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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152545
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/06 20060101AFI20241018BHJP
   A47C 7/50 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60N3/06
A47C7/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091402
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】63/496248
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】平尾 勇弥
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088JA02
3B088JB02
(57)【要約】
【課題】車両用シートが備えるオットマン装置を小型化する。
【解決手段】車両用シートは、ユーザが着座するシートクッションと、シートクッションに連結されたオットマン装置3と、を備える。オットマン装置3は、シートクッションに着座するユーザの脚が載置される載置部5と、シートクッションの下方に位置する格納位置と、シートクッションの前方に位置する展開位置と、に載置部5が移動可能となるように載置部5を支持する支持部6と、載置部5が格納位置から展開位置に移動するように、載置部5に直線移動による押圧力を付与する押圧部7と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが着座するシートクッションと、前記シートクッションに連結されたオットマン装置と、を備えるシートであって、
前記オットマン装置は、
前記シートクッションに着座するユーザの脚が載置される載置部と、
前記シートクッションの下方に位置する第1位置と、前記シートクッションの前方に位置する第2位置と、に前記載置部が移動可能となるように前記載置部を支持する支持部と、
前記載置部が前記第1位置から前記第2位置に移動するように、前記載置部に直線移動による押圧力を付与する押圧部と、を備えることを特徴とするシート。
【請求項2】
請求項1に記載のシートにおいて、
前記載置部は、上下方向に回動自在に前記シートクッションに連結されるベース部と、前記ベース部に沿って摺動するように前記ベース部に支持される可動部と、を有し、
前記支持部は、前記可動部を上下方向に回動自在かつ前後方向に摺動自在に支持し、
前記押圧部は、前記第1位置に位置する前記可動部を前方に押圧することで、前記ベース部および前記可動部を上方に回動させ、かつ上方に回動した前記ベース部に沿って前記可動部を前記第2位置に向けて前方に摺動させることを特徴とするシート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートにおいて、
前記押圧部は、前記載置部に向けて直線移動可能に支持される駆動軸と、前記駆動軸を駆動させるアクチュエータと、を有することを特徴とするシート。
【請求項4】
請求項1または2に記載のシートにおいて、
前記押圧部は、シリンダピストンおよびシリンダチューブを有するシリンダを含むことを特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オットマン装置を備えたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートクッションに着座するユーザの脚が載置されるオットマン装置を備えたシートが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載のオットマン装置は、ユーザの脚が載置される載置部がアクチュエータにより駆動するリンク機構を介してシートクッションに回動自在に連結されており、リンク機構が駆動されることで載置部がシートクッションの下方に位置する格納位置からシートクッションの前方に位置する展開位置に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-248109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のシートは、載置部を格納位置から展開位置に移動させるために4節リンク機構を用いるため、オットマン装置の大型化を招く。