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特開2024-152576非接触給電システム、送電装置、および受電装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152576
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】非接触給電システム、送電装置、および受電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/40 20160101AFI20241018BHJP
   H02J 50/12 20160101ALI20241018BHJP
   H02J 50/80 20160101ALI20241018BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241018BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241018BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241018BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20241018BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20241018BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J50/80
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J7/00 X
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L50/60
B60L53/12
B60L58/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201553
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】P 2023066091
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大林 和良
(72)【発明者】
【氏名】山口 宜久
(72)【発明者】
【氏名】谷 恵亮
(72)【発明者】
【氏名】金▲崎▼ 正樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 英俊
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503DA08
5G503EA05
5G503EA07
5G503FA06
5G503GB08
5G503GD03
5G503GD05
5G503GD06
5H105BA01
5H105BB07
5H105CC04
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA11
5H125AC12
5H125AC27
5H125BC05
5H125BC12
5H125BC21
5H125BE02
5H125CC06
5H125EE27
5H125EE52
(57)【要約】
【課題】非接触給電において、限られた送電路上で十分な充電量を確保する技術を提供する。
【解決手段】非接触給電システム10cは、送電装置200と、送電路310と非送電路320とより構成される複数の走行路300cと、給電管理部400cと、を備える。移動体100は、走行路を走行し、受電部とバッテリとバッテリセンサと第1制御装置とを備える。給電管理部は、給電情報を生成する第1制御部を備える。給電情報は、移動体の送電路における走行と受電を制御するための給電情報であって、非送電路を第2走行速度で走行する移動体が、進路において走行すべき第1走行速度を含む。第1制御部は、第1走行速度として進路の移動体が充電するための第3走行速度を算出し、移動体に第3走行速度を送信する。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体(100、100a、100b)に非接触で給電する非接触給電システム(10、10a、10b、10c、10d、10e)であって、
前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う送電装置(200)と、
前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路(310)と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路(320)と、より構成される複数の走行路(300、300c)と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部(400、400a、400b、400c)と、を備え、
前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、
前記送電装置から前記電力を受電する受電部(110)と、
前記電力としての予め定められた供給電力(P)で充電されることができるバッテリ(120)と、
前記バッテリの残量(Wb)を取得するバッテリセンサ(130)と、
前記給電管理部と通信する第1通信部(140)と、
前記移動体を制御する第1制御装置(150)と、を備え、
前記送電装置は、
前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイル(220)と、
前記送電コイルを介して、前記供給電力(P)を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源(210)と、を備え、
前記給電管理部は、
給電情報(Dc)を生成する第1制御部(411x,411xc)と、
前記第1通信部と通信する第2通信部(420)と、を備え、
前記移動体または前記給電管理部は、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量(Ws)を算出する第3制御部(411y)を備え、
前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度(V1)であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度(V2)で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度(V_com)を算出し、
前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する、非接触給電システム。
【請求項2】
請求項1記載の非接触給電システムであって、
前記第1制御部は、前記1以上の受電情報を、前記進路における前記1以上の送電路の前記電力供給能力に基づいて決定する、非接触給電システム。
【請求項3】
請求項1記載の非接触給電システムであって、
前記移動体は、さらに、前記受電による充電電力量を取得する電力センサを備え、
前記受電情報は、前記第3走行速度を算出する前の前記進路に係わる前記電力供給能力についての前記移動体の受電記録であって、前記充電電力量に係わる情報を含む、非接触給電システム。
【請求項4】
請求項1記載の非接触給電システムであって、
前記移動体は、さらに、前記受電による充電電力量を取得する電力センサを備え、
前記第1制御部は、
前記進路における最初の制御において、前記1以上の受電情報を、前記進路における前記1以上の送電路の電力供給能力に基づいて決定し、
前記最初の制御より後の制御において、前記1以上の受電情報を、過去の制御において取得された前記進路における前記1以上の送電路に係わる前記電力供給能力についての前記移動体の受電記録であって、前記充電電力量に係わる情報を含む受電記録に決定する、非接触給電システム。
【請求項5】
請求項1に記載の非接触給電システムであって、
前記第3制御部は、さらに、前記バッテリに定格容量に基づく第1基準容量(C1)と、の差分に基づいて、前記要求電力量の算出を行う、非接触給電システム。
【請求項6】
請求項1に記載の非接触給電システムであって、
前記第3制御部は、
前記移動体の予め定められた動作期間(Ta)において、前記バッテリの定格容量(Wm)より小さい第2基準容量(C2)を前記動作期間の終期(Tf)における前記残量の下限とした場合の、前記移動体の走行時間(Td)と前記残量の予め定められた関係と、に基づいて、前記要求電力量の算出を行う、非接触給電システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、
前記移動体または前記給電管理部は、さらに、前記送電路からの前記移動体の離脱を検出する第1検出部(430c)を備え、
前記第1制御部は、前記離脱の検出を条件に、前記進路における前記1以上の送電路のそれぞれの送電路ごとに、前記第3走行速度の算出を制御する、非接触給電システム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、
前記移動体または前記給電管理部は、さらに、前記送電路からの前記移動体の離脱を検出する第1検出部を備え、
前記第1制御部は、前記離脱の検出の回数に基づいて、前記進路における複数の前記送電路のうち、2以上の予め定められた送電路ごとに、前記第3走行速度の算出を制御する、非接触給電システム。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、
前記移動体は、前記進路において、第4走行速度以上の前記第3走行速度で走行し、
前記第1制御部は、
前記移動体が前記進路を前記第4走行速度で走行した場合に、少なくとも2つの前記送電路を走行できる周期で、前記第3走行速度の算出を制御し、
前記給電管理部は、さらに、前記第4走行速度と、前記送電路の長さと、前記非送電路の長さと、前記供給電力と、を備え、
前記第4走行速度と、前記送電路の長さと、前記非送電路の長さと、に基づいて、前記1以上の送電路のうち、前記周期で通過できる送電路についての前記送電路の長さと前記供給電力を、前記1以上の受電情報に決定する、非接触給電システム。
【請求項10】
請求項1記載の非接触給電システムであって、さらに、
複数の前記移動体の稼働を管理し、複数の前記移動体に供給できる電力を確認する工程管理部(500)を備え、
前記工程管理部は、
前記給電管理部と通信する第6通信部(550)と、
前記工程管理部を制御する第3制御装置(510)と、を備え、
前記給電管理部は、さらに、
前記工程管理部と通信する第4通信部(440)を備え、
前記第3制御装置は、
複数の前記受電情報を備え、
前記移動体の稼働状況に応じて、前記第1制御部に前記1以上の受電情報のうち1つの受電情報を決定する指令を行い、
前記第1制御部は、前記1つの受電情報に基づいて、前記第3走行速度の算出する、非接触給電システム。
【請求項11】
請求項1記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令(R)を含み、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯(Vb)を設定された前記複数の送電路であり、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯(Vb)を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
【請求項12】
請求項11に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記給電管理部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記移動体の数と、前記移動体のそれぞれの前記第1走行速度と、を検出する第1検出部(430)を備え、
前記第1制御部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記第1検出部により前記移動体の数を検出した場合に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度のうち最も遅い第3走行速度に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度を、変更する、非接触給電システム。
【請求項13】
請求項12に記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、前記受電の停止の指令を含み、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量の取得を条件に、前記残量が予め定められた基準電力量(Wa)よりも大きい場合、前記受電の停止を決定する、非接触給電システム。
【請求項14】
請求項13に記載の非接触給電システムであって、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量を取得したことを条件に、さらに、
前記残量が前記基準電力量よりも大きい場合、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
【請求項15】
請求項1記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令(R)を含み、
前記第1走行速度は、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路における走行速度であり、
前記移動体は、前記第2走行速度(V2)で走行する状態において、前記給電情報に基づく指示を受けた場合に、前記1以上の送電路のうちの1つの送電路を走行し、
前記第1制御部は、
前記残量の取得に基づいて制御し、
前記第3走行速度の算出について、前記進路における前記送電路において、予め定められた前記送電路の長さおよび前記送電路の前記供給電力に基づく前記受電情報により、前記第3走行速度を算出する、非接触給電システム。
【請求項16】
請求項15に記載の非接触給電システムであって、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯を設定された前記複数の送電路であり、
前記第1制御部は、さらに、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
【請求項17】
請求項16に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記給電管理部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記移動体の数と、前記移動体のそれぞれの前記第1走行速度と、を検出する第1検出部を備え、
前記第1制御部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記第1検出部により前記移動体の数を検出した場合に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度のうち最も遅い第3走行速度に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度を、変更する、非接触給電システム。
【請求項18】
請求項17に記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、前記受電の停止の指令を含み、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量の取得を条件に、前記残量が予め定められた基準電力量(Wa)よりも大きい場合、前記受電の停止を決定する、非接触給電システム。
【請求項19】
請求項18に記載の非接触給電システムであって、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量を取得したことを条件に、さらに、
前記残量が前記基準電力量よりも大きい場合、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
【請求項20】
請求項11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記移動体は、前記バッテリの充電率(So)を取得するSOC取得部(151ax)を備え、
前記給電管理部は、前記給電情報に基づいて、前記移動体の時間情報(T)を生成する第2制御部(411z)を備え、
前記第2制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
前記供給電力と、前記要求電力量と、に基づいて、前記時間情報としての前記複数の送電路のそれぞれの送電路の充電予測時間(Tc)を算出し、
前記第1制御部は、
予め定められた充電時間よりも前記充電予測時間(Tc)が長く、かつ、予め定められた基準充電率(Som)よりも前記充電率が高い場合に、前記進路指令の決定を中止する、非接触給電システム。
【請求項21】
請求項11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記移動体は、前記バッテリの充電率を取得するSOC取得部を備え、
前記第1制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
予め定められた基準充電率よりも前記充電率が高い場合に、前記進路指令の決定を中止する、非接触給電システム。
【請求項22】
請求項11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記複数の走行路上の前記移動体の稼働を管理する工程管理部であって、前記給電管理部と通信する第3通信部(540)を備え、
前記給電管理部は、
前記給電情報に基づいて、前記移動体の時間情報(T)を生成する第2制御部(411z)を備え、
前記工程管理部(500)と通信する第4通信部と、を備え、
前記第2制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
前記供給電力と、前記要求電力量と、に基づいて、前記時間情報としての前記複数の送電路のそれぞれの送電路の充電予測時間(Tc)を算出し、
前記第1制御部により、前記複数の送電路のそれぞれの送電路の予め定められた充電時間よりも前記充電予測時間が長いと判定された場合に、
予め定められた前記送電路の許容時間と、前記充電予測時間と、との差である延長予測時間(Tc)を前記時間情報として算出し、前記工程管理部に通知し、
前記第1制御部は、前記通知の後に、前記進路指令の決定を行う、非接触給電システム。
【請求項23】
請求項11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記走行路上の前記移動体の稼働を管理する工程管理部を備え、
前記移動体は、さらに、前記工程管理部と通信する第5通信部(180)を備え、
前記工程管理部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路における前記移動体の走行時間の計測と、前記複数の送電路のそれぞれの送電路からの前記移動体の離脱の検出と、を行う第2検出部(530)と、
前記工程管理部を制御する第3制御装置と、
