(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152594
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】シート状部材の巻取装置
(51)【国際特許分類】
E06B 9/42 20060101AFI20241018BHJP
B60J 3/00 20060101ALI20241018BHJP
B60R 5/04 20060101ALI20241018BHJP
E06B 9/80 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
E06B9/42 Z
B60J3/00 H
B60R5/04 T
E06B9/80 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024000705
(22)【出願日】2024-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2023066490
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】安田 聡司
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇志
【テーマコード(参考)】
2E042
3D022
【Fターム(参考)】
2E042AA06
2E042BA01
2E042CA02
2E042CA08
2E042DB03
3D022BA03
3D022BB01
3D022BC10
3D022BC15
(57)【要約】
【課題】巻取装置のロック解除操作を容易に行え、かつ、ロック部材のがたつきを抑制できるようにすること。
【解決手段】シート状部材の巻取装置20は、巻取シャフトと、貫通孔71hを有するロック用側壁71を含み、巻取シャフトを回転可能に支持するハウジング50と、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能なロック部材80と、を備える。巻取シャフトの端部は、回転規制部47を含み、ロック部材は、ロック部84A、84Bを含み、ロック用側壁は、間隔をあけて配置された保持部72A、72Bを含む。ロック部材がロック位置に位置する状態で、ロック部が回転規制部と保持部との間に配置されると共に、巻取シャフトの回転付勢力によって、回転規制部がロック部とを互いに離れる方向に押すと共に、保持部が互いに離れる方向へのロック部との移動を規制して、回転規制部の回転を規制する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材と、
前記シート状部材の一端部が取付けられた巻取シャフトと、
ロック部材配置面と貫通孔とを有するロック用側壁を含み、前記巻取シャフトの端部を前記貫通孔に貫通させた状態で、前記巻取シャフトを回転可能に支持するハウジングと、
前記シート状部材を巻取る方向に前記巻取シャフトを付勢する付勢部材と、
前記ロック用側壁の前記ロック部材配置面側で、前記巻取シャフトの端部の回転を抑止するロック位置と、前記巻取シャフトの端部の回転を許容するロック解除位置との間で移動可能なロック部材と、
を備え、
前記巻取シャフトの端部は、前記ロック部材により回転規制される回転規制部を含み、前記回転規制部は、互いに反対側を向く第1面と第2面とを有し、
前記ロック部材は、操作部と、前記操作部から間隔をあけて同じ方向に延びる第1中間部及び第2中間部と、前記第1中間部の先端から前記第2中間部側を通って前記第1中間部の基端側に折返された第1折返し部と、前記第2中間部の先端から前記第1中間部側を通って前記第2中間部の基端側に折返された第2折返し部と、前記第1折返し部の先端から前記ロック部材の移動方向に沿って延びる第1ロック部と、前記第2折返し部の先端から前記移動方向に沿って延びる第2ロック部とを含み、
前記ロック用側壁は、間隔をあけて配置された第1保持部と第2保持部とを含み、前記第1保持部と前記第2保持部との間に前記回転規制部が配置され、
前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で、前記第1ロック部が前記第1面と前記第1保持部との間に配置されると共に、前記第2ロック部が前記第2面と前記第2保持部との間に配置され、かつ、前記付勢部材による前記巻取シャフトの回転付勢力によって、前記第1面と前記第2面とが前記第1ロック部と前記第2ロック部とを互いに離れる方向に押すと共に、前記第1保持部と前記第2保持部とが、互いに離れる方向への前記第1ロック部と前記第2ロック部との移動を規制して、前記回転規制部の回転を規制する状態となる、シート状部材の巻取装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック部材配置面は、前記巻取シャフトの長手方向中間を向く側面であり、
前記回転規制部は、前記巻取シャフトの端部のうち前記貫通孔よりも前記巻取シャフトの長手方向中間側に位置する部分である、シート状部材の巻取装置。
【請求項3】
請求項1の記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック部材配置面は、前記巻取シャフトの長手方向外側を向く外側面であり、
前記回転規制部は、前記貫通孔から前記巻取シャフトの長手方向外側に突出する突出端部である、シート状部材の巻取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で、前記第1保持部と前記第2保持部とのそれぞれが、前記第1折返し部及び前記第2折返し部に接触可能な位置に配置されている、シート状部材の巻取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック用側壁は、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置する状態で、前記第1中間部と前記第2中間部との間で前記回転規制部側から前記操作部を受ける受部を含む、シート状部材の巻取装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記受部は、第1受部と、前記第1受部に対して離れている第2受部とを有し、
前記操作部は、前記第1受部と前記第2受部との間で前記回転規制部とは反対側に突出する操作突部を有する、シート状部材の巻取装置。
【請求項7】
請求項5に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記受部は、第1受溝を有する第1受部と、第2受溝を有する第2受部とを有し、
前記第1受溝と前記第2受溝とが前記ロック部材配置面に対して直交する方向に互いにずれて位置し、
前記第1受溝が、前記第2受溝寄りの位置から前記操作部に係止する第1抜止め突部を有し、
前記第2受溝が、前記第1受溝寄りの位置から前記操作部に係止する第2抜止め突部を有する、シート状部材の巻取装置。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック用側壁は、前記回転規制部に対して、前記ロック解除位置に位置する前記ロック部材の前記第1ロック部と前記第2ロック部との隙間側に位置し、前記第1面と前記第2面との距離以上の幅に形成されたガイド本体を有するガイド部を含む、シート状部材の巻取装置。
【請求項9】
請求項8に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック部材の初期状態における前記第1ロック部と前記第2ロック部との間隔は、前記ガイド本体の幅よりも小さい、シート状部材の巻取装置。
【請求項10】
請求項8に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ガイド部は、前記ガイド本体に対して前記回転規制部とは反対側に位置し、前記回転規制部に向うに連れて、前記ロック部材の初期状態における前記第1ロック部と前記第2ロック部との間隔よりも小さい幅から前記ガイド本体の幅となるまで徐々に幅が大きくなる拡幅ガイド端部を含む、シート状部材の巻取装置。
【請求項11】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート状部材の巻取装置であって、
前記ロック用側壁は、前記第1中間部及び前記第2中間部の少なくとも一方の移動経路の隣に位置する位置規制部をさらに含み、
前記第1中間部及び前記第2中間部の少なくとも一方は、前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で前記位置規制部に対して前記操作部側から係止し、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置する状態で前記位置規制部に対して前記操作部とは反対側から係止する位置規制係止部を含む、シート状部材の巻取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シート状部材の巻取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示の遮蔽装置は、スクリーンを巻取る軸部の回転を、ロック部材によって禁止する技術を開示している。ロック部材は、ロック位置でハウジングのロック位置係合部と係合している。ロック部の一対の操作部を操作することによって、ロック位置係合部との係合が解除され、ロック部がロック解除位置に移動できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術によると、一対の操作部を互いに近づく方向に操作して、その状態を維持したまま前記互いに近づく方向と直交する方向にロック部材をスライドさせて、ロック位置係合部に対する係合を解除する。このため、作業性が悪いという問題がある。また、ロック部材がロック位置に位置する状態で、ロック部材ががたつく可能性がある。
【0005】
そこで、本開示は、巻取装置のロック解除操作を容易に行え、かつ、ロック部材のがたつきを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のシート状部材の巻取装置は、シート状部材と、前記シート状部材の一端部が取付けられた巻取シャフトと、ロック部材配置面と貫通孔とを有するロック用側壁を含み、前記巻取シャフトの端部を前記貫通孔に貫通させた状態で、前記巻取シャフトを回転可能に支持するハウジングと、前記シート状部材を巻取る方向に前記巻取シャフトを付勢する付勢部材と、前記ロック用側壁の前記ロック部材配置面側で、前記巻取シャフトの端部の回転を抑止するロック位置と、前記巻取シャフトの端部の回転を許容するロック解除位置との間で移動可能なロック部材と、を備え、前記巻取シャフトの端部は、前記ロック部材により回転規制される回転規制部を含み、前記回転規制部は、互いに反対側を向く第1面と第2面とを有し、前記ロック部材は、操作部と、前記操作部から間隔をあけて同じ方向に延びる第1中間部及び第2中間部と、前記第1中間部の先端から前記第2中間部側を通って前記第1中間部の基端側に折返された第1折返し部と、前記第2中間部の先端から前記第1中間部側を通って前記第2中間部の基端側に折返された第2折返し部と、前記第1折返し部の先端から前記ロック部材の移動方向に沿って延びる第1ロック部と、前記第2折返し部の先端から前記移動方向に沿って延びる第2ロック部とを含み、前記ロック用側壁は、間隔をあけて配置された第1保持部と第2保持部とを含み、前記第1保持部と前記第2保持部との間に前記回転規制部が配置され、前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で、前記第1ロック部が前記第1面と前記第1保持部との間に配置されると共に、前記第2ロック部が前記第2面と前記第2保持部との間に配置され、かつ、前記付勢部材による前記巻取シャフトの回転付勢力によって、前記第1面と前記第2面とが前記第1ロック部と前記第2ロック部とを互いに離れる方向に押すと共に、前記第1保持部と前記第2保持部とが、互いに離れる方向への前記第1ロック部と前記第2ロック部との移動を規制して、前記回転規制部の回転を規制する状態となる、シート状部材の巻取装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、巻取装置のロック解除操作を容易に行え、かつ、ロック部材のがたつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態1に係るシート状部材の巻取装置を示す側面図である。
【
図5】
図5はロック部材がロック位置に位置する状態において巻取装置の一端部を示す斜視図である。
【
図7】
図7はロック部材がロック解除位置に位置する状態において巻取装置の一端部を示す斜視図である。
【
図9】
図9はロック部材の取付途中状態を示す説明図である。
【
図10】
図10は実施形態2に係るシート状部材の巻取装置を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係るシート状部材の巻取装置について説明する。
【0010】
<全体構成>
シート状部材の巻取装置の全体構成について説明する。
図1はシート状部材の巻取装置20を示す側面図である。
図1において巻取装置20が取付けられた自動車10の一部が示されている。
図2は巻取装置20を示す斜視図である。
【0011】
シート状部材の巻取装置20は、シート状部材22を引出可能に巻取る装置である。本実施形態では、シート状部材22が自動車10のウインドウ12を遮蔽する例が説明される。
