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特開2024-152543最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152543
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20230101AFI20241018BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241018BHJP
【FI】
C02F1/52 Z
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023089191
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】112113910
(32)【優先日】2023-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】523203263
【氏名又は名称】國立中央大學
【氏名又は名称原語表記】National Central University
【住所又は居所原語表記】No. 300, Zhongda Rd., Zhongli District, Taoyuan City 32001, Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼智遠
(72)【発明者】
【氏名】陳逸耘
【テーマコード(参考)】
4D015
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
4D015BA21
4D015CA20
4D015DA04
4D015EA03
4D015EA06
4D015EA32
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】本発明は、最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法を提供する。
【解決手段】AIoT(Artificial Intelligence of Things)を応用して、最適化凝固手順で、省エネルギーとコスト低減の目的を実現する。最適化凝固手順は、水質条件と凝集剤注入率及び撹拌速度等のトレーニングデータを利用して、AIと統計モデルで、対応する濁り変量を推定し、そして、飲料水の水質基準と薬剤及びエネルギーコストを検討した後、最適化操作パラメータを求める。結果から分かるように、最適化模型において、多重非線形回帰の正確度が比較的に高く、その二乗平均平方根誤差(root-mean-square difference, RMSD)が1.57濁り(NTU)である。言い換えれば、最適化凝固手順は、水質の変化に基づいて、的確的に、凝固に関連する操作パラメータが推定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
ジャーテストを行って凝固データを収集し、水質条件と凝固操作パラメータが含まれる、収集した凝固データを、複数の人工神経網(Artificial Neural Network, ANN)や回帰モデル(Regression Model)のトレーニングデータとして、異なる、原水の濁りや原水のpH価(pH)及び水温が含まれる水質条件と、凝集剤注入率と撹拌速度が含まれる凝固操作パラメータとに対応する濁り変量、を推定する、訓練ステップと、
訓練済みの当該らのANNと回帰モデルに、水質条件や凝集剤注入率設定値及び撹拌速度設定値を入力して、濁り変量を推定し、また、当該濁り変量と当該水質条件の原水の濁りとを比較することにより、ある実施規則に満足することと判断すれば、コストの最も低い凝集剤注入率と撹拌速度を、最も良い操作パラメータとして予測し、また、複数のANN構成と迴歸方法を比較して、当該らのANNと回帰モデルから、凝固操作パラメータ提案模型を選別する、応用ステップと、
が含まれ、
ことを特徴とする最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項2】
その中、当該濁り変量は、原水の濁りと沈殿済の水の濁りとの差である、ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項3】
その中、当該訓練ステップにおいて収集した凝固データは、複数の、区間が10 NTUでありながら、10~100 濁り(Nephelometric Turbidity Unit, NTU)に介在する原水の濁りと、複数の、区間が10 rpmでありながら、20~60 rpmに介在する撹拌速度及び、複数の、0.1~50 ppm濃度の凝集剤注入率である、ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項4】
