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特開2024-152658構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152658
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/20 20060101AFI20241018BHJP
   G01M 3/26 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G01M3/20 L
G01M3/26 M
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024061192
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】23167812
(32)【優先日】2023-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】520415627
【氏名又は名称】プファイファー・ヴァキューム・テクノロジー・アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク・クラール
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・アルント
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・シューリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ルードルフ・コンヴィチュニー
(72)【発明者】
【氏名】マーイク・ヤーコプ
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA22
2G067BB04
2G067BB25
2G067BB34
2G067CC04
2G067CC11
2G067DD02
2G067DD17
2G067DD18
2G067EE08
2G067EE09
(57)【要約】
【課題】 異なる構造部品、特に、構造部品内に形成された管路の密閉性又は漏れを効率的に検査することが可能な方法及び装置を提供することである。
【解決手段】
本発明は、複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法に関し、この方法は、構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態を適用する工程と、構造部品の管路の出口構成で出口状態を測定する工程と、この測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する工程とを有し、この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法であって、
この構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態を適用する工程(902)と、
この構造部品の管路の出口構成で出口状態を測定する工程(904)と、
この測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する工程(906)と、
を有し、
この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記の入口状態が、所与の圧力、所与の濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上から成り、
前記の出口状態の測定が、圧力、濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上の検出から成る、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記の適用と測定が、複数の異なる測定構成に関して実施されて、各測定構成が所定の入口構成と所定の出口構成から成り、
前記の構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率が、複数の異なる測定構成に関する適用と測定に基づき特定される、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
一連の測定に関する各入口状態が、異なる圧力、異なる濃度、異なる化学元素、異なる化学化合物及び化学物質の異なる混合物の中の一つ以上から成る方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の方法において、
複数の測定構成の中の少なくとも一つの測定構成において、各管路がそれぞれ別の管路と組み合わされて出現するように、複数の異なる測定構成を特定する工程を更に有する方法。
【請求項6】
請求項3から5までの何れか一つに記載の方法において、
前記の複数の測定構成に関して、それぞれ漏れ率を特定する工程と、
これらの複数の測定構成に関するそれぞれの漏れ率に基づき、二つの管路の間の漏れ率を特定する工程と、
を更に有する方法。
【請求項7】
複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置、特に、請求項1から6までの何れか一つに記載の方法を実施するように構成された装置であって、 入口と、
出口と、
この構造部品を収容し、
この入口を構造部品の管路の入口構成と接続し、
この出口を構造部品の管路の出口構成と接続する、
ように構成された収容機器と、
この入口に所与の入口状態を適用し、
この出口で出口状態を測定し、
この測定に基づき、構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する、
ように構成された測定機器と、
を備え、
この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する、
装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
閉鎖部材を更に備え、収容部材とこの閉鎖部材が、共通の密閉面を形成するように構成され、前記の収容部材とこの閉鎖部材が、取り外し可能な形で互いに移動できるように配置されている装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置において、
収容部材に向かって構造部品に力を加えることによって、前記の構造部品を収容部材と接続するように構成された押圧部材を更に備えている装置。
【請求項10】
請求項7から9までの何れか一つに記載の装置において、
前記の構造部品の管路を前記の入口及び出口と接続するための、構造部品に特有の部分を有するアダプター板を更に備えている装置。
【請求項11】
請求項7から10までの少なくとも一つに記載の装置において、
本装置の入口と構造部品の管路の間及び本装置の出口と構造部品の管路の間の接続を開閉するように構成されたバルブを更に備えている装置。
【請求項12】
請求項7から11までの少なくとも一つに記載の装置において、
前記の測定機器が、四極子型質量分析計、飛行時間型質量分析計、セクターフィールド型質量分析計、圧力測定器、差圧測定器及び流量測定器の中の一つ以上又はこれらの光学分光計のグループの中の一つの分光計を備えている装置。
【請求項13】
請求項7から12までの少なくとも一つに記載の装置において、
前記の測定機器が、10-7hPa~5MPaの範囲内、10-6hPa~4.5MPaの範囲内又は10-4hPa~4MPaの範囲内の圧力範囲を測定するように構成されている装置。
【請求項14】
請求項7から13までの少なくとも一つに記載の装置において、
前記の測定機器が、気体状の媒体、有利には、気体状の冷媒、アンモニア、炭化水素、フッ化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、水蒸気、窒素、空気、酸素及び4u、3u又は2uのモル質量を有する検査ガスの中から選定された気体状の媒体を測定するように構成されている装置。
【請求項15】
請求項7から14までの何れか一つに記載の装置において、
管路案内構造部品がバイポーラプレート又はモノプレートである装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置に関する。また、本発明は、構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
