(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152533
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスにおける使用のための9,9’-スピロビフルオレン系化合物のインサイチュ架橋及びその製造
(51)【国際特許分類】
C07C 217/84 20060101AFI20241018BHJP
C07D 303/36 20060101ALI20241018BHJP
C07D 305/06 20060101ALI20241018BHJP
C08G 75/045 20160101ALI20241018BHJP
H10K 85/10 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20241018BHJP
H10K 71/12 20230101ALI20241018BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20241018BHJP
H10K 30/50 20230101ALI20241018BHJP
H10K 30/40 20230101ALI20241018BHJP
H10K 30/86 20230101ALI20241018BHJP
【FI】
C07C217/84 CSP
C07D303/36
C07D305/06
C08G75/045
H10K85/10
H10K50/15
H10K71/12
H10K50/17
H10K30/50
H10K30/40
H10K30/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023068376
(22)【出願日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】18/134,751
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】517200382
【氏名又は名称】カウナス ユニバーシティ オブ テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィータウタス ゲタウティス
(72)【発明者】
【氏名】マリテ ダスケヴィシエネ
(72)【発明者】
【氏名】サルーネ ダスケヴィシウーテ-ゲグジエネ
(72)【発明者】
【氏名】カスパラス ラクシュティス
(72)【発明者】
【氏名】若宮 淳志
(72)【発明者】
【氏名】ミン アン チョン
【テーマコード(参考)】
3K107
4H006
4J030
5F251
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC45
3K107DD71
3K107DD73
3K107DD79
3K107FF15
3K107FF17
3K107GG06
3K107GG28
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB46
4H006BP30
4H006BU46
4J030BA04
4J030BA47
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4J030BF13
4J030BG04
5F251AA11
5F251CB13
5F251DA04
5F251FA03
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5F251GA03
5F251XA01
5F251XA33
5F251XA55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスにおける正孔輸送材料としての9,9'-スピロビフルオレン系化合物を提供する。
【解決手段】9,9'-スピロビフルオレン系化合物及び架橋可能な官能基を有する9,9'-スピロビフルオレン化合物及び2又はそれを超えるチオール基を有する化合物を含む混合物は、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスの液体製造プロセス中の、正孔輸送層及び/又は中間層の1又は複数の下層を安定化し得る。より具体的には、化合物は、9,9'-スピロビフルオレン正孔輸送構造に共有結合された架橋可能な官能基を含む正孔輸送材料、及び正孔輸送する架橋可能な9,9'-スピロビフルオレン及びチオール誘導体を含む混合物であり、これらは、例えば、UV、可視光、及び/又は熱への曝露によって架橋し得る。光起電力デバイスは、これらの化合物及び混合物を架橋された形態で用い得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物であって、ここで、
Xは、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C10アリール、C4~C20アルキルアリール、C4~C20アルケニルアリール、及びC4~C20アルキニルアリールから独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル部分は、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリールは、非置換であるか又はC1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C1~C10ヘテロアルキル、C4からC10アリール、C2~C10ヘテロアルケニル、C2~C10ヘテロアルキニル、C4からC10ヘテロアリール、又はN、S及びOから選択される1又は複数のヘテロ原子によって置換され得る;
a及びbは、独立して0又は1の整数であり、ここでa+b≧1である;及び
Zは、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C20アルケニルアリール、アセチレニル基、アルケニルオキシアルキル基、-SH、アクリレート基、-OH、-COOH、ウレタン基、エチルエステル基、C4~C20アルコキシアルケニル、アジド基、エポキシ化合物、メチルオキシラン基、エポキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基から選択され、ここで、Zは基[Z]
a及び[Z]
bに対して独立して選択される、化合物。
【請求項2】
aが1であり、Xが、C1~C10アルキル及びC4~C10アリールから選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
Zが、式(1)~(4):
【化2】
のいずれか1つによる部分から選択され、aが0である場合、点線は、式(I)の化合物の置換基X間又は式(I)の前記化合物の9,9'-スピロビフルオレンコア間の単結合を表し、前記部分のいずれか1つは(1)~(4)である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
式(Ia):
【化3】
のポリマーフィルムを含む正孔輸送材料を備えるオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスであって、ここで、
Xは、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C10アリール、C4~C20アルキルアリール、C4~C20アルケニルアリール、及びC4~C20アルキニルアリールから独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル部分は、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリールは、非置換であるか又はC1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C1~C10ヘテロアルキル、C4からC10アリール、C2~C10ヘテロアルケニル、C2~C10ヘテロアルキニル、C4からC10ヘテロアリール、又はN、S及びOから選択される1又は複数のヘテロ原子によって置換され得る;
a及びbは、独立して0又は1の整数であり、ここでa+b≧1である;
Z'は、式(1')~(4'):
【化4】
のいずれか1つによる部分から選択される;及び
nは、2又はそれを超える
オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項5】
前記Z'部分が(6)~(16):
【化5】
のうちの1つと架橋されている、請求項4に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムの式(Ia)の第1及び第2のモノマーが、同一であるか又はモノマーの混合物であり、ただし、Z'が全てのモノマー間で同一であることを条件とする、請求項4に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項7】
前記正孔輸送材料が前記オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスの正孔輸送層として提供される、請求項4に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項8】
前記正孔輸送層が20~400nmの範囲の厚さを有する、請求項7に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項9】
正孔注入層、増感層、光ハーベスター層、又は導電性集電体から選択される、前記正孔輸送層の下にある層(下層)を備え、ここで、前記下層は架橋されていない、請求項7に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項10】
前記オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスが、光起電力デバイス、有機光起電力デバイス、光起電力ソリッドステートデバイス、有機ソーラーセル、ソリッドステートソーラーセル、ペロブスカイトソーラーセル、発光電気化学セル、及びOLEDから選択される、請求項4に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項11】
p-i-nペロブスカイト及びn-i-pペロブスカイトソーラーセルから選択される、請求項10に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項12】
式(Ia)の前記ポリマーフィルムが:
N2,N2',N7,N7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N2,N2',N7,N7'-テトラキス(4-ビニルフェニル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン、
N2,N2',N7,N7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N2,N2',N7,N7'-テトラキス(4-ビニルベンジル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン、
N2,N2',N7,N7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N2,N2',N7,N7'-テトラキス[4-(ビニルオキシ)フェニル]-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン、及び
N2,N2',N7,N7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N2,N2',N7,N7'-テトラキス[9-(4-ビニルベンジル)-9H-カルバゾール-3-イル]-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン
のうちの1つである、請求項10に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス。
【請求項13】
請求項1に記載の正孔輸送層を備えるオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法であって、前記方法が、
正孔輸送層を提供する前に層を提供する段階、前記層は下層である;
前記正孔輸送層を、前記下層の上に提供する段階、当該提供する段階は、
ポリマー前駆体を含む正孔輸送材料を、液体堆積プロセスによって、前記下層の上に適用する段階、及び
熱的、化学的又は照射手段によって前記正孔輸送材料を重合化する段階
を有する、及び
オーバーレイ層を提供する段階;
を備え、
ここで、前記ポリマー前駆体は、式(I):
【化6】
の化合物であり、
ここで、
Xは、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C10アリール、C4~C20アルキルアリール、C4~C20アルケニルアリール、及びC4~C20アルキニルアリールから独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル部分は、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリールは、非置換であるか又はC1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C1~C10ヘテロアルキル、C4からC10アリール、C2~C10ヘテロアルケニル、C2~C10ヘテロアルキニル、C4からC10ヘテロアリール、又はN、S及びOから選択される1又は複数のヘテロ原子によって置換され得る;
a及びbは、独立して0又は1の整数であり、ここでa+b≧1である;
Zは、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C20アルケニルアリール、アセチレニル基、アルケニルオキシアルキル基、-SH、アクリレート基、-OH、-COOH、ウレタン基、エチルエステル基、C4~C20アルコキシアルケニル、アジド基、エポキシ化合物、メチルオキシラン基、エポキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基から選択され、ここで、Zは基[Z]
a及び[Z]
bに対して独立して選択される、方法。
【請求項14】
第1の前駆体の第1のZ部分が、第2の前駆体の第2のZ部分に結合している、請求項13に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項15】
前記第1及び第2の前駆体が同一又は異なる前駆体化合物の混合物であり、ただし、Zが前記第1及び第2の前駆体間で同一であることを条件とする、請求項14に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項16】
2又はそれを超えるチオール基を備える架橋剤を前記ポリマー前駆体と一緒に提供する段階をさらに備える、請求項13に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項17】
