(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152595
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/44 20060101AFI20241018BHJP
B65D 5/12 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65D5/44 S
B65D5/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024001259
(22)【出願日】2024-01-09
(31)【優先権主張番号】P 2023066362
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】脇本 篤宏
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060BA24
3E060BC02
3E060CC61
3E060CG05
3E060CG12
3E060CG24
3E060DA13
3E060DA14
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】輸送効率や払い出し効率を向上可能な包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱を提供する。
【解決手段】包装用止め具は、ベース部材と、キー部材とを備える。ベース部材は、二以上の包装材に形成された貫通穴に挿入される第1筒状部と、第1筒状部の一端側の第1開口縁に設けられた鍔部と、第1筒状部の対向する内壁面に連結され、第1筒状部の他端側の第2開口縁方向に屈曲する一対のフック部材と、を有する。キー部材は、第1筒状部内に第1開口縁から挿抜可能な第2筒状部を有する。一対のフック部材は、外力を加えない状態で、先端に向かって互いに近づくように断面視くさび状に配置されている。第1筒状部の側面には、第1開口縁から第2開口縁に向かって内側に傾斜する勾配が設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴が形成された二以上の包装材の前記貫通穴を重ね合わせた状態で前記貫通穴に挿入される第1筒状部と、
前記第1筒状部の一端側の第1開口縁に設けられた鍔部と、
前記第1筒状部の対向する内壁面に第1ヒンジ部を介してそれぞれ連結され、前記第1ヒンジ部を支軸として前記第1筒状部の他端側の第2開口縁の外側に屈曲し、前記鍔部と対向する一対のフック部材と、
を有するベース部材と、
前記ベース部材の前記第1筒状部内に前記第1開口縁から挿抜可能な第2筒状部を有し、前記第1ヒンジ部と直交する第2ヒンジ部を介して前記鍔部に連結されるキー部材と、
を備え、
前記第1筒状部を前記第2開口縁側から前記貫通孔に挿通し、前記第2筒状部を前記第1筒状部内に挿入することにより、前記フック部材が前記第1ヒンジ部を支軸として前記第1筒状部の前記第2開口縁側方向に回動して前記第2開口縁から外側に突出し、前記鍔部と前記フック部材によって前記二以上の包装材が挟持される包装用止め具において、
前記一対のフック部材は、外力を加えない状態で、先端に向かって互いに近づくように断面視くさび状に配置されており、
前記第1筒状部の側面には、前記第1開口縁から前記第2開口縁に向かって内側に傾斜する勾配が設けられていることを特徴とする包装用止め具。
【請求項2】
前記勾配は、5°~15°であることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項3】
前記第1ヒンジ部の近傍には、前記包装用止め具同士を重ね合わせたとき、上側の前記包装用止め具の前記第2開口縁が接触する支持リブが形成されており、
上側の前記包装用止め具の前記第2開口縁が下側の前記包装用止め具の前記支持リブに接触したとき、上側の前記第1筒状部の外側面と下側の前記第1筒状部の内側面、および上側の前記フック部材と下側の前記フック部材とが互いに離間した状態で保持されることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項4】
前記支持リブは、前記第1ヒンジ部の延在方向に所定の間隔を隔てて2つ以上形成されることを特徴とする請求項3に記載の包装用止め具。
【請求項5】
前記鍔部の前記第1ヒンジ部と平行な二辺には、パーツフィーダーのピンが差し込まれる一対のピン穴が形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項6】
前記キー部材は、前記第2筒状部を前記第1筒状部内に挿入した状態でロックする係合部を有し、