管路案内構造部品(即ち、少なくとも一つの管路を有する構造部品)は、様々な用途で使用することができる。例えば、管路案内構造部品は、バイポーラプレートであるとすることができる。バイポーラプレートは燃料電池の構成部品である。本発明の意味において、そもそも周知である「燃料電池」とは、酸化剤(例えば、酸素)と還元剤(例えば、水素)の反応によるエネルギーの一部を電気エネルギーに直に変換できる装置であると理解される。一方で、そのような構造部品の密閉性又は漏れの無いことが、その構造部品の正常な動作を保証するのに必要である場合がある。他方で、漏れから危険が生じる場合もある。例えば、燃料電池では、漏れ出した水素が周囲環境の酸素又は別の漏れによって燃料電池から漏れ出した酸素と結合して爆発を引き起こす可能性がある。大抵は容易に点火する媒体により動作する技術機器は、高い安全基準を遵守するとともに、それに対応する規格を遵守しなければならない。
【0003】
従って、そのような構造部品に対して、確実かつ効率的に密閉性を検査するとともに、漏れ測定を実施することが必要がある。
【0004】
従来技術による密閉性検査装置の例では、各管路を個別に測定している。即ち、管路毎に順番に密閉性又は漏れ率を別個に特定又は測定している。更に、漏れを検知した場合、その漏れが何処に(即ち、例えば、一つの管路に、どの別の管路に、或いは周囲の体積に)通じているのかを特定しなければならない。従って、管路の配置構成、特に、管路の入口と管路の出口の配置構成が異なる様々な形式の構造部品に対しては、密閉性検査と漏れ測定を実施する異なる装置が必要となる。従って、従来技術では、単一の装置を用いて異なる構造部品を検査することが不可能である。更に、従来技術では、管路毎に測定を別個に実施しているので、通常は検査時間が非常に長くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、異なる構造部品、特に、構造部品内に形成された管路の密閉性又は漏れを効率的に検査することが可能な方法及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1の特徴を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法によって解決され、特に、この方法が、構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態を適用する工程と、構造部品の管路の出口構成で出口状態を測定する工程と、この測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する工程とを有することによって解決される。この場合、入口構成が、構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、出口構成が、構造部品の少なくとも一つの別の管路を有することができるか、或いは入口構成が、構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、出口構成が、構造部品の少なくとも二つの別の管路を有することができる。
【0007】
この場合、漏れ測定は、漏れ率の測定又は決定(即ち、漏れの大きさに関する定量的測定)と、漏れ経路の測定又は決定(即ち、例えば、別の管路への漏れ又は周囲の体積への、即ち、構造部品から出て行く漏れが生じているのかに関する情報)とから構成することができる。
【0008】
この場合、漏れ率は、(即ち、直接的又は間接的に測定される)測定変数であり、密閉性は、(即ち、別の測定から導き出される)検査変数である。例えば、全ての管路又は管路の組合せにおいて、測定された漏れ率が0である場合、その構造部品は、機能的に正常に密閉されている(即ち、密閉性を有する)と称することができる。
【0009】
ここで、完璧にするために、実際にはDIN-EN1779に基づく漏れ率が0であるとの規定が許容されないことに言及しておく。従って、実際には、構造部品がその時々の最大許容漏れ率よりも低い漏れ率を有する場合に、その構造部品は機能的に正常に密閉されていると称される。この場合、最大許容漏れ率は、構造部品の特性であり、しばしばそのような特性として指定される。
【0010】
入口構成と出口構成の組合せは、測定構成と称することができる。同じ管路が入口構成にも出口構成にも出現しない場合、その測定構成は「重なり合わない」と称することができ、即ち、それにより、欠陥の無い構造部品でのそのような測定構成に基づく測定では、管路が互いに影響し合うことがない。
【0011】
この入口状態とは、入口構成の全ての管路に対して共通の状態又は同じ状態、例えば、所定の気体状物質の所与の圧力であるとすることができる。この出口状態とは、出口構成の全ての管路に対して共通に測定することができる。
【0012】
漏れの無い構造部品では、重なり合わない測定構成における出口状態は入口状態に依存しない。所与の入口状態が変化して出口状態が変化した場合、漏れがあると推定することができ、特に、その場合、入口構成の中の少なくとも一つの管路と出口構成の中の一つの管路の間の漏れを検知することができる。
【0013】
言い換えると、管路案内構造部品及び管路案内構造部品の管路の漏れ率の測定及び/又は密閉性検査を可能にする方法が提供される。特に、構造部品が漏れの有る管路を有するのか、或いは構造部品の全ての管路が密閉されているのかを検査することができる。更に、何処で漏れが生じているのか、即ち、例えば、別の管路又は周囲の体積への漏れが生じているのかを特定することができる。本発明による方法を用いて、管路を案内する検査物体の定量的かつ統合的な密閉性検査が可能になる。
【0014】
本発明による方法を用いて、測定時間の大幅な短縮が実現可能である。このことは、特に、複数の管路を同時に測定することによって達成される。そして、複数の管路が全体として密閉されていることが明らかになった場合に、それらの複数の管路の個々の管路がそれぞれ密閉されていることになる。それどころか、管路の複数の組合せの測定によって、個々の管路のそれぞれの密閉性を検査するか、漏れ率及び/又は漏れ経路を特定するか、或いはその両方を実施することができる。
【0015】
これらの測定構成(即ち、入口構成と出口構成の各組合せ)は、(即ち、入口としての)入口構成と同時に(即ち、出口としての)出口構成に構造部品の管路が規定されないように選定することができる。そのため、管路の全ての考え得る組合せの中で、測定に関する候補として適した管路の組合せだけが調べられる。
【0016】
一つの実施形態では、入口状態が、所与の圧力、所与の濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上であるとともに、出口状態の測定が、圧力、濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上を検出することである。即ち、入口構成に密閉されていない管路を有する構造部品において、その入口構成の密閉されていない管路が出口構成の中の一つの管路に対して密閉されていない場合に、所与の入口状態に対して出口状態の変化が生じるとの趣旨で、所与の入口状態が、測定された出口状態に対応する。
【0017】
一つの実施構成では、複数の異なる測定構成に関して適用と測定が実施され、その際、各測定構成が、所定の(異なる測定構成に関して出来れば異なる)入口構成と所定の(異なる測定構成に関して出来れば異なる)出口構成から成り、構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率が、複数の異なる測定構成に関する適用と測定に基づき特定される。即ち、具体的には、異なる測定構成に関して、測定が実施される。
【0018】
一つの実施形態では、一連の測定に関して、各入口状態が、異なる圧力、異なる濃度、異なる化学元素、異なる化学化合物及び化学物質の異なる混合物であるとすることができる。
【0019】
異なる元素、化合物又は混合物の使用は、別の媒体(即ち、別の元素、別の化合物又は別の混合物)が使用されるために、場合によっては、本装置又は構造部品内に依然として残る媒体を後続の測定時に考慮する必要がなくなるので、一連の迅速な測定を可能にする。
【0020】
異なる圧力又は濃度の使用は、媒体の圧力又は濃度の違いに基づき一連の測定を区別することを可能にし、その結果、一連の迅速な測定が可能になる。
【0021】
これらの測定構成は、入口構成の管路が出口構成の管路に対して補集合となるように選定することができる。即ち、具体的には、同じ管路が入口構成にも出口構成にも出現しないようにすることができる。この場合、一つの実施構成では、これらの考え得る測定構成の集合全体を検査するのではなく、全ての関連する漏れ経路を測定できるように選定された部分集合だけを検査することができる。
【0022】
一つの実施構成では、複数の測定構成の中の少なくとも一つの測定構成において、各管路がそれぞれ別の管路と組み合わされた形で出現するように、複数の異なる測定構成が特定される。これにより、各漏れ経路が少なくとも一つの測定構成に含まれることとなる、即ち、各漏れ経路が少なくとも一つの測定構成において検出可能な漏れを引き起こすこととなる。二つの管路が組み合わされた形で出現することは、これらの管路の中の一つが入口構成に出現する一方、他方の管路が出口構成に出現することを意味する。
