(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152662
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ロータリピストン内燃エンジン
(51)【国際特許分類】
F01C 21/04 20060101AFI20241018BHJP
F01M 11/04 20060101ALI20241018BHJP
F01M 3/00 20060101ALI20241018BHJP
F02B 53/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F01C21/04 A
F01M11/04
F01M3/00 A
F02B53/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024061479
(22)【出願日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】10 2023 109 201.4
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】523263430
【氏名又は名称】ビンケルマン バンケル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【弁理士】
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング バイヤー
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
【Fターム(参考)】
3G015AA11
3G015BA01
3G015BJ05
3G313AA11
3G313AB01
3G313AB11
3G313AB16
(57)【要約】 (修正有)
【課題】異なる運転条件に適合させることができるロータリピストン内燃エンジンを提供すること。
【解決手段】ロータリピストン内燃エンジン1は、環状ケーシング3を含むハウジングを有し、環状ケーシング3の側面には、エンド側側面部4及び出力側側面部5が設けられ、側面部4、5には、ピストン内に設けられた部品の潤滑と冷却の役割を担うオイルのための、オイル入口及びオイル出口7とが設けられており、オイル出口7は、オイルパンに対するロータリピストン内燃エンジン1の設置位置に依存せずに位置決めできることを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、航空機、船舶又は発電プラント用のロータリピストン内燃エンジン、特に、遊星ピストン内燃エンジンであって、
環状のケーシング(3)を含むハウジング(2)を備え、前記ケーシング(3)の側部にエンド側側面部(4)及び出力側側面部(5)が設けられ、前記ケーシング(3)内にはトロコイド軌道(24)が設けられ、
前記ケーシング(3)は前記エンド側及び出力側側面部(4,5)に取り付けられた偏心軸(15)によって横断され、ピストンロータ(22)が接続された偏心カム(21)を備え、
3つの相互にシールされた作動室(27、28、29)が、前記ピストンロータ(22)による前記偏心軸(15)の回転によって前記トロコイド軌道(24)内に形成され、
前記ピストンロータ(22)には、前記トロコイド軌道(24)及び前記2つの側面部(4、5)に対して前記作動室(27、28、29)をシールするためのシール要素(26)が設けられ、
前記側面部(4、5)には、前記トロコイド軌道(24)に設けられた構成要素を潤滑及び/又は冷却する役割を果たすオイル用の、オイルパンへのオイル入口(6)及びオイル出口(7)が設けられ、
前記オイル出口(7)は前記オイルパンに対する前記ロータリピストンエンジン(1)の設置位置とは独立して位置決めすることができることを特徴とする、ロータリピストン内燃エンジン。
【請求項2】
前記オイル出口(7)は前記オイルパン内への前記オイルの重力補助排出のために、前記ロータリピストンエンジン(1)の設置位置とは独立して取り付けることができることを特徴とする、請求項1に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項3】
前記オイル出口(7)は、前記オイルパンの位置に対して直角に、前記偏心軸(15)と交差する平面内で可変に配置され得ることを特徴とする、請求項1又は2に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項4】
前記オイル出口(7)は、前記偏心軸(15)に垂直な面内で回転可能に前記出力側側面部(5)に配置されたオイル排出装置(37)に設けられていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項5】
前記オイル排出装置(37)は、前記出力側側面部(5)に対して所定の角度距離で回転可能に配置され得ることを特徴とする、請求項4に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項6】
前記オイル排出装置(37)は、前記オイル出口(7)が半径方向に突出する環状中空体として設計されていることを特徴とする、請求項4又は5に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項7】