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様であるシートは、ユーザが着座するシートクッションと、シートクッションに連結されたオットマン装置と、を備える。オットマン装置は、シートクッションに着座するユーザの脚が載置される載置部と、シートクッションの下方に位置する第1位置とシートクッションの前方に位置する第2位置とに載置部が移動可能となるように載置部を支持する支持部と、載置部が第1位置から第2位置に移動するように、載置部に直線移動による押圧力を付与する押圧部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シートが備えるオットマン装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るオットマン装置を備えた車両用シートの斜視図。
図2】本実施形態に係る車両用シートの骨格をなすシートフレームの斜視図。
図3】オットマン装置の内部構造を示す斜視図。
図4A】オットマン装置の載置部の骨格をなすオットマンフレームの斜視図。
図4B図4Aのオットマンフレームを下方から見た平面図。
図5A】オットマン装置の支持部および押圧部の斜視図。
図5B図5Aの支持部および押圧部を上方から見た平面図。
図6A】オットマン装置の格納状態を示す模式図。
図6B】オットマン装置の展開状態を示す模式図。
図7】本実施形態に係るオットマン装置の変形例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図7を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るシートは、第1位置である格納位置と第2位置である展開位置とに移動可能に構成されたオットマン装置を備えたシートであり、種々のシートに適用することができる。以下では、オットマン装置を備えたシートとして、乗り物用シート、例えば、車両用シートに適用する例を説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るオットマン装置3を備えた車両用シート1の斜視図である。なお、以下では、便宜上、図示のように前後方向、左右方向および上下方向を定義し、この定義に従い各部を説明する。図1の前後方向、左右方向および上下方向は、それぞれ車両用シート1が取り付けられる車両の前後方向、幅方向および高さ方向に一致する。
【0010】
図1に示すように、車両用シート1は、乗員が着座するシート装置2と、シート装置2に着座する乗員の脚が載置されるオットマン装置3と、を備える。シート装置2は、乗員の臀部を支持するシートクッション21と、乗員の背部を支持するシートバック22と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト23と、を有する。
【0011】
シートクッション21は、車室内に設けられる支持部24上に設けられ、支持部24の内部に設けられる左右一対のシートレール25(図2参照)の上を移動可能に構成される。支持部24は、例えば、車両の後部座席に設けられる。シートバック22は、シートクッション21の後端部に配置され、リクライニング機構26を介して、シートクッション21に対して傾動可能に構成される。またシートバック22は、中折れ機構27を有しており、中折れ機構27を介して、下方に位置する第1シートバック部22aに対して上方に位置する第2シートバック部22bが傾動可能に構成される。ヘッドレスト23は、シートバック22(第2シートバック部22b)の上端部に設けられ、乗員の頭部の位置に合わせてシートバック22に対する高さ位置を変更可能に構成される。
【0012】
図2は、本実施形態に係る車両用シート1の骨格をなすシートフレーム4の斜視図である。図2に示すように、シートフレーム4は、シートクッション21に対応するフレームであるシートクッションフレーム41と、シートバック22に対応するフレームであるシートバックフレーム42と、オットマン装置3に対応するフレームであるオットマンフレーム50と、を有する。シートクッションフレーム41、シートバックフレーム42およびオットマンフレーム50は、それぞれ、シートクッション21、シートバック22および載置部5の外形形状に沿って形成される。
【0013】
図1,2に示すように、シートクッション21は、骨格となるシートクッションフレーム41にウレタンフォームなどのクッション材からなるクッションパッド211を取り付け、さらにその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材212を被せることで構成される。クッションパッド211は、シートクッションフレーム41により支持され、乗員の臀部からの荷重を受ける受圧部として機能する。本実施形態に係るクッションパッド211は、左右方向の中央部211aと、その左右両側の側部211bとを有し、中央部211aで下方への荷重を受け、側部211bで側方への荷重を受けるように構成される。