前記架橋剤が化合物(6)~(16):
【化7】
から選択される、請求項16に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項18】
前記正孔輸送層が熱的手段によって重合化され、温度が110℃を超えない、請求項16に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項19】
前記正孔輸送層の下にある第1の層が、正孔注入層、増感層、光ハーベスター層、又は導電性集電体から選択され、ここで前記下層は架橋されていない、請求項13に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項20】
前記オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスが、有機発光ダイオードであり、前記下層が正孔注入層であり、前記オーバーレイ層が放出層である、請求項19に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項21】
前記オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスがソリッドステートソーラーセルであり、前記下層が増感層又は光ハーベスティング層であり、前記オーバーレイ層が、対極又は導電電流提供層であるか、又は前記オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスがソリッドステートソーラーセルであり、前記下層が導電性集電体であり、前記オーバーレイ層が増感層又は光ハーベスティング層である、請求項19に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【請求項22】
前記増感層、前記光ハーベスティング層、又は前記放出層が有機-無機ペロブスカイトを備える、請求項20または21に記載のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して9,9'-スピロビフルオレン系化合物、及びオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスにおける正孔輸送材料としてのそれらの使用、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間にわたり、再生可能エネルギー源、とりわけそれらの中で最も強力な-太陽に強い関心が持たれてきた。薄膜第三世代光起電力(PV)を使用する、ソーラーエネルギーの電流への変換は、最近20年の間に広く調査されている。有機/無機光ハーベスターを用いたメソポーラス光アノード、酸化還元電解質/ソリッドステート正孔伝導体、及び対極からなるサンドウィッチ/モノリシック型PVデバイスは、その製造の容易さ、材料の選択における柔軟さ、及び生産の低コストに起因して、多大な関心を集めている。
【0003】
有機-無機メタルハライドペロブスカイトソーラーセル(perovskite solar cell:PSC)は、近年急速な開発を受け、その電力変換効率(power conversion efficiency:PCE)は2009年の3.8%から2021年には25.7%へと目覚ましく改善され;[1]その値は、今では、結晶シリコン(crystalline silicon:c-Si)及びセレン化銅インジウムガリウム(CIGS)などの市場が確立されたソーラーセル技術のものに匹敵している。[2、3]また、PSCは、低コスト、規模拡大可能、単純な溶液処理技法を使用して製造され得、将来の主流技術としてのPSCの有望性がさらに強調されている。[4]また、PSCはまた、ボトムセル技術としてc-Si、CIGS、有機又は別のPSCのいずれかと組み合わせる場合、トップセルとしてタンデムに統合され得、サブセルのものを十分に超えるPCEが得られ、手頃で非常に高い効率のPVへの道を拓く。[5]ペロブスカイトソーラーセルが目覚ましい効率を実証したという事実にもかかわらず、技術が商業化され得る前には克服すべき相当な障害が依然として存在する。これらのうちで最も重要なのは、ペロブスカイト吸収体が周囲環境に曝露された場合のその分解に主に起因する、デバイスの不十分な安定性である。
【0004】
一般のPSCデバイスは、2つの電極、ペロブスカイト光吸収体、n型電子輸送層(electron transport layer:ETL)、及びp型正孔輸送層(hole transport layer:HTL)からなる。[6]ペロブスカイト層は、効率的な電荷輸送のために、ETL及びHTLの間に挟まれる。酸化インジウムスズ(ITO)又はフッ素ドープ酸化スズ(fluorine-doped tin oxide:FTO)で被覆された透明導電性ガラスを含む外側電極及び対極(Au、Ag又は炭素)が、電荷回収のために使用される。PSCを製造するために、メソポーラスn-i-p、平面n-i-p、及び平面p-i-n構造を含む3種類のデバイス構成が一般的に使用されており、ここで、それぞれnはETLを表し、pはHTLを表し、iはペロブスカイト層を表す。
【0005】
n-i-p構造は、現在までのところ、そのp-i-nカウンターパートよりも全体として優れている。[7]そうではあるものの、p-i-n PSCは、いくつかの利点をもたらす。第1に、高温度の焼結(>450℃、メソポーラスTiO2の形成に必要とされる)が回避され、限定された温度レジリエンスの用途、例えばほとんどのタンデムソーラーセル及びフレキシブルデバイスに対してこの技術を特に魅力的なものにしている。[8]第2に、外来のドーパントを、改善されたデバイス安定性に役立ち得る電荷輸送層(charge transporting layer:CTL)のために必要としない。例えば、n-i-p PSCにおいて最も一般的に使用される正孔輸送材料(hole transporting material:HTM)スピロOMeTAD(2,2',7,7'-テトラキス[N,N-ジ(4-メトキシフェニル)アミノ]-9,9'-スピロビフルオレン)のドーパントが、ペロブスカイト層を横切るドーピング関連のLi+マイグレーションのためにデバイスの劣化を加速し得;その上、スピロOMeTADの吸湿性が、容易かつ望まない湿気のペロブスカイトへの侵入をもたらすことは周知である。[9]第3に、p-i-n PSCは、通常、n-i-pデバイスと比較して、それらの電流-電圧特性において、はるかに顕著ではないヒステリシスを特徴とする。[10]第4に、単接合p-i-n PSCの製造コストは、裏面電極のために、n-i-p構造でのAuと比較して、Ag、Al、又はCuなどのより安価な金属を使用することができるので、ほぼ間違いなくより低くできる。
【0006】
正孔輸送材料は、効率的なPVデバイスのために必要とされる典型的な構成要素のうちの1つである。これらの材料は、吸収体から電極に向けた光生成されたキャリアの輸送を担う。HTMは、その最高被占分子軌道(highest occupied molecular orbital:HOMO)レベルが、-5.7eVよりも高く、良好な熱安定性であるように、十分な電荷輸送特性、適切なエネルギーレベルを実証するべきである。これらの材料は、PVデバイス全体の弱点である。
【0007】
無機HTM(例えば、NiOx)は、高い熱安定性及び透明性を有し、それらのPV性能は通常、比較的低い固有の導電性及び表面欠陥に起因して、それらの有機カウンターパートよりも劣っている。[11]しかしながら、ほとんどの無機HTLは、高温又は高真空処理ステップのいずれかを必要とし、溶液処理の場合、ペロブスカイト前駆体インクに関して不良な湿潤性を特徴とし得る。最後に、無機HTMとして適した入手可能な材料は限定されている。
【0008】
対照的に、有機HTMは低温で溶液処理され得、それらの特性は分子設計を通して微調整され得る。また、有機合成による新規ビルディングブロックを組み合わせることは、有機HTLのライブラリを大きく拡張し得、したがって、性能、安定性、及びスケーラビリティの点でさらなるPSC開発の可能性を示している。
【0009】
新しい正孔輸送材料の開発に向けた多大な研究の努力にもかかわらず、本分野は、有機HTMである9,9'-スピロビフルオレン化合物スピロOMeTADが依然として主流である[12]。「スピロコンセプト」は、四面体のsp3混成原子に接続された2つの拡張p系を含み、芳香環間に直交配置をもたらす。このスピロ連結は、形態的な安定性を改善するが、電気活性部分の電子特性は変わらないままである。その魅力的な特性により、9,9'-スピロビフルオレンは、有機エレクトロニクス、主に光起電力用途向けに活用されている。
【0010】
スピロOMeTADは、以下のファクターの組み合わせである:(1)それは大きなバンドギャップ(約3.0eV)及び比較的深いHOMOエネルギーレベルを有し、これは、良好な電子整列にペロブスカイト層を提供し、そのバンドギャップは選択されたペロブスカイトの電子構造に対してさらに調節され得る。(2)スピロOMeTADは、よく研究された合成及び溶液処理を有し、これは、リジッドでフレキシブルなソーラーセルを大きな面積で製造するのに有利である。(3)スピロOMeTADの融解温度は高く、これは、デバイスの熱安定性を付与する。(4)新品のスピロOMeTAD HTLは、低い導電性及び正孔の移動度を示す。一般的な方法は、スピロOMeTADフィルムの電気的特性を強化するために、LiTFSI及び4-tert-ブチルピリジン(TBP)などの添加剤を使用することである。上記の理由のため、スピロOMeTAD系のHTLは、疑う余地なくPSC、とりわけn-i-pアーキテクチャの開発において重要な役割を果たす。[12]
【0011】
p-i-nアーキテクチャPSCにおけるスピロOMeTADの使用に関するデータは非常に少ない。Hong Meng、Hongzheng Chen及びWei Huangと同僚は、スピロMeOTADのパラ-メトキシ置換基をメチルスルファニル、N,N-ジメチルアミノ及びエチル基で置き換えることによって、HTMとして3つの新しいスピロ-ビフルオレンを合成した。[13]驚くべきことに、メチルスルファニル置換されたスピロ-ビフルオレンは、調査されたスピロ-ビフルオレンの中で最も高い15.92%の電力変換効率を示し、これは同様のデバイス製造におけるスピロMeOTADのそれと比較して、PCEで38%超の増加である。
【0012】
p-i-nデバイスの場合、通常、極性DMF:DMSO溶剤の混合物に耐えるべきであるため、ペロブスカイト吸収体層の溶液処理は、HTMの選定に対して追加の制約を課す。したがって、これまでのところ、このようなデバイス用に最も人気のある有機HTMの選定は、ポリマー、例えばPEDOT:PSS及びPTAA又はそれらの組み合わせである。[14、15]トリフェニルアミンのポリマー構造であるPTAA(ポリ[ビス(4-フェニル)(2,4,6-トリメチルフェニル)アミン])は、現在、PSCに関してPCEの世界記録を保有しており、特記に値する。[16]しかしながら、ポリマー構造は、いくらかの欠点、例えば、バッチ間の再現性、精製の難しさ、及び広いモル質量分布を有する。この点において、小さい有機分子は、潜在的な利点、例えば、より特定された分子量、容易な精製及び良好な再現性をもたらす。
【0013】
本明細書では、本発明者らは、9,9'-スピロビフルオレン正孔輸送構造に共有結合された架橋可能な官能基を含む新規HTM、及び光及び/又は熱への曝露によっても架橋し得る、正孔を輸送し架橋可能な9,9'-スピロビフルオレン及びチオール誘導体を含む混合物の開発を開示する。これらのHTMは、電荷を効率的に引き抜き、輸送するだけでなく、3D不溶性ポリマーもまた生じ得る。重合を低温で実施できることによって、材料がn-i-p及びp-i-n PSCアーキテクチャの両方の用途に適していることがさらに示された。これらの化合物及び混合物を正孔輸送層として架橋された形態で用いる効率的及び安定な光起電力デバイスもまた開示されている。さらに、そのような有機半導体は光起電力のためだけでなく他の低コスト、高性能なオプトエレクトロニクスデバイス、例えば、発光ダイオード、フォトトランジスタ、フォトセルなどの開発のためにも魅力的である。
【発明の概要】
【0014】
1つの実施形態において、本明細書は、液体製造プロセス中に光及び/又は熱への曝露によって架橋されたポリマーを形成する、架橋可能な官能基及び調節可能なエネルギーレベルを有する、9,9'-スピロビフルオレンポリマー前駆体を開示する。別の実施形態において、本明細書は、架橋可能な官能基を有する9,9'-スピロビフルオレンポリマー前駆体及び2又はそれを超えるチオール基を含む架橋剤を含む混合物を開示し、そのような混合物は液体製造プロセス中に光及び/又は熱への曝露によって架橋されたポリマーを形成する。開示されている架橋されたポリマーは、正孔輸送材料として使用され得る3D不溶性ポリマーである。架橋されたポリマーは、正孔輸送層で使用され得、強溶剤を含む様々な環境影響に対する耐性の範囲で利益を提供し得、異なる活性層の混合をさらに防ぎ、デバイス、特にペロブスカイトを含むソリッドステートソーラーセルの電力変換及び安定性を改善する。
【0015】
架橋剤を使用する重合は、110℃未満の低温で実施され、したがって、正孔輸送化合物及びチオール誘導体を含む混合物は、n-i-p及びp-i-n PSCアーキテクチャの両方に適しており、増加した安定性及び性能を提供する。
【0016】
ある態様において、本教示は、新しい正孔輸送材料として使用され得る架橋可能な9,9'-スピロビフルオレン化合物を提供し、これは、増感剤としてペロブスカイト、有機、又は有機金属ダイを含む安定な光起電力デバイスに、より高い電力変換効率(PCE)を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、デバイスにおいて重合化されたフィルムとして使用される、式(I)の化合物、又は2又はそれを超えるチオール基を有する架橋剤とのその混合物を含む正孔輸送材料を含む、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを提供する。
【0018】
さらなる態様において、正孔輸送層を含むオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法が提供され、上記方法は以下を含む;
第1の層を先に提供する段階、ここで第1の層は下層である;
第2の層を提供する段階、ここで、第2の層は、下層の上の正孔輸送層であり、上記提供する段階は以下のステップを含む:
式(I)の化合物、又は2又はそれを超えるチオール基を含む架橋剤とのその混合物を含む正孔輸送材料を下層の上に液体堆積によって適用する段階;及び
正孔輸送材料を、熱的、化学的又は照射手段によって架橋する段階、及び
第3の層を提供する段階、ここで第3の層はオーバーレイ層である。
【0019】
この態様において、下層は、正孔注入層、増感層、光ハーベスター層、又は導電性集電体から選択され;ここで、オーバーレイ層は、正孔注入層として下層である場合、放出層から、下層が増感層又は光ハーベスティング層である場合、対極又は導電電流提供層から、又は下層が導電性集電体である場合、増感層から選択される。
