(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152655
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】多電池制御システム及び電気自動車
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241018BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20241018BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241018BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20241018BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
H02J7/00 P
B60L58/18
B60L58/12
B60L3/00 S
B60L15/20 J
【審査請求】有
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060645
(22)【出願日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】63/458,663
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】113102774
(32)【優先日】2024-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】524130423
【氏名又は名称】達宇電能科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】李 佩真
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AB03
5H125AC12
5H125BA00
5H125BC21
5H125BC28
5H125CA00
5H125DD02
5H125EE02
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】主電池が補助電池を管理する多電池制御システム及び電気自動車を提供する。
【解決手段】電動補助自転車の多電池制御システムにおいて、主電池モジュールは、電動補助自転車のモータモジュール20に電流を供給するように主電池を制御し、主電池の第一の充電状態(SoC)値及び第一の電池温度を取得する主コントローラと、補助コントローラ及び補助電池を備える補助電池モジュールと、を備える。主コントローラは、通信インターフェースを利用して、補助コントローラと通信することで、補助電池モジュールを制御する。補助電池モジュールは、モータモジュールに電流を選択的に供給するか又は主電池を充電する、主コントローラはまた、通信インターフェースを介して補助電池の第二のSoC値及び第二の電池温度を取得する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車用の多電池制御システムであって、
主コントローラ及び主電池を備える主電池モジュールであって、前記主コントローラは、前記電気自動車のモータモジュールに電流を供給するように前記主電池を制御し、前記主コントローラは、前記主電池の第一の充電状態(SoC)値及び第一の電池温度を取得する、主電池モジュールと、
補助コントローラ及び補助電池を備える補助電池モジュールであって、前記主コントローラは、通信インターフェースを利用して、前記補助コントローラと通信することで、前記補助電池モジュールを制御し、前記補助電池モジュールは、前記モータモジュールに電流を選択的に供給するか、又は前記主電池を充電し、前記主コントローラは、前記通信インターフェースを介して前記補助電池の第二のSoC値及び第二の電池温度を取得する、補助電池モジュールと、
を備える、多電池制御システム。
【請求項2】
前記主電池の前記第一のSoC値が第一の特定値より大きい場合、前記主電池は、前記モータモジュールに電流を供給し、前記主コントローラは、前記モータモジュールに電流を出力しないように前記補助電池を制御する、請求項1に記載の多電池制御システム。
【請求項3】
前記主電池の前記第一のSoC値が前記第一の特定値以下であり、前記補助電池の前記第二のSoC値が第二の特定値より大きい場合、前記主電池及び前記補助電池は、同時に前記モータモジュールに電流を供給する、請求項1に記載の多電池制御システム。
【請求項4】
前記第一の電池温度が第一の温度以下であり、前記第二の電池温度が第二の温度以下である場合、前記主電池及び前記補助電池は、同時に前記モータモジュールに電流を供給する、請求項3に記載の多電池制御システム。
【請求項5】
