(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152669
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】中空微粒子の製造方法、中空微粒子、相分離微粒子、水分散体及び組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/20 20060101AFI20241018BHJP
C08F 14/18 20060101ALI20241018BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241018BHJP
C08K 7/22 20060101ALI20241018BHJP
C08L 27/12 20060101ALI20241018BHJP
C08F 34/02 20060101ALI20241018BHJP
C08F 36/20 20060101ALI20241018BHJP
C08L 37/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C08F2/20
C08F14/18
C08L101/00
C08K7/22
C08L27/12
C08F34/02
C08F36/20
C08L37/00
【審査請求】有
【請求項の数】48
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024062768
(22)【出願日】2024-04-09
(31)【優先権主張番号】P 2023065143
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504150450
【氏名又は名称】国立大学法人神戸大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】田中 義人
(72)【発明者】
【氏名】飯田 真由美
(72)【発明者】
【氏名】仲西 佳菜子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠希
(72)【発明者】
【氏名】南 秀人
【テーマコード(参考)】
4J002
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4J002AA00X
4J002BD12W
4J002BK00W
4J002CC03X
4J002CD00X
4J002CF00X
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4J100AE78Q
4J100AE84Q
4J100AR32P
4J100AU27P
4J100BB07P
4J100BB07Q
4J100BB12P
4J100BB12Q
4J100BB13P
4J100BB18P
4J100BC58P
4J100DA25
4J100EA12
4J100FA02
4J100GC25
4J100GC26
4J100JA44
(57)【要約】
【課題】パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子を製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】パーフルオロモノマー、及び、前記パーフルオロモノマーを溶解可能で、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2の非重合性溶剤を含む溶液を水に分散させて分散液を得る工程Aと、前記パーフルオロモノマーを重合して、パーフルオロ樹脂を含み、単孔構造を有する相分離微粒子を得る工程Bと、前記相分離微粒子中の前記非重合性溶剤を除去し、単孔構造を有する中空微粒子を得る工程Cとを含む中空微粒子の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロモノマー、及び、前記パーフルオロモノマーを溶解可能で、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2の非重合性溶剤を含む溶液を水に分散させて分散液を得る工程Aと、
前記パーフルオロモノマーを重合して、パーフルオロ樹脂を含み、単孔構造を有する相分離微粒子を得る工程Bと、
前記相分離微粒子中の前記非重合性溶剤を除去し、単孔構造を有する中空微粒子を得る工程Cと
を含む中空微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記工程Aにおいて、前記分散液が、末端にエステル基を有する開始剤を含む請求項1記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記エステル基が-COOR(Rは非分岐のアルキル基)で表される基である請求項2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記工程Aにおいて、前記分散液が、粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤が、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を含む請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
一般式(1):
Rf§(X-)j(M+)j
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)。
【請求項5】
前記粒子分散安定剤が、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む請求項4記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記工程Aにおいて、前記分散液が、粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤がCF2=CFCF2CF2SO3Hのホモポリマー、CF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記パーフルオロモノマーは、パーフルオロオレフィンである請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記パーフルオロオレフィンは、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上有する多官能性モノマーを含む請求項7記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記パーフルオロオレフィンは、前記単官能性モノマー及び前記多官能性モノマーを含み、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が75/25~25/75である請求項8記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記単官能性モノマーは、環状パーフルオロオレフィンであり、
前記多官能性モノマーは、下記(b)で表されるモノマーである請求項8記載の中空微粒子の製造方法。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【請求項11】
前記環状パーフルオロオレフィンは、下記(a)又は(c)で表されるモノマーである請求項10記載の中空微粒子の製造方法。
【化1】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化2】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【請求項12】
前記パーフルオロオレフィンは、前記式(c)で表されるモノマーである請求項11記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記単官能性モノマーは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)であり、
前記多官能性モノマーは、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2及びCF2=CFCF2CF2OCF=CF2からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が70/30~30/70である請求項9記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記工程Bにおいて、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が60℃以上である請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項15】
前記工程Bにおいて、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が120℃以上である請求項14記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項16】
前記非重合性溶剤は、非重合性含フッ素溶剤である請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項17】
前記非重合性含フッ素溶剤は、含フッ素アルコールである請求項16記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項18】
前記含フッ素アルコールは、炭素数が2~7である請求項17記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項19】
前記含フッ素アルコールは、ω位に水素原子を有する請求項17記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項20】