【0012】
すなわち、自動車10のサイドドア14は、ドア本体15と、ドア本体15の上方に位置するウインドウ12と、当該ウインドウ12の周りを囲うウインドウ枠13とを備える。巻取装置20は、ドア本体15の上部であって車室側に位置している。シート状部材22は、巻取装置20から上方に引出されることで、ウインドウ12を車室側から覆うことができる。シート状部材22が巻取装置20に巻取られることで、ウインドウ12が車室側に露出する。
【0013】
巻取装置20は、ウインドウ12の上又は横に設置されてもよい。シート状部材22は、自動車の荷室を上下に区切るトノカバーであってもよく、自動車の乗車空間と荷室とを仕切るシートであってもよい。
【0014】
シート状部材の巻取装置20は、シート状部材22と、巻取機構30とを備える。
【0015】
シート状部材22は、布材、メッシュ状の布材、樹脂シート等を裁断、縫製等して形成されるシート状の部材である。シート状部材22は、後述する巻取シャフト40巻取可能な程度の柔軟性を有している。シート状部材22は、用途に応じた形状及び大きさ、ここでは、ウインドウ12を部分的又は全体的に遮蔽可能な形状及び大きさに形成されている。遮光又はプライバシー保護目的でシート状部材22が用いられる場合、シート状部材22は遮光性シートであることが好ましい。物の移動抑制目的でシート状部材22が用いられる場合、シート状部材は透過性シートであってもよいし、網状のシートであってもよい。
【0016】
シート状部材22の一端部は巻取機構30内に入って、巻取シャフト40に取付けられている。シート状部材22の他端部には、引出操作用の棒状の引出部材18が取付けられていてもよい。引出部材18は、ウインドウ12の上に位置する部分、例えば、ウインドウ枠13の上部に係止してシート状部材22を引出状態に保つ役割を有していてもよい。引出部材18は、巻取装置20の引出用スリット53の縁に外側から接触して、シート状部材22の過度の巻取を抑制する役割を有していてもよい。
【0017】
図3は巻取機構30の分解斜視図である。
図4は、
図3の部分拡大図である。巻取機構30は、巻取シャフト40と、ハウジング50と、付勢部材38と、ロック部材80とを備える。
【0018】
巻取シャフト40は、シート状部材22の幅以上の長さを有する長尺部材である。シート状部材22の一端部が巻取シャフト40に取付けられている。巻取シャフト40が回転することでシート状部材22が巻取シャフト40に巻取られる。巻取シャフト40が、シート状部材22を巻取った方向とは逆方向に回転することで、シート状部材22が巻取シャフト40から引出される。
【0019】
より具体的には、巻取シャフト40は、シャフト本体42と、端末部材44と、端末部材48とを備える。
【0020】
シャフト本体42は、長尺筒状(ここでは円筒状)に形成されている。シャフト本体42は、例えば、金属パイプによって形成されてもよい。
【0021】
シャフト本体42の一端部に端末部材44が取付けられ、シャフト本体42の他端部に端末部材48が取付けられる。
【0022】
端末部材44は、挿入部45aと、鍔部45bと、外側軸部46と、回転規制突部47とを有する。端末部材44は、例えば、射出成形によって形成された樹脂部品である。
【0023】
挿入部45aは、シャフト本体42の一端部に挿入される細長い部分である。端末部材44は、シャフト本体42に対して回転止された状態で、シャフト本体42の一端部に取付けられる。例えば、挿入部45aの外周に形成された外歯が、シャフト本体42の内周に形成された内歯に噛合うことで、挿入部45aがシャフト本体42に対して回転止される。
【0024】
シャフト本体42に対する端末部材44の回転止のための構成は、上記例に限られない。例えば、ピン又はネジがシャフト本体を貫通して挿入部に係止したり、シャフト本体と鍔部とが係止し合ったりして、端末部材がシャフト本体に対して回転止されてもよい。
【0025】
鍔部45bは、挿入部45aの基端から外周側に突出する環状部分である。挿入部45aがシャフト本体42の一端部に挿入された状態で、鍔部45bがシャフト本体42の一端面に当接して、シャフト本体42の長手方向における端末部材44の位置決めがなされる。
【0026】
外側軸部46は、鍔部45bに対して挿入部45aとは反対側に突出する細長い部分である。挿入部45aがシャフト本体42の一端部に挿入された状態で、外側軸部46は、シャフト本体42の一端部から外方に延出している。外側軸部46を利用してシャフト本体42が巻取方向に付勢される。
【0027】
回転規制突部47は、外側軸部46の先端からさらに外側に突出している。回転規制突部47を利用してシャフト本体42の回転規制がなされる。
【0028】
外側軸部46及び回転規制突部47は、巻取シャフト40の一端部の一例である。
【0029】
端末部材48は、例えば、射出成形によって形成された樹脂部品である。端末部材48は、シャフト本体42の他端部に挿入される細長い形状に形成されている。端末部材48は、端末部材44と同様に、シャフト本体42に対して回転止された状態で、シャフト本体42の他端部に取付けられてもよい。端末部材48には、外側に開口する軸受用孔が形成されている。
【0030】
ハウジング50は、貫通孔71hを有するロック用側壁71を含み、巻取シャフト40の端部を貫通孔71hに貫通させた状態で、巻取シャフト40を回転可能に支持する。
【0031】
より具体的には、ハウジング50は、ハウジング本体52と、サイドカバー60と、サイドカバー54とを備える。
【0032】
ハウジング本体52は、シート状部材22が巻き付けられた巻取シャフト40を収容可能な内部空間を有する形状に形成されている。また、ハウジング本体52には、内部空間と外部とを連通させる引出用スリット53が形成されている。
【0033】
例えば、ハウジング本体52は、円筒状部分52aと、一対のスリット形成縁52bとを含む。円筒状部分52aは、シート状部材22が巻き付けられた巻取シャフト40を収容する円筒形状に形成されている。円筒状部分52aの周方向の一部に、円筒状部分52aの軸方向に沿って延びるスリットが形成されている。当該スリットを挟む一対の縁のそれぞれから外側に向けて一対のスリット形成縁52bが延びている。一対のスリット形成縁52bの外側縁の間に引出用スリット53が形成される。
【0034】
巻取シャフト40が円筒状部分52a内に回転可能に収容される。シート状部材22は、引出用スリット53から一対のスリット形成縁52bの間を通り、巻取シャフト40に巻取られる。または、巻取シャフト40に巻取られたシート状部材22は、一対のスリット形成縁52bの間から引出用スリット53を通って引出される。
【0035】
ハウジング本体52の一端部及び他端部にネジSをネジ締め可能なネジ止凹部52gが開口している。
【0036】
上記ハウジング本体52は、例えば、金属の押出成形品であってもよい。ハウジング本体が上記構成であることは必須ではない。例えば、ハウジング本体は、角筒状であってもよい。
【0037】
サイドカバー60は、ハウジング本体52の一端側開口を塞ぐように、ハウジング本体52の一端部に取付けられる。サイドカバー54は、ハウジング本体52の他端側開口を塞ぐように、ハウジング本体52の他端部に取付けられる。
【0038】
サイドカバー60は、シャフト側部材62と、外カバー部材70とを備える。シャフト側部材62と外カバー部材70との間に、付勢部材38を収容可能な空間が形成されている。
【0039】
より具体的には、シャフト側部材62と外カバー部材70とのそれぞれは、射出成形によって形成された樹脂部品である。
【0040】
シャフト側部材62は、ベース部63と、周壁部65とを備える。ベース部63は環状の板状部材である。ベース63部にシャフト本体42の一端部を配置可能な開口63hが形成されている。
【0041】
ベース部63の周縁から周壁部65が立ち上がっている。ベース部63の外側(ハウジング本体52とは反対側)であって周壁部65で囲まれる空間内に付勢部材38が配置される。周壁部65には、外カバー部材70側の周壁部79に形成された係止凸部79pが係止する係止凹部65gが形成されている。
【0042】
ベース部63の周囲であって上記ネジ止凹部52gに対向する位置にネジ止片63Pが突出している。ネジ止片63Pにネジ孔が形成されている。ベース部63がハウジング本体52の一端部側に配置された状態で、ネジSがネジ止片63Pのネジ孔に挿通されてネジ止凹部52gにネジ締めされることで、ベース部63がハウジング本体52の一端部に取付けられる。
【0043】
ハウジング本体52に対するベース部63の固定構成は上記例に限られない。例えば、かしめ構造又は接着剤によって、サイドカバーがハウジング本体に取付けられてもよい。
【0044】
外カバー部材70は、ロック用側壁71と、周壁部79とを備える。ロック用側壁71は、環状の板状部材である。ロック用側壁71に、巻取シャフト40の一端部を回転可能に貫通配置可能な貫通孔71hが形成されている。
【0045】
ロック用側壁71の周縁から周壁部79が立ち上がっている。ロック用側壁71の内側(ハウジング本体52側)であって周壁部79で囲まれる空間内に付勢部材38が配置される。
【0046】
周壁部79は、周壁部65の内側に配置可能な環状周壁に形成されている。周壁部79の外面に係止凸部79pが形成されている。周壁部79を周壁部65の内側に配置するように、シャフト側部材62と外カバー部材70とが合体される。この状態で、係止凸部79pが係止凹部65gに係止して、シャフト側部材62と外カバー部材70との合体状態が維持される。
【0047】
サイドカバー54は、側壁部55と、支持シャフト56とを有している。
【0048】
側壁部55は、環状の板状部材である。側壁部55の中心から支持シャフト56が突出している。支持シャフト56は、端末部材48の軸受用孔に挿入可能な長尺形状、ここでは、丸棒状に形成されている。
【0049】
側壁部55の周囲であって上記ネジ止凹部52gに対向する位置にネジ止片55Pが突出している。ネジ止片55Pにネジ孔が形成されている。側壁部55がハウジング本体52の他端部側に配置された状態で、ネジSがネジ止片55Pのネジ孔に挿通されてネジ止凹部52gにネジ締めされることで、サイドカバー54がハウジング本体52の他端部に取付けられる。
【0050】
巻取シャフト40は次のようにしてハウジング50に回転可能に支持されている。
【0051】
すなわち、巻取シャフト40のシャフト本体42はハウジング本体52内に配置されている。端末部材44の挿入部45aはシャフト本体42の一端部に挿入され、鍔部45bは、シャフト側部材62のベース部63の外側に配置されている。鍔部45bから突出する外側軸部46がシャフト側部材62と外カバー部材70との間の空間を通ってロック用側壁71の貫通孔71hに回転可能に挿入されている。外側軸部46の先端部は円柱状に形成されており、貫通孔71hも丸孔に形成されている。シャフト本体42の外側軸部46の先端部が貫通孔71hによって回転可能に支持されることで、巻取シャフト40の一端部がハウジング50によって回転可能に支持されている。
【0052】
この状態で、回転規制突部47は、ロック用側壁71の外側に突出している。よって、巻取シャフト40の一端部である外側軸部46と回転規制突部47とは、貫通孔71hを貫通した状態となっている。
【0053】
付勢部材38は、シート状部材22を巻取る方向に巻取シャフト40を付勢する。ここでは、付勢部材38は、ゼンマイバネである。付勢部材38は、シャフト側部材62と外カバー部材70との間の空間に配置されている。付勢部材38の内周側端部は端末部材44の外側軸部46に回転止状態で固定されている。付勢部材38の外周側端部は外カバー部材70の周壁部79に回転止状態で固定されている。
【0054】
付勢部材38は、その外径を小さくするように巻かれた状態で、サイドカバー60内に配置されている。付勢部材38がもとの形状に戻ろうとする弾性力によって、巻取シャフト40が巻取方向に付勢されている。
【0055】
好ましくは、シート状部材22が巻取シャフト40に完全に巻かれた状態で、付勢部材38は、初期の外径よりも小さくなるように巻かれている。これにより、シート状部材22が巻取シャフト40に完全に巻かれた状態でも、付勢部材38は、巻取シャフト40を巻取方向に付勢している。
【0056】
この状態からシート状部材22が引出されると、付勢部材38は、さらに小さくなるように巻かれる。シート状部材22を引出した状態で、引出部材18等を利用して、シート状部材22が引出した状態に維持される。この状態で、巻取シャフト40は巻取方向に付勢されているので、シート状部材22は展開した状態に維持される。
【0057】
シート状部材22の引出状態が解除されると、付勢部材38の付勢力によって巻取シャフト40が巻取方向に回転する。これにより、シート状部材22が巻取シャフト40に巻取られる。シート状部材22が完全に巻取られると、引出部材18が引出用スリット53の周縁部に接触する。これにより、シート状部材22の他端部がハウジング50内に入り込んでしまうことが抑制される。この状態でも、巻取シャフト40は巻取方向に付勢されているので、引出部材18が引出用スリット53の周縁部に押し当てられ、意図しないシート状部材22の引出しが抑制されている。
【0058】
なお、付勢部材38がゼンマイバネであることは必須ではい。付勢部材は、捻りコイルバネであってもよい。この場合、捻りコイルバネは、巻取シャフト内に組込まれており、一端部が巻取シャフト内に回転止状態で連結され、他端部がハウジング側のシャフトに回転止状態で連結されてもよい。
【0059】
