(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152631
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】開ループ消磁を含む非接触DC電流測定デバイス
(51)【国際特許分類】
G01R 15/20 20060101AFI20241018BHJP
G01R 15/18 20060101ALI20241018BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01R15/20 C
G01R15/18 C
G01R19/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024040768
(22)【出願日】2024-03-15
(31)【優先権主張番号】18/301,079
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】ラープ,ブリアナ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】モラン,マット
(72)【発明者】
【氏名】ディンズモア,ニコラス ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ゾエリック,ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】リングスラッド,ポール エー.
【テーマコード(参考)】
2G025
2G035
【Fターム(参考)】
2G025AA03
2G025AB01
2G025AB02
2G025AB14
2G025AC01
2G035AC02
2G035AD19
2G035AD20
2G035AD28
2G035AD41
2G035AD65
2G035AD66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】導体に接触することなく、導体を通って流れている電流を測定することができる可撓性電流センサを提供する。
【解決手段】電流センサは、本明細書に記載される電流センサが直流(DC)を感知することができることを除いて、ロゴスキーコイルの可撓性ループと同程度のサイズ、形状、及び外観を有し、新規な開ループ消磁機構を利用して、導体の正確なDC電流測定値を提供する。電流センサは、磁気コアの周りに巻き付けられたAC消磁コイルを含む。駆動回路は、AC消磁コア内でAC消磁信号を駆動し、これが、磁気コアをリセット又は消磁するように動作し、それによって、より正確な電流測定値を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験対象の導体を取り囲むように位置決め可能である磁気コアと、
前記磁気コアに隣接して位置決めされた磁界センサと、
前記磁気コアの少なくとも一部分の周りに巻き付けられた巻線と、
前記巻線及び前記磁界センサに結合された回路であって、動作中に、
前記巻線内に、前記導体を通って流れている電流から独立している交流電流(AC)消磁信号を発生させ、
前記磁気コア内に誘導された磁界を表す磁界センサからの磁界センサ信号を受信し、
前記磁界センサ信号に基づいて、前記導体を通って流れている電流の測定値を決定する、回路と、
を備える、測定デバイス。
【請求項2】
前記磁気コアが、可撓性マルチストランド磁気コアである、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項3】
前記AC消磁信号が、一定の大きさのAC電圧信号又は一定の周波数のAC電圧信号である、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項4】
前記AC消磁信号が、1ボルト~30ボルトの大きさを有する、若しくは、1ヘルツ~1000ヘルツの周波数を有する、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項5】
前記磁界センサが、ホール効果センサを備える、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項6】
動作中、前記磁界センサ信号に基づいて、前記導体を通って流れている電流の測定値を決定するために、前記回路が、前記磁界センサからの複数の測定値を平均して、前記AC消磁信号によって導入されるジッタを補償する、請求項1に記載の測定デバイス。
【請求項7】
前記AC消磁信号が、前記磁気コア内に誘導された磁界を表す前記磁界センサからの磁界センサ信号の受信と同時にアクティブになる、請求項1から6のいずれか1項に記載の測定デバイス。
【請求項8】
磁気コアを試験対象の導体の周りに位置決めすることと、
前記磁気コアの少なくとも一部分の周りに巻き付けられた巻線内に、前記導体を通って流れている電流から独立している交流電流(AC)消磁信号を発生させることと、
前記磁気コアに隣接して位置決めされた磁界センサから、前記磁気コア内に誘導された磁界を表す磁界センサ信号を受信することと、
前記磁界センサ信号に基づいて、前記導体を通って流れている電流の測定値を決定することと、を備える方法。
【請求項9】
前記磁気コアを位置決めすることが、可撓性磁気コアを試験対象の前記導体の周りに位置決めすることを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記磁気コアを位置決めすることが、可撓性マルチストランド磁気コアを試験対象の前記導体の周りに位置決めすることを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記AC消磁信号を発生させることが、一定の大きさ及び一定の周波数を有するAC消磁信号を発生させることを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記AC消磁信号を発生させることが、1ボルト~30ボルトの大きさ及び1ヘルツ~1000ヘルツの周波数を有するAC消磁信号を発生させることを備える、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
電流の測定値を決定することが、
前記磁界センサから複数の測定値を取得することと、