前記移動体と通信する第6通信部と、を備え、
前記第3制御装置は、
前記移動体が前記走行路を走行する前に前記第2走行速度を決定し、
前記第3制御装置は、前記第2検出部による検出を条件に、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路の予め定められた許容時間(Tm)よりも前記走行時間が長い場合、検出された前記移動体の前記第2走行速度を前記第2走行速度より速い第5走行速度(V5)に変更する、非接触給電システム。
【請求項24】
請求項11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記複数の送電路は、
前記移動体を停止状態で充電する1以上の第1送電路と、
前記移動体を走行状態で充電する1以上の第2送電路と、を備え
前記給電管理部は、前記給電情報に基づいて、前記移動体の時間情報(T)を生成する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
前記供給電力と、前記要求電力量と、に基づいて、前記時間情報としての前記複数の送電路のそれぞれの送電路の充電予測時間を算出し、
前記第1制御部は、前記充電予測時間が前記複数の送電路のそれぞれの送電路に予め定められた充電時間よりも長い場合、前記1以上の第1送電路のうち一つに向かう前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
【請求項25】
請求項22記載の非接触給電システムであって、
前記1以上の送電路は、さらに、周回できる前記送電路を含み、
前記第1制御部は、前記通知の後の前記進路指令の決定について、前記進路上に前記周回できる前記送電路を含む場合、向かう前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
【請求項26】
請求項22記載の非接触給電システムであって、
前記第3制御装置は、前記通知に係わる前記移動体以外の他の前記移動体に、前記通知に係わる前記移動体の前記進路を走行させる、非接触給電システム。
【請求項27】
移動体に非接触で給電する非接触給電システムのための送電装置であって、
前記非接触給電システムは、
前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う前記送電装置と、
前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路と、より構成される複数の走行路と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部と、を備え、
前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、
前記送電装置から前記電力を受電する受電部と、
前記電力としての予め定められた供給電力で充電されることができるバッテリと、
電力量としての前記バッテリの残量を取得するバッテリセンサと、
前記給電管理部と通信する第1通信部と、
前記移動体を制御する第1制御装置と、を備え、
前記送電装置は、
前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイルと、
前記送電コイルを介して、前記供給電力を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源と、を備え、
前記給電管理部は、
前記移動体の走行に必要な給電情報を生成する第1制御部と、
前記第1通信部と通信する第2通信部と、を備え、
前記移動体または前記給電管理部は、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量を算出する第3制御部を備え、
前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度を算出し、
前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する、送電装置。
【請求項28】
請求項27記載の送電装置であって、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯を設定された前記複数の送電路であり、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、送電装置。
【請求項29】
移動体に非接触で給電する非接触給電システムの受電装置であって、
前記受電装置は、前記移動体に設けられており、
前記非接触給電システムは、
前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う送電装置と、
前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路と、より構成される複数の走行路と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部と、を備え、
前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、
前記受電装置は、
前記送電装置から前記電力を受電する受電部と、
前記電力としての予め定められた供給電力で充電されることができるバッテリと、
電力量としての前記バッテリの残量を取得するバッテリセンサと、
前記給電管理部と通信する第1通信部と、
前記移動体を制御する第1制御装置と、を備え、
前記送電装置は、
前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイルと、
前記送電コイルを介して、前記供給電力を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源と、を備え、
前記給電管理部は、
前記移動体の走行に必要な給電情報を生成する第1制御部と、
前記第1通信部と通信する第2通信部と、を備え、
前記移動体または前記給電管理部は、前記移動体から前記残量を受け取り、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量を算出する第3制御部を備え、
前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度を算出し、
前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する、受電装置。
【請求項30】
請求項29記載の受電装置であって、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯を設定された前記複数の送電路であり、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、受電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非接触給電システム、送電装置、および受電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で給電される車両において、例えば、特許文献1のように、走行経路の一部に給電路を設置することで、走行中に給電を行う技術がある。受電装置を備えた車両は、送電装置を備えた送電路上を走行する際に、送電装置から給電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-45013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
送電路による非接触式の給電方式において、送電路の長さは、有限であるため、車両が送電路上を走行する時間にも限りがある。よって、車両が必要とする充電量を送電路上の走行中に確保できない場合がある。こうした場合、例えば、工場で使用されるAGVは、停車した状態で給電を行うため、その間、作業を行えない。すなわち、AGVの稼働率が低下する。よって、AGVの稼働時間を長くさせるため、大容量のバッテリを搭載させる対策が必要となる。
【0005】
したがって、非接触式の給電方式により、限られた送電路上で十分な充電量を確保する技術が求められていた。この技術により、充電時間による車両の稼働率の低下の防止や、バッテリの大容量化を不要とすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0007】
本開示の第1形態によれば、移動体(100、100a、100b)に非接触で給電する非接触給電システム(10、10a、10b、10c、10d、10e)が提供される。この非接触給電システムは、前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う送電装置(200)と、前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路(310)と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路(320)と、より構成される複数の走行路(300,300c)と、前記非接触給電システムを制御する給電管理部(400、400a、400b、400c)と、を備え、前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、前記送電装置から前記電力を受電する受電部(110)と、前記電力としての予め定められた供給電力(P)で充電されることができるバッテリ(120)と、前記バッテリの残量(Wb)を取得するバッテリセンサ(130)と、前記給電管理部と通信する第1通信部(140)と、前記移動体を制御する第1制御装置(150)と、を備え、前記送電装置は、前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイル(220)と、前記送電コイルを介して、前記供給電力(P)を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源(210)と、を備え、前記給電管理部は、給電情報(Dc)を生成する第1制御部(411x、411xc)と、前記第1通信部と通信する第2通信部(420)と、を備え、前記移動体または前記給電管理部は、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量(Ws)を算出する第3制御部(411y)を備え、前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度(V1)であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度(V2)で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、前記第1制御部は、前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度(V_com)を算出し、前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する。
【0008】
このような態様とすることで、移動体は、バッテリの要求電力量と受電情報との変化に応じた第3走行速度V_comにより、進路を走行する。例えば、受電情報は、送電路の供給電力と長さである。このため、移動体に受電される電力は、走行速度に依存する。このため、移動体は、給電管理部から送信された第3走行速度で走行することにより、バッテリの残量の変化に応じた要求電力量を充電する。よって、非接触給電システムは、残量の不足による移動体の停止を防止することにより、移動体の稼働率の低下を防止できる。
【0009】
本開示の第2形態によれば、移動体に非接触で給電する非接触給電システムのための送電装置が提供される。この送電装置は、前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う前記送電装置と、前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路と、より構成される複数の走行路と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部と、を備え、前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、前記送電装置から前記電力を受電する受電部と、前記電力としての予め定められた供給電力で充電されることができるバッテリと、電力量としての前記バッテリの残量を取得するバッテリセンサと、前記給電管理部と通信する第1通信部と、前記移動体を制御する第1制御装置と、を備え、前記送電装置は、前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイルと、前記送電コイルを介して、前記供給電力を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源と、を備え、前記給電管理部は、前記移動体の走行に必要な給電情報を生成する第1制御部と、前記第1通信部と通信する第2通信部と、を備え、前記移動体または前記給電管理部は、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量を算出する第3制御部を備え、前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、前記第1制御部は、前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度を算出し、前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する。
【0010】
このような態様とすることで、移動体は、バッテリの要求電力量と受電情報との変化に応じた第3走行速度により、進路を走行する。例えば、受電情報は、送電路の供給電力と長さである。このため、移動体に受電される電力は、走行速度に依存する。このため、移動体は、給電管理部から送信された第3走行速度で走行することにより、バッテリの残量の変化に応じた要求電力量を充電する。よって、送電装置は、残量の不足による移動体の停止を防止することにより、移動体の稼働率の低下を防止できる。
【0011】
本開示の第3形態によれば、移動体に非接触で給電する非接触給電システムの受電装置が提供される。この受電装置は、前記移動体に設けられており、前記非接触給電システムは、前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う送電装置と、前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路と、より構成される複数の走行路と、前記非接触給電システムを制御する給電管理部と、を備え、前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、前記受電装置は、前記送電装置から前記電力を受電する受電部と、前記電力としての予め定められた供給電力で充電されることができるバッテリと、電力量としての前記バッテリの残量を取得するバッテリセンサと、前記給電管理部と通信する第1通信部と、前記移動体を制御する第1制御装置と、を備え、前記送電装置は、前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイルと、前記送電コイルを介して、前記供給電力を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源と、を備え、前記給電管理部は、前記移動体の走行に必要な給電情報を生成する第1制御部と、前記第1通信部と通信する第2通信部と、を備え、前記移動体または前記給電管理部は、前記移動体から前記残量を受け取り、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量を算出する第3制御部を備え、前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、前記第1制御部は、前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度を算出し、前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する。
【0012】
このような態様とすることで、移動体は、バッテリの要求電力量と受電情報との変化に応じた第3走行速度により、進路を走行する。例えば、受電情報は、送電路の供給電力と長さである。このため、移動体に受電される電力は、走行速度に依存する。このため、移動体は、給電管理部から送信された第3走行速度で走行することにより、バッテリの残量の変化に応じた要求電力量を充電する。よって、受電装置は、残量の不足による移動体の停止を防止することにより、移動体の稼働率の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態における非接触給電システムの概略構成を示す説明図。
図2】移動体と送電装置の構成を示すブロック図。
図3】給電管理部の機能的な構成を示すブロック図。
図4】1つの送電路を走行する場合の給電の処理を示すフローチャート。
図5】複数の送電路を走行する場合の給電の処理を示すフローチャート。
図6】同一の送電路を走行させる場合の給電の処理を示すフローチャート。
図7】移動体の受電を停止の処理を示すフローチャート。
図8】第2実施形態の非接触給電システムの概略構成を示す説明図。
図9】第2実施形態の給電管理部の機能的な構成を示すブロック図。
図10】第2実施形態の移動体と送電装置の構成を示すブロック図。
図11】充電予測時間と充電率による進路の決定の処理を示すフローチャート。
図12】停車充電と走行中充電の選択の処理を示すフローチャート。
図13】第3実施形態において非接触給電システムの構成を示す説明図。
図14】第3実施形態の移動体と送電装置の構成を示すブロック図。
図15】第3実施形態の給電管理部の機能的な構成を示すブロック図。
図16】工程管理部の機能的な構成を示す説明図。
図17】第3実施形態において非接触給電の処理のフローチャート。
図18】非送電路の走行速度の変更を行う処理のフローチャート。
図19】第4実施形態の非接触給電システムの概略構成を示す説明図。
図20】第4実施形態の給電管理部の機能的な構成を示す説明図。
図21】第4実施形態の非接触給電システムの処理を示すフローチャート。
図22】第4実施形態の制御間隔の説明図。
図23】第5実施形態の制御を示すフローチャート。
図24】第6実施形態の制御を示すフローチャート。
図25】第7実施形態の制御間隔の説明図。
図26】第8実施形態における要求電力量の算出方法の説明図。
図27】第10実施形態の非接触給電システムの概略構成を示す説明図。
図28】第10実施形態の工程管理部の機能的構成を示すブロック図。
図29】第10実施形態の受電情報の示す表。
図30】第11実施形態の非接触給電システムの概略構成を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
A.第1実施形態:
A1.非接触給電システムの構成:
図1に示す非接触給電システム10は、移動体100に非接触で給電する。例えば、図1に示すように、非接触給電システム10は、物流倉庫において製品Prの搬送を行う移動体100としての無人搬送車に、非接触で給電する。非接触給電システム10は、移動体100と、送電装置200と、走行路300と、給電管理部400と、を備える。
