(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152506
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/087 20230101AFI20241018BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241018BHJP
【FI】
G06Q10/087
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066736
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】水野 皓司
(72)【発明者】
【氏名】上野 真弘
(72)【発明者】
【氏名】石黒 剛大
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC04
5L050CC04
(57)【要約】
【課題】出荷先の需要特性を考慮して、より適切に在庫を管理する。
【解決手段】在庫管理装置100は、生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定するパラメータ設定部と、対象物の出荷実績データを取得する取得部と、出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に算出方法を決定する算出方法決定部と、設定された複数のパラメータと、取得された出荷実績データと、決定された算出方法と、に基づき、対象物の基準在庫を出荷先別に算出する出荷先別基準在庫算出部と、出荷先別の基準在庫を合算して、生産拠点における対象物の基準在庫を算出する基準在庫算出部125と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定するパラメータ設定部と、
前記対象物の出荷実績データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された前記基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に前記算出方法を決定する算出方法決定部と、
前記パラメータ設定部により設定された複数の前記パラメータと、前記取得部により取得された前記出荷実績データと、前記算出方法決定部により決定された前記算出方法と、に基づき、前記対象物の前記基準在庫を出荷先別に算出する出荷先別基準在庫算出部と、
前記出荷先別基準在庫算出部により算出された出荷先別の前記基準在庫を合算して、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫を算出する基準在庫算出部と、
を備える在庫管理装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記基準在庫を算出する対象期間の在庫量の予測値である予測在庫をさらに取得し、
前記基準在庫算出部により算出された前記基準在庫と、前記取得部により取得された予測在庫と、に基づいて、前記対象期間の前記対象物の生産量を算出する生産量算出部、
をさらに備える、請求項1に記載の在庫管理装置。
【請求項3】
前記対象物の許容欠品率に応じた安全係数を示す安全係数テーブルを記憶する記憶部と、
前記許容欠品率の範囲を取得する許容欠品率取得部と、
前記記憶部に記憶された安全係数テーブルに基づき、前記許容欠品率取得部により取得された範囲内の複数の欠品率それぞれに対応する安全係数を特定する安全係数特定部と、
前記安全係数特定部により特定された安全係数を用いて、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫をそれぞれ算出する安全係数別基準在庫算出部と、
前記取得部により取得された予測在庫と前記安全係数別基準在庫算出部により算出された前記安全係数別の前記基準在庫に基づいて、前記予測在庫の欠品率を算出する欠品率算出部と、
をさらに備える、請求項2に記載の在庫管理装置。
【請求項4】
前記欠品率算出部により算出された前記欠品率が、予め設定された閾値より大きいか否かを判定し、閾値より大きいと判定した場合に、その旨を通知する通知部、
をさらに備える、請求項3に記載の在庫管理装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の在庫管理装置と、
前記対象物の出荷実績を取得して前記在庫管理装置に出力する出荷実績収集装置と、
前記対象物の現在の在庫量を取得し、生産・出荷計画で予め決定された前記対象物の予定生産量および予定出荷量と取得された現在の在庫量とに基づいて、出荷された後の予測在庫量を求め、求めた予測在庫量を前記在庫管理装置に出力する在庫監視装置と、
を備える在庫管理システム。
【請求項6】
生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定するステップと、
前記対象物の出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された前記基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に前記算出方法を決定するステップと、
設定された複数の前記パラメータと、前記出荷実績データと、決定された前記算出方法と、に基づき、前記対象物の前記基準在庫を出荷先別に算出するステップと、
算出された出荷先別の前記基準在庫を合算して、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫を算出するステップと、
を含む在庫管理方法。
【請求項7】
コンピュータに、
生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定する処理と、
前記対象物の出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された前記基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に前記算出方法を決定する処理と、
設定された複数の前記パラメータと、前記出荷実績データと、決定された前記算出方法と、に基づき、前記対象物の前記基準在庫を出荷先別に算出する処理と、
算出された出荷先別の前記基準在庫を合算して、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫を算出する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造業において、過去の実績データに基づいて適正な在庫水準を求め、求めた在庫水準を満たす生産計画を作成する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、過去の販売データに基づいて複数の商品を分類し、分類結果に基づいて商品毎の需要予測を行い、予測結果を自動在庫補充モデルに適応して在庫補充計画を作成するスマートサプライチェーンシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品が複数の国、地域等に出荷される場合、出荷先毎に商品の需要特性が大きく異なる場合がある。そのため、欠品、または、不要な在庫を抑制するために、出荷先別に在庫を適切に管理することが求められる。これに対し、特許文献1のスマートサプライチェーンシステムは、出荷先毎の需要特性を考慮していないため、より適切に在庫を管理するという観点では、改良の余地があった。