その中、当該訓練ステップにおいて、当該ジャーテストは、
複数の、異なる濁りを有する原水を調整して、当該らの原水の濁りと原水のpH及び水温である水質条件を測定し、それから、当該複数の、濁り調整済みの原水を、夫々、ビーカーに入れ込む、サブステップ1と、
凝固剤を添加する、サブステップ2と、
高速と低速の撹拌速度を設定する、サブステップ3と、
靜置することにより、フロックを、底部に沈殿させる、サブステップ4及び、
上澄み液を取り出して、沈殿済の水の濁りや沈殿済の水のpH及び水温を測定して記録する、サブステップ5と、
が含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項5】
その中、当該凝固剤は、ポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄である、ことを特徴とする請求項1か4に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項6】
その中、当該複数の、人工神経網と回帰モデルは、逆伝搬神経回路網(Back Propagation Neural Network, BPNN)や、エクストリーム・ラーニング・マシン(Extreme Learning Machines, ELM)、多重線形回帰(Multiple Linear Regression, MLR)及び、多重非線形回帰(Multiple Nonlinear Regression, MNR)等の四種類の模型が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項7】
その中、当該応用ステップにおいて、アプリケーションに、複数組の、模擬した当該凝集剤注入率設定値と当該撹拌速度設定値を設定し、比較的低いコストである凝集剤注入率設定値と撹拌速度設定値を、最も低いコストの操作パラメータに調整させ、その中、各組の設定値収束条件の間隔が、反復時設定値の差である、ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項8】
その中、当該応用ステップが、当該実施規則を満足すると判断した後、更に、設定値の間隔を判断し、例えば、当該凝集剤注入率設定値の間隔が0.1 ppmより少ない或いは、当該撹拌速度設定値の間隔が0.1 rpmより少ないであることにより、最も良い操作パラメータを取得する、ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【請求項9】
その中、当該実施規則は、靜置沈殿後、上澄み液の濁りが、5 NTUより少ない、ことを特徴とする請求項1に記載される最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法に関し、特に、省エネルギーや投薬量コストの低下、そして、浄化効率の向上のために、人工神経網(Artificial Neural Network, ANN)や回帰モデル(Regression Model)で、最適化凝固手順を研究開発して、適切な凝集剤注入率と撹拌速度を予測するものに関する。
【背景技術】
【0002】
世界保健機関によれば、水は、生命に不可欠の要素の一である。浄水場は、人々に水道水を供給するための重要なインフラストラクチャーである。浄水場の複雑な手順において、凝固は、淨水過程の重要な一番目の手順である。既存の多数浄水場の凝固手順においての操作パラメータは、殆ど、水質監視データと定期的なジャーテストに基づいて、投薬作業を調整しながら、浄水場の作業員の主観経験で、実際の操作パラメータを判断する。しかしながら、水処理の過程において、原水に係る水質データの変異性が、大きくて、また、動的変化であるため、水質データと操作パラメータとの間に、複雑的且つ非線性の関係を持ち、そのため、即時に、異なる水質条件に応じて、投薬量を調整する場合は、余計に労働力を投入しなければならなく、そのため、既存の方法によれば、客観的要因に基づいて実際の操作パラメータを調整することは難しいから、凝固効率が低下になり、沈殿効率が悪くなって、急速濾過池の負担が増大される。上記のように、凝固の状況に応じて、即時に水処理の操作パラメータを調整することが容易ではないため、水処理効率に悪影響を与えるだけでなく、エネルギーや薬剤のコスト、そして、人件費を増大させる。
【0003】
海内外の多い研究によれば、神経ネットワークと回帰モデルで凝集剤注入率(康世芳等、1999; Deng & Lin, 2017; Santos et al., 2017; Baouab et al., 2018)を予測することにより、浄水処理の効率が向上されて、自動監視によって、即時に、適切な凝集剤注入率を実現できる。しかしながら、最適化凝固手順に対する探究が、まだ、欠如であり、また、今までに、凝固手順に対する研究は、殆ど、凝集剤注入率の制御に集中するだけで、同時に、撹拌速度(水道水設備のエンジニアリング施設標準のG値が10~75である)を検討する研究が少ない。しかしながら、凝固手順において、凝集剤注入率の制御の外に、混合速度が、凝固効率を影響する要因の一つであるため、同時に、凝集剤注入率と撹拌速度を考慮することが必要である。
