(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152601
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】マイクロホン装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/08 20060101AFI20241018BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H04R1/08
H04R1/02 106
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024007987
(22)【出願日】2024-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2023065916
(32)【優先日】2023-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】吉野 智
【テーマコード(参考)】
5D017
【Fターム(参考)】
5D017BC15
5D017BC19
5D017BE03
(57)【要約】
【課題】設置環境により生じるウインドスクリーン(風防部)への影響を低減するマイクロホン装置を提供する。
【解決手段】マイクロホン装置1は、音波に応じた電気信号を出力するマイクロホン20と、マイクロホンを収容する筐体部10と、筐体部の内部に侵入した風に起因して発生する風の圧力を低減する風防部30と、を有してなる。筐体部は、筒状の筐体本体部11と、筐体本体部の軸心方向において、筐体本体部の一端に取り付けられるキャップ部12と、を備える。風防部は、筐体本体部に収容されて、キャップ部とマイクロホンとの間に配置される。キャップ部は、中実である。キャップ部は、マイクロホンに音波を導く音導孔12hを備える。音導孔は、軸心方向に沿って配置される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波に応じた電気信号を出力するマイクロホンと、
前記マイクロホンを収容する筐体部と、
前記筐体部の内部に侵入した風の圧力を低減する風防部と、
を有してなり、
前記筐体部は、
筒状の筐体本体部と、
前記筐体本体部の軸心方向において、前記筐体本体部の一端に取り付けられるキャップ部と、
を備えて、
前記風防部は、前記筐体本体部に収容されて、前記キャップ部と前記マイクロホンとの間に配置されて、
前記キャップ部は、中実であり、
前記マイクロホンに前記音波を導く音導孔、
を備えて、
前記音導孔は、前記軸心方向に沿って配置される、
ことを特徴とするマイクロホン装置。
【請求項2】
前記風防部は、前記キャップ部と前記マイクロホンとの間に充填される、
請求項1記載のマイクロホン装置。
【請求項3】
前記風防部は、
第1風防部と、
第2風防部と、
を備えて、
前記第1風防部の密度は、前記第2風防部の密度と異なり、
前記第1風防部の密度は、前記第2風防部の密度よりも高い、
請求項1記載のマイクロホン装置。
【請求項4】
前記第1風防部は、前記音導孔に隣接して配置されて、
前記第2風防部は、前記第1風防部と前記マイクロホンとの間に配置される、
請求項3記載のマイクロホン装置。
【請求項5】
前記筐体本体部は、
前記筐体本体部の内部に前記音波を導入する1または複数の開口、
を備えて、
前記開口は、前記筐体本体部の周面に配置されて、
前記第2風防部は、前記開口に対向するように配置される、
請求項4記載のマイクロホン装置。
【請求項6】
前記軸心方向において、前記第2風防部の長さは、前記第1風防部の長さよりも長い、
請求項4記載のマイクロホン装置。
【請求項7】
前記第2風防部は、前記第1風防部と前記マイクロホンとの間に圧縮された状態で収容される、
請求項4記載のマイクロホン装置。
【請求項8】
前記音導孔は、
前記音導孔に導入された前記音波が導出される音波導出口、
を備えて、
前記第1風防部は、前記音波導出口を塞ぐ、
請求項4記載のマイクロホン装置。
【請求項9】
前記音導孔は、
第1音導孔と、
第2音導孔と、
を含み、
前記第1音導孔の内径は、前記第2音導孔の内径と同じである、
請求項1記載のマイクロホン装置。
【請求項10】
前記音導孔は、
第1音導孔と、
第2音導孔と、
を含み、
前記第1音導孔の内径は、前記第2音導孔の内径と異なる、
請求項1記載のマイクロホン装置。
【請求項11】
前記音導孔は、
前記音波が前記音導孔に導入される音波導入口、
を備えて、
前記キャップ部は、前記軸心方向において、前記音波導入口側に凸の半球状である、
請求項1記載のマイクロホン装置。
【請求項12】
前記マイクロホンは、
前記音波に応じた前記電気信号を出力するマイクロホンユニットと、
前記マイクロホンユニットを収容するユニットケースと、
を備えて、
前記ユニットケースは、
前記マイクロホンユニットに前記音波を導くユニット音導孔、
を備えて、
前記ユニット音導孔は、前記風防部に面する、
請求項1記載のマイクロホン装置。
【請求項13】
前記開口は、前記筐体本体部の前記軸心方向にスリット状に開口されたスリット開口である、
請求項5記載のマイクロホン装置。
【請求項14】
複数の前記開口は、前記筐体本体部の前記軸心方向に沿って配置される、
請求項5記載のマイクロホン装置。
【請求項15】