前記複数の測定値を平滑化して、前記AC消磁信号によって導入されるジッタを補償することと、を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記AC消磁信号を発生させることが、前記磁気コア内に誘導された磁界を表す前記磁界センサからの磁界センサ信号の受信と同時にAC消磁信号を発生させることを備える、請求項8から13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電流感知技術、より具体的には、直流(direct current、DC)電流感知技術、測定デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
直流(DC)を測定することができる典型的な非接触電流センサは、測定用の電気部品の周りに位置決め可能な剛性クランプを有するクランプ型センサ又はジョー型センサを利用する。モータは、クランプのジョーを開閉し、ジョーを位置合わせする。有効な測定には、正確なジョーの位置合わせが必要である。
【0003】
ジョーを開くには、大きい物理的空間が必要である。加えて、クランプセンサを電気パネル又は他の狭い空間内の電気部品の周りに位置付けることは、技術者にとって厄介又は煩雑であり得、測定されている電気部品又は近傍の構成要素に損傷を生じさせ得る。近傍の機械類からの振動が、これらの問題を悪化させる場合がある。ジョーが、大きい鉄製部品と、ジョーを開く、閉じる、及び位置合わせするためのモータとを含むので、クランプセンサは、典型的には、標準的な測定ツールよりも重い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロゴスキーコイルは、クランプ型電流センサよりも軽く、かつ可撓性である電流センサである。ロゴスキーコイルは、狭い空間において、大部分のクランプ型センサよりも使い易いが、ロゴスキーコイルは、DC電流の測定には好適でない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の概要は、「発明を実施するための形態」において以下で更に詳細に説明される概念の選択を簡略化された形態で紹介する。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を判定する際の補助として使用されることも意図されていない。
【0006】
本開示は、導体に接触することなく、導体を通って流れている直流(DC)を測定することができる電流センサを含む測定デバイスを記載する。測定デバイスは、可撓性磁気伝導性ストランドで作製されたループを含む測定プローブ(又は「電流センサ」)と、1つ以上の磁界センサと、ループの周りに巻き付けられたAC消磁コイルと、磁界センサ及びAC消磁コイルを測定デバイスの測定器具に結合する信号ケーブルと、を含み得る。1つ以上の磁界センサは、例えばホール効果センサとすることができ、磁気伝導性材料間の1つ以上の対応する間隙内に置かれる。電流センサは、測定された電流の値を計算及び表示する測定器具に結合可能であり得るか、又は結合され得る。
【0007】
可撓性磁気コア内の高い残留磁気を軽減するために、開ループAC消磁信号(例えば、正弦波、鋸波)が可撓性マルチストランド磁気コアに印加され得、これが、可撓性コアの磁気メモリを消磁又は「リセット」するように動作する。これは、可撓性コアの周りに巻き付ける巻線又はコイルと、本明細書ではAC消磁信号発生器とも称される、巻線に結合された駆動回路と、を含むことによって達成される。駆動回路は、可撓性コアが磁気を保持することを防止するAC消磁信号を巻線内に発生させるように構成されており、これにより、磁界センサがより正確な電流測定値を取得することを可能にする。少なくともいくつかの実装形態では、AC消磁信号は、例えば、常にオンであり、一定の周波数であり、かつ大きさ信号である。他の実装形態では、他の信号の形状、大きさ、周波数、及びタイミングが使用され得る。更に、少なくともいくつかの実装形態では、磁気コアは、可撓性磁気コアの代わりに剛性磁気コアである。
【0008】
様々な実施形態では、電流センサは、精度を向上させ、かつ外部磁界を補償するために、複数の磁界センサ又は追加の磁気伝導性セクションを含み得る。電流センサは、ロゴスキーコイルのような他のセンサと組み合わせて使用されて、技術者が単一の測定デバイスで複数のセンサを携持して使用することをより好都合にし得る。本開示の可撓性電流センサは、様々な電子測定デバイスにおいて潜在的な用途を有し、導体と直接接触することなく電流を測定する、より好都合で正確な方式を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の1つ以上の実装形態による、試験対象の導体を受容するためにループが開かれている電流測定デバイスの一実施例である。
【
図2】
図2は、本開示の1つ以上の実装形態による、導体を通って流れる電流を測定するためにループが導体の周りに閉じられた
図1の電流測定デバイスの実施例である。
【
図3】
図3は、本開示の1つ以上の実装形態による、磁気伝導性セクション又はコアの間に位置付けられた2つの磁界センサを含むループを有し、かつ消磁コイルを更に含む、電流測定デバイスのブロック図である。
【
図4】
図4は、本開示の1つ以上の実装形態による、磁気伝導性ストランドの束と、消磁コイルと、を含む、磁気コアの断面図を例示する。
【
図5】
図5は、本開示の1つ以上の実装形態による、電流測定デバイスの概略ブロック図である。
【
図6】
図6は、本開示の1つ以上の実装形態による、電流測定デバイスを動作させる方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の1つ以上の実装形態は、導体に接触することなく、導体を通って流れている電流を測定することができる電流センサに関するシステム、装置、及び方法を対象とする。様々な実装形態では、ロゴスキーコイルの可撓性ループと同程度のサイズ、形状、及び外観を有する可撓性電流センサが提供される。しかしながら、ロゴスキーコイルとは異なり、本明細書に記載される電流センサは、直流(DC)を感知することができる。いくつかの実装形態では、電流センサは、交流電流(alternating current、AC)を感知することができる。下で更に考察されるように、この機能を提供するために、本開示の電流センサは、試験対象の導体の正確なDC測定値を提供するための新規な開ループAC消磁機構を含む。
【0011】
非接触DC電流センサは、典型的には、磁界を測定するために磁気コアの間隙内に置かれたホール効果センサなどの1つ以上の磁界センサを有する剛性磁気コアを使用し、これは、試験対象の導体を通って流れる電流を示す。剛性コアは、磁界センサのための磁気コンセントレータとして作用して、磁気の遮蔽を提供する。しかしながら、剛性コア設計は、しばしば、限られた空間の領域内でのDC電流センサの使用を制限し得る。この限られた空間という問題に対処するために、本開示の1つ以上の実装形態は、磁気コンセントレータとして、剛性コアの代わりに可撓性マルチストランド磁気コアを提供する。
