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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152652
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】医用画像処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20241018BHJP
   A61B 6/46 20240101ALI20241018BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20241018BHJP
【FI】
A61B6/03 560D
A61B6/46 536P
A61B6/00 550A
A61B6/46 506Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060117
(22)【出願日】2024-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2023065179
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】森島 大静
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳也
(72)【発明者】
【氏名】岩村 泰輔
(72)【発明者】
【氏名】中込 啓太
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA21
4C093AA22
4C093AA26
4C093CA17
4C093CA18
4C093DA03
4C093FF13
4C093FF21
4C093FF22
4C093FF28
4C093FF32
4C093FF33
4C093FF35
4C093FF42
4C093FF46
4C093FG04
4C093FG11
4C093FH08
4C093FH09
(57)【要約】
【課題】読影の効率を向上させること。
【解決手段】本実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、設定部と、特定部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である第1画像及び第2画像を取得する。前記設定部は、前記第1画像及び前記第2画像において複数の注目領域を設定する。前記特定部は、前記複数の注目領域のうち、第1画像及び前記第2画像において対応する注目領域の組を特定する。前記表示制御部は、前記第1画像及び前記第2画像を表示部に表示させると共に、前記組が特定された注目領域を前記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、前記第1画像と前記第2画像との間に前記複数の注目領域それぞれに対応する情報を前記表示部に表示させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である第1画像及び第2画像を取得する取得部と、
前記第1画像及び前記第2画像において複数の注目領域を設定する設定部と、
前記複数の注目領域のうち、前記第1画像及び前記第2画像において対応する注目領域の組を特定する特定部と、
前記第1画像及び前記第2画像を表示部に表示させると共に、前記組が特定された注目領域を前記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、前記第1画像と前記第2画像との間に前記複数の注目領域それぞれに対応する情報を前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える医用画像処理装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記組が特定された注目領域に対応する前記情報の組を並べて前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記複数の注目領域それぞれに対応する前記情報として、少なくとも当該注目領域の画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項4】
前記設定部による注目領域の設定は、前記表示部に表示された前記第1画像または前記第2画像に対して操作者が領域を指定することで行われ、
前記表示制御部は、前記領域の指定の操作に応じて前記領域に対応する拡大画像を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項5】
操作者による前記情報の選択を受け付ける受付部、
を更に備え、
前記第1画像及び前記第2画像の少なくともいずれかは、前記被検体の3次元領域を撮像することで得た3次元医用画像であり、
前記表示制御部は、前記選択を受け付けた情報に対応する注目領域が、前記3次元医用画像において前記設定部により設定されたものである場合には、前記3次元医用画像において、当該注目領域を含む断面を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項6】
前記第1画像及び前記第2画像の少なくともいずれかについて、画像が取得された時相における前記被検体の臨床情報を付帯情報として付帯する付帯部、
を更に備え、
前記特定部は、前記付帯情報に基づいて、特定した注目領域の組の信頼性を判定し、
前記表示制御部は、前記信頼性に関する情報を前記情報と共に前記表示部に表示させる
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記第1画像及び前記第2画像の一方の画像において前記組が特定されなかった注目領域である非特定注目領域との解剖学的位置が近い注目領域を、前記第1画像及び前記第2画像の他方の画像において特定し、
前記表示制御部は、前記非特定注目領域に対応する前記情報を、前記他方の画像において特定した注目領域に対応する前記情報の近くに表示させる
請求項1に記載の医用画像処理装置。
【請求項8】
被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である第1画像及び第2画像を取得し、
前記第1画像及び前記第2画像において複数の注目領域を設定し、
前記複数の注目領域のうち、前記第1画像及び前記第2画像において対応する注目領域の組を特定し、
前記第1画像及び前記第2画像を表示部に表示させると共に、前記組が特定された注目領域を前記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、前記第1画像と前記第2画像との間に前記複数の注目領域それぞれに対応する情報を前記表示部に表示させる、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、医用画像診断装置は、被検体を撮影することにより、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像を生成する。ユーザである医師(例えば、読影医)は、3次元医用画像を用いて読影を行う。例えば、読影医は、複数の医用画像(スライス画像)を用いて読影を行い、読影レポートを作成する。ここで、読影医は、読影を行う際に、前回の検査において被検体を撮影した医用画像(前回画像)と、今回の検査において被検体を撮影した医用画像(今回画像)とを比較する比較読影を行う場合がある。その際に、読影医は、前回画像及び今回画像における被検体の関心領域(Region Of Interest;ROI)のサイズを比較する必要がある。しかし、読影医が、前回画像及び今回画像についてROIのサイズを比較することは非常に手間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-92677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、読影の効率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る医用画像処理装置は、取得部と、設定部と、特定部と、表示制御部とを備える。前記取得部は、被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である第1画像及び第2画像を取得する。前記設定部は、前記第1画像及び前記第2画像において複数の注目領域を設定する。前記特定部は、前記複数の注目領域のうち、第1画像及び前記第2画像において対応する注目領域の組を特定する。前記表示制御部は、前記第1画像及び前記第2画像を表示部に表示させると共に、前記組が特定された注目領域を前記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、前記第1画像と前記第2画像との間に前記複数の注目領域それぞれに対応する情報を前記表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置を含む医用画像処理システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態に係る医用画像処理装置による処理の手順を示すフローチャートである。
図4図4は、第1実施形態に係る医用画像処理装置による表示例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態に係る医用画像処理装置による拡大表示処理を説明するための図である。
図6図6は、第2実施形態に係る医用画像処理装置による表示例を示す図である。
図7図7は、第3実施形態に係る医用画像処理装置の構成の一例を示す図である。
