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特開2024-152553超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤並びにその調製・応用方法
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  • 特開-超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤並びにその調製・応用方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152553
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤並びにその調製・応用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 12/00 20060101AFI20241018BHJP
   B01D 11/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B01D12/00
B01D11/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023135871
(22)【出願日】2023-08-23
(31)【優先権主張番号】2023103882811
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523321590
【氏名又は名称】浙江藍徳能源科技術発展有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】任旭華
(72)【発明者】
【氏名】趙紅川
(72)【発明者】
【氏名】姚錦杰
(72)【発明者】
【氏名】項涛涛
(72)【発明者】
【氏名】沈▲ほう▼梁
(72)【発明者】
【氏名】沈▲かく▼鋒
【テーマコード(参考)】
4D056
【Fターム(参考)】
4D056AB17
4D056AC04
4D056AC06
4D056AC07
4D056AC09
4D056AC11
4D056BA11
4D056CA01
4D056CA22
4D056EA01
4D056EA03
(57)【要約】      (修正有)
【解決手段】組成原料がイミダゾリウムテトラフルオロボラート、ベタイン塩、イミダゾリウムアセタート、イミダゾリウムジシアナミド、イミダゾリウムエチルスルファート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのうちの1種以上であるイオン液体を含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤である。
【効果】本発明の抽出剤の処方が合理で科学的であり、分散性と安定性が高く、超高分子量ポリエチレン繊維及びセパレータに対する油除去効果と後続のホワイトオイル分離再利用効果が良く、原料の調製が便利で、工程手順が簡単で、設備に対する要求が低く、操作性が優れ、工業化生産に適する利点がある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成原料がイミダゾリウムテトラフルオロボラート、ベタイン塩、イミダゾリウムアセタート、イミダゾリウムジシアナミド、イミダゾリウムエチルスルファート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのうちの1種以上であるイオン液体を含むことを特徴とする超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項2】
前記抽出剤の組成原料は、アルコールエーテル混合物をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項3】
前記抽出剤は、7~14部のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、10~18部のベタイン塩、22~30部のイミダゾリウムアセタート、13~20部のイミダゾリウムジシアナミド、4~20部のイミダゾリウムエチルスルファート、4~8部のイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3~8部のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2~90部のアルコールエーテル混合物という原料からなることを特徴とする請求項2に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項4】
前記イミダゾリウムテトラフルオロボラートは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートの1種または2種のコンパウンドであり、イミダゾリウムアセタートは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムアセタートのうちの1種または2種のコンパウンドであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項5】
前記ベタイン塩は、リンゴ酸ベタイン塩、酒石酸ベタイン塩のうちの1種または2種のコンパウンドであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項6】
前記イミダゾリウムジシアナミドは、1―エチルー3―イミダゾリウムジシアナミド、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムジシアナミドのうちの1種または2種のコンパウンドであり、前記イミダゾリウムエチルスルファートは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファートのうちの1種または2種のコンパウンドであり、前記イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミドは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミドの1種または2種のコンパウンドであることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項7】
