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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152507
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ミシン用押さえホルダ及びミシン
(51)【国際特許分類】
   D05B 83/00 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
D05B83/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066738
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井川 貴仁
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA01
3B150CE22
3B150CE25
3B150EA13
(57)【要約】
【課題】ミシンに対するガードの着脱が容易であり、交換される押さえの種類に限られずに、指の針への近接を防止することが可能なミシン用押さえホルダ及びミシンを提供すること。
【解決手段】ミシン用押さえホルダ1は、ミシン50の押さえ棒51に対して着脱するための止めねじ52が挿通される止めねじ固定部2と、止めねじ固定部2の下部に設置され、押さえ53が着脱可能である押さえ装着部3と、ミシン針の周囲を囲み内側と外側を隔てるガード5が着脱可能であり、止めねじ固定部2及び押さえ装着部3と一体的に形成されたガード着脱部4とを備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミシンの押さえ棒に対して着脱可能に連結する押さえ棒連結部と、
前記押さえ棒連結部の下部に設置され、押さえが着脱可能である押さえ装着部と、
ミシン針の周囲を囲み内側と外側を隔てるガードが着脱される構成を有し、前記押さえ棒連結部及び前記押さえ装着部と一体的に形成されたガード着脱部と、
を備えるミシン用押さえホルダ。
【請求項2】
前記ガードを更に備え、
前記ガードは、前記ガード着脱部と係合可能である係合部を有する請求項1に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項3】
前記ガード着脱部には、貫通孔が形成され、
前記係合部は、前記貫通孔に挿入されて前記ガード着脱部と係合可能な突起部を有する請求項2に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項4】
前記ガード着脱部は、水平方向に延びて設けられた棒状部を有し、
前記係合部は、前記棒状部が挿入されて前記ガード着脱部と係合可能な溝部を有する請求項2に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項5】
前記棒状部は、先端側に壁部を有し、
前記棒状部の前記壁部を前記溝部へ押圧させたり、前記壁部による前記溝部への押圧を解除させたりすることが可能なレバー部を更に有する請求項4に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項6】
前記棒状部は、先端側に壁部を有し、
前記壁部には、傾斜面を有するテーパーが形成され、
前記溝部には、前記壁部の前記テーパーと係合する傾斜面を有する凹部が形成されている請求項4に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項7】
前記ガードは、前記ガード着脱部に取り付けられたとき、正面から見て右側の側面が前記内側に凹状に窪んでいる請求項2に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項8】
前記ガードは、前記ガード着脱部に取り付けられたとき、正面から見て左側の底面が右側よりも高く、かつ、使用時に前記押さえ装着部に装着された前記押さえよりも高い位置である請求項2に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項9】
