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特開2024-152503配達システム、建物、及び配送システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152503
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配達システム、建物、及び配送システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 61/00 20060101AFI20241018BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65G61/00 550
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066732
(22)【出願日】2023-04-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022BB03
3F022BB04
3F022FF01
3F022JJ11
3F022LL07
3F022MM03
3F022MM07
3F022NN02
3F022NN33
3F022NN55
3F022PP01
3F022PP02
3F022PP04
3F022QQ17
3F022QQ19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】配達物を自動で届ける配達システムを提供する。
【解決手段】配達システムは、建物内の複数の住戸のそれぞれに、前記建物内の通路を走行する配達用車両を用いて配達物を自動配達するための配達システムであって、前記複数の住戸のそれぞれに、前記配達用車両は、配達物入口用開口部、配達物出口用開口部、押出装置、延長可能なエクステンションプレートを備え、前記配達物の宛先の住戸に設けられた配達物置場まで前記配達用車両を移動させ、前記配達用車両が前記配達物置場に到着したときに、前記エクステンションプレートを配達物置場まで延長し、前記押出装置により、前記配達物を、配達物置場まで押し出すように制御する制御部を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物内の複数の住戸のそれぞれに、前記建物内の通路を走行する配達用車両を用いて配達物を自動配達するための配達システムであって、
前記配達用車両は、配達物入口用開口部、配達物出口用開口部、押出装置、及び延長可能なエクステンションプレートを備え、
前記配達物の宛先の住戸に設けられた配達物置場まで前記配達用車両を移動させ、前記配達用車両が前記配達物置場に到着したときに、前記エクステンションプレートを配達物置場まで延長し、前記押出装置により、前記配達物を、配達物置場まで押し出すように制御する制御部
を備える配達システム。
【請求項2】
前記配達物は、前記配達物入口用開口部から前記配達物出口用開口部までの一方向に流れる請求項1に記載の配達システム。
【請求項3】
前記複数の住戸のそれぞれの前記配達物置場の高さと、前記エクステンションプレートの高さとが対応している請求項1に記載の配達システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記配達物が食品である場合、前記配達用車両が前記配達物の宛先の住戸に設けられた配達物置場に到達したときの前記配達物の温度が所定温度となるように、配送車に搭載された調温装置の温度を制御する請求項1に記載の配達システム。
【請求項5】
前記調温装置は、冷蔵庫又は加熱器である請求項4に記載の配達システム。
【請求項6】
前記配達用車両は、前記配達物が食品である場合、前記配達物に対し調理を行う調理装置、を有する請求項1に記載の配達システム。
【請求項7】
前記調理装置による前記調理は、前記配達物の温度を所定温度に調整する温度調整を含む請求項6に記載の配達システム。
【請求項8】
前記温度調整は、前記配達用車両が前記配達物の宛先の住戸に設けられた配達物置場に到達したときの前記配達物の温度を前記所定温度とすることを含む請求項7に記載の配達システム。
【請求項9】
前記制御部により制御され、前記調理装置によって前記調理が行われる前の前記配達物を開封する開封装置、を有する請求項6に記載の配達システム。
【請求項10】
前記開封装置は前記配達用車両に設けられる、請求項9に記載の配達システム。
【請求項11】
前記調理装置は、前記開封装置よりも、前記配達用車両の前記配達物出口用開口部に近い位置に設けられる、請求項10に記載の配達システム。
【請求項12】
前記開封装置は、前記配達用車両が待機する保管所に設けられる、請求項9に記載の配達システム。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の配達システム
を備える建物。
【請求項14】
前記建物は、複数の階を備え、
前記建物が備える異なる階の間で前記配達用車両を移動させる昇降レーンを備える
請求項13に記載の建物。
【請求項15】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の配達システムと、
建物外の物流拠点から前記建物まで配送車による配達物の運搬を管理するサーバと
を備える配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配達システム、建物、及び配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地域密着型のインターモーダルな交通システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。センターから周囲の複数の超高層都市へ放射状に、また各超高層都市間に環状に、交通系統を網羅した地下都市トンネルを配設した大都市構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-530695号公報
【特許文献2】特開平10-246005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配達物を自動で届けることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、配達システムが提供される。配達システムは、建物内の複数の住戸のそれぞれに、前記建物内の通路を走行する配達用車両を用いて配達物を自動配達するための配達システムであって、前記配達用車両は、配達物入口用開口部、配達物出口用開口部、押出装置、及び延長可能なエクステンションプレートを備え、前記配達物の宛先の住戸に設けられた配達物置場まで前記配達用車両を移動させ、前記配達用車両が前記配達物置場に到着したときに、前記エクステンションプレートを配達物置場まで延長し、前記押出装置により、前記配達物を、配達物置場まで押し出すように制御する制御部を備える。