【0020】
さらなる態様及び好ましい実施形態は、本明細書の以下及び添付の特許請求の範囲に詳述される。さらなる特徴及び利点は、以下に与えられる好ましい実施形態の説明から、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】a)メソポーラスn-i-p PSCデバイス構造;b)平面n-i-p PSCデバイス構造;c)p-i-n PSCデバイス構造の概略図を示す。
【0022】
【
図2】a)は、HTM1の示差走査熱量測定(differential scanning calorimetry:DSC)第1及び第2の加熱曲線(走査レート10℃/分、N
2雰囲気)を示す;b)は、HTM1+4,4'-チオビスベンゼンチオール、1:2のDSC第1及び第2の加熱曲線(走査レート10℃/分、N
2雰囲気)を示す。
【0023】
【
図3】a)は、HTM2のDSC第1及び第2の加熱曲線(走査レート10℃/分、N
2雰囲気)を示す;b)は、HTM2+4,4'-チオビスベンゼンチオール、1:2のDSC第1及び第2の加熱曲線(走査レート10℃/分、N
2雰囲気)を示す。
【0024】
【
図4】a)は、それぞれの期間、架橋可能な温度で加熱した後、スピンコーティングされたHTM1フィルムをTHFに浸すことによって調製された溶液のUV/visスペクトルを示す;b)は、それぞれの期間、架橋可能な温度で加熱した後、スピンコーティングされたHTM1+4,4'-チオビスベンゼンチオール(1:2)フィルムをTHFに浸すことによって調製された溶液のUV/visスペクトルを示す。
【0025】
【
図5】a)は、それぞれの期間、架橋可能な温度で加熱した後、スピンコーティングされたHTM2フィルムをTHFに浸すことによって調製された溶液のUV/visスペクトルを示す;b)は、それぞれの期間、架橋可能な温度で加熱した後、スピンコーティングされたHTM2+4,4'-チオビスベンゼンチオール(1:2)フィルムをTHFに浸すことによって調製された溶液のUV/visスペクトルを示す。
【0026】
【
図6】a)は、HTM1を用いた電荷輸送層の空気へのフォトエミッションスペクトルを示す;b)は、HTM2を用いた電荷輸送層の空気へのフォトエミッションスペクトルを示す;c)は、HTM3を用いた電荷輸送層の空気へのフォトエミッションスペクトルを示す。
【0027】
【
図7】a)は、HTM1を用いた電荷輸送層の正孔のドリフト移動度の電界依存性を示す;b)は、HTM2を用いた電荷輸送層の正孔のドリフト移動度の電界依存性を示す;c)は、HTM3を用いた電荷輸送層の正孔のドリフト移動度の電界依存性を示す。
【0028】
【
図8】調査されたp-i-n PSCデバイス構造の概略図を示す。
【0029】
【
図9】p-i-nデバイスにおけるHTM1のJ-V特性を示す。
【0030】
【
図10】HTM1を含むp-i-nデバイスのIPCEスペクトルを示す。
【0031】
【
図11】調査されたn-i-p PSCデバイス構造の概略図を示す。
【0032】
【
図12】HTM1を含むn-i-pデバイスのJ-V曲線及びIPCEスペクトルを示す。
【0033】
【
図13】HTM1中間層あり及びなしのn-i-pデバイスのMPPTトラッキングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本教示の主な対象物は、9,9'-スピロビフルオレン中心を含む、式(I)の新しい化合物である:
【化1】
ここで、
Xは、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C10アリール、C4~C20アルキルアリール、C4~C20アルケニルアリール、及びC4~C20アルキニルアリールから独立して選択され、上記アルキル、アルケニル、アルキニル部分は、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、アルケニルアリール、アルキニルアリールは、非置換であるか又はC1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C1~C10ヘテロアルキル、C4からC10アリール、C2~C10ヘテロアルケニル、C2~C10ヘテロアルキニル、C4からC10ヘテロアリール、又はN、S及びOから選択される1又は複数のヘテロ原子によって置換され得る;
a及びbは、独立して0又は1の整数であり、ここでa+b≧1である;
Zは、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C20アルケニルアリール、アセチレニル基、アルケニルオキシアルキル基、-SH、アクリレート基、-OH、-COOH、ウレタン基、エチルエステル基、C4~C20アルコキシアルケニル、アジド基、エポキシ化合物、メチルオキシラン基、エポキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基から選択され、ここで、Zは基[Z]
a及び[Z]
bに対して独立して選択される。
【0035】
Xは、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C10アリールから独立して選択され得、上記アルキル、アルケニル、アルキニル部分は、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、上記アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールは、非置換であるか又はC1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C1~C10ヘテロアルキル、C4からC10アリール、C2~C10ヘテロアルケニル、C2~C10ヘテロアルキニル、C4からC10ヘテロアリール、又はN、Sから選択される1又は複数のヘテロ原子によって置換され得、好ましくはXは、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C4~C6アリールから独立して選択され得、上記アルキル、アルケニル、アルキニル部分は、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、上記部分は非置換であるか又は本明細書で定義されたように置換されている。
【0036】
別の実施形態において、式(I)の化合物のa及びbは、a+b≧1に等しい。したがって、Zは、式(I)の化合物の架橋可能な部分の一部であり、式(I)の1又は複数の追加の化合物と架橋され得る。
【0037】
式(I)の化合物のZは、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C20アルケニルアリール、アセチレニル基、アルケニルオキシアルキル基、-SH、アクリレート基、-OH、-COOH、ウレタン基、エチルエステル基、C4~C20アルコキシアルケニル、アジド基、エポキシ化合物、メチルオキシラン基、エポキシ基、オキシラニル基、及びオキセタニル基から独立して選択される。
【0038】
1つの実施形態において、式(I)の化合物のa又はbは0である。したがって、同じ分岐の単一部分Zのみが、式(I)の化合物に存在する。
【化2】
ここで、a及び/又はbが1の場合、点線は、式(I)の化合物の置換基X間の単結合を表し、Zは部分(1)~(4)のいずれか1つである。
【0039】
上で定義された式(I)の化合物のポリマーが本明細書で提供され、ここで、Z部分の架橋可能な部分は、式(I)の1又は複数の化合物の別のZ部分に架橋されている。ポリマーにおける式(I)の化合物は、式(I)の同一の又は異なる化合物の混合物である。ただし、Z部分が式(I)の異なる化合物間で同一であることを条件とする。式(I)の化合物は、デバイスの製造中にポリマーを形成するために、光、熱的又は化学的架橋によって重合可能な1ユニット又はモノマーを表す。上記ポリマーは、オーバーレイ層に対して不溶性であり、下層の可溶化から保護する。
【0040】
上記ポリマーは、一般式(Ia)の化合物を含む:
【化3】
ここで、a、b及びXは、式(I)と同様に定義され;nは2又は3と等しいか又はそれを超える整数であり;Z'は別のZ部分と架橋された形態のZ部分であり、ここで、架橋可能な部分Zは、基[Z]
a及び[Z]
bに対して独立して選択され、別に結合している全てのZ部分は同一である。好ましくは、nは≧3である。
【0041】
特に、部分
【化4】
は、以下の式(1')~(4')のいずれか1つによる部分から選択される。
【化5】
1つの例において、nは2又は3に等しい整数である。別の例において、nは≧3である。
【0042】
上で定義された式(I)の化合物のポリマーが、本明細書で説明されており、ここで、架橋可能な部分Zは、2又はそれを超えるチオール基を含む架橋剤に架橋される。
【0043】
さらに好ましい実施形態において、2又はそれを超えるチオール基を有する架橋剤は、以下の式(5)~(15)のいずれか1つから選択されるが、これに限定されない:
【化6】
上記ポリマーは、一般式(Ib)の化合物を含む。
【化7】
ここで、a、b及びXは、本明細書で上のように定義され;nは2又は3と等しいか又はそれを超える整数であり;Z''は、2又はそれを超えるチオール基を有する架橋剤と架橋されたZ部分から選択される。化合物(Ib)は、同じ部分Zを有する式(I)の1又は複数の化合物のZ''部分にさらに架橋されている。好ましくは、nは≧3である。
【0044】
特に、部分
【化8】
は、架橋剤が例えば化合物(5)である場合、以下の式(1'')~(4'')のいずれか1つによる部分から選択される。
【化9】
別の実施形態によれば、9,9'-スピロビフルオレン中心を含む式(I)の化合物は、式(HTM1)~(HTM4)のいずれか1つによる化合物から選択されるが、これに限定されない正孔輸送材料である:
【化10】
オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイス
本明細書で説明されている別の実施形態は、重合化されたフィルムの式(I)の化合物を含むオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスである。式(I)の化合物の架橋可能な部分Zは、式(I)の1又は複数の追加の化合物の別のZ部分に架橋されて、ポリマーフィルムを形成する。ポリマーにおけるモノマー又はユニットは、例えば、式(1')~(4')の具体的な部分Z'又は式(1'')~(~4'')のZ''部分で図示された改変されたZ部分によって互いに連結されている。
【0045】
オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、光起電力デバイス、ソリッドステートソーラーセル又はペロブスカイトソーラーセルである。上記ペロブスカイトソーラーセルは、n-i-pペロブスカイトソーラーセル又はp-i-nペロブスカイトソーラーセルから選択される。特に、
図1のa及び
図1のbに図示されるように、n-i-pペロブスカイトソーラーセルは、導電性集電体又は導電性基板(アノード)、n型半導体(ETM)又は任意のn型表面増大メソポーラス構造、増感剤又は光ハーベスティング層(ペロブスカイト)、正孔輸送層(HTM)、及び導電性対極(カソード)を備え得る。
図1のcに図示されるように、p-i-nペロブスカイトソーラーセルは、導電性基板層(アノード)、正孔輸送層(HTM)、増感剤又は光ハーベスティング層(ペロブスカイト)、n型半導体(ETM)、及び金属対極(カソード)を備え得る。上記デバイスは、2つの対向面を備え:1つの側面は露光され、1つの側面は、直接的な照射がなく、当該側面に向かって、電子又は正孔のいずれかが、異なる層間のエネルギーレベルに従って方向付けられる。
【0046】
導電性集電体又は基板層は、好ましくは実質的に透明である。「実質的に透明」は、可視光の少なくとも一部分、好ましくは大部分に対して透明であることを意味する。好ましくは、導電性支持層は、可視光の全ての波長又は種類に対して実質的に透明である。さらに、導電性支持層は、例えば、UV及びIR照射などの非可視光に対して透明であり得る。集電体はソーラーセルの支持層を提供する導電性支持層である。好ましくは、ソーラーセルは上記支持層の上に構築される。
【0047】
ある実施形態によれば、ソーラーセルは好ましくは1又は複数の支持層を備える。支持層は、好ましくはデバイスの物理的支持を提供する。さらに、支持層は好ましくは物理的損傷に関する保護を提供し、こうして、外側に対して、例えば、ソーラーセルの2つの主な側面のうちの少なくとも1つの上にソーラーセルの境界を定める。支持層は、図において具体的には示されていない。いくつかの実施形態において、ガラス又はプラスチックコーティングされた透明導電性酸化物(transparent conductive oxides:TCO)の集電体が使用される。市販されているこれらの材料には、支持体並びに集電体が含まれる。
【0048】
別の実施形態によれば、ソーラーセルの支持体は、対極又は正孔選択性バックコンタクトの側面に提供され得る。この場合、導電性支持層は、デバイスの支持を必ずしも提供せず、単に集電体、例えば金属箔であり得るか、又はそれを含み得る。
【0049】
ソーラーセルから得られる電流を回収する、導電性集電体又は基板は、例えば、導電性又は半導電性材料、例えば導電性有機又は無機材料、例えば金属、ドープされた金属、導電性金属酸化物又はドープされた金属酸化物を含み得る。
【0050】
導電性集電体又は基板層は、インジウムドープ酸化スズ(indium doped tin oxide:ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(fluoride doped tin oxide:FTO)、ZnO-Ga2O3、ZnO-Al2O3、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(antimony doped tin oxide:ATO)、SrGeO3及び酸化亜鉛又はそれらの組み合わせから選択される材料を含み、これは、透明基板、例えば、プラスチック又はガラスの上にコーティングされ得る。この場合、プラスチック又はガラスは、層の支持構造を提供し、引用された導電性材料は、導電性を提供する。そのような支持層は、一般にそれぞれ導電性ガラス及び導電性プラスチックとして公知であり、そのためそれらは好ましい導電性支持層である。
【0051】
別の実施形態によれば、導電性支持層は、導電性透明層を備え、これは導電性ガラス及び導電性プラスチックから選択され得る。導電性集電体は、好ましくは作用電極又は光アノードで発生する電流を回収及び伝導するように配置される。別の実施形態において、集電体は、特に、n-i-pソーラーセルの場合、n型半導体層又は導電性アノードと電気接触する。
【0052】