前記非重合性溶剤は、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH及びF(CF2)4CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項21】
前記中空微粒子は、平均粒径が1.0μm以上である請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項22】
前記中空微粒子は、空隙率が30体積%以上である請求項1又は2記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項23】
前記中空微粒子は、空隙率が40体積%以上である請求項22記載の中空微粒子の製造方法。
【請求項24】
パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂を含み、
非重合性溶剤を実質的に含まず、
平均粒径が1.0μm以上であり、
単孔構造を有する中空微粒子。
【請求項25】
前記パーフルオロモノマーは、パーフルオロオレフィンである請求項24記載の中空微粒子。
【請求項26】
前記パーフルオロオレフィンは、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上有する多官能性モノマーを含む請求項25記載の中空微粒子。
【請求項27】
前記パーフルオロオレフィンは、前記単官能性モノマー及び前記多官能性モノマーを含み、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が75/25~25/75である請求項26記載の中空微粒子。
【請求項28】
前記単官能性モノマーは、環状パーフルオロオレフィンであり、
前記多官能性モノマーは、下記(b)で表されるモノマーである請求項26又は27記載の中空微粒子。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【請求項29】
前記環状パーフルオロオレフィンは、下記(a)又は(c)で表されるモノマーである請求項28記載の中空微粒子。
【化3】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化4】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【請求項30】
前記パーフルオロオレフィンは、前記式(c)で表されるモノマーである請求項29記載の中空微粒子。
【請求項31】
前記単官能性モノマーは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)であり、
前記多官能性モノマーは、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2及びCF2=CFCF2CF2OCF=CF2からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が70/30~30/70である請求項27記載の中空微粒子。
【請求項32】
前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が60℃以上である請求項24又は25記載の中空微粒子。
【請求項33】
前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が120℃以上である請求項32記載の中空微粒子。
【請求項34】
空隙率が30%体積以上である請求項24又は25記載の中空微粒子。
【請求項35】
空隙率が40%体積以上である請求項34記載の中空微粒子。
【請求項36】
前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤が、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を含む請求項24又は25記載の中空微粒子。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
一般式(1):
Rf§(X-)j(M+)j
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)。
【請求項37】
前記粒子分散安定化剤がポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む請求項36記載の中空微粒子。
【請求項38】
前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤がCF2=CFCF2CF2SO3Hのホモポリマー、CF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項24又は25記載の中空微粒子。
【請求項39】
前記非重合性溶剤は、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH及びF(CF2)4CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項24又は25記載の中空微粒子。
【請求項40】
電子材料用である請求項24又は25記載の中空微粒子。
【請求項41】
パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂と、非重合性溶剤とを含み、
平均粒径が1.0μm以上であり、
単孔構造を有する相分離微粒子。
【請求項42】
前記パーフルオロモノマーは、パーフルオロオレフィンである請求項41記載の相分離微粒子。
【請求項43】
前記パーフルオロオレフィンは、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上有する多官能性モノマーを含む請求項42記載の相分離微粒子。
【請求項44】
前記パーフルオロオレフィンは、前記単官能性モノマー及び前記多官能性モノマーを含み、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が75/25~25/75である請求項43記載の相分離微粒子。
【請求項45】
前記単官能性モノマーは、環状パーフルオロオレフィンであり、
前記多官能性モノマーは、下記(b)で表されるモノマーである請求項43又は44記載の相分離微粒子。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【請求項46】
前記環状パーフルオロオレフィンは、下記(a)又は(c)で表されるモノマーである請求項45記載の相分離微粒子。
【化5】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化6】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【請求項47】
前記パーフルオロオレフィンは、前記式(c)で表されるモノマーである請求項46記載の相分離微粒子。
【請求項48】
前記単官能性モノマーは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)であり、
前記多官能性モノマーは、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2及びCF2=CFCF2CF2OCF=CF2からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が70/30~30/70である請求項44記載の相分離微粒子。
【請求項49】
前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が60℃以上である請求項41又は42記載の相分離微粒子。
【請求項50】
前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が120℃以上である請求項49記載の相分離微粒子。
【請求項51】
空隙率が30体積%以上である請求項41又は42記載の相分離微粒子。
【請求項52】
空隙率が40体積%以上である請求項51記載の相分離微粒子。
【請求項53】
前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤が、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を含む請求項41又は42記載の相分離微粒子。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
一般式(1):
Rf§(X-)j(M+)j
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)。
【請求項54】
前記粒子分散安定化剤がポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む請求項53記載の相分離微粒子。
【請求項55】
前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤がCF2=CFCF2CF2SO3Hのホモポリマー、CF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む請求項41又は42記載の相分離微粒子。
【請求項56】
前記非重合性溶剤は、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH及びF(CF2)4CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種である請求項41又は42記載の相分離微粒子。
【請求項57】
請求項41又は42記載の相分離微粒子を含む水分散体。
【請求項58】
請求項24又は25記載の中空微粒子と、絶縁性樹脂とを含む組成物。