前記ガードは、前記ガード着脱部に取り付けられたとき、操作者側に位置する前部が上方に傾斜した傾斜面を有する請求項2に記載のミシン用押さえホルダ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のミシン用押さえホルダを備えるミシン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシン用押さえホルダ及びミシンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ミシンを用いて縫製などを行う際、操作者が誤ってミシン針によって怪我を負うおそれがある。そこで、従来、縫製時に指が針に近づかないように、押さえ棒に取り付けられる布押さえなどにガード部材が設けられたものがある。
【0003】
下記の特許文献1には、透明又は網状の材料からなる安全防止カバーが、押さえホルダと共に止めねじで押さえ棒に固定される技術が開示されている。また、特許文献2には、金属製の線状部材(ワイヤ)からなるガード部材が、押さえに固定される技術が開示されている。これらの安全防止カバーやガード部材によって、指が針に近づくことが低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62-177492号公報
【特許文献2】特許第6017819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガード部材が設けられた状態では針の近くに指を添えられず、糸通しや針の交換などの針棒周囲の作業性が困難となるため、操作者はガード部材を取り外したいというニーズがある。しかし、特許文献1のように、押さえ棒に固定されるガード部材では、着脱の際に操作者は止めねじを回す必要がある。また、止めねじが緩められると、押さえホルダ(以下、単に「ホルダ」という。)も押さえ棒から外れてしまう。そのため、ガード部材が押さえ棒に直接固定される場合、ガード部材の着脱に時間や手間がかかるという問題があった。
【0006】
押さえは、通常の縫製用以外にファスナー用、ボタンホール用など多数の種類があり、ミシンの縫い方に応じて交換される。そこで、ホルダに対してレバーとばねによって着脱容易とされた押さえがある。操作者は、ホルダが押さえ棒に固定された状態で押さえを交換できる。しかし、この場合でも、押さえ棒に直接固定されるガード部材は、ガード部材の着脱の際に止めねじを回す必要があり、時間や手間がかかる。
【0007】
また、押さえの種類は多数あるが、特許文献2のように、ガード部材が設けられたものは押さえの種類が限られている。そのため、押さえを交換すると、ガード部材のないものを使用しなければならない場合が生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、ミシンに対するガードの着脱が容易であり、交換される押さえの種類に限られずに、指の針への近接を防止することが可能なミシン用押さえホルダ及びミシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のミシン用押さえホルダ及びミシンは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るミシン用押さえホルダは、ミシンの押さえ棒に対して着脱可能に連結する押さえ棒連結部と、前記押さえ棒連結部の下部に設置され、押さえが着脱可能である押さえ装着部と、ミシン針の周囲を囲み内側と外側を隔てるガードが着脱される構成を有し、前記押さえ棒連結部及び前記押さえ装着部と一体的に形成されたガード着脱部とを備える。
【0010】
この構成によれば、ミシンの押さえ棒に対して押さえ棒連結部を取り付けたり、押さえ棒から押さえ棒連結部を取り外したりすることができる。また、押さえ棒連結部の下部に設置された押さえ装着部において、押さえが着脱可能である。よって、押さえ装着部が押さえ棒連結部によって押さえ棒に取り付けられた状態で、押さえが交換され得る。
【0011】
ガード着脱部は、ガードが着脱される構成を有する。ガードは、ミシン針の周囲を囲み内側と外側を隔てる部材であり、ガード着脱部に対して着脱される。ガード着脱部は、押さえ棒連結部及び押さえ装着部と一体的に形成されることから、押さえ棒連結部によって押さえ装着部と一体的に押さえ棒に固定される。また、押さえ装着部とガード着脱部が押さえ棒連結部によって押さえ棒に固定された状態で、ガードが着脱され得る。
【0012】
上記発明において、前記ガードを更に備え、前記ガードは、前記ガード着脱部と係合可能である係合部を有してもよい。
【0013】
この構成によれば、ガードは係合部を有し、係合部とガード着脱部が係合されて、ガードがガード着脱部に取り付けられ、係合部とガード着脱部の係合が解除されることで、ガードがガード着脱部から取り外される。