n型半導体層又は導電性アノードは、n型金属酸化物又はn型半導体ポリマーから選択されるn型半導体材料を含む。n型金属酸化物は、Ti、Sn、Fe、Zn、W、Mo、Nb、SrTi、Si、Ti、Al、Cr、Sn、Mg、Mn、Zr、Ni及びCuから選択され得る。n型半導体ポリマーは、PCBM様C60及び[6,6]-フェニル-C61-酪酸メチルエステル(PCBM様C60又はPCBM)、1,4,5,8,9,11-ヘキサアザトリフェニレン-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)、(C60-Ih)[5,6]フラーレン(C60)、(C70-D5h)[5,6]フラーレン(C70)、[6,6]-フェニルC71酪酸メチルエステル(PC70BM)、2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BCP)、1,3,5-トリ(フェニル-2-ベンズイミダゾリル)ベンゼン(TPBI)、好ましくはPCBM、HAT-CN、C60、C70、PC70BMから選択されるフラーレン誘導体から選択され得る。フラーレン誘導体であるPCBM様C60は、[6,6]-フェニルC61酪酸メチルエステルを意味する。
【0053】
上で定義されたn型半導体は、正孔ブロック層又はETL用の電子輸送材料又は正孔ブロック材料として使用され得、コンパクト又は多孔質である1又は2又はそれを超えるn型金属酸化物層を含み得、2又はそれを超える層が存在する場合、各n型金属酸化物層は異なる又は同一のn型金属酸化物のものであるか又は1又は複数の層はn型半導体ポリマーである。ブロック層は、好ましくは逆方向及び/又は電荷再結合の電子フローを妨害又は妨げる。
【0054】
1つの実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、上で定義されたn型半導体ポリマーを含むETLを備え、これは、n型金属酸化物半導体から又はn型半導体ポリマーから選択され得る。
【0055】
ある実施形態において、n型半導体層又は正孔ブロック層/ETLは、原子層堆積(atomic layer deposition:ALD)及び化学浴堆積(chemical bath deposition:CBD)から選択される1つの方法によって適用される。好ましくは、n型半導体層の金属酸化物はCBDによって適用される。
【0056】
さらなる実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、任意のn型表面増大構造又はメソポーラスETL又は表面増大スキャホールド構造を備え、これは、ソリッドステート光起電力デバイスにおいて任意のメソ構造を提供する。n型表面増大構造は、1又は複数のメソポーラス金属酸化物層を備え、各層は、n型半導体又はn型半導体層又は導電性アノードについて定義された金属酸化物、例えば、SiO2、TiO2、SnO2、Fe2O3、ZnO、WO3、Nb2O5、MoO3、NiO、SrTiO3、ZrO2、及びそれらの組み合わせから選択される、異なる又は同一の金属酸化物を含む。好ましい実施形態によれば、メソ構造はTiO2、ZrO2から選択される金属酸化物の2つのフィルム又はTiO2、NiO、ZrO2から選択される金属酸化物の3つのフィルムを含む。上記メソ構造は、例えば、PSCの多孔質半導体(例えば、TiO2)層の調製について従来的であるようなスクリーン印刷又はスピンコーティングによって調製され得る。ナノポーラス半導体スキャホールド構造及び層は、例えば、EP0333641及びEP0606453に開示されている。
【0057】
さらなる実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、非導電性材料、例えば絶縁体材料から作製される任意のn型表面増大構造を備える。この場合、表面増大スキャホールド構造の上に堆積される、増感剤又は光ハーベスター、例えば、有機無機ペロブスカイト色素はまた、n型半導体層と接触する。この場合、表面増大構造は、n型半導体層を連続的には覆わない。表面増大構造は、好ましくはナノスケールで構造化され、好ましくはメソポーラス構造である。上記表面増大構造の構造は、ソーラーセルの表面と比較して、有効表面を増大させる。
【0058】
表面増大構造に含まれるナノ粒子は、2~300nm、好ましくは3~200nm、なおさらに好ましくは5~150nm、最も好ましくは5~100nmの範囲の平均寸法及び/又はサイズを好ましくは有する。ナノ粒子に関する「寸法」又は「サイズ」は、ここでは、空間の任意の方向での伸長、好ましくはナノ粒子の最大伸長の平均を意味する。
【0059】
本明細書の教示は、スキャホールド構造及び導電性集電体支持体の間に1又は複数の中間層が存在する可能性を除外することは意図されていない。そのような中間層は、存在する場合、好ましくは導電性又は半導電性であり得る。
【0060】
別の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、増感層又は光ハーベスター層を備える。
【0061】
ある実施形態によれば、光電気化学及び/又はオプトエレクトロニクスデバイスの増感層又は光ハーベスター層は、有機、無機、有機金属及び有機-無機色素又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの色素を含む。上記層の厚さは、20~400nm、25~300nm、又は100~300nm、好ましくは25~400nmの範囲である。増感剤は、好ましくは光を吸収する化合物又は材料である。好ましくは、増感剤は色素であり、最も好ましくは、増感剤は有機-無機色素である。適切な増感剤は、当該技術分野で公知のものから選択され得る。
【0062】
用語「ペロブスカイト」は、本明細書の目的に対して、「ペロブスカイト構造」を指し、ペロブスカイト材料CaTiO3を具体的に指すわけではない。本明細書の目的に対して、「ペロブスカイト」は、酸化カルシウムチタンと同じ種類の結晶構造及び二価カチオンが2つの別個の一価カチオンに置き換えられた同じ種類の材料を有する任意の材料を包含し、好ましくはそれに関する。ペロブスカイト構造は、一般化学量論AMX3を有し、ここで「A」及び「M」はカチオンであり、「X」はアニオンである。「A」及び「M」カチオンは、元来のペロブスカイトミネラル(CaTiO3)にあるように、様々な電荷を有し得、Aカチオンは二価であり、Mカチオンは四価である。さらに、ペロブスカイトの式は、本明細書の他の箇所に提示された式に従って、同じ又は異なり得る3又は4のアニオン、及び/又は1又は2の有機カチオン、及び/又は2又は3の正電荷を担持する金属原子を有する構造を含む。
【0063】
ある実施形態によれば、本発明の光起電力デバイスは、有機-無機ペロブスカイトの1又は複数の層を備える。上記有機-無機ペロブスカイトは、WO2014/020499A1、WO2015/001459A1、WO2015/107454A1、WO2015/114521A1、PCT/IB2017/051538、EP16180656.7に記載されている有機-無機ペロブスカイトから選択され得る。
【0064】
ある実施形態において、増感層は、以下の式(II)、(IIa)、(IIb)、(IIc)、(IId)、(IIe)、(IIf)及び/又は(IIg)のペロブスカイト構造のいずれか1つによる、有機-無機ペロブスカイト又はメタルハライドペロブスカイトを含む:
ここで、
A及びA'は、N含有ヘテロ環及び環系を含む、第一級、第二級、第三級又は第四級有機アンモニウム化合物から独立して選択される有機の一価カチオンであり、A及びA'は、1~60の炭素及び1~20のヘテロ原子を独立して有する;
A
1は、Cs
+、Rb
+、及びK
+から選択される無機カチオン、好ましくはCs
+である;
Bは、1~60の炭素、2~20のヘテロ原子を有し、2つの正に帯電した窒素原子を有する、第一級、第二級、第三級又は第四級有機アンモニウム化合物から選択される有機の二価カチオンである;
Mは、Cu
2+、Ni
2+、Co
2+、Fe
2+、Mn
2+、Cr
2+、Pd
2+、Cd
2+、Ge
2+、Sn
2+、Pb
2+、Eu
2+、Yb
2+、[Sn
iPb
(1-i)]
+、[Sn
jGe
(1-j)]
+、及び[Pb
kGe
(1-k)]
+から選択され、i、j及びkは0.0及び1.0の間の数である;
Nは、Bi
3+及びSb
3+の群から選択される;及び
Xは、Cl
-、Br
-、I
-、NCS
-、CN
-、NCO
-、[I
(3-m)Cl
m]
-、[I
(3-n)Br
n]
-、及び[Br
(3-u)Cl
u]
-から独立して選択され;ここで、m、n、uは、0.0及び3.0の間の数である。
【0065】
1つの例において、4つの可能なXのうち3つは同一又は異なり得る。例えば、AMX3(式IIa)は、式(IIa'):AMXiXiiXiii(IIa')として表現され得:ここで、Xi、Xii、Xiiiは、Cl-、Br-、I-、NCS-、CN-、NCO-、[I(3-m)Clm]-、[I(3-n)Brn]-、及び[Br(3-u)Clu]-から独立して選択され;ここで、m、n、uは、0.0及び3.0の間の数である。A及びMは、本明細書の他の箇所で定義された通りであり、よってXi、Xii、Xiiiは、この場合、同じ又は異なり得る。同様に、式(IIc)、(IIf)、(IIg)は、(IIc')、(IIf')、(IIg')として表現され得、ここで、Xは、Xi、Xii、及びXiiiである。
【0066】
別の例において、BMX4(式IIe)は、式(IIe'):AMXiXiiXiiiXiv(IIa')として表現され得、ここで、Xi、Xii、Xiii、及びXivは、Cl-、Br-、I-、NCS-、CN-、NCO-、[I(3-m)Clm]-、[I(3-n)Brn]-、及び[Br(3-u)Clu]-から独立して選択され;ここで、m、n、uは、0.0及び3.0の間の数である。同様に、式(II)、(IIb)、(IId)は、(II')、(IIb')、(IId')として表現され得、ここで、Xは、Xi、Xii、Xiii、及びXivである。
【0067】
好ましくは、Xが、式(IIa)、(IIc)、(IIf)及び(IIg)において、Xi、Xii、Xiiiであるか、又は式(II)、(Ilb)、(IId)又は(IIe)において、Xi、Xii、Xiii、Xivである場合、2を超える異なるアニオンは存在しない。
【0068】
式(IIf)又は(IIg)のペロブスカイト構造によれば、A及びA'は、メチルアンモニウムカチオン、ホルムアミジニウムカチオン、ヨード-カルバミミドイルカチオン又は上記カチオンの組み合わせから独立して選択される。
【0069】
好ましい実施形態によれば、上記有機-無機ペロブスカイト又はメタルハライドペロブスカイトは、式(IIh)~(IIm)のいずれか1つによるペロブスカイト構造を含む:
ここで、A,A'、B及びXは、本明細書において上で定義された通りである。好ましくは、Xは、好ましくはCl
-、Br
-及びI
-から選択され、最も好ましくは、Xは、I
-又はBr
-及びI
-の混合物である。
【0070】
有機-無機ペロブスカイト又はメタルハライドペロブスカイトを含む増感層は、式(IIh)~(IIm)のいずれか、より好ましくは(IIh)及び/又は(IIi)によるペロブスカイト構造を含み得る。
【0071】
ある実施形態によれば、A及びA'は、(IIh)~(IIm)の一価カチオンであり、以下の式(17)~(26)の化合物のいずれか1つから独立して選択される:
【化11】
ここで、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、H、0~15のヘテロ原子を含むC1~C15有機置換基から独立して選択される。式(17)~(26)のいずれか1つのカウンターアニオンは、適用可能な場合、CI
-、Br
-又はI
-から選択され得る。上記C1~C15有機置換基のある実施形態によれば、上記置換基におけるいずれか1つ、いくつか又は全ての水素は、ハロゲンによって置き換えられ得、上記有機置換基は、最大15のN、S又はOヘテロ原子を含み得、ここで、化合物(17)~(26)のいずれか1つにおいて、存在する2又はそれを超える置換基(R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12、適用可能な場合)は、互いに共有結合的に接続されて、置換された又は非置換の環又は環系を形成し得る。好ましくは、上記C1~C15有機置換基の原子の鎖において、いずれかのヘテロ原子は、少なくとも1の炭素原子に接続されている。好ましくは、0~15のヘテロ原子を含む上記C1~C15有機置換基において、隣接するヘテロ原子は存在しない、及び/又はヘテロ原子-ヘテロ原子結合は存在しない。ヘテロ原子は、N、S、及び/又はOから選択され得る。一例によれば、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、H、C1~C15脂肪族及びC4~C15芳香族又はヘテロ芳香族置換基から独立して選択され、ここで、上記置換基におけるいずれか1つ、いくつか又は全ての水素は、ハロゲンによって置き換えられ得、化合物(17)~(26)のいずれか1つにおいて、存在する2又はそれを超える置換基は、互いに共有結合的に接続されて、置換された又は非置換の環又は環系を形成し得る。
【0072】
好ましい実施形態によれば、有機-無機ペロブスカイトは、式(II)、(IIa)、(IIf)又は(IIg)の化合物から選択される。
【0073】
ある実施形態によれば、Bは、以下の式(27)及び(28)の化合物のいずれか1つから選択される二価カチオンである:
【化12】
ここで、式(27)の化合物において、Gは1~10の炭素及びN,S、及び/又はOから選択される0~5のヘテロ原子を有する有機リンカー構造であり、上記Gにおいて、1又は複数の水素原子は、ハロゲンによって置き換えられ得;R
13及びR
14は、式(17)~(26)のいずれか1つの化合物から独立して選択され;式(28)の化合物において、上記2つの正に帯電した窒素原子を含む環は、4~15の炭素原子及び2~7のヘテロ原子又は4~10の炭素原子及び2~5のヘテロ原子を含む、置換された又は非置換の芳香環又は環系を表し、上記窒素原子は、上記環又は環系の環ヘテロ原子であり、上記ヘテロ原子の残りの部分は、N、O及びSから独立して選択され得、R
15及びR
16は、Hから及び式(17)~(26)のいずれか1つの化合物から独立して選択される。ハロゲン原子が置換している水素原子はまた、完全に又は部分的に、上記2からヘテロ原子に加えて及び/又はそれから独立して存在し得る。
【0074】
ある実施形態によれば、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、H、C1~C10アルキル、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C4~C10ヘテロアリール及びC6~C10アリールから独立して選択され、ここで、上記アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、それらが3又はそれを超える炭素を含む場合、直鎖、分岐又は環状であり得、上記ヘテロアリール及びアリールは、置換されているか又は非置換であり得、R7、R8、R9、R10、R11及びR12において、いくつか又は全ての水素はハロゲンによって置き換えられ得る。