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、出荷先の需要特性を考慮して、より適切に在庫を管理することができる在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示にかかる在庫管理装置は、生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定するパラメータ設定部と、対象物の出荷実績データを取得する取得部と、取得部により取得された出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に算出方法を決定する算出方法決定部と、パラメータ設定部により設定された複数のパラメータと、取得部により取得された出荷実績データと、算出方法決定部により決定された算出方法と、に基づき、対象物の基準在庫を出荷先別に算出する出荷先別基準在庫算出部と、出荷先別基準在庫算出部により算出された出荷先別の基準在庫を合算して、生産拠点における対象物の基準在庫を算出する基準在庫算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、出荷先別に設定された複数のパラメータと、出荷実績データと出荷実績データに基づいて算出された出荷量の変動係数に応じて出荷先別に決定された基準在庫の算出方法と、に基づき、対象物の基準在庫を出荷先別に算出する出荷先別基準在庫算出部を備える。基準在庫算出部は、出荷先別基準在庫算出部により算出された出荷先別の基準在庫を合算して、生産拠点における対象物の基準在庫を算出する。従って、出荷先の需要特性を考慮して、より適切に在庫を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る在庫管理装置の機能構成を示すブロック図
【
図2】
図1に示す出荷先分類部が参照する分類ロジックテーブルの一例を示す図
【
図3】
図1に示す出荷先情報記憶部が記憶する出荷先情報の一例を示す図
【
図4】
図1に示す基準在庫算出用マスタ記憶部が記憶する基準在庫算出用マスタの一例を示す図
【
図5】
図1に示す実績保管部が記憶する実績データの一例を示す図
【
図6】
図1に示す基準在庫算出用情報記憶部が記憶する基準在庫算出用情報の一例を示す図
【
図7】
図1に示す基準在庫記憶部が記憶する出荷先別基準在庫算出結果テーブルの一例を示す図
【
図8】
図1に示す基準在庫記憶部が記憶する製造拠点基準在庫結果テーブルの一例を示す図
【
図9】
図1に示す基準在庫算出用情報記憶部が記憶する対応テーブルの一例を示す図
【
図10】
図1に示す安全係数別基準在庫記憶部が記憶する安全係数別基準在庫テーブルの一例を示す図
【
図11】
図1に示すアラート用情報記憶部が記憶するアラート用情報の一例を示す図
【
図12】実施の形態に係る在庫管理装置、生産管理・出荷実績収集装置、在庫監視装置の物理構成の一例を示すブロック図
【
図13】実施の形態に係る在庫管理装置による在庫管理処理を示すフローチャート
【
図14】実施の形態に係る在庫管理装置による出荷先評価処理を示すフローチャート
【
図15】実施の形態に係る在庫管理装置による基準在庫・生産量算出処理を示すフローチャート
【
図16】実施の形態に係る在庫管理装置による欠品率算出処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態に係る在庫管理装置、在庫管理システム、在庫管理方法、及びプログラムについて、図面を参照して説明する。なお、図中同一または相当する部分には同じ符号を付す。
【0010】
本開示の実施の形態に係る在庫管理装置を、
図1に示す在庫管理システム1に適用した例を用いて説明する。在庫管理システム1は、複数の出荷先へ製品を供給する製造拠点の基準在庫量を算出し、算出した基準在庫量を満たす生産量を算出するシステムである。基準在庫とは、設定された理想納期での運用を遵守するために最低限保有しておくべき在庫の基準値である。在庫管理システム1は、出荷先毎の製品の需要特性に応じて、異なるロジックを用いて出荷先別に基準在庫量を求める。在庫管理システム1は、出荷先別の基準在庫量を合算して製造拠点の基準在庫量を求め、予め作成された生産計画と出荷計画とから求まる予測在庫量と求めた基準在庫量とから、製造拠点の生産量を決定する。また、在庫管理システム1は、基準在庫量を算出した期間における、予測在庫の欠品率を求め、欠品リスクの有無を判定する。在庫管理システム1は、欠品率が予め設定された閾値より大きいと判定した場合、アラートを通知する。以下の説明では、1つの製造拠点から、国別の複数の出荷先へ製品が供給される場合を例に説明する。
【0011】
図示する通り、在庫管理システム1は、製造拠点の製品別の基準在庫量と生産量とを算出する在庫管理装置100と、現在の在庫量と予定生産量および予定出荷量を含む生産・出荷計画とを記憶する生産管理・出荷実績収集装置200と、在庫量の予測値である予測在庫を算出する在庫監視装置300と、を備え、在庫管理装置100と生産管理・出荷実績収集装置200と在庫監視装置300とは、ネットワーク400を介して通信可能に接続される。
【0012】
図1に示すように、在庫管理装置100は、基準在庫を算出するためのパラメータを出荷先毎に設定する出荷先管理装置110と、製造拠点の基準在庫量と生産量とを算出する基準在庫・生産量算出装置120と、予測在庫の欠品率を算出する欠品率算出装置130と、予測在庫が適正か否かを判定する在庫アラート通知装置140と、を備える。
【0013】
出荷先管理装置110は、出荷先を特定する情報の入力を受け付ける出荷先情報入力部111と、出荷先を分類する出荷先分類部112と、出荷先分類部112による出荷先の分類結果を含む出荷先情報を記憶する出荷先情報記憶部113と、基準在庫を算出するためのパラメータの入力を出荷先毎に受け付けるパラメータ入力部114と、現在から基準在庫を算出する対象期間までの需要の伸び率を示す需要伸長率を算出する需要伸長率算出部115と、基準在庫を算出するために必要な情報を示す基準在庫算出用マスタを記憶する基準在庫算出用マスタ記憶部116と、を備える。
【0014】
出荷先情報入力部111は、出荷先を特定する情報の入力を受け付ける。具体的に、出荷先情報入力部111は、出荷対象の国名の入力を受け付け、受け付けた国名を出荷先分類部112に送信する。
【0015】
出荷先分類部112は、予め設定されたロジックに基づき、出荷先情報入力部111から送信された出荷先を分類する。具体的に、出荷先分類部112は、
図2に例示する分類ロジックテーブルに基づいて、出荷先を分類し、分類した結果を示す出荷先情報を生成する。図示する例において、分類ロジックテーブルは、出荷先を7つのカテゴリに分類するためのロジックを定義する。分類ロジックテーブルは、出荷先の分類を定義する「枠組み名」と、出荷先の分類を定義するための参照先の情報を示す「参照先例」と、出荷先を分類するためのロジックを示す「ロジック説明」と、出荷先の分類を一意に識別する情報である「フラグ番号」と、を含む。図示する例において、枠組み名「OECD先進国」は、「OECD加盟国リストにある」というロジックを満たす出荷先が分類され、フラグ番号「1」が割り当てられることを示す。また、このロジックの参照先は「OECD HP(Home Page)」であることを示す。出荷先分類部112は、分類ロジックテーブルに基づき、出荷先情報入力部111から送信された出荷先がそれぞれどの分類に属するかを決定して、出荷先情報を生成し、出荷先情報記憶部113に記憶させる。
【0016】
図1に戻り、出荷先情報記憶部113は、出荷先分類部112により生成された出荷先情報を記憶する。
図3に例示する通り、出荷先情報は、出荷先を識別する情報である「出荷先」と、出荷先の分類を一意に識別する情報である「フラグ番号」と、基準在庫量の算出が完了したか否かを示す「基準在庫完了」と、の項目を含む。図示する例において、出荷先「A国」はフラグ番号「1」に分類され、出荷先「B国」はフラグ番号「2」に分類されることを示す。「基準在庫完了」には初期値として「No」が入力され、基準在庫・生産量算出装置120により、基準在庫が算出されると、算出された出荷先に「Yes」が入力されて上書きされる。
【0017】
図1に戻り、パラメータ入力部114は、基準在庫を算出するためのパラメータの入力を出荷先別に受け付ける。具体的に、パラメータ入力部114は、基準在庫を算出する計算式の係数である安全係数、需要伸長率、基準在庫算出部125が基準在庫を算出する際のロジックの選択に使用される変動係数閾値、および、間欠需要を考慮した補正の係数である需要密度の設定値の入力を出荷先毎に受け付ける。需要密度は、間欠的に需要が発生する製品に対する補正係数であり、補正がない場合は、1が入力される。パラメータ入力部114は、出荷先毎の各パラメータの設定値を示す基準在庫算出用マスタを生成して、基準在庫算出用マスタ記憶部116に記憶させる。なお、パラメータ入力部114は、パラメータ設定部の一例である。
