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特開2024-15252超音波プローブ操作システムおよび超音波プローブを操作するロボットの制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015252
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】超音波プローブ操作システムおよび超音波プローブを操作するロボットの制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206575
(22)【出願日】2023-12-07
(62)【分割の表示】P 2022500186の分割
【原出願日】2020-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000279
【氏名又は名称】弁理士法人ウィルフォート国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 直史
(72)【発明者】
【氏名】山下 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】平野 敬典
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 広将
(72)【発明者】
【氏名】西内 誠
(72)【発明者】
【氏名】下神 学
(72)【発明者】
【氏名】大島 史義
(57)【要約】
【課題】ユーザにとっての使い勝手を改善できるようにした超音波プローブ操作システムおよび方法を提供すること。
【解決手段】超音波プローブ111を操作するシステムであって、血管4の超音波エコー画像21,22を取得する超音波プローブを操作するセンサ操作部11,12と、センサ操作部の動作を制御する制御部1とを備え、制御部は、センサ操作部により超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の画像を取得する第2配置とで切り替えてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを操作する超音波プローブ操作システムであって、
血管の超音波エコー画像を取得する超音波プローブを操作するセンサ操作部と、
前記センサ操作部の動作を制御する制御部と、
前記超音波プローブにより取得される超音波エコー画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
前記センサ操作部により前記超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の第1超音波エコー画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の第2超音波エコー画像を取得する第2配置とで切り替え、
前記第1配置で取得される第1超音波エコー画像と前記第2配置で取得される第2超音波エコー画像とを対応付けて前記表示部に表示させ、
前記第1超音波エコー画像と前記第2超音波エコー画像とのうちで、前記超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して前記表示部に表示させる、
超音波プローブ操作システム。
【請求項2】
前記超音波エコー画像には、血管内の長尺状医療用デバイスの画像も含まれており、
前記制御部は、前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像において、前記長尺状医療用デバイスと前記血管との間のずれ量を算出する、
請求項1に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記算出されたずれ量を前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像に対応付けて前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ずれ量が所定の閾値に達した場合に警報を出力する、
請求項2に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項5】
前記制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において前記超音波プローブを前記第1配置に設定することにより、前記第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と前記複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、前記算出された傾きに基づいて前記ずれ量を補正する、
請求項2に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項6】
前記制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において前記第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と前記複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、前記算出された血管の長手方向の傾きに基づいて、前記血管の中心位置を通る縦断面画像として前記第2超音波エコー画像を取得する、
請求項1に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記算出された血管の長手方向の傾きに応じて、前記超音波プローブの姿勢を制御する、
請求項6に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記算出された血管の長手方向の傾きに応じて前記超音波プローブを傾けて体表面に押し当てることにより前記超音波プローブを前記第2配置に設定し、前記第2超音波エコー画像において血管の長手方向の画像を水平に表示させる、
請求項7に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記超音波プローブを傾けて体表面に押し当てたまま所定角度回転させることにより、前記第1配置と前記第2配置の間で切り替える、
請求項8に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項10】
超音波プローブを操作するロボットの制御方法であって、
前記ロボットにより、
血管の超音波エコー画像を取得する超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の第1超音波エコー画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の第2超音波エコー画像を取得する第2配置とで切り替えさせ、
前記第1配置で取得される第1超音波エコー画像と前記第2配置で取得される第2超音波エコー画像とのうちで、前記超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して表示部に表示させる、
超音波プローブを操作するロボットの制御方法。
【請求項11】
前記超音波エコー画像には、血管内の長尺状医療用デバイスの画像も含まれており、
前記第1超音波エコー画像において、前記長尺状医療用デバイスと前記血管との間のずれ量が算出される、
請求項10に記載の超音波プローブを操作するロボットの制御方法。
【請求項12】
前記ロボットにより、
血管の長手方向に離間する複数の箇所において前記第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、
それら中心位置間の距離と前記複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、
前記算出された血管の長手方向の傾きに基づいて、血管の中心位置を通る縦断面画像として前記第2超音波エコー画像が取得される、
請求項10に記載の超音波プローブを操作するロボットの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブ操作システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カテーテルを用いる治療では、第1操作者(医師または技師など)が超音波プローブを患者の体表面に押し当て、血管及び血管内のガイドワイヤの超音波エコー画像を取得し、第2操作者(医師、手技者)は超音波エコー画像を見て血管とガイドワイヤの位置を確認しながら、ガイドワイヤを血管内へ挿入していく。確認すべきガイドワイヤの位置には、血管軸方向におけるガイドワイヤ先端の位置と、血管内の断面におけるガイドワイヤ先端の位置とが含まれる。
【0003】
ガイドワイヤを血管の所定位置へ適切かつ速やかに送るためには、超音波プローブの操作とガイドワイヤの操作とが連携している必要があるが、第1操作者と第2操作者の二人が息を合わせて微妙な操作を実行するのは難しく、各操作者の負担が大きい。
【0004】
