(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152546
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】シート
(51)【国際特許分類】
B60N 3/06 20060101AFI20241018BHJP
A47C 7/50 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B60N3/06
A47C7/50 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091403
(22)【出願日】2023-06-02
(31)【優先権主張番号】63/496248
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】大沼 弘治
(72)【発明者】
【氏名】冨田 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】平尾 勇弥
【テーマコード(参考)】
3B088
【Fターム(参考)】
3B088JA02
3B088JB02
(57)【要約】
【課題】シートに着座するユーザの姿勢をより安定させる。
【解決手段】車両用シート1は、オットマン装置3を備える。オットマン装置3は、格納位置と展開位置とに移動可能に構成された載置部5と、格納位置と展開位置とに移動可能に構成された左右一対の補助部8と、載置部5を格納位置から展開位置に移動させる押圧部7と、載置部5が格納位置にあり、かつ、左右一対の補助部8が格納位置にある状態で、押圧部7により載置部5の位置が展開位置に移動されたとき、この移動よって生じる乗員の姿勢の不安定化を抑制するように、左右一対の補助部8のそれぞれを格納位置から展開位置に移動させる第2移動部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動装置を備えたシートであって、
前記可動装置は、
第1位置と第2位置とに移動可能な第1可動部材と、
第3位置と第4位置とに移動可能な第2可動部材と、
前記第1可動部材を前記第1位置から前記第2位置に移動させる第1移動部と、
前記第1可動部材が前記第1位置にあり、かつ、前記第2可動部材が前記第3位置にある状態で、前記第1移動部により前記第1可動部材の位置が前記第2位置に移動されたとき、この移動よって生じるユーザの姿勢の不安定化を抑制するように、前記第2可動部材を前記第3位置から前記第4位置に移動させる第2移動部と、を備えることを特徴とするシート。
【請求項2】
請求項1に記載のシートにおいて、
前記第1移動部により前記第1位置から前記第2位置に移動される前記第1可動部材の移動と、前記第2移動部により前記第3位置から前記第4位置に移動される前記第2可動部材の移動と、を連動させる連動部をさらに備えることを特徴とするシート。
【請求項3】
請求項2に記載のシートにおいて、
前記第2移動部は、前記連動部により構成され、
前記連動部は、前記第2可動部材に連結される連結部材と、前記第1可動部材の移動と連動するように前記連結部材を可動させて前記第2可動部材を移動させる移動部と、を有することを特徴とするシート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のシートにおいて、
ユーザが着座するシート装置と、前記シート装置に着座するユーザの脚が載置されるオットマン装置と、を備え、
前記可動装置は、前記オットマン装置であり、
前記オットマン装置は、前記第1位置から前記第2位置に移動可能に構成され、ユーザの脚が載置される載置部と、前記第3位置から前記第4位置に移動可能に構成され、前記載置部の幅方向両側に設けられる左右一対の補助部と、を有することを特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動装置を備えたシートに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のシートとして、従来、シートクッションに着座するユーザの脚が載置されるオットマンを備えたシートが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載のシートでは、シートクッションの下方に位置する格納位置からシートクッションの前方に位置する展開位置に、オットマンが移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のシートのように、シートのある部位(例えばオットマン)を可動させると、それに伴いユーザの姿勢の安定性を損なうなどの問題を引き起こすおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様であるシートは、可動装置を備えるシートである。可動装置は、第1位置と第2位置とに移動可能な第1可動部材と、第3位置と第4位置とに移動可能な第2可動部材と、第1可動部材を第1位置から第2位置に移動させる第1移動部と、第1可動部材が第1位置にあり、かつ、第2可動部材が第3位置にある状態で、第1移動部により第1可動部材の位置が第2位置に移動されたとき、この移動よって生じるユーザの姿勢の不安定化を抑制するように、第2可動部材を第3位置から第4位置に移動させる第2移動部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シートに着座するユーザの姿勢をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るオットマン装置を備えた車両用シートの斜視図。