複数の前記開口は、前記筐体本体部の前記軸心方向の仮想線に沿って配置される、
請求項14記載のマイクロホン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロホン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロホン装置の中には、建物の外部(例えば、同建物の出入口付近など)に設置されて、同建物に出入りする人が発する音声(音波)を収音するために用いられる、防犯用の狭指向型の防犯用のマイクロホン装置がある。
【0003】
このようなマイクロホン装置には、防犯上、音声の確実な収音が求められる。しかし、建物の外部でマイクロホン装置が風雨に晒される環境下では、マイクロホン装置に風が当たることで風切音が発生し得る。あるいは、風がマイクロホンユニットの振動板に当たることで電気ノイズが発生し得る。このような風雑音は、マイクロホンに収音され得る。風雑音がマイクロホンに収音されると、マイクロホン装置から出力される電気信号(音声信号)には、風雑音に応じた電気信号が含まれる。その結果、マイクロホン装置の低域の周波数特性は、悪化する。このように、風雑音は、マイクロホン装置の周波数特性に悪影響を与える。風雑音による周波数特性への悪影響を低減するため、マイクロホン装置には、風雑音の発生を抑制するウインドスクリーン(風防部)が筐体の外部にマイクロホンを覆うように取り付けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、建物の外部でマイクロホン装置が風雨に晒される環境下で、マイクロホン装置が使用され続けることにより、ウインドスクリーンは、雨や空気中に含まれる水分により加水分解されて、劣化する。ウインドスクリーンが劣化すると、風雑音の発生が十分に抑制されず、風雑音がマイクロホンに収音され得る。そのため、マイクロホン装置の低域の周波数特性は、悪化する。また、ウインドスクリーンが劣化すると、ウインドスクリーンに目詰まりが生じて、所望の音波(音声)が収音できなくなる。劣化したウインドスクリーンを備えるマイクロホン装置は、所望の音声を収音できなくなり得る。このように、建物の外部でマイクロホン装置が風雨に晒される環境下では、設置環境により生じるウインドスクリーンに対する影響が課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、設置環境により生じるウインドスクリーン(風防部)への影響を低減するマイクロホン装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るマイクロホン装置は、音波に応じた電気信号を出力するマイクロホンと、マイクロホンを収容する筐体部と、筐体部の内部に侵入した風の圧力を低減する風防部と、を有してなり、筐体部は、筒状の筐体本体部と、筐体本体部の軸心方向において、筐体本体部の一端に取り付けられるキャップ部と、を備えて、風防部は、筐体本体部に収容されて、キャップ部とマイクロホンとの間に配置されて、キャップ部は、中実であり、マイクロホンに音波を導く音導孔、を備えて、音導孔は、軸心方向に沿って配置される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、設置環境により生じるウインドスクリーン(風防部)への影響を低減するマイクロホン装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係るマイクロホン装置の実施の形態を示す外観図である。
【
図2】
図1のマイクロホン装置のAA線における部分拡大断面図である。
【
図4】
図3のマイクロホン装置のCC線における断面図である。
【
図5】
図1のマイクロホン装置の部分分解斜視図である。
【
図6】
図1のマイクロホン装置の周波数特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るマイクロホン装置の実施の形態は、説明される。以下の説明において、各図面は、適宜参照される。
【0011】
●マイクロホン装置●
●マイクロホン装置の構成
先ず、本発明に係るマイクロホン装置(以下単に「本マイクロホン装置」という。)の実施の形態が、以下に説明される。
【0012】
図1は、本マイクロホン装置1の実施の形態を示す外観図である。
図2は、
図1の本マイクロホン装置1のAA線における部分拡大断面図である。
【0013】
本マイクロホン装置1は、音源(不図示)からの音波を収音して、同音波に応じた電気信号を生成して出力する。本マイクロホン装置1は、狭指向性のグースネック型のマイクロホン装置である。本マイクロホン装置1は、建物の外部(例えば、同建物の出入口付近など)に設置されて、同建物に出入りする人が発する音波(音声)などを収音するために用いられる。本マイクロホン装置1は、筐体部10と、マイクロホン20と、風防部30と、調節部40と、接続部50と、を有してなる。
【0014】
筐体部10は、マイクロホン20と風防部30とを収容して、マイクロホン20と風防部30とを風雨から保護する。筐体部10は、調節部40に接続される。筐体部10は、筐体本体部11と、キャップ部12と、支持部13と、を備える。
【0015】
以下の説明において、本マイクロホン装置1の姿勢に関わらず、「前方」は筐体本体部11に対してキャップ部12が位置している方向であり、「後方」は前方の反対方向である。
