IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧 ▶ 極東開発工業株式会社の特許一覧

特開2024-152642コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法
<>
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図1
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図2
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図3
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図4
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図5
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図6
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図7
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図8
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図9
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図10
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図11
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図12
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図13
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図14
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図15
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図16
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図17
  • 特開-コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152642
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/02 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
E04G21/02 103
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052359
(22)【出願日】2024-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2023065276
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】沢田 泰直
(72)【発明者】
【氏名】依田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】城島 裕介
(72)【発明者】
【氏名】井上 幹也
(72)【発明者】
【氏名】大西 有輝
【テーマコード(参考)】
2E172
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172CA31
2E172CA33
2E172CA58
(57)【要約】
【課題】配管内の生コンクリートの流動性の低下を抑制できる、コンクリート圧送装置を提供すること。
【解決手段】コンクリート圧送装置1は、生コンクリートを打設位置Pまで圧送するものである。このコンクリート圧送装置1は、生コンクリートを圧送するポンプ10と、ポンプ10から打設位置Pまで延びてポンプ10で圧送された生コンクリートが流通する配管20と、ポンプ10を制御するポンプ制御装置30と、配管20の所定箇所に取り付けられて配管20を振動させるバイブレータ40と、バイブレータ40を制御するバイブレータ制御装置50と、を備える。ポンプ制御装置30は、ポンプ10を作動させるとともに、ポンプ10の作動に連動してバイブレータ制御装置50に作動信号を送信する。バイブレータ制御装置50は、ポンプ制御装置30から受信した作動信号に基づいて、バイブレータ40を作動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生コンクリートを打設位置まで圧送するコンクリート圧送装置であって、
