、それぞれのスライド部にスライド可能に支持されるため、第1上面カバーと第2上面カバーとを独立に開閉させ易く、冷凍室容器の左右方向の冷気の進入具合を調整できる。したがって、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制可能な冷凍室容器の上面カバーの開閉自由度を向上させることができる冷蔵庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施の形態1における冷凍室および冷却室の周辺を示す図
【
図3】実施の形態1における上部冷凍室容器部の斜視図
【
図7】実施の形態1における上部冷凍室容器部の平面図
【
図8】実施の形態1における第1上面カバーを
図3の状態から移動させた場合を示す上部冷凍室容器部の斜視図
【
図9】実施の形態1における第2上面カバーを
図3の状態から移動させた場合を示す上部冷凍室容器部の斜視図
【
図10】実施の形態1における第1上面カバーの開口孔の周辺を示す要部拡大図
【
図11】実施の形態1における前側の上スライド部の周辺を示す
図5の拡大図
【
図12】実施の形態1における後側の上スライド部の周辺を示す
図5の拡大図
【
図14】実施の形態1におけるストッパーを規制位置に移動させた場合の側面図
【
図15】実施の形態1におけるストッパーを解除位置に移動させた場合の側面図
【
図16】実施の形態1におけるおいしさDと品位Rと開口率Aとの関係を示す図
【
図17】実施の形態1における上部冷凍室容器部の第1上面カバーの周辺の冷気の流体解析の結果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、冷凍室に収容される冷凍室容器に対して、蓋体を設けて冷凍食品の水分の昇華を抑制する技術があった。
【0009】
従来の技術では、蓋体を利用することにより、容器内を封鎖して冷凍食品の水分の昇華を抑制しながら、周縁部の長孔からの冷気などによって容器内を冷却していた。
しかしながら、従来の技術では、蓋体は、冷気の吹き出し方向である前後方向にスライドする構成である上に、蓋体がスライドされるレール部は一対しか設けられていない。このため、従来の技術では、冷気の吹き出し方向に交差する左右方向では蓋体により全体が閉塞され易い。また、従来技術では、折り曲げ可能な2枚形状の蓋体も利用するが、レール部が一対しかないため、一方の蓋体の位置により他方の蓋体の位置が制限されてしまう。すなわち、従来の技術では、収容容器の蓋体の開閉量を設定し難く、蓋体の開閉自由度が制限され易いという課題がある。これらの課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制可能な冷凍室容器の上面カバーの開閉自由度を向上させることができる冷蔵庫を提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明を省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図17を用いて、実施の形態1を説明する。
【0012】
[1-1.構成]
[1-1-1.冷蔵庫の構成]
図1は、実施の形態1における冷蔵庫の縦断面図である。
本明細書の説明において、冷蔵庫1について、前後、左右という場合には、
図1の冷蔵庫1を基準にして用いる。すなわち、
図1の左右が、冷蔵庫1の前後に対応するものとして説明する。また、
図1の手前側が冷蔵庫1の左側に対応し、
図1の奥側が冷蔵庫1の右側に対応するものとして説明する。なお、冷蔵庫1の前面を示す場合に、正面という場合もある。また、冷蔵庫1の後面を示す場合に、背面という場合もある。
【0013】
図1において、冷蔵庫1は、断熱箱体2を有する。断熱箱体2は、主に鋼板を用いた外箱3と、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)などの樹脂で成型された内箱4と、外箱3と内箱4との間の空間に充填発泡される例えば硬質発泡ウレタンなどの発泡断熱材5とからなる。
【0014】
断熱箱体2は、周囲と断熱し、複数の貯蔵室に区分されている。
断熱箱体2の最上部には冷蔵室6が設けられる。冷蔵室6の下方には、切替室7と製氷室(図示せず)が断熱壁で仕切られて左右に横並びに設けられている。切替室7と製氷室の下方には、冷凍室9が設けられる。冷凍室9の下方、すなわち、断熱箱体2の最下部には、野菜室10が設けられる。
【0015】
冷蔵室6は、室内温度を通常、1℃~5℃に設定される。
切替室7は、室内温度を-18℃~5℃に設定され、冷凍温度帯から冷蔵温度帯に切替えることができる。
冷凍室9は、室内温度を通常、-22℃~-15℃に設定されるが、冷凍保存状態の向上のために、例えば、-30℃や-25℃の低温に設定されることもある。
野菜室10は、冷蔵室6と同等、もしくは若干高い温度設定の2℃~7℃に設定される。
【0016】
冷蔵室6の前面開口部にはヒンジ式の冷蔵室扉11が開閉自在に備えられ、ガスケット(不図示)で冷蔵室扉11と前面開口部との間をシールしている。
また、切替室7と製氷室8との前面開口部には、引出し式の切替室扉12と、引出し式の製氷室扉(図示しない)と、が設けられ、ガスケット(不図示)でシールされる。切替室扉12を前方へ引き出すと、上面を開口した切替室容器部13が同時に引き出す構成となっている。
【0017】
また、冷凍室9の前面開口部には、引出し式の冷凍室扉14が設けられ、冷凍室扉14のガスケット(不図示)で前面開口部との間をシールしている。
冷凍室9内には、上面を開口した上下に二段の上部冷凍室容器部15と下部冷凍室容器部16とを備え、上部冷凍室容器部15は下部冷凍室容器部16の上面開口周縁部に載った状態で、冷凍室扉14の前方への引出し動作に連動して、上部冷凍室容器部15と下部冷凍室容器部16とが引き出される構成となっている。
【0018】
また、最下部の野菜室10の前面開口部には、引出し式の野菜室扉17が設けられ、野菜室扉17のガスケット(不図示)で前面開口部との間をシールしている。
野菜室10内には上面を開口した野菜室容器部18を備え、野菜室扉17の引出し動作に連動して、野菜室容器部18が引き出される構成となっている。
【0019】
図2は、実施の形態1における冷凍室9および冷却室19の周辺を示す図である。
冷凍室9の後方には、冷気を生成する冷却室19が設けられている。冷却室19内には、冷凍サイクルを構成する冷却器(蒸発器)20が配設されている。冷蔵室6の後方上部には、冷凍サイクルを構成する圧縮機23(
図1参照)が配置されている。圧縮機23と、図示しない凝縮器と、膨張機構と、冷却器20とは、冷媒配管により接続されており、冷凍サイクルを構成している。
圧縮機23から冷媒を吐出させて冷凍サイクルを循環させることで、冷媒を所定の温度に冷却し、冷却器20と冷却室19の内部空気と熱交換させ、冷却室19の内部に冷気を発生させるように構成されている。
【0020】
冷却器20の上方空間には送風ファン21(