【0015】
図2に示す送電装置200は、移動体100に、給電のための電力の送電を行う。より具体的には、送電装置200は、走行路300の一部である送電路310に敷設された送電コイル220により、受電コイル111を備える移動体100に非接触で電力を給電する。送電コイル220と受電コイル111は、磁界共振結合により非接触で電力の伝送を行う。送電装置200は、1以上の送電コイル220と電源210とを備える。走行路300や移動体100については、後に詳細に説明する。
【0016】
電源210は、供給電力Pを、1以上の送電路上を走行している移動体100に出力する。より具体的には、電源210は、移動体100のバッテリ120の充電に必要な電力としての供給電力Pを出力する。電源210は、1以上の送電コイル220に接続されている。
【0017】
なお、供給電力Pとは、給電のための電力として、電源210が供給可能な電力である。前述のように、非接触給電システム10は、送電コイル220と受電コイル111の磁界共振結合により非接触で電力の伝送を行う。よって、給電される電力は、送電コイル220を備える送電装置200と、受電コイル111を備える移動体100と、の相対位置より変化する。供給電力Pは、送電路310の各位置において、送電装置200から移動体100に供給される電力の平均値である。供給電力Pは、予め定められた電力であり、後に説明する給電管理部400のRAM413に、非接触給電が行われる前にその情報が記憶されている。
【0018】
電源210は、例えば、商用交流電源と整流回路とインバータにより構成される。商用交流電源は、整流回路と電気的に接続される。整流回路は、インバータと電気的に接続される。商用交流電源は、バッテリ120を充電させる供給電力Pとしての交流電力を整流回路に出力する。整流回路は、受け取った交流電力を直流電力に変換する。インバータは、整流回路から出力された直流電力を、送電コイル220による送電に必要な周波数の交流電力に変換する。
【0019】
送電コイル220は、受電コイル111に電源210から供給された電力を送電する。送電コイル220は、より具体的には、コンデンサを含み共振回路を構成している。送電コイル220は、例えば、受電コイル111と電磁気的に結合した状態において、共振周波数を85kHzになるように設計された共振回路である。送電コイル220は、インバータに接続されることで、インバータから85kHzの交流電力を受ける。送電コイル220は、インバータから受け取った交流電力により、交流磁界を発生させる。後に説明する受電コイル111も、送電コイル220と電磁気的に結合した状態において、送電コイル220と同じ共振周波数を有する共振回路である。よって、受電コイル111は、送電コイル220から受けた交流磁界に共振することで、供給電力Pを受け取る。送電コイル220は、1以上の送電路310の予め定められた区間に設けられている。送電コイル220の配置については、送電路310の説明において記載する。
【0020】
走行路300は、移動体100の走行する経路である。より具体的には、移動体100が無人搬送車の場合、走行路300は、無人搬送車の作業経路である。光学誘導式の無人搬送車では、誘導用のテープよって誘導されるため、走行路300は、誘導用のテープである。図1では、誘導用のテープの経路が走行路300の例として示されている。走行路300は、送電を受ける1以上の送電路310と、1以上の送電路310以外の1以上の非送電路320と、より構成されている。
【0021】
送電路310は、送電装置200から送電を受けることで、走行中の移動体100に非接触給電を行う。すなわち、送電路310には、1以上の送電コイル220が設けられている。送電コイル220は、図1の中段左部に示すように、誘導用のテープ上に中心Cが位置するように配置されている。すなわち、送電路310は、1以上の送電コイル220が配置される走行路300の区間である。
【0022】
送電路310の区間は、より具体的には、誘導用のテープ上に等間隔に配列された1以上の送電コイル220において、両端部の送電コイル220を繋ぐ経路の長さLである。より具体的には、この長さLは、両端部の送電コイル220の送電可能な範囲の両端を、走行路300に沿って繋ぐ長さである。図1では、技術の理解を容易にするため、送電路310は、送電路310の区間ごとに破線により区画されている。
【0023】
送電路310の区間は、非接触給電システム10において、複数存在している。これら複数の送電路310には、送電路310ごとに長さLが設定されている。送電路310の長さLは、送電コイル220を敷設可能な面積や移動体100の走行速度などに応じた送電コイル220の数や間隔により、設定される。長さLは、予め定められた長さであり、後に説明する給電管理部400のRAM413に、非接触給電が行われる前に記憶されている。
【0024】
送電路310は、複数の送電路310のそれぞれに移動体100の走行速度を制限するための予め定められた速度帯Vbを設定されている。この速度帯Vbは、後に説明する給電管理部400のRAM413に、非接触給電が行われる前に記憶されている。
【0025】
非送電路320は、送電路310の区間以外の走行路300における区間である。非送電路320は、送電装置200から送電を受けない区間ではない。送電路付近の非送電路320において、非送電路320は、送電路310から漏れた交流磁界により、送電可能な範囲に含まれる場合がある。
【0026】
移動体100は、走行路300を走行する。より具体的には、移動体100は、1以上の非送電路320のそれぞれの非送電路320に予め定められた第2走行速度V2で走行する状態において、給電情報Dcに基づく指示を受けた場合に、1以上の送電路310のうちの1つの送電路310を走行する。移動体100は、給電管理部400からの給電情報Dcとしての進路指令Rを受けない場合、予め定められた走行路300上の進路を走行する。移動体100は、後に説明する給電管理部400からの進路指令Rを受けることで、送電路310と非送電路320を組み合わせた進路を走行する。
【0027】
なお、第2走行速度V2とは、移動体100が非送電路320を走行するために設定された走行速度である。移動体100は、走行速度について指令を受けない場合、非送電路320において、第2走行速度V2で走行する。第2走行速度V2は、予め後に説明する移動体100のRAM153に、非接触給電が行われる前に記憶されている。第2走行速度V2を、標準速度V2ともよぶ。なお、移動体100の送電路310における走行速度を、第1走行速度V1とよぶ。後に説明する第3走行速度V_comは、第1走行速度V1として、給電管理部400により設定される速度である。なおこの速度は、全経路一律ではなく、各経路により異なる場合もある。
【0028】
移動体100は、例えば、AGV(Automatic Guided Vehicle)とも呼ばれる無人搬送車である。図1では、光学誘導方式の無人搬送車を移動体100の例としている。すなわち、移動体100は、走行路300上の誘導用のテープに沿って走行する。さらに、移動体100は、送電路310上において、充電を行いながら走行する。
【0029】
移動体100は、図2に示すように、受電部110と、バッテリ120と、バッテリセンサ130と、第1通信部140と、第1制御装置150と、駆動部160と、車輪170と、を備える。なお、受電部110と、バッテリ120と、バッテリセンサ130と、第1通信部140と、第1制御装置150と、の構成を受電装置ともよぶ。
【0030】
受電部110は、非接触給電システム10から電力を受電する。より具体的には、受電部110は、送電コイル220から送電されたバッテリ120を充電させるための供給電力Pを、非接触で受電する。さらに、受電部110は、受電した供給電力Pをバッテリ120に充電させる。受電部110は、受電コイル111と、充電回路112と、を備える。
【0031】
受電コイル111は、送電コイル220から供給電力Pを受電する。受電コイル111は、より具体的には、コンデンサを含み共振回路を構成している。受電コイル111は、送電コイル220と電磁気的に結合した状態において、共振周波数を85kHzになるように設計された共振回路である。受電コイル111は、送電コイル220からの交流磁界を受ける。受電コイル111は、充電回路112に接続されている。よって、受電コイル111は、交流磁界に共振することで生じた誘導起電力により生じた交流電力を充電回路112に出力する。
【0032】
受電コイル111は、移動体100の底部に配置されている。さらに、受電コイル111は、移動体100の幅方向において中央に配置されている。受電コイル111は、移動体100が誘導用のテープ上を走行するため、誘導用のテープに沿って敷設された送電コイル220により近づくように配置されている。このうえ、受電コイル111は、路面に敷設された送電コイル220に対向する向きで配置されている。
【0033】
充電回路112は、受電コイル111から受け取った交流電力をバッテリ120に充電する。充電回路112は、バッテリ120と受電コイル111に電気的に接続されている。充電回路112は、例えば、DC/DCコンバータと整流回路より構成される。充電回路112は、受電コイル111から供給された交流電力を整流回路により直流電力に変換する。DC/DCコンバータは、直流電力の電圧を、バッテリ120の充電電圧に変換してバッテリ120に出力する。
【0034】
さらに、充電回路112は、バッテリ120の受電の停止を行う。充電回路112は、通信線により第1制御装置150に接続されている。よって、充電回路112は、第1制御装置150の指令により、バッテリ120との電気的な接続を遮断する。例えば、充電回路112は、DC/DCコンバータの動作を停止させることで、バッテリ120に出力する電力を停止させる。なお、この受電停止方法は、共振方式が並列か直列かにより様々な方法が公知であり、ここでは詳細について言及しない。
【0035】
バッテリ120は、電力としての予め定められた供給電力Pで充電されることができる。バッテリ120は、二次電池である。例えば、バッテリ120は、リチウムイオン電池である。バッテリ120は、充電回路112から直流電力を受けることで、移動体100の走行に必要な電力を充電する。
【0036】
駆動部160は、バッテリ120より送られた電力によりモータ162を動作させることで、移動体100の動力を発生する。駆動部160は、駆動回路161とモータ162を備えている。駆動回路161は、バッテリ120とモータ162に電気的に接続されている。駆動部160は、第1制御装置150に通信線により接続されている。駆動部160は、第1制御装置150の指令を受けてモータ162を駆動させる。
【0037】
駆動回路161は、インバータとDC/DCコンバータにより構成されている。インバータは、バッテリ120から供給された直流電力を交流電力に変換し、交流電力をモータ162に供給する。DC/DCコンバータはバッテリ120に蓄えられた電力がモータ162に供給されるときに、必要に応じてバッテリ120の電圧を昇圧する。駆動回路161は、第1制御装置150に接続されている。駆動回路161は、第1制御装置150の指令により、後に説明するモータ162の回転数を変えることで移動体100の進路を変更する。
【0038】
モータ162は、バッテリ120に蓄えられた電力を、動力源として駆動されることで移動体100を走行させる。モータ162は、駆動回路161からモータ162の回転に必要な交流電力を受け取ることで駆動する。モータ162の動力は、減速機および車軸を介して車輪170に伝達される。なお車輪170に組み込まれたインホイールモータを利用する方法も可能である。
【0039】
モータ162は、移動体100の進行方向を境とした両側の車輪170において、別々のモータ162により構成されている。モータ162は、この両側の車輪170との間で、回転速度に差をつけることで、移動体100の進路を変更する。
【0040】
バッテリセンサ130は、電力量としてのバッテリ120の残量Wbを取得する。バッテリセンサ130は、バッテリ120における充電と放電の電流値と時間とを積算した、単位Ahの残量Wbを検出する。さらに、バッテリセンサ130は、残量Wbとともに、バッテリ120の端子間電圧Vも取得する。バッテリセンサ130は、第1制御装置150と通信線により接続されている。バッテリセンサ130は、残量Wbの取得に応じて、第1制御装置150に残量Wbと端子間電圧Vを送信する。残量Wbと端子間電圧Vは、第1制御装置150により給電管理部400に送信される。なお、バッテリ120の定格容量Wmは、予め給電管理部400のRAM413に記憶されている。
【0041】
バッテリセンサ130は、バッテリ120の残量Wbの取得を走行路300において、定期的に実施している。より具体的には、残量Wbの取得は、送電路310と非送電路320のそれぞれにおいて、複数回取得できる間隔で実施される。このため、取得の間隔は、移動体100の走行速度や送電路310の長さLに応じて設定される。
【0042】
第1通信部140は、給電管理部400と通信する。より具体的には、第1通信部140は、給電情報Dcや残量Wbの情報の通信を給電管理部400の第2通信部420と行う。第1通信部140は、例えば、WiFi接続による無線通信を用いることで、給電管理部400と通信する。第1通信部140は、マイコンや無線通信用のICが組み込まれたハードウェアモジュールである。
【0043】
第1制御装置150は、移動体100を制御する。第1制御装置150は、プロセッサ151とROM152とRAM153とを備える。ROM152は、読み出し専用の半導体メモリであり、移動体100の制御のための制御プログラムを予め記憶している。RAM153は、半導体メモリであるメインメモリと、補助記憶装置であるハードディスクもしくはソリッドステートドライブなどと、を含む。RAM153は、移動体100の制御に必要な情報を記憶する。第1制御装置150は、給電管理部400から受け取った給電情報Dcに基づいて、移動体100を制御する。
【0044】
プロセッサ151は、ROM152に記憶された各種プログラムを実施することで、各部の機能を実現する。プロセッサ151は、RAM153を使用して、処理に必要な情報の記憶を行う。プロセッサ151の具体的な機能は、後に詳細に説明する。
【0045】
図3に示す給電管理部400は、非接触給電システム10を制御する。給電管理部400は、例えば、汎用コンピュータである。給電管理部400は、第2制御装置410と、第2通信部420と、第1検出部430と、を備える。
【0046】
第2制御装置410は、移動体100の非接触給電に係わる動作を制御する。第2制御装置410は、プロセッサ411とROM412とRAM413とを備える。ROM412は、読み出し専用の半導体メモリであり、非接触給電に係わる各構成要素の制御のための制御プログラムを予め記憶している。RAM413は、半導体メモリであるメインメモリと、補助記憶装置であるハードディスクもしくはソリッドステートドライブなどと、を含む。
【0047】
プロセッサ411は、ROM412に記憶された各種プログラムを実施することで、各部の機能を実現する。プロセッサ411は、RAM413を使用して、処理に必要な情報の記憶を行う。プロセッサ411は、移動体100の走行に必要な給電情報Dcを生成する第1制御部411xと、残量Wbに基づいてバッテリ120の要求電力量W_comを算出する第3制御部411yと、を備える。プロセッサ411の具体的な機能は、後に詳細に説明する。
【0048】
なお、給電情報Dcとは、第1制御装置150による移動体100の1以上の送電路310における走行と受電を制御するための情報である。より具体的には、給電情報Dcは、少なくとも、1以上の非送電路320のいずれかの非送電路320と、1以上の送電路310のいずれかの送電路310と、を組み合わせた進路を指示する進路指令Rと、1以上の送電路310のそれぞれの送電路310における第1走行速度V1と、を含む情報である。さらに、給電情報Dcは、受電部110による受電の停止指令Sを含む。
【0049】
第1検出部430は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310において、移動体100の数と、移動体100のそれぞれの第1走行速度V1と、を検出する。第1検出部430は、カメラと映像解析装置によって構成され、複数の送電路310のそれぞれの送電路310において、移動体100の数と、第1走行速度V1と、を検出するように機能する。例えば、第1検出部430は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310にカメラを設けることで、送電路310上の移動体100の映像を取得する。第1検出部430は、映像から、映像解析装置により送電路310上の画素の時間変化に基づいて、移動体100の数を検出する。例えば、第1検出部430は、予め移動体100のサイズに相当する画素の範囲を記憶しておくことで、映像の送電路310上を移動する移動体100を検出する。第1検出部430は、通信線により給電管理部400の第2制御装置410に接続されている。よって、第1検出部430は、取得した送電路310上の移動体100の数を、数の変化のたびに、第2制御装置410に通知する。
【0050】
第2通信部420は、移動体100の第1通信部140と通信する。より具体的には、第2通信部420は、給電情報Dcや残量Wbなどの情報の通信を第1通信部140と行う。第2通信部420は、第1通信部140と同様に、WiFi接続による無線通信を行うハードウェアモジュールである。
【0051】
A2.1つの送電路における給電方法:
図4により、非接触給電システム10において、移動体100が非送電路320から1つの送電路310に進入する場合の非接触給電の処理を説明する。移動体100は、送電路310に進入する前において、非送電路320を走行している状態である。本フローは、移動体100の残量Wbの取得により開始される。なお、前述のように、残量Wbの取得は、端子間電圧Vの取得も行われる。
【0052】
図4のステップS110において、給電管理部400のプロセッサ411は、バッテリセンサ130の取得した残量Wbと端子間電圧Vを取得する。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、移動体100のプロセッサ151によって、第1通信部140と第2通信部420を介して残量Wbを受け取る。
【0053】
図4のステップS120において、給電管理部400のプロセッサ411は、バッテリ120の定格容量Wmの読み出しを行う。
【0054】
図4のステップS130において、給電管理部400のプロセッサ411は、移動体100から受け取った残量Wbに基づいて、バッテリ120の要求電力量W_comを算出する。より具体的には、給電管理部400のプロセッサ411は、単位Ahの残量Wbと定格容量Wmと、単位Vのバッテリ120の端子間電圧Vと、より、単位Wsの要求電力量W_comを算出する。すなわち、(1)式より求められる。
W_com=(Wm×0.8-Wb)×V …(1)
給電管理部400のプロセッサ411は、要求電力量W_comをRAM413に記憶する。要求電力量W_comの算出を行う給電管理部400のプロセッサ411の機能部が、第3制御部411yである。なお、この例では定格容量Wmに0.8をかけているが、これはバッテリ120を常に満充電にするのではなく、8割目標で充電するためであり、この数値は運用により変更可能である。残量Wbが8割目標を超える場合のように、(1)式の右辺が負となる間は、給電管理部400のプロセッサ411は、要求電力量W_comをゼロとする。
