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特開2024-152514異常検知システム、及び、基地局機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152514
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】異常検知システム、及び、基地局機器
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20241018BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241018BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241018BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20241018BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241018BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241018BHJP
   G16Y 10/60 20200101ALI20241018BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20241018BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20241018BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241018BHJP
【FI】
G16H50/30
G06Q50/10
G06Q50/30
A61B10/00 H
G08G1/00 D
G08G1/16 F
G16Y10/60
G16Y20/20
G16Y20/40
G16Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066752
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高垣内 文也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 直輝
(72)【発明者】
【氏名】長江 祐輔
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
5L099
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC04
5H181CC11
5H181DD07
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL20
5H181MB08
5L049CC11
5L049CC42
5L050CC11
5L050CC42
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】車両におけるユーザの運転状況に関する情報を医療機関へ提供することで、ユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することができる異常検知システム、及び、基地局機器を提供することを目的とする。
【解決手段】ユーザデータD2を記憶するモビリティサーバと、車両データD1を記憶するメディカルサーバと、車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転に関する情報と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報を前記ユーザ端末に通知する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザに関するユーザデータを記憶するモビリティサーバと、
前記車両の走行情報を含む車両データを記憶するメディカルサーバと、
前記車両データから前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記メディカルサーバに記憶し、当該異常検知データに基づき前記ユーザに対して医療情報の通知を行う検知分析装置と、
前記検知分析装置から前記通知を受信可能なユーザ端末と、
を含み、
前記モビリティサーバ及び前記メディカルサーバは、相互に連携して前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けて管理し、
前記検知分析装置は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、前記異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、前記医療情報データに基づいた内容を含む医療情報を前記ユーザ端末に通知する、
異常検知システム。
【請求項2】
前記医療情報データは、前記医療従事者が前記ユーザに適していると判断した治療プログラム、前記ユーザの認知機能に関する判定結果、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨のうちの少なくとも何れか1つに関する情報を含む、
請求項1に記載の異常検知システム。
【請求項3】
前記医療情報データに前記受診勧奨に関する情報が含まれる場合、
前記検知分析装置は、前記ユーザに推奨される行動の提示を含んだ医療情報を前記ユーザ端末に送信し、
前記ユーザ端末は、前記ユーザに推奨される行動を提示するとともに、当該行動を実行する操作を受け付け可能に表示する、
請求項2に記載の異常検知システム。
【請求項4】
前記モビリティサーバ及び前記メディカルサーバは、前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けてユーザ毎に管理しており、
前記ユーザデータは、前記医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報を含む、
請求項1から3の何れか1項に記載の異常検知システム。
【請求項5】
前記車両データは、前記車両を識別する車両識別情報を含み、
前記モビリティサーバは、前記車両データを更に管理し、前記ユーザデータと前記車両識別情報とを関連付けて記憶し、
前記メディカルサーバは、前記異常検知データと前記車両識別情報とを関連付けて記憶し、
前記検知分析装置は、前記車両識別情報に基づいて、前記ユーザデータと前記異常検知データとを関連付けて、前記医療機関端末に送信する、
請求項1から3の何れか1項に記載の異常検知システム。
【請求項6】
前記メディカルサーバは、前記モビリティサーバに記憶されている前記車両データのうち前記検知分析装置がユーザの異常な運転の検知で利用する車両データのみを取得する、
請求項5に記載の異常検知システム。
【請求項7】
車両のユーザに関するユーザデータを記憶するモビリティサーバと、
前記車両の走行情報を含む車両データを記憶するメディカルサーバと、
前記車両データから前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記メディカルサーバに記憶し、当該異常検知データに基づき前記ユーザに対して医療情報の通知を行う検知分析装置と、
を含み、
前記モビリティサーバ及び前記メディカルサーバは、相互に連携して前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けて管理し、
前記検知分析装置は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、前記異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、前記医療情報データに基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末に通知する、
基地局機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常検知システム、及び、基地局機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、道路情報取得部による道路情報と、車両情報取得部による車両の走行情報とに基づいて、状況判定部により車両の運転状況を判定すると共に、その運転状況が、認知機能が低下している場合に行われやすい所定の交通違反に該当するか否かを判定する違反判定部で判定する認知症リスクの判定システムが開示されている。この認知症リスクの判定システムでは、車両の運転状況が所定の交通違反に該当する場合、ドライバ情報検出部による該車両の運転者の情報と違反履歴に基づき、リスク判定部により認知症リスクがあるか否かが判定される。リスク判定部により、認知症リスクがあると判定された場合、出力部がその情報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-124975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加齢とともに認知機能の低下リスクが高まる高齢者に対し、現在、各種施設において認知機能の状態を確認する認知機能検査が行われている。例えば、高齢者の運転免許証の更新手続きの際に、検査用紙や電子端末等を用いて記憶力や判断力を測定する認知機能検査が行われている。このような認知機能検査は、医療機関が実施する医療検査に相当するものではなく、単に受験者の記憶力や判断力の状態を確認するための簡易な検査に過ぎない。また、これらの認知機能検査は、検査時における認知機能の状態を確認することはできても、実際に運転している時などの日常における認知機能の状態を確認することはできない。このため、ユーザ自身が自覚していない認知機能低下の兆候や症状が常に顕れるとは限らない初期段階での認知機能の異常を検出することは困難である。このような観点から、車両の運転などの日常的な行動からユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することが望まれている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、車両におけるユーザの運転状況に関する情報を医療機関へ提供することで、ユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することができる異常検知システム、及び、基地局機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る異常検知システムは、車両のユーザに関するユーザデータを記憶するモビリティサーバと、前記車両の走行情報を含む車両データを記憶するメディカルサーバと、前記車両データから前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記メディカルサーバに記憶し、当該異常検知データに基づき前記ユーザに対して医療情報の通知を行う検知分析装置と、前記検知分析装置から前記通知を受信可能なユーザ端末と、を含み、前記モビリティサーバ及び前記メディカルサーバは、相互に連携して前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けて管理し、前記検知分析装置は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、前記異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、前記医療情報データに基づいた内容を含む医療情報を前記ユーザ端末に通知する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る基地局機器は、車両のユーザに関するユーザデータを記憶するモビリティサーバと、前記車両の走行情報を含む車両データを記憶するメディカルサーバと、前記車両データから前記ユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データを前記メディカルサーバに記憶し、当該異常検知データに基づき前記ユーザに対して医療情報の通知を行う検知分析装置と、を含み、前記モビリティサーバ及び前記メディカルサーバは、相互に連携して前記ユーザデータと前記車両データと前記異常検知データとを関連付けて管理し、前記検知分析装置は、少なくとも前記異常検知データを医療機関の医療機関端末に送信し、前記異常検知データと前記医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データを前記医療機関端末から受信し、前記医療情報データに基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末に通知する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る異常検知システム、及び、基地局機器は、車両におけるユーザの運転状況に関する情報を医療機関へ提供することで、ユーザの認知機能に関する疾患の予兆又は症状を早期に発見することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る異常検知システムで取り扱う主なデータについて説明する模式図である。
図4図4は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える車載装置の概略構成を表すブロック図である。
図5図5は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるデータ処理装置の概略構成を表すブロック図である。
図6図6は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるモビリティサーバの概略構成を表すブロック図である。
図7図7は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える分析装置の概略構成を表すブロック図である。
図8図8は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるメディカルサーバの概略構成を表すブロック図である。
図9図9は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える検知装置の概略構成を表すブロック図である。
図10図10は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるモビリティサーバ及びメディカルサーバに記憶されるデータベースの一例を表す模式図である。
図11図11は、第1実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末の概略構成を表すブロック図である。
図12図12は、実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末に表示される受診勧奨の通知の一例を表す図である。
図13図13は、実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末に表示される受診勧奨の通知の一例を表す図である。
図14図14は、実施形態に係る異常検知システムが備えるユーザ端末に表示される受診勧奨の通知の一例を表す図である。
図15図15は、第1実施形態に係る異常検知システムが備える医療機関端末の概略構成を表すブロック図である。
図16図16は、第1実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図17図17は、第1実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図18図18は、第1実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図19図19は、第2実施形態に係る異常検知システムの概略構成を表すブロック図である。
図20図20は、第2実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図21図21は、第2実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
図22図22は、第2実施形態に係る異常検知システムの各処理部によって行われる処理の流れ(シーケンス)の一例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[第1実施形態]
<異常検知システムの概要>
図1図2に示す第1実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10と、データ処理装置20と、サービス提供機器30と、ユーザ端末60と、医療機関端末70とを備え、これらがネットワークNWを通じて相互に通信可能に構成される。ネットワークNWは、複数の機器を相互に通信可能に接続する通信網を構成するものであり、有線、無線を問わず本システムに適用可能な種々の通信方式によってデータ通信を可能とする。ネットワークNWは、例えば、インターネット回線網、携帯電話回線網、移動体通信網、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、VPN(Virtual Private Network)等によって構成され、アンテナ、ゲートウェイ、ルータ、ハブ等の様々なネットワーク中継機器を介在させていてもよい。本実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10、データ処理装置20、サービス提供機器30、ユーザ端末60、医療機関端末70がこのネットワークNWを介して相互にデータ通信を行い連携することで、車両Vに関する様々なデータを管理し、各種サービスや分析に活用することができるシステムを構成する。
【0012】
このような異常検知システム1にあって、サービス提供機器30は、モビリティサーバ40Aと、メディカルサーバ40Bと、検知分析装置(分析装置50A及び検知装置50B)とを備え、当該異常検知システム1で取り扱われる各種データは、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとにおいて区別して記憶される。これにより、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bに記憶されるデータの独立性を高めることができ、情報の機密性が守られる。また、本実施形態において、検知分析装置は、分析装置50Aと検知装置50Bを含んで構成されている。本実施形態の異常検知システム1は、車両Vの運転者であるユーザの日常的な運転行動からユーザの異常な運転を検知し、車両Vにおけるユーザの異常な運転が検知された場合に、異常な運転に関する情報を含む異常検知データを医療機関に提供するものである。また、本実施形態の異常検知システム1は、医療機関に提供された異常検知データと医療機関における医師等の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5をサービス提供機器30が受信し、ユーザに対して、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報の通知を行うものである。
【0013】
異常検知システム1は、例えば、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の運転行動を車両Vのユーザの異常な運転として検知する。本実施形態に係る異常検知システム1は、例えば、一定期間(例えば、100kmを走行する期間内)に所定回数以上の急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等があったことを、ユーザの異常な運転として検知してもよい。
【0014】
本実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bに記憶されているデータは、検知分析装置(分析装置50A及び検知装置50B)によって利用される。検知分析装置における検知装置50Bは、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bに記憶されているデータに基づいて、各ユーザの異常な運転を検知する。そして、検知分析装置における分析装置50Aは、異常な運転が検知されたユーザについて、異常な運転の内容に関する情報を含む異常検知データD4を医療機関に提供する。医療機関への異常検知データD4の提供は、分析装置50Aが、医療機関に設けられた医療機関端末70に対して異常検知データD4を送信することで行われる。本実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、記憶部を構成している。記憶部において、モビリティサーバ40Aは、車両Vのユーザに関するユーザデータD2を記憶し、メディカルサーバ40Bは、車両Vの走行情報を含む車両データD1を記憶する。そして、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、相互に連携してユーザデータD2と車両データD1とを関連付けて管理する。また、検知装置50Bは、車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容に関する情報を含む異常検知データD4を記憶部(メディカルサーバ40B)に記憶させる検知部を構成している。また、分析装置50Aは、少なくとも異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信し、当該異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、当該医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60に通知する通知部を構成している。このとき、通知部(分析装置50A)は、検知部(検知装置50B)において、車両Vにおけるユーザの異常な運転が検知された場合に、異常検知データD4と当該ユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関に設けられた医療機関端末に対して送信するよう構成してもよい。このように、検知分析装置は、検知部及び通知部を含んで構成されている。
【0015】
本実施形態において、医療機関端末70は、典型的には、大学病院や一般病院などの医療機関に設置された端末機器である。医療機関端末70は、分析装置50Aから送信された異常検知データD4を受信する。そして、医療機関端末70は、医療機関の医師等が、異常検知データD4に含まれる異常な運転の内容に関する情報を利用可能な状態に処理し、表示部等に表示可能とする。異常検知データD4には、例えば、一定期間内(例えば、100kmを走行する期間内)の急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落としの回数、急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落としがあった時の車両Vの周辺状況、車載カメラによって撮像されたユーザの状態、ユーザの生体情報に関する情報が含まれる。
【0016】
本発明者は、運転者の認知機能と運転行動との関係に関する研究から、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の特定の運転行動と、運転者の認知機能の状態との間には相関関係があることを見出した。具体的には、本発明者は、認知機能が正常な者が車両Vを運転した場合と比較して、認知機能が正常でない者が車両Vを運転した場合は、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落としが増加する傾向にあることを発見した。また、本発明者は、認知機能が正常な者が車両Vを運転した場合と比較して、認知機能が正常でない者が車両Vを運転した場合は、ユーザの車両Vと、ユーザの車両Vの前方を走行する車両との車間距離が、適切な車間距離よりも短縮する傾向にあることを発見した。そして、本発明者は、一定期間内(例えば、100kmを走行する期間内)の急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の特定の運転行動の回数、や、前方車両との車間距離等を、車両Vにおけるユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する判断材料の一つとして利用することを考えた。本実施形態においては、分析装置50Aから医療機関端末70に送信された異常検知データD4を利用して、医療機関の医師等の医療従事者が、車両Vにおけるユーザの運転操作と当該ユーザの認知機能の状態との相関関係に基づいて作成された基準や自身の見解に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する。