【0016】
筐体本体部11は、マイクロホン20と風防部30とを収容する。筐体本体部11は、前端部と後端部とが開口する前後方向に長い筒状の部材である。筐体本体部11は、例えば、金属製である。筐体本体部11は、雌ねじ部11aと、複数(例えば、2つ)のスリット開口11hと、を備える。
【0017】
以下の説明において、「軸心方向」は筐体本体部11の軸心に沿う方向(前後方向)であり、「周方向」は筐体本体部11の円周方向であり、「径方向」は筐体本体部11の半径方向である。
【0018】
雌ねじ部11aは、後述される雄ねじ部12aに対応する雌ねじ面である。雌ねじ部11aは、筐体本体部11の前部の内周面に配置される。
【0019】
スリット開口11hは、筐体部10の外部の音波を筐体本体部11(筐体部10)の内部に導入する孔である。各スリット開口11hは、軸心方向に長いスリット状の開口であり、周方向において筐体本体部11の周面に等間隔に配置される。径方向において、スリット開口11hは、筐体本体部11(筐体部10)の外部と内部とを連通させる貫通孔である。筐体本体部11の内周面には、各スリット開口11hを覆うように、スリット開口11hを通過する音波の音響抵抗として機能する音響抵抗材(不図示)が配置される。音響抵抗材は、例えば、不織布などのメッシュ状の部材である。
【0020】
なお、本発明において、スリット開口の数は、「2」に限定されない。すなわち、スリット開口の数は、「1」や「3」以上でもよい。スリット開口の数が「3」以上のとき、周方向において、各スリット開口は、等間隔に配置される。
また、本発明において、複数のスリット開口は、筐体本体部の軸心方向に並べて配置されてもよい。スリット開口の軸心方向の長さは、筐体本体部の軸心方向の長さと、キャンセルさせる周波数帯域と、に応じて設定される。
【0021】
キャップ部12は、前方からマイクロホン20を保護する。軸心方向において、キャップ部12は、筐体本体部11の前端(一端)に取り付けられる。キャップ部12は、例えば、中実の金属製である。キャップ部12の前面12fは球面であり、後面12rは平坦面である。すなわち、キャップ部12は、前方に凸の半球状である。キャップ部12は、雄ねじ部12aと、複数(例えば、3つ)の音導孔12h(第1音導孔12h1,第2音導孔12h2,第3音導孔12h3)と、を備える。
【0022】
雄ねじ部12aは、雌ねじ部11aに対応する雄ねじ面である。雄ねじ部12aは、キャップ部12の後部の外周面に配置される。
【0023】
図3は、
図1の本マイクロホン装置1のB矢視図である。
同図において、本マイクロホン装置1のうち、接続部50の図示は、省略されている。以下の
図3が参照される説明において、
図1および
図2は、適宜参照される。
【0024】
音導孔12hは、筐体部10の外部の音波を筐体本体部11(筐体部10)の内部に導入して、同音波をマイクロホン20に導くと共に、本マイクロホン装置1に風が当たることで発生する風切音や風の圧力(風の流れ)を筐体本体部11(筐体部10)の内部に導入する孔である。音導孔12hは、軸心方向に沿って配置されて、キャップ部12の外部と筐体本体部11の内部とを連通させる円柱状の貫通孔である。軸心方向において、音導孔12hの内径は、同じである。ここで、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される音(音波)には、軸心方向から筐体本体部11の内部に導入される音波と、周方向から回り込んで筐体本体部11の内部に導入される音波と、が含まれる。これらの音波のうち、周方向から回り込んで筐体本体部11の内部に導入される音波は、スリット開口11hから筐体本体部11の内部に導入される音波と干渉して、打ち消される。そのため、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入されて、マイクロホン20に到達する音波は、軸心方向から筐体本体部11の内部に導入される音波である。その結果、本マイクロホン装置1では、狭指向性が実現されると共に、筐体部10(筐体本体部11)は音響管として機能する。
【0025】
キャップ部12は、同形状の3つの音導孔(第1-第3音導孔12h1-12h3)を備える。第1-第3音導孔12h1-12h3それぞれは、軸心方向に沿ってキャップ部12を貫通する。すなわち、軸心方向において、第1-第3音導孔12h1-12h3それぞれの延設方向は、平行である。周方向において、第1-第3音導孔12h1-12h3それぞれは、キャップ部12の前面12fの中心を中心点とする同心円上に、所定の間隔を空けて等間隔に配置される。
【0026】
第1音導孔12h1の構成および形状は、第2音導孔12h2と第3音導孔12h3それぞれの構成および形状と同じである。そこで、以下の説明は、第1音導孔12h1を例として説明される。なお、以下の説明において、第1-第3音導孔12h1-12h3それぞれが特に区別されないとき、第1-第3音導孔12h1-12h3それぞれは「音導孔12h」と記載されている。
【0027】
図4は、
図3の本マイクロホン装置1のCC線における断面図である。
同図では、説明の便宜上、キャップ部12と、後述される第1風防部31(風防部30)のみが示される。以下の
図4が参照される説明において、
図1-
図3は、適宜参照される。
【0028】
音導孔12hは、音波導入口121と、音波導出口122と、音導路123と、を備える。
