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特開2024-152532プログラム、情報処理装置、方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152532
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】プログラム、情報処理装置、方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20241018BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20241018BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G16H10/60
A61B5/00 G
G06F3/16 650
G06F3/16 610
【審査請求】有
【請求項の数】31
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067226
(22)【出願日】2023-04-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2023066733
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517019991
【氏名又は名称】株式会社プレシジョン
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿彦
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB08
4C117XG46
4C117XQ12
5L099AA23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】音声データに基づいて入力された電子カルテテンプレートへの記録の省力化を図る。
【解決手段】電子カルテシステム1において、端末装置を動作させるためのプログラムは、メモリ15、16に電子カルテテンプレートの構造化データを格納する。構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容または自由記述が可能なフリー入力内容との少なくとも一方を含む。プログラムはまた、端末装置のプロセッサ19に、ユーザから、電子カルテテンプレートの入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる発話データの入力を受け付ける第1ステップと、発話データ中に含まれる電子カルテテンプレートの選択式入力内容またはフリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップと、を実行させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容または自由記述が可能なフリー入力内容との少なくとも一方を含み、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項2】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第3ステップと
を実行させる、プログラム。
【請求項3】
前記第2ステップは、受け付けた前記発話データを音声認識して音声認識データを取得し、この音声認識データに基づいて前記記録内容を特定する第4ステップを有し、
さらに、前記プログラムは、前記第4ステップにおいて特定した前記記録内容で前記電子カルテテンプレートの入力内容の修正及び追記の少なくとも一方を行う第5ステップ(S507)と
を実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記プログラムは、前記プロセッサに、さらに、
前記電子カルテテンプレートデータに記録すべき前記記録内容をもとに、診療報酬の申請が可能かを評価し、その結果を表示する第6ステップ
を実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第5ステップ(S507)において、前記第4ステップにより特定した前記記録内容で修正及び追記の少なくとも一方がされた箇所の表示態様を変更し、修正及び追記の少なくとも一方がされた箇所を明示する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第4ステップにおいて、前記発話データに基づいた音声認識データにおいて複数の漢字変換候補がある場合、その漢字変換候補を表示していずれかの漢字変換候補に対する選択入力をうけつけることで、前記音声認識データにおいて漢字の特定の入力を可能にする、請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第5ステップ(S507)において、前記第4ステップにより特定した前記記録内容が人名であるとき少なくともその一部を、前記人名のカタカナ表記またはひらがな表記に表記ゆれを統一することに前記電子カルテテンプレートの入力内容の修正及び追記の少なくとも一方を行う、請求項3に記載のプログラム。
【請求項8】
前記入力内容及び前記発話データには項目番号名が含まれ、
前記第4ステップにおいて、前記項目番号名をもとに前記記録内容を特定する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項9】
前記電子カルテテンプレートはテーブル情報を含み、
前記第1ステップにおいて、前記発話データには、前記テーブル情報におけるテーブルの列を特定する助詞や用語と、前記テーブル情報における前記テーブルの次の行の情報入力に移動することを意味する用語または行を特定する用語が含まれ、
前記第2ステップにおいて、特定の前記行と前記列についての前記記録内容を特定する
請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記入力内容及び前記発話データにはそれぞれ医学指定用語が含まれ、
前記第4ステップにおいて、前記音声認識データに含まれる前記医学指定用語と前記入力内容に含まれる前記医学指定用語とを用いて前記記録内容を特定する
請求項3に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第4ステップにおいて、前記医学指定用語または項目番号名または項目名の少なくとも一つと、前記入力項目の選択肢や入力例とを示すガイドを提示する、請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
前記入力項目、前記入力内容及び前記音声認識データに含まれる前記医学指定用語または項目番号名または項目名の少なくとも一つを同一画面に表示させる第7ステップを実行させ、
前記第7ステップにおいて、前記第4ステップにおいて特定した前記記録内容に係る前記電子カルテテンプレートの前記入力項目も前記同一画面に表示させる
請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記第7ステップにおいて、表示された前記入力項目について選択指示を受け入れることで前記発話データの再生を開始する
請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1ステップにおいて、前記発話データを前記メモリに格納し、
前記第4ステップにおいて、前記第7ステップにおいて表示された前記入力項目について選択指示を受け入れることで前記発話データの再生を開始し、前記発話データの再生に伴って前記入力項目、前記入力内容の表示位置を継続的に変更する
請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
既に入力内容の入力がされた前記電子カルテテンプレートデータまたはパーソナルヘルスケアレコードデータを受け入れる第8ステップを実行させ、
前記第4ステップにおいて、前記第8ステップで受け入れた前記電子カルテテンプレートデータの入力内容と、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及び前記入力内容と、前記音声認識データによる音声認識結果との表示態様を変更させて表示する
請求項12に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第4ステップにおいて、前記音声認識データから、名詞である医学指定用語とこの医学指定用語に接続する助詞との組み合わせを特定し、これら医学指定用語と助詞との組み合わせに基づいて、前記記録内容を特定する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項17】
前記メモリには、音声認識を行うための音声認識エンジンが格納され、前記音声認識エンジンは、医学指定用語を含む教師データにより学習された学習モデルを含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項18】
前記音声認識エンジンは、前記入力項目及び前記入力内容を含む前記教師データにより学習された前記学習モデルを含む、請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
既に入力内容の入力がされた前記電子カルテテンプレートデータを受け入れ、受け容れた前記電子カルテテンプレートデータの入力内容の一部を匿名加工処理する第9ステップと、
前記第9ステップにおいて受け入れた前記電子カルテテンプレートデータの入力内容に基づいて、前記音声認識エンジンの教師音声読みデータを生成し、この教師音声読みデータに基づいて音声正解データを作成し、この音声正解データに基づいて前記学習モデルの機械学習を行う
請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記電子カルテテンプレートには、それぞれの前記電子カルテテンプレートの入力項目を識別するための識別子が関連付けられている請求項1に記載のプログラム。
【請求項21】
前記電子カルテテンプレートは複数の医療施設で共用可能であり、
複数の前記医療施設で共用可能な前記電子カルテテンプレートには同一の前記識別子が関連付けられている
請求項1に記載のプログラム。
【請求項22】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートのインポートを受け入れる第10ステップを実行させ、
前記第10ステップにおいて、前記電子カルテテンプレートのインポートの際に前記識別子を変更しない
請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記電子カルテテンプレートの前記入力項目には各々の前記入力項目を特定するための識別子が関連付けられており、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートのインポートを受け入れた後に受け入れた前記電子カルテテンプレートをエクスポートする第11ステップと、
前記第11ステップにおいてインポート及びエクスポートした前記電子カルテテンプレートの入力項目の位置の一致性から対応表を生成し、生成した前記対応表をもとに前記識別子を置換することで、前記音声認識データと前記電子カルテテンプレートの前記入力項目の対応を更新する第12ステップと
を実行させる請求項3に記載のプログラム。
【請求項24】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートの前記入力項目に対する選択入力を受け入れる第13ステップと、
前記第13ステップによる選択入力がされた前記入力項目に対応する前記入力内容に基づいて、文章テンプレートを用いるか、言語生成モデルのプロンプトを作成し前記言語生成モデルを用いるかして紹介状または診療サマリーまたは製薬企業へのレポートの少なくとも一つを作成する第14ステップと
を実行させる、請求項3に記載のプログラム。
【請求項25】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートの前記入力項目に対する選択入力を受け入れる第15ステップと、
前記第14ステップによる選択入力がされた前記入力項目に対応する前記入力内容に基づいて言語生成モデルのプロンプトを作成し、前記言語生成モデルを用いて、前記電子カルテテンプレートの前記入力内容と文章の対応が紐づいた、紹介状のテンプレートまたは診療サマリーのテンプレートまたは製薬企業へのレポートの少なくとも一つを作成する第16ステップと
を実行させる、請求項3に記載のプログラム。
【請求項26】
プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップと
を実行する、情報処理装置。
【請求項27】
プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第3ステップと
を実行する、情報処理装置。
【請求項28】
プロセッサとメモリとを備えたコンピュータにより実行される方法であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップと
を実行する、方法。
【請求項29】
プロセッサとメモリとを備えたコンピュータにより実行される方法であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第3ステップと
を実行する、方法。
【請求項30】
電子カルテテンプレートの構造化データが格納されたメモリであって、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含むメモリと、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる手段と、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する手段と
を具備する、システム。
【請求項31】
電子カルテテンプレートの構造化データが格納されたメモリであって、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含むメモリと、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる手段と、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する手段と
を具備する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プログラム、情報処理装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
医師が患者に対する問診内容及び問診結果を電子的に記録し、さらに患者に行う医療行為の履歴を電子的に記録する電子カルテは公知である。電子カルテの記録内容は、電子カルテテンプレートに沿って作成されることがある。
【0003】
上述した技術に関連する技術として、特許文献1に開示された技術がある。
【0004】
特許文献1には、医療支援装置に関する技術が開示されている。医療支援装置において、入力項目表示手段は入力項目を表示器に表示する。入力項目選択手段は複数の前記入力項目から一の前記入力項目を選択する。音声認識手段は、選択された辞書を用いて、入力された音声の音声認識を行い、音声に対する語句候補を抽出する。語句候補表示手段は抽出された語句候補を表示器に表示する。選択操作受付手段は語句候補から一の語句候補の選択操作を受付ける。記憶制御手段は、選択操作された一の語句候補を、選択した一の前記入力項目に対する回答として記憶手段に記憶させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-156844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、医療分野の専門辞書を用いて音声認識処理を行っているが、医療分野のテンプレート入力では同音異表記が多く、現時点においても音声認識処理の精度には一定の限界があり、音声認識処理を行った結果としての電子カルテテンプレートへの入力内容に対してその後医師等が修正入力を行う必要が生じることがある。
【0007】
