IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スズキ株式会社の特許一覧

特開2024-152512異常検知システム、及び、基地局機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152512
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】異常検知システム、及び、基地局機器
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20241018BHJP
   G16H 50/00 20180101ALI20241018BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241018BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241018BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20241018BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241018BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241018BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20241018BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241018BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20241018BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
G16H50/30
G16H50/00
G06Q50/10
G06Q50/30
A61B10/00 H
G08G1/00 D
G08G1/16 F
G16Y10/60
G16Y20/20
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066750
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高垣内 文也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 直輝
(72)【発明者】
【氏名】長江 祐輔
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181DD07
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL20
5H181MB08
5L049CC11
5L049CC42
5L050CC11
5L050CC42
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】車両におけるユーザの運転状況に関する情報を医療機関へ提供することで、ユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することができる異常検知システム、及び、基地局機器を提供することを目的とする。
【解決手段】車両の走行情報D13を含む車両データD1から当該車両のユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報をユーザ端末に通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも車両の走行情報を含む車両データから当該車両のユーザの異常な運転を検知する検知部と、前記ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部とを有するサービス提供機器と、
前記サービス提供機器と通信可能に構成されるユーザ端末と、
を含み、
前記通知部は、前記検知部によって検知された異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報を前記ユーザ端末に通知する、異常検知システム。
【請求項2】
車両のユーザに関するユーザデータと前記車両の走行情報を含む車両データとを記憶する記憶部と、前記車両データから前記車両における前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記記憶部に記憶させる検知部と、前記ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部と、を有するサービス提供機器と、
前記サービス提供機器と通信可能に構成されたユーザ端末と、
を含み、
前記通知部は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、当該異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、前記医療情報データに基づいた内容を含む医療情報を前記ユーザ端末に通知する、
異常検知システム。
【請求項3】
前記医療情報データは、前記医療従事者が前記ユーザに適していると判断した治療プログラム、前記ユーザの認知機能に関する判定結果、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨のうちの少なくとも何れか1つに関する情報を含む、
請求項2に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記医療情報データに前記受診勧奨に関する情報が含まれる場合、
前記通知部は、前記ユーザに推奨される行動の提示を含んだ医療情報を前記ユーザ端末に送信し、
前記ユーザ端末は、前記ユーザに推奨される行動を提示するとともに、当該行動を実行する操作を受け付け可能に表示する、
請求項3に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記記憶部は、前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けてユーザ毎に記憶しており、
前記ユーザデータは、前記医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報を含む、
請求項2から4の何れか1項に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記サービス提供機器は、前記ユーザデータ、前記車両データ及び前記異常検知データを管理する統合サーバと、前記統合サーバと通信可能に構成された検知装置と、を含み、
前記統合サーバは、前記記憶部を有し、
前記検知装置は、前記検知部及び前記通知部を有する、
請求項2から4の何れか1項に記載の異常検知システム。
【請求項7】
前記サービス提供機器は、前記ユーザデータ及び前記車両データを管理するモビリティサーバと、前記異常検知データを管理するメディカルサーバと、前記メディカルサーバと通信可能に構成された検知装置と、を含み、
前記モビリティサーバ及び前記メディカルサーバは、相互に連携して前記記憶部を構成し、前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けて管理しており、
前記検知装置は、前記検知部及び前記通知部を有する、
請求項2から4の何れか1項に記載の異常検知システム。
【請求項8】
前記車両の前記ユーザに関する前記ユーザデータと前記車両の前記走行情報を含む前記車両データとを管理するモビリティサーバを更に備え、
前記サービス提供機器は、前記モビリティサーバと連携が不可能に構成され、少なくとも前記異常検知データを管理するメディカルサーバと、前記メディカルサーバと通信可能に構成された検知装置と、を含み、
前記検知装置は、前記検知部及び前記通知部を有する、
請求項2から4の何れか1項に記載の異常検知システム。
【請求項9】
車両のユーザに関するユーザデータと前記車両の走行情報を含む車両データとを記憶する記憶部と、前記車両データから前記車両における前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記記憶部に記憶させる検知部と、前記ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部と、を有するサービス提供機器を含み、
前記通知部は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、当該異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、当該医療情報データに基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末に通知する、
基地局機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検知システム、及び、基地局機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、道路情報取得部による道路情報と、車両情報取得部による車両の走行情報とに基づいて、状況判定部により車両の運転状況を判定すると共に、その運転状況が、認知機能が低下している場合に行われやすい所定の交通違反に該当するか否かを判定する違反判定部で判定する認知症リスクの判定システムが開示されている。この認知症リスクの判定システムでは、車両の運転状況が所定の交通違反に該当する場合、ドライバ情報検出部による該車両の運転者の情報と違反履歴に基づき、リスク判定部により認知症リスクがあるか否かが判定される。リスク判定部により、認知症リスクがあると判定された場合、出力部がその情報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-124975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加齢とともに認知機能の低下リスクが高まる高齢者に対し、現在、各種施設において認知機能の状態を確認する認知機能検査が行われている。例えば、高齢者の運転免許証の更新手続きの際に、検査用紙や電子端末等を用いて記憶力や判断力を測定する認知機能検査が行われている。このような認知機能検査は、医療機関が実施する医療検査に相当するものではなく、単に受験者の記憶力や判断力の状態を確認する簡易な検査に過ぎない。また、これらの認知機能検査は、検査時における認知機能の状態を確認することはできても、実際に運転している時などの日常における認知機能の状態を確認することはできない。このため、ユーザ自身が自覚していない認知機能低下の兆候や症状が常に顕れるとは限らない初期段階での認知機能の異常を検出することは困難である。このような観点から、車両の運転などの日常的な行動からユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両におけるユーザの運転状況に関する情報を医療機関へ提供することで、ユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することができる異常検知システム、及び、基地局機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る異常検知システムは、少なくとも車両の走行情報を含む車両データから当該車両のユーザの異常な運転を検知する検知部と、前記ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部とを有するサービス提供機器と、前記サービス提供機器と通信可能に構成されるユーザ端末と、を含み、前記通知部は、前記検知部によって検知された異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報を前記ユーザ端末に通知する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る異常検知システムは、車両のユーザに関するユーザデータと前記車両の走行情報を含む車両データとを記憶する記憶部と、前記車両データから前記車両における前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記記憶部に記憶させる検知部と、前記ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部と、を有するサービス提供機器と、前記サービス提供機器と通信可能に構成されたユーザ端末と、を含み、前記通知部は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、当該異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、前記医療情報データに基づいた内容を含む医療情報を前記ユーザ端末に通知する。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る基地局機器は、車両のユーザに関するユーザデータと前記車両の走行情報を含む車両データとを記憶する記憶部と、前記車両データから前記車両における前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記記憶部に記憶させる検知部と、前記ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部と、を有するサービス提供機器を含み、前記通知部は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、当該異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、当該医療情報データに基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末に通知する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る異常検知システム、及び、基地局機器は、車両におけるユーザの運転状況に関する情報を医療機関へ提供することで、ユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る異常検知システムで取り扱う主なデータについて説明する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える車載装置の概略構成を表すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるデータ処理装置の概略構成を表すブロック図である。
図6図6は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える統合サーバの概略構成を表すブロック図である。
図7図7は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える統合サーバに記憶されるデータベースの一例を表す模式図である。
図8図8は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える検知装置の概略構成を表すブロック図である。
図9図9は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末の概略構成を表すブロック図である。
図10図10は、実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末に表示される受診勧奨の通知の一例を表す図である。
図11図11は、実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末に表示される受診勧奨の通知の一例を表す図である。
図12図12は、実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末に表示される受診勧奨の通知の一例を表す図である。
図13図13は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える医療機関端末の概略構成を表すブロック図である。
図14図14は、第1実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図15図15は、第1実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図16図16は、第2実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図17図17は、第2実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図18図18は、第2実施形態に係る異常検知システムが備えるモビリティサーバの概略構成を表すブロック図である。
図19図19は、第2実施形態に係る異常検知システムが備えるメディカルサーバの概略構成を表すブロック図である。
図20図20は、第2実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図21図21は、第2実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図22図22は、第3実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図23図23は、第3実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図24図24は、第3実施形態に係る異常検知システムが備えるモビリティサーバの概略構成を表すブロック図である。
図25図25は、第3実施形態に係る異常検知システムが備える分析装置の概略構成を表すブロック図である。
図26図26は、第3実施形態に係る異常検知システムが備えるメディカルサーバの概略構成を表すブロック図である。
図27図27は、第3実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図28図28は、第3実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
[第1実施形態]
<異常検知システムの概要>
図1図2に示す第1実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10と、データ処理装置20と、サービス提供機器30と、ユーザ端末60と、医療機関端末70とを備え、これらがネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成される。ネットワークNWは、複数の機器を相互に通信可能に接続する通信網を構成するものであり、有線、無線を問わず本システムに適用可能な種々の通信方式によってデータ通信を可能とする。ネットワークNWは、例えば、インターネット回線網、携帯電話回線網、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)等によって構成され、アンテナ、ゲートウェイ、ルータ、ハブ等の様々なネットワーク中継機器を介在させていてもよい。本実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10、データ処理装置20、サービス提供機器30、ユーザ端末60、医療機関端末70がこのネットワークNWを介して相互にデータ通信を行い連携することで、車両Vに関する様々なデータを管理し、各種サービスや分析に活用することができるシステムを構成する。
【0013】
このような異常検知システム1にあって、本実施形態のサービス提供機器30は、統合サーバ40と、検知装置50とを備え、当該異常検知システム1で取り扱う各種データを統合サーバ40に一括して記憶させることでデータの利用の効率を高めている。本実施形態の異常検知システム1は、車両Vの運転者であるユーザの日常的な運転行動からユーザの異常な運転を検知し、車両Vにおけるユーザの異常な運転が検知された場合に、異常な運転に関する情報を含む異常検知データを医療機関に提供するものである。また、本実施形態の異常検知システム1は、医療機関に提供された異常検知データと医療機関における医師等の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データをサービス提供機器30が受信し、ユーザに対して、医療情報データに基づいた内容を含む医療情報の通知を行うものである。
【0014】
異常検知システム1は、例えば、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の運転行動を車両Vのユーザの異常な運転として検知する。本実施形態に係る異常検知システム1は、例えば、一定期間(例えば、100kmを走行する期間内)に所定回数以上の急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等があったことを、ユーザの異常な運転として検知してもよい。
【0015】
本実施形態に係る異常検知システム1において、統合サーバ40に記憶されているデータは、検知装置50によって利用される。検知装置50は、統合サーバ40に記憶されているデータに基づいて、各ユーザの異常な運転を検知する。そして、検知装置50は、異常な運転が検知されたユーザについては、異常な運転の内容等に関する情報を異常検知データD4として、医療機関に提供する。医療機関への異常検知データD4の提供は、検知装置50が医療機関に設けられた医療機関端末70に対して、異常検知データD4を送信することで行われる。本実施形態に係る異常検知システム1においては、統合サーバ40は、車両Vの走行情報D13を含む車両データD1、車両Vのユーザに関するユーザデータD2、異常検知データD4を記憶する記憶部を構成している。また、検知装置50は、車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容等に関する情報を含む異常検知データD4を記憶部(統合サーバ40)に記憶させる検知部と、少なくとも異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信し、当該異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、当該医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60に通知する通知部とを構成している。このとき、通知部は、検知部において、車両Vにおけるユーザの異常な運転が検知された場合に、異常検知データD4とユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関に設けられた医療機関端末に対して送信するよう構成してもよい。
【0016】
本実施形態において、医療機関端末70は、典型的には、大学病院や一般病院などの医療機関に設置された端末機器である。医療機関端末70は、検知装置50から送信された異常検知データD4を受信する。そして、医療機関端末70は、医療機関の医師等が異常検知データD4に含まれる異常な運転の内容等に関する情報を利用可能な状態に処理し、表示部等に表示可能とする。異常検知データD4には、例えば、一定期間内(例えば、100kmを走行する期間内)の急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落としの回数、急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落としがあった時の車両Vの周辺状況、車載カメラによって撮像されたユーザの状態、ユーザの生体情報に関する情報が含まれる。
【0017】