【0006】
配達物は、前記配達物入口用開口部から前記配達物出口用開口部までの一方向に流れるようにしてもよい。
【0007】
複数の住戸のそれぞれの配達物置場の高さと、前記エクステンションプレートの高さとが対応しているように構成してもよい。
【0008】
制御部は、前記配達物が、食品である場合、前記配達用車両が前記配達物の宛先の住戸に設けられた配達物置場に到達したときの前記配達物の温度が所定温度となるように、配送車に搭載された調温装置の温度を制御してもよい。
【0009】
調温装置を、冷蔵庫又は加熱器としてもよい。
【0010】
第2の形態において、建物が提供される。建物は、上記の配達システムを備える。
【0011】
建物は、複数の階を備えてよい。搬送レーンは、建物が備える異なる階の間で配達物を移動させる昇降レーンを備えてよい。
【0012】
第3の形態において、配送システムが提供される。配送システムは、上記の配達システムを備える。配送システムは、建物外の物流拠点から建物まで自動運転車による配達物の運搬を管理するサーバを備える。
【0013】
なお、上記の概要は、本開示の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第一実施形態のシステム10の全体的な概念を示す。
図2】第一実施形態の配達用車両200により配達物が宛先の住戸82に配達される様子を立面視で概略的に示す。
図3】第一実施形態の住戸82の玄関用扉及び荷物置場の配置を平面視で模式的に示す。
図4】第一実施形態の配達用車両200を模式的に示す。
図5】第一実施形態の配達用車両200の動作を模式的に示す。
図6】第一実施形態の配送ボックス700を模式的に示す。
図7】第一実施形態のサーバ40が管理する配送情報のデータ構造の一例を示す。
図8】第一実施形態のシステム10において実行される配達処理の流れを示すフローチャートである。
図9】第一実施形態のコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。
図10】第二実施形態の配達用車両300を模式的に示す。
図11】第二実施形態の開封装置310を示す正面図である。
図12A】第二実施形態の開封装置310を部分的に示す斜視図である。
図12B】第二実施形態の開封装置310を部分的に示す斜視図である。
図13A】第二実施形態の開封装置310の掌部320A側の正面図である。
図13B】第二実施形態の開封装置310の吸着パッド324の斜視図である。
図14】第二実施形態の開封装置310の機能構成の一例を概略的に示す図である。
図15】第二実施形態のシステムにおいて実行される配達処理の流れを示すフローチャートである。
図16A】第二実施形態のシステムにおいて実行される開封・調理処理の流れを示すフローチャートである。
図16B】第二実施形態のシステムにおいて実行される開封・調理処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0016】
図1は、システム10の全体的な概念を示す。システム10は、サーバ40と、都市構造12と、タクシー90と、配送車92とを備える。都市構造12は、複数の集合住宅80と、物流拠点84と、公共施設86と、道路構造100とを備える。公共施設86は、大規模商業施設、官公庁施設、廃棄物処理場等である。
【0017】
道路構造100は、自動運転専用の道路である。道路構造100は、幹線道路110と、支線道路120と、接続道路140とを備える。タクシー90は、旅客輸送用の自動運転車である。配送車92は、荷物運搬用の自動運転車である。物流拠点84は、物流倉庫、デリバリフード製造施設等を含む。
【0018】
幹線道路110は、高速走行用の自動運転車専用道路である。幹線道路110は、例えば、基準速度が200km/hに規制された道路である。支線道路120は、中低速走行用の自動運転車専用道路である。支線道路120は、例えば、基準速度が100km/hに規制された車線と基準速度が30km/hに規制された車線とを備える。集合住宅80は、支線道路120に囲まれた生活エリア21内に設けられる。
【0019】
生活エリア21は、例えば、人間が生活するためのエリアである。生活エリア21は、例えば、人間が居住するエリアである。生活エリア21には小規模な商店は存在してよい。公共施設86は、幹線道路110に囲まれた公共施設エリア20内に設けられる。公共施設エリア20は、原則として人間が居住しないエリアである。後述するように、道路構造100には交差点も交通信号機も設けられていない。後述するように、道路構造100は、タクシー90や配送車92が車線変更によって幹線道路110と支線道路120との間で移動できるように設けられる。
【0020】
サーバ40は、集合住宅80の居住者に提供される交通サービス及び宅配サービスを管理する。例えば、サーバ40は、AIを利用して、都市構造12におけるタクシーの配車需要を予測して、配車需要に応じてタクシー90を配備する。サーバ40は、集合住宅80の居住者からの配車要求を受信すると、タクシー90を居住者の近くに配車させる。
【0021】
また、サーバ40は、物流拠点84から集合住宅80まで配送車92による配達物の運搬を管理する。サーバ40は、集合住宅80の居住者宛の配達物を、物流拠点84で配送車92に積載させ、配送車92で集合住宅80に配送させる。例えば、サーバ40は、集合住宅80の居住者からデリバリフードの提供要請を受信すると、物流拠点84のデリバリフード製造施設で製造されたデリバリフードを配送車92に積載させ、配送車92でデリバリフードを集合住宅80に届けさせる。また、サーバ40は、物流拠点84の物流倉庫に集合住宅80の居住者宛の荷物が到着すると、荷物を配送車92に積載させ、配送車92で荷物を集合住宅80に届けさせる。後述するように、集合住宅80には、届けられたデリバリフードや荷物等の配達物を、各住戸まで自動的に配達するための配達用車両が設けられている。これにより、物流拠点84から各住戸まで荷物を自動的に配送することができる。デリバリフードは、「配達物が食品である場合」の「食品」の例である。
【0022】
道路構造100によれば、集合住宅80の居住者が生活エリアと公共施設エリアとの間や複数の生活エリア間を移動するのにかかる時間を短縮することができる。また、配達物を物流拠点84から集合住宅80の居住者の住戸まで短時間で届けることができる。