【0014】
上記発明において、前記ガード着脱部には、貫通孔が形成され、前記係合部は、前記貫通孔に挿入されて前記ガード着脱部と係合可能な突起部を有してもよい。
【0015】
この構成によれば、ガードに設けられた係合部の突起部が、ガード着脱部に形成された貫通孔に挿入されて係合されることにより、ガードがガード着脱部に取り付けられる。
【0016】
上記発明において、前記ガード着脱部は、水平方向に延びて設けられた棒状部を有し、前記係合部は、前記棒状部が挿入されて前記ガード着脱部と係合可能な溝部を有してもよい。
【0017】
この構成によれば、ガードに設けられた係合部の溝部に対して、ガード着脱部において水平方向に延びて設けられた棒状部が挿入されて、溝部と棒状部が係合されることにより、ガードがガード着脱部に取り付けられる。
【0018】
上記発明において、前記棒状部は、先端側に壁部を有し、前記棒状部の前記壁部を前記溝部へ押圧させたり、前記壁部による前記溝部への押圧を解除させたりすることが可能なレバー部を更に有してもよい。
【0019】
この構成によれば、棒状部の先端側に壁部が設けられ、ガード着脱部のレバー部によって、棒状部の壁部が溝部を押圧したり、壁部による溝部への押圧が解除されたりする。
【0020】
上記発明において、前記棒状部は、先端側に壁部を有し、前記壁部には、傾斜面を有するテーパーが形成され、前記溝部には、前記壁部の前記テーパーと係合する傾斜面を有する凹部が形成されてもよい。
【0021】
この構成によれば、棒状部の先端側に壁部が設けられ、壁部には傾斜面を有するテーパーが形成され、溝部には傾斜面を有する凹部が形成されて、壁部のテーパーと溝部の凹部が係合される。
【0022】
上記発明において、前記ガードは、前記ガード着脱部に取り付けられたとき、正面から見て右側の側面が前記内側に凹状に窪んでいてもよい。
【0023】
この構成によれば、ガードがガード着脱部に取り付けられた状態で、正面から見てガードの右側の側面が内側に凹状に窪んでいることから、ガードに隔てられつつ、操作者の指を針の先端近くまで添えることができる。
【0024】
上記発明において、前記ガードは、前記ガード着脱部に取り付けられたとき、正面から見て左側の底面が右側よりも高く、かつ、使用時に前記押さえ装着部に装着された前記押さえよりも高い位置でもよい。
【0025】
この構成によれば、ガードがガード着脱部に取り付けられた状態で、正面から見て左側のガードの底面は、右側の底面よりも高く、かつ、使用時に押さえ装着部に装着された押さえよりも高い位置であることから、右側ではガードによる指の侵入を防止しつつ、左側では押さえとガードが干渉しない。
【0026】
上記発明において、前記ガードは、前記ガード着脱部に取り付けられたとき、操作者側に位置する前部が上方に傾斜した傾斜面を有してもよい。
【0027】
この構成によれば、ガードがガード着脱部に取り付けられた状態で、操作者側に位置する前部が上方に傾斜した傾斜面を有することから、ガードの前部の面において、ミシンの台で反射した光が映りにくくなり、ガードの内部に位置する針及び布が見やすくなる。
【0028】
本発明に係るミシンは、上述したミシン用押さえホルダを備える。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、ミシンに対するガードの着脱が容易であり、交換される押さえの種類に限られずに、指の針への近接を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の一実施形態に係るミシン及びミシン用押さえホルダを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るミシンを示す斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係るミシン及びミシン用押さえホルダを示す斜視図であり、ガードが取り外された状態を示す。
図4】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダを示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダを示す平面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダを示す斜視図であり、ガードが取り外された状態を示す。