【0023】
一つの実施構成では、複数の測定構成に関して、それぞれ漏れ率が特定されるとともに、これらの複数の測定構成に関するそれぞれの漏れ率に基づき、二つの管路の間の漏れ率が特定される。そして、これにより、異なる測定構成に関する測定から、二つの個別管路の間の漏れ率を推定することができる。
【0024】
また、本発明の課題は、請求項7の特徴を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置によって解決され、特に、本装置が、入口と、出口と、構造部品を収容し、入口を構造部品の管路の入口構成と接続し、出口を構造部品の管路の出口構成と接続するように構成された収容機器と、入口に所与の入口状態を適用し、出口で出口状態を測定し、この測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定するように構成された測定機器とを備え、入口構成が構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、出口構成が構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いは入口構成が構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、出口構成が構造部品の少なくとも二つの別の管路を有することによって解決される。
【0025】
本装置は、更に、閉鎖部材を備えることができ、その際、収容部材と閉鎖部材が、共通の密閉面を形成するように構成されるとともに、収容部材と閉鎖部材が、取り外し可能な形で互いに移動できるように配置されている。具体的には、そのように、本装置を開いて、収容部材内に構造部品を設置し、その後、閉鎖部材を用いて、本装置を再び閉じることができる。
【0026】
本装置は、更に、収容部材に向かって構造部品に力を加えることによって、構造部品を収容部材と接続するように構成可能な押圧部材を備えることができる。例えば、圧力が押圧部材に作用し、その結果、構造部品に対する力が生じる。この押圧部材は、ピストンの形で構成することができ、そのように、厚さに関係なく構造部品を狭持することを可能にし、更に、この押圧部材は、押圧部材と収容部材によって構造部品に与える可変の力を提供することができる。
【0027】
本装置は、構造部品の管路を入口及び出口と接続する、構造部品に特有の部分を有するアダプター板を備えることができる。そのように、本装置では、例えば、外側の幾何学的形状や、管路又は管路開口部の位置及び/又は数が異なる様々な構造部品を使用することができる。
【0028】
一つの実施構成では、本装置は、構造部品の内部管路に圧力を加えるか、真空にするか、或いはその両方を実施するように構成されている。
【0029】
一つの実施構成では、本装置は、本装置の入口と構造部品の管路の間の接続及び本装置の出口と構造部品の管路の間の接続を開閉するように構成されたバルブを備えることができる。これらのバルブは、アダプター板の中又は上、収容ユニットの中又は上、或いは外部に配置することができる。これらのバルブは、開閉の際に、入口構成で必要な構造部品の管路を入口と接続し、それ以外の全ての管路を入口と接続しないように設定することができる。更に、これらのバルブは、開閉の際に、出口構成で必要な構造部品の管路を出口と接続し、それ以外の全ての管路を出口と接続しないように設定することができる。この場合、「接続する」とは、媒体(例えば、化学元素、化学化合物又は化学物質の混合物)を通すことであると理解することができ、「接続しない」とは、媒体を通さないことであると理解することができる。
【0030】
この測定機器は、四極子型質量分析計、飛行時間型質量分析計、セクターフィールド型質量分析計、圧力測定器、差圧測定器及び流量測定器の中の一つ以上又はこれらの光学分光計のグループの中の一つであるか、或いは相応の機器から構成することができる。
【0031】
この測定機器は、10-7hPa~5MPaの範囲内、10-6hPa~4.5MPaの範囲内又は10-4hPa~4MPaの範囲内の圧力範囲を測定するように構成することができる。
【0032】
この測定機器は、気体状の媒体、有利には、気体状の冷媒、アンモニア、炭化水素、フッ化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、水蒸気、窒素、空気、酸素及び4u、3u又は2uのモル質量を有する検査ガスの中から選定された気体状の媒体を測定するように構成することができる。
【0033】
この管路案内構造部品は、バイポーラプレート、例えば、グラファイト製バイポーラプレート又はモノプレートから成るか、或いはそのようなプレートであるとすることができる。
【0034】
本発明に基づき、管路案内構造部品の漏れ測定及び/又は密閉性検査が可能である。
【0035】
この場合、本発明による方法及び本発明による装置は、全く新しい方法又は全く新しい装置を必要とすることなく、アダプター板の使用と好適なバルブ位置によって、例えば、検体と称することもできる検査すべき構造部品に適合させることができる。
【0036】
本発明による方法及び本発明による装置は、バイポーラプレートの密閉性検査と漏れ測定のために使用することができる。別の適用分野は、モノプレート、熱交換機及び複数の検査空間を有する全ての検査物体であり、例えば、後真空及び洗浄に関連する用途などの複数の検査ガスを順次使用する場合に処理工程が節約される分野である。
【0037】
本発明のここで述べた観点、即ち、一方における構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置と、他方における構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法は、有利には、それぞれ他方の観点に関して述べた全ての実施構成の有意な点に関して改善構成することができる。
【0038】
以下において、単なる例として模式図に基づき本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明による装置を用いた測定構成の模式的な構造の概略図
図2】一つの実施構成に基づく装置の構造の概略断面図
図3】一つの実施構成に基づく装置内の管路案内構造部品のモデルの模式図
図4図3の管路案内構造部品を用いた一つの実施構成に基づく考え得る構造の概略図
図5】漏れ測定のために構成された装置における管路案内構造部品に関する一つの実施構成に基づく全ての測定構成の模式表
図6A】漏れ経路の既知の影響だけを示す、一つの実施構成に基づく測定構成の模式図
図6B】漏れ経路の既知の影響だけを示す、一つの実施構成に基づく測定構成の模式図
図7A】重なり合わない測定構成を見つけ出す例を示すグラフ表
図7B】重なり合わない測定構成を見つけ出す例を示すグラフ表
図8】一つの実施構成に基づく三つの管路と一つの周囲の測定体積を有する管路案内プレートを完璧に検査する手順のフローチャート
図9】本発明による方法のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明による装置を用いた測定設備100の模式的な構造の概略図を図示している。複数の管路を有する構造部品104の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置102が図示されている。この場合、構造部品104は、例えば、バイポーラプレートであるとすることができ、管路は、それぞれバイポーラプレートの二つの開口部(例えば、入口と出口)に対応付けることができる。例えば、バイポーラプレートは、そのバイポーラプレートを通して(入口112と出口106により)冷却媒体を案内し、(入口114と出口108により)酸化剤を案内し、(入口116と出口110により)還元剤を案内するための六つの開口部を有することができる。本装置102内において、周囲の体積118によって構造部品104を少なくとも部分的に取り囲むことができる。
【0041】
一つの実施構成では、例えば、圧力源120からの圧力付与によって、管路の各入口112,114,116の少なくとも部分集合に対して、入口状態を適用することができる。バルブ122,124,126を用いて、選定された管路入口112,114,116を圧力源120と接続することができる。
【0042】
一つの実施構成では、例えば、測定機器128を用いて、管路の各出口106,108,110及び/又は周囲の体積118の少なくとも部分集合において出口状態を測定することができる。バルブ130,132,134,136を用いて、選定された管路出口106,108,110及び/又は周囲の体積118を測定機器128と接続することができる。