前記ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及びトリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのうちの1種以上のコンパウンドであることことを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【請求項8】
前記アルコールエーテル混合物は、トリイソプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ブトキシプロパノル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルのうち少なくとも2種のコンパウンドであることを特徴とする請求項2または3に記載の超高分子量PE繊維およびセパレータ用抽出剤。
【請求項9】
割合で各原料を秤量して準備するステップと、
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、40~45℃に昇温し、1~2時間攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、50~60℃に昇温し、30~40min攪拌し、混合物を得るステップと、
混合物を濾過するステップであって、濾液は抽出剤製品であるステップとを含むことを特徴とする請求項3~8の何れか1項に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の調製方法。
【請求項10】
超高分子量PE繊維またはセパレータを抽出剤に浸漬し、抽出温度を30~60℃、抽出時間を10~30minとし、抽出剤における含油量が10~20%に達した後、上層液をオーバーフローさせて静置し、静置後、抽出液とホワイトオイルを分離して再利用するステップを含むことを特徴とする請求項1~9の何れか1項に記載の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の応用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はポリエチレン生産調製技術分野に関し、具体的には、超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤並びにその調製・応用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、中国国内のゲル紡糸超高分子量ポリエチレン繊維の生産プロセスラインは、多くはパラフィン油、パラフィン、灯油と超高分子量ポリエチレン粉を混合して懸濁液とすることが多い。伝統的なホワイトオイルの抽出行程では、生産現場において溶剤の匂いが強く、工場内の空気に一定の溶剤分子が含まれ、高熱や直火に当てると火災が発生しやすいため、抽出剤を用いて製品における溶剤(パラフィンなど)を置換する必要がある。
【0003】
市販されている多くのホワイトオイルの抽出剤の種類は有機炭化水素類が多く、大部分はジクロロメタン、テトラクロロエチレンなどの有機溶剤を抽出剤として使用し、これらの抽出剤は一般的に大きい毒性を持ち、燃えやすく、長期使用するとVOCガスが発生し、人体気道に刺激を与え、使用安全性が悪く、しかも安定性が悪く、浪費損失率が高い。また、従来技術の一部のPEセパレータの生産ラインの抽出には水封槽が採用され、フィルムが抽出剤に没入し、抽出剤の上層には水封層が設けられ、抽出剤の揮発を効果的に防止しているが、油膜が抽出層から水封層に入ると、表面における一部の油漬が水封層に持ち込まれ、油漬が適時に処理されないと、セパレータ表面の品質に影響を与え、水漬が形成される。ジクロロメタンの揮発で熱が吸収され、抽出移行ロールに非常に着霜しやすく、現在は通常、金型温調機による脱イオン水の加熱により移行ロールの着霜を防止しているが、水循環加熱では、ロールの両端の温度差が大きくなり、セパレータの性能の均一性が悪くなり、外観不良と性能不良が発生しやすい。
【0004】
現在使用されるジクロロメタン、テトラクロロエチレンをホワイトオイル抽出剤として使用することにある、安全・環境保護性と化学的安定性が悪い問題を解決するために、処方が合理で科学的であり、安全で環境にやさしく、安定性が高い抽出剤を研究する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本願の目的は、安全性や環境保護性や安定性が高く、抽出効果が優れるという利点を有する超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤を提供することにある。
【0006】
本願の別の目的は、簡単で、設備に対する要求が低い超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の調製方法を提供することである。
【0007】
本願のさらに別の目的は、簡単で、操作性が優れる超高分子量PE繊維とセパレータ用抽出剤の応用方法を提供することである。
【0008】
上記の技術的課題を解決するために、本願で採用される技術案は以下のようである。
【0009】
一態様では、本願は、組成原料がイミダゾリウムテトラフルオロボラート、ベタイン塩、イミダゾリウムアセタート、イミダゾリウムジシアナミド、イミダゾリウムエチルスルファート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのうちの1種以上であるイオン液体を含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤を提供する。
【0010】
別の態様では、本願は、
【0011】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、40~45℃に昇温し、1~2時間攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、50~60℃に昇温し、30~40 min攪拌し、混合物を得て、混合物を濾過し、濾液は抽出剤製品であるステップを含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の調製方法を提供する。
