(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152456
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241018BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066663
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(72)【発明者】
【氏名】若林 健一
(72)【発明者】
【氏名】水野 幸憲
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA07Z
5H770PA11
5H770PA42
5H770QA01
5H770QA06
5H770QA12
5H770QA14
5H770QA31
5H770QA35
(57)【要約】
【課題】コネクタから配線にノイズが侵入することが抑制された電気機器を提供する。
【解決手段】電気機器1は、基板18と、インバータ11と、モータ5と、モータバスバ14と、配線44、45、55と、第1コネクタ40、50と、第2コネクタ30と、これらが設けられる筐体100と、を備える。配線は導線と導線を被覆する電磁シールドを有する。第1コネクタは、配線と電気部品3、4を接続する。第2コネクタは、インバータとバッテリ2を接続する。筐体に第2コネクタを通すためのコネクタ孔34が形成されている。厚さ方向に関する基板の投影領域の外にモータバスバの一部が設けられている。モータバスバの一部、および、コネクタ孔が、基板の奥行方向DPに関して、基板よりも手前側DP-に設けられている。第1コネクタが、奥行方向に関して、基板よりも奥側DP+に設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の基板(18)と、
前記基板の厚さ方向(TD)で前記基板に重なり、前記基板に電気的に接続されるインバータ(11)と、
前記厚さ方向で前記インバータに重なり、前記インバータに電気的に接続されるモータ(5)と、
前記インバータと前記モータとを電気的に接続されるモータバスバ(14)と、
導線と前記導線を被覆する電磁シールドを有し、前記基板に電気的に接続される配線(44、45、55)と、
前記配線と電気部品(3、4)を電気的に接続する第1コネクタ(40、50)と、
前記インバータとバッテリ(2)を電気的に接続する第2コネクタ(30)と、
前記基板、前記インバータ、前記モータ、前記モータバスバ、前記配線、前記第1コネクタ、および、前記第2コネクタが設けられる筐体(100)と、を備え、
前記筐体に前記第2コネクタを通すためのコネクタ孔(34)が形成され、
前記厚さ方向に関する前記基板の投影領域の外に前記モータバスバの一部が設けられ、
前記モータバスバの一部、および、前記コネクタ孔が、前記基板の奥行方向(DP)に関して、前記基板よりも手前側(DP-)に設けられ、
前記第1コネクタが、前記奥行方向に関して、前記基板よりも奥側(DP+)に設けられている電気機器。
【請求項2】
前記筐体は、前記厚さ方向に開口する環状の枠(140)と、前記枠の内面(140A)につながり、前記枠で囲まれた空間を前記厚さ方向に区分する区分壁(160)と、を有し、
前記枠の一部と前記区分壁によって第1収納空間(101)が形成され、
前記枠の残りと前記区分壁によって第2収納空間(102)が形成され、
前記第1収納空間に前記モータが収納され、
前記第2収納空間に前記インバータおよび前記基板が収納され、
前記区分壁に前記モータバスバを通すためのバスバ孔(164)が形成され、
前記モータバスバが、前記バスバ孔を通って、前記第1収納空間と前記第2収納空間に渡って設けられ、
前記枠における前記第2収納空間を形成する部位、または、前記第2収納空間に、さらに、前記コネクタ孔、前記モータバスバにおける前記投影領域よりも前記手前側に設けられた手前側部位(17)、前記第1コネクタの少なくとも一部、および、前記配線が設けられている請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記電気部品は、前記モータに設けられ、前記モータの物理量を測定する物理量センサ(6)を有し、
前記第1コネクタは、前記区分壁に設けられ、前記物理量センサに電気的に接続されるセンサコネクタ(50)を有し、
前記配線は、前記第1収納空間で前記物理量センサと前記センサコネクタを接続する第1センサ配線(53)と、前記第2収納空間で前記センサコネクタと前記基板とを接続する第2センサ配線(54)と、を有する請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記コネクタ孔が前記手前側部位よりも前記基板の幅方向(WD)に関して一方側(WD-)に設けられ、
前記センサコネクタが前記手前側部位よりも前記幅方向に関して他方側(WD+)に設けられ、
前記コネクタ孔における前記幅方向の一方側の端部、および、前記センサコネクタにおける前記幅方向の一方側の端部を結ぶ第1直線(L1)と、前記コネクタ孔における前記幅方向の他方側の端部、および、前記センサコネクタにおける前記幅方向の他方側の端部を結ぶ第2直線(L2)との間の中間領域(MA)に、前記枠の一部が設けられている請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記センサコネクタは前記奥行方向に関して前記基板に非重複であり、
前記枠は、前記基板における前記幅方向の他方側に設けられた縁部(18C)に沿うように前記奥行方向に延びる第1延長部(143C)と、前記第1延長部よりも前記奥行方向の奥側で、前記縁部から前記幅方向の他方側に離れて前記奥行方向に延びる第2延長部(143A)と、前記第1延長部と前記第2延長部とをつなぐように前記幅方向に延びる第3延長部(143B)と、を有し、
前記第2延長部の前記幅方向への第1投影領域と、前記第3延長部の前記奥行方向への第2投影領域と、が重なる重複領域に、前記センサコネクタが設けられ、