【0043】
この少なくとも一つの管路案内構造部品の密閉性の測定及び/又は検査のための装置は、収容部材、閉鎖部材及び押圧部材を備えた少なくとも三つの部分から成る構造を有することができる。これらの収容部材と閉鎖部材は、共通の気密な密閉面を形成するように構成することができる。これらの収容部材と閉鎖部材は、取り外し可能な形で互いに移動できるように配置することができる。この収容部材は、少なくとも一つの管路案内構造部品を形状一致形態により収容するように構成することができる。この押圧部材は、管路案内構造部品を圧力締め形態により収容部材と連結するように構成することができる。本装置は、気体状の媒体を案内するのに適した少なくとも二つのポートと配管及び少なくとも一つの測定機器を備えることができる。
【0044】
この測定機器は、気体状の媒体の性質及び/又は運動状態を分析するように構成することができる。この場合、運動状態の分析とは、例えば、流量測定であると理解できるとともに、気体状の媒体の性質の分析とは、気体状の媒体の材料組成を決定するように構成された測定機の分析であると理解でき、例えば、そのために質量分析計を使用することができる。
【0045】
複数の実施構成では、材料組成を決定するのに適した測定機が選定され、質量分析計、特に、セクターフィールド型質量分析計、QMS(四極子型質量分析計)、OES(光学式発光分光計)、ΔP(圧力変化又は差圧)測定機器、異なる入口圧力範囲対異なる出口圧力範囲の流量測定器であり、圧力範囲は、絶対圧力で、例えば、10-7hPa~5MPa、例えば、10-6hPa~4.5MPa、例えば、10-4hPa~4MPaであるとすることができる。
【0046】
この場合、気体状の媒体は、有利には、アンモニア、炭化水素、フッ化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、水蒸気、窒素、空気、酸素及び4u、3u又は2uのモル質量を有する検査ガスの中から選定され、ここで、「u」は、規格化された原子質量単位を表す。
【0047】
本発明による装置を用いて、特に、押圧部材を使用することによって、バイポーラプレート(BPP)の厚さに依存しない狭持と同時に、BPPの周囲環境の密閉を実現することができる。更に、有利には、押圧部材と収容部材によってBPPに与える力をモジュール式に調整することができる。
【0048】
一つの実施構成では、受け入れたバイポーラプレートの内部管路に目的通り圧力を加えるか、真空にするか、或いはその両方を実施することができる。そのため、考え得る測定構成にそれぞれ目的通りの圧力を加えることが可能である。それにより、測定動作又は検査動作中にBPPの周囲環境に圧力を加えることも可能である。
【0049】
図2は、一つの実施構成に基づく装置の構造の断面200の概略図を図示している。この場合、(構造部品204、例えば、バイポーラプレートのための台座としての役割を果たすことができる)収容ユニット202、(例えば、ピストンとして構成することができる)押圧部材206及び(ピストンガイドとしての役割を果たすこともできる)閉鎖部材210から成るマルチピース構造が図示されている。例えば、この管路案内構造部品204は、冷却媒体、酸化剤及び還元剤を通過させるための六つの開口部を有することができる。これらの開口部は、それぞれ対になって管路を介して互いに接続されている。構造部品204の厚さに関係なく確実に、収容部材202に対して設定可能な力により構造部品204を押圧するために、この押圧部材206を移動方向208に沿って動かすことができる。
【0050】
異なる管路を有する(例えば、管路の数が異なる、或いは管路が構造部品204に出入りする位置が異なる)構造部品204を測定できるようにするために、収容ユニット202と構造部品204の間にアダプター板212を配備することができる。このアダプター板212は、収容ユニット202の入口又は出口214を構造部品204のそれぞれの管路入口及び管路出口に誘導することができる。
【0051】
図2には、本装置の個々の構成部品と構造部品204を密閉する異なるパッキン216が図示されている。
【0052】
このBPPは、アダプター収容部内に平らに設置することができる。この収容部は、開口部と、圧力締めにより気密な接続部を作り出すのに適した少なくとも一つのパッキンとを有することができる。このBPPの開口部と接触する、アダプター収容部の開口部は、アダプター板を通り抜けて、アダプター収容部の反対側の開口部に再び合流することができる。これらの開口部は、異なるアダプター収容部に対して常に同じであり、標準化されたアダプター開口部と称することができる。
【0053】
一つの実施構成では、本装置はチェンバー底部とチェンバー蓋を備えている。この場合、チェンバー底部に開口部を設けることができ、これらの開口部は、アダプター開口部に対して対を成す部分として構成され、標準化されたアダプター開口部の公称幅と一致する。一つの実施例では、これらの開口部の公称幅は1/4インチであり、これは、約6mmの直径に相当する。
【0054】
一つの実施構成では、この管路案内構造部品は平坦に実現されている。例えば、この管路案内部品は、BPPと称することもできるバイポーラプレートである。バイポーラプレートは、燃料電池の不可欠な構成部品である。本発明の意味において、そもそも周知である燃料電池とは、酸化剤(例えば、酸素)と還元剤(例えば、水素)の反応によるエネルギーの一部を直接電気エネルギーに変換できる装置であると理解される。大抵は容易に発火する媒体により動作する技術装置は、高い安全基準を遵守するとともに、それに対応する規格を遵守しなければならない。
【0055】
更に、網羅するものではない例として、モノプレートが管路案内構造部品であると理解される。多くの場合、前記のモノプレートから、バイポーラプレートが組み立てられる。
【0056】
現在有効な規格に基づき測定及び検査を実施するための既存のシステムは、技術的な評価において、技術的に負担がかかり、しばしば時間がかかる。
【0057】
従来技術では、適応性のある装置は知られていない。本発明による対象には、そのモジュール構造によって、機械的なアダプターが含まれる。この場合、幾何学的形状を変更した管路案内構造部品を使用することによって、本発明による対象の側から見て、収容部を容易に置き換えることができる。このようにして、工業的に活用した際の耐用年数が延びるので、このことは有利である。更に、このモジュール設計のシステムでは、この適応性のある収容部を残りの設備から切り離して洗浄又は保守できるので、保守又は洗浄する負担が低下する。
【0058】
本発明による装置を用いて、管路案内構造部品を密閉するための装置の狭持力を可変に設定可能であるとすることができる。このことは、新たに作成することなく、試験パラメータの持続的な最適化を可能にする。更に、この可変な狭持力によって、測定パス内で変化する検査条件に対処することができ、それによって、特にバイポーラプレートに優しい検査が可能になる。このことは、バイポーラプレートにおいて検査により材料損傷が起こる可能性を低下させる。
【0059】
更に、本装置は、バイポーラプレートの周囲環境を加圧できるとともに、真空にできるとの利点を提供する。
【0060】
更に、この適応性のある装置は、改造又は別の措置無しに、広い許容範囲による検査物体の検査を可能にする。
【0061】
エンドプレートは、しばしば構造がより厚くなる。これらのプレートは、追加的な改造、設定時間、排出又は別の措置無しに、同じ収容部内で検査することができる。
【0062】
図3は、一つの実施構成に基づく装置内の管路案内構造部品のモデル300を模式的に図示している。この管路案内構造部品は、管路1,2,3と周囲の体積4から成る。理論的に考え得る漏れ経路は、文字A,B,C,D,E,F及びGで表示されている。この場合、Aは管路1と周囲の体積4の間の漏れ経路を表し、Bは管路2と周囲の体積の間の漏れ経路を表し、Cは管路3と周囲の体積の間の漏れ経路を表し、Dは管路1と管路2の間の漏れ経路を表し、Eは管路2と管路3の間の漏れ経路を表し、Fは管路1と管路3の間の漏れ経路を表している。
【0063】
更に、図3には、本装置の周囲の体積と本装置の周囲環境の間の漏れ経路Gが図示されている。しかし、周囲環境に対する本装置の密閉性が保証されている場合には、この漏れ経路を無視することができる。
【0064】