【0017】
具体的には、例えば、医療機関の医師等の医療従事者は、異常検知データD4から、急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等のユーザの異常な運転操作と当該異常な運転操作が行われた時の車両Vの周辺状況とを確認し、正常な運転操作とは判断できないような異常な運転操作を特定する。そして、医師は、正常な運転操作とは判断できないような異常な運転操作の種別毎の回数(急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等の回数)と、車両Vにおけるユーザの運転操作と当該ユーザの認知機能状態との相関関係に基づいて作成された基準と、車載カメラで撮像された運転中のユーザの状態と、医師自身の見解とに基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定する。そして、医療機関の医師は、判定の結果に基づいて医療情報データD5を作成し、当該医療情報データD5を医療機関端末70の記憶部に保存する。なお、医療機関の医師は、例えば、車両Vのユーザに認知機能に関する疾患の兆候や症状があると判定した場合、ユーザの認知機能に関する判定結果に関する情報と共に、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラムや認知機能に関する疾患についての受診勧奨に関する情報を医療情報データD5として、医療機関端末70の記憶部に保存してもよい。このように、医療情報データD5には、ユーザの認知機能に関する判定結果、医療機関の医師がユーザに適していると判断した治療プログラム、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨のうちの少なくとも何れか1つに関する情報が含まれる。
【0018】
医療機関端末70の記憶部に保存された医療情報データD5は、医療機関端末70によって、サービス提供機器30に送信される。医療機関端末70からサービス提供機器30への医療情報データD5の送信は、医療情報データD5が医療機関端末70に保存される毎に自動で行われてもよく、また、一定の周期(例えば数時間毎)で自動的に行われてもよい。また、医療機関端末70からサービス提供機器30への医療情報データD5の送信は、医療機関における医師や医師以外の担当者によって手動で行われてもよい。
【0019】
医療情報データD5には、ユーザの認知機能に関する判定結果として、医療機関の医師等の医療従事者が判定したユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無に関する情報が含まれる。また、医療情報データD5には、治療プログラムとして、医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療法に関する情報が含まれる。例えば、医師等の医療従事者は、運動療法、回想療法、音楽療法、認知刺激療法等の作業療法や投薬療法等の中からユーザに適していると考える治療法を選択し、その治療法に関する情報を治療プログラムとして医療情報データD5に含めて医療機関端末70の記憶部に保存する。また、医療情報データD5には、認知機能に関する疾患についての受診勧奨として、医療機関への受診勧奨や認知機能検査の受診勧奨に関する情報が含まれる。認知機能に関する疾患についての受診勧奨は、例えば、医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した特定の医療機関への受診勧奨に関する情報等である。また、受診勧奨における医療機関の選定は、医師による紹介に限定されず、検知装置50がユーザデータD2等からユーザの居住地や既往歴等に基づいて医療機関を選定し、当該選定された医療機関を医療情報通知に追加してユーザ端末60に送信してもよい。
【0020】
分析装置50Aは、医療機関端末70から医療情報データD5を受信すると、ユーザに対して、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報通知を行う。本実施形態において、ユーザ端末60は、典型的には、ユーザ本人が所有する第1ユーザ端末60A、及び、当該ユーザの家族や関係者等が所有する第2ユーザ端末60Bを含んで構成される。
【0021】
以下、各図を参照して異常検知システム1の各構成について詳細に説明する。なお、以下では、まず、図3を参照して当該異常検知システム1で取り扱う主なデータの概要について説明し、その後、他図等を参照して異常検知システム1の各構成について詳細に説明する。
【0022】
異常検知システム1において、取り扱い対象となる車両Vは、ガソリン車両、ディーゼル車両、ハイブリッド車両(HEV(Hybrid Electric Vehicle))、プラグインハイブリッド車両(PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle))、電気車両(EV(Electric Vehicle))等、いずれの駆動方式であってもよい。また、当該車両Vの運転方式は、手動運転、半自動運転、完全自動運転等、いずれであってもよい。また、車両Vは、異常検知システム1によって提供されるサービスを享受できるユーザ個人の自家用車両の他、ユーザが使用したことを特定可能なトラック、バス、タクシー、特殊車両等のいずれであってもよい。
【0023】
<異常検知システムで取り扱う主なデータ>
異常検知システム1で取り扱う主なデータとしては、例えば、図3に例示するように、車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5、IDデータD6等を含んでいる。これら車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、異常検知システム1において、IDデータD6等に関連付けられてデータ管理される。
【0024】
<車両データ>
車両データD1は、車両Vに関するデータである。典型的には、車両データD1は、車両Vに搭載された車載装置10によって収集され、サービス提供機器30側に送信されるデータである。ここでは、車両データD1は、例えば、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含んでいる。
【0025】
車両識別情報D10は、車両Vを識別するために車両Vごとに割り振られた固有のユニークな情報であり、例えば、車両識別番号(VIN:Vehicle Identification Number)等の情報である。この他、車両識別情報D10は、例えば、自動車登録番号(いわゆるカーナンバー)や車台番号等の情報であってもよい。DCM情報D11は、車両Vが搭載するDCM(Data Communication Module)の型式や端末識別番号(IMEI:International Mobile Equipment Identifier)等の情報である。車両基本情報D12は、車両Vの車名、車種、型式、グレード等の情報である。走行情報D13は、車両Vの走行状況に関する情報である。本実施形態において、走行情報D13は、運転情報、車両状態情報、車両位置情報、機器動作情報、及び画像情報を含む。
【0026】
運転情報は、車両Vの運転に関する基本的な情報であり、例えば、車速、加減速度、燃費、積算走行距離、バッテリ残量等の情報である。また、運転情報は、走行時の天候に関する情報や走行中の車室内音声の情報を含んでいてもよい。車両状態情報は、車両Vの状態に関する詳細な情報であり、例えば、ハンドル操舵角度、エンジン水温、アクセル開度(アクセル操作量)、ブレーキ開度(アクセル操作量)、エンジン回転数、エンジントルク、モータトルク、モータ回転数等の情報である。車両位置情報は、車両Vの位置情報(GNSS情報、GPS情報)等の情報である。機器動作情報は、車両Vに搭載された機器の動作状況に関する情報であり、例えば、ドアロック開閉状況、ハザードランプ点灯状況、方向指示器(ウインカ)動作状況、車両警告灯点灯状況、緊急通報有無等の情報である。画像情報は、例えば、車両Vにおいて撮像された車両内外の動画像等の情報である。この他、車両データD1には、例えば、各情報の取得日時等の情報も付されている。なお、車両データD1は、上記の他、例えば、車両Vのユーザ(運転者)の生体情報等に関するデータが含まれていてもよい。ユーザの生体情報は、生体(ユーザ)が発する種々の生理学的情報に加え、これらの情報から派生する種々の情報を含んでいてもよく、例えば、心拍数、呼吸数、脈拍数、血圧、体温等のバイタルサイン情報、指紋、声紋、虹彩等の生体識別情報、血中アルコール濃度、覚醒度等の情報である。
【0027】
<ユーザデータ>
ユーザデータD2は、車両Vのユーザに関するデータである。ここで、この異常検知システム1におけるユーザとは、車両Vの運転者であり、当該異常検知システム1によって異常な運転の検知が行われ、異常な運転が検知された場合に医療機関の医師の判定に基づいた内容の医療情報通知を受ける者である。また、異常検知システム1によって提供されるサービスを享受するサービス利用者や当該サービスの提供を受けるための契約を行った契約者であることも異常検知システム1におけるユーザに含まれる。つまり、ユーザデータD2は、当該サービスに関する契約者データ、あるいは、当該サービスを展開する事業者における顧客データということもできる。典型的には、ユーザデータD2は、車載装置10、ユーザ端末60等によってモビリティサーバ40Aに登録されるデータやモビリティサーバ40Aに登録されたデータに基づいて当該モビリティサーバ40A側で自動生成されるデータ等である。ここでは、ユーザデータD2は、例えば、ユーザ基本情報D20、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、サービス設定情報D23、契約パッケージ情報D24、お気に入り情報D25等に関するデータを含んでいる。
【0028】
ユーザ基本情報D20は、ユーザが自ら登録する契約者(顧客)に関する情報であり、例えば、ユーザの氏名、郵便番号、住所、メールアドレス、電話番号、勤務連絡先、ユーザの個人番号(マイナンバー)、保険者番号等の情報である。ここで、個人番号(マイナンバー)とは、個人の識別番号であり、日本国の法律に基づいて日本国内に住民票がある者に対して付与される番号である。保険者番号とは、ユーザが加盟している健康保険の保険者に対して割り振られる番号であり、保険者を識別することが可能な番号である。
【0029】
ユーザ属性情報D21は、ユーザが自ら登録、あるいは、モビリティサーバ40A側で自動生成されるユーザの属性に関する情報であり、例えば、年齢、性別、職業、国籍等の情報である。同意履歴情報D22は、モビリティサーバ40A側で自動生成される各種同意履歴に関する情報であり、例えば、プライバシーポリシーやサービス規約についての同意の有無等の情報である。ここで、同意履歴情報D22には、車両データD1、ユーザデータD2、検知装置50Bによって検知された異常な運転の内容等に関する情報(異常検知データD4)等を医療機関に提供することについてのユーザの同意の有無に関する情報が含まれる。
【0030】
サービス設定情報D23は、ユーザが自ら登録するサービスの享受に必要な設定情報であり、例えば、各種サービスにおける言語設定、通知設定等の情報である。ここで、サービス設定情報D23には、ユーザ端末60の端末登録情報が含まれる。ユーザ端末60の端末登録情報は、ユーザが自ら登録、あるいは、モビリティサーバ40A側で自動生成されるユーザ端末60に関する情報であり、分析装置50Aがユーザに対して医療情報通知を行う際に、通知先のユーザ端末60を特定することが可能な情報である。契約パッケージ情報D24は、モビリティサーバ40A側で自動生成される契約に関する情報であり、例えば、契約ステータス(有効/満了/解約)、契約開始日/満了日/解約日、契約プラン等の情報である。お気に入り情報D25は、ユーザが自ら登録するユーザの好みに関する情報であり、例えば、最寄りの総合病院、かかりつけの病院、受診を希望する医療機関、契約している保険会社、お気に入りの代理店(ディーラー)等の情報である。この他、ユーザデータD2には、例えば、各情報の取得日時等の情報も付されている。
【0031】
<端末データ>
端末データD3は、ユーザ端末60への医療情報通知の送信履歴、医療機関端末70への異常検知データD4の送信履歴、医療機関端末70から医療情報データD5を受信した履歴に関するデータである。典型的には、端末データD3は、サービス提供機器30において、ユーザ端末60及び医療機関端末70へのデータの送信や医療機関端末70からの医療情報データD5の受信に伴って収集されるデータである。端末データD3は、例えば、端末基本情報D30、送信履歴情報D31、受信履歴情報D32、サービス提供履歴情報D33等に関するデータを含んでいる。
【0032】
端末基本情報D30は、ユーザ端末60及び医療機関端末70を特定することができる基本的な情報であり、各端末の種別、各端末の所有者、各端末を所有する機関等の情報を含む。送信履歴情報D31は、サービス提供機器30から医療機関端末70への異常検知データD4を送信した際の送信履歴に関する情報である。受信履歴情報D32は、サービス提供機器30が医療機関端末70から医療情報データD5を受信した際の受信履歴に関する情報である。サービス提供履歴情報D33は、サービス提供機器30によりユーザ(ユーザ端末60)に対してサービスが提供された際の履歴に関する情報である。本実施形態におけるサービス提供履歴情報D33は、サービス提供機器30が、ユーザに対して医療情報データD5に基づいた内容の医療情報を通知した履歴に関する情報である。この他、端末データD3には、例えば、各情報の取得日時等の情報も付されている。
【0033】
<異常検知データ>
異常検知データD4は、検知装置50Bによってユーザの異常な運転が検知された際に生成されるデータである。異常検知データD4は、異常検知情報D41を含んでいる。異常検知情報D41は、検知装置50Bによって検知されたユーザの異常な運転の内容等に関する情報である。異常検知情報D41は、例えば、一定期間内(例えば、100kmを走行する期間内)の急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等の回数、急ブレーキ、急ハンドル、及び一時停止標識の見落とし等があった時の車両Vの周辺状況、及び、車載カメラによって撮像された運転中におけるユーザの状態等に関する情報等を含んでいる。また、異常検知情報D41は、前方車両との車間距離が短縮した際の車間距離、前方車両との車間距離が短縮した際の車両Vの周辺状況、及び、車載カメラによって撮像された運転中におけるユーザの状態等に関する情報等を含んでいてもよい。更に、異常検知データD4は、検知装置50Bがユーザの異常な運転を検知した時のユーザ(運転者)の生体情報を含んでいてもよい。ここで、生体情報は、生体(ユーザ)が発する種々の生理学的情報に加え、これらの情報から派生する種々の情報を含んでいてもよく、例えば、心拍数、呼吸数、脈拍数、血圧、体温等のバイタルサイン情報、指紋、声紋、虹彩等の生体識別情報、血中アルコール濃度、覚醒度等の情報である。また、異常検知情報D41には、ユーザの異常な運転が検知された日時等の情報を含んでいてもよい。
【0034】
<医療情報データ>
医療情報データD5は、異常検知データD4と医療機関における医師等の医療従事者の見解とに基づいて作成されたデータである。医療情報データD5は、例えば、判定結果情報D51、治療プログラム情報D52、受診勧奨情報D53を含んでいる。判定結果情報D51は、医療機関の医師等の医療従事者が行ったユーザの認知機能に関する判定の結果に関する情報である。判定結果情報D51は、例えば、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報を含む。治療プログラム情報D52は、医療機関の医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療法に関する情報である。治療プログラム情報D52は、例えば、医療従事者が、運動療法、回想療法、音楽療法、認知刺激療法等の作業療法や投薬療法等の中から選択した治療法に関する情報を含んでいる。さらに、治療プログラム情報D52は、例えば、医療従事者が選択した治療法の具体的な内容、当該治療法を受診することができる医療機関の場所、想定される治療スケジュール、ユーザに適していると考えられる薬の種類等の情報を含んでいてもよい。受診勧奨情報D53は、認知機能に関する疾患についての受診勧奨に関する情報である。受診勧奨情報D53は、例えば、医療機関への受診勧奨や認知機能検査の受診勧奨に関する情報を含む。受診勧奨情報D53は、例えば、医療従事者がユーザに適していると判断した特定の医療機関への受診勧奨に関する情報等である。
【0035】
<IDデータ>
IDデータD6は、上述した車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5を相互に関連付けて管理することができる識別子である。IDデータD6は、例えば、ユーザID(User ID)D60や車両ID(Vehicle ID)D61等に関するデータを含んでいる。ユーザID・D60は、ユーザを識別するためにユーザごとに割り振られた固有のユニークな識別子である。上述したユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、このユーザID・D60と関連付けられて管理される。一方、車両ID・D61は、車両Vを識別するために車両Vごとに割り振られた固有のユニークな識別子であり、ここでは、車両Vを識別して管理し易くするために、上記で説明した車両識別情報D10とは別に設定されている。上述した車両データD1は、この車両ID・D61と関連付けられて管理される。
【0036】
そして、ユーザID・D60と車両ID・D61とは、ユーザが使用する車両Vに対応させて、相互に関連付けられている。例えば、1人のユーザが複数台の車両Vを所有している場合、ユーザID・D60と車両ID・D61とは、これに応じて1つのユーザID・D60に対して複数の車両ID・D61が関連付けられる。この結果、車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、ユーザID・D60等に基づいて、各ユーザID・D60に対応するユーザごとに相互に関連付け可能である。すなわち、特定のユーザが使用する車両Vに関する車両データD1、及び、当該特定のユーザに関するユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5は、このユーザID・D60と車両ID・D61とを介して、相互に関連付けられて一纏まりのデータセットとして管理することが可能となる。また、上記のように1つのユーザID・D60に対して複数の車両ID・D61が関連付けられている場合、複数台分の車両データD1は、ユーザID・D60と車両ID・D61とを介してそれぞれ対応するユーザのユーザデータD2、端末データD3、異常検知データD4、医療情報データD5に関連付けられる。また、上記とは反対に、1台の車両Vが複数人のユーザに使用される場合、ユーザID・D60と車両ID・D61とは、これに応じて1つの車両ID・D61に対して複数のユーザID・D60が関連付けられる。
【0037】
以上、異常検知システム1で取り扱う主なデータの概要について説明した。異常検知システム1では、上記で説明したデータ以外のデータも取り扱っているが、それらのデータについては、適宜後述する。
【0038】
次に、図4図14を参照して異常検知システム1の各構成について説明する。なお、以下の説明でも、各種データについては適宜図3を参照する場合がある。
【0039】
<車載装置の基本構成>
図4に示す車載装置10は、車両Vに搭載され、当該車両Vの車両識別情報D10と関連付けて当該車両Vに関する車両データD1を収集し記憶する機器である。車載装置10は、車両Vの外部の機器と通信可能に構成される。車載装置10は、例えば、車両Vに搭載され様々の情報を記録するいわゆるドライブレコーダ等の機能を含み、車両Vに後付けで設置可能な構成であってもよい。
【0040】
具体的には、車載装置10は、図4に示すように、検出・取得部11と、HMI(Human Machine Interface)部12と、DCM13と、データ入出力部14と、車載記憶部15と、処理部16とを備える。検出・取得部11、HMI部12、DCM13、データ入出力部14、車載記憶部15、及び、処理部16は、相互に通信可能に接続されている。
【0041】
検出・取得部11は、車両Vに関する車両データD1に含まれる種々の情報を検出や取得する機器である。検出・取得部11は、車両データD1として、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等を検出や取得する。検出・取得部11は、例えば、車両Vの各部に設けられている種々のセンサ、検出器、GPS受信機、マイク、車載カメラ等を含んで構成される。また、検出・取得部11は、例えば、車両Vの全体を統括的に制御するECU(Electronic Control Unit)から種々の情報を取得する機器を含んで構成されてもよい。また、検出・取得部11は、車両データD1に車両Vのユーザ(運転者)の生体情報等が含まれる場合には、ユーザを監視する監視装置やユーザに装着されるウェアラブル端末と連携して種々の情報を取得する機器を含んで構成されてもよい。
【0042】
HMI部12は、車載装置10において種々の入出力を行う機器である。HMI部12は、車載装置10に対する種々の入力を行う操作入力機器として、例えば、キーボード、スイッチ、入力ボタン、マウスポインタ、トラックボール、ジョイスティック、タッチパッド、マイク、音声入力装置等を含んで構成されてもよい。また、HMI部12は、車載装置10から種々の出力を行う情報出力機器として構成されている。ここで、情報出力機器は、使用者に対して情報を出力しつつ、当該使用者による操作入力を受付可能なタッチパネル装置等である。また、HMI部12は、車載装置10から種々の出力を行う情報出力機器として、例えば、スピーカ、ディスプレイ等を含んで構成されてもよい。
【0043】
DCM13は、車両Vの外部の機器と通信可能な通信モジュールである。DCM13は、無線通信によってネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して車両Vの外部の機器(典型的には、データ処理装置20)と通信を行う。
【0044】
データ入出力部14は、車載装置10に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部14は、記録媒体インターフェース等によって構成され、例えば、フレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)ソリッドステートドライブ(SSD:Solid State Drive)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、光磁気ディスク(Magneto-Optical disk)、USBメモリ、SDカードメモリ、Flashメモリ、CD-ROM、DVD等の記録媒体に対して各種データの読み出し、書き込みを行う。
【0045】
車載記憶部15は、種々のデータを記憶する記憶回路である。車載記憶部15は、例えば、HDD、SSD、光ディスクなどの比較的に大容量の記憶装置、あるいは、RAM、フラッシュメモリ、NVSRAM(Non Volatile Static Random Access Memory)等のデータを書き換え可能な半導体メモリであってもよい。車載記憶部15は、例えば、車載装置10の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。車載記憶部15は、処理部16での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部16等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0046】