【0018】
需要伸長率算出部115は、現在から基準在庫量を算出する対象期間までの製造拠点から出荷される対象物の出荷量の伸び率を示す需要伸長率を算出する。需要伸長率算出部115は、パラメータ入力部114に需要伸長率の入力がない場合に動作する機能部である。需要伸長率算出部115は、製造拠点から各出荷先への出荷実績と予め作成された出荷計画とに基づき、対象期間の需要伸長率を出荷先毎に算出する。需要伸長率算出部115による需要伸長率の算出方法の詳細については、後述する。
【0019】
図1に戻り、基準在庫算出用マスタ記憶部116は、出荷先別に基準在庫量を算出するために必要な情報を定義する基準在庫算出用マスタを記憶する。
図4に例示する通り、基準在庫算出用マスタは、出荷先を一意に識別する情報である「出荷先」と、出荷先毎の安全係数の値を示す「安全係数」と、出荷先毎の需要伸長率の値を示す「需要伸長率」と、出荷先毎の変動係数閾値の値を示す「変動係数閾値」と、出荷先毎の需要密度の値を示す「需要密度」と、出荷先毎の納期遵守率の値を示す「納期遵守率」とを含む。「納期遵守率」は、生産管理・出荷実績収集装置200の納期遵守率算出部207により算出されて、基準在庫算出用マスタに格納される。納期遵守率算出部207の動作については後述する。
【0020】
図1に戻り、基準在庫・生産量算出装置120は、基準在庫量を計算する条件の入力を受け付ける基準在庫算出条件入力部121と、製造拠点から各出荷先への出荷実績を記憶する実績保管部122と、出荷実績を参照する期間における出荷実績の平均、標準偏差等を算出する基準在庫算出用情報算出部123と、基準在庫算出条件入力部121に入力された条件と基準在庫算出用情報算出部123により算出された出荷実績の平均と標準偏差とを含む基準在庫算出用情報を記憶する基準在庫算出用情報記憶部124と、出荷先別の基準在庫量を算出する基準在庫算出部125と、基準在庫算出部125による算出結果を記憶する基準在庫記憶部126と、出荷先別の基準在庫を合算する合算基準在庫算出部127と、製品毎の生産量を算出する生産量算出部128と、を備える。
【0021】
基準在庫算出条件入力部121は、基準在庫量を算出するための条件の入力を受け付ける。具体的に、基準在庫算出条件入力部121は、過去の実績を参照する期間と、基準在庫を計画するサイクルと、製品の供給リードタイムとの条件を製品別に受け付ける。基準在庫算出条件入力部121は、入力された条件を基準在庫算出用情報算出部123に送信する。
【0022】
実績保管部122は、製造拠点から各出荷先へ出荷された製品別の出荷実績を示す実績データを記憶する。
図5に例示する通り、実績データは、出荷先を一意に識別する情報を示す「出荷先」と、製品を一意に識別する情報を示す「製品コード」と、の項目を有し、日付け毎の出荷量が格納される。実績保管部122は、生産管理・出荷実績収集装置200から出荷実績を取得して、取得した出荷実績に基づく実績データを記憶する。なお、実績保管部122は、取得部の一例である。
【0023】
基準在庫算出用情報算出部123は、基準在庫算出条件入力部121に入力された過去の実績を参照する期間における各製品の出荷実績の平均、および、出荷実績の平均と需要伸長率との積の標準偏差と、標準偏差を平均で除算することにより求まる変動係数と、手持ち余裕在庫率と、を出荷先別に算出する。具体的に、基準在庫算出用情報算出部123は、参照期間の実績データを用いて、基準在庫算出条件入力部121に入力されたサイクル毎に移動平均を求め、その移動平均の平均値、および、標準偏差をそれぞれ出荷実績の平均、および、標準偏差として算出する。また、基準在庫算出用情報算出部123は、以下の式(1)により、手持ち余裕在庫率を算出する。
【0024】
手持ち余裕在庫率=1+安全係数×変動係数 式(1)
【0025】
基準在庫算出用情報算出部123は、算出した出荷実績の平均、標準偏差、変動係数、手持ち余裕在庫率と、基準在庫算出条件入力部121に入力された条件とを含む基準在庫算出用情報を生成し、基準在庫算出用情報記憶部124に記憶させる。
【0026】
基準在庫算出用情報記憶部124は、基準在庫算出用情報算出部123により生成された基準在庫算出用情報を記憶する。
図6に例示する通り、基準在庫算出用情報は、出荷先を一意に識別する情報である「出荷先」と、製品を一意に識別する情報である「製品コード」と、過去の出荷実績を参照する期間を示す「期間」と、基準在庫を計画するサイクルを示す「サイクル」と、製品の供給リードタイムを示す「供給リードタイム」と、出荷実績の平均値を示す「平均」と、出荷実績の平均と需要伸長率との積の標準偏差の値を示す「標準偏差」と、出荷実績の変動係数の値を示す「変動係数」と、手持ち余裕在庫率の値を示す「手持ち余裕在庫率」と、の情報を含む。
【0027】
基準在庫算出部125は、出荷先別の製品毎の基準在庫量を算出する。具体的に、基準在庫算出部125は、出荷先への出荷実績の傾向に応じて、出荷量のばらつきの分布が正規分布となることを仮定した在庫ロジック(以下、正規分布ロジック)とダブルビン方式、発注点方式等の考え方に基づく在庫ロジック(以下、ダブルビンロジック)のいずれかのロジックにより、基準在庫量を算出する。基準在庫算出部125は、出荷量のばらつきが大きい出荷先および製品の場合、ダブルビンロジックを用いて基準在庫を算出し、出荷量のばらつきが小さい出荷先および製品の場合、正規分布ロジックを用いて基準在庫を算出する。基準在庫算出部125は、
図6に例示する基準在庫算出用情報を参照して、出荷先毎に変動係数と変動係数閾値とを比較し、変動係数が変動係数閾値より大きい場合、ダブルビンロジックを選択し、変動係数が変動係数閾値以下の場合、正規分布ロジックを選択する。基準在庫算出部125は、選択したいずれかのロジックにより、パイプライン在庫と安全在庫とを求め、パイプライン在庫と安全在庫とを足し合わせて基準在庫を算出する。なお、基準在庫算出部125による基準在庫量を算出する方法の詳細については後述する。基準在庫算出部125は、出荷先別の製品毎の基準在庫量を含む出荷先別基準在庫算出結果テーブルを生成し、基準在庫記憶部126に記憶させる。なお、基準在庫算出部125は、出荷先別基準在庫算出部、算出方法決定部の一例である。
【0028】
基準在庫記憶部126は、基準在庫算出部125により生成された出荷先別基準在庫算出結果テーブルを記憶する。
図7に例示する通り、基準在庫計算結果テーブルは、出荷先を一意に識別する情報である「出荷先」と、製品を一意に識別する情報である「製品コード」と、基準在庫を算出した対象期間を示す「対象期間」と、製品別の基準在庫量を示す「基準在庫」と、製品別のパイプライン在庫を示す「パイプライン在庫」と、製品別の安全在庫を示す「安全在庫」と、を含む。
【0029】
図1に戻り、合算基準在庫算出部127は、基準在庫算出部125により算出された出荷先別の基準在庫に基づき、製造拠点の製品毎の基準在庫量を決定する。具体的に、合算基準在庫算出部125は、出荷先毎の基準在庫量を製品別に合算して、製造拠点の製品毎の基準在庫量を算出する。
【0030】
生産量算出部128は、合算基準在庫算出部127により算出された製造拠点の製品別の基準在庫量を満たす生産量を算出する。具体的に、生産量算出部128は、合算基準在庫算出部125により算出された基準在庫量から、予め作成された生産・出荷計画と出荷実績とにより求められる対象期間の予測在庫量を減算して、製品別の生産量を算出する。生産量算出部128は、算出した製品別の生産量と合算基準在庫算出部127により算出された基準在庫量とを含む、
図8に示す製造拠点基準在庫結果テーブルを生成して、基準在庫記憶部126に記憶させ、生産管理・出荷実績収集装置200の管理者表示用情報記憶部201に格納する。
【0031】