前記出力側側面部(5)における前記偏心軸(15)を取り囲む環状空間(34)は、半径方向に360°貫通して設けられた穴(36)を介して前記オイル排出装置(37)の内部空間(32)と連通していることを特徴とする、請求項6に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項8】
前記オイル排出装置(37)は、前記出力側側面部(5)に対して、360度(360°)の全角の所定のピッチ角だけ変位可能に配置することができることを特徴とする請求項4~7のいずれか一項に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項9】
前記出力側側面部(5)は、前記オイル排出装置(37)を固定するためのねじ(42)を受け入れるための円周方向に離間した穴(43)を有することを特徴とする請求項4ないし8のいずれか一項に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【請求項10】
前記オイル排出装置(37)は、前記出力側側面部(5)に対して連続的に回転可能に位置決めされ得ることを特徴とする請求項4ないし7のいずれか一項に記載のロータリピストン内燃エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、航空機、船舶又は発電プラントで使用されるロータリピストン内燃エンジン、特に請求項1の前提部に記載の遊星ピストン内燃エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
この一般的なタイプの遊星ピストンエンジンは、様々な設計で知られている。例えば、特許文献1(独国特許発明第1451808号明細書)は、二重アーチ形の輪郭を有する冷却された側面部によって両側で軸方向に冷却されたケーシング内で回転する冷却された三角形ピストンを備えた、トロコイド設計の遊星ピストン内燃エンジンを開示している。この遊星ピストン内燃エンジンはピストンが油冷式であり、側面部及びケーシングが液冷式であることを特徴とする。遊星ピストン内燃エンジンはコンパクトでコスト効率の良い設計に基づいており、その小さなスペース要件のため、航空機及び自動車の推進に適している。
【0003】
可能な限り低いシステム電力対重量比を有する遊星ピストンエンジンを作り出すために、特許文献2(独国特許発明第10124560号明細書)は、ロータハウジングと、2つの側部ディスクと、側部ディスク内に取り付けられた偏心軸と、偏心軸の偏心カム上に取り付けられたロータと、側部ディスク内の軸受及び偏心カム上のロータの軸受にオイルを供給するための加圧オイル供給装置とを有するトロコイド設計の遊星ピストンエンジンを開示している。
【0004】
この一般的なタイプのロータリピストン内燃エンジンは、自動車、オートバイ、及び船舶に使用される。ロータリピストン内燃エンジン、特に遊星ピストン内燃エンジンとして設計された内燃エンジンの欠点は従来の燃料を使用する場合、少なくとも既知の程度では水素などのCO2を含まない燃料を使用する場合、これらの内燃エンジン又はモータに新たな適用分野が利用可能になる。しかしながら、ロータリピストン内燃エンジンが自動車、自動二輪車、又は船舶、並びに発電プラントで使用される場合でさえ、設計要件は重要ではない。その理由は、ロータリピストン内燃エンジンがそれぞれ、多くの異なる空間要件又は動作条件又は組み立て条件に適合する必要があることから分かる。例えば、水又は空気冷却装置、燃料供給ライン、排気ガス排出ライン、及び最終的には、自動車におけるそれぞれの遊星ピストン内燃エンジンのための空間要件がオートバイ、船舶、又は航空機におけるものとは異なる。特定の用途を可能にするために、遊星ピストン内燃エンジンの偏心軸の空間的位置が互いに異なることが起こり得、したがって、それぞれの遊星ピストンエンジンに対して設計変更を行う必要がある。
【0005】
従来のエンジン又はモータの設置位置は、オイルパンが下方に配置されることによって決定される。これは、オイルパンからエンジンパッケージを分離できないため、インテークマニホールド、排気システム、スパークプラグ、水入口及び出口が所定の設置空間に収まる必要があることを意味する。
【0006】
特許文献3(実開昭51-74602号公報)及び特許文献4(独国特許出願公開第102011117647明細書)も公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許発明第1451808号明細書
【特許文献2】独国特許発明第10124560号明細書
【特許文献3】実開昭51-74602号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第102011117647明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、異なる運転条件に適合させることができるロータリピストン内燃エンジンを提供することである。
【0009】