図1参照)を備えている。送風ファン21の運転により、冷却器20で熱交換した空気を冷蔵室6、切替室7、製氷室(不図示)、冷凍室9、そして野菜室10に送風し、送風する冷気量を調節制御して、各室を所定温度に冷却する。
【0021】
図2に示すように、冷凍室9の背面側には、冷却室19との間を仕切る仕切り壁25が設けられている。仕切り壁25には、冷却室19と冷凍室9とを連通させる冷気吹出口25a、25bが形成されている。本実施の形態では、冷気吹出口25a、25bは、上下に一対形成されている。
上側冷気吹出口25aは、上部冷凍室容器部15よりも上方に設けられている。上側冷気吹出口25aは略水平方向前方に冷気を吹き出す構成となっている。上側冷気吹出口25aは、わずかに下方にも吹き出すように構成される。上側冷気吹出口25aは、冷凍室容器30の上面カバー40、50の上面40a、50aに沿う方向に冷気を吹き出す。
【0022】
下側冷気吹出口25bは、上部冷凍室容器部15よりも下方、且つ、下部冷凍室容器部16よりも上方に設けられている。下側冷気吹出口25bは前下方に冷気を吹き出すように構成されている。下側冷気吹出口25bは下部冷凍室容器部16内に冷気を吹き出す。
下側冷気吹出口25bの下方には、冷却室19に連通する冷気戻り口25cが形成されている。冷気戻り口25cは、下部冷凍室容器部16の下部背面に対応して設けられている。
【0023】
[1-1-3.貯蔵室容器の構成]
図3は、実施の形態1における上部冷凍室容器部15の斜視図である。
上部冷凍室容器部15は、貯蔵室容器の一例としての冷凍室容器30と、冷凍室容器30の上方を覆う第1上面カバー40と第2上面カバー50と、を備える。上部冷凍室容器部15は、下部冷凍室容器部16の上面開口周縁部に載った状態で前方に引き出し可能に支持される(
図2参照)。本実施の形態では、冷凍室容器30は透明な樹脂材料で形成される。よって、冷凍室容器30越しに、下部冷凍室容器部16の内部を確認することができる。また、上面カバー40、50は、透明な樹脂材料で形成される。よって、上面カバー40、50越しに冷凍室容器30の内部を確認することができる。
【0024】
図4は、実施の形態1における冷凍室容器30の斜視図である。
冷凍室容器30は、前後左右に延びる外観略直方体の箱である。冷凍室容器30は、上方が開放されている。具体的には、冷凍室容器30は、矩形状の底壁31と、底壁31の周囲の周囲壁32と、を有する。周囲壁32は、前面壁32a、後面壁32b、左面壁32c、および、右面壁32dにより構成される。底壁31の左右中央部には、冷凍室容器30内を左右に仕切る仕切部33が形成されている。仕切部33により、冷凍室容器30には、第1収容部34と第2収容部35とが形成される。
【0025】
第1収容部34は、第1上面開口34aを通じて上方に開放される。第2収容部35は、第2上面開口35aを通じて上方に開放される。本実施の形態では、第1収容部34と第2収容部35との収容容量は同等に設定される。第1上面開口34aと第2上面開口35aとの開口形状は左右対称であり、開口面積が同一に設定される。第1上面開口34aと第2上面開口35aとを含んで、上面開口30aが形成される。
各収容部34、35には、金属製の着霜板60が着脱可能に支持される。着霜板60は、冷気吹出口25a、25b側に位置する後面壁32bの内面に沿って配置される。着霜板60に冷凍室容器30の内部の湿気の着霜を誘引させて、着霜板60を着脱することにより、冷凍室容器30内の着霜を除去することができる。
【0026】
図5は、
図3のV-V線断面図である。
図6は、
図3のVI-VI線断面図である。
冷凍室容器30の上面開口30aの前後部分には、前後に一対の下スライド部(第2スライド部)38、39と、前後に一対の上スライド部(第1スライド部)36、37とが形成される。
【0027】
下スライド部38、39は、それぞれ、前面壁32a、後面壁32bの上端に形成される。換言すれば、下スライド部38、39は、それぞれ、前面壁32a、後面壁32bの上端が前後方向外側に屈曲した形状により形成される。すなわち、本実施の形態では、下スライド部38、39は、上面開口30aの内側に設けられる。
【0028】
具体的には、前側の下スライド部38は、断面L字状に形成される。下スライド部38は、前面壁32aの上端部が前方に屈曲した形状の摺動壁38aと、摺動壁38aの前後方向外端から上方に延びるガイド壁38bと、を有する。摺動壁38aおよびガイド壁38bにより、前側の下スライド部38が形成される。下スライド部38は左面壁32cと右面壁32dとの間を左右方向に延びる。下スライド部38のガイド壁38bの上端により、上面開口30aの前縁30a1が構成される。
【0029】
後側の下スライド部39は、断面L字状に形成される。下スライド部39は、後面壁32bの上端部が後方に屈曲した形状の摺動壁39aと、摺動壁39aの前後方向外端から上方に延びるガイド壁39bと、を有する。摺動壁39aおよびガイド壁39bにより、後側の下スライド部39が形成される。下スライド部39は左面壁32cと右面壁32dとの間を左右方向に延びる。下スライド部39のガイド壁39bの上端により、上面開口30aの後縁30a2が構成される。
【0030】
前後の下スライド部38、39のガイド壁38b、39bの上端には、前後一対の上スライド部36、37が形成される。上スライド部36、37は、下スライド部38、39のガイド壁38b、39bの上端から前後方向外側にフランジ状に突出している。すなわち、本実施の形態では、上スライド部36、37は、上面開口30aの外側に設けられる。
【0031】
前側の上スライド部36は、前側の下スライド部38のガイド壁38bの上端から前方に突出して、前方に進むに連れて下方に湾曲する。前側の上スライド部36は左面壁32cと右面壁32dとの間を左右方向に延びる。上スライド部36の下面には、凹凸状の滑止め部36aが形成されている。上スライド部36の下方には、利用者が指を差し込み可能である。利用者は上スライド部36の下面に指を差し込んで、滑止め部36aに指を当てながら前方に引き出すことにより、冷凍室容器30を前側に引き出すことが可能になっている。すなわち、上部冷凍室容器部15が、下部冷凍室容器部16に対して前方に引き出し可能である。
【0032】
後側の上スライド部37は、後側の下スライド部39のガイド壁39bの上端から後方に突出している。後側の上スライド部37は左面壁32cと右面壁32dとの間を左右方向に延びる。上スライド部37には、上方に凹んだ凹溝37aが形成される。凹溝37aは、後側の上スライド部37に沿って延びている。
【0033】
図7は、実施の形態1における上部冷凍室容器部15の平面図である。
前後の下スライド部38、39において、下スライド部38、39の上方には、左右方向に延びる板状の抜け止め部38c、39cが形成される。抜け止め部38c、39cは、下スライド部38、39のガイド壁38b、39bの上端から前後方向内側に突出する(
図5、