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、音声データに基づいて入力された電子カルテテンプレートへの記録の省力化を図る技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムである。メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容または自由記述が可能なフリー入力内容との少なくとも一方を含む。プログラムは、プロセッサに、ユーザから、発話データの入力を受け付け、発話データには、電子カルテテンプレートの入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップと、発話データ中に含まれる電子カルテテンプレートの選択式入力内容またはフリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、音声データに基づいて入力された電子カルテテンプレートへの記録の省力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るシステムの全体の構成を示す図である。
図2】一実施形態に係る端末装置の機能的な構成を示す図である。
図3】一実施形態に係るサーバの機能的な構成を示す図である。
図4】一実施形態に係る電子カルテデータベースのデータ構造を示す図である。
図5】一実施形態に係るシステムにおける処理流れの一例を示すフローチャートである。
図6】一実施形態に係るシステムにおける処理流れの他の例を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に係るシステムにおける処理流れのまた他の例を示すフローチャートである。
図8】一実施形態に係る端末装置で表示される画面の一例を表す模式図である。
図9】一実施形態に係る端末装置で表示される画面の別の一例を表す模式図である。
図10】一実施形態に係る端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
図11】一実施形態に係る端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
図12】一実施形態に係る端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
図13】一実施形態に係る端末装置で表示される画面のまた別の一例を表す模式図である。
図14】一実施形態に係るシステムにより紹介状を生成する手順を説明する図である。
図15】一実施形態に係るシステムにより紹介状を生成する手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0012】
また、以下の説明において、「プロセッサ」は、1以上のプロセッサである。少なくとも1つのプロセッサは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサであるが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサでもよい。少なくとも1つのプロセッサは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。
【0013】
また、少なくとも1つのプロセッサは、処理の一部又は全部を行うハードウェア回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサでもよい。
【0014】
また、以下の説明において、「xxxテーブル」といった表現により、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、この情報は、どのような構造のデータでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワークのような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。
【0015】
また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、1つのテーブルは、2以上のテーブルに分割されてもよいし、2以上のテーブルの全部又は一部が1つのテーブルであってもよい。
【0016】
また、以下の説明において、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムは、プロセッサによって実行されることで、定められた処理を、適宜に記憶部及び/又はインタフェース部などを用いながら行うため、処理の主語が、プロセッサ(或いは、そのプロセッサを有するコントローラのようなデバイス)とされてもよい。
【0017】
プログラムは、計算機のような装置にインストールされてもよいし、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な(例えば非一時的な)記録媒体にあってもよい。また、以下の説明において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0018】
また、以下の説明において、種々の対象の識別情報として、識別番号が使用されるが、識別番号以外の種類の識別情報(例えば、漢字や英字や符号を含んだ識別子)が採用されてもよい。
【0019】
また、以下の説明において、同種の要素を区別しないで説明する場合には、参照符号(又は、参照符号のうちの共通符号)を使用し、同種の要素を区別して説明する場合は、要素の識別番号(又は参照符号)を使用することがある。
【0020】
また、以下の説明において、制御線や情報線は、説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。全ての構成が相互に接続されていてもよい。
【0021】
<0 システムの概要>
本開示に係るシステムは、電子カルテテンプレートに基づく電子カルテの記録内容の記録を音声認識により行うシステムである。本明細書において、電子カルテの記録内容は電子カルテテンプレートに基づいて生成される。
【0022】
電子カルテテンプレートは、入力項目とこの入力項目に関連付けられた入力内容とを有する構造化データである。ここに、構造化データとは、ストレージに配置される前に事前定義され、ある定められた構造となるように整形されたデータである。これに対して、非構造化データとは、平文のまま保存され、使用時まで処理されないデータである。電子カルテは、この電子カルテテンプレートに基づいてその入力項目が規定される。なお、本システムは、電子カルテのテンプレートの入力項目をウェブフォームなどで別の形に作り直した電子カルテテンプレート入力補助システムでテンプレートの入力項目の入力を支援するシステムを含む。
【0023】
入力項目は電子カルテの各項目に対応する項目であり、医療従事者がどの項目であるかを特定するために、医学指定用語を用いた比較的短い内容である。入力内容はこの入力内容に関連付けられた入力項目に対して医師または医療従事者が入力する内容である。入力内容は選択肢形式であったり自由回答形式であったり、その設問形式は多様である。入力内容は、選択肢形式であればいずれかの選択肢(選択肢が単一の場合もある)を選択したものであり、自由回答形式であれば自由文が入力される。なお、選択肢形式の入力内容であると、選択肢に医学指定用語が含まれる。電子カルテテンプレートデータは、電子カルテテンプレートに基づいて医師または医療従事者が入力した内容であり、電子カルテテンプレートの入力内容の具体的な内容である。
【0024】
医療現場では、医師及び医療従事者は、電子カルテテンプレートに基づいて、電子カルテに大量のデータ入力をする必要がある。そして、電子カルテテンプレートは構造化データであり、一部は選択肢形式であり、一部は自由回答形式である。
【0025】
電子カルテテンプレートの入力項目及び入力内容は医療従事者が入力/修正/追記し、また、医療従事者が閲覧することを前提に作成されている。このことは、入力項目及び入力内容は医学的知識を前提とし、また、医学的に正確なものである必要がある。しかしながら、医師を含む医療従事者が電子カルテに記録すべき記録内容は膨大な量になり、その手間は半端なものではない。一例では、ある医療施設の入退院支援センターでは、大体6ページにわたる入力内容があり、その内容を電子カルテの縦に長くなったプロフィール欄またはアセスメントシートのどこの項目に入力するのかを探し、そこに入力することは、1患者当たり20分程度かかっており、看護師・医療事務の残業の理由となっている。
【0026】
このような観点から、電子カルテの記録内容を音声認識により行うことが考えられる。とはいえ、現時点においても音声認識処理の精度は十分とは言えない。また、音声認識の精度を上げようとすると医療機関ごとのカスタマイズが必要になるが、その工数がかさむと値段が上がり、病院の経営の圧迫になる。製造業分野ではマスカスタマイゼーションといわれる方法で、商品のカスタマイズを受けることを前提とした製造工程設計を行い、商品の単価を上げることがされているが、電子カルテのテンプレートの音声入力の分野でこのような設計をされている前例は知られていない。
【0027】
そこで、本開示に係るシステムでは、電子カルテテンプレートに基づく電子カルテの記録内容の記録を行うに当たって、医療従事者が発する発話データに含まれる医学指定用語をキーとして、電子カルテテンプレートの入力項目及び入力内容を特定し、発話データがどの入力項目に係るものであるか、また、発話データがどの入力内容の項目または選択肢に係るものであるかを特定し、特定した入力項目及び入力内容に対して、発話データを音声認識した音声認識データを記録することで、電子カルテの記録内容を特定している。このような構成を採用することにより、音声認識技術を用いて効率的にかつ正確な電子カルテの記録内容を記録することができる。
【0028】
音声認識の精度を上げるためには、次の三つのことが大事である。一つは、各医療施設のテンプレート入力された過去データを収集し、過去データに含まれる単語の機械学習を行うことにより、そのテンプレート入力に特化した音声認識を作成することで、精度を上げることである。二つ目は、音声入力時に、ユーザーの話す内容をすでに学習済みの単語を話すように誘導する音声入力ガイドUI(ユーザーインターフェース)である。具体的には、医学指定用語の一覧とその入力内容である選択肢や入力例の一例をに入力者の画面に出し、音声入力時にはできる限り画面に表示の言葉を読むように誘導をすることで精度を上げることである。三つ目は同音異表記をできる限り同一表記に現場のデータを用いて表記寄せ行い、必要に応じてさらに詳細な漢字変換を誘導することである。
【0029】
このようにして作成した、テンプレート入力に特化した音声認識エンジンと、テンプレート入力ガイドUIとが付属する電子カルテテンプレートを複数の医療施設で共有することで、精度の良い音声認識を日本中で利用することが可能になる。
【0030】
なお、電子カルテテンプレートの一種として、プロフィール情報シートや、看護士の入力するアセスメントシートが存在する。したがって、本発明はプロフィール情報シートや、アセスメントシート等の項目のデータを入力するために用いることも含意する。
【0031】
なお、音声認識の精度は人間の作業者と同様に100%にはならない。入力が正しくされたのかを確認する方法より簡易であることもユーザーの使いやすさに大きな影響を与える。
【0032】
<一実施形態>
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態の電子カルテシステム1の全体の構成を示す図である。図1に示すように、電子カルテシステム1は、複数の端末装置(図1では、端末装置10a及び端末装置10bを示している。以下、総称して「端末装置10」ということもある)と、サーバ20とを含む。端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。ネットワーク80は、有線または無線ネットワークにより構成される。本実施形態では、サーバ20はWebサーバ(クラウドサーバを含む)としての機能を有するサーバであり、端末装置10との間でWebページにより情報のやり取りを行う。また、端末装置10にはWebページを閲覧するためのWebページブラウザがインストールされているが、サーバ20のサービスを提供するための専用アプリケーションがインストールされ、専用アプリケーションにより閲覧可能に構成してもよい。
【0033】
端末装置10は、据え置き型のPC(Personal Computer)、ラップトップPC等により実現される。この他、端末装置10は、例えば移動体通信システムに対応したタブレットや、スマートフォン等の携帯端末であるとしてもよい。
【0034】
端末装置10は、医療従事者または電子カルテシステム1の管理者が操作する装置である。ここに、医療従事者とは、医師、看護師、医療知識を有する検査技師等を含む概念である。なお、以下の説明において、医療従事者とシステム1の管理者とを区別して説明する時以外は、医療従事者にはシステム1の管理者が含まれるものとする。
【0035】
医療従事者は、端末装置10を使用して、電子カルテテンプレートに基づく電子カルテの記録内容の記録を行う。この際、医療従事者は、発話データを端末装置10に入力し、入力/修正/追記を指示する。端末装置10は、発話データを音声認識して音声認識データを取得し、この音声認識データに基づいて記録内容の入力/修正/追記を行う。そして、医療従事者は、入力/修正/追記を行った入力内容を電子カルテの記録内容として記録する指示を行う。
【0036】
また、医療従事者は、端末装置10を用いて電子カルテテンプレートの作成/修正/追記を行うことができる。この際、医療従事者は、電子カルテテンプレートの入力項目、入力内容の修正/追記/削除(ここにいう削除とは、入力内容等を全く削除すること以外に、複数の入力内容を1つの入力内容にまとめ、全体として入力内容の数を減少させることも含む)を行い、また、入力項目に対応する入力内容の選択肢の生成/修正/追記/削除を行う。
【0037】
端末装置10は、ネットワーク80を介してサーバ20と通信可能に接続される。端末装置10は、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等の通信規格に対応した無線基地局81、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11等の無線LAN(Local Area Network)規格に対応した無線LANルータ82等の通信機器と通信することにより、ネットワーク80に接続される。図1に示すように、端末装置10は、通信IF(Interface)12と、入力装置13と、出力装置14と、メモリ15と、記憶部16と、プロセッサ19とを備える。
【0038】
通信IF12は、端末装置10が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入力装置13は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置(例えば、キーボードや、タッチパネル、タッチパッド、マウス等のポインティングデバイス等)である。出力装置14は、ユーザに対し情報を提示するための出力装置(ディスプレイ、スピーカ等)である。メモリ15は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。記憶部16は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ19は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0039】
サーバ20は、本実施形態の電子カルテシステム1の管理者により管理され、端末装置10の利用者である医療従事者により適宜格納内容が修正/追加/削除がされる。サーバ20は電子カルテ装置であり、医療施設において医療従事者が端末装置10を介して電子カルテの入力項目及び入力内容を閲覧し、入力内容の修正/追記を行う。また、端末装置10を介して医療従事者が行った電子カルテテンプレートの編集操作を受け入れ、この編集操作に基づいて電子カルテテンプレートの修正/追加/削除がされる。
【0040】
サーバ20は、ネットワーク80に接続されたコンピュータである。サーバ20は、通信IF22と、入出力IF23と、メモリ25と、ストレージ26と、プロセッサ29とを備える。
【0041】