【0055】
すなわち、第3制御部411yは、残量Wbと、バッテリ120の定格容量Wmに基づく第1基準容量C1と、の差分に基づいて、要求電力量W_comの算出を行う。(1)式において、第1基準容量C1は、Wm×0.8である。
【0056】
図4のステップS140において、給電管理部400のプロセッサ411は、予めRAM413に記憶された送電路310の長さLの読み出しを行う。
【0057】
図4のステップS150において、給電管理部400のプロセッサ411は、予めRAM413に記憶された送電路310の供給電力Pの読み出しを行う。
【0058】
図4のステップS160において、給電管理部400のプロセッサ411は、予め定められた送電路310の長さLと、供給電力Pと、第3制御部411yから受け取った要求電力量W_comと、に基づいて、長さLにおいて移動体100が要求電力量W_comを充電するための第3走行速度V_comを算出する。より具体的には、給電管理部400のプロセッサ411は、単位mの長さLと、単位Wsの要求電力量W_comと、単位Wの供給電力Pと、(2)式により第3走行速度V_comを算出する。
V_com=L/(W_com/P) …(2)
給電管理部400のプロセッサ411は、移動体100ごとに、第3走行速度V_comをRAM413に記憶する。なお、1つの送電コイル220を備えた送電路310においては長さLが短い。この時、要求電力量W_comが大きいと、第3走行速度V_comはゼロ近傍になり、ほぼ停止状態になる。したがって、所定値よりも速度が小さいときは、これをゼロに設定し、停車充電として扱うことが可能である。
【0059】
図4のステップS170において、給電管理部400のプロセッサ411は、第2通信部420を介して移動体100に第3走行速度V_comを送信する。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、第3走行速度V_comを移動体100の第1走行速度V1として決定する。移動体100のプロセッサ151は、受け取った給電情報Dcにより、第1走行速度V1を第3走行速度V_comとして設定されるため、送電路310に進入後、第3走行速度V_comで走行する。よって、本フローの処理が終了する。第3走行速度V_comの生成を行う給電管理部400のプロセッサ411の機能部が、第1制御部411xである。
【0060】
このような態様とすることで、移動体100は、バッテリ120の要求電力量W_comと、送電路310の長さLと、送電路310の供給電力Pと、に応じて送電路310の走行速度としての第1走行速度V1を変えることができる。送電路310は、あらかじめ定められた供給電力Pを出力する。このため、移動体100に供給される電力は、移動体100の第1走行速度V1に依存する。よって、非接触給電システム10は、第3走行速度V_comに移動体100の第1走行速度V1を変えることにより、要求電力量W_comを満たす充電を走行中に行える。したがって、非接触給電システム10は、移動体100を停車させないため、移動体100の充電による稼働率の低下を防止できる。
【0061】
このような態様とすることで、非接触給電システム10は、第1基準容量C1を基準に走行により消費された電力量を要求電力量W_comとして算出する。さらに、非接触給電システム10は、要求電力量W_comがバッテリ120に充電されるように移動体100を走行させる。よって、非接触給電システム10は、例えば、小容量のバッテリ120が搭載された移動体100であっても、バッテリ120の残量Wbが不足することを防止できる。
【0062】
A3.複数の送電路を有する走行路における給電方法:
図5に示す非接触給電システム10のフローチャートにおいて、移動体100が非送電路320から複数の送電路310のいずれかに進入する場合の非接触給電の処理を説明する。この複数の送電路310とは、走行路300が分岐することで複数となっている送電路310である。例えば、複数の送電路310は、図1の下段中央の分岐点Aと分岐点Bの区間のように、平行した複数の走行路300に、2以上の送電路310が設けられている状態である。移動体100が分岐点Aから分岐点Bに向かう場合、分岐点Aに到達する前の非送電路320において、本フローは、バッテリ120の残量Wbの取得により開始される。
【0063】
図5において、ステップS210~ステップS230は、図4のステップS110~ステップS230と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
図5のステップS240において、給電管理部400のプロセッサ411は、予めRAM413に記憶された複数の送電路310のそれぞれの長さLの読み出しを行う。nを2以上の整数とし、n本目の送電路310_nの長さLを、長さL_nとよぶ。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、n本目の送電路310_nごとの長さL_nを読み出す。
【0065】
図5のステップS250において、給電管理部400のプロセッサ411は、予めRAM413に記憶された複数の送電路310のそれぞれの供給電力Pの読み出しを行う。n本目の送電路310_nの供給電力Pを、供給電力P_nとよぶ。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、n本目の送電路310_nごとの供給電力P_nを読み出す。
【0066】
図5のステップS260において、給電管理部400のプロセッサ411は、予め定められた送電路310の長さL_nと、供給電力P_nと、第3制御部411yから受け取った要求電力量W_comと、に基づいて、長さL_nにおいて移動体100が要求電力量W_comを充電するための第3走行速度V_com_nを算出する。給電管理部400のプロセッサ411は、図2のステップS160と同様に、n本目の送電路310_nごとの第3走行速度V_com_nを算出する。
【0067】
図5のステップS270において、給電管理部400のプロセッサ411は、第3走行速度V_com_nに対応する、n本目の送電路310_nの速度帯Vb_nを選択する。前述のように、速度帯Vb_nは、RAM413に予め記憶されている。給電管理部400のプロセッサ411は、第3走行速度V_com_nが含まれる速度帯Vb_nであり、もしくは、速度帯Vb_nの中央値が最も第3走行速度V_com_nに近い速度帯Vb_nである送電路310_nを選択する。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、第3走行速度V_com_nの決定に基づいて、第3走行速度V_com_nを制限する速度帯Vb_nを設定された複数の送電路310のいずれかの送電路310に向かうことを指示する進路指令Rを決定する。
【0068】
図5のステップS280において、給電管理部400のプロセッサ411は、進路指令Rと第3走行速度V_com_nと、を給電情報Dcとして、第2通信部420を介して移動体100に送信する。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、進路指令Rと第3走行速度V_com_nを、移動体100の進路と、第1走行速度V1と、として設定する。移動体100のプロセッサ151は、受け取った給電情報Dcにより、第3走行速度V_com_nに対応する速度帯Vb_nの送電路310_nに向かって走行する。さらに、移動体100のプロセッサ151は、第1走行速度V1を第3走行速度V_comとして決定されるため、送電路310に進入後、第3走行速度V_comで走行する。よって、本フローの処理が終了する。進路指令Rの生成を行う給電管理部400のプロセッサ411の機能部が、第1制御部411xである。
【0069】
このような態様とすることで、非接触給電システム10は、移動体100の第3走行速度V_com_nに応じて、移動体100の走行する送電路310を選択できる。すなわち、非接触給電システム10は、第3走行速度V_com_nの異なる移動体100を、異なる送電路310で走行させることができる。したがって、非接触給電システム10は、第3走行速度V_com_nの違いによる送電路310上の移動体100の渋滞を緩和できる。
【0070】
A4.同一の送電路上の複数の移動体に対する給電方法:
図6に示す非接触給電システム10のフローチャートにおいて、複数の移動体100が同一の送電路310上を走行する場合を説明する。本フローは、給電管理部400のプロセッサ411が、第1検出部430からの通知により、送電路310上の移動体100の数に変化があった場合に開始される。
【0071】
図6のステップS310において、給電管理部400のプロセッサ411は、同一の送電路310を走行する複数の移動体100の第3走行速度V_comの読み出しを行う。なお、この第3走行速度V_comは、図4のステップS160の処理により記憶された第3走行速度V_comである。
【0072】
図6のステップS320において、給電管理部400のプロセッサ411は、複数の移動体100の第3走行速度V_comのうち、最も遅い第3走行速度V_com_mを選択する。
【0073】
図6のステップS330において、給電管理部400のプロセッサ411は、同一の送電路310を走行する複数の移動体100に、給電情報Dcとして最も遅い第3走行速度V_com_mを送信する。移動体100は、給電情報Dcに基づいて走行するため、受け取った最も遅い第3走行速度V_com_mで同一の送電路310を走行する。よって、本フローの処理が終了する。第3走行速度V_comの生成を行う給電管理部400のプロセッサ411の機能部が、第1制御部411xである。
【0074】
すなわち、第2制御装置410は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310において、移動体100の数が変化した場合に、移動体100のそれぞれの第3走行速度V_comのうち第3走行速度V_com_mに、移動体100のそれぞれの第3走行速度V_comを、変更する。
【0075】
このような態様とすることで、非接触給電システム10は、同一の送電路310上の異なる第3走行速度V_comの移動体100を、最も第3走行速度V_comの遅い移動体100に合わせて、走行させることができる。すなわち、非接触給電システム10は、第3走行速度V_comの異なる移動体100を同一の送電路310上で走行させることができる。なお最も遅い移動体100の速度に併せているため、他の移動体100は、送電路310の途中で目標の充電容量に到達する場合がある。目標の充電容量が80%の場合は、受電中にバッテリ定格容量の80%を超えても受電を継続することが可能であるが、定格容量100%目標で充電制御している場合は、過充電となるので、受電停止が必要である。
【0076】
A5.送電路上の受電の停止:
図7により、バッテリ120が十分充電されている状態において、移動体100の受電を停止する場合を説明する。本フローは、送電路310を走行中の移動体100において、バッテリ120の残量Wbの取得により開始される。
【0077】
図7において、ステップS410とステップS420は、図3のステップS110とステップS120と同様であるため、説明を省略する。
【0078】
図7のステップS430において、給電管理部400のプロセッサ411は、残量Wbと予め定められた基準電力量Waとの比較を行う。例えば、(1)式のように、給電管理部400のプロセッサ411は、バッテリ120の定格容量Wmの80%を基準電力量Waとして比較を行う。すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、残量Wbが定格容量Wmの80%の基準電力量Waを超過する場合、処理をステップS440に進める。給電管理部400のプロセッサ411は、残量Wbが定格容量Wmの80%の基準電力量Wa以下の場合、処理をステップS410に進める。
【0079】
図7のステップS440において、給電管理部400のプロセッサ411は、移動体100に給電情報Dcとしての受電の停止指令Sを移動体100に送信する。移動体100のプロセッサ151は、給電情報Dcに基づいて受電部110による受電を停止させる。停止指令Sの生成を行う給電管理部400のプロセッサ411の機能部が、第1制御部411xである。
【0080】
図7のステップS450において、給電管理部400のプロセッサ411は、移動体100に送電路310から非送電路320に戻る進路指令Rを、給電情報Dcとして送信する。例えば、図1の下段中央の分岐点Aと分岐点Bの区間では、送電路310aの経路の途中に分岐点Fが存在している。送電路310aを移動体100が走行する場合、分岐点Fに到達する前に、ステップS450による進路指令Rを受けることで、移動体100は、非送電路320aを通過して、非送電路320に進路を変更する。よって、本フローの処理が終了する。
【0081】
すなわち、給電管理部400のプロセッサ411は、移動体100に受電が行われている状態において、残量Wbの取得を条件に、残量Wbが予め定められた基準電力量Waよりも大きい場合、受電の停止を指示する。さらに、給電管理部400のプロセッサ411は、複数の非送電路320のいずれかの非送電路320に向かうことを指示する進路指令Rを決定する。
【0082】
このような態様とすることで、非接触給電システム10は、バッテリ120の残量Wbに応じて、充電を停止できる。よって、例えば、非接触給電システム10は、満充電の残量Wbより低い電力量を基準電力量Waに定めることで、過剰な充電を防止できる。
【0083】
さらに、移動体100は、充電中のバッテリ120の残量Wbに応じて、送電路310から離れることができる。よって、非接触給電システム10は、送電路310上の移動体100の数を減らすことで、送電路310上を走行する移動体100の走行が阻害されることを防止する。
【0084】
B.第2実施形態:
B1.第2実施形態の非接触給電システムの構成:
図8に示す第2実施形態では、送電路310は、移動体100aを停止状態で充電する1以上の第1送電路311と、移動体100aを走行状態で充電する1以上の第2送電路312と、を備える。より具体的には、図8の下段に示すように、第1送電路311は、1つの送電コイル220が設けられている送電路310である。第2送電路312は、2以上の送電コイル220が設けられている送電路310である。第1送電路311の長さLは、送電コイル220が1つしかないため、長さL=0である。このため、前述の送電路310の区間は、長さL=0も含む区間である。
【0085】
図9に示す給電管理部400aのプロセッサ411aは、給電情報Dcに基づいて、移動体100aの時間情報Tを生成する第2制御部411zを備える。具体的な機能は、後に説明する。さらに、給電管理部400aのRAM413aは、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の予め定められた充電時間Tc_oを、非接触給電が行われる前に記憶している。充電時間Tc_oとは、例えば、移動体100が無人搬送車の場合、充電による遅延を、無人搬送車の係わる工程として許容できる限界の時間である。このうえ、給電管理部400aのRAM413aは、後に説明する基準充電率Somを記憶している。
【0086】
図10に示す移動体100aのプロセッサ151aは、バッテリ120のSOC(state of charge)としての充電率Soを取得するSOC取得部151axを備える。SOC取得部151axは、バッテリ120の定格容量Wmに対する残量Wbの割合から充電率Soを算出する。このため、移動体100aのRAM153aには、予め定格容量Wmが記憶されている。充電率Soの取得の間隔は、バッテリセンサ130による残量Wbの取得の間隔と同じである。
【0087】
なお、基準充電率Somは、バッテリ120の充電要否を判断する基準として、予め定められた充電率Soである。基準充電率Somは、例えば、移動体100が無人搬送車の場合、予め定められた稼働時間まで稼働できる充電率Soの限界である。第2実施形態における非接触給電システム10aの他の構成は、第1実施形態の非接触給電システム10と同様である。
【0088】
B2.充電予測時間と充電率による進路の決定:
図11に示すように、第2実施形態の非接触給電システム10aは、バッテリ120の充電率Soと充電予測時間Tcに基づき、非接触給電を行う。移動体100aは、送電路310に向かう進路指令Rとしての給電情報Dcを生成する前において、非送電路320を走行している状態である。すなわち、図11のフローチャートは、図5のフローの前に、すなわち、送電路310に向かう進路指令Rが生成されていないことを条件に行われる。本フローは、移動体100のバッテリセンサ130の残量Wbの取得により開始される。
【0089】
図11のステップS510において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電率Soの取得を行う。すなわち、給電管理部400aのプロセッサ411aは、移動体100aのSOC取得部151axの生成した充電率Soを、第1通信部140と第2通信部420を介して受け取る。
【0090】
図11において、ステップS520~ステップS540は、順に図4のステップS120とステップS130とステップS150と、同様である。
【0091】
図11のステップS550において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、供給電力Pと、要求電力量W_comと、に基づいて、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の充電予測時間Tcを算出する。より具体的には、給電管理部400aのプロセッサ411aは、(3)式により充電予測時間Tcを算出する。
Tc=W_com/P …(3)
充電予測時間Tcの算出におけるプロセッサ411aの機能部が、図9に示す第2制御部411zである。
【0092】
図11のステップS560において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、予め定められた充電時間Tc_oと、充電予測時間Tcと、の比較を行う。より具体的には、給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電予測時間Tcが充電時間Tc_oを超過する場合、処理をステップS570に進める。給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電予測時間Tcが充電時間Tc_o以下の場合、処理を終了する。
【0093】
図11のステップS570において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、RAM413から基準充電率Somの読み出しを行う。
【0094】