前記モータモジュールの要求電流が閾値以下であり、前記第一のSoC値が前記第一の特定値以下である場合、前記補助電池は、前記モータモジュール及び前記主電池に電流を供給する、請求項1に記載の多電池制御システム。
【請求項6】
前記補助電池の出力電流は、固定値である、請求項5に記載の多電池制御システム。
【請求項7】
前記多電池制御システムが充電状態にあり、前記主電池の電圧が第一の電圧より大きい場合、前記主コントローラは、前記主電池及び前記補助電池を同時に充電するように制御する、請求項1に記載の多電池制御システム。
【請求項8】
前記補助電池の前記第二の電池温度が第三の温度以下である場合、前記主コントローラは、前記主電池及び前記補助電池を同時に充電するように制御する、請求項7に記載の多電池制御システム。
【請求項9】
前記多電池制御システムが充電状態にあり、前記主電池の電圧が第一の電圧以下である場合、前記主コントローラは、前記主電池を充電し、前記補助電池を充電しないように制御する、請求項1に記載の多電池制御システム。
【請求項10】
電気自動車であって、
モータ及びモータコントローラを備えるモータモジュールであって、前記モータコントローラは、前記電気自動車を駆動して移動させるように前記モータを制御する、モータモジュールと、
主コントローラ及び主電池を備える主電池モジュールであって、前記主コントローラは、第一の通信インターフェースを利用して、前記モータコントローラと通信することで、前記モータに電流を供給するように前記主電池を制御し、前記主コントローラは、前記主電池の第一の充電状態(SoC)値及び第一の電池温度を取得する、主電池モジュールと、
補助コントローラ及び補助電池を備える補助電池モジュールであって、前記主コントローラは、第二の通信インターフェースを利用して、前記補助コントローラと通信することで、前記補助電池モジュールを制御し、前記補助電池モジュールは、前記モータモジュールに電流を選択的に供給するか、又は前記主電池を充電し、前記主コントローラは、前記通信インターフェースを介して前記補助電池の第二のSoC値及び第二の電池温度を取得する、補助電池モジュールと、
を備える、電気自動車。
【請求項11】
前記主電池の充電値の前記第一の状態が第一の特定値より大きい場合、前記主電池は、前記モータモジュールに電流を供給し、前記主コントローラは、前記モータモジュールに電流を出力しないように前記補助電池を制御する、請求項10に記載の電気自動車。
【請求項12】
前記主電池の前記第一のSoC値が前記第一の特定値以下であり、前記補助電池の前記第二のSoC値が第二の特定値より大きい場合、前記主電池及び前記補助電池は、同時に前記モータモジュールに電流を供給する、請求項10に記載の電気自動車。
【請求項13】
前記第一の電池温度が第一の温度以下であり、前記第二の電池温度が第二の温度以下である場合、前記主電池及び前記補助電池は、同時に前記モータモジュールに電流を供給する、請求項12に記載の電気自動車。
【請求項14】
前記モータモジュールの要求電流が閾値以下であり、前記第一のSoC値が前記第一の特定値以下である場合、前記補助電池は、前記モータモジュール及び前記主電池に電流を供給する、請求項10に記載の電気自動車。
【請求項15】
前記補助電池の出力電流は、固定値である、請求項14に記載の電気自動車。
【請求項16】
前記多電池制御システムが充電状態にあり、前記主電池の電圧が第一の電圧より大きい場合、前記主コントローラは、前記主電池及び前記補助電池を同時に充電するように制御する、請求項10に記載の電気自動車。
【請求項17】
前記補助電池の前記第二の電池温度が第三の温度以下である場合、前記主コントローラは、前記主電池及び前記補助電池を同時に充電するように制御する、請求項16に記載の電気自動車。
【請求項18】
前記多電池制御システムが充電状態にあり、前記主電池の電圧が第一の電圧以下である場合、前記主コントローラは、前記主電池を充電し、前記補助電池を充電しないように制御する、請求項10に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年4月12日に出願された米国仮出願63/458,663号の利益を主張する。この仮出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、多電池制御システム及び電気自動車に関し、より具体的には、主電池が補助電池を管理する多電池制御システム及び電気自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車の普及とともに、電動アシスト自転車、電動バイク、電動車椅子、又はゴルフカート等の軽量電気自動車の応用も重視されるようになってきた。現在、軽量電気自動車の開発及び耐久性は、電池容量によって制限されているので、容量を増大させるためには、より多くの電池を並列に接続する必要がある。例えば、軽量電気自動車は、耐久性を高めるために主電池及び1つ以上の補助電池を装備してもよい。さらに、軽量電気自動車の配線を単純化するために、補助電池は、主電池にのみ接続されてもよく、次いで、主電池は、モータコントローラと通信し、他の補助電池を管理する役割を担う。