図7】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダのガードを示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダのガードを示す平面図である。
図9】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダのガードを示す正面図である。
図10】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダを示す平面図であり、ガードが分離された状態を示す。
図11】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダを示す平面図であり、部分的に部材の断面を示す。
図12】本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダを示す平面図であり、部分的に部材の断面を示す。
図13図12のXIII-XIII線で切断した断面図である。
図14】本発明の一実施形態に係るミシン及びミシン用押さえホルダを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の一実施形態に係るミシン用押さえホルダ1について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るミシン用押さえホルダ(以下「ホルダ」ともいう。)1は、図1から図3及び図14に示すように、ミシン50の押さえ棒51に対して止めねじ52によって固定され、縫製などの作業時に使用される押さえ53を下部に装着可能な部品である。本実施形態に係るホルダ1では、ガード5を着脱可能なガード着脱部4が、止めねじ固定部2及び押さえ装着部3と一体化されている。
【0032】
押さえ53は、通常の縫製用に用いられる基本押さえのほか、ファスナー用、サテン用、くけぬい用、ボタンホール用など、ミシン50の縫い方に応じて複数種類が用意されている。
【0033】
ミシン用押さえホルダ1は、止めねじ固定部2と、押さえ装着部3と、ガード着脱部4と、ガード5などを備える。
【0034】
止めねじ固定部2は、例えば、図5に示すように、押さえ棒51を囲むように断面コの字形状を有し、図6に示すように、ねじ挿通用の切り欠き6が形成される。止めねじ固定部2の切り欠き6には、図3及び図14に示すように、ホルダ1を押さえ棒51に対して着脱するための止めねじ52が挿通される。止めねじ固定部2において止めねじ52が挿通されることによって、ミシン50の押さえ棒51に対して止めねじ固定部2を取り付けることができ、止めねじ52を解除することで、押さえ棒51から止めねじ固定部2を取り外すことができる。止めねじ固定部2は、本発明に係る押さえ棒連結部の一例である。なお、上記実施形態では、止めねじ52と止めねじ固定部2を用いてホルダ1を押さえ棒51に連結する例について説明したが、本発明はこの例に限られない。すなわち、止めねじ以外の手段によってホルダ1が押さえ棒51に連結されてもよい。
【0035】
押さえ装着部3は、図3及び図14に示すように、止めねじ固定部2の下部に設置され、押さえ53が着脱可能である。押さえ53が装着されたとき、押さえ53は、押さえ装着部3の下部に位置する。押さえ装着部3が止めねじ52によって押さえ棒51に取り付けられた状態で、押さえ53が交換され得る。押さえ装着部3には、図3に示すように、レバー14とばね(図示せず)が設けられ、押さえ53の着脱が容易とされている。押さえ装着部3のレバー14とばね(図示せず)を含む構成は、通常の押さえ装着部で用いられている構成を適用できる。
【0036】
ガード着脱部4は、ガード5を着脱するためのものであってガード5が着脱される構成を有し、ホルダ1の止めねじ固定部2及び押さえ装着部3と一体的に形成される。図3及び図4などに示す例では、ガード着脱部4は、ホルダ1が押さえ棒51に取り付けられた状態で正面から見て左側と右側に1か所ずつ二つのガード着脱部4A及び4Bが設けられる。
【0037】
ガード5は、例えば、透明の合成樹脂製であり、図1及び図14に示すように、ミシン針54の周囲を囲み内側と外側を隔てる部材である。ガード5は、ガード着脱部4に対して着脱可能である。図4などに示すように、ガード5は、ガード着脱部4と係合可能である係合部8を有する。係合部8とガード着脱部4が係合されて、ガード5がガード着脱部4に取り付けられ、係合部8とガード着脱部4の係合が解除されることで、ガード5がガード着脱部4から取り外される。