【0014】
シートクッションフレーム41は、左右方向に延在し、シートクッションフレーム41の前部を構成する前部フレーム411と、前後方向に延在し、シートクッションフレーム41の左右側部を構成する左右一対のサイドフレーム412と、左右方向に延在し、シートクッションフレーム41の後部を構成する後部フレーム413と、を有する。前部フレーム411、左右一対のサイドフレーム412および後部フレーム413は、溶接などによって一体に結合され、シートクッションフレーム41は全体が枠状に形成される。
【0015】
枠状のシートクッションフレーム41の内側には、複数のばね部材414が前部フレーム411と後部フレーム413との間に掛け渡されるように設けられる。複数のばね部材414は、弾性変形可能な屈曲形状に構成され、ワイヤなどを折り曲げて構成される。
【0016】
枠状のシートクッションフレーム41の内側前方には、板状に形成されたパンフレーム415が設けられる。パンフレーム415は、左右方向に延在して設けられ、シートクッションフレーム41の前方において、左右一対のサイドフレーム412それぞれの下端部に溶接などによって一体に結合される。パンフレーム415の前方側における左右方向両端部の下面には、オットマンフレーム50を回動自在に連結させる回動連結部(図示せず)が設けられる。
【0017】
またシートクッションフレーム41は、支持部24内に設けられ、前後方向に延設する左右一対のシートレール25にスライド可能に係合されており、これによりシートクッション21が車室内において前後方向に移動可能である。
【0018】
シートバック22は、骨格となるシートバックフレーム42にクッション材からなるバックパッド221を取り付け、さらにその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材222を被せることで構成される。バックパッド221は、シートバックフレーム42により支持され、乗員の背部からの荷重を受ける受圧部として機能する。本実施形態に係るバックパッド221は、左右方向の中央部221aと、その左右両側の側部221bとを有し、中央部221aで後方への荷重を受け、側部221bで側方への荷重を受けるように構成される。
【0019】
シートバックフレーム42は、左右方向に延在し、シートバックフレーム42の上部を構成する上部フレーム421と、上下方向に立設され、シートバックフレーム42の左右側部を構成する左右一対のサイドフレーム422と、左右方向に延在し、シートバックフレーム42の下部を構成する下部フレーム423と、を有する。上部フレーム421、左右一対のサイドフレーム422および下部フレーム423は、溶接などによって一体に結合され、シートバックフレーム42は全体が枠状に形成される。
【0020】
左右一対のサイドフレーム422は、それぞれ、下方に位置する第1サイドフレーム422aと、上方に位置する第2サイドフレーム422bと、を有しており、第2サイドフレーム422bは、中折れ機構27を介して第1サイドフレーム422aに対して傾動可能に連結される。左右一対の第1サイドフレーム422aおよび下部フレーム423は、第1シートバック部22aを構成し、左右一対の第2サイドフレーム422bおよび上部フレーム421は、第2シートバック部22bを構成し、第2シートバック部22bが第1シートバック部22aに対して傾動可能である。
【0021】
枠状のシートバックフレーム42の内側には、バックパネル424が配置される。バックパネル424は、上下方向および左右方向に延在する弾性変形可能な板状の部材であり、樹脂などで構成される。バックパネル424は、上端が左右一対の上部連結ワイヤ425を介して左右一対のサイドフレーム422にそれぞれ支持され、下端が下部連結ワイヤ426を介して下部フレーム423に支持される。
【0022】
またシートバックフレーム42は、その下部がシートクッションフレーム41の後端部にリクライニング機構26を介して傾動可能に連結されており、これによりシートバック22がシートクッション21に対して傾動可能である。
【0023】
ヘッドレスト23は、骨格となる芯材にクッション材からなるヘッドレストパッド231を取り付け、さらにその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材232を被せることで構成される。ヘッドレスト23は、芯材に取り付けられた一対のパイプ233を、シートバックフレーム42の上部フレーム421に設けられるサポートブラケット427に挿入することでシートバックフレーム42に取り付けられる。