本発明者は、運転者の認知機能と運転行動との関係に関する研究から、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の特定の運転行動と、運転者の認知機能の状態との間には相関関係があることを見出した。具体的には、本発明者は、認知機能が正常な者が車両Vを運転した場合と比較して、認知機能が正常でない者が車両Vを運転した場合には、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識等の見落としが増加する傾向にあることを発見した。また、本発明者は、認知機能が正常な者が車両Vを運転した場合と比較して、認知機能が正常でない者が車両Vを運転した場合は、ユーザの車両Vとユーザの車両Vの前方を走行する車両との車間距離が、適切な車間距離よりも短縮する傾向にあることを発見した。そして、本発明者は、一定期間内(例えば、100kmを走行する期間内)の急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の特定の運転行動の回数や前方車両との車間距離等を、車両Vにおけるユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する判断材料の一つとして利用することを考えた。本実施形態においては、検知装置50から医療機関端末70に送信された異常検知データD4を利用して、医療機関の医師等の医療従事者が、車両Vにおけるユーザの運転操作と当該ユーザの認知機能の状態との相関関係に基づいて作成された基準や自身の見解に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する。
【0018】
具体的には、例えば、医療機関の医師等の医療従事者は、異常検知データD4から、急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等のユーザの異常な運転操作と当該異常な運転操作が行われた時の車両Vの周辺状況とを確認し、正常な運転操作とは判断できないような異常な運転操作を特定する。そして、医師は、正常な運転操作とは判断できないような異常な運転操作の種別毎の回数(急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等の回数)と、車両Vにおけるユーザの運転操作と当該ユーザの認知機能状態との相関関係に基づいて作成された基準と、車載カメラで撮像された運転中のユーザの状態と、医師自身の見解とに基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する。そして、医療機関の医師は、判定の結果に基づいて医療情報データD5を作成し、当該医療情報データD5を医療機関端末70の記憶部に保存する。なお、医療機関の医師は、例えば、車両Vのユーザに認知機能に関する疾患の兆候や症状があると判定した場合、ユーザの認知機能に関する判定結果に関する情報と共に、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラムや認知機能に関する疾患についての受診勧奨に関する情報を医療情報データD5として、医療機関端末70の記憶部に保存してもよい。このように、医療情報データD5には、ユーザの認知機能に関する判定結果、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラム、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨のうちの少なくとも何れか1つに関する情報が含まれる。
【0019】
医療機関端末70の記憶部に保存された医療情報データD5は、医療機関端末70によって、サービス提供機器30に送信される。医療機関端末70からサービス提供機器30への医療情報データD5の送信は、医療情報データD5が医療機関端末70に保存される毎に自動で行われてもよく、また、一定の周期(例えば数時間毎)で自動的に行われてもよい。また、医療機関端末70からサービス提供機器30への医療情報データD5の送信は、医療機関における医師や医師以外の担当者によって手動で行われてもよい。
【0020】
医療情報データD5には、ユーザの認知機能に関する判定結果として、医療機関の医師等の医療従事者が判定したユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無に関する情報が含まれる。また、医療情報データD5には、治療プログラムとして、医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療法に関する情報が含まれる。例えば、医師等の医療従事者は、運動療法、回想療法、音楽療法、認知刺激療法等の作業療法や投薬療法等の中からユーザに適していると考える治療法を選択し、その治療法に関する情報を治療プログラムとして医療情報データD5に含めて医療機関端末70の記憶部に保存する。また、医療情報データD5には、認知機能に関する疾患についての受診勧奨として、医療機関への受診勧奨や認知機能検査の受診勧奨に関する情報が含まれる。認知機能に関する疾患についての受診勧奨は、例えば、医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した特定の医療機関への受診勧奨に関する情報等である。また、受診勧奨における医療機関の選定は、医師による紹介に限定されず、検知装置50がユーザデータD2等からユーザの居住地や既往歴等に基づいて医療機関を選定し、当該選定された医療機関を医療情報通知に追加してユーザ端末60に送信してもよい。
【0021】
検知装置50は、医療機関端末70から医療情報データD5を受信すると、ユーザに対して、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報通知を行う。本実施形態において、ユーザ端末60は、典型的には、ユーザ本人が所有する第1ユーザ端末60A、及び、当該ユーザの家族や関係者等が所有する第2ユーザ端末60Bを含んで構成される。
【0022】
以下、各図を参照して異常検知システム1の各構成について詳細に説明する。なお、以下では、まず、図3を参照して当該異常検知システム1で取り扱う主なデータの概要について説明し、その後、他図等を参照して異常検知システム1の各構成について詳細に説明する。
【0023】
異常検知システム1において、取り扱い対象となる車両Vは、ガソリン車両、ディーゼル車両、ハイブリッド車両(HEV(Hybrid Electric Vehicle))、プラグインハイブリッド車両(PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle))、電気車両(EV(Electric Vehicle))等、いずれの駆動方式であってもよい。また、当該車両Vの運転方式は、手動運転、半自動運転、完全自動運転等、いずれであってもよい。また、車両Vは、異常検知システム1によって提供されるサービスを享受できるユーザ個人の自家用車両の他、ユーザが使用したことを特定可能なトラック、バス、タクシー、特殊車両等のいずれであってもよい。
【0024】
<異常検知システムで取り扱う主なデータ>
異常検知システム1で取り扱う主なデータとしては、例えば、図3に例示するように、車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5、IDデータD6等を含んでいる。これら車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、異常検知システム1において、IDデータD6等に関連付けられてデータ管理される。
【0025】
<車両データ>
車両データD1は、車両Vに関するデータである。典型的には、車両データD1は、車両Vに搭載された車載装置10によって収集され、サービス提供機器30側に送信されるデータである。ここでは、車両データD1は、例えば、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含んでいる。
【0026】
車両識別情報D10は、車両Vを識別するために車両Vごとに割り振られた固有のユニークな情報であり、例えば、車両識別番号(VIN:Vehicle Identification Number)等の情報である。この他、車両識別情報D10は、例えば、自動車登録番号(いわゆるカーナンバー)や車台番号等の情報であってもよい。DCM情報D11は、車両Vが搭載するDCM(Data Communication Module)の型式や端末識別番号(IMEI:International Mobile Equipment Identifier)等の情報である。車両基本情報D12は、車両Vの車名、車種、型式、グレード等の情報である。走行情報D13は、車両Vの走行状況に関する情報である。本実施形態において、走行情報D13は、運転情報、車両状態情報、車両位置情報、機器動作情報、及び画像情報を含む。
【0027】
運転情報は、車両Vの運転に関する基本的な情報であり、例えば、車速、加減速度、燃費、積算走行距離、バッテリ残量等の情報である。また、運転情報は、走行時の天候に関する情報や走行中の車室内音声の情報を含んでいてもよい。車両状態情報は、車両Vの状態に関する詳細な情報であり、例えば、ハンドル操舵角度、エンジン水温、アクセル開度(アクセル操作量)、ブレーキ開度(アクセル操作量)、エンジン回転数、エンジントルク、モータトルク、モータ回転数等の情報である。車両位置情報は、車両Vの位置情報(GNSS情報、GPS情報)等の情報である。機器動作情報は、車両Vに搭載された機器の動作状況に関する情報であり、例えば、ドアロック開閉状況、ハザードランプ点灯状況、方向指示器(ウインカ)動作状況、車両警告灯点灯状況、緊急通報有無等の情報である。画像情報は、例えば、車両Vにおいて撮像された車両内外の動画像等の情報である。この他、車両データD1には、例えば、各情報の取得日時等の情報も付されている。なお、車両データD1は、上記の他、例えば、車両Vのユーザ(運転者)の生体情報等に関するデータが含まれていてもよい。ユーザの生体情報は、生体(ユーザ)が発する種々の生理学的情報に加え、これらの情報から派生する種々の情報を含んでいてもよく、例えば、心拍数、呼吸数、脈拍数、血圧、体温等のバイタルサイン情報、指紋、声紋、虹彩等の生体識別情報、血中アルコール濃度、覚醒度等の情報である。
【0028】
<ユーザデータ>
ユーザデータD2は、車両Vのユーザに関するデータである。ここで、この異常検知システム1におけるユーザとは、車両Vの運転者であり、当該異常検知システム1によって異常な運転の検知が行われ、異常な運転が検知された場合に医療機関の医師の判定に基づいた内容の医療情報通知を受ける者である。また、異常検知システム1によって提供されるサービスを享受するサービス利用者や当該サービスの提供を受けるための契約を行った契約者であることも異常検知システム1におけるユーザに含まれる。つまり、ユーザデータD2は、当該サービスに関する契約者データ、あるいは、当該サービスを展開する事業者における顧客データということもできる。典型的には、ユーザデータD2は、車載装置10、ユーザ端末60等によって統合サーバ40に登録されるデータや統合サーバ40に登録されたデータに基づいて当該統合サーバ40側で自動生成されるデータ等である。ここでは、ユーザデータD2は、例えば、ユーザ基本情報D20、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、サービス設定情報D23、契約パッケージ情報D24、お気に入り情報D25等に関するデータを含んでいる。
【0029】
ユーザ基本情報D20は、ユーザが自ら登録する契約者(顧客)に関する情報であり、例えば、ユーザの氏名、郵便番号、住所、メールアドレス、電話番号、勤務連絡先、ユーザの個人番号(マイナンバー)、保険者番号等の情報である。ここで、個人番号(マイナンバー)とは、個人の識別番号であり、日本国の法律に基づいて日本国内に住民票がある者に対して付与される番号である。保険者番号とは、ユーザが加盟している健康保険の保険者に対して割り振られる番号であり、保険者を識別することが可能な番号である。
【0030】
ユーザ属性情報D21は、ユーザが自ら登録、あるいは、統合サーバ40側で自動生成されるユーザの属性に関する情報であり、例えば、年齢、性別、職業、国籍等の情報である。同意履歴情報D22は、統合サーバ40側で自動生成される各種同意履歴に関する情報であり、例えば、プライバシーポリシーやサービス規約についての同意の有無等の情報である。ここで、同意履歴情報D22には、車両データD1、ユーザデータD2、検知装置50によって検知された異常な運転の内容等に関する情報(異常検知データD4)等を医療機関に提供することについてのユーザの同意の有無に関する情報が含まれる。
【0031】
サービス設定情報D23は、ユーザが自ら登録するサービスの享受に必要な設定情報であり、例えば、各種サービスにおける言語設定、通知設定等の情報である。ここで、サービス設定情報D23には、ユーザ端末60の端末登録情報が含まれる。ユーザ端末60の端末登録情報は、ユーザが自ら登録、あるいは、統合サーバ40側で自動生成されるユーザ端末60に関する情報であり、検知装置50が医療情報通知を行う際に、通知先のユーザ端末60を特定することができる情報である。契約パッケージ情報D24は、統合サーバ40側で自動生成される契約に関する情報であり、例えば、契約ステータス(有効/満了/解約)、契約開始日/満了日/解約日、契約プラン等の情報である。お気に入り情報D25は、ユーザが自ら登録するユーザの好みに関する情報であり、例えば、最寄りの総合病院、かかりつけの病院、受診を希望する医療機関、契約している保険会社、お気に入りの代理店(ディーラー)等の情報である。この他、ユーザデータD2には、例えば、各情報の取得日時等の情報も付されている。
【0032】
<端末データ>
端末データD3は、ユーザ端末60への医療情報通知の送信履歴、医療機関端末70への異常検知データD4の送信履歴、医療機関端末70から医療情報データD5を受信した履歴に関するデータである。典型的には、端末データD3は、サービス提供機器30において、ユーザ端末60及び医療機関端末70へのデータの送信や医療機関端末70からの医療情報データD5の受信に伴って収集されるデータである。端末データD3は、例えば、端末基本情報D30、送信履歴情報D31、受信履歴情報D32、サービス提供履歴情報D33等に関するデータを含んでいる。
【0033】
端末基本情報D30は、ユーザ端末60及び医療機関端末70を特定することができる基本的な情報であり、各端末の種別、各端末の所有者、各端末を所有する機関等の情報を含む。送信履歴情報D31は、サービス提供機器30から医療機関端末70へ異常検知データD4を送信した際の送信履歴に関する情報である。受信履歴情報D32は、サービス提供機器30が医療機関端末70から医療情報データD5を受信した際の受信履歴に関する情報である。サービス提供履歴情報D33は、サービス提供機器30によりユーザ(ユーザ端末60)に対してサービスが提供された際の履歴に関する情報である。本実施形態におけるサービス提供履歴情報D33は、サービス提供機器30が、ユーザに対して医療情報データD5に基づいた内容の医療情報を通知した履歴に関する情報である。この他、端末データD3には、例えば、各情報の取得日時等の情報も付されている。
【0034】
<異常検知データ>
異常検知データD4は、検知装置50によってユーザの異常な運転が検知された際に生成されるデータである。異常検知データD4は、異常検知情報D41を含んでいる。異常検知情報D41は、検知装置50によって検知されたユーザの異常な運転の内容等に関する情報である。異常検知情報D41は、例えば、一定期間内(例えば、100kmを走行する期間内)の急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等の回数、急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等があった時の車両Vの周辺状況、及び、車載カメラによって撮像された運転中におけるユーザの状態等に関する情報等を含んでいる。また、異常検知情報D41は、前方車両との車間距離が短縮した際の車間距離、前方車両との車間距離が短縮した際の車両Vの周辺状況、及び、車載カメラによって撮像された運転中におけるユーザの状態等に関する情報等を含んでいてもよい。更に、異常検知データD4は、検知装置50がユーザの異常な運転を検知した時のユーザ(運転者)の生体情報を含んでいてもよい。ここで、生体情報は、生体(ユーザ)が発する種々の生理学的情報に加え、これらの情報から派生する種々の情報を含んでいてもよく、例えば、心拍数、呼吸数、脈拍数、血圧、体温等のバイタルサイン情報、指紋、声紋、虹彩等の生体識別情報、血中アルコール濃度、覚醒度等の情報である。また、異常検知情報D41には、ユーザの異常な運転が検知された日時等の情報を含んでいてもよい。
【0035】
<医療情報データ>
医療情報データD5は、異常検知データD4と医療機関における医師等の医療従事者の見解とに基づいて作成されたデータである。医療情報データD5は、例えば、判定結果情報D51、治療プログラム情報D52、受診勧奨情報D53を含んでいる。判定結果情報D51は、医療機関の医師等の医療従事者が行ったユーザの認知機能に関する判定の結果に関する情報である。判定結果情報D51は、例えば、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報を含む。治療プログラム情報D52は、医療機関の医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療法に関する情報である。治療プログラム情報D52は、例えば、医療従事者が、運動療法、回想療法、音楽療法、認知刺激療法等の作業療法や投薬療法等の中から選択した治療法に関する情報を含んでいる。さらに、治療プログラム情報D52は、例えば、医療従事者が選択した治療法の具体的な内容、当該治療法を受診することができる医療機関の場所、想定される治療スケジュール、ユーザに適していると考えられる薬の種類等の情報を含んでいてもよい。受診勧奨情報D53は、認知機能に関する疾患についての受診勧奨に関する情報である。受診勧奨情報D53は、例えば、医療機関への受診勧奨や認知機能検査の受診勧奨に関する情報を含む。受診勧奨情報D53は、例えば、医療従事者がユーザに適していると判断した特定の医療機関への受診勧奨に関する情報等である。
【0036】
<IDデータ>
IDデータD6は、上述した車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5を相互に関連付けて管理することができる識別子である。IDデータD6は、例えば、ユーザID(User ID)D60や車両ID(Vehicle ID)D61等に関するデータを含んでいる。ユーザID・D60は、ユーザを識別するためにユーザごとに割り振られた固有のユニークな識別子である。上述したユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、このユーザID・D60と関連付けられて管理される。一方、車両ID・D61は、車両Vを識別するために車両Vごとに割り振られた固有のユニークな識別子であり、ここでは、車両Vを識別して管理し易くするために、上記で説明した車両識別情報D10とは別に設定されている。上述した車両データD1は、この車両ID・D61と関連付けられて管理される。
【0037】
そして、ユーザID・D60と車両ID・D61とは、ユーザが使用する車両Vに対応させて、相互に関連付けられている。例えば、1人のユーザが複数台の車両Vを所有している場合、ユーザID・D60と車両ID・D61とは、これに応じて1つのユーザID・D60に対して複数の車両ID・D61が関連付けられる。この結果、車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、ユーザID・D60等に基づいて、各ユーザID・D60に対応するユーザごとに相互に関連付け可能である。すなわち、特定のユーザが使用する車両Vに関する車両データD1、及び、当該特定のユーザに関するユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、このユーザID・D60と車両ID・D61とを介して、相互に関連付けられて一纏まりのデータセットとして管理することが可能となる。また、上記のように1つのユーザID・D60に対して複数の車両ID・D61が関連付けられている場合、複数台分の車両データD1は、ユーザID・D60と車両ID・D61とを介してそれぞれ対応するユーザのユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5に関連付けられる。また、上記とは反対に、1台の車両Vが複数人のユーザに使用される場合、ユーザID・D60と車両ID・D61とは、これに応じて1つの車両ID・D61に対して複数のユーザID・D60が関連付けられる。
【0038】
以上、異常検知システム1で取り扱う主なデータの概要について説明した。異常検知システム1では、上記で説明したデータ以外のデータも取り扱っているが、それらのデータについては、適宜後述する。
【0039】
次に、図4図12を参照して異常検知システム1の各構成について説明する。なお、以下の説明でも、各種データについては適宜図3を参照する場合がある。
【0040】
<車載装置の基本構成>
図4に示す車載装置10は、車両Vに搭載され、当該車両Vの車両識別情報D10と関連付けて当該車両Vに関する車両データD1を収集し記憶する機器である。車載装置10は、車両Vの外部の機器と通信可能に構成される。車載装置10は、例えば、車両Vに搭載され様々の情報を記録するいわゆるドライブレコーダ等の機能を含み、車両Vに後付けで設置可能な構成であってもよい。
【0041】
具体的には、車載装置10は、図4に示すように、検出・取得部11と、HMI(Human Machine Interface)部12と、DCM13と、データ入出力部14と、車載記憶部15と、処理部16とを備える。検出・取得部11、HMI部12、DCM13、データ入出力部14、車載記憶部15、及び、処理部16は、相互に通信可能に接続されている。
【0042】
検出・取得部11は、車両Vに関する車両データD1に含まれる種々の情報を検出や取得する機器である。検出・取得部11は、車両データD1として、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等を検出や取得する。検出・取得部11は、例えば、車両Vの各部に設けられている種々のセンサ、検出器、GPS受信機、マイク、車載カメラ等を含んで構成される。また、検出・取得部11は、例えば、車両Vの全体を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)から種々の情報を取得する機器を含んで構成されてもよい。また、検出・取得部11は、車両データD1に車両Vのユーザ(運転者)の生体情報等が含まれる場合には、ユーザを監視する監視装置やユーザに装着されるウェアラブル端末と連携して種々の情報を取得する機器を含んで構成されてもよい。
【0043】
HMI部12は、車載装置10において種々の入出力を行う機器である。HMI部12は、車載装置10に対する種々の入力を行う操作入力機器として、例えば、キーボード、スイッチ、入力ボタン、マウスポインタ、トラックボール、ジョイスティック、タッチパッド、マイク、音声入力装置等を含んで構成されてもよい。また、HMI部12は、車載装置10から種々の出力を行う情報出力機器として、例えば、スピーカ、ディスプレイ等を含んで構成されてもよい。
【0044】
DCM13は、車両Vの外部の機器と通信可能な通信モジュールである。DCM13は、無線通信によってネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して車両Vの外部の機器(典型的には、データ処理装置20)と通信を行う。
【0045】
データ入出力部14は、車載装置10に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部14は、記録媒体インターフェース等によって構成され、例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、光磁気ディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ、SDカードメモリ、Flashメモリ、CD-ROM、DVD等の記録媒体に対して各種データの読み出し、書き込みを行う。
【0046】
車載記憶部15は、種々のデータを記憶する記憶回路である。車載記憶部15は、例えば、HDD、SSD、光ディスクなどの比較的に大容量の記憶装置、あるいは、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。車載記憶部15は、例えば、車載装置10の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。車載記憶部15は、処理部16での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部16等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0047】
本実施形態の車載記憶部15は、機能概念的に、車両データ記憶部15aを含んで構成される。