【0029】
音波導入口121は、音導孔12hに導入される音波の入口である。音波導入口121は、キャップ部12の前面12fである球面に配置される開口である。
【0030】
音波導出口122は、音導孔12hに導入された音波が導出される音波の出口である。音波導出口122は、キャップ部12の後面12rである平坦面に配置される開口である。
【0031】
音導路123は、音波導入口121と音波導出口122とを繋いで、キャップ部12(筐体部10)の外部と、筐体本体部11(筐体部10)の内部と、を連通させる。音導路123は、音波の経路である。
【0032】
ここで、
図3に示されるように、第1音導孔12h1の音導路123の内径は、第2音導孔12h2の音導路123の内径と、第3音導孔12h3の音導路123の内径と、同じである。すなわち、軸心方向と直交する仮想平面において、第1-第3音導孔12h1-12h3それぞれの断面積(以下単に「音導孔12hの断面積」あるいは「各音導孔(第1-第3音導孔12h1-12h3)の断面積」という。)は、同じである。
【0033】
支持部13は、後方からマイクロホン20を支持する。軸心方向において、支持部13は、筐体本体部11の後端(他端)に取り付けられる。支持部13は、例えば、樹脂製である。支持部13の前端は筐体本体部11の内部に配置されて、支持部13は、例えば、筐体本体部11の外部からねじ止めされる。
【0034】
図2に戻る。
マイクロホン20は、音源からの音波を収音して、同音波に応じた電気信号を生成して出力する。マイクロホン20は、例えば、コンデンサ型のマイクロホンである。マイクロホン20は、筐体本体部11に収容されて、後方から支持部13に支持される。マイクロホン20は、マイクロホンユニット21と、ユニットケース22と、回路基板23と、を備える。
【0035】
マイクロホンユニット21は、音源からの音波を収音して、同音波に応じた電気信号を生成して出力する。マイクロホンユニット21は、例えば、コンデンサ型の電気音響変換器である。マイクロホンユニット21は、音波を収音する収音面がユニットケース22の後述される底部22fに向けられた状態でユニットケース22に収容される。
【0036】
ユニットケース22は、マイクロホンユニット21を収容する。ユニットケース22は、後端が開口された有底円筒状である。ユニットケース22は、前端部である底部22fと、3つのユニット音導孔22hと、を備える。
【0037】
ユニット音導孔22hは、音波導出口122から導出された音波(音導孔12hが導入した音波)をマイクロホンユニット21に導入する。ユニット音導孔22hは、底部22fに配置されて、ユニットケース22の外部と内部とを連通させる貫通孔である。
【0038】
回路基板23は、マイクロホンユニット21からの電気信号を出力コネクタ(不図示)に出力する平衡伝送回路(不図示)などの回路を実装する。回路基板23は、軸心方向に平行な板状である。回路基板23の前端はマイクロホンユニット21に接続されて、回路基板23の後端は支持部13に支持される。回路基板23の前端は、例えば、マイクロホンユニット21にはんだ接続される。回路基板23の後端は、例えば、支持部13にねじ止めされる。
【0039】
図2と
図4とに戻る。
風防部30は、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入された(侵入した)風の圧力(風の流れ)を低減(吸収)する。風防部30は、キャップ部12とマイクロホン20との間に充填されるように配置される。すなわち、筐体本体部11の内部において、風防部30は、キャップ部12とマイクロホン20との間の隙間を埋めるように配置される。これにより、筐体本体部11の内部での空洞共振の発生が抑制される。風防部30は、第1風防部31と第2風防部32とを備える。
【0040】
第1風防部31と第2風防部32とは、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される風の圧力(風の流れ)を低減させる。第1風防部31は、例えば、PVA(polyvinyl alcohol)などの合成樹脂製である。第2風防部32は、例えば、ポリウレタンなどの連続気泡性を有する樹脂製である。すなわち、第2風防部32は、第1風防部31よりも密度の低い部材製である。
【0041】
第1風防部31は、筐体本体部11の内径と略同じ外径を有して、軸心方向において、所定の長さ(厚み)を有する、円柱状である。軸心方向における第1風防部31の長さは、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される風の圧力(風の流れ)は低減(吸収)されるが、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される音波は低減されない程度の長さに適宜設定される。本実施の形態では、第1風防部31は、軸心方向に扁平な円盤状である。第2風防部32は、筐体本体部11の内径や第1風防部31の外径と略同じ外径を有して、軸心方向において、所定の長さ(厚み)を備える、円柱状である。軸心方向における第2風防部32の長さは、軸心方向における筐体本体部11の長さ(例えば、第1風防部31と第2風防部32とでキャップ部12とマイクロホン20との間が充填されるような長さ)に応じて適宜設定される。本実施の形態では、第2風防部32は、軸心方向における長さを長辺とする円柱状である。すなわち、軸心方向において、第2風防部32の長さは、第1風防部31の長さよりも長い。