本実施形態の車載記憶部15は、機能概念的に、車両データ記憶部15aを含んで構成される。
【0047】
車両データ記憶部15aは、車載記憶部15において車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部15aは、検出・取得部11が検出や取得した車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを車両データD1として記憶する。
【0048】
処理部16は、車載装置10を統括的に制御し、車載装置10における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部16は、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。プロセッサとは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の回路を意味する。処理部16は、例えば、車載記憶部15から読み込んだプログラムを実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部16は、検出・取得部11によって車両データD1を検出や取得し、車両データ記憶部15aに記憶させる処理、HMI部12を動作させる処理、DCM13を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0049】
本実施形態の処理部16は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、データ処理部16a、HMI処理部16b、及び、通信処理部16cを含んで構成される。処理部16は、例えば、車載記憶部15に記憶されている図示しないプログラムを読み込み、このプログラムを実行することにより、これらデータ処理部16a、HMI処理部16b、及び、通信処理部16cの各処理機能を実現する。
【0050】
データ処理部16aは、車載装置10において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部16aは、検出・取得部11によって、車両データD1を構成する情報を検出や取得する処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、検出・取得部11によって検出や取得された情報を車両データD1として車両データ記憶部15aに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、要求に応じて車両データ記憶部15aから当該車両データD1を読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、データ入出力部14を介して車載装置10に対するデータの入出力を行う処理を実行可能である。また、データ処理部16aは、データ入出力部14を介して入力されたデータを車載記憶部15に格納する処理、及び、データ入出力部14を介して出力するデータを車載記憶部15から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部16aは、HMI部12を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータを車載記憶部15に格納する処理、及び、当該データを車載記憶部15から読み出す処理も実行可能である。
【0051】
例えば、データ処理部16aは、検出・取得部11を制御し、所定のサンプリング周期で車両データD1を構成する情報を検出や取得してもよいし、適時のタイミングで当該情報を検出や取得してもよい。また、データ処理部16aは、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12等、一部の車両データD1については、HMI部12を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたものを取得してもよい。そして、データ処理部16aは、車両データD1を車両データ記憶部15aに格納する際には、当該車載装置10が搭載された車両Vの車両識別情報D10と当該車両データD1とを関連付けて車両データ記憶部15aに記憶させる。このとき、データ処理部16aは、例えば、当該車両データD1を収集した日時情報等と共に時系列に沿って車両データ記憶部15aに車両データD1を記憶させることができる。
【0052】
HMI処理部16bは、HMI部12を制御し、当該HMI部12を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部16bは、HMI部12を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部16bは、HMI部12を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0053】
通信処理部16cは、DCM13を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部16cは、DCM13を介して、データ処理装置20等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。より具体的には、通信処理部16cは、車両識別情報D10とこれに対応する車両データD1とが関連付けられた状態で、当該車両データD1を、DCM13を介してデータ処理装置20に送信する処理を実行可能である。また、通信処理部16cは、DCM13を介してデータ処理装置20から各種指令や要求、様々な情報を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部16cは、DCM13を介してデータ処理装置20に各種指令や要求、様々な情報を送信する処理を実行可能である。
【0054】
例えば、通信処理部16cは、車両データ記憶部15aに記憶されている車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信することができる。この場合、通信処理部16cは、例えば、検出・取得部11によるサンプリング周期に合わせて逐次リアルタイムで車両データD1をデータ処理装置20に送信してもよいし、検出・取得部11によるサンプリング周期とは異なる周期で、複数のサンプリング周期分の車両データD1をまとめて定期的にデータ処理装置20に送信してもよい。また、通信処理部16cは、例えば、HMI部12を構成する操作入力機器への操作に応じた任意のタイミングで車両データD1をデータ処理装置20に送信してもよいし、外部の機器(データ処理装置20等)からの送信指令等の要求を受信したタイミングで車両データD1をデータ処理装置20に送信してもよい。この場合、この車載装置10は、例えば、通信トラフィック量の増加による輻輳を低減する効果を見込むことができる。また、通信処理部16cは、例えば、車両Vの状態に応じて車両データD1の送信周期を可変とすることもできる。この場合、通信処理部16cは、例えば、車両Vが停車中の場合、車速や位置情報等に大幅な変化が見込まれないため、車両Vが走行中の場合の送信周期より相対的に長い送信周期で車両データD1を送信するようにしてもよい。この場合、この車載装置10は、例えば、車両Vの状態にあわせて適正なタイミングでデータ送信を行うことができる。
【0055】
<データ処理装置の基本構成>
図5に示すデータ処理装置20は、車載装置10と、サービス提供機器30(例えば、モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B)とのデータ通信を中継するネットワーク中継機器である。本実施形態において、データ処理装置20は、車載装置10からサービス提供機器30に送信するデータを中継する。そして、サービス提供機器30では、データ処理装置20から受信したデータをモビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40Bに記憶する。データ処理装置20は、例えば、種々のコンピュータ機器等によって構成されてもよい。また、データ処理装置20は、例えば、既知のコンピュータ機器に種々の処理を実現させるプログラムをインストールすることで構成することもできる。
【0056】
データ処理装置20は、具体的には、図5に示すように、通信部21と、データ入出力部22と、データ処理記憶部23と、処理部24とを備える。通信部21、データ入出力部22、データ処理記憶部23、及び、処理部24は、相互に通信可能に接続されている。
【0057】
通信部21は、データ処理装置20以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部21は、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、車載装置10、サービス提供機器30等)と通信を行う。
【0058】
データ入出力部22は、データ処理装置20に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部22は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0059】
データ処理記憶部23は、種々のデータを記憶する記憶回路である。データ処理記憶部23は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。データ処理記憶部23は、例えば、データ処理装置20の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。データ処理記憶部23は、処理部24での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部24等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0060】
処理部24は、データ処理装置20を統括的に制御し、データ処理装置20における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部24は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部24は、例えば、データ処理記憶部23に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部24は、通信部21を介してデータ通信を行う処理、各種データを中継する処理、車載装置10から受信したデータをモビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40Bに送信して記憶させる処理等を実行可能である。
【0061】
本実施形態の処理部24は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、通信処理部24a、及び、データ処理部24bを含んで構成される。処理部24は、例えば、データ処理記憶部23に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらデータ処理部24b、及び、通信処理部24aの各処理機能を実現する。
【0062】
通信処理部24aは、通信部21を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部24aは、通信部21を介して、車載装置10、サービス提供機器30等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。より具体的には、例えば、通信処理部24aは、通信部21を介して車載装置10から車両データD1を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部24aは、通信部21を介して車両データD1をサービス提供機器30(例えば、モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B)に送信する処理を実行可能である。また、通信処理部24aは、通信部21を介して車載装置10、サービス提供機器30等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部24aは、通信部21を介して各種指令や要求、様々な情報を車載装置10、サービス提供機器30(例えば、モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B)に送信する処理を実行可能である。
【0063】
例えば、通信処理部24aは、各機器間でデータを中継する際には、不正な通信を遮断する処理、暗号化通信等のようなセキュリティレベルの高い通信を担保する処理、データの送信先を振り分けるルーティング処理、異なるネットワーク間で通信プロトコルを変換するプロトコル変換処理等の各処理を行う。
【0064】
データ処理部24bは、データ処理装置20において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部24bは、通信部21を介して受信したデータをデータ処理記憶部23に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部24bは、通信部21を介して送信するデータをデータ処理記憶部23から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部24bは、データ入出力部22を介してデータ処理装置20に対するデータの入出力を行う処理を実行可能である。また、データ処理部24bは、データ入出力部22を介して入力されたデータをデータ処理記憶部23に格納する処理、及び、データ入出力部22を介して出力するデータをデータ処理記憶部23から読み出す処理も実行可能である。
【0065】
また、通信処理部24aは、データ処理部24bによってデータ処理記憶部23から読み出された車両データD1を、通信部21を介してサービス提供機器30(モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B)に送信する。
【0066】
<サービス提供機器の基本構成>
サービス提供機器30は、異常検知システム1で取り扱う各種データを統括的に管理し、車両データD1に基づいてユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容に関する情報を異常検知データD4として記憶し、車両Vにおけるユーザの異常な運転が検知された場合に、異常検知データD4とユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関に設けられた医療機関端末70に対して送信することの可能な機器である。図2に示すように、サービス提供機器30は、モビリティサーバ40Aと、メディカルサーバ40Bと、検知分析装置(分析装置50A及び検知装置50B)とを備えて構成される。典型的には、サービス提供機器30は、車両Vとユーザ端末60や医療機関端末70等の外部端末との通信を中継する基地局に設けられる基地局機器を構成する。本実施形態において、基地局機器(サービス提供機器30)は、モビリティ基地局101に配置され、モビリティサーバ40A及び分析装置50Aによって構成される第1基地局機器と、メディカル基地局102に配置され、メディカルサーバ40B及び検知装置50Bによって構成される第2基地局機器とを含む。モビリティ基地局101は、例えば、車両Vの開発事業者や分析事業者によって管理される基地局である。メディカル基地局102は、例えば、医療に関する各種サービスを展開する事業者によって管理される基地局である。なお、検知分析装置(分析装置50A及び検知装置50B)は、モビリティ基地局101及びメディカル基地局102に配置される必要はなく、これらの基地局とは異なる場所に配置されていてもよい。すなわち、少なくともモビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40Bによって基地局機器が構成されていればよい。この場合、モビリティサーバ40Aによって第1基地局機器を構成され、メディカルサーバ40Bによって第2基地局機器が構成される。このとき、例えば、分析装置50Aは、モビリティ基地局101の所在地とは異なる遠隔地から第1基地局機器にアクセスする構成であってもよいし、検知装置50Bは、メディカル基地局102の所在地とは異なる遠隔地から第2基地局機器にアクセスする構成であってもよい。また、検知分析装置は、分析装置50Aと検知装置50Bの機能を1つの機器に集約させたものでもよく、モビリティ基地局101及びメディカル基地局102の所在地とは異なる遠隔地から、これら基地局に配置されたサーバにアクセス可能な構成であってもよい。
【0067】
本実施形態のサービス提供機器30において、検知装置50Bは、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、ユーザ端末60と通信可能に構成されている。メディカルサーバ40Bは、検知装置50Bと通信可能に構成されている。そして、検知装置50Bは、モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40Bから取得した車両データD1に基づいてユーザの異常な運転を検知し、ユーザの異常な運転の内容に関する情報を含む異常検知データD4を生成する。また、本実施形態のサービス提供機器30において、分析装置50Aは、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、検知装置50B及び医療機関端末70と通信可能に構成されている。モビリティサーバ40Aは、分析装置50A及びユーザ端末60と通信可能に構成されている。サービス提供機器30において、異常検知データD4は、検知装置50Bから分析装置50Aを介して医療機関端末70へ送信される。また、サービス提供機器30において、医療情報データD5は、分析装置50Aが医療機関端末70から受信する。そして、分析装置50Aは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60に通知する。このとき、医療情報は、分析装置50Aからモビリティサーバ40Aを介してユーザ端末60に送信される。このように、本実施形態のサービス提供機器30は、医療機関端末70からモビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bへ直接アクセスできない構成となっている。
【0068】
モビリティサーバ40A、分析装置50A、メディカルサーバ40B及び検知装置50Bは、例えば、種々のコンピュータ機器等によって構成されている。また、モビリティサーバ40A、分析装置50A、メディカルサーバ40B及び検知装置50Bは、例えば、既知のコンピュータ機器に種々の処理を実現させるプログラムをインストールすることで構成することもできる。なお、本実施形態において、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bは、物理的に異なるサーバとして、別個に独立に構成されている。モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、相互に連携して異常検知システム1の記憶部を構成している。モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、例えば、種々のコンピュータ機器等によって構成されてもよい。また、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、例えば、既知のコンピュータ機器に種々の処理を実現させるプログラムをインストールすることで構成することもできる。ここで、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、異なる物理サーバとして別個に独立して構成されることに限定されず、種々の仮想化技術によって、同一の物理サーバ、あるいは、複数の物理サーバ上にいわゆる仮想サーバとして別個に独立して構成されてもよい。つまり、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、データをそれぞれ相互に独立して保有する構造となっている。このように、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、物理的又は構造的に独立してもよいし、例えば、プロセッサ等の各構成部を物理的に共通とした上で記憶領域を相互に独立させて構成されてもよい。
【0069】
サービス提供機器30に含まれるモビリティサーバ40A、及び、メディカルサーバ40Bは、典型的には、各種データをCSV、Excel等のテーブル形式で記憶するいわゆるリレーショナル型サーバとして構成されるがこれに限らない。例えば、モビリティサーバ40A、及び、メディカルサーバ40Bは、各種データをXMLやJSON等の形式で記憶するいわゆるNoSQL型サーバとして構成されてもよい。この場合、モビリティサーバ40A、及び、メディカルサーバ40Bは、例えば、同時に大量のデータを検索し易い構成とすることができる。
【0070】
<モビリティサーバの基本構成>
モビリティサーバ40Aは、メディカルサーバ40Bと連携可能に構成されており、主に車両Vのユーザに提供するサービス等に活用されるデータを管理するサーバである。モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、互いに連携してコネクテッドサービスを展開するコネクテッドサーバとして機能する。本実施形態の異常検知システム1では、メディカルサーバ40Bが記憶しているデータを活用して、ユーザの異常な運転を検知し、当該検知の結果に基づいて、医療情報通知をユーザ端末60に対して送信する医療情報通知サービスがユーザに提供される。また、本実施形態の異常検知システム1では、医療情報通知サービスに限らず、モビリティサーバ40Aが記憶しているデータを活用して、例えば、契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等のコネクテッドサービスをユーザに提供することができる。
【0071】
具体的には、モビリティサーバ40Aは、図6に示すように、通信部41と、データ入出力部42と、サーバ記憶部43と、処理部44とを備える。通信部41、データ入出力部42、サーバ記憶部43、及び、処理部44は、相互に通信可能に接続されている。
【0072】
通信部41は、モビリティサーバ40A以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部41は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、分析装置50A、ユーザ端末60等)と通信を行う。
【0073】
データ入出力部42は、モビリティサーバ40Aに対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部42は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0074】
サーバ記憶部43は、種々のデータを記憶する記憶回路である。サーバ記憶部43は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。サーバ記憶部43は、例えば、モビリティサーバ40Aの各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する(図示せず)。また、サーバ記憶部43は、処理部44での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部44等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0075】
本実施形態のサーバ記憶部43は、機能概念的に、車両データ記憶部43a、IDデータ記憶部43b、ユーザデータ記憶部43c、端末データ記憶部43dを含んで構成される。
【0076】
車両データ記憶部43aは、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。車両データ記憶部43aは、サーバ記憶部43において車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部43aは、車載装置10から送信された車両データD1を記憶する。車両データ記憶部43aは、例えば、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含む車両データD1を記憶する。