【0012】
剛性コアと比較して、実用的な用途に対して十分な強度を有するマルチストランド可撓性磁気コアは、磁気ヒステリシス効果のため、比較的高い残留磁気(「メモリ」)を呈し、これは、磁界センサによる測定値に誤差を生じさせる。可撓性磁気コア内の高い残留磁気を軽減するために、本開示の1つ以上の実装形態では、開ループAC消磁信号(例えば、正弦波、鋸波)が可撓性マルチストランド磁気コアに印加される。かかるAC消磁信号を使用して、可撓性コアの磁気メモリを消磁又は「リセット」し、測定誤差を増大させるコア内の磁界の蓄積を防止する。これは、可撓性コアの周りに巻き付ける巻線又はコイルと、本明細書ではAC消磁信号発生器とも称される、巻線に結合された駆動回路と、を含むことによって達成される。駆動回路は、可撓性コアが磁気を保持することを防止するAC消磁信号を巻線内に発生させるように構成されており、これにより、磁界センサがより正確な電流測定値を取得することを可能にする。
【0013】
概して、閉ループ消磁システムは、(1)試験対象の導体の電流の振幅とともに増減し、かつ(2)試験対象の電流に関する知識を必要とする、DC電流でコイルを駆動する必要があり、これは、フィードバックシステムを必要とする。これは、相当な電力量を必要とし、特に電池式デバイスには望ましくない。対照的に、本開示の実装形態において発生する開ループAC消磁信号は、既存の閉ループシステムよりもはるかに少ない電力しか必要としない。上述したように、既存の閉ループシステムは、試験対象の電流の大きさに関する情報を提供するための回路が必要であり、かつ測定電流の大きさとともに増減する試験対象の導体の電流によって導入されるバイアスを相殺するのに十分な電流でコイルを駆動するための追加の回路が必要である。対照的に、本明細書で考察される少なくともいくつかの実装形態では、本開示の開ループ設計は、比較的単純な回路を利用して、測定中に連続的に続く一定の振幅及び一定の周波数のAC信号(例えば、正弦波)を発生させる。
【0014】
上述したように、本開示の開ループ消磁設計によって、非常に単純な信号発生器が使用され得る。複雑なフィードバック制御、かなりの電流量を駆動し得る増幅器、又は測定値を取得して消磁信号を発生させるタイミングを正確に制御する制御システムに対する必要性が存在しない。追加的に、いくつかの実装形態における一定の大きさのAC信号の使用は、より多くの複素信号(例えば、シンク関数)を使用することと比較して、設計のコスト及び複雑さを更に低減する。
【0015】
本明細書の他の場所で考察されるように、本開示の実装形態は、数多くの技術的利点を提供する。これらの技術的利点のいくつかを下で更に考察する。
【0016】
少なくともいくつかの実装形態では、DC電流センサの磁気コアの周りに巻き付けられるAC消磁巻線又はコイルが提供され、かつ、試験対象の導体を通って流れる電流から独立してAC消磁信号を発生させるAC消磁信号発生器回路が更に提供される。この特徴は、有利には、閉ループ消磁システムと比較して、電力消費を大幅に低減する。この特徴は、試験対象の電流の大きさとともに増減する、大きいDC駆動電流の発生を必要としない。この特徴はまた、試験対象の電流及びその機能のための関連する回路の知識を必要としない。
【0017】
追加的に、少なくともいくつかの実装形態では、巻線は、一定の振幅又は一定の周波数を有するAC消磁信号で駆動される。これは、より複雑な関数(例えば、シンク関数)を使用することと比較して、コストの削減、より少ない構成要素、及びより軽減された複雑さを提供する。
【0018】
更に、少なくともいくつかの実装形態では、AC消磁信号は、試験対象の導体内の電流の測定中にアクティブである。他のシステムでは、消磁信号は、ある期間にわたってオンにされてコアを消磁し、次いで、測定値が得られる前にオフにされる。しかしながら、そのようなシステムでは、磁気コアは、極めて急激に磁気が蓄積するので、消磁信号がオフにされた後の短い時間であっても測定値を取得するが、不正確な測定値を生じさせ得る。本明細書で考察される少なくともいくつかの実装形態にあるように、測定値を取得している間にAC消磁信号がアクティブであることによって、磁気コアは、消磁信号が活性化している間に測定値が得られるので、測定値につながる磁気を蓄積しない。更に、消磁を「常にオン」にすることができるので、消磁信号及び測定の正確なタイミングを制御する必要がない。
【0019】
従来のシステムは、巻線をとおして比較的大きい電流の消磁信号を駆動し得る。1つの改善として、本明細書に開示される様々な実施形態は、消磁信号のために、電流信号の代わりに電圧信号を使用する。開示されるように、電圧消磁信号トポロジの構成要素によって必要とされる電力は、通常、電流消磁信号よりも小さい。
【0020】
更に、少なくともいくつかの実装形態では、磁界センサ信号は、平滑化されて(例えば、平均されて)、測定中にAC消磁信号をアクティブにすることによって生じたあらゆるジッタを除去又は低減する。平滑化アルゴリズムの非限定的な例としては、1つ以上のタイプの平均化アルゴリズム、フィルタリングアルゴリズム、などが挙げられる。この特徴は、有利には、測定値が取得されている間にAC消磁信号をアクティブにすることを可能にし、又は少なくとも、消磁信号がアクティブである間により正確な測定値を取得することを可能にする。磁界センサ信号を平滑化しなければ、AC消磁信号は、コアに誘導されて磁界センサによって感知される磁界のジッタを作成し得る。この平均化特徴又はフィルタリング特徴は、AC消磁信号によって導入されたAC成分をフィルタリングしながら、試験対象の導体を通って電流が流れていることを表す誘導界内のDC成分を保持する。この特徴はまた、システムによって要求される、測定を行う前に消磁信号をオフにするという特定のタイミング要件を必要としない、「常にオンの」消磁信号を可能にすることによって、複雑さ及びコストを低減する。
【0021】
本開示の実装形態の様々な特徴を、図面を参照して更に下で考察する。
【0022】
以下の説明では、様々な開示された実装形態の完全な理解が得られるように、特定の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者は、これらの具体的な詳細のうちの1つ以上を伴わずに、又は他の方法、構成要素、材料などを伴って実装形態を実践することができることを理解するであろう。他の場合では、コンピュータシステム、サーバコンピュータ、及び/又は通信ネットワークに関係する周知の構造は、実装形態の説明を必要以上に不明瞭にすることを避けるためにも、詳細には示されていないか又は記載されていない。
