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特開2024-152608鋳造機用給湯機構および鋳造機用給湯方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152608
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】鋳造機用給湯機構および鋳造機用給湯方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/30 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
B22D17/30 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018135
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2023064904
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006943
【氏名又は名称】リョービ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井出 大介
(57)【要約】
【課題】溶湯の湯量の精度を高めることで正確な給湯を実現する。
【解決手段】鋳造機用給湯機構10は、溶湯25を貯留するとともに鋳造機51の給湯口に給湯するラドル11と、ラドル11の位置と姿勢を制御するロボットアーム12と、ラドル11内に溶湯25を注ぎ込む溶湯供給部21と、溶湯供給部21からラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25の湯面を検知可能な湯面検知センサ31と、溶湯供給部21からラドル11内に溶湯25を注ぎ込む際に、ラドル11の直下に配置される溶湯受け缶41と、を備える。そして、溶湯供給部21からラドル11内に溶湯25を注ぎ込む際に、ロボットアーム12がラドル11を傾斜させた状態で姿勢保持することで、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25を意図的に溢れさせて溶湯受け缶41内にこぼすことで、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25の貯留量を常時所定量とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯を貯留するとともに鋳造機の給湯口に給湯するラドルと、
前記ラドルの位置と姿勢を制御するロボットアームと、
前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む溶湯供給部と、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯の湯面を検知可能な湯面検知センサと、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ラドルの直下に配置される溶湯受け缶と、
を備える鋳造機用給湯機構であって、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ロボットアームが前記ラドルを傾斜させた状態で姿勢保持することで、前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯を意図的に溢れさせて前記溶湯受け缶内にこぼすことで、前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯の貯留量を常時所定量とすることを特徴とする鋳造機用給湯機構。
【請求項2】
溶湯を貯留するとともに鋳造機の給湯口に給湯するラドルと、
前記ラドルの位置と姿勢を制御するロボットアームと、
前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む溶湯供給部と、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯の湯面を検知可能な湯面検知センサと、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ラドルの直下に配置される溶湯受け缶と、
を備える鋳造機用給湯機構であって、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ロボットアームが前記ラドルを水平状態で姿勢保持し、水平状態の前記ラドルに対して前記溶湯供給部から溶湯が注ぎ込まれた後、前記ロボットアームが前記ラドルを傾斜させて当該ラドル内に注ぎ込まれた溶湯を意図的に前記溶湯受け缶内にこぼし、所定時間経過後に前記ロボットアームが前記ラドルを水平状態に姿勢復帰させることで、前記ラドル内に残留する溶湯の貯留量を常時所定量とすることを特徴とする鋳造機用給湯機構。
【請求項3】
請求項1に記載の鋳造機用給湯機構において、
前記溶湯供給部は、少なくとも1台の可搬式加圧ポットを含み、
前記湯面検知センサは、前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯が溢れて前記溶湯受け缶内にこぼれ始めた直後における前記ラドル内の溶湯の湯面を検知したときに、前記可搬式加圧ポットに対して前記ラドル内への溶湯の注ぎ込みを停止させる停止指令信号を送信可能であり、
前記可搬式加圧ポットは、前記湯面検知センサからの前記停止指令信号を受信したときに、前記ラドルへの溶湯の注ぎ込みを停止することを特徴とする鋳造機用給湯機構。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の鋳造機用給湯機構において、
1組のラドルおよびロボットアームに対して、前記可搬式加圧ポットが2台設けられることを特徴とする鋳造機用給湯機構。
【請求項5】
溶湯を貯留するとともに鋳造機の給湯口に給湯するラドルと、
前記ラドルの位置と姿勢を制御するロボットアームと、
前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む溶湯供給部と、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯の湯面を検知可能な湯面検知センサと、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ラドルの直下に配置される溶湯受け缶と、