図4は、図3の管路案内構造部品300を用いた一つの実施構成に基づく考え得る構造400を図示している。圧力源404が、バルブを用いて構造部品300と接続されている。例えば、この圧力源404は、バルブ408を用いて、周囲の体積4と接続されている。測定機器402が、バルブを用いて、構造部品300と接続されている。例えば、この測定機器402は、バルブ406を用いて、周囲の体積4と接続されている。これらのバルブ410及び412は、図示された構造400に基づく本装置を換気するために使用することができる。好適なバルブ設定(即ち、遮断又は導通/誘導のためのバルブの設定)によって、異なる測定構成を測定することができる。この場合、測定構成の測定とは、少なくとも一つの管路に所与の圧力の媒体を加えて、この圧力を加えられた少なくとも一つの管路と同一でない少なくとも一つの別の管路を好適な測定器によって測定することであると理解される。この場合、物理的な検出限界が、測定手段の適用可能性に影響を及ぼす。
【0065】
一つの実施例では、管路案内構造部品の漏れ経路の測定及び/又は密閉性の検査のための方法は、
1.全ての入口構成又は出口構成を決定する工程と、
2.重なり合わない測定構成を選定する工程と、
3.選定された測定構成を測定する工程と、
を有する。
【0066】
これらの測定結果は、統合されて、それぞれ異なる漏れ経路を反映することとなる。以下の式によって、これらの測定結果から、測定により直に得られない管路固有の漏れ率を推定することができる。
【0067】
重なり合わない測定構成は、行列表現形式に変換することができる。この場合、行と列の符号は、それぞれ個々の管路又は空洞の番号に対応する。以下における本発明を限定するものではない例では、例えば、図3に図解した通り、漏れ経路が文字A,B,C,D,E,F及びGで表されている。文字A,B,Cは、それぞれ一つの管路から周囲の体積への漏れ経路を表し、D,E,Fは、ここでは、周囲の体積を経由しない個々の管路の間の漏れ経路を表している。
【0068】
この場合、文字Gは、測定機器と周囲環境の間に生じる漏れ経路を表す。この漏れ経路は、使用する装置の特性であり、従って、以下では無視している。
【0069】
そのように、圧力を加えられた管路と測定器を繋がれた管路の相互作用に関する要素mijから成る行列表現は、次の通り一般化される。
【0070】
【数1】
ここで、全ての漏れ経路の漏れ率Lに関して、次の式が成り立つ。
【0071】
【数2】
【0072】
重なり合わない測定構成の場合、このような行列の成分の係数は、専ら値1と0である。この場合、値1は、考え得る漏れ経路に対して使用され、値0は、そのような経路が確実に存在しない場合に使用される。
【0073】
この場合、例えば、浸透などのプロセスが漏れ経路の間のクロストークを引き起こす可能性があるので、重なり合わない測定構成を除いて、漏れ経路の係数を値0又は1に一義的に決めることができない。
【0074】
漏れ経路を個別に(即ち、A,B,C,D,E及びFをそれぞれ個別に)測定することは、それらの相互依存性のために、必ずしも可能ではない。
【0075】
漏れ経路Gだけは、この経路が本装置の特性であるので、例えば、所謂バックグラウンド測定又は背景測定によって、個別に決定することができる。この漏れ経路は、周囲の体積が測定される体積である場合に、特に考慮すべきである。このケースでは、漏れ経路全体に関して、次の式が成り立つ。
L’=L+L(G)
ここで、L(G)は、漏れ経路Gの個別に測定された漏れ率を表す。
【0076】
一つの管路毎に、常に少なくとも三つの漏れ経路が割り当てられる。
【0077】
例えば、この導入した表記法では、重なり合わない構成における一つの管路毎の加圧形態が次の通り表される。
●管路1→補集合(1→2&3&4)
【0078】
【数3】
●管路2→補集合(2→1&3&4)
【0079】
【数4】
●管路3→補集合(3→1&2&4)
【0080】
【数5】
●管路4→補集合(4→1&2&3)
【0081】
【数6】
【0082】
上記の構成の何れでも、一つの漏れ経路毎に一義的に測定できる状態を実現できていない。しかし、本発明に基づき、少ない測定回数によって、六つの考え得る漏れ経路の全てを漏れに関して調べることができる、即ち、漏れ経路毎の六回未満の測定によって、密閉性検査を実施することができる。
【0083】
先ずは、ここで存在する三つの管路と一つの周囲の体積の例に関して、この措置を具体的に説明する。
【0084】
これに関して、例えば、14->23、24->13及び34->12の三つの測定構成(即ち、これらの三つの漏れ経路の組合せ)が調べられ、ここで、矢印の前の数字が、それぞれ入口状態を適用する管路(即ち、入口構成)を表し、矢印の後の数字が、測定する管路(即ち、出口構成)を表す。即ち、例えば、「14->23」は、管路1と4に共通の入口状態を適用して、管路2と3で測定することを意味する。
【0085】
そして、これらの三つの構成に関して、以下の行列が得られる。
【0086】
【数7】
【0087】
この場合、行列において、行番号が入口構成の中の一つの管路に対応し、列番号が出口構成の中の一つの管路に対応する要素に関して、それぞれ成分1が得られる。それにより、(重なり合わない測定構成では、入口構成にも、出口構成にも共通の管路が含まれる可能性がないので)主対角線上では、成分として0しか生じることができない理由も直感的に明らかである。
【0088】
そのように、例えば、測定構成14->23では、行列の以下の成分が1に等しい。
●第一行,第二列
●第一行,第三列
●第四行,第二列
●第四行,第三列
【0089】
更に、転置により(即ち、行と列の「入れ替え」により)得られる成分は1に等しい。測定構成14->23の例では、行列の以下の成分がそうである。
●第一行,第二列
●第一行,第三列
●第四行,第二列
●第四行,第三列
【0090】
それ以外の成分は全て0である。
【0091】
この場合、選定された測定構成に関して、これらの行列の和は、以下の行列となる。
【0092】
【数8】
【0093】
そのため、全ての漏れ経路の漏れ率は、
L=1/2・(2A+2B+2C+2D+2E+2F)
となる。
【0094】
この検査方法に関して、各漏れ経路が、この結果として得られる和において、ちょうど二つの成分を有することに留意されたい。更に、全ての考え得る漏れ経路は、この例の三つの重なり合わない測定構成によってカバーされている。そのため、六つの全ての漏れ経路は、三つの重なり合わない構成の測定によって完全に決定される。
【0095】
前記の作成した行列を更に分析すると、六つの全ての漏れ経路を統合して測定するためには、二つの測定構成に基づき測定すれば、それで十分であることが分かる。このことは、二つの測定構成に対応する二つの行列の和において、線を間に挟んだ成分が0に等しくないことによって象徴されている。
【0096】
そのため、検査を実現できるためには、(上記の三つの測定構成14->23、24->13及び34->12の中の二つの測定構成に対応する)二つの測定で十分である。この場合、この例では、二つの測定を十分な検査判断基準として見做すことができ、例えば、
【0097】
【数9】
が得られる。
【0098】
即ち、これらの二つの測定構成(14->23と34->12)を用いて、先ずは漏れが生じているのか否かを検査することができる。これらの二つの測定構成の中の何れも漏れを示さない場合、このことから、構造部品が全体として漏れていないと推定することができる。
【0099】
これらの二つの測定構成の中の少なくとも一つが漏れている場合(即ち、当該測定構成の入口構成の一つの管路から出口構成の一つの管路への少なくとも一つの漏れが生じている場合)、漏れ経路の更なる決定と定量化を実施することができる。
【0100】
そして、この漏れ経路の正確な決定と定量化のために、漏れ経路の影響を互いに算定するための測定構成を見つけ出して、最終的に個々の漏れ経路の程度を決定することができる。
【0101】
例えば、以下の四つの測定構成を考察することができる。
【0102】
【数10】
【0103】
これらの式1,2,3,4,5,6及び7を好適に組合せることによって、所望の漏れ経路の寄与度を特定することができる。
【0104】
例えば、ここで、Aの寄与度を特定すべきである(これに限定されない)。このことは、例えば、以下の三つの式8,9及び10により行うことができる。
8.式5,2,3,4の和、
9.式6,7,1の和、及び
10.式9と8の差
【0105】
そして、これらの式は、次の通りになる。
【0106】
【数11】
【0107】
ここで、式10は僅かに成分4*Aしか含まない。これにより、漏れ経路Aが特定される。これと同様に、例えば、同じく、ここで、Eの寄与度を特定すべきである(これに限定されない)。このために、以下の式を使用することができる。
【0108】
【数12】
【0109】
ここでも、式13から分かる通り、4*Eによって、漏れ経路Eが完全に決定される。
【0110】
漏れ経路毎に一つの式を見つけ出せることが分かる。
【0111】
一般化すると、この行列記述法から、一つの集合の測定構成を選定し、この選定された構成の和において、線を挟んだ各行列成分が少なくとも値1を有することを導き出すことができる。
【0112】