【0023】
文脈上その他の意味に解すべき場合を除き、以下の明細書及び特許請求の範囲の全体をとおして、用語「備える(comprising)」とは用語「含む(including)」と同義であり、包括的であり、つまり限定的ではない(すなわち、更なる記載されていない要素又は方法の行為を除外しない)。
【0024】
本明細書の全体をとおして「一実装形態(one implementation)」又は「一実装形態(an implementation)」を参照することは、実装形態に関して記述された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実装形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体をとおして様々な場所における「一実装形態において(in one implementation)」又は「一実装形態において(in an implementation)」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実装形態に言及するものではない。更に、1つ以上の実装形態では、特定の特徴、構造、又は特性は、任意の好適な様式で組み合わせることができる。
【0025】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際に、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0026】
本開示の目的のために、別途指示されない限り、「A及びB」という句は、非限定的であり、(A)のうちの1つ以上、及び(B)のうちの1つ以上を意味し、「A又はB」という句は、非排他的であり、(A)のうちの1つ以上、(B)のうちの1つ以上、又は(A及びB)のうちの1つ以上を意味し、「A及び/又はB」という句は、(A)のうちの1つ以上、(B)のうちの1つ以上、又は(A及びB)のうちの1つ以上を意味し、「A及びBのうちの少なくとも1つ」という句及び「A及びBのうちの1つ以上」という句はどちらも、(A)のうちの1つ以上及び(B)のうちの1つ以上を意味し、「A又はBのうちの少なくとも1つ」という句及び「A又はBのうちの1つ以上」という句はどちらも、(A)のうちの1つ以上、(B)のうちの1つ以上、又は(A及びB)のうちの1つ以上を意味する。拡張として、例えば、「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」及び「A、B、又はCのうちの1つ以上」という句はどちらも、(A)のうちの1つ以上、(B)のうちの1つ以上、(C)のうちの1つ以上、(A及びB)のうちの1つ以上、(A及びC)のうちの1つ以上、(B及びC)のうちの1つ以上、(A、B、及びC)のうちの1つ以上を意味する。上記において、A、B、及びCは、要素、特徴、配置、構成要素、構造、態様、アクション、ステップなどの任意の形態又はタイプを表す。
【0027】
図1は、電流センサ部分102(「電流センサ」)と、測定器具110と、を有する、測定デバイス100を示す。電流センサ102は、磁気伝導性材料又は「磁気コア」を含む可撓性ループ104を含む。下で考察されるように、磁気コアは、試験対象の導体を取り囲むように位置決め可能である。少なくともいくつかの実装形態では、磁気伝導性材料は、複数の磁気伝導性ストランドを含む。ストランド、したがって、ループ104は、可撓性又は屈曲性であり得る。下で更に考察されるように、ストランドの各々は、ストランドを互いに断熱するのを補助する断熱材料の外層を含み得る。電流センサ102は、モータによって開閉する重い剛性ジョーを使用するのではなく、ループ104を使用して、ループ内に含まれる導体内の電流の流れを感知する。少なくともいくつかの実装形態では、ループ104は、導体を通って流れている電流を遮断せずに試験対象の導体C(
図2を参照されたい)の周りに置かれ得るように開閉され得る。
【0028】
本明細書で詳細に考察されるように、ループ104内の複数の可撓性磁気伝導性ストランドは、織られ得、編組され得、撚られ得、又はパターンで配置され得る。ループ104はまた、
図1に示されない少なくとも1つの磁界センサと、可撓性部分を含み得る信号ケーブル108と、を含む。信号ケーブル108は、1つ以上の磁界センサなどの、ループ104の1つ以上の構成要素に結合され得る。
【0029】
図3を参照して下で更に考察されるように、1つ以上の磁界センサは、磁気コアの対応する1つ以上の間隙内に置かれ得、したがって、1つ以上の間隙によって分けられた複数のセクションを備え得る。いくつかのタイプの磁界センサが使用され得る。非限定的な例として、1つ以上の磁界センサとしては、ホール効果センサが挙げられる。少なくともいくつかの実装形態では、ループ104は、1つ以上の磁界センサを含み、かつ磁界センサを保護する、ペンダント106を含む。
【0030】
電流センサ102は、測定器具110に結合されるか、又は結合可能である。信号ケーブル108は、ペンダント106の下部分112から延在し得、対応する結合具に、又は測定器具110のハウジング116のポート118に差し込まれる結合具114を含み得る。測定器具110は、電流センサ102によって提供される出力を受信し、電流値を計算し、かつ計算された電流値をユーザに出力又は提示することができる回路を含む。下で更に考察されるように、測定器具の回路は、AC消磁信号を発生させるように更に動作可能であり得る。測定器具110の回路はまた、他のセンサからの入力を受信して測定値を計算するなどの、他の機能を提供し得る。例えば、測定器具110は、マルチメータなどの様々な電子測定デバイスとして具現化され得る。電流センサ102によって感知された電流フローを表す測定値は、測定器具110のディスプレイ120上に表示され得る。
【0031】
電流センサ102に結合されるか、又は結合可能である他に、測定器具110は、ロゴスキーコイル又は1つ以上の他のセンサ(例えば、電圧センサ、電流センサ)に結合され得るか、又は結合可能であり得る。例えば、結合具114は、ロゴスキーコイルからの結合具と実質的に同じであり得、電流センサ102又はロゴスキーコイルのいずれかが、測定器具110のハウジング116の結合具又はポート118に差し込まれ得る。いくつかの実装形態では、測定器具110は、複数のポートを有し得るか、又は電流センサ102若しくは他のセンサ及びデバイスと通信するための無線通信機能を含み得る。いくつかの実装形態では、測定器具110は、AC及びDCを測定するための機能を提供するように、ロゴスキーコイル及び電流センサ102に同時に結合され得るか、又は結合可能であり得る。