図1に戻り、欠品率算出装置130は、欠品率計算用基準在庫算出部133が基準在庫量の計算に用いる欠品率の範囲と計算対象の期間の入力を受け付ける計算条件入力部131と、欠品率を算出するために必要な情報を示す欠品率計算用基準在庫算出マスタを記憶する欠品率計算用基準在庫算出マスタ記憶部132と、計算条件入力部131に入力された欠品率に対応する安全係数別に基準在庫量を算出する欠品率計算用基準在庫算出部133と、欠品率計算用基準在庫算出部133により算出された安全係数別の基準在庫を記憶する安全係数別基準在庫記憶部134と、対象期間の予測在庫の欠品率を求める欠品率算出部135と、を備える。
【0032】
計算条件入力部131は、欠品率の範囲を示す欠品率の上限値および下限値と算出対象期間とを含む計算条件の入力を受け付け、欠品率計算用基準在庫算出部133に送信する。なお、計算条件入力部131は、許容欠品率取得部の一例である。
【0033】
欠品率計算用基準在庫算出マスタ記憶部132は、基準在庫算出用マスタ記憶部116に記憶される
図4に示す基準在庫算出用マスタと、基準在庫記憶部126により記憶される
図8に示す製造拠点基準在庫計算結果テーブルと、許容欠品率と安全係数との対応を示す対応テーブルと、を含む欠品率計算用基準在庫算出マスタを記憶する。
図9に例示する通り、対応テーブルは、需要が正規分布に従う場合の許容欠品率と安全係数との対応を定義する。なお、対応テーブルは安全係数テーブルの一例である。
【0034】
図1に戻り、欠品率計算用基準在庫算出部133は、計算条件入力部131に入力された計算条件に基づき、入力された範囲内の欠品率に対応する安全係数を用いて、製造拠点における製品毎の基準在庫量を安全係数別に算出する。具体的に、例えば、計算条件入力部131に欠品率の範囲として、49%から0.1%の範囲が入力された場合、欠品率計算用基準在庫算出部133は、
図9に示す対応テーブルを参照して、欠品率が49%、48%、...、0.2%、0.1%のそれぞれに対応する安全係数を取得する。欠品率計算用基準在庫算出部133は、取得したそれぞれの安全係数により、基準在庫・生産量算出装置120と同様の方法により、製品別の基準在庫量をそれぞれ算出し、安全係数別基準在庫記憶部134に格納する。なお、欠品率計算用基準在庫算出部133は、安全係数別基準在庫算出部、安全係数特定部の一例である。
【0035】
図1に戻り、安全係数別基準在庫記憶部134は、欠品率計算用基準在庫算出部133により算出された安全係数別の基準在庫量を示す安全係数別基準在庫テーブルを記憶する。
図10に例示する通り、安全係数別基準在庫テーブルは、製造拠点を一意に識別する情報である「製造拠点」と、製品を一意に識別する情報である「製品コード」と、基準在庫量を算出した対象期間を示す「対象期間」と、欠品率計算用基準在庫算出部133により算出された安全係数別の基準在庫量と、を含む。
【0036】
図1に戻り、欠品率算出部135は、対象期間の予測在庫の欠品率を製品別に算出する。具体的に、欠品率算出部135は、欠品率計算用基準在庫算出部133により算出された安全係数毎の基準在庫量と基準在庫を算出する対象期間の予測在庫量とから、予め設定された条件を満たす安全係数を求める。欠品率算出部135は、
図9に示す対応テーブルを参照して、求めた安全係数に対応する欠品率を特定する。欠品率算出部135は、特定した欠品率を、予測在庫の欠品率として算出する。欠品率算出部135による欠品率の予測値の算出方法の詳細については後述する。
【0037】
図1に戻り、在庫アラート通知装置140は、予測在庫の欠品リスク、および、過剰在庫に関するアラートを通知する条件の入力を受け付ける閾値入力部141と、閾値入力部141に入力された条件を記憶するアラート用情報記憶部142と、アラートを通知するか否かを判定する在庫アラート判定部143と、を備える。
【0038】
閾値入力部141は、アラートを通知する条件である、欠品率、および、基準在庫に対する予測在庫の割合それぞれの上限、および、下限の閾値の入力を受け付ける。閾値入力部141は、受け付けた各種閾値をアラート用情報記憶部142に記憶させる。なお、閾値を設定する項目として、欠品率、および、基準在庫に対する予測在庫の割合の他に、基準在庫量、予測在庫量、製品毎の在庫補充量、基準在庫量と予測実在量の差、全製品の総生産量等を含めてもよい。
【0039】
アラート用情報記憶部142は、閾値入力部141に入力されたアラートを通知する条件を示すアラート用情報を記憶する。
図11に示す通り、アラート用情報は、欠品率、基準在庫に対する予測在庫の割合それぞれの上限、および、下限の閾値を含む。なお、アラート用情報は製造拠点毎に異なる閾値が設定されてもよいし、製品別に異なる閾値が設定されてもよい。
【0040】
図1に戻り、在庫アラート判定部143は、アラート用情報記憶部142に記憶されたアラート用情報に基づき、予測在庫が適正か否かを判定する。具体的に、在庫アラート判定部143は、欠品率算出装置130により算出された予測在庫の欠品率と、基準在庫・生産量算出装置120により算出された基準在庫量と予測在庫量とから算出される基準在庫に対する予測在庫の割合と、がアラート用情報に設定された上限の閾値より大きい場合、または、下限の閾値より小さい場合にアラートを通知すると判定する。なお、在庫アラート判定部143は、通知部の一例である。
【0041】
生産管理・出荷実績収集装置200は、在庫管理装置100により生成された情報を記憶する管理者表示用情報記憶部201と、管理者表示用情報記憶部201の情報を表示する表示部202と、情報の入力を受け付ける入力部203と、製造拠点から出荷先への出荷実績を収集する出荷実績収集部204と、出荷実績収集部204により収集された出荷実績を記憶する出荷実績記憶部205と、出荷した製品が納期を遵守したかを判定する納期遵守判定部206と、製品毎の納期遵守率を算出する納期遵守率算出部207と、を備える。
【0042】
管理者表示用情報記憶部201は、在庫管理装置100により生成され、管理者に表示される情報である管理者表示情報を記憶する。具体的に、管理者表示用情報記憶部201は、基準在庫・生産量算出装置120により算出された製品別の基準在庫量、在庫補充量、欠品率算出装置130により算出された予測在庫の製品別の欠品率、在庫アラート通知装置140から通知されたアラート内容等の情報を記憶する。また、管理者表示用情報記憶部201は、予め作成された製造拠点の生産・出荷計画を記憶する。
【0043】
表示部202は、管理者表示用情報記憶部201に記憶された管理者表示情報を表示する。
【0044】
入力部203は、情報の入力を受け付ける。具体的に、入力部203は、管理者からの各製品の生産量を修正する情報の入力を受け付ける。例えば、管理者は、在庫アラート通知装置140から、ある製品の予測在庫の欠品率が閾値を上回っている旨の通知を受け取った場合、生産計画に設定された生産量を、生産量算出部128により算出された生産量に変更して、生産計画を修正する。
【0045】
出荷実績収集部204は、製造拠点から各出荷先へ出荷された製品の出荷実績を収集して、出荷実績情報を生成する。具体的に、出荷実績収集部204は、製造拠点が備える外部のデータベースから、例えば、ネットワークを介して、出荷実績を周期的に取得して、取得した出荷実績を出荷実績記憶部205に記憶させる。
【0046】
出荷実績記憶部205は、出荷実績収集部204により取得された出荷実績を記憶する。
【0047】
納期遵守判定部206は、出荷した製品が納期を遵守したかを判定する。具体的に、納期遵守判定部206は、出荷先から要求された製品が到着する日から輸送リードタイムを除算した出荷要求日と、実際に製品が出荷された出荷日とを比較して、出荷日が出荷要求日より遅ければ納期を遵守していないと判定し、出荷日が出荷要求日と同日、または、早ければ納期を遵守したと判定する。例えば、ある製品について、出荷要求日が2月1日の場合、1月31日に出荷が完了していれば納期を遵守したと判定し、2月2日に出荷していれば納期を遵守していないと判定する。
【0048】