【0075】
A、A'及びBは、以下の式(29)~(30)(A、A'に対して)及び(31)~(33)(Bに対して)の例示的な環又は環系から選択され得る:
【化13】
ここで、
R
7及びR
8は、上で定義されたような置換基から選択され、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23及びR
24は、H、ハロゲン及びR
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12について上で定義されたような置換基から独立して選択される。好ましくは、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23及びR
24は、H及びハロゲンから選択され、最も好ましくはHである。
【0076】
好ましい実施形態によれば、金属Mは、Sn2+及びPb2+から選択され、好ましくはPb2+である。好ましい実施形態によれば、NはSb3+である。
【0077】
好ましい実施形態によれば、4つのXのうち3つは、Cl-、Br-及びI-から独立して選択される。
【0078】
対極及び/又は金属層及び/又はバックコンタクトは、一般に触媒活性な材料を含み、デバイスの内部に向けて、電子を提供及び/又は正孔を充填するのに適している。バックコンタクトは、Pt、Au、Ni、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Rh、Ir、Os、多孔質炭素(C)、導電性ポリマー及び前述のもののうちの2又はそれを超える組み合わせから選択される1又は複数の材料を含み得る。導電性ポリマーは、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリベンゼン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリプロピレンジオキシ-チオフェン、ポリアセチレン、及び前述のもののうちの2又はそれを超える組み合わせを含むポリマーから選択され得る。
【0079】
別の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、正孔輸送層を備え、すなわち架橋されるか又は重合されるか及びフィルムを形成する式(I)の化合物を含む。正孔輸送層は、直接的に又は間接的に増感層及び正極と電気接触し、すなわち正孔輸送層は増感層及び正極の間にある。正極は、
図1のcで図示されたp-i-nペロブスカイトソーラーセルの場合のように、光に対して露出する側面にあり得るか、又は、
図1のa、
図1のbで図示されたn-i-pペロブスカイトソーラーセルの場合のように「暗」側面にあり得る。正孔輸送層は、さらなるドーパントを含み得る。しかしながら、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスにおける正孔輸送層は、溶剤又は他の添加剤を含まない。
【0080】
正孔輸送層HTLは、本明細書で定義されたようにかつ
図1の図示されたオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスにおける正孔輸送層のために、式(I)の化合物を含む。
【0081】
1つの実施形態によれば、正孔輸送層は、さらなる正孔輸送材料又は正孔輸送材料とは異なる正孔導電材料のさらなる層を含み得、これは、正孔輸送層の上に又は前に適用され得る。さらなる正孔導電材料は、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート):グラフェンナノ複合材料(PEDOT:PSS:グラフェン)、ポリ(N-ビニルカルバゾール(PVK)及びスルホン化ポリ(ジフェニルアミン)(SPDPA)から、好ましくはPEDOT:PSS、PEDOT:PSS:グラフェン及びPVKから、より好ましくはPEDOT:PSSから選択され得る。導電性ポリマーはまた、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリベンゼン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリプロピレンジオキシ-チオフェン、ポリアセチレン、及び前述のもののうちの2又はそれを超える組み合わせを含むポリマーから選択され得る。
【0082】
別の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、対極を形成する、導電電流提供層又は金属接点を備える。導電電流提供層及び/又は金属接点及び/又はバックコンタクトは、触媒活性な材料を含み、デバイスの内部に向けて、電子を提供及び/又は正孔を充填するのに適している。導電電流提供層及び/又は金属接点及び/又はバックコンタクトは、Pt、Au、Ni、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Rh、Ir、Os、多孔質炭素(C)、導電性ポリマー及び前述のもののうちの2又はそれを超える組み合わせから選択される1又は複数の材料を含み得る。導電性ポリマーは、例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン):ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリベンゼン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリプロピレンジオキシ-チオフェン、ポリアセチレン、及び前述のもののうちの2又はそれを超える組み合わせを含むポリマーから選択され得る。
【0083】
さらなる実施形態において、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、正孔注入層、増感層、光ハーベスター層、又は導電性集電体から選択される正孔輸送層の下にある層を備え、ここで、前記下層は架橋されていない。上記下層は、正孔輸送層の下にあるか又は正孔輸送層に直接的又は任意の層を通して正孔輸送層に間接的に電気接触した層の下にある層であり得る。任意の層は、特定の種類の電荷(電子又は正孔)をブロックする層であり得、再結合、電荷の濃縮又は特定の電荷のフローを促進することを回避する。任意の層の選択は、2つの対向面間での電子又は正孔のフローの方向、及びそれらそれぞれの極性、及び/又は下層に先行する層のエネルギーレベルに依存する。
【0084】
別の実施形態によれば、オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、正孔輸送層をオーバーレイする層を備え、上記層は、下層が正孔注入層である場合、放出層から、下層が増感層又は光ハーベスティング層である場合、対極又は導電電流提供層から、又は下層が導電性集電体である場合、増感層から選択される。上記オーバーレイ層は、正孔輸送層の上にある層又は正孔輸送層に直接的又は任意の層を通して正孔輸送層に間接的に電気接触した上の層であり得る。任意の層は、ある種類の電荷(電子又は正孔)をブロックする、電荷を濃縮する又は特定の電荷のフローを促進する層であり得る。任意の層の選択は、2つの対向面間での電子又は正孔のフローの方向、及びそれらそれぞれの極性、及び/又は下層に先行する層のエネルギーレベルに依存する。
【0085】
1又は複数の層は、正孔輸送層の上にある又は下にある層を含み得る。式(I)で定義された正孔輸送材料の重合化によって形成されるフィルムの機械的特性によって、下層及び/又はオーバーレイ層は、液体処理によるそれらの適用中にさらに適用される層との混合から、UV光及び湿度/湿気から保護され、これは、デバイスの安定性を向上する。
【0086】
オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスの製造
さらなる態様において、本教示は、正孔輸送層を備えるオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法を提供し、上記方法は、
第1の層を提供する段階、ここで、上記層は下層である;
第2の層を提供する段階、ここで、上記第2の層は、液体堆積によって下層の上にある正孔輸送層であり、提供する段階の上記ステップは、
液体処理によって式(I)の化合物を含む正孔輸送材料を下層の上に適用する段階、
熱的、化学的又は照射手段によって、正孔輸送材料を架橋する段階、
であり、
第3の層を提供する段階、ここで上記層はオーバーレイ層である;
を含み、
ここで、下層は、正孔注入層、増感層、光ハーベスター層、又は導電性集電体から選択され、オーバーレイ層は、下層が正孔注入層である場合、放出層から、下層が増感層又は光ハーベスティング層である場合、導電電流提供層から、又は下層が導電性集電体である場合、増感層から選択される。式(I)の重合可能な化合物を適用するための液体処理は、スピンコーティング、ブレードコーティング、メニスカスコーティング、プリンティング、又はスプレー堆積から選択される。式(I)の重合可能な化合物は、好ましくは液体又は液体組成物の形態である。
【0087】
オプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを製造する方法は、上記第1の下層の下にある追加の層を提供及び/又は上記第3のオーバーレイ層をオーバーレイする追加の層を提供して、特定のオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスを形成するステップをさらに含み、上記追加の層は、基板層、導電性アノード、ETL、EIL、導電性カソード又は金属接点から選択される。
【0088】
正孔輸送材料を架橋する手段は、熱的手段、例えば、2又はそれを超えるチオール基を有する架橋剤が存在する場合、最大260℃まで又は最大110℃までの温度の熱源を提供すること、化学的又は照射手段、例えば化学的インデューサー、例えば、アゾイソブチロニトリルを提供することによって、又はUV光照射を提供する照射手段によってから選択される。
【0089】
方法の1つの実施形態によれば、下層は、架橋されていないか又は正孔輸送層を適用する前に架橋にさらには送られない。下層は、例えば、増感剤を生産するためにアニーリングされ得るが、下層の架橋は必要ではないか又は正孔輸送層の適用のために及びその前には求められない。式(I)の重合可能な化合物を含む正孔輸送材料のインサイチュ重合化は、デバイスの下層を、液体法による製造プロセス中の環境的損傷(UV光、湿度、熱)及び損傷(例えば、層混合)に対して安定にする。
【0090】
正孔輸送層において架橋された正孔輸送材料は、下層の孔を充填する、均一なポリマーフィルムを形成し、ここで、正孔輸送層は、上記オーバーレイ層の適用中に、オーバーレイ層の液体材料とは混合しない。
【0091】
別の実施形態において、方法によって得られたオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、有機発光ダイオードであり、下層は正孔注入層であり、オーバーレイ層は放出層である。
【0092】
さらなる実施形態において、方法によって得られたオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスは、増感層又は光ハーベスティング層である下層及び対極又は導電電流提供層であるオーバーレイ層又は導電性集電体である下層及び増感層又は光ハーベスティング層であるオーバーレイ層を有するソリッドステートソーラーセルである。
【0093】
1つの実施形態によれば、方法によって得られたオプトエレクトロニクス及び/又は光電気化学デバイスはソリッドステートソーラーセルであり、ここで、増感層又は光ハーベスティング層は、有機-無機ペロブスカイトを含む。
【0094】
化合物、デバイス、及び方法は、以下の例を参照してより具体的に説明され、これらは限定は意図されていない。
【0095】
一般式(I)の化合物の一般的な合成スキーム。
【0096】
一般式(I)に対応する、9,9'-スピロビフルオレン部分及び架橋可能なビニル基を含む正孔輸送化合物HTM1は、スキーム1に示される4ステップの合成ルートによって調製された。第1のステップは、スキーム1のジフェニルアミン誘導体1を形成するための、市販の2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン(Sigma-Aldrich)のp-アニシジン(Sigma-Aldrich)とのBuchwald-Hartwig C-Nクロスカップリング反応であった。中間体1は、中間体2を得るために、2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(Sigma-Aldrich)とのBuchwald-Hartwig C-Nクロスカップリング反応で使用され、これは、その後、アルデヒド基を保有する9,9-スピロビフルオレン誘導体3に変換された。最後のステップは、標的化合物HTM1をもたらしたWittig反応であった。
【化14】
スキーム1.架橋可能な正孔輸送材料HTM1への合成ルート
一般式(I)に対応する、9,9'-スピロビフルオレン部分及び架橋可能なビニル基を含む正孔輸送化合物HTM2は、スキーム2に示される2ステップの合成ルートによって調製された。第1のステップは、市販の2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(Sigma-Aldrich)のp-アニシジン(Sigma-Aldrich)とのBuchwald-Hartwig C-Nクロスカップリング反応であった。中間体4を、標的化合物HTM2を単離するために、4-(クロロメチル)スチレンでアルキル化した。
【化15】
スキーム2.架橋可能な正孔輸送材料HTM2への合成ルート
一般式(I)に対応する、9,9'-スピロビフルオレン部分及び架橋可能なビニル基を含む正孔輸送化合物HTM3は、スキーム3に示される4ステップの合成ルートによって調製された。第1のステップは、1,2-ジブロモエタン(Sigma-Aldrich)を用いた4-ブロモフェノールのアルキル化であった。結果として生じた中間体5を、ビニル誘導体6に変換した。これは、ジフェニルアミン誘導体7をもたらした、p-アニシジン(Sigma-Aldrich)とのC-Nクロスカップリング反応で使用された。最後のステップは、標的化合物HTM3を得るための、市販の2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(Sigma-Aldrich)のジフェニルアミン化合物7とのBuchwald-Hartwig C-Nクロスカップリング反応であった。
【化16】
スキーム3.架橋可能な正孔輸送材料HTM3への合成ルート
一般式(I)に対応する、9,9'-スピロビフルオレン部分及び架橋可能なビニル基を含む正孔輸送化合物HTM4は、スキーム4に示される3ステップの合成ルートによって調製された。第1のステップは、4-ビニルベンジルクロリド(Sigma-Aldrich)を用いた3-ブロモ-9H-カルバゾールのアルキル化であった。結果として生じた中間体8を、p-アニシジン(Sigma-Aldrich)と反応させて、誘導体9を得、これを市販の2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(Sigma-Aldrich)とのBuchwald-Hartwig C-Nクロスカップリング反応でさらに使用して、標的化合物HTM4を得た。