【0038】
ガード着脱部4は、止めねじ固定部2及び押さえ装着部3と一体的に形成されることから、止めねじ52によって押さえ装着部3と一体的に押さえ棒51に固定される。また、押さえ装着部3とガード着脱部4が止めねじ52によって押さえ棒51に固定された状態で、ガード5が着脱され得る。図3及び図4などに示す例では、係合部8は、ガード5がガード着脱部4に取り付けられた状態で正面から見て左側と右側に1か所ずつ二つの係合部8A及び8Bが設けられる。係合部8Aは、ガード5の左側に位置し、ガード着脱部4Aに対して着脱可能であり、係合部8Bは、ガード5の右側に位置し、ガード着脱部4Bに対して着脱可能である。
【0039】
次に、ガード着脱部4及び係合部8について詳細に説明する。
図6に示すように、ガード着脱部4Aには、貫通孔9が形成され、貫通孔9は、押さえ棒51に取り付けられた状態で正面から見て前方から後方に貫通している。貫通孔9は、例えば長方形状を有する。
【0040】
図7に示すように、ガード5における係合部8Aは、ガード5の内面において後方へ突起した突起部10を有する。突起部10は、ガード着脱部4Aの貫通孔9に挿入されてガード着脱部4Aと係合可能である。突起部10が、貫通孔9に挿入されて係合されることにより、ガード5がガード着脱部4Aに取り付けられる。
【0041】
突起部10の断面が貫通孔9の断面形状に沿うように形成されることで、装着された状態でガード5の上下左右方向のぶれが抑制される。また、ガード着脱部4Aの貫通孔9に突起部10が挿入された状態で、ガード5の内面と突起部10は、ガード着脱部4Aの外面を挟むようにガード着脱部4Aが形成される。また、突起部10の先端及び貫通孔9の内面には、互いに係り合うように爪が形成される。これにより、装着された状態でガード5が前方へ外れにくくなる。
【0042】
図6に示すように、ガード着脱部4Bは、水平方向に延びて設けられた棒状部11を有する。
図7に示すように、ガード5における係合部8Bは、溝部12を有し、溝部12は、棒状部11が挿入されてガード着脱部4Bと係合可能である。溝部12に対して棒状部11が挿入されて、溝部12と棒状部11が係合されることにより、ガード5がガード着脱部4Bに取り付けられる。
【0043】
ガード着脱部4Bは、レバー部7をさらに有する。また、棒状部11の先端には、壁部11aが形成される。壁部11aは、棒状部11の軸方向に対して垂直方向に突出している。レバー部7は、棒状部11の壁部11aを溝部12へ押圧させたり、壁部11aによる溝部12への押圧を解除させたりすることが可能である。レバー部7は、図10から図12に示すように、圧縮ばね15と、カム16を有する。なお、図1図3から図6及び図14に示すガード着脱部4Bは、圧縮ばね15とカム16がカバー19で覆われた状態を示している。
【0044】
レバー部7によって、棒状部11の壁部11aが溝部12を押圧したり、壁部11aによる溝部12への押圧が解除されたりする。
【0045】
ガード5を装着する場合、図10及び図11に示すように、レバー部7を後方へ回転させる。レバー部7は、カム16が有するカム形状と圧縮ばね15の弾性力によって、開放位置に保持される。開放位置では、棒状部11が右方向に押し出される。これにより、壁部11aによる溝部12への押圧が解除される。この状態で、ガード5の溝部12を、ガード着脱部4Bの棒状部11に挿入する。
【0046】
図12及び図13に示すように、ガード5の溝部12がガード着脱部4Bに挿入された後、ガード5を固定するため、レバー部7を前方へ回転させる。レバー部7のカム形状によって、棒状部11が左方向へ引き込まれる。このとき、ガード5の溝部12の内面は、ガード着脱部4Bの支持部17に押し付けられ、同時にガード5の溝部12の外面は、棒状部11の壁部11aが接触する。これにより、棒状部11の壁部11aが溝部12を押圧する。
【0047】
図11から図13に示すように、壁部11aには、傾斜面を有するテーパーが形成され、溝部12には、壁部11aのテーパーと係合する傾斜面を有する凹部12aが形成されている。これにより、棒状部11の壁部11aが溝部12を押圧したとき、壁部11aのテーパーと凹部12aが互いに接触し係合される。傾斜面同士の嵌め合いによってガード5のがたつきが抑制される。
【0048】
次に、図7から図9及び図14を参照して、ガード5について詳細に説明する。