【請求項59】
請求項41又は42記載の相分離微粒子と、絶縁性樹脂とを含む組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、中空微粒子の製造方法、中空微粒子、相分離微粒子、水分散体及び組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子内部に空隙を有する中空微粒子は、軽量化、低屈折率化、低誘電性付与等に優れており、種々検討が行われている。こうした中空微粒子としては、従来、無機粒子が用いられていたが、無機粒子はその重量が重いため、最近では無機粒子に代えて、重合体による中空微粒子が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、フッ素原子を有する樹脂を含有する中空樹脂微粒子であって、平均粒径が10~200nm、空隙率が10%以上、かつ、屈折率が1.30以下であることを特徴とする中空樹脂微粒子が記載されている。
【0004】
特許文献2には、含フッ素樹脂を含み、平均粒径が70nm以上10μm以下であることを特徴とする中空微粒子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-213366号公報
【特許文献2】特開2020-183500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、粒子径が小さい中空微粒子は取り扱い性に課題があるため、粒子径を大きくして取り扱い性を向上させることが望まれていた。
また、パーフルオロ樹脂を含む単孔構造を有する中空微粒子の製造は困難であった。
【0007】
本開示は、パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子を製造できる製造方法を提供する。
本開示はまた、パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子と、当該中空微粒子を含む組成物とを提供する。
本開示はまた、パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が大きく、単孔構造を有する相分離微粒子と、当該相分離微粒子を含む水分散体及び組成物とを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示(1)は、パーフルオロモノマー、及び、前記パーフルオロモノマーを溶解可能で、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2の非重合性溶剤を含む溶液を水に分散させて分散液を得る工程Aと、
前記パーフルオロモノマーを重合して、パーフルオロ樹脂を含み、単孔構造を有する相分離微粒子を得る工程Bと、
前記相分離微粒子中の前記非重合性溶剤を除去し、単孔構造を有する中空微粒子を得る工程Cと
を含む中空微粒子の製造方法である。
【0009】
本開示(2)は、前記工程Aにおいて、前記分散液が、末端にエステル基を有する開始剤を含む本開示(1)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0010】
本開示(3)は、前記エステル基が-COOR(Rは非分岐のアルキル基)で表される基である本開示(2)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0011】
本開示(4)は、前記工程Aにおいて、前記分散液が、粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤が、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
一般式(1):
Rf§(X-)j(M+)j
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)である。
【0012】
本開示(5)は、前記粒子分散安定剤が、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む本開示(4)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0013】
本開示(6)は、前記工程Aにおいて、前記分散液が、粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤がCF2=CFCF2CF2SO3Hのホモポリマー、CF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(1)~(3)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0014】
本開示(7)は、前記パーフルオロモノマーは、パーフルオロオレフィンである本開示(1)~(6)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0015】
本開示(8)は、前記パーフルオロオレフィンは、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上有する多官能性モノマーを含む本開示(7)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0016】
本開示(9)は、前記パーフルオロオレフィンは、前記単官能性モノマー及び前記多官能性モノマーを含み、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が75/25~25/75である本開示(8)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0017】
本開示(10)は、前記単官能性モノマーは、環状パーフルオロオレフィンであり、
前記多官能性モノマーは、下記(b)で表されるモノマーである本開示(8)又は(9)記載の中空微粒子の製造方法である。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【0018】
本開示(11)は、前記環状パーフルオロオレフィンは、下記(a)又は(c)で表されるモノマーである本開示(10)記載の中空微粒子の製造方法である。
【化1】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化2】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【0019】
本開示(12)は、前記パーフルオロオレフィンは、前記式(c)で表されるモノマーである本開示(11)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0020】
本開示(13)は、前記単官能性モノマーは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)であり、
前記多官能性モノマーは、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2及びCF2=CFCF2CF2OCF=CF2からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が70/30~30/70である本開示(9)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0021】
本開示(14)は、前記工程Bにおいて、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が60℃以上である本開示(1)~(13)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0022】
本開示(15)は、前記工程Bにおいて、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が120℃以上である本開示(14)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0023】
本開示(16)は、前記非重合性溶剤は、非重合性含フッ素溶剤である本開示(1)~(15)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0024】
本開示(17)は、前記非重合性含フッ素溶剤は、含フッ素アルコールである本開示(16)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0025】
本開示(18)は、前記含フッ素アルコールは、炭素数が2~7である本開示(17)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0026】
本開示(19)は、前記含フッ素アルコールは、ω位に水素原子を有する本開示(17)又は(18)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0027】
本開示(20)は、前記非重合性溶剤は、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH及びF(CF2)4CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種である本開示(1)~(15)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0028】
本開示(21)は、前記中空微粒子は、平均粒径が1.0μm以上である本開示(1)~(20)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0029】
本開示(22)は、前記中空微粒子は、空隙率が30体積%以上である本開示(1)~(21)のいずれかに記載の中空微粒子の製造方法である。
【0030】