【0004】
今までの関連研究は、歴史データで、モデルを作るものであり、操作員の判断決策を予測できるが、最も良いと最も低いコストの操作パラメータでは、限らない。その原因は、歴史データが、操作員の主観経験に基づくものであり、個人的な主観経験によれば、浄水処理の不安定や、必要としない投薬量、そして、エネルギーコストの向上になる。そのため、精密に投薬量と回転速度を制御して、浄水処理の効率を向上し、並びに、薬剤コストとエネルギーの節約を求める。上記のように、エネルギーとコストの節約問題と既存の技術欠点を解消できる発明は、必要とする。
【0005】
本発明者は、上記欠点を解消するため、慎重に研究し、また、学理を活用して、有効に上記欠点を解消でき、設計が合理である本発明を提案する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、従来の上記問題を解消できる、省エネルギー且つ投薬量コストの節約できるものを提供し、特に、浄化効率を向上するため、逆伝搬神経回路網(Back Propagation Neural Network, BPNN)や、エクストリーム・ラーニング・マシン(Extreme Learning Machines, ELM)、多重線形回帰(Multiple Linear Regression, MLR)及び、多重非線形回帰(Multiple Nonlinear Regression, MNR)等のアルゴリズムを利用して、最適化凝固手順の最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法を提供する。
【0007】
本発明の他の目的は、AIoT(Artificial Intelligence of Things)を応用して、最適化凝固手順を提供し、水質条件や凝集剤注入率及び、撹拌速度等のデータで、AIと統計モデルを利用して、対応する濁り変量を推定し、また、飲料水の水質基準や薬剤及びエネルギーコストを検討した後、最適化操作パラメータを求める、最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の目的を達成するため、最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法であって、少なくとも、ジャーテストを行って凝固データを収集し、水質条件と凝固操作パラメータが含まれる、収集した凝固データを、複数の人工神経網(Artificial Neural Network, ANN)や回帰モデル(Regression Model)のトレーニングデータとして、異なる、原水の濁りや原水のpH価(pH)及び水温が含まれる水質条件と、凝集剤注入率と撹拌速度が含まれる凝固操作パラメータとに対応する濁り変量、を推定する、訓練ステップと、訓練済みの当該らのANNと回帰モデルに、水質条件や凝集剤注入率設定値及び撹拌速度設定値を入力して、濁り変量を推定し、また、当該濁り変量と当該水質条件の原水の濁りとを比較することにより、ある実施規則に満足することと判断すれば、コストの最も低い凝集剤注入率と撹拌速度を、最も良い操作パラメータとして予測し、また、複数のANN構成と迴歸方法を比較して、当該らのANNと回帰モデルから、凝固操作パラメータ提案模型を選別する、応用ステップと、が含まれる、最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法である。
【0009】
本発明に係る上記実施例によれば、当該濁り変量は、原水の濁りと沈殿済の水の濁りとの差である。
【0010】
本発明に係る上記実施例によれば、当該訓練ステップにおいて収集した凝固データは、複数の、区間が10 NTUでありながら、10~100 濁り(Nephelometric Turbidity Unit, NTU)に介在する原水の濁りと、複数の、区間が10 rpmでありながら、20~60 rpmに介在する撹拌速度及び、複数の、0.1~50 ppm濃度の凝集剤注入率である。
【0011】
本発明に係る上記実施例によれば、当該訓練ステップにおいて、当該ジャーテストは、複数の、異なる濁りを有する原水を調整して、当該らの原水の濁りと原水のpH及び水温である水質条件を測定し、それから、当該複数の、濁り調整済みの原水を、夫々、ビーカーに入れ込む、サブステップ1と、凝固剤を添加する、サブステップ2と、高速と低速の撹拌速度を設定する、サブステップ3と、靜置することにより、フロックを、底部に沈殿させる、サブステップ4及び、上澄み液を取り出して、沈殿済の水の濁りや沈殿済の水のpH及び水温を測定して記録する、サブステップ5と、が含まれる。
【0012】