【0042】
第1風防部31は、3つの音波導出口122(3つの音導孔12h)を塞ぐ(覆う)ようにキャップ部12の後面12rの後方に配置される。すなわち、第1風防部31は、3つの音導孔12hに隣接して配置される。換言すれば、3つの音波導出口122(3つの音導孔12h)は、第1風防部31に面する。また、第2風防部32は、3つのユニット音導孔22hを塞ぐ(覆う)ようにユニットケース22の底部22fの前方に配置される。すなわち、第2風防部32は、3つのユニット音導孔22hに隣接して配置される。換言すれば、3つのユニット音導孔22hは、第2風防部32に面する。3つのユニット音導孔22hにより音波導入孔の断面積が小さくなるので、マイクロホンユニット21が備える振動板の前方の空気のスチフネスは、高まる。第2風防部32は、第1風防部31の後方に配置される。すなわち、第1風防部31はキャップ部12と第2風防部32との間に配置されて、第2風防部32は第1風防部31とユニットケース22(マイクロホン20)との間に配置される。
【0043】
第2風防部32の外周面は、音響抵抗材を介してスリット開口11hに対向する。軸心方向において、第2風防部32は、第1風防部31とユニットケース22(マイクロホン20)との間にやや圧縮された状態で筐体本体部11に収容される。これにより、第1風防部31とユニットケース22(マイクロホン20)との間は、第2風防部32により充填される。
【0044】
図1に戻る。
調節部40は、筐体部10と接続部50とを連結すると共に、接続部50に対する筐体部10の位置を調節する。調節部40は、フレキシブルパイプであり、屈曲して筐体部10の位置を調節可能である。
【0045】
接続部50は、マイクロホン20からの電気信号(音声信号)を処理して、マイクロホンスタンドなどの接続機器(不図示)に出力する。
【0046】
●マイクロホン装置の組み立て方法
次に、本マイクロホン装置1の組み立て方法が、以下に説明される。以下の説明において、調節部40と接続部50との組み立てに関する説明は、省略される。
【0047】
図5は、本マイクロホン装置1の分解斜視図である。
同図において、本マイクロホン装置1のうち、調節部40と接続部50との図示は、省略されている。すなわち、同図には、筐体部10と、マイクロホン20と、風防部30と、の分解斜視図が示される。以下の
図5が参照される説明において、
図1-
図4は、適宜参照される。
【0048】
先ず、マイクロホンユニット21と、ユニットケース22と、回路基板23とが一体化される。具体的には、例えば、マイクロホンユニット21がユニットケース22に収容されると共に、回路基板23の前端がマイクロホンユニット21に対してはんだ接続される。これにより、マイクロホンユニット21と、ユニットケース22と、回路基板23とが一体化された状態のマイクロホン20が構成される。
【0049】
次いで、マイクロホン20が支持部13に取り付けられる。このとき、回路基板23の後端が、支持部13にねじ止めされる。これにより、マイクロホン20は、支持部13と一体化される。
【0050】
次いで、支持部13が筐体本体部11の後端に取り付けられる。これにより、マイクロホン20は筐体本体部11に収容されて、支持部13は筐体本体部11に固定される。
【0051】
次いで、第1風防部31と第2風防部32とが筐体本体部11に収容される。このとき、先ず、第2風防部32が前方から筐体本体部11に収容されて、次いで、第1風防部31が前方から筐体本体部11に収容される。
【0052】
次いで、キャップ部12が、筐体本体部11の前端に取り付けられる。このとき、キャップ部12の後面12rにより、第1風防部31と第2風防部32とはマイクロホン20側に押込まれる。キャップ部12の雄ねじ部12aが筐体本体部11の雌ねじ部11aにねじ込まれることにより、キャップ部12が、筐体本体部11に固定される。これにより、第1風防部31と第2風防部32とは圧縮されて、第1風防部31は後方から3つの音導孔12h(音波導出口122(
図4参照))を塞いで、第2風防部32は前方から3つのユニット音導孔22hを塞ぐ。このように、本マイクロホン装置1は、組み立てられる。
【0053】
なお、本マイクロホン装置の組み立て順序は、前述の順序に限定されない。すなわち、例えば、本マイクロホン装置の組み立て順序は、マイクロホンが支持部に取り付けられた後、先ず、キャップ部が筐体本体部に取り付けられて、次いで、第1風防部と第2風防部とが筐体本体部に収容されて、次いで、支持部が筐体本体部に取り付けられる順序でもよい。
【0054】
●マイクロホン装置の動作
次に、本マイクロホン装置1の動作が説明される。以下の本マイクロホン装置1の動作の説明において、
図1-
図5は、適宜参照される。
【0055】
前述のとおり、音源から音波が発生すると、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される音波のうち、軸心方向から筐体本体部11の内部に導入される音波のみが、マイクロホン20まで到達する。このとき、同音波は、風防部30(第1風防部31,第2風防部32)を通過して、マイクロホンユニット21に収音されて、音波に応じた電気信号が出力される。
【0056】