前記中間領域に、前記第1延長部の一部と前記第3延長部の一部が設けられている請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記モータは、前記奥行方向に延びる軸部(4B)と、前記軸部の周りに設けられ駆動する駆動部(4A)と、を有し、
前記厚さ方向に関して前記センサコネクタと前記軸部とが非重複である請求項3~5のいずれか1項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電気機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の電力変換装置は、半導体モジュールと、制御回路基板と、制御コネクタと、出力コネクタと、を備える。半導体モジュールは高圧直流電源と交流負荷に接続される。制御回路基板は半導体モジュールのスイッチング動作を制御する。制御コネクタは、低圧直流電源と制御回路基板とを接続すると共に、外部制御装置と制御回路基板とを接続し低圧直流電源に接続される。出力コネクタは半導体モジュールと交流負荷に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力変換装置のケースに、半導体モジュールと制御回路基板が収納されている。ケースの長手方向の壁部に制御コネクタが設けられている。ケースの短手方向の壁部に出力コネクタが設けられている。制御コネクタと出力コネクタとの距離が近いと、出力コネクタに流れる電流から放射される放射ノイズが制御コネクタのコネクタ端子に侵入しやすく、コネクタ端子に侵入するノイズが規格を満たさなくなる虞があった。
【0005】
本開示の目的は、コネクタから配線にノイズが侵入することが抑制された電気機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電気機器は、
板状の基板(18)と、
基板の厚さ方向(TD)で基板に重なり、基板に電気的に接続されるインバータ(11)と、
厚さ方向でインバータに重なり、インバータに電気的に接続されるモータ(5)と、
インバータとモータとを電気的に接続されるモータバスバ(14)と、
導線と導線を被覆する電磁シールドを有し、基板に電気的に接続される配線(44、45、55)と、
配線と電気部品(3、4)を電気的に接続する第1コネクタ(40、50)と、
インバータとバッテリ(2)を電気的に接続する第2コネクタ(30)と、
基板、インバータ、モータ、モータバスバ、配線、第1コネクタ、および、第2コネクタが設けられる筐体(100)と、を備え、
筐体に第2コネクタを通すためのコネクタ孔(34)が形成され、
厚さ方向に関する基板の投影領域の外にモータバスバの一部が設けられ、
モータバスバの一部、および、コネクタ孔が、基板の奥行方向(DP)に関して、基板よりも手前側(DP-)に設けられ、
第1コネクタが、奥行方向に関して、基板よりも奥側(DP+)に設けられている。
【0007】
これによれば、モータバスバ(14)における基板(18)よりも手前側(DP-)に設けられた部位、および、第2コネクタ(30)から放射されるノイズが、筐体(100)の空間を介して第1コネクタ(40、50)に侵入することが抑制されやすくなる。第1コネクタから配線(44、45、55)にノイズが侵入することが抑制されやすくなる。
【0008】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】電気機器を含む車載システムの電気回路図である。
【
図2】厚さ方向上方から第2収納空間を見たときの電気機器の平面図である。
【
図3】
図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0011】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0012】
(第1実施形態)
<電気機器>
図1は、電気機器10が搭載される車載システム1の模式図である。
図1を用いて車載システム1に搭載される構成要素を説明する。車載システム1に、高圧バッテリ2、低圧バッテリ3、制御装置7、および、電気機器10が搭載されている。
図1の車載システム1は車両に搭載されている。電気機器10は、インバータ11、モータジェネレータ4、物理量センサ6、ギア装置5、および、ドライブシャフト8を有している。車両は、エンジンの駆動力とモータジェネレータ4の駆動力とを切り替えて、及び/又は、組み合わせて走行可能なハイブリッド自動車である。
【0013】
電気機器10は、さらに、P側高圧配線、N側高圧配線、連結バスバ14、配線44、45、55、制御回路基板18、平滑コンデンサ20、高圧コネクタ30、低圧コネクタ40、50、冷却器60、および、これらを保持収納する筐体100を有する。P側高圧配線は高圧バッテリ2の正極に接続される配線である。N側高圧配線は高圧バッテリ2の負極に接続される配線である。P側高圧配線は、P側バスバ110などの導電部材により構成されている。N側高圧配線は、N側バスバ120などの導電部材により構成されている。連結バスバ14はインバータ11とモータジェネレータ4とを電気的に接続するバスバである。連結バスバ14はモータバスバと称される場合がある。低圧コネクタ40、50は第1コネクタと称される場合がある。高圧コネクタ30は第2コネクタと称される場合がある。
【0014】
配線44、45、55は制御回路基板18に電気的に接続される配線である。配線44、45、55は、信号を伝達するための導線と、導線を被覆する被覆部材と、導線と被覆部材の間に、電磁シールド材と、を有する。電磁シールドとしては、一例として銅やアルミなどが用いられる。導線が電磁シールド材に覆われている。電磁シールドで導線を覆うことで外来ノイズが導線に乗りにくくなる。電磁シールド材によって、導線に流れる信号がノイズの影響を受けにくくなる。配線44、45、55は、電力供給配線44、制御配線45、第1センサ配線53、および、第2センサ配線54を有する。第1センサ配線53と第2センサ配線54をまとめてセンサ配線55と称される場合がある。配線44、45、55の詳細は後で説明する。