通信IF22は、サーバ20が外部の装置と通信するため、信号を入出力するためのインタフェースである。入出力IF23は、ユーザからの入力操作を受け付けるための入力装置、及び、ユーザに対し情報を提示するための出力装置とのインタフェースとして機能する。メモリ25は、プログラム、及び、プログラム等で処理されるデータ等を一時的に記憶するためのものであり、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性のメモリである。ストレージ26は、データを保存するための記憶装置であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)である。プロセッサ29は、プログラムに記述された命令セットを実行するためのハードウェアであり、演算装置、レジスタ、周辺回路等により構成される。
【0042】
<1.1 端末装置10の機能的な構成>
図2は、図1に示す端末装置10の機能的な構成の例を表すブロック図である。図2に示す端末装置10は、例えば、PC、携帯端末、またはウェアラブル端末により実現される。図2に示すように、端末装置10は、通信部120と、入力装置13と、出力装置14と、音声処理部17と、マイク171と、スピーカー172と、記憶部180と、制御部190とを備える。端末装置10に含まれる各ブロックは、例えば、バス等により電気的に接続される。
【0043】
通信部120は、端末装置10が他の装置と通信するための変復調処理等の処理を行う。通信部120は、制御部190で生成された信号に送信処理を施し、外部(例えば、サーバ20)へ送信する。通信部120は、外部から受信した信号に受信処理を施し、制御部190へ出力する。
【0044】
入力装置13は、端末装置10を操作するユーザが指示、または情報を入力するための装置である。入力装置13は、例えば、キーボード、マウス、リーダー等により実現されてもよい。端末装置10が携帯端末等である場合には、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチ・センシティブ・デバイス131等により実現される。入力装置13は、ユーザから入力される指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御部190へ出力する。なお、入力装置13には、例えば、外部の入力機器から入力される電気信号を受け付ける受信ポートが含まれてもよい。
【0045】
出力装置14は、端末装置10を操作するユーザへ情報を提示するための装置である。出力装置14は、例えば、ディスプレイ141等により実現される。ディスプレイ141は、制御部190の制御に応じたデータを表示する。ディスプレイ141は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、または有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。
【0046】
音声処理部17は、例えば、音声信号のデジタル-アナログ変換処理を行う。音声処理部17は、マイク171から与えられる信号をデジタル信号に変換して、変換後の信号を制御部190へ与える。また、音声処理部17は、音声信号をスピーカー172へ与える。音声処理部17は、例えば音声処理用のプロセッサによって実現される。マイク171は、音声入力を受け付けて、当該音声入力に対応する音声信号を音声処理部17へ与える。スピーカー172は、音声処理部17から与えられる音声信号を音声に変換して当該音声を端末装置10の外部へ出力する。
【0047】
記憶部180は、例えば、メモリ15、および記憶部16等により実現され、端末装置10が使用するデータ、およびプログラムを記憶する。記憶部180は、例えば、電子カルテテンプレート182、発話データ183、音声認識データ184、医学指定用語データ185、教師データ186、学習モデル187、電子カルテテンプレートデータ188を記憶する。
【0048】
電子カルテテンプレート182は、医療従事者がこの電子カルテテンプレート182を用いて電子カルテの記録内容の記録を行うためのテンプレートであり、後述する電子カルテテンプレート取得部195がサーバ20の記憶部202から取得した電子カルテテンプレート2024である。なお、電子カルテテンプレート182は、電子カルテテンプレート2024の一部であってもよい。つまり、詳細は後述するが、サーバ20の記憶部202に格納されている電子カルテテンプレート2024は、サーバ20(つまり電子カルテ装置)が管理する全ての電子カルテテンプレートであるが、端末装置10において後述する修正/追記を行う電子カルテテンプレートは特定の医療施設において、時に特定の医療施設の特定の医局において医療従事者が記録内容を記録する際に使用する電子カルテテンプレートであってもよいからである。
【0049】
発話データ183は、医療従事者が入力した発話を音声処理部17のマイク171を介して収録したデータである。
【0050】
音声認識データ184は、制御部190の音声認識部196が発話データ183に基づいて音声認識を行った結果得られた音声認識データである。音声認識データ184は、一例として、漢字と平仮名が混じったデータであり、また、漢字とその読み仮名である平仮名またはカタカナとのペアのデータであってもよい。
【0051】
医学指定用語データ185は、制御部190の入力項目特定部197が、音声認識データ184に基づいて電子カルテの入力内容の修正/追記を行う際に、修正/追記を行うべき入力内容に係る入力項目を特定するために用いる医学指定用語データである。ここにいう医学指定用語は、電子カルテに限らず、一般的に医療従事者がカルテに記載する際に使用する用語であり、いわゆる医学用語を少なくとも含み、さらに、入力項目に用いられている専門的な用語を含む。好ましくは、医学指定用語データ185は、これら医学指定用語等の同義語辞書を有し、修正時更新時に項目の紐づけを同定、維持するのに用いる。なお、医学用語とは、「既往歴」、「現病歴」、「薬剤歴」、「社会歴」、「病名」、「薬剤名」など、医療機関で医学に関する言葉を正確に記述するために用いられる用語である。また「現病歴」は「現症」「HPI」などの同義語が存在し、テンプレートの紐づけ時に、同義語を用いて紐づけを誘導または確定してもよい
【0052】
学習モデル187は、医療従事者等が発してマイク171により取得した発話データ183に基づいて音声認識部196が音声認識を行い、音声認識データ184を生成する際に用いられる学習モデルである。つまり、学習モデル187は、発話データ183を入力データとし、音声認識データ184を出力する。
【0053】
学習モデル187は、教師データ186に基づき、図略のモデル学習プログラムに従って機械学習モデルに機械学習を行わせることにより得られる。教師データ186は、一般的に機械学習により音声認識を行う際に用いられる、多数の話者の発話データとこの発話データに対応し、正しく音声認識されたテキストデータとの対からなるものである。この際、端末装置10が複数の学習モデル187及び教師データ186を有していてもよい。特に、本実施形態では複数種類の電子カルテテンプレート182を使用することがあるので、電子カルテテンプレートによって学習モデル187(ひいてはその前提となる教師データ186)を適宜選択することが好ましいので、記憶部180が複数の学習モデル187及びこの学習モデル187に対応する教師データ186を有することが好ましい。
【0054】
本実施形態に係る学習モデル187は、例えば、複数の関数が合成されたパラメータ付き合成関数である。パラメータ付き合成関数は、複数の調整可能な関数、及びパラメータの組合せにより定義される。本実施形態に係る予測モデルは、上記の要請を満たす如何なるパラメータ付き合成関数であってもよいが、多層のネットワークモデル(以下、多層化ネットワークと呼ぶ)であるとする。多層化ネットワークを用いる予測モデルは、入力層と、出力層と、入力層と出力層との間に設けられる少なくとも1層の中間層あるいは隠れ層とを有する。予測モデルは、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての使用が想定される。
【0055】
本実施形態に係る多層化ネットワークとしては、例えば、深層学習(Deep Learning)の対象となる多層ニューラルネットワークである深層ニューラルネットワーク(Deep Neural Network:DNN)が用いられ得る。DNNとしては、例えば、画像を対象とする畳み込みニューラルネットワーク(Convolution Neural Network:CNN)を用いてもよい。
【0056】
また、上記はあくまで予測モデルの例示であり、予測モデルとしては、他の構成を備えてもよい。例えば、予測モデルは、主訴情報および環境情報を変数とし、各変数に過去の実績から導出された係数が付された関数により記述されるルールベースのモデルであってもよい。
【0057】
好ましくは、教師データ186は、過去に蓄積された発話データ183と電子カルテテンプレート2024とを含む。つまり、一般的な音声認識用の教師データのみならず、既に電子カルテテンプレートとして取り込まれている、電子カルテテンプレート182に対する音声認識に適した実際のデータであることが好ましい。
【0058】
また、好ましくは、教師データ186は医学指定用語データ185を含む。つまり、学習モデル187は、医学指定用語データ185により学習したモデルである。これにより、医療従事者からの、医学指定用語を含む発話データ183に基づく音声認識部196による音声認識精度の向上を図ることができる。
【0059】
加えて、教師データ186は、過去に蓄積された電子カルテテンプレートデータ2023を含んでもよいが、過去に蓄積された電子カルテテンプレートデータ2023には、患者の氏名、生年月日、連絡先、非常にまれな疾患などの個人情報が当然に含まれている。個人情報保護法は、かかる個人情報についての管理手法を厳格に定めている。従って、かかる制限のある電子カルテテンプレートデータ2023を音声認識処理に用いることは、扱いを厳格に行う必要があると共に、個人情報漏洩の危険性を孕むことになる。そこで、本開示に係るシステム1では、実際の電子カルテテンプレートデータ2023に対して少なくとも一部を匿名化するか、また、改変することで、個人情報保護を図るとともに、データ活用の利便性を高めている。
【0060】
具体的には、教師データ186として、実際の電子カルテテンプレートデータ2023に対して数字の一部を所定値だけ増減する、他の患者の電子カルテテンプレートデータ2023と同一入力項目で入力内容を入れ替えるなどの改変を行うことで、実際の電子カルテテンプレートデータ2023の改変を行っている。他、固有名詞をマスキングすることで、個人情報を匿名化している。同時に単語として、形態素解析を行い、非常にまれな単語は表示をマスキングしている。
【0061】
また、教師データ186として、漢字とその読み仮名との関係についてのデータを含めておくことが好ましい。このような教師データ186により機械学習を行った学習モデル187を用いれば、後述する入力項目特定部197による修正内容特定の際に、読み仮名を発話データ183として入力すれば、読み仮名から他の類似の音を持つ漢字への置換指示行うことができる。
【0062】
電子カルテテンプレートデータ188は、端末装置10による音声認識処理の結果、電子カルテテンプレート182の入力内容について具体的な入力がされたデータである。
【0063】
制御部190は、プロセッサ19が記憶部180に記憶されるアプリケーションプログラム181を読み込み、アプリケーションプログラム181に含まれる命令を実行することにより実現される。制御部190は、端末装置10の動作を制御する。制御部190は、記憶部180に格納されたアプリケーションプログラム181に従って動作することにより、操作受付部191と、送受信部192と、データ処理部193と、提示制御部194と、電子カルテテンプレート取得部195と、音声認識部196と、入力項目特定部197と、記録内容記録部198と、電子カルテテンプレートデータ送出部199としての機能を発揮する。
【0064】
操作受付部191は、入力装置13から入力される指示、または情報を受け付けるための処理を行う。具体的には、例えば、操作受付部191は、キーボード、マウス等から入力される指示に基づく情報を受け付ける。
【0065】
また、操作受付部191は、マイク171から入力される音声指示を受け付ける。具体的には、例えば、操作受付部191は、マイク171から入力され、音声処理部17でデジタル信号に変換された音声信号を受信する。操作受付部191は、例えば、受信した音声信号を分析して所定の名詞を抽出することで、ユーザからの指示を取得する。
【0066】
送受信部192は、端末装置10が、サーバ20等の外部の装置と、通信プロトコルに従ってデータを送受信するための処理を行う。具体的には、例えば、送受信部192は、ユーザから入力された業務内容をサーバ20へ送信する。また、送受信部192は、ユーザに関する情報を、サーバ20から受信する。
【0067】
データ処理部193は、端末装置10が入力を受け付けたデータに対し、アプリケーションプログラム181に従って演算を行い、演算結果をメモリ15等に出力する処理を行う。
【0068】
提示制御部194は、サーバ20から提供された情報をユーザに対して提示するため、出力装置14を制御する。具体的には、例えば、提示制御部194は、サーバ20から送信される情報をディスプレイ141に表示させる。また、提示制御部194は、サーバ20から送信される情報をスピーカー172から出力させる。
【0069】
電子カルテテンプレート取得部195は、サーバ20の記憶部202に格納されている電子カルテテンプレート2024を取得し、電子カルテテンプレート182として記憶部180に格納する。
【0070】
音声認識部196は、医療従事者がマイク171を介して入力した発話データ183に基づいて、この発話データ183を学習モデル187に入力することで、出力結果としての音声認識データ184を取得する。
【0071】
この際、音声認識部196は、発話データ183に含まれる、電子カルテテンプレート182の入力項目及び入力内容に相当する発話データ183を音声認識して、どの入力項目に係る発話データ183であるかを判定し、この判定結果に基づいて、判定結果である入力項目及び入力内容に適した学習モデル187を、記憶部180に複数格納されている学習モデル187から選択し、選択した学習モデル187に基づいて音声認識処理を行うことが好ましい。
【0072】
音声認識部196は、発話データ183に基づく音声認識処理を行う際に、発話データ183における音声認識処理を行った時点、つまり、発話データ183の再生地点を記録している。そして、音声認識部196は、提示制御部194とともに、発話データ183の再生地点を出力装置14のディスプレイ141を介して、端末装置10を操作している医療従事者に視認可能な状態で提示する。再生地点の表示態様は任意であるが、一例として、シークバー形式の表示態様が挙げられる。加えて、再生地点の表示画面には、発話データ183の再生開始/一次停止の指示入力を受け入れるボタン等が表示され、端末装置10の操作者である医療従事者からボタンの操作入力があると、発話データ183の再生開始/一次停止を行う。これに伴い、音声認識部196の音声認識処理が開始/一次停止される。
【0073】
ここで、電子カルテテンプレート182の入力項目及び入力内容には、病院名、患者の家族の氏名が含まれる。例えば、患者の家族の氏名は理想的には漢字で表記されるべきであるが、カタカナ表記であっても必ずしも間違いではない。音声認識部196による音声認識処理の結果として、正しい漢字表記まで特定し、例えば、ワタナベ アキラさんを、渡邊昭さん、渡部晃さんなどの同音での異表記の漢字まで特定することは困難である。さらに、誤認識を修正する手間もかかる。このため、音声認識部196は、発話データ183中において人名に相当すると判断した箇所についてはカタカナ表記またはひらがな表記に止めることが好ましい。同時に別のUIで、カタカナ表記をどのような漢字に変更するのかの候補を表示し、クリック等にて修正を促すことで、カタカナ表記を特定の漢字表記に変える入力が可能になる。なお、過去の正解データの中で、一意に漢字が特定される場合は事前に変換をしたうえで表示をしてもよい。他、過去の修正内容を記憶し、自動で修正してもよい。なお、修正のための指示は音声で、特定のウェイクアップワードの後に、「漢字変換、昭は「ショウワ」(昭和)の1文字目」などと、指定してもよい。
【0074】
また、抜歯、抜糸は、どちらも「バッシ」と読む医学用語であるが、前者は歯科、後者は外科でよく使われる単語である。どちらも学習時は「バッシ」として、診療科端末ごとに、修正の選択を促したり、診療科をもとに修正を自動で入れる機能を持ってもよい。
【0075】