図8図8は、第3実施形態に係る医用画像処理装置による表示例を示す図であり、付帯情報表示処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、医用画像処理装置、及び、プログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、以下、医用画像処理装置を含む医用画像処理システムを例に挙げて説明する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100を含む医用画像処理システム1の構成の一例を示す図である。図1に示す医用画像処理システム1は、医用画像処理装置100と、医用画像診断装置2と、画像保管装置3と、HIS(Hospital Information System)サーバ10とを備える。医用画像処理装置100は、医用画像診断装置2、画像保管装置3、HISサーバ10と、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)などのネットワーク4により接続される。ここで、各装置は、直接的、又は間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、医用画像処理システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像等を相互に送受信する。
【0009】
HISサーバ10は、病院内で発生する情報を管理する。病院内で発生する情報には、患者情報、及び検査オーダ情報等が含まれる。患者情報は、患者の基本情報と診療情報と検査実施情報とを含む。基本情報は、患者ID、氏名、生年月日、性別、血液型、身長、体重等を含む。患者IDには、患者を一意に識別する識別情報が設定される。患者の診療情報には、数値(計測値)や診療記録等の情報と、それらの記録日時を示す情報とが含まれる。例えば、患者の診療情報としては、医師による薬剤の処方や、看護師による看護記録や、検査部門に対する検査や、入院時の食事の手配等の情報が挙げられる。例えば、処方については、医師により電子カルテに記録され、看護記録については、看護師により電子カルテに記録される。検査実施情報には、過去に実施された検査及び当該検査による検査結果等の情報と、当該検査の実施日とを示す情報とが含まれる。
【0010】
医用画像診断装置2は、X線診断装置、X線CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、超音波診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置である。また、医用画像診断装置2は、PET(Positron Emission computed Tomography)装置、SPECT装置とX線CT装置とが一体化されたSPECT-CT装置、PET装置とX線CT装置とが一体化されたPET-CT装置、又はこれらの装置群等である。医用画像診断装置2は、2次元の医用画像や、3次元の医用画像(ボリュームデータ)、時系列に沿った2次元医用画像、時系列に沿った3次元医用画像を生成可能である。
【0011】
ここで、医用画像診断装置2は、HISサーバ10からの患者情報及び検査オーダ情報に基づいて、被検体を撮影することにより医用画像を収集する。例えば、医用画像診断装置2であるX線CT装置は、造影剤を投与した被検体にX線管及びX線検出器を旋回移動させ、被検体を透過したX線を検出して投影データを収集する。そして、X線CT装置は、収集した投影データに基づいて、2次元のCT画像、3次元のCT画像(ボリュームデータ)、時系列に沿った2次元のCT画像、または、時系列に沿った3次元のCT画像を生成する。或いは、X線CT装置は、収集した投影データに基づいて、所定方向に沿った複数の2次元のCT画像を生成する。例えば、X線CT装置は、体軸方向に沿った複数のアキシャル断面の2次元CT画像を生成する。
【0012】
医用画像診断装置2は、生成した医用画像を画像保管装置3に送信する。なお、医用画像診断装置2は、医用画像を画像保管装置3に送信する際に、付帯情報として、例えば、患者を識別する患者ID、検査を識別する検査ID、医用画像診断装置2を識別する装置ID、医用画像診断装置2による1回の撮影を識別するシリーズID等を送信する。
【0013】
画像保管装置3は、医用画像を保管するデータベースである。具体的には、画像保管装置3は、記憶回路を備え、医用画像診断装置2から送信された医用画像を当該記憶回路に格納することにより、当該医用画像を保管する。画像保管装置3の記憶回路は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。なお、画像保管装置3に保管された医用画像は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等と対応付けて保管される。このため、医用画像処理装置100は、患者ID、検査ID、装置ID、シリーズID等を用いた検索を行なうことで、必要な医用画像を画像保管装置3から取得することができる。
【0014】
医用画像処理装置100は、医用画像に対して画像処理を行なう画像処理装置であり、例えば、ワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像サーバやビューワ、電子カルテシステムの各種装置などである。医用画像処理装置100は、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像に対して種々の処理を行う。本実施形態において、医用画像処理装置100は、医師(例えば、読影医)が医用画像の観察または読影に用いる装置である。
【0015】
図2は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100の構成の一例を示す図である。図2に示すように、医用画像処理装置100は、入力インターフェース110と、ディスプレイ120と、通信インターフェース130と、記憶回路140と、処理回路150とを有する。
【0016】
入力インターフェース110は、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を有し、医用画像処理装置100に対する各種操作の入力をユーザである医師から受け付け、ユーザから受け付けた指示や設定の情報を処理回路150に転送する。
【0017】
ディスプレイ120は、ユーザによって参照されるモニタである。ディスプレイ120は、処理回路150による制御のもと、画像をユーザに表示したり、入力インターフェース110を介してユーザから各種指示や各種設定等を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示したりする。通信インターフェース130は、NIC(Network Interface Card)等であり、他の装置との間で通信を行う。ディスプレイ120は、表示部の一例である。
【0018】
記憶回路140は、例えば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置である。記憶回路140には、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像であって、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像が記憶される。
【0019】
処理回路150は、医用画像処理装置100の構成要素を制御する。例えば、処理回路150は、図2に示すように、取得機能151、設定機能152、特定機能153、表示制御機能154を実行する。ここで、例えば、処理回路150の構成要素である取得機能151、設定機能152、特定機能153、表示制御機能154が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路140に記録されている。処理回路150は、各プログラムを記憶回路140から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路150は、図2の処理回路150内に示された各機能を有することとなる。なお、取得機能151、設定機能152、特定機能153、表示制御機能154は、それぞれ、「取得部」、「設定部」、「特定部」、「表示制御部」の一例である。
【0020】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)等の回路を意味する。また、「プロセッサ」という文言は、プログラマブル論理デバイス等の回路を意味する。プログラマブル論理デバイスとして、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)が挙げられる。また、プログラマブル論理デバイスとして、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))が挙げられる。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路140に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路140にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムが直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図2における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0021】
上述のように、記憶回路140には、医用画像診断装置2又は画像保管装置3から取得した医用画像であって、被検体の複数枚のスライス画像で構成される3次元医用画像が記憶される。ユーザである医師(例えば、読影医)は、3次元医用画像(複数枚のスライス画像)を用いて読影を行い、読影レポートを作成する。ここで、ユーザは、読影を行う際に、前回の検査において被検体を撮影した医用画像(前回画像)と、今回の検査において被検体を撮影した医用画像(今回画像)とを比較する比較読影を行う場合がある。その際に、ユーザは、前回画像及び今回画像における被検体の関心領域(ROI)のサイズを比較する必要がある。しかし、ユーザが、前回画像及び今回画像についてROIのサイズを比較することは非常に手間がかかることである。その結果、読影の効率が向上しない可能性がある。
【0022】