【
図2】本実施形態に係る車両用シートの骨格をなすシートフレームの斜視図。
【
図4】オットマン装置の載置部等の骨格をなすオットマンフレーム、左右一対の補助部の骨格をなす補助フレームおよび連動部の斜視図。
【
図5】オットマン装置の支持部および押圧部の斜視図。
【
図6】補助部が付勢部により展開状態で保持された状態を示す図。
【
図7A】載置部の格納状態におけるオットマンフレームを説明するための図。
【
図7B】載置部の展開状態におけるオットマンフレームを説明するための図。
【
図8A】左右一対の補助部の格納状態における補助フレームおよび連動部を説明するための図。
【
図8B】左右一対の補助部の展開状態における補助フレームおよび連動部を説明するための図。
【
図9】本実施形態に係るオットマン装置の第1変形例を説明するための図。
【
図10A】本実施形態に係るオットマン装置の第2変形例を説明するための図。
【
図10B】本実施形態に係るオットマン装置の第2変形例を説明するための図。
【
図11】本実施形態に係るオットマン装置の第3変形例を説明するための図。
【
図12A】本実施形態に係るオットマン装置の第4変形例を説明するための図。
【
図12B】本実施形態に係るオットマン装置の第4変形例を説明するための図。
【
図12C】本実施形態に係るオットマン装置の第4変形例を説明するための図。
【
図12D】本実施形態に係るオットマン装置の第4変形例を説明するための図。
【
図13A】本実施形態に係るシート装置の変形例を説明するための図。
【
図13B】本実施形態に係るシート装置の変形例を説明するための図。
【
図13C】本実施形態に係るシート装置の変形例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図13Cを参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るシートは、シート装置に着座したユーザの脚が載置されるオットマン装置(可動装置)を備えたシートであり、種々のシートに適用することができる。以下では、オットマン装置を備えたシートとして、乗り物用シート、例えば、車両用シートに適用する例を説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るオットマン装置3を備えた車両用シート1の斜視図である。なお、以下では、便宜上、図示のように前後方向、左右方向および上下方向を定義し、この定義に従い各部を説明する。
図1の前後方向、左右方向および上下方向は、それぞれ、車両用シート1が取り付けられる車両の前後方向、幅方向および高さ方向に一致する。
【0010】
図1に示すように、車両用シート1は、乗員が着座するシート装置2と、シート装置2に着座する乗員の脚が載置されるオットマン装置3と、を備える。シート装置2は、乗員の臀部を支持するシートクッション21と、乗員の背部を支持するシートバック22と、乗員の頭部を支持するヘッドレスト23と、を有する。
【0011】
シートクッション21は、車室内に設けられる支持部24上に設けられ、支持部24の内部に設けられる左右一対のシートレール25(
図2参照)の上を移動可能に構成される。支持部24は、例えば、車両の後部座席に設けられる。シートバック22は、シートクッション21の後端部に配置され、リクライニング機構26を介して、シートクッション21に対して傾動可能に構成される。またシートバック22は、中折れ機構27を有しており、中折れ機構27を介して、下方に位置する第1シートバック部22aに対して上方に位置する第2シートバック部22bが傾動可能に構成される。ヘッドレスト23は、シートバック22(第2シートバック部22b)の上端部に設けられ、乗員の頭部の位置に合わせてシートバック22に対する高さ位置を変更可能に構成される。
【0012】
図2は、本実施形態に係る車両用シート1の骨格をなすシートフレーム4の斜視図である。
図2に示すように、シートフレーム4は、シートクッション21に対応するフレームであるシートクッションフレーム41と、シートバック22に対応するフレームであるシートバックフレーム42と、オットマン装置3に対応するフレームであるオットマンフレーム50および補助フレーム80と、を有する。シートクッションフレーム41、シートバックフレーム42、オットマンフレーム50および補助フレーム80は、それぞれ、対応するシートクッション21、シートバック22およびオットマン装置3の外形形状に沿って形成される。
【0013】
図1,2に示すように、シートクッション21は、骨格となるシートクッションフレーム41にウレタンフォームなどのクッション材からなるクッションパッド211を取り付け、さらにその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材212を被せることで構成される。クッションパッド211は、シートクッションフレーム41により支持され、乗員の臀部からの荷重を受ける受圧部として機能する。本実施形態に係るクッションパッド211は、左右方向の中央部211aと、その左右両側の側部211bとを有し、中央部211aで下方への荷重を受け、側部211bで側方への荷重を受けるように構成される。
【0014】
シートクッションフレーム41は、左右方向に延在し、シートクッションフレーム41の前部を構成する前部フレーム411と、前後方向に延在し、シートクッションフレーム41の左右側部を構成する左右一対のサイドフレーム412と、左右方向に延在し、シートクッションフレーム41の後部を構成する後部フレーム413と、を有する。前部フレーム411、左右一対のサイドフレーム412および後部フレーム413は、溶接などによって一体に結合され、シートクッションフレーム41は全体が枠状に形成される。