入力項目特定部197は、音声認識部196の出力結果である音声認識データ184を参照し、この音声認識データ184と医学指定用語データ185とを照合して、音声認識データ184に含まれる電子カルテテンプレートの入力項目を特定する。そして、入力項目特定部197は、特定した入力項目に引き続き医療従事者が発話した発話データ183に基づく音声認識データ184から、入力/修正/追記をすべき入力内容を特定する。つまり、発話データ183(ひいては音声認識データ184)において入力項目と入力内容とが連続的に(ここにいう連続的とは、発話者である医療従事者が入力項目とこの入力項目に対応する、入力/修正/追記した内容である入力内容とが一連に発話されていると客観的に認識できる程度の時間間隔という意味である。すなわち、時間間隔が全くない場合のみならず、一連に発話されていると客観的に認識できればそれは連続的の範疇に入りうる)発話されていることを入力項目特定部197が認識し、この連続性に基づいて、発話者である医療従事者が入力/修正/追記を指示した入力内容を音声認識データ184から抽出し、この音声認識データ184に基づいて入力/内容の修正/追記の候補を抽出する。
【0076】
さらに、入力項目特定部197は、上述した連続性に基づいて、発話データ183(音声認識データ184)に含まれる入力項目の候補を複数抽出し、いずれの入力項目についての修正/追記指示であるかを、端末装置10の操作者(つまり医療従事者)に提示してもよい。この後、記録内容記録部198は、端末装置10の操作者からの入力項目の選択指示を受け入れて、修正/追記内容を確定する。一例として、音声認識の結果をヒューリスティックな探索アルゴリズム等で探索をし、漢字表記候補を探索し、候補が複数ある場合はそれを表示して、漢字の変換を促してもよい。
【0077】
ここに、発話者である医療従事者の発話データ183は、名詞である入力項目とこの入力項目に接続する「は」などの助詞と、この助詞に引き続き発話される、修正/追記の対象である入力内容との一連のまとまりを有すると考えられる。そこで、入力項目特定部197は、予め特定の助詞(一例として「は」)をキーとして、この助詞の前に発話された発話データ183は入力項目に対応するものであると推測し、入力項目の特定を行うとともに、特定した入力項目に連続して発話された助詞(例えば「は」)に引き続き発話された発話データ183を、この入力項目に関連付けられた入力内容であり、発話者が入力/修正/追記をするために発話した入力内容であると判定し、音声認識データ184に基づいて、修正/追記の対象となる入力内容を特定する。
【0078】
さらに、入力項目特定部197は、入力項目と助詞との連続性から入力内容まで特定できることから、入力内容が一定の選択肢で表現できるものである場合(つまり入力内容が選択肢形式である場合)、入力内容の候補(選択肢)を予め用意し、入力内容の候補を操作者(発話者である医療従事者)に提示して入力内容の候補の選択を求めてもよい。
【0079】
本実施形態では、端末装置10の記憶部180に電子カルテテンプレート182が格納されており、電子カルテテンプレート182には、入力内容が選択肢形式であり、しかもこの選択肢そのものの内容(記載)も特定されているので、入力項目特定部197は、音声認識データ184に含まれる医学指定用語を用いれば、入力内容に係る音声認識データ184に対応する選択肢を容易に特定することができる。
【0080】
入力項目特定部197は、音声入力時にはユーザーが医学指定用語を発話するときに、その選択肢の一覧が見えるように、医学指定用語が特定された時に選択肢一覧が見えるように画面表示が変わったり、選択肢または医学指定用語がハイライトされたり、選択肢が見える場所へ画面がスクロールしてもよい。
【0081】
また、入力項目特定部197は、音声入力時に音声を録音し、UI上で項目名をクリックした場合には、該当する音声入力時に用いられた音声の開始部位から再生を開始することで正しく音声が入力されているのかを確認することが可能になる。音声再生時にも医学指定用語と認識された場合に、その項目にスクロールするなどして、入力が正しいかを確認できるようにしてもよい。
【0082】
この後、記録内容記録部198は、端末装置10の操作者からの入力内容の選択指示を受け入れて、電子カルテテンプレート182への入力/修正/追記内容、つまり記録内容を確定し、電子カルテテンプレートデータ188を生成する。
【0083】
なお、上述した入力項目特定部197の動作は、教師データ186にパターン(例えば入力項目と助詞と入力内容との関連付け、及び、入力内容の候補)を設けておき、この教師データ186に基づいて学習モデル187を学習させることにより、音声認識部196の動作として実現することも可能である。
【0084】
また、サーバ20の記憶部202に格納されている電子カルテテンプレート2024の入力項目に、それぞれの入力項目を特定するための識別子、例えば番号が付されており、この識別子が電子カルテテンプレート182にも含まれている場合、入力項目特定部197は、音声認識データ184に入力項目の識別子が含まれていると判定したら、この識別子に基づいて入力/修正/追記の対象である入力項目を特定し、さらに、特定した入力項目に対応付けられた入力内容の入力/修正/追記内容が音声認識データ184に含まれていると判定し、入力内容の修正/追記内容を特定してもよい。
【0085】
さらに、入力内容として入力可能な単語、及び/または文字の種類を特定、限定する情報(図略)が記憶部180に格納されていてもよい。この場合、入力項目特定部197は、音声認識データ184から入力内容を特定する際に、音声認識データ184に含まれるテキストデータがこれら特定、限定された情報に合致するか否かを判定し、合致したら、入力/修正/追記対象の入力内容の入力であるとして特定してもよい。一例として、入力項目が「患者の連絡先」であるならば、入力内容は数字列である必要がある。従って、音声認識データ184が数字列である部分を入力内容として特定してもよい。あるいは、音声認識部196が、かかる情報に基づいて、入力項目が「患者の連絡先」であるならば、この入力項目に続いて発話された入力内容は数字列でなければならないとして、音声認識処理を行ってもよい。
【0086】
さらに、入力内容が選択肢である場合、入力項目特定部197は、いずれかの選択肢に含まれる医学指定用語が音声認識データ184に含まれているならば、発話者である医療従事者が入力/修正/追記を指示するために発話した音声認識データ184はこの選択肢を表すものであるとし、入力/修正/追記の対象となる入力内容を特定してもよい。また、入力項目特定部197は、音声認識データ184に基づいて入力項目を特定したら、特定した入力項目に関連付けられた入力内容の選択肢を提示してもよい。この後、記録内容記録部198は、操作者である医療従事者等からの選択入力を受け入れ、受け入れた選択入力に基づいて電子カルテへの入力/修正/追記内容、つまり記録内容を確定する。
【0087】
入力項目特定部197は、入力項目に紐づく項目通し番号で指示をしてもよい。例えば、「睡眠障害はなし」と指定するのではなくて、「項目34番は、なし」などと、項目番号名をもとに特定をしてもよい。その場合、表示画面で、どの項目が項目34番にあたるのかを表示し、音声入力をガイドする。
【0088】
ここで、発話者である医療従事者は、入力項目、入力内容の区切りを示す、予め定めた単語、例えば「改行」と発話し、音声認識部196による音声認識の結果、予め定めた単語が音声認識データ184に含まれていた場合、入力項目特定部197は、この単語により入力項目、入力内容の区切りが入力されたものと判断する。さらに、入力項目特定部197は、この区切りとなる単語の後における音声認識データ184についても入力項目及び入力内容の特定を行う。このようにして、発話者が一連の発話を行ったとしても、入力項目及び入力内容の特定を確実に行うことができる。
【0089】
また、電子カルテテンプレート182は、テーブル構造を持つこともある。例えば、既往歴を入力する際には、入力項目特定部197は、ある一定のフォーマットで発話することでテーブル構造のデータを構造化できる。例えば、「2000年に、高血圧の診断、野垣病院で治療、現在、治療継続中。改行。2010年に、脂質異常症の診断、当院で治療、現在、完治。」と読んだ場合、まず最初の「既往歴は」で、既往歴情報はこの後続くことが認識される。実際にこの例では、既往歴の病名は、二つあり、「一つ目の病気は、発症年は2000年、病名は高血圧、治療病院は野垣病院、転記は治療中」、「二つ目の病気は、発症年は2010年、病名は脂質異常症、治療病院は当院、転記は完治」、であることがわかる。これを「既往歴1は、高血圧、既往歴1の発症年は2000年、既往歴1の治療病院は野垣病院」と一つ一つ入れることも可能だが、上記のようなフォーマットでテーブル情報を音声入力することで発話量を減らし省力化することが可能になる。
【0090】
入力項目特定部197は、UI上は「(期間:〇才で/○○年頃/○○~)、(病気名)(の診断)、(病院名)にて(治療:手術/内服/入院治療/(治療名)で治療)、 現在、(転記:治癒/回復/治療中))」のように表記し、発話者が上記のテーブル構造の情報をスムーズに入力することを可能にする。
【0091】
音声認識部196及び入力項目特定部197は、発話データ183に基づく音声認識データ184の生成、及び、音声認識データ184に基づく入力項目及び入力内容の特定のそれぞれの作業中において、これら作業の経過をディスプレイ141に表示してもよい。一例として、音声認識部196及び入力項目特定部197は、音声認識データ184をテキスト表示し、テキスト表示された音声認識データ184が特定された入力項目及び入力内容とともに表示してもよい。テキスト表示は、一例としてフローティングテキストボックスとして表示し、音声認識部196による音声認識処理の結果、音声認識データ184としてテキスト表示された後、入力項目特定部197により入力項目及び入力内容が特定されたら、テキストボックスが特定された入力項目等の箇所に移動するように表示してもよい。
【0092】
特に、音声認識部196及び入力項目特定部197は、ディスプレイ141の同一画面を一例として左右または上下に分割し、一方に電子カルテテンプレート182を表示し、他方に入力項目及び入力内容の組を上下方向または左右方向に列挙して表示してもよい。このような表示態様であると、入力項目及び入力内容の組が上下方向または左右方向に列挙されるので、入力項目特定部197による特定作業が順次進行すると、特定された入力項目等に係るテキスト表示は順次上下方向または左右方向のいずれかに進むことになる。そして、テキスト表示の進行に連動して、電子カルテテンプレート182の該当箇所(つまり入力項目)も順次上下方向または左右方向に進行させてもよい。
【0093】
記録内容記録部198は、入力項目特定部197により特定されて端末装置10の操作者に提示された入力項目及び入力内容について、操作者からの(選択入力及び承諾/キャンセル等の入力を含む)入力を受け入れ、受け入れた入力に基づいて入力項目及び入力内容を入力/修正/追記し、これら入力項目等の入力を確定する。そして、記録内容記録部198は、確定した入力項目及び入力内容を用いて、電子カルテへの入力/修正/追記内容、つまり記録内容である電子カルテテンプレートデータ188を確定する。記録内容記録部198は、確定した電子カルテテンプレートデータ188を記憶部180に一時的に格納する。
【0094】
この際、記録内容記録部198は、入力項目特定部197が特定した入力項目及び/または入力内容のそれぞれについて、修正/追記のいずれを行うかの選択を操作者に提示し、操作者からの選択指示に基づいて入力項目及び入力内容を入力/修正/追記してもよい。特に、記録内容記録部198は、記録すべき入力内容が既に存在する(つまり、入力項目特定部197が特定した入力項目について既に記録すべき入力内容が既に存在する)場合、既に入力内容が存在していること、さらに、この入力内容を修正/追記してよいかどうかを、端末装置10を操作する医療従事者に確認するメッセージをディスプレイ141に表示させてもよい。そして、医療従事者から修正/追記を指示する操作入力を待って、入力内容の修正/追記を行ってもよい。
【0095】
また、記録内容記録部198は、入力項目特定部197により特定された入力項目/入力内容が、操作者が意図するものでない場合、記憶部180に格納されている音声認識データ184を参照して、特定動作のやり直しを入力項目特定部197に指示してもよい。また、記録内容記録部198は、入力項目特定部197により特定された入力内容は意図したものであるが、この入力内容に関連付けられた入力項目が操作者の意図と異なる場合、音声認識データ184を参照して、特定された入力内容を異なる入力項目に関連付ける入力を操作者から受け入れてもよい。
【0096】
電子カルテテンプレートデータ送出部199は、記録内容記録部198により確定された電子カルテテンプレートデータ188をサーバ20に送出する。
【0097】
<1.2 サーバ20の機能的な構成>
図3は、サーバ20の機能的な構成の例を示す図である。図4に示すように、サーバ20は、通信部201と、記憶部202と、制御部203としての機能を発揮する。
【0098】
通信部201は、サーバ20が外部の装置と通信するための処理を行う。
【0099】
記憶部202は、例えば、電子カルテDB2022と、電子カルテテンプレートデータ2023と、電子カルテテンプレート2024等とを有する。
【0100】
電子カルテDB2022は、サーバ20を利用する医療施設を受診したことがある患者についての電子カルテデータを管理するためのデータベースである。電子カルテDB2022は、複数の医療施設における電子カルテデータを管理してもよい。詳細は後述する。
【0101】
電子カルテテンプレートデータ2023は、端末装置10により生成された電子カルテテンプレートデータ188であり、電子カルテDB2022に取り込まれることで、電子カルテの記録内容の一部を為す。電子カルテテンプレートデータ2023は、入力項目とこの入力項目に関連付けられた入力内容とを有する。電子カルテテンプレートデータ2023のデータ形式には特段の限定はないが、本実施例の電子カルテテンプレートデータ2023は、XAML(Extensible Application Markup Language)で記述されたデータをJSON(JavaScript Object Notation)(JavaScriptは登録商標)形式に変換したものである。電子カルテテンプレートデータ2023は、その入力項目に数字列などの識別子が付与されていることが好ましく、この識別子も電子カルテテンプレートデータ2023を構成する。
【0102】
電子カルテテンプレート2024は、電子カルテテンプレートデータ2023を生成する際のテンプレートである。電子カルテテンプレート2024は、入力項目とこの入力項目に関連付けられた入力内容を規定する構造化データである。電子カルテテンプレート2024のデータ形式にも特段の限定はないが、本実施例の電子カルテテンプレート2024は、電子カルテテンプレートデータ2023と同様に、XAMLで記述されたデータをJSON形式に変換したものである。電子カルテテンプレートデータ2023と同様に、電子カルテテンプレート2024は、その入力項目に数字列などの識別子が付与されていることが好ましく、この識別子も電子カルテテンプレート2024を構成する。
【0103】
個々の電子カルテテンプレート2024には、それぞれの電子カルテテンプレート2024を識別するための識別子が関連付けられている。一例として、電子カルテテンプレート2024の識別子は所定桁の数字列である。電子カルテテンプレート2024の識別子は、後述する電子カルテテンプレート作成モジュール2033により付与される。
【0104】
制御部203は、プロセッサ29が記憶部202に記憶されるアプリケーションプログラム2021を読み込み、アプリケーションプログラム2021に含まれる命令を実行することにより実現される。制御部203は、アプリケーションプログラム2021に従って動作することにより、受信制御モジュール2031、送信制御モジュール2032、電子カルテテンプレート作成モジュール2033、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034として示す機能を発揮する。
【0105】
受信制御モジュール2031は、サーバ20が外部の装置から通信プロトコルに従って信号を受信する処理を制御する。
【0106】
送信制御モジュール2032は、サーバ20が外部の装置に対し通信プロトコルに従って信号を送信する処理を制御する。
【0107】