従来技術には、血管の中心軸に交差するように超音波プローブを配置するための指標、例えば、心拍に同期した血管断面積の変化という指標を与える方法が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-229823号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術では、超音波プローブの配置に関する指標を出力するだけの技術であり、血管の長手方向の断面と横方向の断面とを正確に検出することは難しく、医師や技師などにとって使い勝手が低い。さらに、従来技術では、血管内におけるガイドワイヤ先端の位置を血管の長手方向の断面および横方向の断面の両方でほぼ同時に特定することは難しい。
【0007】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザにとっての使い勝手を改善できるようにした超音波プローブ操作システムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の一つの観点に従う超音波プローブ操作システムは、超音波プローブを操作する超音波プローブ操作システムであって、血管の超音波エコー画像を取得する超音波プローブを操作するセンサ操作部と、センサ操作部の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、センサ操作部により超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の画像を取得する第2配置とで切り替えてもよい。
【0009】
操作部は、所定の回転軸を中心に超音波プローブを回転させることにより、第2配置と第1配置とを切り替えてもよい。
【0010】
さらに、超音波プローブにより取得される超音波エコー画像を表示する表示部を備え、制御部は、第1配置で取得される第1超音波エコー画像と第2配置で取得される第2超音波エコー画像とを対応付けて表示部に表示させてもよい。
【0011】
制御部は、第1超音波エコー画像と第2超音波エコー画像とのうちで、超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して表示部に表示させてもよい。
【0012】
超音波エコー画像には、血管内の長尺状医療用デバイスの画像も含まれており、制御部は、第1超音波エコー画像及び/又は第2超音波エコー画像において、長尺状医療用デバイスと血管のとの間のずれ量を算出してもよい。
【0013】
制御部は、算出されたずれ量を第1超音波エコー画像及び/又は第2超音波エコー画像に対応付けて表示部に表示させてもよい。
【0014】
制御部は、ずれ量が所定の閾値に達した場合に警報を出力してもよい。
【0015】
制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出してもよい。
【0016】
制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において超音波プローブを第1配置に設定することにより、第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、算出された傾きに基づいてずれ量を補正してもよい。
【0017】
制御部は、算出された血管の長手方向の傾きに基づいて、血管の中心位置を通る縦断面画像として第2超音波エコー画像を取得してもよい。
【0018】
制御部は、算出された血管の長手方向の傾きに応じて、超音波プローブの姿勢を制御してもよい。
【0019】
制御部は、算出された血管の長手方向の傾きに応じて超音波プローブを傾けて体表面に押し当てることにより超音波プローブを第2配置に設定し、第2超音波エコー画像において血管の長手方向の画像を水平に表示させてもよい。
【0020】
制御部は、超音波プローブを傾けて体表面に押し当てたまま所定角度回転させることにより、第1配置と第2配置とを切り替えてもよい。
【0021】
制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の経路を検出してもよい。
【0022】
本発明は、超音波プローブ操作方法として把握されてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の画像を取得する第2配置とで切り替えることができ、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施形態の概要を示す説明図。
図2】本実施形態に係る処理のフローチャート。
図3】実施例の構成例を示す説明図。
図4】超音波プローブの操作を説明するための基本図。
図5】超音波プローブの上面図、正面図および側面図。
図6】超音波プローブによって血管の断面を検出する様子を示す説明図。
図7図6に続く説明図。
図8図7に続く説明図。
図9図8に続く説明図。
図10図9に続く説明図。
図11図10に続く説明図。
図12】血管を探索する処理のフローチャート。
図13】血管の長手方向断面を探す処理を示すフローチャート。
図14】第2実施例に係り、血管の長手方向断面を探す処理のフローチャート。
図15】第3実施例に係り、血管の長手方向断面図を探す処理のフローチャート。
図16】第4実施例に係り、超音波プローブおよびガイドワイヤの操作処理を示すフローチャート。
図17図16に続くフローチャート。
図18】第5実施例に係り、血管探索処理を示すフローチャート。
図19図18に続くフローチャート。
図20】第6実施例に係り、血管探索処理を示すフローチャート。
図21図20に続くフローチャート。
図22】第7実施例に係り、超音波プローブおよびガイドワイヤの操作に応じた画面を示す説明図。
図23図22に続く説明図。
図24図23に続く説明図。
図25図24に続く説明図。
図26図25に続く説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態に用いられる長尺状医療デバイスの例としては、ガイドワイヤ、ガイディングカテーテル、マイクロカテーテル、バルーンカテーテル、カッティングバルーン、およびステントデリバリーデバイスが挙げられる。
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明に長尺状医療用デバイスが用いられる実施の形態については、長尺状医療デバイスがガイドワイヤである場合を一例として、説明する。本実施形態では、超音波診断装置用の超音波プローブを操作する場合を例に挙げて説明するが、超音波診断装置以外の装置で使用される超音波プローブにも適用することができる。
【0027】
本実施形態では、超音波プローブを血管に対して異なる方向に位置させることにより、血管の位置を検出する。一例として、本実施形態では、超音波プローブを、血管の横方向の断面の画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の画像を取得する第2配置とで切り替えることにより、血管の位置を検出する。「血管の横方向の断面」とは、血管をその中心軸に交差する平面に沿って切断した断面を意味する。
【0028】
図1および図2を用いて、本実施形態の概要を説明する。本実施形態に含まれる複数の実施例については、図を改めて後述する。図1および図2は、本実施形態の概要を示しており、本発明の範囲を規定するものではない。図1および図2に開示された構成の一部から本発明が構成されてもよいし、図1および図2に開示されていない構成を含んで本発明が構成されてもよい。
【0029】
本実施形態に係る超音波プローブ操作システム(以下、プローブ操作システム)は、例えば、制御部1と、表示部2と、超音波プローブ111と、ロボット121とを含む。第1配置部11と第2配置部12とロボット121と後述するロボット制御装置120とは、「センサ操作部」の例に該当する。
【0030】
例えば6軸ロボットであるロボット121の先端には、超音波プローブ111が回動可能に取り付けられている。超音波プローブ111で撮影された画像(超音波エコー画像)は、制御部1に送られて処理される。以下では、超音波エコー画像をエコー画像または画像と省略する場合がある。
【0031】
制御部1は、例えば、第1配置部11と、第2配置部12と、超音波エコー画像処理部13と、演算部14と、警告部15とを含む。
【0032】
第1配置部11は、被検体SUの血管4の横方向の断面を撮影できるように、超音波プローブ111を、血管4を横切る方向に配置させる機能を有する。第2配置部12は、血管4の長手方向の断面を撮影できるように、超音波プローブ111を血管4の長手方向に沿って配置させる機能を有する。
【0033】
以下、血管の横方向の断面を第1断面(横方向断面または横断面)と、血管の長手方向の断面を第2断面(長手方向断面または縦断面)と呼ぶ場合がある。血管の横方向を血管の短軸方向と、血管の長手方向を血管の長軸方向と呼ぶこともできる。
【0034】
超音波エコー画像処理部13は、第1配置部11により第1配置に置かれた超音波プローブ111からの第1超音波エコー画像と、第2配置部12により第2配置に置かれた超音波プローブ111からの第2超音波エコー画像とを取得する機能を有する。以下の説明では、第1超音波エコー画像を第1断面の画像と、第2超音波エコー画像を第2断面の画像と呼ぶ場合がある。
【0035】
演算部14は、超音波エコー画像処理部13から取得された第1超音波エコー画像および第2超音波エコー画像を解析する機能を有する。演算部14は、例えば、血管の傾きを算出する機能16と、ずれ量を算出する機能17と、血管の経路を検出する機能18と、超音波プローブ111の姿勢を制御する機能19とを有する。
【0036】