そこで、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、読影の効率を向上させるために、以下の処理を行う。まず、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、取得機能151は、被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である第1画像及び第2画像を取得する。設定機能152は、第1画像及び第2画像において複数の注目領域を設定する。特定機能153は、複数の注目領域のうち、第1画像及び第2画像において対応する注目領域の組を特定する。表示制御機能154は、第1画像及び第2画像をディスプレイ120に表示させると共に、組が特定された注目領域を組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、第1画像と第2画像との間に複数の注目領域それぞれに対応する情報をディスプレイ120に表示させる。
【0023】
次に、第1実施形態に係る医用画像処理装置100による処理について、図3図4を用いて説明する。図3は、本実施形態に係る医用画像処理装置100による処理の手順を示すフローチャートである。図4は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100の表示例を示す図である。
【0024】
図3のステップS101は、処理回路150が記憶回路140から取得機能151に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS101において、取得機能151は、被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である今回画像及び前回画像を取得する。例えば、取得機能151は、画像保管装置3から、今回画像及び前回画像と共に、被検体(患者)を識別する患者IDや患者名などを含む患者情報や、今回画像及び前回画像が撮影された撮影日などを取得する。
【0025】
今回画像は、今回の検査において被検体を撮影した医用画像であり、前回画像は、前回の検査において被検体を撮影した医用画像である。今回画像は、「第1画像」の一例であり、前回画像は、「第2画像」の一例である。
【0026】
例えば、医用画像は、医用画像診断装置2であるX線CT装置が被検体をヘリカルスキャンすることにより複数の医用画像データ(複数のアキシャル断面の再構成画像)から構成される3次元のCT画像(ボリュームデータ)であるとする。例えば、今回画像及び前回画像は、検査時において、X線管の電圧(管電圧)が120kV、スライス厚が7mmなどのスキャン条件で、X線CT装置により被検体が撮影された医用画像である。
【0027】
例えば、被検体の対象部位が肺であるとする。この場合、取得機能151は、例えば、今回画像として肺野条件の画像及び縦隔条件の画像を取得し、前回画像として肺野条件の画像及び縦郭条件の画像を取得する。なお、肺野条件の画像及び縦郭条件の画像は、同一の投影データから生成される。ここで、肺野条件の画像及び縦郭条件の画像は、X線CT装置などのモダリティ(例えば、医用画像診断装置2)を用いることで生成されてもよいし、ワークステーション(例えば、医用画像処理装置100)を用いることで生成されてもよい。ワークステーションで画像を生成する場合には、ワークステーションで投影データを再構成し、任意の位置の画像を生成してもよい。あるいは、モダリティ側で肺野の3次元のCT画像(ボリュームデータ)を生成し、ワークステーションでボリュームデータからMPR(Multi Planer Reconstruction)画像を切り出すことにより、任意の位置の画像を生成してもよい。
【0028】
肺野条件の画像は、CT画像において、空気を含む肺野(肺とその周囲)を観察するためにウインドウ幅及びウインドウレベルが設定された画像である。肺野条件の画像は、骨や軟部組織を削ぎ落とした画像であるが、肺の細かい変化を観察することに適している。
【0029】
縦隔条件の画像は、CT画像において、縦隔を構成する軟部組織に焦点を合わせてウインドウ幅及びウインドウレベルが設定された画像である。縦隔条件の画像は、肺の構造が黒くなってしまう画像であるが、心臓や食道など観察することに適している。
【0030】
図3のステップS102は、処理回路150が記憶回路140から設定機能152に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS102において、設定機能152は、今回画像及び前回画像において複数の注目領域を設定する。例えば、注目領域は、結節であり、上述のROIに相当する。
【0031】
なお、設定機能152による注目領域の設定については、コンピュータ支援診断(Computer Aided Diagnosis:CAD)により自動的に注目領域が設定されてもよいし、ユーザにより手動で注目領域が設定されてもよい。また、自動及び手動により注目領域が設定されてもよい。ユーザにより手動で注目領域が設定される例については、後述の第1変形例にて説明する。
【0032】
例えば、設定機能152は、今回画像である肺野条件の画像において、注目領域301~307を設定する(図4を参照)。また、設定機能152は、前回画像である肺野条件の画像において、注目領域401~406を設定する(図4を参照)。このとき、設定機能152は、さらに、設定した注目領域301~307、401~406の直径を自動的に計測する。例えば、設定機能152は、注目領域301~307、401~406の直径をCADにより自動的に計測する。
【0033】
例えば、設定機能152は、注目領域として結節を肺野条件の画像において設定する。なお、縦隔条件の画像は、肺野条件の画像において結節として設定された領域が、結節であるか否かを判定するための参照画像として使われる。
【0034】
図3のステップS103は、処理回路150が記憶回路140から特定機能153に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS103において、特定機能153は、複数の注目領域301~307、401~406のうち、今回画像及び前回画像において対応する注目領域の組を特定する。即ち、特定機能153は、前回画像の注目領域と今回画像の注目領域との紐づけを行う。
【0035】
特定機能153は、例えば、画像上の解剖学的位置情報を用いて、今回画像及び前回画像において対応する注目領域の組を特定する。
【0036】
例えば、特定機能153は、今回画像及び前回画像である肺野条件の画像の解剖学的位置情報を用いて、今回画像の注目領域301と前回画像の注目領域401とを組として特定し、今回画像の注目領域302と前回画像の注目領域402とを組として特定する。また、例えば、特定機能153は、今回画像及び前回画像である肺野条件の画像の解剖学的位置情報を用いて、今回画像の注目領域304と前回画像の注目領域403とを組として特定する。
【0037】
例えば、特定機能153は、今回画像及び前回画像である肺野条件の画像の解剖学的位置情報を用いて、今回画像の注目領域305と前回画像の注目領域404との組を特定し、今回画像の注目領域307と前回画像の注目領域406との組を特定する。
【0038】
ここで、今回画像である肺野条件の画像の注目領域303は、組が特定されなかった注目領域である。例えば、注目領域303は、今回画像において新規に設定された注目領域である。また、今回画像である肺野条件の画像の注目領域306、及び、前回画像である肺野条件の画像の注目領域405は、組が特定されなかった注目領域である。例えば、注目領域306は、今回画像において新規に設定された注目領域であり、前回画像の注目領域405は、今回画像において対応する領域がなかった領域である。
【0039】
図3のステップS104は、処理回路150が記憶回路140から表示制御機能154に対応するプログラムを読み出して実行されるステップである。ステップS104において、表示制御機能154は、今回画像及び前回画像をディスプレイ120に表示させると共に、上記組が特定された注目領域を上記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、今回画像と前回画像との間に複数の注目領域それぞれに対応する情報をディスプレイ120に表示させる。
【0040】
具体的には、図4に示すように、表示制御機能154は、表示領域120A、120B、120Cをディスプレイ120に表示させる。表示領域120Cは、表示領域120Aと表示領域120Bとの間に位置する表示領域である。例えば、表示領域120A、120Bは、それぞれ、ディスプレイ120の右側、左側に位置し、表示領域120Cは、ディスプレイ120の中央部分に位置する。
【0041】
図4に示す例では、表示制御機能154は、表示領域120Aにおいて、今回画像である肺野条件の画像300、縦隔条件の画像310を表示させる。
【0042】
具体的には、表示制御機能154は、表示領域120Aの上段120A1、下段120A2において、それぞれ、肺野条件の画像300、縦隔条件の画像310を表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Aの上段120A1、下段120A2において、今回画像と共に、被検体(患者)を識別する患者IDや患者名などを含む患者情報と、今回画像が撮影された撮影日と、アキシャル断面、スライス厚7mm、管電圧120kVなどのスキャン条件のパラメータとを表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Aの上段120A1において、今回画像である肺野条件の画像300と共に、ウインドウ幅及びウインドウレベルなどの肺野条件のパラメータを表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Aの下段120A2において、今回画像である縦隔条件の画像310と共に、ウインドウ幅及びウインドウレベルなどの縦隔条件のパラメータを表示させる。
【0043】
また、表示制御機能154は、表示領域120Aの上段120A1において、肺野条件の画像300と共に、スクロールバー1300と、スクロールバー1300に配置されるノブ1300Aとを表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Aの下段120A2において、縦隔条件の画像310と共に、スクロールバー1310と、スクロールバー1310に配置されるノブ1310Aとを表示させる。ノブ1300A、1310Aは、いわゆる「つまみ」となるバー(棒)であり、それぞれ、肺野条件の画像300、縦隔条件の画像310が現在表示されている位置を示す。