前記係合部は、弾性変形可能な側面視U字状の支持部と、前記支持部に形成され、前記第1筒状部の内側に形成された被係合部に係合するロック爪と、を有することを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項7】
前記第2筒状部は、前記第1筒状部への挿入方向に対し上流側の第3開口縁と、前記挿入方向に対し下流側の第4開口縁と、を有し、
前記第2筒状部には、前記第2ヒンジ部側から前記キー部材の回動端側に向かうにつれて、前記第3開口縁から前記第4開口縁に近づく方向に傾斜して前記第4開口縁に至る傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項8】
前記第2筒状部の外側面には規制凸部が形成されており、
前記第1筒状部には、前記第2筒状部が所定位置まで挿入されたとき前記規制凸部と当接する規制面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項9】
前記規制面は、前記第1ヒンジ部の上面に形成されることを特徴とする請求項8に記載の包装用止め具。
【請求項10】
前記一対のフック部材には、それぞれ前記第1筒状部内に挿入された前記第2筒状部の外側面に当接する当接リブが形成されることを特徴とする請求項1に記載の包装用止め具。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれかに記載の包装用止め具を用いて連結された包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば段ボールシートのような包装材に形成された穴を重ね合わせて挿入することにより、2つ以上に分かれている包装材を連結する包装用止め具、およびおよびそれを用いて連結された包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下箱に製品を載置し、上箱を被せて固定する、いわゆるC式包装箱が、電子機器等の大型で重量の重い製品を梱包する場合に広く用いられている。
【0003】
このようなC式包装箱を開梱する際に、下箱と上箱とを連結した状態から容易に取り外し可能な包装用止め具が考案されている。例えば特許文献1には、筒状部と、筒状部の一端に設けた鍔部と、筒状部の相対向する内壁にヒンジ部を介して連結された一対のフック部材とを有するベース部材(ベース体)と、ベース部材の筒状部内に挿入可能な押し開き部を有したキー部材(キー体)とを有する包装用止め具が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載の止め具は、ベース部材の筒状部にキー部材を押し込むことによりフック部材が回動し、フック部材とベース部材の鍔部との間に2枚の包装材が挟持されて連結される。そして、キー部材の上面の開口部に指を挿入し、傾斜板に案内されてキー部材の端部に指を掛け、上側に引き上げることにより包装材の連結が解除される。
【0005】
また特許文献2には、フック部材の押し開き部との当接面に係合突起が形成され、押し開き部のフック部材との当接面に係合突起と係合可能なスリットが形成された包装用止め具が開示されている。特許文献2に記載の包装用止め具は、押し開き部が筒状部内に完全に挿入された状態で係合突起がスリットに係合することにより、キー部材とベース部材との係合状態を維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63-67246号公報
【特許文献2】特開2015-42560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような包装用止め具は、袋に多数収容された状態で部品サプライヤーから梱包工場へ納品されていた。そのため、包装用止め具が嵩高くなり、輸送効率が悪いという問題点があった。また、梱包時に包装用止め具の自動組立設備(パーツフィーダー)による払い出しができず、組み立て作業が煩雑になるという問題点があった。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑み、輸送効率や払い出し効率を向上可能な包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、ベース部材と、キー部材と、を備えた包装用止め具である。ベース部材は、貫通穴が形成された二以上の包装材の貫通穴を重ね合わせた状態で貫通穴に挿入される第1筒状部と、第1筒状部の一端側の第1開口縁に設けられた鍔部と、第1筒状部の対向する内壁面に第1ヒンジ部を介してそれぞれ連結され、第1ヒンジ部を支軸として第1筒状部の他端側の第2開口縁の外側に屈曲し、鍔部と対向する一対のフック部材と、を有する。