生コンクリートを圧送するポンプと、
前記ポンプから前記打設位置まで延びて前記ポンプで圧送された生コンクリートが流通する配管と、
前記ポンプを制御するポンプ制御装置と、
前記配管の所定箇所に取り付けられて前記配管を振動させるバイブレータと、
前記バイブレータを制御するバイブレータ制御装置と、を備え、
前記ポンプ制御装置は、前記ポンプを作動させるとともに、前記ポンプの作動に連動して前記バイブレータ制御装置に作動信号を送信する動作と、前記ポンプを作動させることなく、前記バイブレータ制御装置に作動信号を送信する動作と、を選択的に実行可能であり、
前記バイブレータ制御装置は、前記ポンプ制御装置から受信した作動信号に基づいて前記バイブレータを作動させることを特徴とするコンクリート圧送装置。
【請求項2】
生コンクリートを打設位置まで圧送するコンクリート圧送装置であって、
生コンクリートを圧送するポンプと、
前記ポンプから前記打設位置まで延びて前記ポンプで圧送された生コンクリートが流通する配管と、
前記配管の所定箇所に取り付けられて前記配管を振動させるバイブレータと、
前記バイブレータを制御するバイブレータ制御装置と、を備え、
前記バイブレータ制御装置は、前記ポンプの作動状態に関係なく、前記バイブレータを作動可能であることを特徴とするコンクリート圧送装置。
【請求項3】
請求項1に記載のコンクリート圧送装置を用いたコンクリートの圧送方法であって、
前記ポンプ制御装置により、前記ポンプを作動させて、前記配管の先端から生コンクリートを吐出させるとともに、前記ポンプの作動に連動して前記バイブレータ制御装置に作動信号を送信し、前記バイブレータ制御装置により、前記ポンプ制御装置から受信した作動信号に基づいて、前記配管に取り付けられた前記バイブレータを作動させることを特徴とするコンクリート圧送方法。
【請求項4】
請求項2に記載のコンクリート圧送装置を用いたコンクリートの圧送方法であって、
前記ポンプにより、前記配管の先端から生コンクリートを吐出させるとともに、前記バイブレータ制御装置により、前記ポンプの作動状態に関係なく、前記配管に取り付けられた前記バイブレータを作動させることを特徴とするコンクリート圧送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生コンクリートを打設位置まで圧送するコンクリート圧送装置、および、このコンクリート圧送装置を用いたコンクリート圧送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コンクリート配管内に生コンクリートを圧送するコンクリートポンプが提案されている(特許文献1参照)。また、このコンクリート配管に振動機を取り付けて、この振動機によりコンクリート配管を振動させることで、コンクリート配管内の生コンクリートを円滑に流通させることが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6008524号公報
【特許文献2】特開昭59-228657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、配管内の生コンクリートの流動性の低下を抑制できる、コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、コンクリート圧送装置を、ポンプ、配管、ポンプ制御装置、バイブレータ、およびバイブレータ制御装置を含んで構成し、ポンプ制御装置により、ポンプを作動させるとともに、このポンプの作動に連動してバイブレータを作動させることで、配管内で生コンクリートを閉塞させることなく、配管の先端口で所定の流動性が有する生コンクリートを得ることができる点に着眼し、本発明に至った。
第1の発明のコンクリート圧送装置は、生コンクリートを打設位置(例えば、後述の打設位置P)まで圧送するコンクリート圧送装置(例えば、後述のコンクリート圧送装置1、1B)であって、生コンクリートを圧送するポンプ(例えば、後述のポンプ10)と、前記ポンプから前記打設位置まで延びて前記ポンプで圧送された生コンクリートが流通する配管(例えば、後述の配管20)と、前記ポンプを制御するポンプ制御装置(例えば、後述のポンプ制御装置30)と、前記配管の所定箇所に取り付けられて前記配管を振動させるバイブレータ(例えば、後述のバイブレータ40)と、前記バイブレータを制御するバイブレータ制御装置(例えば、後述のバイブレータ制御装置50)と、を備え、前記ポンプ制御装置は、前記ポンプを作動させるとともに、前記ポンプの作動に連動して前記バイブレータ制御装置に作動信号を送信し、前記バイブレータ制御装置は、前記ポンプ制御装置から受信した作動信号に基づいて前記バイブレータを作動させることを特徴とする。