【0032】
測定器具110は、測定器具110へのユーザ入力に応答して電流センサ102又はロゴスキーコイルから入力された測定値を選択的に表示するように構成され得る。かかる実装形態は、技術者が、センサごとに別個の測定デバイスを携持するのではなく、測定器具110を携持して、電流センサ102及び他のセンサを有する測定器具を使用することを可能にする。例えば、技術者は、ロゴスキーコイルを有する測定器具110を使用してAC電流を測定し得、電流センサ102を使用してDC電流を測定し得る。これは、技術者が労働現場内で携持しなければならない機器のサイズ及び重量が低減され得、また、測定デバイスを交換するために労働現場を行き来する回数を低減し得る。
【0033】
図1をなおも参照すると、電流センサ102のループ104は、締結要素126を有する第1の端部124を含み得る。ループ104は、ループ104の第2の端部130に又はその近くに取り付けられた締結具受容器128を有し得る。締結要素126及び締結具受容器128は、互いに嵌合するように構成されている。例えば、締結要素126及び締結具受容器128は、それぞれ、4分の1回転型締結具及び適合する締結具受容器を備え得る。少なくとも1つの磁界センサは、第1の端部124及び第2の端部130のうちの一方に位置決めされ得、磁気伝導性材料は、第1の端部124及び第2の端部130のうちの他方に位置決めされ得る。
【0034】
磁気伝導性材料は、少なくとも1つの磁界センサの感知素子に磁界を提供し得る。磁界センサと磁気伝導性材料との間には間隙が存在し得、磁気伝導性材料からの磁界は、間隙を横断して通り得る。
【0035】
ループ104及び1つ以上の磁界センサの一貫した正確な位置決めは、正確で信頼性の高い測定値を達成するのを補助し得る。いくつかの実装形態では、磁気伝導性材料と磁界センサとの間の間隙は、最小にされる。間隙を最小にすることは、界の損失及び外部の界からの干渉を低減し得る。いくつかの実装形態では、締結要素126及び締結具受容器128を嵌合することは、磁界が磁界センサを通って集束されるように、磁気伝導性材料と磁界センサとを自動的に位置決め又は位置合わせする。締結要素126と締結具受容器128との嵌合は、第1の端部124及び第2の端部130を互いに隣接して位置決めし得、ストランド及び磁界センサによって提供される磁界と位置合わせし得、及び/又は磁気伝導性材料と磁界センサとの間の間隙を最小にし得る。
【0036】
図2は、動作中の電流センサ102を示す。電流センサ102は、信号ケーブル108を介して測定器具110に接続される。ループ104が閉じられて、DC電流が通って流れている導体Cの周りに位置付けられる。締結要素126及び締結具受容器128が嵌合され、嵌合を介して、ストランドなどの磁気伝導性材料及び磁気センサが位置合わせされる。非限定的な例として、0.2mAの測定電流値がディスプレイ120上に表示される。
【0037】
図3は、2つの磁界センサ304a及び304b(「磁界センサ304」)と、第1の部分306a及び別個の第2の部分306bを含む「磁気コア」とも称される磁気伝導性セクション306と、を備えるループ部302を有する、測定デバイス300を示す。測定デバイス300は、
図1に表される測定デバイス100と数多くの類似性を共有し得るか、又は同じ特徴を有し得る。したがって、本明細書に簡潔にするために、
図1の説明は繰り返さない。
【0038】
図3に示されるように、測定デバイス300は、試験対象の導体320を含む内部空間322及びループの外側の外部空間324を画定する閉鎖位置にある。磁気伝導性セクション306aは、第1の端部308aと、第2の端部308bと、を有し得る。同様に、磁気伝導性セクション306bは、第1の端部308cと、第2の端部308dと、を有し得る。少なくともいくつかの実装形態では、磁気伝導性セクション306の各々は、複数の磁気伝導性材料のストランドを含む。ループ302は、ループ302の任意の構成要素を測定器具314に結合するための好適な電気的接続又は回路を提供し得る信号ケーブル316を介して、測定器具314に結合され得る。間隙310aは、それぞれ、磁気伝導性セクション306a及び306bの端部308a及び308cの間に画定され得る。同様に、間隙310bは、それぞれ、磁気伝導性セクション306a及び306bの端部308bと308dの間に画定され得る。
【0039】
磁界センサ304aは、間隙310a内に位置決めされて、磁気伝導性セクション306aの第1の端部308a及び磁気伝導性セクション306bの第1の端部308cのうちの少なくとも1つに取り付けられ得るか、又は取り付け可能であり得る。同様に、磁界センサ304bは、間隙310b内に配設されて、磁気伝導性セクション306aの第1の端部308b及び磁気伝導性セクション306bの第1の端部308dのうちの少なくとも1つに取り付けられ得るか、又は取り付け可能であり得る。端部308a~308dのうちの1つ以上は、磁界センサ304a~304bに取り付けられずに、磁界センサに隣接して位置決めされ得る。
図1を参照して上で考察されたように、デバイス300は、技術者がループを開閉することを可能にする、1つ以上の締結具を含み得る。1つ以上の締結具は、磁界センサのうちの1つ以上に隣接して位置決めされ得るか、又は1つ以上の磁界センサから離間されたループ内に位置決めされ得る。矢印326によって示される、電流が導体320を通って流れることによって発生する磁界は、磁気伝導性セクション306によって集中又は集束され得る。
【0040】
測定デバイス300によって決定されるDC電流測定値は、「開ループ」電流感知又は「閉ループ」電流感知を使用して取得され得る。磁界センサ304は、ループ302で取り囲まれた導体320を通って流れている電流を示す出力信号を提供し得る。例えば、磁界センサ304は、ホール効果センサであり得、センサのホール電圧は、出力信号として測定器具314に提供され得る。
【0041】
図3に示されるように、測定デバイス300は、磁気伝導性セクション306の外部にあり、かつその周りに巻き付けられたコイル又は巻線312を含む。下で更に考察されるように、本明細書ではAC消磁コイル又は巻線と称されるコイル312は、導電性であり、信号ケーブル316に結合され得、これが次に、AC消磁信号発生器回路318に結合される。測定デバイス300は、AC消磁信号発生器回路318を使用してコイル内にAC電圧を発生させ、磁気伝導性セクション306を消磁又は「リセット」する。コイル312は、実質的にループ全体302又はその一部分の周りに巻き付けられ得る。