【0015】
インバータ11は、P側バスバ110とN側バスバ120に接続されている。インバータ11は、複数の半導体モジュール12を有する。半導体モジュール12はスイッチング素子13とダイオード13Aとを2つずつ有する。2つのスイッチング素子13は、P側バスバ110とN側バスバ120の間で直列接続されている。
【0016】
2つのスイッチング素子13のうち、高電位側に設けられた1つのコレクタ電極に、P側バスバ110につながるP側入力端子11Aが接続されている。2つのスイッチング素子13のうち、低電位側に設けられた1つのエミッタ電極に、N側バスバ120につながるN側入力端子11Bが接続されている。ダイオード13Aのアノードは対応するスイッチング素子13のエミッタ電極に接続されている。ダイオード13Aのカソードは対応するスイッチング素子13のコレクタ電極に接続されている。
【0017】
P側のスイッチング素子13のエミッタ電極とN側のスイッチング素子13のコレクタ電極に、モータジェネレータ4につながる出力端子11Cが接続されている。複数のスイッチング素子13は、高圧バッテリ2から供給される直流電力を、モータジェネレータ4が駆動可能な交流電力に変換する。電力変換された電力は連結バスバ14を介してモータジェネレータ4に供給される。またP側のスイッチング素子13のゲート端子11DとN側のスイッチング素子13のゲート端子11Dが制御回路基板18にハンダを介して電気的および機械的に接続されている。
【0018】
制御回路基板18に制御回路が実装されている。制御回路は、マイクロコンピュータを備えている。上記したように制御回路基板18は低圧バッテリ3に接続されている。低圧バッテリ3から制御回路基板18にマイクロコンピュータを動作させる動作電力が供給されている。マイクロコンピュータには、CPUやメモリなどが含まれている。制御回路は、制御装置7から入力されるトルク要求や、物理量センサ6によって検出された信号に基づいて、スイッチング素子13を動作させるための駆動指令を生成する。制御回路は、例えば、駆動指令としてPWM信号を出力する。
【0019】
平滑コンデンサ20は主として、高圧バッテリ2から供給される直流電圧を平滑化する。平滑コンデンサ20はP側バスバ110とN側バスバ120に接続されている。平滑コンデンサ20はインバータ11に並列接続されている。PNバスバ110、120は、インバータ11と平滑コンデンサ20と高圧バッテリ2とを電気的に接続している。
【0020】
高圧コネクタ30は高圧バッテリ2とインバータ11を電気的に接続する接続器である。高圧コネクタ30を介して高圧バッテリ2からインバータ11に高圧電力が供給されている。高圧コネクタ30は、導電性の端子32と、端子32の一部を封止しつつ固定する樹脂部材31を有する。端子32の一端に高圧バッテリ2につながる高圧電力配線33が接続されている。端子32の他端にPNバスバ110、120が接続されている。高圧バッテリ2から、高圧電力配線33、高圧コネクタ30、および、PNバスバ110、120を介して、インバータ11に高圧電力が供給されている。
【0021】
第1低圧コネクタ40は、低圧バッテリ3と制御回路基板18とを電気的に接続するとともに、上位ECUである制御装置7と制御回路基板18とを電気的に接続する接続器である。第1低圧コネクタ40を介して制御回路基板18に、低圧バッテリ3から低圧電力が供給されるとともに、制御装置7から制御信号が伝達されている。制御回路は制御装置7と協調して、インバータ11や車両に含まれる補機の制御を行っている。
【0022】
第1低圧コネクタ40は、導電性の端子42と、端子42の一部を封止しつつ固定する樹脂部材41を有する。端子42の一端に低圧バッテリ3と制御装置7につながる低圧電力配線43が接続されている。端子42の他端に制御回路基板18につながる電力供給配線44と制御配線45が接続されている。低圧バッテリ3から、低圧電力配線43、第1低圧コネクタ40、および、電力供給配線44を介して、制御回路基板18に低圧電力が供給されている。制御装置7から、低圧電力配線43、第1低圧コネクタ40、および、制御配線45を介して、制御回路基板18に制御信号が送信される。
【0023】
第2低圧コネクタ50は、物理量センサ6と制御回路基板18とを電気的に接続する接続器である。第2低圧コネクタ50は、単にセンサコネクタと称される場合がある。物理量センサ6は、モータジェネレータ4に設けられている。制御回路は、物理量センサ6からモータジェネレータ4の物理量に関する信号を取得する機能を有している。物理量センサ6は、一例としてモータジェネレータ4の回転数に関する信号を検出するレゾルバである。なお物理量センサ6はレゾルバに限定されない。一例として物理量センサ6は、モータジェネレータ4が発する温度に関する信号を検出する温度センサであってもよい。物理量センサ6は、モータジェネレータ4の物理量に関する信号を検出する検出器であればよい。
【0024】
第2低圧コネクタ50は、導電性の端子52と、端子52の一部を封止しつつ固定する樹脂部材51を有する。端子52の一端に物理量センサ6につながる第1センサ配線53が接続されている。端子52の他端に制御回路基板18につながる第2センサ配線54が接続されている。物理量センサ6から、第1センサ配線53、第2低圧コネクタ50、第2センサ配線54を介して、制御回路基板18にモータジェネレータ4の物理量に関する信号が伝達されている。
【0025】
なお図面においては、簡略的に、1つの第2低圧コネクタ50に、第1センサ配線53と第2センサ配線54が接続されている形態を示している。第2低圧コネクタ50は、雄型コネクタと雌型コネクタを有しており、雄型コネクタと雌型コネクタが嵌合することで構成されていてもよい。雄型コネクタに第1センサ配線53が接続され、雌型コネクタに第2センサ配線54が接続され、雄型コネクタと雌型コネクタとが嵌合することで、物理量センサ6と制御回路基板18とが電気的に接続される構成になっていてもよい。
【0026】