キー部材は、ベース部材の第1筒状部内に第1開口縁から挿抜可能な第2筒状部を有し、第1ヒンジ部と直交する第2ヒンジ部を介して鍔部に連結される。第1筒状部を第2開口縁側から貫通孔に挿通し、第2筒状部を第1筒状部内に挿入することにより、フック部材が第1ヒンジ部を支軸として第1筒状部の第2開口縁側方向に回動して第2開口縁から外側に突出し、鍔部とフック部材によって二以上の包装材が挟持される。一対のフック部材は、外力を加えない状態で、先端に向かって互いに近づくように断面視くさび状に配置されている。第1筒状部の側面には、第1開口縁から第2開口縁に向かって内側に傾斜する勾配が設けられている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の構成によれば、包装用止め具同士を重ね合わせる際に、上側の包装用止め具のフック部材の先端が下側の包装用止め具のフック部材に沿って案内され、上側の包装用止め具の第2開口縁を、下側の包装用止め具の第1開口縁に円滑に挿入することができる。これにより、包装用止め具同士を多数重ね合わせた状態で保持することができる。従って、輸送スペースを削減することができ、輸送効率が向上するとともに、輸送時に包装用止め具同士が絡み合ったり、破損したりするおそれもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の包装用止め具10が取り付けられる包装箱1の構成例を示す分解斜視図
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装用止め具10の使用前の状態を鍔部17側から見た斜視図
【
図3】第1実施形態の包装用止め具10の使用前の状態を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面図
【
図4】第1実施形態の包装用止め具10のベース部材14を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図
【
図5】キー部材15が第1筒状部16の内部に挿入された第1実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た平面図
【
図6】キー部材15が第1筒状部16の内部に挿入された第1実施形態の包装用止め具10をフック部材19a、19b側から見た斜視図
【
図7】ベース部材14にキー部材15が挿入され、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを挟持した第1実施形態の包装用止め具10を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面図
【
図8】第1実施形態の包装用止め具10を2つ重ね合わせた状態を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図
【
図9】第1実施形態の包装用止め具10を4つ重ね合わせた状態を示す斜視図
【
図10】第1実施形態の包装用止め具10を多数重ね合わせた止め具束101を支持台50上に載置した状態を示す斜視図
【
図11】仕切り板51で区画された複数の支持台50に、それぞれ止め具束101を載置した状態を示す斜視図
【
図12】支持台50上に載置した止め具束101を輸送用コンテナ100に収納した状態を示す斜視図
【
図13】止め具束101の最上位にある包装用止め具10のピン穴17aにパーツフィーダー70のピン71を差し込んでピックアップする様子を示す斜視図
【
図14】本発明の第2実施形態に係る包装用止め具10の使用前の状態を鍔部17側から見た斜視図
【
図15】キー部材15が第1筒状部16の内部に挿入される直前の第2実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た斜視図
【
図16】キー部材15が第1筒状部16の内部に挿入された第2実施形態の包装用止め具10を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の包装用止め具10が取り付けられる包装箱1の構成例を示す斜視図である。包装箱1は、トレイ付きパレット2と、上箱3と、トレイ付きパレット2上に配置される緩衝材4とで構成されている。
【0013】
トレイ付きパレット2は、被梱包物である製品(図示せず)が載置される底面5aおよび底面5aの周縁に立設された側壁5bから成るトレイ5と、トレイ5の下面に固定されるパレット6とから成り、緩衝材4は底面5aの四隅に側壁5bとの間に所定の隙間を隔てて配置されている。トレイ5の各側壁5bの中央部には長円形状の貫通穴8aが形成されている。
【0014】
上箱3は、製品の側面および上面を覆う底面が開口した角筒状である。上箱3の各側面の下部には、トレイ付きパレット2の貫通穴8aと重なる位置に、貫通穴8bが形成されている。貫通穴8a、8bを重ねた状態で包装用止め具10(
図2参照)を差し込むことにより、トレイ付きパレット2と上箱3とを一体に連結する。
【0015】
緩衝材4は、段ボール製、或いは発泡スチロール製であって製品を外部衝撃から保護する。緩衝材4には、製品の形状に合わせて製品載置面4aが形成されている。緩衝材4の下面には、底面5a上に設けられた切り起こし(図示せず)が差し込まれており、各緩衝材4が所定位置に位置決めされ、合わせて水平方向のずれが生じないようになっている。なお、接着等の他の方法により緩衝材4を底面5a上に固定してもよい。
【0016】
パレット6は、例えば段ボールを折り曲げて形成した複数の支柱部6aと、各支柱部6aの上下面に固定される天板(図示せず)および底板6bとから成り、各支柱部6aの間には、フォークリフトやハンドパレット(パレット運搬用台車)のアームを挿入するアーム挿入穴9が形成されている。
【0017】
次に、
図1に示した包装箱1を用いて製品を梱包する手順について説明する。先ず、トレイ付きパレット2の底面5a上に配置された緩衝材4の製品載置面4aに製品を載置する。次に、必要に応じて製品の上面、および側面にも緩衝材を配置し、上箱3を被せた後、トレイ付きパレット2の各側壁5bを起立させる。最後に、側壁5bの貫通穴8aと、上箱3の貫通穴8bを重ねた状態で包装用止め具10を差し込むことにより、トレイ付きパレット2と上箱3とを一体に連結する。
【0018】
図2は、本発明の第1実施形態に係る包装用止め具10の使用前の状態を鍔部17側(包装箱1の外側)から見た斜視図である。
図3は、第1実施形態の包装用止め具10の使用前の状態を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面図である。
図4は、第1実施形態の包装用止め具10のベース部材14を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図(
図2のAA′矢視断面図)である。
【0019】
図2~
図4に示すように、包装用止め具10は、ベース部材14と、連結片23によりベース部材14に連結されるキー部材15とで構成される。ベース部材14は、第1筒状部16と、第1筒状部16の一端側の第1開口縁16aに設けられた鍔部17と、第1筒状部16の相対向する内面に第1ヒンジ部18a、18bを介して回動可能に連結された一対のフック部材19a、19bを有している。
【0020】
鍔部17には、ベース部材14にキー部材15を挿入した際にキー部材15の連結片23が納まる凹部26が設けられている。鍔部17には、第1ヒンジ部18a、18bと平行な二辺に一対のピン穴17aが形成されている。ピン穴17aは、鍔部17の端縁に開口する半円形である。
【0021】
図4に示すように、フック部材19a、19bは、それぞれ第1ヒンジ部18a、18bを支軸として第1筒状部16の他端側の第2開口縁16bの外側に断面視L字形状に屈曲しており、先端部が第1筒状部16から突出している。第1ヒンジ部18a、18bの近傍には支持リブ35が形成されている。支持リブ35は、第1ヒンジ部18a、18bの延在方向(
図4の紙面と垂直な方向)に所定の間隔を隔てて一対ずつ形成されている。
【0022】
キー部材15は、第1筒状部16の内寸とほぼ同じ外寸を有する第2筒状部25を有している。第2ヒンジ部24に沿って連結片23を折り曲げることで、第2筒状部25をベース部材14の第1筒状部16内に挿入可能である。キー部材15の上面には第1挿入部27(
図5参照)が穿設され、第1挿入部27の底面には断面円弧状の傾斜面28が設けられている。
【0023】
キー部材15の第2ヒンジ部24と反対側の端縁には係合部30が設けられている。係合部30は、支持部31およびロック爪32を有する。支持部31は、第2筒状部25の一端側(挿入方向上流側)の第3開口縁25aを基端部として他端側の第4開口縁25bに向けて挿入方向(
図2の上方向)に延在し、さらに先端部が基端部側(
図2の下方向)に湾曲する側面視U字状に形成されている。
【0024】
ロック爪32は、支持部31の先端部近傍において、支持部31の延在方向と直交する第2ヒンジ部24の支軸方向(
図3の左右方向)の両端部に一対形成されている。第2筒状部25を第1筒状部16の内部に挿入したとき、ロック爪32がベース部材14の第1筒状部16の内壁面に形成された被係合部40(
図5参照)に係合する。これにより、キー部材15は第2筒状部25がベース部材14の第1筒状部16内へ挿入された状態でロックされる。