【0044】
また、図4に示す例では、表示制御機能154は、表示領域120Bにおいて、前回画像である肺野条件の画像400、縦隔条件の画像410を表示させる。
【0045】
具体的には、表示制御機能154は、表示領域120Bの上段120B1、下段120B2において、それぞれ、肺野条件の画像400、縦隔条件の画像410を表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Bの上段120B1、下段120B2において、前回画像と共に、被検体(患者)を識別する患者IDや患者名などを含む患者情報と、前回画像が撮影された撮影日と、アキシャル断面、スライス厚7mm、管電圧120kVなどのスキャン条件のパラメータとを表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Bの上段120B1において、前回画像である肺野条件の画像400と共に、ウインドウ幅及びウインドウレベルなどの肺野条件のパラメータを表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Bの下段120B2において、前回画像である縦隔条件の画像410と共に、ウインドウ幅及びウインドウレベルなどの縦隔条件のパラメータを表示させる。
【0046】
また、表示制御機能154は、表示領域120Bの上段120B1において、肺野条件の画像400と共に、スクロールバー1400と、スクロールバー1400に配置されるノブ1400Aとを表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Bの下段120B2において、縦隔条件の画像410と共に、スクロールバー1410と、スクロールバー1410に配置されるノブ1410Aとを表示させる。ノブ1400A、1410Aは、それぞれ、肺野条件の画像400、縦隔条件の画像410が現在表示されている位置を示す。
【0047】
ここで、今回画像と前回画像とにおいて、同じ位置のスライス画像が特定されている。例えば、スライス画像の位置は番号で管理されている。図4に示す例では、表示制御機能154は、表示領域120Aの上段120A1、下段120A2において、それぞれ、肺野条件の画像300、縦隔条件の画像310として、1番目のスライス画像を表示させている。同様に、図4に示す例では、表示制御機能154は、表示領域120Bの上段120B1、下段120B2において、それぞれ、肺野条件の画像400、縦隔条件の画像410として、1番目のスライス画像を表示させている。
【0048】
また、4つのスクロールバー1300、1310、1400、1410のいずれか1つのスクロールバーにおいて、ユーザが入力インターフェース110でノブを移動させる操作を行ったものとする。この場合、表示制御機能154は、操作されたノブの移動量に応じた位置のスライス画像を表示させると共に、残りのスクロールバーのノブも連動させて、操作されたノブの移動量と同じ移動量に応じた位置のスライス画像を表示させる。
【0049】
例えば、表示領域120Aの上段120A1において、ユーザが入力インターフェース110でノブ1300Aを移動させる操作を行った場合、表示制御機能154は、ノブ1300Aの移動量に応じた位置のスライス画像を表示領域120Aの上段120A1に表示させる。このとき、表示制御機能154は、スクロールバー1310のノブ1310Aも連動させて、操作されたノブ1300Aの移動量と同じ移動量に応じた位置のスライス画像を表示領域120Aの下段120A2に表示させる。同様に、表示制御機能154は、スクロールバー1400のノブ1400Aも連動させて、操作されたノブ1300Aの移動量と同じ移動量に応じた位置のスライス画像を表示領域120Bの上段120B1に表示させる。同様に、表示制御機能154は、スクロールバー1410のノブ1410Aも連動させて、操作されたノブ1300Aの移動量と同じ移動量に応じた位置のスライス画像を表示領域120Bの下段120B2に表示させる。
【0050】
ここで、4つのスクロールバー1300、1310、1400、1410のいずれか1つのスクロールバーにおいて、表示制御機能154は、操作されたノブの移動量に応じて、残りのスクロールバーのノブも連動させているが、ユーザが入力インターフェース110の指示により、上述の連動処理を解除することもできる。例えば、ユーザが入力インターフェース110でノブ1300A、1310A、1400A、1410Aをそれぞれ移動させる操作を行った場合、表示制御機能154は、操作されたノブの移動量に応じた位置のスライス画像を表示させる。
【0051】
また、図4に示す例では、表示制御機能154は、設定機能152に設定された複数の注目領域301~307、401~406について、肺野条件の画像から、該当する領域を切り取った画像を、サムネイル画像として、ディスプレイ120の表示領域120C(画面中央)に表示させる。なお、表示制御機能154は、さらに、縦隔条件の画像において、注目領域と同じ領域を切り出した画像も併せてサムネイル画像として表示領域120Cに表示させてもよい。また、表示制御機能154は、縦隔条件の画像において、注目領域と同じ領域を切り出した画像のみをサムネイル画像として表示領域120Cに表示させてもよい。
【0052】
例えば、図4において、表示制御機能154は、表示領域120Cにおいて、上記組が特定された注目領域301、401、注目領域302、402、注目領域304、403、注目領域305、404、注目領域307、406を、上記組が特定されなかった注目領域303、306、405とは区別した態様で、複数の注目領域301~307、401~406それぞれに対応する情報を表示させる。ここで、図4に示す例では、表示制御機能154は、複数の注目領域301~307、401~406それぞれに対応する情報を、今回画像と前回画像とにおけるスライス画像の並びに合わせるように表示させている。具体的には、表示制御機能154は、上記情報を頭尾方向に並べて表示させている。なお、頭尾方向に並べることは一例であり、表示制御機能154は、上記情報を頭尾方向とは逆の方向に並べて表示させてもよいし、マニュアルによりユーザの指示に応じた任意の並べ順で上記情報を表示させてもよい。上記情報は、例えば、注目領域(結節)の直径、当該注目領域の画像を少なくとも含む。ここで、注目領域の画像は、上述のように、肺野条件の画像から、該当する領域を切り取った画像としているが、これに限定されず、該当する領域を表すイラストで表現してもよい。
【0053】
具体的には、図4において、表示制御機能154は、上記組が特定された注目領域301、401、注目領域302、402、注目領域304、403、注目領域305、404、注目領域307、406に対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cに表示させる。
【0054】
例えば、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるI番目(Iは、2以上の整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域301と前回画像の注目領域401とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。この場合、今回画像の注目領域301に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示され、前回画像の注目領域401に対応する情報は、今回画像の注目領域301に対応する情報を指すように、ホームベース型の五角形が右に向いている形状の線で囲まれた状態で表示される。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、今回画像の注目領域301と前回画像の注目領域401とを容易に比較でき、さらに、今回画像の注目領域301の直径(11.15mm)が前回画像の注目領域401の直径(12.86mm)に比べて減少していることを確認することができる。
【0055】
また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるJ番目(Jは、I<Jを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域302と前回画像の注目領域402とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。この場合、今回画像の注目領域302に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示され、前回画像の注目領域402に対応する情報は、今回画像の注目領域302に対応する情報を指すような五角形の線で囲まれた状態で表示される。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、今回画像の注目領域302と前回画像の注目領域402とを容易に比較でき、さらに、今回画像の注目領域302の直径(17.81mm)と前回画像の注目領域402の直径(17.62mm)との差が僅かであることを確認することができる。
【0056】
また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるM番目(Mは、J<Mを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域304と前回画像の注目領域403とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。この場合、今回画像の注目領域304に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示され、前回画像の注目領域403に対応する情報は、今回画像の注目領域304に対応する情報を指すような五角形の線で囲まれた状態で表示される。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、今回画像の注目領域304と前回画像の注目領域403とを容易に比較でき、さらに、今回画像の注目領域304の直径(5.16mm)が前回画像の注目領域403の直径(3.41mm)に比べて増加していることを確認することができる。
