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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152549
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】トラス及びトラス施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04C 3/08 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
E04C3/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119930
(22)【出願日】2023-07-24
(31)【優先権主張番号】202310404900.1
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523187642
【氏名又は名称】中建▲鋼▼▲構▼股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523279936
【氏名又は名称】中建▲鋼▼▲構▼武▲漢▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲饒▼ 家▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 彪
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲歡▼云
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】董 晶
(72)【発明者】
【氏名】▲項▼ ▲誠▼
【テーマコード(参考)】
2E163
【Fターム(参考)】
2E163FA12
2E163FB32
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】本発明は、トラス及びトラス施工方法を提供する。トラスは下弦材、垂直材106、トラスモジュール205及び第2斜材を含み、トラスモジュール205は上弦部206及び第1斜材104を含み、上弦部206の一端は第1斜材104の上端に接続され、上弦部206と第1斜材104との夾角は鋭角であり、複数の上弦部206は共同で上弦材を構成し、第1斜材と第2斜材は水平方向に上弦材と下弦材との間に交互に設置され、トラス施工方法は、下弦材を支保工101の上部に取り付けるステップと、垂直材106の底部を下弦材の始端と接続するステップと、下弦材の始端から終端までの方向において、下弦材にトラスモジュール205と第2斜材を交互に取り付けるステップと、を含む。
【効果】本発明のトラス施工方法は、施工に必要なトラスの数を低減させ、それによってトラスの施工容易性を向上させ、トラスの施工コストを削減することができる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラスであって、
横方向に設置され、対向する始端及び終端を有する下弦材と、
垂直に設置され、底端が前記始端に接続される垂直材と、
複数設置されるトラスモジュールであって、複数の前記トラスモジュールは前記下弦材の長手方向に配置され、各前記トラスモジュールは1つの上弦部及び1つの第1斜材を含み、前記上弦部は横方向に設置され、前記上弦部の一端は前記第1斜材の上端に接続され、上弦部と第1斜材との夾角は鋭角であり、異なるトラスモジュールにそれぞれ属する複数の前記上弦部は端部同士を順に接続して上弦材を形成し、前記上弦材は前記下弦材の上方に間隔をおいて設置され、前記上弦材の一端は前記垂直材の上端に接続され、前記第1斜材の底端は前記下弦材に接続されるトラスモジュールと、
複数設置される第2斜材であって、前記第2斜材の上端は上弦部に接続され、前記始端から前記終端まで前記第1斜材と前記第2斜材は交互に設置され、前記第1斜材と前記第2斜材の傾斜方向は反対である第2斜材と、を含むことを特徴とするトラス。
【請求項2】
トラス施工方法であって、請求項1に記載のトラスを組み立てることに用いられ、
前記下弦材を支保工の上部に取り付け、前記下弦材を横方向に設置するステップと、
前記垂直材の底部を前記始端と接続し、前記垂直材を垂直に設置するステップと、
前記始端から前記終端までの方向において、前記下弦材に前記トラスモジュールと前記第2斜材を交互に取り付けるステップと、を含むことを特徴とするトラス施工方法。
【請求項3】
前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付ける前に、前記トラスモジュールを組み立てるステップをさらに含み、
前記トラスモジュールを組み立てるステップは、