【化17】
スキーム4.架橋可能な正孔輸送材料HTM4への合成ルート
ペロブスカイトソーラーセルのための一般的な調製スキーム
デバイスのための基板としては、アノードとしてエッチングされたフッ素/インジウムドープされた酸化スズ(FTO/ITO)が使用され、アセンブリの前に清浄される。清浄された基板は、次いで、アーキテクチャに依存して、ETM又はHTMを用いて堆積される。残りのステップは、窒素条件下で実行される。ペロブスカイト前駆体の溶液は、DMSO/DMFの標準ストック溶液を使用して調製され、次いで、基板上にスピンコーティングされる。結果として生じたペロブスカイトフィルムは、100℃でアニーリングされる。ペロブスカイト層は、次いで、選択されたアーキテクチャに依存して、ETM又はHTMを用いて覆われる。カソード電極(Ag、Au、又はAl)が、次いで、熱蒸着によって堆積される。
図1は、異なるアーキテクチャを有する、結果として生じた光起電力セルの断面図を示す。
【0097】
例
実際の実施形態の例に関する情報は以下に提供され、調製化合物(HTM1~HTM4)のモード及びそれらの特性を説明する。この情報は、例示目的で提供され、限定ではない。
【0098】
中間体1~9の合成
N-[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-4-メトキシアニリン(1):
【化18】
数滴の蒸留水(0.02当量)を含む無水ジオキサン(25mL)を、アルゴンで20分間パージした。その後、温度を80℃に上昇させ、酢酸パラジウム(II)(0.005当量)及びXPhos(0.015当量)を添加した。混合物を1.5分間撹拌し、温度を110℃に上昇させた。2-(4-ブロモフェニル)-1,3-ジオキソラン(5g、21.8mmol、1当量)、p-アニシジン(3.2g、26.2mmol、1.2当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(1.4当量)を添加し、溶液を25分間還流した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、1:1:2.5:20.5 v/v/v/v ジエチルエーテル/酢酸エチル/THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。淡黄色の結晶を、最終生成物として回収した。(4.5g、76.2%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d
6) δ 7.16 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.12 - 6.95 (m, 3H), 6.91 - 6.77 (m, 4H), 5.59 (s, 1H), 4.07 - 3.95 (m, 2H), 3.95 - 3.81 (m, 2H), 3.74 (s, 3H).
13C NMR (101 MHz, THF) δ 153.21, 144.60, 134.30, 126.62, 125.57, 122.00, 119.51, 112.34, 102.08, 62.89, 52.73 ppm.分析計算値: C
16H
17NO
3: C, 70.83; H, 6.32; N, 5.16; 実測値: C, 70.94; H, 6.36; N, 5.12.C
16H
17NO
3[M
+] 正確な質量 = 271.12, MS (ESI) = 272.17.
【0099】
N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス[4-(1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル]-N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-9,9'-スピロビ(フルオレン)-2,2',7,7'-テトラアミン(2):
【化19】
無水トルエン(13mL)中の2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(0.58g、0.9mmol、1当量)及び化合物1(1.5g、5.5mmol、6当量)の溶液を、アルゴンで30分間パージした。その後、酢酸パラジウム(II)(0.02当量)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.027当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(6当量)を添加し、溶液をアルゴン雰囲気下で18時間還流した。室温に冷却後、反応混合物をセライトに通してフィルタにかけ、酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、11:14 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。淡緑色の固体を中間体生成物2として回収した。(0.75g、59.2%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d
6) δ 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.22 (d, J = 8.0 Hz, 8H), 6.97 (d, J = 8.4 Hz, 8H), 6.91 - 6.76 (m, 20H), 6.65 (s, 4H), 5.62 (s, 4H), 4.07 - 3.95 (m, 8H), 3.94 - 3.85 (m, 8H), 3.75 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, THF) δ 154.64, 148.15, 147.00, 145.08, 138.59, 134.56, 129.34, 125.31, 124.86, 122.41, 118.60, 118.36, 117.33, 112.70, 101.64, 62.99, 52.77, 34.53 ppm.分析計算値C
89H
76N
4O
12: C, 76.71; H, 5.50; N, 4.02; 実測値: C, 76.47; H, 5.52; N, 4.01.
【0100】
4,4',4'',4'''-(9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2'7,7'-テトライルテトラキス{(4-メトキシフェニル)アザネジイル})テトラベンズアルデヒド(3):
【化20】
THF(14mL)中の化合物2(1.3g、0.9mmol、1当量)の溶液に、3mLの10%HCl溶液を滴下し、反応混合物を20分間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を2:1 v/v THF/エタノールから再結晶化し、黄色の3結晶として得た。(0.92g、81.4%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d
6) δ 9.74 (s, 4H), 7.70 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.60 (d, J = 8.4 Hz, 8H), 7.14 - 6.91 (m, 20H), 6.91 - 6.77 (m, 12H), 3.80 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, THF) δ 186.95, 156.05, 151.39, 148.04, 144.10, 136.71, 136.15, 128.73, 127.23, 126.18, 124.70, 119.43, 119.08, 115.63, 113.26, 63.68, 53.00 ppm.分析計算値C
81H
60N
4O
8: C, 79.92; H, 4.97; N, 4.60; 実測値: C, 79.57; H, 4.92; N, 4.61.
【0101】
N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン(4):
【化21】
無水トルエン(47mL)中の化合物2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(3g、4.7mmol、1当量)及びp-アニシジン(5.9g、47.5mmol、10当量)の溶液を、アルゴンで30分間パージした。その後、酢酸パラジウム(II)(0.02当量)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.027当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(8当量)を添加し、溶液をアルゴン雰囲気下で28時間還流した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、8:17 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。淡緑色の固体を最終生成物(2.7g、71.1%)として回収した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.73 (s, 4H), 7.54 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.00 - 6.87 (m, 12H), 6.79 (d, J = 8.4 Hz, 8H), 6.23 (s, 4H), 3.67 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 154.14, 150.79, 144.28, 136.61, 132.96, 120.61, 119.86, 114.96, 113.37, 111.64, 65.48, 55.65 ppm.分析計算値C
53H
44N
4O
4: C, 79.48; H, 5.54; N, 7.00; 実測値: C, 79.77; H, 5.52; N, 7.04.
【0102】
1-ブロモ-4-(2-ブロモエトキシ)ベンゼン(5):
【化22】
アセトン(100mL)中の4-ブロモフェノール(10g、57.8mmol、1当量)及びK
2CO
3(2.2当量)の溶液に、1,2-ジブロモエタン(50g、266.2mmol、4.6当量)を添加し、3日間還流した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物をエタノール(40mL)から結晶化させた。得られた結晶を濾別し、温熱エタノールで3回洗浄して、中間体5を淡いクリーム色の結晶として回収した。(12.40g、76.7%)。NMRスペクトルは、[A.Gegout, J. L. Delgado and et. al, New J. Chem., 2009, 33, 2174]に言及されている生成物の対応するスペクトルと同一であった。
【0103】
1-ブロモ-4-(ビニルオキシ)ベンゼン(6):
【化23】
THF(15mL)中の化合物5(5g、17.9mmol、1当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(1.6当量)の溶液を一晩撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、有機溶媒を真空によって除去した。粗生成物を、n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。無色の油状物を最終生成物6(2.74g、77.1%)として回収した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.53 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.03 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.86 (2d, J
1 = 17.6, J
2 = 10.9 Hz, 1H), 4.77 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 4.52 (d, J = 10.9 Hz, 1H).
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 155.95, 148.30, 133.04, 119.24, 115.16, 96.46 ppm.分析計算値C
8H
7BrO: C, 48.27; H, 3.54; 実測値: C, 48.47; H, 3.52.
【0104】
4-メトキシ-N-[4-(ビニルオキシ)フェニル]アニリン(7)
【化24】
数滴の蒸留水(0.02当量)を含む無水ジオキサン(14mL)を、アルゴンで20分間パージした。その後、温度を80℃に上昇させ、酢酸パラジウム(II)(0.005当量)及びXPhos(0.015当量)を添加した。混合物を1.5分間撹拌し、温度を110℃に上昇させた。化合物6(2.3g、11.6mmol、1当量)、p-アニシジン(1.7g、13.9mmol、1.2当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(1.4当量)を添加し、5分間撹拌した。反応混合物をフィルタにかけ、有機溶媒を真空によって除去した。粗生成物を、1:9 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。橙色の油状物を生成物7(2.48g、88.9%)として回収した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.73 (s, 1H), 6.98 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.95 - 6.87 (m, 4H), 6.84 (d, J = 8.8 Hz, 2H), 6.73 (2d, J
1 = 17.6, J
2 = 10.9 Hz, 1H), 4.57 (d, J = 17.6 Hz, 1H), 4.33 (d, J = 10.9 Hz, 1H), 3.68 (s, 3H).
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 153.93, 150.14, 149.21, 141.40, 137.33, 119.90, 118.57, 117.05, 115.03, 93.62, 55.68 ppm.分析計算値C
15H
15NO
2: C, 74.67; H, 6.27; N, 5.81 実測値: C, 74.79; H, 6.22; N, 5.85.
