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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152460
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】整流装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 37/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B62D37/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066671
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横山 一幸
(72)【発明者】
【氏名】稲山 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】中山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】工藤 信寛
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 利弥
(72)【発明者】
【氏名】田中 一成
(57)【要約】
【課題】駆動部の故障の有無に拘わらず、整流体が何れの位置にある場合も整流体の回転位置及び停止位置を検出できるようにする。
【解決手段】車両12の車体12Aの下側の展開位置と、車体側の収納位置と、の間を回転可能に車両の車体12Aに支持された整流体14と、整流体を回転させるための駆動力を発生する駆動部と、駆動部の動作とは無関係に、整流体の回転位置を検出する検出装置と、検出装置によって検出された回転位置が閾値時間に渡って変化しないと判定したとき、整流体が回転を停止していると判定する回転位置認識部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体の下側の展開位置と、前記車体側の収納位置と、の間を回転可能に前記車両の車体に支持された整流体と、
前記整流体を回転させるための駆動力を発生する駆動部と、
前記駆動部の動作とは無関係に、前記整流体の回転位置を検出する検出装置と、
前記検出装置によって検出された前記回転位置が閾値時間に渡って変化しないと判定したとき、前記整流体が回転を停止していると判定する回転位置認識部と、
を備える整流装置。
【請求項2】
前記回転位置認識部が、
前記検出装置の検出値に基づいて、前記整流体が前記展開位置を含む第1所定範囲において回転を停止していると判定したとき、又は、前記整流体が前記収納位置を含む第2所定範囲において回転を停止していると判定したときに正常判定を行い、
前記検出装置の検出値に基づいて、前記整流体が前記第1所定範囲及び前記第2所定範囲とは異なる位置において回転を停止していると判定したときに異常判定を行う請求項1に記載の整流装置。
【請求項3】
前記整流体が前記展開位置から前記収納位置と反対側の方向である展開方向に回転するのを機械的に規制する第1ストッパ機構と、
前記整流体が前記収納位置から前記展開位置と反対側の方向である収納方向に回転するのを機械的に規制する第2ストッパ機構と、
を備える請求項1又は請求項2に記載の整流装置。
【請求項4】
前記駆動部を制御する駆動部制御部と、
前記駆動部が発生した駆動力を前記整流体に伝達する、ウォーム及び前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、
を備え、
前記駆動部制御部が、前記第1ストッパ機構が前記整流体の前記展開方向への回転を規制してから前記閾値時間に渡って前記整流体を前記展開方向に回転させるための駆動力を発生するように前記駆動部を制御し、
前記駆動部制御部が、前記第2ストッパ機構が前記整流体の前記収納方向への回転を規制してから前記閾値時間に渡って、前記整流体を前記収納方向に回転させるための駆動力を発生するように前記駆動部を制御する請求項3に記載の整流装置。
【請求項5】
前記整流体の回転中心である回転軸を備え、
前記検出装置が、
被検出部と、
前記被検出部の位置を検出する検出部と、
を備え、
前記被検出部及び前記検出部の一方が、前記回転軸に、前記回転軸と同軸をなすように設けられた請求項1又は請求項2に記載の整流装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪への空気流を抑制する整流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の整流装置は、駆動ユニットの電気モータ(駆動部)の駆動力によって、第1の外側位置と第2の外側位置との間で回転させられる整流体(エアガイドフラップ)を備える。さらに整流装置は、電気モータに供給される電流に基づいて、整流体が第1の外側位置又は第2の外側位置にあることを検出可能である。
【0003】
このような整流装置では、整流体が何れの位置にある場合も、整流体の回転位置及び停止位置を検出できるのが好ましい。さらにこのような整流装置では、駆動部が故障した場合においても整流体の回転位置及び停止位置を検出できるのが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2021-512004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、駆動部の故障の有無に拘わらず、整流体が何れの位置にある場合も整流体の回転位置及び停止位置を検出できる整流装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の整流装置は、車両の車体の下側の展開位置と、前記車体側の収納位置と、の間を回転可能に前記車両の車体に支持された整流体と、前記整流体を回転させるための駆動力を発生する駆動部と、前記駆動部の動作とは無関係に、前記整流体の回転位置を検出する検出装置と、前記検出装置によって検出された前記回転位置が閾値時間に渡って変化しないと判定したとき、前記整流体が回転を停止していると判定する回転位置認識部と、を備える。
【0007】
本発明の第2態様の整流装置は、本発明の第1態様の整流装置において、前記回転位置認識部が、前記検出装置の検出値に基づいて、前記整流体が前記展開位置を含む第1所定範囲において回転を停止していると判定したとき、又は、前記整流体が前記収納位置を含む第2所定範囲において回転を停止していると判定したときに正常判定を行い、前記検出装置の検出値に基づいて、前記整流体が前記第1所定範囲及び前記第2所定範囲とは異なる位置において回転を停止していると判定したときに異常判定を行う。