【0004】
そのため、主電池及び補助電池の電力をどのように管理するかが、業界の目標の一つになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上記課題を解決する多電池制御システム及び電気自動車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、電気自動車に使用される多電池制御システムを開示する。多電池制御システムは、主コントローラ及び主電池を備える主電池モジュールであって、前記主コントローラは、前記電気自動車のモータモジュールに電流を供給するように前記主電池を制御し、前記主コントローラは、前記主電池の第一の充電状態(SoC)値及び第一の電池温度を取得する、主電池モジュールと、補助コントローラ及び補助電池を備える補助電池モジュールであって、前記主コントローラは、通信インターフェースを利用して、前記補助コントローラと通信することで、前記補助電池モジュールを制御し、前記補助電池モジュールは、前記モータモジュールに電流を選択的に供給するか、又は前記主電池を充電し、前記主コントローラは、前記通信インターフェースを介して前記補助電池の第二のSoC値及び第二の電池温度を取得する、補助電池モジュールと、を備える。
【0007】
本発明の実施形態は、電気自動車を開示し、前記電気自動車は、モータ及びモータコントローラを備えるモータモジュールであって、前記モータコントローラは、前記電気自動車を駆動して移動させるように前記モータを制御する、モータモジュールと、主コントローラ及び主電池を備える主電池モジュールであって、前記主コントローラは、第一の通信インターフェースを利用して、前記モータコントローラと通信することで、前記モータに電流を供給するように前記主電池を制御し、前記主コントローラは、前記主電池の第一の充電状態(SoC)値及び第一の電池温度を取得する、主電池モジュールと、補助コントローラ及び補助電池を備える補助電池モジュールであって、前記主コントローラは、第二の通信インターフェースを利用して、前記補助コントローラと通信することで、前記補助電池モジュールを制御し、前記補助電池モジュールは、前記モータモジュールに電流を選択的に供給するか、又は前記主電池を充電し、前記主コントローラは、前記通信インターフェースを介して前記補助電池の第二のSoC値及び第二の電池温度を取得する、補助電池モジュールと、を備える。
【0008】
本発明のこれら及び他の目的は、様々な図及び図面に例示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には、疑いなく明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の一実施形態による多電池制御システムの概略図である。
【
図1B】本発明の一実施形態による電動補助自転車の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による放電制御方法のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による多電池制御システムの放電モードのフローチャートである。
【
図4】本発明の別の実施形態による多電池制御システムの放電モードのフローチャートである。
【
図5】本発明の別の実施形態による多電池制御システムの放電モードのフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態による充電制御方法のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態による多電池制御システムの充電モードのフローチャートである。
【
図8】本発明の別の実施形態による多電池制御システムの充電モードのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特定の用語は、特定の構成要素を指すために、説明及び以下の特許請求の範囲を通して使用される。当業者なら理解するように、ハードウェア製造業者は、異なる名称で構成要素を指すことがある。この文書は、名称が異なるが機能が異ならない構成要素を区別することを意図していない。以下の説明及び特許請求の範囲において、「含む(include)」及び「備える(comprise)」という用語は、非限定的な様式で利用され、したがって、「含むが、限定されない」を意味すると解釈されるべきである。また、「結合する」という用語は、間接的又は直接的な電気的接続のいずれかを意味するものとする。したがって、あるデバイスが別のデバイスに結合される場合、その接続は、直接的な電気的接続によるものであってもよく、又は他のデバイス及び接続部を介した間接的な電気的接続によるものであってもよい。
【0011】
図1A及び