上記ハウジング50に対して巻取シャフト40が回転しないようにすることが要請されることがある。例えば、上記巻取装置20を自動車に組込む前の状態において、付勢部材38による所定の初期付勢力を発生させた状態に保つため、ハウジング50に対して巻取シャフト40が回転しないようにすることが要請されることが考えられる。また、例えば、メンテナンス上の都合等から、巻取装置20を自動車から一時的に取外した場合にも、ハウジング50に対して巻取シャフト40が回転しないようにすることが要請されることが考えられる。
【0060】
ロック部材80によって、ハウジング50に対する巻取シャフト40の回転が規制される。このロック部材80は、ロック用側壁71の外面側で、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能に配置されている。ロック部材80がロック位置に位置する状態で、ロック部材80が、貫通孔71hから突出した巻取シャフト40の一端部の回転を抑止する。また、ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、ロック部材80が巻取シャフト40の一端部の回転を許容する。ロック用側壁71の外面側は、ロック部材配置面の一例である。つまり、本実施形態では、ロック部材配置面が巻取シャフト40の長手方向外側を向く外側面である例が説明される。
【0061】
<回転規制のための構成について>
ロック部材80が巻取シャフト40の回転を規制するための構成についてより具体的に説明する。
図5は巻取装置20の一端部を示す斜視図であり、
図6は
図5のVI-VI線断面図である。
図7は巻取装置20の一端部を示す斜視図であり、
図8は
図7のVIII-VIII線断面図である。
図5及び
図6はロック部材80がロック位置に位置する状態を示し、
図7及び
図8はロック部材80がロック解除位置に位置する状態を示している。
図5及び
図7において、端末部材44、サイドカバー60及びロック部材80が示され、他の部材は省略されている。
【0062】
図4から
図8に示すように、巻取シャフト40の端部に位置する回転規制突部47は、貫通孔71hから突出している。回転規制突部47は、ロック部材80によって回転規制される部分である。回転規制突部47は、ロック部材80によって回転規制される回転規制部の一例である。つまり、本実施形態では、回転規制部が、貫通孔71hから巻取シャフト40の長手方向外側に突出する突出端部である例が説明される。本実施形態のように、ロック部材配置面が、巻取シャフト40の長手方向外側を向く外側面であり、回転規制部は、貫通孔71hから突出する突出端部であれば、ロック部材80の移動操作を行い易い。回転規制突部47は、互いに平行でかつ反対側を向く第1面47f1及び第2面47f2を含む。本実施形態では、回転規制突部47は、巻取シャフト40の軸方向に沿って見て、4つの側面によって囲まれている。隣合う側面は、互いに直角をなしている。また、反対側を向く2つの側面の組合せが2組存在しており、各組において、2つの側面間の距離は一定である。つまり、回転規制突部47は、正方形角柱状に形成されている。回転規制突部47における2組の側面の組合せのうち任意の組合せにおいて、任意の一方の面を第1面47f1とし、任意の他方の面を第2面47f2とすることができる。
【0063】
なお、回転規制突部47の角部は、面取り又は丸め処理されていてもよい。回転規制突部47から外側軸部46に向ってスリット46Sが形成されていてもよい。スリット46Sは、付勢部材38の内周側端部を外側軸部46に対して回転止するため、当該付勢部材38の内周側端部を挿通させるためのスリットである。
【0064】
回転規制突部47が正方形角柱状に形成されていることは必須ではない。回転規制突部47は、互いに反対側を向く2つの面を有する形状であればよい。例えば、回転規制突部は、長方形角柱状又は板状に形成されていてもよい。また、回転規制突部は、円柱のうち対向する2つの部分を平面でカットした形状に形成されていればよい。
【0065】
ロック部材80は、金属又は樹脂によって形成される。本実施形態では、ロック部材80は、金属によって形成されていることを前提として説明される。ロック部材80は、弾性を有する部材によって形成されることが好ましい。
【0066】
ロック部材80は、操作部81と、第1中間部82A及び第2中間部82Bと、第1折返し部83A及び第2折返し部83Bと、第1ロック部84A及び第2ロック部84Bとを含む。
【0067】
操作部81は、ロック部材80をロック位置とロック解除位置との間で移動させる際に、作業者が指等で操作力を加えるための部分である。本実施形態では、操作部81は、直線状に延びる部分を含む。
【0068】
第1中間部82A及び第2中間部82Bは、操作部81から間隔をあけて並列状態で同じ方向に延びている。本実施形態では、操作部81の一端から第1中間部82Aが延びており、操作部81の他端から第2中間部82Bが延びている。第1中間部82A及び第2中間部82Bは、操作部81に対して直交する方向に沿って並列状に延びている。
【0069】
第1折返し部83Aは、第1中間部82Aの先端から第2中間部82B側を通って第1中間部82Aの基端側に折返された部分である。第2折返し部83Bは、第2中間部82Bの先端から第1中間部82A側を通って第2中間部82Bの基端側に折返された部分である。本実施形態では、第1折返し部83A及び第2折返し部83Bは、半円弧状を描くように折返されている。第1折返し部83Aと第2折返し部83Bとは、互いに接近する方向に向っている。しかしながら、第1折返し部83Aと第2折返し部83Bとの間には隙間が存在する。
【0070】
第1折返し部及び第2折返し部の折返し形状は特に限定されず、例えば、V字状に折返されてもよいし、2箇所の直角箇所を介して折返されてもよい。
【0071】
第1ロック部84Aは、第1折返し部83Aの先端からロック部材80の移動方向に沿って延びる。ここでは、第1ロック部84Aは、第1中間部82Aの延在方向に沿って第1中間部82Aの基端側に向って延びている。第2ロック部84Bは、第2折返し部83Bの先端からロック部材80の移動方向に沿って延びる。ここでは、第2ロック部84Bは、第2中間部82Bの延在方向に沿って第2中間部82Bの基端側に向って延びている。
【0072】
第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間には隙間が存在している。第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとのそれぞれの先端部は、操作部81から離れて位置している。
【0073】
第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間に、回転規制突部47を配置できる。第1ロック部84Aと第2ロック部84Bが回転規制突部47を挟み込んだ状態で、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとが第1面47f1と第2面47f2とに押付けられることで、回転規制突部47の回転が規制される。本実施形態において、ロック位置は、回転規制突部47を第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間に配置した位置である(
図5及び
図6参照)。ロック解除位置は、回転規制突部47を、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間から外に配置した位置である(
図7及び
図8参照)。
【0074】
弾性変形前の初期状態において、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間隔W2は、第1面47f1と第2面47f2との距離Qよりも小さいことが好ましい。これにより、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間に回転規制突部47を挟込む力を発生させることができる。
【0075】
上記ロック部材80は、例えば、金属棒状部材を曲げ加工することによって容易に形成され、好ましくは、ばね線を曲げ加工することによって形成される。
【0076】
ロック用側壁71は、壁本体71Bと、間隔をあけて配置された第1保持部72Aと第2保持部72Bとを含む。第1保持部72Aと第2保持部72Bとは、貫通孔71hに対して間隔をあけた位置で対向するように形成される。貫通孔71hから突出する回転規制突部47が、第1保持部72Aと第2保持部72Bとの間に配置される。この状態で、第1保持部72Aと回転規制突部47との間に第1ロック部84Aを配置可能な隙間が形成され、第2保持部72Bと回転規制突部47との間に第2ロック部84Bを配置可能な隙間が形成される。
【0077】
第1面47f1及び第2面47f2が、第1保持部72A及び第2保持部72Bの内向き面に平行な状態で、第1面47f1と第1保持部72Aとの間には、第1ロック部84Aを挿入可能な隙間、例えば、第1ロック部84Aの径以上の隙間が形成される。同様に、第2面47f2と第2保持部72Bとの間には、第2ロック部84Bを挿入可能な隙間が形成される。
【0078】
第1保持部72Aと第2保持部72Bとの間隔は、第1面47f1と第2面47f2との距離Qにロック部84A、84Bの径を加算した大きさ以上であってもよい。第1保持部72Aと第2保持部72Bとの間隔が、回転規制突部47の最大太さにロック部84A、84Bの径を加算した大きさより小さければ、ロック部84A、84Bが保持部72A、72Bによって外側への移動規制がなされることによって、回転規制突部47の回転規制がなされ得る。回転規制突部47の最大太さは、例えば、回転規制突部47において対角線上に位置する対角部分間の距離である。
【0079】
より具体的には、第1保持部72Aと第2保持部72Bとは、壁本体71Bの外面から突出する部分である。第1保持部72Aと第2保持部72Bとは、貫通孔71hから両側に離れた位置で互いに平行姿勢で延びている。第1保持部72Aと第2保持部72Bとの延在方向は、ロック部材80のロック位置とロック解除位置とを結ぶ方向に沿っており、ロック部材80の移動方向に沿っている。
【0080】
保持部72A、72Bのそれぞれの幅は、中間部82A、82Bとロック部84A、84Bとの間隔以下であることが好ましい。これにより、保持部72A、72Bのそれぞれを、中間部82A、82Bとロック部84A、84Bとの間に配置できる。
【0081】
ロック部材80がロック位置に位置する状態では、第1ロック部84Aが第1面47f1と第1保持部72Aとの間に配置されると共に、第2ロック部84Bが第2面47f2と第2保持部72Bとの間に配置される。折返し部83A、83Bは、ロック部84A、84Bの基端から保持部72A、72Bのうち折返し部83A、83B側の先端部の外側を通って保持部72A、72Bの両側外側に達する。中間部82A、82Bが折返し部83A、83Bの基端から保持部72A、72Bの両外側を通って回転規制突部47を越えてサイドカバー60の外側に延出する。操作部81は、ロック用側壁71の外側で、中間部82A、82Bの基端を連結する。
【0082】
ロック部材80がロック位置に位置する状態で、第1ロック部84Aが第1面47f1と第1保持部72Aとの間に配置されると共に、第2ロック部84Bが第2面47f2と第2保持部72Bとの間に配置される。この状態で、付勢部材38の付勢力によって回転規制突部47が回転付勢される。この付勢力によって、第1面47f1及び第2面47f2は、ロック部84A、84Bの延在方向に対して大きく傾き、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとを互いに離れる方向に押す。つまり、ロック部84A、84Bの間で、ロック部84A、84Bを押し広げるように回転規制突部47が回転付勢される。
【0083】
押し広げられたロック部84A、84Bは、保持部72A、72Bの内向き部分に押し当てられる。保持部72A、72Bは、互いに離れる方向へのロック部84A、84Bの移動を規制する。これにより、第1面47f1及び第2面47f2の傾きが抑制され、回転規制突部47の回転が規制される。
【0084】
回転規制状態で、付勢部材38の付勢力によって第1面47f1及び第2面47f2がロック部84A、84Bに押し当てられ、かつ、ロック部84A、84Bが保持部72A、72Bに押し当てられているので、第1面47f1及び第2面47f2とロック部84A、84Bとの間、さらに、ロック部84A、84Bと保持部72A、72Bとの間に摩擦力が働いている。これらの摩擦力によって、ロック部材80がロック位置に保たれる。
【0085】
好ましくは、保持部72A、72Bの延在方向において、保持部72A、72Bの長さは、貫通孔71hの直径を超えており、保持部72A、72Bの両端部は、貫通孔71hの存在範囲を超えている。これにより、ロック部84A、84Bが貫通孔71hの両外側で安定して保持部72A、72Bに接することができる。
【0086】
保持部72A、72Bの内向き面は、互いに平行で、かつ、第1面47f1及び第2面47f2以上の長さに亘って広がっている面を有することが好ましい。これにより、ロック部84A、84Bが貫通孔71hの両外側で安定して保持部72A、72Bに接することができる。
【0087】
保持部72A、72Bの先端部は、ロック部材80がロック位置に位置する状態で、折返し部83A、83Bの内周部に接触可能な位置に配置されているとよい。これにより、ロック位置を一定に設定し易い。
【0088】