【0015】
枠状のシートクッションフレーム41の内側には、複数のばね部材414が前部フレーム411と後部フレーム413との間に掛け渡されるように設けられる。複数のばね部材414は、弾性変形可能な屈曲形状に構成され、ワイヤなどを折り曲げて構成される。
【0016】
枠状のシートクッションフレーム41の内側前方には、板状に形成されたパンフレーム415が設けられる。パンフレーム415は、左右方向に延在して設けられ、シートクッションフレーム41の前方において、左右一対のサイドフレーム412それぞれの下端部に溶接などによって一体に結合される。シートクッションフレーム41の前方側における左右方向両端部の下面には、オットマンフレーム50を回動自在に連結させる回動連結部(図示せず)が設けられる。
【0017】
またシートクッションフレーム41は、支持部24内に設けられ、前後方向に延設する左右一対のシートレール25にスライド可能に係合されており、これによりシートクッション21が車室内において前後方向に移動可能である。
【0018】
シートバック22は、骨格となるシートバックフレーム42にクッション材からなるバックパッド221を取り付け、さらにその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材222を被せることで構成される。バックパッド221は、シートバックフレーム42により支持され、乗員の背部からの荷重を受ける受圧部として機能する。本実施形態に係るバックパッド221は、左右方向の中央部221aと、その左右両側の側部221bとを有し、中央部221aで後方への荷重を受け、側部221bで側方への荷重を受けるように構成される。
【0019】
シートバックフレーム42は、左右方向に延在し、シートバックフレーム42の上部を構成する上部フレーム421と、上下方向に立設され、シートバックフレーム42の左右側部を構成する左右一対のサイドフレーム422と、左右方向に延在し、シートバックフレーム42の下部を構成する下部フレーム423と、を有する。上部フレーム421、左右一対のサイドフレーム422および下部フレーム423は、溶接などによって一体に結合され、シートバックフレーム42は全体が枠状に形成される。
【0020】
左右一対のサイドフレーム422は、それぞれ、下方に位置する第1サイドフレーム422aと、上方に位置する第2サイドフレーム422bと、を有しており、第2サイドフレーム422bは、中折れ機構27を介して第1サイドフレーム422aに対して傾動可能に連結される。左右一対の第1サイドフレーム422aおよび下部フレーム423は、第1シートバック部22aを構成し、左右一対の第2サイドフレーム422bおよび上部フレーム421は、第2シートバック部22bを構成し、第2シートバック部22bが第1シートバック部22aに対して傾動可能である。
【0021】
枠状のシートバックフレーム42の内側には、バックパネル424が配置される。バックパネル424は、上下方向および左右方向に延在する弾性変形可能な板状の部材であり、樹脂などで構成される。バックパネル424は、上端が左右一対の上部連結ワイヤ425を介して左右一対のサイドフレーム422にそれぞれ支持され、下端が下部連結ワイヤ426を介して下部フレーム423に支持される。
【0022】
またシートバックフレーム42は、その下部がシートクッションフレーム41の後端部にリクライニング機構26を介して傾動可能に連結されており、これによりシートバック22がシートクッション21に対して傾動可能である。
【0023】
ヘッドレスト23は、骨格となる芯材にクッション材からなるヘッドレストパッド231を取り付け、さらにその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材232を被せることで構成される。ヘッドレスト23は、芯材に取り付けられた一対のパイプ233を、シートバックフレーム42の上部フレーム421に設けられるサポートブラケット427に挿入することでシートバックフレーム42に取り付けられる。
【0024】
図3は、オットマン装置3の内部構造を示す斜視図である。
図3に示すように、オットマン装置3は、シートクッションフレーム41に回動自在に連結される。
【0025】
オットマン装置3は、シートクッション21の下方に位置する格納位置(第1位置)とシートクッション21の前方に位置する展開位置(第2位置)との間を移動可能に構成された載置部(第1可動部材)5と、載置部5を支持する支持部6と、載置部5を押圧して格納位置から展開位置に移動させる押圧部(第1移動部)7と、載置部5と略同一平面上に位置する格納位置(第3位置)と載置部5の左右方向両側で展開される展開位置(第4位置)との間を移動可能に構成された左右一対の補助部(第2可動部材)8と、格納位置から展開位置に移動する載置部5の移動に連動して格納位置から展開位置に左右一対の補助部8それぞれを移動させる連動部(第2移動部)9と、を有する。
【0026】
なお、載置部5の格納位置とは、車両用シート1に着座するユーザの脚に邪魔にならないようにシートクッション21の下方に位置する状態であり、例えば、載置面5aが前方を向く状態(姿勢)を含む。一方、載置部5の展開状態とは、車両用シート1に着座するユーザの脚を載置可能となるようにシートクッション21の前方に位置する状態であり、例えば、載置面5aが上方を向く状態(姿勢)を含む。
【0027】
