IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 葡萄王生技股▲フン▼有限公司の特許一覧

特開2024-152571ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物
<>
  • 特開-ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物 図1
  • 特開-ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物 図2
  • 特開-ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物 図3
  • 特開-ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物 図4
  • 特開-ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152571
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20241018BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20241018BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20241018BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P3/02 101
A61K9/12
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/50
A23L33/135
C12N1/20 E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023190882
(22)【出願日】2023-11-08
(31)【優先権主張番号】112113702
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)「乳酸菌的前瞻性研究-次世代保健之新觀點(Prospective studies of lactic acid bacteria - new aspects on next-generation health care)」のポスターセッションにて公開された「篩選抗疲勞功效之益生菌」 (2)「Hans Journal of Food and Nutrition Science,食品与▲営▼▲養▼科学,2022,11(4),322-331」において公開された「▲評▼估具抗疲▲労▼功效之乳酸菌(Evaluation of Lactic Acid Bacteria with Anti-Fatigue Effects)」
(71)【出願人】
【識別番号】519298765
【氏名又は名称】葡萄王生技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】陳 勁初
(72)【発明者】
【氏名】陳 炎▲錬▼
(72)【発明者】
【氏名】林 詩偉
(72)【発明者】
【氏名】蔡 侑珊
(72)【発明者】
【氏名】林 子淳
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲啓▼憲
(72)【発明者】
【氏名】侯 毓欣
(72)【発明者】
【氏名】石 仰慈
(72)【発明者】
【氏名】林 ▲静▼▲ウェン▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 雅君
(72)【発明者】
【氏名】江 佳琳
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 姿和
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲彦▼博
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4C076
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE05
4B018LE06
4B018MD86
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF13
4B065AA30X
4B065AC20
4B065CA41
4B065CA44
4C076AA24
4C076AA29
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA61
4C076CC22
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA13
4C087MA16
4C087MA35
4C087MA38
4C087MA43
4C087NA14
4C087ZC22
(57)【要約】
【課題】ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を提供する。