【0077】
IDデータ記憶部43bは、サーバ記憶部43においてIDデータD6を記憶する記憶領域である。IDデータ記憶部43bは、例えば、ユーザ端末60を介して登録されたり、モビリティサーバ40Aの処理部44によって自動生成されたりしたユーザID・D60、車両ID・D61等に関するデータを含むIDデータD6を記憶する。
【0078】
ユーザデータ記憶部43cは、サーバ記憶部43においてユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部43cは、例えば、車載装置10、ユーザ端末60等を介して登録されたり、モビリティサーバ40Aの処理部44によって自動生成されたりしたユーザ基本情報D20、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、サービス設定情報D23、契約パッケージ情報D24、お気に入り情報D25等に関するデータを含むユーザデータD2を記憶する。
【0079】
端末データ記憶部43dは、サーバ記憶部43において端末データD3を記憶する記憶領域である。端末データ記憶部43dは、例えば、ユーザ端末60は、端末基本情報D30、送信履歴情報D31、受信履歴情報D32、サービス提供履歴情報D33等に関するデータを含む端末データD3を記憶する。
【0080】
処理部44は、モビリティサーバ40Aを統括的に制御し、モビリティサーバ40Aにおける各種処理機能を実現する処理回路である。処理部44は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部44は、例えば、サーバ記憶部43に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部44は、通信部41を介してデータ通信を行う処理、異常検知データD4や医療情報データD5に対応するユーザデータD2を特定する処理、各種データを演算する処理、各種サービスをユーザに提供する処理等を実行可能である。
【0081】
本実施形態の処理部44は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、通信処理部44a、データ処理部44b、及び、サービス動作処理部44cを含んで構成される。処理部44は、例えば、サーバ記憶部43に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これら通信処理部44a、データ処理部44b、及び、サービス動作処理部44cの各処理機能を実現する。
【0082】
通信処理部44aは、通信部41を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部44aは、通信部41を介して、データ処理装置20やユーザ端末60等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0083】
例えば、通信処理部44aは、通信部41を介してユーザ端末60等からIDデータD6を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介してデータ処理装置20がモビリティサーバ40Aに対して送信した車両データD1を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介して車載装置10及びユーザ端末60からユーザデータD2を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、分析装置50Aからの要求に応じて通信部41を介して医療情報通知をユーザ端末60に送信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介してデータ処理装置20、分析装置50A、ユーザ端末60等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。
【0084】
データ処理部44bは、モビリティサーバ40Aにおいて各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部44bは、通信部41を介して受信したデータをサーバ記憶部43に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、通信部41を介して送信するデータをサーバ記憶部43から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、データ入出力部42を介して入力されたデータをサーバ記憶部43に格納する処理、及び、データ入出力部42を介して出力するデータをサーバ記憶部43から読み出す処理も実行可能である。
【0085】
より具体的には、例えば、データ処理部44bは、車載装置10からデータ処理装置20を介して送信された車両データD1を車両データ記憶部43aに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて車両データ記憶部43aから当該車両データD1を読み出す処理を実行可能である。
【0086】
また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録されたユーザID・D60、車両ID・D61等に関するデータをIDデータD6としてIDデータ記憶部43bに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録された情報に基づいてユーザID・D60、車両ID・D61等に関するデータを自動生成し、生成したデータをIDデータD6としてIDデータ記憶部43bに格納する処理を実行してもよい。また、データ処理部44bは、要求に応じてIDデータ記憶部43bから当該IDデータD6を読み出す処理を実行可能である。
【0087】
また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてユーザデータ記憶部43cに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、ユーザ端末60等を介して登録された情報に基づいてモビリティサーバ40Aに格納する一部のユーザデータD2、ここでは、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成し、生成したデータをユーザデータD2としてユーザデータ記憶部43cに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、例えば、車載装置10を介して登録されたデータをユーザデータD2の一部としてユーザデータ記憶部43cに格納し、ユーザデータD2を形成してもよい。また、データ処理部44bは、要求に応じてユーザデータ記憶部43cから当該ユーザデータD2を読み出す処理を実行可能である。
【0088】
また、データ処理部44bは、ユーザ端末60や医療機関端末70等から送信された端末基本情報D30に関するデータを端末データD3として端末データ記憶部43dに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、分析装置50A等から送信履歴情報D31、受信履歴情報D32、サービス提供履歴情報D33等に関するデータを取得し、端末データD3として生成し、端末データ記憶部43dに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて端末データ記憶部43dから端末データD3を読み出す処理を実行可能である。
【0089】
そして、データ処理部44bは、上記のように、車両データ記憶部43a、ユーザデータ記憶部43c、端末データ記憶部43dに車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3をそれぞれ格納する際には、これら車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3を相互に関連付ける処理を実行可能である。例えば、データ処理部44bは、車両データ記憶部43a、ユーザデータ記憶部43c、端末データ記憶部43dに格納された車両データD1とユーザデータD2と端末データD3を、車両識別情報D10やIDデータD6を構成するユーザID・D60及び車両ID・D61を介して相互に関連付けて一纏まりのデータセットとする。
【0090】
つまり、上述したサーバ記憶部43は、車両データ記憶部43aに記憶された車両データD1と、ユーザデータ記憶部43cに記憶されたユーザデータD2と、端末データ記憶部43dに記憶された端末データD3とを、データ処理部44bによって車両識別情報D10やIDデータD6に基づいて相互に関連付けて記憶し、これらを一纏まりのデータセットとしてデータベース化して記憶する。
【0091】
サービス動作処理部44cは、データ処理装置20、分析装置50A、検知装置50B等から受信した指令や要求、及び、サーバ記憶部43に記憶しているデータに基づいて、サービスの提供に関係する処理を実行可能な機能を有する部分である。例えば、モビリティサーバ40Aにおいて、サービス動作処理部44cは、分析装置50Aから受信した指令や要求により、検知装置50Bの医療情報データD5と対応するユーザデータD2から医療情報通知の対象となるユーザ(ユーザ端末)を特定し、ユーザに対して、医療情報通知を送信する。また、例えば、サービス動作処理部44cは、上述した契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等の一部のサービス、又は、全部のサービスを実行することができる。また、サービス動作処理部44cは、これらのサービスをユーザ端末60やその他の外部端末と連携して実行してもよい。サービス動作処理部44cは、サービスの提供に関係する動作を行う際には、サーバ記憶部43に記憶されている車両データD1、ユーザデータD2、端末データD3から、要求されたサービスの実行に必要なデータが適宜読み出され、当該データに基づいてユーザにサービスを提供するよう動作する。
【0092】
<分析装置の基本構成>
図7に示す分析装置50Aは、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとの間で行われるデータの送受信を中継するよう構成されている。また、分析装置50Aは、医療機関端末70や検知装置50Bと通信可能に構成されており、検知装置50Bから受信した異常検知データD4を医療機関端末70へ送信する。つまり、分析装置50Aは、検知装置50Bと医療機関端末70とのデータ送受信において中継器として機能する。また、分析装置50Aは、異常検知データD4と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信する。また、分析装置50Aは、モビリティサーバ40Aを介して、医療情報データD5に基づく内容を含む医療情報をユーザ(ユーザ端末60)に通知する。また、分析装置50Aは、当該医療情報の通知に限らず、モビリティサーバ40Aに記憶されているデータに基づいた各種分析(品質調査、事故分析、不具合分析、開発へのフィードバック、モビリティ企画、新事業への活用等)を行うことが可能である。この場合、分析装置50Aは、例えば、車両Vの開発や分析を行う事業者によって使用される。
【0093】
具体的には、分析装置50Aは、HMI部51と、通信部52と、データ入出力部53と、分析記憶部54Aと、処理部55とを備える。HMI部51、通信部52、データ入出力部53、分析記憶部54A、及び、処理部55は、相互に通信可能に接続されている。
【0094】
HMI部51は、分析装置50Aにおいて種々の入出力を行う機器である。HMI部51は、上述したHMI部12と同様に、分析装置50Aに対する種々の入力を行う操作入力機器、及び、分析装置50Aから種々の出力を行う情報出力機器を含んで構成される。
【0095】
通信部52は、分析装置50A以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部52は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、検知装置50B、ユーザ端末60、医療機関端末70等)と通信を行う。
【0096】
データ入出力部53は、分析装置50Aに対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部53は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0097】
分析記憶部54Aは、種々のデータを記憶する記憶回路である。分析記憶部54Aは、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。分析記憶部54Aは、例えば、分析装置50Aの各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。分析記憶部54Aは、処理部55での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部55等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0098】
処理部55は、分析装置50Aを統括的に制御し、分析装置50Aにおける各種処理機能を実現する処理回路である。処理部55は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部55は、例えば、分析記憶部54Aに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部55は、HMI部51を動作させる処理、通信部52を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0099】
本実施形態の処理部55は、分析装置50Aにおける各種処理機能を実現するために、HMI処理部55a、データ処理部55b、通信処理部55c、及び、分析処理部55dを含んで構成される。処理部55は、例えば、分析記憶部54Aに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらHMI処理部55a、データ処理部55b、通信処理部55c、及び、分析処理部55dの各処理機能を実現する。
【0100】
HMI処理部55aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部51を制御し、当該HMI部51を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部55aは、HMI部51を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0101】
データ処理部55bは、上述したデータ処理部44bと同様に、分析装置50Aにおいて各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部55bは、通信部52を介して受信したデータを分析記憶部54Aに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部55bは、通信部52を介して送信するデータを分析記憶部54Aから読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部55bは、データ入出力部53を介して入力されたデータを分析記憶部54Aに格納する処理、及び、データ入出力部53を介して出力するデータを分析記憶部54Aから読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部55bは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータを分析記憶部54Aに格納する処理、及び、当該データを分析記憶部54Aから読み出す処理も実行可能である。
【0102】
通信処理部55cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部52を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部55cは、通信部52を介して、データ処理装置20、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、検知装置50B、ユーザ端末60、医療機関端末70等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0103】
分析処理部55dは、モビリティサーバ40Aに記憶されているデータを分析する処理を実行可能な機能を有する部分である。分析処理部55dは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて、モビリティサーバ40Aから車両データD1等を取得する処理を実行する。分析処理部55dは、モビリティサーバ40Aに記憶されている車両データD1等のうち、分析装置50Aにおいて要求された分析の実行に必要なデータを取得したら、当該データに基づいて分析を行う。そして、分析装置50Aのデータ処理部55bは、分析処理部55dによる分析結果を分析データD7として分析記憶部54Aに格納する処理を実行する。また、分析装置50AのHMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、分析処理部55dによって分析された結果等に関する分析データD7を、当該情報出力機器を介して出力する処理を実行可能である。
【0104】
分析装置50Aの分析記憶部54Aは、機能概念的に、車両データ記憶部54a、ユーザデータ記憶部54b、異常検知データ記憶部54c、医療情報データ記憶部54dを含んで構成される。また、分析装置50Aが、モビリティサーバ40Aに記憶されているデータに基づいた各種分析を行う場合は、分析データ記憶部54eを更に含んで構成される。
【0105】
車両データ記憶部54aは、分析記憶部54Aにおいて、車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部54aは、モビリティサーバ40Aから取得した車両データD1を記憶する。また、メディカルサーバ40Bから検知装置50Bを介して取得した車両データD1を記憶してもよい。車両データ記憶部54aは、例えば、データ処理装置20から受信した車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含む車両データD1を記憶する。
【0106】
ユーザデータ記憶部54bは、分析記憶部54Aにおいて、ユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部54bは、例えば、車載装置10、ユーザ端末60等を介して登録されたり、モビリティサーバ40Aの処理部44によって自動生成されたりしたユーザ基本情報D20、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、サービス設定情報D23、契約パッケージ情報D24、お気に入り情報D25等に関するデータをモビリティサーバ40Aから取得し、ユーザデータD2として記憶する。
【0107】
異常検知データ記憶部54cは、分析記憶部54Aにおいて、異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部54cは、検知装置50Bから異常検知データD4を取得して記憶する。異常検知データ記憶部54cは、例えば、異常検知情報D41等に関するデータを含む異常検知データD4を記憶する。
【0108】
医療情報データ記憶部54dは、分析記憶部54Aにおいて、医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部54dは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を記憶する。医療情報データ記憶部54dは、例えば、判定結果情報D51、治療プログラム情報D52、受診勧奨情報D53等に関するデータを含む医療情報データD5を記憶する。
【0109】
分析データ記憶部54eは、分析データD7を記憶する記憶領域である。分析データ記憶部54eは、分析処理部55dによって分析された結果等に関するデータを含む分析データD7を記憶する。
【0110】
分析装置50Aの処理部55は、機能概念的に、上述したHMI処理部55a、データ処理部55b、通信処理部55c、分析処理部55dを含んで構成される。
【0111】
分析装置50AのHMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、検知装置50Bから受信した異常検知データD4や医療機関端末70から受信した医療情報データD5を、当該情報出力機器を介して出力する処理を実行可能である。また、分析装置50Aのデータ処理部55bは、検知装置50Bから受信した異常検知データD4を異常検知データ記憶部54cに格納する処理を実行可能である。
【0112】
分析装置50Aの通信処理部55cは、通信部52を介して、モビリティサーバ40AからユーザデータD2を取得する処理を実行可能に構成されている。また、分析装置50Aの通信処理部55cは、通信部52を介して、メディカルサーバ40Bや検知装置50Bから車両データD1を取得する処理を実行可能に構成されている。通信処理部55cは、取得した車両データD1を車両データ記憶部54aに記憶させ、取得したユーザデータD2を車両データ記憶部54aに記憶させるように構成されている。また、通信処理部55cは、通信部52を介して、医療機関端末70から医療情報データD5を取得する処理を実行可能に構成されている。通信処理部55cは、取得した医療情報データD5を医療情報データ記憶部54dに記憶させるように構成されている。また、通信処理部55cは、医療機関端末70に対して、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で送信するように構成されている。
【0113】
また、分析装置50Aの通信処理部55cは、通信部52を介して各種指令や要求をモビリティサーバ40Aに送信する処理を実行可能である。また、分析装置50Aの通信処理部55cは、通信部52を介してメディカルサーバ40B、検知装置50B、医療機関端末70から各種情報に関するデータを受信する処理を実行可能である。
【0114】
そして、分析処理部55dは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて、モビリティサーバ40Aから車両データD1等を取得する処理を実行する。分析処理部55dは、モビリティサーバ40Aに記憶されている車両データD1等から、分析装置50Aにおいて要求された分析の実行に必要なデータを受信したら、当該データに基づいてデータの分析を行う。そして、分析装置50Aのデータ処理部55bは、分析処理部55dによる分析結果を分析データD7として分析記憶部54Aに格納する処理を実行可能である。また、分析装置50AのHMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、分析処理部55dによる分析結果等の分析データD7を、当該情報出力機器を介して出力する処理を実行可能である。
【0115】
<メディカルサーバの基本構成>
図8に示す、メディカルサーバ40Bは、上述した通り、モビリティサーバ40Aと相互に連携して、主に車両Vのユーザに提供するサービス等に活用されるデータを管理するサーバである。
【0116】
メディカルサーバ40Bの基本構成は、モビリティサーバ40Aと実質的に同様の構成である。メディカルサーバ40Bは、通信部41と、データ入出力部42と、サーバ記憶部43と、処理部44とを備える。通信部41、データ入出力部42、サーバ記憶部43、及び、処理部44は、相互に通信可能に接続されている。
【0117】
メディカルサーバ40Bの通信部41は、メディカルサーバ40B以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部41は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、分析装置50A、検知装置50B、ユーザ端末60等)と通信を行う。
【0118】