【0023】
次に、図2から図5に関連して、荷物の配達システムについて説明する。図2は、配送車92により配達物が集合住宅80に配達される様子を立面視で概略的に示す。集合住宅80は、複数の住戸82と、通路500と、保管所510と、制御装置540とを備える。
【0024】
通路500及び住戸82は、集合住宅80内に設けられる。各階の通路500は、昇降レーン502で接続されている。集合住宅80は、建物の一例である。住戸82のそれぞれの玄関用扉81の隣に、荷物置場83が設けられている(図3)。荷物置場83は配達物置場の一例である。集合住宅80は、複数の階を備える。集合住宅80内には複数の住戸82が複数の階にわたって設けられている。
【0025】
配送車92は、集合住宅80内の住戸82宛の配達物94を、物流拠点84から集合住宅80まで、自動運転によって運搬する。配送車92は、集合住宅80に到着すると、配達物94を配達用車両200内に送り出す。配達用車両200内に送り出された配達物94は、配達用車両200が通路500及び昇降レーン502を移動することによって、宛先の住戸82に配達される。
【0026】
昇降レーン502は、例えば、昇降可能に設けられたローラコンベアによって形成されてよい。制御装置540は、配達用車両200及び昇降レーン502の動作を制御することにより、配達用車両200が宛先の住戸82まで到達する。
【0027】
図4に示すように、配達用車両200は、車両後方に設けられた配達物入口用開口部208、車両前方に設けられた配達物出口用開口部210、押出装置202、延長可能なエクステンションプレート204、車両制御装置206を備える。配達物入口用開口部208及び配達物出口用開口部210には開閉可能な扉が設けられていてもよい。押出装置202は、配達用車両200の車室において、少なくとも左右いずれかの側壁部に設けられている。また、エクステンションプレート204は、配達用車両200の車室の底部に設けられ、駆動機構によって配達物出口用開口部210から車両前方に延長可能である。配達物94は、配達物入口用開口部208から配達物出口用開口部210までの一方向に流
れる。すなわち、配送車92から配達物94が送り出される際に、配達物入口用開口部208から配達用車両200内に配達物94が送り出される。また、宛先の住戸82の荷物置場83に配達物94を置く際に、押出装置202により、配達物出口用開口部210から配達物94が押し出され、荷物置場83に配達物94を置かれる。
【0028】
制御装置540及び車両制御装置206は、配達用車両200を用いて配達物94を住戸82に自動配達するための配達システムの一部を構成する。車両制御装置206、制御装置540、及びサーバ40は互いに連携して動作することにより、配達システムにおける制御部として機能する。
【0029】
制御装置540は、通路500を通って配達用車両200が配達物94の宛先の住戸82に設けられた荷物置場83まで到達する経路を計算し、計算した経路で移動する指令を、車両制御装置206へ送信する。
【0030】
保管所510は、配達物94が搭載された配達用車両200が待機するための場所である。制御装置540は、配達物94の宛先の住戸82の荷物置場83に配達物94を置くことができない場合に、保管所510に配達物94が搭載された配達用車両200を待機させる。制御装置540は、保管所510に待機している配達用車両200が搭載する配達物94の宛先の住戸82に設けられた荷物置場83に当該配達物94を配達できるようになった場合に、その配達用車両200を保管所510から移動させる。
【0031】
サーバ40は、集合住宅80外の物流拠点84から集合住宅80内の住戸82宛の配達物94を発送する前に、その配達物94を保管所510に保管できるか否かを判断し、配達物94を保管所510に保管できると判断した場合に、その配達物94を物流拠点84から発送させてよい。
【0032】
また、サーバ40は、物流拠点84から集合住宅80内の住戸82宛の配達物94を発送する前に、宛先の住戸82に設けられた荷物置場83にその配達物94を置くことができるか否かを判断し、その配達物94を荷物置場83に保管できると判断した場合に、その配達物94を物流拠点84から発送させてよい。例えば、サーバ40は、物流拠点84から集合住宅80内の住戸82宛の配達物94を発送する前に、その住戸82宛の他の配達物94の配達状況に基づいて、その配達物94を荷物置場83に置くことができるか否かを判断してよい。具体的には、サーバ40は、物流拠点84から集合住宅80内の住戸82宛の配達物94を発送する前に、その住戸82宛の他の配達物94の配達状況と、荷物置場83のサイズとに基づいて、その配達物94を荷物置場83に置くことができるか否かを判断してよい。例えば、荷物置場83には配達物94一つ分のスペースしかない場合、その住戸82宛の他の配達物94が未受取の状態にあるときは、配達物94を荷物置場83に置くことができないと判断してよい。なお、荷物は予め定められた大きさの配送ボックスに入れられた状態で配達物94として配送されてよい。サーバ40は、配送ボックスのサイズと、荷物置場83の広さとに基づいて、配達物94を荷物置場83に置くことができるか否かを判断してよい。
【0033】
サーバ40は、集合住宅80外の物流拠点84から集合住宅80内の住戸82宛の配達物94を発送する前に、その配達物94を配達できる配達用車両200があるか否かをさらに判断してよい。サーバ40は、その配達物94を配達できる配達用車両200があると判断した場合に、その配達物94を物流拠点84から発送させてよい。例えば、サーバ40は、集合住宅80内にある配達用車両200の数を管理しており、配達物94を搭載していない配達用車両200の数が予め定められた数以上の場合に、その配達物94を配達できる配達用車両200があると判断してよい。
【0034】
サーバ40は、集合住宅80外の物流拠点84から集合住宅80の住戸82宛に予め定められた種類の配達物94を発送する前に、その配達物94を配達するか否かを宛先の住戸82の居住者に問い合わせ、居住者から配達指示を受け付けた場合に、その配達物94を物流拠点84から発送させてよい。例えば、サーバ40は、住戸82宛の配達物94の種類が生鮮品である場合に、配達物94を配達するか否かを宛先の住戸82の居住者に問い合わせてよい。サーバ40は、住戸82の居住者の携帯端末に問い合わせを送信し、居住者の携帯端末から配達指示を受信してよい。また、サーバ40は、宛先の住戸82のホームサーバに問い合わせを送信し、当該ホームサーバから居住者の配達指示を受信してもよい。