【0057】
ここで、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるK番目(Kは、J<K<Mを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定されなかった注目領域として、今回画像の注目領域303を表示領域120Cの上段120C1に表示させる。この場合、今回画像の注目領域303に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示されるが、当該情報に対して、矢印で指される情報が存在しない。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、新規に今回画像の注目領域303を確認し、当該注目領域303の直径(7.73mm)を確認することができる。
【0058】
また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるN番目(Nは、M<Nを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域305と前回画像の注目領域404とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの下段120C2に表示させる。この場合、今回画像の注目領域305に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示され、前回画像の注目領域404に対応する情報は、今回画像の注目領域305に対応する情報を指すような五角形の線で囲まれた状態で表示される。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、今回画像の注目領域305と前回画像の注目領域404とを容易に比較でき、さらに、今回画像の注目領域305の直径(3.76mm)が前回画像の注目領域404の直径(7.41mm)に比べて減少していることを確認することができる。
【0059】
また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるR番目(Rは、N<Rを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域307と前回画像の注目領域406とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの下段120C2に表示させる。この場合、今回画像の注目領域307に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示され、前回画像の注目領域406に対応する情報は、今回画像の注目領域307に対応する情報を指すような五角形の線で囲まれた状態で表示される。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、今回画像の注目領域307と前回画像の注目領域406とを容易に比較でき、さらに、今回画像の注目領域307の直径(5.37mm)が前回画像の注目領域406の直径(7.71mm)に比べて減少していることを確認することができる。
【0060】
ここで、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるP番目(Pは、N<Pを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定されなかった注目領域として、前回画像の注目領域405を表示領域120Cの下段120C2に表示させる。この場合、前回画像の注目領域405に対応する情報は、ホームベース型の五角形が右に向いている形状の線で囲まれた状態で表示されるが、前回画像の注目領域405は、今回画像において対応する領域がない。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、前回画像の注目領域405については、今回の検査で消えたことを確認することができる。
【0061】
また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるQ番目(Qは、P<Q<Rを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定されなかった注目領域として、今回画像の注目領域306を表示領域120Cの下段120C2に表示させる。この場合、今回画像の注目領域306に対応する情報は、四角い線で囲まれた状態で表示されるが、当該情報に対して、矢印で指される情報が存在しない。これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、新規に今回画像の注目領域306を確認し、当該注目領域306の直径(6.52mm)を確認することができる。
【0062】
また、ユーザは、肺野条件の画像と同じ位置のスライス画像である縦隔条件の画像を参照することで、肺野条件の画像において結節として設定された領域(注目領域)が、結節であるか否かを判定することができる。
【0063】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、取得機能151が、被検体の対象部位(肺)に関し、撮像時刻の異なる医用画像である今回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)及び前回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)を取得する。ここで、設定機能152が、今回画像及び前回画像において複数の注目領域を設定し、特定機能153が、今回画像及び前回画像において対応する注目領域の組を特定する。そして、表示制御機能154が、今回画像及び前回画像をディスプレイ120に表示させると共に、組が特定された注目領域を組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、今回画像と前回画像との間に複数の注目領域それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)をディスプレイ120に表示させる。これにより、複数の注目領域それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)がディスプレイ120に表示されることで、ユーザが、比較読影を行う際、前回画像及び今回画像について注目領域のサイズの比較を容易に行うことができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、読影の効率を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、今回画像及び前回画像をそれぞれディスプレイ120の表示領域120A、120Bに表示させると共に、複数の注目領域それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)をディスプレイ120の表示領域120Aと表示領域120Bとの間の表示領域120Cに表示させる。このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、当該情報がディスプレイ120の中央部分に表示されるため、当該情報がディスプレイ120の右端や左端に表示される場合に比べて、ユーザが視認しやすくなる。
【0065】
(第1変形例)
なお、設定機能152による注目領域の設定は、ディスプレイ120に表示された今回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)及び前回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)に対して操作者であるユーザが領域を指定することで行われてもよい。この場合、表示制御機能154は、領域の指定の操作に応じて当該領域に対応する拡大画像をディスプレイ120に表示させる。
【0066】
図5は、第1実施形態に係る医用画像処理装置100による拡大表示処理を説明するための図である。
【0067】
例えば、図3のステップS104において、表示制御機能154が、今回画像及び前回画像をディスプレイ120に表示させているときに、ユーザが入力インターフェース110でノブ1300A、1400Aを用いたドラッグ操作をそれぞれ行ったものとする。この場合、表示制御機能154は、当該ドラッグ操作の移動量に応じた位置のスライス画像を、それぞれ、表示領域120Aの上段120A1、表示領域120Bの上段120B1に表示させる。例えば、表示制御機能154は、当該ドラッグ操作の移動量に応じて、今回画像(肺野条件の画像)、前回画像(肺野条件の画像)であるL番目(Lは、K<L<Mを満たす整数)のスライス画像を、それぞれ、表示領域120Aの上段120A1、表示領域120Bの上段120B1に表示させる。
【0068】
例えば、ユーザは、表示領域120Aの上段120A1に表示された今回画像(肺野条件の画像)に対して、入力インターフェース110で領域を指定する操作を行う。この場合、図5に示すように、表示制御機能154は、領域の指定の操作に応じて、図5に示すポップアップ画面をディスプレイ120に表示させる。ポップアップ画面には、肺野条件の画像として、今回画像のアキシャル断面2300と共に、指定された領域を拡大した画像として、指定領域が拡大されたアキシャル断面2301と、指定領域が拡大されたコロナル断面2302と、指定領域が拡大されたサジタル断面2303とが表示される。例えば、ユーザは、ポップアップ画面上で拡大表示された各断面2301~2303を参照して結節と思われる領域を入力インターフェース110で指定し、設定機能152は、指定された領域を注目領域として新たに設定する。
【0069】
同様に、ユーザは、表示領域120Bの上段120B1に表示された前回画像(肺野条件の画像)に対して、入力インターフェース110で領域を指定し、設定機能152は、指定された領域を注目領域として新たに設定する。
【0070】
なお、設定機能152による注目領域の設定については、CADにより自動的に注目領域が設定されてもよいし、上述のようにユーザにより手動で注目領域が設定されてもよい。また、自動及び手動により注目領域が設定されてもよい。