【0008】
本発明の第3態様の整流装置は、本発明の第1の態様又は第2態様の整流装置において、前記整流体が前記展開位置から前記収納位置と反対側の方向である展開方向に回転するのを機械的に規制する第1ストッパ機構と、前記整流体が前記収納位置から前記展開位置と反対側の方向である収納方向に回転するのを機械的に規制する第2ストッパ機構と、を備える。
【0009】
本発明の第4態様の整流装置は、本発明の第1態様~第3態様の何れか1つの整流装置において、前記駆動部を制御する駆動部制御部と、前記駆動部が発生した駆動力を前記整流体に伝達する、ウォーム及び前記ウォームと噛み合うウォームホイールと、を備え、前記駆動部制御部が、前記第1ストッパ機構が前記整流体の前記展開方向への回転を規制してから前記閾値時間に渡って前記整流体を前記展開方向に回転させるための駆動力を発生するように前記駆動部を制御し、前記駆動部制御部が、前記第2ストッパ機構が前記整流体の前記収納方向への回転を規制してから前記閾値時間に渡って、前記整流体を前記収納方向に回転させるための駆動力を発生するように前記駆動部を制御する。
【0010】
本発明の第5態様の整流装置は、本発明の第1態様~第4態様の何れか1つの整流装置において、前記整流体の回転中心である回転軸を備え、前記検出装置が、被検出部と、前記被検出部の位置を検出する検出部と、を備え、前記被検出部及び前記検出部の一方が、前記回転軸に、前記回転軸と同軸をなすように設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様の整流装置では、駆動部が発生した駆動力によって、車体の下側の展開位置と、車体側の収納位置と、の間を整流体が回転する。さらに整流体の回転位置を検出装置が検出する。さらに検出装置によって検出された回転位置が閾値時間に渡って変化しないとき、整流体が回転を停止していると回転位置認識部が判定する。
【0012】
さらに第1態様の整流装置の検出装置は、駆動部の動作とは無関係に、整流体の回転位置を検出する。そのため第1態様の整流装置は、駆動部の故障の有無に拘わらず、整流体が何れの位置にある場合も整流体の回転位置及び停止位置を検出できる。
【0013】
本発明の第2態様の整流装置では、回転位置認識部が、検出装置の検出値に基づいて、整流体14が第1所定範囲において回転を停止していると判定したとき、又は、整流体が第2所定範囲において回転を停止していると判定したときに正常判定を行う。さらに回転位置認識部が、検出装置の検出値に基づいて、整流体14が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる位置において回転を停止していると判定したときに異常判定を行う。そのため第2態様の整流装置は、一つの検出装置を利用して、整流体が停止しているか否かの判定、及び、整流体の回転が停止された位置が第1所定範囲又は第2所定範囲に含まれるか否かの判定を実行できる。
【0014】
本発明の第3態様の整流装置では、整流体が展開位置から収納位置と反対側の方向である展開方向に回転するのを第1ストッパ機構が機械的に規制する。さらに整流体が収納位置から展開位置と反対側の方向である収納方向に回転するのを第2ストッパ機構が機械的に規制する。そのため第2態様の整流装置は、整流体が展開位置から展開方向に回転すること、及び、整流体が収納位置から収納方向に回転することを確実に防止できる。
【0015】
本発明の第4態様の整流装置では、駆動部が発生した駆動力を、ウォーム及びウォームホイールが整流体に伝達する。さらに第1ストッパ機構が整流体の展開方向への回転を規制してから閾値時間に渡って、駆動部が整流体を展開方向に回転させるための駆動力を発生する。また、第2ストッパ機構が整流体の収納方向への回転を規制してから閾値時間に渡って、駆動部が整流体を収納方向に回転させるための駆動力を発生する。そのため第4態様の整流装置は、整流体を展開位置及び収納位置においてセルフロックできる。
【0016】
本発明の第5態様の整流装置は、被検出部及び検出部の一方が整流体に設けられた場合と比べて、整流体の回転位置を高い精度で検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態における車両の前部を示す車幅方向外方から見た側面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る整流装置を示す車両後方かつ車幅方向内方から見た分解斜視図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る整流装置を示す車両前方から見た正面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る整流装置を示す下方から見た断面図(図3の4-4線断面図)である。
図5】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係る整流装置の主要部を示す図であり、(A)は、車両前方から見た断面図であり、(B)は、車両前方かつ車幅方向外方から見た破断斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る整流装置の駆動装置を示す車幅方向内方から見た側面図である。
図7】(A)~(C)は、本発明の第1実施形態に係る整流装置を示す図であり、(A)は、上方から見た断面図(図6の7A-7A線断面図)であり、(B)は、上方から見た断面図(図6の7B-7B線断面図)であり、(C)は、車両後方から見た断面図(図6の7C-7C線断面図)である。
図8】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係る整流装置の駆動装置を示す車幅方向内方から見た側面図であり、(A)は、ケース内のモータベースより車幅方向内側を示し、(B)は、ケース内のモータベースより車幅方向外側を示している。
図9】本発明の第1実施形態に係る整流装置のスタンド等を示す車幅方向内方から見た側面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る整流装置の駆動装置を示す車幅方向外側から見た斜視図である。
図11図1に示された車両のECUの概略ブロック図である。
図12図11に示されるECUの機能ブロック図である。
図13】ECUのCPUが行う処理を表すフローチャートである。