本発明に係る上記実施例によれば、当該凝固剤は、ポリ塩化アルミニウムや塩化第二鉄である。
【0013】
本発明に係る上記実施例によれば、当該複数の、人工神経網と回帰モデルは、逆伝搬神経回路網(Back Propagation Neural Network, BPNN)や、エクストリーム・ラーニング・マシン(Extreme Learning Machines, ELM)、多重線形回帰(Multiple Linear Regression, MLR)及び、多重非線形回帰(Multiple Nonlinear Regression, MNR)等の四種類の模型が含まれる。
【0014】
本発明に係る上記実施例によれば、当該応用ステップにおいて、アプリケーションに、複数組の、模擬した当該凝集剤注入率設定値と当該撹拌速度設定値を設定し、比較的低いコストである凝集剤注入率設定値と撹拌速度設定値を、最も低いコストの操作パラメータに調整させ、その中、各組の設定値収束条件の間隔が、反復時設定値の差である。
【0015】
本発明に係る上記実施例によれば、当該応用ステップが、当該実施規則を満足すると判断した後、更に、設定値の間隔を判断し、例えば、当該凝集剤注入率設定値の間隔が0.1 ppmより少ない或いは、当該撹拌速度設定値の間隔が0.1 rpmより少ないであることにより、最も良い操作パラメータを取得する。
【0016】
本発明に係る上記実施例によれば、当該実施規則は、靜置沈殿後、上澄み液の濁りが、5 NTUより少ない。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の特徴や技術内容について、詳しく説明するが、それらの図面等は、参考や説明のためであり、本発明は、それによって制限されることが無い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1図5Dは、夫々、本発明の最適化凝固手順の流れ概念図や本発明のジャーテスト操作の流れ概念図や本発明の第一原水の濁りの元でのジャーテストデータ関係図、本発明の第二原水の濁りの元でのジャーテストデータ関係図、本発明の第三原水の濁りの元でのジャーテストデータ関係図、本発明の最適化凝固手順の逆伝搬神経回路網モデルロス曲線図、本発明の最適化凝固手順のエクストリーム・ラーニング・マシンモデルロス曲線図、本発明の最適化凝固手順の多元線性回帰モデルロス曲線図、本発明の最適化凝固手順の多元非線性回帰モデルロス曲線図、本発明の最適化凝固手順の逆伝搬神経回路網の検証結果図、本発明の最適化凝固手順のエクストリーム・ラーニング・マシンの検証結果図、本発明の最適化凝固手順の多重線形回帰の検証結果図及び本発明の最適化凝固手順の多重非線形回帰の検証結果図である。図のように、本発明に係る最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法は、凝集剤注入率と撹拌速度を探究し、水質データが絶えずに変化するため、操作パラメータも、それに応じて動的に変更し、そのため、本発明に係る最適化凝固手順は、少なくとも、下記のステップが含まれる。
【0019】
訓練ステップs1は、ジャーテストを行って、凝固データを収集し、収集した、水質条件と凝固操作パラメータが含まれる凝固データを、複数の、人工神経網(Artificial Neural Network, ANN)と回帰モデル(Regression Model)のトレーニングデータとして、異なる水質条件と凝固操作パラメータに対応する濁り変量を推定し、その中、当該濁り変量は、原水の濁りと、沈殿済の水の濁りとの差であり、当該水質条件は、原水の濁りや原水のpH価(pH)及び水温が含まれ、当該凝固操作パラメータは、凝集剤注入率と撹拌速度が含まれる。
【0020】
応用ステップs2は、水質条件や凝集剤注入率設定値及び撹拌速度設定値が、訓練済みの当該らのANNと回帰モデルに入力されて、濁り変量を推定し、また、当該濁り変量と当該水質条件の原水の濁りとを比較することにより、ある実施規則に満足することと判断すれば、凝集剤注入率と撹拌速度のコストが最も低いものを予測して、最も良い操作パラメータとし、また、複数のANN構成と迴歸方法を比較して、当該らのANNと回帰モデルから、凝固操作パラメータ提案模型を選別し、その中、当該実施規則は、靜置沈殿後、上澄み液の濁りが、5濁り(Nephelometric Turbidity Unit, NTU)より少ない。上記の流れによって、新規の最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法が構成される。