同様に、左右一対の補助部8の格納位置とは、補助面8aが載置部5の載置面5aと略同一平面上に位置する状態であり、例えば、補助面8aが載置面5aと同方向を向く状態(姿勢)を含む。一方、左右一対の補助部8の展開位置とは、載置部5に載置された乗員の脚を左右方向両側から保持可能となるように回動した状態であり、例えば、補助面8aが乗員の脚を向く状態(姿勢)を含む。
【0028】
図1,3に示すように、載置部5は、骨格となるオットマンフレーム50にウレタンフォームなどのクッション材からなるパッド51を取り付け、更にその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材52を被せることで構成される。パッド51は、オットマンフレーム50の載置面に相当する上面に支持され、乗員の脚からの荷重を受ける受圧部として機能する。表皮材52は、載置部5に加え、後述の支持ブラケット61を除く支持部6、押圧部7および連動部9の一部を含めた装置を一体的に被覆する。
【0029】
図4は、オットマン装置3の載置部5の骨格をなすオットマンフレーム50、左右一対の補助部8の骨格をなす補助フレーム80および連動部9の斜視図である。
図4に示すように、オットマンフレーム50は、パンフレーム415に回動自在に連結されるベースフレーム(ベース部)53と、ベースフレーム53に摺動自在に支持される可動フレーム(可動部)54と、を備える。
【0030】
ベースフレーム53は、左右方向に延在し、ベースフレーム53の基端部を構成する基端フレーム531と、基端フレーム531と直交する方向に延在し、ベースフレーム53の左右側部を構成する左右一対のサイドフレーム532と、左右方向に延在し、ベースフレーム53の先端部を構成する先端フレーム533と、を有する。基端フレーム531、左右一対のサイドフレーム532および先端フレーム533は、溶接などによって一体に結合され、ベースフレーム53は全体が枠状(格子状)に形成される。
【0031】
基端フレーム531には、左右方向両端部のそれぞれに、左右一対のサイドフレーム412に設けられた回動連結部と回転軸(図示せず)を介して連結される第1回動連結部531aが設けられる。回動連結部と第1回動連結部531aとは、左右方向に延在する回転軸を介して連結されており、基端フレーム531は、この回転軸を中心に回動自在となる。すなわち、ベースフレーム53は、左右方向に延在する回転軸を中心に、シートクッションフレーム41に対して上下方向に回動自在となる。
【0032】
可動フレーム54は、矩形板状に形成されるフレーム本体541と、左右一対のサイドフレーム532のそれぞれに摺動自在に構成される左右一対の摺動部542と、を有する。フレーム本体541は、ベースフレーム53に面して配置されており、ベースフレーム53の全体形状(枠形状)と略同一形状に形成されている。フレーム本体541の上面には、パッド51が配置され、フレーム本体541には、基端側に開口部541aが形成されている。左右一対の摺動部542は、それぞれ、フレーム本体541の左右方向両端部に設けられており、フレーム本体541が左右一対のサイドフレーム532の延在方向に摺動可能となるように、フレーム本体541に取付けられる。本実施形態では、左右一対の摺動部542は、それぞれ、棒状のサイドフレーム532上を延在方向に摺動可能な略円筒状に形成されており、ブラケット541bを介してフレーム本体541に接合されている。
【0033】
図5は、オットマン装置3の支持部6および押圧部7の斜視図である。
図5に示すように、支持部6は、パンフレーム415の下面に接続される支持ブラケット61と、支持ブラケット61に支持される左右一対のガイド部62と、左右一対のガイド部62と可動フレーム54とを連結させる連結ブラケット63と、を有する。
【0034】
支持ブラケット61は、左右一対のガイド部62および押圧部7を上面で支持可能となるように、支持面(上面)61aがパンフレーム415の下面よりも下側に位置するように形成される。また支持ブラケット61の支持面61aは、パンフレーム415の下面と略平行に形成されており、これにより、左右一対のガイド部62は、パンフレーム415と略平行に前後方向に摺動し、押圧部7は、パンフレーム415と略平行に前後方向の押圧力を載置部5に付与可能となる。
【0035】
左右一対のガイド部62は、それぞれ、支持ブラケット61の支持面61aの左右方向両端部に設けられており、前後方向に延在する筒状部621と、筒状部621の内部を摺動自在に形成されるガイドレール622と、を有する。筒状部621は、溶接などによって支持ブラケット61の支持面61aと一体に結合され、筒状部621よりも摺動方向の長さが長いガイドレール622は、筒状部621の内部に摺動自在に収容される。
【0036】
連結ブラケット63は、可動フレーム54のフレーム本体541の上面に連結されている。連結ブラケット63は第2~第4回動連結部631,632,633を有しており、第2~第4回動連結部631,632,633は、フレーム本体541の開口部541aに向けて延在して設けられる。第2および第3回動連結部631,632は、左右方向両端部に設けられており、第2および第3回動連結部631,632には、開口部541aを介して左右一対のガイドレール622の先端部622aが連結される。第2および第3回動連結部631,632と左右一対のガイドレール622の先端部622aとは、左右方向に延在する回転軸を中心に回動自在に連結される。
【0037】