本開示(23)は、前記中空微粒子は、空隙率が40体積%以上である本開示(22)記載の中空微粒子の製造方法である。
【0031】
本開示(24)は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂を含み、
非重合性溶剤を実質的に含まず、
平均粒径が1.0μm以上であり、
単孔構造を有する中空微粒子である。
【0032】
本開示(25)は、前記パーフルオロモノマーは、パーフルオロオレフィンである本開示(24)記載の中空微粒子である。
【0033】
本開示(26)は、前記パーフルオロオレフィンは、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上有する多官能性モノマーを含む本開示(25)記載の中空微粒子である。
【0034】
本開示(27)は、前記パーフルオロオレフィンは、前記単官能性モノマー及び前記多官能性モノマーを含み、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が75/25~25/75である本開示(26)記載の中空微粒子である。
【0035】
本開示(28)は、前記単官能性モノマーは、環状パーフルオロオレフィンであり、
前記多官能性モノマーは、下記(b)で表されるモノマーである本開示(26)又は(27)記載の中空微粒子である。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【0036】
本開示(29)は、前記環状パーフルオロオレフィンは、下記(a)又は(c)で表されるモノマーである本開示(28)記載の中空微粒子である。
【化3】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化4】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【0037】
本開示(30)は、前記パーフルオロオレフィンは、前記式(c)で表されるモノマーである本開示(29)記載の中空微粒子である。
【0038】
本開示(31)は、前記単官能性モノマーは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)であり、
前記多官能性モノマーは、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2及びCF2=CFCF2CF2OCF=CF2からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が70/30~30/70である本開示(27)記載の中空微粒子である。
【0039】
本開示(32)は、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が60℃以上である本開示(24)~(31)のいずれかに記載の中空微粒子である。
【0040】
本開示(33)は、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が120℃以上である本開示(32)記載の中空微粒子である。
【0041】
本開示(34)は、空隙率が30%体積以上である本開示(24)~(33)のいずれかに記載の中空微粒子である。
【0042】
本開示(35)は、空隙率が40%体積以上である本開示(34)記載の中空微粒子である。
【0043】
本開示(36)は、前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤が、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を含む本開示(24)~(35)のいずれかに記載の中空微粒子である。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
一般式(1):
Rf§(X-)j(M+)j
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)である。
【0044】
本開示(37)は、前記粒子分散安定化剤がポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む本開示(36)記載の中空微粒子である。
【0045】
本開示(38)は、前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤がCF2=CFCF2CF2SO3Hのホモポリマー、CF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(24)~(35)のいずれかに記載の中空微粒子である。
【0046】
本開示(39)は、前記非重合性溶剤は、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH及びF(CF2)4CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種である本開示(24)~(38)のいずれかに記載の中空微粒子である。
【0047】
本開示(40)は、電子材料用である本開示(24)~(39)のいずれかに記載の中空微粒子である。
【0048】
本開示(41)は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂と、非重合性溶剤とを含み、
平均粒径が1.0μm以上であり、
単孔構造を有する相分離微粒子である。
【0049】
本開示(42)は、前記パーフルオロモノマーは、パーフルオロオレフィンである本開示(41)記載の相分離微粒子である。
【0050】
本開示(43)は、前記パーフルオロオレフィンは、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上有する多官能性モノマーを含む本開示(42)記載の相分離微粒子である。
【0051】
本開示(44)は、前記パーフルオロオレフィンは、前記単官能性モノマー及び前記多官能性モノマーを含み、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が75/25~25/75である本開示(43)記載の相分離微粒子である。
【0052】
本開示(45)は、前記単官能性モノマーは、環状パーフルオロオレフィンであり、
前記多官能性モノマーは、下記(b)で表されるモノマーである本開示(43)又は(44)記載の相分離微粒子である。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【0053】
本開示(46)は、前記環状パーフルオロオレフィンは、下記(a)又は(c)で表されるモノマーである本開示(45)記載の相分離微粒子である。
【化5】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化6】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【0054】
本開示(47)は、前記パーフルオロオレフィンは、前記式(c)で表されるモノマーである本開示(46)記載の相分離微粒子である。
【0055】
本開示(48)は、前記単官能性モノマーは、パーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)であり、
前記多官能性モノマーは、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2及びCF2=CFCF2CF2OCF=CF2からなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記パーフルオロ樹脂において、前記単官能性モノマーに基づく重合単位と前記多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比(単官能性モノマーに基づく重合単位/多官能性モノマーに基づく重合単位)が70/30~30/70である本開示(44)記載の相分離微粒子である。
【0056】
本開示(49)は、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が60℃以上である本開示(41)~(48)のいずれかに記載の相分離微粒子である。
【0057】
本開示(50)は、前記パーフルオロ樹脂のガラス転移温度が120℃以上である本開示(49)記載の相分離微粒子である。
【0058】
本開示(51)は、空隙率が30体積%以上である本開示(41)~(50)のいずれかに記載の相分離微粒子である。
【0059】
本開示(52)は、空隙率が40体積%以上である本開示(51)記載の相分離微粒子である。
【0060】
本開示(53)は、前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤が、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を含む本開示(41)~(52)のいずれかに記載の相分離微粒子である。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
一般式(1):
Rf§(X-)j(M+)j
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)である。
【0061】
本開示(54)は、前記粒子分散安定化剤がポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む本開示(53)記載の相分離微粒子である。
【0062】
本開示(55)は、前記パーフルオロ樹脂が粒子分散安定化剤を含み、
前記粒子分散安定化剤がCF2=CFCF2CF2SO3Hのホモポリマー、CF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマー、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含む本開示(41)~(52)のいずれかに記載の相分離微粒子である。