納期遵守率算出部207は、対象期間における出荷先に要求された要求出荷量に対する、納期を遵守して出荷された出荷量の割合を示す納期遵守率を算出する。例えば、1月に要求されていた要求出荷量が10000で、そのうち9500が納期を遵守して出荷されている場合、9500を10000で除算した割合である95%を納期遵守率として算出する。納期遵守率算出部207は、製品毎に納期遵守率を算出し、出荷先管理装置110の基準在庫算出用マスタ記憶部116に記憶させる。
【0049】
在庫監視装置300は、現在の在庫量と生産計画と出荷計画とにより予測在庫量を算出する予測在庫算出部301と、予測在庫算出部301により算出された予測在庫の推移を示す予測在庫推移情報を記憶する在庫推移記憶部302と、を備える。
【0050】
予測在庫算出部301は、現在の在庫量と、予め作成された製造拠点の生産・出荷計画とに基づき、製品毎の予測在庫量を算出する。具体的に、予測在庫算出部301は、外部のデータベースから、例えば、ネットワークを介して、製造拠点及び製品毎に現在の在庫量を示す在庫情報を周期的に取得する。予測在庫算出部301は、日別、週別、月別等の予め設定された単位期間ごとに、現在の在庫量に生産計画で計画された生産量を加算して、出荷計画で計画された出荷量を減算することにより製品別の予測在庫量を算出する。予測在庫算出部301は、算出した予測在庫量に基づいて、予測在庫推移情報を生成して、在庫推移記憶部302に記憶させる、
【0051】
在庫推移記憶部302は、予測在庫算出部301により生成された予測在庫推移情報を記憶する。
【0052】
以上説明した機能的構成を有する在庫管理装置100、生産管理・出荷実績収集装置200、在庫監視装置300は、物理的に、
図12に示すように、プログラムに従った処理を実行するCPU(Central Processing Unit)11と、揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)12と、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)13と、データを記憶する記憶部14と、情報の入力を受け付ける入力部15と、情報を可視化して表示する表示部16と、情報の送受信を行う通信部17と、を備え、これらが内部バス99を介して接続されている。
【0053】
CPU11は、記憶部14に記憶されたプログラムをRAM12に読み出して実行することにより、各種処理を実行する。CPU11は、プログラムにより提供される主要な機能として、在庫管理装置100の出荷先分類部112、需要伸長率算出部115、基準在庫算出部125、合算基準在庫算出部127、生産量算出部128、欠品率計算用基準在庫算出部133、欠品率算出部135、在庫アラート判定部143と、生産管理・出荷実績収集装置200の出荷実績収集部、納期遵守判定部、納期遵守率算出部と、在庫監視装置300の先推定在庫算出部301とによる各処理を実行する。
【0054】
RAM12は、CPU11のワークエリアとして使用される。ROM13は、在庫管理装置100、生産管理・出荷実績収集装置200、在庫監視装置300の基本動作のためにCPU11が実行する制御プログラム、BIOS(Basic Input Output System)等を記憶する。
【0055】
記憶部14は、ハードディスクドライブを備え、CPU11が実行するプログラムを記憶し、プログラム実行の際に使用される各種データを記憶する。記憶部14は、在庫管理装置100の出荷先情報記憶部113、基準在庫算出用マスタ記憶部116、実績保管部122、基準在庫算出用情報記憶部124、基準在庫記憶部126、欠品率計算用基準在庫算出マスタ記憶部132、安全係数別基準在庫記憶部134、アラート用情報記憶部142と、生産管理・出荷実績収集装置200の管理者表示用情報記憶部201、出荷実績記憶部205と、在庫監視装置300の在庫推移記憶部302と、として機能する。
【0056】
入力部15は、キーボード、マウス、通信装置等を備えるユーザインタフェースである。入力部15は、在庫管理装置100の出荷先情報入力部111、パラメータ入力部114、基準在庫算出条件入力部121、計算条件入力部131、閾値入力部141と、生産管理・出荷実績収集装置200の入力部203と、として機能する。
【0057】
表示部16は情報を可視化して表示する液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。
【0058】
通信部17は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、およびそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インタフェースである。
【0059】
次に、在庫管理システム1の動作について
図13を参照して説明する。在庫管理装置100は、製品を出荷する製造拠点の、対象期間における基準在庫量を出荷先別に算出し、算出した基準在庫を維持するための生産量を算出する。また、在庫管理装置100は、対象期間の予測在庫の欠品率を算出し、求めた欠品率と基準在庫量とから、予測在庫量が適正か否かを判定する。
【0060】
生産管理・出荷実績収集装置200は、日毎、週毎、月毎等の単位期間毎に、製造拠点の出荷実績を収集して、納期遵守率を算出する。生産管理・出荷実績収集装置200は、出荷実績と納期遵守率とを在庫管理装置100に送信する。出荷先管理装置110の基準在庫算出用マスタ記憶部116と、基準在庫・生産量算出装置120の実績保管部122とには、生産管理・出荷実績収集装置200から送信された納期遵守率と出荷実績とがそれぞれ予め記憶されている。
【0061】
在庫監視装置300は、日毎、週毎、月毎等の単位期間毎に、予め設定された期間の予測在庫量を算出する。在庫監視装置300は、在庫管理装置100からの要求に応じて、指定された期間の予測在庫を在庫管理装置100に送信する。
【0062】
ユーザが、在庫管理装置100の入力部15を操作して、在庫管理処理の開始を要求すると、在庫管理装置100は、処理を開始する。
【0063】
出荷先管理装置110は、製造拠点から製品を出荷する出荷先を特定する情報の入力を受け付け、出荷先毎の基準在庫量を算出するためのパラメータを設定する出荷先評価処理を実行する(ステップS1)。出荷先評価処理により、
図4に示す基準在庫算出用マスタが生成される。出荷先評価処理(ステップS1)の詳細は後述する。
【0064】
図13に戻り、次に、基準在庫・生産量算出装置120は、出荷先別に基準在庫量をそれぞれ算出し、出荷先別の基準在庫を製品毎に合算して製造拠点の製品別の基準在庫を算出するとともに、製造拠点の製品別の生産量を算出する基準在庫・生産量算出処理を実行する(ステップS2)。基準在庫・生産量算出処理により、
図7に例示する出荷先別基準在庫結果テーブルと、
図8に例示する製造拠点基準在庫結果テーブルと、が生成される。基準在庫・在庫補充量処理(ステップS2)の詳細は後述する。
【0065】
図13に戻り、次に、欠品率算出装置130は、対象期間における製造拠点の予測在庫の欠品率を製品別に算出する欠品率算出処理を実行する(ステップS3)。欠品率算出処理により算出された予測在庫の欠品率は、在庫アラート通知装置140に送信される。欠品率算出処理(ステップS3)の詳細は後述する。
【0066】
次に、在庫アラート通知装置140の閾値入力部141は、欠品リスク、および、過剰在庫に関するアラートを通知する条件である、欠品率、基準在庫に対する予測在庫の割合それぞれの上限、および、下限の閾値の入力を受け付ける。(ステップS4)。閾値入力部141は、入力された情報に基づいて、
図11に示すアラート用情報を生成し、アラート用情報記憶部142に記憶させる。
【0067】
図13に戻り、次に、在庫アラート判定部143は、ステップS4で生成された