【0012】
さらに別の態様では、本願は、
【0013】
超高分子量PE繊維またはセパレータを抽出剤に浸漬し、抽出温度を30~60℃、抽出時間を10~30minとし、抽出剤における含油量が10~20%に達した後、上層液をオーバーフローさせて静置し、静置後、抽出液とホワイトオイルを分離して再利用するステップを含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の応用方法を提供する。
【0014】
従来技術に対して、本願の実施形態は、少なくとも次のような利点または有益な効果を有する。
【0015】
1、本願はイオン液体を抽出液の主要な抽出成分とし、安全、環境保護、高引火点などの利点がある。
【0016】
2、本願は具体的にイミダゾリウムテトラフルオロボラート、ベタイン塩、イミダゾリウムアセタート、イミダゾリウムジシアナミド、イミダゾリウムエチルスルファート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アルコールエーテル混合物のうちの1種以上を原料とし、特殊のHLB値のイオン液体を調製することで、複合可溶化系を形成し、均一で安定した状態に達し、また、ホワイトオイルのHLB値を結合することで、イオン液体におけるホワイトオイルの溶解度が低い問題を解決し、イオン液体におけるホワイトオイルの溶解度を強化し、ポリエチレン繊維又はセパレータにおけるホワイトオイルを抽出し、抽出後にイオン液体におけるホワイトオイルが一定の含有量に達すると、混合系のHLB値が変化し、乳化破壊層が現れて分離し、さらにホワイトオイルと抽出剤を再利用することができる。
【0017】
3、本願の原料はよく見られ、調製が便利で、使用手順が簡単で設備に対する要求が低く、操作性が優れ、工業化生産に適している。
【0018】
本願の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下に実施例で使用される図面を簡単に説明する。以下、図面は本願のいくつかの実施例しか示していないので、範囲への限定とみなすべきではなく、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の関連図面を得ることができることを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願の実験例5の抽出剤によるゲル繊維におけるホワイトオイルの抽出模式図である。1―収容タンク、2―未抽出のゲル繊維、3―1次抽出槽、4―2次抽出槽、5―3次抽出槽、12―抽出後のゲル繊維。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に本願の実施例における技術案を明確で完全に説明する。実施例において具体的な条件が明記されないものは、通常の条件やメーカーの提案した条件に従って行われる。使用する試薬や機器にメーカーが明記されないものは、何れも市販で購入できる通常の製品である。
【0021】
なお、衝突しない場合には、本願における実施例及び実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。以下、具体的な実施例を参照して本願を詳細に説明する。
【0022】
組成原料がイミダゾリウムテトラフルオロボラート、ベタイン塩、イミダゾリウムアセタート、イミダゾリウムジシアナミド、イミダゾリウムエチルスルファート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのうちの1種以上であるイオン液体を含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤。
【0023】
本発明において可溶化系の原料及び含有量の選択は特に重要であり、可溶化系の原料及び含有量の選択が不適切であると、製品が濁り、層状化され、ホワイトオイルの溶解性が悪くなる。
【0024】
本願のいくつかの実施例において、上記抽出剤の組成原料はさらにアルコールエーテル混合物を含む。
【0025】
本願のいくつかの実施例において、上記抽出剤は、7~14部のイミダゾリウムテトラフルオロボラート、10~18部のベタイン塩、22~30部のイミダゾリウムアセタート、13~20部のイミダゾリウムジシアナミド、4~20部のイミダゾリウムエチルスルファート、4~8部のイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、3~8部のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、2~90部のアルコールエーテル混合物という原料からなる。
【0026】
本願のいくつかの実施例において、上記イミダゾリウムテトラフルオロボラートは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートのうちの1つまたは2つのコンパウンドであり、上記イミダゾリウムアセタートは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムアセタートのうちの1種または2種のコンパウンドである。
【0027】
本願のいくつかの実施例において、上記ベタイン塩はリンゴ酸ベタイン塩、酒石酸ベタイン塩のうちの1つまたは2つのコンパウンドである。
【0028】
本願のいくつかの実施例において、上記イミダゾリウムジシアナミドは、1―エチルー3―イミダゾリウムジシアナミド、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムジシアナミドのうちの1種または2種のコンパウンドであり、上記イミダゾリウムエチルスルファートは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファート、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファートのうちの1種または2種のコンパウンドであり、上記ビス(フルオロスルホニル)イミドは、1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミドのうちの1種または2種のコンパウンドである。