一医療施設で作成した、テンプレート入力に特化した音声認識エンジンと、テンプレート入力ガイドUIとが付属する電子カルテテンプレートを複数の医療施設で共有することで、精度の良い音声認識を日本中で利用することが可能になる。この共有を達成するために、電子カルテテンプレート作成モジュール2033は、電子カルテテンプレートを、電子カルテテンプレートデータと音声認識との紐づけを維持しつつインポートを行う。テンプレートの各項目はプログラム的には各項目に付随する個別の識別子で認識をされるが、インポートした際に自動で識別子が付与される場合があり紐づけの維持が困難となるときがある。そのような際には、インポートした直後にエクスポートしたファイルと、位置情報や項目情報が一致していることよりインポート前の識別子とインポート後の識別子の対応表を作成し、この対応表を用いて、インポート後のテンプレートの各項目の識別子とインポート前の医学指定用語の紐づけを行う。このことで、各医療機関のテンプレートの各項目の識別子を用いて、音声入力を行うことができる。また、インポート時に、追加される各項目の識別子が他の識別子と衝突しないことを確認したうえで、識別子が維持する仕組みをテンプレートのインポートツールに追加することで対応してもよい。
【0108】
また、本実施形態では、入力項目に対して複数の問診設問の回答候補(入力内容の候補)が関連付けられていてもよいものとする。つまり、入力内容は複数の回答候補から選択された一の回答候補でありうる。
は、記憶部202に格納される。
【0109】
電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、端末装置10から取得した電子カルテテンプレートデータ188に基づいて、電子カルテテンプレートデータ2023を記憶部202に記録する。
【0110】
この際、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、特定の患者について(さらに特定の医局において)既に電子カルテテンプレートデータ2023が存在する場合、端末装置10から取得した電子カルテテンプレートデータ188を既に存在する電子カルテテンプレートデータ2023に上書きするか、追加するか、置換するかを端末装置10の操作者、あるいはサーバ20の管理者に確認する画面を表示し、操作者等からの確認入力を求めてもよい。そして、確認入力の内容に応じて、電子カルテテンプレートデータ2023への上書き/追加/置換等を行ってもよい。
【0111】
特に、患者のプロフィール情報、一例として患者の住所、性別、身長、体重、アレルギー情報等については、患者固有の情報であり、変更される可能性が低いので、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034はプロフィール情報について必ず上書き等の確認入力を行うことが好ましい。
【0112】
ここで、電子カルテテンプレートデータ2023を入力するにあたって、前回のテンプレート入力情報等を電子カルテから参照して初期入力し入力の手間を減少させることが可能であるが、その場合、音声認識の結果として修正された部分と初期入力値かが分からなくなることがある。音声入力が不可能な部分、音声入力によって修正された部分、音声入力がされてない部分の色を分けることによりユーザーに追記が必要か、不要であるのかを示すことができる。
【0113】
また、選択肢の入力の手間を減らすために電子問診票やパーソナルヘルスレコードのデータを用いてもよい。また、その際にスマートフォンで入力された構造化されたデータをQRコード(登録商標)に変換し、病院内のネットワークの端末にあるQRコードリーダーで読み込み病院内のネットワークに構造化したままでデータを転送してもよい。
【0114】
その際に、カルテからの情報、電子問診票からの情報、音声認識の情報の3つの入力のインプットが存在することになるが、それぞれのどの情報を基なのか、修正があるのか、網掛けの色を変えるなど表示を変えることにより、ユーザーにデータの由来が分かるようにしてもよい。他、仕組みとして音声認識が可能または不可能な入力項目なのかの情報を網掛けなどで表示してもよい。
【0115】
さらに、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、電子カルテテンプレートデータ2023の内容(特に入力内容)に基づいて、図略の診療報酬算出モジュールに対して、入力内容による診療報酬の変更がありうることを通知してもよい。一例として、電子カルテテンプレートデータ2023の入力内容に、電子カルテテンプレートデータ2023に係る患者が透析患者であることを示す内容が含まれていた場合、入院時の診療報酬を適宜変更すべきと通知してもよい。
【0116】
さらに、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、電子カルテテンプレートデータ2023に基づいて、医療従事者が生成すべき文章を生成してもよい。このような処理で典型的なものとして、電子カルテテンプレートデータ2023に基づいて医療従事者が他の医療施設に対して提供する紹介状や退院サマリー/入院サマリーなどの場合が挙げられる。紹介状に記載すべき事項、内容は電子カルテテンプレートデータ2023に基づくものであり、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、電子カルテテンプレートデータ2023に基づいて紹介状に記載すべきテキストデータを生成する。この際、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、構造化データを入力項目としてChatGPT等の大規模言語モデルの文章生成タスクのプロンプトとして、インプットとし、紹介状文章またはサマリー案を作成してもよい。
【0117】
その際に、電子カルテデータ記録モジュール2034は、紹介状またはサマリーに記載することが望ましい内容を主訴/紹介目的をもとに、構造化データからユーザーが選択したり、機械学習を用いて自動で選択たりし、選択された構造化データを入力項目として、文章テンプレートを利用したり、大規模言語モデルのプロンプトとして利用したりして、紹介状文章またはサマリーまたは製薬企業への報告を作成してもよい。その際に、選択された構造化データを基に、複数ある文章テンプレートから自動でテンプレートを選択する機能を実装したりしてもよく、また、構造化データをカテゴリー分類して、カテゴリーごとにまとめ直すなどして、カテゴリーに基づいた構造化データを作成してもよい。このように、電子カルテテンプレート記録モジュール2034は、電子カルテテンプレートデータ2023に基づいて、紹介状、退院サマリー/入院サマリー、製薬企業への報告といった医療文章を生成することができる。
【0118】
大規模言語モデルを用いた文章生成タスクのアウトプットは、間違った情報にすり替わってしまうことも少なくない。紹介状で検査名や検査値などの値が変わることはその信頼性に大きな問題を生じるため、すり替わっていないかの確認が必要となる。したがって、電子カルテデータ記録モジュール2034は、UIとして、数字や値等がずれがないことを容易に確認する手段を提供することが大事になる。
【0119】
テンプレートの項目名に付随して、ハイライト用のキーワードを記録し、生成された文章をハイライトしながら対応を作成することで、テンプレートのどの記載がどこに記載されるのかを表示するUIは確認に有用である。他、数字が例えば1.0から1.1などにすり替わってしまった場合の確認は困難である。しかし、例えば1.0という表現が複数個所で同一文に発生した場合、文字マッチングでは、対応を同定することは困難である。
【0120】
したがって、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、数字がすり替わらないように、プロンプトに提示するNaの値を0.0000001、二つ目のKの値を0.0000002と、衝突困難な値に変更してプロントを作成し、そのプロントを用いて文章生成タスクを実行させて作成された文章の0.0000001を最初の実際のNaの値、0.0000002を実際のKの値に紐づけ、同時に数字を置換することにより、対応を維持したまま文章を生成することができる。
【0121】
また、その衝突困難な値を[Na値][K値]などの衝突困難なフォーマット表記に変換することで、対応を一意に保つことが可能になる。一例では、「入院中の電解質検査の結果は、Na [Na値]、K [K値]であった。」などの文章が作成される。このようにして、出来上がった生成文は「文章テンプレート」のようにして用いることが可能になり、次回以降は文章生成を行わないで、文章作成タスクを行うことができ、値のずれなどの再確認が不要になる。また、出来上がった生成文にきちんと意図した数字や情報が記載されていることが容易に確認することができる。
【0122】
また、一例として、検査値などのカテゴリーに沿って構造化情報をまとめてもよい。一例では、項目名「採血結果:Na」の値が「130 meq/l」、項目名「採血結果」の値が「K5.0meq/l」と二つに分かれた構造データを、このどちらもが電解質検査というカテゴリーに属するとのデータを別に用意し、「電解質検査結果」の項目名に対する、値が「Na130 meq/l、K5.0 meq/l」という構造にし、「「当日の電解質検査の結果は、[電解質検査結果]であった。」などのように、「電解質検査結果:Na 130 meq/l、K5.0 meq/l」のように一行にまとめた構造化データにすることで、作成される生成文の文章のまとまり感を上昇してもよい。「入院中の電解質検査の結果は、[電解質検査結果]であった。」などのテンプレート文章が可能になる。
【0123】
他、大規模言語モデルを用いた文章生成タスクとして、患者への追加の問診文章と、その返答の選択肢を入手する返答をするように指示した文章、と上記のテンプレート構造化文章から選択された構造化文章を融合したプロンプトを作成し、そのプロンプトを用いて文章生成タスクを走らせた結果として得られた返答をもとにし、その返答内容を用語統一をし、患者に用語統一された選択式の電子問診票として入力をさせるUIを作成して、患者自身から追加の用語統一された構造化文章を入力するUIを作成してもよい。また、検査値の入力する場合は、その検査結果レポートへのリンクを付与し、根拠を明確にしてもよい。
【0124】
<2 データ構造>
図4は、サーバ20が記憶するデータベースのデータ構造を示す図である。なお、図4は一例であり、記載されていないデータを除外するものではない。
【0125】
図4に示すデータベースは、リレーショナルデータベースを指し、行と列によって構造的に規定された表形式のテーブルと呼ばれるデータ集合を、互いに関連づけて管理するためのものである。データベースでは、表をテーブル、表の列をカラム、表の行をレコードと呼ぶ。リレーショナルデータベースでは、テーブル同士の関係を設定し、関連づけることができる。
【0126】
通常、各テーブルにはレコードを一意に特定するための主キーとなるカラムが設定されるが、カラムへの主キーの設定は必須ではない。サーバ20の制御部203は、各種プログラムに従ってプロセッサ29に、記憶部202に記憶された特定のテーブルにレコードを追加、削除、更新を実行させることができる。
【0127】
図4は、電子カルテDB2022のデータ構造を示す図である。図4に示すように、電子カルテDB2022のレコードの各々は、例えば、項目「電子カルテID」と、項目「患者ID」と、項目「診療科ID」と、項目「電子カルテデータ」を含む。電子カルテDB2022の各項目は、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034が電子カルテテンプレートデータ2023を生成した際にこの電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034により入力される。電子カルテDB2022が記憶する情報は、適宜変更・更新することが可能である。
【0128】
項目「電子カルテID」は、本実施形態のシステム1(特にサーバ20)により管理される電子カルテを特定するためのIDである。項目「患者ID」は、項目「電子カルテID」により特定される電子カルテにより管理される医療情報に係る患者を特定するためのIDである。項目「診療科ID」は、項目「電子カルテID」により特定される電子カルテにより管理される医療情報に係る診療科を特定するためのIDである。項目「電子カルテデータ」は、項目「電子カルテID」により特定される電子カルテに係る電子カルテテンプレートデータ2023のファイル名に関する情報である。
【0129】
<3 動作例>
以下、端末装置10及びサーバ20の動作の一例について説明する。
【0130】
図5は、端末装置10の動作の一例を表すフローチャートである。図5は、端末装置10の操作者が音声入力により電子カルテテンプレートデータ188の入力/修正/追記を行う際の動作の例を示すフローチャートである。
【0131】
まず、ステップS500において、制御部190は、入力/修正/追記を行う電子カルテテンプレートデータ188に係る患者を選択する。具体的には、例えば、制御部190は、入力装置13を介して、端末装置10の操作者からの患者の選択入力を受け入れる。
【0132】
次いで、ステップS501において、制御部190は、端末装置10の記憶部180に格納されている電子カルテテンプレート182のうち、ステップS500において選択された患者に係る電子カルテテンプレートデータ188の元となる電子カルテテンプレート182を呼び出す。
【0133】
次いで、ステップS502において、制御部190は、端末装置10の記憶部180に格納されている電子カルテテンプレート182のうち、ステップS500において選択された患者に係る電子カルテテンプレートデータ188を呼び出す。
【0134】
次いで、ステップS503において、制御部190は、端末装置10のディスプレイ141に、端末装置10のユーザによる音声入力のガイダンスとして表示される、医学指定用語等の入力ガイドを表示させる。具体的には、例えば、制御部190は、入力項目特定部197により、端末装置10のユーザによる音声入力のガイダンスとして表示される、医学指定用語等の入力ガイドをディスプレイ141に表示させる。
【0135】
次いで、ステップS504において、制御部190は、ステップS503において表示された入力ガイドに沿って、電子カルテテンプレートデータ188に入力すべき入力項目及び入力内容についての音声入力を、音声処理部17のマイク171を介して受け入れる。具体的には、例えば、制御部190は、音声認識部196により、ステップS501において表示された入力ガイドに沿って、電子カルテテンプレートデータ188に入力すべき入力項目及び入力内容についての音声入力を、音声処理部17のマイク171を介して受け入れ、発話データ183として記憶部180に格納する。
【0136】
次いで、ステップS504において、制御部190は、ステップS502において受け入れた発話データ183に対して音声認識処理を行い、この音声認識結果から入力/修正/追記をすべき入力項目及び入力内容を特定する。具体的には、例えば、制御部190は、ステップS504において受け入れた発話データ183に対して音声認識部196により音声認識処理を行って音声認識データ184を得る。次いで、入力項目特定部197は、この音声認識データ184に基づいて、入力/修正/追記をすべき電子カルテテンプレートデータ188の内容を特定する。
【0137】
次いで、制御部190は、ステップS504において特定した入力項目等である音声認識内容をディスプレイ141に提示する。具体的には、例えば、制御部190は、入力項目特定部197により、ステップS504において特定した入力項目等である音声認識内容をディスプレイ141に提示する。
【0138】
次いで、ステップS505において、制御部190は、ステップS504による音声認識結果に基づいて、漢字の変換候補例をディスプレイ141に表示させる。具体的には、例えば、制御部190は、ステップS504による音声認識結果に基づいて、漢字の変換候補例をディスプレイ141に表示させる。
【0139】
音声認識内容は通常平仮名またはカタカナ表記される。そこで、ステップS506において、制御部190は、入力装置13を用いて端末装置10のユーザが行った、平仮名表記等がされた音声認識内容について漢字変換の指示入力を受け入れる。具体的には、例えば、制御部190は、入力項目特定部197により、入力装置13を用いて端末装置10のユーザが行った、平仮名表記等がされた音声認識内容について漢字変換の指示入力を受け入れる。
【0140】