【0021】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、当該訓練ステップs1の当該ジャーテストによって収集される凝固データは、10種類の、区間が約10 NTUであり、10~100 NTUに介在する原水の濁りや、5種類の区間が約10 rpmであり、20~60 rpmに介在する撹拌速度及び、12種類の0.1~50 ppmに介在する濃度を有する凝集剤注入率の、総計1200の凝固データが、含まれる。その中、トレーニングデータをより汎化且つ全体的になるため、本発明において、水質変異性を模擬するように、異なる濁りの原水を調整してジャーテストを行い、調整方式は、堰から採集した堆積物を、浄水場の原水に、添加して、異なる濁りを調整する。
【0022】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、当該訓練ステップs1の当該ジャーテストには、下記らのサブステップが含まれて、図2のようである。
【0023】
サブステップs11は、原水の濁りや原水のpH及び水温等のデータが含まれる、複数の、異なる濁りを有する原水を調整して、当該らの原水の水質条件を測定し、また、当該らの複数の濁り調整済みの原水を、12個の1000ミリリットルのビーカーに注入する。
【0024】
凝固剤(ポリ塩化アルミニウムと塩化第二鉄)を添加する。
【0025】
サブステップs12は、凝固剤を添加し、その中、当該凝固剤は、ポリ塩化アルミニウムと塩化第二鉄である。
【0026】
サブステップs13は、高速と低速撹拌速度を設定し、その中、高速回転速度設定が、150 rpmで、3分30秒に回転することであり、低速回転速度設定が、20~60 rpmで、41分に回転することである。
【0027】
サブステップs14は、フロックを底部に沈殿させるように靜置する。
【0028】
サブステップs15は、液面下の約2cmから、30ミリリットルの上澄み液を取り出し、沈殿済の水の濁りや沈殿済の水のpH及び水温を測定して記録する。
【0029】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、当該応用ステップs2は、アプリケーションに、複数組の、模擬の当該凝集剤注入率設定値と当該撹拌速度設定値が設定され、この実施例においては、五つ組の異なる初期設定値が設定され、コストの比較的低い凝集剤注入率設定値と撹拌速度設定値から、最も低いコストに接近する操作パラメータに調整し、各組の設定値収束条件の間隔が、反復時の設定値の差である。
【0030】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、当該応用ステップs2において、当該実施規則を満足することを判断した後、更に、当該凝集剤注入率設定値の間隔が、0.1 ppmより少ないように、或いは、当該撹拌速度設定値の間隔が、0.1 rpmより少ないように、設定値の間隔を判断して、最も良い操作パラメータを取得する。
【0031】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、分析計算する前に、データに対して、整理や統合及び転換等を行うことにより、データの欠如や雑音及びディボース値等の問題によって、結果を誤判定することを避ける。本発明は、訓練用モデルの前に行うデータの前処理は、標準化や汎化処理、そして、ジャーテスト回転速度とフィールドスピードのグラジエントの関係を了解する。
【0032】
<標準化>
訓練用モデルの時、単位の差違や、数値の大きさと変化の代表性の差違によって、分析結果が影響されるから、標準化によって、当該問題を解消する。本発明に利用される標準化方法は、式(1)、(2)のような正規化(Min-Max normalization)であり、原則として、各パラメータに、適切な値域を設定して、当該パラメータの全体比率を保つ。その中、当該ジャーテストによって収集された凝固データは、原水の濁りが、0~100 NTUに介在し、原水のpHが、0~14に介在し、ポリ塩化アルミニウム薬量が、0~50 ppmに介在し、塩化第二鉄薬量が、0~6 ppmに介在し、低速撹拌速度が、20~60 rpmに介在する。
【0033】
【数1】
【0034】
その中、当該Xが、入力パラメータの観測値で、当該Xnomが、入力パラメータの標準化値であって、当該Xminが入力パラメータの最小値であり、当該Xmaxが入力パラメータの最大値で、当該Yが出力パラメータの観測値であって、当該Ynomが出力パラメータの標準化値であり、当該Yminが出力パラメータの最小値で、当該Ymaxが出力パラメータの最大値である。
【0035】
<ジャーテスト回転速度及びフィールドスピードのグラジエントの関係>
変異性を有する撹拌速度のデータを収集するため、本発明は、ジャーテストによって、データを収集するが、ジャーテスト機は、比較的に簡単な撹拌装置であるため、フィールド凝固ユニットとの間に、所定の差違を有するから、ジャーテストに設定された撹拌速度を、数式によって、現場に利用される撹拌速度に転換することが必要である。凝固手順において、殆ど、パドル(paddle)を撹拌器として利用し、このようなパドル式のフロック機やジャーテスト機は、液体の中で回転することによって消耗された力(P)が、ニュートン力学公式によって式(3)が得られ、また、式(4)によって式(5)が得られ、式(6、7)を式(5)に導入すれば、式(8)が得られる。ジャーテスト機とフィールド撹拌機は、Gt値に対して同量処理を行うことにより転換され、即ち、フィールドのGt値が、ジャーテストのGt値に等しいから、式(9、8、10)によって、ジャーテストに設定された回転速度をフィールドに使用される回転速度に転換される。