【0006】
この発明によれば、ポンプ制御装置により、ポンプと配管に取り付けたバイブレータとを連動して作動させた。つまり、ポンプで生コンクリートを配管内に圧送するとともに、バイブレータで配管内の生コンクリートに振動を加えた。よって、配管内での生コンクリートの閉塞を防止するとともに、配管内を流通する生コンクリートの流動性(スランプ値、フロー値)の低下を抑制できる。
【0007】
第2の発明のコンクリート圧送装置は、前記ポンプ制御装置は、前記ポンプを作動させることなく、前記バイブレータ制御装置に作動信号を送信可能であることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、ポンプ制御装置により、ポンプを作動させることなく、バイブレータ制御装置に作動信号を送信可能とした。よって、生コンクリートの圧送状況とは関係なく、作業員が任意のタイミングでバイブレータを作動させて、配管内の生コンクリートに十分な振動を与えることができる。よって、配管内の生コンクリートの流動性の低下を抑制できる。
【0009】
第3の発明のコンクリート圧送装置は、生コンクリートを打設位置(例えば、後述の圧送位置P)まで圧送するコンクリート圧送装置(例えば、後述のコンクリート圧送装置1A、1C)であって、生コンクリートを圧送するポンプ(例えば、後述のポンプ10)と、前記ポンプから前記打設位置まで延びて前記ポンプで圧送された生コンクリートが流通する配管(例えば、後述の配管20)と、前記配管の所定箇所に取り付けられて前記配管を振動させるバイブレータ(例えば、後述のバイブレータ40)と、前記バイブレータを制御するバイブレータ制御装置(例えば、後述のバイブレータ制御装置50)と、を備え、前記バイブレータ制御装置は、前記ポンプの作動状態に関係なく、前記バイブレータを作動可能であることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、バイブレータ制御装置により、ポンプの作動状態に関係なく、バイブレータ制御装置を作動可能とした。
よって、生コン打設作業の休憩中など、ポンプが作動していない場合でも、コンクリート打設担当者が任意のタイミングでバイブレータを駆動できるので、配管内での生コンクリートの閉塞を防止するとともに、配管内を流通する生コンクリートの流動性(スランプ値、フロー値)の低下を抑制できる。
また、ポンプを制御するポンプ制御装置を、ポンプの作動から独立してバイブレータを作動できるように改造できない場合や、ポンプ制御装置とバイブレータ制御装置とが断線した場合でも、バイブレータをポンプの作動に関係なく容易に作動させることができる。
【0011】
第4の発明のコンクリート圧送方法は、上述のコンクリート圧送装置を用いたコンクリートの圧送方法であって、前記ポンプ制御装置により、前記ポンプを作動させて、前記配管の先端から生コンクリートを吐出させるとともに、前記ポンプの作動に連動して前記バイブレータ制御装置に作動信号を送信し、前記バイブレータ制御装置により、前記ポンプ制御装置から受信した作動信号に基づいて、前記配管に取り付けられた前記バイブレータを作動させることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ポンプ制御装置により、ポンプと配管に取り付けたバイブレータとを連動して作動させた。つまり、ポンプで生コンクリートを配管内に圧送するとともに、バイブレータで配管内の生コンクリートに振動を加えた。よって、配管内での生コンクリートの閉塞を防止するとともに、配管内を流通する生コンクリートの流動性(スランプ値、フロー値)の低下を抑制できる。
【0013】