を備える鋳造機用給湯機構を用いることで、鋳造機に対する給湯を行う際に実行される鋳造機用給湯方法であって、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ロボットアームが前記ラドルを傾斜させた状態で姿勢保持することで、前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯を意図的に溢れさせて前記溶湯受け缶内にこぼすことで、前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯の貯留量を常時所定量とすることを特徴とする鋳造機用給湯方法。
【請求項6】
溶湯を貯留するとともに鋳造機の給湯口に給湯するラドルと、
前記ラドルの位置と姿勢を制御するロボットアームと、
前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む溶湯供給部と、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に注ぎ込まれた溶湯の湯面を検知可能な湯面検知センサと、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ラドルの直下に配置される溶湯受け缶と、
を備える鋳造機用給湯機構を用いることで、鋳造機に対する給湯を行う際に実行される鋳造機用給湯方法であって、
前記溶湯供給部から前記ラドル内に溶湯を注ぎ込む際に、前記ロボットアームが前記ラドルを水平状態で姿勢保持し、水平状態の前記ラドルに対して前記溶湯供給部から溶湯が注ぎ込まれた後、前記ロボットアームが前記ラドルを傾斜させて当該ラドル内に注ぎ込まれた溶湯を意図的に前記溶湯受け缶内にこぼし、所定時間経過後に前記ロボットアームが前記ラドルを水平状態に姿勢復帰させることで、前記ラドル内に残留する溶湯の貯留量を常時所定量とすることを特徴とする鋳造機用給湯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造機用給湯機構および鋳造機用給湯方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ダイカストマシン等の各種鋳造機を用いてダイカスト品を鋳造する際には、ダイカストマシンの射出スリーブや金型のキャビティに対して、ラドルを用いて所定量の溶湯を給湯する必要がある。従来の一般的な鋳造機用給湯方法としては、ラドルを用いて溶湯保持炉から所定量の溶湯を汲み上げることで、鋳造機側への給湯が行われていた。例えば、この種の従来の一般的な鋳造機用給湯方法を開示する先行技術文献として、以下の特許文献1が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6396052号公報
【特許文献2】特許第6613106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上掲した特許文献1が開示する従来の技術では、常に溶湯保持炉を稼働して溶湯を所定温度に保持しておく必要があるため、消費エネルギーが大きくなってしまうといった課題が存在していた。
【0005】
ところで、上述した従来技術の課題を解決するために、上記特許文献2には、可搬式加圧ポットが提案されている。この可搬式加圧ポットは、電気ヒータによって溶湯を所定温度に保持するとともに、エア加圧によって溶湯を吐出する機構を備えるものである。
【0006】
しかしながら、特許文献2に開示された可搬式加圧ポットは、エア加圧によって吐出される溶湯の湯量の精度に難があるため、実際の製造現場で用いるには改善の余地が残されていた。
【0007】
本発明は、上述した従来技術に存在する種々の課題に鑑みて成されたものであり、その目的は、溶湯保持炉を廃止することで消費エネルギーの損失を低減するとともに、溶湯の湯量の精度を高めることで正確な給湯を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照番号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0009】
本発明に係る鋳造機用給湯機構(10)は、溶湯(25)を貯留するとともに鋳造機(51)の給湯口に給湯するラドル(11)と、前記ラドル(11)の位置と姿勢を制御するロボットアーム(12)と、前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む溶湯供給部(21)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)の湯面を検知可能な湯面検知センサ(31)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ラドル(11)の直下に配置される溶湯受け缶(41)と、を備える鋳造機用給湯機構(10)であって、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を傾斜させた状態で姿勢保持することで、前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)を意図的に溢れさせて前記溶湯受け缶(41)内にこぼすことで、前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)の貯留量を常時所定量とすることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る別の鋳造機用給湯機構(100)は、溶湯(25)を貯留するとともに鋳造機(51)の給湯口に給湯するラドル(11)と、前記ラドル(11)の位置と姿勢を制御するロボットアーム(12)と、前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む溶湯供給部(21)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)の湯面を検知可能な湯面検知センサ(31)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ラドル(11)の直下に配置される溶湯受け缶(41)と、を備える鋳造機用給湯機構(100)であって、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を水平状態で姿勢保持し、水平状態の前記ラドル(11)に対して前記溶湯供給部(21)から溶湯(25)が注ぎ込まれた後、前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を傾斜させて当該ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)を意図的に前記溶湯受け缶(41)内にこぼし、所定時間経過後に前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を水平状態に姿勢復帰させることで、前記ラドル(11)内に残留する溶湯(25)の貯留量を常時所定量とすることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係る鋳造機用給湯機構(10)において、前記溶湯供給部(21)は、少なくとも1台の可搬式加圧ポットを含み、前記湯面検知センサ(31)は、前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)が溢れて前記溶湯受け缶(41)内にこぼれ始めた直後における前記ラドル(11)内の溶湯(25)の湯面を検知したときに、前記可搬式加圧ポットに対して前記ラドル(11)内への溶湯(25)の注ぎ込みを停止させる停止指令信号を送信可能であり、前記可搬式加圧ポットは、前記湯面検知センサ(31)からの前記停止指令信号を受信したときに、前記ラドル(11)への溶湯(25)の注ぎ込みを停止することができる。
【0012】
また、本発明に係る鋳造機用給湯機構(10)又は本発明に係る別の鋳造機用給湯機構(100)では、1組のラドル(11)およびロボットアーム(12)に対して、前記可搬式加圧ポットが2台設けられることとすることができる。
【0013】
本発明に係る鋳造機用給湯方法は、溶湯(25)を貯留するとともに鋳造機(51)の給湯口に給湯するラドル(11)と、前記ラドル(11)の位置と姿勢を制御するロボットアーム(12)と、前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む溶湯供給部(21)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)の湯面を検知可能な湯面検知センサ(31)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ラドル(11)の直下に配置される溶湯受け缶(41)と、を備える鋳造機用給湯機構(10)を用いることで、鋳造機(51)に対する給湯を行う際に実行される鋳造機用給湯方法であって、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を傾斜させた状態で姿勢保持することで、前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)を意図的に溢れさせて前記溶湯受け缶(41)内にこぼすことで、前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)の貯留量を常時所定量とすることを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る別の鋳造機用給湯方法は、溶湯(25)を貯留するとともに鋳造機(51)の給湯口に給湯するラドル(11)と、前記ラドル(11)の位置と姿勢を制御するロボットアーム(12)と、前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む溶湯供給部(21)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)の湯面を検知可能な湯面検知センサ(31)と、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ラドル(11)の直下に配置される溶湯受け缶(41)と、を備える鋳造機用給湯機構(100)を用いることで、鋳造機(51)に対する給湯を行う際に実行される鋳造機用給湯方法であって、前記溶湯供給部(21)から前記ラドル(11)内に溶湯(25)を注ぎ込む際に、前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を水平状態で姿勢保持し、水平状態の前記ラドル(11)に対して前記溶湯供給部(21)から溶湯(25)が注ぎ込まれた後、前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を傾斜させて当該ラドル(11)内に注ぎ込まれた溶湯(25)を意図的に前記溶湯受け缶(41)内にこぼし、所定時間経過後に前記ロボットアーム(12)が前記ラドル(11)を水平状態に姿勢復帰させることで、前記ラドル(11)内に残留する溶湯(25)の貯留量を常時所定量とすることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、溶湯保持炉を廃止することで消費エネルギーの損失を低減できるとともに、溶湯の湯量の精度を高めることで正確な給湯を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の側面視を示す図であり、特に、鋳造機用給湯機構を構成するラドルがホームポジションに位置する状態が示されている。
図2】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の側面視を示す図であり、特に、鋳造機用給湯機構を構成するラドルに溶湯が注ぎ込まれている状態が示されている。
図3】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の正面視を示す図である。
図4】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の平面視を示す図である。
図5】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図6】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図7】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図8】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図9】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図10】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図11】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図12】本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図13】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構の側面視を示す図であり、特に、鋳造機用給湯機構を構成するラドルがホームポジションに位置する状態が示されている。