支持フレームを使用して前記第1斜材を支持し、前記第1斜材を傾斜させて設置するステップと、
前記上弦部を前記第1斜材の上方に吊り上げ、前記上弦部を横方向に設置するステップと、
前記上弦部の一端を前記第1斜材の上端と接続するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のトラス施工方法。
【請求項4】
前記下弦材は端部同士が順に接続される複数の下弦部を含み、前記下弦材は前記下弦部に接続される第1連結部材をさらに含み、前記第1斜材と前記第2斜材はいずれも第1連結部材と接続可能であり、
前記下弦材を前記支保工の上部に取り付けるステップは、
複数の前記支保工を設置し、複数の前記支保工を水平方向に間隔をおいて配置するステップと、
複数の前記支保工で下弦材を共同で支え、各前記第1連結部材を1つの前記支保工の上方にそれぞれ位置させるステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のトラス施工方法。
【請求項5】
前記垂直材と接続するための前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付けるステップは、
クレーンを使用して前記トラスモジュールを所定の高さまで吊り上げるステップと、
前記クレーンと前記トラスモジュールとの接続を維持しながら、前記第1斜材の底端を前記下弦材と溶接し、前記上弦部を前記垂直材の上端と溶接するステップと、
前記クレーンと前記トラスモジュールとの接続を解除するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のトラス施工方法。
【請求項6】
前記垂直材と間隔をおいて設置される前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付けるステップは、
クレーンを使用して前記トラスモジュールを所定の高さまで吊り上げるステップと、
前記クレーンと現在吊り上げられている前記トラスモジュールとの接続を維持しながら、現在前記クレーンにより吊り上げられている前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付けられた前記トラスモジュールと溶接し、現在クレーンにより吊り上げられている前記トラスモジュールを前記下弦材と溶接するステップと、
前記クレーンと現在前記クレーンに接続されている前記トラスモジュールとの接続を解除するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のトラス施工方法。
【請求項7】
前記第2斜材を前記下弦材に取り付けるステップは、
クレーンを使用して前記第2斜材を所定の高さまで吊り上げるステップと、
前記クレーンと前記第2斜材との接続を維持しながら、前記第2斜材の上端を前記上弦部と溶接し、前記第2斜材の底端を前記下弦材と溶接するステップと、
前記クレーンと前記第2斜材との接続を解除するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のトラス施工方法。
【請求項8】
前記下弦材を前記支保工の上部に取り付けるステップは、
前記支保工の上部に当て板を取り付けるステップと、
前記下弦材を前記当て板の上方に配置するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載のトラス施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラス構造施工の技術分野に関し、特にトラス及びトラス施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トラス構造は建物で一般的に使用されている構造であり、トラスの複数の弦材が複数の三角形構造を形成できるため、トラスは良好な耐荷重性を有する。従来技術では、大型トラスの場合、施工者は通常、トラスの複数の弦材を所定の高さまで吊り上げ、その後、高所で弦材を組み立ててトラスを形成する。トラスの施工中、支保工を使用してトラス又はトラスの一部の弦材を支持する必要があり、従来技術では、大型トラスの施工には多くの支保工を使用する必要があり、その結果、トラスの施工効率が低くなり、トラスの施工コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は少なくとも従来技術に存在する技術的問題の1つを解決することを目的とする。このため、本発明は、組立が容易であり、組立に必要な支保工が少なく、トラスの施工コストの削減及びトラスの施工効率の向上に有利であるトラスを提案する。
【0004】