図1Bは、本発明の一実施形態による多電池制御システム10及び電動補助自転車1の概略図である。多電池制御システム10は、主電池モジュール12と補助電池モジュール14とを含み、電動補助自転車1のモータモジュール20に電流を供給するために、電動補助自転車1の任意の位置に設置され得る。例えば、主電池モジュール12は、電動補助自転車1のダウンチューブに設置されてもよく、補助電池モジュール14は、電動補助自転車1の水ボトルケージに設置されてもよく、モータモジュール20は、電動補助自転車1の中心軸の前輪ハブ、後輪ハブ又は前部モータ、後部モータ又はミッドマウントモータに設置されてもよいが、これらに限定されない。本発明の多電池制御システム10は、電動補助自転車1以外にも、電動バイク、電動車椅子、ゴルフカート、又は他の形態の電気自動車に適用してもよい。当業者は、システム要件に従って適切な調整を行うことができることに留意されたい。
【0012】
詳細には、
図1Aに示すように、主電池モジュール12は、主コントローラ122と、主電池124とを含む。補助電池モジュール14は、補助コントローラ142と、補助電池144とを含む。モータモジュール20は、モータコントローラ202と、モータ204とを含む。主コントローラ122は、モータコントローラ202に結合され、モータ204に電流を供給するように主電池124を制御する。モータモジュール20のモータ204及びモータコントローラ202は、1つの構成要素に一体化されていても、2つの構成要素に分離されていてもよいことに留意されたい。さらに、主コントローラ122は、補助電池モジュール14を制御するために補助コントローラ142に結合され、それにより、補助電池144は、モータモジュール20に電流を選択的に供給するか、又は主電池124を充電する。主コントローラ122は、第一の通信インターフェースを利用して、モータコントローラ202と通信すること、第二の通信インターフェースを利用して、補助コントローラ142と通信することに留意されたい。例えば、第一の通信インターフェースは、ユニバーサル非同期受信器/送信器(UART)であってもよく、第二の通信インターフェースは、コントローラエリアネットワーク(CAN)であってもよいが、これらに限定されるものではない。ユニバーサル非同期送信器及びコントローラエリアネットワーク等の車両通信プロトコルは、当技術分野でよく知られているので、ここでは繰り返さないことに留意されたい。さらに、
図1Aに示すように、多電池制御システム10は、充電モジュール30に結合され、充電状態に入り、主電池124及び/又は補助電池144を充電することができる。
【0013】
主電池モジュール12又は主コントローラ122は、マイクロコントローラユニット(MCU)及びメモリを含んでもよいことに留意されたい。メモリは、放電制御方法を実行するようにMCUに命令するためのプログラムコードを記憶する。放電制御方法は、
図2に示すように、プロセス2として要約してもよい。プロセス2は、以下のステップを含む。
【0014】
ステップS200で、開始する。
【0015】
ステップS202で、モータコントローラ202は、主電池モジュール12の電池容量及び動作モードを取得して、モータ204の要求電流を決定する。
【0016】
ステップS204で、主コントローラ122は、要求電流を取得し、主電池124の第一の情報及び補助電池144の第二の情報を取得する。
【0017】
ステップS206で、主コントローラ122は、第一の情報、第二の情報及び需要電流に従って、主電池124及び補助電池144の放電モードを決定する。
【0018】
ステップS208で、終了する。
【0019】
プロセス2によれば、ステップS202において、ユーザが電動補助自転車1に乗ると、主コントローラ122がモータコントローラ202に結合され、現在の要求電流を取得する。要求電流は、モータ204が主電池124及び/又は補助電池144から引き出すと予想される電流の量を表す。モータコントローラ202は、第一の通信インターフェースを介して多電池制御システム10の電池容量を取得し、ユーザの動作モード及び多電池制御システム10の電池容量に従って、引き込む要求電流を決定してもよいことに留意されたい。言い換えれば、電動補助自転車1は、運転モード毎に要求電流が異なる。動作モードは、より電力を消費するスポーツモードであっても、比較的省電力の省電力モードであってもよいが、これらに限定されない。ステップS204で、主コントローラ122は、主電池124の第一の情報を取得し、補助コントローラ142と通信して、補助電池144の第二の情報を取得する。詳細には、主電池モジュール12及び補助電池モジュール14は、主電池124の第一の充電状態(SoC)値、第一の電池温度及び第一の電池電圧(第一の情報)及び補助電池144の第二のSoC値、第二の電池温度及び第二の電池電圧(第二の情報)を感知するためのSoCセンサ、電池温度センサ又は電池電圧センサをそれぞれ含んでもよい。当業者であれば、必要に応じて他の種類のセンサやセンシング情報を適宜追加し得るが、これらに限定されるものではないことに留意されたい。ステップS206で、主コントローラ122は、第一の情報、第二の情報及び要求電流に従って、主電池124及び補助電池144の放電モードを決定し、主電池124及び補助電池144の電力を管理する。