【解決手段】ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1、及び/又はラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2の少なくとも1つを含み、健康な被験者に一定の期間継続的に投与することで、疲労関連の生化学的値を効果的に改善し、且つ有酸素運動の疲れ果て時間を延長することができ、更に、有効成分として抗疲労及び/又は運動能力を向上させる様々な組成物を製造するために用いられるラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)GKEX、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)GKJ2の少なくとも1つを含み、前記ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEXは、2022年8月5日に日本独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NITE-IPOD、日本千葉県木更津市上総鎌足2-5-8 122号室)に寄託され、寄託番号がBP-03696であり、前記ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1は、2022年8月5日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がBP-03702であり、且つ前記ラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2は、2020年11月6日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がNITE BP-03315である、抗疲労用の組成物。
【請求項2】
前記抗疲労用の組成物は、経口組成物である、請求項1に記載の抗疲労用の組成物。
【請求項3】
前記抗疲労用の組成物は、医薬組成物又は食品組成物である、請求項2に記載の抗疲労用の組成物。
【請求項4】
医薬及び食品に許容可能な担体、賦形剤及び/又は添加剤を更に含む、請求項3に記載の抗疲労用の組成物。
【請求項5】
前記抗疲労用の組成物の剤形は、粉剤、錠剤、粒剤、マイクロカプセル、アンプル、又は液体スプレーを含む、請求項1に記載の抗疲労用の組成物。
【請求項6】
前記抗疲労用の組成物は、抗疲労機能及び/又は運動能力向上機能を有し、前記抗疲労機能及び/又は前記運動能力向上機能によって、水泳の疲れ果てるまでにかかる時間が延長し、ランニングの疲れ果てるまでにかかる時間が延長し、有酸素運動後の血清乳酸上昇比率及び血清尿素窒素濃度が低下し、及び/又は肝臓グリコーゲン含有量が増加することを含む、請求項1に記載の抗疲労用の組成物。
【請求項7】
有効成分とし、有効投与量のラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX(BP-03696)、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1(BP-03702)、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2(NITE BP-03315)の少なくとも1つを含む、抗疲労用の経口組成物であって、前記経口組成物は、健康な被験者に少なくとも4週間継続的に投与される、抗疲労用の経口組成物。
【請求項8】
前記抗疲労用の経口組成物は、抗疲労機能及び/又は運動能力向上機能を有し、前記抗疲労機能及び/又は前記運動能力向上機能によって、水泳の疲れ果てるまでにかかる時間が延長し、ランニングの疲れ果てるまでにかかる時間が延長し、有酸素運動後の血清乳酸上昇比率及び血清尿素窒素濃度が低下し、及び/又は肝臓グリコーゲン含有量が増加することを含む、請求項7に記載の抗疲労用の経口組成物。
【請求項9】
前記健康な被験者は成人であり、前記被験者に投与する前記ラクトバチルスの前記有効投与量は、50mg/60kg体重/日~1900mg/60kg体重/日である、請求項7に記載の抗疲労用の経口組成物。
【請求項10】
前記健康な被験者はマウスであり、前記被験者に投与する前記ラクトバチルスの前記有効投与量は、10.5mg/kg体重/日~400mg/kg体重/日である、請求項7に記載の抗疲労用の経口組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロバイオティクス組成物に関し、特に、疲労関連の生化学的値を効果的に改善し、且つ有酸素運動の疲れ果てるまでにかかる時間(以下、「疲れ果て時間」とも称する)を延長するラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、生活が忙しく、競争のプレッシャーが大きく、様々なプレッシャーにより疲労や過労の状態を引き起こし、健康に害を及ぼす可能性がある。疲労は、過度な労働によって引き起こされ、生理機能の低下に伴い、体力や運動能力の低下に繋がる。
【0003】
疲労は、また心理的疲労(mental fatigue)及び身体的疲労(physical fatigue)に分けられ、身体的疲労とは、身体機能が一定の基準で正常な機能を維持できず、体力や運動能力が低下する状態を指す。身体的疲労が続くと、人体は疲労した状態が続く。長時間にわたって過度なプレッシャーや過度な労働状態にあると、体が十分な休息を取るのを妨げる。休息しても疲労が緩和されず、日常生活に影響を与え、且つ活動が50%以上減少する等の症状がある場合、慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome;CFS)になる可能性があり、その症状には、筋肉痛、全身の筋力低下、全般性頭痛、睡眠障害、精神症状又は神経症状等が含まれ、更に仕事や日常生活に影響を及ぼす。
【0004】