図6参照)。抜け止め部38c、39cは、摺動壁38a、39aとの間に所定の隙間を形成する。抜け止め部38c、39cは、平面視で仕切部33と右面壁32dとの間に形成される。抜け止め部38c、39cの右端部には、切り欠き38c1、39c1が形成される。切り欠き38c1、39c1により、抜け止め部38c、39cは右面壁32dから離間する。抜け止め部38c、39cの左方には、抜け止め部38c、39cが形成されていない部位により着脱開口部30bが形成される。着脱開口部30bは、上面開口30aの一部形状である。着脱開口部30bは、第1収容部34の上面開口34aよりも平面視で大きく形成される。
【0034】
[1-1-4.上面カバーの構成]
図8は、実施の形態1における第1上面カバー40を
図3の状態から移動させた場合を示す上部冷凍室容器部15の斜視図である。
図9は、実施の形態1における第2上面カバー50を
図3の状態から移動させた場合を示す上部冷凍室容器部15の斜視図である。
前後のスライド部36、37、38、39には、上面カバー40、50がスライド可能に支持される。
【0035】
上面カバー40、50は、平面視で矩形板状に形成される。上面カバー40、50は、左右方向に比べて前後方向に長い矩形板状に形成される。本実施の形態の上面カバー40、50は、上面開口34a、35aを覆う大きさに形成される。
【0036】
第1上面カバー40は、前後の上スライド部36、37に跨る大きさに形成される。第1上面カバー40は、前後の上スライド部36、37に跨った状態で前後の上スライド部36、37にスライド可能に支持される。よって、第1上面カバー40は、平面視で、上面開口30aの前後幅よりも大きい。
【0037】
第2上面カバー50は、前後の下スライド部38、39に跨る大きさに形成される。第2上面カバー50は、第1上面カバー40よりも小さく形成される。第2上面カバー50は、平面視で、第1上面カバー40よりも左右幅および前後幅ともに小さく形成される。第2上面カバー50は、前後の下スライド部38、39に跨った状態で前後の下スライド部38、39にスライド可能に支持される。よって、第2上面カバー50は、平面視で、上面開口30aの前後幅よりも小さい。
【0038】
図3、
図4などに示すように、第1上面カバー40および第2上面カバー50は、それぞれ、上面開口34a、35aの開口形状に応じた開口領域部41、51を備える。開口領域部41、51は、上面開口34a、35aよりも一回り小さい大きさ形状を有する。具体的には、開口領域部41、51は、平面視で見た場合には、上面開口34a、35aよりも一回り小さい矩形状に形成される。開口領域部41には、厚み方向に貫通する複数の開口孔41a1、51a1が形成されている。本実施の形態では、開口孔41a1、51a1は角孔である。
【0039】
特に、本実施の形態では、複数の開口孔41a1、51a1は、開口領域部41、51を更に区分けした所定の領域41a、51aごとに一様に形成される。所定の領域41a、51aは、本実施の形態では8つ形成されている。すなわち、開口領域部41、51には、所定の間隔で開口孔41a1、51a1を塞いだ形状の閉塞部41a2、51a2が形成されている。閉塞部41a2、51a2は、平面視で、格子状に配列される。ここで、本実施の形態において、一様とは、前後方向、左右方向に、繰り返し、同一形状の開口孔41a1、51a1が形成されるという意味で用いる。本実施の形態では、開口孔41a1、51a1が前後左右に直線的に配列される構成を示すが、例えば、千鳥状に開口孔41a1、51a1が配列されて一様に形成されてもよい。開口領域部41、51に、閉塞部41a2、51a2を設けることにより、樹脂流れを良くし易く、樹脂成形品である上面カバー40、50の外観性を良好にできる。
【0040】
ここで、開口領域部41、51において、それぞれ、開口領域部41、51の全体の面積に対する開口孔41a1、51a1の形成されている部分の面積の割合である開口率Aが20%以上30%以下であるように、開口領域部41、51には、複数の開口孔41a1、51a1が形成される。本実施の形態では、開口孔41a1と開口孔51a1は同一形状である。開口孔41a1、51a1の大きさは、3mm角以上、5mm角以下が好適である。なお、開口率Aは、開口領域部41、51において、開口孔41a1、51a1の形成されていない部分の面積と、開口孔41a1、51a1の形成されている部分の面積との和に対する、開口孔41a1、51a1の形成されている部分の面積の割合ともいえる。
【0041】
開口領域部41、51の外周側には、開口孔41a1、51a1および閉塞部41a2、51a2が形成されていない非開口領域部42、52が形成されている。非開口領域部42、52は、平面視で、矩形の環状である。非開口領域部42、52があることにより、上面カバー40、50の強度を向上させることができる。
【0042】
図10は、実施の形態1における第1上面カバー40の開口孔41a1の周辺を示す要部拡大図である。
開口孔41a1は、第1上面カバー40の上面40aおよび下面40bの境界部が面取りされている。換言すれば、開口孔41a1は、上端部では、上方に進むに連れて断面幅が拡がり上面40aに対して滑らかに接続される。また、開口孔41a1は、下端部では、下方に進むに連れて断面幅が拡がり下面40bに対して滑らかに接続される。よって、第1上面カバー40は、開口孔41a1の境界部が角張り難くなっており、第1上面カバー40の上面40aおよび下面40bの抵抗が小さくなっている。
【0043】
特に、本実施の形態の開口孔41a1は、下端部から上方に進むに連れて断面幅が狭くなるテーパ状に形成される。これにより、開口孔41a1を通じて、第1上面カバー40の下方から上方に気体が移動し易くなっている。
これらの点は、第2上面カバー50の開口孔51a1も第1上面カバー40の開口孔41a1と同様である。
【0044】
よって、例えば、冷凍室扉14の開閉時に庫外の外気が冷凍室容器30内に進入した場合であっても、温度が高い外気は上昇気流により冷凍室容器30内から上面カバー40、50の上方へと自然と抜け易くできる。よって、外気が含む湿気によって冷凍室容器30内に霜が形成されることを抑制できる。
【0045】
[1-1-5.第1上面カバーの詳細な構成]
図11は、実施の形態1における前側の上スライド部36の周辺を示す
図5の拡大図である。
図12は、実施の形態1における後側の上スライド部37の周辺を示す
図5の拡大図である。
第1上面カバー40には、冷凍室容器30の前後に一対の上スライド部36、37に対応して、前後に一対の曲げ支持部43、44が形成される。曲げ支持部43、44がそれぞれの上スライド部36、37に引っ掛かることにより、第1上面カバー40が冷凍室容器30にスライド可能に支持される。したがって、簡単な構成で第1上面カバー40を、上面開口30aに沿わせてスライド可能に支持できる。第1上面カバー40は、第1収容部34を覆う位置と、第2収容部35の上方に移動する位置と、の間をスライド可能に支持される。
【0046】