【0029】
本願のいくつかの実施例において、上記ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドは、1ーエチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、およびトリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドのうちの1つ以上のコンパウンドである。
【0030】
本願のいくつかの実施例において、上記アルコールエーテル混合物は、トリイソプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ブトキシプロパノル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテルのうちの少なくとも2つのコンパウンドである。
【0031】
割合で各原料を秤量して準備するステップと、
【0032】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、40~45℃に昇温し、1~2時間攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、50~60℃に昇温し、30~40min攪拌し、混合物を得るステップと、
【0033】
混合物を濾過するステップであって、濾液は抽出剤製品であるステップとを含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の調製方法。
【0034】
超高分子量PE繊維またはセパレータを抽出剤に浸漬し、抽出温度を30~60℃、抽出時間を10~30minとし、抽出剤における含油量が10~20%に達した後、上層液をオーバーフローさせて静置し、静置後、抽出液とホワイトオイルを分離して再利用するステップを含む超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤の応用方法。
【0035】
本願のいくつかの実施例において、上記抽出の浴比は1:(30~90)である。
【0036】
以下、実施例を結合して本願の特徴及び性能についてさらに詳細に説明する。
実施例1
【0037】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0038】
イミダゾリウムジシアナミドを(1―エチルー3―イミダゾリウムジシアナミドを50kg、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムジシアナミドを50kg)100kg秤量し、反応釜に加え、50℃に昇温し、40min攪拌した後、本実施例の抽出剤を得る。
実施例2
【0039】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0040】
ベタイン塩(リンゴ酸ベタイン塩)を20kg、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを10kg、1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを10kg、トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを10kg)及びアルコールエーテル混合物を20kg(トリイソプロピレングリコールメチルエーテルが10kg、エチレングリコールブチルエーテルが10kgである)を秤量する。
【0041】
ベタイン塩を反応釜に加え、42℃に昇温し、さらにアルコールエーテル混合物とビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、攪拌しながら55℃に昇温し、40min攪拌した後、本実施例の抽出剤を得る。
実施例3
【0042】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0043】
各原料として、7kgのイミダゾリウムテトラフルオロボラート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、18kgのベタイン塩(リンゴ酸ベタイン塩)、30kgのイミダゾリウムアセタート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート)、20kgのイミダゾリウムジシアナミド(1―エチルー3―イミダゾリウムジシアナミド)、4kgのイミダゾリウムエチルスルファート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファート)、8kgのイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、8kgのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、および5kgのアルコールエーテル混合物(トリイソプロピレングリコールメチルエーテルが3kg、エチレングリコールフェニルエーテルが2kgである)を秤量して準備しておく。
【0044】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、40℃に昇温し、2h攪拌した後に、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、50℃に昇温し、35min攪拌し、混合物を得る。
【0045】
混合物を濾過し、濾液を本実施例の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤とする。
実施例4
【0046】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0047】