冷却器60は複数の半導体モジュール12を冷却する装置である。複数の半導体モジュール12と冷却器60によってパワーモジュール70が構成されている。冷却器60は積層冷却構造を有する。冷却器60は、供給管61、排出管62、および、複数の中継管63を備える。複数の中継管63が供給管61と排出管62の間に梯子状に架け渡されている。供給管61と排出管62とが中継管63を介して冷媒が流通可能な態様で接続されている。
【0027】
そして隣合う中継管63の間に半導体モジュール12が個別に収納されている。半導体モジュール12は隣り合う中継管63の間に挟持されている。冷却器60に半導体モジュール12が収納されることで、パワーモジュール70が形成されている。半導体モジュール12の熱が中継管63に効率的に放熱されやすい。
【0028】
<電気機器の機械的構造>
以下、電気機器10の機械的を構造するに当たって、制御回路基板18の厚さ方向を厚さ方向TDと称する場合がある。制御回路基板18は、厚さ方向TDに厚さの薄い板状形状をしている。制御回路基板18は、厚さ方向TDに直交する2方向に広がる平面に沿って延びている。厚さ方向TDに直交する2方向を、幅方向WD、および、奥行方向DPと称する場合がある。厚さ方向TD、幅方向WD、および、奥行方向DPは互いに直交する3方向である。
図2は電気機器10の平面図である。
図3は
図2に示すIII-III線に沿う断面図である。
【0029】
筐体100は、底壁130、枠140、天壁150、および、区分壁160を有する。底壁130、枠140、天壁150、および、区分壁160は金属部材によって構成されている。枠140は厚さ方向TDに開口する環状壁を有する。枠140は厚さ方向TDに長さを有する。枠140は、幅方向WDに離れて並ぶ第1壁部141および第3壁部143と、奥行方向DPに離れて並ぶ第2壁部142および第4壁部144を有する。第1壁部141~第4壁部144がこの順で時計回りに連続して設けられている。枠140は厚さ方向TDからみて幅方向WDに一部が凸になった環状形状をしている。
【0030】
幅方向WDに関して一方側を幅方向一方側WD-と称する場合がある。幅方向WDに関して他方側を幅方向他方側WD+と称する場合がある。奥行方向DPに関して、手前側を奥行方向手前側DP-と称する場合がある。奥行方向DPに関して、奥側を奥行方向奥側DP+と称する場合がある。幅方向一方側WD-に第1壁部141が設けられている。幅方向他方側WD+に第3壁部143が設けられている。奥行方向手前側DP-に第4壁部144が設けられている、奥行方向奥側DP+に第2壁部142が設けられている。
【0031】
第2壁部142の幅方向一方側WD-の端部が、第1壁部141の奥行方向奥側DP+の端部につながっている。第2壁部142の幅方向他方側WD+の端部が、第3壁部143の奥行方向奥側DP+の端部につながっている。第4壁部144の幅方向一方側WD-の端部が、第1壁部141の奥行方向手前側DP-の端部につながっている。第4壁部144の幅方向他方側WD+の端部が、第3壁部143の奥行方向手前側DP-の端部につながっている。第2壁部142の幅方向他方側WD+の他端は、第4壁部144の幅方向他方側WD+の他端よりも、幅方向他方側WD+に設けられている。
【0032】
第3壁部143は、第2壁部142から第4壁部144連続する、第1連続壁部143A、第2連続壁部143B、および、第3連続壁部143Cを有する。第1連続壁部143Aの一端が、第2壁部142の幅方向他方側WD+の端部に繋がっている。第3連続壁部143Cの一端が、第4壁部144の幅方向他方側WD+の端部に繋がっている。第1連続壁部143Aの他端が、第2連続壁部143Bの一端に繋がっている。第3連続壁部143Cの他端が、第2連続壁部143Bの他端に繋がっている。第3連続壁部143Cは、第1延長部と称される場合がある。第2連続壁部143Bは、第3延長部と称される場合がある。第1連続壁部143Aは、第2延長部と称される場合がある。
【0033】
第1連続壁部143Aは奥行方向奥側DP+から奥行方向手前側DP-に向かって奥行方向DPに延びている。第3連続壁部143Cは奥行方向奥側DP+から奥行方向手前側DP-に向かって奥行方向DPに延びている。奥行方向DPにおける第1連続壁部143Aの他端と、奥行方向DPにおける第3連続壁部143Cの他端との位置は等しい。第2連続壁部143Bは、第1連続壁部143Aの他端と第3連続壁部143Cの他端をつなぐように幅方向WDに延びている。
【0034】
第1連続壁部143Aは第3連続壁部143Cよりも幅方向他方側WD+に設けられている。第2壁部142の幅方向他方側WD+の部位と第2連続壁部143Bとが奥行方向DPに関して対向配置されている。第2壁部142の幅方向他方側WD+の部位と、第1連続壁部143Aと、第2連続壁部143Bによって、幅方向他方側WD+に突出する凸部146が構成されている。枠140における凸部146を除く部位を、主部145と称する場合がある。枠140は主部145と凸部146を有している。主部145と凸部146とが同一材料によって連続している。
【0035】
厚さ方向TDに関して上方側を厚さ方向上方側TD+と称する場合がある。厚さ方向TDに関して下方側を厚さ方向下方側TD-と称する場合がある。枠140における厚さ方向下方側TD-に底壁130が繋がっている。枠140における厚さ方向上方側TD+に天壁150が繋がっている。底壁130と天壁150は、厚さ方向TDに厚さの薄い板状形状をしている。底壁130と天壁150は、厚さ方向TDに直交する2方向に広がる平面に沿って延びている。
【0036】
底壁130と枠140と天壁150によって、インバータ11、制御回路基板18、モータジェネレータ4、ギア装置5、ドライブシャフト8、各種配線、および、第2低圧コネクタ50が収納される空間が区画されている。なお各種配線には、電力供給配線44、制御配線45、第1センサ配線53、および、第2センサ配線54が含まれる。高圧コネクタ30および第1低圧コネクタ40は各々対応する壁部142、144に取り付けられている。
【0037】