図11に示すように、前側の曲げ支持部43は、前側の上スライド部36を外側から回り込んで上スライド部36の下方に進入する。具体的には、前側の曲げ支持部43は、非開口領域部42から前方に延びる基部43aと、基部43aの前端から前方に進むに連れて下方に湾曲する湾曲部43bと、湾曲部43bの下端から後方に屈曲する屈曲部43cと、を備える。基部43aが上スライド部36を上方から覆い、湾曲部43bが上スライド部36を前方から覆い、屈曲部43cが上スライド部36の下方に進入する。
【0047】
図12に示すように、後側の曲げ支持部44は、後側の上スライド部37を外側から回り込んで上スライド部37の下方に進入する。具体的には、後側の曲げ支持部44は、非開口領域部42から後方に延びる基部44aと、基部44aの後端から下方に屈曲して延出する延出部44bと、延出部44bの下端から後方に屈曲する屈曲部44cと、を備える。基部44aが上スライド部37を上方から覆い、延出部44bが上スライド部37を後方から覆い、屈曲部44cが上スライド部37の下方に進入する。
第1上面カバー40では、前後の曲げ支持部43、44がそれぞれの上スライド部36、37の下方に進入することにより、第1上面カバー40が冷凍室容器30から上方に離脱することが規制される。
【0048】
特に、後側の曲げ支持部44が、後側の上スライド部37を外側から回り込んで上スライド部37の下方に進入する構造である。その上、後側の上スライド部37には凹溝37aも形成されている。このため、後側の曲げ支持部44と後側の上スライド部37とは、いわゆる、ラビリンス構造を形成する。よって、冷凍室9(
図2参照)において、冷気吹出口25a、25bから吹き出された冷気が、冷凍室容器30の後側の上スライド部37と、第1上面カバー40の後側の曲げ支持部44と、の間を通って、冷凍室容器30内に入るのを抑制し易くできる。
また、冷凍室扉14を開放した時に、外気の湿気が入り難く、後側の上スライド部37と後側の曲げ支持部44との間の摺動面に着霜や氷結するのを抑制し、第1上面カバー40の操作性を維持することができる。
【0049】
ここで、
図7、
図8に示すように、前後それぞれの上スライド部36、37および曲げ支持部43、44において、上スライド部36、37および曲げ支持部43、44の一方には他方に向かって突出する突起部36b、36c、37b、44dが形成されている。
【0050】
本実施の形態では、前側の上スライド部36には、第1上面カバー40に向かって突出する突起部36b、36cが形成されている。詳細には、前側の上スライド部36の上面には、上方に突出する上方突起部36bが形成されている。前側の上スライド部36の前面には、前方に突出する前方突起部36cが形成されている。突起部36b、36cは、冷凍室容器30の左右全体に筋状に延びている(
図4参照)。
【0051】
後側の上スライド部37には、第1上面カバー40に向かって突出する上方突起部37cが形成されている(
図4参照)。上方突起部37cは冷凍室容器30の左右全体に筋状に延びている。また、第1上面カバー40において、後側の曲げ支持部44の延出部44bの前面には、後側の上スライド部37に向かって突出する前方突起部44d(
図12参照)が形成されている。前方突起部44dは円形の突起が左右それぞれ1箇所に設けられている。前方突起部44dは、後側の曲げ支持部44の左右全体に筋状に延びていてもよい。
【0052】
上方突起部36b、37cと、前方突起部36c、44dとにより、上スライド部36、37と曲げ支持部43、44とが、線接触または点接触のように接触し易くなるため、互いの接触面積を小さくできる。よって、第1上面カバー40が冷凍室容器30に対してスライドする際の摺動抵抗を低減することができる。また、仮に、上スライド部36、37と曲げ支持部43、44との間の摺動面に着霜や氷結したとしても、面接触の場合に比べて第1上面カバー40の操作性を確保し易くできる。
【0053】
第1上面カバー40の非開口領域部42の左右方向外端には、上面40aに対して上方に突出するリブ状の操作部42aが形成される。操作部42aは、開口領域部41の左側(左右方向一側)に形成される。操作部42aは、開口領域部41の前後方向の長さに対応して形成される。操作部42aにより、利用者が第1上面カバー40を左右方向にスライド操作可能となる。
【0054】
[1-1-6.第2上面カバーの詳細な構成]
第2上面カバー50には、冷凍室容器30の前後に一対の下スライド部38、39に対応して、前後に一対の摺動支持部53、54が形成される。摺動支持部53、54は、第2上面カバー50の下面50bから下方に突出する。摺動支持部53、54は、左右方向に延びる。摺動支持部53、54は、それぞれの下スライド部38、39に線接触し易くなっている。摺動支持部53、54が、下スライド部38、39の摺動壁38a、39aに摺動され、ガイド壁38b、39b間で前後に保持されることにより、第2上面カバー50が左右方向にスライド可能に支持される。したがって、簡単な構成で第2上面カバー50を、上面開口30aに沿わせてスライド可能に支持できる。
【0055】
本実施の形態では、第2上面カバー50は、第1上面カバー40が取り付けられていない場合には、第1収容部34を覆う位置と、第2収容部35を覆う位置と、の間をスライド可能に支持される。換言すれば、第2上面カバー50は、第1上面カバー40が取り付けられていない場合には、左面壁32cに当接する位置と、右面壁32dに当接する位置と、の間をスライド可能に支持される。
【0056】
第2上面カバー50は、着脱開口部30bよりも小さい板状に形成される(
図7の破線参照)。第2上面カバー50は、着脱開口部30bを介して下スライド部38、39に上下方向に着脱可能に配置される。第2上面カバー50は、上面50aが抜け止め38c、39cよりも低くなるように形成される。すなわち、第2上面カバー50は、下スライド部38、39において、摺動壁38a、39aと抜け止め部38c、39cとの間に挟まれた状態でスライド可能である。
【0057】
第2上面カバー50の上方には、第1上面カバー40が配置される。第2上面カバー50は、第1上面カバー40(
図7の二点鎖線参照)に左端部が上方から覆われるように配置される。これにより、第2上面カバー50は、一部が、第1上面カバー40に上方から覆われた状態となるため、下スライド部38、39から離脱することが規制される。
【0058】
第2上面カバー50の非開口領域部52の左右方向両外端には、上面50aに対して上方に突出するリブ状の操作部52aと閉塞部52bとが形成される。
操作部52aは、開口領域部51の右側(左右方向他側)に形成される。操作部52aは、開口領域部51の前後方向の長さに対応して形成される。ここで、操作部52aは、第1上面カバー40の上面40aよりも上方に突出している(
図5参照)。操作部52aにより、利用者が第2上面カバー50を左右方向にスライド操作可能となる。
【0059】
閉塞部52bは、第2上面カバー50の左端に形成される。閉塞部52bは、上面50aの前後方向全体に対応して形成される。閉塞部52bは、操作部52aよりも前後方向に長い。また、閉塞部52bは、操作部52aよりも高さが低い。具体的には、閉塞部52bは、第1上面カバー40の下面40bから離間する程度の高さに形成される(