【0042】
上で考察されたように、剛性コアと比較して、マルチストランド可撓性磁気伝導性部分又はコア306は、磁気ヒステリシス効果のため、比較的高い残留磁気(「メモリ」)を呈し得、磁界センサ304による測定値に誤差を生じさせる。AC消磁信号発生器回路318によって発生した開ループAC消磁信号(例えば、正弦波、鋸波)が磁気伝導性セクション306に印加され、これが、可撓性コアの磁気メモリを消磁又は「リセット」するように動作する。巻線312内のAC消磁信号は、可撓性コアが磁気を保持すること、又は蓄積することを防止し、それによって、磁界センサが磁気コア内の磁界を感知して試験対象の導体内の電流を決定する際に、より正確な電流測定値を取得することを可能にする。
【0043】
少なくともいくつかの実装形態では、本開示の開ループ設計は、回路を利用して、測定中に連続的に続く一定の振幅及び/又は一定の周波数のAC信号(例えば、5Vの正弦波、10Vの鋸波)を発生させる。非限定的な例として、少なくともいくつかの実装形態では、AC消磁信号は、1ボルト~30ボルト、4ボルト~20ボルト、又は6ボルト~12ボルトの大きさを有する。少なくともいくつかの実装形態では、AC消磁信号は、1ヘルツ~1000ヘルツ、10ヘルツ~250ヘルツ、又は25ヘルツ~100ヘルツの周波数を有する。
【0044】
上で考察されたように、測定デバイス300は、2つよりも少ない、又は2つを超える磁界センサを含み得る。ループ302の内部空間を横断して互いに位置決めされた2つの磁界センサを使用することは、外部空間324の外部の界を補償するのを補助し得る。外部空間324からの磁気の影響を相殺又は低減することによって、コイル312は、測定の不正確さを低減するのを補助し得る。
【0045】
ループ302は、絶縁体材料層を含み得る。第1の磁気伝導性セクション306a、第1の磁界センサ304a、第2の磁気伝導性セクション306b、及び第2の磁界センサ304bは、絶縁体材料層によって覆われ得る。少なくともいくつかの実装形態では、第1の磁気伝導性セクション306aの長さ及び第2の磁気伝導性セクション306bの長さは、実質的に同じであり得る。少なくともいくつかの実装形態では、第1の磁界センサ304a及び第2の磁界センサ304bは、内部空間322を横断して互いに位置付けられ得る。
図1及び
図2を参照して上で考察されたように、ループ302は、締結具を更に含み得る。ループ302は、開閉され得、
図3に示される導体320などの測定される電気部品若しくは導体の周囲に、又はそれを取り囲むように置かれ得る。
【0046】
他の実装形態が可能である。例えば、ループ302は、第1の磁気伝導性セクション306a及び第2の磁気伝導性セクション306bに加えて、磁気伝導性材料の1つ以上の追加の別個のセクションを含み得る。追加の磁界センサは、磁気伝導性材料のセクション間の間隙内に配置され得る。また、本開示の電流センサは、異なる磁界センサを使用し得る。例えば、磁界センサは、ホール効果センサ、フラックスゲート、異方性磁気抵抗体(anisotropic magnetoresistor、AMR)センサ、又は巨大磁気抵抗(giant magnetoresistance、GMR)センサのうちの1つ以上を含み得る。磁界センサは、間隙内の磁界の強度を測定することができる他のデバイスを含み得る。
【0047】
図4は、本明細書の他の場所に記載されたコアなどの磁気伝導性部分又はコアの一部分を形成し得る複数の磁気伝導性ストランド402を含む、例示的な束400の断面図を示す。少なくともいくつかの実装形態では、ストランド402は、束400の長さにわたってストランドの互いに対する相対的位置が変化するように配置される。ストランドは、磁気伝導性材料を含む内側部分406を備える。ストランドは、ストランドを互いに断熱するための断熱材料を有する外側部分404を含み得る。ストランドは、断熱材料の外側部分の有無にかかわらず、本開示の様々な実装形態に好適である。複数のストランドを使用することは、センサ内に電流を形成させ、センサの加熱を生じさせて、磁界を測定するセンサの能力を制限し得る、渦効果を最小にする。複数のストランドを使用することはまた、磁気伝導性セクションをより可撓性又は屈曲性にし得る。
【0048】
いくつかの実装形態では、ストランドが束の長さにわたって束の外側部分にある長さとほぼ同じ長さだけ内側部分にあるように、ストランドが束400の内側部分及び外側部分に交互にある。いくつかの実装形態では、ストランドは、束400の長さにわたって内側部分及び外側部分に平均して同じ量が位置付けられ得る。ストランドを配置する際には、様々なパターンが使用され得る。いくつかの実装形態では、各ストランドが束400の外側部分又は外側部分にある全長の比率は、ほぼ同じである。これらのパターンは、本明細書に記載される電流センサのループに耐久性及び可撓性があることを可能にするなどの、電気的及び機械的利点を提供し得る。ストランドを配置する様々なパターン及び/又はストランドのサイズは、束に弾性を持たせることを可能にし得る。いくつかのパターンは、ループに可撓性、また弾性を持たせることを可能にし得る。かかる特性は、既存の電流センサに勝る有意な利点を提供する。
【0049】
図3に関して上で考察されたように、正確で一貫した測定値を提供するためには、1つ以上の磁界センサに対する磁気伝導性材料の正確で一貫した位置決めが重要であり得る。ストランドの端部と磁界センサとの間の距離が最小にされ得、ストランドが磁界センサと位置合わせされ得る。いくつかの磁気伝導性材料は、典型的な導体材料のように可撓性でない場合があり、いくつかのストランドは、時間及び使用状況によって硬化及び/又は破損して、数千分の1インチの寸法の変化を生じさせ得る。磁界センサに対してストランドを位置決めする際のかかる変化は、一貫しない測定値を生じさせ得る。いくつかの実装形態では、ストランドと磁界センサとの間の正確な距離は、端部を研磨することによって達成される。いくつかの実装形態では、ストランドの端部はエポキシによって封止されて、ストランドが曲げられた後のストランドの場所を一貫して維持するのを補助する。
【0050】
図3のコイル312を参照して上で考察されたように、束400は、束の周りに巻き付けられた消磁巻線又はコイル410を含み得る。巻線410は、断熱層408の上に巻き付けられ得るか、又は断熱層408内に含まれ得る。追加的又は代替的に、巻線410を含む束400全体を保護して絶縁を提供するために、絶縁層又は保護層が巻線410の上に提供され得る。