第4壁部144には高圧コネクタ30を通すための高圧コネクタ孔34が設けられている。高圧コネクタ孔34に高圧コネクタ30の端子32を通して、端子32を筐体100の内部のPNバスバ110、120に接続させることで高圧バッテリ2からPNバスバ110、120に高圧電力を供給する。第2壁部142には第1低圧コネクタ40を通すための第1低圧コネクタ孔46が設けられている。第1低圧コネクタ孔46を、端子42、電力供給配線44、および、制御配線45が通って、配線44、45が制御回路基板18に接続されることで低圧バッテリ3および制御装置7から制御回路基板18に低圧電力および制御信号が供給される。
【0038】
また枠140の内面140Aに区分壁160が繋がっている。枠140と区分壁160とは、一例として図示しないボルトなどによって機械的に連結されている。なお、枠140と区分壁160とは同一部材によって連続していてもよい。区分壁160は、厚さ方向TDに関して厚さ方向上方側TD+側の端部と、厚さ方向下方側TD-の端部の間に設けられている。
【0039】
区分壁160によって、筐体100の空間が、厚さ方向下方側TD-の第1収納空間101と、厚さ方向上方側TD+の第2収納空間102に区分される。より具体的に言えば、底壁130、枠140における厚さ方向下方側TD-側の部位、および、区分壁160によって第1収納空間101が区画されている。天壁150、枠140における厚さ方向上側TD+の部位、および、区分壁160によって第2収納空間102が区画されている。
【0040】
なお一例として、区分壁160は、第1隔壁161、第2隔壁162、および、第3隔壁163を有する。第1隔壁161は、主部145の内面140Aに繋がる部位である。第2隔壁162は、凸部146の内面140Aに繋がる部位である。厚さ方向TDに関して、第2隔壁162は、第1隔壁161よりも厚さ方向上方側TD+に設けられている。第3隔壁163は、第1隔壁161と第2隔壁162とをつなぐ部位である。第2隔壁162は厚さ方向TDに延びている。第1隔壁161と第2隔壁162と第3隔壁163は同一材料によって連続していてもよいし、第1隔壁161と、第2隔壁162および第3隔壁163と別体で締結部材などによって連結されていてもよい。
【0041】
区分壁160には、連結バスバ14を通すためのバスバ孔164と、第2低圧コネクタ50を通すための第2低圧コネクタ孔165が設けられている。バスバ孔164は第1隔壁161に設けられている。第2低圧コネクタ孔165は第2隔壁162に設けられている。バスバ孔164に連結バスバ14が通されている。第2低圧コネクタ孔165に第2低圧コネクタ50が設けられている。一例としてバスバ孔164は連結バスバ14を通すことが可能な程度の大きさに設定されている。第2低圧コネクタ孔165は第2低圧コネクタ50を通すことが可能な程度の大きさに設定されている。連結バスバ14は、バスバ孔164を通って、第1収納空間101と第2収納空間102に渡って延びている。第2低圧コネクタ50は、第2低圧コネクタ孔165を通って、第1収納空間101と第2収納空間102に渡って設けられている。
【0042】
また連結バスバ14は、モータジェネレータ4に接続される第1連結バスバ15と、インバータ11に接続される第2連結バスバ16と、を有する。第1連結バスバ15が、第1収納空間101と第2収納空間102に渡って、厚さ方向TDに延びている。第2連結バスバ16が第2収納空間102において、インバータ11から遠ざかるように延びている。第1連結バスバ15と第2連結バスバ16がボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続されている。
【0043】
<第1収納空間>
第1収納空間101に、モータジェネレータ4、ギア装置5、ドライブシャフト8、第1連結バスバ15の一部、第2低圧コネクタ50の一部、および、第1センサ配線53が収納されている。モータジェネレータ4は、ロータとステータ(巻線)を含むモータ部4A、および、モータ軸4Bを備えている。モータ部4Aは駆動部と称される場合がある。モータ軸4Bは軸部と称される場合がある。
【0044】
モータ軸4Bは、モータ部4Aの回転軸である。モータ軸4Bは奥行方向DPに沿って延びている。モータ部4Aのロータは、モータ軸4Bに固定されている。モータ部4Aのステータは、連結バスバ14などを介して、パワーモジュール70などに電気的に接続されている。モータ部4Aはインバータ11から供給される電力によって回転駆動される。
【0045】
ギア装置5は第1ギア5Aと、第2ギア5Bを有する。第1ギア5Aは、モータ軸4Bに通される山歯ギアやプラネタリギアなどである。奥行方向DPに関してモータ部4Aと第1ギア5Aが並ぶように、モータ部4Aと第1ギア5Aがモータ軸4Bに通されている。第2ギア5Bは、ドライブシャフト8に通される山歯ギアやデファレンシャルギアなどである。第2低圧コネクタ50とモータ軸4Bとドライブシャフト8が幅方向WDに並んで設けられている。
【0046】
第2低圧コネクタ50がモータ軸4Bよりも幅方向他方側WD+に設けられている。ドライブシャフト8がモータ軸4Bよりも幅方向一方側WD-に設けられている。厚さ方向TDに関して第2低圧コネクタ50が、モータジェネレータ4、ドライブシャフト8、および、ギア装置5と非重複である。幅方向WDにおいてドライブシャフト8と第2低圧コネクタ50の間にモータジェネレータ4が設けられている。第1ギア5Aと第2ギア5Bが噛み合うことで、モータ部4Aからエンジンに動力が伝達されている。
【0047】
<第2収納空間>
第2収納空間102に、制御回路基板18、平滑コンデンサ20、パワーモジュール70、バスバ14、110、120、第2低圧コネクタ50の残り、および、配線44、45、54が設けられている。第2壁部142における第2収納空間102を区画する部位に、第1低圧コネクタ40が設けられている。第4壁部144における第2収納空間102を区画する部位に、高圧コネクタ30が設けられている。
【0048】
なお、バスバ14、110、120とは、第1連結バスバ15の残り、第2連結バスバ16、P側バスバ110、および、N側バスバ120である。配線44、45、54とは、電力供給配線44、制御配線45、および、第2センサ配線54である。