図5参照)。すなわち、上面カバー40、50同士がスライド時に接触しないように構成される。閉塞部52bは、第2上面カバー50の左端に形成されており、第1上面カバー40に覆われる。閉塞部52bにより、上側の第1上面カバー40と、下側の第2上面カバー50との間の隙間を閉塞し易くでき、冷気や外気が第1上面カバー40と第2上面カバー50との間から冷凍室容器30内に、流入、流出することが抑制され易くなっている。
【0060】
第2上面カバー50は、下スライド部38、39にスライド可能に支持されており、上面開口30aよりも上面50aが下方に位置する。よって、冷凍室扉14を開放した時に、外気の湿気が入りにくく、後側の下スライド部39と後側の摺動支持部54との間の摺動面に着霜や氷結するのを抑制し、第2上面カバー50の操作性を確保し易くできる。
特に、本実施の形態では、下スライド部38、39の上方には、抜け止め部38c、39cが形成されている。このため、抜け止め部38c、39cと下スライド部38、39と、第2上面カバー50の摺動支持部53、54とは、いわゆる、ラビリンス構造を形成し易い。よって、冷気吹出口25a、25bから吹き出された冷気が、冷凍室容器30の後側の下スライド部39と、第2上面カバー50の摺動支持部54と、の間を通って、冷凍室容器30内に入るのを抑制し易くできる。
【0061】
[1-1-7.ストッパーの構成]
図13は、実施の形態1におけるストッパー61の斜視図である。
図14は、実施の形態1におけるストッパー61を規制位置に移動させた場合の側面図である。
図15は、実施の形態1におけるストッパー61を解除位置に移動させた場合の側面図である。
後側の上スライド部37には、第1上面カバー40のスライドを規制するストッパー61が設けられている。本実施の形態では、ストッパー61は、後側の上スライド部37の左端に設けられる。
【0062】
ストッパー61は、後側の上スライド部37に対して後方に突出する形状である。詳細には、
図14に示す規制位置において、ストッパー61は、後側の上スライド部37よりも後方に位置する板状の操作部61aを有する。操作部61aには、前方に延出する支持部61bが形成されている。支持部61bには、左右方向に回転中心を有する回動ヒンジ61cが設けられる。ストッパー61は、回動ヒンジ61cにより、冷凍室容器30に回動可能に支持される。
【0063】
支持部61bの上方には、前方に突出する爪部61d(
図15参照)が形成されている。爪部61dは、冷凍室容器30に設けられた引っ掛け部(不図示)に引っ掛かる。これにより、ストッパー61は、
図14に示す規制位置に保持される。ストッパー61は、規制位置では、側面視において第1上面カバー40の後側の曲げ支持部44に重複するように構成される。したがって、第1上面カバー40が後側の上スライド部37に沿ってスライドする際に、後側の曲げ支持部44がストッパー61に当接して、第1上面カバー40のスライドが規制される。よって、第1上面カバー40が過スライドして冷凍室容器30から離脱することが規制される。
【0064】
ここで、後側の曲げ支持部44の左端には、平面視でL字状に切り欠かれたストッパー回避部44eが形成されている(
図7参照)。ストッパー回避部44eには、ストッパー61が進入する。そして、第1上面カバー40の後側の曲げ支持部44の左端がストッパー61に突き当たる。これにより、第1上面カバー40が第1収容部34の上方に位置決めされる。すなわち、第1上面カバー40をストッパー61に突き当てることにより、精度良く、第1収容部34を塞ぐことができる。
なお、第1収容部34を開放する場合には、第1上面カバー40を、第2収容部35側に移動させ、第2上面カバー50の上方に移動させることにより、第1収容部34を開放できる。
【0065】
ストッパー61が規制位置にある場合に、回動ヒンジ61cに対して径方向外端となる操作部61aを後方に押すことにより、爪部61dの係合が解除され、ストッパー61は
図15に示す解除位置に移動する。ストッパー61は、解除位置では、側面視において第1上面カバー40の後側の曲げ支持部44に重複しない、あるいは、略重複しないように構成される。よって、ストッパー61が解除位置に移動した場合には、第1上面カバー40の後側の曲げ支持部44がストッパー61を越えて左右方向外側に通過でき、過スライドが可能である。したがって、これにより、第1上面カバー40を冷凍室容器30から取り外すことが可能となる。第1上面カバー40を取り外すことにより、第1上面カバー40の清掃などが可能となる。
【0066】
ここで、第1上面カバー40は、第2上面カバー50の左端部を覆った状態で左右方向にスライド可能に支持される。このとき、第1上面カバー40を右方向にスライドさせると、第2上面カバー50の上方に突出する操作部52aに当接する。よって、操作部52aにより、第1上面カバー40が第2上面カバー50を追い越して右方向にスライドすることが規制される。すなわち、第2上面カバー50が冷凍室容器30の右面壁32dに当接して第2上面カバー50の右方向へのスライドが規制されることにより、第1上面カバー40が第2上面カバー50を介して右方向への過スライドが規制される。
よって、第1上面カバー40は、ストッパー61と、第2上面カバー50とにより、左右方向の過スライドが規制される。
【0067】
第2上面カバー50では、上方に第1上面カバー40が配置された状態で左右方向にスライド可能に支持される。具体的には、第2上面カバー50は、前後の摺動支持部53、54が、それぞれのガイド壁38b、39bに当接しながら左右方向に案内される。第2上面カバー50は、右面壁32dに当接することにより、右方向の過スライドが規制されると共に、第2収容部35の上方に位置決めされて第2収容部35を精度良く塞ぐ。第2上面カバー50は、操作部52aが当接することにより、第1上面カバー40を介して左方向への過スライドが規制される。第2上面カバー50は、第1上面カバー40が取り外されることにより、着脱開口部30bを介して冷凍室容器30から取り外すことが可能となり、第2上面カバー50の清掃などが可能となる。
【0068】
[1-1-7.孔と冷気の関係]
図16は、実施の形態1におけるおいしさDと品位Rと開口率Aとの関係を示す図である。
図16の上段は、おいしさDと品位Rと抵抗係数Kとの関係を示す図である。
図16の上段において、左側の縦軸はおいしさDを示す。右側の縦軸は品位Rを示す。横軸は抵抗係数Kを示す。
図16の下段は、抵抗係数Kに対応する開口率Aを示す。ここで、品位Rは除湿能力と言い換えることができる。
【0069】
開口孔41a1、51a1を通じて上面カバー40、50の上方から下方に冷気が進入した場合、開口孔41a1、51a1の下面40b、50b近傍で流体の粘性により渦が生じる。このため、開口孔41a1、51a1の見かけ上の大きさ(上面カバー40、50毎の全開口孔41a1、51a1の総和)以上に、冷気は冷凍室容器30内の内部深くまで進入し難い。すなわち、上面カバー40、50に沿って冷気が流れる際に、上面の圧力p1(