プロバイオティクス(Probiotics)は、一般に、人間の健康に有益な細菌と定義され、人間の腸管内で増殖でき、且つ病原性を持たない。通常、プロバイオティクスは、体質を調整し、人体の一部の代謝経路を変更し、消化管全体や代謝能力を改善する等の機能を達成することができる。現在最もよく使用されるプロバイオティクスの菌株の中でラクトバチルスが大部分を占めており、ラクトバチルスは、過去の研究では、肥満の改善、免疫力の強化等の効果に加えて、特定の菌株には、顕著な抗酸化活性、腸管透過性の維持、腸内ガス生成細菌の増殖抑制等の機能がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現在ラクトバチルスの抗疲労機能や運動パフォーマンス向上に関する研究がまだ比較的少なく、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物の開発は急務となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、本発明の一態様は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)菌株GKJ2の少なくとも1つを含む、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を提供する。
【0007】
また、本発明の別の態様は、有効投与量のラクトバチルスを含む経口組成物を健康な被験者に一定の期間継続的に投与することを含み、且つこの経口組成物が上記ラクトバチルス菌株を有効成分とし、それにより疲労関連の生化学的値を改善し、且つ有酸素運動の疲れ果て時間を延長するラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を提供する。
【0008】
本発明の上記態様によれば、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を提供する。一実施例において、この抗疲労用の組成物は、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)菌株GKJ2の少なくとも1つを含む。ラクトバチルス・ブレビスGKEXは、2022年8月5日に日本独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NITE-IPOD、日本千葉県木更津市上総鎌足2-5-8 122号室)に寄託され、寄託番号がBP-03696である。ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1は、2022年8月5日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がBP-03702である。ラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2は、2020年11月6日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がNITE BP-03315である。
【0009】
上記実施例において、前記抗疲労用の組成物は、例えば医薬組成物又は食品組成物等の経口組成物であってよい。上記例において、前記抗疲労用の組成物は、医薬及び食品に許容可能な担体、賦形剤、及び/又は添加剤を更に含む。
【0010】
上記実施例において、前記抗疲労用の組成物の剤形は、粉剤、錠剤、粒剤、マイクロカプセル、アンプル、又は液体スプレーを含んでよい。
【0011】
上記実施例において、前記抗疲労用の組成物は、水泳の疲れ果て時間を延長し、ランニングの疲れ果て時間を延長し、有酸素運動後の血清乳酸上昇比率及び血清尿素窒素濃度を低下させ、及び/又は肝臓グリコーゲン含有量を増加させることを含む抗疲労機能及び/又は運動能力向上機能を有する。
【0012】
本発明の別の態様によれば、有効投与量のラクトバチルスを含有する経口組成物を健康な被験者に少なくとも4週間継続的に投与することを含むラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を提供する。この実施例において、ラクトバチルスは有効成分とし、このラクトバチルスは、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX(BP-03696)、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1(BP-03702)、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2(NITE BP-03315)の少なくとも1つを含む。
【0013】
上記実施例において、前記健康な被験者は例えば成人であってよく、且つ前記被験者に対する前記ラクトバチルスの有効投与量は、例えば50mg/60kg体重/日~1900mg/60kg体重/日であってよい。
【0014】
上記実施例において、前記健康な被験者は例えばマウスであってよく、且つ前記被験者に対する前記ラクトバチルスの有効投与量は、例えば10.5mg/kg体重/日~400mg/kg体重/日であってよい。
【0015】
本発明の上記ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物は、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2の少なくとも1つを含み、健康な被験者に一定の期間継続的に投与することで、疲労関連の生化学的値を効果的に改善し、且つ有酸素運動の疲れ果て時間を延長することができ、更に、有効成分として抗疲労及び/又は運動能力を向上させる様々な組成物を製造するために用いられる。