押圧部7は、支持ブラケット61の支持面61aにおける左右一対のガイド部62の間に設けられており、可動フレーム54を押圧可能に構成される駆動軸71と、駆動軸71を駆動させるアクチュエータ72と、を有する。駆動軸71は、左右一対のガイド部62と略平行に前後方向に延在し、前後方向に移動可能に支持ブラケット61の支持面61aに支持されている。駆動軸71の先端部71aは、開口部541aを介して連結ブラケット63の第4回動連結部633に左右方向に延在する回転軸を中心に回動自在に連結される。連結ブラケット63の第4回動連結部633は、第2回動連結部631と第3回動連結部632との間に設けられている。
【0038】
本実施形態においては、アクチュエータ72は、スクリューモータにより構成される。アクチュエータ72は、回転軸が左右方向に延在するように支持ブラケット64の支持面64aに支持されおり、アクチュエータ72と駆動軸71とは、アクチュエータ72の回転軸から伝わる動力を駆動軸71の延在方向に変換するギア列73を介して接続されている。
【0039】
図1,2に示すように、左右一対の補助部8は、それぞれ、載置部5の左右方向両端部に設けられ、載置部5に回動自在に連結される。補助部8は、骨格となる補助フレーム80にウレタンフォームなどのクッション材からなる補助パッド81を取り付け、更にその外側に、合成皮革や布地からなる表皮材82を被せることで構成される。
【0040】
図3,4に示すように、補助フレーム80は、補助フレーム本体83と、補助フレーム本体83を回動自在に支持するヒンジ部84と、を備える。補助フレーム本体83は、補助フレーム80の基端部を構成する基端フレーム831と、補助フレーム本体83の側部を構成する一対のサイドフレーム832と、補助フレーム本体83の先端部を構成する先端フレーム833と、を有する。基端フレーム831、一対のサイドフレーム832および先端フレーム833は、溶接などによって一体に結合され、補助フレーム80は全体が枠状(格子状)に形成される。
【0041】
基端フレーム831は、載置部5の可動フレーム54の左右方向端部と略平行に配置され、可動フレーム54の摺動方向と略平行に延在する回転軸を有するヒンジ部84を介して、可動フレーム54のフレーム本体541の左右方向端部に回動自在に連結される。補助パッド81は、補助部8の補助面8aに相当する上面に支持され、載置部5に載置された乗員の脚からの左右方向の荷重を受ける受圧部として機能する。表皮材82は、補助フレーム80および補助パッド81等を被覆し、補助部8の外観を構成する。
【0042】
図4に示すように、連動部9は、筒状に形成されたアウターケーブル90と、アウターケーブル90内を移動可能に挿通されたインナーケーブル91(連結部材)と、インナーケーブル91の長さを可変させる可変手段92(移動部、後述の
図6参照)と、左右一対の補助部8のそれぞれを付勢して展開位置に保持させる付勢部93(後述の
図6参照)と、を有する。
【0043】
アウターケーブル90は、可動フレーム54上面の左右方向略中央部で可動フレーム54の摺動方向と略平行に配置される第1アウターケーブル901と、第1アウターケーブル901の先端から一方側の補助部8に向けて延設される第2アウターケーブル902と、第1アウターケーブル901の先端から他方側の補助部8に向けて延設される第3アウターケーブル903と、有する。第1~第3アウターケーブル901~903は、それぞれ、連通して設けられる。
【0044】
インナーケーブル91は、第1アウターケーブル901に挿通される第1インナーケーブル911と、第2アウターケーブル902に挿通される第2インナーケーブル912と、第3アウターケーブル903に挿通される第3インナーケーブル913と、を有する。第1インナーケーブル911は、一端が可変手段92に接続され、他端が二股に分岐されている。第2インナーケーブル912は、一端が第1インナーケーブル911の分岐された一方側に接続され、他端が一方側の補助フレーム80に接続される。第3インナーケーブル913は、一端が第1インナーケーブル911の分岐された他方側に接続され、他端が他方側の補助フレーム80に接続される。
【0045】
可変手段92は、左右一対の補助フレーム80のそれぞれに接続されたインナーケーブル91の長さを変更させることで、載置部5の移動に連動させて、左右一対の補助部8のそれぞれを移動(回動)させる。具体的には、可変手段92は、格納位置から展開位置に移動する載置部5の移動に連動して、左右一対の補助部8のそれぞれが、格納位置から展開位置に移動するように、左右一対の補助部8のそれぞれに接続されたインナーケーブル91の長さを変更させる。
【0046】
図6は、補助部8が付勢部93により展開状態で保持された状態を示す図である。例えば、付勢部93の付勢力に抗して補助部8を格納位置に保持した状態(
図6の破線で示す状態)のインナーケーブル91の長さを第1の長さとし、付勢部93の付勢力で補助部8が展開位置で保持された状態(
図6の実線で示す状態)のインナーケーブル91の長さを第2の長さとすると、可変手段92は、インナーケーブル91の長さが、載置部5の格納位置では第1の長さ、載置部5の展開位置では第2の長さとなるようにインナーケーブル91の長さを変更させる。この場合、インナーケーブル91の第1の長さは、第2の長さよりも短い。
【0047】
可変手段92は、例えば、インナーケーブル91を巻き上げ可能なステッピングモータ等の駆動装置により構成することができる。この場合、乗員がオットマン装置3の駆動スイッチ(図示せず)をオンすることで制御部に駆動信号が入力されると、押圧部7のアクチュエータ72および駆動装置のそれぞれに可動信号が入力される構成にするとよい。このように構成することで、押圧部7のアクチュエータ72と、インナーケーブル91を巻き上げる駆動装置とを連動して動作させることができる。また可変手段92は、シート装置2に着座した乗員により操作され、載置部5の移動に連動することなくインナーケーブル91の長さを変更させる構成であってもよい。例えば、手動の巻上げ装置を乗員に巻き上げさせる構成であってもよく、電動の巻上げ装置を乗員によりオンオフさせる構成であってもよい。