【0048】
車両データ記憶部15aは、車載記憶部15において車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部15aは、検出・取得部11が検出や取得した車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを車両データD1として記憶する。
【0049】
処理部16は、車載装置10を統括的に制御し、車載装置10における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部16は、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。プロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の回路を意味する。処理部16は、例えば、車載記憶部15から読み込んだプログラムを実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部16は、検出・取得部11によって車両データD1を検出や取得し、車両データ記憶部15aに記憶させる処理、HMI部12を動作させる処理、DCM13を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0050】
本実施形態の処理部16は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、データ処理部16a、HMI処理部16b、及び、通信処理部16cを含んで構成される。処理部16は、例えば、車載記憶部15に記憶されている図示しないプログラムを読み込み、このプログラムを実行することにより、これらデータ処理部16a、HMI処理部16b、及び、通信処理部16cの各処理機能を実現する。
【0051】
データ処理部16aは、車載装置10において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部16aは、検出・取得部11によって、車両データD1を構成する情報を検出や取得する処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、検出・取得部11によって検出や取得された情報を含む車両データD1を車両データ記憶部15aに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、要求に応じて車両データ記憶部15aから当該車両データD1を読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、データ入出力部14を介して車載装置10に対するデータの入出力を行う処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、データ入出力部14を介して入力されたデータを車載記憶部15に格納する処理、及び、データ入出力部14を介して出力するデータを車載記憶部15から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部16aは、HMI部12を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータを車載記憶部15に格納する処理、及び、当該データを車載記憶部15から読み出す処理も実行可能である。
【0052】
例えば、データ処理部16aは、検出・取得部11を制御し、所定のサンプリング周期で車両データD1を構成する情報を検出や取得してもよいし、適時のタイミングで当該情報を検出や取得してもよい。また、データ処理部16aは、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12等、一部の車両データD1については、HMI部12を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたものを取得してもよい。そして、データ処理部16aは、車両データD1を車両データ記憶部15aに格納する際には、当該車載装置10が搭載された車両Vの車両識別情報D10と当該車両データD1とを関連付けて車両データ記憶部15aに記憶させる。このとき、データ処理部16aは、例えば、当該車両データD1を収集した日時情報等と共に時系列に沿って車両データ記憶部15aに車両データD1を記憶させることができる。
【0053】
HMI処理部16bは、HMI部12を制御し、当該HMI部12を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部16bは、HMI部12を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部16bは、HMI部12を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0054】
通信処理部16cは、DCM13を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部16cは、DCM13を介して、データ処理装置20等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。より具体的には、通信処理部16cは、車両識別情報D10とこれに対応する車両データD1とが関連付けられた状態で、当該車両データD1を、DCM13を介してデータ処理装置20に送信する処理を実行可能である。また、通信処理部16cは、DCM13を介してデータ処理装置20から各種指令や要求、様々な情報を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部16cは、DCM13を介してデータ処理装置20に各種指令や要求、様々な情報を送信する処理を実行可能である。
【0055】
例えば、通信処理部16cは、車両データ記憶部15aに記憶されている車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信することができる。この場合、通信処理部16cは、例えば、検出・取得部11によるサンプリング周期に合わせて逐次リアルタイムで車両データD1をデータ処理装置20に送信してもよいし、検出・取得部11によるサンプリング周期とは異なる周期で、複数のサンプリング周期分の車両データD1をまとめて定期的にデータ処理装置20に送信してもよい。また、通信処理部16cは、例えば、HMI部12を構成する操作入力機器への操作に応じた任意のタイミングで車両データD1をデータ処理装置20に送信してもよいし、外部の機器(データ処理装置20等)からの送信指令等の要求を受信したタイミングで車両データD1をデータ処理装置20に送信してもよい。この場合、この車載装置10は、例えば、通信トラフィック量の増加による輻輳を低減する効果を見込むことができる。また、通信処理部16cは、例えば、車両Vの状態に応じて車両データD1の送信周期を可変とすることもできる。この場合、通信処理部16cは、例えば、車両Vが停車中の場合、車速や位置情報等に大幅な変化が見込まれないため、車両Vが走行中の場合の送信周期より相対的に長い送信周期で車両データD1を送信するようにしてもよい。この場合、この車載装置10は、例えば、車両Vの状態にあわせて適正なタイミングでデータ送信を行うことができる。
【0056】
<データ処理装置の基本構成>
図5に示すデータ処理装置20は、車載装置10と、サービス提供機器30(例えば、統合サーバ40)とのデータ通信を中継するネットワーク中継機器である。本実施形態において、データ処理装置20は、車載装置10からサービス提供機器30に送信するデータを中継する。そして、サービス提供機器30では、データ処理装置20から受信したデータを統合サーバ40に記憶する。データ処理装置20は、例えば、種々のコンピュータ機器等によって構成されてもよい。また、データ処理装置20は、例えば、既知のコンピュータ機器に種々の処理を実現させるプログラムをインストールすることで構成することもできる。
【0057】
データ処理装置20は、具体的には、図5に示すように、通信部21と、データ入出力部22と、データ処理記憶部23と、処理部24とを備える。通信部21、データ入出力部22、データ処理記憶部23、及び、処理部24は、相互に通信可能に接続されている。
【0058】
通信部21は、データ処理装置20以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部21は、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、車載装置10、サービス提供機器30等)と通信を行う。
【0059】
データ入出力部22は、データ処理装置20に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部22は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0060】
データ処理記憶部23は、種々のデータを記憶する記憶回路である。データ処理記憶部23は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。データ処理記憶部23は、例えば、データ処理装置20の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。データ処理記憶部23は、処理部24での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部24等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0061】
処理部24は、データ処理装置20を統括的に制御し、データ処理装置20における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部24は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部24は、例えば、データ処理記憶部23に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部24は、通信部21を介してデータ通信を行う処理、各種データを中継する処理、車載装置10から受信したデータを統合サーバ40に送信して記憶させる処理等を実行可能である。
【0062】
本実施形態の処理部24は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、通信処理部24a、及び、データ処理部24bを含んで構成される。処理部24は、例えば、データ処理記憶部23に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらデータ処理部24b、及び、通信処理部24aの各処理機能を実現する。
【0063】
通信処理部24aは、通信部21を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部24aは、通信部21を介して、車載装置10、サービス提供機器30等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。より具体的には、例えば、通信処理部24aは、通信部21を介して車載装置10から車両データD1を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部24aは、通信部21を介して車両データD1をサービス提供機器30(例えば、統合サーバ40)に送信する処理を実行可能である。また、通信処理部24aは、通信部21を介して車載装置10、サービス提供機器30等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部24aは、通信部21を介して各種指令や要求、様々な情報を車載装置10、サービス提供機器30(例えば、統合サーバ40)に送信する処理を実行可能である。
【0064】
例えば、通信処理部24aは、各機器間でデータを中継する際には、不正な通信を遮断する処理、暗号化通信等のようなセキュリティレベルの高い通信を担保する処理、データの送信先を振り分けるルーティング処理、異なるネットワーク間で通信プロトコルを変換するプロトコル変換処理等の各処理を行う。
【0065】
データ処理部24bは、データ処理装置20において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部24bは、通信部21を介して受信したデータをデータ処理記憶部23に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部24bは、通信部21を介して送信するデータをデータ処理記憶部23から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部24bは、データ入出力部22を介してデータ処理装置20に対するデータの入出力を行う処理を実行可能である。また、データ処理部24bは、データ入出力部22を介して入力されたデータをデータ処理記憶部23に格納する処理、及び、データ入出力部22を介して出力するデータをデータ処理記憶部23から読み出す処理も実行可能である。
【0066】
また、通信処理部24aは、データ処理部24bによってデータ処理記憶部23から読み出された車両データD1を、通信部21を介して統合サーバ40に送信する。
【0067】
<サービス提供機器の基本構成>
サービス提供機器30は、異常検知システム1で取り扱う各種データを統括的に管理し、車両データD1に基づいてユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容に関する情報を含む異常検知データD4を記憶し、車両Vにおけるユーザの異常な運転が検知された場合に、異常検知データD4とユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関に設けられた医療機関端末70に対して送信することのできる機器である。図2に示すように、サービス提供機器30は、統合サーバ40と、検知装置50とを備えて構成される。典型的には、サービス提供機器30は、車両Vとユーザ端末60や医療機関端末70との間の通信を中継する基地局100に設けられる基地局機器を構成し、例えば、医療に関する各種サービスを展開する事業者や車両Vの開発を行う事業者等によって管理される。なお、検知装置50は基地局100に配置される必要はなく、基地局100とは異なる場所で管理されていてもよい。例えば、検知装置50は、基地局100の所在地とは異なる遠隔地から基地局機器にアクセスする構成であってもよい。すなわち、少なくとも統合サーバ40によって基地局機器が構成されていればよい。また、統合サーバ40と検知装置50の機能を1つの機器に集約させたものをサービス提供機器30として利用することもできる。
【0068】
本実施形態のサービス提供機器30において、検知装置50は、統合サーバ40及び医療機関端末70と通信可能に構成されており、統合サーバ40は、検知装置50及びユーザ端末60と通信可能に構成されている。このように、本実施形態のサービス提供機器30は、医療機関端末70から統合サーバ40へ直接アクセスできない構成となっている。サービス提供機器30において、異常検知データD4は、検知装置50から医療機関端末70へ送信される。また、サービス提供機器30において、医療情報データD5は、検知装置50が医療機関端末70から受信する。そして、検知装置50は、医療機関端末70から受信した医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60に通知する。このとき、医療情報は、検知装置50から統合サーバ40を介してユーザ端末60に送信される。
【0069】
統合サーバ40及び検知装置50は、例えば、種々のコンピュータ機器等によって構成されている。また、統合サーバ40及び検知装置50は、例えば、既知のコンピュータ機器に種々の処理を実現させるプログラムをインストールすることで構成することもできる。なお、ここでは、統合サーバ40は、物理的に一つのサーバとして構成されている。
【0070】
以下、統合サーバ40及び検知装置50の各構成について説明する。
【0071】
<統合サーバの基本構成>
図6に示す統合サーバ40は、主に車両Vのユーザに提供するサービス等に活用されるデータを管理するサーバである。統合サーバ40は、コネクテッドサービスを展開するコネクテッドサーバということもできる。本実施形態の異常検知システム1では、統合サーバ40が記憶しているデータを活用して、車両Vを運転するユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報をユーザ端末60に通知するサービスが行われる。また、このサービスに加えて、統合サーバ40が記憶しているデータを活用して、他のサービスが展開されてもよい。統合サーバ40が記憶しているデータを活用して展開される他のサービスとしては、一例として、契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等が挙げられるが、これに限らない。各サービスには、ユーザ端末60におけるアプリケーション機能と連動するものが含まれていてもよい。
【0072】
統合サーバ40は、具体的には、図6に示すように、通信部41と、データ入出力部42と、サーバ記憶部43と、処理部44とを備える。通信部41、データ入出力部42、サーバ記憶部43、及び、処理部44は、相互に通信可能に接続されている。
【0073】
通信部41は、統合サーバ40以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部41は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、検知装置50、ユーザ端末60等)と通信を行う。
【0074】
データ入出力部42は、統合サーバ40に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部42は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0075】
サーバ記憶部43は、種々のデータを記憶する記憶回路である。サーバ記憶部43は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。サーバ記憶部43は、例えば、統合サーバ40の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。サーバ記憶部43は、処理部44での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部44等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0076】
本実施形態のサーバ記憶部43は、機能概念的に、車両データ記憶部43a、IDデータ記憶部43b、ユーザデータ記憶部43c、端末データ記憶部43d、異常検知データ記憶部43e、及び、医療情報データ記憶部43fを含んで構成される。
【0077】
車両データ記憶部43aは、種々のデータを記憶する記憶回路である。車両データ記憶部43aは、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。車両データ記憶部43aは、サーバ記憶部43において車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部43aは、車載装置10から送信された車両データD1を記憶する。車両データ記憶部43aは、例えば、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含む車両データD1を記憶する。
【0078】
IDデータ記憶部43bは、サーバ記憶部43においてIDデータD6を記憶する記憶領域である。IDデータ記憶部43bは、例えば、ユーザ端末60を介して登録されたり、統合サーバ40の処理部44によって自動生成されたりしたユーザID・D60、車両ID・D61等に関するデータを含むIDデータD6を記憶する。
【0079】
ユーザデータ記憶部43cは、サーバ記憶部43においてユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部43cは、例えば、車載装置10、ユーザ端末60等を介して登録されたり、統合サーバ40の処理部44によって自動生成されたりしたユーザ基本情報D20、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、サービス設定情報D23、契約パッケージ情報D24、お気に入り情報D25等に関するデータを含むユーザデータD2を記憶する。
【0080】
端末データ記憶部43dは、サーバ記憶部43において端末データD3を記憶する記憶領域である。端末データ記憶部43dは、例えば、ユーザ端末60は、端末基本情報D30、送信履歴情報D31、受信履歴情報D32、サービス提供履歴情報D33等に関するデータを含む端末データD3を記憶する。
【0081】
異常検知データ記憶部43eは、サーバ記憶部43において異常検知データD4を記憶する記憶領域である。つまり、異常検知データ記憶部43eは、検知装置50から統合サーバ40に送信された異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部43eは、異常検知情報D41に関するデータを含む異常検知データD4を記憶する。
【0082】
医療情報データ記憶部43fは、サーバ記憶部43において医療情報データD5を記憶する記憶領域である。つまり、医療情報データ記憶部43fは、医療機関端末70から検知装置50を介して統合サーバ40に送信された医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部43fは、例えば、判定結果情報D51、治療プログラム情報D52、及び、受診勧奨情報D53等に関するデータを含む医療情報データD5を記憶する。
【0083】
処理部44は、統合サーバ40を統括的に制御し、統合サーバ40における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部44は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部44は、例えば、サーバ記憶部43に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部44は、通信部41を介してデータ通信を行う処理、異常検知データD4に対応するユーザデータD2を特定する処理、医療情報データD5に対応するユーザデータD2を特定する処理、各種データを演算する処理、各種サービスをユーザに提供する処理等を実行可能である。
【0084】
本実施形態の処理部44は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、通信処理部44a、データ処理部44b、及び、サービス動作処理部44cを含んで構成される。処理部44は、例えば、サーバ記憶部43に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これら通信処理部44a、データ処理部44b、及び、サービス動作処理部44cの各処理機能を実現する。
【0085】
通信処理部44aは、通信部41を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部44aは、通信部41を介して、データ処理装置20やユーザ端末60等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0086】
例えば、通信処理部44aは、通信部41を介してユーザ端末60等からIDデータD6を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介してデータ処理装置20が統合サーバ40に対して送信した車両データD1を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介して車載装置10及びユーザ端末60からユーザデータD2を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介して検知装置50から異常検知データD4や医療情報データD5を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、検知装置50から受信した要求に応じて通信部41を介して医療情報通知をユーザ端末60に送信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介してデータ処理装置20、検知装置50、ユーザ端末60等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。