【0071】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、ユーザが今回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)及び前回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)に対して領域を指定することで、設定機能152が、指定された領域を注目領域として新たに設定する。そして、特定機能153が、新たに設定された注目領域の組を特定し、表示制御機能154が、新たに特定された注目領域の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。これにより、ユーザにより指定された領域についても、新たに組が特定された注目領域に対応する情報(結節の直径、画像)がディスプレイ120に表示されることで、ユーザが、比較読影を行う際、前回画像及び今回画像について注目領域のサイズの比較を容易に行うことができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、読影の効率を向上させることができる。
【0072】
(第2変形例)
ここで、第1実施形態に係る医用画像処理装置100による受付表示処理について説明する。
【0073】
まず、入力インターフェース110は、操作者であるユーザによる情報(結節の直径、画像)の選択を受け付ける。入力インターフェース110は、「受付部」の一例である。
【0074】
例えば、今回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)及び前回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)の少なくともいずれかは、被検体の3次元領域を撮像することで得た3次元医用画像である。そこで、表示制御機能154は、入力インターフェース110により選択を受け付けた情報(結節の直径、画像)に対応する注目領域が、3次元医用画像において設定機能152により設定されたものである場合には、3次元医用画像において、当該注目領域を含む断面をディスプレイ120に表示させる。
【0075】
例えば、図3のステップS104において、表示制御機能154が、今回画像及び前回画像をディスプレイ120に表示させているときに、ユーザが入力インターフェース110を用いて今回画像の注目領域301の情報(結節の直径、画像)を選択したとする。この場合、入力インターフェース110は、ユーザによる注目領域301の情報(結節の直径、画像)の選択を受け付ける。このとき、表示制御機能154は、当該注目領域301を含む断面(今回画像)として、I番目のスライス画像である肺野条件の画像を、表示領域120Aの上段120A1に表示させる。
【0076】
ここで、表示制御機能154は、4つの表示領域120Aの上段120A1、下段120A2、表示領域120Bの上段120B1、下段120B2のいずれか1つの表示領域において、当該注目領域を含む断面として、I番目のスライス画像を表示させた場合、残りの表示領域においても連動させてI番目のスライス画像を表示させる。
【0077】
例えば、入力インターフェース110がユーザによる注目領域301の情報(結節の直径、画像)の選択を受け付けた場合、表示制御機能154は、当該注目領域301を含む断面(今回画像)として、I番目のスライス画像である肺野条件の画像を、表示領域120Aの上段120A1に表示させる。このとき、表示制御機能154は、表示領域120Aの下段120A2においても連動させて、今回画像として、I番目のスライス画像である縦隔条件の画像を表示領域120Aの下段120A2に表示させる。同様に、表示制御機能154は、表示領域120Bの上段120B1においても連動させて、前回画像として、I番目のスライス画像である肺野条件の画像を表示領域120Bの上段120B1に表示させる。同様に、表示制御機能154は、表示領域120Bの下段120B2においても連動させて、前回画像として、I番目のスライス画像である縦隔条件の画像を表示領域120Bの下段120B2に表示させる。
【0078】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、選択を受け付けた情報(結節の直径、画像)に対応する注目領域を含む断面をディスプレイ120に表示させることで、ユーザが、比較読影を行う際、前回画像及び今回画像について注目領域を含む断面を容易に確認することができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、読影の効率を向上させることができる。
【0079】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と同じ説明を省略する。第2実施形態に係る医用画像処理装置100では、今回の検査において被検体を撮影した医用画像(今回画像)と、n回前(nは1以上の整数)の検査において被検体を撮影した医用画像(n回前の画像)とを比較読影できるようにディスプレイ120に表示させる。
【0080】
例えば、Nが2である場合、第2実施形態に係る医用画像処理装置100では、今回画像と、2回前の検査において被検体を撮影した医用画像(2回前の画像)とを比較読影できるようにディスプレイ120に表示させる。ここで、例えば、Nが1である場合、第2実施形態に係る医用画像処理装置100では、第1実施形態と同様に、今回画像と前回画像(1回前の画像)とを比較読影できるようにディスプレイ120に表示させる。
【0081】
次に、第2実施形態に係る医用画像処理装置100による処理について、図3図6を用いて説明する。図6は、第2実施形態に係る医用画像処理装置100の表示例を示す図である。
【0082】
図3のステップS101において、取得機能151は、被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である今回画像及びn回前の画像を取得する。例えば、ユーザが入力インターフェース110を用いて今回画像及びn回前の画像を取得する指示を行ったものとする。この場合、取得機能151は、画像保管装置3から、今回画像及びn回前の画像と共に、被検体(患者)を識別する患者IDや患者名などを含む患者情報や、今回画像及びn回前の画像が撮影された撮影日などを取得する。
【0083】
今回画像は、「第1画像」の一例であり、n回前の画像は、「第2画像」の一例である。第2実施形態においても、被検体の対象部位が肺であるとする。
【0084】
図3のステップS102において、設定機能152は、今回画像及びn回前の画像において複数の注目領域を設定する。
【0085】
図3のステップS103において、特定機能153は、複数の注目領域301~307、401~406のうち、今回画像及びn回前の画像において対応する注目領域の組を特定する。
【0086】
例えば、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像である肺野条件の画像の解剖学的位置情報を用いて、今回画像の注目領域301とn回前の画像の注目領域501とを組として特定し、今回画像の注目領域302とn回前の画像の注目領域502とを組として特定する。また、例えば、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像である肺野条件の画像の解剖学的位置情報を用いて、今回画像の注目領域304とn回前の画像の注目領域503とを組として特定する。
【0087】
例えば、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像である肺野条件の画像の解剖学的位置情報を用いて、今回画像の注目領域305とn回前の画像の注目領域504とを組として特定し、今回画像の注目領域307とn回前の画像の注目領域506とを組として特定する。
【0088】
ここで、今回画像である肺野条件の画像の注目領域303は、組が特定されなかった注目領域である。例えば、注目領域303は、今回画像において新規に設定された注目領域である。また、今回画像である肺野条件の画像の注目領域306、及び、n回前の画像である肺野条件の画像の注目領域505は、組が特定されなかった注目領域である。例えば、注目領域306は、今回画像において新規に設定された注目領域であり、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域505とは対応していない。
【0089】
図3のステップS104において、表示制御機能154は、今回画像及びn回前の画像をディスプレイ120に表示させると共に、上記組が特定された注目領域を上記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、今回画像とn回前の画像との間に複数の注目領域それぞれに対応する情報をディスプレイ120に表示させる。
【0090】
例えば、表示制御機能154は、表示領域120Aにおいて、今回画像である肺野条件の画像320、縦隔条件330の画像を表示させる。また、表示制御機能154は、表示領域120Bにおいて、n回前の画像である肺野条件の画像520、縦隔条件の画像530を表示させる。
【0091】
また、図6に示す例では、表示制御機能154は、表示領域120Cにおいて、上記組が特定された注目領域301、501、注目領域302、502、注目領域304、503、注目領域305、504、注目領域307、506を、上記組が特定されなかった注目領域303、306、505とは区別した態様で、複数の注目領域301~307、401~406それぞれに対応する情報を表示させる。上記情報は、例えば、注目領域(結節)の直径、当該注目領域の画像を少なくとも含む。
【0092】
具体的には、図6において、表示制御機能154は、上記組が特定された注目領域301、501、注目領域302、502、注目領域304、503、注目領域305、504、注目領域307、506に対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cに表示させる。
【0093】