図14】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図15】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図16】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図17】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図18】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
図19】本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0018】
まず、図1図4を参照して、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の具体的構成を説明する。ここで、図1および図2は、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の側面視を示す図であり、特に、図1では鋳造機用給湯機構を構成するラドルがホームポジションに位置する状態が示されており、図2では鋳造機用給湯機構を構成するラドルに溶湯が注ぎ込まれている状態が示されている。また、図3は、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の正面視を示す図であり、図4は、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構の平面視を示す図である。
【0019】
本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10は、図1図4に示すように、溶湯25を貯留するとともに鋳造機51の給湯口に給湯するラドル11と、ラドル11の位置と姿勢を制御するロボットアーム12と、ラドル11内に溶湯25を注ぎ込む溶湯供給部21と、溶湯供給部21からラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25の湯面を検知可能な湯面検知センサ31と、溶湯供給部21からラドル11内に溶湯25を注ぎ込む際に、ラドル11の直下に配置される溶湯受け缶41と、を備えて構成されている。
【0020】
ラドル11は、図2に示すように、アルミニウム合金等の溶湯25を貯留できる部材である。本実施形態のラドル11では、図2における紙面右側の部位が溶湯供給部21から溶湯25を注ぎ込まれる際の湯こぼし口となっており、一方で、図2における紙面左側の部位が鋳造機51の給湯口に給湯する際の湯注ぎ口となっている。
【0021】
ロボットアーム12は、図3および図4において符号(A)、(B)、(C)で示す3つの位置にラドル11を移動させることが可能となっている。また、図1図2を対比参照すれば明らかな通り、ロボットアーム12は、ラドル11の傾きを変更できるように構成されている。つまり、本実施形態のロボットアーム12は、図3および図4において符号(A)、(B)、(C)で示す3つの位置をカバーする可動範囲内において、ラドル11の位置と姿勢を制御することが可能となっている。
【0022】
溶湯供給部21は、可搬式加圧ポットとして構成されるものであり、電気ヒータによって溶湯を所定温度に保持するとともに、エア加圧によって溶湯を吐出する機構を備えるものである。また、本実施形態に係る溶湯供給部21については、図3および図4に示すように、1組のラドル11およびロボットアーム12に対して、2台の可搬式加圧ポットが設けられている。本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10が2台の可搬式加圧ポットを備えるのは、一方の可搬式加圧ポット内の溶湯25が無くなったとしても、他方の可搬式加圧ポットによる溶湯25の供給を継続し、その間に溶湯25が充填された可搬式加圧ポットを入れ替えることで、鋳造機51の給湯口に対する給湯動作を停止することなく実行することができるからである。このように、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10によれば、溶湯供給部21としての可搬式加圧ポットを2台有することで、生産性の高い給湯システムが実現されている。
【0023】
湯面検知センサ31は、3本の接触センサによって構成されており、これら3本の接触センサは、下方端部の位置が異なる構成を有している。本実施形態では、図1および図2における紙面左側に配置された接触センサの下方端部が最も低い位置(最も地面に近い位置)に配置されており、中央に配置された接触センサ、紙面右側に配置された接触センサとなるにしたがって、接触センサの下方端部が高い位置(地面から離れた位置)となるように配置されている。下方端部が最も低い位置に配置された図1および図2における紙面左側に配置された接触センサは、図2で示すように、ラドル11内に溶湯25が注ぎ込まれた際に一番初めに溶湯25に接触する接触センサであり、アースの役割を果たすものである。次に、下方端部が中間の位置に配置された中央の接触センサは、図2で示すように、傾けた姿勢で配置されたラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25が溢れて溶湯受け缶41内にこぼれ始めた直後におけるラドル11内の溶湯25の湯面を検知する接触センサである。この中央の接触センサは、ラドル11内の溶湯25に接触したときに、溶湯供給部21である可搬式加圧ポットに対してラドル11内への溶湯25の注ぎ込みを停止させる停止指令信号を送信可能であり、湯面検知センサ31からの停止指令信号を受信した可搬式加圧ポットを含む溶湯供給部21は、湯面検知センサ31からの停止指令信号を受信したときに、ラドル11への溶湯25の注ぎ込みを停止する動作を実行するように構成されている。最後に、下方端部が最も高い位置に配置された図1および図2における紙面右側に配置された接触センサは、異常検知のための接触センサである。この紙面右側に配置された接触センサが溶湯25を検知した場合には、異常の発生と判断されて、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10の稼働が停止される。
【0024】
溶湯受け缶41は、図2に示すように、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25が溢れた際に、こぼれてきた溶湯25を回収して再度使用するために用いられる部材である。本実施形態の溶湯受け缶41は、不図示のフォークリフトや天井クレーン等を用いることで移動できるので、固化した状態の溶湯25のリサイクルを行うことが可能となっている。