【0036】
【数2】
【0037】
その中、当該rが、回転半径(m)で、当該vが、パドルタンジェントスピード(m/sec)であり、当該Pが必要とする軸出力(HP)であって、当該Vが体積(m3)で、当該ρが、流体密度(kg/m3)であり、当該γが、流体力学粘度(m2/sec)であって、当該Cdがインピーダンス係数で、当該μが流体粘性(kg/m・sec)であり、当該Aがパドル面積(m2)であって、当該Qが流量(CMD)である。
【0038】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、上記水質条件(データ)と操作パラメータに基づいて、初期解析を行って、淨水操作効率を評価し、凝固関連ユニットの流出水質を分析して、淨水操作パラメータと水質変化の関連性を解明する。
【0039】
図3A~3Cから分かるように、類似する水質条件の元で(図3Aに、原水の濁りが9.18~13.6 NTUに介在し、図3Bに、原水の濁りが38.6~41.9 NTUに介在し、図3Cに、原水の濁りが89~91.2 NTUに介在する)、凝集剤注入率と撹拌速度及び濁り変量の関係である。原水の濁りが9.53 NTUで、凝集剤注入率が16.3 ppmで、低速回転速度が20 rpmである場合(図3Aのように)や、原水の濁りが41.9 NTUで、凝集剤注入率が19.4 ppmで、低速回転速度が30 rpmである場合(図3Bのように)及び、原水の濁りが91.2 NTUで、凝集剤注入率が43.9 ppmで、低速回転速度が30 rpmである場合(図3Cのように)、沈殿後、最も低い濁りになる。試験によって分かるように、回転速度が向上されると、成型したフロックが、解体されて、濁り変量が比較的に不安定になり、そして、高濁りの時、回転速度が低すぎると、フロック成型に不利になる。前記の操作パラメータは、最も良い凝固効能が得られるが、本発明の目標は、実施規則(沈殿池の上澄み液の濁りが5 NTUより小さく、図の上方の点線であり、下方の点線が、参考のための清水池濁り基準の0.5 NTUである)を満足でき、凝固剤と回転速度の電力コストが、最も低いものの操作パラメータを探し、そのため、最適化凝固手順の提案は、その目的に沿って行う。
【0040】
一般として、訓練用モデルの時、トレーニングロス(training loss)とバリデーションロス(validation loss)に基づいて、模型を診断し、適正化且つ良い汎化能力を有する模型を期待する。本発明のより良い具体的な実施例によれば、当該訓練ステップs1には、図4A~4Dのように、逆伝搬神経回路網(Back Propagation Neural Network, BPNN)やエクストリーム・ラーニング・マシン(Extreme Learning Machines, ELM)、多重線形回帰(Multiple Linear Regression, MLR)及び多重非線形回帰(Multiple Nonlinear Regression, MNR)等の四種類の模型が含まれて、複数の人工神経網と回帰モデルが利用される。図4A~4Dによれば、四つの模型には、大約20期の時、training loss曲線とvalidation loss曲線が、少しずつ収束して、良いマッチングになる。
【0041】
本発明のより良い具体的な実施例によれば、本発明は、ジャーテストの凝固データに基づいて、最適化凝固手順を開発し、複数の人工神経網構成と迴歸方法を比較し、模型を選別して開発し、そして、下記の検証方法で、その正確度を検証する。
【0042】
本発明は、最適化凝固手順で、原水水質と凝集剤注入率、撹拌速度及び濁り変量の関係を究明し、ジャーテストによって得られた濁り変量を、模型検証の根拠として、模型の予測値を比較し、また、同じように、二乗平均平方根誤差(root-mean-square difference, RMSD)及び決定係数(Coefficient of determination, R2)等の評価指標を計算して、最適化凝固手順の正確度を検証する。
【0043】
以下の実施例は、ただ、本発明を説明するためのものであり、本発明の特許請求の範囲は、それによって制限されない。
【0044】
[最適化凝固手順の検証]
凝固データの収集時間は、2022年3月21日から2022年5月20日までになる。総計1200のデータ量によって、トレーニングデータに、異なる水質条件が含まれ、本発明において、データを、濁りと低速回転速度に基づいて、区間(濁りの区間が10 NTUで、回転速度の区間が10 rpmである)を分け、また、夫々、同一の濁りと回転速度の区間に対して、その90%について模型訓練とテストを行い、その他の10%について、模型検証を行う。