本発明は、請求項1に記載のロータリピストン内燃エンジンを用いてこの目的を達成する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、本発明は、自動車、自動二輪車、船舶、航空機、又は発電プラントのためのロータリピストン内燃エンジン、特に遊星ピストン内燃エンジンであって、環状のケーシングを備えたハウジングを備え、ケーシングの側部にエンド側側面部及び出力側側面部が設けられ、ケーシング内にトロコイド軌道が設けられ、トロコイド軌道に設けられた構成要素をオイルパン内に潤滑及び冷却する働きをするオイル用側面部に設けられたオイル入口及びオイル出口が設けられたロータリピストン内燃エンジンを提供する。ロータリピストン内燃エンジンでは、ケーシングがエンド側及び出力側の側面部に取り付けられた偏心軸によって、ピストンロータが連結された偏心カムに横断される。偏心軸を回転させることによって、ピストンロータはトロコイド軌道内に3つの相互に密封された作動室を形成し、ピストンロータは、トロコイド軌道及び2つの側方部分に対して作動室を密封するための密封要素を備える。ロータリピストン内燃エンジンは、オイル出口がオイルパンに対する自動車、オートバイ、航空機、船舶、又は発電プラントにおけるロータリピストン内燃エンジンの設置位置とは独立して配置され得るという事項によって特徴付けられる。
【0011】
本発明は、ロータリピストン内燃エンジンの運転調整を容易に行うことができるという利点を提供する。このようにして達成される柔軟性は有利な製造費用をもたらし、本発明によるロータリピストン内燃エンジンの適用分野を大幅に拡大する。
【0012】
さらなる利点は、従属請求項から明らかである。
【0013】
本発明によるロータリピストン内燃エンジンの一実施形態では、オイル出口がオイルパン内へのオイルの重力駆動又は重力補助排出のための、自動車、自動二輪車、船舶、航空機、又は発電プラントにおける環状ケーシング、ハウジング、又はロータリピストン内燃エンジンの設置位置とは独立して取り付けることができる。これにより、オイルパン内へのオイルの排出が容易になる。
【0014】
さらなる実施形態では、オイル出口がオイルパンの位置に対して偏心軸と直角に交差する平面内に配置することができる。
【0015】
好ましくは、本発明に係るロータリピストン内燃エンジンのオイル出口が出力側側面部に、偏心軸に垂直な面内で回転可能に配置されたオイル排出装置に設けられている。
【0016】
本発明によるロータリピストン内燃エンジンの一実施形態では、オイル排出装置が出力側側面部に対して所定の角度距離で回転可能に位置決めすることができる。ピストンから噴射されたオイルは環状空間の下方領域に重力を受けて集まり、任意のエンジン設置位置において、下向き穴部の一部を介してオイル排出装置に流出し、さらにオイル収集容器に接続された下向きドレーンに流入する。
【0017】
好ましくは、オイル排出装置は、本質的にリング状の中空体として設計され、中空体からオイル出口が半径方向下方に突出する。これにより、出力側側面部に対するオイル排出装置の回転や位置決めが容易となる。
【0018】
本発明によるロータリピストン内燃エンジンのさらなる実施形態では、出力側側面部において偏心軸を囲む環状空間がオイル排出装置の内部空間と連通している。
【0019】
本発明によるロータリピストン内燃エンジンの好ましい実施形態では、オイル排出装置が360度(360°)の全角の少なくとも1つの所定のピッチ角だけ、出力側側面部に対して回転可能に配置することができる。ピッチ角が小さく選択されるほど、好ましくは30度(30°)以下の角度が選択されるほど、オイル排出装置は出力側側面部に対してより微細に回転又は変位することができる。オイル排出装置をピッチ角又はその倍数だけ変位させることができるため、オイルパン内へのオイルの重力補助排出を確実にするように、オイル出口の所望の位置決めを容易に達成することができる。
【0020】
本発明によるロータリピストン内燃エンジンの特に好ましい実施形態では、出力側側面部がオイル排出装置を固定する働きをするねじを受容するための円周方向に離間したねじ穴を有する。これにより、出力側側面部に対するオイル排出装置の所望の回転を容易に達成することができる。このために、ねじ穴は、偏心軸を取り囲む出力側側面部の円周に沿って、偏心軸に対してピッチ角に対応する角度距離で配置される。
【0021】
本発明によるロータリピストン内燃エンジンのさらに別の好ましい実施形態では、オイル排出装置が出力側側面部に対して連続的にかつ回転可能に配置することができる。これにより、オイル出口又はオイル排出装置をオイルパンと最適に位置合わせすることができる。
【0022】
また、オイル排出カバーにオイル抜き孔を設けることが好ましい。オイル通気孔は例えば、ホースノズル用に設計することができる。
【0023】
本発明によるロータリピストン内燃エンジン、特に遊星ピストン内燃エンジンは、1つのピストンを有する単一ピストン内燃エンジンとして、又はいくつかのピストンを有する内燃エンジンとして設計することができることが理解されるのであろう。
【0024】
本発明は、添付の図面と併せて例示的な実施形態を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明による遊星ピストン内燃エンジンの第1のエンド側の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明による遊星ピストン内燃エンジンの出力側の図である。
【
図4】
図4は、