メディカルサーバ40Bのデータ入出力部42は、メディカルサーバ40Bに対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部42は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0119】
メディカルサーバ40Bのサーバ記憶部43は、モビリティサーバ40Aのサーバ記憶部43と略同様の構成である。また、メディカルサーバ40Bのサーバ記憶部43は、モビリティサーバ40Aのサーバ記憶部43と同様に、処理部44での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部44等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0120】
ここで、メディカルサーバ40Bのサーバ記憶部43は、機能概念的に、車両データ記憶部43a、異常検知データ記憶部43e、医療情報データ記憶部43fを含んで構成される。
【0121】
車両データ記憶部43aは、上述したモビリティサーバ40Aの車両データ記憶部43aと略同様の構成である。車両データ記憶部43aは、車載装置10から送信された車両データD1を記憶する。車両データ記憶部43aは、例えば、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等に関するデータを含む車両データD1を記憶する。
【0122】
異常検知データ記憶部43eは、サーバ記憶部43において異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部43eは、検知装置50Bからメディカルサーバ40Bに送信された異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部43eは、異常検知情報D41に関するデータを含む異常検知データD4を記憶する。
【0123】
医療情報データ記憶部43fは、サーバ記憶部43において医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部43fは、医療機関端末70から分析装置50Aを介してメディカルサーバ40Bに送信された医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部43fは、例えば、判定結果情報D51、治療プログラム情報D52、及び、受診勧奨情報D53等に関するデータを含む医療情報データD5を記憶する。
【0124】
処理部44は、メディカルサーバ40Bを統括的に制御し、メディカルサーバ40Bにおける各種処理機能を実現する処理回路である。処理部44は、モビリティサーバ40Aの処理部44と略同様の構成である。例えば、処理部44は、通信部41を介してデータ通信を行う処理、各種データを演算する処理、各種サービスをユーザに提供する処理等を実行可能である。
【0125】
本実施形態の処理部44は、上記各種処理機能を実現するために、機能概念的に、通信処理部44a、データ処理部44b、及び、サービス動作処理部44cを含んで構成される。処理部44は、例えば、サーバ記憶部43に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これら通信処理部44a、データ処理部44b、及び、サービス動作処理部44cの各処理機能を実現する。
【0126】
通信処理部44aは、通信部41を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部44aは、通信部41を介して、データ処理装置20やユーザ端末60等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0127】
通信処理部44aは、通信部41を介してデータ処理装置20からメディカルサーバ40Bに対して送信された車両データD1を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部44aは、通信部41を介してデータ処理装置20、分析装置50A、検知装置50B等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。
【0128】
また、モビリティサーバ40Aと同様、データ処理部44bは、メディカルサーバ40Bにおいて各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部44bは、メディカルサーバ40Bにおいて、通信部41を介して受信したデータをサーバ記憶部43に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、メディカルサーバ40Bにおいて、通信部41を介して送信するデータをサーバ記憶部43から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、メディカルサーバ40Bにおいて、データ入出力部42を介して入力されたデータをサーバ記憶部43に格納する処理、及び、データ入出力部42を介して出力するデータをサーバ記憶部43から読み出す処理も実行可能である。
【0129】
より具体的には、例えば、メディカルサーバ40Bのデータ処理部44bは、車載装置10からデータ処理装置20を介して送信された車両データD1を車両データ記憶部43aに格納する処理を実行可能である。メディカルサーバ40Bのデータ処理部44bは、検知装置50Bから送信された異常検知データD4を異常検知データ記憶部43eに格納する処理を実行可能である。また、メディカルサーバ40Bのデータ処理部44bは、分析装置50Aから送信された医療情報データD5を医療情報データ記憶部43fに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて車両データ記憶部43aから車両データD1を読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて異常検知データ記憶部43eから異常検知データD4を読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部44bは、要求に応じて医療情報データ記憶部43fから医療情報データD5を読み出す処理を実行可能である。
【0130】
そして、メディカルサーバ40Bのデータ処理部44bは、上記のように、車両データ記憶部43a、異常検知データ記憶部43e及び医療情報データ記憶部43fのそれぞれに車両データD1、異常検知データD4及び医療情報データD5を格納する際には、車両データD1と、異常検知データD4と、医療情報データD5とを相互に関連付ける処理を実行可能である。例えば、データ処理部44bは、車両データ記憶部43aに格納された車両データD1と、異常検知データ記憶部43eに格納された異常検知データD4と、医療情報データ記憶部43fに格納された医療情報データD5とを、車両識別情報D10を介して相互に関連付けて一纏まりのデータセットとする。つまり、メディカルサーバ40Bのサーバ記憶部43は、車両データ記憶部43aに記憶された車両データD1と、異常検知データ記憶部43eに記憶された異常検知データD4と、医療情報データ記憶部43fに記憶された医療情報データD5とが、データ処理部44bによって車両識別情報D10によって相互に関連付けて記憶され、これらを一纏まりのデータセットとしてデータベース化して記憶している。
【0131】
サービス動作処理部44cは、データ処理装置20、分析装置50A、検知装置50B等から受信した指令や要求、及び、サーバ記憶部43に記憶しているデータ等に基づいて、サービスの提供に関係する処理を実行可能な機能を有する部分である。例えば、メディカルサーバ40Bにおいて、サービス動作処理部44cは、検知装置50Bから受信した指令や要求に基づいて車両データD1を検知装置50Bに送信する。
【0132】
<検知装置の基本構成>
図9に示す検知装置50Bは、メディカルサーバ40Bから車両データD1を取得し、取得した車両データD1に基づいて車両Vにおけるユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容等に関する情報を含む異常検知データD4を医療機関端末70に送信する。また、検知装置50Bは、異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信して記憶させる。本実施形態の検知装置50Bは、主に医療に関する各種サービスを提供する事業者や車両Vの開発を行う事業者等によって管理及び使用される装置である。
【0133】
検知装置50Bは、具体的には、HMI部51と、通信部52と、データ入出力部53と、検知記憶部54Bと、処理部55とを備える。HMI部51、通信部52、データ入出力部53、検知記憶部54B、及び、処理部55は、相互に通信可能に接続されている。
【0134】
HMI部51は、検知装置50Bにおいて種々の入出力を行う機器である。HMI部51は、上述したHMI部12と同様に、検知装置50Bに対する種々の入力を行う操作入力機器、及び、検知装置50Bから種々の出力を行う情報出力機器を含んで構成される。
【0135】
通信部52は、検知装置50B以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部52は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、分析装置50A、ユーザ端末60、医療機関端末70等)と通信を行う。
【0136】
データ入出力部53は、検知装置50Bに対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部53は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0137】
検知記憶部54Bは、種々のデータを記憶する記憶回路である。検知記憶部54Bは、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。検知記憶部54Bは、例えば、検知装置50Bの各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。検知記憶部54Bは、処理部55での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部55等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0138】
処理部55は、検知装置50Bを統括的に制御し、検知装置50Bにおける各種処理機能を実現する処理回路である。処理部55は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部55は、例えば、検知記憶部54Bに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部55は、HMI部51を動作させる処理、通信部52を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0139】
本実施形態の処理部55は、検知装置50Bにおける各種処理機能を実現するために、HMI処理部55a、データ処理部55b、及び、通信処理部55cを含んで構成される。処理部55は、例えば、検知記憶部54Bに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらHMI処理部55a、データ処理部55b、及び、通信処理部55cの各処理機能を実現する。
【0140】
HMI処理部55aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部51を制御し、当該HMI部51を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部55aは、HMI部51を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0141】
データ処理部55bは、上述したデータ処理部44bと同様に、検知装置50Bにおいて各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部55bは、通信部52を介して受信したデータを検知記憶部54Bに格納する処理を実行可能である。また、データ処理部55bは、通信部52を介して送信するデータを検知記憶部54Bから読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部55bは、データ入出力部53を介して入力されたデータを検知記憶部54Bに格納する処理、及び、データ入出力部53を介して出力するデータを検知記憶部54Bから読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部55bは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータを検知記憶部54Bに格納する処理、及び、当該データを検知記憶部54Bから読み出す処理も実行可能である。
【0142】
通信処理部55cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部52を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部55cは、通信部52を介して、データ処理装置20、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、ユーザ端末60、医療機関端末70等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行できる。
【0143】
検知処理部55eは、所定の周期、又は、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて、車両データ記憶部54aに記憶されている車両データD1からユーザの異常な運転を検知する処理を行う部分である。検知処理部55eは、車両データD1から急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等の特定の運転行動を異常な運転として検知する。また、検知処理部55eは、車両データD1から前方車両との車間距離が適切な車間距離よりも短縮した場合を異常な運転として検知してもよい。ここで、前方車両との適切な車間距離とは、例えば、ある地点を前方車両が通過してから3秒後に車両Vが通過する距離である。検知処理部55eは、ユーザの異常な運転を検知した場合、検知された異常な運転の内容等に関する情報を異常検知データD4として生成する。ここで、検知処理部55eは、検知された異常な運転の内容等に関する情報として、急ブレーキ、急ハンドル、一時停止標識の見落とし等があった時の車両Vの周辺状況、車載カメラによって撮像された運転中のユーザの状態、及び、ユーザの生体情報に関する情報等も含めて異常検知データD4として生成してもよい。
【0144】
検知装置50BのHMI処理部55aは、HMI部51を構成する情報出力機器を制御し、検知処理部55eによって生成された異常検知データD4を、当該情報出力機器を介して出力する処理を実行可能である。また、検知装置50Bのデータ処理部55bは、検知処理部55eによって生成された異常検知データD4を異常検知データ記憶部54cに格納する処理を実行可能である。
【0145】
検知装置50Bの検知記憶部54Bは、機能概念的に、車両データ記憶部54a、異常検知データ記憶部54cを含んで構成される。
【0146】
車両データ記憶部54aは、検知記憶部54Bにおいて、メディカルサーバ40Bから取得した車両データD1を記憶する記憶領域である。車両データ記憶部54aは、例えば、データ処理装置20から受信した車両識別情報D10及び走行情報D13等に関するデータを含む車両データD1を記憶する。
【0147】
異常検知データ記憶部54cは、検知記憶部54Bにおいて、異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部54cは、検知装置50Bにおいて生成された異常検知データD4を記憶する。異常検知データ記憶部54cは、例えば、異常検知情報D41等に関するデータを含む異常検知データD4を記憶する。
【0148】
図10は、異常検知システム1の記憶部を構成するモビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bに記憶されているデータベースの一例である。本実施形態において、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、互いに連携して、車両データD1と、ユーザデータD2と、端末データD3と、異常検知データD4と、IDデータD6とを相互に関連付けたテーブル形式のデータベースとしてこれらのデータを記憶している。
【0149】
<ユーザ端末の基本構成>
図11に示すユーザ端末60は、上述したように、分析装置50Aからの医療情報通知を受信可能に構成された端末機器である。ユーザ端末60は、主にユーザが所有して使用する第1ユーザ端末60Aと、主にユーザの家族や関係者等が所有して使用する第2ユーザ端末60Bを含む。ここでは、第1ユーザ端末60Aと第2ユーザ端末60Bとの間には、実質的な構成の違いはない。また、ユーザ端末60は、例えば、モビリティサーバ40Aに記憶されているデータに基づいた各種サービス(例えば、契約管理、駐車位置検索、車両遠隔操作、緊急通報サポート、トラブルサポート、セキュリティ通知、運転履歴評価等)も享受できるように構成されていてもよい。
【0150】
ユーザ端末60は、具体的には、HMI部61と、通信部62と、データ入出力部63と、ユーザ記憶部64と、処理部65とを備える。HMI部61、通信部62、データ入出力部63、ユーザ記憶部64、及び、処理部65は、相互に通信可能に接続されている。
【0151】
HMI部61は、ユーザ端末60において種々の入出力を行う機器である。HMI部61は、上述したHMI部12と同様に、ユーザ端末60に対する種々の入力を行う入力部としての操作入力機器、及び、ユーザ端末60から種々の出力を行う出力部としての情報出力機器を含んで構成される。
【0152】
通信部62は、他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部62は、上述した通信部41と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、データ処理装置20、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、分析装置50A、検知装置50B、医療機関端末70等)と通信を行う。
【0153】
データ入出力部63は、ユーザ端末60に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。データ入出力部63は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0154】
ユーザ記憶部64は、種々のデータを記憶する記憶回路である。ユーザ記憶部64は、上述した車載記憶部15と略同様の構成であり、例えば、HDD、SSD、光ディスク、半導体メモリ等によって実現される。ユーザ記憶部64は、例えば、ユーザ端末60の各部が各種の機能を実現することが可能なプログラムを記憶する。ユーザ記憶部64は、処理部65での各種処理に必要な各種データを記憶し、処理部65等によってこれらの各種データが必要に応じて読み出される。
【0155】
処理部65は、ユーザ端末60を統括的に制御し、ユーザ端末60における各種処理機能を実現する処理回路である。処理部65は、上述した処理部16と略同様の構成であり、例えば、プロセッサ、RAM、ROM等によって実現される。処理部65は、例えば、ユーザ記憶部64に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、各処理機能を実現する。例えば、処理部65は、HMI部61を動作させる処理、通信部62を介してデータ通信を行う処理等を実行可能である。
【0156】
本実施形態の処理部65は、ユーザ端末60における各種処理機能を実現するために、HMI処理部65a、データ処理部65b、及び、通信処理部65cを含んで構成される。処理部65は、例えば、ユーザ記憶部64に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、これらHMI処理部65a、データ処理部65b、及び、通信処理部65cの各処理機能を実現する。
【0157】
HMI処理部65aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部61を制御し、当該HMI部61を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部65aは、HMI部61を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部65aは、HMI部61を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0158】
データ処理部65bは、上述したデータ処理部44bと同様に、ユーザ端末60において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部65bは、通信部62を介して受信したデータをユーザ記憶部64に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部65bは、通信部62を介して送信するデータをユーザ記憶部64から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部65bは、データ入出力部63を介して入力されたデータをユーザ記憶部64に格納する処理、及び、データ入出力部63を介して出力するデータをユーザ記憶部64から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部65bは、HMI部61を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたデータをユーザ記憶部64に格納する処理、及び、当該データをユーザ記憶部64から読み出す処理も実行可能である。
【0159】
通信処理部65cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部62を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部65cは、通信部62を介して、データ処理装置20、モビリティサーバ40A、メディカルサーバ40B、分析装置50A、検知装置50B、医療機関端末70等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0160】
ユーザ端末60のユーザ記憶部64は、機能概念的に、ユーザデータ記憶部64a及びアプリ記憶部64bを含んで構成される。
【0161】
ユーザデータ記憶部64aは、ユーザ記憶部64においてモビリティサーバ40Aに送信するユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部64aは、例えば、第1ユーザ端末60AのHMI部61を構成する操作入力機器へのユーザの操作に応じて登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータを含むユーザデータD2を記憶する。
【0162】
アプリ記憶部64bは、ユーザ記憶部64においてユーザ端末60で使用されるアプリケーションプログラムAPを記憶する記憶領域である。アプリ記憶部64bに記憶されているアプリケーションプログラムAPは、ユーザ端末60において実行されることで、分析装置50Aから送信された医療情報の通知を受信し、HMI部61の出力部に医療情報通知の内容を出力可能とするものである。具体的には、HMI部61は、例えば、ユーザの認知機能に関する判定結果、治療プログラム、受診勧奨の通知に関する情報を表示部に表示する。ここで、HMI部61の出力部は、ユーザによる操作を入出力可能なタッチパネル機能を有する表示部を含む。本実施形態では、受診勧奨の通知は、ユーザに推奨される行動の提示を含む。受診勧奨の通知がある場合、HMI部61の出力部は、ユーザに対してユーザに推奨される行動の提示を行う。具体的には、ユーザ端末60は、受診勧奨の通知を受信すると、アプリケーションプログラムAPを実行し、医療情報通知の内容に応じたユーザに推奨される行動を、HMI部61の表示部に表示する。この構成により、ユーザに推奨される行動がユーザに提示される。そして、ユーザ端末60は、HMI部61の入力部が操作されて、ユーザに推奨される行動を実行する指示を受け付けたら、当該ユーザに推奨される行動を実行するようアプリケーションプログラムAPを動作させることが可能となる。なお、アプリケーションプログラムAPは、受診勧奨の通知に対応した処理を実行するものに限定されず、モビリティサーバ40Aと連動する各種サービスに応じたアプリケーション機能を実行可能であってもよい。