【0105】
3-ブロモ-9-(4-ビニルベンジル)-9H-カルバゾール(8):
【化25】
3-ブロモカルバゾール(1g、4.1mmol、1当量)をジメチルスルホキシド(25mL)に溶解させ、アルゴンで30分間パージした。その後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.1当量)及び50%NaOH(0.4mL)溶液を添加した。反応混合物が赤色になった時、4-ビニルベンジルクロリド(0.63mL、4.5mmol、1.1当量)をゆっくりと滴下し、混合物を室温、アルゴン雰囲気下で3時間撹拌した。得られた生成物を濾別し、エタノールで洗浄して、8を白色の固体として回収した。(1.25g、85.0%)。NMRスペクトルは、[S. Daskeviciute-Geguziene, A. Magomedov and et.al, Chem. Commun., 2022, 58, 7495]に言及されている生成物の対応するスペクトルと同一であった。
【0106】
N-(4-メトキシフェニル)9-(4-ビニルベンジル)-9H-カルバゾール-3-アミン(9):
【化26】
数滴の蒸留水(0.02当量)を含む無水ジオキサン(10mL)を、アルゴンで20分間パージした。その後、温度を80℃に上昇させ、酢酸パラジウム(II)(0.005当量)及びXPhos(0.015当量)を添加した。混合物を1.5分間撹拌し、温度を110℃に上昇させた。化合物8(2g、5.5mmol、1当量)、p-アニシジン(0.8g、6.6mmol、1.2当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(1.4当量)を添加し、5分間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、1:9 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。薄灰色の固体を、生成物9として回収した。(1.74g、78.0%)。NMRスペクトルは、[S. Daskeviciute-Geguziene, A. Magomedov and et.al, Chem.Commun., 2022, 58, 7495]に言及されている生成物の対応するスペクトルと同一であった。
【0107】
例1N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-ビニルフェニル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2'7,7'-テトラアミン(スキーム1を参照、HTM1):
【化27】
無水THF(30mL)中のPPh
3CH
3Br(4当量)及びNaH(4当量)の溶液を、アルゴン雰囲気下、室温で1時間撹拌し、続いて中間体3(0.7g、0.6mmol、1当量)の無水THF(15mL)溶液を添加した。反応混合物を加熱し、80℃で22時間撹拌した。室温に冷却後、溶液を水によってクエンチし、5分間撹拌した。反応混合物をセライトに通してフィルタにかけ、酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、6:19 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。得られた生成物を、THFから15倍過剰なエタノールに析出させた。析出物を濾別し、エタノールで洗浄して、HTM1を淡黄色の固体として回収した。(0.54g、77.5%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d
6) δ 7.51 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.20 (d, J = 8.6 Hz, 8H), 6.97 (d, J = 8.6 Hz, 8H), 6.92 - 6.78 (m, 20H), 6.67 - 6.53 (m, 8H), 5.57 (d, J = 17.6 Hz, 4H), 5.05 (d, J = 10.9 Hz, 4H), 3.75 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, THF) δ 154.68, 148.14, 146.11, 144.97, 138.45, 134.54, 134.47, 128.93, 124.82, 124.81, 122.14, 119.29, 118.32, 117.12, 112.68, 108.59, 63.78, 52.76 ppm.分析計算値C
85H
68N
4O
4: C, 84.41; H, 5.67; N, 4.63; 実測値: C, 84.27; H, 5.62; N, 4.65.C
85H
68N
4O
4[M
+] 正確な質量 = 1208.52, MS (ESI) = 1209.44.
【0108】
例2N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-ビニルベンジル)-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン(スキーム2を参照、HTM2):
【化28】
ジメチルスルホキシド(35mL)中の化合物4(0.8g、1.0mmol、1当量)を溶解させ、アルゴンで30分間パージした。その後、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(0.4当量)及び50%NaOH(0.4mL)溶液を添加した。反応物の色が黒色に変わるはずであり、次いで、4-(クロロメチル)スチレン(0.73g、4.8mmol、4.8当量)をアルゴン雰囲気下でゆっくりと滴下し、室温で24時間撹拌した。反応混合物をセライトに通してフィルタにかけ、酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、1:4 v/v アセトン/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。得られた生成物は、アセトンから15倍過剰なエタノールに析出させた。析出物を濾別し、エタノールで洗浄して、HTM2を淡緑色の固体として回収した。(0.91g、72.2%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ 7.35 (d, J = 8.0 Hz, 4H), 7.28 (d, J = 7.6 Hz, 8H), 7.11 (d, J = 7.6 Hz, 8H), 6.85 (d, J = 8.0 Hz, 8H), 6.79 - 6.53 (m, 16H), 6.17 (s, 4H), 5.67 (d, J = 17.6 Hz, 4H), 5.18 (d, J = 10.9 Hz, 4H), 4.70 (s, 8H), 3.63 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 155.24, 150.15, 147.69, 140.89, 139.28, 136.78, 136.07, 133.35, 127.33, 126.55, 124.36, 120.29, 117.59, 114.91, 114.23, 112.97, 65.85, 56.02, 55.55 ppm.分析計算値C
89H
76N
4O
4: C, 84.46; H, 6.05; N, 4.43; 実測値: C, 84.57; H, 6.02; N, 4.44.C
89H
76N
4O
4[M
+] 正確な質量 = 1264.59, MS (ESI) = 1265.30.
【0109】
例3
N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス[4-(ビニルオキシ)フェニル]-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2'7,7'-テトラアミン(スキーム3を参照、HTM3):
【化29】
無水トルエン(10mL)中の化合物2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(0.5g、0.8mmol、1当量)及び化合物7(1.1g、4.7mmol、6当量)の溶液を、アルゴンで30分間パージした。その後、酢酸パラジウム(II)(0.02当量)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.027当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(6当量)を添加し、溶液をアルゴン雰囲気下で16時間還流した。室温に冷却後、反応混合物をセライトに通してフィルタにかけ、酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、1:4 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。得られた生成物を、THFから15倍過剰なエタノールに析出させた。析出物を濾別し、エタノールで洗浄して、HTM3を淡緑色の固体として回収した。(0.45g、45.3%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d
6) δ 7.45 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 6.96 - 6.87 (m, 16H), 6.87 - 6.77 (m, 20H), 6.68 (2d, J
1 = 17.6, J
2 = 10.9 Hz, 4H), 6.54 (s, 4H), 4.64 (d, J = 17.6 Hz, 4H), 4.33 (d, J = 10.9 Hz, 4H), 3.73 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, THF) δ 154.23, 150.03, 148.19, 146.94, 145.43, 141.98, 139.00, 133.85, 123.97, 122.13, 121.02, 118.04, 116.12, 115.63, 112.58, 91.34, 63.79, 52.76 ppm.分析計算値C
85H
68N
4O
8: C, 80.17; H, 5.38; N, 4.40; 実測値: C, 80.47; H, 5.39; N, 4.34.C
85H
68N
4O
8[M
+] 正確な質量 = 1272.50, MS (ESI) = 1272.96.
【0110】
例4
N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス(4-メトキシフェニル)-N
2,N
2',N
7,N
7'-テトラキス[9-(4-ビニルベンジル)-9H-カルバゾール-3-イル]-9,9'-スピロビ[フルオレン]-2,2',7,7'-テトラアミン(スキーム4を参照、HTM4):
【化30】
無水トルエン(15mL)中の化合物2,2',7,7'-テトラブロモ-9,9'-スピロビフルオレン(0.5g、0.8mmol、1当量)及び化合物9(1.9g、4.7mmol、6当量)の溶液を、アルゴンで30分間パージした。その後、酢酸パラジウム(II)(0.02当量)、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.027当量)及びナトリウムtert-ブトキシド(6当量)を添加し、溶液をアルゴン雰囲気下で18時間還流した。室温に冷却後、反応混合物をセライトに通してフィルタにかけ、酢酸エチル及び蒸留水で抽出した。有機層を無水Na
2SO
4で乾燥させ、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。粗生成物を、2:3 v/v THF/n-ヘキサンを溶出液として使用するカラムクロマトグラフィによって精製した。得られた生成物を、THFから15倍過剰なエタノールに析出させた。析出物を濾別し、エタノールで洗浄して、HTM4を淡緑色の固体として回収した。(0.98g、64.5%)。
1H NMR (400 MHz, THF-d
6) δ 7.93 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 7.82 (s, 4H), 7.44 - 7.24 (m, 24H), 7.21 - 7.04 (m, 16H), 6.96 (d, J = 8.8 Hz, 8H), 6.83 - 6.71 (m, 12H), 6.69 - 6.58 (m, 8H), 5.69 (d, J = 17.6 Hz, 4H), 5.53 (s, 8H), 5.12 (d, J = 10.9 Hz, 4H), 3.68 (s, 12H).
13C NMR (101 MHz, THF) δ 153.50, 148.25, 145.98, 140.15, 139.36, 138.70, 135.65, 135.53, 134.90, 134.64, 133.00, 124.88, 124.46, 123.70, 123.08, 122.43, 122.00, 120.96, 119.47, 118.48, 117.49, 116.88, 115.11, 114.75, 112.32, 110.88, 107.61, 107.01, 52.70, 44.05, 27.80 ppm.分析計算値 C
137H
104N
8O
4: C, 85.42; H, 5.44; N, 5.82; 実測値: C, 85.67; H, 5.49; N, 5.84.C
137H
104N
8O
4[M
+] 正確な質量 = 1924.82, MS (ESI) = 1925.76.
【0111】
例5
示差走査熱量測定
合成された9,9'-スピロビフルオレン系化合物、及び9,9'-スピロビフルオレン化合物及び2つのチオール基を有する化合物(4,4'-チオビスベンゼンチオール)を含む混合物の架橋プロセスを行う能力を評価するため、熱的特性を示差走査熱量測定(DSC)によって研究した。DSCを、窒素雰囲気下、TA Instruments Q2000示差走査熱量計で実行した。加熱及び冷却レートは、10℃分-1であった。
【0112】
両方の加熱サイクル中に吸熱の融解ピークが検出されなかったため、DSC曲線は、HTM1及びHTM2化合物の両方が非晶質状態でのみ存在することを示した(
図2のa及び
図3のa)。HTM1については、1回目のDSC加熱サイクル中、253℃での発熱プロセスのみ、この温度で熱重合が起こったことを示唆している。2回目の加熱サイクル中、相転移は観察されず、架橋されたポリマーの形成が確認された(
図2のa)。高い分子量を有する化合物HTM2については、ガラス転移プロセスが75℃で検出され、架橋プロセスは約150℃で開始し、約175℃でピークであった(