例えば、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるI番目(Iは、2以上の整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域301とn回前の画像の注目領域501とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるJ番目(Jは、I<Jを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域302とn回前の画像の注目領域502とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるM番目(Mは、J<Mを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域304とn回前の画像の注目領域503とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの上段120C1に表示させる。ここで、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるK番目(Kは、J<K<Mを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定されなかった注目領域として、今回画像の注目領域303を表示領域120Cの上段120C1に表示させる。
【0094】
また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるN番目(Nは、2以上の整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域305とn回前の画像の注目領域504とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの下段120C2に表示させる。また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるR番目(Rは、N<Rを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定された注目領域として、今回画像の注目領域307とn回前の画像の注目領域506とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの下段120C2に表示させる。ここで、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるP番目(Pは、N<P<Rを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定されなかった注目領域として、n回前の画像の注目領域505を表示領域120Cの下段120C2に表示させる。また、表示制御機能154は、肺野条件の画像であるQ番目(Qは、P<Q<Rを満たす整数)のスライス画像において上記組が特定されなかった注目領域として、今回画像の注目領域306を表示領域120Cの下段120C2に表示させる。
【0095】
これにより、ユーザは、肺野条件の画像において、今回画像の注目領域の直径がn回前の画像の注目領域の直径に比べて、減少しているのか、増加しているのか、差が僅かであるのかを確認することができる。また、ユーザは、肺野条件の画像において、新規に今回画像の注目領域を確認し、当該注目領域の直径を確認することができる。
【0096】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、第1実施形態と同様に、複数の注目領域それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)がディスプレイ120に表示されることで、ユーザが、比較読影を行う際、n回前の画像及び今回画像について注目領域のサイズの比較を容易に行うことができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100によれば、読影の効率を向上させることができる。
【0097】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第2実施形態と同じ説明を省略する。
【0098】
図7は、第3実施形態に係る医用画像処理装置100の構成の一例を示す図である。図7に示すように、医用画像処理装置100の処理回路150は、取得機能151、設定機能152、特定機能153、表示制御機能154、付帯機能155を実行する。即ち、処理回路150は、更に、付帯機能155を実行する。なお、付帯機能155は、「付帯部」の一例である。
【0099】
次に、第3実施形態に係る医用画像処理装置100による処理について、図3図8を用いて説明する。図8は、第3実施形態に係る医用画像処理装置100の表示例を示す図である。第3実施形態では、付帯情報を付与する点で第2実施形態とは異なる。
【0100】
ここで、図3図8を用いて、付帯情報表示処理について説明する。なお、第3実施形態においても、Nは1以上の整数であるため、例えば、Nを1とした場合、第1実施形態で説明した今回画像と前回画像(1回前の画像)との比較読影においても、付帯情報表示処理を実現できる。
【0101】
まず、付帯機能155は、今回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)及びn回前の画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)の少なくともいずれかについて、画像が取得された時相における被検体の臨床情報を付帯情報として付帯する。ここで、特定機能153は、付帯情報に基づいて、特定した注目領域の組の信頼性を判定し、表示制御機能154は、信頼性に関する情報を、複数の注目領域それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)と共にディスプレイ120に表示させる。
【0102】
まず、図3のステップS101において、取得機能151は、被検体の対象部位に関し、撮像時刻の異なる医用画像である今回画像及びn回前の画像を取得する。例えば、ユーザが入力インターフェース110を用いて今回画像及びn回前の画像を取得する指示を行ったものとする。この場合、取得機能151は、画像保管装置3から、今回画像及びn回前の画像と共に、被検体(患者)を識別する患者IDや患者名などを含む患者情報や、今回画像が撮影された撮影日「2022年9月3日」、及び、n回前の画像が撮影された撮影日「2022年5月28日」などを取得する。
【0103】
今回画像は、「第1画像」の一例であり、n回前の画像は、「第2画像」の一例である。第3実施形態においても、被検体の対象部位が肺であるとする。
【0104】
ここで、ステップS101において、付帯機能155は、今回画像及びn回前の画像について、画像が取得された時相における被検体の臨床情報を付帯情報600(図6を参照)として取得する。例えば、付帯機能155は、n回前の画像の撮影日「2022年5月28日」と今回画像の撮影日「2022年9月3日」との間の「2022年7月21日」に発生した診療イベントを付帯情報600としてHISサーバ10から取得する。
【0105】
次に、図3のステップS102において、設定機能152は、今回画像及びn回前の画像において複数の注目領域を設定する。
【0106】
次に、図3のステップS103において、特定機能153は、複数の注目領域301~307、401~406のうち、今回画像及びn回前の画像において対応する注目領域の組を特定する。図8に示す例では、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像において、注目領域301、501、注目領域302、502、注目領域304、503、注目領域305、504、注目領域307、506の組を特定する。
【0107】
ここで、ステップS103において、特定機能153は、付帯機能155が取得した付帯情報600を確認する。具体的には、特定機能153は、付帯機能155が取得した付帯情報600に基づいて、特定した注目領域の組の信頼性に影響を与える診療イベントが実施されたか否かを確認する。
【0108】
例えば、画像が取得された時相における被検体の臨床情報は、被検体の身体に大きな影響を与える診療イベントである。例えば、診療イベントは、被検体に対して実施された外科手術など、身体の形状に大きく影響を与える治療である。この場合、当該治療により、被検体の身体の形状に変化をもたらす。
【0109】
ここで、特定機能153は、診療イベントの実施により、特定した注目領域の組の信頼性を判定する。図8に示す例では、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像において、注目領域301、501、注目領域302、502、注目領域304、503、注目領域305、504、注目領域307、506の組の信頼性を判定する。
【0110】
例えば、特定機能153は、診療イベントと、特定した注目領域の組の信頼性とを対応付けるテーブルを参照して、付帯情報600から、特定した注目領域の組の信頼性を判定する。例えば、診療イベントは、テーブルによりリスト化されて、記憶回路140に記憶されている。診療イベントが被検体の身体の形状に変化をもたらす治療である場合、テーブルには、特定機能153が特定した注目領域の組の信頼性の判定結果が低くなるように設定されている。一方、診療イベントが被検体の身体の形状に変化をもたらす可能性が低い治療である場合、テーブルには、特定機能153が特定した注目領域の組の信頼性の判定結果が高くなるように設定されている。
【0111】
例えば、画像が取得された時相は、今回画像が撮影された撮影日「2022年9月3日」、及び、n回前の画像が撮影された撮影日「2022年5月28日」である。ここで、n回前の画像の撮影日「2022年5月28日」と今回画像の撮影日「2022年9月3日」との間の「2022年7月21日」、「2022年7月28日」において、例えば、被検体に対して、それぞれ外科手術「外科手術1」、「外科手術2」が診療イベントとして発生したものとする。例えば、身体の形状に大きく影響を与える治療として、被検体に対して「2022年7月21日」に実施された「外科手術1」に関する情報や、被検体に対して「2022年7月28日」に実施された「外科手術2」に関する情報などが、HISサーバ10が管理する電子カルテに記録されているとする。