次いで、ステップS507において、制御部190は、ステップS506において入力装置13を用いて端末装置10のユーザが行った、漢字変換の指示入力を受け入れ、この選択入力に基づいて漢字の変換結果を確定させる。具体的には、例えば、制御部190は、入力項目特定部197により、ステップS506において入力装置13を用いて端末装置10のユーザが行った、漢字変換の指示入力を受け入れ、この選択入力に基づいて漢字の変換結果を確定させる。
【0141】
ステップS508において、制御部190は、ステップS507において特定した漢字変換結果で電子カルテテンプレートデータ188の内容を確定する。具体的には、例えば、制御部190は、記録内容記録部198により、ステップS507において特定した漢字変換結果で電子カルテテンプレートデータ188の内容を確定する。この後、電子カルテテンプレートデータ送出部199は、確定した電子カルテテンプレートデータ188をサーバ20に送出し、サーバ20の電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034は、端末装置10から送出された電子カルテテンプレートデータ2023を記憶部202に格納する。
【0142】
この後、サーバ20の制御部203は、ステップS506において入力された電子カルテテンプレートデータ2023を電子カルテDB2022に取り込む。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレートデータ記録モジュール2034により、端末装置10から送出されてきた電子カルテテンプレートデータ2023を電子カルテDB2022に取り込む。
【0143】
図6は、サーバ20の動作の一例を表すフローチャートである。図6は、サーバ20の操作者が、音声認識エンジンと紐付いた電子カルテテンプレート2024を作成する際の動作の例を示すフローチャートである。
【0144】
まず、ステップS600において、制御部203は、図6において作成する電子カルテテンプレート2024の元となる電子カルテテンプレートを選択する。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、図6において作成する電子カルテテンプレート2024の元となる電子カルテテンプレートを選択する。ステップS600において選択する電子カルテテンプレートは、サーバ20の記憶部202内に格納された電子カルテテンプレート2024であってもよいし、図1で図示しない外部データサーバに格納されたものであってもよい。
【0145】
次に、ステップS601において、制御部203は、図6において作成する電子カルテテンプレート2024に紐付ける音声認識エンジンの学習データとして用いる電子カルテテンプレートデータを大量に取得する。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、図6において作成する電子カルテテンプレート2024に紐付ける音声認識エンジンの学習データとして用いる電子カルテテンプレートデータを大量に取得する。ステップS601において取得する電子カルテテンプレートデータは、サーバ20の記憶部202内に格納された電子カルテテンプレートデータ2023であってもよいし、図1で図示しない外部データサーバに格納されたものであってもよい。
【0146】
ステップS601において取得する電子カルテテンプレートデータは、いずれかの電子カルテテンプレート2024に基づいて医者または医療従事者により入力がされたものであり、患者の氏名等のプロフィール情報も含まれている。そこで、ステップS602において、制御部203は、ステップS601において取得した電子カルテテンプレートデータに対して、主にプロフィール情報に対して匿名加工処理を行う。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS601において取得した電子カルテテンプレートデータに対して、主にプロフィール情報に対して匿名加工処理を行う。
【0147】
次に、ステップS603において、制御部203は、ステップS601で取得した電子カルテテンプレートデータに含まれる漢字表記に対して、同音異漢字表記の統一を行う。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS601で取得した電子カルテテンプレートデータに含まれる漢字表記に対して、同音異漢字表記の統一を行う。
【0148】
ステップS604において、制御部203は、ステップS603において行った同音異漢字表記の統一結果に基づいて、音声正解読みデータを作成する。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS603において行った同音異漢字表記の統一結果に基づいて、音声正解読みデータを作成する。
【0149】
次いで、ステップS605において、制御部203は、ステップS604において生成した音声正解読みデータに基づいて、音声正解データを合成/作成する。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS604において生成した音声正解読みデータに基づいて、音声正解データを合成/作成する。
【0150】
そして、ステップS606において、制御部203は、ステップS605において作成した音声正解データを用いて、音声認識エンジン(教師データと学習モデルとの組み合わせ)の学習を行う。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS605において作成した音声正解データを用いて、音声認識エンジン(教師データと学習モデルとの組み合わせ)の学習を行う。
【0151】
次いで、ステップS607において、制御部203は、ステップS606で学習を行った音声認識エンジンと、ステップS600で呼び出した電子カルテテンプレートとを紐付ける。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS606で学習を行った音声認識エンジンと、ステップS600で呼び出した電子カルテテンプレートとを紐付ける。また、制御部203の電子カルテテンプレート作成モジュール2033は、音声認識入力単語候補と電子カルテテンプレートの医学指定用語/選択肢/入力項目とを紐づける。
【0152】
そして、ステップS608において、制御部203は、電子カルテテンプレートのガイドに、ステップS604で生成した音声正解読みデータを正解例として表示する。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、電子カルテテンプレートのガイドに、ステップS604で生成した音声正解読みデータを正解例として表示する。この後、処理はステップS604に戻り、音声正解読みデータ作成~正解例表示までの処理を繰り返す。
【0153】
このように、図6のフローチャートで説明したように、本実施形態のシステム1では、既に入力された電子カルテテンプレートデータの入力結果に基づいて音声認識エンジンを学習させているので、一般的な音声認識エンジンによる音声認識よりもよりカスタマイズされた、さらに言えば電子カルテテンプレートの入力において音声認識精度を向上させた、音声認識エンジンを電子カルテテンプレートに紐付けることができる。これにより、音声認識エンジンが紐付けられた電子カルテテンプレートを用いることで、電子カルテテンプレートを用いた入力動作を精度良く行うことができる。
【0154】
図7は、サーバ20の動作の一例を表すフローチャートである。図7は、サーバ20の操作者が、既に存在する電子カルテテンプレートに基づいて、主に他の医療機関に提供する電子カルテテンプレートのエクスポートを行う際の動作の例を示すフローチャートである。
【0155】
ステップS700において、制御部203は、エクスポートする電子カルテテンプレートの元となる電子カルテテンプレートをインポートする。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、エクスポートする電子カルテテンプレートの元となる電子カルテテンプレートをインポートする。ステップS700においてインポートする電子カルテテンプレートは、サーバ20の記憶部202内に格納された電子カルテテンプレート2024であってもよいし、図1で図示しない外部データサーバに格納されたものであってもよい。
【0156】
次に、ステップS701において、制御部203は、ステップS700においてインポートした電子カルテテンプレートに基づいて、主に他の医療機関に提供する電子カルテテンプレートをエクスポートする。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS700においてインポートした電子カルテテンプレートに基づいて、主に他の医療機関に提供する電子カルテテンプレートをエクスポートする。
【0157】
次いで、ステップS702において、制御部203は、ステップS700でインポートした電子カルテテンプレートとステップS701でエクスポートした電子カルテテンプレートとについて、入力項目の一致性、より詳細には位置の一致性に基づいて、これら電子カルテテンプレートの対応表を作成する。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS700でインポートした電子カルテテンプレートとステップS701でエクスポートした電子カルテテンプレートとについて、入力項目の一致性、より詳細には位置の一致性に基づいて、これら電子カルテテンプレートの対応表を作成する。
【0158】
次いで、ステップS703において、制御部203は、ステップS702で作成した対応表を用いて、音声認識入力単語候補と電子カルテテンプレートの医学指定用語/選択肢/入力項目を紐づける。具体的には、例えば、制御部203は、電子カルテテンプレート作成モジュール2033により、ステップS702で作成した対応表を用いて、音声認識入力単語候補と電子カルテテンプレートの医学指定用語/選択肢/入力項目を紐づける。この紐付け作業は、電子カルテテンプレートの入力項目に関連付けられた番号等の識別子を変換することにより行えばよい。
【0159】
これにより、ステップS704において、主に他の医療機関に提供する電子カルテテンプレートを完成することができる。
【0160】
<4 画面例>
以下、端末装置10に出力される画面の一例を、図8図15を参照して説明する。
【0161】
図8は、端末装置10の操作者が、電子カルテテンプレートデータ2023の入力作業をする際に、端末装置10のディスプレイ141に表示される画面の一例を示す図である。
【0162】
端末装置10のディスプレイ141の画面800の左側には、サーバ20の記憶部202に格納されている電子カルテテンプレート2024の入力項目及び操作者からの発話データ183に基づく音声認識処理の結果、入力された入力内容である電子カルテテンプレートデータ2023を示す画面801が表示され、また、ディスプレイ141の画面800の右側上部には、音声入力のガイダンス画面802が表示され、画面800の右側下部には、発話データ183に基づく音声入力結果を表示する画面803が表示されている。さらに、画面803には、音声入力に基づく漢字変換候補を表示するための画面804が重畳表示されている。さらに、画面800の下部には、発話データ183の録音開始及び発話データ183の保存を指示するためのボタン805、806が表示されている。
【0163】
端末装置10の操作者は、入力装置13によりこれらボタン805、806をクリックする等の操作入力をすることで、発話データ183の録音開始指示または発話データ183の保存指示をする。
【0164】
図9は、図8に示す画面801の詳細を示す図である。画面900(801)は、既に説明したように、電子カルテテンプレート2024の入力項目及び操作者からの発話データ183に基づく音声認識処理の結果、入力された入力内容である電子カルテテンプレートデータ2023を示す画面である。
【0165】
端末装置10のディスプレイ141に表示されている画面900には、電子カルテテンプレート2024の入力項目901及びこの入力項目901に関連付けられた入力内容902が表示されている。入力項目901には、この入力項目901を識別するための数字列903も表示されている。端末装置10の音声認識処理に伴い、入力内容902には音声入力結果が順次入力される。また、電子カルテテンプレート2024の入力内容902には既に入力された事項があり、音声入力は既入力事項に対する追記/修正のために行われている。図9に示すように、既入力事項は「修正なし」として特定の色で表示され、音声入力により追記/修正がされたものについては、既入力事項とは異なる色で表示されている。
【0166】
図10は、図8に示す画面803の詳細を示す図である。画面1000(803)は、既に説明したように、発話データ183に基づく音声入力結果を表示する画面である。
【0167】
端末装置10のディスプレイ141の画面1000には、音声認識データ184である入力項目1001及びこの入力項目1001に関連付けられた入力内容1002が表示されている。入力項目1001には、この入力項目1001を識別するための数字列1003も表示されている。図10に示すように、音声認識部196及び入力項目特定部197は、音声認識データ184から、入力内容1002として入力すべき箇所を特定しており、入力内容1002として特定された箇所には下線1004が付されている。
【0168】
図11は、図8に示す画面802の詳細を示す図である。画面1100(802)は、既に説明したように、音声入力のガイダンス画面である。
【0169】
端末装置10のディスプレイ141の画面1100には、電子カルテテンプレート2024の入力項目であり医学指定用語を含む入力項目1101と、この入力項目1101に対して入力すべき入力内容の例示1102が表示されている。また、電子カルテテンプレート2024に既入力事項がある場合は、例示1102の箇所に既入力事項が表示されている。
【0170】
なお、発話データ183の再生は、図9における入力内容または図10に示す入力項目、入力内容の表示箇所を端末装置10の操作者が入力装置13を介して選択入力を行うことで開始されてもよい。
【0171】
図12は、図8に示す画面800を用いて端末装置10の操作者が音声入力を行っている際に、画面800にポップアップ表示される漢字変換候補例を表示する画面を示す図である。
【0172】
端末装置10のディスプレイ141の画面1200には、発話データ183に基づいて音声認識部196が漢字変換を行う際の変換前の平仮名表記1201及び変換候補例1202が表示されている。端末装置10の操作者は、入力装置13を用いて変換候補例1202のいずれかを選択することで、漢字変換を確定させる。
【0173】
図13は、電子カルテテンプレートのインポートにあたって他の医療機関から提供された電子カルテテンプレートデータの一例を示す図である。電子カルテテンプレートデータの構成は図9に示すものと同様であるので詳細な説明は割愛する。電子カルテテンプレートデータであるので、プロフィール情報まで含まれている。
【0174】
図14は、電子カルテテンプレートデータに基づいてサーバ20が生成する紹介状文章の生成手順を説明するための図である。
【0175】
図14の上段には、特定の患者についての電子カルテテンプレートデータ(入力内容)の一覧が表示されている。サーバ20の操作者は、これら入力内容の一覧から、紹介状文章の生成のために必要な入力内容及び不要な入力内容を選定する(スクリプトに必要/不要)。
【0176】
入力内容の選定が終わると、サーバ20は、大規模言語モデルの文章生成タスクに投入すべきスクリプトを生成する。生成されたスクリプトは図14の中段に表示されている。この際、既に説明したように、文章生成タスクによる文章生成の際に、正確な文章生成がされているかを確認するために、一部の数値(図示例では採血結果を示す検査結果の数値)をダミーに置き換えている。
【0177】
スクリプトを大規模言語モデルの文章生成タスクに投入した結果を図14の下段に示す。
【0178】
図15は、図14に示す紹介状文章の生成手順において、音声認識部196による文字列置換を行った例を示す図である。
【0179】
<5 一実施形態の効果>
以上詳細に説明したように、本実施形態のシステム1によれば、入力された電子カルテといった医療行為の記録内容を簡易な手順により追記/修正することができる。この点について以下、詳細に説明する。
【0180】
医療業界はミスが許されない業界である。そして、医療業界では、テンプレートによる構造化データのニーズがとても高い。構造化データは、医療エラーを減らすことができる。電子カルテのテンプレートにより、業務フローを統一することが可能である。
【0181】