図2参照)と、下面の圧力p2(
図2参照)とについて、その差である圧力損失を表わす抵抗係数K(∝p1-p2)を調整することにより、冷凍室容器30の内部の密閉性と通気性の両立が実現でき、おいしさDと品位Rを両立できることを見出した。
【0070】
具体的には、おいしさDの観点においては、食品が乾燥しないことが重要である。このため、おいしさDの観点においては、冷凍室容器30を密閉した状態、すなわち、開口率Aが0%に近いほど望ましい。官能評価からは、抵抗係数Kが7以上である開口率Aが30%以下であれば許容されることが判明した。30%を超えると官能評価のレベルが一段劣化した。
【0071】
品位Rの観点においては、冷凍室容器30内に進入した湿気を逃がすことが重要である。このため、品位Rの観点においては、冷凍室容器30を開放した状態、すなわち、開口率Aが100%に近いほど望ましい。実験によれば、抵抗係数Kが20以下である開口率Aが20%以上であれば許容されることが判明した。
以上より、おいしさDと品位Rの両立を図るには、開口率Aが20%以上、且つ、30%以下であることが望ましいことが理解される。
【0072】
[1-2.動作等]
次に、実施の形態1における冷蔵庫1の動作について説明する。
本実施の形態においては、圧縮機23を駆動して冷凍サイクルに冷媒を循環させ、冷却器20により冷却室19の内部空気と熱交換を行うことで、冷気を発生させる。そして、送風ファン21を駆動することで、送風ファン21の運転により、冷却器20で熱交換した空気を冷蔵室6、切替室7、製氷室(不図示)、冷凍室9、そして野菜室10に送風し、送風する冷気量を調節制御して、各室を所定温度に冷却する。
【0073】
このとき、
図2に示すように、冷凍室9では、上側冷気吹出口25aからは、上面カバー40、50の上面40a、50aに沿うように、矢印A1で示すように冷気が吹き出される。
また、下側冷気吹出口25bからは、冷凍室容器30の下方に向けて、矢印A2で示すように、冷気が吹き出される。
冷凍室9を冷却した冷気は、矢印A3で示すように、冷気戻り口25cから冷却室19に戻る。
このようにして、冷凍室9に冷気が送風され、冷凍室9の冷却が行われる。
【0074】
図17は、実施の形態1における上部冷凍室容器部15の第1上面カバー40の周辺の冷気の流体解析の結果を示す図である。
図17では第1上面カバー40の開口孔41a1の記載は部分的に省略している。
図17において、黒のドットが少ないほど冷気の速度Vが遅い部分であり、黒のドットが多いほど冷気の速度Vが速い部分である。
上側冷気吹出口25aから吹き出された冷気は、第1上面カバー40の上面40aに沿って勢いよく流れることが確認される。しかしながら、第1上面カバー40の下面40bに沿う冷気の流れは小さいことが確認される。
【0075】
これは、第1上面カバー40に沿って流れる冷気が開口孔41a1を通過して第1上面カバー40の下方に移動しても、第1上面カバー40の下面40bの近傍に粘性による渦状の対流(以下、渦流という)が発生し、渦流は近傍の開口孔41a1の下面40bから上面40a側へ向かって流れる。
よって、冷気は、冷凍室容器30の内部深くまで進入することが、ほぼない状態で第1上面カバー40に沿って流れる。
これらの点は、第2上面カバー50でも同様である。
【0076】
よって、本実施の形態では、冷凍室容器30内の温度変動を抑え、食品の冷気による乾燥を抑制することが可能である。さらに、冷気が上面カバー40、50の上面40a、50aに沿って流れ、開口孔41a1、51a1から容器内部に一部の冷気が進入した場合でも、下面40b、50b近傍で渦流が生じ、内部に入った冷気は他の開口孔41a1、51a1の下面40b、50bから上面40a、50aに向かって上面カバー40、50の外部へ流出する。
【0077】
したがって、冷凍室容器30への食品収納時や冷凍室扉14の開放などにより、冷凍室容器30内部に湿気が入った場合でも、上記の作用による、開口孔41a1、51a1での冷気の出入りにより、湿気は冷気と一緒に上面カバー40、50の外部へ流れるため除湿を図ることができ、湿気が霜となって上面カバー40、50に着霜したとしても、上記作用による、開口孔41a1、51a1での冷気の出入りにより、上面40a、50aや下面40b、50bの着霜の昇華を促すことができる。よって、着霜によって上面カバー40、50の光の透過性が乱され難く、冷凍室容器30内の見易さが維持され易くなっている。
【0078】
また、冷気吹出口25a、25bに近くて冷え易い冷凍室容器30の後面壁32b側には、緩やかな冷気の流れA4が確認される。後面壁32bの近傍は、冷気吹出口25a、25bに近くて着霜し易いが、本実施の形態では、後面壁32bの近傍には乾燥した冷気が進入し易くなっており、外気などによる着霜を昇華させ易くなっている。
【0079】
特に、本実施の形態では、着霜板60(
図5参照)が着脱可能に設けられる。着霜板60に意図的に霜を形成して取り出すことにより、冷凍室容器30内の霜を除去し易くできる。
【0080】
本実施の形態では、上面カバー40、50は、いずれも、第1収容部34を覆う位置と第2収容部35を覆う位置との間でスライド可能に構成される。よって、第1上面カバー40と第2上面カバー50とを独立に開閉させ易く、冷凍室容器30の左右方向の冷気の進入具合を調整できる。これにより、第1収容部34と第2収容部35において、全体を上面カバー40、50で覆って、上面カバー40、50により冷気が流入し難い収容部34、35として使用することができる。また、上面カバー40、50を重ねるようにして一方の収容部34、35に寄せて、一方の収容部34、35を、上面カバー40、50により冷気が流入し難い収容部34、35として使用し、他方の収容部35、34を、冷気が流入し易い収容部35、34として使用することができる。
【0081】
また、本実施の形態では、下スライド部38、39が上面開口30aの内側に設けられ、上スライド部36、37が上面開口30aの外側に設けられる。よって、上スライド部36、37と、下スライド部38、39とを上面開口30aの内外の一方に配置する場合に比べて、冷凍室容器30をコンパクトな外観形状とし易くなっている。
【0082】
さらに、下スライド部38、39に第2上面カバー50をスライド可能にすることにより、第2上面カバー50を冷凍室容器30に収容した状態で移動させ易くなっている。よって、第1上面カバー40を上スライド部36、37にスライド可能にすることにより、コンパクトな状態で、第1上面カバー40と第2上面カバー50とを重複してスライド可能にすることができる。
【0083】
[1-3.効果等]