図3のa)。また、2回目の加熱サイクル中、相転移は検出されなかった。
【0113】
図2のb及び
図3のbは、9,9'-スピロビフルオレン化合物HTM1及びHTM2の間のチオール-エンクリック化学反応が、架橋温度を劇的に低下(HTM1については103℃及びHTM2については113℃)させることを示し、したがって、材料はn-i-p及びp-i-n PSCアーキテクチャの両方の用途に適している。
【0114】
例6
重合変換度の推定
ガラス基板を、TICKOPUR R30ニュートラルクリーナー(3%)での超音波処理によって清浄し、続いて蒸留水及びアセトンですすいだ。スピンコーティング用のHTMの溶液を、テトラヒドロフラン(20mg/ml)で調製した。サンプル溶液(80μl)を、事前に清浄したガラス基板(2.5cm x 2.5cm)上に滴下し、3500rpmで30秒間スピンコーティングした。結果として生じたフィルムを、ホットプレート上、空気雰囲気中、架橋の温度で、異なる期間(0、15、30、45、及び60分間)加熱した。冷却後、フィルムを別個にテトラヒドロフラン(5ml)に15分間浸した。結果として生じた溶液をさらに使用し、UV/visスペクトルを記録し、洗浄されたHTMの量を評価して、重合変換度を推定した。
【0115】
図4のa、
図4のb及び
図5のa、
図5のbにおいてプロットされたUV-vis結果は、架橋された9,9'-スピロビフルオレン化合物、及び9,9'-スピロビフルオレン化合物及び2つのチオール基を保有する化合物を含む混合物の溶剤耐性が、加熱の15分後に90~100%であったことを示唆している。これは、合成された架橋可能な9,9'-スピロビフルオレン化合物が理想的な架橋された3Dネットワークフィルムを形成し得ることを実証している。
【0116】
例7
イオン化ポテンシャル測定
合成された9,9'-スピロビフルオレン系化合物HTM1~HTM4、及び9,9'-スピロビフルオレン化合物及び2つのチオール基を保有する化合物(4,4'-チオビスベンゼンチオール)を含む混合物の層のソリッドステートイオン化ポテンシャル(I
p)を、空気中エレクトロンフォトエミッション法(E. Miyamoto, Y. Yamaguchi, M. Masaaki, Electrophotography, 1989, vol. 28, pp. 364)によって測定した。イオン化ポテンシャル測定のためのサンプルは、材料及び9,9'-スピロビフルオレン化合物及び2つのチオール基を保有する化合物を含む混合物をTHFに溶解することによって調製し、約0.5μmの厚さのメチルメタクリレート及びメタクリル酸コポリマー接着層で事前コーティングされたAlプレート上にコーティングした。輸送材料層の厚さは0.5
-1μmであった。架橋された構造のイオン化ポテンシャルを得るために、結果として生じた層をある特定の温度に30分間加熱する。フォトエミッション実験が真空中において行われ、高真空はこれらの測定のための主要な要件の1つである。真空が十分に高くない場合、サンプル表面酸化及びガス吸着が測定結果に影響を与える。我々の場合、しかしながら、調査された有機材料は酸素に対して十分に安定であり、測定は空気中で行われ得る。サンプルは、重水素ランプを備えるクォーツモノクロメーターからの単色光で照射された。入射光ビームの電力は(2-5)
.10
-8Wであった。-300Vの負の電位を、サンプル基板に印加した。照射のための4.5×15mm
2のスリットを有する対極が、サンプル表面から8mmの距離に配置された。対極は、光電流測定のためのオープン入力方式において動作する、BK2-16型の電位計の入力に接続された。10
-15~10
-12Aの強力な光電流が、照射下の回路に流れていた。光電流Iは、入射光の光子エネルギーhνに強く依存する。I
0.5=f(hν)依存性をプロットした。通常、光電流の入射光量子エネルギーに対する依存性は、閾値辺りのI
0.5及びhνの間の線形関係によってよく記述される。この依存性の線形部分はhν軸に外挿され、I
p値はインターセプションポイントでの光子エネルギーとして決定される。I
pの結果は、表1及び
図6に提示されている。
【0117】
例8
正孔のドリフト移動度測定
正孔の移動度測定のためのサンプルは、合成された9,9'-スピロビフルオレン系化合物、及び9,9'-スピロビフルオレン化合物及び2つのチオール基を保有する化合物(4,4'-チオビスベンゼンチオール)を含む混合物のTHF溶液を、導電性Al層を有するポリエステルフィルム上にスピンコーティングすることによって調製した。層の厚さは2~5μmの範囲であった。正孔のドリフト移動度を、ゼログラフィー飛行時間技法(xerpgrahic time of flight technique:XTOF)(Vaezi-Nejad, S. M., Int. J. Electronics, 1987, 62, No 3, 361-384)によって測定した。架橋された構造の正孔の移動度を得るために、結果として生じた層をある特定の温度に30分間加熱する。正のコロナ帯電により、電界が作出された。電荷キャリアが、窒素レーザのパルス(パルス持続時間2ns、波長337nm)による照射によって層表面で発生した。パルス照射の結果としての層表面ポテンシャル低下は、照射前の開始ポテンシャルの1~5%以下であった。広周波数帯電位計に接続されたキャパシタンスプローブは、表面ポテンシャル低下dU/dtのスピードを測定した。トランジット時間t
tを、両対数スケールにおけるdU/dtトランジットの曲線上のねじれによって決定した。ドリフト移動度は、式μ=d
2/U
0t
tによって算出され、ここで、dは層の厚さであり、U
0は照射時の表面ポテンシャルである。μの結果は、表1及び
図7に提示されている。
【0118】
表1
正孔輸送化合物HTM1~HTM4、架橋されたHTM1~HTM4、及び9,9'-スピロビフルオレン化合物及び4,4'-チオビスベンゼンチオール、1:2を含む架橋された混合物のイオン化ポテンシャル(I
p)及び電荷移動度値(μ)
【表1】
合成された9,9'-スピロビフルオレン系化合物の推定されたI
p値は、5.17eV~5.39eVの範囲であり、スピロOMeTADの値(5.0eV)よりもわずかに大きい。合成された化合物HTM1~HTM3、及び架橋されたHTM1~HTM3の測定された電荷移動度値はまた、スピロOMeTADに対して測定された値に匹敵する一方、化合物HTM1の電荷移動度は弱い電界において2倍上昇する。
【0119】
例10
発明されたp-i-nペロブスカイト光起電力セルの製造及び性能測定
正孔輸送化合物HTM1の性能を、FTO光アノード及びAgカソード(FTO/HTM1/混合ペロブスカイト/EDAI
2/C
60-BCP/Ag)を使用する混合ペロブスカイト系ソーラーセルで試験した(
図8)。
【0120】
透明導電性酸化物基板の調製
ガラス/FTO基板(10Ω sq-1、AGC Inc.)を亜鉛粉末及びHCl(脱イオン化水中に6M)でエッチングし、水、アセトン、界面活性剤溶液(Semico Clean 56、Furuuchi chemical)、水、及びイソプロパノール中15分間の超音波処理浴で連続的に清浄し、続いて空気銃で乾燥させ、最後にプラズマ処理した。基板を、さらなる処理のために、不活性ガスで充填されたグローブボックスに移した。
【0121】
架橋可能な正孔輸送層の調製
HTM1を、クロロベンゼン中の4,4'-チオビスベンゼンチオール(モル比=1:2、HTM1の濃度=0.125~4mg mL-1)と混合した。HTM1溶液(100μL)を、スピンコーティング(3000rpmで30秒間、5秒加速)を使用してFTO基板上に堆積させ、続いて110℃、1時間ホットプレート上で加熱した。裸のHTM1の場合、8mg mL-1のHTM1を使用した。
【0122】
ペロブスカイト層の調製
Cs0.05FA0.80MA0.15PbI2.75Br0.25前駆体溶液を、CsI(69mg、0.27mmol)、MABr(85mg、0.76mmol)、PbI2(2.24g、4.85mmol)、PbBr2(96mg、0.26mmol)、及びFAI(703mg、4.09mmol)から調製し、DMF(3.0mL)及びDMSO(0.90mL)の混合物に溶解させた。
【0123】
40℃で30分間撹拌した後、溶液を0.45μmのPTFEフィルタでフィルタにかけた。190μLの溶液を、FTO/HTM基板上に置き、スピンコーティング(スロープ1秒、1000rpmで10秒、スロープ5秒、6000rpmで20秒、スロープ1秒)により広げて薄膜を作製した。300μLのクロロベンゼンを、6000rpmでのスピンの終了前に、回転する基板上に3秒滴らせた。次いで、フィルムを、150℃、10分間ホットプレート上でアニーリングさせた。
【0124】
上記のペロブスカイトサンプルを、Ar下で真空堆積チャンバに移動させ、そこで0.5nmの二ヨウ化エチレンジアンモニウム(EDAI2)(堆積速度0.03nm s-1)を熱蒸着によって堆積させた。
【0125】
電子輸送層及び金属電極の調製上記のサンプルを、Ar下で真空堆積チャンバに移動させ、そこで20nmのC60(堆積速度0.05nm s-1)及び8nmのBCP(堆積速度0.01nm s-1)を熱蒸着によって堆積させた。
【0126】
最上の電極を、シャドーマスクにより100nmの銀(堆積速度0.005nm s-1)を堆積させることによって調製した。
【0127】
発明されたp-i-nペロブスカイト光起電力セルの性能測定製造されたペロブスカイト光起電力セルを、光電流密度-電位(J-V)特性によって評価した。結果は、
図9及び
図10に示されるように、結果として生じた層の厚さを調節した、異なる濃度のHTM1を含むPVセルの性能を示す。表2は、要約された光起電力パラメータを示す。最も高い19.3%のPCEが、2mg mL
-1のHTM1濃度を有し、ジチオールクロスリンカーを使用した時に得られた一方、裸のHTM1は18.8%のPCEを示した。
【0128】
例11
従来のn-i-pペロブスカイトソーラーセルのモジュール製造及び性能測定ペロブスカイトソーラーセルモジュールの中間層としてのHTM1の性能を、標準HTM、スピロOMeTADを用いたモジュールで使用した。
図11に概略的に示される(ITO/SnO
2/混合ペロブスカイト/HTM1/スピロOMeTAD/Au)。
【0129】
透明導電性酸化物基板の調製
ガラス/ITO基板(10Ω sq
-1)を亜鉛粉末及びHCl(脱イオン化水中に6M)でエッチングし、水、アセトン、界面活性剤溶液(Semico Clean 56、Furuuchi chemical)、水、及びイソプロパノール中15分間の超音波処理浴で連続的に清浄し、続いて空気銃で乾燥させ、最後にプラズマ処理した。基板を、さらなる処理のために、不活性ガスで充填されたグローブボックスに移した。
表2
化合物HTM1の光起電力セル性能
【表2】
SnO
2層の調製
SnO
2層を、脱イオン水で希釈したコロイド分散剤(H
2O中に15%)(体積比=1:1)をITO基板(各基板に対して400μL、スロープ2秒、3000rpmで20秒、スロープ2秒)上にスピンコーティングし、続いて150℃で30分間アニーリングすることによって調製した。プラズマ処理を、基板を室温に冷却した後に実行した後、さらなる処理のために、サンプルを不活性ガスで充填されたグローブボックスに移した。
【0130】
ペロブスカイト層の調製
Cs0.05FA0.80MA0.15PbI2.75Br0.25前駆体溶液を、CsI(69mg、0.27mmol)、MABr(85mg、0.76mmol)、PbI2(2.24g、4.85mmol)、PbBr2(96mg、0.26mmol)、及びFAI(703mg、4.09mmol)から調製し、DMF(3.0mL)及びDMSO(0.90mL)の混合物に溶解させた。
【0131】
40℃で30分間撹拌した後、溶液を0.45μmのPTFEフィルタでフィルタにかけた。190μLの溶液を、FTO/HTM基板上に置き、スピンコーティング(スロープ1秒、1000rpmで10秒、スロープ5秒、6000rpmで20秒、スロープ1秒)により広げて薄膜を作製した。300μLのクロロベンゼンを、6000rpmでのスピンの終了前に、回転する基板上に3秒滴らせた。次いで、フィルムを、150℃、10分間ホットプレート上でアニーリングさせた。
【0132】
HTM1中間層の調製
HTM1を、クロロベンゼン中の4,4'-チオビスベンゼンチオール(モル比=1:2、HTM1の濃度=1.0、2.0mg mL-1)と混合した。100μLの溶液を、ペロブスカイト層の上にスピンコーティング(3000rpmで30秒間、5秒加速)し、続いてホットプレート上、110℃で1時間加熱した。
【0133】
正孔輸送層の調製
スピロOMeTAD(0.06M)を、酸化剤[トリス(2-(1H-ピラゾール-1-イル)-4-tert-ブチルピリジン)コバルト(III)トリス(ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド)](FK209、0.15当量)と混合し、クロロベンゼン、4-tert-ブチルピリジン(tBP、3.3当量)、及びリチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(LITFSI、0.54当量)の溶液にした。70℃で30分間撹拌した後、懸濁液を0.45μmのPTFEフィルタでフィルタにかけ、不溶性のCo(II)複合体を除去した。90μLの溶液をV1382の上にスピンコーティング(スロープ4秒、4000rpmで30秒、スロープ4秒)し、続いて70℃で30分間アニーリングさせた。
【0134】
金属電極の調製金電極(80nm)を、シャドーマスクを使用してデバイスの最上面に熱堆積させた。
【0135】
従来のn-i-pペロブスカイト光起電力セルの性能測定
製造されたペロブスカイト光起電力セルを、光電流密度-電位(J-V)特性によって評価した。結果は、
図12に示されるように、中間層として作用するHTM1を含むPVセルの性能を示す。表3は、J-V曲線から抽出された光起電力パラメータを示す。デバイス構造にHTM1中間層を有すると、PCEが19.1%に改善した一方、HTM1を含まないデバイスは18.9%のPCEを示した。
図13は、最大電力点追従(mazimum power point tracking:MPPT)を示し、これは、HTM1中間層を有することがデバイス性能の安定性を向上させることを示す。
表3
化合物HTM1を含む光起電力セルの性能.
【表3】
以下に及び本文書を通して列挙された、以下の特許、出願、及び刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に取り込まれる。
参考文献
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【外国語明細書】