図11のステップS580において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電率Soと、予め定められた基準充電率Somと、の比較を行う。より具体的には、給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電率Soが基準充電率Som以下の場合、処理を終了する。給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電率Soが基準充電率Somを超過する場合、処理をステップS590に進める。
【0095】
なお、図11のステップS590に進まない場合、給電管理部400aのプロセッサ411aは、次の残量Wbの取得の際に、進路指令Rの生成を実施する。すなわち、移動体100aは、進路指令Rや第3走行速度V_comの給電情報Dcを受けて、送電路310の走行による充電を行う。
【0096】
図11のステップS590において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、給電情報Dcの生成を停止する。すなわち、給電管理部400aのプロセッサ411aは、第3走行速度V_comや進路指令Rを移動体100aに送信しない。より具体的には、給電管理部400aのプロセッサ411aは、一定の時間の間、給電情報Dcの生成を停止させる。すなわち、移動体100aは、一定の時間の間、送電路310と非送電路320の分岐点Eにおいて、非送電路320に向かって進む。例えば、一定の時間は、送電路310の間隔を移動する時間より短い時間である。この時間は、ステップS590の後に通過した送電路310から次の送電路310に移動する前に、非送電路320上において、再度、本フローにより給電情報Dcの生成を可能にするためである。
【0097】
すなわち、給電管理部400aのプロセッサ411aは、予め定められた充電時間Tc_oよりも充電予測時間Tcが長く、かつ、予め定められた基準充電率Somよりも充電率Soが高い場合に、進路指令Rの決定を中止する。
【0098】
このような態様とすることで、移動体100aは、充電予測時間Tcが予め定められた充電時間Tc_oよりも短い、もしくは充電率Soが基準充電率Somよりも低い場合に、送電路310を走行する。すなわち、移動体100aは、充電予測時間Tcと充電率Soに応じて、送電路310と非送電路320を使い分けることが可能となる。
【0099】
B3.停車充電と走行中充電の選択:
第2実施形態の非接触給電システム10aは、充電予測時間Tcに基づき、停車充電と走行中充電の選択を行う。移動体100aは、図8の下段中央に示すように、送電路310に向かう進路指令Rとしての給電情報Dcを生成する前において、非送電路320を走行している状態である。本フローは、移動体100のバッテリセンサ130の残量Wbの取得により開始される。
【0100】
図12において、ステップS610~ステップS650は、図11のステップS510~ステップS550と同様である。
【0101】
図12のステップS660において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電予測時間Tcと、予め定められた充電時間Tc_oと、の比較を行う。より具体的には、給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電予測時間Tcが充電時間Tc_oを超過する場合、処理をステップS670に進める。給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電予測時間Tcが充電時間Tc_o以下の場合、処理をステップS680に進める。
【0102】
図12のステップS670において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、移動体100aに第1送電路311に向かう進路指令Rを給電情報Dcとして送信する。このため、移動体100aは、第1送電路311に向かって走行する。よって、本フローの処理が終了する。
【0103】
図12のステップS680において、給電管理部400aのプロセッサ411aは、移動体100aに第2送電路312に向かう進路指令Rを給電情報Dcとして送信する。このため、移動体100aは、第2送電路312に向かって走行する。よって、本フローの処理が終了する。
【0104】
なお、ステップS680の後の残量Wbの取得を条件に、図4図5のフローの処理を行われることにより、第3走行速度V_comや複数の第2送電路312における進路の選択が行われる。
【0105】
すなわち、給電管理部400aのプロセッサ411aは、進路指令Rの決定の前における残量Wbの取得を条件に、供給電力Pと、要求電力量W_comと、に基づいて、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の充電予測時間Tcを算出する。給電管理部400の第2制御装置410aは、充電予測時間Tcが複数の送電路310のそれぞれの送電路310に予め定められた充電時間Tc_oよりも長い場合、1以上の第1送電路311のうち1つに向かう進路指令Rを決定する。
【0106】
このような態様とすることで、移動体100は、充電予測時間Tcが走行中に確保できない場合、停車して充電できる。
【0107】
C.第3実施形態:
C1.第3実施形態の構成:
図13に示すように、本実施形態では、非接触給電システム10bは、移動体100bと、給電管理部400bと、工程管理部500と、を備える。移動体100bと給電管理部400bは、第2実施形態の移動体100aと給電管理部400aに相当する。非接触給電システム10bは、移動体100の仕事の工程の状況に応じて、非接触給電を行う。
【0108】
図14に示すように、移動体100bは、第5通信部180を備える。第5通信部180は、工程管理部500と通信する。第5通信部180の構成は、第1通信部140と同様である。
【0109】
図15に示すように、給電管理部400bは、第4通信部440を備える。第4通信部440は、工程管理部500と通信する。第4通信部440の構成は、第2通信部420と同様である。
【0110】
図16に示すように、工程管理部500は、走行路300上の移動体100bの稼働を管理する。より具体的には、工程管理部500は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310における移動体100bの走行時間Tdを計測する。工程管理部500は、走行時間Tdが工程として許容できるかの判断を行う。さらに、工程管理部500は、工程の状況に応じて、移動体100bの走行路300における走行を制御する。
【0111】
なお、工程とは、移動体100bの仕事における工程であり、例えば、移動体100bが無人搬送車の場合、搬送作業の工程である。すなわち、工程として許容できるかの判断は、移動体100の走行時間Tdの遅延により、次工程に遅れが生じるかの判断である。走行時間Tdの遅延は、予め定められた許容時間Tmを基準に判断される。許容時間Tmは、予め定められた時間であり、後に説明する工程管理部500のRAM513と給電管理部400のRAM413に、非接触給電が行われる前に予め記憶されている。
【0112】
工程管理部500は、例えば、汎用コンピュータである。工程管理部500は、第3制御装置510と、第2検出部530と、第3通信部540と、第6通信部550を備える。
【0113】
第3制御装置510は、工程管理部500を制御する。より具体的には、第3制御装置510は、非送電路320における移動体100bの標準速度V2の決定を行う。第3制御装置510は、プロセッサ511と、RAM513と、ROM512と、を備える。RAM513とROM512の構成は、RAM413とROM412と同様である。
【0114】
プロセッサ511は、ROM512に記憶された各種プログラムを実施することで、各部の機能を実現する。プロセッサ511は、RAM513を使用して、処理に必要な情報の記憶を行う。プロセッサ511の具体的な機能は、後に詳細に説明する。
【0115】
第3通信部540は、移動体100bの第5通信部180と通信する。第6通信部550は、給電管理部400の第4通信部440と通信する。それぞれの構成は、第1通信部140と同様に、WiFi接続による無線通信を行うハードウェアモジュールである。
【0116】
第2検出部530は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310における移動体100bの走行時間Tdを計測する。さらに、第2検出部530は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310からの移動体100の離脱を検出する。第2検出部530の構成は、第1検出部430と同様である。第2検出部530は、移動体100bの送電路310の出入りを検出することで、送電路310からの移動体100bの離脱を検出する。さらに、第2検出部530は、移動体100bの送電路310の出入り際の時間に基づいて、走行時間Tdを計測する。第2検出部530は、通信線により第3制御装置510に接続されている。よって、第2検出部530は、移動体100bの離脱のたびに、走行時間Tdや離脱の通知をより第3制御装置510に送る。
【0117】
第3実施形態における非接触給電システム10aの他の構成は、第2実施形態の非接触給電システム10bと同様である。
【0118】
C2.工程管理部への通知:
図17のステップS710は、図11のステップS550に続く処理である。
【0119】
図17のステップS710において、給電管理部400bのプロセッサ411bは、予め定められた充電時間Tc_oと、充電予測時間Tcと、の比較を行う。より具体的には、給電管理部400bのプロセッサ411bは、充電予測時間Tcが充電時間Tc_oを超過する場合、処理をステップS750に進める。給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電予測時間Tcが充電時間Tc_o以下の場合、処理をステップS720に進める。
【0120】
図17のステップS720において、給電管理部400bのプロセッサ411bは、RAM413から基準充電率Somの読み出しを行う。
【0121】
図17のステップS730において、給電管理部400bのプロセッサ411bは、充電率Soと、予め定められた基準充電率Somと、の比較を行う。より具体的には、給電管理部400bのプロセッサ411bは、充電率Soが基準充電率Som以下の場合、処理を終了する。給電管理部400aのプロセッサ411aは、充電率Soが基準充電率Somを超過する場合、処理をステップS740に進める。
【0122】
図17のステップS750において、給電管理部400bのプロセッサ411bは、充電予測時間Tcと許容時間Tmとに基づいて、(4)式により延長予測時間Teを算出する。
Tc-Tm=Te …(4)
すなわち、延長予測時間Teとは、例えば、移動体100bが無人搬送車の場合、無人搬送車の係わる工程に与える充電による遅延の予測時間である。充電予測時間Tcの算出におけるプロセッサ411aの機能部が、図15に示す第2制御部411zである。
【0123】
図17のステップS760において、給電管理部400bの第2制御装置410bは、第4通信部440と第3通信部540を介して、工程管理部500に充電予測時間Tcを送信する。すなわち、給電管理部400aのプロセッサ411aは、移動体100bの充電により遅延が発生することを工程管理部500に通知する。
【0124】
なお、ステップS760の後に、残量Wbの取得を条件に、図4図5のフローの処理を行われることにより、第3走行速度V_comや複数の第2送電路312における進路の選択が行われる。
【0125】
すなわち、給電管理部400bの第2制御装置410bは、進路指令Rの決定を、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の予め定められた充電時間Tc_oよりも、充電予測時間Tcが長く、かつ、予め定められた基準充電率Somより充電率Soが低い場合に行う。
【0126】
さらに、給電管理部400bの第2制御装置410bは、予め定められた送電路310の許容時間Tmと、充電予測時間Tcと、との差である延長予測時間Teを時間情報Tとして算出し、工程管理部500に通知する。
【0127】
このような態様とすることで、工程管理部500は、移動体100bの充電による延長予測時間Teを確認できる。よって、例えば、工程管理部500は、延長予測時間Teの通知により、移動体100bの遅れに対する対策の検討を開始できる。
【0128】
C3.非送電路における移動体の走行速度の変更:
工程管理部500は、移動体100bの走行時間Tdに基づいて、標準速度V2の変更を行う。図18のフローチャートは、工程管理部500の第3制御装置510が、第2検出部530の離脱の検出により、送電路310からの移動体100bの離脱があった場合に開始される。なお、工程管理部500は、本フローよりも前に、予め移動体100bの標準速度V2を決定している状態である。
【0129】
図18のステップS810において、工程管理部500の第3制御装置510は、第2検出部530から送電路310から離脱した移動体100bの走行時間Tdを取得する。
【0130】
図18のステップS820において、工程管理部500の第3制御装置510は、走行時間Tdと、許容時間Tmと、の比較を行う。より具体的には、工程管理部500の第3制御装置510は、走行時間Tdが許容時間Tmを超過する場合、処理をステップS830に進める。すなわち、この場合、次工程に遅れが生じる。工程管理部500の第3制御装置510は、走行時間Tdが許容時間Tm以下の場合、処理を終了する。
【0131】
図18のステップS830において、工程管理部500の第3制御装置510は、検出された移動体100の走行速度を標準速度V2より速い第5走行速度V5に変更する。すなわち、工程管理部500の第3制御装置510は、送電路310から離脱した移動体100bの走行速度を非送電路320で増加させる。第5走行速度V5は、例えば、工程管理部500のRAM513に、非送電路320の走行が行われる前に予め記憶される。
【0132】
図18のステップS840において、工程管理部500の第3制御装置510は、ステップS810において走行時間Tdの取得を行った移動体100の後に、送電路310を離脱した移動体100bの走行時間Tdを取得する。
【0133】
図18のステップS850において、工程管理部500の第3制御装置510は、ステップS840により取得した走行時間Tdが許容時間Tmを超過する場合、処理をステップS830に進める。工程管理部500の第3制御装置510は、ステップS840により取得した走行時間Tdが許容時間Tm以下の場合、処理をステップS860に進める。
【0134】
図18のステップS860において、工程管理部500の第3制御装置510は、ステップS830により決定された移動体100bの走行速度を、第5走行速度V5から標準速度V2に変更する。すなわち工程管理部500の第3制御装置510は、ステップS730により増加した移動体100bの走行速度を、標準速度V2に戻す。よって、本フローの処理は、終了する。
【0135】
すなわち、工程管理部500の第3制御装置510は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の予め定められた許容時間Tmよりも走行時間Tdが長い場合、検出された移動体100bの走行速度を標準速度V2より速い第5走行速度V5に変更する。
【0136】
このような態様とすることで、移動体100bは、送電路310で許容される走行時間Tdを超えた場合に、送電路310で速度を速めることができる。よって、移動体100bは、送電路310の速度を速めない場合に比べて、送電路310と送電路310を含む走行路300全体における走行時間Tdを短くできる。したがって、非接触給電システム10bは、非接触給電による次工程の遅れを改善できる。
【0137】
D.変形例:
上記第3実施形態において、工程管理部500は、充電予測時間Tcに基づいて、次工程の管理装置に移動体100bの到着予定時刻を送信する態様としてもよい。例えば、工程管理部500の第3制御装置510は、第2検出部530により送電路310に進入した時刻を記憶することで、充電予測時間Tcから退出予定時刻を求めることができる。工程管理部500の第3制御装置510は、第3通信部540と通信可能な通信装置を、次工程の管理装置を備えさせることで、移動体100の到着予定時刻を送信できる。よって、移動体100bの充電により次工程に影響が生じる場合も、非接触給電システム10bは、移動体100bの到着予定時刻を送信しない場合に比べて、計画変更のための時間を確保できる。
【0138】
E.第4実施形態:
図19に示すように、第4実施形態の非接触給電システム10cにおいて、走行路300cは、移動体100が周回する経路として構成されている。図19では、4つの送電路310と4つの非送電路320を走行する移動体100が図示されている。走行路300cの他の構成は、第1実施形態の走行路300と同様である。なお、第1実施形態の構成から変更している構成については、符号の末尾にcを付す。
【0139】
第4実施形態の非接触給電システム10cにおいて、第1検出部430cは、第1実施形態の第1検出部430と同じ構成である。しかし、第1検出部430cは、第1実施形態の第1検出部430のように、複数の送電路310のそれぞれの送電路310において、移動体100の数と、移動体100のそれぞれの第1走行速度V1と、を検出しなくてもよい。ただし、第1検出部430cは、送電路310からの移動体100の離脱を検出する。
【0140】
第4実施形態の給電情報Dcは、上記実施形態の給電情報Dcが含む進路指令Rを含まない。第4実施形態における移動体100は、走行路300を周回するため、進路指令Rを必要としない。すなわち、第4実施形態における給電管理部400cのプロセッサ411cは、複数の非送電路320のいずれかの非送電路320と、複数の送電路310のいずれかの送電路310と、を組み合わせた進路を指示する進路指令Rの決定を行わない。
【0141】
さらに、給電情報Dcは、上記実施形態が含む複数の送電路310のそれぞれの送電路310として予め定められた第1走行速度V1を含まない。給電情報Dcは、複数の非送電路320および複数の送電路310を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度V1を含む。
【0142】
第4実施形態の第1制御部411xcは、進路を走行する移動体100が要求電力量W_comを充電するための第1走行速度V1として第3走行速度V_comを算出する。より具体的には、第1制御部441xcは、進路における4つの送電路310の電力供給能力に関して予め定められた複数の受電情報Drと要求電力量W_comとに基づいて第3走行速度V_comを算出する。第1制御部411xcによる第3走行速度V_comの算出については、後に詳細に説明する。
【0143】
受電情報Drは、第4実施形態において、4つの送電路310のそれぞれの送電路310の供給電力Pと長さLである。受電情報Drは、給電管理部400cのRAM413cに、非接触給電が行われる前に記憶されている。なお、本明細書において、進路における1以上の送電路310の電力供給能力に基づく受電情報Drにより、第3走行速度V_comを算出する制御をフィードフォワード制御またはFF制御と呼ぶ。
【0144】