【0087】
データ処理部44bは、統合サーバ40において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部44bは、通信部41を介して受信したデータをサーバ記憶部43に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、通信部41を介して送信するデータをサーバ記憶部43から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、データ入出力部42を介して入力されたデータをサーバ記憶部43に格納する処理、及び、データ入出力部42を介して出力するデータをサーバ記憶部43から読み出す処理も実行可能である。
【0088】
より具体的には、例えば、データ処理部44bは、車載装置10からデータ処理装置20を介して送信された車両データD1を車両データ記憶部43aに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて車両データ記憶部43aから当該車両データD1を読み出す処理を実行可能である。
【0089】
また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録されたユーザID・D60、車両ID・D61等に関するデータをIDデータD6としてIDデータ記憶部43bに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録された情報に基づいてユーザID・D60、車両ID・D61等に関するデータを自動生成し、生成したデータをIDデータD60としてIDデータ記憶部43bに格納する処理を実行してもよい。また、データ処理部44bは、要求に応じてIDデータ記憶部43bから当該IDデータD6を読み出す処理を実行可能である。
【0090】
また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてユーザデータ記憶部43cに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録された情報に基づいて統合サーバ40に格納する一部のユーザデータD2、ここでは、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成し、生成したデータをユーザデータD2としてユーザデータ記憶部43cに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、例えば、車載装置10を介して登録されたデータをユーザデータD2の一部としてユーザデータ記憶部43cに格納し、ユーザデータD2を形成してもよい。また、データ処理部44bは、要求に応じてユーザデータ記憶部43cから当該ユーザデータD2を読み出す処理を実行可能である。
【0091】
また、データ処理部44bは、ユーザ端末60や医療機関端末70等から送信された端末基本情報D30に関するデータを端末データD3として端末データ記憶部43dに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、検知装置50等から送信履歴情報D31、受信履歴情報D32、サービス提供履歴情報D33等に関するデータを取得し、端末データD3として生成し、端末データ記憶部43dに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて端末データ記憶部43dから端末データD3を読み出す処理を実行可能である。
【0092】
そして、データ処理部44bは、上記のように、車両データ記憶部43a、ユーザデータ記憶部43c、端末データ記憶部43d、異常検知データ記憶部43e、医療情報データ記憶部43fに車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5をそれぞれ格納する際には、これら車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5を相互に関連付ける処理を実行可能である。例えば、データ処理部44bは、車両データ記憶部43a、ユーザデータ記憶部43c、端末データ記憶部43d、異常検知データ記憶部43e、医療情報データ記憶部43fに格納された車両データD1とユーザデータD2と端末データD3と異常検知データD4と医療情報データD5とを、車両データD1に含まれる車両識別情報D10やIDデータD6を構成するユーザID・D60及び車両ID・D61を介して相互に関連付けて一纏まりのデータセットとする。
【0093】
つまり、上述したサーバ記憶部43は、車両データ記憶部43aに記憶された車両データD1と、ユーザデータ記憶部43cに記憶されたユーザデータD2と、端末データ記憶部43dに記憶された端末データD3と、異常検知データ記憶部43eに記憶された異常検知データD4と、医療情報データ記憶部43fに記憶された医療情報データD5とを、データ処理部44bによって車両識別情報D10やIDデータD6に基づいて相互に関連付けて記憶し、これらを一纏まりのデータセットとしてデータベース化して記憶する。
【0094】
図7は、統合サーバ(記憶部)40に記憶されているデータベースの一例である。統合サーバ40は、例えば、図7に示すように、車両データD1と、ユーザデータD2と、端末データD3と、異常検知データD4、医療情報データD5と、IDデータD6とを相互に関連付けたテーブル形式のデータベースとしてこれらのデータを記憶している。
【0095】
サービス動作処理部44cは、データ処理装置20、検知装置50、ユーザ端末60等から受信した指令や要求、及び、サーバ記憶部43に記憶しているデータに基づいて、サービスの提供に関係する処理を実行可能な機能を有する部分である。例えば、サービス動作処理部44cは、検知装置50から受信した指令や要求により、車両データD1を検知装置50に送信する。また、例えば、サービス動作処理部44cは、検知装置50からの指令や要求により、検知装置50から受信した医療情報データD5と対応するユーザデータD2から医療情報通知の対象となるユーザ(ユーザ端末)を特定し、ユーザに対して、医療情報通知を送信する。また、例えば、サービス動作処理部44cは、上述した契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等の一部のサービス、又は、全部のサービスを実行することができる。また、サービス動作処理部44cは、これらのサービスをユーザ端末60やその他の外部端末と連携して実行してもよい。サービス動作処理部44cは、サービスの提供に関係する動作を行う際には、サーバ記憶部43に記憶されている車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5から、要求されたサービスの実行に必要なデータが適宜読み出され、当該データに基づいてユーザにサービスを提供するよう動作する。
【0096】
<検知装置の基本構成>
図8に示す検知装置50は、統合サーバ40から車両データD1を取得し、取得した車両データD1に基づいて車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容等に関する情報を含む異常検知データD4を医療機関端末70に送信する。また、検知装置50は、異常検知データD4を統合サーバ40に送信して記憶させる。また、検知装置50は、異常検知データD4と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信する。また、検知装置50は、統合サーバ40を介して、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ(ユーザ端末60)に通知する。本実施形態の検知装置50は、主に医療に関する各種サービスを提供する事業者や車両Vの開発を行う事業者によって管理及び使用される装置である。また、検知装置50は、統合サーバ40に記憶されているデータに基づいて、品質調査、事故分析、不具合分析、開発へのフィードバック、モビリティ企画、新事業への活用等の各種分析も実行可能に構成されている。
【0097】
検知装置50は、具体的には、HMI部51と、通信部52と、データ入出力部53と、検知記憶部54と、処理部55とを備える。HMI部51、通信部52、データ入出力部53、検知記憶部54、及び、処理部55は、相互に通信可能に接続されている。
【0098】
HMI部51は、検知装置50において種々の入出力を行う機器である。HMI部51は、上述したHMI部12と同様に、検知装置50に対する種々の入力を行う操作入力機器、及び、検知装置50から種々の出力を行う情報出力機器を含んで構成される。
【0099】
通信部52は、検知装置50以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部52は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、統合サーバ40、ユーザ端末60、医療機関端末70等)と通信を行う。
【0100】
データ入出力部53は、検知装置50に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部53は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0101】
検知記憶部54は、種々のデータを記憶する記憶回路である。検知記憶部54は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。検知記憶部54は、例えば、検知装置50の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。検知記憶部54は、処理部55での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部55等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0102】
処理部55は、検知装置50を統括的に制御し、検知装置50における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部55は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部55は、例えば、検知記憶部54に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部55は、HMI部51を動作させる処理、通信部52を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0103】
本実施形態の処理部55は、検知装置50における各種処理機能を実現するために、HMI処理部55a、データ処理部55b、及び、通信処理部55cを含んで構成される。処理部55は、例えば、検知記憶部54に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらHMI処理部55a、データ処理部55b、及び、通信処理部55cの各処理機能を実現する。
【0104】
HMI処理部55aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部51を制御し、当該HMI部51を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部55aは、HMI部51を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0105】
データ処理部55bは、上述したデータ処理部44bと同様に、検知装置50において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部55bは、通信部52を介して受信したデータを検知記憶部54に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部55bは、通信部52を介して送信するデータを検知記憶部54から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部55bは、データ入出力部53を介して入力されたデータを検知記憶部54に格納する処理、及び、データ入出力部53を介して出力するデータを検知記憶部54から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部55bは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータを検知記憶部54に格納する処理、及び、当該データを検知記憶部54から読み出す処理も実行可能である。
【0106】
通信処理部55cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部52を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部55cは、通信部52を介して、データ処理装置20、統合サーバ40、ユーザ端末60、医療機関端末70等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0107】
検知装置50の検知記憶部54は、機能概念的に、車両データ記憶部54a、ユーザデータ記憶部54b、異常検知データ記憶部54c、医療情報データ記憶部54dを含んで構成される。
【0108】
車両データ記憶部54aは、検知記憶部54において、車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部54aは、統合サーバ40から取得した車両データD1を記憶する。車両データ記憶部54aは、例えば、データ処理装置20が送信した車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含む車両データD1を記憶する。
【0109】
ユーザデータ記憶部54bは、検知記憶部54において、ユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部54bは、例えば、車載装置10、ユーザ端末60等を介して登録されたり、統合サーバ40の処理部44によって自動生成されたりしたユーザ基本情報D20、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、サービス設定情報D23、契約パッケージ情報D24、お気に入り情報D25等に関するデータを含むユーザデータD2を統合サーバ40から取得して記憶する。
【0110】
異常検知データ記憶部54cは、検知記憶部54において、異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部54cは、検知装置50において生成された異常検知データD4を記憶する。異常検知データ記憶部54cは、例えば、異常検知情報D41等に関するデータを含む異常検知データD4を記憶する。
【0111】
医療情報データ記憶部54dは、検知記憶部54において、医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部54dは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を記憶する。医療情報データ記憶部54dは、例えば、判定結果情報D51、治療プログラム情報D52、受診勧奨情報D53等に関するデータを含む医療情報データD5を記憶する。
【0112】
検知装置50の処理部55は、機能概念的に、上述したHMI処理部55a、データ処理部55b、通信処理部55cに加えて、さらに、検知処理部55dを含んで構成される。
【0113】
検知処理部55dは、所定の周期、又は、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて、車両データ記憶部54aに記憶されている車両データD1からユーザの異常な運転を検知する処理を行う部分である。検知処理部55dは、車両データD1から急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の特定の運転行動を異常な運転として検知する。また、検知処理部55dは、車両データD1から前方車両との車間距離が適切な車間距離よりも短縮した場合を異常な運転として検知してもよい。ここで、前方車両との適切な車間距離とは、例えば、ある地点を前方車両が通過してから3秒後に車両Vが通過する距離である。検知処理部55dは、ユーザの異常な運転を検知した場合、検知された異常な運転の内容等に関する情報を異常検知データD4として生成する。ここで、検知処理部55dは、検知された異常な運転の内容等に関する情報として、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等があった時の車両Vの周辺状況、車載カメラによって撮像された運転中のユーザの状態、及び、ユーザの生体情報に関する情報等も含めて異常検知データD4として生成してもよい。
【0114】
検知装置50のHMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、検知処理部55dによって生成された異常検知データD4や医療機関端末70から受信した医療情報データD5を、当該情報出力機器を介して出力する処理を実行可能である。また、検知装置50のデータ処理部55bは、検知処理部55dによって生成された異常検知データD4を異常検知データ記憶部54cに格納する処理を実行可能である。
【0115】
検知装置50の通信処理部55cは、通信部52を介して、統合サーバ40から車両データD1及びユーザデータD2を取得する処理を実行可能に構成されている。通信処理部55cは、統合サーバ40から取得した車両データD1を車両データ記憶部54aに記憶させ、統合サーバ40から取得したユーザデータD2をユーザデータ記憶部54bに記憶させるように構成されている。また、通信処理部55cは、通信部52を介して、医療機関端末70から医療情報データD5を取得する処理を実行可能に構成されている。通信処理部55cは、医療機関端末70から取得した医療情報データD5を医療情報データ記憶部54dに記憶させるように構成されている。また、通信処理部55cは、医療機関端末70に対して、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で送信するように構成されている。
【0116】
<ユーザ端末の基本構成>
図9に示すユーザ端末60は、上述したように、検知装置50からの医療情報通知を受信可能に構成された端末機器である。ユーザ端末60は、主にユーザが所有して使用する第1ユーザ端末60Aと、主にユーザの家族や関係者等が所有して使用する第2ユーザ端末60Bを含む。ここでは、第1ユーザ端末60Aと第2ユーザ端末60Bとの間には、実質的な構成の違いはない。ユーザ端末60は、例えば、統合サーバ40に記憶されているデータに基づいた各種サービス(例えば、契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等)も享受できるように構成されていてもよい。
【0117】
具体的には、ユーザ端末60は、HMI部61と、通信部62と、データ入出力部63と、ユーザ記憶部64と、処理部65とを備える。HMI部61、通信部62、データ入出力部63、ユーザ記憶部64、及び、処理部65は、相互に通信可能に接続されている。
【0118】
HMI部61は、ユーザ端末60において種々の入出力を行う機器である。HMI部61は、上述したHMI部12と同様に、ユーザ端末60に対する種々の入力を行う入力部としての操作入力機器、及び、ユーザ端末60から種々の出力を行う出力部としての情報出力機器を含んで構成される。
【0119】
通信部62は、他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部62は、上述した通信部41と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、統合サーバ40、検知装置50、医療機関端末70等)と通信を行う。
【0120】
データ入出力部63は、ユーザ端末60に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部63は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0121】
ユーザ記憶部64は、種々のデータを記憶する記憶回路である。ユーザ記憶部64は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。ユーザ記憶部64は、例えば、ユーザ端末60の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。ユーザ記憶部64は、処理部65での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部65等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0122】
処理部65は、ユーザ端末60を統括的に制御し、ユーザ端末60における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部65は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部65は、例えば、ユーザ記憶部64に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部65は、HMI部61を動作させる処理、通信部62を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0123】
本実施形態の処理部65は、ユーザ端末60における各種処理機能を実現するために、HMI処理部65a、データ処理部65b、及び、通信処理部65cを含んで構成される。処理部65は、例えば、ユーザ記憶部64に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらHMI処理部65a、データ処理部65b、及び、通信処理部65cの各処理機能を実現する。
【0124】
HMI処理部65aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部61を制御し、当該HMI部61を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部65aは、HMI部61を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部65aは、HMI部61を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0125】
データ処理部65bは、上述したデータ処理部44bと同様に、ユーザ端末60において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部65bは、通信部62を介して受信したデータをユーザ記憶部64に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部65bは、通信部62を介して送信するデータをユーザ記憶部64から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部65bは、データ入出力部63を介して入力されたデータをユーザ記憶部64に格納する処理、及び、データ入出力部63を介して出力するデータをユーザ記憶部64から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部65bは、HMI部61を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータをユーザ記憶部64に格納する処理、及び、当該データをユーザ記憶部64から読み出す処理も実行可能である。
【0126】
通信処理部65cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部62を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部65cは、通信部62を介して、データ処理装置20、統合サーバ40、検知装置50、医療機関端末70等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0127】