【0049】
第2収納空間102における凸部146で囲まれた空間に、第2低圧コネクタ50が設けられている。第2収納空間102における主部145で囲まれた空間に、第2低圧コネクタ50を除く上記したその他の構成要素が設けられている。
【0050】
制御回路基板18は、幅方向WDと奥行方向DPに沿う平面に沿って延びている。制御回路基板18の幅方向WDの長さは、一例として第4壁部144の幅方向WDの長さと同程度である。制御回路基板18の奥行方向DPの長さは、一例として第3連続壁部143Cの奥行方向DPの長さよりもやや短い程度である。
【0051】
制御回路基板18は厚さ方向TDから見て略四角形をしている。制御回路基板18は、幅方向WDに離れて並ぶ第1縁部18Aおよび第3縁部18Cと、奥行方向DPに離れて並ぶ第2縁部18Bおよび第4縁部18Dを有する。第1縁部18Aは、第1壁部141に対向しつつ奥行方向DPに延びている。第2縁部18Bは、第2壁部142に対向しつつ幅方向WDに延びている。第3縁部18Cは、第3壁部153に対向しつつ奥行方向DPに延びている。第4縁部18Dは、第4壁部154に対向しつつ幅方向WDに延びている。
【0052】
制御回路基板18は、主部145で囲まれる空間において、第4壁部144側に寄って設けられている。別の言い方をすれば、制御回路基板18は、主部145で囲まれる空間において、奥行方向DPに関して、第2連続壁部143Bよりも第4壁部144側に設けられている。制御回路基板18は凸部146よりも奥行方向手前側DP-に設けられている。また第4縁部18Dと第4壁部144との間に、電気的接続を担う端子や締結部材などが配置可能な空間が設けられている。
【0053】
制御回路基板18よりも厚さ方向下方側TD-に、平滑コンデンサ20、パワーモジュール70、バスバ14、110、120が設けられている。これらは、厚さ方向TDに関して制御回路基板18よりも区分壁160側に設けられている。これらは、厚さ方向TDに関して制御回路基板18に重複している。また上記したように第1収納空間101にモータジェネレータ4およびギア装置5が設けられている。モータジェネレータ4およびギア装置5が、厚さ方向下方側TD-でパワーモジュール70および制御回路基板18に重なる。厚さ方向TDに関して上方TD+から下方TD-に向かって、制御回路基板18、パワーモジュール70、モータジェネレータ4およびギア装置5の順に並んでいる。また図示しないが制御回路基板18とパワーモジュール70の間に、金属製の板状部材が設けられている。板状部材には制御回路基板18が取り付けられている。板状部材は電磁シールドの機能を有している。
【0054】
また制御回路基板18の第2縁部18B側から、配線44、45が第1低圧コネクタ40に向かって延びている。第2縁部18B側から、第2センサ配線54が第2低圧コネクタ50に向かって延びている。制御回路基板18の第4縁部18D側から、第2連結バスバ16における第1連結バスバ15との接続部位と、PNバスバ110、120における高圧コネクタ30との接続部位が、第4壁部144に向かって延びている。第4縁部18Dと第4壁部144との間の空間に、第2連結バスバ16における第1連結バスバ15との接続部位と、PNバスバ110、120における高圧コネクタ30との接続部位が設けられている。
【0055】
PNバスバ110、120における高圧コネクタ30との接続部位は、制御回路基板18における厚さ方向TDの投影領域外に設けられている。第2連結バスバ16における第1連結バスバ15との接続部位は、制御回路基板18における厚さ方向TDの投影領域外に設けられている。PNバスバ110、120における高圧コネクタ30との接続部位は、制御回路基板18の投影領域から露出しているためにPN露出部111、121と称する場合がある。PN露出部111、121はPNバスバ110、120の一部であるとも言える。第2収納空間102における、第1連結バスバ15と第2連結バスバ16との接続部位は、制御回路基板18よりも奥行方向手前側DP-に設けられているために手前側部位17と称される場合がある。手前側部位17は連結バスバ14の一部であるとも言える。手前側部位17は制御回路基板18における厚さ方向TDの投影領域の外側に設けられている。手前側部位17は制御回路基板18における厚さ方向TDの投影領域から奥行方向手前側DP-に露出した部位であるとも言える。
【0056】
第4縁部18Dと第4壁部144との間の空間において、PN露出部111、121と手前側部位17とが幅方向WDで並んで設けられている。PN露出部111、121は、手前側部位17よりも幅方向一方側WD-に設けられている。手前側部位17はPN露出部111、121よりも幅方向他方側WD+に設けられている。PN露出部111、121と、手前側部位17は、第4縁部18Dよりも奥行方向手前側DP-に設けられている。PN露出部111、121と、手前側部位17は、第4縁部18Dと第4壁部144の間の空隙に設けられている。
【0057】
第4壁部144に設けられた高圧コネクタ孔34に高圧コネクタ30が通されている。高圧コネクタ30の端子32がPN露出部111、121に接続される。幅方向WDに関して手前側部位17は、高圧コネクタ30および高圧コネクタ孔34よりも幅方向他方側WD+に設けられている。PN露出部111、121、手前側部位17、高圧コネクタ30、および、高圧コネクタ孔34が、制御回路基板18の第4縁部18Dよりも奥行方向手前側DP-に設けられている。PN露出部111、121、手前側部位17、高圧コネクタ30、および、高圧コネクタ孔34が、制御回路基板18の第4縁部18Dよりも第4壁部144側に設けられているとも言える。
【0058】
また上記したように第2縁部18B側から、配線44、45が第1低圧コネクタ40に向かって延びている。第2縁部18B側から、第2センサ配線54が第2低圧コネクタ50に向かって延びている。第1低圧コネクタ40および第1低圧コネクタ孔46は、第2縁部18Bよりも奥行方向他方DP+側に設けられている。第2低圧コネクタ50もまた、第2縁部18Bよりも奥行方向奥側DP+に設けられている。