【0063】
本開示(56)は、前記非重合性溶剤は、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH及びF(CF2)4CH2OHからなる群より選択される少なくとも1種である本開示(41)~(55)のいずれかに記載の相分離微粒子である。
【0064】
本開示(57)は、本開示(41)~(56)のいずれかに記載の相分離微粒子を含む水分散体である。
【0065】
本開示(58)は、本開示(24)~(40)のいずれかに記載の中空微粒子と、絶縁性樹脂とを含む組成物である。
【0066】
本開示(59)は、本開示(41)~(56)のいずれかに記載の相分離微粒子と、絶縁性樹脂とを含む組成物である。
【発明の効果】
【0067】
本開示の製造方法は、パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子を製造できる。
本開示の中空微粒子、及び、本開示の相分離微粒子は、パーフルオロ樹脂を含むものであるにも関わらず、平均粒径が大きい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【
図1】実施例1で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図2】実施例2で得られた中空微粒子(単孔体)のSEM写真である。
【
図3】実施例2で得られた中空微粒子(単孔体)の断面のSEM写真である。
【
図4】実施例3で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図5】実施例6で得られた中空微粒子(単孔体)の断面のSEM写真である。
【
図6】比較例5で得られた中空微粒子(多孔体)のSEM写真である。
【
図7】比較例7で得られた中空微粒子(微粒子の集合体(多孔体の一種))のSEM写真である。
【
図8】比較例8で得られた中空微粒子(多孔体)のSEM写真である。
【
図9】比較例9で得られた中空微粒子(微粒子の集合体(多孔体の一種))の光学顕微鏡写真である。
【
図10】比較例10で得られた水中分散懸濁粒子(実施例1とは逆転した構造)の光学顕微鏡写真である。
【
図11】比較例11で得られた水中分散懸濁粒子(多孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図12】比較例12で得られた水中分散懸濁粒子(実施例1とは逆転した構造)の光学顕微鏡写真である。
【
図13】実施例7で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図14】実施例9で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図15】実施例11で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図16】実施例13で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図17】実施例15で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図18】実施例17で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【
図19】実施例19で得られた水中分散懸濁粒子(単孔体)の光学顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本開示を具体的に説明する前に、本開示で使用するいくつかの用語を定義または説明する。
【0070】
本開示において、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、または有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO-、
RaCO-、
RaSO2-、
RaCOO-、
RaNRaCO-、
RaCONRa-、
RaOCO-、
RaOSO2-、および、
RaNRbSO2-
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、または、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、Hまたは1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
【0071】
また、本開示において、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、および、ジ芳香族オキシホス フィニル基を包含する。
【0072】
脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。脂肪族基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~4のアルキル基、たとえば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基などが挙げられる。
【0073】
芳香族基は、たとえば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。芳香族基としては、炭素数6~12、好ましくは総炭素原子数6~10のアリール基、たとえば、フェニル基、4-ニトロフェニル基、4-アセチルアミノフェニル基、4-メタンスルホニルフェニル基などが挙げられる。
【0074】
ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ 基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。ヘテロ環基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~10の5~6員ヘテロ環、たとえば2-テトラヒドロフリル基、2-ピリミジル基などが挙げられる。
【0075】
アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル 基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。アシル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアシル基、たとえばアセチル基、プロパーノイル基、ベンゾイル基、3-ピリジンカルボニル基などが挙げられる。
【0076】
アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などを有していてもよく、たとえば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパーノイルアミノ基などを有していてもよい。アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~8のアシルアミノ基、総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、たとえばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパーノイルアミノ基などが挙げられる。
【0077】
脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアルコキシカルボニル基、たとえばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(t)-ブトキシカルボニル基などが挙げられる。
【0078】
カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などを有していてもよい。カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2~9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2~5のアルキルカルバモイル基、たとえばN-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基などが挙げられる。
【0079】
脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1~6、好ましくは総炭素原子数1~4のアルキルスルホニル基、たとえばメタンスルホニル基などが挙げられる。
【0080】
芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基などを有していてもよい。芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6~10のアリールスルホニル基、たとえばベンゼンスルホニル基などが挙げられる。
【0081】
アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などを有していてもよい。
【0082】
アシルアミノ基は、たとえば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパーノイルアミノ基などを有していてもよい。アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは総炭素原子数2~8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、たとえばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパーノイルアミノ基などが挙げられる。
【0083】
脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、たとえば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2-ピリジンスルホンアミド基などであってもよい。
【0084】
スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基などを有していてもよい。スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1~9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2~10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7~13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1~7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3~6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6~11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~10のヘテロ環スルファモイル基、たとえば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4-ピリジンスルファモイル基などが挙げられる。
【0085】
脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基などを有していてもよい。脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~6のアルコキシ基、たとえばメトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基などが挙げられる。
【0086】
芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1~4の脂肪族基、総炭素原子数1~4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1~4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2~4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
【0087】
脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1~8、より好ましくは総炭素原子数1~6のアルキルチオ基、たとえばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t-ブチルチオ基などが挙げられる。
【0088】
カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基などを有していてもよい。カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、たとえば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N-ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、4-ピリジンカルバモイルアミノ基などが挙げられる。
【0089】
本開示において、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(たとえば、1~10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)。
【0090】
本開示において、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(たとえば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100など)。
【0091】
(中空微粒子の製造方法)
本開示の製造方法は、パーフルオロモノマー、及び、前記パーフルオロモノマーを溶解可能で、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2の非重合性溶剤を含む溶液を水に分散させて分散液を得る工程Aと、前記パーフルオロモノマーを重合して、パーフルオロ樹脂を含み、単孔構造を有する相分離微粒子を得る工程Bと、前記相分離微粒子中の前記非重合性溶剤を除去し、単孔構造を有する中空微粒子を得る工程Cとを含む。
【0092】
本発明者等が検討したところ、パーフルオロモノマーを重合してパーフルオロ樹脂を含む中空微粒子を得る場合、従来の方法では、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子を得ることは困難であった。本発明者等は、上述の工程A~Cにより、パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子を得られることを見出し、本開示の製造方法を完成した。
【0093】
工程Aは、パーフルオロモノマー、及び、パーフルオロモノマーを溶解可能で、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2の非重合性溶剤を含む溶液を水に分散させて分散液を得る工程である。溶液を水に分散させることで液滴が形成され、この液滴中でパーフルオロモノマーを重合することで、平均粒径が大きく、単孔構造を有する相分離微粒子を得ることができる。そして、相分離微粒子中の非重合性溶剤を除去することで、平均粒径が大きく、単孔構造を有する中空微粒子を得ることができる。
ここで、本開示の製造方法では、パーフルオロ樹脂によって中空微粒子のシェルが形成される。以降、本明細書においては、パーフルオロモノマーに基づく構成単位を含む樹脂をパーフルオロ樹脂と称する。
【0094】
本開示の製造方法によって単孔構造が形成される理由は、以下のように推察される。
工程Aでは、重合されたポリマー(パーフルオロ樹脂)が液滴の表面に析出し、拡散することで、相分離微粒子が形成される。液滴の外部には水が存在するため、ポリマーの疎水性が高い場合、液滴の表面だけではなく液滴の内部にもポリマーが析出することで、相分離が十分に進行せず、多孔構造の相分離微粒子が形成されると考えられる。これに対し、本開示の製造方法では、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2の非重合性溶剤を用いることで、ポリマーの末端に親水基が導入され、末端の親水性が高いポリマーが得られる。これにより、液滴の表面におけるポリマーの析出が促進され、相分離が十分に進行することで、単孔構造の相分離微粒子が形成されると考えられる。
【0095】
工程Aでは、水とともに、水以外の分散媒を使用してもよい。水以外の分散媒としては、水と混ざり得るもので、かつ、工程Aで分散液を生じ得るものであれば特に限定されないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、nーメチルピロリドン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0096】
パーフルオロモノマーとしては、パーフルオロアクリルモノマー、パーフルオロスチレンモノマー、パーフルオロオレフィン等が挙げられるが、パーフルオロオレフィンが好ましい。
【0097】
パーフルオロオレフィンとしては特に限定されないが、重合性反応基を1個有する単官能性モノマー、及び/又は、重合性反応基を2個以上(好ましくは2~4個)有する多官能性モノマーを使用することができ、少なくとも単官能性モノマーを使用することが好ましく、単官能性モノマー及び多官能性モノマーを併用することが好ましい。
【0098】
単官能性モノマーとしては環状パーフルオロオレフィン、多官能性モノマーとしては下記式(b)で表されるモノマー(環化重合性モノマー)を好適に使用できる。これらを使用することで、ポリマーの主鎖に環状構造が導入されるため、ガラス転移温度が高いポリマーが得られる。
CF2=CF-Q1-CF=CF2 (b)
[式中、Q1はエーテル結合を有していてもよいC1~C5の、直鎖又は分岐を有してもよいパーフルオロアルキレン基である。]
【0099】
環状パーフルオロオレフィンは、環状構造を有する高フッ素置換率オレフィンである。環状パーフルオロオレフィンとしては特に限定されないが、下記(a)又は(c)で表されるモノマーを好適に使用できる。
【化7】
[式中、R
12~R
15はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【化8】
[式中、R
16~R
19はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【0100】
式(a)で表されるモノマーの具体例として、下記(a-1)~(a-5)で表されるモノマーが挙げられ、式(c)で表されるモノマーの具体例として、下記(a-6)~(a-7)で表されるモノマーが挙げられる。
【化9】
【0101】
環状パーフルオロオレフィンとしては、電気特性が良好であるという点から、式(c)で表されるモノマーが好ましく、式(a-6)~(a-7)で表されるモノマーがより好ましく、式(a-7)で表されるモノマーが更に好ましい。すなわち、式(c)において、R16~R19の三つがフッ素原子、一つがパーフルオロメチル基であることが好ましい。
【0102】
式(b)において、Q1は、エーテル結合を有することが好ましい。その場合、パーフルオロアルキレン基におけるエーテル結合は、該基の一方の末端に存在していてもよく、該基の両末端に存在していてもよく、該基の炭素原子間に存在していてもよい。環化重合性に優れる点から、該基の一方の末端に存在していることが好ましい。
【0103】