上記実施形態において、第1制御部411xは、残量Wbの取得に基づいて制御し、第3走行速度V_comを算出する。しかし、第4実施形態の第1制御部411xcは、離脱の検出の回数に基づいて、進路における複数の送電路310のうち、4つの送電路310ごとに、第3走行速度V_comの算出を制御する。すなわち、第1制御部411xcは、移動体100が4つの送電路310を通過する間隔であって、走行路300cを1周する間隔で制御する。第1制御部411xcの制御の間隔を、制御間隔と呼ぶ。
【0145】
第4実施形態における非接触給電システム10cの他の構成は、第1実施形態の非接触給電システム10と同様である。以下において、第4実施形態の非接触給電システム10cによる給電方法を説明する。
【0146】
図21のステップS910において、移動体100の走行開始前に、第1制御部411xcの制御間隔が決定される。例えば、給電管理部400cの管理者は、第1制御部411xcの制御間隔が4つの送電路310ごとを行われるように設定する。
【0147】
図21のステップS920~ステップS960の処理は、第1実施形態の非接触給電システム10による図4のステップS110~ステップS150の処理と同様である。ただし、第4実施形態では、4つの送電路310が存在するため、給電管理部400cのプロセッサ411cは、4つの送電路310のそれぞれの送電路310ごとの長さLと供給電力Pの読み出しを行う。
【0148】
図21のステップS970において、プロセッサ411cは、全部の送電路310についての電力供給能力に関して予め定められた受電情報Drと要求電力量W_comに基づいて、全部の送電路310において、移動体100が要求電力量W_comを充電するための第3走行速度V_comを算出する。
【0149】
図22を用いて、第4実施形態における第3走行速度V_comの算出方法を説明する。ただし、技術の理解を容易にするために、第3走行速度V_comの算出方法の説明における制御間隔は、4つの送電路310ではなく2つの送電路310の通過する間隔である。第3走行速度V_comの算出方法の説明における2つの送電路310は、長さL3と供給電力P3の第3送電路313と、長さL4と供給電力P4の第4送電路314と、より構成されている。
【0150】
移動体100が第3走行速度V_comにより2つの送電路310上を走行するため、第3送電路313の通過時間T3は、(5)式により算出される。
T3=L3/V_com …(5)
(5)式に第3送電路313の供給電力P3を掛けることにより、第3送電路313において充電されるべき要求電力量W_com3が(6)式により算出される。
W_com3=P3×L3/V_com …(6)
要求電力量W_com3と同様に算出される第4送電路314の要求電力量W_com4と、第3送電路313の要求電力量W_com3と、の合計は、(7)式により算出される。
W_com3+W_com4=P3×L3/V_com+P4×L4/V_com …(7)
よって、2つの送電路310の第3走行速度V_comは、(8)式により算出される。
V_com=(P3×L3+P4×L4)/(W_com3+W_com4) …(8)
第4実施形態において、プロセッサ411cは、(5)式~(8)式と同様の方法により、4つの送電路310における第3走行速度V_comを算出する。
【0151】
図21のステップS980の処理は、図4のステップS170の処理と同様である。
【0152】
図21のステップS990において、プロセッサ411cは、移動体100の走行の継続を判定する。例えば、プロセッサ411cは、走行路300を周回する回数が予め設定されている場合、定められた回数の走行完了を条件に、走行を終了する。プロセッサ411cは、走行を継続する場合、処理をステップS920に戻す。
【0153】
このような態様とすることで、移動体100は、バッテリ120の要求電力量W_comと受電情報Drとの変化に応じた第3走行速度により、進路を走行する。例えば、受電情報Drは、送電路310の供給電力Pと長さLである。このため、移動体100に受電される電力は、走行速度に依存する。このため、移動体100は、給電管理部400から送信された第3走行速度V_comで走行することにより、バッテリ120の残量Wbの変化に応じた要求電力量W_comを充電する。よって、非接触給電システム10cは、残量Wbの不足による移動体100の停止を防止することにより、移動体100の稼働率の低下を防止できる。
【0154】
さらに、このような形態とすることで、非接触給電システム10cは、例えば、後に説明するフィードバック制御を行う形態よりも簡易に移動体100を制御できる。
【0155】
このうえ、このような態様とすることで、移動体100の走行速度は、1つの送電路310ごとに移動体100の走行速度を変更する態様と比べて、安定する。よって、例えば、非接触給電システム10cは、移動体100の走行状況の管理を容易にできる。
【0156】
F.第5実施形態:
上記実施形態において第3走行速度V_comは、受電情報Drとして、進路上の送電路310の長さLや供給電力Pに基づいて算出される。しかし、第3走行速度V_comは、受電情報Drとして、第3走行速度V_comを算出する前に移動体100が進路を走行することにより取得された受電記録に基づいて、算出されてもよい。受電記録は、例えば、過去の移動体100の走行による充電電力量や走行速度などの情報である。充電電力量は、送電路上の走行により充電された電力量を表す。すなわち、第5実施形態の受電情報Drは、第3走行速度V_comを算出する前の進路に係わる電力供給能力についての移動体100の受電記録であって、充電電力量に係わる情報を含む。よって、第5実施形態の第3走行速度V_comは、受電記録と要求電力量W_comにより、算出される。
【0157】
第5実施形態の給電管理部400cは、図20に示す第4実施形態の給電管理部400cの構成と同様である。ただし、給電管理部400cのRAM413cには、第5実施形態の受電情報Drとして、受電記録が記憶されている。なお、本明細書において、受電情報Drとして、受電記録により第3走行速度V_comを算出する制御をフィードバック制御またはFB制御と呼ぶ。
【0158】
第5実施形態の移動体100は、第4実施形態の移動体100の構成に加えて、電力センサを備える。第5実施形態の電力センサは、充電電力量を取得する。例えば、第5実施形態の電力センサは、バッテリセンサ130と同様に、バッテリ120の入力電圧と入力電流を測定することにより、充電された電力量を取得する。
【0159】
第5実施形態の他の構成は、第4実施形態の非接触給電システム10cと同様である。以下において、第5実施形態の非接触給電システム10cによる給電方法を説明する。
【0160】
図23のステップS1010~ステップS1040の処理は、第4実施形態の非接触給電システム10cによる図21のステップS910~ステップS940の処理と同様である。
【0161】
図23のステップS1050において、給電管理部400cのプロセッサ411cは、受電記録の読み出しを行う。より具体的には、プロセッサ411cは、過去に取得した充電電力量や走行速度の読み出しを行う。例えば、移動体100がすでに進路を走行した実績がある場合、プロセッサ411cは、前回走行した際の充電電力量と走行速度の読み出しを行う。走行した実績の無い進路を移動体100が走行する場合、同じ仕様の移動体100や送電路310に係わる受電記録を予め給電管理部400cの管理者が給電管理部400cに記憶させておくことにより、プロセッサ411cは、受電記録を読み出す。
【0162】
図23のステップS1060において、プロセッサ411cは、要求電力量W_comと充電電力量の差分を算出する。
【0163】
図23のステップS1070において、プロセッサ411cは、要求電力量W_comと充電電力量の差分に基づいて、速度補正項を算出する。例えば、速度補正項は、PI制御における比例項や積分項である。
【0164】
図23のステップS1080において、プロセッサ411cは、受電記録の走行速度と速度補正項に基づいて、第3走行速度V_comを算出する。例えば、プロセッサ411cは、過去に同じ進路を走行したときの第3走行速度V_comに速度補正項を加えることにより、第3走行速度V_comを算出する。
【0165】
図23のステップS1090の処理は、図21のステップS980の処理と同様である。
【0166】
図23のステップS1100において、プロセッサ411cは、移動体100の走行中に、電力センサにより、充電電力量を取得する。プロセッサ411cは、第3走行速度V_comと取得した充電電力量を受電記憶として記憶する。受電記憶は、次の走行のための受電情報Drや他の移動体100の受電情報Drとして使用される。
【0167】
図23のステップS1110の処理は、図21のステップS990の処理と同様である。
【0168】
このような態様においては、非接触給電システム10は、例えば、過去の移動体100による進路の走行における充電電力量や走行速度に係わる受電記録に基づいて、第3走行速度V_comを算出する。より具体的には、非接触給電システム10は、過去の充電電力量と、現在の要求電力量W_comの差分に基づいて、充電電力量を取得した際の走行速度を補正した走行速度を第3走行速度V_comとして算出する。よって、非接触給電システム10は、要求電力量W_comと、実際の走行による充電電力量に差が生じる場合、フィードフォワード制御よりも、バッテリ120を効率良く充電できる。
【0169】
G.第6実施形態:
第3走行速度V_comは、第4実施形態のFF制御と第5実施形態のFB制御を組み合わせた制御により算出されてもよい。FF制御とFB制御を組み合わせた制御を、FF+FB制御と呼ぶ。第6実施形態の非接触給電システム10cは、第5実施形態の非接触給電システム10cの構成と同様である。
【0170】
図24のステップS1210~ステップS1240の処理は、第4実施形態の非接触給電システム10cによる図のステップS910~ステップS940の処理と同様である。
【0171】
図24のステップS1250において、第6実施形態における給電管理部400cのプロセッサ411cは、受電記録を読み出す。プロセッサ411cは、受電記録を記憶していない場合、処理をS1260に進める。例えば、プロセッサ411cは、制御間隔の最初の制御では、同じ進路の充電電力量や第3走行速度V_comを記憶していない。このため、プロセッサ411cは、FF制御を実行するため、処理をS1260に進める。プロセッサ411cは、受電記憶を記憶している場合、FB制御を実行するため、処理をS1300に進める。
【0172】
図24のステップS1260~ステップS1290の処理は、第4実施形態の図21のステップS950~ステップS980の処理と同様である。
【0173】
図24のステップS1300~ステップS1350の処理は、第5実施形態の図23のステップS1060~ステップS1110の処理と同様である。
【0174】
すなわち、第1制御部411xは、制御間隔における最初の制御において、受電情報Drを、進路における送電路310の電力供給能力に基づいて決定する。さらに、第1制御部411xは、制御間隔における最初の制御より後の制御において、受電情報Drを、過去の制御において取得された進路に係わる移動体100の受電記録であって、充電電力量に係わる情報を含む受電記録に決定する。
【0175】
このような形態とすることで、第6実施形態の非接触給電システム10cは、受電情報Drとして受電記録を含まない場合、送電路310の供給電力Pに基づいて、第3走行速度V_comを決定する。さらに、第6実施形態の非接触給電システム10は、例えば、要求電力量W_comと、実際の走行による充電電力量に差分が生じる場合、差分に基づいて第3走行速度V_comを決定する。すなわち、第6実施形態の非接触給電システム10は、フィードバック制御とフィードフォワード制御を組み合わせた制御を行うことにより、一方の制御で制御されるよりも、バッテリ120を効率良く充電できる。
【0176】
H.第7実施形態:
第4~第6実施形態において、第1制御部411xcは、進路における1以上の送電路310のうち、2以上の予め定められた送電路310ごとに、第1検出部430cにより複数の送電路310のうち、4つの送電路310ごとに、第3走行速度V_comの算出を制御する。しかし、第1制御部411xcは、制御間隔について、周期的に制御してもよい。第7実施形態の非接触給電システム10cの構成は、第4実施形態の非接触給電システム10cの構成と同じである。ただし、移動体100は、進路において、第4走行速度以上で走行する。給電管理部400は、さらに、第4走行速度V4と、送電路310の長さLと、非送電路320の長さLnと、供給電力Pと、を備える。
【0177】
第7実施形態の第1制御部411xcは、移動体100が進路を第4走行速度V4で走行した場合に、2つの送電路310を走行できる時間t_inで、第3走行速度V_comの算出を制御する。図25を用いて、第7実施形態の制御間隔について説明する。図25では、第3送電路313~第5送電路315の3つの送電路310が図示されている。3つの送電路310は、長さL3と供給電力P3の第3送電路313と、長さL4と供給電力P4の第4送電路314と、長さL5と供給電力P5の第5送電路315と、より構成されている。さらに、第3送電路313と第4送電路314の間には、長さLn1の第1非送電路が存在する。このうえ、第4送電路314と第5送電路315の間には、長さLn2の第2非送電路が存在する。
【0178】
第7実施形態の第1制御部411xcは、第4走行速度V4と、進路における長さL3~長さL5と、進路における長さLn1と長さLn2と、に基づいて、時間t_inの周期で通過できる送電路310を決定する。図25に示すように、移動体100は、第4走行速度V4で走行する場合、第1送電路311に進入してから、時間t_inの経過後に、第3送電路313の途中に到達する。すなわち、移動体100は、第3送電路313と第4送電路314を通過する。第7実施形態の給電管理部400は、第3送電路313の長さL3と供給電力P3および第4送電路314の長さL4と供給電力P4を、受電情報Drに決定する。これにより、(5)式~(8)式と同様の方法により、第3走行速度V_comが算出される。
【0179】
すなわち、第1制御部411xcは、移動体100が進路を第4走行速度V4で走行した場合に、少なくとも2つの送電路310を走行できる周期で、第3走行速度V_comの算出を制御する。給電管理部400cは、第4走行速度V4と、送電路310の長さLと、非送電路320の長さと、に基づいて、複数の送電路310のうち、時間t_inの周期で通過できる送電路310についての送電路310の長さLと供給電力Pを、2の受電情報Drに決定する。
【0180】
このような態様とすることで、第7実施形態の非接触給電システム10cは、周期的な制御を行うことにより、移動体100の送電路310ごとに制御を行う態様と比べて、簡易に移動体100を制御できる。
【0181】
I.第8実施形態:
上記実施形態において、第3制御部411yは、バッテリ120に定格容量Wmに基づく基準電力量Waと、の差分に基づいて、要求電力量W_comの算出を行う。しかし、要求電力量W_comの算出には、他の方法が用いられてもよい。具体的には、第8実施形態の第3制御部411yは、移動体100の予め定められた動作期間Taにおいて、バッテリ120の定格容量Wmより小さい第2基準容量C2を動作期間Taの終期Tfにおける残量Wbの下限とした場合の、移動体100の走行時間Tdと残量Wbの予め定められた第1関係と、に基づいて、要求電力量W_comの算出を行う。
【0182】
図26では、バッテリ120の容量と移動体100の走行時間Tdの関係が図示されている。図26における時間は、動作期間Taの始期Tsとしての移動体100の走行開始の時点から、動作期間Taの終期Tfとしての移動体100の終了予定の時点までを示す。
【0183】
移動体100の予め定められた動作期間Taは、例えば、移動体100が用いられる工場の1日の稼働期間である。移動体100の管理者は、管理者が不在の夜間や休憩時では、移動体100の稼働を停止させる場合がある。すなわち、動作期間Taは、移動体100の稼働が可能な期間として、予め定められる。すなわち、バッテリ120には、動作期間Ta内に走行できる残量Wbがあれば、移動体100は、動作期間Ta内に稼働を停止しない。移動体100は、動作期間Ta後に、定置で充電を行うことにより、稼働率の低下を防止しつつ効率良く充電できる。
【0184】
動作期間Taの始期Tsと終期Tfにおけるバッテリ120の残量Wbは、例えば、始期Tsの残量Wbが定格容量Wmに定められ、かつ、終期Tfの残量Wbが定格容量Wmの2割に定められる。動作期間Taの終期Tfにおける容量を、第2基準容量C2と呼ぶ。
これにより、動作期間Ta中の任意の時点tにおける残量Wbは、(9)式により算出される。
Wb=Wm-Wm×0.8/Tf×t …(9)
よって、第8実施形態の要求電力量W_comは、(10)式により算出される。
W_com=(Wm-Wm×0.8/Tf×t-Wb)×V …(10)
【0185】
すなわち、第8実施形態の第3制御部411yは、移動体100の予め定められた動作期間Taにおいて、バッテリ120の定格容量Wmより小さい第2基準容量C2を動作期間Taの終期Tfにおける残量Wbの下限に定める。さらに、第3制御部411yは、移動体100の走行時間Tdと残量Wbの予め定められた関係と、に基づいて、要求電力量W_comの算出を行う。
【0186】
このような態様とすることで、非接触給電システム10cは、第2基準容量C2により定められた動作期間Taに必要な電力のみを充電する。例えば、小容量のバッテリ120よりも、残量Wbが不足しにくい大容量のバッテリ120で走行する移動体100は、充電するために走行速度を抑制する機会を低減できる。すなわち、非接触給電システム10cは、移動体100の稼働率を上げることができる。
【0187】
J.第9実施形態:
上記実施形態において、受電情報Drは、送電路310の長さLと供給電力Pや、受電記録としての充電電力量や走行速度のように、複数の情報である。しかし、受電情報Drは、1つの情報でもよい。より具体的には、受電情報Drは、送電路310の長さLと供給電力Pの積に基づく、定数でもよい。すなわち、第9実施形態の非接触給電システム10cは、第4実施形態の非接触給電システム10cの給電管理部400cにように、長さLや供給電力Pの情報を記憶していなくてもよい。
【0188】
(2)式が示すよう、長さLと供給電力Pの積が定数の場合、要求電力量W_comが定まることにより、第3走行速度V_comが算出される。例えば、長さLと供給電力Pが同じ複数の送電路310が存在する場合、受電情報Drを送電路310ごとに変更する必要がない。
【0189】
第9実施形態の非接触給電システム10cは、受電情報Drを1つの定数に定めることにより、複数の受電情報Drにより第3走行速度V_comが算出されるよりも、制御を容易にできる。
【0190】
K.第10実施形態:
第9実施形態において、受電情報Drは、1つの定数である。しかし、第10実施形態において、受電情報Drは、移動体100の稼働状況に応じた複数の定数でもよい。以下において、具体的な受電情報Drを説明する。図27に示すように、第10実施形態の非接触給電システム10dは、第4実施形態の非接触給電システム10cが工程管理部500dを備えた態様である。第4実施形態の構成から変更している構成については、符号の末尾にdを付す。
【0191】