保持部72A、72Bの先端部は、先端に向うにつれて徐々に細幅になるように形成されていてもよい。保持部72A、72Bの先端部を細くすることによって、保持部72A、72Bの先端部が折返し部83A、83Bに対して安定した位置で接触し易い。また、保持部72A、72Bの内側の傾斜面によって、ロック部84A、84Bの先端が保持部72A、72Bに干渉し難くなる。
【0089】
ロック部材80がロック解除位置に位置する状態では、ロック部84A、84Bが回転規制突部47に対して操作部81とは反対側に離れて位置しており、回転規制突部47がロック部84A、84B間から脱した状態となっている。この状態では、折返し部83A、83Bは、保持部72A、72Bの先端部から離れている。また、操作部81は、回転規制突部47に対して近づいている。巻取シャフト40の軸方向に沿って見て、ロック部材80は、サイドカバー60の外縁内に収っている。
【0090】
この状態では、ロック部84A、84Bは、回転規制突部47から離れているため、回転規制突部47は、保持部72A、72Bの間で、ロック部材80によって回転規制されることなく、自由に回転できる。
【0091】
また、ロック用側壁71は、ガイド部74を含む。ガイド部74は、壁本体71Bの外面から突出する部分であり、ガイド本体74aと、拡幅ガイド端部74bとを有する。
【0092】
ガイド部74は、回転規制突部47に対してロック解除位置に位置するロック部材80のロック部84A、84Bとの隙間側に位置している。ここでは、ガイド部74は、ロック解除位置に位置するロック部材80のロック部84A、84Bとの間に位置している。ガイド部は、ロック解除位置に位置するロック部材の一対のロック部の隙間と回転規制突部との間に位置してもよい。
【0093】
ガイド部74は、ロック位置とロック解除位置との間におけるロック部材80の移動方向に沿って細長い形状に形成されている。ガイド部74において、ガイド本体74aは、回転規制突部47側に位置し、拡幅ガイド端部74bは回転規制突部47から遠い側に位置している。
【0094】
ガイド本体74aは、上記第1面47f1と第2面47f2との距離Q以上の幅W1に形成されている。好ましくは、ガイド本体74aの幅は、上記第1面47f1と第2面47f2との距離Qと同じに形成される。ここで、ガイド本体74aの幅が、上記第1面47f1と第2面47f2との距離Qと同じである場合には、ガイド本体74aの幅W1が、第1面47f1と第2面47f2との距離Qに対して公差範囲内で同じ場合を含む。公差範囲は、例えば、ガイド本体74aの幅W1が、第1面47f1と第2面47f2との距離Qに対して+0.1mmの範囲として設定される。
【0095】
本実施形態では、ガイド本体74aは、同幅部分が続く細長い形状であるが、途中で幅が変化してもよい。
【0096】
なお、ロック部材80が弾性変形していない初期状態における第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間隔W2(
図9参照)は、ガイド本体74aの幅W1よりも小さいことが好ましい。これにより、ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとがガイド本体74aを挟込むことができる。
【0097】
ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、ロック部84A、84Bは、ガイド本体74aの両外側に配置される。これにより、ロック部84A、84Bは、第1面47f1と第2面47f2との距離Q以上に広がった状態に保たれる。このように、ロック部84A、84Bが広げられた状態とされるため、ロック部材80をロック解除位置からロック位置に移動させると、ロック部84A、84Bは、回転規制突部47の両外側に円滑に配置されうる。
【0098】
拡幅ガイド端部74bは、ガイド本体74aに対して回転規制突部47とは反対側に位置している。拡幅ガイド端部74bは、回転規制突部47に向うに連れて最小幅から最大幅となるまで徐々に幅が大きくなる形状に形成されている。拡幅ガイド端部74bの先端部が最小幅を有する部分である。最小幅は、ロック部材80が弾性変形していない初期状態における第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間隔W2よりも小さい幅である。最大幅は、ガイド本体74aの幅であり、第1面47f1と第2面47f2との距離Q以上の幅である。
【0099】
ロック部材80をロック用側壁71に取付ける際に、ロック部84A、84Bがロック用側壁71の外側からガイド部74の延在方向に沿って当該ガイド部74の両外側に配置される。この際、ロック部84A、84Bが拡幅ガイド端部74bの両側面に接触して押し広げられる。このため、ロック部84A、84Bが初期の間隔W2よりも広げられた状態でガイド本体74aの両外側に配置される。
【0100】
本実施形態において、ロック用側壁71は、壁本体71Bの外向き面から離れた位置で、保持部72A、72B間の空間及びガイド部74の両外側空間を覆う規制壁76を有する。規制壁76は、壁本体71Bの外向き面に対してロック部84A、84Bを配置可能な隙間をあけた位置に配置されている。規制壁76は、保持部72A、72B間の空間を塞ぐ第1領域76aと当該領域からガイド部74に向う第2領域76bとを有する。
【0101】
第1領域76aは、保持部72A、72Bの先端部からそれらの中間に向う部分を有している。ロック位置に位置するロック部材80のロック部84A、84Bは、保持部72A、72Bの内側で、壁本体71Bの外向き面と規制壁76の第1領域76aとの間に配置される。
【0102】
第1領域76aのうち回転規制突部47の軸方向延長上に開口が形成されており、当該開口を通じて回転規制突部47の状態が観察され得る。そのため、当該開口より回転規制突部47の状態を確認しながらロック部材80のロック部84A、84Bを回転規制突部47と保持部72A、72Bとの間に容易に挿入することができる。また、当該開口を利用して、巻取シャフト40を回転させることができる。規制壁76は、省略されてもよい。この場合、ロック用側壁は、ロック部材を、壁本体に沿うようにガイドする庇状の部分又は溝状の部分を有してもよい。
【0103】
第2領域76bは、ガイド部74に沿って延びると共に、回転規制突部47から遠ざかるにつれて徐々に細幅になる板状に形成されている。第2領域76bは、規制壁76の外面から離れた位置で、ガイド部74の先端から両外側に延びる板状部分を含む。ロック位置に位置するロック部材80のロック部84A、84Bは、ガイド部74の先端の両外側で、壁本体71Bの外向き面と規制壁76の第2領域76bとの間に配置される。
【0104】
ロック用側壁71は、操作部81を受ける受部78を含む。受部78は、壁本体71Bの外向き面から突出する部分である。受部78は、ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、中間部82A、82Bの間でかつ操作部81を受ける位置に形成されている。すなわち、受部78は、ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、操作部81の内側に位置して、当該操作部81を受ける。ロック部材80がロック位置に位置する状態では、操作部81は、受部78から外側に離れた位置に配置される。
【0105】
本実施形態では、受部78は、操作部81の延在方向に沿って離れる一対の分割受部78aを含む。受部78は、1つの突出部分であってもよい。
【0106】
分割受部78aのうち回転規制突部47とは反対側の部分に、操作部81を嵌込可能な凹部78agが形成されている。好ましくは、凹部78agは、操作部81を圧入できる程度の幅に形成されている。ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、操作部81が受部78の凹部78agに嵌め込まれる。これにより、ロック部材80がロック解除位置から脱落することが抑制される。
【0107】
しかも、この状態では、ロック部84A、84Bは、壁本体71Bと規制壁76との間に配置されているため、ロック部84A、84Bが壁本体71Bの外向き面に対して大きく傾き難い。これにより、操作部81が壁本体71Bの外向き面から離れる方向に移動し難い。この点からも、操作部81は、凹部78agから外れ難い。
【0108】
凹部78agは、壁本体71Bの外向き面から離れて位置しており、操作部81を壁本体71Bの外向き面から離れた位置で受けることが好ましい。上記したように、ロック部84A、84Bは、壁本体71Bの外向き面と規制壁76との間に挟まれて壁本体71Bの外向き面に沿うように保持されている。ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、操作部81が壁本体71Bの外向き面から離れた位置で凹部78agに嵌め込まれれば、折返し部83A、83B及び中間部82A、82Bが操作部81に向うにつれて壁本体71Bの外向き面から徐々に離れるように弾性変形した状態となる。このため、操作部81が壁本体71Bの外向き面に沿う状態に戻ろうとする弾性復元力によって、操作部81が凹部78agに押付けられた状態となり、ロック部材80のがたつきが抑制される。また、ロック部材80をロック解除位置に保ち易い。
【0109】
また、分割受部78aは、回転規制突部47から遠ざかるにつれて徐々に壁本体71Bに対する突出する寸法が大きくなるように形成されている。このため、ロック部材80をロック用側壁71に装着する際に、操作部81を分割受部78aの外側で回転規制突部47から遠ざかる方向に移動させると、操作部81が分割受部78aを容易に乗越えることができる。これにより、操作部81を凹部78agに容易に嵌め込むことができる。
【0110】
ロック部材80の組付手順について説明する。
【0111】
図9の2点鎖線に示すロック部材80のように、ロック部材80が壁本体71Bの外面に沿って配置された状態で、ロック部84A、84Bの先端がガイド部74の先端の両外側に配置されると共に、操作部81が保持部72A、72Bに対してガイド部74とは反対側に配置される。
【0112】
この状態で、操作部81を操作することで、ロック部84A、84Bが、壁本体71Bの外面と規制壁76との間に挿入されると共に、ガイド部74の両外側に向けて押込まれる。
【0113】
ロック部84A、84Bの初期の間隔W2は、ガイド本体74aの幅W1よりも小さい。このため、ロック部84A、84Bは、拡幅ガイド端部74bに接触して押し広げられた後、ガイド本体74aの両外面側に配置される(
図9において実線で示すロック部材80参照)。
【0114】
操作部81がさらに回転規制突部47から離れる方向に移動するように操作部81が操作される。すると、ガイド本体74aの両外面側に位置するロック部84A、84Bは、ガイド本体74aの両外面によってガイドされつつ、回転規制突部47の両外側に向けて移動する。すなわち、第1ロック部84Aが回転規制突部47と第1保持部72Aとの間に隙間に挿入され、第2ロック部84Bが回転規制突部47と第2保持部72Bとの間に挿入される。
【0115】
上記したように、付勢部材38の付勢力によって、回転規制突部47が回転しようとするため、第1面47f1及び第2面47f2は、ロック部84A、84Bを保持部72A、72Bに向けて押す。保持部72A、72Bが互いに離れる方向へのロック部84A、84Bの移動を規制することによって、第1面47f1及び第2面47f2の傾きが抑制され、回転規制突部47の回転が規制される(
図5及び
図6参照)。
【0116】
また、この状態で、第1面47f1及び第2面47f2とロック部84A、84Bとの間の摩擦力、さらに、ロック部84A、84Bと保持部72A、72Bとの間に摩擦力によって、ロック部材80がロック位置に保たれる。
【0117】
巻取シャフト40を巻取方向に巻いておいた後、ロック部材80によって回転規制突部47の回転規制を行うことで、ロック部材80によって、予巻き状態を保持することができる。
【0118】
巻取シャフト40が回転規制された状態で、巻取装置20が自動車10に組付けられる。この後、巻取シャフト40の回転規制が解除される。
【0119】
すなわち、上記摩擦力に抗して、操作部81を回転規制突部47に向けて押す。すると、ロック部84A、84Bが、回転規制突部47と保持部72A、72Bとの間から脱して、ガイド部74の両外側に移動する(
図7及び
図8参照)。これにより、ロック部材80がロック解除位置に位置する状態となる。この状態では、初期の間隔W2がガイド本体74aの幅W1より小さいロック部84A、84Bがガイド本体74aを挟んだ状態となっている。このため、ロック部材80がロック用側壁71に対してがたつき難い。また、挟込むによる摩擦力によって、ロック解除位置からロック位置へのロック部材80の移動が抑制されている。
【0120】
ロック部材80がロック解除位置に位置する状態では、ロック部84A、84Bによる回転規制突部47の回転規制状態が解除されるので、巻取シャフト40は、シート状部材22を引出したり巻取ったりできるようにハウジング50内で回転できるようになる。
【0121】
メンテナンス上の都合等により、巻取装置20が自動車10から取外される際には、ロック部材80がロック解除位置からロック位置に移動することによって、巻取シャフト40が回転規制状態に保たれる。
【0122】
<効果等>
以上のように構成されたシート状部材22の巻取装置20によると、ロック部材80がロック位置に位置する状態で、第1保持部72Aと第2保持部72Bとが互いに離れる方向への第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの移動を規制する。これにより、第1面47f1及び第2面47f2が大きく傾くことが規制され、回転規制突部47の回転が規制される。この状態では、第1ロック部84Aが第1面47f1と第1保持部72Aとで挟まれると共に、第1ロック部84Aが第2面47f2と第2保持部72Bとで挟まれることによって、ロック部材80がロック位置に保たれる。