第5の発明のコンクリート圧送方法は、上述のコンクリート圧送装置を用いたコンクリートの圧送方法であって、前記ポンプにより、前記配管の先端から生コンクリートを吐出させるとともに、前記バイブレータ制御装置により、前記ポンプの作動状態に関係なく、前記配管に取り付けられた前記バイブレータを作動させることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、バイブレータ制御装置により、ポンプの作動状態に関係なく、配管に取り付けられた前記バイブレータを作動させた。よって、生コン打設作業の休憩中など、ポンプが作動していない場合でも、コンクリート打設担当者が任意のタイミングでバイブレータにより配管内の生コンクリートに振動を加えることができる。したがって、配管内での生コンクリートの閉塞を防止するとともに、配管内を流通する生コンクリートの流動性(スランプ値、フロー値)の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配管内の生コンクリートの流動性の低下を抑制できる、コンクリート圧送装置およびコンクリート圧送方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート圧送装置の構成を示す模式的な図である。
図2】第1実施形態に係るコンクリート圧送装置の配管の構成を示す図である。
図3】第1実施形態に係るコンクリート圧送装置を構成するリモコン装置の操作パネルを示す図である。
図4】第1実施形態に係るコンクリート圧送装置を構成するバイブレータを示す図である。
図5】第1実施形態に係るバイブレータのA-A断面図である。
図6】コンクリート圧送試験の試験方法を示す図(その1)である。
図7】コンクリート圧送試験の試験条件を示す図(その2)である。
図8】コンクリート圧送試験の評価方法を説明するための図である。
図9】コンクリート圧送試験の試験日2のNo.1-1~3試験の試験結果である。
図10】コンクリート圧送試験の試験日1のNo.1-4~6試験の試験結果である。
図11】コンクリート圧送試験のNo.2試験の試験結果である。
図12】コンクリート圧送試験の試験日1のNo.3-1試験の試験結果である。
図13】コンクリート圧送試験のNo.3-2試験の試験結果である。
図14】コンクリート圧送試験のNo.4試験の試験結果である。
図15】コンクリート圧送試験のNo.5試験の試験結果である。
図16】本発明の第2実施形態に係るコンクリート圧送装置の構成を示す模式的な図である。
図17】本発明の第1の変形例に係るコンクリート圧送装置の構成を示す模式的な図である。
図18】本発明の第2の変形例に係るコンクリート圧送装置の構成を示す模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、ポンプ、配管、ポンプ制御装置、バイブレータ、およびバイブレータ制御装置を備えたコンクリート圧送装置と、そのコンクリート圧送装置を用いたコンクリート圧送方法である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート圧送装置1の構成を示す模式的な図である。図2は、コンクリート圧送装置1の配管20の構成を示す図である。
コンクリート圧送装置1は、生コンクリートをポンプ10から打設位置Pまで圧送するものである。コンクリート圧送装置1は、ポンプ車2に搭載されてホッパ11内に投入された生コンクリートを圧送するポンプ10と、ポンプ10から打設位置Pまで延びてポンプ10で圧送された生コンクリートが流通する配管20と、ポンプ10を制御するポンプ制御装置30と、配管20の所定箇所に取り付けられて配管20を振動させる複数のバイブレータ40と、複数のバイブレータ40を制御する1つのバイブレータ制御装置50と、を備える。
【0018】
ポンプ制御装置30は、ポンプ車2に搭載された制御盤31と、制御盤31を無線通信で操作可能なリモコン装置32と、を備える。
図3は、リモコン装置32の操作パネル33を示す図である。作業員が操作パネル33のバイブ連動スイッチ34を押下することにより、リモコン装置32は、制御盤31に第1操作信号を送信する。また、作業員が操作パネル33のバイブ手動スイッチ35を押下することにより、リモコン装置32は、第2操作信号を送信する。
制御盤31は、リモコン装置32から第1操作信号を受信し、かつ、ホッパ11内に投入された生コンクリートが所定量以上であること、非常停止スイッチが押下されていないこと、作動油温度が所定温度を超えていないこと、リモコン装置32と接続状態であること、の各条件が満たされた場合に、ポンプ10を作動させるとともに、このポンプ10の作動に連動して各バイブレータ制御装置50に作動信号を送信する。また、制御盤31は、リモコン装置32から第2操作信号を受信すると、ポンプ10を作動させることなく、各バイブレータ制御装置50に作動信号を送信する。
【0019】
図4は、配管20に取り付けられたバイブレータ40を示す図である。図5は、バイブレータ40のA-A断面図である。
バイブレータ40は、蝶番42で開閉可能で配管20を挟み込む固定リング41と、固定リング41の先端同士を連結するボルト43およびナット44と、固定リング41に設けられた台座45と、台座45上に取り付けられた振動装置46と、を備える。振動装置46の電源コード47は、バイブレータ制御装置50に接続されている。