しかしながら、構造化データを電子カルテに入力することはとても手間のかかることである。例えば、ある医療施設の入退院支援センターでは、大体6ページにわたる入力内容があり、その内容をどこの項目に入力するのかを指示し、そこに入力することは、1患者当たり20分程度かかっていた。本実施形態に係るシステム1によれば、この業務を5分程度に減らすことができた。
【0182】
今まで、音声認識を用いて、構造化データを入れることが現場で利用されていなかった理由は、3つの理由である。一つは音声認識の精度が十分ではない事、二つめは音声認識よりも入力が簡単な方法があったからで、三つ目は間違いを修正することが困難であること、である。
【0183】
本実施形態に係るシステム1では、この一つ目の問題である音声認識の精度の問題は、利用シーンを制限し、同時にテンプレートの入力項目名と、この入力項目に係る入力内容の候補を表示し、入力される音声のパターンを絞ることで解消した。本開示に係るシステム1では、音声認識に伴うWER(Word Error Rate)が6%から2%程度に下がる。
【0184】
二つ目の問題は、音声認識よりも、簡単な入力である、選択肢問題による入力を音声認識の前に行い、その結果を表示することで、その入力では不十分な部分を、音声認識で修正または追記することで解消した。
【0185】
三つ目の間違いを修正することが困難である問題は、入力後に、他の候補を表示し、他の候補を選択できるようにすることと、どのような音声をもとにこの入力がされたのかを確認することを容易にすることで解消している。
【0186】
特に、本実施形態のシステム1では、選択肢形式の入力内容には医学指定用語が大抵の場合含まれるので、この医学指定用語をキーとして音声認識処理を行い、少なくとも選択肢形式の入力内容の特定を行っているので、音声認識の精度をより向上させることができる。
【0187】
<6 付記>
なお、上記した実施形態は本開示を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【0188】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、本発明は、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードによっても実現できる。この場合、プログラムコードを記録した記憶媒体をコンピュータに提供し、そのコンピュータが備えるプロセッサが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施例の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそれを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。このようなプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ハードディスク、SSD、光ディスク、光磁気ディスク、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどが用いられる。
【0189】
また、本実施例に記載の機能を実現するプログラムコードは、例えば、アセンブラ、C/C++、perl、Shell、PHP、Java(登録商標)等の広範囲のプログラム又はスクリプト言語で実装できる。
【0190】
さらに、実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを、ネットワークを介して配信することによって、それをコンピュータのハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD-RW、CD-R等の記憶媒体に格納し、コンピュータが備えるプロセッサが当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行するようにしてもよい。
【0191】
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
(付記1)
プロセッサ(19)とメモリ(15、16)とを備えるコンピュータを動作させるためのプログラム(181)であって、メモリ(15、16)には電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容または自由記述が可能なフリー入力内容との少なくとも一方を含み、プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップ(S504)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の選択式入力内容またはフリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する第2ステップ(S507)とを実行させる、プログラム(181)。
(付記2)
プロセッサ(19)とメモリ(15、16)とを備えるコンピュータを動作させるためのプログラム(181)であって、メモリ(15、16)には電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップ(S504)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の入力内容のうち少なくとも選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する第3ステップ(S507)とを実行させる、プログラム(181)。
(付記3)
第2ステップ(S507)は、受け付けた発話データ(183)を音声認識して音声認識データ(184)を取得し、この音声認識データ(184)に基づいて記録内容を特定する第4ステップ(S505)を有し、さらに、プログラム(181)は、第4ステップ(S505)において特定した記録内容で電子カルテテンプレート(182)の入力内容の修正及び追記の少なくとも一方を行う第5ステップ(S507)とを実行させる、付記1に記載のプログラム(181)。
(付記4)
プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、さらに、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容をもとに、診療報酬の申請が可能かを評価し、その結果を表示する第6ステップを実行させる、付記1に記載のプログラム(181)。
(付記5)
第5ステップ(S507)において、第4ステップ(S505)により特定した記録内容で修正及び追記の少なくとも一方がされた箇所の表示態様を変更し、修正及び追記の少なくとも一方がされた箇所を明示する、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記6)
第4ステップ(S505)において、発話データ(183)に基づいた音声認識データ(184)において複数の漢字変換候補がある場合、その漢字変換候補を表示していずれかの漢字変換候補に対する選択入力をうけつけることで、音声認識データ(184)において漢字の特定の入力を可能にする、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記7)
第5ステップ(S507)において、第4ステップ(S505)により特定した記録内容が人名であるとき少なくともその一部を、人名のカタカナ表記またはひらがな表記に表記ゆれを統一することに電子カルテテンプレート(182)の入力内容の修正及び追記の少なくとも一方を行う、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記8)
入力内容及び発話データ(183)には項目番号名が含まれ、第4ステップ(S505)において、項目番号名をもとに記録内容を特定する付記3に記載のプログラム(181)。
(付記9)
電子カルテテンプレート(182)はテーブル情報を含み、第1ステップ(S504)において、発話データ(183)には、テーブル情報におけるテーブルの列を特定する助詞や用語と、テーブル情報におけるテーブルの次の行の情報入力に移動することを意味する用語または行を特定する用語が含まれ、第2ステップ(S507)において、特定の行と列についての記録内容を特定する付記1に記載のプログラム(181)。
(付記10)
入力内容及び発話データ(183)にはそれぞれ医学指定用語が含まれ、第4ステップ(S505)において、音声認識データ(184)に含まれる医学指定用語と入力内容に含まれる医学指定用語とを用いて記録内容を特定する付記3に記載のプログラム(181)。
(付記11)
第4ステップ(S505)において、医学指定用語または項目番号名または項目名の少なくとも一つと、入力項目の選択肢や入力例とを示すガイドを提示する、付記10に記載のプログラム(181)。
(付記12)
プログラム(181)は、さらにプロセッサ(19)に、入力項目、入力内容及び音声認識データ(184)に含まれる医学指定用語または項目番号名または項目名の少なくとも一つを同一画面に表示させる第7ステップを実行させ、第7ステップにおいて、第4ステップ(S505)において特定した記録内容に係る電子カルテテンプレート(182)の入力項目も同一画面に表示させる付記11に記載のプログラム(181)。
(付記13)
第7ステップにおいて、表示された入力項目について選択指示を受け入れることで発話データ(183)の再生を開始する付記12に記載のプログラム(181)。
(付記14)
第1ステップ(S504)において、発話データ(183)をメモリ(15、16)に格納し、第4ステップ(S505)において、第7ステップにおいて表示された入力項目について選択指示を受け入れることで発話データ(183)の再生を開始し、発話データ(183)の再生に伴って入力項目、入力内容の表示位置を継続的に変更する付記12に記載のプログラム(181)。
(付記15)
プログラム(181)は、さらにプロセッサ(19)に、既に入力内容の入力がされた電子カルテテンプレートデータ(188)またはパーソナルヘルスケアレコードデータを受け入れる第8ステップ(S601)を実行させ、第4ステップ(S505)において、第8ステップ(S601)で受け入れた電子カルテテンプレートデータ(188)の入力内容と、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及び入力内容と、音声認識データ(184)による音声認識結果との表示態様を変更させて表示する
付記12に記載のプログラム(181)。
(付記16)
第4ステップ(S505)において、音声認識データ(184)から、名詞である医学指定用語とこの医学指定用語に接続する助詞との組み合わせを特定し、これら医学指定用語と助詞との組み合わせに基づいて、記録内容を特定する、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記17)
メモリ(15、16)には、音声認識を行うための音声認識エンジン(186、187)が格納され、音声認識エンジン(186、187)は、医学指定用語を含む教師データ(186)により学習された学習モデル(187)を含む、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記18)
音声認識エンジン(186、187)は、入力項目及び入力内容を含む教師データ(186)により学習された学習モデル(187)を含む、付記17に記載のプログラム(181)。
(付記19)
プログラム(181)は、さらにプロセッサ(19)に、既に入力内容の入力がされた電子カルテテンプレートデータ(188)を受け入れ、受け容れた電子カルテテンプレートデータ(188)の入力内容の一部を匿名加工処理する第9ステップ(S601)と、第9ステップ(S601)において受け入れた電子カルテテンプレートデータ(188)の入力内容に基づいて、音声認識エンジン(186、187)の教師音声読みデータを生成し、この教師音声読みデータに基づいて音声正解データを作成し、この音声正解データに基づいて学習モデル(187)の機械学習を行う
付記18に記載のプログラム(181)。
(付記20)
電子カルテテンプレート(182)には、それぞれの電子カルテテンプレート(182)の入力項目を識別するための識別子が関連付けられている付記1に記載のプログラム(181)。
(付記21)
電子カルテテンプレート(182)は複数の医療施設で共用可能であり、複数の医療施設で共用可能な電子カルテテンプレート(182)には同一の識別子が関連付けられている付記1に記載のプログラム(181)。
(付記22)
プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、電子カルテテンプレート(182)のインポートを受け入れる第10ステップ(S700)を実行させ、第10ステップ(S700)において、電子カルテテンプレート(182)のインポートの際に識別子を変更しない付記21に記載のプログラム(181)。
(付記23)
電子カルテテンプレート(182)の入力項目には各々の入力項目を特定するための識別子が関連付けられており、プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、電子カルテテンプレート(182)のインポートを受け入れた後に受け入れた電子カルテテンプレート(182)をエクスポートする第11ステップ(S701)と、第11ステップ(S701)においてインポート及びエクスポートした電子カルテテンプレート(182)の入力項目の位置の一致性から対応表を生成し、生成した対応表をもとに識別子を置換することで、音声認識データ(184)と電子カルテテンプレート(182)の入力項目の対応を更新する第12ステップ(S702)とを実行させる付記3に記載のプログラム(181)。
(付記24)
プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、電子カルテテンプレート(182)の入力項目に対する選択入力を受け入れる第13ステップと、第13ステップによる選択入力がされた入力項目に対応する入力内容に基づいて、文章テンプレートを用いるか、言語生成モデルのプロンプトを作成し言語生成モデルを用いるかして紹介状または診療サマリーまたは製薬企業へのレポートの少なくとも一つを作成する第14ステップとを実行させる、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記25)
プログラム(181)は、プロセッサ(19)に、電子カルテテンプレート(182)の入力項目に対する選択入力を受け入れる第15ステップと、第15ステップによる選択入力がされた入力項目に対応する入力内容に基づいて言語生成モデルのプロンプトを作成し、言語生成モデルを用いて、電子カルテテンプレート(182)の入力内容と文章の対応が紐づいた、紹介状のテンプレートまたは診療サマリーのテンプレートまたは製薬企業へのレポートの少なくとも一つを作成する第16ステップとを実行させる、付記3に記載のプログラム(181)。
(付記26)
プロセッサ(19)とメモリ(15、16)とを備えた情報処理装置(10)であって、メモリ(15、16)には電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含み、プロセッサ(19)は、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップ(S504)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の選択式入力内容またはフリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する第2ステップ(S507)とを実行する、情報処理装置(10)。
(付記27)
プロセッサ(19)とメモリ(15、16)とを備えた情報処理装置(10)であって、メモリ(15、16)には電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、プロセッサ(19)は、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップ(S504)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の入力内容のうち少なくとも選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する第3ステップ(S507)とを実行する、情報処理装置(10)。
(付記28)