本発明はトラス施工方法をさらに提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様の実施例のトラスでは、横方向に設置され、対向する始端及び終端を有する下弦材と、垂直に設置され、底端が前記始端に接続される垂直材と、複数設置されるトラスモジュールであって、複数の前記トラスモジュールは前記下弦材の長手方向に配置され、各前記トラスモジュールは1つの上弦部及び1つの第1斜材を含み、前記上弦部は横方向に設置され、前記上弦部の一端は前記第1斜材の上端に接続され、上弦部と第1斜材との夾角は鋭角であり、異なるトラスモジュールにそれぞれ属する複数の前記上弦部は端部同士を順に接続して上弦材を形成し、前記上弦材は前記下弦材の上方に間隔をおいて設置され、前記上弦材の一端は前記垂直材の上端に接続され、前記第1斜材の底端は前記下弦材に接続されるトラスモジュールと、複数設置される第2斜材であって、前記第2斜材の上端は上弦部に接続され、前記始端から前記終端まで前記第1斜材と前記第2斜材は交互に設置され、前記第1斜材と前記第2斜材の傾斜方向は反対である第2斜材と、を含む。
【0006】
本発明の第2態様の実施例のトラス施工方法では、前記下弦材を支保工の上部に取り付け、前記下弦材を横方向に設置するステップと、前記垂直材の底部を前記下弦材の始端と接続し、前記垂直材を垂直に設置するステップと、前記始端から前記終端までの方向において、下弦材に前記トラスモジュールと前記第2斜材を交互に取り付けるステップと、を含む。
【0007】
本発明のいくつかの実施例では、前記トラス施工方法は、前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付ける前に、前記トラスモジュールを組み立てるステップをさらに含み、前記トラスモジュールを組み立てるステップは、支持フレームを使用して前記第1斜材を支持し、前記第1斜材を傾斜させて設置するステップと、前記上弦部を前記第1斜材の上方に吊り上げ、前記上弦部を横方向に設置するステップと、前記上弦部の一端を前記第1斜材の上端と接続するステップと、を含む。
【0008】
本発明のいくつかの実施例では、前記下弦材は端部同士が順に接続される複数の下弦部を含み、前記下弦材は前記下弦部に接続される第1連結部材をさらに含み、前記第1斜材と前記第2斜材はいずれも第1連結部材と接続可能であり、前記下弦材を前記支保工の上部に取り付けるステップは、複数の前記支保工を設置し、複数の前記支保工を水平方向に間隔をおいて配置するステップと、複数の前記支保工で下弦材を共同で支え、各前記第1連結部材を1つの前記支保工の上方にそれぞれ位置させるステップと、を含む。
【0009】
本発明のいくつかの実施例では、前記垂直材と接続するための前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付けるステップは、クレーンを使用して前記トラスモジュールを所定の高さまで吊り上げるステップと、前記クレーンと前記トラスモジュールとの接続を維持しながら、前記第1斜材の底端を前記下弦材と溶接し、前記上弦部を前記垂直材の上端と溶接するステップと、前記クレーンと前記トラスモジュールとの接続を解除するステップと、を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施例では、前記垂直材と間隔をおいて設置される前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付けるステップは、クレーンを使用して前記トラスモジュールを所定の高さまで吊り上げるステップと、前記クレーンと現在吊り上げられている前記トラスモジュールとの接続を維持しながら、現在前記クレーンにより吊り上げられている前記トラスモジュールを前記下弦材に取り付けられた前記トラスモジュールと溶接し、現在クレーンにより吊り上げられている前記トラスモジュールを前記下弦材と溶接するステップと、前記クレーンと現在前記クレーンに接続されている前記トラスモジュールとの接続を解除するステップと、を含む。
【0011】
本発明のいくつかの実施例では、前記第2斜材を前記下弦材に取り付けるステップは、クレーンを使用して前記第2斜材を所定の高さまで吊り上げるステップと、前記クレーンと前記第2斜材との接続を維持しながら、前記第2斜材の上端を前記上弦部と溶接し、前記第2斜材の底端を前記下弦材と溶接するステップと、前記クレーンと前記第2斜材との接続を解除するステップと、を含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施例では、前記下弦材を前記支保工の上部に取り付けるステップは、前記支保工の上部に当て板を取り付けるステップと、前記下弦材を前記当て板の上方に配置するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のトラス及びトラス施工方法は少なくとも以下の有益な効果を有する。トラスの上弦材は異なるトラスモジュールにそれぞれ属する複数の上弦部を互いに接続して形成されるため、トラスの組立中、トラスモジュールの第1斜材を下弦材と固定すると、トラスモジュールは下弦材に対して固定でき、上弦部も固定できる。下弦材に取り付けられるトラス数の増加に伴い、上弦材は徐々に成形される。従って、下弦材を支持するための支保工を除き、該トラスを組み立てる時、上弦材又は上弦部を支持するための支保工を別途設置する必要がなく、トラスの施工に必要な支保工の低減に有利であり、それによってトラスの施工容易性を向上させ、トラスの施工コストを削減する。