第10実施形態の工程管理部500dは、図13に示す第3実施形態の工程管理部500と以下の点が異なる。第3実施形態の工程管理部500cの構成から変更している構成については、符号の末尾にdを付す。
【0192】
第10実施形態の工程管理部500dは、複数の移動体100の稼働を管理し、複数の移動体100bに供給できる電力を確認する。例えば、工程管理部500dは、走行路300上の移動体100bの稼働状況を確認する。さらに、工程管理部500dは、工程の電力状況として、移動体100bの使用される工程の定格電力のうち、何割の電力が移動体100bに供給できるかを確認する。
【0193】
工程管理部500dは、第3実施形態の工程管理部500が備える、第4走行速度V4と、許容時間Tmと、第3通信部540と、を備えていなくてもよい。
【0194】
工程管理部500dの第3制御装置510dは、複数の受電情報Drを備える。例えば、複数の受電情報Drは、走行路300上の移動体100bの稼働状況や工程の電力状況に応じた、送電路310の長さLと供給電力Pの積に基づく複数の定数である。複数の受電情報Drについて、図29を用いて、具体的に説明する。
【0195】
図29では、列が複数の送電路310についての供給電力Pの平均値を表す。以下において、複数の送電路310についての供給電力Pの平均値を、平均供給電力Paと呼ぶ。図29では、第6送電路316と第7送電路317の行が図示されている。第6送電路316と第7送電路317の行は、それぞれの送電路310における受電情報Drを表す。
【0196】
第3制御装置510dは、例えば、複数の移動体100bが稼働することにより工程の負荷が高く、かつ、工程の電力に余剰がある場合、複数の定数のうち大きな定数を選択する。例えば、図29に示すように、第3制御装置510dは、平均供給電力Paを1500Wに変更するため、第6送電路316の受電情報Drを2000に変更し、かつ、第7送電路317の受電情報Drを3000に変更する。すなわち、移動体100bの走行速度が速まる。これにより、移動体100bの負荷が高い場合でも、工程に遅れが生じにくい。
【0197】
すなわち、第3制御装置510dは、複数の受電情報Drを備える。第3制御装置510dは、移動体100bの稼働状況に応じて、第1制御部411xに複数の受電情報Drのうち1つの受電情報Drを決定する指令を行う。第1制御部411xは、1つの受電情報Drに基づいて、第3走行速度V_comを算出する。
【0198】
このような態様においては、非接触給電システム10dは、移動体100bの稼働状況に応じて、移動体100bの第3走行速度V_comを制御できる。例えば、非接触給電システム10は、工程の負荷が高いために移動体100bが多く、かつ、工程の電力に余裕がある場合、送電路310の供給電力Pを増加させる。すなわち、第3走行速度V_comは、より速くなる。よって、非接触給電システム10dは、稼働状況や工程の電力状況に応じて、バッテリ120を効率良く受電できる。
【0199】
L.第11実施形態:
第4実施形態~第10実施形態において、第1制御部411xcは、離脱の検出の回数に基づいて、進路における複数の送電路310のうち、4つの送電路310ごとに、第3走行速度V_comを算出するように、制御する。しかし、第1制御部411xcは、移動体100の離脱の検出を条件に、進路における1以上の送電路310のそれぞれの送電路310ごとに制御してもよい。
【0200】
このような形態とすることで、非接触給電システム10cは、送電路310の離脱を検知することにより、送電路310ごとに走行速度を変更できる。すなわち、非接触給電システム10は、複数の送電路310の組み合わせた走行速度を算出する態様と比べて、移動体100を容易に制御できる。
【0201】
M.第12実施形態:
第4実施形態~第10実施形態において、給電情報Dcは、進路指令Rを含まない。しかし、給電情報Dcは、進路として、1以上の非送電路320のいずれかの非送電路320と、1以上の送電路310のいずれかの送電路310と、を組み合わせた進路を指示する進路指令Rを含んでいてもよい。さらに、1以上の送電路310は、複数の送電路310であって、複数の送電路310のそれぞれに第1走行速度V1を制限するための予め定められた速度帯Vbを設定された複数の送電路310であってもよい。このうえ、第1制御部411xは、第1走行速度V1の決定に基づいて、第3走行速度V_comを制限する速度帯Vbを設定された複数の送電路310のいずれかの送電路310に向かうことを指示する進路指令Rを決定してもよい。さらに、第4実施形態~第10実施形態において、図5図6図7に示す非接触給電システム10のフローチャートの処理が行われてもよい。
【0202】
このような形態とすることで、第4実施形態~第10実施形態においても、前述の第1実施形態の効果を得ることができる。
【0203】
N.第13実施形態:
第11実施形態の非接触給電システム10eは、第3実施形態の非接触給電システム10bにおける複数の送電路310が、さらに、周回できる走行路300eを含む。このうえ、第1制御部411xは、通知の後の進路指令Rの決定について、進路上に周回できる走行路300eを含む場合、周回できる走行路300eに向かう進路指令Rを決定する。例えば、図30の下部の走行路300eのように、第11実施形態の非接触給電システム10eは、工程管理部500に延長予測時間Teを通知後、移動体100aに第2送電路312を周回させる。
【0204】
このような態様とすることで、移動体100aは、充電が完了するまで、同じ送電路310を繰り返し走行する。よって、例えば、移動体100aは、後続に別の移動体100aが走行する場合も、後続の移動体100の走行を妨げない。
【0205】
O.第14実施形態:
上記実施形態において、第3制御装置510は、工程管理部500に延長予測時間Teを通知後、さらに、通知に係わる移動体100a以外の他の移動体100aに、通知に係わる移動体100aの進路を走行させてもよい。
【0206】
このような態様とすることで、移動体100aが行う仕事を、他の移動体100に代替させることができる。
【0207】
P.変形例:
(1)上記実施形態において、移動体100は、光学誘導方式の無人搬送車とした。しかし、移動体100は、非接触給電を行う移動体100であればよい。例えば、移動体100は、画像認識方式、磁気誘導方式、レーザー誘導方式のAGVであってもよいし、自律走行搬送ロボット(Autonomous Mobile Robot: AMR)であってもよい。さらに、移動体100は、無人搬送車に限らず、有人の車両や航空機等でもよい。このうえ、移動体100は、具体的な車両として、AGVの他に、EVやPHEV等でもよい。さらに、移動体100は、自動運転もしくはオートクルーズまたは複数の車両を運行管理するセンターの制御等により移動速度を制御される車両でもよい。このうえ、移動体100は、速度指令値を運転席近傍に表示し、人がその速度に合わせて運転する、人によりマニュアル運転される車両でもよい。
(2)上記実施形態において、送電路310と非送電路320は、非接触給電システム10において、複数存在している。しかし、送電路310と非送電路320は、それぞれ1つずつでもよい。非接触給電システム10は、1以上の送電路310と1以上の非送電路320に構成されていればよい。
(3)上記実施形態において、第1検出部430と第2検出部530は、カメラを用いて移動体100の検出を行っている。しかし、移動体100の検出方法は、カメラに限られない。例えば、移動体100の検出方法は、赤外線センサによる検出でもよい。赤外線センサによる検出方法は、赤外線を走行路300に向かって照射させることで、赤外線センサの照射域を通過する移動体100から反射された赤外線を検出して移動体100を検出する。
(4)上記実施形態において、バッテリセンサ130は、バッテリ120の残量Wbの取得を走行路300において、定期的に実施している。しかし、バッテリセンサ130による残量Wbの取得は、走行路300上の特定の地点のみで行われてもよい。例えば、バッテリセンサ130による残量Wbの取得は、送電路310の出入口で行われる。バッテリセンサ130による残量Wbの取得は、移動体100が送電路310の出入口を通過する際の、充電電圧の変動や第1検出部430の検出に基づく通知などに応じて、行われてもよい。送電路310の出入口以外における残量Wbの取得は、第1検出部430を送電路310の出入口以外を検出対象とさあせることで可能である。
(5)上記実施形態において、非接触給電システム10は、残量Wbに応じて、送電路310上において、移動体100の受電を停止する。しかし、非接触給電システム10は、移動体100の受電の停止を行わなくてもよい。
(6)上記実施形態において、非接触給電システム10は、残量Wbに応じて、移動体100に送電路310から非送電路320に戻る進路指令Rを、給電情報Dcとして送信している。しかし、非接触給電システム10は、残量Wbに応じて、移動体100に送電路310から非送電路320に戻る進路指令Rを、給電情報Dcとして送信しなくてもよい。すなわち、非接触給電システム10は、残量Wbが定格容量Wmの80%の基準電力量Waを超過する場合も、移動体100に送電路310から非送電路320に戻るように、移動体100の進路を変更しなくてもよい。
(7)上記実施形態において、進路指令Rの決定を中止は、予め定められた充電時間Tc_oよりも充電予測時間Tcが長く、かつ、予め定められた基準充電率Somより充電率Soが高い場合に行われている。しかし、進路指令Rの決定を中止は、予め定められた基準充電率Somより充電率Soが高い場合のみで行われてもよい。さらに、残量Wbに応じて、進路指令Rの決定が中止されていてもよい。例えば、進路指令Rの決定を中止は、残量Wbが定格容量Wmの80%の基準電力量Waを超過する場合のみで行われる。
(8)上記実施形態において、工程管理部500への通知は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の予め定められた充電時間Tc_oよりも、充電予測時間Tcが長く、かつ、予め定められた基準充電率Somより充電率Soが低い場合に行われている。しかし、工程管理部500への通知は、複数の送電路310のそれぞれの送電路310の予め定められた充電時間Tc_oよりも、充電予測時間Tcが長い場合にのみ行われていてもよい。
(9)上記実施形態において、給電管理部400と工程管理部500は、1つのコンピュータにより構成されていてもよい。さらに、給電管理部400と工程管理部500は、ネットワーク上のサーバとして構成されていてもよい。
(10)上記実施形態において、給電管理部400と工程管理部500の通信は、無線通信に限られず、有線通信でもよい。
(11)上記実施形態において、給電管理部400は、バッテリ120の要求電力量W_comを算出する第1制御部411xを備えている。しかし、移動体100が、バッテリ120の要求電力量W_comを算出する第1制御部411xを備えていてもよい。
(12)上記実施形態において、非接触給電は、共振周波数85kHzにより行われている。しかし、共振周波数は、85kHzに限らない。共振周波数は、80kHzや90kHzなどでもよい。
【0208】
Q.変形例:
(1)上記実施形態において、第1基準容量C1は、Wm×0.8である。しかし、第1基準容量C1は、Wm×0.8に限られない。第1基準容量C1は、Wm×0.9でもよいし、Wm×0.7でもよい。
(2)第4実施形態において、走行路300cは、移動体100が周回する経路として構成されている。しかし、走行路300cは、直線状や曲線状の経路でもよい。この場合、移動体100は、直線状や曲線状の経路を往復して走行する。
(3)第4実施形態において、第1検出部430cは、給電管理部400cに備えられている。しかし、第1検出部430cは、移動体100が備えていてもよい。例えば、移動体100に備えられた第1検出部430cは、受電の状況に基づいて、送電路310からの離脱を検出してもよい。
(4)第5実施形態において、移動体100は、電力センサを備える。しかし、第5実施形態の移動体100は、電力センサを備えいなくてもよい。第5実施形態の移動体100は、バッテリセンサ130により、受電による充電電力量を取得してもよい。
(5)上記実施形態において、FB制御やFF+FB制御は、PI制御により行われている。しかし、FB制御やFF+FB制御は、PI制御に限られない。FB制御やFF+FB制御は、モデルベースの現代制御やBang-Bang制御などの各種制御方法を用いてもよい。
(6)第10実施形態において、複数の受電情報Drは、複数の定数により構成されている。しかし、複数の受電情報Drは、例えば、平均供給電力Paを引数にする関数により算出されてもよい。
(7)第7実施形態において、第1制御部411xcは、移動体100が進路を第4走行速度V4で走行した場合に、2つの送電路310を走行できる周期で、第3走行速度V_comの算出を制御する。しかし、第1制御部411xcは、少なくとも2つの送電路310を走行できる周期で制御すればよい。第1制御部411xcは、移動体100が進路を第4走行速度V4で走行した場合に、3つや4つの送電路310を走行できる周期で、第3走行速度V_comの算出を制御してもよい。
(8)上記実施形態において、給電管理部400cは、過去の走行速度や充電電力量などの受電記録に基づく、FB制御を行う。給電管理部400cは、FB制御において、さらに、制限を設けてもよい。例えば、第3走行速度V_comで走行する移動体100は、作業を行う場合、停車する。これにより、移動体100のバッテリ120は、第3走行速度V_comの走行によって充電するよりも、充電される。このため、充電電力量は、第3走行速度V_comの走行によって充電されるべき充電電力量から乖離する。給電管理部400は、例えば、移動体100の走行時間を測定することにより、走行時間が過去の走行時間と相対的に長い場合、受電記録を除いてもよい。よって、第3走行速度V_comの算出に適さない受電記録が除かれる。
(9)上記実施形態については、更に非送電路320として所定の走行路300以外の経路も走行可能なAMR(Autonomous Mobile Robot)充電にも適用できる。
【0209】
本開示は、上記の実施形態や変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態、変形例中の技術的特徴は、上記の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上記の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【0210】
他の形態:
本開示の特徴を以下の通り示す。
(形態1)
移動体(100、100a、100b)に非接触で給電する非接触給電システム(10、10a、10b、10c、10d、10e)であって、
前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う送電装置(200)と、
前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路(310)と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路(320)と、より構成される複数の走行路(300、300c)と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部(400、400a、400b、400c)と、を備え、
前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、
前記送電装置から前記電力を受電する受電部(110)と、
前記電力としての予め定められた供給電力(P)で充電されることができるバッテリ(120)と、
前記バッテリの残量(Wb)を取得するバッテリセンサ(130)と、
前記給電管理部と通信する第1通信部(140)と、
前記移動体を制御する第1制御装置(150)と、を備え、
前記送電装置は、
前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイル(220)と、
前記送電コイルを介して、前記供給電力(P)を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源(210)と、を備え、
前記給電管理部は、
給電情報(Dc)を生成する第1制御部(411x,411xc)と、
前記第1通信部と通信する第2通信部(420)と、を備え、
前記移動体または前記給電管理部は、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量(Ws)を算出する第3制御部(411y)を備え、
前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度(V1)であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度(V2)で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度(V_com)を算出し、
前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する、非接触給電システム。
(形態2)
形態1記載の非接触給電システムであって、
前記第1制御部は、前記1以上の受電情報を、前記進路における前記1以上の送電路の前記電力供給能力に基づいて決定する、非接触給電システム。
(形態3)
形態1記載の非接触給電システムであって、
前記移動体は、さらに、前記受電による充電電力量を取得する電力センサを備え、
前記受電情報は、前記第3走行速度を算出する前の前記進路に係わる前記電力供給能力についての前記移動体の受電記録であって、前記充電電力量に係わる情報を含む、非接触給電システム。
(形態4)
形態1記載の非接触給電システムであって、
前記移動体は、さらに、前記受電による充電電力量を取得する電力センサを備え、
前記第1制御部は、
前記進路における最初の制御において、前記1以上の受電情報を、前記進路における前記1以上の送電路の電力供給能力に基づいて決定し、
前記最初の制御より後の制御において、前記1以上の受電情報を、過去の制御において取得された前記進路における前記1以上の送電路に係わる前記電力供給能力についての前記移動体の受電記録であって、前記充電電力量に係わる情報を含む受電記録に決定する、非接触給電システム。
(形態5)
形態1に記載の非接触給電システムであって、
前記第3制御部は、さらに、前記バッテリに定格容量に基づく第1基準容量(C1)と、の差分に基づいて、前記要求電力量の算出を行う、非接触給電システム。
(形態6)
形態1に記載の非接触給電システムであって、
前記第3制御部は、
前記移動体の予め定められた動作期間(Ta)において、前記バッテリの定格容量(Wm)より小さい第2基準容量(C2)を前記動作期間の終期(Tf)における前記残量の下限とした場合の、前記移動体の走行時間(Td)と前記残量の予め定められた関係と、に基づいて、前記要求電力量の算出を行う、非接触給電システム。
(形態7)
形態1から6のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、
前記移動体または前記給電管理部は、さらに、前記送電路からの前記移動体の離脱を検出する第1検出部(430c)を備え、
前記第1制御部は、前記離脱の検出を条件に、前記進路における前記1以上の送電路のそれぞれの送電路ごとに、前記第3走行速度の算出を制御する、非接触給電システム。