図14】本発明の第2実施形態のECUのCPUが行う処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、第1実施形態における車両12の前部が車幅方向外方(車両右方)から見た側面図にて示されており、図2には、第1実施形態に係る整流装置10が車両後方かつ車幅方向内方から見た分解斜視図にて示されている。さらに、図3には、整流装置10が車両前方から見た正面図にて示されており、図4には、整流装置10が下方から見た断面図(図3の4-4線断面図)にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示している。
【0019】
図1に示す如く、第1実施形態に係る左右一対の整流装置10は、車体12Aの前端部内に設置されており、車両12の左右の前輪12Bの前側に配置されている。整流装置10は、以下に説明する整流体14、駆動装置16及びECU60を備える。
【0020】
図1図4に示す如く、整流装置10には、樹脂製で略直方体形箱状の整流体14が設けられている。
【0021】
整流体14の車幅方向内側には、駆動装置16が組付けられており、駆動装置16は、車体12Aの前端部内に固定されている。
【0022】
駆動装置16には、回転部材としての樹脂製で略円筒状のスタンド(回転軸)18が設けられており、スタンド18の軸方向は、車幅方向にされている。スタンド18の車幅方向外側端部は、整流体14の車両前側端部に結合されており、整流体14は、スタンド18を中心軸として、車体12Aの下側の方向である展開方向A及び車体12A側の方向である収納方向B(図1及び図2参照)に回転可能にされている。即ち、整流体14は、収納位置(図1の破線位置)と、展開位置(図1の2点鎖線位置)と、の間を回転可能である。整流体14が収納位置にあるとき、整流体14は対応する前輪12Bと車両前後方向に対向しない。整流体14が展開位置にあるとき、整流体14は対応する前輪12Bと車両前後方向に対向する。
【0023】
スタンド18の車幅方向外側端部近傍には、シール部としての円環状のシール筒18Aが同軸上に一体形成されており、シール筒18Aは、断面L字状にされて、底壁及び側壁が設けられている。シール筒18Aの底壁は、円環板状にされて、スタンド18と一体にされている。シール筒18Aの側壁は、円筒状にされて、シール筒18Aの底壁の径方向外側端部から車幅方向内側に突出されている。
【0024】
スタンド18の車幅方向内側端部内には、円状の固定孔20(図9参照)が同軸上に形成されている。固定孔20は、径がスタンド18内の固定孔20より車幅方向外側部分の径に比し僅かに大きくされると共に、車幅方向内側に開放されている。固定孔20の径方向外側には、規制部としての矩形状の規制孔20Aが所定数(第1実施形態では2個)形成されている。各規制孔20Aは、それぞれ固定孔20に連通されると共に、固定孔20の周方向に等間隔に配置されている。規制孔20Aは、車幅方向内側に開放されており、規制孔20Aの底面(車幅方向外側面)は、固定孔20の底面(車幅方向外側面)と連続している。
【0025】
固定孔20の周面には、圧入部としての三角柱状の潰しリブ20Bが所定数(第1実施形態では4個)一体形成されており、潰しリブ20Bは、固定孔20の軸方向に延伸されている。所定数の潰しリブ20Bは、固定孔20の周方向に等間隔に配置されており、規制孔20Aは、潰しリブ20B間の固定孔20周方向中央位置に配置されている。さらに、規制孔20Aの収納方向B側面(展開方向A側面でもよい)にも、同様の潰しリブ20Bが一体形成されている。
【0026】
スタンド18の車幅方向内側には、収容体22を構成する支持部材としての樹脂製で箱状のケース24が設けられており、ケース24内は、車幅方向内側に開放されている。ケース24の下側部分には、略有底円筒状の収容筒24Aが形成されており、収容筒24Aは、軸方向が車幅方向にされると共に、内部がケース24内の上側部分に連通されている。収容筒24Aの底壁(車幅方向外側壁)には、第1支持部としての円筒状の支持筒24Bが同軸上に一体形成されており、支持筒24Bは、収容筒24Aの底壁を貫通すると共に、内部が車幅方向外側に開放されている。
【0027】
支持筒24B内には、スタンド18が同軸上に嵌合されており、これにより、支持筒24Bがスタンド18を回転可能に支持すると共に、収容筒24A内にスタンド18が同軸上に挿入されている。支持筒24Bには、車幅方向外側から、スタンド18のシール筒18Aの底壁が接近している。さらに支持筒24Bとシール筒18Aとの間には、シール部材としての円環状のシールリング26が挿入されている。シールリング26は、ゴム製であり、シール性を有している。シールリング26は、支持筒24Bとシール筒18Aの側壁とによって挟持されることにより弾性変形しており、シールリング26は、ケース24とスタンド18との間をシールして、ケース24内への水の浸入を制限している。
【0028】
図10に示されたように、支持筒24Bの外周には、規制部としての略矩形板状の規制板24Eが所定数(第1実施形態では2個)一体形成されており、所定数の規制板24Eは、収容筒24Aの周方向に等間隔に配置されると共に、それぞれ収容筒24Aの周方向に沿って湾曲されている。規制板24Eは、支持筒24Bの軸方向(車幅方向)に延びている。規制板24Eは、収容筒24Aの底壁と一体にされると共に、支持筒24Bの車幅方向内側に突出されている。
【0029】
ケース24内には、仕切部材としての樹脂製のモータベース28(図8(A)参照)が収容されており、モータベース28の外周は、ケース24の内周に嵌合されている。モータベース28の上下方向中間部分には、固定ネジ30が一対貫通されており、固定ネジ30がケース24の底壁(車幅方向外側壁)に螺合されて、モータベース28がケース24に固定(締結)されている。
【0030】
モータベース28の上側部分には、保持部としての略有底楕円筒状の保持筒28Aが一体形成されており、保持筒28Aは、車幅方向内側に突出されると共に、内部が車幅方向内側に開放されている。
【0031】
モータベース28の下側部分には、挿入部としての略有底円筒状の挿入筒28Bが一体形成されている。挿入筒28Bは、車幅方向内側に突出されると共に、内部が車幅方向外側に開放されている。挿入筒28Bは、ケース24の収容筒24Aと同軸上に配置されており、挿入筒28B内には、スタンド18が同軸上に挿入されている。挿入筒28Bの底壁(車幅方向内側壁)には、第2支持部(嵌合部)としての略有底円筒状の嵌合筒28Cが同軸上に一体形成されている。嵌合筒28Cは、挿入筒28Bの底壁から車幅方向内側に突出されている。嵌合筒28C内は、挿入筒28B内に開放されており、嵌合筒28Cは、内部にスタンド18の車幅方向内側端部が同軸上に嵌合されて、スタンド18を回転可能に支持している。
【0032】