【0016】
理解できるように、前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示に過ぎず、特許請求される発明の更なる解釈を提供することを目的とする。
本発明の上記及び他の目的、特徴、利点及び実施例をより分かりやすくするために、以下の添付図面を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの重り負荷水泳の疲れ果て時間の棒グラフを示す。
図2】本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスのランニングの疲れ果て時間の棒グラフを示す。
図3】本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの運動後の血中乳酸上昇比率の棒グラフを示す。
図4】本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの運動後の血中尿素窒素濃度の棒グラフを示す。
図5】本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの肝臓グリコーゲン含有量(mg/g肝臓組織)の棒グラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
引用文献における用語の定義又は使い方が、本明細書における該用語の定義と一致しないか、逆であれば、引用文献における該用語の定義を使用せず、本明細書における該用語の定義を使用する。また、コンテキストにおいて特に定義されない限り、単数の用語は複数を含んでよく、複数の用語は単数を含んでもよい。
【0019】
前述のように、本発明は、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を提供し、健康な被験者に一定の期間継続的に投与することで、有酸素運動後の血清乳酸を効果的に低下させ、有酸素運動後の血清尿素窒素を低下させ、肝臓グリコーゲン含有量を増加させ、筋肉のグリコーゲン含有量を増加させ、及び/又は内臓脂肪を低下させることができる。
【0020】
一実施例において、ここでいう「ラクトバチルス」は、同属の異なる菌株を含むことを指してよく、例えばラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)菌株GKJ2の少なくとも1つを含む。一具体例において、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEXは、2022年8月5日に日本独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NITE-IPOD、日本千葉県木更津市上総鎌足2-5-8 122号室)に寄託され、寄託番号がBP-03696である。ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1は、2022年8月5日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がBP-03702である。ラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2は、2020年11月6日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がNITE BP-03315である。本発明では、特定の菌株のラクトバチルスを選択する必要があり、得られるラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物しか健康な被験者に対して抗疲労及び/又は運動能力向上等の効果を発揮することができないことを補足説明する。ラクトバチルスが上記特定の菌株から選択されないか、菌株を増減するか、一部もしくは全部を同種の他の菌株に置き換える場合、健康な被験者に対して抗疲労及び/又は運動能力向上の効果が得られることを予期することができない。
【0021】
上記ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物は、抗疲労機能及び/又は運動能力向上機能を有する。一般的には、ここでいう「抗疲労機能」の評価項目は、有酸素運動後の血清乳酸上昇比率及び血清尿素窒素濃度の低下、及び/又は肝臓グリコーゲン含有量の増加を含むが、これらに限定されず、「運動能力向上機能」の評価項目は、有酸素運動の疲れ果て時間の延長を含むが、これに限定されない。一実施例において、有効投与量のラクトバチルスを含有する経口組成物を健康な被験者に少なくとも4週間継続的に投与することで、疲労関連の生化学的値を効果的に改善することができ(例えば有酸素運動後の血清乳酸上昇比率及び血清尿素窒素濃度を低下させ、及び/又は肝臓グリコーゲン含有量を増加させる)、且つ有酸素運動の疲れ果て時間を顕著に延長する(例えば水泳の疲れ果て時間を延長し、ランニングの疲れ果て時間を延長する)。
【0022】