また、本マイクロホン装置1に風が当たることで発生する風切音や風の圧力(風の流れ)は、音導孔12hを通して風防部30に導入される。ここで、本マイクロホン装置1に風が当たることで発生する風切音や風の圧力(風の流れ)のうち、中域(凡そ100Hz-800Hz程度)の周波数特性を有する風切音の発生は、半球状のキャップ部12により低減される。そのため、風防部30へは、主に低域(凡そ50Hz-100Hz程度)の周波数特性を有する風の圧力(風の流れ)が導入される。
【0057】
ここで、本マイクロホン装置1の音響特性は、音導孔12hの長さと、音導孔12hの断面積(第1-第3音導孔12h1-12h3の断面積の総和)とにより影響される。すなわち、音導孔12hの長さと断面積とは、本マイクロホン装置1に必要とされる音響特性によって適宜設定される。風が筐体部10の外部から音波導入口121に導入される時、風が通過する音導路123の断面積は、三次元的に広い筐体部10の外部空間よりも狭い。すなわち、風は、三次元的に広い筐体部10の外部空間から、円筒状の狭い空間(音導路123)に流れ込む。つまり、軸心方向(風の進行方向)に垂直な方向の断面積は、音導路123において急激に狭くなる。このとき、ベルヌーイの定理により、風の流速は上がり、圧力は下がる。一方、音波導出口122から導出された風が通る流路(筐体本体部11)の断面積は、音導路123の断面積に比べて広い。風が通る流路が狭い空間から広い空間に変わるとき、風の流速は下がり、圧力は上がる。このような風の圧力は、密度の高い第1風防部31を通過する際に大幅に低減される。風の残りの圧力の大部分は、第1風防部31よりも密度の低い第2風防部32により、さらに低減される。そのため、マイクロホン20の収音は、風の圧力(風の流れ)による影響を受けない。
【0058】
図6は、本マイクロホン装置1の周波数特性を示すグラフである。
同図の縦軸は音圧レベルを示し、横軸は周波数を示す。同図には、本実施の形態の本マイクロホン装置1の周波数特性が実線で示され、筐体の外部にウインドスクリーン(風防部)が取り付けられる従来技術のマイクロホン装置(以下「第1従来装置」という。)の周波数特性が一点鎖線で示されて、第1従来装置からウインドスクリーンが取り外されたマイクロホン装置(以下「第2従来装置」)の周波数特性が破線で示される。
【0059】
図6に示されるとおり、本マイクロホン装置1では、第2従来装置に比べて、低域の周波数帯域と中域の周波数帯域とにおいて、風の圧力(風の流れ)による周波数特性への悪影響は、低減される。また、本マイクロホン装置1は、低域の周波数帯域において第1従来装置と同等の周波数特性を得ることができる。また、本マイクロホン装置1は、中域の周波数帯域においても第1従来装置に近い周波数特性を得ることができる。すなわち、風防部30は、従来のウインドスクリーンと同等の機能を提供する。換言すれば、風防部30は、ウインドスクリーンとして機能する。このように、本マイクロホン装置1は、第2従来装置よりも風の圧力(風の流れ)による周波数特性への悪影響を低減できて、かつ、第1従来装置と同等または第1従来装置に近い周波数特性を得ることができる。しかも、本マイクロホン装置1は、風防部30が筐体本体部11(筐体部10)に収容されるので、第1従来装置のようにウインドスクリーンが筐体の外部に配置されない。そのため、本マイクロホン装置1は、第1従来装置に比べて小型化される。小型化された本マイクロホン装置1は、目立ち難くなり、防犯上も望ましい。
【0060】
このように、本マイクロホン装置1は、筐体本体部11に風防部30(第1風防部31,第2風防部32)を収容する。そのため、風防部30は、風雨に晒され難い。その結果、風防部30は、雨や空気中に含まれる水分により加水分解され難くなり、設置環境による影響を受け難くなる。すなわち、風防部30は、従来のウインドスクリーンと比較して、劣化し難い。これにより、風防部30は、従来のウインドスクリーンと同等の機能で風の圧力を低減できると共に、従来のウインドスクリーンよりも長期間に亘って使用できる。このように、本マイクロホン装置1は、第1従来装置と同様に、風切音や風の圧力(風の流れ)による悪影響を受け難い。また、本マイクロホン装置1は、第1従来装置に比べて小型化されて、目立ち難くなる。
【0061】
●まとめ
以上説明された実施の形態によれば、本マイクロホン装置1は、マイクロホン20と、マイクロホン20を収容する筐体部10と、風の圧力を低減する風防部30と、を有してなる。筐体部10は、筐体本体部11と、筐体本体部11の前端(一端)に取り付けられるキャップ部12と、を備える。風防部30は、筐体本体部11に収容されて、キャップ部12とマイクロホン20との間に配置される。キャップ部12は、音導孔12hを備える。音導孔12hは、軸心方向に沿って配置される。この構成によれば、風防部30が筐体本体部11に収容されるので、風防部30は風雨に晒され難い。そのため、風防部30は、雨や空気中に含まれる水分により加水分解され難くなり、設置環境による影響を受け難くなる。その結果、風防部30は、従来のウインドスクリーンと比較して、劣化し難くなる。これにより、風防部30は、従来のウインドスクリーンと同等の機能で風の圧力を低減できると共に、従来のウインドスクリーンよりも長期間に亘って使用できる。そのため、本マイクロホン装置1は、ウインドスクリーンが筐体の外部に配置される従来装置と同様に、風切音や風の圧力(風の流れ)による影響を受け難い。また、この構成によれば、本マイクロホン装置1は、風防部30が筐体本体部11に収容されるので、同従来装置に比べて、小型化される。そのため、本マイクロホン装置1は、目立ち難くなり、防犯上も望ましい。