この場合、有利な選定ルールは、n個の管路(nは2以上の自然数である)に一般化することを包含する。それぞれ二つの管路が同じ状態(例えば、圧力又は測定)に置かれ、これらの管路の中の一つが常に周縁の管路nである。そして、補集合の管路は、それぞれ別の状態にある。
【0113】
例えば、一連の管路1,2,3,4,...及びn-1が、常に周縁の管路nと共に所与の入口状態を適用される(例えば、加圧される)(これに限定されない)。
【0114】
当該測定構成(集合)に関する係数行列の和は、次の一般的な式となる。
【0115】
【数13】
【0116】
この措置に基づき、
● 最小数(即ち、一つの集合)の測定構成を用いて、それぞれ一つの検査方法を生成し、
●それぞれ一連の式を特定して、n個の管路から成るシステムの個々の漏れ率をそれぞれ見つけ出す、
ことが可能である。
【0117】
以下において、個々の工程を詳しく説明する。
【0118】
1.全ての入口構成と出口構成の決定
全ての考え得る入口構成又は全ての考え得る出口構成の数は、繰り返しのないn個の異なる要素の中のk次のクラスの組合せの数によって数学的に記述することができる。この場合、nは、周囲の体積を含む管路の総数を表す。この場合、k次のクラスとは、圧力を加えることが可能な管路及び/又は一つの測定体積に纏めることが可能な管路の数である。この測定体積は、測定機器と直に接続される、構造部品の全ての管路(又はその部分集合)及び/又は(周囲の測定体積と称することもできる)周囲の体積から構成することができる。そのため、この数の計算は、二項係数
【0119】
【数14】
を用いて実施され、ここで、(少なくとも一つの管路が当該の入口又は出口の組合せに存在するので、並びにn-1個の全ての管路と周囲の体積が同時に入口構成又は出口構成に含まれることは無意味であるので)kは、1~n-1の全ての自然数になれると言える。そして、先ずは、これらの値から決定される二項係数の和が、考え得る管路の組合せの数を表す。この和は、2-2で与えることができる。
【0120】
網羅するものではない例として、三(3)つの管路とちょうど一つの周囲の体積に関して、n=4が得られる。そのため、この値は、k={1;2;3}に対する値である。このことから、このケースでは、管路の4+6+4=14(=2-2)個の考え得る組合せ(一つの管路に対して4個の接続可能性、二つの管路に対して6個の接続可能性、三つの管路に対して4個の接続可能性)が存在するとの結果により、(4に対する1)=4、(4に対する2)=6及び(4に対する3)=4が得られる。
【0121】
2.重なり合わない測定構成の選定
全ての考え得る入口構成と全ての考え得る出口構成の組合せには、加圧すべき管路の組合せが測定すべき管路の組合せの補集合となる組合せも見つけ出される。これらの組合せは、重なり合わない組合せと称される。これらの重なり合わない組合せでは、全ての貫流する漏れ経路が測定体積に直接通じている、即ち、全ての考え得る漏れ経路が同時に直接測定されることとなる。そのため、測定信号は、個々の漏れ管路の漏れ率の和に相当する。
【0122】
重なり合わない測定構成を特定するために、全ての考え得る管路を置き換えたものが、数字として解釈されて、その数字のシーケンスが考え得る最小数を表すように記述される。網羅するものではない例として、測定構成431->65がある。そのため、考え得る最小数が134と56となる。即ち、測定構成を「入口構成->出口構成」と記述することができる。
【0123】
そのように表された全ての入口構成が、重複を避けて、行に関して昇順に表形式でプロットされる。それと同様に、列に関して(出口構成を示す)数値が、左から右に昇順にプロットされる。ここで、(行列の各成分、即ち、行列の各要素が、行と列により表された測定構成を表す)そうして得られた表形式又はそうして得られた行列を評価することができる。同じ数字の数値が交差する場合(即ち、当該の行列成分では、管路が入口構成にも出口構成にも含まれる場合)、それは有効な測定構成ではない。異なる数字の数値が交差する場合(即ち、管路が入口状態と出口構成に同時に含まれない場合)、それは許容される測定構成である。この措置によって、この図面で同時に最も長い対角線である対角線が、この表形式内に形成される。この対角線は、各管路と周囲の体積が同時に入口構成又は出口構成に含まれない重なり合わない測定構成を表す。この場合、行成分が、検査ガスで満たすべき管路を表し、列成分が測定体積を表すことができる。
【0124】
この場合、網羅するものではない例として、有利には、外側の測定体積への漏れ経路は、常に最も大きな数字で表される。この場合、選定された構成の数字が常に測定体積内で最も大きい周囲の測定体積への漏れを特に重視する。
【0125】
図5は、漏れ測定のために構成された装置における管路案内構造部品に関する一つの実施構成に基づく全ての測定構成500を模式的に図示しており、ここでは、管路案内構造部品が、体積4内に埋め込まれた三つの管路1,2及び3を有する。そのような構造部品は、例えば、図3に図示されている。
【0126】
図6A図6Bは、漏れ経路の既知の影響だけを示す、一つの実施構成に基づく測定構成600と650を模式的に図示している。図6Aでは、第一の管路602と第二の管路604が図示されている。この場合、第一の管路が周囲の体積に対しても第二の管路604に対しても漏れを有するケースを図示している。
【0127】
しかし、図6Aの通り、測定機器610が第二の管路604と接続されている場合、それにより、第一の管路602から第二の管路608への漏れ608だけを特定できるが、第一の管路602から周囲の体積への漏れ606を特定できない。
【0128】
図6Bの通り、測定機器656が第一の管路602と接続されている場合、それにより、第一の管路602から第二の管路604への漏れ654も、第一の管路602から周囲の体積への漏れ652も特定することができる。
【0129】
図7A図7Bには、重なり合わない測定構成の見つけ出す例が図示されている。行の数字は、検査ガスで満たす管路の構成(即ち、入口構成)を表す。縦に読み取るべき列の数字は、それぞれ測定体積として一緒に繋がる管路(即ち、出口構成)を表す。
【0130】
図7Aは、三つの内部管路と一つの外側の周囲の体積を有する管路案内構造部品から成るシステムに関する、考え得る測定構成をグラフィック形式で示したチャート700を図示している。これは、図5と同様の配列に相当するが、行と列の順序が異なる。この場合、黒く塗った領域は、測定されない組合せを表す。白い領域は、測定に適した経路を表す。この場合、チャートの左下隅からチャートの右上隅にまで延びる対角線(即ち、図示された行列の第二対角線)は、各管路が測定構成に出現する重なり合わない測定構成を表す。
【0131】
図7Bは、四つの内側の管路と一つの外側の周囲の体積を有する管路案内構造部品から成るシステムに関する考え得る測定構成のチャート750を図示している。
【0132】
3.選定された測定構成の測定
n-1個の管路と一つの周囲の測定体積から成るシステムに関して、想定される漏れ経路の数Lは、次の式により
L=0.5(n-n)
記述することができる。全ての管路と周囲の測定体積から成る重なり合わない測定構成の数Kは、次の式の通り展開される。
【0133】
【数15】
【0134】
そのため、重なり合わない構成は、むしろ漏れ経路よりも速く増加する。ここで、これらの構成の中から別の構成を選定することができ、その結果、関連する全ての漏れ経路を統合的に測定することができる。
【0135】
この場合、この選定は、重なり合わない測定構成の集合において、各管路が少なくとも二回出現するように実施することができる。各構成は、周囲の測定体積を含むことができる。
【0136】
例えば、三つの管路と一つの周囲の測定体積から成るシステムに関する集合を次の通り想定できる(これに限定されない)。
検査ガスの入口 測定体積
1&2 3&4
2&3 1&4
3&1 2&4
ここで、「検査ガスの入口」とは入口構成であると理解できる。ここで、「測定体積」とは出口構成であると理解できる。
【0137】
ここで、この集合を用いて(即ち、特に、重なり合わない測定構成の部分集合としての、この測定構成の部分集合を用いて)、統合された漏れ率の倍数を決定することができ、そのため、三つの管路のケースに関して前に例示するとともに、n-1個の管路とそれぞれ一つの周囲の体積のケースに関して一般的に述べた通り、時間のかかる個別測定に取って代わることができる。
【0138】