血管の傾きを算出する機能16は、血管4の傾きを算出する。例えば、血管の傾きを算出する機能16は、血管4の長手方向に離間する複数の箇所において第1超音波エコー画像中の血管の中心位置をそれぞれ検出し、それら中心位置間の距離と複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出してもよい。最初に検出された血管の中心位置を基準とし、次に検出された血管の中心位置との差異と各血管の中心位置間の距離とから、血管の傾きを算出することができる。これに代えて、超音波プローブを操作する三次元空間を最初に定義することにより、異なる二つの血管の中心位置の前記三次元空間における座標から、それら二つの血管の中心位置を結ぶ線の傾き(方向)をベクトル計算により求めることができる。この場合、各血管の中心位置間の距離は不明でもよい。
【0037】
ずれ量算出機能17は、算出された血管の傾きに基づいて、血管4の横断面の中心とガイドワイヤ3の先端とのずれ量(距離)を算出する。
【0038】
血管経路を検出する機能18は、算出された血管の傾きに基づいて、血管4の経路を検出する。血管経路を検出する機能18は、例えば、血管4の長手方向に離間する複数の箇所において第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の経路を検出してもよい。
【0039】
超音波プローブの姿勢を制御する機能19は、算出された血管4の傾きに基づき、血管の傾きおよび経路に合わせて超音波プローブ111の姿勢を追従させる機能である。
【0040】
プローブ姿勢制御機能19は、例えば、算出された血管の長手方向の傾きに応じて超音波プローブ111を傾けて体表面に押し当てさせることにより、超音波プローブ111を第2配置に設定し、第2超音波エコー画像22において血管の長手方向の画像を水平に表示させる。なお、超音波プローブ111の姿勢を変化させるのではなく、第2超音波エコー画像22中の血管4が水平に表示されるように、画像22を処理してもよい。
【0041】
なお、演算部14内の各機能16~19を結ぶ矢印は、一例を示したものである。各機能16~19の関係は、図1に示す矢印、あるいは矢印の向きに限定されない。
【0042】
警告部15は、演算部14による演算結果が所定の閾値に達した場合に、ユーザに向けて警告を発する機能である。警告部15は、例えば、ずれ量算出機能17により算出されたずれ量が所定の閾値に達した場合に、警報、警告メッセージあるいはこれらの組合せにより、ユーザへ警告する。警告部15は、ずれ量に限らず、例えば、血管の傾き、血管の経路、超音波プローブ111の姿勢についても警告可能である。所定の閾値は、ユーザが任意に設定してもよいし、手術の履歴データから算出された値を用いてもよい。
【0043】
表示部2は、超音波エコー画像をユーザに提示する。表示部2は、第1超音波エコー画像21および第2超音波エコー画像22のいずれか一つまたは両方を画面に表示することにより、ユーザへ提供する。表示部2は、超音波プローブ111からの生画像をそのまま画面表示させることもできるし、生画像に輪郭強調などの画像処理を施した結果を画面表示させることもできる。
【0044】
表示部2は、第1超音波エコー画像21(第1断面画像)と第2超音波エコー画像22(第2断面画像)とを対応付けて(例えば、画像21に表示される血管4と、画像22に表示される血管4とが、所定の位置関係に配置されるように)表示する。
【0045】
図1において、画像21と画像22とは、表示部2の左右方向に沿って並べて配置されている。第2超音波エコー画像22中の血管4が水平に表示されるように、画像22を処理してもよい。第2超音波エコー画像22中の血管4の長さ方向と画像22の左右方向とにより形成される鋭角が小さくなるように、あるいは前記の両者の方向が一致するように、画像22を処理してもよい。
【0046】
画像21と画像22とは、表示部2の上下方向に沿って並べて配置することもできる。画像22中の血管4が垂直に表示されるように、画像22を処理してもよい。第2超音波エコー画像22中の血管4の長さ方向と画像22の上下方向とにより形成される鋭角が小さくなるように、あるいは前記の両者の方向が一致するように、画像22を処理してもよい。
【0047】
さらに、表示部2は、第1超音波エコー画像21と第2超音波エコー画像22とのうち、超音波プローブ111の現在の配置に対応する画像を区別するための標識を表示する。一例として、図1では「Live」という単語を標識として用いる。単語などの文字に限らず、色彩、画面サイズなどを標識として用いてもよい。例えば、超音波プローブ111の現在の配置に対応する画像を赤色などで囲うことにより、区別してもよい。あるいは、超音波プローブ111の現在の配置に対応する画像を他の画像よりも大きく表示することにより、区別してもよい。同様に、表示部2は、第1超音波エコー画像21と第2超音波エコー画像22とのうち、超音波プローブ111の過去の配置に対応する画像を区別するための標識を表示することもできる。
【0048】
本実施形態では、後述のように、所定の回転軸を中心に超音波プローブを回転させることにより、第2配置と第1配置とを切り替える。所定の回転軸とは、例えば、超音波プローブ111の先端のレンズ中心点CPを現在位置に固定したままで、超音波プローブ111を第1配置と第2配置との間で回動させる軸である。このような正確な操作は、ロボット121を用いることにより実現される。ただし、単に超音波診断装置にロボット121を導入しただけでは、超音波プローブ111を、中心点CPを動かさずに第1配置と第2配置との間で回動させるという構成に到達することはない。
【0049】
図2のフローチャートを用いて、本実施形態に係るプローブ操作システムにより実行される処理の例を説明する。図2中の左側は、超音波プローブ111の配置を切り替えて超音波エコー画像を取得する処理を示し、図2中の右側は取得された超音波エコー画像を利用してガイドワイヤ3を操作する処理を示す。
【0050】
超音波エコー画像取得処理では、制御部1は、超音波プローブ111を第1配置に設定させて(S11)、第1超音波エコー画像を取得する(S12)。さらに、制御部11は、超音波プローブ111を第1配置から第2配置に切り替えさせて(S13)、第2超音波エコー画像を取得する(S14)。
【0051】
画像利用処理では、制御部1は、第1超音波エコー画像および第2超音波エコー画像に基づいて、血管の長手方向に沿った2箇所の点のうち第1箇所において、血管4の第1断面(横断面)における中心を検出する(S21)。制御部1は、超音波プローブ111を血管4の長手方向に移動させて第2箇所の点に位置させる(S22)。制御部1は、第2箇所において、血管4の第1断面における中心を検出する(S23)。超音波プローブ111により撮影された超音波エコー画像に写っている血管を追跡させることにより、血管の長手方向に沿って超音波プローブ111を移動させることができる。
【0052】
制御部1は、第1箇所における血管の中心と第2箇所における血管の中心と第1箇所から第2箇所までの超音波プローブ111の移動距離とに基づいて、血管4の傾きを算出する(S24)。上述の通り、第1箇所における血管中心の位置を基準とし、第2箇所における血管中心の位置を相対的に求め、これら各血管中心の位置と第1箇所と第2箇所との距離とから、血管の傾きを算出することができる。これに代えて、定義された三次元空間において、第1箇所での血管中心の座標と第2箇所での血管中心の座標とから、血管の傾きを演算により求めることもできる。
【0053】
さらに、制御部1は、ガイドワイヤ3の先端位置と血管4の第1断面における中心とのずれ量を算出する(S25)。
【0054】
さらに、制御部1は、各超音波エコー画像を解析することにより、血管4の経路(どの方向に血管が延びているか)を検出する(S26)。
【0055】
ユーザまたは制御部1は、血管の経路や傾きに応じて、血管に追従するように超音波プローブ111の姿勢を制御することができる(S27)。
【0056】
ユーザまたは制御部1は、ステップS21~S27で得られた情報に基づいて、ガイドワイヤ3を操作する(S28)。
【0057】
このように構成される本実施形態によれば、正確に血管を検出することができ、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【実施例0058】
図3図13を用いて第1実施例を説明する。図3は、超音波診断装置用超音波プローブ操作システムの構成例を示す説明図である。
【0059】
本実施例のプローブ操作システムは、例えば、超音波診断装置110と、ロボット制御装置120と、ロボット121と、ユーザインターフェース(図中、UI)装置200とを含む。
【0060】
超音波診断装置110は、超音波プローブ111により撮影された超音波エコー画像に基づいて診断する装置である。超音波診断装置110は、超音波エコー画像を処理する超音波エコー画像処理部112を備える。
【0061】
ロボット制御装置120は、例えば6軸ロボットとして構成されるロボット121を制御する。ロボット制御装置120は、超音波診断装置110に対して撮影を制御するための信号を出力することもできる。
【0062】
ロボット制御装置120は、例えば、マイクロプロセッサ(図中CPU:Central Processing Unit)124と、メモリ125と、記憶装置126と、媒体インターフェース127と、通信部128とを含む。ロボット制御装置120は、専用回路を備える専用装置でもよいし、所定のコンピュータプログラムを実行させる汎用計算機でもよい。さらに、ロボット制御装置120は、複数の装置を連携させてもよい。例えば、複数の計算機を協調させることにより、一つまたは複数のロボット制御装置120を生成してもよい。