一実施例において、上記ラクトバチルスの各菌株の含有量は特に限定されない。一例では、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX(BP-03696)、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1(BP-03702)、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2(NITE BP-03315)の重量(mg)比又は菌数(CFU)比は、例えば1:1:1であってよいが、他の例では、上記ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX(BP-03696)、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1(BP-03702)、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2(NITE BP-03315)の重量(mg)比又は菌数(CFU)比は、例えば1:1:(>1~10)などの1:1:1以外の比率であってよい。
【0023】
適用の際に、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物は、例えば医薬組成物又は食品組成物の経口組成物であってよい。前述のラクトバチルスの使用態様は、全発酵液、菌泥(又は細胞ペレット、cell pelletと呼ばれる)、上澄液、及び凍結乾燥粉末を含むが、これらに限定されない。上記実施例において、前述の全発酵液は、菌体と培養液を含む生成物を指す。前述の菌泥は、全発酵液から上澄液を除去した後の生成物を指す。前述の上澄液は、全発酵液から菌泥を除去した後の生成物を指す。前述の凍結乾燥粉末は、全発酵液、菌泥、及び/又は上澄液で調製され、他の分離不可能な成分をまだ含有する。
【0024】
前述の医薬組成物に適用する例としては、医薬品が挙げられるが、これに限定されない。ラクトバチルスを食品組成物に適用する例としては、一般食品、健康食品、飲料、栄養補助食品、乳製品又は飼料等が挙げられるが、これらに限定されない。前述の経口組成物の例において、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物は、医薬及び食品に許容可能な担体、賦形剤、及び/又は添加剤を更に選択的に含でよい。他の例において、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物の剤形は、粉剤、錠剤、粒剤、マイクロカプセル、アンプル、又は液体スプレーを含んでよいが、これらに限定されない。
【0025】
上記ラクトバチルスを被験者の運動パフォーマンスを改善する組成物として使用する場合、有効投与量のラクトバチルスを含有する経口組成物を被験者に一定の期間継続的に投与してよい。一実施例において、被験者は、特に限定されず、例えば健康な被験者であってよい。この実施例において、前述の有効投与量は、特に限定されず、被験者によって決められる。例えば、被験者が成人である場合、成人に対してラクトバチルスの有効投与量は、例えば50mg/60kg体重/日~1900mg/60kg体重/日であってよく、好ましくは100mg/60kg体重/日~1800mg/60kg体重/日であり、より好ましくは約100mg/60kg体重/日~約1000mg/60kg体重/日である。別の例において、被験者がマウスである場合、被験者に対してラクトバチルスの有効投与量は、例えば10.5mg/kg体重/日~400mg/kg体重/日であってよく、好ましくは15.75mg/kg体重/日~300mg/kg体重/日であり、より好ましくは約21mg/kg体重/日~約205mg/kg体重/日である。別の例において、前述の投与期間は、例えば少なくとも4週間であってよく、又はより長くても短くてもよい。
【0026】
理解できるように、下記特定の菌株、特定の配合処方、特定の投与量、特定の測定方式、観点、例示、及び実施例は、例を挙げて説明するためのものに過ぎず、本発明の制限条件とするものではない。本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲内において、本発明の主な特徴は、様々な実施例に用いられてよい。従って、本発明の当業者は、様々な用途や条件に適するために、本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲内において、本手段の必要な技術的特徴を容易に決定し、本発明に対して様々な変更や修正を行うことができる。
【実施例0027】
実施例1
【0028】
1.1 菌種の由来
【0029】
この実施例に使用される菌種は、特定の組み合わせのプロバイオティクスを含み、その中にラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ(Lactobacillus johnsonii)菌株GKJ2が含まれる。ラクトバチルス・ブレビスGKEXは、2022年8月5日に日本独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NITE-IPOD、日本千葉県木更津市上総鎌足2-5-8 122号室)に寄託され、寄託番号がBP-03696である。ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1は、2022年8月5日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がBP-03702である。ラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2は、2020年11月6日にNITE-IPODに寄託され、寄託番号がNITE BP-03315である。
【0030】
上記菌株GKEX、菌株GKK1、及び菌株GKJ2はいずれも人体又は植物から分離されたものである。例えば、菌株GKEXは有機野菜果物の発酵液から、菌株GKK1はサワーペッパーから、菌株GKJ2は母乳から分離されたものである。