ユーザ端末60のユーザ記憶部64は、機能概念的に、ユーザデータ記憶部64a及びアプリ記憶部64bを含んで構成される。
【0128】
ユーザデータ記憶部64aは、ユーザ記憶部64において統合サーバ40に送信するユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部64aは、例えば、第1ユーザ端末60AのHMI部61を構成する操作入力機器へのユーザの操作に応じて登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータを含むユーザデータD2を記憶する。
【0129】
アプリ記憶部64bは、ユーザ記憶部64においてユーザ端末60で使用されるアプリケーションプログラムAPを記憶する記憶領域である。アプリ記憶部64bに記憶されているアプリケーションプログラムAPは、ユーザ端末60において実行されることで、検知装置50から送信された医療情報の通知を受信し、HMI部61の出力部に医療情報通知の内容を出力可能とするものである。具体的には、HMI部61は、例えば、ユーザの認知機能に関する判定結果、治療プログラム、受診勧奨の通知に関する情報を表示部に表示する。ここで、ユーザ端末60において、HMI部61の出力部は、ユーザによる操作を入出力可能なタッチパネル機能を有する表示部を含む。本実施形態では、受診勧奨の通知は、ユーザに推奨される行動の提示を含む。受診勧奨の通知があった場合、HMI部61の出力部は、ユーザに対してユーザに推奨される行動の提示を行う。具体的には、ユーザ端末60は、受診勧奨の通知を受信すると、アプリケーションプログラムAPがユーザ端末60において実行され、医療情報通知の内容に応じたユーザに推奨される行動をHMI部61の表示部に表示する。この構成により、ユーザに推奨される行動がユーザに提示される。そして、ユーザ端末60は、HMI部61の入力部が操作されて、ユーザに推奨される行動を実行する指示を受け付けたら、当該ユーザに推奨される行動を実行するようアプリケーションプログラムAPを動作させることが可能となる。なお、アプリケーションプログラムAPは、受診勧奨の通知に対応した処理を実行するものに限定されず、統合サーバ40と連動する各種サービスに応じたアプリケーション機能を実行可能であってもよい。
【0130】
ユーザ端末60の処理部65は、機能概念的に、HMI処理部65a、データ処理部65b、通信処理部65c、アプリ機能処理部65dを含んで構成される。
【0131】
ユーザ端末60のHMI処理部65aは、HMI部61を構成する表示部を制御し、アプリケーションプログラムAPによって実行される各種サービスに関する情報やデータを当該表示部に表示させる処理を実行可能である。図10図12は、ユーザ端末60が、医療情報通知に含まれる受診勧奨の通知をHMI部61の表示部に表示するときに、当該表示部において提示されるユーザに推奨される行動の一例を示すものである。
【0132】
例えば、図10に示すように、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動として「認知機能検査の受診をおススメします」の文言が表示されると共に、ユーザが当該行動を実行するために、HMI部61の入力部として、認知機能検査の受診を開始するアイコン60aを表示する。ユーザは、このアイコン60aにタッチすることで、認知機能検査を受診することができる。また、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動が複数表示されてもよい。図10に示す例では、ユーザに対して、内容の異なる2種類のWEB認知機能検査(WEB認知機能検査1及びWEB認知機能検査2)が選択可能に表示されている。
【0133】
また、例えば、図11に示すように、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動として「かかりつけ医への相談をご検討ください」の文言が表示されると共に、かかりつけ医へ電話をかけることのできる通話アイコン60b、及び、かかりつけ医宛てにメッセージを送信することのできる送信アイコン60cが表示されてもよい。この場合、ユーザ端末60は、ユーザから通話アイコン60bに対するタッチ操作を受け付けたら、かかりつけ医へ電話をかけることができる。また、ユーザ端末60は、ユーザから送信アイコン60cに対するタッチ操作を受け付けたら、かかりつけ医宛てにメッセージを送信することができる。
【0134】
また、例えば、図12に示すように、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動として「医療機関での受診をご検討ください」の文言が表示されると共に、医療機関の受診予約を行うことのできる予約アイコン60dが表示されてもよい。この場合、ユーザ端末60は、ユーザから予約アイコン60dに対するタッチ操作を受け付けたら、医療機関の受診予約を行うことができる。
【0135】
なお、ユーザ本人が所有する第1ユーザ端末60Aと、ユーザの家族や関係者等が所有する第2ユーザ端末60Bとには、同じ内容が表示される構成であってもよいし、本人向けの内容と家族や関係者等向けの内容とで互いに異なる内容が表示される構成であってもよい。例えば、ユーザの認知機能に関する判定結果や治療プログラムも含めて受診勧奨の通知を行う場合、第1ユーザ端末60A及び第2ユーザ端末60Bに同一の内容を表示させて、ユーザの家族や関係者等もユーザの認知機能に関する判定結果や治療プログラムを把握できるようにしてもよい。また、本人向けの内容と家族や関係者等向けの内容とで互いに異なる内容を通知する場合には、第1ユーザ端末60Aに対しては、本人向けの内容として、上述した図10図12に示すような受診勧奨の通知を行い、第2ユーザ端末60Bに対しては、家族や関係者等向けの内容として、ユーザに医療機関へ受診することを勧める旨の通知を行ったことを示す単なる連絡に関する通知を行ってもよい。
【0136】
ユーザ端末60のデータ処理部65bは、HMI部61を構成する操作入力機器への操作に応じて、ユーザ端末60の表示部に提示されたユーザに推奨される行動に関する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60のデータ処理部65bは、HMI部61を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてユーザデータ記憶部64aに格納する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60のデータ処理部65bは、要求に応じてユーザデータ記憶部64aに記憶されているユーザデータD2を読み出す処理を実行可能である。
【0137】
そして、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介してユーザデータ記憶部64aに記憶されているユーザデータD2を統合サーバ40に送信する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介して各種指令や要求を統合サーバ40等に送信する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介して統合サーバ40、検知装置50等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介して統合サーバ40や検知装置50等からサービス内容やアプリケーション機能に応じた各種情報を受信する処理を実行可能である。ユーザ端末60の通信処理部65cが統合サーバ40や検知装置50等からサービス内容やアプリケーション機能に応じて受信するデータは、例えば、統合サーバ40に記憶されている車両データD1、ユーザデータD2、異常検知データD4、医療情報データD5、及び、これらのデータに基づいて生成された各種情報、データ等が含まれていてもよい。
【0138】
アプリ機能処理部65dは、アプリ記憶部64bに記憶されているアプリケーションプログラムAPを実行する処理を実行可能な機能を有する部分である。アプリ機能処理部65dは、例えば、検知装置50から受診勧奨の通知を受信したことやHMI部61を構成する操作入力機器へ操作がなされたこと等に応じてアプリ記憶部64bに記憶されているアプリケーションプログラムAPを起動し、各種サービスに応じたアプリケーション機能を実行可能である。
【0139】
<医療機関端末の基本構成>
図13に示す医療機関端末70は、上述したように、検知装置50と通信可能に構成されており、主に医師等の医療従事者が使用する機器である。典型的には、医療機関端末70は、主に医療機関に設置された端末機器である。医療機関端末70は、検知装置50から送信されたユーザデータD2及び異常検知データD4を受信し、記憶部に記憶するよう構成されている。また、医療機関端末70は、医師等の医療従事者が、ユーザデータD2と異常検知データD4の内容を確認できるように構成されている。また、医療機関端末70は、医療機関の医師等が異常検知データD4と当該医療従事者の見解とに基づいて作成した医療情報データD5を記憶部に記憶し、当該医療情報データD5を検知装置50に送信するように構成されている。なお、医療機関端末70は、電子カルテ等の診察情報が記憶されているサーバやストレージ端末等に対してアクセス可能に構成されていてもよい。この場合、医療機関端末70は、ユーザデータD2から医療機関におけるユーザの診察情報を特定できるように構成される。ユーザデータD2から当該医療機関におけるユーザの診察情報を特定できた場合、医療従事者は、異常検知データD4に加えて、当該ユーザの診察情報の内容等も考慮して、医療情報データD5を作成することができる。医療機関端末70に記憶されるユーザデータD2には、医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報が含まれている。例えば、医療機関端末70は、ユーザデータD2に含まれる個人番号や健康保険証番号と、医療機関におけるユーザの診察情報に含まれる個人番号や健康保険証番号とを照合することによって、対象となるユーザの診察情報を特定する。また、ユーザデータD2に含まれるユーザの氏名、住所、電話番号、年齢、性別等の情報を利用して、対象となるユーザの診察情報を特定してもよい。なお、医療機関端末70は、医療情報データD5を医療機関に設けられているサーバやストレージ端末等の記憶装置に送信し、当該記憶装置に記憶されているユーザの診察情報(電子カルテ等)と関連付けて記憶させてもよい。
【0140】
医療機関端末70は、HMI部71と、通信部72と、データ入出力部73と、医療機関記憶部74と、処理部75とを備える。HMI部71、通信部72、データ入出力部73、医療機関記憶部74、及び、処理部75は、相互に通信可能に接続されている。
【0141】
HMI部71は、医療機関端末70において種々の入出力を行う機器である。HMI部71は、上述したHMI部12と同様に、医療機関端末70に対する種々の入力を行う操作入力機器、及び、医療機関端末70から種々の出力を行う情報出力機器を含んで構成される。
【0142】
通信部72は、医療機関端末70以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部72は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、サービス提供機器30、統合サーバ40、検知装置50等)と通信を行う。
【0143】
データ入出力部73は、医療機関端末70に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。医療機関端末70は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0144】
医療機関端末70の処理部75は、機能概念的に、HMI処理部75a、データ処理部75b、通信処理部75cを含んで構成される。
【0145】
医療機関端末70のHMI処理部75aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部71を制御し、当該HMI部71を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部75aは、HMI部71を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部75aは、HMI部71を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0146】
医療機関端末70のデータ処理部75bは、上述したデータ処理部44bと同様に、ユーザ端末60において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部75bは、通信部72を介して受信したデータを医療機関記憶部74に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部75bは、通信部72を介して送信するデータを医療機関記憶部74から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部75bは、データ入出力部73を介して入力されたデータを医療機関記憶部74に格納する処理、及び、データ入出力部73を介して出力するデータを医療機関記憶部74から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部75bは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて作成されたデータを医療機関記憶部74に格納する処理、及び、当該データを医療機関記憶部74から読み出す処理も実行可能である。
【0147】
医療機関端末70の通信処理部75cは、通信部72を介して、検知装置50からのユーザデータD2及び異常検知データD4を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部75cは、通信部72を介して、検知装置50に対して医療情報データD5を送信する処理を実行可能である。
【0148】
医療機関端末70の通信処理部75cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部72を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部75cは、通信部72を介して、データ処理装置20、検知装置50、ユーザ端末60等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0149】
医療機関記憶部74は、機能概念的に、ユーザデータ記憶部74a、異常検知データ記憶部74b、医療情報データ記憶部74cを含んで構成される。
【0150】
医療機関端末70のユーザデータ記憶部74aは、医療機関端末70において、ユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部74aは、検知装置50から異常検知データD4と関連付けられた状態で送信されたユーザデータD2を記憶する。医療機関端末70の異常検知データ記憶部74bは、医療機関端末70において、異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部74bは、検知装置50からユーザデータD2と関連付けられた状態で送信された異常検知データD4を記憶する。また、医療情報データ記憶部74cは、医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部74cは、HMI部71を構成する操作入力機器の操作に応じて、ユーザの認知機能に関する判定結果、治療プログラム、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨に関する情報等を含めて医療情報データD5として記憶する。
【0151】
データ処理部75bは、ユーザデータD2と関連付けられた異常検知データD4を、検知装置50から通信部72を介して受信し、ユーザデータD2と異常検知データD4とが関連付けられた状態を保持したまま、ユーザデータD2をユーザデータ記憶部74aに格納し、異常検知データD4を異常検知データ記憶部74bに格納する。ユーザデータD2と異常検知データD4との関連付けを保持することで、医療機関において、異常検知データD4に対応するユーザの特定が可能となる。
【0152】
以上、本実施形態に係る異常検知システム1の全体構成の概略について説明した。
【0153】
<異常検知システムにおけるデータの流れ>
次に、図14及び図15を参照して本実施形態に係る異常検知システム1における各処理の流れの一例について説明する。なお、以下の説明において、データの送受信は、ネットワークNWを介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する場合がある。また、以下では、主にデータの流れに着目して説明するため、各機器における処理部等に関する具体的な処理動作についての記載は適宜省略する場合があり、必要に応じて上述した全体構成の概略を参照するものとする。また、以下で説明する各処理の流れは、あくまでも代表的なものの一例でありこれに限定されるものではない。
【0154】
<ユーザデータ、車両データの格納>
まず、図14に示すように、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザデータD2のうちユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)において登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2として統合サーバ40に送信する(ステップS1)。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、初期登録されたユーザデータD2に限らず、初期登録後に更新されたユーザデータD2を統合サーバ40に送信することも可能である。また、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザに対する医療情報通知が、ユーザの家族や関係者等が使用する第2ユーザ端末60Bにも通知されるように、第2ユーザ端末60Bの端末登録情報をユーザ基本情報D20に含めてユーザデータD2として送信することもできる。また、ユーザが受診勧奨の通知に関するサービスに対して新規に登録する場合や既に登録済みの受診勧奨の通知に関するサービスに対して登録情報を変更する場合等において、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を用いて車両識別情報D10を端末登録情報に含めることで、車両識別情報D10をユーザデータD2に登録することができる。これにより、統合サーバ40に車両データD1が記憶されていない場合でも、車両識別情報D10に基づいてユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けて管理することができる。
【0155】
そして、統合サーバ40は、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)からユーザデータD2を受信すると、受信したユーザデータD2に基づいて、一部のユーザデータD2を自動生成する(ステップS2)。ここでは、統合サーバ40は、例えば、ユーザ端末60から受信したユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータに基づいて、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成する。
【0156】
なお、ユーザデータD2の登録は、例えば、車載装置10を介して行うことも可能である。この場合、車載装置10は、ユーザのHMI部12への操作に応じてユーザデータD2のうちの一部の情報を登録可能であり、登録された一部の情報に関するデータをユーザデータD2としてデータ処理装置20に送信し、当該データ処理装置20を経由して統合サーバ40に送信する(ステップS3)。
【0157】
統合サーバ40は、受信したユーザデータD2、及び、自動生成したユーザデータD2をユーザID・D60と関連付けてサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納する(ステップS4)。
【0158】
車載装置10は、検出・取得部11によって検出や取得された車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信する(ステップS5)。このとき、車両データD1には、車両識別情報D10が含まれている。データ処理装置20は、車載装置10から車両データD1を受信すると、受信した車両データD1を、統合サーバ40へ送信する。
【0159】
そして、統合サーバ40は、データ処理装置20から車両データD1を受信すると、IDデータD6に基づきユーザID・D60及び車両ID・D61に関連付けて車両データD1をサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納する。このとき、ユーザID・D60と車両ID・D61は相互に関連付けられているため、車両データD1は、車両識別情報D10に基づいて、ユーザデータD2と関連付けられてサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納することができる(ステップS6)。
【0160】
<ユーザの異常な運転の検知、医療情報通知>
図15に示すように、検知装置50は、ユーザの異常な運転の検知に使用する車両データD1を統合サーバ40から取得する場合、当該統合サーバ40にデータ送信要求を送信する(ステップS7)。統合サーバ40は、検知装置50からデータ送信要求を受信したら、対象となる車両データD1と当該車両データD1に対応するユーザデータD2とを読み出す(ステップS8)。そして、統合サーバ40は、読み出した車両データD1及び当該車両データD1に対応するユーザデータD2を検知装置50に送信する(ステップS9)。ここで、統合サーバ40は、車両データD1とユーザデータD2とを関連付けた状態で検知装置50に送信する。検知装置50は、車両データD1及びユーザデータD2を受信したら、当該車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転の検知を行う(ステップS10)。そして、検知装置50は、検知結果の内容を含む異常検知データD4を生成し、検知記憶部54に格納する(ステップS11)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4を車両データD1及びユーザデータD2と関連付けた状態で検知記憶部54に格納する。その後、検知装置50は、生成した異常検知データD4を統合サーバ40に送信する(ステップS13)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4を統合サーバ40に送信するとき、統合サーバ40が、検知装置50から受信した異常検知データD4を統合サーバ40に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、検知装置50は、車両データD1やユーザデータD2と関連付けた状態で異常検知データD4を統合サーバ40に送信する。そして、統合サーバ40は、検知装置50から受信した異常検知データD4を統合サーバ40に記憶されている車両データD1に含まれる車両識別情報D10やユーザデータD2等に基づいて照合し、これらを関連付けた状態でサーバ記憶部43に格納し、管理する(ステップS13)。
【0161】