【0063】
記憶装置126は、例えば、表示制御部122を実現するコンピュータプログラムと、駆動制御部123を実現する他のコンピュータプログラムと、オペレーティングシステム(不図示)などを格納する。
【0064】
マイクロプロセッサ124は、記憶装置126に格納された所定のコンピュータプログラム122,123をメモリ125に読み込んで実行することにより、プローブ操作システムとしての各機能を実現させる。
【0065】
媒体インターフェース127は、例えば、半導体メモリまたはハードディスクなどの記憶媒体MMとの間でデータを通信する回路である。所定のコンピュータプログラム122,123の少なくとも一部を記憶媒体MMに格納しておき、その記憶されたコンピュータプログラムを記憶媒体MMから記憶装置126へインストールさせることができる。あるいは、記憶装置126に格納された所定のコンピュータプログラム122,123の少なくとも一部を記憶媒体MMに転送して格納させることもできる。なお、記憶媒体MMに代えて、ロボット制御装置120の通信部128に接続された通信ネットワークCNを所定のコンピュータプログラムの伝送媒体として用いることもできる。
【0066】
ユーザインターフェース装置200は、超音波診断装置110およびロボット制御装置120との間で情報を交換する。ユーザインターフェース装置200は、情報入力装置と情報出力装置とを含む。情報入力装置と情報出力装置とが一体化されてもよい。情報入力装置としては、例えば、キーボード、押釦、音声入力装置、タッチパネル、マウスなどのポインティングデバイスなどがある。情報出力装置としては、例えば、モニタディスプレイ、プリンタ、音声合成装置、ライトなどがある。
【0067】
図3中の左下には超音波プローブ111が第1配置に設定された場合が、図3中の右下には超音波プローブ111が第2配置に設定された場合が、それぞれ示されている。
【0068】
図4および図5を用いて、超音波プローブ111の操作を説明するために、超音波プローブ111の各部を定義する。
【0069】
図4(1)は、超音波プローブ111を正面から見た図であり、超音波プローブ111の先端のレンズの中央部には中心点CPが設定される。本実施例では、この中心点CPを固定したままで、超音波プローブ111を第1配置と第2配置との間で切り替える。
【0070】
図4(2)は、超音波プローブ111の斜視図である。超音波プローブ111の短軸方向の中心軸をX軸と、超音波プローブ111の長軸方向の中心軸をY軸と、超音波プローブ111の深さ方向の中心軸をZ軸と、それぞれ呼ぶ。
【0071】
図4(3)は、超音波プローブ111で撮影された超音波エコー画像20を示し、画像20の水平方向を画像20の幅方向と、画像20の垂直方向を画像20の深さ方向と、それぞれ呼ぶ。画像20は、第1超音波エコー画像21と第2超音波エコー画像22を含む概念である。
【0072】
図5(1)は、超音波プローブ111を上面から見た図である。図5(2)は、超音波プローブ111を正面から見た図である。図5(3)は、超音波プローブ111を側面から見た図である。
【0073】
図6図11を用いて、超音波プローブ111を操作することにより血管4の断面(横方向断面、長手方向断面)を検出する様子を説明する。
【0074】
図6図11には、血管4の横方向のエコー画像21から血管4の断面の中心を求め、これによりガイドワイヤ3の先端部を認識し、血管4の中心軸からのガイドワイヤ3のずれ量を求める所定の技術が開示されている。
【0075】
所定の技術には、血管4の横方向のエコー画像21(血管4の横断面)から血管4の断面の中心を検出し、ガイドワイヤの先端部と血管4の中心とのずれ量を出力すること、が含まれる。
【0076】
所定の技術には、血管4の横方向のエコー画像21から血管4の断面の中心を検出することにより、ガイドワイヤ3の先端部を認識して、ガイドワイヤ3と血管4の中心軸とのずれ量が所定の閾値を越えたら警告を発すること、が含まれている。
【0077】
所定の技術には、複数の(2つの)箇所における血管4の横方向の断面中心と超音波プローブ111の移動量とから、血管4の長手方向の傾きを算出し、算出された血管4の長手方向の傾きに基づいて、ガイドワイヤ3の血管中心からのずれ量を補正すること、が含まれている。すなわち、この場合、血管4の横方向のエコー画像21から血管4の断面の中心を求めた後で、超音波プローブ111を離れた箇所に移動させ、血管4の横方向のエコー画像21を再び取得して血管4の断面の中心を求め、超音波プローブ111の移動距離と各中心の位置とから、血管4の長手方向の傾きを算出する。算出された血管4の長手方向の傾きに基づいて、ガイドワイヤ3と血管中心とのずれ量を補正できる。
【0078】
所定の技術には、血管4の横方向のエコー画像から、ガイドワイヤ3と血管4の中心軸とのずれ量を算出すること、が含まれる。
【0079】
図6図11に示す(1)~(11)の上段には、血管4を有する被検体SUと超音波プローブ111とを、ある状態の超音波プローブ111の上面から(上方から)見た模式図と、その超音波プローブ111の側面から(側方から)見た模式図と、そのときに得られる超音波エコー画像(第1超音波エコー画像21または第2超音波エコー画像22)の模式図とが横一列に並んで示されている。
【0080】
そして、それら上段に示す一連の模式図の下側には、超音波プローブ111を所定操作した場合において、血管4を有する被検体SUと超音波プローブ111とを、血管4を有する被検体SUと超音波プローブ111とを、超音波プローブ111の上面から(上方から)見た模式図と超音波プローブ111の側面から(側方から)見た模式図と超音波エコー画像20の模式図とが、示されている。
【0081】
図6(1)の上段では、血管4の横方向断面のエコー画像21から血管4の断面の中心を求めている。図6(1)の下段では、超音波プローブ111を被検体SUに押し当てている位置を中心に超音波プローブ111を回転させることにより、血管4の中心軸を通った長手方向のエコー画像22を検出する。
【0082】
図6(2)の上段では、血管4の中心軸を通った長手方向断面のエコー画像22内での血管4の傾きを求める。図6(2)の下段では、検出された血管の傾きに応じて、超音波プローブ111を傾けることにより、血管4の中心軸を通り、かつエコー画像20に水平な長手方向断面のエコー画像22を検出する。すなわち、エコー画像22において、血管4の長手方向の画像を水平に表示させる。
【0083】
図7(3)の上段では、血管4の横方向断面のエコー画像21から血管4の断面の中心を求め、その検出位置を中心に超音波プローブ111を回転させることにより血管の中心軸を通った長手方向断面のエコー画像22を取得し、そのエコー画像22内での血管4の傾きを検出する。図7(3)の下段では、検出された血管4の傾きに応じて超音波プローブ111を所定角度だけ傾けた後に、超音波プローブ111を、Z軸方向(超音波プローブの深さ方向)を中心として所定角度(例えば90度)回転させることにより、血管4の横方向断面21を取得する。
【0084】
図7(4)の上段では、血管4の横方向断面のエコー画像21から血管4の断面の中心を求める。図7(4)の下段では、超音波プローブ111を被検体SUに押し当てている現在の位置を中心に超音波プローブ111を回転させることにより、エコー画像21内の血管断面の幅が最小となるプローブ位置を検出する。
【0085】
図8(5)の上段に示す血管断面の幅が最小となる位置から、図8(5)の下段に示すように、超音波プローブ111をさらに所定角度(例えば90度)回転させることにより、血管4の長手方向断面のエコー画像22を検出する。
【0086】
図8(6)上段では、血管4の中心軸を通った長手方向断面のエコー画像22中での傾きを求め、図8(6)下段では、血管4の傾きに応じて超音波プローブ111を傾けることにより、血管4の中心軸を通り、かつエコー画像22内で水平な長手方向断面を捉えている。
【0087】
図9図11では、超音波プローブ111を血管4の長手方向に移動させながら複数のエコー画像を取得し、それらエコー画像と超音波プローブ111の位置とから血管4の経路を求める。
【0088】
図9(7)では、超音波プローブ111を血管の長手方向に移動させて、それぞれの位置での横方向断面のエコー画像21を取得し、それらエコー画像21内での血管4の位置のずれを算出する。
【0089】
図9(8)~図11(11)では、別の方法を開示する。図9(8)の上段では、血管4の横方向断面のエコー画像21から血管4の断面の中心を求める。図9(8)の下段では、超音波プローブ111を被検体SUに押し当てている現在の位置を中心に超音波プローブ111を回転させることにより、エコー画像21内の血管断面の幅が最小となるプローブ位置を検出する。
【0090】
図10(9)の上段(図9(8)の下段)から、超音波プローブ111を血管4の長手方向と交差する方向に移動させて、エコー画像21の幅方向の中心に血管4が表示されるようにする。
【0091】
図10(10)の上段(図10(9)の下段)から、血管4の傾きに応じて超音波プローブ111を傾けることにより、血管4の中心軸を通り、かつエコー画像22内で水平な長手方向断面を捉える。
【0092】
図11(11)の上段(図10(10)の下段)から、超音波プローブ111を血管の長手方向に移動させて、それぞれの位置での横方向断面のエコー画像21を取得し、それらエコー画像21内での血管4の位置のずれを算出する。
【0093】