【0035】
車両制御装置206は、住戸82宛の配達物94を搭載した配達用車両200を、住戸82に設けられた荷物置場83まで移動させ、配達用車両200が荷物置場83に到達したタイミングで、図5に示すように、エクステンションプレート204を荷物置場83まで延長させる。そして、車両制御装置206は、押出装置202により、配達物94を、荷物置場83まで押し出すように制御する。
【0036】
ここで、荷物置場83の高さと、エクステンションプレート204の高さとが対応している。具体的には、エクステンションプレート204の高さが、荷物置場83の高さより、エクステンションプレート204の厚み分だけ高くなるように構成されている。このように、荷物置場83の高さと、配達用車両200のエクステンションプレート204の高さとが合わされている。なお、これらの高さについては統一された仕様や規格などで定められてもよい。
【0037】
図6は、配送ボックス700を模式的に示す。配達物94は、配送ボックス700に入れられた状態で配送されてよい。配送ボックス700は、コントローラ710を備える。コントローラ710は、配送ボックス700の識別情報を記憶する。コントローラ710は、配送ボックス700に荷物が入っているか否かを検出する機能を備える。たコントローラ710は、配送ボックス700内に設けられたカメラで取得された画像を解析することによって、配送ボックス700に荷物が入っているか否かを検出してよい。
【0038】
サーバ40は、配送ボックス700の位置情報をリアルタイムで管理する。例えば、コントローラ710は、無線通信機能を有し、配送ボックス700の現在位置、配送ボックス700の識別情報、及び配送ボックス700に荷物が入っているか否かを示す情報を含むステータス情報を無線通信によってサーバ40に送信する。コントローラ710は、近距離無線通信機能によってステータス情報を発信する機能を有してもよい。この場合、住戸82のホームサーバ又は居住者の携帯端末、制御装置540、配送車92、車両制御装置206は、配送ボックス700から発信されたステータス情報を受信した場合に、当該ステータス情報をサーバ40に転送してよい。
【0039】
図7は、サーバ40が管理する配送情報のデータ構造の一例を示す。サーバ40は、配送ボックスID、種類、積荷種別、宛先、現在位置、及び配送状態を対応づけて管理する。
【0040】
「配送ボックスID」は、配送ボックス700の識別情報である。「種類」は、配送ボックス700の種類を示す情報である。「種類」は、”宅配物”及び”その他”の一方を示す情報となる。「積荷種別」は、配送ボックス700内に入れられている荷物の種別を示す。
【0041】
配送ボックス700が宅配物専用の配送ボックスである場合、「種類」には”宅配物”を示す情報が予め固定的に設定されている。また、「積荷種別」は、配送ボックス700
内に入れられている配送物の種別に応じて、”生鮮品”、”非生鮮品”、”デリバリフード”が設定される。”生鮮品”は、例えば、配達物が冷蔵又は冷凍等の品質維持処置を要することを示す。”非生鮮品”は、配達物が冷蔵又は冷凍等の品質維持処置を要しないことを示す。”デリバリフード”は、配達物が、加熱されたデリバリフードであることを示す。
【0042】
「宛先」は、配送ボックス700の配達先の識別情報である。「現在位置」は、配送ボックス700の現在位置を示す情報である。「配送状態」は、配送ボックス700の配送状態を示す情報である。サーバ40は、居住者の携帯端末からの発送要求に基づいて「宛先」を登録する。また、サーバ40は、配送ボックス700から送信されるステータス情報に基づいて、「現在位置」及び「配送状態」をリアルタイムで更新する。
【0043】
「現在位置」は、緯度情報及び経度情報等の地理的情報を含む。「現在位置」は、地理的情報の他に、配送車92の識別情報、集合住宅80の識別情報,住戸82の識別情報など、配送ボックス700の現在地を特定するための論理的な情報を含んでよい。
【0044】
配送状態は、”未発送”、”配送中”、”未受取”、”受取済”、”保管中”、”未使用”等の情報を含む。”未発送”は、配送ボックス700が発送されていない状態を示す。”未発送”は、配送ボックス700が物流拠点84から発送されていない状態、又は、配送ボックス700が住戸82の荷物置場83から発送されていない状態を示す。
【0045】
”配送中”は、配送ボックス700が物流拠点84又は荷物置場83から発送されてから宛先に配達されるまでの間であって、保管所510に保管されていない状態を示す。”未受取”は、配送ボックス700が荷物置場83にあり、かつ、配送ボックス700内に荷物が入っている状態を示す。”受取済”は、配送ボックス700が荷物置場83にあり、かつ、配送ボックス700内に荷物が入っていない状態を示す。”保管中”は、配送ボックス700が保管所510に保管されている状態を示す。”未使用”は、配送ボックス700が配送に使用されていない状態を示す。例えば、”未使用”は、配送ボックス700が空の状態で保管所510や物流拠点84等に保管されている状態を示す。
【0046】
制御装置540は、配達物94が、生鮮品である場合、配達用車両200が配達物94の宛先の住戸82に設けられた荷物置場83に到達したときの配達物94の温度が所定温度となるように、配送車92に搭載された冷蔵庫の温度を制御するようにしてもよい。
【0047】
また、制御装置540は、配達物94が、加熱されたデリバリフードである場合、配達用車両200が配達物94の宛先の住戸82に設けられた荷物置場83に到達したときの配達物94の温度が所定温度となるように、配送車92に搭載された加熱器の温度を制御するようにしてもよい。冷蔵庫及び加熱器は、調温装置の一例である。
【0048】
図8は、システム10において実行される配達処理の流れを示すフローチャートである。図8のフローチャートの処理は、住戸82宛の配達物94が配送車92から配達用車両200に搭載された場合に開始される。
【0049】
S100において、車両制御装置206は、制御装置540から、宛先の住戸82までの経路を取得する。
【0050】
S102において、車両制御装置206は、住戸82宛の配達物94を搭載した配達用車両200を、住戸82に設けられた荷物置場83まで移動させる。
【0051】
S104において、車両制御装置206は、エクステンションプレート204を荷物置場83まで延長させる。
【0052】
S106において、押出装置202により、配達物94を、荷物置場83まで押し出すように制御する。
【0053】
S108おいて、車両制御装置206は、押出装置202の収納動作を行う。
【0054】