【0025】
以上のように構成された、第1実施形態の包装用止め具10を用いて包装箱1を連結する際の動作について説明する。先ず、トレイ付きパレット2の側壁5bの貫通穴8aと上箱3の貫通穴8b(いずれも
図1参照)とを重ねた状態で、側壁5bの外側から貫通穴8a、8bに包装用止め具10のベース部14を第1筒状部16の第2開口縁16b側から差し込む。
【0026】
次に、
図2の状態から、第2ヒンジ部24に沿ってキー部材15を回動させてベース部材14側へ折り返すことにより、第2筒状部25がフック部材19a、19bに当接する。そして、第2筒状部25を第1開口縁16a側から第1筒状部16の内部に挿入する。これにより、フック部材19a、19bが第2筒状部25によって押圧され、フック部材19a、19bは、それぞれ第1ヒンジ部18a、18bを回動軸として第1筒状部16の外側(
図4の矢印方向)に回動する。
【0027】
図5は、ベース部14にキー部材15が挿入された第1実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た平面図である。
図6は、ベース部14にキー部材15が挿入された第1実施形態の包装用止め具10をフック部材19a、19b側から見た斜視図である。
図7は、ベース部14にキー部材15が挿入され、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを挟持した第1実施形態の包装用止め具10を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向(
図5の左方向)から見た側面図である。
【0028】
キー部材15(第2筒状部25)が完全にベース部14(第1筒状部16)の内部に挿入された状態では、第2筒状部25によって押圧されたフック部材19a、19bの先端が第1筒状部16から鍔部17と略平行に突出する。このとき、
図7に示すように、トレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とが鍔部17とフック部材19a、19bによって挟持される。
【0029】
図7のようにトレイ付きパレット2の側壁5bと上箱3とを連結した状態で、フック部材19a、19bを内側に回動させようとする外力が加えられた場合、或いは、外力が加わらない場合であっても、第1ヒンジ部18a、18bの復元力によってフック部材19a、19bを内側に回動させようとする力が作用するため、第2筒状部25がフック部材19a、19bによって押し戻される。そのため、キー部材15とベース部材14との係合が外れてしまうおそれがある。
【0030】
そこで、キー部材15に設けられた係合部30とベース部材14に設けられた被係合部40とを用いてキー部材15とベース部材14との係合状態を維持する。第2ヒンジ部24に沿ってキー部材15を回動させて第2筒状部25を第1筒状部16に挿入していくと、ロック爪32が被係合部40に乗り上げる。これにより、支持部31はロック爪32が被係合部40から離間する方向に弾性変形する。
【0031】
第2筒状部25に押圧されてフック部材19a、19bが完全に回動したとき、ロック爪32が被係合部40を乗り越え、弾性変形していた支持部31が復元力によってロック爪32が被係合部40に近づく方向に変形する。これにより、
図5に示すようにロック爪32が被係合部40の下部に係合するため、キー部材15とベース部材14との係合状態を強固に維持することができる。
【0032】
包装用止め具10を取り外す際は、支持部31をロック爪32が被係合部40から離間する方向に弾性変形させてロック爪32と被係合部40との係合を解除する。これにより、トレイ付きパレット2と上箱3とが分離可能となる。
【0033】
図8は、第1実施形態の包装用止め具10を2つ重ね合わせた状態を第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図である。
図8に示すように、包装用止め具10を重ね合わせると、下側の包装用止め具10のフック部材19a、19bの間に上側の包装用止め具10のフック部材19a、19bの先端が入り込む。これにより、重ね合わされた包装用止め具10のずれが規制される。
【0034】
このとき、対向するフック部材19a、19bは、外力を加えない状態で、先端に向かって互いに近づくように断面視くさび状に配置される。そのため、上側の包装用止め具10のフック部材19a、19bの先端が下側の包装用止め具10のフック部材19a、19bに沿って案内され、包装用止め具10同士を容易に重ね合わせることができる。
【0035】