式(b)で表されるモノマーとしては、パーフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)、パーフルオロ(アリールビニルエーテル)、パーフルオロ(3,5-ジオキサへプタジエン)、パーフルオロ(3,5-ジオキサ-4,4-ジメチルへプタジエン)等が挙げられる。特に、パーフルオロ(3-ブテニルビニルエーテル)が好ましい。
【0104】
また、式(b)で表されるモノマーとしては、CF2=CF-O-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)、CF2=CF-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)、CF2=CF-(CF2)m-CF=CF2(式中、m=1~20)、CF2=CF-(O-CF2CF(CF3))n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)、CF2=CF-(CF2)n-CF=CF2(式中、n=1~20)等も挙げられる。なかでも、CF2=CF-O-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)、CF2=CF-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)、CF2=CF-(CF2)m-CF=CF2(式中、m=1~20)が好ましく、CF2=CF-O-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)、CF2=CF-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~20)がより好ましく、CF2=CF-O-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~5)、CF2=CF-(CF2)n-O-CF=CF2(式中、n=1~5)が更に好ましく、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2、CF2=CF-(CF2)2-O-CF=CF2が更により好ましく、CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2が特に好ましい。
【0105】
また、式(b)で表されるモノマーは、重合性反応基を2個有しているため、架橋性モノマーとして機能することができる。架橋性モノマーとして機能した場合、架橋の効果により、系全体として、耐熱性の向上、機械的強度の向上、耐薬品性の向上といった効果が期待される。特に本開示のように単孔構造を形成する場合、シェル層の強度を確保する点で好ましい。
【0106】
式(b)で表されるモノマーの環化重合により形成される単位としては、下式(II-1)~(II-4)が挙げられる。下式が示すように、式(II-1)~(II-3)は、2つの二重結合を構成する4つの炭素原子が重合体の主鎖を構成しており、式(II-4)は、2つの二重結合を構成する末端の2つの炭素原子のみが重合体の主鎖を構成する。また、式(II-1)のように、2つの二重結合を構成する4つの炭素原子のうち、2つがQ1とともに脂肪族環を構成してもよいし、式(II-2)と式(II-3)のように、3つの二重結合がQ1とともに脂肪族環を構成してもよいし、式(II-4)のように、4つの二重結合がQ1とともに脂肪族環を構成してもよい。また、Q1を含む脂肪族環としては5員環および6員環が生成しやすく、環化重合により生成する重合体は5員環または6員環を有する単位を主たる単位とする重合体となる。
【0107】
【0108】
環状パーフルオロオレフィン以外の単官能性モノマーとして、下記式(d)で表されるモノマーも使用できる。
CR20R21=CR22R23 (d)
[式中、R20~R23はそれぞれ独立して、フッ素原子、C1~C5のパーフルオロアルキル基、又はC1~C5のパーフルオロアルコキシ基である。]
【0109】
式(d)で表されるモノマーとしては、CF2=CF2、CF2=CF(CF3)、CF2=CF(C2F5)、CF2=CF(C3F7)、CF2=CF(C4F9)、CF2=CF(C5F11)、CF2=CF(OCF3)、CF2=CF(OC2F5)、CF2=CF(OC3F7)、CF2=CF(OC4F9)、CF2=CF(OC5F11)等が挙げられる。なかでも、CF2=CF2、CF2=CF(CF3)、CF2=CF(OCF3)、CF2=CF(OC2F5)、CF2=CF(OC3F7)が好ましい。
【0110】
工程Aにおいて、パーフルオロモノマー及び非重合性溶剤を含む溶液は、更に、パーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーを含んでもよい。
パーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、パーフルオロモノマー以外の含フッ素モノマー、非含フッ素モノマー等を使用可能である。
【0111】
パーフルオロモノマー以外の含フッ素モノマーとしては、含フッ素アクリルモノマー(パーフルオロアクリルモノマーを除く)、含フッ素スチレンモノマー(パーフルオロスチレンモノマーを除く)、含フッ素オレフィン(パーフルオロオレフィンを除く)等が挙げられる。
【0112】
非含フッ素モノマーは、単官能性モノマーであってもよいし、多官能性モノマーであってもよい。
【0113】
多官能性モノマーに該当する非含フッ素モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロ-ルプロパーンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロ-ルプロパーントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロ-ルプロパーントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト-ルトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリト-ルテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリト-ルヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリールフタレ-ト、ジアリールマレ-ト、ジアリールフマレ-ト、ジアリールサクシネ-ト、トリアリールイソシアヌレ-ト等のジアリール化合物又はトリアリール化合物;ジビニルベンゼン、ブタジエン、1,6-ヘキサンジオ-ルジビニルエーテル、1,4-ブタンジオ-ルジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ-ルジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等のジビニル化合物;エチレングリコールジαフルオロアクリレート、ジエチレングリコールジαフルオロアクリレート、トリエチレングリコールジαフルオロアクリレート、1,6-ヘキサンジオ-ルジαフルオロアクリレート、トリメチロ-ルプロパーンジαフルオロアクリレート等のジαフルオロアクリレート;トリメチロ-ルプロパーントリαフルオロアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロ-ルプロパーントリαフルオロアクリレート、ペンタエリスリト-ルトリαフルオロアクリレート等のトリαフルオロアクリレート;ペンタエリスリト-ルテトラαフルオロアクリレート等のテトラαフルオロアクリレート;ジペンタエリスリト-ルヘキサαフルオロアクリレート等のヘキサαフルオロアクリレート;等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を混合して使用できる。これらの中では、1,4-ブタンジオ-ルジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ-ルジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル等のジビニルエーテルが好ましい。
【0114】
単官能性モノマーに該当する非含フッ素モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パールミチル(メタ)アクリレート、ステアリール(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレ-ト、2-ヒドロキシプロピルメタクリレ-ト等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロースチレン等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー;ビニルピリジン、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、イタコン酸、フマル酸、エチレン、プロピレン、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等が挙げられる。なかでも、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテルはポリマーに適度な靭性を付与できる点で好ましい。また、安息香酸ビニル、ネオノナン酸ビニルエステル(商品名ベオバ9)、ネオデカン酸ビニルエステル(商品名ベオバ10)、プロピオン酸ビニル等のビニルエステルはパーフルオロモノマーとの相溶性が上がる点で好ましい。
【0115】
工程Aにおいて、パーフルオロモノマー及び非重合性溶剤を含む溶液は、モノマーの含有量が、非重合性溶剤1質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部であり、更に好ましくは0.8~3.5質量部である。