【0163】
ユーザ端末60の処理部65は、機能概念的に、HMI処理部65a、データ処理部65b、通信処理部65c、アプリ機能処理部65dを含んで構成される。
【0164】
ユーザ端末60のHMI処理部65aは、HMI部61を構成する表示部を制御し、アプリケーションプログラムAPによって実行される各種サービスに関する情報やデータを当該表示部に表示させる処理を実行可能である。図12図14は、ユーザ端末60が、医療情報通知に含まれる受診勧奨の通知をHMI部61の表示部に表示するときに、当該表示部において提示されるユーザに推奨される行動の一例を示すものである。
【0165】
例えば、図12に示すように、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動として「認知機能検査の受診をおススメします」の文言が表示されると共に、ユーザが当該行動を実行するために、HMI部61の入力部として、認知機能検査の受診を開始するアイコン60aを表示する。ユーザは、このアイコン60aにタッチすることで、認知機能検査を受診することができる。また、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動が複数表示されてもよい。図12に示す例では、ユーザに対して、内容の異なる2種類のWEB認知機能検査(WEB認知機能検査1及びWEB認知機能検査2)が選択可能に表示されている。
【0166】
また、例えば、図13に示すように、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動として「かかりつけ医への相談をご検討ください」の文言が表示されると共に、かかりつけ医へ電話をかけることのできる通話アイコン60b、及び、かかりつけ医宛てにメッセージを送信することのできる送信アイコン60cが表示されてもよい。この場合、ユーザ端末60は、ユーザから通話アイコン60bに対するタッチ操作を受け付けたら、かかりつけ医へ電話をかけることができる。また、ユーザ端末60は、ユーザから送信アイコン60cに対するタッチ操作を受け付けたら、かかりつけ医宛てにメッセージを送信することができる。
【0167】
また、例えば、図14に示すように、HMI部61の表示部には、ユーザに推奨される行動として「医療機関での受診をご検討ください」の文言が表示されると共に、医療機関の受診予約を行うことのできる予約アイコン60dが表示されてもよい。この場合、ユーザ端末60は、ユーザから予約アイコン60dに対するタッチ操作を受け付けたら、医療機関の受診予約を行うことができる。
【0168】
なお、ユーザ本人が所有する第1ユーザ端末60Aと、ユーザの家族や関係者等が所有する第2ユーザ端末60Bとには、同じ内容が出力される構成であってもよいし、本人向けの内容と家族や関係者等向けの内容とで互いに異なる内容が出力される構成であってもよい。例えば、ユーザの認知機能に関する判定結果や治療プログラムも含めて受診勧奨の通知を行う場合、第1ユーザ端末60A及び第2ユーザ端末60Bに同一の内容を出力して、ユーザの家族や関係者等もユーザの認知機能状態を把握できるようにしてもよい。また、本人向けの内容と家族や関係者等向けの内容とで互いに異なる内容を出力する場合には、第1ユーザ端末60Aに対しては、本人向けの内容として、上述した図12図14に示すような受診勧奨の通知を行い、第2ユーザ端末60Bに対しては、家族や関係者等向けの内容として、ユーザに医療機関で受診することを勧める旨の通知を行ったことを示す単なる連絡に関する通知を行ってもよい。
【0169】
ユーザ端末60のデータ処理部65bは、HMI部61を構成する操作入力機器への操作に応じて、ユーザ端末60の表示部に提示されたユーザに推奨される行動に関する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60のデータ処理部65bは、HMI部61を構成する操作入力機器への操作に応じて登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてユーザデータ記憶部64aに格納する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60のデータ処理部65bは、要求に応じてユーザデータ記憶部64aに記憶されているユーザデータD2を読み出す処理を実行可能である。
【0170】
そして、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介してユーザデータ記憶部64aに記憶されているユーザデータD2をモビリティサーバ40Aに送信する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介して各種指令や要求をモビリティサーバ40A等に送信する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介してモビリティサーバ40A、分析装置50A等から各種指令や要求を受信する処理を実行可能である。また、ユーザ端末60の通信処理部65cは、通信部62を介してモビリティサーバ40Aや分析装置50A等からサービス内容やアプリケーション機能に応じた各種情報を受信する処理を実行可能である。ユーザ端末60の通信処理部65cがモビリティサーバ40Aや分析装置50A等からサービス内容やアプリケーション機能に応じて受信するデータは、例えば、モビリティサーバ40Aに記憶されている車両データD1、ユーザデータD2、及び、これらのデータに基づいて生成された各種情報、データ等が含まれていてもよい。
【0171】
アプリ機能処理部65dは、アプリ記憶部64bに記憶されているアプリケーションプログラムAPを実行する処理を実行可能な機能を有する部分である。アプリ機能処理部65dは、例えば、分析装置50Aから医療情報の通知を受信したことやHMI部61を構成する操作入力機器へ操作がなされたこと等に応じてアプリ記憶部64bに記憶されているアプリケーションプログラムAPを起動し、各種サービスに応じたアプリケーション機能を実行可能である。
【0172】
<医療機関端末の基本構成>
図15に示す医療機関端末70は、上述したように、分析装置50Aと通信可能に構成されており、主に医師等の医療従事者が使用する機器である。典型的には、医療機関端末70は、主に医療機関に設置された端末機器である。医療機関端末70は、分析装置50Aから送信されたユーザデータD2及び異常検知データD4を受信し、記憶部に記憶するように構成されている。また、医療機関端末70は、医師等の医療従事者が、ユーザデータD2と異常検知データD4の内容を確認できるように構成されている。また、医療機関端末70は、医療機関の医師等の医療従事者が異常検知データD4と当該医療従事者の見解とに基づいて作成した医療情報データD5を記憶部に記憶し、当該医療情報データD5を分析装置50Aに送信するように構成されている。なお、医療機関端末70は、電子カルテ等の診察情報が記憶されているサーバやストレージ端末等に対してアクセス可能に構成されていてもよい。この場合、医療機関端末70は、ユーザデータD2から当該医療機関におけるユーザの診察情報を特定できるように構成される。ユーザデータD2から当該医療機関におけるユーザの診察情報を特定できた場合、医療機関の医療従事者は、異常検知データD4に加えて、当該ユーザの診察情報の内容等も考慮して、医療情報データD5を作成することができる。医療機関端末70に記憶されるユーザデータD2には、医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報が含まれている。例えば、医療機関端末70は、ユーザデータD2に含まれる個人番号や健康保険証番号と、医療機関におけるユーザの診察情報に含まれる個人番号や健康保険証番号とを照合することによって、対象となるユーザの診察情報を特定する。また、ユーザデータD2に含まれるユーザの氏名、住所、電話番号、年齢、性別等の情報を利用して、対象となるユーザの診察情報を特定してもよい。なお、医療機関端末70は、医療情報データD5を医療機関に設けられているサーバやストレージ端末等の記憶装置に送信し、当該記憶装置に記憶されているユーザの診察情報(電子カルテ等)と関連付けて記憶させてもよい。
【0173】
医療機関端末70は、HMI部71と、通信部72と、データ入出力部73と、医療機関記憶部74と、処理部75とを備える。HMI部71、通信部72、データ入出力部73、医療機関記憶部74、及び、処理部75は、相互に通信可能に接続されている。
【0174】
HMI部71は、医療機関端末70において種々の入出力を行う機器である。HMI部71は、上述したHMI部12と同様に、医療機関端末70に対する種々の入力を行う操作入力機器、及び、医療機関端末70から種々の出力を行う情報出力機器を含んで構成される。
【0175】
通信部72は、医療機関端末70以外の他の機器と通信可能な通信モジュールである。通信部72は、上述した通信部21と略同様の構成であり、無線通信であるか有線通信であるかを問わずネットワークNWと通信可能に接続され、当該ネットワークNWを介して他の機器(例えば、サービス提供機器30等)と通信を行う。
【0176】
データ入出力部73は、医療機関端末70に対するデータ(情報)の入出力を行うデータ入出力機器である。医療機関端末70は、上述したデータ入出力部14と略同様の構成であり、記録媒体インターフェース等によって構成される。
【0177】
医療機関端末70の処理部75は、機能概念的に、HMI処理部75a、データ処理部75b、通信処理部75cを含んで構成される。
【0178】
医療機関端末70のHMI処理部75aは、上述したHMI処理部16bと同様に、HMI部71を制御し、当該HMI部71を動作させる処理を実行可能な機能を有する部分である。HMI処理部75aは、HMI部71を構成する操作入力機器を制御し、当該操作入力機器を介して操作を入力する処理を実行可能である。また、HMI処理部75aは、HMI部71を構成する情報出力機器を制御し、当該情報出力機器を介して情報を出力する処理を実行可能である。
【0179】
医療機関端末70のデータ処理部75bは、上述したデータ処理部44bと同様に、ユーザ端末60において各種データに関する処理を実行可能な機能を有する部分である。データ処理部75bは、通信部72を介して受信したデータを医療機関記憶部74に格納する処理を実行可能である。また、データ処理部75bは、通信部72を介して送信するデータを医療機関記憶部74から読み出す処理を実行可能である。また、データ処理部75bは、データ入出力部73を介して入力されたデータを医療機関記憶部74に格納する処理、及び、データ入出力部73を介して出力するデータを医療機関記憶部74から読み出す処理も実行可能である。また、データ処理部75bは、HMI部51を構成する操作入力機器への操作に応じて作成されたデータを医療機関記憶部74に格納する処理、及び、当該データを医療機関記憶部74から読み出す処理も実行可能である。
【0180】
医療機関端末70の通信処理部75cは、通信部72を介して、分析装置50AからのユーザデータD2及び異常検知データD4を受信する処理を実行可能である。また、通信処理部75cは、通信部72を介して、分析装置50Aに対して医療情報データD5を送信する処理を実行可能である。
【0181】
医療機関端末70の通信処理部75cは、上述した通信処理部44aと同様に、通信部72を制御し、データ通信を行う処理を実行可能な機能を有する部分である。通信処理部75cは、通信部72を介して、データ処理装置20、分析装置50A、ユーザ端末60等の他の機器との間でデータを送受信する処理を実行可能である。
【0182】
医療機関記憶部74は、機能概念的に、ユーザデータ記憶部74a、異常検知データ記憶部74b、医療情報データ記憶部74cを含んで構成される。
【0183】
医療機関端末70のユーザデータ記憶部74aは、医療機関端末70において、ユーザデータD2を記憶する記憶領域である。ユーザデータ記憶部74aは、分析装置50Aから異常検知データD4と関連付けられた状態で送信されたユーザデータD2を記憶する。医療機関端末70の異常検知データ記憶部74bは、医療機関端末70において、異常検知データD4を記憶する記憶領域である。異常検知データ記憶部74bは、分析装置50AからユーザデータD2と関連付けられた状態で送信された異常検知データD4を記憶する。また、医療情報データ記憶部74cは、医療情報データD5を記憶する記憶領域である。医療情報データ記憶部74cは、HMI部71を構成する操作入力機器の操作に応じて、ユーザの認知機能に関する判定結果、治療プログラム、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨に関する情報等を含む医療情報データD5を記憶する。
【0184】
データ処理部75bは、ユーザデータD2と関連付けられた異常検知データD4を、分析装置50Aから通信部72を介して受信し、ユーザデータD2と異常検知データD4とが関連付けられた状態を保持したまま、ユーザデータD2をユーザデータ記憶部74aに格納し、異常検知データD4を異常検知データ記憶部74bに格納する。ユーザデータD2と異常検知データD4との関連付けを保持することで、医療機関において、異常検知データD4に対応するユーザの特定が可能となる。
【0185】
以上、本実施形態に係る異常検知システム1の全体構成の概略について説明した。
【0186】
<異常検知システムにおけるデータの流れ>
次に、図16から図18を参照して本実施形態に係る異常検知システム1における各処理の流れの一例について説明する。なお、以下の説明において、データの送受信は、ネットワークNWを介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する場合がある。また、以下では、主にデータの流れに着目して説明するため、各機器における処理部等に関する具体的な処理動作についての記載は適宜省略する場合があり、必要に応じて上述した全体構成の概略を参照するものとする。また、以下で説明する各処理の流れは、あくまでも代表的なものの一例でありこれに限定されるものではない。
【0187】
<ユーザデータ、車両データの格納>
まず、図16に示すように、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザデータD2のうちユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)において登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてモビリティサーバ40Aに送信する(ステップS1)。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、初期登録されたユーザデータD2に限らず、初期登録後に更新されたユーザデータD2をモビリティサーバ40Aに送信することも可能である。また、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザに対する医療情報通知が、ユーザの家族や関係者等が使用する第2ユーザ端末60Bにも通知されるように、第2ユーザ端末60Bの端末登録情報をユーザ基本情報D20に含めてユーザデータD2として送信することもできる。また、ユーザが受診勧奨の通知に関するサービスに対して新規に登録する場合や既に登録済みの受診勧奨の通知に関するサービスに対して登録情報を変更する場合等において、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を用いて車両識別情報D10を端末登録情報に含めることでユーザデータD2に登録することができる。これにより、モビリティサーバ40Aに車両データD1が記憶されていない場合でも、車両識別情報D10に基づいてユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けて管理することができる。
【0188】
モビリティサーバ40Aは、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)からユーザデータD2を受信すると、受信したユーザデータD2に基づいて、一部のユーザデータD2を自動生成する(ステップS2)。ここでは、モビリティサーバ40Aは、例えば、ユーザ端末60から受信したユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータに基づいて、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成する。
【0189】
なお、ユーザデータD2の登録は、例えば、車載装置10を介して行うことも可能である。この場合、車載装置10は、ユーザのHMI部12への操作に応じてユーザデータD2のうちの一部の情報を登録可能であり、登録された一部の情報に関するデータをユーザデータD2としてデータ処理装置20に送信し、当該データ処理装置20を経由してモビリティサーバ40Aに送信する(ステップS3)。
【0190】
モビリティサーバ40Aは、受信したユーザデータD2、及び、自動生成したユーザデータD2をユーザID・D60と関連付けてサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納する(ステップS4)。
【0191】
車載装置10は、検出・取得部11によって検出や取得された車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信する(ステップS5)。このとき、車両データD1には、車両識別情報D10が含まれている。データ処理装置20は、車載装置10から車両データD1を受信すると、受信した車両データD1を、モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40Bへ送信する。
【0192】
ここで、メディカルサーバ40Bに送信される車両データD1には、少なくとも、検知装置50Bにおいてユーザの異常な運転の検知で使用される種別の走行情報D13と当該ユーザの異常な運転の検知において生成された異常検知データD4を特定する際に使用する情報(例えば、車両識別情報D10)とが含まれていればよい。
【0193】
メディカルサーバ40Bは、データ処理装置20から受信した車両データD1をサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納する(ステップS6a)。また、モビリティサーバ40Aは、データ処理装置20から車両データD1を受信すると、ユーザID・D60及びユーザデータD2に関連付けて車両データD1をサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納する。このとき、ユーザID・D60と車両ID・D61は相互に関連付けられているため、車両データD1は、車両識別情報D10に基づいて、ユーザデータD2と関連付けられてサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納することができる(ステップS6b)。
【0194】
<ユーザの異常な運転の検知、医療情報通知>
図17に示すように、検知装置50Bは、ユーザの異常な運転の検知に使用する車両データD1をメディカルサーバ40Bから取得する場合、当該メディカルサーバ40Bにデータ送信要求を送信する(ステップS7)。メディカルサーバ40Bは、検知装置50Bからデータ送信要求を受信したら、対象となる車両データD1を読み出す(ステップS8)。そして、メディカルサーバ40Bは、読み出した車両データD1を検知装置50Bに送信する(ステップS9)。本実施形態では、メディカルサーバ40Bは、少なくとも車両識別情報D10及び走行情報D13を含む車両データD1を検知装置50Bに送信する。検知装置50Bは、車両データD1を受信したら、当該車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転の検知を行う(ステップS10)。そして、検知装置50Bは、検知結果の内容を含む異常検知データD4を生成し、検知記憶部54Bに格納する(ステップS11)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4を車両データD1に含まれる車両識別情報D10と関連付けた状態で検知記憶部54Bに格納する。その後、検知装置50Bは、生成した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信する(ステップS13)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信するとき、メディカルサーバ40Bが検知装置50Bから受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶されている車両データD1等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、検知装置50Bは、車両識別情報D10と関連付けた状態で異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信する。そして、メディカルサーバ40Bは、検知装置50Bから受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶されている車両データD1に含まれる車両識別情報D10と照合し、これらを関連付けた状態でサーバ記憶部43に格納し、管理する(ステップS13)。
【0195】
そして、検知装置50Bは、異常検知データD4に基づいて、ユーザの異常な運転が検知されているか否かを確認する(ステップS14)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4に基づき車両Vにおけるユーザの運転に異常はないと確認された場合、次回のデータ送信要求を送信するまで処理を終了する。また、異常検知データD4に基づきユーザの運転に異常があると確認された場合(ユーザの異常な運転が検知された場合)、検知装置50Bは、分析装置50Aに対して、異常検知データD4を送信するとともに、異常検知データD4と当該異常検知データD4に対応するユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関の医療機関端末へ送信するように要求する(ステップS15)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4と当該異常検知データD4に対応する車両識別情報D10とを関連付けて分析装置50Aに送信する。そして、分析装置50Aは、検知装置50Bから医療機関への送信要求を受信したら、モビリティサーバ40Aに対して、検知装置50Bから受信した異常検知データD4に対応するユーザデータD2を分析装置50Aに送信するように要求する(ステップS16)。
【0196】
モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aが受信した異常検知データD4に関連付けられている車両識別情報D10を利用して、当該異常検知データD4に対応するユーザデータD2を読み出す(ステップS17)。そして、モビリティサーバ40Aは、読み出したユーザデータD2を分析装置50Aに送信する(ステップS18)。このとき、モビリティサーバ40Aは、読み出したユーザデータD2を当該ユーザデータD2に対応する車両識別情報D10と関連付けて送信する。そして、分析装置50Aは、車両識別情報D10を参照してユーザデータD2を特定し、車両識別情報D10に関連付けられた異常検知データD4と車両識別情報D10に関連付けられたユーザデータD2とに基づいて、異常検知データD4とユーザデータD2とを関連付ける。そして、分析装置50Aは、異常検知データD4と当該異常検知データD4に対応するユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関端末70に送信する(ステップS19)。