以上述べたように、本実施の形態においては、冷蔵庫1は、冷凍室9と、上面開口30aが形成され冷凍室9に収容される冷凍室容器30と、冷凍室容器30の上面開口30aに設けられた上面カバー40、50と、冷凍室9の背面側に設けられ上面カバー40、50に沿って冷凍室9に冷気を吹き出す上側冷気吹出口25aと、を備え、上面カバー40、50は、第1上面カバー40と第2上面カバー50とを有し、第1上面カバー40および第2上面カバー50には、それぞれ、前後方向に間隔を空けて冷気の流れを調整する複数の開口孔41a1、51a1が形成され、冷凍室容器30には、第1上面カバー40を左右方向にスライド可能に支持する上スライド部36、37と、第2上面カバー50を左右方向にスライド可能に支持する下スライド部38、39と、が形成されている。
この構成により、冷凍室容器30の上面開口30aには、冷気の流れを調整する複数の開口孔41a1、51a1が設けられた第1上面カバー40と第2上面カバー50とが設けられるため、冷凍室容器30内の食品の乾燥を抑制しつつ冷凍室容器30内を冷却できる。また、第1上面カバー40と第2上面カバー50とは、それぞれのスライド部36、37、38、39にスライド可能に支持されるため、第1上面カバー40と第2上面カバー50とを独立に開閉させ易く、冷凍室容器30の左右方向の冷気の進入具合を調整できる。したがって、本構成により、冷凍室容器30内の食品の乾燥を抑制可能な冷凍室容器30の上面カバー40、50の開閉自由度を向上させることができる冷蔵庫1を提供することができる。
【0084】
本実施の形態のように、上面開口30aの外側に設けられた前後に一対の上スライド部36、37と、上面開口30aの内側に設けられた前後に一対の下スライド部38、39と、を備えてもよい。
この構成により、上スライド部36、37と下スライド部38、39とをコンパクトに設けることができる。
【0085】
本実施の形態のように、一対の上スライド部36、37は、上面開口30aの前後にフランジ状に設けられ、第1上面カバー40には、一対の上スライド部36、37に対応して一対の曲げ支持部43、44が形成され、曲げ支持部43、44は、対応する上スライド部36、37を外側から回り込んで対応する上スライド部36、37の下方に進入してもよい。
この構成により、冷凍室容器30と第1上面カバー40との隙間からの冷気や外気の進入による着霜や氷結を抑制し易く、第1上面カバー40の操作性を維持することができる。
【0086】
本実施の形態のように、下スライド部38、39は、上面開口30aの開口端よりも下方に設けられてもよい。
この構成により、下スライド部38、39と第2上面カバー50との当接部を上面開口30aの壁面で包囲できるため、冷凍室容器30と第2上面カバー50との隙間からの冷気や外気の進入による着霜や氷結を抑制し易く、第2上面カバー50の操作性を維持することができる。
【0087】
本実施の形態のように、第1上面カバー40は、第2上面カバー50の一部を上方から覆うように左右方向にスライド可能に支持され、冷凍室容器30には、第1上面カバー40のスライドを規制するストッパー61が設けられ、ストッパー61は、第1上面カバー40の過スライドを規制する規制位置と、第1上面カバー40の過スライドを許容して第1上面カバー40の離脱を許容する解除位置と、の間を移動可能に支持されてもよい。
この構成により、ストッパー61を規制位置に移動させることにより、第1上面カバー40の離脱を規制すると共に、第1上面カバー40で上方から覆うことにより第2上面カバー50の離脱を規制することができる。また、ストッパー61を解除位置に移動させることにより、第1上面カバー40の離脱を許容すると共に、第2上面カバー50の離脱を許容することができる。
【0088】
本実施の形態のように、下スライド部38、39の上方に設けられ、第2上面カバー50が上方に離脱することを規制する抜け止め部38c、39cと、抜け止め部38c、39cの左右方向一側に設けられ、第2上面カバー50が上下方向に下スライド部38、39に着脱される着脱開口部30bと、着脱開口部30b側に設けられたストッパー61と、を備えてもよい。
この構成により、第2上面カバー50を着脱開口部30bから上下方向に着脱させることができ、簡易に第2上面カバー50の着脱ができる。
【0089】
本実施の形態のように、第2上面カバー50の左右方向他端部には、第1上面カバー40の左右方向他端に当接可能な操作部52aが形成されていてもよい。
この構成により、操作部52aにより第2上面カバー50を左右方向にスライド操作可能であると共に、操作部52aにより第1上面カバー40の左右方向他端への過スライドを規制することができる。よって、ストッパー61を複数設けない簡素な構成で第1上面カバー40の過スライドを規制できる。
【0090】
本実施の形態のように、複数の開口孔41a1、51a1は、冷凍室容器30の前側から後側にわたった領域41a、51aに、前後方向、左右方向に、繰り返し形成されていてもよい。
この構成により、冷気吹出口25aから吹出した冷気の流れを効果的に調整することができるため、冷凍室容器30内の乾燥を抑えながら、冷凍室容器30や上面カバー40、50への着霜を抑制することができる。
【0091】
(他の実施の形態)
なお、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【0092】
実施の形態1においては、冷蔵室6を備える冷蔵庫1の構成を説明したが、冷蔵室6が省略され、冷凍室9のみを貯蔵室として有する冷蔵庫でもよい。
【0093】
実施の形態1においては、上側冷気吹出口25aは、上面カバー40、50のうち高い方の第1上面カバー40より上方に位置する構成を説明したが、これに限定されない。上側冷気吹出口25aは、高さ方向において第1上面カバー40と重複した位置に形成されてもよく、上側冷気吹出口25aの少なくとも一部が第1上面カバー40の上方に位置すればよい。
この構成により、上面カバー40、50の上方に冷気を吹き出し易く、冷凍室9内を効率よく冷却できる。
【0094】
実施の形態1においては、開口孔41a1、51a1は角孔である構成を説明した。しかし、角孔に代えて、開口孔41a1、51a1は円形、楕円形、又は、角丸長方形などであってもよい。例えば、開口孔41a1、51a1は、直径が、3mm以上、且つ、5mm以下の円形の孔であってもよい。
開口孔41a1、51a1が、円形、楕円形、又は、角丸長方形である場合には、開口孔41a1、51a1が形成された第1上面カバー40の割れを抑制することができる。
【0095】
実施の形態1においては、開口領域部41、51において、開口率Aは、全体で一定の構成を説明したが、これに限定されない。例えば、冷気吹出口25a、25bから離間した領域41a、51aよりも、冷気吹出口25a、25bに近い領域41a、51aの開口率が大きくなるように、複数の開口孔を一様に形成してもよい。なお、この場合には、冷気吹出口25a、25bから離間した領域41a、51aにおける複数の開口孔の一様さと、冷気吹出口25a、25bに近い領域41a、51aの複数の開口孔の一様さとは異なる。すなわち、例えば、冷気吹出口25a、25bから離間した領域41a、51aの開口孔41a1は3mm角の孔とし、冷気吹出口25a、25bに近い領域41a、51aの開口孔41a1は5mm角の孔とすることが考えられる。