【0051】
ストランド及び束のパターンの様々な組み合わせが、本明細書に開示される電流センサの実装形態とともに利用され得る。様々な巻線技術が、ストランド及び/又はストランドの束を配置し得る。いくつかの実装形態では、ストランドがリッツパターンで配置されるように、リッツ巻線技術が使用され得る。例えば、ストランドは、磁気伝導性材料を含み得、New England Wire TechnologiesによるRound Type2ワイヤと同様に配置され得る。
【0052】
束は、束の端部が磁界センサの感知素子と重なるようにサイズ決定及び構成され得る。例えば、束に含まれるストランドの数及び束の形状は、束の内側部分及び外側部分を含む、感知素子のサイズ及びストランドの断面積に基づいて決定され得る。例えば、束の端部を磁界センサの感知素子と重ねるには、感知素子の表面積及び寸法は、束の端部の断面積が磁界センサの感知素子の面積よりも大きくなり、それにより、束内のストランドからの磁界が磁界センサによって感知される程度になり得る。
【0053】
本開示の実装形態の磁気伝導性材料は、例えば、少なくとも5.0×10-3H/mの透磁率を有し得る。かかる透磁率材料を有する材料は、材料の近くの磁界を増加させ、これは、磁界センサを含む間隙を横断する磁界を集束させるのを補助し得る。ストランドの透磁率を高めることは、本明細書で考察される電流センサなどの電流センサの感度を高め得る。例えば、ストランドの内側部分内の磁気伝導性材料は、電気鋼などのニッケル鉄合金を含み得る。
【0054】
いくつかの実装形態では、ストランドの磁気伝導性材料は、ミューメタルを含む。ミューメタルは、少なくとも2.5×10-2H/mの透磁率を有し得る。市販のミューメタルの例としては、MuMETAL、Mumetall、及びMumetal2が挙げられる。ミューメタルは、細いワイヤに形成され得る。また、ストランドは、延性及び加工性がある材料を含むことが求められる。試験される電気部品又は導体の周りに置かれたときに束400がへこまない又は恒久的に撓まないような、ストランドにとって良好な弾力性を有する透磁性材料は、相当な利点を提供し得る。ミューメタルストランドは、有利な弾力特性を有しており、かつ他のニッケル鉄合金よりも延性及び加工性が高い。電気鋼などの低い損失正接を有する材料が使用され得る。低い損失正接を有する材料を使用することは、向上した精度及び再現性特性を提供し得る。
【0055】
動作中に、磁界は、磁気伝導性ループの複数の断熱磁気伝導性ストランドの端部から、複数の断熱磁気伝導性ストランドの端部に隣接して位置決めされた磁界センサへと通され得る。信号は、複数のストランドの端部を通った磁界に基づいて、試験されている電気部品又は導体を通って流れている電流を表す、磁界センサによる出力であり得る。
【0056】
図5は、測定器具504と、磁気コア502を有するセンサプローブと、を含む測定デバイス500の電気部品の概略ブロック図を示す。測定デバイス500は、本明細書で考察される測定デバイスのうちのいずれかと同様又は同一であり得る。上で考察されたように、センサプローブ502は、測定器具504に動作可能に結合された配線又は回路510に動作可能に結合された非接触センサ506及び消磁コイル508を含む。
【0057】
測定器具504は、処理及び/又は制御回路512と、ディスプレイ518を含むユーザインターフェース516と、メモリ514と、を含む。ディスプレイ518を含むユーザインターフェース516は、測定結果及び他の情報をユーザに提供する。ユーザインターフェース516は、測定命令又は他の情報などのユーザ入力情報を受容するように更に構成されている。ディスプレイ518は、ユーザへ通信するための、センサプローブ502から受信した測定値を示す、読み出された情報及び波形を提供し得る。ディスプレイ518は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)ディスプレイ、有機LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は電子インクディスプレイなどの、任意の好適なタイプのディスプレイであり得る。ユーザインターフェース516は、有線若しくは無線通信インターフェース、オーディオ入力若しくは出力、視覚出力、タッチスクリーン入力、ボタン、ノブ、ホイール、又は他のタイプのユーザインターフェース要素を含む、様々な入力及び出力を含み得る。
【0058】
測定器具504の処理及び/又は制御回路512は、非接触センサ506との間で信号を送信、受信するための、及び/又は信号を処理するための回路を含む。回路512は、コア502を有するセンサプローブの磁気コアの周りに巻き付けられた消磁コイル508に提供されるAC消磁信号を発生させるように更に動作する。回路512は、受信信号を処理し、信号をユーザインターフェース516に出力し得る。受信信号は、電圧及び電流などの電気的パラメータを示す信号を含み得る。回路512は、電力又は位相角などの1つ以上の電気的パラメータを決定するように構成され得る。回路512は、追加的又は代替的に、アナログ形態(例えば、0~1V)又はデジタル形態(例えば、8ビット、16ビット、64ビット)などの別の測定器具によって受信可能な形態に信号を調整又は変換するように動作する、調整回路又は変換回路を含み得る。回路512は、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロコントローラ、DSP、ASIC、FPGA)、1つ以上のタイプのメモリ(例えば、ROM、RAM、フラッシュメモリ、他の非一時的な記憶媒体)、及び/又は1つ以上の他のタイプの処理若しくは制御関連構成要素を含み得る。
【0059】
いくつかの実装形態では、測定器具504は、別の器具への無線通信のために構成されている。無線通信は、Bluetooth(登録商標)モジュール、Wi-Fi(登録商標)モジュール、ZIGBEE(登録商標)モジュール、近距離無線通信(near field communication、NFC)モジュールなどの無線通信サブシステムを含み得る。測定器具504は、測定結果を外部システムに送信するために、あるいは命令信号又は入力情報を外部システムから受信するために、無線通信サブシステムを介して、コンピュータ、スマートフォン、タブレット、パーソナルデジタルアシスタントなどの外部システムと無線通信するように動作可能であり得る。測定器具504は、追加的又は代替的に、USBインターフェースなどなどの有線通信サブシステムを含み得る。