図8は、一つの実施構成に基づく三つの管路と一つの周囲の測定体積を有する管路案内プレートを完璧に検査するシーケンスのフローチャート800を図示している。802での検査の開始後に、804において、先ずは本方法に基づき事前に定義した組合せ1が測定される。この測定結果が所与の閾値を上回った場合、812において、検査が「niO」(正常でない、即ち、許容されない大きな漏れが生じている)との結果で終了する。閾値を下回った場合、806において、本方法に基づき事前に定義した組合せ2が測定される。この測定結果が所与の閾値を上回った場合、812において 検査が「niO」との結果で終了する。閾値を下回った場合、808において、本方法に基づき事前に定義した組合せ3が測定される。測定結果が所与の閾値を上回った場合、812において、検査が「niO」との結果で終了する。閾値を下回った場合、810において、それまでの全ての測定値の和が算出される。この和が所与の値(例えば、閾値の二倍)を上回った場合、812において、検査が「niO」との結果で終了する。そうでない場合、814において、検査が「iO」(正常、即ち、許容されない大きな漏れが生じていない)との結果で終了する。
【0139】
本発明による方法は、従来の措置と比べて、測定時間の大幅な短縮を達成できるとの利点を提供する。従来の措置は、それぞれ一回の測定が一つの疑わしい漏れ経路を調べることを特徴としている。そのような措置では、例えば、漏れ率が最も大きな漏れ経路を特定するためには、多数の考え得る漏れ経路を測定しなければならない。好適な測定構成によって、そのような漏れ経路を見つけ出した後、測定された信号の大きさに基づき、検査が合格であるのか否かを検査することができる。
【0140】
異なる実施構成において、例えば、異なる濃度のヘリウム(物質4)、異なる濃度の水素(物質2)の異なる検査ガスと、異なる濃度の物質3から成る検査ガスとを検査物体に順番に加えることと組み合せた、測定構成の目的通りの選定と、これらの選定された測定構成のその後の測定とによって、それぞれ後続の検査ガスが、その前の処理工程で使用された検査ガスに対するパージガスとして作用することができる。即ち、使用する検出器の速い切替時間が、遅いガス交換時間に取って代わる。
【0141】
そのため、産業環境において、より短いサイクルタイム又はより高いスループットを達成可能である。後者は大きな経済的利点である。このことは、それによって、高度な経済性を作り出すことができので、特に、そのため、しばしば時間のかかる検査又は構造部品の判定を大幅に加速することができるとともに、検査する製品の価格を下げることができるので、その限りにおいて有利である。
【0142】
簡単に言うと、本発明による方法では、所定の物質から成る検査ガスを用いて信号を向上することではなく、別の検査ガスを用いた別の測定構成に容易に切り替えることを期待している。
【0143】
図9は、一つの実施構成に基づく複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法を図解したフローチャート900を図示している。902では、構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態が適用される。904では、構造部品の管路の出口構成で出口状態が測定される。906では、この測定に基づき、構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率が特定される。この入口構成が、構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する。
【0144】
一つの実施構成では、この入口状態が、所与の圧力、所与の濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上から成るか、或いはそれらの中の一つ以上であり、この出口状態の測定が、圧力、濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上を検出することを含むか、或いはそれらの中の一つ以上を検出することである。
【0145】
一つの実施構成では、これらの適用と測定は、複数の異なる測定構成に対して実施され、その際、各測定構成が、所定の入口構成と所定の出口構成から成り、構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率が、複数の異なる測定構成に関する適用と測定に基づき特定される。
【0146】
一つの実施構成では、一連の測定に関する各入口状態が、異なる圧力、異なる濃度、異なる化学元素、異なる化学化合物及び化学物質の異なる混合物の中の一つ以上から成るか、或いはそれらの中の一つ以上である。
【0147】
一つの実施構成では、複数の異なる測定構成は、これらの複数の測定構成の中の少なくとも一つの測定構成において、各管路がそれぞれ別の管路と組み合されて出現するように特定される。
【0148】
一つの実施構成では、複数の測定構成に関するそれぞれの漏れ率が特定されて、これらの複数の測定構成に関するそれぞれの漏れ率に基づき、二つの管路の間の漏れ率が特定される。
【0149】
異なる実施構成による装置及び方法により、変化する管路案内構造部品、例えば、バイポーラプレートの変化する幾何学的形状に適合させることが可能である。更に、管路案内構造部品の周辺環境への加圧を行うことができる。
【0150】
例えば、BPPに関して述べた全ての実施構成を一般的に如何なる管路案内構造部品にも適用できることは自明である。
【符号の説明】
【0151】
100 一つの実施構成に基づく測定設備の模式的な構造
102 一つの実施構成に基づく装置
104 構造部品
106,108,110,112,114,116 管路
118 周囲の体積
120 圧力設定
122,124,126 バルブ
128 測定機器
130,132,134,136 バルブ
200 一つの実施構成に基づく装置の構造の断面
202 収容ユニット
204 構造部品
206 押圧部材
208 移動方向
210 閉鎖部材
212 アダプター板
214 入口/出口
216 パッキン
300 一つの実施構成に基づく装置内の管路案内構造部品のモデル
1,2,3 管路
4 周囲の体積
A,B,C,D,E,F,G 理論的に考え得る漏れ経路
400 図3の管路案内構造部品を用いた一つの実施構成に基づく考え得る構造
402 圧力源、例えば、測定に必要な圧力を発生させる真空ポンプ
404 測定機器
406,408,410,412 バルブ
500 一つの実施構成に基づく全ての測定構成
600 一つの実施構成に基づく測定構成
602 第一の管路
604 第二の管路
606 漏れ
608 漏れ
610 測定機器
650 一つの実施構成に基づく測定構成
652 漏れ
654 漏れ
656 測定機器
700,750 重なり合わない測定構成を見つけ出すための説明図
800 一つの実施構成に基づく三つの管路と一つの周囲の測定体積を有する管路案内プレートを完璧に検査するシーケンスのフローチャート
802 開始
804 測定の組合せ1
806 測定の組合せ2
808 測定の組合せ3
810 全ての測定値の和の計算
812 「正常でない」との結果
814 「正常」との結果
900 一つの実施構成に基づく複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法を示すフローチャート
902 構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態を適用する工程
904 構造部品の管路の出口構成で出口状態を測定する工程
906 測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-05-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0150
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0150】
例えば、BPPに関して述べた全ての実施構成を一般的に如何なる管路案内構造部品にも適用できることは自明である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の観点として以下も含む。
1.
複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法であって、
この構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態を適用する工程(902)と、
この構造部品の管路の出口構成で出口状態を測定する工程(904)と、
この測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する工程(906)と、
を有し、
この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する、
方法。
2.
上記1に記載の方法において、
前記の入口状態が、所与の圧力、所与の濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上から成り、
前記の出口状態の測定が、圧力、濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上の検出から成る、
方法。
3.