【0059】
第1低圧コネクタ40、第2低圧コネクタ50、配線44、45、54、第1低圧コネクタ孔46、および、第2低圧コネクタ孔165が、制御回路基板18の第2縁部18Bよりも奥行方向他側DP+に設けられている。第1低圧コネクタ40、第2低圧コネクタ50、配線44、45、54、第1低圧コネクタ孔46、および、第2低圧コネクタ孔165が、制御回路基板18の第2縁部18Bよりも第2壁部142側に設けられている。
【0060】
手前側部位17は、U相に接続されるU相連結露出部、V相に接続されるV相連結露出部、W相に接続されるW相連結露出部を有する。3相の連結露出部は、幅方向WDに並んで設けられている。上記したように凸部146に第2低圧コネクタ50が設けられている。第2低圧コネクタ50は厚さ方向TDから見て四角形をしている。厚さ方向TDに関して、第2低圧コネクタ50は、幅方向WDと奥行方向DPに長さを有している。第2低圧コネクタ50は4つの角を有している。第2低圧コネクタ50の4つの角のうち、幅方向一方側WD―かつ奥行方向奥側DP+に設けられる1つを第1角部50Aと称する場合がある。第2低圧コネクタ50の4つの角のうち、幅方向他方側WD+かつ奥行方向手前側DP―に設けられる1つを第2角部50Bと称する場合がある。
【0061】
高圧コネクタ孔34における幅方向一方側WD-の端部と、第1角部50Aと、を結ぶ直線を、直線L1と称する場合がある。3つの手前側部位17のうち最も幅方向他方側WD+に設けられた1つの幅方向他方側WD+の端部と、第2角部50Bと、を結ぶ直線を、直線L2と称する場合がある。本実施形態においては、直線L1と直線L2との間の中間領域MAにおいて、第2連続壁部143Bの一部と、第3連続壁部143Cの一部が設けられている。第2連続壁部143Bの一部が、中間領域MAにおいて、幅方向WDに直線L2側に向かって延びている。また第3連続壁部143Cの一部が、第2連続壁部143Bの幅方向一方側WD-の端部から奥行方向DPに直線L1側に向かって延びている。
【0062】
<作用効果>
電気機器10は、制御回路基板18、インバータ11、モータジェネレータ4、連結バスバ14、配線44、45、55、第1低圧コネクタ40、第2低圧コネクタ50、および、これらが設けられる筐体100を有する。制御回路基板18は、厚さ方向TDに厚さの薄い板状形状をしている。インバータ11は高圧バッテリ2と制御回路基板18に電気的に接続されている。厚さ方向TDに関してインバータ11は制御回路基板18に重なる。モータジェネレータ4は、厚さ方向TDに関してモータジェネレータ4に重なっる。
【0063】
配線44、45、55は、制御回路基板18に電気的に接続されている。配線44、45、55は、信号を伝達するための導線と、導線を被覆する被覆部材と、導線と被覆部材の間に、電磁シールド材を有する。導線が電磁シールド材に覆われている。連結バスバ14はインバータ11とモータジェネレータ4とを電気的に接続するバスバである。低圧コネクタ40、50は、配線44、45、55と電気部品3、4とを電気的に接続するコネクタである。筐体100に高圧バッテリ2から電流をインバータ11に供給する高圧コネクタ30を通すための高圧コネクタ孔34が形成されている。なお、電気部品3、4は、低圧バッテリ3および制御装置7に相当する。
【0064】
厚さ方向TDに関して制御回路基板18の投影領域外に連結バスバ14の一部が設けられている。連結バスバ14の一部、および、高圧コネクタ孔34が、制御回路基板18の奥行方向DPに関して制御回路基板18より奥行方向手前側DP-に設けられている。低圧コネクタ40、50が、奥行方向DPに関して、制御回路基板18よりも奥行方向奥側DP+に設けられている。これによれば、連結バスバ14における制御回路基板18よりも手前側に設けられる部位、および、高圧コネクタ30と、低圧コネクタ40、50との距離が制御回路基板18の奥行方向DPの長さ以上長く確保できる。
【0065】
連結バスバ14における制御回路基板18よりも手前側に設けられる部位は、制御回路基板18における厚さ方向の投影領域から露出される部位であるから手前側部位17と称される場合がある。手前側部位17に流れる電流、および、高圧コネクタ30に流れる電流から放射される放射ノイズが、筐体100の空間を介して低圧コネクタ40、50に侵入することが抑制されやすくなる。低圧コネクタ40、50から配線44、45、55にノイズが侵入することが抑制されやすくなる。
【0066】
連結バスバ14はインバータ11とモータジェネレータ4との間で高圧電流が流れる電流経路である。手前側部位17は、モータジェネレータ4側で高圧電流が流れる部位である。連結バスバ14には、高圧電流の他に、ノイズ電流が含まれることがある。高圧コネクタ30は、高圧バッテリ2とインバータ11との間で高圧電流が流れる電流経路である。高圧コネクタ孔34は、筐体100に高圧電流が入り込む入口である。高圧コネクタ30には、高圧電流の他に、ノイズ電流が含まれることがある。そして連結バスバ14や高圧コネクタ30に流れるノイズ電流は、筐体100の空間に放射ノイズとして放射されることがある。
【0067】
放射ノイズが配線44、45、55に入り込むとEMC規格を満たさなくなることがある。放射ノイズが配線44、45、55に入り込むことを防ぐために、配線44、45、55の導線は、電磁シールド材に覆われている。これによって放射ノイズが配線44、45、55に直接入り込むことを防いでいる。しかしながら配線44、45、55には、先端に低圧コネクタ40、50が設けられている。
【0068】
低圧コネクタ40、50は、金属製の端子42、52と、端子42、52を被覆固定する樹脂部材41、51とから成る。放射ノイズは樹脂部材41、51を透過可能である。そのために放射ノイズが樹脂部材41、51を透過して端子42、52に入り込むことがある。端子42、52から配線44、45、55にノイズが入り込むことがある。これによりEMC規格を満たさなくなることがある。そこで本実施形態では、放射ノイズが端子42、52に入り込むことを抑制することで、配線44、45、55にノイズが入り込むことを抑制している。