【0048】
付勢部93は、一端が補助部8の裏面に接続され、他端が可動フレーム54のフレーム本体541に接続されており、インナーケーブル91を介して接続された補助部8が格納状態と展開状態とに移動可能となるように保持する。
【0049】
次に、上述のように構成された車両用シート1に設けられるオットマン装置3が格納状態から展開状態に変位するときの作用について説明する。先ず、載置部5が格納状態から展開状態に変位するときの作用について説明する。
図7Aは、載置部5の格納状態におけるオットマンフレーム50を示す図であり、
図7Bは、載置部5の格納状態におけるオットマンフレーム50を示す図である。
【0050】
図7Aに示すように、乗員が車両用シート1に着座する前は、オットマン装置3は、格納状態にある。すなわち、載置部5が格納位置に位置している。格納位置においては、載置部5の可動フレーム54に押圧力が作用しておらず(制御部からの可動信号が入力されていない)、載置部5は、ベースフレーム53に対する可動フレーム54の摺動方向が前後方向となっていない状態(姿勢)にある。この状態は、押圧部7の駆動軸71の移動方向や左右一対のガイド部62それぞれのガイドレール622の摺動方向と一致していない状態でもある。
【0051】
この状態から車両用シート1に着座した乗員がオットマン装置3の駆動スイッチ(図示せず)をオンすると、制御部に駆動信号が入力される。制御部に駆動信号が入力されると、押圧部7のアクチュエータ72に可動信号が入力され、アクチュエータ72が作動する。アクチュエータ72が作動すると、前方に移動しようとする押圧力が駆動軸71に作用し、駆動軸71は、直線移動による押圧力で連結ブラケット63の第4回動連結部633を介して可動フレーム54を押圧する。
【0052】
駆動軸71が連結ブラケット63を介して可動フレーム54を押圧すると、駆動軸71の直線移動による押圧力が第2~第4回動連結部631,632,633を介して回転力に変化し、ベースフレーム53および可動フレーム54を上方に回動させる。ベースフレーム53および可動フレーム54が上方に回動し、可動フレーム54のベースフレーム53に対する摺動方向が、駆動軸71の直線移動による押圧方向および左右一対のガイド部62それぞれのガイドレール622の摺動方向と同様の方向(押動可能な方向)になると、回転力が押動力に徐々に変化し、可動フレーム54がベースフレーム53に対して前方に摺動する。このようにして、載置部5の可動フレーム54が、
図7Bに示す展開位置まで移動し、オットマン装置3が展開状態となる。
【0053】
次に、左右一対の補助部8が載置部5に連動して格納位置から展開位置に移動するときの作用について説明する。
図8Aは、左右一対の補助部8の格納状態における補助フレーム80および連動部9を説明するための図であり、
図8Bは、左右一対の補助部8の展開状態における補助フレーム80および連動部9を説明するための図である。
【0054】
図8Aに示すように、載置部5が格納位置に位置している状態においては、左右一対の補助部8は格納位置に位置している。補助部8の格納位置においては、インナーケーブル91の長さが第1の長さであり、インナーケーブル91に引っ張られた状態の補助フレーム80が付勢部93の付勢力に抗して格納位置で保持されている。
【0055】
この状態から車両用シート1に着座した乗員がオットマン装置3の駆動スイッチ(図示せず)をオンすると、制御部に駆動信号が入力される。制御部に駆動信号が入力されると、上述の押圧部7のアクチュエータ72に加え、可変手段92(例えば、インナーケーブル91の巻上げ装置)にも可動信号が入力され、可変手段92(巻上げ装置)も作動する。可変手段92(巻上げ装置)が作動すると、インナーケーブル91の長さが長くなり、第2の長さになる。インナーケーブル91の長さが第2の長さになると、付勢部93の付勢力により補助部8が、
図8Bに示す展開位置まで移動し、展開状態で保持される。
【0056】
以上説明したように、駆動軸71の直線移動による押圧力でベースフレーム53および可動フレーム54を上方に回動させるとともに、可動フレーム54を展開位置まで移動させるため、載置部5を除くオットマン装置3を小型化することができる。
【0057】
またこのとき、可動フレーム54がベースフレーム53に対して前方に摺動しても駆動軸71やガイドレール622も同様に前方に移動するため、支持ブラケット61を除く部分の長さの変化が少ない。そのため、支持ブラケット61を除く支持部6、押圧部7および載置部5を含めた装置を表皮材52で一体的に被覆することができる。これにより、表皮材52を必要以上に長くする必要がなくなると共に、可動時の巻き込み等もなくなり、外観性能が向上する。なお、支持ブラケット61やベースフレーム53とシートクッションフレーム41(左右一対のサイドフレーム412、パンフレーム415)との接続部には、表皮材52の移動方向に沿ったスリットを形成しておくとよい。
【0058】
さらに、載置部5の展開位置への移動に連動させて、左右一対の補助部8を展開位置に移動させるため、載置部5に載置した乗員の脚を展開位置でより安定させることができる。例えば、載置部5に載置させた乗員の脚が載置部5から落ちてしまうこと等を防止することができる。
【0059】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る車両用シート1は、オットマン装置3を備える(