【0014】
本発明の付加的な態様及び利点は、以下の説明において部分的に与えられ、一部は以下の説明から明らかになるか、又は本発明の実施を通じて把握される。
【0015】
以下、図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施例におけるトラスの正面図である。
図2】本発明の一実施例におけるトラス施工方法の模式図である。
図3】支保工の配置完了後の模式図である。
図4図3に示す支保工に下弦材を取り付けた後の模式図である。
図5図4に示す下弦材に垂直材を取り付けた後の模式図である。
図6】1番目のトラスモジュールを下弦材、垂直材と組み立てる時の模式図である。
図7】1番目の第2斜材を1番目のトラスモジュール、下弦材と組み立てた後の模式図である。
図8図7に示す構造に複数のトラスモジュールと複数の第2斜材を継続的に取り付けた後の模式図である。
図9】支持フレームで第1斜材を支持する時の模式図である。
図10】クレーンで上弦部を第1斜材の上方に吊り上げる時の模式図である。
図11】上弦部と第1斜材を組み立ててトラスモジュールを形成した後の模式図である。
図12】クレーンで組立済みのトラスモジュールを吊り上げる時の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を詳細に説明し、前記実施例は図面において例示されており、全明細書を通して、同じ又は類似する符号は同じ又は類似する素子、或いは同じ又は類似する機能を有する素子を示す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を限定しないと理解すべきである。
【0018】
本発明の説明では、方位説明について、例えば上、下、前、後、左、右等で指示される方位又は位置関係は図示に基づく方位又は位置関係であり、本発明を簡単に説明し、且つ説明を簡素化するためのものに過ぎず、係る装置又は素子が必ず特定の方位を有したり、特定の方位で構成及び操作したりすることを指示又は暗示するわけではないことを理解する必要があり、従って、本発明を限定しないと理解すべきである。
【0019】
本発明の説明では、若干の意味は1つ以上であり、複数の意味は2つ以上であり、超え、未満、超過等は基準となる数を含まないと理解され、以上、以下、以内等は基準となる数を含むと理解される。第1、第2が言及される場合、技術的特徴を区分することを目的とするに過ぎず、相対重要性を指示又は暗示したり指示される技術的特徴の数を暗黙的に示したり指示される技術的特徴の順序関係を暗黙的に示したりしないことを理解すべきである。
【0020】
本発明の説明では、特に明確な限定がない限り、設置、取り付け、接続等の用語は広義に理解されるべきであり、当業者は技術的解決手段の具体的な内容に応じて本発明における上記用語の具体的な意味を決定することができる。
【0021】
図1、及び図3図8は本発明の一実施例におけるトラスを示す。トラスは下弦材103、トラスモジュール205、垂直材106及び第2斜材105を含む。トラスにおいて、トラスモジュール205は複数設置され、複数のトラスモジュール205は下弦材103の長手方向に配置され、図6に示すように、トラスモジュール205は第1斜材104及び上弦部206を含む。
【0022】
図5図6を比較してわかるように、トラスモジュール205は「7」字形であり、上弦部206は横方向に設置され、上弦部206の一端は第1斜材104の上端に接続され、上弦部206と第1斜材104との夾角は鋭角である。上弦部206の横方向設置とは、具体的には、上弦部206が水平に設置されることを指し、別のいくつかの実施例では、上弦部206は傾斜してもよく、上弦部206の横方向設置とは、上弦部206と水平面との夾角が20°未満であることを指す。本発明では、ほかの弦部又は弦材の横方向設置の定義は上弦部206の横方向設置の定義と同じであり、以下では重複説明を省略する。図1図8を比較してわかるように、異なるトラスモジュール205にそれぞれ属する複数の上弦部206は端部同士を順に接続して上弦材102を形成する。
【0023】