【0069】
筐体100は、厚さ方向TDに開口する環状の枠140と、枠140の内面140Aに連結されて厚さ方向TDに枠140で囲まれた空間を区分する区分壁160を有する。枠140の一部と区分壁160によって区画される第1収納空間101にモータジェネレータ4が収納されている。枠140の残りと区分壁160によって区画される第2収納空間102にインバータ11および制御回路基板18が収納されている。区分壁160に連結バスバ14を通すためのバスバ孔164が形成されている。連結バスバ14が、バスバ孔164を通って第1収納空間101と第2収納空間102に渡って設けられている。
【0070】
枠140における第2収納空間102を形成する部位、または、第2収納空間102に、高圧コネクタ孔34、手前側部位17、低圧コネクタ40、50の少なくとも一部、および、配線44、45、55が設けられている。これによれば、筐体100が区分壁160によって厚さ方向TDに異なる収納空間を有する2階建て構造の電気機器10において、放射ノイズが低圧コネクタ40、50に侵入することが抑制されやすくなる。低圧コネクタ40、50から配線44、45、55にノイズが侵入することが抑制されやすくなる。
【0071】
電気部品3、4はモータジェネレータ4に設けられ、モータジェネレータ4の物理量を測定する物理量センサ6を有する。低圧コネクタ40、50は、区分壁160に設けられ、物理量センサ6に電気的に接続される第2低圧コネクタ50を有する。配線43、44、54は、第1収納空間101で物理量センサ6と第2低圧コネクタ50とを接続する第1センサ配線53と、第2収納空間102で第2低圧コネクタ50と制御回路基板18とを接続する第2センサ配線54とを有する。これによれば、区分壁160に第2低圧コネクタ50が設けられる電気機器10において、放射ノイズが第2低圧コネクタ50に侵入することが抑制される。第2低圧コネクタ50から配線55にノイズが侵入することが抑制されやすくなる。
【0072】
高圧コネクタ孔34が手前側部位17よりも幅方向一方側WD-に設けられている。第2低圧コネクタ50が手前側部位17よりも幅方向他方側WD+に設けられている。高圧コネクタ孔34における幅方向一方側WD-の端部と、第2低圧コネクタ50における幅方向一方側WD-の端部とを結ぶ直線を第1直線L1と称する場合がある。高圧コネクタ孔34における幅方向他方側WD+の端部と、第2低圧コネクタ50における幅方向他方側WD+の端部とを結ぶ直線を第2直線L2と称する場合がある。第1直線L1と第2直線L2との間の中間領域MAに、枠140の一部が設けられている。これによれば、枠140の一部によって、手前側部位17、および、高圧コネクタ30から放射される放射ノイズが枠140の一部に遮蔽される。放射ノイズが第2低圧コネクタ50に侵入することが抑制される。
【0073】
第2低圧コネクタ50は、厚さ方向TDに関して制御回路基板18に非重複である。枠140は、第1壁部141および第3壁部143と、第2壁部142および第4壁部144を有する。第3壁部143は、第1連続壁部143Aと、第2連続壁部143Bと、第3連続壁部143Cを有する。第3連続壁部143Cは第3縁部18Cに沿うように奥行方向DPに延びている。第1連続壁部143Aは、第3連続壁部143Cよりも第3縁部18Cから離れて、奥行方向DPに延びている。第2連続壁部143Bは、第3連続壁部143Cと第1連続壁部143Aをつなぐように幅方向WDに延びている。
【0074】
第1連続壁部143Aにおける幅方向WDへの第1投影領域と、第2連続壁部143Bにおける奥行方向DPへの第2投影領域との重複領域に、第2低圧コネクタ50が設けられている。中間領域MAに、第2連続壁部143Bの一部と、第3連続壁部143Cの一部が設けられている。これによれば、筐体100の体格の増大を抑えつつ、放射ノイズ伝搬を物理的に抑制することができる。
【0075】
モータジェネレータ4は、モータ部4A、および、モータ軸4Bを備えている。モータ軸4Bは、モータ部4Aの回転軸である。モータ軸4Bは奥行方向DPに沿って延びている。モータ部4Aのロータは、モータ軸4Bに固定されている。モータ部4Aはインバータ11から供給される電力によって回転駆動される。厚さ方向TDに関して第2低圧コネクタ50が、モータ軸4Bに非重複である。これによれば、例えばモータ部4Aや、モータ軸4Bに通されるギア装置5などに、第2低圧コネクタ50が干渉することが抑制される。干渉をさけるために厚さ方向TDに筐体100を大型化する必要がなくなる。また設計の自由度が向上する。
【0076】
(その他の実施形態)
本実施形態では筐体100は主部145と凸部146を有する構成について説明したが、筐体100は凸部146を有していなくてもよい。主部145の内面140Aに、手前側部位17、および、高圧コネクタ30から放射される放射ノイズを遮蔽可能な壁が設けられていればよい。
【0077】
本開示は、実施形態に準拠して記述されたが、本開示は当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0078】
100 筐体、 101 第1収納空間、 102 第2収納空間、 11 インバータ、 14 モータバスバ、 140 枠、 140A 内面、 142B 第3延長部、 143A 第2延長部、 143C 第1延長部、 160 区分壁、 164 バスバ孔、 17 手前側部位、 18 基板、 18C 縁部、 2 バッテリ、 3 電気部品、 30 第2コネクタ、 34 コネクタ孔、 4 電気部品、 40 第1コネクタ、 44、45 配線、 4A 駆動部、 4B 軸部、 5 モータ、 50 第1コネクタ、 50 センサコネクタ、 53 第1センサ配線、 55 配線、 54 第2センサ配線、 6 物理量センサ、 DP 奥行方向、 DP- 手前側、 DP+ 奥側、 L1 第1直線、 L2 第2直線、 MA 中間領域、 TD 厚さ方向、 WD 幅方向、 WD- 一方側、 WD+ 他方側。