【0024】
図3は、オットマン装置3の内部構造を示す斜視図である。図1から図3に示すように、オットマン装置3は、シートクッションフレーム41のパンフレーム415の下面に回動自在に連結される。オットマン装置3は、乗員の脚が載置される載置部5と、載置部5がシートクッション21の下方に位置する格納位置(第1位置)とシートクッション21の前方に位置する展開位置(第2位置)との間を移動可能となるように載置部5を支持する支持部6と、載置部5が格納位置から展開位置に移動するように、載置部5に直線移動による押圧力を付与する押圧部7と、を有する(図1)。
【0025】
なお、載置部5の格納位置とは、車両用シート1に着座するユーザの脚に邪魔にならないようにシートクッション21の下方に位置する状態であり、例えば、載置面が前方を向く状態(姿勢)を含む。一方、載置部5の展開状態とは、車両用シート1に着座するユーザの脚を載置可能となるようにシートクッション21の前方に位置する状態であり、例えば、載置面が上方を向く状態(姿勢)を含む。
【0026】
図1,3に示すように、載置部5は、骨格となるオットマンフレーム50にウレタンフォームなどのクッション材からなるパッド51を取り付け、更にその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材52を被せることで構成される。パッド51は、オットマンフレーム50の載置面に相当する上面に支持され、乗員の脚からの荷重を受ける受圧部として機能する。表皮材52は、載置部5に加え、後述の支持ブラケット61を除く支持部6および押圧部7を含めた装置を一体的に被覆する。
【0027】
図4Aは、オットマンフレーム50の斜視図であり、図4Bは、図4Aのオットマンフレーム50を下方から見た平面図である。図4A,4Bに示すように、オットマンフレーム50は、パンフレーム415に回動自在に連結されるベースフレーム(ベース部)53と、ベースフレーム53に摺動自在に支持される可動フレーム(可動部)54と、を備える。
【0028】
ベースフレーム53は、左右方向に延在し、ベースフレーム53の基端部を構成する基端フレーム531と、基端フレーム531と直交する方向に延在し、ベースフレーム53の左右側部を構成する左右一対のサイドフレーム532と、左右方向に延在し、ベースフレーム53の先端部を構成する先端フレーム533と、を有する。基端フレーム531、左右一対のサイドフレーム532および先端フレーム533は、溶接などによって一体に結合され、ベースフレーム53は全体が枠状(格子状)に形成される。
【0029】
基端フレーム531には、左右方向両端部のそれぞれに、パンフレーム415の下面に設けられた回動連結部と回転軸(図示せず)を介して連結される第1回動連結部531aが設けられる。回動連結部と第1回動連結部531aとは、左右方向に延在する回転軸を介して連結されており、基端フレーム531は、この回転軸を中心に回動自在となる。すなわち、ベースフレーム53は、左右方向に延在する回転軸を中心に、パンフレーム415に対して上下方向に回動自在となる。
【0030】
可動フレーム54は、矩形板状に形成されるフレーム本体541と、左右一対のサイドフレーム532のそれぞれに摺動自在に構成される左右一対の摺動部542と、を有する。フレーム本体541は、ベースフレーム53に面して配置されており、ベースフレーム53の全体形状(枠形状)と略同一形状に形成されている。フレーム本体541の上面には、パッド51が配置される。また、フレーム本体541には、基端側に開口部543が形成されている。左右一対の摺動部542は、それぞれ、フレーム本体541の左右方向両端部に設けられており、フレーム本体541が左右一対のサイドフレーム532の延在方向に摺動可能となるように、フレーム本体541に取付けられる。本実施形態では、左右一対の摺動部542は、それぞれ、棒状のサイドフレーム532上を延在方向に摺動可能な略円筒状に形成されており、ブラケット544を介してフレーム本体541に接合されている。
【0031】
図5Aは、オットマン装置3の支持部6および押圧部7の斜視図であり、図5Bは、図5Aの支持部6および押圧部7を上方から見た平面図である。図5A,5Bに示すように、支持部6は、パンフレーム415の下面に接続される支持ブラケット61と、支持ブラケット61に支持される左右一対のガイド部62と、左右一対のガイド部62と可動フレーム54とを連結させる連結ブラケット63と、を有する。
【0032】