【0045】
入力変数は、原水の濁りや、原水のpH、ポリ塩化アルミニウム薬量、塩化第二鉄薬量及び低速回転速度であり、出力変数は、濁り変量である。模型検証のRMSDとR2値は、図5A~5Dと表一のようであり、RMSD値が小さければ、模型の予測がより的確になることを示す。結果から分かるように、逆伝搬神経回路網やエクストリーム・ラーニング・マシン、多重線形回帰及び多重非線形回帰等の四種類の模型アルゴリズムは、ともに、優れた表現を有し、その中、多重非線形回帰のRMSDの表現が比較的に良く、その次が、逆伝搬神経回路網であり、そして、多重線形回帰のRMSDの表現がやや悪い、原因は、水質データと操作パラメータとの間に、複雑な且つ非線性的な関係を有することと推定し、そのため、その関係を単純に線形回帰で解釈できない。
【0046】
【表1】
【0047】
言い換えれば、最適化凝固手順は、直接に、ジャーテストの原水水質と凝集剤注入率、撹拌速度及び濁り変量の関係を観察し、その中、逆伝搬神経回路網と多重非線形回帰の表現は、比較的に優れる。
【0048】
[結論]
本発明は、人工神経ネットワークと回帰モデルを利用して、最適化凝固手順を研究開発するため、原水の水質変化に応じて、適切な凝集剤注入率と撹拌速度を予測でき、淨水効率の向上と、藥物や電力のコストの節約を実現し、また、人工知能の補助のよって、工場操作員の負担が低下される。
【0049】
多種類の人工神経網や回帰モデルを利用して、最適化凝固手順の最適のアルゴリズムを研究開発することにより、結果から言えば、最適化凝固手順において、逆伝搬神経回路網と多重非線形回帰は、比較的に高い的確度を有し、そのRMSDは、夫々、1.64 NTUと1.57 NTUである。
【0050】
最適化凝固手順は、主として、ジャーテストにおいて、原水水質と凝集剤注入率、撹拌速度及び濁り変量の関係を観察し、その中、多重非線形回帰と逆伝搬神経回路網の予測正確度が比較的に高い。また、既存の文献は、殆ど、凝集剤注入率に対する自動化を判断し、本発明において、最適化凝固手順に、回転速度の評価を添加し、比較的且つ全面的に、凝固効率を影響する要因を検討して、手順全体がより全体的になる。言い換えれば、最適化凝固手順は、優れた予測精度を有し、また、省エネルギーと投薬量コストの低下及び浄化効率の向上等の目的が実現される。
【0051】
以上のように、本発明に係る最適化浄水処理凝固操作パラメータ提案方法は、有効的に、従来の諸欠点を解消でき、省エネルギーと投薬量コストの低減を実現でき、また、浄化効率を向上するために、逆伝搬神経回路網やエクストリーム・ラーニング・マシン、多重線形回帰及び多重非線形回帰等のアルゴリズムを利用して、最適化凝固手順を研究開発する。的確的且つ適切的な最適化凝固手順を開発するため、本発明は、ジャーテストで、異なる水質条件と操作パラメータの組み合わせである凝固データを収集し、ANNと回帰モデルを利用して、異なる水質条件と操作パラメータの濁り変量を推定し、それから、飲料水標準を満足できる、最も低いコストの凝集剤注入率と撹拌速度からなる最も良い操作パラメータを求め、そのため、本発明は、より進歩的かつより実用的で、法に従って特許請求を出願する。
【0052】
以上は、ただ、本発明のより良い実施例であり、本発明は、それによって制限されることが無く、本発明に係わる特許請求の範囲や明細書の内容に基づいて行った等価の変更や修正は、全てが、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
図1】本発明の最適化凝固手順の流れの概念図である。
図2】本発明のジャーテスト操作の流れの概念図である。
図3A】本発明の第一原水の濁りの元でのジャーテストデータの関係図である。
図3B】本発明の第二原水の濁りの元でのジャーテストデータの関係図である。
図3C】本発明の第三原水の濁りの元でのジャーテストデータの関係図である。
図4A】本発明の最適化凝固手順の逆伝搬神経回路網のモデルロス曲線図である。
図4B】本発明の最適化凝固手順のエクストリーム・ラーニング・マシンのモデルロス曲線図である。
図4C】本発明の最適化凝固手順の多元線性回帰モデルロス曲線図である。
図4D】本発明の最適化凝固手順の多元非線性回帰のモデルロス曲線図である。
図5A】本発明の最適化凝固手順の逆伝搬神経回路網の検証結果図である。
図5B】本発明の最適化凝固手順のエクストリーム・ラーニング・マシンの検証結果図である。
図5C】本発明の最適化凝固手順の多重線形回帰の検証結果図である。
図5D】本発明の最適化凝固手順の多重非線形回帰の検証結果図である。
【符号の説明】
【0054】
s1~s2、s11~s15 ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D