図1)。オットマン装置3は、格納位置と展開位置とに移動可能に構成された載置部5と、格納位置と展開位置とに移動可能に構成された左右一対の補助部8と、載置部5を格納位置から展開位置に移動させる押圧部7と、載置部5が格納位置にあり、かつ、左右一対の補助部8が格納位置にある状態で、押圧部7により載置部5の位置が展開位置に移動されたとき、この移動よって生じる乗員の姿勢の不安定化を抑制するように、左右一対の補助部8のそれぞれを格納位置から展開位置に移動させる第2移動部(連動部9)と、を備える(
図1、
図8A、
図8B)。
【0060】
この構成により、オットマン装置3を展開位置に移動させたときの乗員の姿勢をより安定させることができる。例えば、オットマン装置3の載置部5に載置させた乗員の脚を左右一対の補助部8で左右方向から保持することで、乗員の脚がオットマン装置3から落下することを防止可能となり、シート装置2に着座する乗員の姿勢をより安定させることができる。
【0061】
(2)上記の車両用シート1において、押圧部7により格納位置から展開位置に移動される左右一対の補助部8それぞれの移動と、第2移動部により格納位置から展開位置に移動される左右一対の補助部8それぞれの移動と、を連動させる連動部9をさらに備える(
図4、
図8A、
図8B)。
【0062】
この構成により、乗員がオットマン装置3を駆動させるだけで、左右一対の補助部8も駆動させることが可能となり、より簡単に、シート装置2に着座する乗員の姿勢を安定させることができる。
【0063】
(3)上記の車両用シート1において、第2移動部は、連動部9により構成され、連動部9は、左右一対の補助部8に連結されるインナーケーブル91と、載置部5の移動と連動するようにインナーケーブル91の長さを可変させて左右一対の補助部8それぞれを移動させる可変手段92と、を有する(
図4)。この構成により、簡単な構成で、載置部5の展開位置への移動に連動させて、左右一対の補助部8を展開位置に移動させることができる。
【0064】
(4)上記の車両用シート1は、乗員が着座するシート装置2と、シート装置2に着座する乗員の脚が載置されるオットマン装置3と、を備え、可動装置は、オットマン装置3である(
図1)。オットマン装置3は、格納位置から展開位置に移動可能に構成され、乗員の脚が載置される載置部5と、格納位置から展開位置に移動可能に構成され、載置部5の幅方向両側に設けられる左右一対の補助部8と、有する(
図1)。この構成により、シート装置2に着座し、オットマン装置3に脚を載置させた乗員をよりリラックスさせることができる。
【0065】
上記実施形態に係る車両用シート1は、種々の形態に変形することができる。以下、車両用シート1の変形例について説明する。
【0066】
先ず、車両用シート1の備える可動装置の一例であるオットマン装置3の変形例について説明する。上記実施形態では、オットマン装置3の左右一対の補助部8を載置部5と連動させる連動部9として、アウターケーブル90内を挿通されたインナーケーブル91の長さを可変手段92で可変させて、付勢部93の付勢力に抗して格納位置に位置する左右一対の補助部8を展開位置に移動させる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0067】
図9は、本実施形態に係るオットマン装置3の第1変形例を説明するための図である。
図9に示すように、オットマン装置3は、例えば、左右一対の補助部8のそれぞれに掛け渡されたベルト部材94の載置部5上に位置する部分の長さを傾斜部材95の傾斜面95a上を摺動させることで可変させ、付勢部93の付勢力に抗して格納位置に位置する左右一対の補助部8のそれぞれを展開位置に移動させる構成であってもよい。この構成により、例えば、ベルト部材94の長さを可変させる電動装置等を用いることなく、かつ簡単な構成で、連動部9を設けることができる。
【0068】
図10A,10Bは、本実施形態に係るオットマン装置3の第2変形例を説明するための図である。
図10A,10Bに示すように、オットマン装置3は、例えば、左右一対の補助部8のそれぞれに傾斜部材96上を転動可能なローラ部材97を設け、このローラ部材97を傾斜部材96の傾斜面96a上を転動させることで格納位置に位置する左右一対の補助部8のそれぞれを展開位置に移動させる構成であってもよい。この構成により、例えば、ベルト部材94の長さを可変させる電動装置や左右一対の補助部8のそれぞれを付勢する付勢部93等を設けることなく、かつ簡単な構成で、連動部9を設けることができる。
【0069】
図11は、本実施形態に係るオットマン装置3の第3変形例を説明するための図である。上記実施形態では、ベースフレーム53の左右一対のサイドフレーム532上を移動する可動フレーム54の左右一対の摺動部542を、ベースフレーム53の先端フレーム533に当接させることで、可動フレーム54の移動量が規制される例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0070】
図11に示すように、オットマン装置3は、可動フレーム54の前後方向の移動量を規制部55により規制する構成であってもよい。規制部55としては、例えば、先端に係合部551を有するケーブル552と、係合部551と係合可能な被係合部553を複数有する調整部554と、ケーブル552の最大長を設定した状態でケーブル552を巻取り可能な巻取り部555と、を有する構成であってもよい。
【0071】