【0197】
このとき、分析装置50Aは、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて、ユーザに対して同意確認を行ってもよい。同意確認を行う場合、分析装置50Aは、ユーザデータD2から同意確認を行うユーザのユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を特定し、当該ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)に対して、同意確認の通知を行う。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、ユーザからの操作に応じて、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて同意するか否かの回答を分析装置50Aに送信する。そして、分析装置50Aは、ユーザがユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することに同意した場合にのみ、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信する。
【0198】
医療機関端末70は、分析装置50AからユーザデータD2及び異常検知データD4を受信したら、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納し、管理する。医療機関端末70は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関における医師等の医療従事者が利用可能な状態に処理する。当該処理されたユーザデータD2及び異常検知データD4は、医療機関における医療従事者がユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定するために利用される。医療機関における医師等の医療従事者は、異常検知データD4及び自身の見解等に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等を判定する(ステップS20)。そして、医療機関における医師等の医療従事者は、当該判定の結果に基づいて医療情報データD5を作成し、医療機関端末70の医療機関記憶部74に格納する。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5をユーザデータD2や異常検知データD4と関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納する。そして、医療機関端末70は、分析装置50Aに対して医療情報データD5を送信する(ステップS21)。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5を分析装置50Aに送信するとき、分析装置50Aが、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を分析装置50Aに記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、医療機関端末70は、医療情報データD5を当該医療情報データD5に対応するユーザデータD2と関連付けた状態で分析装置50Aに送信する。そして、分析装置50Aは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を当該医療情報データD5と対応するユーザデータD2等と関連付けた状態で分析記憶部54Aに格納し、管理する。このとき、分析装置50Aは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5に対応するユーザデータD2から車両識別情報D10を特定し、当該車両識別情報D10と医療情報データD5とを関連付けてモビリティサーバ40Aに送信し、モビリティサーバ40Aのサーバ記憶部43に記憶するようにしてもよい。
【0199】
分析装置50Aは、医療機関端末70から医療情報データD5を受信したら、当該医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60に通知する。具体的には、分析装置50Aは、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をモビリティサーバ40Aに送信し、医療情報通知を行う(ステップS22)。モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aから医療情報を受信したら、医療情報を通知する対象について照合を行う(ステップS23)。当該通知対象の照合によって、医療情報を通知する対象となるユーザのユーザ端末60を特定する。ここで、分析装置50Aは、モビリティサーバ40Aを介してユーザ端末60に医療情報通知を行うとき、モビリティサーバ40Aが医療情報通知を行うユーザ端末60を特定できる状態で、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報をモビリティサーバ40Aに送信する。例えば、分析装置50Aは、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報と医療情報データD5に対応するユーザデータD2とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信することで、モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aから受信したユーザデータD2に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。また、分析装置50Aは、例えば、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報と医療情報データD5に対応する車両識別情報D10とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信することで、モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aから受信した車両識別情報D10に基づいてモビリティサーバ40Aに記憶されているユーザデータD2を照合し、当該ユーザデータD2から医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定してもよい。
【0200】
モビリティサーバ40Aは、医療情報を通知する対象のユーザ端末60を特定したら、当該特定したユーザ端末60に対して医療情報通知を送信する(ステップS24)。ユーザ端末60は、モビリティサーバ40Aから医療情報通知を受信したら、医療情報通知に応じた内容を表示部に出力する(ステップS25)。例えば、医療情報通知の内容がユーザの認知機能に関する判定結果であった場合、ユーザ端末60には、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に治療プログラムが含まれていた場合、ユーザ端末60には、医療機関の医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療プログラムに関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に認知機能に関する疾患についての受診勧奨が含まれていた場合、図12から図14に示すような、受診勧奨に関する情報が出力される。
【0201】
<第1実施形態の作用効果>
以上、説明したように、本実施形態に係る異常検知システム1は、車両Vのユーザに関するユーザデータD2を記憶するモビリティサーバ40Aと、車両Vの走行情報D13を含む車両データD1を記憶するメディカルサーバ40Bと、車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶し、当該異常検知データD4に基づきユーザに対して医療情報の通知を行う検知分析装置50A、50Bと、検知分析装置50A、50Bから通知を受信可能なユーザ端末60、60A、60Bと、を含み、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、相互に連携してユーザデータD2と車両データD1と異常検知データD4とを関連付けて管理し、検知分析装置50A、50Bは、少なくとも異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信し、異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末から受信し、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに通知する。
【0202】
本実施形態に係る異常検知システム1は、車載装置10により収集された車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知されたユーザの異常な運転に関する情報を医療機関へ提供するため、医療機関において、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況から認知機能低下の兆候や症状等の有無を判定することができる。これにより、ユーザにおける認知機能低下の兆候や症状等を早期に発見することが可能となる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関の医師等の医療従事者が、ユーザの異常な運転に関する情報を含む異常検知データD4に基づいてユーザの認知機能に関する疾患等を判定することができるため、従来から行われている認知機能に関する簡易検査とは異なり、このような簡易検査を受ける者の一時的な状態に基づく判定ではなく、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況からユーザの認知機能に関する疾患の有無や内容等の判定が可能となる。したがって、上述したような簡易検査と比べて、認知機能低下の兆候や症状を適時に判定できるため、特に、初期段階における認知機能の異常の検出が可能となる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、モビリティサーバ40AでユーザデータD2を管理し、モビリティサーバ40Aとは異なるメディカルサーバ40Bで機密性の高いユーザの身体に関係する情報である異常検知データD4を管理するように構成されている。この構成により、個人情報を含むユーザデータD2と機密性の高い異常検知データD4とが直接関連付かないよう分けて管理されるため、秘密保持性を向上させつつ、各種データの円滑な利用を可能にする。また、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとが、物理的に分けられていることで、それぞれが用途に応じた好適なタイミングで各種データを取得することが可能となる。この構成により、ストレージ資源を有効活用できる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、用途に応じてサーバが分けられているため、当該用途に応じたデータ種別や好適なタイミングで各種データを取得することが可能となる。これにより、相互に影響を与えることなくサーバをメンテナンスできたり、ストレージ資源を有効に活用できたりする。
【0203】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40Aは、車両Vとユーザ端末60との通信を中継するモビリティ基地局101に配置されており、メディカルサーバ40Bは、車両Vと医療機関端末70との通信を中継し、モビリティ基地局101とは異なる基地局であるメディカル基地局102に配置されている。
【0204】
実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bは、それぞれが互いに異なる基地局(モビリティ基地局101、メディカル基地局102)に設けられている。この構成により、サーバに記憶されるデータの機密性の程度に応じた管理が可能になる。例えば、医療機関は、患者のカルテ等の身体に関する情報を取り扱うため、データの管理において、より高い情報セキュリティが求められる。そして、高い情報セキュリティが求められる医療機関がメディカル基地局102を管理し、当該メディカル基地局102にメディカルサーバ40Bを配置することで、異常検知データD4の機密性を向上させることができる。このように、データの種別に応じてサーバや基地局を区分することにより、適切な情報管理を行うことができる。
【0205】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、通知部は、異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、医療情報データD5に対応するユーザデータD2からユーザ端末60、60A、60Bを特定し、ユーザ端末60、60A、60Bに対して、医療情報データD5に基づいた内容の通知である医療情報通知を行う。
【0206】
本実施形態に係る異常検知システム1は、ユーザの異常な運転に関する情報と医療機関の医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報をユーザ(ユーザ端末60)に通知することで、ユーザに対して、認知機能に関する疾患の早期の治療開始につなげることができる。
【0207】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、医療情報データD5は、医療従事者がユーザに適していると判断した治療プログラム、ユーザの認知機能に関する判定結果、及び、認知機能に関する疾患についての受診勧奨のうちの少なくとも何れか1つに関する情報を含む。
【0208】
本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関の医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療プログラムを当該ユーザ(ユーザ端末60)に通知することで、ユーザが具体的な治療計画等を把握することを可能とし、例えば、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。また、ユーザの認知機能に関する判定結果をユーザ(ユーザ端末60)に通知することによって、ユーザが自身の認知機能の状態や治療の必要性を知ることができ、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。また、ユーザに対して、認知機能に関する疾患についての受診勧奨の通知を行うことで、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。
【0209】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、医療情報データD5に受診勧奨に関する情報が含まれる場合、検知分析装置50A、50Bは、ユーザに推奨される行動の提示を含んだ医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに送信し、ユーザ端末60、60A、60Bは、ユーザに推奨される行動を提示するとともに、当該行動を実行する操作を受け付け可能に表示する。
【0210】
本実施形態に係る異常検知システム1は、ユーザに推奨される具体的な行動の提示を行い、その行動を実行可能な入力部(アイコン60a~60d)を設けることで、ユーザの医療機関への受診意思を向上させることができる。認知機能の低下は、外傷に現れるものではないことも相まって、例えば、ユーザが、専門医が何科にあたるのかが分からなかったり、総合病院に初診では行きづらかったりする場合がある。このような場合でも、ユーザ端末60に入力部(アイコン60a~60d)を操作可能に表示することにより、ユーザは推奨される行動をスムーズにとることができる。すなわち、ユーザ端末60に入力部(アイコン60a~60d)を操作可能に設けることで、ユーザが医療機関への予約等を行う際の心理的な障壁を低減することができる。
【0211】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、ユーザデータD2と車両データD1と異常検知データD4とを関連付けてユーザ毎に管理しており、ユーザデータD2は、医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報を含む。
【0212】
本実施形態に係る異常検知システム1は、医療機関で保管されている患者の診察情報と照合可能な情報をユーザデータD2に含めることで、当該医療機関の医療従事者が、ユーザの過去及び現在の診察情報を参照しながら、認知機能に関する疾患の兆候や症状に関する判定を行うことを可能にする。これにより、より詳細な内容の医療情報をユーザ(ユーザ端末60)に通知できる。
【0213】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、車両データD1は、車両Vを識別する車両識別情報D10を含み、モビリティサーバ40Aは、車両データD1を更に管理し、ユーザデータD2と車両識別情報D10とを関連付けて記憶し、メディカルサーバ40Bは、異常検知データD4と車両識別情報D10とを関連付けて記憶し、検知分析装置50A、50Bは、車両識別情報D10に基づいて、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けて、医療機関端末70に送信する。
【0214】
本実施形態に係る異常検知システム1は、車両識別情報D10を介してユーザデータD2と異常検知データD4とを対応させることで、モビリティサーバ40Aで管理されているユーザデータD2とメディカルサーバ40Bで管理されている異常検知データD4等とを直接関連付けて管理することなく、それぞれ異なるサーバで管理することができるため、データ管理の機密性を向上させることができる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、サービス提供機器30による医療情報の通知に加えて、モビリティサーバ40A及び分析装置50Aによって管理されている車両データD1を代理店(ディーラ)や車両Vの開発事業者にも利用可能にすることで、各種サービスや分析に活用することができる。例えば、モビリティサーバ40A及び分析装置50Aは、車両Vのメンテナンスに関するサービスに活用される。また、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとが、物理的に分けられていることで、それぞれが用途に応じた好適な周期で車両データD1を取得することが可能となる。この構成により、ストレージ資源を有効活用できる。また、本実施形態に係る異常検知システム1は、用途に応じてサーバが分けられているため、当該用途に応じたデータ種別や好適な周期で車両データD1を取得することが可能となる。これにより、相互に影響を与えることなくサーバをメンテナンスできたり、ストレージ資源を有効に活用できたりする。
【0215】
また、本実施形態に係る異常検知システム1において、メディカルサーバ40Bは、モビリティサーバ40Aとは同期せずに、車両データD1を外部から直接取得する。
【0216】
本実施形態に係る異常検知システム1において、メディカルサーバ40Bは、モビリティサーバ40Aとは同期せずに、車両データD1を外部から直接取得することにより、例えば、車両データD1に含まれる情報種別、受信周期、データ量等をそれぞれのサーバに適した形式となるよう、互いのサーバに依存せず構成できる。
【0217】
また、本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、車両Vのユーザに関するユーザデータD2を記憶するモビリティサーバ40Aと、車両Vの走行情報D13を含む車両データD1を記憶するメディカルサーバ40Bと、車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知された異常な運転の内容を含む異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶し、当該異常検知データD4に基づきユーザに対して医療情報の通知を行う検知分析装置50A、50Bと、を含み、モビリティサーバ40A及びメディカルサーバ40Bは、相互に連携してユーザデータD2と車両データD1と異常検知データD4とを関連付けて管理し、検知分析装置50A、50Bは、少なくとも異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信し、異常検知データD4と医療機関における医療従事者の見解とに基づいて作成された医療情報データD5を医療機関端末70から受信し、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60、60A、60Bに通知する。
【0218】
本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、車載装置10により収集された車両データD1からユーザの異常な運転を検知し、検知されたユーザの異常な運転に関する情報を医療機関へ提供するため、医療機関において、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況から認知機能低下の兆候や症状等の有無を判定することができる。これにより、ユーザにおける認知機能低下の兆候や症状等を早期に発見することが可能となる。また、本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、医療機関の医師等の医療従事者が、ユーザの異常な運転に関する情報を含む異常検知データD4に基づいてユーザの認知機能に関する疾患等を判定することができるため、従来から行われている認知機能に関する簡易検査とは異なり、このような簡易検査を受ける者の一時的な状態に基づく判定ではなく、ユーザの日常的な行動である車両Vの運転状況からユーザの認知機能に関する疾患の有無や内容等の判定が可能となる。したがって、上述したような簡易検査と比べて、認知機能低下の兆候や症状を適時に判定できるため、特に、初期段階における認知機能の異常の検出が可能となる。また、本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、モビリティサーバ40AでユーザデータD2を管理し、モビリティサーバ40Aとは異なるメディカルサーバ40Bで機密性の高いユーザの身体に関係する情報である異常検知データD4を管理するように構成されている。この構成により、個人情報を含むユーザデータD2と機密性の高い異常検知データD4とが直接関連付かないようを分けて管理されるため、秘密保持性を向上させつつ、各種データの円滑な利用を可能にする。また、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとが、物理的に分けられていることで、それぞれが用途に応じた好適なタイミングで各種データを取得することが可能となる。この構成により、ストレージ資源を有効活用できる。また、本実施形態に係る基地局機器(サービス提供機器30)は、用途に応じてサーバが分けられているため、当該用途に応じたデータ種別や好適なタイミングで各種データを取得することが可能となる。これにより、相互に影響を与えることなくサーバをメンテナンスできたり、ストレージ資源を有効に活用できたりする。
【0219】
<第2実施形態>
次に、図19から図22を参照して、第2実施形態について説明する。図19に示すように、第2実施形態に係る異常検知システム1、及び、基地局機器(サービス提供機器30)において、上述の第1実施形態の異常検知システム1、及び、基地局機器(サービス提供機器30)と異なる点は、車両データD1がデータ処理装置20からモビリティサーバ40A及び分析装置50Aを介してメディカルサーバ40Bに送信される点である。分析装置50Aは、モビリティサーバ40Aから送信された車両データD1を受信し、車両データ記憶部54aに記憶する。そして、分析装置50Aは、記憶した車両データD1をメディカルサーバ40Bに対して送信する。その他の構成は、第1実施形態と略同様の構成である。
【0220】