【0062】
また、以上説明された実施の形態によれば、風防部30は、キャップ部12とマイクロホン20との間に充填される。この構成によれば、筐体本体部11の内部の空間が風防部30により埋められる。そのため、筐体本体部11の内部での空洞共振の発生は、抑制される。
【0063】
さらに、以上説明された実施の形態によれば、風防部30は、第1風防部31と第2風防部32とを備える。第1風防部31の密度は第2風防部32の密度と異なり、かつ、第1風防部31の密度は第2風防部32の密度よりも高い。この構成によれば、風防部30は、密度の高い第1風防部31と、密度の低い第2風防部32と、を備えるので、音導孔12hを通過した風の圧力は、密度の高い第1風防部31により大幅に低減される。風の残りの圧力の大部分は、第1風防部31よりも密度の低い第2風防部32により、さらに低減される。
【0064】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第1風防部31は、音導孔12hに隣接して配置される。第2風防部32は、第1風防部31とマイクロホン20との間に配置される。この構成によれば、風が筐体部10の外部から音導孔12hに導入される時、風が通過する音導孔12hの断面積は、三次元的に広い筐体部10の外部空間よりも狭い。このような音導孔12hを通過する風の流速は上がり、圧力は下がる。一方、音導孔12hから導出された風が通る流路(筐体本体部11)の断面積は、音導孔12hの断面積に比べて広い。風が通る流路が狭い空間から広い空間に変わるとき、風の流速は下がり、圧力は上がる。風の流速が下がって圧力が上がるときに、密度の高い第1風防部31が音導孔12hに隣接して配置されるので、音導孔12hを通過した風の圧力が第1風防部31により大幅に低減される。風の残りの圧力の大部分は、第1風防部31よりも密度の低い第2風防部32により、さらに低減される。
【0065】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、筐体本体部11は、筐体本体部11の周面に配置されるスリット開口11hを備える。第2風防部32は、スリット開口11hに対向するように配置される。この構成によれば、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される音波のうち、周方向から回り込んで筐体本体部11の内部に導入される音波は、スリット開口11hから筐体本体部11の内部に導入される音波と干渉して、打ち消される。そのため、音導孔12hから導入されて、マイクロホン20に到達する音波は、軸心方向から筐体本体部11の内部に導入される音波である。その結果、本マイクロホン装置1では、狭指向性が実現されると共に、筐体部10(筐体本体部11)は音響管として機能する。
【0066】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、軸心方向において、第2風防部32の長さは、第1風防部31の長さよりも長い。軸心方向における第1風防部31の長さは、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される風の圧力(風の流れ)は低減(吸収)されるが、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される音波は低減されない程度の長さに適宜設定される。一方、軸心方向における第2風防部32の長さは、例えば、第1風防部31と第2風防部32とでキャップ部12とマイクロホン20との間が充填されるような長さである。そのため、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される音波は低減されず、音導孔12hから筐体本体部11の内部に導入される風の圧力(風の流れ)はより低減される。
【0067】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、第2風防部32は、第1風防部31とマイクロホン20との間に圧縮された状態で収容される。この構成によれば、第2風防部32は第1風防部31とマイクロホン20との間に隙間なく配置される。そのため、音導孔12hを通過した風の圧力は、第1風防部31と第2風防部32とにより低減される。また、筐体本体部11の内部の空間は、第1風防部31と第2風防部32とにより埋められる。そのため、筐体本体部11の内部での空洞共振の発生は、抑制される。
【0068】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、音導孔12hは、音波導出口122を備える。第1風防部31は、音波導出口122を塞ぐ。この構成によれば、風が筐体部10の外部から音波導入口121(音導孔12h)に導入される時、風が通過する音導路123(音導孔12h)の断面積は、三次元的に広い筐体部10の外部空間よりも狭い。このような音導孔12hを通過する風の流速は上がり、圧力は下がる。一方、音波導出口122(音導孔12h)から導出された風が通る流路(筐体本体部11)の断面積は、音導路123(音導孔12h)の断面積に比べて広い。風が通る流路が狭い空間から広い空間に変わるとき、風の流速は下がり、圧力は上がる。風の流速が下がって圧力が上がるときに、密度の高い第1風防部31が音波導出口122(音導孔12h)を塞ぐように配置されるので、音導孔12hを通過した風の圧力が第1風防部31により大幅に低減される。