図11に示すアラート用情報に基づき、アラートを通知するか否かを判定する。具体的に、在庫アラート判定部143は、ステップS3で欠品率算出装置130により算出された予測在庫の欠品率と、ステップS3で算出された基準在庫量と在庫監視装置300から取得した予測在庫量とから算出される基準在庫に対する予測在庫の割合と、がアラート用情報に設定されたアラート条件を満たすか否かを製品毎に判定する。換言すると、在庫アラート判定部143は、アラート条件を満たす製品はあるか否かを判定する(ステップS5)。在庫アラート判定部143は、欠品リスクの判定において、予測在庫の欠品率がアラート用情報に設定された上限の閾値「20%」より大きい場合、アラート条件を満たす製品があると判定して(ステップS5;Yes)、欠品リスクが大きい旨のアラートを通知すると判定する。また、基準在庫に対する予測在庫の割合が、アラート用情報に設定された下限の閾値「0.75」より小さい場合、アラート条件を満たす製品があると判定して(ステップS5;Yes)、欠品リスクが大きい旨のアラートを通知すると判定する。在庫アラート判定部143は、過剰在庫の判定において、基準在庫に対する予測在庫の割合が、アラート用情報に設定された上限の閾値「1.5」より大きい場合、アラート条件を満たす製品があると判定して(ステップS5;Yes)、過剰在庫である旨のアラートを通知すると判定する。次に、在庫アラート判定部143は、アラート内容を示すメッセージを生成して、生産管理・出荷実績収集装置200に送信することにより、アラートを通知する(ステップS6)。
【0068】
一方、在庫アラート判定部143は、アラート条件を満たす製品がないと判定すると(ステップS5;No)、在庫管理処理を終了する。
【0069】
次に、
図14を参照して、
図13の出荷先評価処理(ステップS1)について詳細に説明する。
【0070】
出荷先情報入力部111は、出荷先を特定する情報の入力を受け付ける(ステップS101)。具体的に、ユーザが出荷先情報入力部111を操作することにより、出荷先の国名が入力されると、出荷先分類部112に入力された国名を送信する。
【0071】
次に、出荷先分類部112は、予め設定されたロジックに基づいて出荷先を分類する(ステップS102)。具体的に、出荷先分類部112は、出荷先情報記憶部113に予め記憶された、
図2に示す分類ロジックテーブルを読み出し、ステップS101で入力された出荷先がいずれのロジックを満たすかを特定する。例えば、出荷先分類部112は、ステップS101で入力された出荷先がOECD加盟国リストにあると判定した場合、この出荷先を「OECD先進国」であると分類する。出荷先分類部112は、分類結果に基づいて、
図3に示す出荷先情報を生成して、出荷先情報記憶部113に記憶させる。
【0072】
図14に戻り、次に、パラメータ入力部114は、基準在庫量を算出するためのパラメータの設定値の入力を受け付ける(ステップS103)。具体的に、パラメータ入力部114は、基準在庫を算出する計算式の係数である安全係数、需要伸長率、基準在庫算出部125が基準在庫を算出する際のロジックの選択に使用される変動係数閾値、および、間欠需要を考慮した補正の係数である需要密度の設定値の入力を出荷先毎に受け付ける。次に、パラメータ入力部114は、生産管理・出荷実績収集装置200の出荷実績記憶部205から、対象期間の納期遵守率を取得する。パラメータ入力部114は、取得したこれらのパラメータの情報から、
図4に示す基準在庫算出用マスタを生成して、基準在庫算出用マスタ記憶部116に記憶させる。なお、需要伸長率は、ユーザにより直接入力されてもよいし、外部ツールにより出荷先の統計情報に基づき、機械学習、AI等を用いた需要予測に基づいて算出された値が入力されてもよい。
【0073】
図14に戻り、次に、出荷先分類部112は、需要伸長率の入力の有無を判定する(ステップS104)。具体的に、出荷先分類部112は、ステップS103で生成された
図4に示す基準在庫算出用マスタを読み出して、需要伸長率の入力の有無を判定する。出荷先分類部112は、需要伸長率の入力があると判定すると(ステップS104;Yes)、ステップS106に移行する。
【0074】
一方、出荷先分類部112は、需要伸長率の入力がないと判定すると(ステップS104;No)、需要伸長率算出部115は、出荷実績と出荷計画とに基づいて、需要伸長率を求める(ステップS105)。具体的に、需要伸長率算出部115は、以下の式(2)により、需要伸長率を算出する。
【0075】
需要伸長率=対象期間が属する計画期間の出荷計画/実績を参照する期間における出荷実績と出荷計画の加重平均 式(2)
【0076】
以下の表1を用いて、具体的な計算例を説明する。以下の例において、計算対象月は2023年2月であり、22年度下期の計算期間に属することから、式(2)の分子は30億円となる。また、現在の計算時期は2022年12月であり、実績を参照する期間である実績収集の期間は6ヶ月であるから、出荷実績がある2022年6月~9月までの出荷実績と、2022年10月、11月の販売計画の加重平均は、(24億円÷6×4)+(30億円÷6×2=26億円となり、これが分子となる。そして、これらを式(2)に当てはめて、1.15を需要伸長率として算出する。需要伸長率算出部115は、求めた需要伸長率を基準在庫算出用マスタ記憶部116に記憶させる。
【0077】
【0078】
次に、在庫管理装置100の表示部16は、ステップS102で生成された出荷先情報と、ステップS103で生成された基準在庫算出用マスタとを表示する(ステップS106)。在庫管理装置100の入力部15は、出荷先情報、または、基準在庫算出用マスタを修正する情報の入力を受け付け(ステップS107)、修正がないと判定した場合(ステップS107;No)、処理を終了する。一方、入力部15は、いずれかの情報の修正があった場合(ステップS107;Yes)、修正された出荷先情報、基準在庫算出用マスタを、出荷先情報記憶部113、基準在庫算出用マスタ記憶部116に記憶させて(ステップS108)、処理を終了する。
【0079】
次に、
図15を参照して、
図13の基準在庫・生産量算出処理(ステップS2)について詳細に説明する。
【0080】
基準在庫・生産量算出装置120の基準在庫算出条件入力部121は、基準在庫を算出するための条件の入力を受け付ける(ステップS201)。具体的に、基準在庫算出条件入力部121は、過去の実績を参照する期間、基準在庫を計画するサイクル、製品の供給リードタイムそれぞれの製品別の設定値を出荷先毎に受け付ける。基準在庫算出条件入力部121は、入力された条件を基準在庫算出用情報算出部123に送信する。
【0081】
次に、基準在庫算出用情報算出部123は、基準在庫算出条件入力部121に入力された条件に基づき、基準在庫を算出するために必要な情報を示す基準在庫算出用情報を算出する(ステップS202)。具体的に、基準在庫算出用情報算出部123は、実績保管部122に格納された
図5に示す出荷実績の実績データを参照して、実績を参照する期間における出荷実績の平均、および、出荷実績の平均と需要伸長率との積の標準偏差と、標準偏差を平均で除算することにより求まる変動係数と、手持ち余裕在庫率と、をそれぞれ算出する。基準在庫算出用情報算出部123は、実績を参照する期間の実績データを、基準在庫算出条件入力部121に入力されたサイクル単位で移動平均を取り、その移動平均の平均値、および、その平均値と需要伸長率との積の標準偏差をそれぞれ出荷実績の平均、および、標準偏差として算出する。また、基準在庫算出用情報算出部123は、以下の式(1)により、手持ち余裕在庫率を算出する。
【0082】
手持ち余裕在庫率=1+安全係数×変動係数 式(1)
【0083】
ここで、安全係数は、
図4に示す基準在庫算出用マスタに予め設定されており、基準在庫算出用情報算出部123は、出荷先毎の安全係数を使用して、手持ち余裕在庫率を算出する。基準在庫算出用情報算出部123は、製品別の基準在庫算出用情報を出荷先毎に算出して、
図6に示す基準在庫算出用情報を生成し、基準在庫算出用情報記憶部124に記憶させる。
【0084】
図15に戻り、次に、基準在庫算出部125は、出荷先別の基準在庫量を製品毎に算出する(ステップS203)。具体的に、基準在庫算出部125は、ステップS202で算出された出荷実績の変動係数に応じて、正規分布ロジックとダブルビンロジックのいずれかのロジックにより、基準在庫量を算出する。基準在庫算出部125は、変動係数と
図4に示す基準在庫算出用マスタに設定された変動係数閾値とを比較し、変動係数が変動係数閾値より大きい場合、ダブルビンロジックを用いて基準在庫量を算出し、変動係数が変動係数閾値以下の場合、正規分布算出式を用いて基準在庫量を算出する。