図12は、血管を探索する処理を示すフローチャートである。ここでは、脚の血管を探索する場合を例に挙げて説明する。この処理では、ロボット121が自動的に超音波プローブ111を操作してもよいし、一部の操作だけをロボット121が担当し、それ以外の操作をユーザが担当してもよい。ここでは、ロボット121とユーザとが協働して血管を探索する場合を説明する。以下の説明では、主にロボット制御装置120を判断の主体として説明するが、ユーザが判断の主体であってもよい。判断の主体がロボット制御装置120またはユーザのいずれである場合でも、超音波プローブ111を第1配置と第2配置とで切り替える操作はロボット制御装置120により実行される。図中では、超音波プローブをプローブと略記する。フローチャート中では、ステップの内容を簡潔に表現するために、血管の横方向断面のエコー画像21を第1断面画像21と、長手方向断面のエコー画像22を第2断面画像22とそれぞれ呼ぶが、フローチャートについての以下の説明では、理解のしやすさを優先し、横方向断面、長手方向断面と呼ぶ場合がある。
【0094】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を、鼠径部付近であって体表に対して垂直であり、かつ血管4の横方法断面を撮影可能な向き(第1配置)に設置させる(S31)。
【0095】
ロボット制御装置120は、総大腿動脈が検出されるまで(S33:NO)、超音波プローブ111を移動させる(S32)。ロボット制御装置120は、総大腿動脈が検出されると(S33:YES)、総大腿動脈の横方向断面を正確に撮影させるべく、超音波プローブ111の向きを自動的に回転させる(S34)。
【0096】
すなわち、ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の向きを順次回転させてエコー画像21を取得し、そのエコー画像21のスコアを算出し、算出されたスコアから総大腿動脈の横方向断面を正確に写せる位置を検出する(S34)。ロボット制御装置120は、総大腿動脈の横方向断面を正確に検出するまで(S35:NO)、超音波プローブ111を回転させて横方向断面のスコアを算出する(S34)。
【0097】
ロボット制御装置120は、総大腿動脈の正確な横方向断面を検出すると(S35:YES)、超音波プローブ111を第2配置に切り替えて、総大腿動脈の長手方向の断面を撮影させる(S36)。
【0098】
ロボット制御装置120は、ユーザからの指示に応じて、超音波プローブ111を総大腿動脈の抹消側へ移動させる(S37)。ユーザは、例えば音声やスイッチ操作により、ロボット制御装置120に指示することができる。
【0099】
ロボット制御装置120は、総大腿動脈の分岐を検出したか判定する(S38)。ロボット制御装置120は、総大腿動脈の分岐を検出したと判定すると(S38:YES)、血管の分岐における超音波プローブ111の進路候補をユーザインターフェース装置200の画面へ表示させ、ユーザによる選択を待つ(S39)。
【0100】
ロボット制御装置120は、ユーザにより選択された進路上で超音波プローブ111を移動させ(S40)、患部41(あるいは長尺状医療用デバイスによる診断又は治療の対象となる血管の所定部位)へ到達したか判定する(S41)。ロボット制御装置120は、超音波プローブ111が患部41へ到達したと判定すると(S41:YES)、超音波プローブ111を第1配置と第2配置とで交互に切り替えながら、大腿動脈の中心軸を通る長手方向の断面の検出を試みる(S42)。
【0101】
ロボット制御装置120は、総大腿動脈の中心軸を通る長手方向の断面を検出すると(S43:YES)、本処理を終了する。ロボット制御装置120は、総大腿動脈の中心軸を通る長手方向の断面を検出できない場合(S43:NO)、超音波プローブ111の位置を補正し(S44)、ステップS43へ戻る。
【0102】
図13は、観察中の血管の先にある血管の長手方向の断面を探索する処理を示すフローチャートである。本処理は、例えば、図12で述べたステップS36,S42で使用することができる。なお、図13図15では、一部のステップについて超音波プローブ111の位置と画像の関係を模式的に示す。
【0103】
ロボット制御装置120は、対象の血管を撮影可能なプローブ位置を検出し(S51)、検出された位置で超音波プローブ111を体表面へ押し当て、超音波プローブ111のZ軸方向に回転させ、対象の血管(以下、血管)の横方向断面のエコー画像21(第1断面画像21)を取得する(S52)。
【0104】
ロボット制御装置120は、ステップS52で取得された複数の第1断面画像21から、血管断面の中心位置を検出する(S53)。
【0105】
ロボット制御装置120は、ステップS53で検出された中心位置を回転中心として超音波プローブ111を回転させることにより、血管の中心軸を通る長手方向断面のエコー画像22(第2断面画像22)を得る(S54)。
【0106】
このように構成される本実施例によれば、超音波プローブ111を第1配置と第2配置とで切り替えることにより、血管の位置を正確かつ容易に検出することができるため、ユーザにとっての使い勝手が向上する。
【0107】
さらに、本実施例では、ユーザとロボット121(およびロボット制御装置120)が協働して超音波プローブ111を操作するため、例えば、血管の分岐における進路を選択したか、患部41へ到達したか否かといった高度な判断はユーザに委ねる一方、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで第1配置と第2配置を切り替えるといった正確な操作はロボットに委ねることができる。したがって、本実施例によれば、ユーザの負担を軽減して超音波プローブ111による血管の探索を容易に行うことができる。
【実施例0108】
図14を用いて第2実施例を説明する。本実施例を含む以下の各実施例では、第1実施例との相違を中心に説明する。
【0109】
図14は、観察中の血管の先にある血管の長手方向の断面を探索する処理を示すフローチャートである。
【0110】
ロボット制御装置120は、対象の血管を撮影可能なプローブ位置を検出し(S61)、検出された位置で超音波プローブ111を体表面へ押し当て、超音波プローブ111のZ軸方向に回転させることにより、血管断面のエコー画像をそれぞれの位置で取得する(S62)。
【0111】
ロボット制御装置120は、ステップS62で取得された複数のエコー画像から、エコー画像の幅方向WLに沿った血管断面の長さに基づいて、血管の長手方向断面のエコー画像22を選択する(S63)。
【0112】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで、超音波プローブ111をX軸方向中心に回動(傾動)させることにより、血管の第2断面画像をエコー画像22内で水平にする(S64)。
【0113】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで、超音波プローブ111を、Z軸方向を中心に90度回転させ、第1配置に設定し、血管の横方向断面のエコー画像21(第1断面画像21)を取得する(S65)。
【0114】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで、超音波プローブ111を、X軸方向を中心に回動せしめることにより、正確な第1断面画像21を得る(S66)。すなわち、ロボット制御装置120は、正しい第1断面画像21を取得するために、超音波プローブ111の位置を微調整する。
【0115】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで、Z軸方向を中心に超音波プローブ111を90度回転せしめて第2配置に設定し、血管の長手方向断面である第2断面画像22を取得する(S67)。
【0116】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111をY軸方向へ移動させて、血管の第2断面画像をさらに取得する(S68)。
【0117】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【実施例0118】
図15を用いて第3実施例を説明する。図15は、観察中の血管の先にある血管の長手方向の断面を探索する処理を示すフローチャートである。
【0119】
ロボット制御装置120は、対象の血管を撮影可能なプローブ位置を検出し(S71)、検出された位置で超音波プローブ111を体表面へ押し当て、超音波プローブ111のZ軸方向に回転させることにより、血管断面のエコー画像をそれぞれの位置で取得する(S72)。
【0120】
ロボット制御装置120は、ステップS72で取得された複数のエコー画像から、エコー画像の幅方向WLに沿った血管断面の長さに基づいて、血管の横方向断面のエコー画像21(第1断面画像)を選択し、選択した第1断面画像の中心点を検出する(S73)。複数のエコー画像の中から一つのエコー画像を選択方法としては、例えば、幅方向WLに沿った血管断面の長さが最大の第1断面画像を選択する方法、面積値が最大の第1断面画像を選択する方法、血管断面の長さと血管断面の面積とのいずれも考慮して第1断面画像を選択する方法などがある。
【0121】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111をX軸方向へ移動させて、別の血管断面の中心点を検出する(S74)。ステップS73,S74で検出される血管断面は楕円形である。
【0122】