【0025】
以上、図1図4を参照して本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10の具体的構成を説明したが、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10の特徴としては、図2に示すように、溶湯供給部21からラドル11内に溶湯25を注ぎ込む際に、ロボットアーム12がラドル11を傾斜させた状態で姿勢保持することにある。このように、ロボットアーム12がラドル11を傾斜させた状態で姿勢保持しておき、この状態で溶湯供給部21からラドル11内に溶湯25を注ぎ込んで、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25を意図的に溢れさせて溶湯受け缶41内にこぼすことで、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25の貯留量を常時所定量とすることができる。つまり、本実施形態に係る溶湯供給部21としての可搬式加圧ポットは、エア加圧によって吐出される溶湯の湯量の精度に難があったが、傾斜させた状態のラドル11に対して溶湯25を供給することで、常に正確な量の溶湯25をラドル11内に貯留させることができる。したがって、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10によれば、溶湯25の湯量の精度を高めることで正確な給湯を実現することが可能となっている。
【0026】
以上、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10の具体的構成を説明した。次に、図5図12を用いて、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10によって実行される鋳造機用給湯方法を説明する。ここで、図5図12は、本実施形態に係る鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
【0027】
本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10の初期状態が、図5に示されている。図5で示す初期状態において、ロボットアーム12のアーム先端に取り付けられたラドル11の位置が、ラドル11のホームポジションとなっている。
【0028】
図5で示す初期状態からロボットアーム12を稼働させることで、図6で示すようにラドル11を湯面検知センサ31と溶湯受け缶41の中間の位置まで垂直方向に下降させ、さらに、図7で示すようにラドル11を溶湯供給部21の方向に水平移動させることで、ラドル11を湯面検知センサ31と溶湯受け缶41に挟まれた位置まで移動させる。図7の状態からロボットアーム12が上昇するとともに、ラドル11を傾斜させた状態とすることで、図8で示す状態が実現する。図8で示す状態は、ラドル11に対して溶湯25を注ぎ込む準備が完了した状態である。
【0029】
図8で示す状態を実現した後、溶湯供給部21である可搬式加圧ポットから溶湯25がラドル11に向けて注ぎ込まれるが、この際、ロボットアーム12はラドル11を傾斜させた状態で姿勢保持しており、さらに、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25は意図的に溢れさせて溶湯受け缶41内にこぼすこととなるので、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25の貯留量は、常時所定量とすることができる。そのような動作の様子が、図9に示されている。
【0030】
またさらに、図9で示す状態のとき、すなわち、傾けた姿勢で配置されたラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25が溢れて溶湯受け缶41内にこぼれ始めた直後のとき、湯面検知センサ31のうちの中央に位置する接触センサがラドル11内の溶湯25に接触することで、溶湯供給部21である可搬式加圧ポットに対してラドル11内への溶湯25の注ぎ込みを停止させる停止指令信号を送信する。湯面検知センサ31からの停止指令信号を受信した可搬式加圧ポットを含む溶湯供給部21では、湯面検知センサ31からの停止指令信号を受信することで、ラドル11への溶湯25の注ぎ込みを停止する動作が実行される。
【0031】
溶湯供給部21である可搬式加圧ポットからのラドル11への溶湯25の供給が停止したとき、ラドル11内には、所定量の溶湯25が貯留された状態となるので、ロボットアーム12は図10で示すようにラドル11を僅かに下降させながら水平状態となるように姿勢変更を行い、さらに、図11で示すようにラドル11を溶湯供給部21から遠ざかる方向に水平移動させる。
【0032】
そして、図11で示す状態からロボットアーム12が回転駆動することで、ラドル11を鋳造機51の給湯口の位置まで移動する。この状態が、図12に示されている。図12で示すラドル11の位置は、図4中の符号(C)で示す位置と同じである。図12で示す状態で、ロボットアーム12が駆動してラドル11を傾けることで、鋳造機51の給湯口に対する溶湯25の給湯が実行される。
【0033】
最後に、図12で示したラドル11からの鋳造機51の給湯口に対する溶湯25の給湯が完了すると、ロボットアーム12が再び回転駆動してラドル11は図5で示すホームポジションの位置に復帰する。図5図12を用いて説明した一連の動作によって、本実施形態に係る鋳造機用給湯方法の実行が完了する。
【0034】
上述した本実施形態に係る鋳造機用給湯機構10および鋳造機用給湯方法によれば、溶湯保持炉を廃止することで消費エネルギーの損失を低減できるとともに、溶湯25の湯量の精度を高めることで正確な給湯を実現することができる。これにより、コストや生産性、材料歩留まり、環境面等において、従来技術に比べて有利な鋳造を実行することが可能となる。
【0035】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。ただし、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されるものではなく、多様な変形形態を含むものである。そこで、図13図19を用いて、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100と、この鋳造機用給湯機構100を用いて実行される鋳造機用給湯方法についての説明を行う。
【0036】