この構成により、冷気吹出口25a、25bに近い領域41a、51aから冷気の一部を冷凍室容器30内に入れて、冷気吹出口25a、25bに近い冷凍室容器30の背面の着霜を抑制し易くできる。
【0096】
実施の形態1においては、上面カバー40、50が透明材料の樹脂で形成されることにより、開口領域部41、51が透明材料により構成される構成を説明した。しかしながら、これに代えて、ガラスを用いても良い。例えば、非開口領域部42、52は樹脂で形成し、非開口領域部42、52にガラスをはめ込むことにより上面カバー40、50を構成してもよい。
【0097】
実施の形態1において、開口領域部41、51は、平面視で矩形状の構成を説明したが、開口領域部41、51は、上面開口34a、35aの開口形状に応じていれば矩形状に限定されるものではない。例えば、開口領域部41、51は、矩形状の角が欠けた形状、例えば、平面視で略十字状や八角形状などでもよい。また、区分けされた所定の領域41a、51aも、開口領域部41、51により区分けされ、本願発明の効果を奏する限りにおいて、矩形に限定されず、三角形状や、六角形状など任意の領域形状でよい。
【0098】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0099】
(技術1)冷凍室と、上面開口が形成され前記冷凍室に収容される冷凍室容器と、前記冷凍室容器の前記上面開口に設けられた上面カバーと、前記冷凍室の背面側に設けられ前記上面カバーに沿って前記冷凍室に冷気を吹き出す冷気吹出口と、を備え、前記上面カバーは、第1上面カバーと第2上面カバーとを有し、前記第1上面カバーおよび前記第2上面カバーには、それぞれ、前後方向に間隔を空けて冷気の流れを調整する複数の開口孔が形成され、前記冷凍室容器には、前記第1上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第1スライド部と、前記第2上面カバーを左右方向にスライド可能に支持する第2スライド部と、が形成されている冷蔵庫。
この構成により、冷凍室容器の上面開口には、冷気の流れを調整する複数の開口孔が設けられた第1上面カバーと第2上面カバーとが設けられるため、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制しつつ冷凍室容器内を冷却できる。また、第1上面カバーと第2上面カバーとは、それぞれのスライド部にスライド可能に支持されるため、第1上面カバーと第2上面カバーとを独立に開閉させ易く、冷凍室容器の左右方向の冷気の進入具合を調整できる。したがって、冷凍室容器内の食品の乾燥を抑制可能な冷凍室容器の上面カバーの開閉自由度を向上させることができる冷蔵庫を提供することができる。
【0100】
(技術2)前記上面開口の外側に設けられた前後に一対の前記第1スライド部と、前記上面開口の内側に設けられた前後に一対の前記第2スライド部と、を備える技術1に記載の冷蔵庫。
この構成により、第1スライド部と第2スライド部とをコンパクトに設けることができる。
【0101】
(技術3)前記一対の第1スライド部は、前記上面開口の前後にフランジ状に設けられ、前記第1上面カバーには、前記一対の第1スライド部に対応して一対の曲げ支持部が形成され、前記曲げ支持部は、対応する前記第1スライド部を外側から回り込んで前記対応する前記第1スライド部の下方に進入する技術1または2に記載の冷蔵庫。
この構成により、冷凍室容器と第1上面カバーとの隙間からの冷気や外気の進入による着霜や氷結を抑制し易く、第1上面カバーの操作性を維持することができる。
【0102】
(技術4)前記第2スライド部は、前記上面開口の開口端よりも下方に設けられる技術3に記載の冷蔵庫。
この構成により、第2スライド部と第2上面カバーとの当接部を上面開口の壁面で包囲できるため、冷凍室容器と第2上面カバーとの隙間からの冷気や外気の進入による着霜や氷結を抑制し易く、第2上面カバーの操作性を維持することができる。
【0103】
(技術5)前記第1上面カバーは、前記第2上面カバーの一部を上方から覆うように左右方向にスライド可能に支持され、前記冷凍室容器には、前記第1上面カバーのスライドを規制するストッパーが設けられ、前記ストッパーは、前記第1上面カバーの過スライドを規制する規制位置と、前記第1上面カバーの過スライドを許容して前記第1上面カバーの離脱を許容する解除位置と、の間を移動可能に支持される技術3または4に記載の冷蔵庫。
この構成により、ストッパーを規制位置に移動させることにより、第1上面カバーの離脱を規制すると共に、第1上面カバーで上方から覆うことにより第2上面カバーの離脱を規制することができる。また、ストッパーを解除位置に移動させることにより、第1上面カバーの離脱を許容すると共に、第2上面カバーの離脱を許容することができる。
【0104】
(技術6)前記第2スライド部の上方に設けられ、前記第2上面カバーが上方に離脱することを規制する抜け止め部と、前記抜け止め部の左右方向一側に設けられ、前記第2上面カバーが上下方向に前記第2スライド部に着脱される着脱開口部と、前記着脱開口部側に設けられた前記ストッパーと、を備える技術5に記載の冷蔵庫。
この構成により、第2上面カバーを着脱開口部から上下方向に着脱させることができ、簡易に第2上面カバーの着脱ができる。
【0105】
(技術7)前記第2上面カバーの左右方向他端部には、前記第1上面カバーの左右方向他端に当接可能な操作部が形成されている技術6に記載の冷蔵庫。
この構成により、操作部により第2上面カバーを左右方向にスライド操作可能であると共に、操作部により第1上面カバーの左右方向他端への過スライドを規制することができる。よって、ストッパーを複数設けない簡素な構成で第1上面カバーの過スライドを規制できる。
【0106】
(技術8)前記複数の開口孔は、前記冷凍室容器の前側から後側にわたった領域に、前後方向、左右方向に、繰り返し形成されている技術1から7のいずれかに記載の冷蔵庫。
この構成により、冷気吹出口から吹出した冷気の流れを効果的に調整することができるため、冷凍室容器内の乾燥を抑えながら、冷凍室容器や上面カバーへの着霜を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本開示に係る冷蔵庫は、上面開口が形成される冷凍室容器と、冷凍室容器の上面開口を覆う上面カバーと、を備える冷蔵庫に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0108】
1 冷蔵庫
9 冷凍室
25a 上側冷気吹出口(冷気吹出口)
30 冷凍室容器
30a 上面開口
30b 着脱開口部
36 前側の上スライド部(第1スライド部)
37 後側の上スライド部(第1スライド部)
38 前側の下スライド部(第2スライド部)
38c 抜け止め部
39 後側の下スライド部(第2スライド部)
39c 抜け止め部
40 第1上面カバー
41a 領域
41a1 開口孔
43 前側の曲げ支持部
44 後側の曲げ支持部
50 第2上面カバー
51a 領域
51a1 開口孔
52a 操作部
61 ストッパー