【0085】
基準在庫算出部125は、ダブルビンロジックを用いる場合、以下の式(3)、(4)によりパイプライン在庫と安全在庫とを求め、パイプライン在庫と安全在庫とを足し合わせて、基準在庫を算出する。
【0086】
パイプライン在庫=出荷実績の平均×需要伸長率×製品の供給リードタイム×需要密度 式(3)
【0087】
安全在庫=2×出荷実績の平均×需要伸長率×手持ち余裕在庫率 式(4)
【0088】
基準在庫算出部125は、正規分布ロジックを用いる場合、以下の式(5)、(6)によりパイプライン在庫と安全在庫とを求め、パイプライン在庫と安全在庫とを足し合わせて、基準在庫を算出する。
【0089】
パイプライン在庫=出荷実績の平均×需要伸長率×(製品の供給リードタイム×需要密度+サイクル) 式(5)
【0090】
安全在庫=安全係数×√(製品の供給リードタイム×需要密度+サイクル)×標準偏差 式(6)
【0091】
基準在庫算出部125は、出荷先毎の製品別の基準在庫量の算出結果を示す、
図7の出荷先別基準在庫算出結果テーブルを生成し、基準在庫記憶部126に記憶させる。また、基準在庫算出部125は、出荷先情報記憶部113に記憶されている
図3の出荷先情報を読み出し、基準在庫量の計算が完了した出荷先の「基準在庫完了」の項目に「Yes」を入力して、上書きする。
【0092】
図15に戻り、次に、合算基準在庫算出部127は、ステップS203で算出された出荷先別の製品毎の基準在庫量に基づき、製造拠点の製品別の基準在庫量を算出する(ステップS204)。具体的に、合算基準在庫算出部127は、
図7の出荷先別基準在庫計算結果テーブルを読み出し、出荷先毎の基準在庫量を製品別に合算して、製造拠点の製品毎の基準在庫量を算出する。合算基準在庫算出部127は、算出した製造拠点の製品毎の基準在庫量を生産量算出部128に送信する。
【0093】
図15に戻り、次に、生産量算出部128は、合算基準在庫算出部127により算出された製造拠点の基準在庫量を維持するための生産量を算出する(ステップS205)。具体的に、生産量算出部128は、合算基準在庫算出部125により算出された基準在庫量から対象期間の予測在庫量を減算して、製品別の生産量を算出する。生産量算出部128は、算出した製品別の生産量と合算基準在庫算出部127により算出された基準在庫量とを含む、
図8に示す製造拠点基準在庫結果テーブルを生成して、基準在庫記憶部126に記憶させ、生産管理・出荷実績収集装置200の管理者表示用情報記憶部201に格納し、処理を終了する。
【0094】
次に、
図16を参照して、
図13の欠品率算出処理(ステップS3)について詳細に説明する。
【0095】
欠品率計算用基準在庫算出マスタ記憶部132は、基準在庫算出用マスタ記憶部116と基準在庫記憶部126とから、
図4に例示する基準在庫算出用マスタと
図8に示す製造拠点基準在庫計算結果テーブルとを取得して記憶する(ステップS301)。
【0096】
次に、計算条件入力部131は、欠品率の範囲を示す欠品率の上限値および下限値と算出対象期間とを含む計算条件の入力を受け付ける(ステップS302)。計算条件入力部131は、入力された計算条件を欠品率計算用基準在庫算出部133に送信する。
【0097】
次に、欠品率計算用基準在庫算出部133は、計算条件入力部131に入力された範囲内の欠品率に対応する安全係数を用いて、製造拠点における製品毎の基準在庫量を安全係数別に算出する(ステップS303)。具体的に、例えば、計算条件入力部131に、49%から0.1%の欠品率の範囲が入力された場合、欠品率計算用基準在庫算出部133は、欠品率計算用基準在庫算出マスタ記憶部132に予め記憶されている
図9に示す対応テーブルを参照して、欠品率が49%、48%、...、0.2%、0.1%である58個の欠品率それぞれに対応する安全係数を取得する。欠品率計算用基準在庫算出部133は、取得したそれぞれの安全係数により、基準在庫・生産量算出装置120と同様の方法により、製品別の製造拠点の基準在庫量をそれぞれ算出し、
図10に示す安全係数別基準在庫テーブルを生成する。欠品率計算用基準在庫算出部133は、生成した安全係数別基準在庫テーブルを安全係数別基準在庫記憶部134に記憶させる。
【0098】
図16に戻り、次に、欠品率算出部135は、製品毎に対象期間の予測在庫の欠品率を算出する(ステップS304)。具体的に、欠品率算出部135は、欠品率計算用基準在庫算出部133による安全係数毎の基準在庫量と対象期間の予測在庫量とから以下の式(7)を満たすn番目の安全係数を求める。
【0099】
n番目の安全係数の基準在庫量≦対象期間の予測在庫量<n+1番目の安全係数の基準在庫量 式(7)
【0100】
例えば、製品「HG-JR73」の対象期間「2023年6月第1週」の予測在庫量が1000であり、x番目の安全係数=1.28で算出した基準在庫量が999であり、x+1番目の安全係数=1.34で算出した基準在庫量が1050である場合、予測在庫量は、x番目の安全係数の基準在庫より多く、x+1番目の安全係数の基準在庫量より少ないため、欠品率算出部135は、式(7)を満たす安全係数はx番目の安全係数=1.28であると算出する。次に、欠品率算出部135は、
図9に示す対応テーブルを参照して、安全係数=1.28に対応する欠品率=10%を取得し、この製品の対象期間の予測在庫の欠品率は10%であると算出し、安全係数別基準在庫記憶部134に格納する。欠品率算出部135は、製品毎に予測在庫の欠品率を算出する処理を繰り返し実行し、算出した欠品率を安全係数別基準在庫記憶部134に格納し、処理を終了する。
【0101】
以上のように、在庫管理装置100は、出荷先毎に設定されたパラメータと出荷先毎の変動係数に応じて決定された算出方法とに基づいて、出荷先別に基準在庫量を算出して、製造拠点の製品毎の基準在庫量を求める。これにより、出荷先毎の需要特性を加味して、より適正な基準在庫を算出することが可能となる。
【0102】
また、在庫管理装置100は、安全係数別に製造拠点の基準在庫量を算出し、算出した安全係数別の基準在庫量に基づいて、基準在庫を算出した期間の予測在庫の欠品率を求める。在庫管理装置100は、予測在庫の欠品率が予め設定された閾値より大きい場合、アラートを通知する。ユーザは、アラートの内容を確認して、必要に応じて、生産・出荷計画を修正することにより、より適切な生産・出荷計画を作成することが可能となる。
【0103】
本開示の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0104】
上記実施の形態において、対象物として製品を構成する部品を例示したが、製品は、製品は、完成品および部品のいずれであってよい。また、対象物は、製品に限らず、物質・材料・素材・エネルギー、農産品、水産品等、対象物の種類は任意である。実績保管部122は、対象物の種類に応じて、各対象物を識別可能な情報を含む実績データを記憶すればよい。
【0105】
また、上記実施の形態において、基準在庫量、生産量は、対象物の「数」であってもよいし、「量」であっても良い。量として、対象物の重さ(キログラム)、体積(立法メートル、リットル)、長さ(メートル)等を用いればよい。本明細書において、基準在庫量という場合には、基準在庫数と基準在庫量の両方を意味するものとする。
【0106】
また、上記実施の形態において、出荷先として国名を例示したが、出荷先は、県名、市町村名、企業名、販売店名等、任意の単位別に設定してもよい。出荷先分類部112は、出荷先の単位毎に、出荷先を分類するための分類ロジックテーブルにより、出荷先を分類すればよい。
【0107】
また、上記実施の形態において、出荷先として国名を例示したが、出荷先は、県名、市町村名、企業名、販売店名等、任意の単位別に設定してもよい。出荷先分類部112は、出荷先の単位毎に、出荷先を分類するための分類ロジックテーブルにより、出荷先を分類すればよい。
【0108】