下弦材103は横方向に設置され、下弦材103は上弦材102の下方に間隔をおいて設置される。図5に示すように、下弦材103は端部同士が順に接続される複数の下弦部201を含み、また、下弦材103は端部連結部材207をさらに含み、端部連結部材207はそのうちの1つの下弦部201に接続され、下弦材103の一端に位置する。垂直材106の底端は下弦材103の一端に接続され、具体的には、垂直材106の底端は端部連結部材207に接続される。図5及び図6に示すように、垂直材106の上端は1番目のトラスモジュール205の上弦部206と接続することに用いられ、それによって垂直材106の上端と上弦材102の一端との接続を実現する。
【0024】
図1に示すように、第1斜材104及び第2斜材105はいずれも上弦材102と下弦材103との間に位置し、第1斜材104の底端及び第2斜材105の底端はいずれも下弦材103に接続され、第2斜材105の上端及び第1斜材104の上端はいずれも上弦材102に接続される。そして、隣接する1つの第1斜材104と1つの第2斜材105の傾斜方向は反対である。本発明における第1斜材104と第2斜材105の傾斜方向が反対であることは、第1斜材104の上端が第1斜材104の底端の左側にあると、第2斜材105の上端が第2斜材105の底端の右側にあり、第1斜材104の上端が第1斜材104の底端の右側にあると、第2斜材105の上端が第2斜材105の底端の左側にあることを指す。
【0025】
下弦材103の垂直材106と接続するための端を始端(始端は図面における下弦材103の左端に対応する)と呼び、下弦材103の始端と対向する端を終端(終端は図面における下弦材103の右端に対応する)と呼ぶ場合、始端から終端までの方向において、第1斜材104と第2斜材105は交互に設置される(図8参照)。図8に示すように、第1斜材104と第2斜材105が交互に設置されることは、始端から終端まで、隣接する2つの第2斜材105の間に1つの第1斜材104が設置され、隣接する2つの第1斜材104の間に1つの第2斜材105が設置されることを意味する。
【0026】
上記トラスに基づいて、本発明はトラス施工方法を提供し、図2に示すように、該施工方法は、
下弦材103を支保工101の上部に取り付け、下弦材103を横方向に設置するステップS10と、
垂直材106の底部を下弦材103の始端と接続し、垂直材106を垂直に設置するステップS20と、
始端から終端までの方向において、下弦材103にトラスモジュール205と第2斜材105を交互に取り付けるステップS30と、を含む。
【0027】
上記方法に係る支保工101は、荷重を支持するためのフレームとして理解でき、支保工101は建築分野で一般的に使用されている補助ツーリングであり、支保工101の構造については本発明では具体的に説明しない。図3図8に示すように、トラスを支持するための支保工101は複数設置されてもよく、複数の支保工101は水平方向に間隔をおいて設置される。トラス組立を完了し、トラスと建物のほかの部分とを互いに固定した後、支保工101を撤去し、それによってトラスを片持ちトラスとする。
【0028】
上記方法は図3図8と併せて理解することができる。図3は支保工101の模式図であり、下弦材103を支保工101の上部に取り付けた後(即ち、ステップS10を完了した後)、下弦材103と支保工101との相対位置は図4に示される(下弦材103は端部連結部材207及び複数の下弦部201を含む)。図4をもとに、垂直材106を下弦材103と接続した後(即ち、ステップS20を完了した後)、下弦材103、及び垂直材106の状態は図5に示される。以下、ステップS30におけるトラスモジュール205及び第2斜材105の取り付けを説明する。順に図5及び図6に参照されるように、垂直材106の取り付けを完了した後、施工者はまず1つのトラスモジュール205を下弦材103の上方に吊り上げ、その後、該トラスモジュール205の上弦部206を垂直材106の上端と接続し、トラスモジュール205の第1斜材104の底端を下弦材103と接続する。このようにして、トラスモジュール205と下弦材103、垂直材106が相対的に固定される。さらに順に図6及び図7に参照されるように、1番目のトラスモジュール205の取り付けを完了した後、施工者は1つの第2斜材105を下弦材103の上方に吊り上げ、次に、第2斜材105の底端を下弦材103と接続し、第2斜材105の上端をトラスモジュール205の上弦部206と接続する。
【0029】
1番目のトラスモジュール205及び1番目の第2斜材105の取り付けを完了した後、残りのトラスモジュール205及び第2斜材105を交互に取り付ける。複数のトラスモジュール205及び複数の第2斜材105を取り付けた後、トラスの状態は図8に示される。なお、図7及び図8に示すように、1番目のトラスモジュール205(垂直材106に接続されるトラスモジュール205)を除き、残りのトラスモジュール205は取り付け時に、垂直材106と接続されるのではなく、実際に前に取り付けられたトラスモジュール205と接続される。
【0030】