上記1又は2に記載の方法において、
前記の適用と測定が、複数の異なる測定構成に関して実施されて、各測定構成が所定の入口構成と所定の出口構成から成り、
前記の構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率が、複数の異なる測定構成に関する適用と測定に基づき特定される、
方法。
4.
上記3に記載の方法において、
一連の測定に関する各入口状態が、異なる圧力、異なる濃度、異なる化学元素、異なる化学化合物及び化学物質の異なる混合物の中の一つ以上から成る方法。
5.
上記3又は4に記載の方法において、
複数の測定構成の中の少なくとも一つの測定構成において、各管路がそれぞれ別の管路と組み合わされて出現するように、複数の異なる測定構成を特定する工程を更に有する方法。
6.
上記3から5までの何れか一つに記載の方法において、
前記の複数の異なる測定構成に関して、それぞれ漏れ率を特定する工程と、
これらの複数の測定構成に関するそれぞれの漏れ率に基づき、二つの管路の間の漏れ率を特定する工程と、
を更に有する方法。
7.
複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置、特に、上記1から6までの何れか一つに記載の方法を実施するように構成された装置であって、 入口と、
出口と、
この構造部品を収容し、
この入口を構造部品の管路の入口構成と接続し、
この出口を構造部品の管路の出口構成と接続する、
ように構成された収容機器と、
この入口に所与の入口状態を適用し、
この出口で出口状態を測定し、
この測定に基づき、構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する、
ように構成された測定機器と、
を備え、
この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する、
装置。
8.
上記7に記載の装置において、
閉鎖部材を更に備え、収容部材とこの閉鎖部材が、共通の密閉面を形成するように構成され、前記の収容部材とこの閉鎖部材が、取り外し可能な形で互いに移動できるように配置されている装置。
9.
上記7又は8に記載の装置において、
収容部材に向かって構造部品に力を加えることによって、前記の構造部品を収容部材と接続するように構成された押圧部材を更に備えている装置。
10.
上記7から9までの何れか一つに記載の装置において、
前記の構造部品の管路を前記の入口及び出口と接続するための、構造部品に特有の部分を有するアダプター板を更に備えている装置。
11.
上記7から10までの少なくとも一つに記載の装置において、
本装置の入口と構造部品の管路の間及び本装置の出口と構造部品の管路の間の接続を開閉するように構成されたバルブを更に備えている装置。
12.
上記7から11までの少なくとも一つに記載の装置において、
前記の測定機器が、四極子型質量分析計、飛行時間型質量分析計、セクターフィールド型質量分析計、圧力測定器、差圧測定器及び流量測定器の中の一つ以上又はこれらの光学分光計のグループの中の一つの分光計を備えている装置。
13.
上記7から12までの少なくとも一つに記載の装置において、
前記の測定機器が、10 -7 hPa~5MPaの範囲内、10 -6 hPa~4.5MPaの範囲内又は10 -4 hPa~4MPaの範囲内の圧力範囲を測定するように構成されている装置。
14.
上記7から13までの少なくとも一つに記載の装置において、
前記の測定機器が、気体状の媒体、有利には、気体状の冷媒、アンモニア、炭化水素、フッ化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、水蒸気、窒素、空気、酸素及び4u、3u又は2uのモル質量を有する検査ガスの中から選定された気体状の媒体を測定するように構成されている装置。
15.
上記7から14までの何れか一つに記載の装置において、
管路案内構造部品がバイポーラプレート又はモノプレートである装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための方法であって、
この構造部品の管路の入口構成に所与の入口状態を適用する工程(902)と、
この構造部品の管路の出口構成で出口状態を測定する工程(904)と、
この測定に基づき構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する工程(906)と、
を有し、
この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する、
方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記の入口状態が、所与の圧力、所与の濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上から成り、
前記の出口状態の測定が、圧力、濃度、所与の化学元素、所与の化学化合物及び化学物質の所与の混合物の中の一つ以上の検出から成る、
方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の方法において、
前記の適用と測定が、複数の異なる測定構成に関して実施されて、各測定構成が所定の入口構成と所定の出口構成から成り、
前記の構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率が、複数の異なる測定構成に関する適用と測定に基づき特定される、
方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
一連の測定に関する各入口状態が、異なる圧力、異なる濃度、異なる化学元素、異なる化学化合物及び化学物質の異なる混合物の中の一つ以上から成る方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
複数の測定構成の中の少なくとも一つの測定構成において、各管路がそれぞれ別の管路と組み合わされて出現するように、複数の異なる測定構成を特定する工程を更に有する方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法において、
前記の複数の異なる測定構成に関して、それぞれ漏れ率を特定する工程と、
これらの複数の測定構成に関するそれぞれの漏れ率に基づき、二つの管路の間の漏れ率を特定する工程と、
を更に有する方法。
【請求項7】
複数の管路を有する構造部品の密閉性検査及び/又は漏れ測定のための装置、特に、請求項1に記載の方法を実施するように構成された装置であって、
入口と、
出口と、
この構造部品を収容し、
この入口を構造部品の管路の入口構成と接続し、
この出口を構造部品の管路の出口構成と接続する、
ように構成された収容機器と、
この入口に所与の入口状態を適用し、
この出口で出口状態を測定し、
この測定に基づき、構造部品の密閉状態及び/又は漏れ率を特定する、
ように構成された測定機器と、
を備え、
この入口構成が、この構造部品の少なくとも二つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも一つの別の管路を有するか、或いはこの入口構成が、この構造部品の少なくとも一つの管路を有するとともに、この出口構成が、この構造部品の少なくとも二つの別の管路を有する、
装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
閉鎖部材を更に備え、収容部材とこの閉鎖部材が、共通の密閉面を形成するように構成され、前記の収容部材とこの閉鎖部材が、取り外し可能な形で互いに移動できるように配置されている装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の装置において、
収容部材に向かって構造部品に力を加えることによって、前記の構造部品を収容部材と接続するように構成された押圧部材を更に備えている装置。
【請求項10】
請求項7又は8に記載の装置において、
前記の構造部品の管路を前記の入口及び出口と接続するための、構造部品に特有の部分を有するアダプター板を更に備えている装置。
【請求項11】
請求項7又は8に記載の装置において、
本装置の入口と構造部品の管路の間及び本装置の出口と構造部品の管路の間の接続を開閉するように構成されたバルブを更に備えている装置。
【請求項12】
請求項7又は8に記載の装置において、
前記の測定機器が、四極子型質量分析計、飛行時間型質量分析計、セクターフィールド型質量分析計、圧力測定器、差圧測定器及び流量測定器の中の一つ以上又はこれらの光学分光計のグループの中の一つの分光計を備えている装置。
【請求項13】
請求項7又は8に記載の装置において、
前記の測定機器が、10-7hPa~5MPaの範囲内、10-6hPa~4.5MPaの範囲内又は10-4hPa~4MPaの範囲内の圧力範囲を測定するように構成されている装置。
【請求項14】
請求項7又は8に記載の装置において、
前記の測定機器が、気体状の媒体、有利には、気体状の冷媒、アンモニア、炭化水素、フッ化炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、水蒸気、窒素、空気、酸素及び4u、3u又は2uのモル質量を有する検査ガスの中から選定された気体状の媒体を測定するように構成されている装置。
【請求項15】
請求項7又は8に記載の装置において、
管路案内構造部品がバイポーラプレート又はモノプレートである装置。
【外国語明細書】