【0020】
バイブレータ制御装置50は、ポンプ制御装置30の制御盤31に有線または無線で接続されており、このバイブレータ制御装置50には、複数台のバイブレータ40の電源コード47が接続されている。
バイブレータ制御装置50は、ポンプ制御装置30の制御盤31から受信した作動信号に基づいて、バイブレータ40を作動させる。具体的には、ポンプ制御装置30の制御盤31から受信した作動信号に基づいて、これらバイブレータ40の電源をON/OFFする。
なお、図1では、制御盤31に1台のバイブレータ制御装置50が接続され、このバイブレータ制御装置50に3台のバイブレータ40の電源コード47が接続されているが、これに限らず、制御盤31に複数台のバイブレータ制御装置50を接続してもよいし、各バイブレータ制御装置50に4台以上のバイブレータ40の電源コード47を接続してもよい。
【0021】
図2に示すように、ポンプ車2は、1階に配置されており、このポンプ車2には、ポンプ10および制御盤31が搭載されている。
配管20は、ポンプ車2上のポンプ10から1階床上を水平方向に延びる横引き管21と、横引き管21から鉛直方向に曲がるベント管22と、ベント管22から鉛直方向に延びる竪管23と、竪管23から水平方向に曲がるベント管24と、ベント管24から打設階の床上を水平方向に延びる横引き管25と、横引き管25から先端に向かうに従って細くなるテーパ管26と、テーパ管26に接続された先端ホース27と、を備える。
【0022】
以上のコンクリート圧送装置1により、生コンクリートを打設位置Pまで圧送する手順は、以下のようになる。
作業員を打設位置Pの近傍に配置し、この作業員がリモコン装置32を操作して、制御盤31に第1操作信号を送信する。制御盤31は、リモコン装置32から第1操作信号を受信すると、ポンプ10を作動させて生コンクリートを配管20内に圧送すると同時に、このポンプ10の作動に連動してバイブレータ制御装置50に作動信号を送信する。
バイブレータ制御装置50は、制御盤31から受信した作動信号に基づいて、配管20に取り付けられたバイブレータ40を作動させる。
【0023】
なお、コンクリート圧送装置1では、生コンクリートの圧送状況に関係なく、バイブレータを作動させることが可能である。
すなわち、作業員がリモコン装置32を操作して、制御盤31に第2操作信号を送信する。制御盤31は、リモコン装置32から第2操作信号を受信すると、ポンプ10を作動させることなく、各バイブレータ制御装置50に作動信号を送信する。バイブレータ制御装置50は、制御盤31から受信した作動信号に基づいて、配管20に取り付けられたバイブレータ40を作動させる。
【0024】
〔コンクリート圧送試験〕
本発明のコンクリート圧送装置1を用いて、1階から打設階に生コンクリートを圧送する試験を行った。図6および図7に、このコンクリート圧送試験の試験条件を示す。具体的には、図6に示すように、上述のコンクリート圧送装置を構築し、バイブレータの設置位置、バイブレータの振動方向、バイブレータの供給電圧をパラメータとして試験を行った。
各試験では、荷卸しした生コンクリートのスランプを測定した。また、バイブレータを作動させない状態で、ポンプで生コンクリートを圧送して、先端ホースから吐出された生コンクリートのスランプを測定した(「加振なし」)。また、バイブレータを作動させた状態で、ポンプで生コンクリートを圧送して、先端ホースから吐出された生コンクリートのスランプを測定した(「加振あり」)。
試験では、1階の横引き管が23.5m、竪管の長さが71.0m~97.1m(ベント管×2)、打設階の横引き配管が3.3m~64.9m(ベント管×0~2、テーパ管×1)、フレキシブルホース14.0m~20.0mとした。
また、図7に示すように、No.1-1、1-4、1-5、1-6、3-1については、異なる日にちで試験を2回行った。
【0025】
今回、各試験結果の評価指標として改善率を用いた。改善率は、以下の手順で算定する。図8に示すように、荷卸しした生コンクリートのスランプと、加振なしの筒先の生コンクリートのスランプと、の差分をロス量とする。また、加振なしの筒先の生コンクリートのスランプと、加振ありの筒先の生コンクリートのスランプと、の差分を改善量とする。これらロス量および改善量を用いて、以下の式(B)に従って、改善率を算出する。
改善率(%)=改善量(cm)/ロス量(cm)×100・・・(B)
この改善率が75パーセント未満である場合には、効果が小さいと判定し、改善率が75パーセント以上である場合には、効果が大きいと判定する。
【0026】