【0112】
この場合、特定機能153は、診療イベントとして、「2022年7月21日」、「2022年7月28日」に発生した外科手術の診療イベントが信頼性に影響を与える診療イベントであると判断し、特定した注目領域の組の信頼性を低く判定すると共に、付帯情報600と信頼性に関する情報610「信頼度;低」とをディスプレイ120に表示するように表示制御機能154に依頼する。
【0113】
次に、図3のステップS104において、表示制御機能154は、今回画像及びn回前の画像をディスプレイ120に表示させると共に、上記組が特定された注目領域を上記組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、今回画像とn回前の画像との間に複数の注目領域それぞれに対応する情報をディスプレイ120に表示させる。また、図8に示す例では、表示制御機能154は、付帯情報600として、外科手術「外科手術1」、「外科手術2」をそれぞれ被検体に実施した実施日「2022年7月21日」、「2022年7月28日」がn回前の画像の撮影日「2022年5月28日」と今回画像の撮影日「2022年9月3日」との間に発生したことをディスプレイ120に表示させる。また、図8に示す例では、表示制御機能154は、信頼性に関する情報610「信頼度;低」を、複数の注目領域301~307、401~406それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)と共にディスプレイ120の表示領域120Cに表示させる。
【0114】
ここで、図8に示す例では、表示制御機能154は、付帯情報600や信頼性に関する情報610「信頼度;低」をディスプレイ120に表示させているが、特定した注目領域の組の信頼性に影響を与える診療イベントのみをディスプレイ120に表示させてもよい。
【0115】
なお、被検体の臨床情報は、上述した診療イベントに限らず、例えば、被検体の身体情報(体重等)に著しい変化がある場合にも適用される。この場合、付帯機能155は、n回前の画像の撮影日「2022年5月28日」と今回画像の撮影日「2022年9月3日」との間の「2022年7月21日」において電子カルテに記録された情報において、被検体の身体情報(体重等)に著しい変化があった旨を付帯情報600としてHISサーバ10から取得する。そして、特定機能153は、付帯情報600に基づいて、特定した注目領域の組の信頼性を判定し、表示制御機能154は、特定機能153の判定結果に基づいて、信頼性に関する情報をディスプレイ120の表示領域120Cに表示させる。
【0116】
ここで、特定機能153による注目領域の組の特定は、ディスプレイ120に表示された今回画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)及びn回前の画像(肺野条件の画像、縦隔条件の画像)に対して操作者であるユーザが注目領域の組を指定することで行われてもよい。
【0117】
例えば、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像において、注目領域306、及び、注目領域505を、組が特定されなかった注目領域としているが、実際には、注目領域306と注目領域505とが、今回画像及びn回前の画像において対応する注目領域の組であった可能性がある。
【0118】
この場合、表示制御機能154が今回画像及び前回画像をディスプレイ120に表示させているときに、ユーザは、入力インターフェース110を用いて、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域505との組を指定する操作を行う。具体的には、ユーザが、入力インターフェース110を用いて、表示領域120C内で、注目領域306に対応する情報(結節の直径、画像)を選択して、注目領域505に対応する情報(結節の直径、画像)に並べる操作を行う。この場合、特定機能153は、今回画像及びn回前の画像において、注目領域306と注目領域505との組を特定し、表示制御機能154は、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域505とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの下段120C2に表示させる。
【0119】
このように、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、画像が取得された時相における被検体の臨床情報(付帯情報600)を関連付けて、特定した注目領域の組の信頼性と共に、複数の注目領域それぞれに対応する情報(結節の直径、画像)をディスプレイ120に表示させる。これにより、ユーザは、被検体の臨床情報を考慮しながら、比較読影を行うことができる。このため、本実施形態に係る医用画像処理装置100では、医用画像の観察を支援することができる。
【0120】
ここで、本実施形態では、図8において、今回画像である肺野条件の画像の注目領域303、306、及び、n回前の画像である肺野条件の画像の注目領域505は、組が特定されなかった注目領域としているが、これに限定されない。例えば、表示制御機能154は、今回画像及びn回前の画像の一方の画像において組が特定されなかった注目領域に対応する情報(結節の直径、画像)を、今回画像及びn回前の画像の他方の画像において当該注目領域と解剖学的位置が近い注目領域に対応する情報(結節の直径、画像)の近くに表示させてもよい。
【0121】
例えば、本実施形態では、図8において、今回画像の注目領域307とn回前の画像の注目領域506とが組として特定されている。ここで、今回画像の注目領域306についても、n回前の画像の注目領域506と解剖学的位置が近い場合には、表示制御機能154は、注目領域506に対応する情報(結節の直径、画像)を、注目領域307に対応する情報(結節の直径、画像)の近くに表示させる。これにより、本実施形態では、今回画像及びn回前の画像において、注目領域307と注目領域506との組をユーザに認識させると共に、注目領域306についても注目領域506と解剖学的位置が近いことをユーザに気づいてもらえるようにする。即ち、本実施形態では、注目領域306についても注目領域506と解剖学的位置が近いことをユーザに気づかせることによって、注目領域の組について修正する機会をユーザに与えることができる。
【0122】
例えば、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域506とについては、体軸方向のズレや、アキシャル断面上のズレが要因により、組として特定されなかった可能性がある。そこで、特定機能153は、解剖学的位置情報を用いて画像の位置合わせを行った結果、今回画像及びn回前の画像の一方の画像(例えば、今回画像)において組が特定されなかった注目領域(例えば、注目領域306)である非特定注目領域との解剖学的位置が近い注目領域(例えば、注目領域506)を、今回画像及びn回前の画像の他方の画像(例えば、n回前の画像)において特定する。
【0123】
この場合、表示制御機能154は、今回画像及びn回前の画像をディスプレイ120に表示させると共に、組が特定された注目領域を、組が特定されなかった注目領域とは区別した態様で、今回画像とn回前の画像との間に複数の注目領域それぞれに対応する情報をディスプレイ120に表示させる。このとき、表示制御機能154は、ディスプレイ120の表示領域120Cの下段120C2において、上記一方の画像(今回画像)の非特定注目領域(注目領域306)に対応する情報(結節の直径、画像)を、上記他方の画像(n回前の画像)において特定した注目領域506に対応する情報(結節の直径、画像)の近くに表示させる。これにより、本実施形態では、今回画像の注目領域306についてもn回前の画像の注目領域506と解剖学的位置が近いことをユーザに気づかせる上に、注目領域の組を、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域506との組に修正するか否かの判断をユーザに促すことができる。
【0124】
例えば、ユーザは、注目領域の組を、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域506との組に修正すると判断したとする。この場合、ユーザは、入力インターフェース110を用いて、注目領域をペアリングすることができる。例えば、ユーザは、入力インターフェース110を用いて、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域506との組を指定する操作を行う。例えば、ユーザが、入力インターフェース110を用いて、表示領域120C内で、注目領域306に対応する情報(結節の直径、画像)を選択して、注目領域506に対応する情報(結節の直径、画像)に並べる操作を行う。この場合、特定機能153は、ユーザ操作により、今回画像及びn回前の画像において、注目領域306と注目領域506との組を特定し、表示制御機能154は、今回画像の注目領域306とn回前の画像の注目領域506とに対応する情報(結節の直径、画像)の組を並べて表示領域120Cの下段120C2に表示させる。
【0125】
なお、本実施形態で図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行われる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0126】
また、本実施形態で説明した方法は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0127】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、読影の効率を向上させることができる。
【0128】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0129】
100 医用画像処理装置
120 ディスプレイ
151 取得機能
152 設定機能
153 特定機能
154 表示制御機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8