【0060】
図示されていないが、測定器具504は、測定器具504及びセンサプローブ502の様々な電気部品に電力を供給するためのバッテリ又はバッテリパックなどの電力供給源を含む。測定器具は、追加的又は代替的に、外部電力供給源に結合するためのポートを含み得る。
【0061】
図6は、本明細書に開示される測定デバイスのうちのいずれかなどの測定デバイスを動作させる方法600を示す。方法600は、602で、電流測定デバイスの磁気コアを試験対象の導体の周りに位置決めすることを含む。磁気コアは、剛性コア、可撓性コア、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。磁気コアは、ワイヤの複数の可撓性ストランドを備えている可撓性コアであり得る。604で、測定デバイスの回路は、磁気コアの周りに巻き付けられた巻線に交流電流(AC)消磁信号を発生させ得、AC消磁信号は、導体を通って流れている電流から独立している。AC消磁信号は、一定の電圧正弦波又は鋸波などの、一定の大きさの信号及び/又は一定の周波数信号であり得る。非限定的な例として、AC消磁信号は、4ボルト~20ボルトの大きさ及び10ヘルツ~250ヘルツの周波数を有し得る。少なくともいくつかの実装形態では、AC消磁信号の大きさ又は周波数は、可変であり得る。
【0062】
606で、回路は、測定デバイスの磁界センサ(例えば、1つ以上のホール効果センサ)から磁界センサ信号を受信し、磁界センサ信号は、磁気コア内で誘導された磁界を表す。少なくともいくつかの実装形態では、AC消磁信号は、磁気コア内に誘導された磁界を表す磁界センサからの磁界センサ信号の受信と同時にアクティブになり得る。
【0063】
608で、回路は、磁界センサ信号に基づいて、導体を通って流れている電流の測定値を決定する。少なくともいくつかの実装形態では、回路は、磁界センサ信号に基づいて、導体を通って流れている電流の測定値を決定するために、磁界センサからの複数の測定値を平均して、又は別様にフィルタリングして、AC消磁信号によって導入されるジッタを補償し得る。したがって、受信した磁界センサ信号を平均することによって消磁信号によるAC成分がフィルタリングされるので、結果として生じる測定値は、試験対象の導体のDC電流に対応する磁気コア内の磁界のDC成分を正確に表す。
【0064】
610で、測定デバイスは、技術者が使用するために、又は他の目的で、電流測定値を保存又は出力し得る。上で考察されたように、測定デバイスは、様々なタイプの入力、出力、有線、又は無線通信インターフェースなどを含み得る、ユーザインターフェースを含み得る。
【実施例0065】
1つの例示的な実施形態は、測定デバイスを含む。測定デバイスは、試験対象の導体を取り囲むように位置決め可能である磁気コアを含む。測定デバイスはまた、磁気コアに隣接して位置決めされた磁界センサと、磁気コアの少なくとも一部分の周りに巻き付けられた巻線と、を含む。測定デバイスはまた、巻線及び磁界センサに結合された回路を含む。動作中に、回路は、巻線内に交流電流(AC)消磁信号を発生させ、AC消磁信号は、導体を通って流れている電流から独立しており、磁気コア内に誘導された磁界を表す磁界センサからの磁界センサ信号を受信し、磁界センサ信号に基づいて、導体を通って流れている電流の測定値を決定する。
【0066】
実装形態は、任意の組み合わせで、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。磁気コアは、可撓性であり得、例えば、少なくともいくつかの実装形態では、磁気コアは、可撓性マルチストランド磁気コアである。AC消磁信号は、一定の大きさのAC電圧信号及び/又は一定の周波数のAC電圧信号であり得る。AC消磁信号は、1ボルト~30ボルトの大きさを有し得る。AC消磁信号は、1ヘルツ~1000ヘルツの周波数を有し得る。AC消磁信号は、磁気コア内に誘導された磁界を表す磁界センサ信号を磁界センサから受信するのと同時にアクティブになり得る。磁界センサは、ホール効果センサを含み得る。磁界センサは、2つ以上のホール効果センサを含み得る。少なくともいくつかの実装形態では、回路は、磁界センサからの複数の測定値を平均して、AC消磁信号によって導入されるジッタを補償する。
【0067】
1つ以上の実施形態は、方法であって、磁気コアを試験対象の導体の周りに位置決めすることと、磁気コアの少なくとも一部分の周りに巻き付けられた巻線内に交流電流(AC)消磁信号を発生させることであって、AC消磁信号が、導体を通って流れている電流から独立している、発生させることと、磁気コアに隣接して位置決めされた磁界センサから磁界センサ信号を受信することであって、磁界センサ信号が、磁気コア内に誘導された磁界を表す、受信することと、磁界センサ信号に基づいて、導体を通って流れている電流の測定値を決定することと、を含む、方法を含み得る。
【0068】
実装形態は、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。磁気コアを位置決めすることは、可撓性磁気コアを試験対象の導体の周りに位置決めすることを含み得る。磁気コアを位置決めすることは、可撓性マルチストランド磁気コアを試験対象の導体の周りに位置決めすることを含み得る。AC消磁信号を発生させることは、一定の大きさ及び一定の周波数を有するAC消磁信号を発生させることを含み得る。
【0069】
上述の様々な実装形態は、それらを組み合わせることによって更なる実装形態を提供することができる。本明細書で言及された、かつ/又は出願データシートに列挙された米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、及び非特許刊行物は全て、それらの全体が参照により本明細書に援用される。実装形態の態様は、必要な場合には、様々な特許、明細書、及び刊行物の概念を用いて、更なる実装形態を提供するために修正され得る。
【0070】
上記の詳細な説明に照らして、これら及び他の変更を実装形態に行うことができる。通常、以下の特許請求の範囲において使用する用語は、明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実装形態に対する特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではないが、こうした特許請求の範囲に権利を与える均等物の全範囲とともに全ての考えられる実装形態を含むものと解釈すべきである。したがって、「特許請求の範囲」は、本開示によって制限されるものではない。