(形態8)
形態1から6のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、
前記移動体または前記給電管理部は、さらに、前記送電路からの前記移動体の離脱を検出する第1検出部を備え、
前記第1制御部は、前記離脱の検出の回数に基づいて、前記進路における複数の前記送電路のうち、2以上の予め定められた送電路ごとに、前記第3走行速度の算出を制御する、非接触給電システム。
(形態9)
形態1から6のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、
前記移動体は、前記進路において、第4走行速度以上の前記第3走行速度で走行し、
前記第1制御部は、
前記移動体が前記進路を前記第4走行速度で走行した場合に、少なくとも2つの前記送電路を走行できる周期で、前記第3走行速度の算出を制御し、
前記給電管理部は、さらに、前記第4走行速度と、前記送電路の長さと、前記非送電路の長さと、前記供給電力と、を備え、
前記第4走行速度と、前記送電路の長さと、前記非送電路の長さと、に基づいて、前記1以上の送電路のうち、前記周期で通過できる送電路についての前記送電路の長さと前記供給電力を、前記1以上の受電情報に決定する、非接触給電システム。
(形態10)
形態1記載の非接触給電システムであって、さらに、
複数の前記移動体の稼働を管理し、複数の前記移動体に供給できる電力を確認する工程管理部(500)を備え、
前記工程管理部は、
前記給電管理部と通信する第6通信部(550)と、
前記工程管理部を制御する第3制御装置(510)と、を備え、
前記給電管理部は、さらに、
前記工程管理部と通信する第4通信部(440)を備え、
前記第3制御装置は、
複数の前記受電情報を備え、
前記移動体の稼働状況に応じて、前記第1制御部に前記1以上の受電情報のうち1つの受電情報を決定する指令を行い、
前記第1制御部は、前記1つの受電情報に基づいて、前記第3走行速度の算出する、非接触給電システム。
(形態11)
形態1記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令(R)を含み、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯(Vb)を設定された前記複数の送電路であり、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯(Vb)を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
(形態12)
形態11に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記給電管理部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記移動体の数と、前記移動体のそれぞれの前記第1走行速度と、を検出する第1検出部(430)を備え、
前記第1制御部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記第1検出部により前記移動体の数を検出した場合に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度のうち最も遅い第3走行速度に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度を、変更する、非接触給電システム。
(形態13)
形態12に記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、前記受電の停止の指令を含み、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量の取得を条件に、前記残量が予め定められた基準電力量(Wa)よりも大きい場合、前記受電の停止を決定する、非接触給電システム。
(形態14)
形態13に記載の非接触給電システムであって、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量を取得したことを条件に、さらに、
前記残量が前記基準電力量よりも大きい場合、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
(形態15)
形態1記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令(R)を含み、
前記第1走行速度は、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路における走行速度であり、
前記移動体は、前記第2走行速度(V2)で走行する状態において、前記給電情報に基づく指示を受けた場合に、前記1以上の送電路のうちの1つの送電路を走行し、
前記第1制御部は、
前記残量の取得に基づいて制御し、
前記第3走行速度の算出について、前記進路における前記送電路において、予め定められた前記送電路の長さおよび前記送電路の前記供給電力に基づく前記受電情報により、前記第3走行速度を算出する、非接触給電システム。
(形態16)
形態15に記載の非接触給電システムであって、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯を設定された前記複数の送電路であり、
前記第1制御部は、さらに、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
(形態17)
形態16に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記給電管理部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記移動体の数と、前記移動体のそれぞれの前記第1走行速度と、を検出する第1検出部を備え、
前記第1制御部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路において、前記第1検出部により前記移動体の数を検出した場合に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度のうち最も遅い第3走行速度に、前記移動体のそれぞれの前記第3走行速度を、変更する、非接触給電システム。
(形態18)
形態17に記載の非接触給電システムであって、
前記給電情報は、前記受電の停止の指令を含み、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量の取得を条件に、前記残量が予め定められた基準電力量(Wa)よりも大きい場合、前記受電の停止を決定する、非接触給電システム。
(形態19)
形態18に記載の非接触給電システムであって、
前記第1制御部は、前記移動体に前記受電が行われている状態において、前記残量を取得したことを条件に、さらに、
前記残量が前記基準電力量よりも大きい場合、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
(形態20)
形態11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記移動体は、前記バッテリの充電率(So)を取得するSOC取得部(151ax)を備え、
前記給電管理部は、前記給電情報に基づいて、前記移動体の時間情報(T)を生成する第2制御部(411z)を備え、
前記第2制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
前記供給電力と、前記要求電力量と、に基づいて、前記時間情報としての前記複数の送電路のそれぞれの送電路の充電予測時間(Tc)を算出し、
前記第1制御部は、
予め定められた充電時間よりも前記充電予測時間(Tc)が長く、かつ、予め定められた基準充電率(Som)よりも前記充電率が高い場合に、前記進路指令の決定を中止する、非接触給電システム。
(形態21)
形態11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記移動体は、前記バッテリの充電率を取得するSOC取得部を備え、
前記第1制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
予め定められた基準充電率よりも前記充電率が高い場合に、前記進路指令の決定を中止する、非接触給電システム。
(形態22)
形態11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記複数の走行路上の前記移動体の稼働を管理する工程管理部であって、前記給電管理部と通信する第3通信部(540)を備え、
前記給電管理部は、
前記給電情報に基づいて、前記移動体の時間情報(T)を生成する第2制御部(411z)を備え、
前記工程管理部(500)と通信する第4通信部と、を備え、
前記第2制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
前記供給電力と、前記要求電力量と、に基づいて、前記時間情報としての前記複数の送電路のそれぞれの送電路の充電予測時間(Tc)を算出し、
前記第1制御部により、前記複数の送電路のそれぞれの送電路の予め定められた充電時間よりも前記充電予測時間が長いと判定された場合に、
予め定められた前記送電路の許容時間と、前記充電予測時間と、との差である延長予測時間(Tc)を前記時間情報として算出し、前記工程管理部に通知し、
前記第1制御部は、前記通知の後に、前記進路指令の決定を行う、非接触給電システム。
(形態23)
形態11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記走行路上の前記移動体の稼働を管理する工程管理部を備え、
前記移動体は、さらに、前記工程管理部と通信する第5通信部(180)を備え、
前記工程管理部は、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路における前記移動体の走行時間の計測と、前記複数の送電路のそれぞれの送電路からの前記移動体の離脱の検出と、を行う第2検出部(530)と、
前記工程管理部を制御する第3制御装置と、
前記移動体と通信する第6通信部と、を備え、
前記第3制御装置は、
前記移動体が前記走行路を走行する前に前記第2走行速度を決定し、
前記第3制御装置は、前記第2検出部による検出を条件に、
前記複数の送電路のそれぞれの送電路の予め定められた許容時間(Tm)よりも前記走行時間が長い場合、検出された前記移動体の前記第2走行速度を前記第2走行速度より速い第5走行速度(V5)に変更する、非接触給電システム。
(形態24)
形態11、12、13、17、18、19のいずれか1項に記載の非接触給電システムであって、さらに、
前記複数の送電路は、
前記移動体を停止状態で充電する1以上の第1送電路と、
前記移動体を走行状態で充電する1以上の第2送電路と、を備え
前記給電管理部は、前記給電情報に基づいて、前記移動体の時間情報(T)を生成する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記進路指令の決定の前における前記残量の取得を条件に、
前記供給電力と、前記要求電力量と、に基づいて、前記時間情報としての前記複数の送電路のそれぞれの送電路の充電予測時間を算出し、
前記第1制御部は、前記充電予測時間が前記複数の送電路のそれぞれの送電路に予め定められた充電時間よりも長い場合、前記1以上の第1送電路のうち一つに向かう前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
(形態25)
形態22記載の非接触給電システムであって、
前記1以上の送電路は、さらに、周回できる前記送電路を含み、
前記第1制御部は、前記通知の後の前記進路指令の決定について、前記進路上に前記周回できる前記送電路を含む場合、向かう前記進路指令を決定する、非接触給電システム。
(形態26)
形態22記載の非接触給電システムであって、
前記第3制御装置は、前記通知に係わる前記移動体以外の他の前記移動体に、前記通知に係わる前記移動体の前記進路を走行させる、非接触給電システム。
(形態27)
移動体に非接触で給電する非接触給電システムのための送電装置であって、
前記非接触給電システムは、
前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う前記送電装置と、
前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路と、より構成される複数の走行路と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部と、を備え、
前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、
前記送電装置から前記電力を受電する受電部と、
前記電力としての予め定められた供給電力で充電されることができるバッテリと、
電力量としての前記バッテリの残量を取得するバッテリセンサと、
前記給電管理部と通信する第1通信部と、
前記移動体を制御する第1制御装置と、を備え、
前記送電装置は、
前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイルと、
前記送電コイルを介して、前記供給電力を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源と、を備え、
前記給電管理部は、
前記移動体の走行に必要な給電情報を生成する第1制御部と、
前記第1通信部と通信する第2通信部と、を備え、
前記移動体または前記給電管理部は、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量を算出する第3制御部を備え、
前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度を算出し、
前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する、送電装置。
(形態28)
形態27記載の送電装置であって、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯を設定された前記複数の送電路であり、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、送電装置。
(形態29)
移動体に非接触で給電する非接触給電システムの受電装置であって、
前記受電装置は、前記移動体に設けられており、
前記非接触給電システムは、
前記移動体に、前記給電のための電力の送電を行う送電装置と、
前記送電装置による送電が行われる1以上の送電路と、前記1以上の送電路以外の1以上の非送電路と、より構成される複数の走行路と、
前記非接触給電システムを制御する給電管理部と、を備え、
前記移動体は、前記複数の走行路のいずれかを走行し、
前記受電装置は、
前記送電装置から前記電力を受電する受電部と、
前記電力としての予め定められた供給電力で充電されることができるバッテリと、
電力量としての前記バッテリの残量を取得するバッテリセンサと、
前記給電管理部と通信する第1通信部と、
前記移動体を制御する第1制御装置と、を備え、
前記送電装置は、
前記1以上の送電路に設けられた1以上の送電コイルと、
前記送電コイルを介して、前記供給電力を、前記1以上の送電路上を走行している前記移動体に出力する電源と、を備え、
前記給電管理部は、
前記移動体の走行に必要な給電情報を生成する第1制御部と、
前記第1通信部と通信する第2通信部と、を備え、
前記移動体または前記給電管理部は、前記移動体から前記残量を受け取り、前記残量に基づいて、前記バッテリの要求電力量を算出する第3制御部を備え、
前記給電情報は、前記第1制御装置による前記移動体の前記1以上の送電路における走行と前記受電を制御するための前記給電情報であって、少なくとも、前記1以上の送電路のそれぞれの送電路、または、前記1以上の非送電路および前記1以上の送電路を組み合わせた経路、として予め定められた進路における第1走行速度であって、前記1以上の非送電路のそれぞれの非送電路を予め定められた第2走行速度で走行する前記移動体が、前記進路において走行すべき第1走行速度を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度として前記進路の前記移動体が前記要求電力量を充電するための第3走行速度であって、前記1以上の送電路の電力供給能力に関して予め定められた1以上の受電情報と前記要求電力量とに基づいて第3走行速度を算出し、
前記第2通信部により、前記移動体に前記第3走行速度を送信する、受電装置。
(形態30)
形態29記載の受電装置であって、
前記1以上の送電路は、複数の送電路であって、前記複数の送電路のそれぞれに前記第1走行速度を制限するための予め定められた速度帯を設定された前記複数の送電路であり、
前記給電情報は、さらに、前記進路として、前記1以上の非送電路のいずれかの非送電路と、前記1以上の送電路のいずれかの送電路と、を組み合わせた前記進路を指示する進路指令を含み、
前記第1制御部は、
前記第1走行速度の決定に基づいて、前記第3走行速度を制限する前記速度帯を設定された前記複数の送電路のいずれかの送電路に向かうことを指示する前記進路指令を決定する、受電装置。
【符号の説明】
【0211】
10,10a~10e…非接触給電システム、100,100a,100b…移動体、110…受電部、111…受電コイル、112…充電回路、120…バッテリ、130…バッテリセンサ、140…第1通信部、150…第1制御装置、151,151a,511…プロセッサ、151ax…SOC取得部、152,412,512…ROM、153,413,413a,513…RAM、160…駆動部、161…駆動回路、162…モータ、170…車輪、180…第5通信部、200…送電装置、210…電源、220…送電コイル、300,300c,300e…走行路、310,310_n,310a…送電路、311~317…第1送電路~第7送電路、320…非送電路、400,400a~400c…給電管理部、410,410a,410b…第2制御装置、411,411a~411c…プロセッサ、411x,411xc…第1制御部、411y…第3制御部、411z…第2制御部、420…第2通信部、430,430c…第1検出部、440…第4通信部、500,500c,500d…工程管理部、510,510d…第3制御装置、530…第2検出部、540…第3通信部、550…第6通信部、A,B,E,F…分岐点、C…中心、C1,C2…第1基準容量,第2基準容量、Dc…給電情報、Dr…受電情報、P,P_n,P3~P5…供給電力、Pa…平均供給電力、Pr…製品、R…進路指令、S…停止指令、So…充電率、Som…基準充電率、T…時間情報、T3,T4…通過時間、Ta…動作期間、Tc…充電予測時間、Tc_o…充電時間、Td…走行時間、Te…延長予測時間、Tm…許容時間、Tf…終期、Ts…始期、V…端子間電圧、V1…第1走行速度、V2…第2走行速度、V4…第4走行速度、V5…第5走行速度、V_com…第3走行速度、Vb,Vb_n…速度帯、W_com…要求電力量、Wa…基準電力量、Wb…残量、Wm…定格容量、t_in…時間
図1
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