S110において、車両制御装置206は、エクステンションプレート204の収納動作を行う。
【0055】
S112において、車両制御装置206は、配達用車両200を、保管所510まで移動させる。
【0056】
以上説明したように、システム10によれば、配達物を自動で届けることができる。そのため、集合住宅80の居住者に、欲しいときに欲しい物を届けることができる。
【0057】
図9は、サーバ40や制御装置540、車両制御装置206として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0058】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ1226、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブ1226は、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0059】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0060】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブ1226は、プログラム又はデータをDVD-ROM1227等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0061】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0062】
プログラムは、DVD-ROM1227又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0063】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM1227、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0064】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ1226(DVD-ROM1227)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0065】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0066】
上で説明したプログラム又はソフトウェアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0067】
次に、第二実施形態について説明する。第二実施形態において、第一実施形態と同様の要素、部材等については、同一符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0068】
図10には、第二実施形態の配達用車両300が示されている。配達用車両300は、開封装置310及び調理装置350を備える。
【0069】
開封装置310は、配達物94が食品である場合に、食品の包装を開封する装置である。たとえば、配達物94が、容器と、容器に収容された食品本体と、容器を密閉する蓋(ラップを含む)を有する場合、開封装置310による開封は、容器から蓋を除去することを含んでいてもよい。また、開封装置310による配達物94の開封は、蓋の一部を切開することを含んでいてもよい。配達物94が、食品本体と、この食品本体を覆う袋(フィルムを含む)を有する場合には、袋の一部を切開することを含んでいてもよい。なお、開封装置310による配達物94の開封は、配達物94が食品以外である場合に行ってもよい。
【0070】
図11には開封装置310の構造の一例が示されている。開封装置310は、基部314、及び2本の腕部315、316を有する。腕部315、316は基部314の左右に取り付けられている。腕部315、316は基部314に対し、取り付け部分を中心として回転可能である。
【0071】
腕部315、316の先端には配達物94を把持するための把持部320(詳細後述)が取り付けられている。腕部は2本に限定されるものではなく、1本あるいは3本以上であってもよい。開封装置310の駆動は、車両制御装置206により制御される。
【0072】
図12Aに示すように、腕部315、316の先端には把持部320が取り付けられている。把持部320は、一例として、人間の手と同様の構造とされている。把持部320は、腕部315、316に対して、回転自在に取り付けられている(Intelligent Hand System)。開封装置310はこのように、腕部315、316の先端に取り付けられている把持部320を有しており、いわゆるロボットハンドと称されることがある装置又は機構である。
【0073】
本実施形態の把持部320は、掌部320Aと、3本の指部322A、322B、322Cとを有している。3本の指部322A、322B、322Cは、掌部320Aから延在されている。1つの把持部320に取り付けられる指部の数は3本に限定されず、図12Bに示すように、たとえば5本であってもよい。すなわち、図12Bに示す例では、1つの掌部320Aに取り付けられた5本の指部322A、322B、322C、322D、322Eを有している。
【0074】
3本の指部322A、322B、322Cの各々は、複数の関節を備えている。本実施形態では、図13A及び図13Bに示すように、把持部320の構造は、右手と左手とで対称である。
【0075】
把持部320の掌部320A側には、複数(本実施の形態では3個)の吸着パッド324が取り付けられている。3本の指部322A、322B、322Cには、関節部を境界として、各々、複数(本実施の形態では2個)の吸着パッド324が取り付けられている。
【0076】
掌部320A側には、掌センサ326が取り付けられている。掌センサ326は、配達物94の種類を識別する高解像度カメラ、及び、配達物94の位置を特定するMoPU(Motion Processing Unit)を備えている。
【0077】
図13Bに示すように、吸着パッド324は、パッド部324Aと、ニップル324Bと、を有している。パッド部324Aは、配達物94を把持するときに配達物94に密着する部位である。パッド部324Aはゴム製である。パッド部324Aが配達物94に密着した状態で、パッド部324Aと配達物94との間に密着空間が形成される。ニップル324Bは空気流路を形成する。この空気流路は、パッド部324Aと配達物94との間に形成される密着空間のエアーを吸引する。すなわち、本実施形態の吸着パッド324は、エアー吸着構造である。吸着パッド324は、ニップル324Bに設けられた孔から、密閉空間内の空気を吸引して真空(ほぼ真空を含む)にすることで、吸着力を発揮する。なお、吸着パッド324は、エアー吸着構造に限らず、単純にパッド部324Aの変形による密閉空間の容積を変化させて吸着させる構造であってもよい。