また、包装用止め具10の第1筒状部16の側面には、第1開口縁16aから第2開口縁16bに向かって内側に傾斜する勾配θ(本実施形態では10°)が設けられている。即ち、第2開口縁16bの外径が第1開口縁16aに比べて小さくなっている。そのため、包装用止め具10同士を重ね合わせる際に、上側の包装用止め具10の第2開口縁16b(下端部)を、下側の包装用止め具10の第1開口縁16aに円滑に挿入することができる。
【0036】
なお、勾配θは10°に限定されないが、θが小さすぎると包装用止め具10同士の重ね合わせが困難となる。一方、θが大きすぎると包装用止め具10を重ね合わせたときの姿勢が不安定となる。そのため、θは5°~15°程度が好ましい。
【0037】
さらに、包装用止め具10を重ね合わせたとき、上側の包装用止め具10の第2開口縁16bは下側の包装用止め具10の支持リブ35に接触する。このとき、上側の第1筒状部16の外側面と下側の第1筒状部16の内側面、および上側のフック部材19a、19bと下側のフック部材19a、19bとが互いに離間した状態で保持される。従って、包装用止め具10の成形時の反り等による寸法不良や温度変化による収縮等により、包装用止め具10同士が密着して外れなくなる不具合を防止することができる。
【0038】
図9は、第1実施形態の包装用止め具10を4つ重ね合わせた状態を示す斜視図である。
図9に示すように、上側の包装用止め具10は下側の包装用止め具10に対して180°回転させて重ね合わせる。これにより、ベース部材14からキー部材15が互い違いに突出するため、包装用止め具10を重ね合わせる際に、上下に隣接するキー部材15同士が干渉しない。
【0039】
次に、第1実施形態の包装用止め具10の輸送形態について説明する。
図10は、第1実施形態の包装用止め具10を多数重ね合わせた止め具束101を支持台50上に載置した状態を示す斜視図である。
図11は、仕切り板51で区画された複数の支持台50に、それぞれ止め具束101を載置した状態を示す斜視図である。支持台50上に載置した止め具束101を輸送用コンテナ100に収納した状態を示す斜視図である。
【0040】
図10~
図12に示すように、包装用止め具10を多数重ね合わせた止め具束101を支持台50に載置して輸送用コンテナ200に収納することで、袋にガサ入れする場合に比べて包装用止め具10の輸送スペースをコンパクト化することができる。また、輸送時の振動や衝撃によって包装用止め具10同士が絡み合ったり、破損したりするおそれもなくなる。
【0041】
また、自動組立設備(パーツフィーダー)を用いて包装用止め具10の払い出しを行う際は、
図13に示すように、止め具束101の最上位にある包装用止め具10の一対のピン穴17aに、それぞれパーツフィーダー70の2本のピン71を差し込む。そして、ピン71を内側に移動させて包装用止め具10を挟み込み、上方に持ち上げてピックアップする。これにより、包装用止め具10の姿勢が水平状態に規制されるとともに、包装用止め具10の重なりを円滑に解除して止め具束101から包装用止め具10を1個ずつ払い出すことができる。
【0042】
本実施形態の包装用止め具10によれば、包装用止め具10同士が密着することなく多数積み重ねた状態で保持することができる。従って、輸送スペースを削減することができ、輸送効率が向上する。また、自動組立設備を用いた包装用止め具10のピックアップも可能であるため、包装用止め具10を用いた梱包作業性も向上する。
【0043】
図14は、本発明の第2実施形態に係る包装用止め具10の使用前の状態を鍔部17側から見た斜視図である。
図15は、キー部材15が第1筒状部16の内部に挿入される直前の第2実施形態の包装用止め具10を鍔部17側から見た斜視図である。
図16は、キー部材15が第1筒状部16の内部に挿入された第2実施形態の包装用止め具10を第1第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向から見た側面断面図である。
【0044】
本実施形態の包装用止め具10では、キー部材15の第2筒状部25に傾斜面80が形成されている。また、第2筒状部25の外側面に規制凸部81が形成されている。さらに、フック部材19a、19bの第2筒状部25との対向面に当接リブ82が形成されている。包装用止め具10の他の部分の構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
図14および
図15に示すように、傾斜面80は、第2筒状部25の第2ヒンジ部24側から係合部30側(回動端側)に向かうにつれて、第3開口縁25aから第4開口縁25bに近づく方向(