そして、検知装置50は、異常検知データD4に基づいてユーザの異常な運転が検知されているか否かを確認する(ステップS14)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4に基づき車両Vにおけるユーザの運転に異常はないと確認された場合、次回のデータ送信要求を送信するまで処理を終了する。また、検知装置50は、異常検知データD4に基づきユーザの運転に異常があると確認された場合(ユーザの異常な運転が検知された場合)、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関の医療機関端末70へ送信する(ステップS15)。このとき、検知装置50は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて、ユーザに対して同意確認を行ってもよい。同意確認を行う場合、検知装置50は、ユーザデータD2から同意確認を行うユーザのユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を特定し、当該ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)に対して、同意確認の通知を行う。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、ユーザからの操作に応じて、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて同意するか否かの回答を検知装置50に送信する。そして、検知装置50は、ユーザがユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することに同意した場合にのみ、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信する。
【0162】
医療機関端末70は、検知装置50から送信されたユーザデータD2及び異常検知データD4を受信したら、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納し、管理する。医療機関端末70は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関における医師等の医療従事者が利用可能な状態に処理する。当該処理されたユーザデータD2及び異常検知データD4は、医療機関における医療従事者がユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定するために利用される。医療機関における医師等の医療従事者は、異常検知データD4及び自身の見解等に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する(ステップS16)。そして、医療機関における医師等の医療従事者は、当該判定の結果に基づいて医療情報データD5を作成し、医療機関端末70の医療機関記憶部74に格納する。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5をユーザデータD2や異常検知データD4と関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納する。そして、医療機関端末70は、検知装置50に対して医療情報データD5を送信する(ステップS17)。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5を検知装置50に送信するとき、検知装置50が、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を検知装置50に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、医療機関端末70は、医療情報データD5を当該医療情報データD5と対応するユーザデータD2と関連付けた状態で検知装置50に送信する。そして、検知装置50は、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を検知装置50に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けた状態で検知記憶部54に格納し、管理する。
【0163】
検知装置50は、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報を統合サーバ40に送信し、医療情報通知を行う(ステップS18)。統合サーバ40は、検知装置50から医療情報を受信したら、医療情報を通知する対象について照合を行う(ステップS19)。当該通知対象の照合によって、医療情報を通知する対象となるユーザのユーザ端末60を特定する。ここで、検知装置50は、統合サーバ40を介してユーザ端末60に医療情報通知を行う際に、統合サーバ40が医療情報通知を行うユーザ端末60を特定できる状態で、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報を統合サーバ40に送信する。例えば、検知装置50は、ユーザデータD2と治療プログラム等を含む医療情報とを関連付けた状態で統合サーバ40に送信することで、統合サーバ40は、検知装置50から受信したユーザデータD2に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。また、検知装置50は、例えば、車両データD1に含まれる車両識別情報D10と治療プログラム等を含む医療情報とを関連付けた状態で統合サーバ40に送信することで、統合サーバ40は、検知装置50から受信した車両識別情報D10に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。
【0164】
統合サーバ40は、医療情報を通知する対象のユーザ端末60を特定したら、当該特定したユーザ端末60に対して医療情報通知を送信する(ステップS20)。ユーザ端末60は、統合サーバ40から医療情報通知を受信したら、医療情報通知に応じた内容を表示部に表示する(ステップS21)。例えば、医療情報通知の内容がユーザの認知機能に関する判定結果であった場合、ユーザ端末60には、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に治療プログラムが含まれていた場合、ユーザ端末60には、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラムに関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に認知機能に関する疾患についての受診勧奨が含まれていた場合、図10から図12に示すような、受診勧奨に関する情報が出力される。
【0165】
なお、上記の実施形態では、異常検知システム1におけるサービス提供機器30が統合サーバ40(記憶部)と検知装置50(通知部及び検知部)とを含む構成を例に説明したが、この構成に限られない。例えば、異常検知システム1におけるサービス提供機器30は、少なくとも通知部及び検知部を含んでいればよい。この場合、異常検知システム1は、車両Vに搭載された車載機器や外部の記憶装置(記憶部)等から車両データD1等を取得し、当該取得した車両データD1等に基づいて、検知部により車両Vのユーザの異常な運転の検知が行われる。
【0166】
<第1実施形態の作用効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る異常検知システム1は、少なくとも車両Vの走行情報D13を含む車両データD1から当該車両Vのユーザの異常な運転を検知する検知部と、ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部とを有するサービス提供機器30と、サービス提供機器30と通信可能に構成されるユーザ端末60、60A、60Bと、を含み、通知部は、検知部によって検知された異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに通知する。
【0167】
本実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10により収集された車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知されたユーザの異常な運転に関する情報を医療機関へ提供するため、医療機関において、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況から認知機能低下の兆候や症状等の有無を判定することができる。これにより、ユーザにおける認知機能低下の兆候や症状等を早期に発見することが可能となる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関の医師等の医療従事者が、ユーザの異常な運転に関する情報を含む異常検知データD4に基づいてユーザの認知機能に関する疾患等を判定することができるため、従来から行われている認知機能に関する簡易検査とは異なり、このような簡易検査を受ける者の一時的な状態に基づく判定ではなく、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況からユーザの認知機能に関する疾患の有無等の判定が可能となる。したがって、上述したような簡易検査と比べて、認知機能低下の兆候や症状を適時に判定できるため、特に、初期段階における認知機能の異常の検出が可能となる。
【0168】
また、本実施形態に係る異常検知システム1は、車両Vのユーザに関するユーザデータD2と車両Vの走行情報D13を含む車両データD1とを記憶する記憶部と、車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データD4を記憶部に記憶させる検知部と、ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部と、を有するサービス提供機器30と、サービス提供機器30と通信可能に構成されたユーザ端末60、60A、60Bと、を含み、通知部は、少なくとも異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信し、当該異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに通知する。
【0169】
本実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10により収集されて記憶部に記憶された車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知されたユーザの異常な運転に関する情報を医療機関へ提供するため、医療機関において、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況から認知機能低下の兆候や症状等の有無を判定することができる。これにより、ユーザにおける認知機能低下の兆候や症状等を早期に発見することが可能となる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関の医師等の医療従事者が、ユーザの異常な運転に関する情報を含む異常検知データD4に基づいてユーザの認知機能に関する疾患等を判定することができるため、従来から行われている認知機能に関する簡易検査とは異なり、このような簡易検査を受ける者の一時的な状態に基づく判定ではなく、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況からユーザの認知機能に関する疾患の有無等の判定が可能となる。したがって、上述したような簡易検査と比べて、認知機能低下の兆候や症状を適時に判定できるため、特に、初期段階における認知機能の異常の検出が可能となる。
【0170】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、通知部は、異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、医療情報データD5に対応するユーザデータD2からユーザ端末60、60A、60Bを特定し、ユーザ端末60、60A、60Bに対して、医療情報データD5に基づいた内容の通知である医療情報通知を行う。
【0171】
本実施形態に係る異常検知システム1は、ユーザの異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報をユーザ(ユーザ端末60)に通知することで、ユーザの認知機能に関する疾患について、ユーザに対して早期の治療を促すことができる。
【0172】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、医療情報データD5は、医療従事者がユーザに適していると判断した治療プログラム、ユーザの認知機能に関する判定結果、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨のうちの少なくとも何れか1つに関する情報を含む。
【0173】
本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関の医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療プログラムを当該ユーザ(ユーザ端末60)に通知することで、ユーザが具体的な治療計画などを把握することを可能とし、例えば、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。また、ユーザの認知機能に関する判定結果をユーザ(ユーザ端末60)に通知することによって、ユーザが自身の認知機能の状態や治療の必要性を知ることができ、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。また、ユーザに対して、認知機能に関する疾患についての受診勧奨の通知を行うことで、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。
【0174】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、医療情報データD5に受診勧奨に関する情報が含まれる場合、通知部は、ユーザに推奨される行動の提示を含んだ医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに送信し、ユーザ端末60、60A、60Bは、ユーザに推奨される行動を提示するとともに、当該行動を実行する操作を受け付け可能に表示する。
【0175】
本実施形態に係る異常検知システム1は、ユーザに推奨される具体的な行動の提示を行い、その行動を実行する操作を受け付け可能な入力部(アイコン60a~60d)を設けることで、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。認知機能の低下は、外傷に現れるものではないことも相まって、例えば、ユーザが、専門医が何科にあたるのかが分からなかったり、総合病院に初診では行きづらかったりする場合がある。このような場合でも、ユーザ端末60に入力部(アイコン60a~60d)を操作可能に表示することにより、ユーザは推奨される行動をスムーズにとることができる。すなわち、ユーザ端末60に入力部(アイコン60a~60d)を操作可能に設けることで、ユーザが医療機関への予約等を行う際の心理的な障壁を低減することができる。
【0176】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、記憶部は、ユーザデータD2と車両データD1と異常検知データD4とを関連付けてユーザ毎に記憶しており、ユーザデータD2は、医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報を含む。
【0177】
本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報をユーザデータD2に含めることで、当該医療機関の医師等の医療従事者が、ユーザの過去及び現在の診察情報を参照しながら、認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無等の判定を行うことを可能にする。これにより、より詳細な内容の医療情報をユーザ(ユーザ端末60)に通知できる。
【0178】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、サービス提供機器30は、ユーザデータD2、車両データD1及び異常検知データD4を管理する統合サーバ40と、統合サーバ40と通信可能に構成された検知装置50と、を含み、統合サーバ40は、記憶部を有し、検知装置50は、検知部及び通知部を有する。
【0179】
実施形態に係る異常検知システム1は、ユーザデータD2や異常検知データD4などの個人情報を1つのサーバ(統合サーバ40)で一括に管理するため、各種データを分散して管理することがなく、秘密保持性を向上させることができる。また、複数のサーバでデータ管理を行う場合と比較して、重複して記憶されるデータを削減することができ、必要な記憶容量を低減させることができる。これにより、ストレージ資源を有効に活用することができる。
【0180】
また、本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、車両Vのユーザに関するユーザデータD2と車両Vの走行情報D13を含む車両データD1とを記憶する記憶部と、車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データD4を記憶部に記憶させる検知部と、ユーザに対して医療情報に関する通知を行う通知部と、を有するサービス提供機器30を含み、通知部は、少なくとも異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信し、当該異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、当該医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに通知する。
【0181】
本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、車載装置10により収集された車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知されたユーザの異常な運転に関する情報を医療機関へ提供するため、医療機関において、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況から認知機能低下の兆候や症状等の有無を判定することができる。これにより、ユーザにおける認知機能低下の兆候や症状等を早期に発見することが可能となる。また、本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、医療機関の医師が、ユーザの異常な運転に関する情報を含む異常検知データD4に基づいてユーザの認知機能に関する疾患等を判定することができるため、従来から行われている認知機能に関する簡易検査とは異なり、このような簡易検査を受ける者の一時的な状態に基づく判定ではなく、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況からユーザの認知機能に関する疾患の有無等の判定が可能となる。したがって、上述したような簡易検査と比べて、認知機能低下の兆候や症状を適時に判定できるため、特に、初期段階における認知機能の異常の検出が可能となる。
【0182】
<第2実施形態>
次に、図16から図21を参照して、第2実施形態について説明する。本実施形態に係る異常検知システム1、及び、基地局機器において、上述の実施形態の異常検知システム1、及び、基地局機器と異なる点は、統合サーバ40の代わりに2つのサーバ(モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40B)が連携して各種データを管理している点である。つまり、本実施形態に係る異常検知システム1、及び、基地局機器においては、別個に独立に構成されたサーバ(モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40B)が互いに連携して各種データを管理する。モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、相互に連携して異常検知システム1の記憶部を構成している。モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、例えば、種々のコンピュータ機器等によって構成されてもよい。また、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、例えば、既知のコンピュータ機器に種々の処理を実現させるプログラムをインストールすることで構成することもできる。ここで、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、異なる物理サーバとして別個に独立して構成されてもよいし、種々の仮想化技術によって、同一の物理サーバ、あるいは、複数の物理サーバ上にいわゆる仮想サーバとして別個に独立して構成されてもよい。つまり、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、データをそれぞれ相互に独立して保有する構造となっている。このように、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、物理的又は構造的に独立してもよいし、例えば、プロセッサ等の各構成部を物理的に共通とした上で記憶領域を相互に独立させて構成されてもよい。
【0183】
図16及び図17に示すように、本実施形態に係る異常検知システム1は、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B及び検知装置50がサービス提供機器30を構成する。そして、車載装置10と、データ処理装置20と、サービス提供機器30と、ユーザ端末60と、医療機関端末70とがネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成されている。ここで、サービス提供機器30は、例えば、車両Vとユーザ端末60や医療機関端末70との間の通信を中継する基地局100に設けられる基地局機器を構成し、例えば、医療に関する各種サービスを展開する事業者や車両Vの開発を行う事業者等によって管理される。なお、検知装置50は基地局100に配置される必要はなく、基地局100とは異なる場所で管理されていてもよい。例えば、検知装置50は、基地局の所在地とは異なる遠隔地から基地局機器にアクセスするものであってもよい。すなわち、少なくともモビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bによって基地局機器が構成されていればよい。
【0184】
図17に示すように、本実施形態に係る異常検知システム1において、車両データD1は、車両Vの車載装置10からモビリティサーバ40Aに送信される。ここでは、車両データD1は、車載装置10から、データ処理装置20を介して、モビリティサーバ40Aに送信される。モビリティサーバ40Aは、車載装置10から受信した車両データD1を記憶する。
【0185】
以下、本実施形態に係る異常検知システム1におけるモビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bの各構成について説明する。
【0186】
<モビリティサーバ及びメディカルサーバの基本構成>
図18に示すモビリティサーバ40Aと図19に示すメディカルサーバ40Bは、上述の第1実施形態に係る異常検知システム1における統合サーバ40に相当するサーバである。本実施形態に係る異常検知システム1では、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとが連携して統合サーバ40と同様の機能を果たすように構成されている。つまり、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、互いに連携してコネクテッドサービスを展開するコネクテッドサーバとして機能する。本実施形態の異常検知システム1では、医療情報を通知するサービスに限らず、モビリティサーバ40Aが記憶しているデータを活用して、例えば、契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等のコネクテッドサービスをユーザに提供できる。
【0187】
図18及び図19に示すように、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bの基本的な構成は、それぞれ、統合サーバ40と同様であり、通信部41と、データ入出力部42と、サーバ記憶部43と、処理部44とを備えている。通信部41、データ入出力部42、サーバ記憶部43、及び、処理部44は、相互に通信可能に接続されている。