【0078】
指部322A、322B、322Cの少なくとも1つ(図12Aに示す例及び図12Bに示す例では指部322B)には、刃物328が取り付けられている。刃物328は、図12A及び図12Bに示す例ではナイフである。上記したように配達物94が、容器、食品本体、及び蓋を含む食品である場合、刃物328を用いて配達物94の蓋を切開することができる。
【0079】
図12Aに示す例のように刃物328がナイフである場合、配達物94の蓋を直線状に切開できる。刃物328は鋏であってもよい。刃物328が鋏である場合であっても、配達物94の蓋を直線状に切開できる。刃物328が鋏である場合は、指部322A、322B、322Cのうち、複数の指部で鋏の2枚の刃を操作すれば良い。刃物328は針であってもよい。刃物328が針である場合には、配達物94の蓋に点状の、または所定の開口断面積を有する孔を穿つことができる。
【0080】
刃物328は、把持部320とは別体に設けられる構成でもよい。すなわち、把持部320とは別体の刃物328を把持部320により把持し、配達物94の蓋を切開する等により配達物94を開封する構成でもよい。刃物328の把持は、たとえば吸着パッド324で刃物328を吸着することにより行ってもよいし、指部322A、322B、322Cで刃物328を保持することにより行ってもよい。
【0081】
本実施形態の掌センサ326は、高解像度カメラを有している。高解像度カメラは、撮影した画像情報に基づき、撮影された配達物94を識別する。たとえば、高解像度カメラは、配達物94がシャンプー、コンディショナー、化粧品、歯磨き粉等のケア商品なのか、又は、カップラーメン、菓子袋等の食品なのかを識別する。
【0082】
換言すると、高解像度カメラは、配達物94の種類(形状、大きさ、硬さ等)を特定するための情報を取得する役目を有する。
【0083】
MoPUは、特定のフレームレートで撮影された物体の画像から、撮影された配達物94の動きを示す動き情報を出力する。たとえば、1000フレーム/秒以上のフレームレートで撮影された物体の画像から、腕部315、316との間の相対的な動きとしての配達物の動きを示す動き情報を、1000フレーム/秒以上のフレームレートで出力する。なお、移動中の配達物を検知する場合はフレームレートを上げ、固定物(移動しない配達物)を検知する場合は、フレームレートを下げるようにしてもよい。
【0084】
MoPUは、配達物94の存在位置を示す点の、所定の座標軸に沿った動きのベクトル情報を動き情報として出力する。すなわち、MoPUから出力される動き情報には、撮影された配達物94が何であるか(上記ケア商品、食品)を識別するために必要な情報は含まれておらず、配達物94の中心点(又は重心点)の座標軸(x軸、y軸、z軸)上の動き(移動方向と移動速度)を示す情報のみが含まれている。
【0085】
すなわち、把持部320が配達物94に接近するときの軌跡を精度よく案内することができる。
【0086】
図14は、開封装置310の制御システムの機能構成の一例を示す概略図である。制御システム330は、センサ312と、掌センサ326と、情報処理装置332とを備えている。制御システム330は、たとえば、車両制御装置206に組み込まれている。
【0087】
掌センサ326から出力された情報は、情報処理装置332に送られる。
【0088】
情報処理装置332は、掌センサ326からの情報により、高精度に配達物94の位置を特定する。情報処理装置332は、配達物94を把持するときの指部322A、322B、322Cの広がり度合い、把持するときの強度、及び吸着パッド324による吸着力等を演算する。情報処理装置332は、腕部315、316及び把持部320の微小な動きを精度よくコントロールし、様々な配達物94に対する各種作業に対応することができる。
【0089】
センサ312は、開封装置310の作業対象である配達物94と腕部315、316との距離および角度を少なくとも表す情報を逐次取得する。センサ312としては、最高性能のカメラ、ソリッドステートLiDAR、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサ群が採用され得る。また他には、センサ312としては、振動計、サーモカメラ、硬度計、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、又はロングテールインシデントAI data等が挙げられる。
【0090】
センサ312は、上記の情報のほかに、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、紫外線、又は赤外線等を検知する。他にセンサ312が検知する情報としては、開封装置310の重心移動、開封装置310が設置される設置面の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、設置面の上下横斜め傾き角度の検知、水分量の検知等が挙げられる。
【0091】
センサ312は、これらの検知を例えばナノ秒毎に実施する。
【0092】
掌センサ326(高解像度カメラ及びMoPU)は、腕部315、316の把持部320に設けられるセンサである。掌センサ326は、センサ312とは別に、配達物94を撮影するカメラ機能、及び、配達物94の位置を特定する位置特定機能を有する。
【0093】
なお、1つのMoPUを用いた場合には、配達物94の位置を示す点の、三次元直交座標系における2つの座標軸(x軸及びy軸)の各々に沿った動きのベクトル情報を取得することが可能である。ステレオカメラの原理を利用し、2つのMoPUを用いて、配達物94の位置を示す点の、三次元直交座標系における3つの座標軸(x軸、y軸、z軸)の各々に沿った動きのベクトル情報を出力してもよい。z軸は、たとえば奥行方法(配達用車両300の走行方向)に沿った軸である。
【0094】
情報処理装置332は、情報取得部340と、制御部342と、情報蓄積部344とを備えている。
【0095】
情報取得部340は、センサ312及び掌センサ326(高解像度カメラ及びMoPU)によって検知された配達物94の情報を取得する。
【0096】
制御部342は、情報取得部340がセンサ312から取得した情報とAI(Artificial intelligence)とを用いて、腕部315、316の動作等を制御する。
【0097】