図3のIV-IV線に沿った本発明による遊星ピストン内燃エンジンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1において符号1で示される遊星ピストン内燃エンジンとして設計されたロータリピストン内燃エンジンはハウジング2を有し、その中心構成要素は環状ケーシング3であり、軸方向Aの両側にエンド側側面部4及び出力側側面部5が設けられている。遊星ピストン内燃エンジン1の可動部又は回転部を潤滑及び冷却するために使用されるオイルは、エンド側側面部4のオイル入口6を介して供給され、オイル出口7を介して、ハウジング2の下方に位置するオイルパン(図示せず)に再び排出される。環状ケーシング3には、遊星ピストン内燃エンジン1を冷却するためのブッシュタイプの水入口及び出口8,9が設けられている。冷却水は、水入口8から円形開口11又は12を介してケーシング3の内部又は側部4、5に流入する。当然のことながら、環状ケーシング3、エンド側側面部4、及び出力側側面部5は、それ自体公知の方法で、対応する封止要素によって互いに対して封止される。ピストンから噴出されたオイルは環状空間34の下方領域に重力下で集まり、任意のエンジン又はモータ設置位置において、下向き穴36の一部を介してオイル排出装置37に流出し、さらにオイル収集容器に接続された下向きドレーン7に流入する。オイル排出装置37は、オイル出口7に対して180°オフセットされたエンジン通気口を有する。
【0027】
図2に示すように、オイル入口6は、図示の遊星ピストン内燃エンジン1の設置位置に応じて、エンド側側面部4の上部領域に設けられている。オイルは、
図3により詳細に示され、参照番号10で示される通路又はチャネルシステムを通って、出力側側面部5の最低点に軸対称に位置するオイル出口7に供給される。遊星ピストン内燃エンジン1の運転状態では、図示しないクラッチハウジング又はギアボックスユニットがそれ自体公知の方法で
図2に示す出力側側面部5に接続されている。
【0028】
図3によれば、環状ケーシング3は、軸受18、19を用いてエンド側側面部4及び出力側側面部5に取り付けられた偏心軸15によって横断される。ピストンロータ22は、偏心軸15の偏心カム21に取り付けられ、偏心軸15によって駆動されるトロコイド内面24(
図4)と共に作動室23内で回転する。ピストンロータ22は偏心軸15によって駆動され、円弧状の三角形の断面を有し、そのセンターが円形の経路上に案内されるように、作動室23内で回転する。同期ギアは、偏心カム21上のピストンロータ22の速度を偏心軸15の速度の3分の1に設定するために使用される。
【0029】
シールストリップ26は、互いに対して三角形状に配置されたピストンロータ22の側部に取り付けられる。シールストリップ26は作動室23のトロコイド内面24に当接し、ピストンロータ22の1回転中にその容積を2回増減させる3つの作動室27、28、29を形成する。供給開口30zを介して供給される混合気を用いて、混合気の吸気、圧縮、点火、及び排出の作業サイクルはそれぞれ、作動室28に割り当てられた点火プラグ31(
図3)の関与を受けて、ピストンロータ22の1回転の間、同じ位置で実行され、4ストローク処理を生成し、生成された回転力又はトルクは、遊星ピストン内燃エンジン1を収容する工場又は住宅内の発電ユニット、あるいは、遊星ピストン内燃エンジン1を収容する車両、バイク又は船舶を駆動するために使用され得る。
【0030】
図3に示されるように、周知のオイルポンプを用いてオイル入口6を介して導入され、オイル出口7を介してオイルパン(図示せず)内に排出されたオイルは、エンド側側面部4から出力側側面部5を通って、符号10でまとめて示される通路又はチャネルシステムに沿ってポンプ輸送される(
図3には示されない)。
【0031】
図3において、オイル排出装置37はシールリング38,39の手段によって出力側側面部5に対してシールされており、出力側側面部5のリング凹部41に固定されている。ねじ山付きねじ42は、この目的のためにねじ山付き穴43にねじ込まれる。オイル排出装置37には、オイル出口7が半径方向に設けられており、本明細書に記載の遊星ピストン内燃エンジン1などの駆動モータ又はエンジンの下面に通常位置するオイルパンに、オイルが重力補助により排出できるようになっている。
【0032】
遊星ピストン内燃エンジン1の使用目的、例えば、自動車、バイク、航空機、船舶、建物に設けられた発電プラント等、それぞれの使用目的に応じて、ハウジング2の規制に関して設置位置を変更する必要がある場合、オイル排出装置37又はオイル出口7を強固に位置決めしようとすると、重力を利用してオイルを直接配分したり、オイル出口7からオイルパンにオイルを排出したりすることができなくなる可能性がある。このような状況を解決するために、本発明では、出力側側面部5の環状凹部41内のねじ穴43は円弧部分において離間され(
図2の矢印b)、これは全円の所定のピッチ角αに対応する。
【0033】
図2に示すように、好ましいピッチ角度αは30度であり、出力側側面部5の環状凹部41の周縁に沿って等距離に12個のねじ穴43が設けられ、ねじ穴42を収容する。したがって、オイル排出装置37は例えば、偏心軸15に対して直交する平面又は出力側側面部5において30°又は30°の倍数だけ回転することができ、それぞれが30°又はその倍数の角度だけオフセットされた対応する位置に配置される。これにより、オイル出口7は、出力側側面部5又はカバー状オイル出口装置37の周囲に沿って異なる位置を占めることができる。その位置決めの判定基準は、オイルパン内へのオイルの下向きの、したがって重力補助による排出である。これは、本発明による遊星ピストン内燃エンジン1のそれぞれの使用目的において、オイルが現場で適切に排出されることを保証する簡単な方法である。