支持ブラケット61は、左右一対のガイド部62および押圧部7を上面で支持可能となるように、支持面(上面)61aがパンフレーム415の下面よりも下側に位置するように形成される。また支持ブラケット61の支持面61aは、パンフレーム415の下面と略平行に形成されており、これにより、左右一対のガイド部62は、パンフレーム415と略平行に前後方向に摺動し、押圧部7は、パンフレーム415と略平行に前後方向の押圧力を載置部5に付与可能となる。
【0033】
左右一対のガイド部62は、それぞれ、支持ブラケット61の支持面61aの左右方向両端部に設けられており、前後方向に延在する筒状部621と、筒状部621の内部を摺動自在に形成されるガイドレール622と、を有する。筒状部621は、溶接などによって支持ブラケット61の支持面61aと一体に結合され、筒状部621よりも摺動方向の長さが長いガイドレール622は、筒状部621の内部に摺動自在に収容される。
【0034】
連結ブラケット63は、可動フレーム54のフレーム本体541の上面に連結されている。連結ブラケット63は第2~第4回動連結部631,632,633を有しており、第2~第4回動連結部631,632,633は、フレーム本体541の開口部543に向けて延在して設けられる。第2および第3回動連結部631,632は、左右方向両端部に設けられており、第2および第3回動連結部631,632には、開口部543を介して左右一対のガイドレール622の先端部622aが連結される。第2および第3回動連結部631,632と左右一対のガイドレール622の先端部622aとは、左右方向に延在する回転軸を中心に回動自在に連結される。
【0035】
押圧部7は、支持ブラケット61の支持面61aにおける左右一対のガイド部62の間に設けられており、可動フレーム54を押圧可能に構成される駆動軸71と、駆動軸71を駆動させるアクチュエータ72と、を有する。駆動軸71は、左右一対のガイド部62と略平行に前後方向に延在し、前後方向に移動可能に支持ブラケット61の支持面61aに支持されている。駆動軸71の先端部71aは、開口部543を介して連結ブラケット63の第4回動連結部633に左右方向に延在する回転軸を中心に回動自在に連結される。連結ブラケット63の第4回動連結部633は、第2回動連結部631と第3回動連結部632との間に設けられている。
【0036】
本実施形態においては、アクチュエータ72は、スクリューモータにより構成される。アクチュエータ72は、回転軸が左右方向に延在するように支持ブラケット64の支持面64aに支持されおり、アクチュエータ72と駆動軸71とは、アクチュエータ72の回転軸から伝わる動力を駆動軸71の延在方向に変換するギア列73を介して接続されている。
【0037】
次に、上述のように構成された車両用シート1に設けられるオットマン装置3が格納状態から展開状態に変位するときの作用について説明する。図6Aは、オットマン装置3の格納状態を示す模式図であり、図6Bは、オットマン装置3の展開状態を示す模式図である。
【0038】
図6Aに示すように、ユーザが車両用シート1に着座する前は、オットマン装置3は、格納状態にある。すなわち、載置部5が格納位置に位置している。格納位置においては、載置部5の可動フレーム54に押圧力が作用しておらず、載置部5は、ベースフレーム53に対する可動フレーム54の摺動方向が前後方向となっていない状態(姿勢)にある。この状態は、押圧部7の駆動軸71の移動方向や左右一対のガイド部62それぞれのガイドレール622の摺動方向と一致していない状態である。
【0039】
この状態から車両用シート1に着座したユーザがオットマン装置3の駆動スイッチ(図示せず)をオンすると、押圧部7のアクチュエータ72が作動する。アクチュエータ72が作動すると、前方に移動しようとする押圧力が駆動軸71に作用し、駆動軸71は、直線移動による押圧力で連結ブラケット63の第4回動連結部633を介して可動フレーム54を押圧する。
【0040】
駆動軸71が連結ブラケット63を介して可動フレーム54を押圧すると、駆動軸71の直線移動による押圧力が第2~第4回動連結部631,632,633を介して回転力に変化し、ベースフレーム53および可動フレーム54を上方に回動させる。ベースフレーム53および可動フレーム54が上方に回動し、可動フレーム54のベースフレーム53に対する摺動方向が、駆動軸71の直線移動による押圧方向および左右一対のガイド部62それぞれのガイドレール622の摺動方向と同様の方向(押動可能な方向)になると、回転力が押動力に徐々に変化し、可動フレーム54がベースフレーム53に対して前方に摺動する。このようにして、載置部5の可動フレーム54が、図6Bに示す展開位置まで移動し、オットマン装置3が展開状態となる。
【0041】
以上説明したように、駆動軸71の直線移動による押圧力でベースフレーム53および可動フレーム54を上方に回動させるとともに、可動フレーム54を展開位置まで移動させるため、載置部5を除くオットマン装置3を小型化することができる。