プロセッサ(19)とメモリ(15、16)とを備えたコンピュータ(10)により実行される方法であって、メモリ(15、16)には電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含み、プロセッサ(19)は、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップ(S504)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の選択式入力内容またはフリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する第2ステップ(S507)とを実行する、方法。
(付記29)
プロセッサ(19)とメモリ(15、16)とを備えたコンピュータ(10)により実行される方法であって、メモリ(15、16)には電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納され、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、プロセッサ(19)は、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる第1ステップ(S504)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の入力内容のうち少なくとも選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する第3ステップ(S507)とを実行する、方法。
(付記30)
電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納されたメモリ(15、16)であって、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含むメモリ(15、16)と、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる手段(196)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の選択式入力内容またはフリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する手段(197)とを具備する、システム(1)。
(付記31)
電子カルテテンプレート(182)の構造化データが格納されたメモリ(15、16)であって、構造化データは、電子カルテテンプレート(182)の入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含むメモリ(15、16)と、ユーザから、発話データ(183)の入力を受け付け、発話データ(183)には、電子カルテテンプレート(182)の入力項目及びこの入力項目に対応する入力内容が含まれる手段(196)と、発話データ(183)中に含まれる電子カルテテンプレート(182)の入力内容のうち少なくとも選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータ(188)に記録すべき記録内容を特定する手段(197)とを具備する、システム(1)。
【符号の説明】
【0192】
1…電子カルテシステム 10、10a、10b…端末装置 15…メモリ 16…記憶部 19…プロセッサ 20…サーバ 25…メモリ 26…ストレージ 29…プロセッサ 180…記憶部 181…アプリケーションプログラム 182…電子カルテテンプレートデータ 183…発話データ 184…音声認識データ 185…医学指定用語データ 186…教師データ 187…学習モデル 190…制御部 191…操作受付部 192…送受信部 193…データ処理部 194…提示制御部 195…電子カルテテンプレートデータ取得部 196…音声認識部 197…入力項目特定部 198…記録内容記録部 199…電子カルテテンプレートデータ送出部 201…通信部 202…記憶部 203…制御部 2021…アプリケーションプログラム 2022…電子カルテDB 2023…電子カルテテンプレートデータ 2024…電子カルテテンプレート 2031…受信制御モジュール 2032…送信制御モジュール 2033…電子カルテテンプレート作成モジュール 2034…電子カルテテンプレートデータ記録モジュール

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2023-09-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容または自由記述が可能なフリー入力内容との少なくとも一方を含み、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップとを実行させる、プログラム。
【請求項2】
プロセッサとメモリとを備えるコンピュータを動作させるためのプログラムであって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第3ステップとを実行させる、プログラム。
【請求項3】
前記第2ステップは、受け付けた前記発話データを音声認識して音声認識データを取得し、この音声認識データに基づいて前記記録内容を特定する第4ステップを有し、
さらに、前記プログラムは、前記第4ステップにおいて特定した前記記録内容で前記電子カルテテンプレートの入力内容の修正及び追記の少なくとも一方を行う第5ステップとを実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記プログラムは、前記プロセッサに、さらに、
前記電子カルテテンプレートデータに記録すべき前記記録内容をもとに、診療報酬の申請が可能かを評価し、その結果を表示する第6ステップを実行させる、請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにより特定した前記記録内容で修正及び追記の少なくとも一方がされた箇所の表示態様を変更し、修正及び追記の少なくとも一方がされた箇所を明示する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第4ステップにおいて、前記発話データに基づいた音声認識データにおいて複数の漢字変換候補がある場合、その漢字変換候補を表示していずれかの漢字変換候補に対する選択入力をうけつけることで、前記音声認識データにおいて漢字の特定の入力を可能にする、請求項3に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第5ステップにおいて、前記第4ステップにより特定した前記記録内容が人名であるとき少なくともその一部を、前記人名のカタカナ表記またはひらがな表記に表記ゆれを統一することに前記電子カルテテンプレートの入力内容の修正及び追記の少なくとも一方を行う、請求項3に記載のプログラム。
【請求項8】
前記入力内容及び前記発話データには項目番号名が含まれ、
前記第4ステップにおいて、前記項目番号名をもとに前記記録内容を特定する請求項3に記載のプログラム。
【請求項9】
前記電子カルテテンプレートはテーブル情報を含み、
前記第1ステップにおいて、前記発話データには、前記テーブル情報におけるテーブルの列を特定する助詞や用語と、前記テーブル情報における前記テーブルの次の行の情報入力に移動することを意味する用語または行を特定する用語が含まれ、
前記第2ステップにおいて、特定の前記行と前記列についての前記記録内容を特定する請求項1に記載のプログラム。
【請求項10】
前記入力内容及び前記発話データにはそれぞれ医学指定用語が含まれ、
前記第4ステップにおいて、前記音声認識データに含まれる前記医学指定用語と前記入力内容に含まれる前記医学指定用語とを用いて前記記録内容を特定する請求項3に記載のプログラム。
【請求項11】
前記第4ステップにおいて、前記医学指定用語または項目番号名または項目名の少なくとも一つと、前記入力項目の選択肢や入力例とを示すガイドを提示する、請求項10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
前記入力項目、前記入力内容及び前記音声認識データに含まれる前記医学指定用語または項目番号名または項目名の少なくとも一つを同一画面に表示させる第7ステップを実行させ、
前記第7ステップにおいて、前記第4ステップにおいて特定した前記記録内容に係る前記電子カルテテンプレートの前記入力項目も前記同一画面に表示させる請求項11に記載のプログラム。
【請求項13】
前記第7ステップにおいて、表示された前記入力項目について選択指示を受け入れることで前記発話データの再生を開始する請求項12に記載のプログラム。
【請求項14】
前記第1ステップにおいて、前記発話データを前記メモリに格納し、
前記第4ステップにおいて、前記第7ステップにおいて表示された前記入力項目について選択指示を受け入れることで前記発話データの再生を開始し、前記発話データの再生に伴って前記入力項目、前記入力内容の表示位置を継続的に変更する請求項12に記載のプログラム。
【請求項15】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
既に入力内容の入力がされた前記電子カルテテンプレートデータまたはパーソナルヘルスケアレコードデータを受け入れる第8ステップを実行させ、
前記第4ステップにおいて、前記第8ステップで受け入れた前記電子カルテテンプレートデータの入力内容と、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及び前記入力内容と、前記音声認識データによる音声認識結果との表示態様を変更させて表示する請求項12に記載のプログラム。
【請求項16】
前記第4ステップにおいて、前記音声認識データから、名詞である医学指定用語とこの医学指定用語に接続する助詞との組み合わせを特定し、これら医学指定用語と助詞との組み合わせに基づいて、前記記録内容を特定する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項17】
前記メモリには、音声認識を行うための音声認識エンジンが格納され、前記音声認識エンジンは、医学指定用語を含む教師データにより学習された学習モデルを含む、請求項3に記載のプログラム。
【請求項18】
前記音声認識エンジンは、前記入力項目及び前記入力内容を含む前記教師データにより学習された前記学習モデルを含む、請求項17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記プログラムは、さらに前記プロセッサに、
既に入力内容の入力がされた前記電子カルテテンプレートデータを受け入れ、受け容れた前記電子カルテテンプレートデータの入力内容の一部を匿名加工処理する第9ステップと、
前記第9ステップにおいて受け入れた前記電子カルテテンプレートデータの入力内容に基づいて、前記音声認識エンジンの教師音声読みデータを生成し、この教師音声読みデータに基づいて音声正解データを作成し、この音声正解データに基づいて前記学習モデルの機械学習を行う請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記電子カルテテンプレートには、それぞれの前記電子カルテテンプレートの入力項目を識別するための識別子が関連付けられている請求項1に記載のプログラム。
【請求項21】
前記電子カルテテンプレートは複数の医療施設で共用可能であり、
複数の前記医療施設で共用可能な前記電子カルテテンプレートには同一の識別子が関連付けられている請求項1に記載のプログラム。
【請求項22】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートのインポートを受け入れる第10ステップを実行させ、
前記第10ステップにおいて、前記電子カルテテンプレートのインポートの際に前記識別子を変更しない請求項21に記載のプログラム。
【請求項23】
前記電子カルテテンプレートの前記入力項目には各々の前記入力項目を特定するための識別子が関連付けられており、
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートのインポートを受け入れた後に受け入れた前記電子カルテテンプレートをエクスポートする第11ステップと、
前記第11ステップにおいてインポート及びエクスポートした前記電子カルテテンプレートの入力項目の位置の一致性から対応表を生成し、生成した前記対応表をもとに前記識別子を置換することで、前記音声認識データと前記電子カルテテンプレートの前記入力項目の対応を更新する第12ステップとを実行させる請求項3に記載のプログラム。
【請求項24】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートの前記入力項目に対する選択入力を受け入れる第13ステップと、
前記第13ステップによる選択入力がされた前記入力項目に対応する前記入力内容に基づいて、文章テンプレートを用いるか、言語生成モデルのプロンプトを作成し前記言語生成モデルを用いるかして紹介状または診療サマリーまたは製薬企業へのレポートの少なくとも一つを作成する第14ステップとを実行させる、請求項3に記載のプログラム。
【請求項25】
前記プログラムは、前記プロセッサに、
前記電子カルテテンプレートの前記入力項目に対する選択入力を受け入れる第15ステップと、
前記第15ステップによる選択入力がされた前記入力項目に対応する前記入力内容に基づいて言語生成モデルのプロンプトを作成し、前記言語生成モデルを用いて、前記電子カルテテンプレートの前記入力内容と文章の対応が紐づいた、紹介状のテンプレートまたは診療サマリーのテンプレートまたは製薬企業へのレポートの少なくとも一つを作成する第16ステップとを実行させる、請求項3に記載のプログラム。
【請求項26】
プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップとを実行する、情報処理装置。
【請求項27】
プロセッサとメモリとを備えた情報処理装置であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第3ステップとを実行する、情報処理装置。
【請求項28】
プロセッサとメモリとを備えたコンピュータにより実行される方法であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第2ステップとを実行する、方法。
【請求項29】
プロセッサとメモリとを備えたコンピュータにより実行される方法であって、
前記メモリには電子カルテテンプレートの構造化データが格納され、前記構造化データは、前記電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容を含み、
前記プロセッサは、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる第1ステップと、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する第3ステップとを実行する、方法。
【請求項30】
電子カルテテンプレートの構造化データが格納されたメモリであって、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含むメモリと、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる手段と、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記選択式入力内容または前記フリー入力内容の少なくとも一方に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する手段とを具備する、システム。
【請求項31】
電子カルテテンプレートの構造化データが格納されたメモリであって、前記構造化データは、電子カルテテンプレートの入力項目と入力内容とが関連付けられたデータであり、前記入力内容は、選択肢を選択する選択式入力内容と自由記述が可能なフリー入力内容とを含むメモリと、
ユーザから、発話データの入力を受け付け、前記発話データには、前記電子カルテテンプレートの前記入力項目及びこの入力項目に対応する前記入力内容が含まれる手段と、
前記発話データ中に含まれる前記電子カルテテンプレートの前記入力内容のうち少なくとも前記選択式入力内容に基づいて、電子カルテテンプレートデータに記録すべき記録内容を特定する手段とを具備する、システム。