ロボット制御装置120は、2つの血管断面の中心点のそれぞれの位置と超音波プローブ111の移動距離とから、血管の傾きを算出する(S75)。
【0123】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで、超音波プローブ111の姿勢を血管の傾きに合わせる(S76)。
【0124】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の先端レンズの中心点CPを固定したままで、超音波プローブ111を、Z軸方向を中心に90度回転させ、第2配置に設定し、血管の長手方向断面のエコー画像22を取得する(S75)。
【0125】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【実施例0126】
図16および図17を用いて第4実施例を説明する。本実施例では、超音波プローブ111の操作とガイドワイヤ3の操作について述べる。本実施例では、超音波プローブ111の操作は第1ユーザとしての技師が担当し、超音波プローブ111の操作についての指示は第2ユーザとしての医師が担当する。ガイドワイヤ3の操作も医師が担当する。血管の横方向断面および縦方向断面の判定は、ロボット制御装置120が支援する。
【0127】
技師は、超音波プローブ111を被検体SUの体表面の所定位置に置く(S81)。ここでの所定位置は、例えば、鼠径部付近であって、体表面に対して血管の横方向断面を撮影可能な位置である。
【0128】
技師は、対象の血管である第1血管が超音波プローブ111に写るように、超音波プローブ111を移動させる(S82)。第1血管は、例えば、総大腿動脈である。
【0129】
技師は、第1血管としての大腿動脈が超音波プローブ111に写るまで(S83:NO)、超音波プローブ111を体表面上で移動させる(S82)。技師は、大腿動脈が超音波プローブ111に写ると(S83:YES)、大腿動脈の横方向断面を正しく検出すべく、超音波プローブ111の向きを回転させる(S84)。超音波プローブ111の向きを順次回転することにより複数のエコー画像を得ることができ、各エコー画像のスコアは自動的に算出される。ここでスコアとは、正確な横方向断面に近いか否かを知るための指標であり、ユーザインターフェース装置200の画面に表示される。技師は、そのスコアを参考にしながら超音波プローブ111の向きを変え、総大腿動脈の横方向断面を正確に捉える(S84)。
【0130】
総大腿動脈の横方向断面が正確に捉えられると(S85:YES)、技師は、超音波プローブ111を第1配置から第2配置へ切り替える機能を選択し、総大腿動脈の長手方向断面を撮影する(S86)。技師の指示は、音声操作またはスイッチ操作などでロボット制御装置120に伝達される。
【0131】
技師は、超音波プローブ111を総大腿動脈の抹消側へ移動させ、総大腿動脈の分岐が見つかるまで探索する(S87,S88)。総大腿動脈の分岐が検出されると(S88:YES)、技師は、総大腿動脈の分岐の、体表面に近い側の大腿動脈に沿って、抹消側へ超音波プローブ111を移動させる(S89)。
【0132】
超音波プローブ111が患部41へ到達すると(S90:YES)、技師は、超音波プローブ111の向きを順次回転して得られる各エコー画像のスコアを参考に総大腿動脈の横方向断面を検出し、横方向断面が正確に検出されたら、ロボット制御装置120に指示して超音波プローブ111を第2配置に設定する(S91)。
【0133】
第2配置に設定された超音波プローブ111により総大腿動脈の長手方向断面が検出されると(S92:YES)、技師は、医師の指示により超音波プローブ111を随時第1配置に切り替えて、横方向断面における血管中心をガイドワイヤ3が通っていることを確認し、医師はガイドワイヤ3を長手方向断面の画像22の端まで進める(S93)。
【0134】
ガイドワイヤ3が画面22の端まで進むと(S94:YES)、医師は、ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過したか判定する(S95)。ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過した場合(S95:YES)、本処理は終了する。
【0135】
ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過していない場合(S95:NO)、医師はガイドワイヤ3の送り込みを停止し、技師に命じて超音波プローブ111を総大腿動脈の末梢側に移動させる(S96)。
【0136】
技師は、医師の指示により超音波プローブ111を随時第1配置に切り替えて、横方向断面における血管中心をガイドワイヤ3が通っていることを確認し、医師は、ガイドワイヤ3を長手方向断面の画像22の端まで進める(S97)。
【0137】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【実施例0138】
図18および図19を用いて第5実施例を説明する。本実施例では、超音波プローブ111の操作はロボット制御装置120が担当し、超音波プローブ111の操作についての指示は医師が担当する。ガイドワイヤ3の操作も医師が担当する。血管の横方向断面および縦方向断面の判定は、ロボット制御装置120が支援する。
【0139】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を被検体SUの体表面の所定位置に置く(S101)。
【0140】
ロボット制御装置120は、対象の血管である第1血管(大腿動脈)が超音波プローブ111に写るように、超音波プローブ111を移動させる(S102)。
【0141】
ロボット制御装置120は、第1血管としての大腿動脈が超音波プローブ111に写るまで(S103:NO)、超音波プローブ111を体表面上で移動させる(S102)。ロボット制御装置120が超音波プローブ111により大腿動脈を検出すると(S103:YES)、医師はロボット制御装置120に対して、横方向断面を撮影するように指示する(S104)。
【0142】
医師の指示を受けたロボット制御装置120は、大腿動脈の横方向断面を正しく検出すべく、超音波プローブ111の向きを回転させる(S105)。
【0143】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の向きを順次回転することにより複数のエコー画像を取得し、各エコー画像のスコアに基づいて超音波プローブ111の向きを変え、総大腿動脈の横方向断面を正確に捉える(S105)。
【0144】
ロボット制御装置120は、総大腿動脈の横方向断面が正確に撮影されているかを医師に対して確認を求める。医師による確認が得られると(S106:YES)、ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を第1配置から第2配置へ切り替え、総大腿動脈の長手方向断面を撮影する(S107)。ロボット制御装置120から医師への要求は、ユーザインターフェース装置200を介して実行することができる。
【0145】
ロボット制御装置120は、医師からの指示に従い、超音波プローブ111を総大腿動脈の抹消側へ移動させる(S108)。医師は、総大腿動脈の分岐が見つかるまで超音波プローブ111を移動させる(S109:NO)。
【0146】
総大腿動脈の分岐が検出されると(S109:YES)、ロボット制御装置120は、その分岐における超音波プローブ111の進路の候補をユーザインターフェース装置200の画面に表示させる(S110)。医師は、総大腿動脈の分岐の、体表面に近い側の大腿動脈に沿って、抹消側へ超音波プローブ111を移動させるように進路を選択する(S110)。
【0147】
医師は、超音波プローブ111が患部41へ到達するまで(S111:NO)、ロボット制御装置120に対して移動指示を出す(S112)。
【0148】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を第1配置と第2配置とで交互に切り替えて、大腿動脈の中心軸を通る長手方向断面(第2断面)を撮影してユーザインターフェース装置200へ表示する(S113)。
【0149】
超音波プローブ111が長手方向断面を正確に捉えるまで(S114:NO)、超音波プローブ111の位置が補正される(S115)。
【0150】
超音波プローブ111が長手方向断面を正確に捉えると(S114:YES)、ロボット制御装置120は、医師の指示により超音波プローブ111を移動させ、ガイドワイヤ3先端での大腿動脈の横方向断面を表示する(S116)。このステップS116では、ガイドワイヤ3の先端の位置と大腿動脈の血管中心とのずれ量が算出され、横方向断面画像と一緒に医師へ提供される。医師は、ずれ量を確認しながらガイドワイヤ3を長手方向断面の画像22の端まで進める(S116)。
【0151】
ガイドワイヤ3が画面22の端まで進むと(S117:YES)、医師は、ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過したか判定する(S118)。ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過した場合(S118:YES)、本処理は終了する。
【0152】
ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過していない場合(S118:NO)、医師はガイドワイヤ3の送り込みを停止し、ロボット制御装置120に命じて超音波プローブ111を総大腿動脈の末梢側に移動させる(S119)。