各原料として、14kgのイミダゾリウムテトラフルオロボラート(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、10kgのベタイン塩(酒石酸ベタイン塩)、30kgのイミダゾリウムアセタート(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート)、18kgのイミダゾリウムジシアナミド(1―エチルー3―イミダゾリウムジシアナミド)、9kgのイミダゾリウムエチルスルファート(1-エチル-3-メチルイミダゾリウムエチルスルファート)、7kgのイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、7kgのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)及び5kgのアルコールエーテル混合物(エチレングリコールブチルエーテルが3kg、ブトキシプロパノルが2kgである)を秤量して準備しておく。
【0048】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、45℃に昇温し、2h攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、50℃に昇温し、40min攪拌し、混合物を得る。
【0049】
混合物を濾過し、濾液を本実施例の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤とする。
実施例5
【0050】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0051】
各原料として、14kgのイミダゾリウムテトラフルオロボラート(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、18kgのベタイン塩(10kgの酒石酸ベタイン塩、8kgのリンゴ酸ベタイン塩)、22kgのイミダゾリウムアセタート(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート)、20kgのイミダゾリウムジシアナミド(1―ブチルー3―イミダゾリウムジシアナミド)、9kgのイミダゾリウムエチルスルファート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファート)、4kgのイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、8kgのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)及び5kgのアルコールエーテル混合物(エチレングリコールブチルエーテルが1kg、ジプロピレングリコールプロピルエーテルが2kg、プロピレングリコールモノフェニルエーテルが2kgである)を秤量して準備しておく。
【0052】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、45℃に昇温し、1h攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、55℃に昇温し、35min攪拌し、混合物を得る。
【0053】
混合物を濾過し、濾液は本実施例の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤である。
【0054】
本実施例で調製した抽出剤をPEゲル繊維溶剤抽出工程に応用し、図1に示すように、その抽出過程と装置は3つの抽出槽(1級抽出槽3、2級抽出槽4と3級抽出槽5)が順に設けられ、抽出槽に本実施例で調製した抽出剤が収容され、各抽出槽にはそれぞれローラが設置され、1級抽出槽4の先端に収容タンク1が設置され、収容タンク1に未抽出のゲル繊維2が収容されている。
【0055】
具体的なステップとして、未抽出のゲル繊維2をローラにより、順に1級抽出槽3、2級抽出槽4と3級抽出槽5を通過させ、過程全体が徐々に連続的に運動することができ、断続的に運動することもでき、3つの抽出槽において抽出剤と十分に浸潤して反応した後、抽出後のゲル繊維12を得ることである。
【0056】
抽出過程全体において、抽出剤の温度は40℃に維持され、抽出剤における各ゲル繊維の総抽出時間は20minである。
【0057】
抽出槽における抽出剤の含油量を随時測定し、15%に達すると、オーバーフローにより抽出剤を収集し、それを分液槽に入れて静置し、20min静置すると、分層され、ホワイトオイルと抽出剤を分離し、分液後にホワイトオイルによりPE粉末を再膨潤し、ゲル繊維を作成し、抽出剤を抽出槽に注入して新たに利用する。
【0058】
本実施例の抽出過程を経たゲル繊維の含油量は0.3%以内に制御でき、ゲル繊維からの溶剤の抽出分離を実現できる。
実施例6
【0059】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0060】
各原料として、14kgのイミダゾリウムテトラフルオロボラート(1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、18kgのベタイン塩(8kgの酒石酸ベタイン塩、10kgのリンゴ酸ベタイン塩)、30kgのイミダゾリウムアセタート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート)、13kgのイミダゾリウムジシアナミド(1―ブチルー3―イミダゾリウムジシアナミド)、9kgのイミダゾリウムエチルスルファート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファート)、8kgのイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、3kgのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)及び5kgのアルコールエーテル混合物(ブトキシプロパノルが2kg、ジプロピレングリコールプロピルエーテルが1kg、トリイソプロピレングリコールメチルエーテルが2kgである)を秤量して準備しておく。