【0123】
ロック部材80がロック位置に保たれた状態では、付勢部材38による回転付勢力によって、第1面47f1が第1ロック部84Aを第1保持部72Aに向けて押すと共に、第2面47f2が第2ロック部84Bを第2保持部72Bに向けて押した状態となっている。このため、ロック部材80のがたつきが抑制されている。
【0124】
また、巻取装置20のロックを解除する際には、第1面47f1と第1保持部72Aとに対する第1ロック部84Aの摩擦力、及び、第2面47f2と第2保持部72Bとに対する第2ロック部84Bの摩擦力に抗して、操作部81をロック位置からロック解除位置に向けて押せばよい。よって、巻取装置20のロック解除操作を容易に行える。
【0125】
また、ロック部材80をロック解除位置からロック位置に移動させる際にも、操作部81を上記とは逆に押せばよい。よって、巻取装置20のロック操作も容易である。
【0126】
また、ロック部材80がロック位置に位置する状態で、第1保持部72Aと第2保持部72Bとのそれぞれが、第1折返し部83A及び第2折返し部83Bに接触し得る。このため、ロック部材80をロック位置に移動させる際に、第1保持部72Aと第2保持部72Bとのそれぞれに、第1折返し部83A及び第2折返し部83Bを接触させるまで、ロック部材80を移動させればよい。このため、ロック位置におけるロック部材80の位置を安定させることができる。
【0127】
また、ロック用側壁71は、ロック解除位置のロック部材の操作部81を受ける受部78を含む。受部78が操作部81を受けることによって、ロック部材80をロック解除位置に保ち易い。
【0128】
また、ロック部材80をロック位置に移動させると、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとがガイド部74を挟んだ状態となり、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間に第1面47f1と第2面47f2との距離Q以上の幅が設けられる。このため、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとが、回転規制突部47に干渉し難くなり、回転規制突部47の両外側に向けて円滑に案内される。これにより、巻取装置20のロック作業が容易となる。
【0129】
また、ロック部材80の初期状態における第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間隔W2が、ガイド本体74aの幅W1よりも小さければ、ロック部材80がロック解除位置に位置する状態で、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとが弾性復元力によってガイド部74を挟み込んだ状態とすることができる。これにより、ロック解除状態におけるロック部材80のがたつきが抑制される。また、ガイド部74に対する第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの摩擦力によって、ロック部材80をロック解除位置に保ち易い。
【0130】
さらに、ガイド部74が、拡幅ガイド端部74bを含めば、第1ロック部84A及び第2ロック部84Bを、拡幅ガイド端部74bによって広げてガイド本体74aの両側に配置し易い。よって、ロック部材80を、ロック用側壁71に組付け易い。
【0131】
なお、本実施形態では、ロック部材80及び第1保持部72A及び第2保持部72B等の回転規制のための構成が左右対称な構成である例が説明された。しかしながら、回転規制のための構成が左右非対称であることも想定される。
【0132】
[実施形態2]
実施形態2に係るシート状部材の巻取装置について説明する。本実施形態2では、主に実施形態1との相違点が説明され、実施形態1の構成部分と共通する構成部分については同一符号を付する等して説明が省略される場合がある。
【0133】
図10はシート状部材の巻取装置120を示す部分斜視図である。シート状部材の巻取装置120は、巻取装置20と同様に、シート状部材22を引出可能に巻取る装置である。
【0134】
シート状部材の巻取装置120は、シート状部材22と、巻取機構130とを備える。
【0135】
シート状部材22は、実施形態1で説明した通りの部材である。シート状部材22の一端部は巻取機構130内に入って、巻取機構130内の巻取シャフト140に取付けられている。シート状部材22の他端部には、実施形態1で説明したのと同様に、引出操作用の棒状の引出部材が取付けられていてもよい。
【0136】
図11及び
図12は巻取機構130の分解斜視図である。
図11は巻取機構130の一端部を巻取シャフト140の外側から見た斜視図であり、
図12は巻取機構130を巻取シャフト140の中間側から見た斜視図である。
図11と
図12とでは上下も逆となっている。なお、巻取シャフト140及びシート状部材22は
図11では図示されているが、
図12では省略されている。
【0137】
図10から
図12に示すように、巻取機構130は、巻取シャフト140と、ハウジング150と、付勢部材38と、ロック部材180とを備える。
【0138】
巻取シャフト140は、巻取シャフト40と同様に、シート状部材22の幅以上の長さを有する長尺部材である。シート状部材22の一端部が巻取シャフト140に取付けられている。シート状部材22が巻取シャフト140に巻取られたり、巻取シャフト140から引出されたりする。
【0139】
より具体的には、巻取シャフト140は、シャフト本体42と、端末部材144と、端末部材とを備える。
【0140】
シャフト本体42は、実施形態1で説明されたシャフト本体42である。シャフト本体42の一端部に端末部材144が取付けられる。この端末部材144は、実施形態1で説明した端末部材44とは異なっている。シャフト本体42の他端部に取付けられる端末部材は、実施形態1で説明した端末部材48と同じものを利用できる。
【0141】
端末部材144は、挿入部145aと、鍔部145bと、中間胴部145cと、外側軸部146とを有する。端末部材144は、回転規制部147も有する。端末部材144は、例えば、射出成形によって形成された樹脂部品である。
【0142】
挿入部145aは、シャフト本体42の一端部に挿入される細長い部分である。端末部材144は、シャフト本体42に対して回転止された状態で、シャフト本体42の一端部に取付けられる。例えば、挿入部145aの外周に形成された外歯が、シャフト本体42の内周に形成された内歯に噛合うことで、挿入部145aがシャフト本体42に対して回転止される。実施形態1で説明したように、シャフト本体42に対する端末部材144の回転止のための構成は、上記例に限られない。
【0143】
挿入部145aの基端側に中間胴部145cが連なっている。中間胴部145cは、挿入部145aよりも太い。挿入部145aがシャフト本体42の一端部に挿入された状態で、中間胴部145cのうち挿入部145a側を向く環状端面がシャフト本体42の一端面に当接して、シャフト本体42の長手方向における端末部材144の位置決めがなされる。
【0144】
鍔部145bは、中間胴部145cの基端から外周側に突出する環状部分に形成されている。鍔部145bとシャフト本体42の一端面とは、中間胴部145cの長さに応じた距離隔てられる。
【0145】
外側軸部146は、鍔部145bに対して中間胴部145c及び挿入部145aとは反対側に突出する細長い部分である。挿入部145aがシャフト本体42の一端部に挿入された状態で、外側軸部146がシャフト本体42の一端部の外方に延出している。外側軸部146を利用してシャフト本体42が巻取方向に付勢される。
【0146】
回転規制部147は、端末部材144のうち上記外側軸部146よりもシャフト本体42側に位置する。つまり、回転規制部147は、鍔部145bよりもシャフト本体42側に位置する。ここでは、中間胴部145cが回転規制部147を含む。回転規制部147を利用してシャフト本体42の回転規制がなされる。上記中間胴部145c及び回転規制部147は、巻取シャフト140の一端部の一例である。
【0147】
ハウジング150は、貫通孔271hを有するロック用側壁271を含み、巻取シャフト140の端部を貫通孔271hに貫通させた状態で、巻取シャフト140を回転可能に支持する。
【0148】
より具体的には、ハウジング150は、ハウジング本体152と、軸受部材160と、軸受部材とを備える。
【0149】
ハウジング本体152は、シート状部材22が巻き付けられた巻取シャフト140を少なくとも部分的に覆う形状に形成されている。
【0150】
例えば、ハウジング本体152は、部分円筒部152aと、取付片152bとを含む。部分円筒部152aは、シート状部材22が巻取られた巻取シャフト140を、その周方向において部分的に覆う形状に形成されている。より具体的には、部分円筒部152aは、円筒の周方向の1/4~1/3程度をなす部分円筒形状に形成される。部分円筒部152aは、シャフト本体42よりも長く、巻取シャフト140に巻取られたシート状部材22を、シャフト本体42の長手方向全体で覆う。部分円筒部152aは、巻取シャフト140よりも長くてもよい。
【0151】
部分円筒部152aの周方向の一方側の縁から取付片152bが延出している。取付片152bには、ネジ孔等が形成されており、ハウジング本体152は、当該取付片152bを介して取付対象に取付けられる。取付対象は、例えば、自動車においてウインドウの周りを囲う枠部分である。ハウジング本体152が当該枠分に取付けられることで、巻取シャフト140に巻取られたシート状部材22がハウジング本体152と取付対象とで囲まれる。また、ハウジング本体152と取付対象との間には、シート状部材22を引出すためのスリットが形成される。
【0152】
部分円筒部152aの長手方向一端部に、支持壁部153が形成されている。支持壁部153は、部分円筒部152aの内周面から当該部分円筒部152aの長手方向に対して直交する方向に延びる板状に形成されている。
【0153】
支持壁部153に、軸受部材160が部分的に嵌め込まれる凹部160gが形成されている。軸受部材160のうち巻取シャフト140を囲む部分が凹部160gに嵌め込まれた状態で、軸受部材160が当該支持壁部153の外向き面に接して位置決めされる。
【0154】
部分円筒部152aのうちの長手方向一端部であって支持壁部153よりも外側部分に固定部152pが形成されている。固定部152pには例えばネジ孔が形成される。軸受部材160が上記支持壁部153に位置決めされた状態で、軸受部材160が固定部152pにネジ止固定される。軸受部材160の固定構造は当該例に限られない。例えば、接着剤、嵌込構造または熱溶着等によってハウジング本体152に固定されてもよい。
【0155】
支持壁部153は、部分円筒部152aの長手方向一端側の開口よりも内側に形成されていてもよい。この場合、軸受部材160を部分円筒部152a内で保護し易い。支持壁部は、部分円筒部の長手方向一端側の開口の縁に形成されていてもよい。
【0156】
部分円筒部152aのうち支持壁部153よりも外側の部分に操作用開口152hが形成されている。ハウジング本体152に軸受部材160が支持された状態で、ロック部材180の操作部181が操作用開口152hに対向する位置に配置される。作業者は、当該操作用開口152hを通じて操作部181に触れてロック部材180を移動操作できる。
【0157】
部分円筒部152aの長手方向他端部には、実施形態1におけるサイドカバー54と同様の軸受部材が支持されており、実施形態1と同様構成によって、巻取シャフト140の他端部が回転可能に支持されていてもよい。
【0158】
上記ハウジング本体152は、樹脂で形成された部品であってもよいし、金属で形成された部品であってもよい。実施形態1と同様に、巻取シャフト140の周りのより多くの部分が、筒状の部材が覆っていてもよい。
【0159】
一方の軸受部材160は、ハウジング本体152の一端部に取付けられる。他方の軸受部材がハウジング本体152の他端部に取付けられる。巻取シャフト140の両端が、ハウジング本体152の両端に回転可能に支持されることで、巻取シャフト140がハウジング本体152の内側で回転し、シート状部材22を巻取ったり引出したりできる。
【0160】
軸受部材160は、シャフト側部材162と、外カバー部材170とを備える。シャフト側部材162と外カバー部材170との間に、付勢部材38を収容可能な空間が形成されている。
【0161】
より具体的には、シャフト側部材162と外カバー部材170とのそれぞれは、射出成形によって形成された樹脂部品である。
【0162】
シャフト側部材162は、ロック用側壁271と、周壁部65とを備える。
【0163】
ロック用側壁271は、環状の板状部材であり、実施形態1におけるベース部63に対応する部分である。このロック用側壁271に、巻取シャフト140の一端部が貫通可能な貫通孔271hが形成されている。貫通孔271hは、例えば、上記中間胴部145cが回転可能に挿通される円形の開口に形成される。また、貫通孔271hは、上記鍔部145bよりも小さく形成されており、当該鍔部145bによって貫通孔271hが閉じられる。実施形態1とは異なり、ロック用側壁271が、ロック部材180が移動可能に配置されるロック部材配置面271fを有している。ロック部材180によるロック構造については後に詳述される。