【0031】
幾つかの例では、上記ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2をそれぞれ固体培地に接種することで、菌種を活性化する。具体例において、上記固体培地は、市販のMRS(deMan, Rogosa and Sharpe)寒天又はRCM(Reinforced Clostridial Medium)寒天である。コロニー(colony)を生成した後、単一のコロニー(single colony)を選別して液体培地に接種して液体培養を行う。一具体例において、菌株の培養温度は、25℃~40℃である。一具体例において、液体の培養時間は、16~24時間である。一具体例において、液体培地は、MRS液体培地又はRCM液体培地である。液体培養が完了した後に発酵培養を行う。一具体例において、発酵培地の配合処方は、以下の表1に示される。
【0032】
【表1】
【0033】
1.2 凍結乾燥粉末の調製
【0034】
上記ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2は、それぞれ発酵培養によって増殖が完了した後、菌体と培養液を含む全発酵液を収集し、1000rpm~150000rpmの速度で遠心分離して、菌泥を得る。得られた菌泥を保護剤(即ち、6重量%~50重量%の脱脂粉乳)と混合した後に凍結乾燥する。前述の凍結乾燥では、勾配設定モードで予備凍結を行い、順次20℃~0℃で1~4時間貯蔵し、次に0℃~-20℃で4~8時間貯蔵し、その後に-196℃~-30℃で8時間以上貯蔵する。好ましい実施形態において、凍結乾燥の温度と時間としては、-40℃で2時間貯蔵し、次に-20℃で2時間貯蔵し、更に0℃で2時間貯蔵し、最後に20℃で約10時間以上貯蔵する。その後、上記得られた凍結乾燥粉末を低温で保存する。別の好ましい具体例において、低温保存の温度は、-30℃~4℃である。保存される凍結乾燥粉末は、他の分離不可能な成分を含有し、以下の動物実験において実験用動物に投与されるラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物の原料としてよい。
【0035】
1.3 実験用動物
【0036】
以下の実施例では、レスコ・バイオテクノロジー社から購入される、平均体重が約30グラムの6週齢のICR系のオスのマウスを使用する。全ての動物実験手順は、国立スポーツ大学実験動物介護及び使用委員会(IACUC)によって審査され承認された。マウスを標準的な飼育ケージで飼育し、マウス室は、平均温度が約22±2℃であり、平均湿度が65±5%であり、12時間定期的に明暗し、毎日の温度と湿度の値を記録する。摂食と飲水は自由摂取方式で与える。実験用動物を2週間予め飼育して環境に適応した後、体重の大きさに応じてS字形で並べて、1つのブランク対照(vehicle)群と3つの実験群(即ち、GKEX群、GKK1群、及びGKJ2群)の合計4つのグループに分け、各群に6匹ずつである。
【0037】
上記マウスに対して、4週間の動物実験を行い、その間に毎日ラクトバチルスを管で投与(以下は、経管投与と略称する)し、4週間(実験の1日目~28日目)を継続的に投与した後、各運動能力と疲労関連の生化学的値を順に分析する。実験期間にその体重、飼料摂取量、及び飲水量を記録する。
【0038】
1.4 実験設計
【0039】
実験用動物に、経口方式で毎日滅菌水(ブランク対照群)又は実施例1のラクトバチルス(実験群)を4週間(即ち28日間)継続的に投与する。実験群のマウスのラクトバチルス有効投与量について、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEXの投与量は21mg/kg体重/日である。ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1の投与量は21mg/kg体重/日である。ラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2の投与量は205mg/kg体重/日(成人の場合、GKEXの投与量は100mg/60kg体重/日で、GKK1の投与量は100mg/60kg体重/日で、GKJ2の投与量は1000mg/60kg体重/日である)である。4週間の摂取を経たら、重り負荷水泳の疲れ果て時間(運動持久力にあたり、単位:分間)、トレッドミルの疲れ果て時間(運動持久力にあたり、単位:分間)、及び運動前後の各血液生化学的値[血清乳酸含有量(単位:mmol/L)、血清尿素窒素含有量(単位:mg/dL)、肝臓及び筋肉のグリコーゲン含有量(mg/g肝臓又はmg/g筋肉)]を分析する。
【0040】
1.5 データ統計
【0041】
本明細書に記載される数値は、平均値±標準偏差値(mean±SD)で表され、一元配置分散分析(One-way ANOVA)及び市販のソフトウェアを用いて分析し、p<0.05で統計的に有意差があると判断する。星印**は、p<0.05を表し、星印***は、p<0.005を表す。
【0042】
実施例2:実施例1のラクトバチルスの抗疲労向上効果の評価
【0043】
2.1 運動持久力の評価-重り負荷水泳の疲れ果て時間
【0044】