【0042】
またこのとき、可動フレーム54がベースフレーム53に対して前方に摺動しても駆動軸71やガイドレール622も同様に前方に移動するため、載置部5、支持ブラケット61を除く支持部6および押圧部7を含めた装置を表皮材52で一体的に被覆することができる。そのため、表皮材52を必要以上に長くする必要がなくなり、外観性能が向上する。なお、支持ブラケット61やベースフレーム53とパンフレーム415との接続部には、表皮材52の移動方向に沿ったスリットを形成しておくとよい。
【0043】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る車両用シート1は、ユーザが着座するシートクッション21と、シートクッション21に連結されたオットマン装置3と、を備える(図1)。オットマン装置3は、シートクッション21に着座するユーザの脚が載置される載置部5と、シートクッション21の下方に位置する格納位置(図6A)とシートクッション21の前方に位置する展開位置(図6B)とに載置部5が移動可能となるように載置部5を支持する支持部6と、載置部5が格納位置から展開位置に移動するように、載置部5に直線移動による押圧力を付与する押圧部7と、を備える(図3図5A)。
【0044】
この構成により、4節リンク機構のような大型なリンク機構を用いることなく、載置部5を除くオットマン装置3を小型化することができる。そのため、車両用シート1を設置する車室内を有効に活用することができる。
【0045】
(2)上記の車両用シート1において、載置部5は、上下方向に回動自在にシートクッション21に連結されるベースフレーム53と、ベースフレーム53に沿って摺動するようにベースフレーム53に支持される可動フレーム54と、を有する(図3)。支持部6は、可動フレーム54を上下方向に回動自在かつ前後方向に摺動自在に支持し(図5A)、押圧部7は、格納位置に位置する可動フレーム54を前方に押圧することで、ベースフレーム53および可動フレーム54を上方に回動させ、かつ上方に回動したベースフレーム53に沿って可動フレーム54を展開位置に向けて前方に摺動させる(図6A図6B)。
【0046】
この構成により、可動フレーム54に直線移動による押圧力を付与するだけで、載置部5を格納位置から展開位置に移動させることができ、載置部5を除くオットマン装置3を小型化することができる。また、載置部5を移動させる構成を簡単な機構で構成させることができるので、メンテナンスや修理等が容易となる。
【0047】
(3)上記の車両用シート1において、押圧部7は、載置部5に向けて直線移動可能に支持される駆動軸71と、駆動軸71を駆動させるアクチュエータ72と、を有する(図5A図5B)。この構成により、少ない部品点数で押圧部を構成させることができる。
【0048】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
【0049】
図7は、本実施形態に係るオットマン装置3の変形例を示す断面図である。上記実施形態では、オットマン装置3の押圧部7として、駆動軸71およびアクチュエータ72を用いて説明したが、図7に示すように、これらに替えて、シリンダピストン74aおよびシリンダチューブ74bを有するシリンダ75を用いる構成であってもよい。シリンダ75としては、例えば、ガスダンパを用いることができ、ガスダンパの解放状態を載置部5の展開状態とし、ガスダンパの圧縮状態をロックすることで載置部5の格納状態とする構成であってもよい。ガスダンパを圧縮状態でロックするには、シート装置2に着座するユーザが脚で載置部5を押圧して格納位置まで移動させてロックさせる構成であってもよく、ユーザがケーブル等を手動で引き戻すことで格納位置まで移動させてロックさせる構成であってもよい。
【0050】
上記実施形態では、車両用シートを用いて説明したが、車両以外のシート、例えば、航空機等の乗り物用シートに用いてもよく、住宅等に用いられるソファーやマッサージチェア等に用いてもよい。また、本実施形態の車両用シート1は後部座席に用いることが好ましいが、自動運転車両の場合、車両用シート1を運転席や助手席に用いてもよい。
【0051】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 車両用シート(シート)、2 シート装置、3 オットマン装置、5 載置部、6 支持部、7 押圧部、21 シートクッション、22 シートバック、53 ベースフレーム(ベース部)、54 可動フレーム(可動部)、71 駆動軸、72 アクチュエータ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7