【0164】
ロック用側壁271の周縁から、実施形態1で説明されたように、周壁部65が立ち上がっている。
【0165】
外カバー部材170は、外側壁171と、周壁部79とを備える。外側壁171は、環状の板状部材である。実施形態1とは異なり、外側壁171にはロック部材は配置されない。
【0166】
実施形態1とは異なり、外側壁171には貫通孔が形成されていない。外側壁171の中央には、軸受凹部171gが形成されている。軸受凹部171gは、外側壁171の内側から視て凹む部分である。軸受凹部171gに上記外側軸部146の先端部が回転可能に挿入されて支持される。外側壁171のうち軸受凹部171gが形成された部分は、外側から見て突出していてもよい。外側壁171によって、軸受部材160の内部空間が外側空間に対して閉ざされている。
【0167】
外側壁171の周縁から、実施形態1で説明されたように、周壁部79が立ち上がっている。外側壁171の内側であって周壁部79で囲まれる空間内に付勢部材38が配置される。
【0168】
周壁部79は、周壁部65の内側に配置可能な環状周壁に形成されている。実施形態1で説明したように、周壁部79の外面の係止凸部79pが周壁部65の凹部65gに係止して、シャフト側部材162と外カバー部材170との合体状態が維持される。
【0169】
なお、外カバー部材170の周囲の一部から巻取シャフト140の延在方向に沿って外側に延出するネジ止片171Pが突出している。当該ネジ止片171Pを利用して、軸受部材160がハウジング本体152の一端部内側に固定される。
【0170】
巻取シャフト140は次のようにしてハウジング150に回転可能に支持されている。
【0171】
すなわち、巻取シャフト140のシャフト本体42はハウジング本体152内に配置されている。端末部材144の挿入部145aはシャフト本体42の一端部に挿入され、中間胴部145cは貫通孔271hを貫通し、鍔部145bはロック用側壁271に対してロック部材配置面271fの反対側に配置される。よって、中間胴部145cは、鍔部145bから貫通孔271hを通ってシャフト本体42の端部に向って延出している。
【0172】
鍔部145bから突出する外側軸部146がシャフト側部材162と外カバー部材170との間の空間を通って外側壁171の軸受凹部171gに回転可能に挿入されている。外側軸部146の先端部は円柱状に形成されており、軸受凹部171gも有底丸穴状に形成されている。外側軸部146の先端部が軸受凹部171gによって回転可能に支持されることで、巻取シャフト140の一端部がハウジング150によって回転可能に支持されている。
【0173】
この状態で、中間胴部145cは、ロック用側壁271の貫通孔271hを貫通し、巻取シャフト140の延在方向中間側に突出している。
【0174】
付勢部材38は、シート状部材22を巻取る方向に巻取シャフト140を付勢する。ここでは、実施形態1で説明したように、付勢部材38は、ゼンマイバネである。付勢部材38は、シャフト側部材162と外カバー部材170との間の空間に配置されている。付勢部材38の内周側端部は外側軸部146に回転止状態で固定されている。付勢部材38の外周側端部は外カバー部材170の周壁部79に回転止状態で固定されている。
【0175】
実施形態1で説明したように、付勢部材38によって巻取シャフト140が巻取方向に付勢されている。このため、巻取付勢力に抗して、シート状部材22を引出すことで、当該シート状部材22を遮蔽部材または仕切部材として利用できる。また、シート状部材22を遮蔽部材または仕切部材として利用しない場合には、巻取付勢力によって、シート状部材22を巻取シャフト140に巻取ることができる。
【0176】
実施形態1で説明したように、ハウジング本体152に対して巻取シャフト140が回転しないようにすることが要請されることがある。そこで、ロック部材180によって、ハウジング本体152に対する巻取シャフト140の回転が規制される。実施形態1とは異なり、実施形態2では、ロック部材180は、シャフト本体42側に位置するロック用側壁271のうちシャフト本体42側のロック部材配置面271f側で、ロック位置とロック解除位置との間で移動可能に配置されている。ロック部材180がロック位置に位置する状態で、ロック部材180が、巻取シャフト140の一端部のうち貫通孔271hからシャフト本体42側に突出した部分の回転を抑止する。また、ロック部材180がロック解除位置に位置する状態で、ロック部材180が巻取シャフト140の一端部の回転を許容する。
【0177】
<回転規制のための構成について>
ロック部材180が巻取シャフト140の回転を規制するための構成についてより具体的に説明する。
図13は軸受部材160を示す斜視図であり、
図14は
図13のXIV-XIV線断面図である。
図15は軸受部材160を示す斜視図であり、
図16は
図15のXVI-XVI線断面図である。
図13及び
図14はロック部材180がロック位置に位置する状態を示し、
図15及び
図16はロック部材180がロック解除位置に位置する状態を示している。
【0178】
図10から
図16に示すように、巻取シャフト140の端部に位置する中間胴部145cが、鍔部145bから貫通孔271h内を通って巻取シャフト140の長手方向中間側に延出している。中間胴部145cのうち貫通孔271hから巻取シャフト140の長手方向中間に向う部分、ここでは、中間胴部145cのうち鍔部145b寄りの部分が回転規制部147である。
【0179】
より具体的には、中間胴部145cのうち挿入部145a寄りの部分は、円をなす外周面に形成されている。中間胴部145cのうち鍔部145b寄りの部分に、その周方向において部分的に突出する一対の部分突部145c1が形成されている。当該部分突部145c1によって、非円形断面を呈する回転規制部147が形成されている。
【0180】
より具体的には、回転規制部147は、互いに平行でかつ反対側を向く第1面147f1及び第2面147f2を含む。本実施形態では、回転規制部147は、巻取シャフト140の軸方向に沿って見て、第1面147f1及び第2面147f2と、2つの弧状曲面147aとで囲まれている。
【0181】
第1面147f1及び第2面147f2は、回転規制部147の外周において互いに反対側に位置している。回転規制部147の周方向において、一方の弧状曲面147aは、第1面147f1及び第2面147f2の一端間に位置しており、他方の弧状曲面147aは、第1面147f1及び第2面147f2の他端間に位置している。
【0182】
2つの弧状曲面147aは、中間胴部145cの中心軸を曲率中心とする弧状曲面である。弧状曲面147aは、例えば、貫通孔271h内に配置可能で、かつ、貫通孔271hの縁に沿った形状であってもよい。2つの弧状曲面147aを挟込んでも、端末部材144を回転規制することは困難である。第1面147f1及び第2面147f2は、弧状曲面147aよりは平坦に近い面である。このため、一対の第1面147f1及び第2面147f2を挟込むことで、端末部材144を回転規制し易い。
【0183】
より具体的には、第1面147f1及び第2面147f2のそれぞれは、回転規制部147の周方向において、両端側の一対の平面と、当該一対の平面の間に位置する弧状曲面とを含む。第1面147f1の一対の平面は、上記一対の部分突部145c1の周方向端面によって形成される部分であり、同一平面上に位置している。同様に、第2面147f2の一対の平面は、上記一対の部分突部145c1の周方向端面によって形成される部分であり、同一平面上に位置している。第1面147f1の平面と第2面147f2の平面とは、互いに平行でかつ互いに逆側を向いている。
【0184】
一対の平面の間に位置する弧状曲面は、中間胴部145cの中心軸を曲率半径とする弧状曲面である。当該一対の平面の間に位置する弧状曲面は、弧状曲面147aよりも中間胴部145cの中心軸近くに位置し、中間胴部145cのうち挿入部145a寄りの部分の円状外周面と連続している。
【0185】
つまり、第1面147f1及び第2面147f2のそれぞれの平面を、部分突部145c1の周囲方向端面によって形成し、一対の平面の間の弧状曲面を、中間胴部145cのうち挿入部145a寄りの部分の円状外周面と連続する形状とする。これにより、中間胴部145cに、挿入部145a側から見て凹む部分を形成しなくても、回転規制のための第1面147f1及び第2面147f2が形成される。このため、端末部材144を金型成形し易い。
【0186】
上記のように、第1面147f1及び第2面147f2は、両外側から挟込むことで端末部材144の回転を抑制できる程度に平坦であればよく、平面である必要は無い。なお、第1面及び第2面は平面であってもよい。また、回転規制部は、角柱の外周面を有する形状に形成されてもよい。回転規制部内は中空であってもよいし、中が埋ったソリッドな部分であってもよい。
【0187】
上記回転規制部147が、巻取シャフト140の端部のうち貫通孔271hよりも巻取シャフト140の長手方向中間側に位置する。そして、ロック用側壁271のロック部材配置面271f側に位置するロック部材180によって、当該回転規制部147が回転規制される。
【0188】
ロック部材180は、ロック部材80と同様に金属又は樹脂によって形成される。ここで、ロック部材180は、金属によって形成されていることを前提として説明される。
【0189】
上記したように、ロック部材180は、ロック用側壁271に対してロック部材配置面271f側で移動可能に配置される。
【0190】
ロック部材180は、操作部181と、第1中間部182A及び第2中間部182Bと、第1折返し部83A及び第2折返し部83Bと、第1ロック部84A及び第2ロック部84Bとを含む。
【0191】
第1折返し部83A及び第2折返し部83B、さらに、第1ロック部84A及び第2ロック部84Bは、実施形態1で説明した構成と同じである。
【0192】
操作部181は、実施形態1で説明された操作部81に対応する部分であるが、下記の構成が追加されている。
【0193】
すなわち、操作部181は、操作部81と同様に、ロック部材180に対する操作を受付ける部分である。操作部181の延在方向中間部に、回転規制部147とは反対側に突出する操作突部181pが形成されている。操作突部181pは、例えば、操作部181をなす線状部分が、部分的にV字状に曲げられることにより形成される。操作部181のうち操作突部181pに連なる両端部分は、同一直線上に延在している。操作突部181pが、後述する第1受部278aと第2受部278bとの間で、回転規制部147とは反対側に突出できる。
【0194】
また、第1中間部182A及び第2中間部182Bは、実施形態で説明された第1中間部82A及び第2中間部82Bに対応する部分であるが、下記の構成が追加されている。
【0195】
すなわち、第1中間部182Aは、第1中間部82Aと同様に、操作部181と折返し部83Aとの間に介在する部分である。第1中間部182Aの延在方向中間部に、位置規制係止部182Apが形成されている。位置規制係止部182Apは、例えば、第1中間部182Aをなす線状部分が、部分的にV字状に曲げられることにより形成される。第1中間部182Aのうち位置規制係止部182Apに連なる両端部分は、同一直線上に延在している。位置規制係止部182Apは、回転規制部147とは反対側に突出するように曲って形成されている。ロック部材180の位置に応じて、位置規制係止部182Apが後述する位置規制部277に操作部181側からまたは操作部181とは反対側から係止できる。
【0196】
第2中間部182Bにも、同様に、位置規制係止部182Bpが形成されている。位置規制係止部182Ap、182Bpの一方または両方が省略されてもよい。
【0197】
第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間に、回転規制部147が配置される。第1ロック部84Aと第2ロック部84Bが回転規制部147を挟み込んだ状態で、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとが第1面147f1と第2面147f2とに押付けられることで、回転規制部147の回転が規制される。第1面147f1と第2面147f2とが弧状曲面を有していたとしても、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとが当該弧状曲面の外側の平面に接することで、回転規制部147の回転が規制される。
【0198】
本実施形態において、ロック位置は、回転規制部147を第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間に配置した位置である(
図13及び
図14参照)。ロック解除位置は、回転規制部147を、第1ロック部84Aと第2ロック部84Bとの間から外に配置した位置である(
図15及び
図16参照)。
【0199】
ロック用側壁271は、上記したように、シャフト側部材162における側壁であり、つまり、軸受部材160においてシャフト本体42側の側壁である。ロック用側壁271は、壁本体271Bと、間隔をあけて配置された第1保持部272Aと第2保持部272Bとを含む。壁本体271Bのうち巻取シャフト140の長手方向中間側を向く面がロック部材配置面271fである。
【0200】