挿入筒28Bの底壁には、位置決め部としての断面十字形柱状の配置柱28Dが一対一体形成されている。一対の配置柱28Dは、それぞれ車幅方向内方に突出されると共に、挿入筒28Bの周方向に等間隔に配置されている。配置柱28Dの車幅方向内側には、位置決め部位としての円柱状の配置ピン28Eが同軸上に一体形成されており、配置ピン28Eは、車幅方向内方に突出されている。挿入筒28Bの底壁には、配置柱28D間の挿入筒28B周方向中央位置において、位置決め部としての円筒状の配置筒28F(図5(A)参照)が一体形成されている。配置筒28Fは、車幅方向内方に突出されている。
【0033】
ケース24及びモータベース28の車幅方向内側には、収容体22を構成する被覆部材としての樹脂製で箱状のカバー32が設けられている。カバー32内は、車幅方向外側に開放されている。カバー32の車幅方向外側端部内には、ケース24の車幅方向内側端部が嵌合かつ固定されており、カバー32は、ケース24及びモータベース28の車幅方向内側を被覆かつシールしている。また、収容体22(ケース24及びカバー32)内は、モータベース28によって、車幅方向外側(一側)と車幅方向内側(他側)とに仕切られている。
【0034】
収容体22は、車体12Aの前端部内に固定されており、これにより、整流装置10が車体12Aの前端部内に設置されている。
【0035】
スタンド18の固定孔20には、被検出部としての円柱状のマグネット(検出装置)(被検出部)34(図5の(A)及び(B)、図9参照)が同軸上に嵌合されている。固定孔20の潰しリブ20Bが潰されることにより、マグネット34は固定孔20に圧入(固定)されている。モータベース28がケース24に固定される際には、マグネット34が、モータベース28の嵌合筒28Cの底壁(車幅方向内側壁)に当接(面接触)されて、固定孔20に圧入されており、マグネット34は、固定孔20の底面に当接されていない。これにより、マグネット34が、嵌合筒28Cの底壁によって軸方向(車幅方向)において位置決めされると共に、固定孔20によって径方向において位置決めされている。
【0036】
マグネット34の周面には、被規制部としての略矩形柱状の規制柱34Aが所定数(第1実施形態では2個)一体形成されている。所定数の規制柱34Aは、マグネット34の周方向に等間隔に配置されると共に、それぞれ車幅方向外側面がマグネット34の車幅方向外側面と面一にされている。規制柱34Aは、スタンド18の規制孔20Aに嵌合されており、これにより、マグネット34のスタンド18に対する回転が規制されている。マグネット34が固定孔20に圧入される際には、規制孔20Aの潰しリブ20Bが潰されることにより、規制柱34Aが規制孔20Aに圧入されており、規制柱34Aは規制孔20Aの底面に当接されていない。
【0037】
カバー32内には、略矩形板状の回路基板36が、車幅方向に直交するように収納されている。回路基板36の車幅方向外側面の下部には、検出部としての略矩形板状の磁気センサ(検出装置)(検出部)38(磁気抵抗素子)が固定されている。磁気センサ38は、マグネット34とモータベース28の嵌合筒28Cの底壁を介して車幅方向に対向し、マグネット34と平行かつ同軸上に配置されている。このため、マグネット34が発生する磁界の方向を磁気センサ38が検出可能である。また、磁気センサ38は、嵌合筒28Cの底壁に対し、僅かに離間又は当接(面接触)されている。
【0038】
回路基板36には、磁気センサ38の周囲において、被位置決め部としての配置孔36A(図6図7の(A)及び(C)参照)が一対貫通形成されており、一対の配置孔36Aは、マグネット34の周方向において等間隔に配置されている。一方(後方)の配置孔36Aは円状であり、一方の配置孔36Aには、モータベース28の一方の配置ピン28Eが嵌合されている。他方(前方)の配置孔36Aは略長尺矩形状であり、他方の配置孔36Aには、モータベース28の他方の配置ピン28Eが嵌合されている。これにより、回路基板36及び磁気センサ38が車両前後方向、上下方向及び一方の配置孔36Aの周方向において位置決めされている。
【0039】
回路基板36を配置ネジ40(図5(A)、図6及び図7(B)参照)が貫通している。配置ネジ40は、モータベース28の配置筒28Fの内周面に形成された雌ねじ溝に螺合することにより、回路基板36を配置筒28Fに固定(締結)している。回路基板36は、モータベース28における配置柱28Dの先端面(車幅方向内側面)及び配置筒28Fの先端面(車幅方向内側面)に当接(面接触)されており、これにより、回路基板36及び磁気センサ38が車幅方向において位置決めされている。
【0040】
収容体22内の上側部分には、駆動機構としてのモータ(駆動部)42(図7(C)及び図8(A)参照)が設けられている。モータ42には、略楕円柱状の本体部42Aが設けられている。本体部42Aは、モータベース28の保持筒28A内に車幅方向内側から嵌入されて保持されている。本体部42Aからは、出力軸42Bが車幅方向外側に延出されている。出力軸42Bは、モータベース28を貫通して、モータベース28の車幅方向外側に延出されている。
【0041】
モータ42の車幅方向外側には、樹脂製の初段ウォーム(駆動部)44が設けられており、初段ウォーム44の車幅方向外側端部は、ケース24の底壁に回転自在に支持されている。初段ウォーム44には、車幅方向内側からモータ42の出力軸42Bが同軸上に挿入されている。出力軸42Bが回転すると、初段ウォーム44が出力軸42Bと一体回転する。
【0042】
初段ウォーム44の下側には、金属製の出力ウォーム(駆動部)46(図8(B)参照)が設けられている。出力ウォーム46は、ケース24の底壁とモータベース28との間に回転自在に支持されている。出力ウォーム46の車両前側には、樹脂製の初段ギア(駆動部)48(ウォームホイール)が同軸上に支持されており、初段ギア48は、出力ウォーム46と一体回転される。初段ギア48は、初段ウォーム44に噛合されており、初段ウォーム44が回転されることで、初段ギア48及び出力ウォーム46が一体回転される。
【0043】
出力ウォーム46の下側には、駆動部材としての金属製で略円筒状の出力ギア50(ウォームホイール、図8(B)参照)が設けられており、出力ギア50は、内部にスタンド18が同軸上に嵌合されて、スタンド18に回転可能に支持されている。出力ギア50は、スタンド18に対し車幅方向(軸方向)に移動可能にされており、出力ギア50は、ケース24の支持筒24Bに車幅方向内側から当接されている。出力ギア50は、出力ウォーム46に噛合されて、回転を制限されている。出力ウォーム46が回転すると、出力ギア50が回転する。
【0044】