従来技術では、トラスを組み立てるために、通常、まず支保工101を使用して上弦材102及び下弦材103を支持し、その後、上弦材102と下弦材103との間に斜材を取り付ける必要がある。一方、本発明は、支保工101を使用して上弦材102を下弦材103の上方に支持するのではなく、トラスモジュール205の接合によって複数の上弦部206を組み立てて上弦材102を形成する。本発明の施工方法は、上弦材102を支持するための支保工101を省くことができ、それによって施工中に使用される支保工101の数を低減させ、さらにトラスの施工コストを削減し、トラスの施工効率を向上させる。
【0031】
以下、本発明の施工方法のほかの詳細を追加する。
【0032】
図3に示すように、一実施例では、下弦材103は複数の下弦部201を含み、各下弦部201は1つの第1連結部材202を含む。第1連結部材202は第1溶接部203及び第2溶接部204を含み、第1溶接部203と第2溶接部204の底端は接続され、第1溶接部203の上端と第2溶接部204の上端は間隔をおいて設置され、それによって第1連結部材202を「V」字形にする。図8に示すように、第1溶接部203はトラスモジュール205の第1斜材104の底端と溶接することに用いられ、第2溶接部204は第2斜材105の底端と溶接することに用いられる。
【0033】
下弦材103が複数の下弦部201を含む場合、一実施例では、上記言及されたステップS10における「下弦材103を支保工101の上部に取り付ける」は、具体的には、
複数の支保工101を設置し、複数の支保工101を水平方向に間隔をおいて配置する(図3参照)ステップS101と、
複数の支保工101で下弦材103を共同で支え、各第1連結部材202を1つの支保工101の上方にそれぞれ位置させる(図5参照)ステップS102と、を含む。
【0034】
第1連結部材202は第1斜材104と第2斜材105を接続することに用いられ、従って、第1連結部材202は下弦部201の受ける力の集中部である。第1連結部材202を1つの支保工101の上方にそれぞれ設置することは、支保工101が下弦部201の受ける力の集中点を支持できることを意味し、このようにして、支保工101が下弦材103を全体的に支持する効果を向上させ、トラス施工中の安全性を向上させることに有利である。
【0035】
一実施例では、「下弦材103を支保工101の上部に取り付ける」は、まず、支保工101の上部に当て板(当て板は図示せず)を取り付け、その後、下弦材103を当て板の上方に配置するステップをさらに含む。支保工101の上部に当て板を取り付けることで、トラスの位置要件を満たすように下弦材103の標高を容易に調整できる。なお、施工者はさらに下弦材103の標高要件を満たすように当て板の厚さ又は当て板の数を調整することができる。
【0036】
トラスモジュール205を下弦材103に取り付ける前に、まずトラスモジュール205を製造する必要がある。トラスモジュール205を組み立てるステップとステップS10、ステップS20の時間順について厳密な要件はなく、例えば、トラスモジュール205はステップS20の後に組み立てられてもよく、ステップS10の前に組み立てられてもよい。一実施例では、トラスモジュール205を組み立てるステップは具体的には、
支持フレーム303を使用して第1斜材104を支持し、第1斜材104を傾斜させて設置するステップS01と、
上弦部206を第1斜材104の上方に吊り上げ、上弦部206を横方向に設置するステップS02と、
上弦部206の一端を第1斜材104の上端と接続するステップS03と、を含む。
【0037】
トラスモジュール205を組み立てるプロセスは図9図11と併せて理解することができる。トラスモジュール205の組立中に使用される支持フレーム303は、下弦材103を支持するための支保工101とは異なる。支持フレーム303は第1斜材104を支持した後(ステップS01に対応する)、第1斜材104の状態は図9に示され、地面304は第1斜材104の底端に当接し、支持フレーム303は第1斜材104の側部に当接して第1斜材104を支持する。その後、施工者はクレーンを使用して上弦部206を第1斜材104の上方に吊り上げ(図10参照)、その後、上弦部206の一端を第1斜材104の上端と接続する(図11参照)ことができる。図面にはクレーン全体が示されず、クレーンのフック301のみが示され、フック301はロープ302を引っ掛け、ロープ302はさらにトラスモジュール205に接続され、フック301は上昇すると、トラスモジュール205を吊り上げることができる。ステップS03を実行する時、施工者は上弦部206と第1斜材104を仮接続し、後続でステップS30を実行する時、上弦部206と第1斜材104を溶接する。仮接続の手段は図11を参照でき、施工者は仮接続板306及び2つの手動式チェーンホイスト305を設置でき、手動式チェーンホイスト305は上弦部206及び第1斜材104を引っ張り、仮接続板306はボルトを介して上弦部206、第1斜材104に接続される。図12に示すように、トラスモジュールの組立を完了した後、施工者はクレーンを使用してトラスモジュール205全体を吊り上げてトラスモジュール205を支持フレーム303から分離することができる。トラスモジュール205を支持フレーム303から分離した後、トラスモジュール205は下弦材103の上方に吊り上げられる(図6参照)。