ここで、図13は、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構の側面視を示す図であり、特に、鋳造機用給湯機構を構成するラドルがホームポジションに位置する状態が示されている。また、図14図19は、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構によって実行される鋳造機用給湯方法を説明するための図である。
【0037】
まず、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100の初期状態が、図13に示されている。図13で示される本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100の構成については、上述した実施形態の説明で示した図1および図5の内容と同一である。そのため、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100の装置構成については、上述した実施形態と同一符号を付することで説明を省略することとする。ただし、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100については、上述した実施形態とは動作内容が異なるため、その動作内容について図13図19を用いて以下に説明することとする。
【0038】
本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100では、図13で示す初期状態において、ロボットアーム12のアーム先端に取り付けられたラドル11の位置が、ラドル11のホームポジションとなっている。
【0039】
図13で示す初期状態からロボットアーム12を稼働させることで、図14で示すようにラドル11を湯面検知センサ31と溶湯受け缶41の中間の位置まで垂直方向に下降させ、さらに、図15で示すようにラドル11を溶湯供給部21の方向に水平移動させることで、ラドル11を湯面検知センサ31と溶湯受け缶41に挟まれた位置まで移動させる。図15の状態から、ロボットアーム12がラドル11の水平状態を維持したままラドル11を上昇させ、さらに、溶湯供給部21である可搬式加圧ポットから溶湯25がラドル11に向けて注ぎ込まれることで、図16で示す状態が実現する。このとき、水平状態を維持したラドル11に対して注ぎ込まれた溶湯25の量は、本来必要となる所定量よりも僅かに多くなるように設定されていることが好ましい。そのような設定は、湯面検知センサ31からの停止指令信号を、可搬式加圧ポットを含む溶湯供給部21で受信し、利用することで制御可能となる。
【0040】
図16で示す状態を実現した後、ロボットアーム12がラドル11を傾斜させて当該ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25を意図的に溶湯受け缶41内にこぼす。そのような動作の様子が、図17に示されている。
【0041】
ロボットアーム12は、図17で示すようなラドル11を傾斜させた状態を所定時間維持し、所定時間経過後にロボットアーム12がラドル11を水平状態に姿勢復帰させることで、ラドル11内に残留する溶湯25の貯留量は、常時所定量とすることができる。そのような動作の様子が、図17図18に示されている。
【0042】
図18で示すように、ラドル11内に所定量の溶湯25が貯留された状態となった後、ロボットアーム12が回転駆動することで、ラドル11を鋳造機51の給湯口の位置まで移動する。この状態が、図19に示されている。図19で示すラドル11の位置は、図4中の符号(C)で示す位置と同じである。図19で示す状態で、ロボットアーム12が駆動してラドル11を傾けることで、鋳造機51の給湯口に対する溶湯25の給湯が実行される。
【0043】
最後に、図19で示したラドル11からの鋳造機51の給湯口に対する溶湯25の給湯が完了すると、ロボットアーム12が再び回転駆動してラドル11は図13で示すホームポジションの位置に復帰する。図13図19を用いて説明した一連の動作によって、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯方法の実行が完了する。
【0044】
上述した本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100および鋳造機用給湯方法によれば、溶湯保持炉を廃止することで消費エネルギーの損失を低減できるとともに、溶湯25の湯量の精度を高めることで正確な給湯を実現することができる。また、本実施形態に係る別の鋳造機用給湯機構100および鋳造機用給湯方法によれば、ラドル11内に注ぎ込まれた溶湯25を意図的に溶湯受け缶41内にこぼす量を極小化することができるので、鋳造機に対して効率よく給湯を行うことができる。これにより、コストや生産性、材料歩留まり、環境面等において、従来技術に比べて有利な鋳造を実行することが可能となる。
【0045】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記の各実施形態に記載の範囲には限定されない。上記の各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0046】
例えば、上述した各実施形態では、溶湯供給部21である可搬式加圧ポットが2台設置されていたが、本発明の溶湯供給部を構成する可搬式加圧ポットの台数については、1台でもよいし、3台以上を備えるようにしてもよい。
【0047】
また例えば、上述した各実施形態のラドル11では、図2における紙面右側の部位が溶湯供給部21から溶湯25を注ぎ込まれる際の湯こぼし口となっており、一方で、図2における紙面左側の部位が鋳造機51の給湯口に給湯する際の湯注ぎ口となっている場合を例示したが、本発明に係るラドルの形状や使用する方向等については、上述した実施形態と同様の作用効果を発揮できる範囲内において任意に変更が可能である。
【0048】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0049】
10,100 鋳造機用給湯機構、11 ラドル、12 ロボットアーム、21 溶湯供給部、25 溶湯、31 湯面検知センサ、41 溶湯受け缶。
図1
図2
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図5
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図10
図11
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