図10に示されたように、出力ギア50には、被規制部としての略長尺矩形状の規制溝39が所定数(第1実施形態では2個)形成されている。所定数の規制溝39は、出力ギア50の周方向に等間隔に配置されている。規制溝39は、出力ギア50の周方向に沿って湾曲されており、規制溝39は、車幅方向外側に開放されている。規制溝39の収納方向B側の面は、第1被規制部としての展開規制面39Aであり、展開規制面39Aは出力ギア50の周方向に対して直交する。規制溝39の展開方向A側の面は、第2被規制部としての収納規制面39Bであり、収納規制面39Bは出力ギア50の周方向に対して直交する。規制溝39には、車幅方向外側からケース24の規制板24Eが挿入されている。整流体14が展開位置に位置するとき、規制板24Eが展開規制面39Aに接触する。これにより、整流体14が展開位置からさらに展開方向Aへ回転することが防止される。また整流体14が収納位置に位置するとき、規制板24Eが収納規制面39Bに接触する。これにより、整流体14が収納位置からさらに収納方向Bへ回転することが防止される。なお、整流体14の展開方向Aへの回転に起因して規制板24Eが展開規制面39Aに接触した時刻を第1時刻と定義する。また、整流体14の収納方向Bへの回転に起因して規制板24Eが収納規制面39Bに接触した時刻を第2時刻と定義する。
【0045】
出力ギア50の車幅方向内側には、伝達部材としての金属製で略円筒状のクラッチ52が設けられている。クラッチ52は、内部にスタンド18が同軸上に嵌合されて、スタンド18に支持されている。クラッチ52は、スタンド18と一体回転可能にされると共に、スタンド18に対し軸方向(車幅方向)に移動可能である。クラッチ52は、出力ギア50と係合しており、出力ギア50と一体回転する。
【0046】
クラッチ52の車幅方向内側には、付勢部材としての金属製のコイルスプリング54が設けられており、コイルスプリング54内には、スタンド18が同軸上に挿入されている。スタンド18の車幅方向内側端部近傍には、係止部材としての金属製で略円環板状のプッシュナット56(図8(B)参照)が嵌合かつ固定されており、プッシュナット56とクラッチ52との間には、コイルスプリング54が掛渡されている。コイルスプリング54は、軸方向に圧縮されている。コイルスプリング54は、クラッチ52及び出力ギア50を車幅方向外側に付勢して、出力ギア50とクラッチ52との係合が解除されることを制限している。
【0047】
図1に示されたように、整流装置10はハードウェア構成として、整流装置10専用のECU(Electronic Control Unit)60を有する。
【0048】
図11に示されたようにECU60は、CPU(Central Processing Unit)60A、ROM(Read Only Memory)60B、RAM(Random Access Memory)60C、ストレージ60D、通信I/F60E及び入出力I/F60Fを含んで構成されている。CPU60A、ROM60B、RAM60C、ストレージ60D、通信I/F60E及び入出力I/F60Fは、内部バス60Zを介して相互に通信可能に接続されている。
【0049】
CPU60Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。CPU60Aは、ROM60B又はストレージ60Dからプログラムを読み出し、RAM60Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU60Aは、ROM60B又はストレージ60Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理を行う。CPU60Aは、タイマーから時刻に関する情報を取得可能である。
【0050】
ROM60Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM60Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ60Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。
【0051】
通信I/F60Eは、ECU60とは別のECU(図示省略)と、外部バス(図示省略)を介して接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、例えばCANプロトコルによる通信規格が用いられている。
【0052】
入出力I/F60Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。これらの装置には、例えば、磁気センサ38及びモータ42が含まれる。
【0053】
図12には、ECU60の機能構成の一例がブロック図で示されている。ECU60は、機能構成として、回転位置認識部601及びモータ制御部(駆動部制御部)602を有する。回転位置認識部601及びモータ制御部602は、CPU60AがROM60Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0054】
回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、スタンド18の回転位置を認識する。即ち、回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が収納位置と展開位置との間の何れの位置にあるかを認識する。
【0055】
さらに回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14(スタンド18)の回転位置が展開位置を含む第1所定範囲において閾値時間に渡って変化がないと判定したときに、整流体14が展開位置において回転を停止していると判定する。本明細書において「整流体14(スタンド18)の回転位置の変化がない」とは、整流体14の回転位置の変化が全くないこと、又は、整流体14が所定の微小範囲にあり続けることを意味する。なお、この微小範囲は第1所定範囲及び後述する第2所定範囲より狭い。また、回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14の回転位置が収納位置を含む第2所定範囲において閾値時間に渡って変化がないと判定したときに、整流体14が収納位置において回転を停止していると判定する。例えば、収納位置が0°の場合、-0.5°~+0.5°の範囲を第2所定範囲として設定可能である。また展開位置が45.0°の場合、+44.5°~+45.5°の範囲を第1所定範囲として設定可能である。さらに回転位置認識部601は、整流体14が展開位置(第1所定範囲)又は収納位置(第2所定範囲)において停止していると判定したときに、正常判定を行う。また、閾値時間に関する情報はROM60Bに記録されている。閾値時間は、例えば0.5秒である。
【0056】