【0020】
詳細には、主コントローラ122は、主電池124の第一のSoC値が第一の特定値より大きいか否か、及び補助電池144の第二のSoC値が第二の特定値より大きいか否かを決定し、それに応じて主電池124及び補助電池144の放電モードを決定してもよい。一実施形態では、
図3に示すように、主電池124の第一のSoC値が第一の特定値(例えば、80%)より大きい場合、主コントローラ122は、主電池124を制御して、モータモジュール20に電流(0A~20A)を供給し、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して、スタンバイモードに入り、モータモジュール20に電流を出力しないように命令する。別の実施形態では、
図4に示すように、主電池124の第一のSoC値が第一の特定値(80%)以下であり、補助電池144の第二のSoC値が第二の特定値(3%)よりも大きい場合、主コントローラ122は、主電池124を制御して、モータモジュール20に電流(0A~20A)を供給し、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して、モータモジュール20に電流(5A)を供給するように命令する。補助電池144の第二のSoC値が第二の特定値(3%)以下である場合、主コントローラ122は、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して、スタンバイモードに入るように命令することに留意されたい。言い換えれば、補助電池144の電池容量が極端に小さい場合、補助電池144は、モータモジュール20に電流を供給せず、残っている電池容量は、主コントローラ122と補助コントローラ142との間の通信を維持するためだけに使用される。別の実施形態では、
図4に示すように、主電池124及び補助電池144のSoC値に応じて主電池124及び補助電池144の放電モードを決定することに加えて、本発明は、主電池124及び補助電池144の電池温度を決定条件として追加してもよい。例えば、主電池124の第一のSoC値が第一の特定値(80%)以下で、補助電池144の第二のSoC値が第二の特定値(3%)よりも大きく、主電池124の第一の電池温度が第一の温度(44℃)以下であり、補助電池144の第二の電池温度が第二の温度(69℃)以下である場合、主コントローラ122は、主電池124を制御し、モータモジュール20に電流(0A~20A)を供給し、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して、モータモジュール20に電流(5A)を供給するように命令する。本発明の全ての実施形態において、当業者は、要件、例えば、補助電池モジュール14内のトランジスタの温度に応じて、他の種類のセンサ及びセンシング情報を決定条件として適宜追加してもよいが、これらに限定されないことに留意されたい。
【0021】
一実施形態では、電動補助自転車1が静止している場合又は下り坂を走行している場合、モータ204の要求電流は、軽負荷状態である。言い換えれば、モータ204は、電動アシストを出力する必要はないか、あるいはわずかな電動アシストを出力するだけでよい。
図5に示すように、モータモジュール20又はモータ204の要求電流が閾値以下であり、主電池124の第一のSoC値が第一の特定値(5A)以下である場合、主コントローラ122は、主電池124を制御して、電流を出力しないようにし、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して、モータモジュール20(2A)及び主電池124(3A)に電流(5A)を供給するように命令する。上記実施形態において、補助電池144から供給される電流は、固定値(5A)であってもよく、閾値は、固定値(5A)として設定してもよいことに留意されたい。したがって、モータモジュール20の要求電流が補助電池144から供給される電流(5A)よりも小さい場合、モータモジュール20は、補助電池144から電流(2A)のみを引き出す。さらに、主コントローラ122は、主電池124を制御して、充電モードに移行する。このように、補助電池144は、モータモジュール20に2Aの電流を供給することに加えて、主電池124を充電するために3Aの電流も供給する。
【0022】
他方で、多電池制御システム10が充電モジュール30に結合され、充電モードに移行するとき、プログラミングコードは、また充電制御方法を実行するようにMCUに命令する。充電制御方法は、
図6に示すように、プロセス6として要約してもよい。プロセス6は、以下のステップを含む。
【0023】
ステップS600で、開始する。
【0024】
ステップS602で、主電池124の第一の情報及び補助電池144の第二の情報を取得する。
【0025】