制御部342は、情報取得部340が掌センサ326(高解像度カメラ及びMoPU)から取得した情報を用いて、配達物94の種類(形状、大きさ、硬さ等)及び位置を詳細に把握する。制御部342は、当該外形や位置に応じて、掌部320Aを配達物94に対向させる。そして、制御部342は、配達物94を吸着パッド324により吸着し、かつ、3本の指部322A、322B、322Cで掴むように制御する(把持制御)。なお、制御部342は、配達物94についての外形情報に基づいて、配達物94の種類を把握して把持の種類(「吸着」のみ、「掴み」のみ、「吸着」と「掴み」の併用等)を選択してもよい。
【0098】
例えば、制御部342は、全体の動作として、以下の各処理の全部又は一部を適切に選択して実行する。
(1)配達物94を拾い上げることが可能なように腕部315、316を駆動する。
(2)配達物94を把むことが可能なように把持部320を駆動する。
(3)配達物94に対する調理装置350での開封及び調理に適するように、基部314に対して腕部315、316を駆動する。
(4)開封装置310の転倒を防ぐために、バランスを取る。
【0099】
調理装置350は、配達物94が食品である場合に、配達物94の温度を所定温度に調整する第二調温装置を含む。第二調温装置による温度調整には、配達物94の温度を変化させることの他、配達物94の温度を、周囲の環境の温度に影響されることなく維持することを含む。たとえば、配達物94が冷凍されている食品である場合、配達物94を加熱して解凍することを含む。また、配達物94が冷凍されている食品である場合、配達物94を周囲の環境下で自然解凍することを含む。配達物94が常温の食品である場合には、配達物94を加熱する(いわゆる「あたため調理」する)ことを含む。第二調温装置としては、冷凍庫、冷蔵庫、ヒータ、電子レンジを例示できる。
【0100】
車両制御装置206は、配達用車両300が宛先の住戸82に設けられた荷物置場83に到達したときの配達物94の温度を所定温度とするように、第二調温装置による配達物94の温度調整を制御するようにしてもよい。
【0101】
調理装置350は、さらに、配達物94が食品である場合に、配達物94に対し所定の調理、たとえば簡易な調理を施す機能を有している。具体的には、調理装置350としては、開封装置310と同様のロボットハンドと称される構成を採用可能である。より具体的には、図12A図14に示したように、基部314及び腕部315、316を備え、さらに腕部315、316に把持部320を備えた構成である。
【0102】
調理装置350で行うことが可能な調理には、
(C1)食品である配達物94に調味料を加えること
(C2)配達物94が複数種の食材を含む場合に、食材を混ぜ合わせること、又は和えること
(C3)配達物94の食材を切ること
等の1つ又は複数を含む。
【0103】
食品である配達物94に調味料を加える場合は、たとえば、調味料が調味料容器又は調味料袋に収容されていることがある。この場合は、たとえば、図12Aに示した刃物328を用いて、調味料容器又は調味料袋の一部を切り開いたり穿孔したりして、調味料を食品に加えることが可能である。調味料容器の開口がキャップで封止されている場合は、把持部320によってキャップを把持して開口を開放することで、調味料を食品に加えることが可能である。
【0104】
複数種の食材を混ぜ合わせたり和えたりする場合は、たとえば、指部322A、322B、322Cを用いて直接的に、食材を混ぜる、又は和える動作を行い得る。また、調理装置350とは別に調理用トング、菜箸、カトラリー(フォーク、ナイフ、スプーン等)を用意しておき、これらの道具の1つ又は複数を把持部320によって把持し、複数の食材を混ぜ合わせたり和えたりしてもよい。
【0105】
食材を切る場合にも、図12Aに示した刃物328を用いることが可能である。刃物328の刃先を指部に対し進退可能とし、食材の大きさ等に応じて、刃部分の長さを調整できるようにしてもよい。さらに、食材を切らない場合には、刃先を後退させることで、刃物が調理に影響しない(不用意に刃物が食材に触れない)ようにしてもよい。
【0106】
調理に用いるロボットハンドは、開封装置310として用いられるロボットハンドと兼用してもよいし、開封装置310とは別に、調理を行うロボットハンドとして設けてもよい。
【0107】
図15には、第二実施形態において実行される配達処理の流れが示されている。図15のフローチャートにおいて、図8に示した配達処理の流れと同一のステップには同一の符号を付している。
【0108】
車両制御装置206は、ステップS100において宛先の住戸82までの経路を取得した後、ステップS100Aに移行する。ステップS100Aでは、車両制御装置206は、配達物94の開封又は調理が必要か否かを判断する。ステップS100Aの判断が肯定された場合、ステップS100Bに移行する。ステップS100Bでは、図16A及び図16Bに示す開封・調理処理を実行する。これに対し、ステップS100Aの判断が否定された場合は、ステップS102に移行する。ステップS102に移行した後は、図8に示した配達処理と同様にして、配達物94の配達を行う。
【0109】
開封・調理処理では、図16Aに示すように、ステップS120において、情報取得部340は、センサ312によって検知された配達物94の情報を取得する。
【0110】
ステップS122において、制御部342は、ステップS120で取得された配達物94の情報とAIとを用いて、基部314及び腕部315、316を制御することにより、配達物94を把持する。
【0111】
ステップS124において、制御部342は、把持した配達物94を所定位置へ移動する。この所定位置は、たとえば、開封装置310によって配達物94の開封を行う場合に、開封に適した位置であってもよい。また、調理装置350によって配達物94の調理を行う場合に、調理に適した位置であってもよい。
【0112】
本実施形態によれば、開封装置310は、配達物94との距離や角度を判断することができ、これにより、配達物94を把持する動作を行うことが可能である。
【0113】
(配達物94の開封制御)
図16Bは、図16Aに示す開封装置310の動作に続いて、把持部320によって配達物94を把持し開封する際の制御の手順を示すフローチャートである。
【0114】
ステップS150では、制御部342は、配達物94を把持する指示があったか否かを判断する。この判断が肯定されると、ステップS152へ移行する。ステップS152では、制御部342は開封装置310を移動させ(例えば、腕部315、316を動作させ)、配達物に掌部320Aを対向させる。そして、ステップS154へ移行する。