さらに回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14の回転位置が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる回転領域において閾値時間に渡って変化がないと判定したとき、整流体14が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる位置において回転を停止していると判定する。さらに回転位置認識部601は、整流体14が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる位置において停止していると判定したときに、異常判定を行う。
【0057】
モータ制御部602は、車両12に設けられた車速センサ(図示省略)によって検出された車速が閾値未満から閾値以上に変化したときに、モータ42へ正転信号を送信する。これによりモータ42の出力軸42Bが正転し、整流体14が展開方向Aへ回転する。さらにモータ制御部602は、車速センサによって検出された車速が閾値以上から閾値未満に変化したときに、モータ42へ逆転信号を送信する。これによりモータ42の出力軸42Bが逆転し、整流体14が収納方向Bへ回転する。
【0058】
さらにモータ制御部602は、正転信号を送信中に回転位置認識部601が磁気センサ38の検出値に基づいて整流体14が第1所定範囲に到達したと判定したときに、上記閾値時間に渡って正転信号を送信し続ける。換言すると、モータ制御部602は、上記第1時刻から閾値時間に渡って正転信号を送信し続ける。またモータ制御部602は、逆転信号を送信中に回転位置認識部601が磁気センサ38の検出値に基づいて整流体14が第2所定範囲に到達したと判定したときに、閾値時間に渡って逆転信号を送信し続ける。換言すると、モータ制御部602は、上記第2時刻から閾値時間に渡って逆転信号を送信し続ける。
【0059】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
【0060】
CPU60Aは所定時間が経過する毎に図13に示されたフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0061】
ステップS10(以下、ステップの文字を省略する)においてCPU60Aは、車速が閾値未満から閾値以上に変化したか否かを判定する。
【0062】
S10でYesと判定した場合、CPU60AはS11へ進み、モータ42へ正転信号を送信する。これにより出力軸42B、初段ウォーム44、初段ギア48及び出力ウォーム46が回転し、出力ギア50、クラッチ52、スタンド18及び整流体14が展開方向Aへ回転する。
【0063】
S11の処理を終えた場合、CPU60AはS12へ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、スタンド18の回転位置を認識する。
【0064】
S12の処理を終えた場合、CPU60AはS13へ進み、スタンド18及び整流体14が回転動作を停止しているか否かを判定する。即ち、CPU60Aは、磁気センサ38の検出値に基づいて、スタンド18の回転位置が閾値時間に渡って変化していないかを判定する。
【0065】
S13でYesと判定した場合、CPU60AはS14へ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が展開位置にあるか否かを判定する。換言すると、CPU60Aは、規制板24Eが展開規制面39Aに接触したか否かを判定する。
【0066】
S14でYesと判定した場合、CPU60AはS15へ進み、正常判定を行い、且つ、規制板24Eが展開規制面39Aに接触した第1時刻から閾値時間が経過したときにモータ42への正転信号の送信を停止する。換言すると、この場合は、第1時刻から閾値時間が経過するまでモータ42へ正転信号が送信され続ける。これにより初段ウォーム44と初段ギア48との間のバックラッシュ、及び、初段ギア48と出力ウォーム46との間のバックラッシュが除去される。
【0067】
さらにS15においてモータ42が回転を停止したとき、規制板24Eが展開規制面39Aに接触しているため、整流体14が展開位置からさらに展開方向Aへ回転することが防止される。さらに初段ウォーム44と初段ギア48との間のバックラッシュ、及び、初段ギア48と出力ウォーム46との間のバックラッシュが除去されているため、整流体14の収納方向Bへの回転が規制されている。そのため、整流体14が展開位置においてセルフロックされる。このように整流体14が、車体12Aの下側において車両12の前輪12Bの直前位置である展開位置に位置すると、車両12の走行風(空気流)が前輪12Bへ及ぶことが整流体14によって抑制される。即ち、整流体14の働きにより、走行風が前輪12Bの下側に向かって流される。これにより前輪12Bの車両前側における空気圧の増加が抑制され、車両12の空気抵抗及び揚力が抑制される。
【0068】
一方、S10でNoと判定した場合、CPU60AはS16へ進み、車速が閾値以上から閾値未満に変化したか否かを判定する。
【0069】
S16でYesと判定した場合、CPU60AはS17へ進み、モータ42へ逆転信号を送信する。これにより整流体14が収納方向Bへ回転する。
【0070】
S17の処理を終えた場合、CPU60AはS18へ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、スタンド18の回転位置を認識する。
【0071】
S18の処理を終えた場合、CPU60AはS19へ進み、スタンド18及び整流体14が回転動作を停止しているか否かを判定する。
【0072】
S19でYesと判定した場合、CPU60AはS20へ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が収納位置にあるか否かを判定する。換言すると、CPU60Aは、規制板24Eが収納規制面39Bに接触したか否かを判定する。
【0073】
S20でYesと判定した場合、CPU60AはS15へ進み、正常判定を行い、且つ、規制板24Eが収納規制面39Bに接触した第2時刻から閾値時間が経過したときにモータ42への逆転信号の送信を停止する。換言すると、この場合は、第2時刻から閾値時間が経過するまでモータ42へ逆転信号が送信され続ける。これにより初段ウォーム44と初段ギア48との間のバックラッシュ、及び、初段ギア48と出力ウォーム46との間のバックラッシュが除去される。
【0074】
さらにS15においてモータ42が回転を停止したとき、規制板24Eが収納規制面39Bに接触しているため、整流体14が収納位置からさらに収納方向Bへ回転することが防止される。さらに初段ウォーム44と初段ギア48との間のバックラッシュ、及び、初段ギア48と出力ウォーム46との間のバックラッシュが除去されているため、整流体14の展開方向Aへの回転が規制されている。そのため、整流体14が収納位置においてセルフロックされる。