実験の一週間前に、動物を水泳に適応させる(条件:直径28cm、水深25cm、水温27±1℃)。4週間の実験を行った後、実験の31日目に重り(マウス体重の5%、例えばマウス体重の5%の鉛シートでマウスの尻尾の付け根に固定する)を使用し、マウスに重り負荷水泳の疲れ果て実験を行う。重り負荷水泳の疲れ果て実験の一週間前に、動物を水泳に適応させ、それを直径28cm、水深25cm、水温27±1℃の環境に置く。水泳前に12時間断食させ、給餌してラクトバチルスを30分間投与した後、単独水泳方式で実験を行い、マウスを水槽に入れ、実験用動物を強制的に泳がせ、実験中に水温を27±1℃に制御する。また、実験全過程において、マウスの四肢を動かし続け、マウスが水に浮いて手足が動かない場合、撹拌棒を用いてその近くでかき混ぜる。運動持久力(重り負荷水泳の疲れ果て)のパフォーマンスは、マウスの頭が完全に水中に沈み、水面に浮かばない状態が8秒間続くまでの時間を記録することによって示され、その結果は、図1に示される。
【0045】
図1は、本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの重り負荷水泳の疲れ果て時間の棒グラフを示す。
【0046】
図1に示すように、ブランク対照群(Vehicle)の重り負荷水泳の疲れ果て時間は5.02±0.83分間であり、GKEX群の重り負荷水泳の疲れ果て時間は9.15±0.73分間であり、GKK1群の重り負荷水泳の疲れ果て時間は7.01±0.8分間であり、GKJ2群の重り負荷水泳の疲れ果て時間は8.68±0.94分間であり、ここで統計分析結果によると、GKEX、GKK1群、及びGKJ2群の水泳の疲れ果て時間は順次、ブランク対照群(Vehicle)よりも1.82倍(p=0.0059)、1.40倍(p=0.0006)、及び1.73倍(p<0.0001)有意に増加した。従って、本発明のプロバイオティクスの菌株GKEX、菌株GKK1、及び菌株GKJ2はいずれも、マウスに4週間継続的に投与した結果、水泳の疲れ果て時間を有意に延長することができることが示される。
【0047】
2.2 運動持久力の評価-トレッドミルの疲れ果て時間
【0048】
4週間の実験を行った後、33日目にランニング運動の疲れ果て実験を行い、ランニング前に12時間断食させる。テストの際に、マウスをそれぞれ一本の軌道に置き、軌道の末端に電撃領域を設置し、実験用動物を強制的にランニング運動させ、トレッドミルの条件については、従来の方法を参照し、開始速度を10メートル/分(m/min)とし、傾度を5%とし、5分間後から毎分2m/minで速度を上げ、マウスが電撃領域に数回落ちるか、又は電撃領域で5秒以上前進できなかったら、疲れ果てたと判定し、ランニング開始から疲れ果てまでの時間を記録し、その結果は、図2に示される。
【0049】
図2は、本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスのランニングの疲れ果て時間(分間)の棒グラフを示す。
【0050】
図2に示すように、ブランク対照群(Vehicle)のランニングの疲れ果て時間は、8.25±1.14分間であり、GKEX群のランニングの疲れ果て時間は、15.32±1.02分間であり、GKK1群のランニングの疲れ果て時間は、11.63±0.97分間であり、GKJ2群のランニングの疲れ果て時間は、15.04±2.36分間であり、ここで統計分析結果によると、GKEX群、GKK1群及びGKJ2群のランニングの疲れ果て時間は順次、ブランク対照群(Vehicle)よりも1.86倍(p<0.0001)、1.41倍(p=0.0001)、及び1.82倍(p<0.0001)有意に増加した。従って、本発明のプロバイオティクスの菌株GKEX、菌株GKK1、及び菌株GKJ2はいずれも、マウスに4週間継続的に投与した結果、ランニングの疲れ果て時間を有意に延長することができることが示された。
【0051】
2.3 運動後の疲労関連の生化学的値の評価
【0052】
運動後の疲労関連の血液生化学的値に対するラクトバチルスの影響を評価するために、以下に「健康食品の抗疲労機能評価方法」に従って、マウスの運動前後の血中乳酸(lactate)濃度の変化を測定して、運動後の血中乳酸上昇比率を計算し、その結果は、図3に示される。
【0053】
図3は、本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの運動後の血中乳酸上昇比率の棒グラフを示す。
【0054】
図3に示すように、ブランク対照群(Vehicle)、GKEX群、GKK1群、及びGKJ2群の乳酸上昇比率はそれぞれ、1.85±0.21、1.45±0.16、1.46±0.10、及び1.43±0.15であり、ここで統計分析結果によると、GKEX群、GKK1群、及びGKJ2群の乳酸上昇比率は順次、ブランク対照群(Vehicle)よりも21.9%(p=0.0006)、21.1%(p=0.0009)、及び22.9%(p=0.0003)有意に低下した。従って、本発明のプロバイオティクスの菌株GKEX、菌株GKK1、及び菌株GKJ2はいずれも、マウスに4週間継続的に投与した結果、乳酸上昇比率を有意に低下させることができることが示された。
【0055】
次に、疲労関連の血中尿素窒素(Blood urea nitrogen;BUN)含有量に対するラクトバチルスの影響を評価するために、テスト当日(実験35日目)にラクトバチルスを30分間給餌した後、水中で荷重せずに90分間泳がせ、60分間休息した後に0.2mLの採血を行い、合計3つの時点での血液を採取してBUN分析を行い、その結果は、図4に示される。
【0056】
図4は、本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの運動後の血中尿素窒素濃度の棒グラフを示す。
【0057】