【0188】
そして、本実施形態において、モビリティサーバ40Aのサーバ記憶部43は、機能概念的に、車両データ記憶部43a、IDデータ記憶部43b、ユーザデータ記憶部43c、及び、端末データ記憶部43dを含んで構成される。また、メディカルサーバ40Bのサーバ記憶部43は、機能概念的に、車両データ記憶部43a、異常検知データ記憶部43e、及び、医療情報データ記憶部43fを含んで構成される。本実施形態に係る異常検知システム1におけるその他の基本構成は、上述の第1実施形態に係る異常検知システム1における基本構成と同様である。なお、上述したモビリティサーバ40A、及び、メディカルサーバ40Bは、典型的には、各種データをCSV、Excel等のテーブル形式で記憶するいわゆるリレーショナル型サーバとして構成されるがこれに限らない。例えば、モビリティサーバ40A、及び、メディカルサーバ40Bは、各種データをXMLやJSON等の形式で記憶するいわゆるNoSQL型サーバとして構成されてもよい。この場合、モビリティサーバ40A、及び、メディカルサーバ40Bは、例えば、同時に大量のデータを検索し易い構成とすることができる。
【0189】
本実施形態において、検知装置50は、車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知する際に、モビリティサーバ40Aに記憶されている車両データD1のうち、ユーザの異常な運転の検知に必要な種別の車両データD1を取得する。ここで、モビリティサーバ40Aは、車両データD1とユーザデータD2とを関連付けた状態で検知装置50に送信する。検知装置50は、モビリティサーバ40Aから取得した車両データD1に基づいてユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転に関する内容を含む異常検知データD4を生成する。そして、検知装置50は、異常検知データD4を車両データD1の車両識別情報D10と関連付けた状態でメディカルサーバ40Bに送信する。また、検知装置50は、ユーザの異常な運転を検知した場合、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関端末70に送信する。
【0190】
そして、医療機関において医師等の医療従事者は、医療機関端末70を利用して、異常検知データD4と自身の見解とに基づいて医療情報データD5を作成する。医療機関端末70は、医療情報データD5を検知装置50に送信する。検知装置50は、医療情報データD5を車両データD1の車両識別情報D10と関連付けた状態でメディカルサーバ40Bに送信し、記憶部に記憶させる。また、検知装置50は、医療情報データD5と対応するユーザデータD2からユーザ端末60を特定し、当該特定されたユーザ端末60に対して、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報通知を行う。ここで、検知装置50は、医療情報通知を車両データD1の車両識別情報D10やユーザデータD2と関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信し、モビリティサーバ40Aが、医療情報通知に関連付けられた車両識別情報D10と対応するユーザデータD2を照会したり、医療情報通知に関連付けられたユーザデータD2と一致するユーザデータD2を照会したりしてユーザ端末60を特定し、当該ユーザ端末60に医療情報通知を送信する。
【0191】
<異常検知システムにおけるデータの流れ>
次に、図20及び図21を参照して本実施形態に係る異常検知システム1における各処理の流れの一例について説明する。なお、本実施形態における説明と同様、以下の説明においては、データの送受信は、ネットワークNWを介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する場合がある。また、以下では、主にデータの流れに着目して説明するため、各機器における記憶部及び処理部に関する具体的な処理動作についての記載は適宜省略する場合があり、必要に応じて上述した全体構成の概略を参照するものとする。また、以下で説明する各処理の流れは、あくまでも代表的なものの一例でありこれに限定されるものではない。
【0192】
<ユーザデータ、車両データの格納>
まず、図20に示すように、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザデータD2のうちユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)において登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてモビリティサーバ40Aに送信する(ステップS31)。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、初期登録されたユーザデータD2に限らず、初期登録後に更新されたユーザデータD2をモビリティサーバ40Aに送信することも可能である。また、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザに対する受診勧奨の通知が、主にユーザの家族や関係者等が使用する第2ユーザ端末60Bにも通知されるように、第2ユーザ端末60Bの端末登録情報をユーザ基本情報D20に含めてユーザデータD2として送信することもできる。
【0193】
そして、モビリティサーバ40Aは、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)からユーザデータD2を受信すると、受信したユーザデータD2に基づいて、一部のユーザデータD2を自動生成する(ステップS32)。ここでは、モビリティサーバ40Aは、例えば、ユーザ端末60から受信したユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータに基づいて、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成する。モビリティサーバ40Aは、これらの生成されたユーザデータD2をサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納する。
【0194】
なお、ユーザデータD2の登録は、例えば、車載装置10を介して行うことも可能である。この場合、車載装置10は、ユーザのHMI部12への操作に応じてユーザデータD2のうちの一部の情報を登録可能であり、登録された一部の情報に関するデータをユーザデータD2としてデータ処理装置20に送信し、当該データ処理装置20を経由してモビリティサーバ40Aに送信することもできる(ステップS33)。
【0195】
そして、モビリティサーバ40Aは、受信したユーザデータD2、自動生成したユーザデータD2、及び、ユーザID・D60と関連付けてサーバ記憶部43に格納する(ステップS34)。
【0196】
車載装置10は、上述の第1実施形態と同様に、検出・取得部11によって検出や取得された車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信する(ステップS35)。車載装置10は、車両識別情報D10とこれに対応する車両データD1とが関連付けられた状態で、当該車両データD1をデータ処理装置20に送信する。データ処理装置20は、車載装置10から車両データD1を受信すると、受信した車両データD1を、モビリティサーバ40Aへ送信する。
【0197】
そして、モビリティサーバ40Aは、データ処理装置20から車両データD1を受信すると、車両ID・D61関連付けてサーバ記憶部43に格納する。このとき、ユーザID・D60と車両ID・D61は、IDデータD6に基づき相互に関連付けられているため、車両データD1とユーザデータD2とを関連付けてモビリティサーバ40Aのサーバ記憶部43に格納することができる(ステップS36)。また、車両データD1のうち、ユーザの異常な運転を検知に必要な種別の車両データD1がモビリティサーバ40Aからメディカルサーバ40Bに送信され、メディカルサーバ40Bのサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納される(ステップS37)。
【0198】
<ユーザの異常な運転の検知、医療情報通知>
図21に示すように、検知装置50は、ユーザの異常な運転の検知及び医療情報通知に使用する車両データD1及びユーザデータD2をモビリティサーバ40Aから取得する場合、当該モビリティサーバ40Aにデータ送信要求を送信する(ステップS38)。モビリティサーバ40Aは、検知装置50からデータ送信要求を受信したら、対象となる車両データD1と当該車両データD1に対応するユーザデータD2とを読み出す(ステップS39)。そして、モビリティサーバ40Aは、読み出した車両データD1とユーザデータD2とを関連付けた状態で検知装置50に送信する(ステップS40)。検知装置50は、車両データD1及びユーザデータD2を受信したら、車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転の検知を行う(ステップS41)。そして、検知装置50は、検知結果の内容を含む異常検知データD4を生成し、検知記憶部54に格納する(ステップS42)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4を車両データD1及びユーザデータD2と関連付けた状態で検知記憶部54に格納する。その後、検知装置50は、生成した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信する(ステップS43)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信するとき、メディカルサーバ40Bが、検知装置50から受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶されている車両データD1及びユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。例えば、検知装置50は、異常検知データD4を車両データD1の車両識別情報D10やユーザデータD2のユーザ基本情報D20と関連付けた状態で、メディカルサーバ40Bに送信する。そして、メディカルサーバ40Bは、検知装置50から受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶されている車両データD1やユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けた状態でサーバ記憶部43に格納し、管理する(ステップS44)。
【0199】
そして、検知装置50は、異常検知データD4に基づいて、ユーザの異常な運転が検知されているか否かを確認する(ステップS45)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4に基づき車両Vにおけるユーザの運転に異常はないと確認された場合、次回のデータ送信要求を送信するまで処理を終了する。また、検知装置50は、異常検知データD4に基づきユーザの運転に異常があると確認された場合(ユーザの異常な運転が検知された場合)、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関の医療機関端末70へ送信する(ステップS46)。このとき、上述の第1実施形態と同様に、検知装置50は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて、ユーザに対して同意確認を行ってもよい。同意確認を行う場合、検知装置50は、ユーザデータD2から同意確認を行うユーザのユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を特定し、当該ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)に対して、同意確認の通知を行う。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、ユーザからの操作に応じて、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて同意するか否かの回答を検知装置50に送信する。そして、検知装置50は、ユーザがユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することに同意した場合にのみ、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信する。
【0200】
医療機関端末70は、検知装置50から送信されたユーザデータD2及び異常検知データD4を受信したら、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納し、管理する。医療機関端末70は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関における医師等の医療従事者が利用可能な状態に処理する。当該処理されたユーザデータD2及び異常検知データD4は、医療機関における医療従事者がユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定するために利用される。医療機関における医療従事者は、異常検知データD4及び自身の見解等に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する(ステップS47)。そして、医療機関における医師等の医療従事者は、当該判定の結果に基づいて医療情報データD5を作成し、医療機関端末70の医療機関記憶部74に格納する。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5をユーザデータD2や異常検知データD4と関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納する。そして、医療機関端末70は、検知装置50に対して医療情報データD5を送信する(ステップS48)。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5を検知装置50に送信するとき、検知装置50が、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を検知装置50に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、医療機関端末70は、医療情報データD5を当該医療情報データD5に対応するユーザデータD2と関連付けた状態で検知装置50に送信する。そして、検知装置50は、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を検知装置50に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けた状態で検知記憶部54に格納し、管理する。
【0201】
検知装置50は、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をモビリティサーバ40Aに送信し、医療情報通知を行う(ステップS49)。モビリティサーバ40Aは、検知装置50から医療情報を受信したら、医療情報を通知する対象について照合を行う(ステップS50)。当該通知対象の照合によって、医療情報を通知する対象となるユーザのユーザ端末60を特定する。ここで、検知装置50は、モビリティサーバ40Aを介してユーザ端末60に医療情報通知を行う際に、モビリティサーバ40Aが医療情報通知を行うユーザ端末60を特定できる状態で、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報をモビリティサーバ40Aに送信する。例えば、検知装置50は、ユーザデータD2と治療プログラム等を含む医療情報とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信することで、モビリティサーバ40Aは、検知装置50から受信したユーザデータD2に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。また、検知装置50は、例えば、車両データD1に含まれる車両識別情報D10と治療プログラム等を含む医療情報とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信することで、モビリティサーバ40Aは、検知装置50から受信した車両識別情報D10に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。
【0202】
モビリティサーバ40Aは、医療情報を通知する対象のユーザ端末60を特定したら、当該特定したユーザ端末60に対して医療情報通知を送信する(ステップS51)。ユーザ端末60は、モビリティサーバ40Aから医療情報通知を受信したら、医療情報通知に応じた内容を表示部に表示する(ステップS52)。例えば、医療情報通知の内容がユーザの認知機能に関する判定結果であった場合、ユーザ端末60には、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に治療プログラムが含まれていた場合、ユーザ端末60には、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラムに関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に認知機能に関する疾患についての受診勧奨が含まれていた場合、図10から図12に示すような、受診勧奨に関する情報が出力される。
【0203】
<第2実施形態の作用効果>
以上、説明したように、第2実施形態に係る異常検知システム1において、サービス提供機器30は、ユーザデータD2及び車両データD1を管理するモビリティサーバ40Aと、異常検知データD4を管理するメディカルサーバ40Bと、メディカルサーバ40Bと通信可能に構成された検知装置50と、を含み、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、相互に連携して記憶部を構成し、ユーザデータD2と車両データD1と異常検知データD4とを関連付けて管理しており、検知装置50は、検知部及び通知部を有する。
【0204】
本実施形態に係る異常検知システム1は、モビリティサーバ40Aで車両データD1及びユーザデータD2を管理し、モビリティサーバ40Aとは異なるメディカルサーバ40Bで機密性の高いユーザの身体に関係する情報を含む異常検知データD4を管理するように構成されている。この構成により、個人情報を含むユーザデータD2と機密性の高い異常検知データD4とが直接関連付かないよう分けて管理されるため、秘密保持性を向上させつつ、各種データの円滑な利用を可能にする。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、サービス提供機器30による医療情報の通知に加えて、モビリティサービス提供機器30Aで管理されている車両データD1を代理店(ディーラ)や車両Vの開発事業者にも利用可能にすることで、各種サービスや分析に活用することができる。例えば、モビリティサービス提供機器30Aは、車両Vのメンテナンスに関するサービスに活用される。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、用途に応じてサーバが分けられているため、当該用途に応じたデータ種別や好適な周期で車両データD1を取得することが可能となる。これにより、相互に影響を与えることなくサーバをメンテナンスできたり、ストレージ資源を有効に活用できたりする。
【0205】
また、第2実施形態に係る異常検知システム1において、車両データD1は、車両を識別する車両識別情報D10を含み、モビリティサーバ40Aは、ユーザデータD2と車両識別情報D10とを関連付けて記憶し、メディカルサーバ40Bは、異常検知データD4と車両識別情報D10と関連付けて記憶する。
【0206】
本実施形態に係る異常検知システム1は、車両識別情報D10を介してユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けることで、モビリティサーバ40AのユーザデータD2とメディカルサーバ40Bの異常検知データD4等とを直接対応させることなく、それぞれを別々のサーバで管理することができ、データ管理の機密性を向上させることができる。
【0207】
<第3実施形態>
次に、図22から図28を参照して、第3実施形態について説明する。図22及び図23に示すように、本実施形態に係る異常検知システム1、及び、基地局機器(サービス提供機器30)において、上述の第1実施形態の異常検知システム1、及び、基地局機器(サービス提供機器30)と異なる点は、モビリティサーバ40Cと分析装置90とから構成されるモビリティサービス提供機器30Aが設けられている点である。また、本実施形態に係る異常検知システム1において、サービス提供機器30は、メディカルサーバ40Dと検知装置50とによって構成されている。モビリティサービス提供機器30Aは、サービス提供機器30とは異なる機能を有しており、当該サービス提供機器30とは独立して車両Vに関する様々なデータを管理し、これらのデータを各種サービスや分析に活用することができるシステムを構成する。そして、モビリティサーバ40Cとメディカルサーバ40Dとは連携が不可能に構成されており、検知装置50からモビリティサーバ40Cにアクセスすることはできず、また、分析装置90からメディカルサーバ40Dにアクセスすることはできない。本実施形態において、モビリティサービス提供機器30Aは、図示しない他の端末機器、例えば、代理店(ディーラ)や車両Vの開発事業者の端末機器とネットワークNWを介して相互に通信可能に接続される。例えば、モビリティサービス提供機器30Aは、車両Vから車両データD1を受信し、代理店(ディーラ)や車両Vの開発事業者に対して利用可能にすることで、各種サービスや分析に活用することができる。
【0208】
<モビリティサービス提供機器の基本構成>
モビリティサービス提供機器30Aは、上述の通り、モビリティサーバ40C及び分析装置90によって構成されている。図24に示すように、本実施形態のモビリティサーバ40Cの基本構成は、図18に示すモビリティサーバ40Aと実質的に同様である。また、図25に示すように、分析装置90の基本構成は、図8に示す検知装置50と実質的に同様であるが、機能概念的に、検知記憶部54の代わりに分析記憶部94が設けられており、検知処理部55dの代わりに分析処理部55eが設けられている点で、図8に示す検知装置50とは異なる。分析記憶部94は、機能概念的に、分析データ記憶部54eを含んでいる。分析データ記憶部54eは、分析データD8を記憶する記憶領域である。
【0209】
分析装置90は、モビリティサーバ40Cに記憶されているデータに基づいた各種分析(品質調査、事故分析、不具合分析、開発へのフィードバック、モビリティ企画、新事業への活用等)を行う機器である。分析装置90は、典型的には、車両Vの開発事業者や分析事業者によって使用される機器である。
【0210】
分析処理部55eは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて、モビリティサーバ40Cに記憶されているデータの分析を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。分析処理部55eは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて、通信部52を介して、モビリティサーバ40Cから車両データD1を取得する処理を実行する。分析処理部55eは、モビリティサーバ40Cに記憶されている車両データD1等から、分析装置90において要求された分析の実行に必要なデータを受信したら、当該データに基づいてデータの分析を行う。
【0211】
そして、分析装置90のデータ処理部55bは、分析処理部55eによる分析結果を分析データD8として分析データ記憶部54eに格納する処理を実行可能である。また、分析装置90のHMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、分析処理部55eによる分析結果等の分析データD8を、当該情報出力機器を介して出力する処理を実行可能である。
【0212】