<異常検知システムにおけるデータの流れ>
次に、図20から図22を参照して第2実施形態に係る異常検知システム1における各処理の流れの一例について説明する。なお、第1実施形態と同様、以下の説明において、データの送受信は、ネットワークNWを介して行われるが、この点についての都度の説明は省略する場合がある。また、以下では、主にデータの流れに着目して説明するため、各機器における処理部等に関する具体的な処理動作についての記載は適宜省略する場合があり、必要に応じて上述した全体構成の概略を参照するものとする。また、以下で説明する各処理の流れは、あくまでも代表的なものの一例でありこれに限定されるものではない。
【0221】
<ユーザデータ、車両データの格納>
図20に示すように、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザデータD2のうちユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)において登録されたユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータをユーザデータD2としてモビリティサーバ40Aに送信する(ステップS31)。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、初期登録されたユーザデータD2に限らず、初期登録後に更新されたユーザデータD2をモビリティサーバ40Aに送信することも可能である。また、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、例えば、ユーザに対する受診勧奨の通知が、主にユーザの家族や関係者等が使用する第2ユーザ端末60Bにも通知されるように、第2ユーザ端末60Bの端末登録情報をユーザ基本情報D20に含めてユーザデータD2として送信することもできる。また、ユーザが受診勧奨の通知に関するサービスに対して新規に登録する場合や既に登録済みの受診勧奨の通知に関するサービスに対して登録情報を変更する場合等において、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を用いて車両識別情報D10を端末登録情報に含めることで、車両識別情報D10をユーザデータD2に登録することができる。これにより、モビリティサーバ40Aに車両データD1が記憶されていない場合でも、車両識別情報D10に基づいてユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けて管理することができる。
【0222】
そして、モビリティサーバ40Aは、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)からユーザデータD2を受信すると、受信したユーザデータD2に基づいて、一部のユーザデータD2を自動生成する(ステップS32)。ここでは、モビリティサーバ40Aは、例えば、ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)から受信したユーザ基本情報D20、サービス設定情報D23、お気に入り情報D25等に関するデータに基づいて、ユーザ属性情報D21、同意履歴情報D22、契約パッケージ情報D24等に関するデータを自動生成する。
【0223】
なお、ユーザデータD2の登録は、例えば、車載装置10を介して行うことも可能である。この場合、車載装置10は、ユーザのHMI部12への操作に応じてユーザデータD2のうちの一部の情報を登録可能であり、登録された一部の情報に関するデータをユーザデータD2としてデータ処理装置20に送信し、当該データ処理装置20を経由してモビリティサーバ40Aに送信することもできる(ステップS33)。
【0224】
モビリティサーバ40Aは、受信したユーザデータD2、及び、自動生成したユーザデータD2を、サーバ記憶部43(IDデータ記憶部43b)に記憶されているIDデータD6等に基づいて、対応するユーザID・D60と関連付けてサーバ記憶部43(ユーザデータ記憶部43c)に格納する(ステップS34)。
【0225】
車載装置10は、検出・取得部11によって検出や取得された車両データD1を適時のタイミングでデータ処理装置20に送信する(ステップS35)。この場合、車載装置10は、車両データD1をデータ処理装置20に送信する。このとき、車両データD1には、車両識別情報D10、DCM情報D11、車両基本情報D12、走行情報D13等が含まれている。データ処理装置20は、車載装置10から車両データD1を受信すると、受信した車両データD1を、モビリティサーバ40Aへ送信する。
【0226】
そして、モビリティサーバ40Aは、データ処理装置20から車両データD1を受信すると、車両ID・D61と関連付けて車両データD1をサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納する。このとき、ユーザID・D60と車両ID・D61は、IDデータD6に基づき相互に関連付けられているため、ユーザID・D60に関連付けられたユーザデータD2と車両データD1とを関連付けてサーバ記憶部43に格納することができる(ステップS36a)。また、モビリティサーバ40Aは、車両データD1を分析装置50A及び検知装置50Bを介して、メディカルサーバ40Bに送信する。ここでは、モビリティサーバ40Aからメディカルサーバ40Bに対して送信される車両データD1には、少なくとも、検知装置50Bにおいてユーザの異常な運転の検知で使用される走行情報D13と当該ユーザの異常な運転の検知において生成された異常検知データD4を特定する際に使用する車両識別情報D10とが含まれる。メディカルサーバ40Bは、車両データD1を受信したら、当該車両データD1をサーバ記憶部43(車両データ記憶部43a)に格納する(ステップS36b)。
【0227】
<ユーザの異常な運転の検知、医療情報通知>
図21に示すように、検知装置50Bは、ユーザの異常な運転の検知に使用する車両データD1をメディカルサーバ40Bから取得する場合、メディカルサーバ40Bに、データ送信要求を送信する(ステップS37)。そして、メディカルサーバ40Bは、検知装置50Bからデータ送信要求を受信したら、検知対象となる車両データD1を読み出す(ステップS38)。そして、メディカルサーバ40Bは、読み出した車両データを検知装置50Bに送信する(ステップS39)。検知装置50Bは、車両データD1を受信したら、当該車両データD1から車両Vにおけるユーザの異常な運転の検知を行う(ステップS40)。そして、検知装置50Bは、検知結果の内容を含む異常検知データD4を生成し、検知記憶部54Bに格納する(ステップS41)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4を車両データD1に含まれる車両識別情報D10と関連付けた状態で検知記憶部54Bに格納する。また、検知装置50Bは、生成した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信する(ステップS42)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信するとき、メディカルサーバ40Bが検知装置50Bから受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶されている車両データD1等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、検知装置50Bは、車両識別情報D10と関連付けた状態で異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに送信する。そして、メディカルサーバ40Bは、検知装置50Bから受信した異常検知データD4をメディカルサーバ40Bに記憶されている車両データD1に含まれる車両識別情報D10と照合し、これらを関連付けた状態でサーバ記憶部43に格納し、管理する(ステップS43)。
【0228】
そして、検知装置50Bは、異常検知データD4に基づいて、ユーザの異常な運転が検知されているか否かを確認する(ステップS44)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4に基づき車両Vにおけるユーザの運転に異常はないと確認された場合、次回のデータ送信要求を送信するまで処理を終了する。また、異常検知データD4に基づきユーザの運転に異常があると確認された場合(ユーザの異常な運転が検知された場合)、検知装置50Bは、分析装置50Aに対して、異常検知データD4を送信するとともに異常検知データD4と当該異常検知データD4に対応するユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関の医療機関端末へ送信するように要求する(ステップS45)。ここで、検知装置50Bは、異常検知データD4と当該異常検知データD4に対応する車両識別情報D10とを関連付けて分析装置50Aに送信する。そして、分析装置50Aは、検知装置50Bから医療機関への送信要求を受信したら、モビリティサーバ40Aに対して、検知装置50Bから受信した異常検知データD4に対応するユーザデータD2を分析装置50Aに送信するように要求する(ステップS46)。
【0229】
モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aが受信した異常検知データD4に関連付けられている車両識別情報D10を利用して、当該異常検知データD4に対応するユーザデータD2を読み出す(ステップS47)。そして、モビリティサーバ40Aは、読み出したユーザデータD2を当該ユーザデータD2に対応する車両識別情報D10と関連付けて分析装置50Aに送信する(ステップS48)。そして、分析装置50Aは、車両識別情報D10を参照してユーザデータD2を特定し、車両識別情報D10に関連付けられた異常検知データD4と車両識別情報D10に関連付けられたユーザデータD2とに基づいて、異常検知データD4とユーザデータD2とを関連付ける。そして、分析装置50Aは、異常検知データD4と当該異常検知データD4に対応するユーザデータD2とを関連付けた状態で医療機関端末70に送信する(ステップS49)。
【0230】
このとき、上述の第1実施形態と同様に、分析装置50Aは、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて、ユーザに対して同意確認を行ってもよい。同意確認を行う場合、分析装置50Aは、ユーザデータD2から同意確認を行うユーザのユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)を特定し、当該ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)に対して、同意確認の通知を行う。ユーザ端末60(第1ユーザ端末60A)は、ユーザからの操作に応じて、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することについて同意するか否かの回答を分析装置50Aに送信する。そして、分析装置50Aは、ユーザがユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信することに同意した場合にのみ、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関の医療機関端末70に送信する。
【0231】
医療機関端末70は、分析装置50AからユーザデータD2及び異常検知データD4を受信したら、ユーザデータD2と異常検知データD4とを関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納し、管理する。医療機関端末70は、ユーザデータD2及び異常検知データD4を医療機関における医師等の医療従事者が利用可能な状態に処理する。当該処理されたユーザデータD2及び異常検知データD4は、医療機関における医療従事者がユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無を判定するために利用される。医療機関における医師等の医療従事者は、異常検知データD4及び自身の見解等に基づいて、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等を判定する(ステップS50)。そして、医療機関における医師等の医療従事者は、当該判定の結果に基づいて医療情報データD5を作成し、医療機関端末70の医療機関記憶部74に格納する。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5をユーザデータD2や異常検知データD4と関連付けた状態で医療機関記憶部74に格納する。そして、医療機関端末70は、分析装置50Aに対して、医療情報データD5を送信する(ステップS51)。ここで、医療機関端末70は、医療情報データD5を分析装置50Aに送信するとき、分析装置50Aが、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を分析装置50Aに記憶されているユーザデータD2等と照合し、これらを関連付けて格納できるように送信する。具体的には、例えば、医療機関端末70は、医療情報データD5を当該医療情報データD5に対応するユーザデータD2と関連付けた状態で分析装置50Aに送信する。そして、分析装置50Aは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5を当該医療情報データD5と対応するユーザデータD2等と関連付けた状態で分析記憶部54Aに格納し、管理する。このとき、分析装置50Aは、医療機関端末70から受信した医療情報データD5に対応するユーザデータD2から車両識別情報D10を特定し、当該車両識別情報D10と医療情報データD5とを関連付けてモビリティサーバ40Aに送信し、モビリティサーバ40Aのサーバ記憶部43に記憶するようにしてもよい。
【0232】
分析装置50Aは、医療機関端末70から医療情報データD5を受信したら、当該医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をユーザ端末60に通知する。具体的には、分析装置50Aは、医療情報データD5に基づいた内容を含む医療情報をモビリティサーバ40Aに送信し、医療情報通知を行う(ステップS52)。モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aから医療情報通知を受信したら、医療情報を通知する対象について照合を行う(ステップS53)。当該通知対象の照合によって、医療情報を通知する対象となるユーザのユーザ端末60を特定する。ここで、分析装置50Aは、モビリティサーバ40Aを介してユーザ端末60に医療情報通知を行うとき、モビリティサーバ40Aが医療情報通知を行うユーザ端末60を特定できる状態で、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報をモビリティサーバ40Aに送信する。例えば、分析装置50Aは、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報と医療情報データD5に対応するユーザデータD2とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信することで、モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aから受信したユーザデータD2に基づいて、医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定することができる。また、分析装置50Aは、例えば、医療情報データD5に基づく治療プログラム等を含む医療情報と医療情報データD5に対応する車両識別情報D10とを関連付けた状態でモビリティサーバ40Aに送信することで、モビリティサーバ40Aは、分析装置50Aから受信した車両識別情報D10に基づいてモビリティサーバ40Aに記憶されているユーザデータD2を照合し、当該ユーザデータD2から医療情報を通知するユーザのユーザ端末60を特定してもよい。
【0233】
モビリティサーバ40Aは、医療情報を通知する対象のユーザ端末60を特定したら、当該特定したユーザ端末60に対して医療情報通知を送信する(ステップS54)。ユーザ端末60は、モビリティサーバ40Aから医療情報通知を受信したら、医療情報通知に応じた内容を表示部に出力する(ステップS55)。例えば、医療情報通知の内容がユーザの認知機能に関する判定結果であった場合、ユーザ端末60には、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状の有無や内容等に関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に治療プログラムが含まれていた場合、ユーザ端末60には、医療機関の医師等の医療従事者がユーザに適していると判断した治療プログラムに関する情報が出力される。また、医療情報通知の内容に認知機能に関する疾患についての受診勧奨が含まれていた場合、図12から図14に示すような、受診勧奨に関する情報が出力される。
【0234】
<第2実施形態の作用効果>
以上、説明したように、第2実施形態に係る異常検知システム1において、メディカルサーバ40Bは、モビリティサーバ40Aに記憶されている車両データD1のうち検知分析装置50A、50Bがユーザの異常な運転の検知で利用する車両データD1のみを取得する。
【0235】
本実施形態に係る異常検知システム1において、メディカルサーバ40Bは、モビリティサーバ40Aを介して車両Vから車両データを取得する。車両データD1の取得元を特定のモビリティサーバ40Aとすることで、セキュリティを向上させることができる。
【0236】
また、本実施形態に係る異常検知システム1は、機密性の高い個人情報である異常検知データD4をメディカルサーバ40Bで管理し、ユーザデータD2をメディカルサーバ40Bとは異なるモビリティサーバ40Aで区別して管理することにより、秘密保持性を向上させつつ、モビリティサービスに活用するデータを円滑に利用することができる。
【0237】
なお、本発明の各実施形態に係る異常検知システム1、及び、基地局機器は、上述した各実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0238】
<変形例>
以上の説明では、異常検知システム1は、ユーザの異常な運転を検知した場合にのみ医療機関の医療機関端末70に異常検知データD4を送信する態様であったが、これに限定されない。例えば、ユーザの異常な運転の検知の有無に関わらず、定期的に異常検知データD4を医療機関端末70に送信し、医療機関の医師等の医療従事者が、長期間に亘るユーザの運転行動の変化を確認することができる構成としてもよい。この構成により、例えば、医療機関の医師等の医療従事者は、ユーザの日常的な運転行動に問題が無いことも含めてユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状等を確認することができる。また、医療機関の医療従事者が、ユーザの異常な運転を検知したときの状態だけでなく、日常のユーザの運転行動に問題が無いときの状態も把握できていれば、ユーザの運転行動の変化をすぐさま察知して、ユーザの認知機能に関する疾患の兆候や症状を判定する行動を起こすことができる。
【0239】
以上の説明では、異常検知システム1は、2つの異なるサーバ間で、車両識別情報D10に基づいて、当該車両識別情報D10に対応する異常検知データD4や医療情報通知を照合する態様であったが、これに限定されない。例えば、異常検知システム1は、車載装置10のID、車載装置10の製造番号、又は異常検知システム1によるサービスの登録者番号等に基づいて異常検知データD4や医療情報通知を照合する態様であってもよい。
【0240】
以上の説明では、異常検知システム1は、当該システムを構成する各機器が通信によって相互にデータを送受信する態様であったが、これに限定されない。例えば、異常検知システム1で扱われるデータの一部又は全部を、データ入出力部14、22、42、53、63、73を介して記録媒体に書き込んだり読み出したりしてデータの受け渡しを行ってもよい。具体的には、車載装置10で収集した車両データD1は、データ入出力部14によって記録媒体に書き込まれ、データ入出力部22によって記録媒体から読み出されることでデータ処理装置20に受け渡されてもよい。また、データ処理装置20においては、作業者によりモビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B等に記憶する車両データD1がデータ入出力部22によって記録媒体に書き込まれ、サービス提供機器30においては、モビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B等のデータ入出力部42によって当該車両データD1が記録媒体から読み出されることでデータ処理装置20からモビリティサーバ40Aやメディカルサーバ40B等に車両データD1が一括で記憶される構成であってもよい。
【0241】
以上の説明では、車両Vは、ユーザが所有又は使用する自家用車両等であってもよいし、不特定の利用者によって共用されるレンタカーやシェアリングカー等であってもよい。なお、車両Vが不特定の利用者によって共用される車両である場合、異常検知システム1は、当該利用者が共用の車両Vの使用を予約したり登録したりする際に、車載装置10やユーザ端末60からモビリティサーバ40Aに対して、ユーザID・D60と共用の車両Vの車両ID・D61等とを関連付ける処理を実行する。
【0242】
以上で説明した処理部16、24、44、55、65、75は、それぞれが単一のプロセッサから構成されて各機能に係る処理が実行されてもよいし、それぞれが複数の独立したプロセッサの組み合わせから構成され、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能に係る処理が実行されてもよい。また、処理部16、24、44、55、65、75が実行する処理は、単一の処理回路に統合されてもよいし、複数の処理回路に分散されてもよい。
【0243】
以上で説明したモビリティサーバ40Aと分析装置50Aとは、それぞれが単一のプロセッサから構成されて各機能に係る処理が実行されてもよいし、それぞれが複数の独立したプロセッサの組み合わせから構成され、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能に係る処理が実行されてもよい。また、モビリティサーバ40Cと分析装置90とが実行する処理は、単一の処理回路に統合されてもよいし、複数の処理回路に分散されてもよい。
【0244】
以上で説明したメディカルサーバ40Bと検知装置50Bとは、それぞれが単一のプロセッサから構成されて各機能に係る処理が実行されてもよいし、それぞれが複数の独立したプロセッサの組み合わせから構成され、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能に係る処理が実行されてもよい。また、メディカルサーバ40Bと検知装置50Bとが実行する処理は、単一の処理回路に統合されてもよいし、複数の処理回路に分散されてもよい。
【0245】
以上の説明では、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとが分析装置50Aを介して、情報のやり取りを行う構成を例に説明したが、この構成に限られない。例えば、モビリティサーバ40Aとメディカルサーバ40Bとは、分析装置50Aを介することなく情報のやり取りを行ってもよい。
【0246】
本実施形態に係る異常検知システム、及び、基地局機器は、以上で説明した実施形態及び変形例の構成要素を相互に適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0247】
1 異常検知システム
10 車載装置
20 データ処理装置
30 サービス提供機器(基地局機器)
40A モビリティサーバ
40B メディカルサーバ
50A 分析装置(検知分析装置)
50B 検知装置(検知分析装置)
60 ユーザ端末
60A 第1ユーザ端末
60B 第2ユーザ端末
70 医療機関端末
NW ネットワーク
V 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22