【0075】
S14又はS20でNoと判定した場合、CPU60AはS21へ進む。整流体14が収納位置及び展開位置とは異なる位置において停止している場合に、CPU60AはS21へ進む。そのためこの場合、CPU60AはS21において異常判定を行う。例えば、モータ42の故障に起因して整流体14が収納位置及び展開位置とは異なる位置において停止している場合に、CPU60Aは異常判定を行う。このときCPU60Aは、車両12の内部に設けられたディスプレイ(図示省略)に、整流体14が収納位置及び展開位置とは異なる位置において停止していることを表す文字を表示させてもよい。
【0076】
S21の処理を終えた場合、CPU60AはS15へ進み、モータ42への信号の送信を停止する。
【0077】
S16でNoと判定したとき又はS15の処理を終えたとき、CPU60Aは図13のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0078】
以上説明したように第1実施形態の整流装置10は、マグネット34及び磁気センサ38を利用して、スタンド18及び整流体14の回転位置を検出する。そのため整流装置10は、整流体14が何れの位置にある場合も整流体14の回転位置を検出できる。さらにスタンド18及び整流体14の回転位置が閾値時間に渡って変化しないとき、整流体14が回転を停止していると判定される。さらに整流装置10は、駆動部(モータ42、初段ウォーム44、出力ウォーム46、初段ギア48)の状態を考慮せずに、整流体14の回転位置を検出する。そのため整流装置10は、駆動部が故障した場合においても整流体14の回転位置を検出できる。
【0079】
さらに整流装置10は、磁気センサ38によって検出された整流体14の回転位置が展開位置を含む第1所定範囲において閾値時間に渡って変化がないと判定されたとき、整流体14が展開位置において回転を停止していると判定する。さらに整流装置10は、磁気センサ38によって検出された整流体14の回転位置が収納位置を含む第2所定範囲において閾値時間に渡って変化がないと判定されたとき、整流体14が収納位置において回転を停止していると判定する。そのため整流装置10は、整流体14が展開位置又は収納位置にあるか否かを正確に判定できる。
【0080】
さらに整流装置10は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が第1所定範囲において回転を停止していると判定したとき、又は、整流体14が第2所定範囲において回転を停止していると判定したときに正常判定を行う。さらに整流装置10は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる位置において回転を停止していると判定したときに異常判定を行う。そのため整流装置10は、一組のマグネット34及び磁気センサ38を利用して、整流体14が停止しているか否かの判定、及び、整流体14の回転が停止された位置が第1所定範囲又は第2所定範囲に含まれるか否かの判定を実行できる。
【0081】
さらに整流装置10は、整流体14が展開位置から展開方向Aに回転するのを機械的に規制する第1ストッパ機構(規制板24E及び展開規制面39A)を備える。さらに整流装置10は、整流体14が収納位置から収納方向Bに回転するのを機械的に規制する第2ストッパ機構(規制板24E及び収納規制面39B)を備える。そのため整流装置10は、整流体14が展開位置から展開方向Aに回転すること、及び、整流体14が収納位置から収納方向Bに回転することを確実に防止できる。
【0082】
さらに整流装置10は、整流体14を展開位置及び収納位置においてセルフロックできる。
【0083】
さらに整流装置10では、スタンド18の固定孔20にスタンド18と同軸をなすように固定されたマグネット34が発生する磁界の方向を磁気センサ38が検出することを利用して、整流体14の回転位置が検出される。そのため、スタンド18及び整流体14の回転位置が何れの位置にあっても、マグネット34と磁気センサ38との間の距離が実質的に変化しない。そのため第1実施形態の磁気センサ38はマグネット34が発生する磁界を確実に検出できる。一方、マグネット34が整流体14に設けられた場合は、スタンド18及び整流体14の回転位置が変化するのに伴って、マグネット34と磁気センサ38との間の距離が変化する。即ち、第1実施形態の整流装置10は、マグネット34が整流体14に設けられた場合と比べて、整流体14の回転位置を高い精度で検出できる。
【0084】
続いて、本発明の第2実施形態について図14を参照しながら説明する。なお、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付すにとどめて、その詳細な説明は省略する。
【0085】
第2実施形態の整流装置10は、第1ストッパ機構(規制板24E及び展開規制面39A)及び第2ストッパ機構(規制板24E及び収納規制面39B)を具備しない。
【0086】
またモータ制御部602は、正転信号を送信中に回転位置認識部601が磁気センサ38の検出値に基づいて整流体14が第1所定範囲に到達したと判定したときに、正転信号の送信を直ちに停止する。さらにモータ制御部602は、逆転信号を送信中に回転位置認識部601が磁気センサ38の検出値に基づいて整流体14が第2所定範囲に到達したと判定したときに、逆転信号の送信を直ちに停止する。
【0087】
回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14(スタンド18)の回転位置が展開位置を含む第1所定範囲において閾値時間に渡って変化がないと判定したときに、整流体14が展開位置において回転を停止していると判定する。即ち、回転位置認識部601は、モータ制御部602が正転信号の送信を停止した時刻から閾値時間に渡って整流体14の回転位置を認識し続け、閾値時間が経過したときに整流体14の回転位置に変化がない場合に、整流体14が展開位置において回転を停止していると判定する。また、回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14の回転位置が収納位置を含む第2所定範囲において閾値時間に渡って変化がないと判定したときに、整流体14が収納位置において回転を停止していると判定する。即ち、回転位置認識部601は、モータ制御部602が逆転信号の送信を停止した時刻から閾値時間に渡って整流体14の回転位置を認識し続け、閾値時間が経過したときに整流体14の回転位置に変化がない場合に、整流体14が収納位置において回転を停止していると判定する。さらに第2実施形態においても回転位置認識部601は、整流体14が展開位置(第1所定範囲)又は収納位置(第2所定範囲)において停止していると判定したときに、正常判定を行う。