本実施形態では、モビリティサービス提供機器30Aはモビリティ基地局101に配置される第1基地局機器を構成し、サービス提供機器30は、メディカル基地局102に配置され、第2基地局機器を構成する。モビリティ基地局101は、車両Vと他の端末機器(代理店(ディーラ)や車両Vの開発事業者の端末機器)との通信を中継する基地局であり、例えば、車両メーカーが運営する基地局である。メディカル基地局102は、車両Vと、医療機関端末70、ユーザ端末60との通信を中継する基地局であり、例えば、医療に関するサービスを行う事業者が運営する基地局である。なお、分析装置90は、モビリティ基地局101の所在地とは異なる遠隔地から第2基地局機器にアクセスするものでもよい。すなわち、第2基地局機器は、少なくともメディカルサーバ40Dを含んで構成していればよい。また、分析装置90はモビリティ基地局101に配置される必要はなく、モビリティ基地局101の所在地とは異なる場所で管理されていてもよい。例えば、分析装置90は、モビリティ基地局101の所在地とは異なる遠隔地から基地局機器にアクセスするものであってもよい。すなわち、第1基地局機器は、少なくともモビリティサーバ40Cを含んで構成していればよい。なお、図26に示すように、サービス提供機器30のメディカルサーバ40Dの基本構成は、図6に示す第1実施形態の統合サーバ40と実質的に同様である。
【0213】
<異常検知システムにおけるデータの流れ>
次に、図27及び図28を参照して本実施形態に係る異常検知システム1における各処理の流れの一例について説明する。なお、以下の説明において、上述の第1、第2実施形態の説明と同様に、データの送受信は、ネットワークNWを介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する場合がある。また、以下では、主にデータの流れに着目して説明するため、各機器における処理部等に関する具体的な処理動作についての記載は適宜省略する場合があり、必要に応じて上述した全体構成の概略を参照するものとする。また、以下で説明する各処理の流れは、あくまでも代表的なものの一例でありこれに限定されるものではない。
【0214】
<ユーザデータ、車両データの格納>
まず、図27に示すように、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザデータD2のうちユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)において登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてメディカルサーバ40Dに送信する(ステップS61)。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、初期登録されたユーザデータD2に限らず、初期登録後に更新されたユーザデータD2をメディカルサーバ40Dに送信することも可能である。また、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザに対する受診勧奨の通知が、主にユーザの家族や関係者が使用する第2ユーザ端末60Bにも通知されるように、第2ユーザ端末60Bの端末登録情報をユーザ基本情報D20に含めてユーザデータD2として送信することもできる。
【0215】
そして、メディカルサーバ40Dは、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)からユーザデータD2を受信すると、受信したユーザデータD2に基づいて、一部のユーザデータD2を自動生成する(ステップS62)。ここでは、メディカルサーバ40Dは、例えば、ユーザ端末60から受信したユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータに基づいて、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成する。
【0216】
なお、ユーザデータD2の登録は、例えば、車載装置10を介して行うことも可能である。この場合、車載装置10は、ユーザのHMI部12への操作に応じてユーザデータD2のうちの一部の情報を登録可能であり、登録された一部の情報に関するデータをユーザデータD2としてデータ処理装置20に送信し、当該データ処理装置20を経由してメディカルサーバ40Dに送信することもできる(ステップS63)。
【0217】
メディカルサーバ40Dは、受信したユーザデータD2、及び、自動生成したユーザデータD2をユーザID・D60と関連付けてサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納する(ステップS64)。
【0218】
車載装置10は、検出・取得部11によって検出や取得された車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信する(ステップS65)。ここでは、車両データD1には、車両識別情報D10が含まれている。データ処理装置20は、車載装置10から車両データD1を受信すると、受信した車両データD1を、メディカルサーバ40D及びモビリティサーバ40Cへ送信する。
【0219】
そして、モビリティサーバ40Cは、データ処理装置20から車両データD1を受信すると、受信した車両データD1を、サーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納し(ステップS66)、各種サービスに利用可能な状態とする。また、メディカルサーバ40Dは、データ処理装置20から車両データD1を受信すると、車両ID・D61と関連付けて車両データD1をサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納する。このとき、ユーザID・D60と車両ID・D61は、IDデータD6に基づき相互に関連付けられているため、車両データD1とユーザデータD2とを関連付けてサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納することができる(ステップS67)。
【0220】
<ユーザの異常な運転の検知、医療情報通知>
図28に示すように、検知装置50は、ユーザの異常な運転の検知に使用する車両データD1をメディカルサーバ40Dから取得する場合、当該メディカルサーバ40Dにデータ送信要求を送信する(ステップS68)。メディカルサーバ40Dは、検知装置50からデータ送信要求を受信したら、対象となる車両データD1と当該車両データD1に対応するユーザデータD2とを読み出す(ステップS69)。そして、メディカルサーバ40Dは、読み出した車両データD1及び当該車両データD1に対応するユーザデータD2を検知装置50に送信する(ステップS70)。ここで、メディカルサーバ40Dは、車両データD1とユーザデータD2とを関連付けた状態で検知装置50に送信する。検知装置50は、車両データD1及びユーザデータD2を受信したら、当該車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転の検知を行う(ステップS71)。そして、検知装置50は、検知結果の内容を含む異常検知データD4を生成し、検知記憶部54に格納する(ステップS72)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4を車両データD1及びユーザデータD2と関連付けた状態で検知記憶部54に格納する。その後、検知装置50は、生成した異常検知データD4をメディカルサーバ40Dに送信する(ステップS73)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4をメディカルサーバ40Dに送信するとき、メディカルサーバ40Dが、検知装置50から受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Dに記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、検知装置50は、車両データD1やユーザデータD2と関連付けた状態で異常検知データD4をメディカルサーバ40Dに送信する。そして、メディカルサーバ40Dは、検知装置50から受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Dに記憶されている車両データD1に含まれる車両識別情報D10やユーザデータD2等に基づいて照合し、これらを関連付けた状態でサーバ記憶部43に格納し、管理する(ステップS74)。
【0221】
そして、検知装置50は、異常検知データD4に基づいてユーザの異常な運転が検知されているか否かを確認する(ステップS75)。ここで、検知装置50は、異常検知データD4に基づき車両Vにおけるユーザの運転に異常はないと確認された場合、次回のデータ送信要求を送信するまで処理を終了する。また、検知装置50は、異常検知データD4に基づきユーザの運転に異常があると確認された場合(ユーザの異常な運転が検知された場合)、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関の医療機関端末70へ送信する(ステップS76)。このとき、検知装置50は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて、ユーザに対して同意確認を行ってもよい。同意確認を行う場合、検知装置50は、ユーザデータD2から同意確認を行うユーザのユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を特定し、当該ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)に対して、同意確認の通知を行う。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、ユーザからの操作に応じて、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて、同意するか否かの回答を検知装置50に送信する。そして、検知装置50は、ユーザがユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することに同意した場合にのみ、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信する。
【0222】
医療機関端末70は、検知装置50から送信されたユーザデータD2及び異常検知データD4を受信したら、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納し、管理する。医療機関端末70は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関における医師等の医療従事者が利用可能な状態に処理する。当該処理されたユーザデータD2及び異常検知データD4は、医療機関における医師がユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定するために利用される。医療機関における医療従事者は、異常検知データD4及び自身の見解等に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する(ステップS77)。そして、医療機関における医師等の医療従事者は、当該判定の結果に基づいて、医療情報データD5を作成し、医療機関端末70の医療機関記憶部74に格納する。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5をユーザデータD2や異常検知データD4と関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納する。そして、医療機関端末70は、検知装置50に対して、医療情報データD5を送信する(ステップS78)。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5を検知装置50に送信するとき、検知装置50が、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を検知装置50に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、医療機関端末70は、医療情報データD5を当該医療情報データD5に対応するユーザデータD2と関連付けた状態で検知装置50に送信する。そして、検知装置50は、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を検知装置50に記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けた状態で検知記憶部54に格納し、管理する。検知装置50は、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をメディカルサーバ40Dに送信し、医療情報通知を行う(ステップS79)。
【0223】
メディカルサーバ40Dは、検知装置50から医療情報を受信したら、医療情報を通知する対象について照合を行う(ステップS80)。当該通知対象の照合によって、医療情報を通知する対象となるユーザのユーザ端末60を特定する。ここで、検知装置50は、メディカルサーバ40Dを介してユーザ端末60に医療情報通知を行う際に、メディカルサーバ40Dが医療情報通知を行うユーザ端末60を特定できる状態で、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報をメディカルサーバ40Dに送信する。例えば、検知装置50は、ユーザデータD2と治療プログラム等を含む医療情報とを関連付けた状態でメディカルサーバ40Dに送信することで、メディカルサーバ40Dは、検知装置50から受信したユーザデータD2に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。また、検知装置50は、例えば、車両データD1に含まれる車両識別情報D10と治療プログラム等を含む医療情報とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Cに送信することで、モビリティサーバ40Cは、検知装置50から受信した車両識別情報D10に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。
【0224】
メディカルサーバ40Dは、医療情報を通知する対象のユーザ端末60を特定したら、当該特定したユーザ端末60に対して医療情報通知を送信する(ステップS81)。ユーザ端末60は、メディカルサーバ40Dから医療情報通知を受信したら、医療情報通知に応じた内容を表示部に表示する(ステップS82)。例えば、医療情報通知の内容がユーザの認知機能に関する判定結果であった場合、ユーザ端末60には、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に治療プログラムが含まれていた場合、ユーザ端末60には、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラムに関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に認知機能に関する疾患についての受診勧奨が含まれていた場合、図10から図12に示すような、受診勧奨に関する情報が出力される。
【0225】
<第3実施形態の作用効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る異常検知システム1において、車両Vのユーザに関するユーザデータD2と車両Vの走行情報D13を含む車両データD1とを管理するモビリティサーバ40Cを更に備え、サービス提供機器30は、モビリティサーバ40Cと連携が不可能に構成され、少なくとも異常検知データD4を管理するメディカルサーバ40Dと、メディカルサーバ40Dと通信可能に構成された検知装置50と、を含み、検知装置50は、検知部及び通知部を有する。
【0226】
本実施形態に係る異常検知システム1は、機密性の高いユーザの身体に関係する情報を含む異常検知データD4をメディカルサーバ40Dで管理し、モビリティサービスで利用されるユーザデータD2及び車両データD1をメディカルサーバ40Dとは異なるモビリティサーバ40Cで区別して管理することにより、秘密保持性を向上させつつ、モビリティサービスに活用するデータを円滑に利用することができる。例えば、本実施形態に係る異常検知システム1は、サービス提供機器30による医療情報の通知に加えて、モビリティサービス提供機器30Aによって、車両データD1を代理店(ディーラ)や車両Vの開発事業者にも利用可能とすることで、これらデータを各種サービスや分析に活用することができる。また、モビリティサーバ40Cとメディカルサーバ40Dとが区別して設けられ、相互に連携不可能に構成されているため、モビリティサーバ40Cで管理されているユーザデータD2とメディカルサーバ40Dで管理されている異常検知データD4とが直接関連付けて管理されておらず、個人情報の秘密保持性を向上させることができる。
【0227】
また、本実施形態に係る異常検知システム1は、検知装置50からモビリティサーバ40Cにアクセスすることができず、また、分析装置90からメディカルサーバ40Dにアクセスすることができないため、検知装置50はモビリティサーバ40Cが管理するユーザデータD2を取得したり閲覧したりすることができず、分析装置90はメディカルサーバ40Dが管理する異常検知データD4を取得したり閲覧したりすることができないことからも、個人情報の秘密保持性を向上させることができる。
【0228】
また、本実施形態に係る異常検知システム1は、用途に応じてサーバが分けられているため、当該用途に応じたデータ種別や好適な周期で車両データD1を取得することが可能となる。これにより、相互に影響を与えることなくサーバをメンテナンスできたり、ストレージ資源を有効に活用できたりする。
【0229】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40Cは、車両Vとユーザ端末60、60A、60Bとの通信を中継するモビリティ基地局101に配置されており、メディカルサーバ40Dは、車両Vと医療機関端末70との通信を中継し、モビリティ基地局101とは別の基地局であるメディカル基地局102に配置されている。このとき、ユーザ端末60、60A、60Bは、モビリティサーバ40Cから提供されるサービスとメディカルサーバ40Dから提供されるサービスとは関連付けられていなくてもよい。
【0230】
本実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40Cとは別に、異常検知データD4等が記憶されるメディカルサーバ40Dを医療専門の独立した基地局(メディカル基地局)で管理することにより、情報の機密性を向上させることができるとともに、モビリティサーバ40Cとメディカルサーバ40Dとの間でデータが混在して扱われることを防止できる。
【0231】
なお、本発明の各実施形態に係る異常検知システム1、及び、基地局機器は、上述した各実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0232】
<変形例>
以上の説明では、異常検知システム1は、ユーザの異常な運転を検知した場合にのみ医療機関の医療機関端末70に異常検知データD4を送信する態様であったが、これに限定されない。例えば、ユーザの異常な運転の検知の有無に関わらず、定期的に異常検知データD4を医療機関端末70に送信し、医療機関の医師等の医療従事者が、長期間に亘るユーザの運転行動の変化を確認することができる構成としてもよい。この構成により、例えば、医療機関の医師等の医療従事者は、ユーザの日常的な運転行動に問題が無いことも含めてユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状等を確認することができる。また、医療機関の医療従事者が、ユーザの異常な運転を検知したときの状態だけでなく、日常のユーザの運転行動に問題が無いときの状態も把握できていれば、ユーザの運転行動の変化をすぐさま察知して、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状を判定する行動を起こすことができる。
【0233】
以上の説明では、異常検知システム1は、2つの異なるサーバ間で、車両識別情報D10に基づいて、当該車両識別情報D10に対応する異常検知データD4や医療情報通知を照合する態様であったが、これに限定されない。例えば、異常検知システム1は、車載装置10のID、車載装置10の製造番号、又は異常検知システム1によるサービスの登録者番号等に基づいて異常検知データD4や医療情報通知を照合する態様であってもよい。
【0234】
以上の説明では、異常検知システム1は、当該システムを構成する各機器が通信によって相互にデータを送受信する態様であったが、これに限定されない。例えば、異常検知システム1で扱われるデータの一部又は全部を、データ入出力部14、22、42、53、63、73を介して記録媒体に書き込んだり読み出したりしてデータの受け渡しを行ってもよい。具体的には、車載装置10で収集した車両データD1は、データ入出力部14によって記録媒体に書き込まれ、データ入出力部22によって記録媒体から読み出されることでデータ処理装置20に受け渡されてもよい。また、データ処理装置20においては、作業者により統合サーバ40等に記憶する車両データD1がデータ入出力部22によって記録媒体に書き込まれ、サービス提供機器30においては、統合サーバ40等のデータ入出力部42によって当該車両データD1が記録媒体から読み出されることで、データ処理装置20から統合サーバ40等に車両データD1が一括で記憶される構成であってもよい。
【0235】
以上の説明では、車両Vは、ユーザが所有又は使用する自家用車両等であってもよいし、不特定の利用者によって共用されるレンタカーやシェアリングカー等であってもよい。なお、車両Vが不特定の利用者によって共用される車両である場合、異常検知システム1は、当該利用者が共用の車両Vの使用を予約したり登録したりする際に、車載装置10やユーザ端末60から統合サーバ40(又は、モビリティサーバ40A)に対して、ユーザID・D60と共用の車両Vの車両ID・D61等とを関連付ける処理を実行する。
【0236】
以上で説明した処理部16、24、44、55、65、75は、それぞれが単一のプロセッサから構成されて各機能に係る処理が実行されてもよいし、それぞれが複数の独立したプロセッサの組み合わせから構成され、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能に係る処理が実行されてもよい。また、処理部16、24、44、55、65、75が実行する処理は、単一の処理回路に統合されてもよいし、複数の処理回路に分散されてもよい。
【0237】
以上で説明したモビリティサーバ40Cと分析装置90とは、それぞれが単一のプロセッサから構成されて各機能に係る処理が実行されてもよいし、それぞれが複数の独立したプロセッサの組み合わせから構成され、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能に係る処理が実行されてもよい。また、モビリティサーバ40Cと分析装置90とが実行する処理は、単一の処理回路に統合されてもよいし、複数の処理回路に分散されてもよい。
【0238】
以上で説明したメディカルサーバ40Dと検知装置50とは、それぞれが単一のプロセッサから構成されて各機能に係る処理が実行されてもよいし、それぞれが複数の独立したプロセッサの組み合わせから構成され、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能に係る処理が実行されてもよい。また、メディカルサーバ40Dと検知装置50とが実行する処理は、単一の処理回路に統合されてもよいし、複数の処理回路に分散されてもよい。
【0239】
本実施形態に係る異常検知システム、及び、基地局機器は、以上で説明した実施形態及び変形例の構成要素を相互に適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0240】
1 異常検知システム
10 車載装置
20 データ処理装置
30 サービス提供機器
40 統合サーバ
40A、40C モビリティサーバ
40B、40D メディカルサーバ
50 検知装置
60 ユーザ端末
70 医療機関端末
NW ネットワーク
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28