【0069】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、音導孔12hは、第1音導孔12h1と第2音導孔12h2とを備える。第1音導孔12h1の内径は、第2音導孔12h2の内径と同じである。音導孔12hの音響特性は、音導孔12hの長さと、第1音導孔12h1および第2音導孔12h2の断面積の総和と、により影響される。この構成によっても、風の圧力は、適切に低減される。
【0070】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、音導孔12hは、音波導入口121を備える。キャップ部12は、音波導入口121側に凸の半球状である。この構成によれば、中域(凡そ100Hz-800Hz程度)の周波数特性を有する風切音の音導孔12hへの導入は、半球状のキャップ部12により低減される。
【0071】
さらにまた、以上説明された実施の形態によれば、マイクロホン20は、マイクロホンユニット21とユニットケース22とを備える。ユニットケース22は、ユニット音導孔22hを備える。ユニット音導孔22hは風防部30(第2風防部32)に面する。この構成によれば、振動板の前方の空気のスチフネスは、高まる。
【0072】
なお、以上説明された実施の形態では、風防部30は、第1風防部31と第2風防部32とを備える構成であった。これに代えて、風防部は、第1風防部または第2風防部のいずれか「1」の部材のみで構成されてもよい。この場合、第2風防部のみにより風防部が構成されるのが望ましい。また、風防部は、別の風防部を加えた「3」以上の部材を備える構成でもよい。この場合、密度の高い風防部が前方に、密度の低い風防部が後方になるように、前方から密度の高低の順番に風防部が配置されればよい。風防部が第2風防部のみ、あるいは、「3」以上の風防部を備える構成であっても、風の圧力は、低減できる。
【0073】
また、本発明において、第1風防部と第2風防部との位置は、逆でもよい。この場合であっても、風の圧力は、低減できる。
【0074】
さらに、本発明において、音導孔12hは3つの音導孔(第1-第3音導孔12h1-12h3)で構成されていた。しかし、音導孔の数は、「3」に限られない。すなわち、例えば、音導孔の数は「1」または「2」でもよく、あるいは「4」以上でもよい。前述のとおり、音響管として機能する音導孔の音響特性は、「音導孔の長さ」と「断面積」とにより影響される。「音導孔の長さ」と「断面積」とは、必要とされる音響特性によって適宜設定される。そのため、例えば、本発明における音導孔12hと同等の音響特性を出すためには、音導孔の数が「1」の場合、「1」の音導孔の「断面積」と「長さ」とは、音導孔12hの「断面積の総和」と「長さ」と同じである。
【0075】
さらにまた、本発明において、第1音導孔の音導路の内径は、第2音導孔の音導路の内径と、第3音導孔の音導路の内径と、異なってもよい。この場合、例えば、キャップ部の径方向において、径の大きい音導孔は中央に配置されてもよい。また、例えば、キャップ部の周方向において、キャップ部の径方向の中央に配置された音導孔よりも径の小さい音導孔は、所定の間隔を空けて等間隔に配置されてもよい。この構成であっても、音導孔は、音源からの音波を導入できる。
【0076】
さらにまた、本発明において、筐体本体部の内部に音波を導入する開口の形状は、スリット状に限られない。すなわち、本発明における開口の形状は、スリット状と異なる形状でもよい。つまり、本発明における開口の形状は、例えば、円形や多角形などの孔でもよい。
【0077】
さらにまた、本発明において、筐体本体部に形成された複数の開口それぞれの形状は、同一の形状でもよいし、異なる形状でもよい。
【0078】
さらにまた、本発明において、筐体本体部に形成された複数の開口は、筐体本体部の軸心方向に沿って配置されてもよい。軸心方向に沿って配置される複数の開口それぞれは、軸心方向の仮想線上に配置されてもよい。筐体本体部の軸心方向に沿って配置される複数の開口それぞれの軸心方向の間隔は、等間隔でもよいし、異なる間隔でもよい。複数の開口(各開口の形状は円形や多角形)が筐体本体部の軸心方向に沿って配置された筐体本体部は、スリット状の開口(スリット開口)が形成された筐体本体部と同等の機能を、奏する。
【0079】
さらにまた、本発明において、筐体本体部に形成された複数の開口は、筐体本体部の周方向に配置されてもよい。筐体本体部の周方向に配置される複数の開口それぞれの周方向の間隔は、等間隔でもよいし、異なる間隔でもよい。筐体本体部の開口の形状や配置は、音響特性、または、生産効率、筐体本体部の素材、筐体本体部の構造の強度などにより、適宜選択され得る。
【符号の説明】
【0080】
1 マイクロホン装置
10 筐体部
11 筐体本体部
11h スリット開口
12 キャップ部
12h 音導孔
12h1 第1音導孔
12h2 第2音導孔
121 音波導入口
122 音波導出口
20 マイクロホン
21 マイクロホンユニット
22 ユニットケース
22f 底部
22h ユニット音導孔
30 風防部
31 第1風防部
32 第2風防部