【0061】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、40℃に昇温し、2h攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、55℃に昇温し、35min攪拌し、混合物を得る。
【0062】
混合物を濾過し、濾液は本実施例の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤である。
【0063】
本実施例で調製した抽出剤をPEセパレータ溶剤抽出工程に応用し、具体的なステップとして、PEセパレータを抽出剤に入れ、浴比は1:60、抽出温度は60℃であり、抽出槽における抽出剤の含油量を随時測定し、20%に達すると、オーバーフローにより抽出剤を収集し、それを分液槽に入れて静置し、40min静置すると、分層され、ホワイトオイルと抽出剤を分離し、分液後にホワイトオイルによりPE粉末を再膨潤し、PEセパレータを作成し、抽出剤を抽出槽に注入して新たに利用する。
【0064】
本実施例の抽出過程を経たPEセパレータの含油量は0.3%以内に制御でき、PEセパレータからの溶剤の抽出分離を実現できる。
実施例7
【0065】
超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤であって、その調製方法は以下の通りである。
【0066】
各原料として、14kgのイミダゾリウムテトラフルオロボラート(10kgの1―エチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、4kgの1―ブチルー3―メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート)、18kgのベタイン塩(リンゴ酸ベタイン塩)、30kgのイミダゾリウムアセタート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムアセタート)、18kgのイミダゾリウムジシアナミド(1―ブチルー3―イミダゾリウムジシアナミド)、8kgのイミダゾリウムエチルスルファート(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムエチルスルファート)、5kgのイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド(1―エチルー3―メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、5kgのビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(トリブチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)及び2kgのアルコールエーテル混合物(ブトキシプロパノルが1kg、トリイソプロピレングリコールメチルエーテルが1kgである)を秤量して準備しておく。
【0067】
イミダゾリウムテトラフルオロボラート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、イミダゾリウムエチルスルファート、ベタイン塩を順に反応釜に加え、45℃に昇温し、2h攪拌した後、イミダゾリウムアセタート、アルコールエーテル混合物、イミダゾリウムジシアナミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを加え、58℃に昇温し、40min攪拌し、混合物を得る。
【0068】
混合物を濾過し、濾液は本実施例の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤である。
【0069】
本実施例で調製した抽出剤をPEゲル繊維溶剤抽出工程に応用し、具体的なステップとして、基本的に実施例5と同じであるが、その相違点について本実施例における抽出槽が4つであることにある。抽出過程全体において、抽出剤の温度は45℃に維持され、抽出剤における各ゲル繊維の総抽出時間は25minである。
【0070】
抽出槽における抽出剤の含油量を随時測定し、10%に達すると、オーバーフローにより抽出剤を収集し、それを分液槽に入れて静置し、35min静置すると、分層され、ホワイトオイルと抽出剤を分離し、分液後にホワイトオイルによりPE粉末を再膨潤し、ゲル繊維を作成し、抽出剤を抽出槽に注入して新たに利用する。
【0071】
本実施例の抽出過程を経たゲル繊維の含油量は0.3%以内に制御でき、ゲル繊維からの溶剤の抽出分離を実現できる。
【0072】
以上より、本願の実施例の超高分子量PE繊維及びセパレータ用抽出剤並びにその調製・応用方法は、以下の利点を有する。
【0073】
1、本願はイオン液体を抽出液の主要な抽出成分とし、安全、環境保護、高引火点などの利点がある。
【0074】
2、本願は具体的にイミダゾリウムテトラフルオロボラート、ベタイン塩、イミダゾリウムアセタート、イミダゾリウムジシアナミド、イミダゾリウムエチルスルファート、イミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、アルコールエーテル混合物のうちの1種以上を原料とし、特殊のHLB値のイオン液体を調製することで、複合可溶化系を形成し、均一で安定した状態に達し、また、ホワイトオイルのHLB値を結合することで、イオン液体におけるホワイトオイルの溶解度が低い問題を解決し、イオン液体におけるホワイトオイルの溶解度を強化し、ポリエチレン繊維又はセパレータにおけるホワイトオイルを抽出し、抽出後にイオン液体におけるホワイトオイルが一定の含有量に達すると、混合系のHLB値が変化し、乳化破壊層が現れて分離し、さらにホワイトオイルと抽出剤を再利用することができる。
【0075】
3、本願の原料はよく見られ、調製が便利で、使用手順が簡単で設備に対する要求が低く、操作性が優れ、工業化生産に適している。
【0076】
以上説明した実施例は、本願の実施例全体ではなく、一部の実施例に過ぎない。本願の実施例の詳細な説明は、保護請求する本願の範囲を制限することを目的とするものではなく、本願の選択された実施例のみ示す。本願の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を払わず取得した他の実施例は、何れも本願の保護範囲に属する。

図1