図9は、試験日2のNo.1-1~3試験の試験結果であり、図10は、試験日1のNo.1-4~6試験の試験結果である。
図9に示すように、試験日2のNo.1-1~3試験では、改善率が138.5%となった。また、図10に示すように、試験日1のNo.1-4~6試験では、改善率が100.0%となった。
No.1-1~6試験の試験結果より、バイブレータの設置角度によって効果に差異がないことが判る。また、竪管に等間隔でバイブレータを設置した場合、生コンクリートのスランプ改善に効果が大きいことが判る。
【0027】
図11は、No.2試験の試験結果である。図11に示すように、No.2試験では、改善率が114.3%となった。よって、打設階のベント管の前後およびテーパ管の前後にバイブレータを配置した場合、生コンクリートのスランプ改善に効果が大きいことが判る。
図12は、試験日1のNo.3-1試験の試験結果であり、図13は、No.3-2試験の試験結果である。図12に示すように、No.3-1試験では、改善率が50.0%となった。また、図13に示すように、No.3-2試験では、改善率が42.9%となった。よって、打設階の配管に等間隔でバイブレータを配置した場合、生コンクリートのスランプ改善に効果が小さいことが判る。
【0028】
図14は、No.4試験の試験結果である。図14に示すように、No.4試験では、改善率が37.5%となった。よって、配管全体に等間隔でバイブレータを配置した場合、生コンクリートのスランプ改善に効果が小さいことが判る。
図15は、No.5試験の試験結果である。図15に示すように、No.5試験では、改善率が83.3%となった。よって、竪管のベント管の前後にバイブレータを配置した場合、生コンクリートのスランプ改善に効果が大きいことが判る。
上述の試験結果により、竪管、竪管のベント管前後、および打設階のベント管やテーパ管の前後にバイブレータを配置することで、配管内での生コンクリートの流動性の低下を抑制できることがわかった。よって、本発明のコンクリート圧送方法では、配管に添わせるバイブレータの設置位置は、竪管、竪管のベント管前後、打設階のベント管の前後、および打設階のテーパ管の前後が好ましい。
【0029】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)ポンプ制御装置30により、ポンプ10と配管20に取り付けたバイブレータ40とを連動して作動させた。つまり、ポンプ10で生コンクリートを配管20内に圧送するとともに、バイブレータ40で配管20内の生コンクリートに振動を加えた。よって、配管20内での生コンクリートの閉塞を防止するとともに、配管20内を流通する生コンクリートの流動性(スランプ値、フロー値)の低下を抑制できる。その結果、本発明のコンクリート圧送装置1を用いることで、生コンクリートを流動性の低下を抑制しつつ先端ホース27の先端まで確実に圧送できる。
【0030】
(2)ポンプ制御装置30により、ポンプ10を作動させることなく、バイブレータ制御装置50に作動信号を送信可能とした。よって、生コンクリートの圧送状況とは関係なく、作業員が任意のタイミングでバイブレータ40を作動させて、配管20内の生コンクリートに十分な振動を与えることができる。
【0031】
〔第2実施形態〕
図16は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート圧送装置1Aの構成を示す模式的な図である。
コンクリート圧送装置1Aは、ポンプ車2に搭載されてホッパ11内に投入された生コンクリートを圧送するポンプ10と、ポンプ10から打設位置Pまで延びてポンプ10で圧送された生コンクリートが流通する配管20と、ポンプ10を制御するポンプ制御装置30と、配管20の所定箇所に取り付けられて配管20を振動させる複数のバイブレータ40と、複数のバイブレータ40を制御する1台のバイブレータ制御装置50と、を備える。
【0032】
バイブレータ制御装置50は、1つのシステム制御装置としてのシステム制御モジュール51と、このシステム制御モジュール51に無線または有線で接続された1つの電源制御装置52と、を備える。
システム制御モジュール51は、制御盤31からの作動信号を受け取って、電源制御装置52に作動信号を送信するものである。また、システム制御モジュール51を手動で操作することにより、電源制御装置52に作動信号を送信可能となっている。また、システム制御モジュール51により、制御対象となる電源制御装置52(バイブレータ40)を設定可能となっている。
【0033】
電源制御装置52には、複数台のバイブレータ40の電源コード47が接続されている。電源制御装置52は、システム制御モジュール51からの作動信号に従って、バイブレータ40の電源をON/OFFすることで、これらバイブレータ40を作動/停止させるものである。