ガード5は、例えば、ミシン針54に対して、操作者側に位置する前部及び両側の側部を囲む板面を有する。
【0049】
ガード5は、ミシン50の針板56との隙間から指が入らない寸法となるように、ガード5がガード着脱部4に取り付けられた状態のガード5の底面の位置が設定される。ガード5は、ミシン針54が移動する範囲に指が入らないように、ガード5がガード着脱部4に取り付けられた状態のガード5の上面の位置が設置される。ガード5は、指の侵入を防止するという観点で、ミシン50の機能を阻害しない程度に可能な限り大きい寸法で形成されることが望ましい。
【0050】
図1及び図8などに示すように、ガード5は、ガード着脱部4に取り付けられたとき、正面から見て右側において、側面及び操作者側の前部が内側に凹状に窪んでいる。これにより、ガード着脱部4によってガード5が幅広になる場合であっても、ミシン針54がガード5に隔てられつつ、操作者の指を針の先端近くまで添えることができ、作業性を損ないにくい。
【0051】
図9に示すように、ガード5は、ガード着脱部4に取り付けられたとき、正面から見て左側の底面が右側よりも高く、かつ、使用時に押さえ装着部3に装着された押さえ53よりも高い位置である。これにより、ガード5の右側では指の侵入を防止しつつ、左側では押さえ53とガード5が干渉しない。押さえ53の種類によっては、押さえ53の左端が、ガード着脱部4に取り付けられたガード5の左側面よりも外側に位置する場合があるが、上記のように底面を設定することで、取り付け可能な押さえ53の種類を増やすことができる。
【0052】
図1及び図8などに示すように、ガード5は、ガード着脱部4に取り付けられたとき、操作者側に位置する前部が上方に傾斜した傾斜面を有する。これにより、ガード5の前部の面を垂直とした場合と異なり、ミシン50の針板56及びその周辺の台で反射した光が、ガード5の前部の面に映りにくくなり、ガード5の内部に位置する針及び布が見やすくなる。
【0053】
図14に示すように、ミシン50では、ガード5の周辺において糸通し機構55などが設置される場合がある。この場合、押さえ棒51によって押さえ53を上げたとき、ガード5が糸通し機構55と干渉しないように、例えば、ガード5の側面において切欠部18が形成されることが望ましい。切欠部18が広いと指の侵入のおそれが生じるため、切欠部18は、糸通し機構55の干渉を回避しつつ、指の侵入を防止できるように形成される。
【0054】
以上、本実施形態によれば、ホルダ1は、押さえ装着部3と一体化されたガード着脱部4においてガード5が着脱可能であり、操作者は、ガード5が止めねじ52によって押さえ棒51に取り付けられた状態でガード5を着脱できる。操作者は、ガード5を着脱する際、止めねじ52を緩める必要がないことから、ホルダ1が押さえ棒51から外れるおそれがなく、ガード5の着脱にかかる時間や手間が低減される。ガード5の着脱が容易であるため、糸通しや針の交換などの針棒周囲の作業性が簡易になる。
【0055】
また、ホルダ1は、押さえ装着部3を有して種々の押さえ53を着脱できることから、押さえ53を交換した場合でも、ガード5を取り付けた状態でミシン50の作業を行うことができる。これにより、ガード部材が設けられている押さえを用いる場合と異なり、押さえ53を交換しても安心して作業を行うことができる。
【0056】
さらに、従来、金属製の線状部材(ワイヤ)からなるガード部材は、針先端の上下動する範囲全体への指の侵入を防止するものではないため、ミシン50の意図しない起動時や誤動作時に、上下動する針や針棒に指が接触する危険がある。これに対して、本実施形態では、押さえ装着部3と一体的に形成されたガード着脱部4にガード5が取り付けられることから、ミシン針54を比較的広い範囲で囲むことができる。
【符号の説明】
【0057】
1 :ミシン用押さえホルダ(ホルダ)
2 :止めねじ固定部(押さえ棒連結部)
3 :押さえ装着部
4 :ガード着脱部
4A :ガード着脱部
4B :ガード着脱部
5 :ガード
6 :切り欠き
7 :レバー部
8 :係合部
8A :係合部
8B :係合部
9 :貫通孔
10 :突起部
11 :棒状部
11a :壁部
12 :溝部
12a :凹部
14 :レバー
15 :圧縮ばね
16 :カム
17 :支持部
18 :切欠部
19 :カバー
50 :ミシン
51 :押さえ棒
52 :止めねじ
53 :押さえ
54 :ミシン針
55 :糸通し機構
56 :針板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14