第1保持部272Aと第2保持部272Bとは、第1保持部72Aと第2保持部72Bと同様に、貫通孔271hに対して間隔をあけた位置で対向するように形成される。貫通孔271hから巻取シャフト140の長手方向中間側に突出する回転規制部147が、第1保持部272Aと第2保持部272Bとの間に配置される。この状態で、第1保持部272Aと回転規制部147との間に第1ロック部84Aを配置可能な隙間が形成され、第2保持部272Bと回転規制部147との間に第2ロック部84Bを配置可能な隙間が形成される。
【0201】
第1面147f1及び第2面147f2が、第1保持部272A及び第2保持部272Bの内向き面のそれぞれに対向する状態で、第1面147f1と第1保持部272Aとの間には、第1ロック部84Aを挿入可能な隙間、例えば、第1ロック部84Aの径以上の隙間が形成される。同様に、第2面147f2と第2保持部272Bとの間には、第2ロック部84Bを挿入可能な隙間が形成される。
【0202】
具体的には、第1保持部272Aと第2保持部272Bとは、壁本体271Bのうち巻取シャフト140の長手方向中間を向くロック部材配置面271fから突出する部分である。第1保持部272Aと第2保持部272Bとは、貫通孔271hの外周側位置で互いに平行姿勢で延びている。
【0203】
また、ロック用側壁271は、ガイド部274を含む。ガイド部274は、壁本体271Bの外面から突出する部分であり、ガイド本体274aと、拡幅ガイド端部274bとを有する。
【0204】
ガイド部274は、ガイド部74に対応する部分である。ガイド本体274a及び拡幅ガイド端部274bは、それぞれガイド本体74a及び拡幅ガイド端部74bとはサイズは異なるが、同じ役割を果すことができる。
【0205】
また、ロック用側壁271は、弧状壁275を含む。弧状壁275は、回転規制部147に対してロック部材180の操作部181が配置される側に位置している。弧状壁275は、貫通孔271hの周縁外側に沿って延びている。弧状壁275は、第1保持部272Aと第2保持部272Bとのうち操作部181側の端部を繋ぐように延びていてもよい。回転規制部147が弧状壁275、第1保持部272A、第2保持部272B及びガイド部274によって囲まれることで、異物が回転規制部147に付着し難くなる。
【0206】
本実施形態において、ロック用側壁271は、壁本体271Bのロック部材配置面271fから離れた位置で、保持部272A、272B間の空間及びガイド部274の両外側空間を覆う規制壁276を有する。規制壁276は、ロック部材配置面271fに対してロック部84A、84Bを配置可能な隙間をあけた位置に配置されている。弧状壁275、規制壁276及びガイド部274から円筒部276Pが延出している。円筒部276Pは、中間胴部145cのうち鍔部145b側の部分を、間隔をあけて囲っている。
【0207】
また、ロック用側壁271は、第1中間部182A及び第2中間部182Bのそれぞれの移動経路の隣に位置する位置規制部277を含む。なお、位置規制部277は、第1中間部182Aまたは第2中間部182Bの移動経路の隣にのみ位置していてもよい。また、本実施形態では、位置規制部277は、第1中間部182A及び第2中間部182Bのそれぞれの移動経路の外側の隣に位置するが、位置規制部は、第1中間部又は第2中間部の移動経路の内側隣に位置してもよい。例えば、第1保持部または第2保持部の外向き部分が位置規制部とされてもよい。
【0208】
位置規制部277は、第1保持部272A(または第2保持部272B)から外側に離れて位置する。位置規制部277と、第1保持部272A(又は第2保持部272B)の間に、第1中間部182A(又は第2中間部182B)が通過可能でかつ第1中間部182A(又は第2中間部182B)を内側に弾性変位させることができる程度の隙間が形成されている。
【0209】
位置規制部277は、ロック部材180の移動方向において、回転規制部147及び第1保持部272A(又は第2保持部272B)と重なる位置に配置されている。
【0210】
ロック部材180がロック位置に位置する状態では、第1中間部182A(又は第2中間部182B)の位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が操作部181側から位置規制部277に接触して係止する。これにより、ロック部材180が操作部181とは反対側、すなわち、ロック解除位置に移動することが抑制されている。また、ロック部材180がロック解除位置に位置する状態では、第1中間部182A(又は第2中間部182B)の位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が操作部181とは反対側から位置規制部277に接触して係止する。これにより、ロック部材180が操作部181側、すなわち、ロック位置に移動することが抑制されている。
【0211】
また、ロック部材180をロック位置からロック解除位置に移動させる際には、操作部181を回転規制部147に向けて強く押すことによって、第1中間部182A(又は第2中間部182B)を第1折返し部83A(又は第2折返し部83B)側に移動させる。すると、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が位置規制部277に押し当てられる。これにより、第1中間部182A(又は第2中間部182B)が内側に弾性変位し、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が位置規制部277を越えることができるようになる。
【0212】
ロック部材180がさらにロック解除位置側に移動すると、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が位置規制部277を越える。すると、ロック部材180の弾性復元力によって、第1中間部182A(又は第2中間部182B)が位置規制部277側に変位し、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が折返し部83A、83B側から位置規制部277に係止する。これにより、ロック部材180がロック解除位置に保たれる。
【0213】
また、ロック部材180をロック解除位置からロック位置に移動させる際には、操作部181を回転規制部147から離れる方向に強く引っ張ると、上記と同様に、ロック部材180を弾性変形させつつ、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が位置規制部277を越えていくことができる。
【0214】
よって、ロック部材180は、通常状態では、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が位置規制部277に係止することで、ロック位置またはロック解除位置に保たれている。そして、位置規制係止部182Ap(又は位置規制係止部182Bp)が位置規制部277を越えていくことができる程度に操作部181に強く力を加えたときに、ロック部材180を移動させることができる。
【0215】
ロック用側壁271は、操作部181を受ける受部278を含む。
図17に主に操作部181及び受部278を示す底面図が示される。
図12から
図17に示されるように、受部278は、実施形態1における受部78と同様に、壁本体271Bのロック部材配置面271fから突出する部分である。受部278は、ロック部材180がロック解除位置に位置する状態で、操作部181の内側に位置して当該操作部181を受ける。また、ロック部材180がロック位置に位置する状態では、操作部181は、受部278から外側に離れた位置に配置される。
【0216】
本実施形態では、受部278は、操作部181の延在方向に沿って離れる第1受部278aと、第2受部278bとを含む。
【0217】
第1受部278aのうち回転規制部147とは反対側の部分に、操作部181を嵌込可能な第1受溝278agが形成されている。第2受部278bにも、同様に第2受溝278bgが形成されている。受溝278ag、278bgは、操作部181を配置できる程度の幅の溝状に形成されている。ロック部材180がロック解除位置に位置する状態で、操作部181が受溝278ag、278bgに嵌め込まれる。これにより、ロック部材180がロック解除位置からロック位置に移動することが抑制される。
【0218】
第1受部278a及び第2受部278bは、操作部181のうち操作突部181pの外側部分を受ける。このため、操作突部181pは、第1受部278aと第2受部278bとの間で回転規制部147とは反対側に突出する(
図16参照)。操作部181が第1受部278aと第2受部278bに受けられた状態で、操作突部181pの頂部は、第1受部278a及び第2受部278bの外側端部よりも回転規制部147から離れる側に位置していることが好ましい。これにより、操作突部181pを、第1受部278aと第2受部278bとの間で押込んだり、つまみ出したりし易い。
【0219】
第1受溝278agと第2受溝278bgとがロック部材配置面271fに対して直交する方向に互いにずれて位置する。例えば、第1受溝278agの幅方向中央の軸X1と第2受溝278bgの幅方向中央の軸X2とが、ロック部材配置面271fに対して直交する方向に差Dずれている。
【0220】
また、第1受溝278agが、第2受溝278bg寄りの位置から操作部181に係止する第1抜止め突部278apを有する。第2受溝278bgが、第1受溝278ag寄りの位置から操作部181に係止する第2抜止め突部278bpを有する。
【0221】
より具体的には、第1受溝278agのうちロック部材配置面271fから遠い側の面の外縁近くに第1抜止め突部278apが形成されている(
図13、
図15及び
図17参照)。第2受溝278bgのうちロック部材配置面271fに近い側の面の外縁近くに第2抜止め突部278bpが形成されている(
図13、
図15及び
図17参照)。
【0222】
そして、操作部181が受部278に受けられた状態で、第1受溝278ag内では、第1抜止め突部278apがロック部材配置面271fに対して遠い側から操作部181に係止し、第2受溝278bg内では、第2抜止め突部278bpがロック部材配置面271fに対して近い側から操作部181に係止する。
【0223】
通常状態では、第1受溝278agと第2受溝278bgとが互いにずれて位置しており、第1抜止め突部278ap及び第2抜止め突部278bpのそれぞれが、操作部181に対して強く係止し易い。そして、操作部181がロック部材配置面271fから離れる側に変位しようとすると、第1抜止め突部278apが操作部181に強く係止し、操作部181がロック部材配置面271fに近づく側に変位しようとすると、第2抜止め突部278bpが操作部181に強く係止する。このため、操作部181が受部278から脱し難い。
【0224】
なお、第1保持部272A、第2保持部272B、ガイド部274、規制壁276及び受部278等に関する構成は、上記実施形態1で説明した第1保持部72A、第2保持部72B、ガイド部74、規制壁76及び受部78に関して説明された各構成が採用され得る。
【0225】
ロック部材180の組付手順について説明する。
【0226】
図16の2点鎖線に示すロック部材180のように、ロック部材180がロック部材配置面271fに沿って配置された状態で、ロック部84A、84Bの先端がガイド部274の先端の両外側に配置されると共に、操作部181が弧状壁275と受部278との間に配置される。
【0227】
この状態で、操作部181を操作することで、ロック部84A、84Bが、ロック部材配置面271fと規制壁276との間に挿入されると共に、ガイド部274の両外側に向けて押込まれる。
【0228】
ロック部84A、84Bが、拡幅ガイド端部274bに接触して押し広げられた後、ガイド本体274aの両外面側に配置される(
図16において実線で示すロック部材180参照)。
【0229】
操作部181がさらに回転規制部147から離れる方向に移動するように操作部181が操作される。すると、実施形態1と同様に、第1ロック部84Aが回転規制部147と第1保持部272Aとの間に隙間に挿入され、第2ロック部84Bが回転規制部147と第2保持部272Bとの間に挿入される。
【0230】
付勢部材38の付勢力によって、回転規制部147が回転しようとするため、第1面147f1及び第2面147f2は、ロック部84A、84Bを保持部272A、272Bに向けて押す。保持部272A、272Bが互いに離れる方向へのロック部84A、84Bの移動を規制することによって、第1面147f1及び第2面147f2の傾きが抑制され、回転規制部147の回転が規制される(
図14参照)。
【0231】
この状態で、位置規制係止部182Ap、182Bpが位置規制部277に操作部181側から係止することで、ロック部材180がロック位置に保たれる。
【0232】
実施形態1で説明したように、巻取シャフト140を巻取方向に巻いておいた後、ロック部材180によって回転規制部147の回転規制を行うことで、ロック部材180によって、予巻き状態を保持することができる。
【0233】
巻取シャフト140が回転規制された状態で、巻取装置120が自動車10に組付けられる。この後、巻取シャフト140の回転規制が解除される。
【0234】
すなわち、上記のように、操作部181を回転規制部147に向けて強く押す。すると、位置規制係止部182Ap、182Bpが位置規制部277に対する係止を解除し、ロック部84A、84Bが、回転規制部147と保持部272A、272Bとの間から脱して、ガイド部274の両外側に移動する(
図16)。これにより、ロック部材180がロック解除位置に位置する状態となる。この状態では、操作部181が受部278によって受けられる。また、位置規制係止部182Ap、182Bpが位置規制部277に操作部181とは反対側から係止する。これにより、ロック部材180がロック位置に保たれる。