【0153】
ロボット制御装置120は、ステップS116で述べたと同様に、大腿動脈の第1断面画像と大腿動脈の血管中心とガイドワイヤ3先端とのずれ量とをユーザインターフェース装置200に表示する。医師は、その表示を確認しながらガイドワイヤ3を患部41へ向けて進めていく(S120)。
【0154】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【実施例0155】
図20および図21を用いて第6実施例を説明する。本実施例では、超音波プローブ111はロボット制御装置120が操作し、超音波プローブ111の操作は、医師の確認の下でロボット制御装置120が担当する。ガイドワイヤ3の操作は医師が行う。
【0156】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を被検体SUの体表面の所定位置に置く(S131)。
【0157】
ロボット制御装置120は、対象の血管である第1血管(大腿動脈)が超音波プローブ111に写るように、超音波プローブ111を移動させる(S132)。
【0158】
ロボット制御装置120は、第1血管としての大腿動脈が超音波プローブ111に写るまで(S133:NO)、超音波プローブ111を移動させる(S132)。
【0159】
ロボット制御装置120が超音波プローブ111により大腿動脈を検出すると(S133:YES)、ロボット制御装置120は、大腿動脈の横方向断面を正しく検出すべく、超音波プローブ111の向きを回転させる(S134)。ロボット制御装置120は、超音波プローブ111の向きを順次回転することにより複数のエコー画像を取得し、各エコー画像のスコアに基づいて超音波プローブ111の向きを変え、総大腿動脈の横方向断面を正確に捉える(S134)。
【0160】
ロボット制御装置120は、総大腿動脈の横方向断面が正確に撮影されているかを医師に対して確認を求める。医師による確認が得られると(S135:YES)、ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を第1配置から第2配置へ切り替え、総大腿動脈の長手方向断面を撮影する(S136)。
【0161】
ロボット制御装置120は、医師からの指示に従い、超音波プローブ111を総大腿動脈の抹消側へ移動させる(S137)。医師は、総大腿動脈の分岐が見つかるまで超音波プローブ111を移動させる(S138:NO)。
【0162】
総大腿動脈の分岐が検出されると(S138:YES)、ロボット制御装置120は、その分岐における超音波プローブ111の進路の候補をユーザインターフェース装置200の画面に表示させる(S139)。医師は、総大腿動脈の分岐の、体表面に近い側の大腿動脈に沿って、抹消側へ超音波プローブ111を移動させるように進路を選択する(S139)。
【0163】
医師は、超音波プローブ111が患部41へ到達するまで(S140:NO)、ロボット制御装置120に対して移動指示を出す(S141)。
【0164】
ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を第1配置と第2配置とで交互に切り替えて、大腿動脈の中心軸を通る長手方向断面(第2断面)を撮影してユーザインターフェース装置200へ表示する(S142)。
【0165】
超音波プローブ111が長手方向断面を正確に捉えるまで(S143:NO)、超音波プローブ111の位置が補正される(S144)。
【0166】
超音波プローブ111が長手方向断面を正確に捉えると(S143:YES)、ロボット制御装置120は、超音波プローブ111を移動させ、ガイドワイヤ3先端での大腿動脈の横方向断面を表示する(S145)。このステップS145では、ガイドワイヤ3の先端の位置と大腿動脈の血管中心とのずれ量が算出され、横方向断面画像と一緒に医師へ提供される。医師は、ずれ量を確認しながらガイドワイヤ3を長手方向断面の画像22の端まで進める(S145)。
【0167】
ガイドワイヤ3が画面22の端まで進むと(S146:YES)、医師は、ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過したか判定する(S147)。ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過した場合(S147:YES)、本処理は終了する。
【0168】
ガイドワイヤ3が患部41の終端を通過していない場合(S147:NO)、医師はガイドワイヤ3の送り込みを停止し、ロボット制御装置120に命じて超音波プローブ111を総大腿動脈の末梢側に移動させる(S148)。
【0169】
ロボット制御装置120は、大腿動脈の第1断面画像と大腿動脈の血管中心とガイドワイヤ3先端とのずれ量とをユーザインターフェース装置200に表示する。医師は、その表示を確認しながらガイドワイヤ3を患部41へ向けて進めていく(S149)。
【0170】
このように構成される本実施例も第1実施例と同様の作用効果を奏する。
【実施例0171】
図22図27を用いて第7実施例を説明する。本実施例では、超音波プローブ111の操作と各画面21,22の関係の例を説明する。
【0172】
本実施例では、上述の通り、超音波プローブ111により得られる複数のエコー画像をそれぞれ別々の画面に表示させる。
【0173】
複数のエコー画像の他の一つは、ガイドワイヤ先端の血管中心からのずれ量を判定するための、横方向断面の画像21である。横方向断面の画像21は、血管の横方向(短軸方向)の中心を通る断面画像である。複数のエコー画像の一つは、例えば、ガイドワイヤ3の先端を血管内で移動させるための、長手方向断面の画像22である。長手方向断面の画像22は、血管の長手方向(長軸方向)の中心を通る断面画像である。
【0174】
本実施例では、上述の通り、複数のエコー画像のうち、現在の超音波プローブ111の位置に対応するエコー画像を他のエコー画像と区別する。区別のための標識として、本実施例では「Live」という単語を使用する。
【0175】
本実施例では、超音波プローブ111またはガイドワイヤ3の操作に応じて、複数のエコー画像のうちLive画像を切り替えることができる。これにより、超音波プローブ111の位置を動かしてもすぐに元の位置に復帰させることができるので、超音波プローブ111を回転または移動させて、Live画像を「横方向断面の画像21」と「長手方向断面の画像22」との間で瞬時に切り替えることができる。
【0176】
さらに、医師や技師がユーザインターフェース装置200のモニタ画面や超音波プローブ111の位置から目を離したとしても、容易に再現することができ、不都合は全く生じないため、医師などは患者(被検体SU)の様子を確認しやすくなる。
【0177】
図22(1)は、各画像21,22の基本例を示す。図22(2)では、超音波プローブ111を、鼠径部付近で、体表面に対して垂直かつ血管の横方向断面を描画するような向きにおく。
【0178】
図23(3)では、総大腿動脈を検出したら、超音波プローブ111の向きを回転させて、動脈の横方向断面を正確に捉える。
【0179】
図23(4)では、超音波プローブ111を90度回転させて、総大腿動脈の長手方向断面を撮影する。
【0180】
図24(5)では、超音波プローブ111を総大腿動脈の抹消側に移動させて、総大腿動脈の分岐を探す。
【0181】
図24(6)では、総大腿動脈の分岐の体表面に近く浅い側の浅大腿動脈に沿って、抹消側に超音波プローブ111を進める。
【0182】
図25(7)では、超音波プローブ111が患部に到達したら、超音波プローブ111を回転させて横方向断面と長手方向断面を交互に確認しながら、動脈の中心軸を通る長手方向断面を捉える。
【0183】
図25(8)では、動脈の中心軸を通る長手方向断面を固定したままで、ガイドワイヤ3を画面の端まで進めていく。
【0184】
図26(9)では、ガイドワイヤ3の送り込みを停止し、超音波プローブ111を血管の抹消側に移動させる。
【0185】
図26(10)では、再び動脈の中心軸を通る長手方向断面を固定したまま、ガイドワイヤ3を画面の端のほうまで進めていく。以下同様に、図26(9)および(10)を患部に到達するまで繰り返す。
【0186】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、様々な変形例が含まれる。上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることもできる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することもできる。
【0187】
本発明の各構成要素は、任意に取捨選択することができ、取捨選択した構成を具備する発明も本発明に含まれる。さらに特許請求の範囲に記載された構成は、特許請求の範囲で明示している組合せ以外にも組み合わせることができる。上述した各実施例は、任意に組合せ可能である。
【0188】
なお、ガイドワイヤを例に挙げて説明したが、本発明は、本出願の時点でガイドワイヤと呼ばれる物体に限定されない。管の内部に挿入されて移動する物体であって、その位置の検出が必要とされる物体であれば、本発明を適用可能である。
【0189】