【0088】
さらに第2実施形態においても回転位置認識部601は、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14の回転位置が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる回転領域において閾値時間に渡って変化がないと判定したとき、整流体14が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる位置において回転を停止していると判定する。さらに第2実施形態においても回転位置認識部601は、整流体14が第1所定範囲及び第2所定範囲とは異なる位置において停止していると判定したときに、異常判定を行う。
【0089】
第2実施形態のCPU60Aは、所定時間が経過する毎に図14に示されたフローチャートの処理を繰り返し実行する。S10~S12までの処理は第1実施形態と同じである。
【0090】
S12の処理を終えた場合、CPU60AはS13Aへ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が第1所定範囲(展開位置)とは異なる位置で回転動作を停止しているか否かを判定する。即ち、CPU60Aは、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14の回転位置が第1所定範囲とは異なる回転領域において閾値時間に渡って変化がないかを判定する。
【0091】
S13AでYesと判定した場合、CPU60AはS21へ進み、異常判定を行う。
【0092】
一方、S13AでNoと判定した場合、CPU60AはS14へ進む。
【0093】
S14でYesと判定した場合、CPU60AはS15Aへ進み、モータ42への正転信号の送信を直ちに停止する。
【0094】
S15Aの処理を終えた場合、CPU60AはS15Bへ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が閾値時間に渡って第1所定範囲において停止しているか否かを判定する。
【0095】
S15BでYesと判定した場合、CPU60AはS15Cへ進み、正常判定を行う。
【0096】
一方、S10でNoと判定した場合、CPU60AはS16~S18の処理を実行する。
【0097】
S18の処理を終えた場合、CPU60AはS19Aへ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が第2所定範囲(収納位置)とは異なる位置で回転動作を停止しているか否かを判定する。即ち、CPU60Aは、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14の回転位置が第2所定範囲とは異なる回転領域において閾値時間に渡って変化がないかを判定する。
【0098】
S19AでYesと判定した場合、CPU60AはS21へ進み、異常判定を行う。
【0099】
一方、S19AでNoと判定した場合、CPU60AはS20へ進む。
【0100】
S20でYesと判定した場合、CPU60AはS15Aへ進み、モータ42への逆転信号の送信を直ちに停止する。
【0101】
S15Aの処理を終えた場合、CPU60AはS15Bへ進み、磁気センサ38の検出値に基づいて、整流体14が閾値時間に渡って第2所定範囲において停止しているか否かを判定する。
【0102】
S15BでYesと判定した場合、CPU60AはS15Cへ進み、正常判定を行う。
【0103】
S15B若しくはS16でNoと判定したとき又はS15Cの処理を終えたとき、CPU60Aは図14のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0104】
以上説明したように第2実施形態の整流装置10も、マグネット34及び磁気センサ38を利用して、スタンド18及び整流体14の回転位置を検出するため、整流体14が何れの位置にある場合も整流体14の回転位置を検出できる。さらに第2実施形態の整流装置10も、整流体14の回転位置が閾値時間に渡って変化しないとき、整流体14が回転を停止していると判定する。さらに第2実施形態の整流装置10も、駆動部(モータ42、初段ウォーム44、出力ウォーム46、初段ギア48)の状態を考慮せずに、整流体14の回転位置を検出する。そのため第2実施形態の整流装置10は、駆動部が故障した場合においても整流体14の回転位置を検出できる。
【0105】
以上、実施形態に係る整流装置10について説明したが、整流装置10は本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0106】
例えば、磁気センサ38がスタンド18に設けられ、マグネット34が回路基板36又はカバー32に設けられてもよい。
【0107】
検出装置(被検出部、検出部)が、マグネット34及び磁気センサ38とは異なる構成を備えてもよい。例えば、検出装置が、光を発する発光部及び発光部が発した光を受光する受光部を有する光学検出装置と、発光部と受光部の間に位置し且つ周方向に並んだ複数の貫通孔を有する透過板と、を備えてもよい。例えば、回路基板36に光学検出装置を設け、スタンド18に透過板を固定する。光学検出装置はECU60に接続される。このようにすると、スタンド18が回転するときに、発光部が発した光が断続的に透過板に形成された貫通孔を通り抜け受光部によって受光される。ECU60(回転位置認識部601)は、受光部が受光した回数に基づいて、スタンド18の回転位置を検出する。なお、回路基板36に透過板を固定し、スタンド18に光学検出装置を設けてもよい。
【0108】
ECU60が整流装置10専用のECUではなく、整流装置10及び整流装置10とは別の装置を制御するECUであってもよい。
【符号の説明】
【0109】
10・・・整流装置、12・・・車両、12B・・・前輪、14・・・整流体、16・・・駆動装置、18・・・スタンド(回転軸)、24E・・・規制板(第1ストッパ機構)(第2ストッパ機構)、34・・・マグネット(検出装置)(被検出部)、38・・・磁気センサ(検出装置)(検出部)、39A・・・展開規制面(第1ストッパ機構)、39B・・・収納規制面(第2ストッパ機構)、42・・・モータ(駆動部)、44・・・初段ウォーム(ウォーム)(駆動部)、46・・・出力ウォーム(ウォーム)(駆動部)、48・・・初段ギア(ウォームホイール)(駆動部)、601・・・回転位置認識部、602・・・モータ制御部(駆動部制御部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14