【0235】
ロック部材180がロック解除位置に位置する状態では、ロック部84A、84Bによる回転規制部147の回転規制状態が解除されるので、巻取シャフト140は、シート状部材22を引出したり巻取ったりできるようにハウジング150内で回転できるようになる。
【0236】
メンテナンス上の都合等により、巻取装置120が自動車10から取外される際には、ロック部材180がロック解除位置からロック位置に移動することによって、巻取シャフト140が回転規制状態に保たれる。
【0237】
<効果等>
以上のように構成されたシート状部材の巻取装置120によると、ロック部材180をロック部材配置面271f側に配置することによる作用効果を除き、上記実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0238】
また、この巻取装置120によると、ロック部材配置面271fは、巻取シャフト140の長手方向中間を向く側面であり、回転規制部147は、巻取シャフト140の端部のうち貫通孔271hよりも巻取シャフト140の長手方向中間側に位置する部分であるため、ハウジング150の内側で巻取シャフト140を回転止めでき、小型化を実現し易い。
【0239】
また、ハウジング150の外側に巻取シャフトの端部を突出させる貫通孔を形成しなくてもよい。このため、軸受部材160内の循環用のオイルが外に漏れたり、外部の異物が軸受部材160内に侵入したりし難い。
【0240】
また、操作部181は、第1受部278aと第2受部278bとの間で回転規制部147とは反対側に突出する操作突部181pを有する。このため、例えば、指で操作突部181pを押したり引っ張ったりする際に、指が第1受部278a及び第2受部278bと干渉し難く、操作部181を、第1受部278aと第2受部278bとに向けて押し易く、また、第1受部278aと第2受部278bとから離れる方向に操作し易い。
【0241】
また、第1受溝278agと第2受溝278bgとがロック部材配置面271fに対して直交する方向に互いにずれており、第1受溝278agと第2受溝278bgとが、互いに逆側から操作部181に係止する第1抜止め突部278ap又は第2抜止め突部278bpを有する。このため、通常状態で、第1抜止め突部278ap及び第2抜止め突部278bpが操作部181にしっかりと係止し易い。このため、ロック部材180がロック解除位置により確実に保たれる。
【0242】
また、ロック部材180の位置規制係止部182Ap、182Bpを操作部181側から位置規制部277に係止させることで、ロック部材180がロック位置に保たれる。また、位置規制係止部182Ap、182Bpを操作部181とは反対側から位置規制部277に係止させることで、ロック部材180がロック解除位置に保たれる。比較的簡易な構成で、ロック部材180を、ロック位置及びロック解除位置に保ち易い。
【0243】
[付記]
上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【0244】
本実施形態は下記の各態様を開示する。
【0245】
第1の態様は、シート状部材と、前記シート状部材の一端部が取付けられた巻取シャフトと、ロック部材配置面と貫通孔とを有するロック用側壁を含み、前記巻取シャフトの端部を前記貫通孔に貫通させた状態で、前記巻取シャフトを回転可能に支持するハウジングと、前記シート状部材を巻取る方向に前記巻取シャフトを付勢する付勢部材と、前記ロック用側壁の前記ロック部材配置面側で、前記巻取シャフトの端部の回転を抑止するロック位置と、前記巻取シャフトの端部の回転を許容するロック解除位置との間で移動可能なロック部材と、を備え、前記巻取シャフトの端部は、前記ロック部材により回転規制される回転規制部を含み、前記回転規制部は、互いに反対側を向く第1面と第2面とを有し、前記ロック部材は、操作部と、前記操作部から間隔をあけて同じ方向に延びる第1中間部及び第2中間部と、前記第1中間部の先端から前記第2中間部側を通って前記第1中間部の基端側に折返された第1折返し部と、前記第2中間部の先端から前記第1中間部側を通って前記第2中間部の基端側に折返された第2折返し部と、前記第1折返し部の先端から前記ロック部材の移動方向に沿って延びる第1ロック部と、前記第2折返し部の先端から前記移動方向に沿って延びる第2ロック部とを含み、前記ロック用側壁は、間隔をあけて配置された第1保持部と第2保持部とを含み、前記第1保持部と前記第2保持部との間に前記回転規制部が配置され、前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で、前記第1ロック部が前記第1面と前記第1保持部との間に配置されると共に、前記第2ロック部が前記第2面と前記第2保持部との間に配置され、かつ、前記付勢部材による前記巻取シャフトの回転付勢力によって、前記第1面と前記第2面とが前記第1ロック部と前記第2ロック部とを互いに離れる方向に押すと共に、前記第1保持部と前記第2保持部とが、互いに離れる方向への前記第1ロック部と前記第2ロック部との移動を規制して、前記回転規制部の回転を規制する状態となる、シート状部材の巻取装置である。
【0246】
このシート状部材の巻取装置によると、ロック部材がロック位置に位置する状態で、第1保持部と第2保持部とが、互いに離れる方向への第1ロック部と第2ロック部との移動を規制することで、回転規制部の回転を規制する。この状態では、第1ロック部が第1面と第1保持部とで挟まれると共に、第2ロック部が第2面と第2保持部とで挟まれることによって、ロック部材がロック位置に保たれる。
【0247】
この状態では、付勢部材による回転付勢力によって、第1面が第1ロック部を第1保持部に向けて押すと共に、第2面が第2ロック部を第2保持部に向けて押した状態となっているため、ロック部材のがたつきが抑制されている。
【0248】
また、巻取装置のロックを解除する際には、第1面と第1保持部とに対する第1ロック部の摩擦力、及び、第2面と第2保持部とに対する第2ロック部の摩擦力に抗して、ロック部材をロック位置からロック解除位置に向けて押せばよい。よって、巻取装置のロック解除操作を容易に行える。
【0249】
第2の態様は、第1の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック部材配置面は、前記巻取シャフトの長手方向中間を向く側面であり、前記回転規制部は、前記巻取シャフトの端部のうち前記貫通孔よりも前記巻取シャフトの長手方向中間側に位置する部分とされている。
【0250】
これにより、ハウジングの内側で巻取シャフトを回転止めでき、小型化を実現し易い。
【0251】
第3の態様は、第1の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック部材配置面は、前記巻取シャフトの長手方向外側を向く外側面であり、前記回転規制部は、前記貫通孔から前記巻取シャフトの長手方向外側に突出する突出端部とされている。
【0252】
これにより、ハウジングの外側で巻取シャフトを回転止めでき、ロック部材を操作し易い。
【0253】
第4の態様は、第1から第3のいずれか1つの態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で、前記第1保持部と前記第2保持部とのそれぞれが、前記第1折返し部及び前記第2折返し部に接触可能な位置に配置されているものである。
【0254】
これにより、ロック部材がロック位置に位置する状態で、第1保持部と第2保持部とのそれぞれが、第1折返し部及び第2折返し部に接触し得る。このため、ロック部材をロック位置に移動させる際に、第1保持部と第2保持部とのそれぞれに、第1折返し部及び第2折返し部を接触させるまで、ロック部材を移動させればよい。
【0255】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック用側壁は、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置する状態で、前記第1中間部と前記第2中間部との間で前記回転規制部側から前記操作部を受ける受部を含むものである。
【0256】
この場合、受部が操作部を受けることによって、ロック部材をロック解除位置に保ち易い。
【0257】
第6の態様は、第5の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記受部は、第1受部と、前記第1受部に対して離れている第2受部とを有し、前記操作部は、前記第1受部と前記第2受部との間で前記回転規制部とは反対側に突出する操作突部を有する。
【0258】
この場合、操作部を、第1受部と第2受部に向けて押し易く、また、第1受部と第2受部とから離れる方向に操作し易い。
【0259】
第7の態様は、第5または第6の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記受部は、第1受溝を有する第1受部と、第2受溝を有する第2受部とを有し、前記第1受溝と前記第2受溝とが前記ロック部材配置面に対して直交する方向に互いにずれて位置し、前記第1受溝が、前記第2受溝寄りの位置から前記操作部に係止する第1抜止め突部を有し、前記第2受溝が、前記第1受溝寄りの位置から前記操作部に係止する第2抜止め突部を有する。
【0260】
この場合、操作部が受部から外れ難い。
【0261】
第8の態様は、第1から第7のいずれか1つの態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック用側壁は、前記回転規制部に対して、前記ロック解除位置に位置する前記ロック部材の前記第1ロック部と前記第2ロック部との隙間側に位置し、前記第1面と前記第2面との距離以上の幅に形成されたガイド本体を有するガイド部を含むものである。
【0262】
この場合、ロック部材をロック位置に向けて移動させると、第1ロック部と第2ロック部とがガイド部を挟んだ状態となり、第1ロック部と第2ロック部との間に第1面と第2面との距離以上の幅が設けられる。このため、第1ロック部と第2ロック部とが、回転規制部に干渉し難くなり、回転規制部の両外側に向けて円滑に案内される。これにより、巻取装置のロック作業が容易となる。
【0263】
第9の態様は、第8の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック部材の初期状態における前記第1ロック部と前記第2ロック部との間隔は、前記ガイド本体の幅よりも小さいものである。
【0264】
この場合、ロック部材がロック解除位置に位置する状態で、第1ロック部と第2ロック部とがガイド部を挟み込んだ状態とすることができる。これにより、ロック解除状態におけるロック部材のがたつきが抑制される。また、ガイド部に対する第1ロック部と第2ロック部との摩擦力によって、ロック部材をロック解除位置に保ち易い。
【0265】
第10の態様は、第8又は第9の態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ガイド部は、前記ガイド本体に対して前記回転規制部とは反対側に位置し、前記回転規制部に向うに連れて、前記ロック部材の初期状態における前記第1ロック部と前記第2ロック部との間隔よりも小さい幅から前記ガイド本体の幅となるまで徐々に幅が大きくなる拡幅ガイド端部を含むものである。
【0266】
この場合、第1ロック部及び第2ロック部を、ガイド部の両側に配置し易い。よって、ロック部材を、ロック用側壁に組付け易い。
【0267】
第11の態様は、第1から第10のいずれか1つの態様に係るシート状部材の巻取装置であって、前記ロック用側壁は、前記第1中間部及び前記第2中間部の少なくとも一方の移動経路の隣に位置する位置規制部をさらに含み、前記第1中間部及び前記第2中間部の少なくとも一方は、前記ロック部材が前記ロック位置に位置する状態で前記位置規制部に対して前記操作部側から係止し、前記ロック部材が前記ロック解除位置に位置する状態で前記位置規制部に対して前記操作部とは反対側から係止する位置規制係止部を含む。
【0268】
これにより、位置規制係止部を位置規制部に対して操作部側から係止させることでロック部材をロック位置に保つことができる。また、位置規制係止部を位置規制部に対して操作部とは反対側から係止させることで、ロック部材をロック解除位置に保つことができる。これにより、比較的簡易な構成で、ロック部材を、ロック位置及びロック解除位置に保ち易い。
【0269】
以上のように、この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0270】
20、120 巻取装置
22 シート状部材
38 付勢部材
40、140 巻取シャフト
47 回転規制突部
47f1、147f1 第1面
47f2、147f2 第2面
50、150 ハウジング
71、271 ロック用側壁
71h、271h 貫通孔
72A、272A 第1保持部
72B、272B 第2保持部
74、274 ガイド部
74a、274a ガイド本体
74b、274b 拡幅ガイド端部
78、278 受部
80、180 ロック部材
81、181 操作部
82A、182A 第1中間部
82B、182B 第2中間部
83A 第1折返し部
83B 第2折返し部
84A 第1ロック部
84B 第2ロック部
147 回転規制部
181p 操作突部
182Ap 位置規制係止部
182Bp 位置規制係止部
271f ロック部材配置面
277 位置規制部
278a 第1受部
278ag 第1受溝
278ap 第1抜止め突部
278b 第2受部
278bg 第2受溝
278bp 第2抜止め突部