【0038】
上弦材102が複数の上弦部206からなる場合、各上弦部206は第2連結部材208を含む。図10に示すように、第2連結部材208もV字形であり、第2連結部材208は第3溶接部209及び第4溶接部210を含む。第3溶接部209は第1斜材104の上端と溶接することに用いられ、第4溶接部210は第2斜材105の上端と溶接することに用いられる。
【0039】
本発明では、異なる弦材又は弦部間の接続手段はいずれも溶接に設定されてもよい。一実施例では、垂直材106と接続するためのトラスモジュール205(図6図8では、左から1番目のトラスモジュール205)を下弦材103に取り付けるステップは、
クレーンを使用してトラスモジュール205を所定の高さまで吊り上げるステップS301と、
クレーンとトラスモジュール205との接続を維持しながら、第1斜材104の底端を下弦材103と溶接し、上弦部206を垂直材106の上端と溶接するステップS302と、
クレーンとトラスモジュール205との接続を解除するステップS303と、によって実現され得る。
【0040】
上記設置形態では、トラスモジュール205と下弦材103及び垂直材106との溶接中、クレーンはトラスモジュール205と接続し続け、クレーンはトラスモジュール205に対して一定の支持作用を発揮し、施工者は支保工101を別途使用してトラスモジュール205を支持する必要がない。
【0041】
同様に、垂直材106と間隔をおいて設置されるトラスモジュール205を下弦材103に取り付けるステップは、
クレーンを使用してトラスモジュール205を所定の高さまで吊り上げるステップS304と、
クレーンと現在クレーンに接続されているトラスモジュール205との接続を維持しながら、現在クレーンにより吊り上げられているトラスモジュール205を下弦材103に取り付けられたトラスモジュール205と溶接し、現在クレーンにより吊り上げられているトラスモジュール205を下弦材103と溶接するステップS305と、
クレーンと現在クレーンに接続されているトラスモジュール205との接続を解除するステップS306と、によって実現され得る。
【0042】
同様に、第2斜材105を取り付けるステップは、
クレーンを使用して第2斜材105を所定の高さまで吊り上げるステップS307と、
クレーンと第2斜材105との接続を維持しながら第2斜材105の上端を上弦部206と溶接し、第2斜材105の底端を下弦材103と溶接するステップS308と、
クレーンと第2斜材105との接続を解除するステップS309と、によって実現され得る。
【0043】
ステップS307~ステップS309によって第2斜材105の取り付けを実現することで、クレーンは第2斜材105に対して一定の支持作用を発揮し、支保工101によって第2斜材105を支持する必要がないという利点を持つ。
【0044】
なお、本発明は「S10」、「S301」等の番号で施工方法の異なるステップを示すが、これらの番号は主に施工方法の説明を容易にするためのものであり、特に断らない限り、2つの番号の大きさは2つのステップの順序を厳密に限定しない。
【0045】
本発明の説明では、「1つの実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施例」、「例」、「具体例」、又は「いくつかの例」等の用語を参照する説明は、該実施例又は例と組み合わせて説明される具体的な特徴、構造、材料又は特性が本発明の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを意味する。本明細書では、上記用語についての例示的な表現は必ずしも同じ実施例又は例を指すわけではない。また、説明される具体的特徴、構造、材料又は特性はいずれか1つ又は複数の実施例又は例において適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0046】
101 支保工
102 上弦材
103 下弦材
104 第1斜材
105 第2斜材
106 垂直材
201 下弦部
202 第1連結部材
203 第1溶接部
204 第2溶接部
205 トラスモジュール
206 上弦部
207 端部連結部材
208 第2連結部材
209 第3溶接部
210 第4溶接部;
301 フック
302 ロープ
303 支持フレーム
304 地面
305 手動式チェーンホイスト
306 仮接続板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12