【0115】
ステップS154では、制御部342は配達物94の情報を検出する。
【0116】
ステップS156では、制御部342は、掌センサ226(高解像度カメラ及びMoPU)による検出情報を解析して、配達物94の種類(形状、大きさ、硬さ等)及び位置を把握する。そして、ステップS158へ移行する。
【0117】
ステップS158では、制御部342は、配達物94の把持のための作業を選択する。具体的には、把持のための作業を、例えば、「吸着」のみ、「掴み」のみ、「吸着」と「掴み」の併用等から選択する。次いで、ステップS160へ移行する。ステップS160では、制御部342は、配達物94の形状に応じた、指部322A、322B、322Cの角度(開き度合い)を設定する。そして、ステップS162へ移行する。
【0118】
ステップS162では、制御部342は、配達物94の把持(「吸着」のみ、「掴み」のみ、「吸着」と「掴み」)を実行する。
【0119】
ステップS164では、配達物94の把持が成功したか否かを判定する。この判断が否定された場合は、ステップS166へ移行する。ステップS166では、制御部342は、エラー処理(例えば、リトライ又はキャンセル等)を実行し、ステップS150へ戻る。
【0120】
ステップS164の判断が肯定された場合は、ステップS168へ移行する。ステップS168では、制御部342は、配達物94を開封する。さらに、ステップS170で、制御部342は、配達物94に対し所定の調理を行う。そして、ステップS102(図15参照)へ移行する
【0121】
また、ステップS164の判断が否定された場合は、ステップS166へ移行して、エラー処理(例えば、リトライ又はキャンセル等)を実行し、ステップS150へ戻る。
【0122】
以上、本実施形態によれば、把持部320に3本の指部322A、322B、322Cを設け、把持部320の掌部320Aと、指部322A、322B、322Cに、複数の吸着パッド324を取り付けている。吸着パッド324は、例えば、エアー吸着構造で、配達物94を吸着し、かつ、指部322A、322B、322Cを曲げることにより、配達物94を把持することができる。
【0123】
掌部320Aには、高解像度カメラ及びMoPUを含む掌センサ326が取り付けられている。上記の構造の把持部320を腕部315、316に装着することにより、配達物94を確実に捉えて把持することができる。
【0124】
また、掌センサ326(高解像度カメラ及びMoPU)が掌部320Aに搭載されているので、高精度に配達物94を捉えることができる共に、微小な動きをする作業にも対応することができる。
【0125】
さらに、非常に柔らかく壊れやすい配達物94に対しては、吸着パッド324を使わずに、指部322A、322B、322Cの動きにより掴むこともできるし、掴む力を調整することにより、柔らかい配達物94の破損等を防止することかできる。
【0126】
第二実施形態は、開封装置310が配達用車両300に設けられている例である。すなわち、配達用車両300は、開封装置310と調理装置350の両方を有する。したがって、たとえば配達物94が食品である場合に、配達用車両300において、配達物94を開封することと、配達物を調理すること、の両方を行い得る。
【0127】
第二実施形態では、調理装置350は、開封装置310よりも、配達用車両300の配達物出口用開口部210に近い位置に設けられている。したがって、押出装置202による配達物94の押出方向と同方向への配達物94の移動に伴って、開封と調理を順序立てて行うことが可能である。たとえば、開封装置により、配達物94を開封し、押出装置202によって配達物94を所定距離だけ配達物出口用開口部210に移動させて、調理装置350により調理を行うことができる。そして、調理後に、あらためて押出装置202によって配達物94を配達物出口用開口部210に移動させることができる。
【0128】
上記第二実施形態のように、開封装置310が配達用車両300に設けられている例に代えて、変形例として、開封装置310が保管所510に設けられていてもよい。この場合、保管所510から配達用車両300に配達物94を受け渡す前に、保管所510に設けられた開封装置310により、配達物94を開封できる。配達用車両300に開封装置310を設けないので、配達用車両300の構造の簡素化、軽量化、低コスト化を図ることが可能である。
【0129】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0130】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0131】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0132】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0133】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0134】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0135】
10 システム、12 都市構造、20 公共施設エリア、21 生活エリア、40 サーバ、80 集合住宅、81 玄関用扉、82 住戸、83 荷物置場、84 物流拠点、86 公共施設、90 タクシー、92 配送車、94 配達物、100 道路構造、110 幹線道路、120 支線道路、200 配達用車両、202 押出装置、204
エクステンションプレート、206 車両制御装置、208 配達物入口用開口部、210 配達物出口用開口部、226 掌センサ、300 配達用車両、310 開封装置、312 センサ、314 基部、315 腕部、320 把持部、320A 掌部、322A 指部、322B 指部、324 吸着パッド、324A パッド部、324B ニップル、326 掌センサ、328 刃物、330 制御システム、332 情報処理装置、340 情報取得部、342 制御部、344 情報蓄積部、350 調理装置、500 通路、502 昇降レーン、510 保管所、540 制御装置、700 配送ボックス、710 コントローラ、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1226 DVDドライブ、1227 DVD-ROM、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
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