制御盤31とシステム制御モジュール51とは、コード53で有線接続されており、このコード53には、スイッチ54が設けられている。スイッチ54は、制御盤31とシステム制御モジュール51との接続をON/OFFするものである。
【0034】
以上のコンクリート圧送装置1Aにより、生コンクリートを打設位置Pまで圧送する手順は、以下のようになる。
作業員を打設位置Pの近傍に配置し、この作業員がリモコン装置32を操作して、制御盤31に第1操作信号を送信する。制御盤31は、リモコン装置32から第1操作信号を受信すると、ポンプ10を作動させて生コンクリートを配管20内に圧送すると同時に、このポンプ10の作動に連動してシステム制御モジュール51に作動信号を送信する。システム制御モジュール51は、制御盤31から受信した作動信号に基づいて、配管20に取り付けられたバイブレータ40を作動させる。
【0035】
なお、コンクリート圧送装置1Aでは、生コンクリートの圧送状況に関係なく、バイブレータを作動させることが可能である。
すなわち、コンクリート打設担当者や作業者がシステム制御モジュール51を操作して、ポンプ10を作動させることなく、各電源制御装置52に作動信号を送信する。電源制御装置52は、システム制御モジュール51から受信した作動信号に基づいて、配管20に取り付けられたバイブレータ40を作動させる。
【0036】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(3)システム制御モジュール51を操作することで、リモコン装置32を操作することなく、バイブレータ40を手動でON/OFF可能とした。
よって、生コン打設作業の休憩中など、ポンプ10が作動していない場合でも、コンクリート打設担当者が任意のタイミングでバイブレータ40を駆動できるので、配管20内での生コンクリートの閉塞を防止するとともに、配管20内を流通する生コンクリートの流動性(スランプ値、フロー値)の低下を抑制できる。
また、ポンプ制御装置30を、ポンプ10の作動から独立してバイブレータ40を作動できるように改造できない場合や、ポンプ制御装置30とバイブレータ制御装置50とが断線した場合でも、バイブレータ40をポンプの作動に関係なく容易に作動させることができる。
(4)システム制御モジュール51で制御対象となる電源制御装置52(バイブレータ40)を設定可能としたので、任意のバイブレータ40のみを制御することが可能となり、コンクリート打設作業の作業効率を向上できる。
【0037】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上述の実施形態では、打設階において、テーパ管26の先端に先端ホース27を接続したが、これに限らず、テーパ管26の先端にさらに配管20を接続してもよい。
また、上述の第1実施形態では、1つのバイブレータ制御装置50で複数のバイブレータ40を制御したが、これに限らず、図17に示すように、各バイブレータ制御装置50につき1つのバイブレータ40を制御するようにしてもよい。
【0038】
また、上述の第2実施形態では、バイブレータ制御装置50を、1つのシステム制御モジュール51と、複数のバイブレータ40が接続された1つの電源制御装置52と、を含んで構成したが、これに限らず、図18に示すように、バイブレータ制御装置50を、1つのシステム制御モジュール51と、複数の電源制御装置52と、を含んで構成するとともに、各電源制御装置52につき1台のバイブレータ40を作動させてもよい。このようにすれば、システム制御モジュール51により、任意の電源制御装置52(バイブレータ40)のみを作動させることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1、1A、1B、1C…コンクリート圧送装置 2…ポンプ車
10…ポンプ 11…ホッパ 20…配管 21…横引き管 22…ベント管
23…竪管 24…ベント管 25…横引き管 26…テーパ管
27…先端ホース
30…ポンプ制御装置 31…制御盤 32…リモコン装置 33…操作パネル
34…バイブ連動スイッチ 35…バイブ手動スイッチ
40…バイブレータ 41…固定リング 42…蝶番
43…ボルト 44…ナット 45…台座 46…振動装置 47…電源コード
50…バイブレータ制御装置
51…システム制御モジュール(システム制御装置) 52…電源制御装置
53…コード 54…スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18