前記の説明では、血管の横方向のエコー画像から血管の断面の中心を求め、血管の中心軸からの長尺状医療用デバイスのずれ量を求める所定の技術について説明した。本発明は、血管の長手方向のエコー画像から血管の断面の中心を求め、血管の中心軸からの長尺状医療用デバイスのずれ量を求める技術に適用することができる。本発明は、血管の横方向(または長手方向)のエコー画像から血管の内壁面(内縁)を求め、血管の内壁面(内縁)からの長尺状医療用デバイスのずれ量を求める技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0190】
1:制御部、2:表示部、3:ガイドワイヤ、4:血管、11:第1配置部、12:第2配置部、13:超音波エコー画像処理部、14:演算部、15:警告部、16:血管の傾き算出部、17:ずれ量算出部、18:血管経路検出部、19:超音波プローブ姿勢制御部、21:第1超音波エコー画像(血管の横方向断面の画像)、22:第2超音波エコー画像22(血管の長手方向断面の画像)、110:超音波診断装置、120:ロボット制御部、200:ユーザインターフェース装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波プローブを操作する超音波プローブ操作システムであって、
血管および前記血管内の長尺状医療用デバイスの超音波エコー画像を取得する超音波プローブを操作するセンサ操作部と、
前記センサ操作部の動作を制御する制御部と、
前記超音波プローブにより取得される超音波エコー画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
前記センサ操作部により前記超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の第1超音波エコー画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の第2超音波エコー画像を取得する第2配置とで切り替え、
前記第1配置で取得される第1超音波エコー画像と前記第2配置で取得される第2超音波エコー画像とを対応付けて前記表示部に表示させ、
前記第1超音波エコー画像と前記第2超音波エコー画像とのうちで、前記超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して前記表示部に表示させるものであり、
前記制御部は、前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像において、前記長尺状医療用デバイスと前記血管との間のずれ量を算出し、さらに、前記超音波プローブにより前記血管の分岐が検出されたか判定する
超音波プローブ操作システム。
【請求項2】
超音波プローブを操作する超音波プローブ操作システムであって、
血管および前記血管内の長尺状医療用デバイスの超音波エコー画像を取得する超音波プローブを操作するセンサ操作部と、
前記センサ操作部の動作を制御する制御部と、
前記超音波プローブにより取得される超音波エコー画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
前記センサ操作部により前記超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の第1超音波エコー画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の第2超音波エコー画像を取得する第2配置とで切り替え、
前記第1配置で取得される第1超音波エコー画像と前記第2配置で取得される第2超音波エコー画像とを対応付けて前記表示部に表示させ、
前記第1超音波エコー画像と前記第2超音波エコー画像とのうちで、前記超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して前記表示部に表示させるものであり、
前記制御部は、前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像において、前記長尺状医療用デバイスと前記血管との間のずれ量を算出し、さらに、前記超音波プローブにより前記血管の分岐が検出されると、前記超音波プロープの配置を前記第1配置と前記第2配置の間で切り替える
超音波プローブ操作システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記算出されたずれ量を前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像に対応付けて前記表示部に表示させる、
請求項1または2のいずれかに記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記ずれ量が所定の閾値に達した場合に警報を出力する、
請求項1または2のいずれかに記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項5】
前記制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において前記超音波プローブを前記第1配置に設定することにより、前記第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と前記複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、前記算出された傾きに基づいて前記ずれ量を補正する、
請求項1または2のいずれかに記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項6】
前記制御部は、血管の長手方向に離間する複数の箇所において前記第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、それら中心位置間の距離と前記複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、前記算出された血管の長手方向の傾きに基づいて、前記血管の中心位置を通る縦断面画像として前記第2超音波エコー画像を取得する、
請求項1または2のいずれかに記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記算出された血管の長手方向の傾きに応じて、前記超音波プローブの姿勢を制御する、
請求項6に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記算出された血管の長手方向の傾きに応じて前記超音波プローブを傾けて体表面に押し当てることにより前記超音波プローブを前記第2配置に設定し、前記第2超音波エコー画像において血管の長手方向の画像を水平に表示させる、
請求項7に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項9】
前記制御部は、前記超音波プローブを傾けて体表面に押し当てたまま所定角度回転させることにより、前記第1配置と前記第2配置の間で切り替える、
請求項8に記載の超音波プローブ操作システム。
【請求項10】
超音波プローブを操作するロボットの制御方法であって、
前記ロボットにより、
血管および前記血管内の長尺状医療用デバイスの超音波エコー画像を取得する超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の第1超音波エコー画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の第2超音波エコー画像を取得する第2配置とで切り替えさせ、
前記第1配置で取得される第1超音波エコー画像と前記第2配置で取得される第2超音波エコー画像とのうちで、前記超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して表示部に表示させ、
前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像において、前記長尺状医療用デバイスと前記血管との間のずれ量を算出し、さらに、前記超音波プローブにより前記血管の分岐が検出されたか判定させる
超音波プローブを操作するロボットの制御方法。
【請求項11】
超音波プローブを操作するロボットの制御方法であって、
前記ロボットにより、
血管および前記血管内の長尺状医療用デバイスの超音波エコー画像を取得する超音波プローブの配置を、血管の横方向の断面の第1超音波エコー画像を取得する第1配置と血管の長手方向の断面の第2超音波エコー画像を取得する第2配置とで切り替えさせ、
前記第1配置で取得される第1超音波エコー画像と前記第2配置で取得される第2超音波エコー画像とのうちで、前記超音波プローブの現在又は過去の配置に対応する超音波エコー画像を、それ以外の配置に対応する超音波エコー画像と区別して表示部に表示させ、
前記第1超音波エコー画像及び/又は前記第2超音波エコー画像において、前記長尺状医療用デバイスと前記血管との間のずれ量を算出し、さらに、前記超音波プローブにより前記血管の分岐が検出されると、前記超音波プロープの配置を前記第1配置と前記第2配置の間で切り替える
超音波プローブを操作するロボットの制御方法。
【請求項12】
前記ロボットにより、
血管の長手方向に離間する複数の箇所において前記第1超音波エコー画像中の血管の中心位置を検出し、
それら中心位置間の距離と前記複数の箇所間の距離とに基づいて、血管の長手方向の傾きを算出し、
前記算出された血管の長手方向の傾きに基づいて、血管の中心位置を通る縦断面画像として前記第2超音波エコー画像が取得される、
請求項10または11のいずれかに記載の超音波プローブを操作するロボットの制御方法。