図11に示す規制部55では、例えば、調整部554の最後部に位置する第1被係合部553aに係合部551を係合させると、調整部554の最前部に位置する第2被係合部553bに係合部551を係合させた場合と比して、可動フレーム54の移動量を少なくすることができる。つまり、載置部5をシートクッション21側に位置させることができる。このように、可動フレーム54の移動量を少なくして載置部5をシートクッション21側に位置させることで、例えば、子供などの比較的身長が低い乗員がシート装置2に着座する場合においても、適切な位置に載置部5を位置させることができる。
【0072】
図12A~12Dは、本実施形態に係るオットマン装置3の第4変形例を説明するための図である。上記実施形態では、可動フレーム54の有するフレーム本体として、矩形板状に形成されたフレーム本体541を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0073】
図12A~12Dに示すように、可動フレーム54は、矩形板状のフレーム本体541に替えて、複数の穴部543が形成されたフレーム本体544と、複数の穴部543を貫通可能に形成される複数の突起部材545と、を有する構成であってもよい。
図12Aに示すフレーム本体544に形成される複数の穴部543は、フレーム本体544の左右方向両端部のそれぞれの領域に形成される。フレーム本体544の右端領域に形成される複数の穴部543と、左端領域に形成される複数の穴部543とは、フレーム本体544の摺動方向に延びる左右方向の中心線を中心に、対称に形成される。
【0074】
図12Aに示すフレーム本体544では、右端領域および左端領域のそれぞれに形成される複数の穴部543は、左右方向に等間隔で形成された第1列543a~第4列543dにより構成される。第1列543a~第4列543dは、それぞれ、穴部543が摺動方向に等間隔で並んで形成される。第1列543aを形成する複数の穴部543は、第4列543dを形成する複数の穴部543よりも大きく、複数の穴部543は、第1列543aから第4列543dに向かうに従い、徐々に小さくなるように形成される。
【0075】
図12C、12Dに示すように、複数の突起部材545は、それぞれ、第1列543a~第4列543dの穴部543を下方から上方に貫通可能に形成されており、第1列543aの穴部543から突出する突起部材545は、第4列543dの穴部から突出する突起部材545よりも突出量が大きくなるように形成される。すなわち、左右方向の外側に位置する穴部543から突出する突起部材545の方が内側に位置する穴部543から突出する突起部材545よりも突出量が大きくなるように形成されている。また、複数の突起部材545は、付勢部材546により突出方向である上方に向けて付勢されている。
【0076】
図12A~12Dに示す複数の突起部材545を設けることで、フレーム本体544の上面に配置されるパッド51のたわみ量を変化させることができる。例えば、フレーム本体544の右端領域および左端領域に位置するパッド51のたわみ量を左右方向の外側に向かうに従い大きくすることができる。左右方向の外側に向かうに従ってパッド51のたわみ量を大きくすることで、例えば、左右一対の補助部8を設けることなく、載置部5に載置された乗員の脚を左右方向の両側から保持させることができる。
【0077】
次に、車両用シート1の備えるシート装置2の変形例について説明する。上記実施形態では、車両用シート1の備える可動装置の一例としてオットマン装置3を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。車両用シート1の備える可動装置は、車両用シート1の備えるシート装置2にも適用することができる。
【0078】
図13A~13Cは、本実施形態に係るシート装置2の変形例を説明するための図である。上記実施形態では、リクライニング機構26を介して、シートクッション21に対してシートバック22を傾動させる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図13A~13Cに示すように、シートクッション21とシートバック22との間に、シートバック22の傾動時にこれらの隙間を埋める第1補助部85を配置し、シートクッション21に対するシートバック22の傾動に連動させて、第1補助部85を移動させて隙間を埋める構成であってもよい。
【0079】
同様に、上記実施形態では、中折れ機構27を介して、第1シートバック部22aに対して第2シートバック部22bを傾動させる例を説明したが、本発明はこれに限定されない。
図13A~13Cに示すように、シートバック22とヘッドレスト23との間に、第2シートバック部22bの傾動時にこれらの隙間を埋める第2補助部86を配置し、第1シートバック部22aに対する第2シートバック部22bの傾動に連動させて、第2補助部86を移動させて隙間を埋める構成であってもよい。
【0080】
このように第1または第2補助部85,86を配置することで、シート装置2に着座する乗員の姿勢が安定し、より快適にドライブを楽しむことができる。
【0081】
上記実施形態では、シートの一例として車両用シート1を用いて説明したが、車両以外のシート、例えば、航空機等の乗り物用シートに用いてもよく、住宅等に用いられるソファーやマッサージチェア等に用いてもよい。また、本実施形態の車両用シート1は後部座席に用いることが好ましいが、自動運転車両の場合、車両用シート1を運転席や助手席に用いてもよい。
【0082】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 車両用シート(シート)、2 シート装置(可動装置)、3 オットマン装置(可動装置)、5 載置部(第1可動部材)、6 支持部、7 押圧部(第1移動部)、8 補助部(第2可動部材)、9 連動部(第2移動部)、21 シートクッション、22 シートバック、53 ベースフレーム、54 可動フレーム