ステップS604で、第一の情報及び第二の情報に従って、主電池124及び補助電池144の充電モードを決定する。
【0026】
ステップS606で、終了する。
【0027】
プロセス6によれば、ステップS602で、主コントローラ122は、主電池124の第一の情報を取得し、補助コントローラ142と通信して、補助電池144の第二の情報を取得する。上述したように、第一の情報は、主電池124の第一のSoC値、第一の電池温度及び第一の電池電圧を含んでもよい。第二の情報は、補助電池144の第二のSoC値、第二の電池温度及び第二の電池電圧を含んでもよい。当業者であれば、必要に応じて他の種類のセンサやセンシング情報を適宜追加してもよいが、これらに限定されるものではないことに留意されたい。ステップS604で、主コントローラ122は、第一の情報及び第二の情報に従って主電池124及び補助電池144の充電モードを決定し、主電池124及び補助電池144の電力を管理する。
【0028】
詳細には、主コントローラ122は、主電池124の電力が十分であるか否かを決定し、それに応じて主電池124及び補助電池144の充電モードを決定してもよい。例えば、主コントローラ122は、主電池124の第一の電池電圧が第一の電圧より大きいか否か、又は第一のSoC値が第一の特定値より大きいか否かを決定して、主電池124の電力が十分であるか否かを決定するが、これらに限定されるものではない。一実施形態において、充電モジュール30は、多電池制御システム10を充電するために4Aの電流を供給してもよく、主電池124の第一の電圧が第一の電圧(37V)よりも大きいとき、主コントローラ122は、主電池124及び補助電池144を同時に充電するように制御する。
図7に示すように、主コントローラ122は、主電池124を制御して、充電モジュール30から供給される電流(2A)を受け、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して、充電モジュール30から供給される電流(2A)を受けるように命令する。言い換えれば、主電池124の電力が十分であれば、主電池124と補助電池144とを同時に充電してもよい。主電池124及び補助電池144の充電電流分布は、(2A+2A)であるが、これに限定されないことに留意されたい。他の実施形態では、
図7に示すように、本発明は、主電池124の第一の電圧に応じて主電池124及び補助電池144の充電モードを決定することに加えて、補助電池144の電池温度を決定条件として追加してもよい。例えば、主電池124の第一の電圧が第一の電圧(37V)よりも大きく、補助電池144の第二の電池温度が第三の温度(54℃)以下である場合、主コントローラ122は、主電池124と補助電池144とを同時に充電するように制御する。主電池124の第一の電圧が第一の電圧(37V)よりも大きく、補助電池144の第二の電池温度が第三の温度(54℃)よりも大きい場合、主コントローラ122は、主電池124を充電するように制御し、補助電池144に充電しないように、又はスタンバイモードに入るように命令する。一実施形態では、
図8に示すように、主電池124の第一の電圧が第一の電圧(37V)以下である場合、主コントローラ122は、主電池124を充電するように制御し、補助コントローラ142に、補助電池144を制御して充電しないように、又はスタンバイモードに入るように命令する。言い換えれば、主電池124の電力が不十分な場合、充電モジュール30の充電電流(4A)の全ては、充電のために、主電池124に供給される。
【0029】
要するに、本発明の補助電池モジュール14の補助コントローラ142は、主コントローラ122からコマンドを受信して、補助電池144を充電するか放電するかを決定する。補助コントローラ142は、コントローラエリアネットワークCANを介して主コントローラ122にのみ接続され、モータコントローラ202には直接接続されていないことに留意されたい。したがって、モータコントローラ202の観点から、多電池制御システム10の主電池124及び補助電池144は、等価電池と見なしてもよい。例えば、主電池124の容量が補助電池144の容量の3倍である場合、容量と等価電池のSoC値は、以下の式を満たす。
等価電池の容量=4(補助電池の容量)
等価電池のSoC値=1(第二のSoC値)/4+3(第一のSoC値)/4
【0030】
要するに、本発明の多電池制御システムでは、主コントローラが主電池を制御し、補助コントローラに命令して補助電池を制御して様々な放電モードと充電モードとを切り替える。したがって、本発明は、主電池及び補助電池のSoC値の管理と、それによって主電池及び補助電池の利用効率の改善と、電池寿命の延長との利点を有する。
【0031】
当業者であれば、本発明の教示を保持しながら、装置及び方法の多数の修正及び変更を行うことができることを容易に理解するであろう。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されると解釈されるべきである。