図4に示すように、ブランク対照群(Vehicle)、GKEX群、GKK1群、GKJ2群の血中尿素窒素濃度はそれぞれ、35.23±2.62mg/dL、28.98±1.42mg/dL、32.57±1.22mg/dL、及び26.05±2.69mg/dLであり、ここで統計分析結果によると、GKEX群、GKK1群、及びGKJ2群の血中尿素窒素濃度は順次、ブランク対照群(Vehicle)よりも17.7%(p<0.0001)、7.57%(p=0.0064)、及び26.06%(p<0.0001)有意に低下した。従って、本発明のプロバイオティクスの菌株GKEX、菌株GKK1、及び菌株GKJ2はいずれも、マウスに4週間継続的に投与した結果、血中尿素窒素濃度を有意に低下させることができることが示された。
【0058】
2.4 肝臓グリコーゲン含有量の評価
【0059】
肝臓グリコーゲン含有量に対するラクトバチルスの影響を評価するために、90分間の水泳テストの後、全ての動物を2日間休息し(実験39日目)、最後の給餌から30分間後に全ての動物を犠牲にした。また、マウスの肝臓を採取して生理食塩水で洗浄した後、乾燥させて重量を測定する。後続の組織グリコーゲン含有量を分析するために、同じ組織部位で組織を切り取って、分注して-80℃で凍結保存する。
【0060】
この実施例は、従来の化学分析法に従ってグリコーゲンを直接定量する。簡単に言えば、まず、測定対象の組織サンプルを取り出して、5倍体積(w/v)の組織均質化液を添加し、組織均質化装置Bullet Blender(Next Advance、Cambridge、MA、USA)で異なる組織を均質化する。次に、組織均質液をマイクロ遠心チューブに分注し、4℃、12000×gの条件で15分間遠心分離し、上層抽出液の一部を取り出して、グリコーゲン含有量を直接分析し、その分析方法について、本明細書の参考文献としても記載されているHuang et al., Chicken essence improves exercise performance and ameliorates physical fatigue. Nutrients 6(7): 2681-2696 (2014)を参照されたい。30μlの上澄液を96ウェルプレートに加え、200μlのヨウ素-ヨウ化カリウム(iodine-potassium iodide reagent)と混合し、ヨウ素とグリコーゲンを10分間結合したら褐色となり、そしてELISA(Tecan Infinite M200、Tecan Austria、Salzburg、Austria)で吸光波長460nmの数値を測定する。更に、市販のグリコーゲン(Glycogen、Sigma)標準製品で検量線を作成し、それにより異なる群の動物の肝臓グリコーゲン貯蔵量の変化状況を計算する。関連結果は図5に示される。
【0061】
図5は、本発明の一実施例によるブランク対照群及び実験群のマウスの肝臓グリコーゲン含有量(mg/g肝臓組織)の棒グラフをそれぞれ示す。
【0062】
図5に示すように、ブランク対照群(Vehicle)、GKEX群、GKK1群、GKJ2群の肝臓グリコーゲン含有量はそれぞれ、15.75±2.81mg/g肝臓組織、21.82±1.19mg/g肝臓組織、25.98±3.00mg/g肝臓組織、及び25.16±1.71mg/g肝臓組織であり、ここで統計分析結果によると、GKEX群、GKK1群、及びGKJ2群の肝臓グリコーゲン含有量は順次、ブランク対照群(Vehicle)よりも1.51倍(p=0.0005)、1.65倍(p<0.0001)、及び1.60倍(p<0.0001)有意に増加した。従って、本発明のプロバイオティクスの菌株GKEX、菌株GKK1、及び菌株GKJ2はいずれも、マウスに4週間継続的に投与した結果、肝臓グリコーゲン含有量を有意に増加させることができる。
【0063】
以上より、本発明では、特定の菌株、特定の配合処方、特定の投与量、特定の測定方式、又は特定の評価方法は、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物を例示的に説明するためにのみ用いられる。しかしながら、当業者は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2のうちの両者又は三者が併用されてよく、他の配合処方、他の投与量、他の測定方式、又は他の評価方法も、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物に用いられてよく、上記内容に限定されないことを理解すべきである。例えば、ラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物は、例えば医薬組成物又は食品組成物であってよく、医薬及び食品に許容可能な担体、賦形剤、及び/又は添加剤を選択的に含んでよく、且つ粉剤、錠剤、粒剤、マイクロカプセル、アンプル、液体スプレー等の剤形に製造されてよい。
【0064】
上記実施例によれば、本発明のラクトバチルス含有の抗疲労用の組成物の利点は、この組成物が、ラクトバチルス・ブレビス菌株GKEX、ラクトバチルス・プランタラム菌株GKK1、及びラクトバチルス・ジョンソニイ菌株GKJ2の少なくとも1つを含み、健康な被験者に一定の期間継続的に投与することで、疲労関連の生化学的値を改善し、且つ有酸素運動の疲れ果て時間を延長することができ、将来的には有効成分として抗疲労及び/又は運動能力を向上させる様々な組成物を製造するために用いられてよいことである。
【0065】
本発明は、複数の特定の実施例で以上のように開示されたが、他の実施例も可能である。従って、本発明の添付の請求項の精神及び範囲は、ここに含まれる実施例に限定されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5