また、パラメータ入力部114は、基準在庫を算出するためのパラメータの入力を出荷先別に受け付けることとしたが、出荷先の分類毎にパラメータの入力を受け付けてもよい。ステップS103において、パラメータ入力部114は、分類毎のパラメータの入力を受け付ければよく、基準在庫算出用マスタ記憶部116は、分類毎のパラメータの設定値を示す基準在庫算出用マスタを記憶すればよい。また、基準在庫算出用マスタに予め分類毎のパラメータの初期値が設定され、パラメータ入力部114に出荷先別に入力されたパラメータ値により、基準在庫算出用マスタを上書きしてもよい。
【0109】
また、記憶部14が記憶する情報は、ネットワーク上に存在するクラウドサーバで一括管理され、CPU11は必要に応じて当該クラウドサーバにアクセスして情報の読み書きを行ってもよい。この場合、在庫管理装置100は記憶部14を備えなくてもよい。
【0110】
また、在庫管理装置100は、専用の装置によらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、在庫管理装置100における各機能を実現するためのプログラムを、コンピュータが読み取り可能なCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)等の記録媒体に格納して配布し、このプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の各機能を実現することができるコンピュータを構成してもよい。
【0111】
また、各機能をOS(Operating System)とアプリケーションとの分担、またはOSとアプリケーションとの協同により実現する場合には、アプリケーションのみを記録媒体に格納してもよい。
【0112】
本開示は、本開示の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、本開示を説明するためのものであり、本開示の範囲を限定するものではない。つまり、本開示の範囲は、実施の形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の開示の意義の範囲内で施される様々な変形が、本開示の範囲内とみなされる。
【0113】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0114】
(付記1)
生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定するパラメータ設定部と、
前記対象物の出荷実績データを取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された前記基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に前記算出方法を決定する算出方法決定部と、
前記パラメータ設定部により設定された複数の前記パラメータと、前記取得部により取得された前記出荷実績データと、前記算出方法決定部により決定された前記算出方法と、に基づき、前記対象物の前記基準在庫を出荷先別に算出する出荷先別基準在庫算出部と、
前記出荷先別基準在庫算出部により算出された出荷先別の前記基準在庫を合算して、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫を算出する基準在庫算出部と、
を備える在庫管理装置。
【0115】
(付記2)
前記取得部は、前記基準在庫を算出する対象期間の在庫量の予測値である予測在庫をさらに取得し、
前記基準在庫算出部により算出された前記基準在庫と、前記取得部により取得された予測在庫と、に基づいて、前記対象期間の前記対象物の生産量を算出する生産量算出部、
をさらに備える、付記1に記載の在庫管理装置。
【0116】
(付記3)
前記対象物の許容欠品率に応じた安全係数を示す安全係数テーブルを記憶する記憶部と、
前記許容欠品率の範囲を取得する許容欠品率取得部と、
前記記憶部に記憶された安全係数テーブルに基づき、前記許容欠品率取得部により取得された範囲内の複数の欠品率それぞれに対応する安全係数を特定する安全係数特定部と、
前記安全係数特定部により特定された安全係数を用いて、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫をそれぞれ算出する安全係数別基準在庫算出部と、
前記取得部により取得された予測在庫と前記安全係数別基準在庫算出部により算出された前記安全係数別の前記基準在庫に基づいて、前記予測在庫の欠品率を算出する欠品率算出部と、
をさらに備える、付記2に記載の在庫管理装置。
【0117】
(付記4)
前記欠品率算出部により算出された前記欠品率が、予め設定された閾値より大きいか否かを判定し、閾値より大きいと判定した場合に、その旨を通知する通知部、
をさらに備える、付記3に記載の在庫管理装置。
【0118】
(付記5)
付記1から4のいずれか1つに記載の在庫管理装置と、
前記対象物の出荷実績を取得して前記在庫管理装置に出力する出荷実績収集装置と、
前記対象物の現在の在庫量を取得し、生産・出荷計画で予め決定された前記対象物の予定生産量および予定出荷量と取得された現在の在庫量とに基づいて、出荷された後の予測在庫量を求め、求めた予測在庫量を前記在庫管理装置に出力する在庫監視装置と、
を備える在庫管理システム。
【0119】
(付記6)
生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定するステップと、
前記対象物の出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された前記基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に前記算出方法を決定するステップと、
設定された複数の前記パラメータと、前記出荷実績データと、決定された前記算出方法と、に基づき、前記対象物の前記基準在庫を出荷先別に算出するステップと、
算出された出荷先別の前記基準在庫を合算して、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫を算出するステップと、
を含む在庫管理方法。
【0120】
(付記7)
コンピュータに、
生産拠点から複数の出荷先に出荷される対象物の基準在庫を算出するための複数のパラメータを出荷先別に設定する処理と、
前記対象物の出荷実績データに基づいて、予め設定された期間の出荷量の変動係数を前記出荷先毎に算出し、算出した変動係数に基づいて、予め設定された前記基準在庫を算出する複数の算出方法の中から、出荷先毎に前記算出方法を決定する処理と、
設定された複数の前記パラメータと、前記出荷実績データと、決定された前記算出方法と、に基づき、前記対象物の前記基準在庫を出荷先別に算出する処理と、
算出された出荷先別の前記基準在庫を合算して、前記生産拠点における前記対象物の前記基準在庫を算出する処理と、
を実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0121】
100 在庫管理装置、110 記憶部、111 出荷先情報入力部、112 出荷先分類部、113 出荷先情報記憶部、114 パラメータ入力部、115 需要伸長率算出部、116 基準在庫算出用マスタ記憶部、120 基準在庫・生産量算出装置、121 基準在庫算出条件入力部、122 実績保管部、123 基準在庫算出用情報算出部、124 基準在庫算出用情報記憶部、125 基準在庫算出部、126 基準在庫記憶部、127 合算基準在庫算出部、128 生産量算出部、130 欠品率算出装置、131 計算条件入力部、132 欠品率計算用基準在庫算出マスタ記憶部、133 欠品率計算用基準在庫算出部、134 安全係数別基準在庫記憶部、135 欠品率算出部、140 在庫アラート通知装置、141 閾値入力部、142 アラート用情報記憶部、143 在庫アラート判定部、200、201 管理者表示用?情報記憶部、202 表示部、203 入力部、204 出荷実績収集部、205 出荷実績記憶部、206 納期遵守判定部、207 納期遵守率算出部、300 在庫監視装置、301 予測在庫算出部、302 在庫推移記憶部、400 ネットワーク、99 内部バス、11 CPU、12 RAM、13 RAM、14 記憶部、15 入力部、16 表示部、17 通信部。