図15の下方向)に傾斜して第4開口縁25bに至る。第2筒状部25に傾斜面80を形成することで、第1筒状部16の内部に第2筒状部25を挿入したときのフック部材19a、19bに対する第4開口縁25bの接触面積が小さくなる。より詳細には、第4開口縁25bはフック部材19a、19bの長手方向(第1ヒンジ部18a、18bの延在方向)の中央部のみに接触する。
【0046】
これにより、第1筒状部16の内部に第2筒状部25を挿入したとき、第2筒状部25からの荷重がフック部材19a、19bの長手方向中央部のみに加わる。従って、フック部材19a、19bの開閉に必要な荷重を低減することができ、包装用止め具10の操作性が向上する。
【0047】
また、
図15および
図16に示すように、規制凸部81は、第2筒状部25の係合部30側(回動端側)の第3開口縁25aの近傍に、第1ヒンジ部18a、18bと垂直な方向に一対形成されている。第1筒状部16の内部に第2筒状部25を挿入していくと、一対の規制凸部81は、それぞれ第1ヒンジ部18a、18bの上面に対向する。
【0048】
第2筒状部25を第1筒状部16の内部の所定位置まで挿入すると、規制凸部81と第1ヒンジ部18a、18bの上面(規制面)とが当接して第2筒状部25の挿入が規制される。これにより、第1筒状部16への第2筒状部25の過度の押し込みが抑制されるため、包装用止め具10の変形や破損を防止することができる。
【0049】
また、
図16に示すように、当接リブ82は、第1筒状部16の内部に第2筒状部25が挿入された状態で、フック部材19a、19bの第2筒状部25との対向面に形成されている。
図14に示すように、当接リブ82は、フック部材19a、19bのそれぞれに2箇所ずつ、計4箇所に形成されている。
【0050】
図16のように包装用止め具10が取付状態であるとき、フック部材19a、19bに包装用止め具10の取付状態を解除する方向(フック部材19aでは
図16の反時計回り方向、フック部材19bでは
図16の時計回り方向)の荷重が加わることがある。この場合、フック部材19a、19bから第2筒状部25の第4開口縁25bを押し上げる方向の力が作用すると、第2筒状部25が第1筒状部16から抜けてしまい包装用止め具10の取付状態が解除されてしまうおそれがある。
【0051】
そこで、フック部材19a、19bの第2筒状部25との対向面に当接リブ82を形成することにより、第2筒状部25の第4開口縁25bはフック部材19a、19bと接触しない。その結果、フック部材19a、19bに取付状態を解除する方向の荷重が加えられたとしても、第2筒状部25の第4開口縁25bを押し上げる方向の力が作用しない。従って、包装用止め具10の取付状態が意図せずに解除されることを未然に防止することができる。
【0052】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記第1実施形態では、第1ヒンジ部18a、18bの延在方向(
図4の紙面と垂直な方向)に所定の間隔を隔てて支持リブ35を一対ずつ形成したが、支持リブ35を第1ヒンジ部18a、18bの延在方向の3箇所以上に形成してもよい。
【0053】
また、上記第2実施形態では、第1ヒンジ部18a、18bの上面を規制凸部81と当接する規制面としたが、規制凸部81と当接する規制面を、第1ヒンジ部18a、18bとは別個に設けてもよい。
【0054】
また、上記各実施形態ではトレイ5とパレット6とから成るトレイ付きパレット2を用いた包装箱1に用いる包装用止め具10について説明したが、本発明の包装用止め具10は、パレット6が設けられておらず、上箱3とトレイ5のみから成る包装箱1に対しても同様に適用できるのはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、段ボールシートのような包装材に形成された穴を重ね合わせて挿入することにより、2つ以上に分かれている包装材を連結する包装用止め具に利用可能である。本発明の利用により、輸送効率や払い出し効率を向上可能な包装用止め具およびそれを用いて連結された包装箱を提供することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 包装箱
2 トレイ付きパレット(包装材)
3 上箱(包装材)
8a、8b 貫通穴
10 包装用止め具
14 ベース部材
15 キー部材
16 第1筒状部
16a 第1開口縁
16b 第2開口縁
17 鍔部
18a、18b 第1ヒンジ部
19a、19b フック部材
23 連結片
24 第2ヒンジ部
25 第2筒状部
25a 第3開口縁
25b 第4開口縁
27 第1挿入部
32 ロック爪
35 支持リブ
40 被係合部
41 第2挿入部
50 支持台
70 パーツフィーダー
71 ピン
80 傾斜面
81 規制凸部
82 当接リブ
101 止め具束
200 輸送用コンテナ