なお、モノマーの含有量は、パーフルオロモノマーのみを重合する場合にはパーフルオロモノマーの使用量であり、パーフルオロモノマー及びパーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーを重合する場合にはそれらの合計量である。各モノマーの割合は目的とするパーフルオロ樹脂に応じて適宜設定すればよい。
【0116】
非重合性溶剤は、パーフルオロモノマーを溶解可能で、かつ、得られるパーフルオロ樹脂に対する相溶性が低い溶剤を使用することができる。得られるパーフルオロ樹脂に対する相溶性が低いことによって、得られるパーフルオロ樹脂の相分離を促進し、中空微粒子の製造を可能となる。
【0117】
また、非重合性溶剤は、SP値が9.00~9.80(cal/cm3)1/2である。パーフルオロ樹脂の重合時、非重合性溶剤が連鎖移動剤として機能するが、SP値がこの範囲である場合、得られるパーフルオロ樹脂の末端に親水基が導入されると考えられる。SP値の下限は、好ましくは9.20、より好ましくは9.30であり、上限は、好ましくは9.60、より好ましくは9.50である。
SP値は、Fedorsの式(Polym.Eng.Sci.,14[2],147(1974))により求めることができる。
【0118】
非重合性溶剤としては、例えば、含フッ素アルコール等の非重合性含フッ素溶剤が挙げられ、含フッ素アルコールが好ましい。
【0119】
含フッ素アルコールとしては、下記式
X-(CF2)n-(CH2)m-OH(XはH又はF、nは2~7、mは1又は2)
で表される化合物で、SP値が上記範囲のものが好ましい。具体例としては、下記表のものが挙げられる。
この式で表される化合物としては、F(CF2)n(CH2)mOH(n=2~4、m=1又は2)、H(CF2)n(CH2)mOH(n=5~7、m=1又は2)が好ましく、H(CF2)n(CH2)mOH(n=5~7、m=1又は2)がより好ましい。
【0120】
【0121】
また、含フッ素アルコールは、ポリマー(パーフルオロ樹脂)の末端に親水基が導入され、ポリマーの親水性がより向上するという点から、ω位に水素原子を有することが好ましい。すなわち、上記式でX=Hの化合物が好ましい。ω位に水素原子を有する含フッ素アルコールの具体例としては、H(CF2)nCH2OH(n=5~7)が挙げられ、H(CF2)6CH2OH、F(CF2)3CH2OH、F(CF2)4CH2OHが好ましく、H(CF2)6CH2OHが特に好ましい。
【0122】
なお、非重合性溶剤は、単独でも用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、非重合性溶剤は、特性を損なわない範囲で他の溶剤と混合して用いてもよい。溶剤の合計量に占める非重合性溶剤の割合は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。
【0123】
非重合性溶剤の使用量は、広い範囲から適宜選択できるが、一般には、モノマー1質量部に対して、0.1~10質量部であり、0.5~5質量部とすることが好ましい。
【0124】
工程Aにおいて、分散液は、粒子分散安定化剤を含むことが好ましい。粒子分散安定化剤を含むことによって、相分離をより促進させることができ、粒子径の大きい中空微粒子を得ることができる。
粒子分散安定化剤は、工程Aの前に、水と予め混合しておいてもよいし、パーフルオロモノマー及び非重合性溶剤を含む溶液に予め混合しておいてもよい。また、工程Aで、溶液とは別に水に添加してもよい。
【0125】
粒子分散安定化剤としては、モノマー成分、相分離促進剤及び非重合性溶剤を含む溶液を、水中に分散して形成した液滴が、合一しないようにする作用を有するものを広い範囲から使用でき、例えば、高分子分散安定剤や、含フッ素粒子分散安定化剤等が挙げられる。
【0126】
高分子分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体等が挙げられる。なかでも、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が好ましく、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンがより好ましく、ポリビニルアルコールが更に好ましい。
【0127】
含フッ素粒子分散安定化剤としては、例えば、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)が挙げられる。
一般式(α):
CX1X2=CX3
│
(CX4X5)a-(O)c-Rf-A
(式中、X1、X2、X3、X4およびX5は、独立に、H、F、CH3またはCF3であり、X1、X2、X3、X4およびX5のうち、少なくとも1つはFである。aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基、または炭素数2~100のケト基を有する含フッ素アルキレン基である。Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OM(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である)である。)
aが1の場合、cは1が好ましく、X1およびX2はHまたはFが好ましく、Hがより好ましい。X3、X4およびX5はHまたはFが好ましく、Fがより好ましい。aが0の場合、cは1が好ましく、X1およびX2はHまたはFが好ましく、Fがより好ましい。X3、X4およびX5はHまたはFが好ましく、Fがより好ましい。
すなわち、単量体(α)は、フルオロポリマーの水溶性が一層向上することから、(式1a)CF2=CF-O-Rf-Aおよび(式2a)CH2=CF-CF2-O-Rf-Aより選択される1種以上が好ましい。
式中、Rfが炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である場合は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
【0128】
含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、含フッ素アルキレン基の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下がさらに好ましく、6以下が特に好ましく、3以下が最も好ましい。含フッ素アルキレン基としては、-CF2-、-CH2CF2-、-CF2CF2-、-CF2CF2CF2-、-CF2CH2-、-CF2CF2CH2-、-CF(CF3)-、-CF(CF3)CF2-、-CF(CF3)CH2-等が挙げられる。含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
aが1の場合、含フッ素アルキレン基は分岐しているパーフルオロアルキレン基が好ましく、aが0の場合、含フッ素アルキレン基は分岐していない直鎖状のパーフルオロアルキレン基が好ましい。
【0129】
エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下がさらに好ましく、9以下が特に好ましく、6以下が最も好ましい。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、たとえば、一般式:
【化11】
(式中、Z
1はFまたはCF
3;Z
2およびZ
3はそれぞれHまたはF;Z
4はH、FまたはCF
3;p1+q1+r1が1~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数)で表される2価の基であることも好ましい。
【0130】
エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、
-CF2CF(CF3)OCF2CF2-、-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)-、-(CF(CF3)CF2-O)n-CF(CF3)-(式中、nは1~10の整数)、-CF(CF3)CF2-O-CF(CF3)CH2-、-(CF(CF3)CF2-O)n-CF(CF3)CH2-(式中、nは1~10の整数)、-CH2CF2CF2O-CH2CF2CH2-、-CF2CF2CF2O-CF2-、-CF2CF2CF2O-CF2CF2-、-CF2CF2CF2O-CF2CF2CF2-、-CF2CF2CF2O-CF2CF2CH2-、-CF2CF2O-CF2-、-CF2CF2O-CF2CH2-等が挙げられる。エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0131】
ケト基を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、ケト基を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下が更に好ましく、5以下が特に好ましい。
【0132】
ケト基を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、-CF2CF(CF3)CO-CF2-、-CF2CF(CF3)CO-CF2CF2-、-CF2CF(CF3)CO-CF2CF2CF2-、-CF2CF(CF3)CO-CF2CF2CF2CF2-等が挙げられる。ケト基を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
【0133】
含フッ素アルキレン基中のケト基に水が付加してもよい。したがって、単量体(α)は水和物であってもよい。ケト基に水が付加した含フッ素アルキレン基としては、-CF2CF(CF3)C(OH)2-CF2-、-CF2CF(CF3)C(OH)2-CF2CF2-、-CF2CF(CF3)C(OH)2-CF2CF2CF2-、-CF2CF(CF3)C(OH)2-CF2CF2CF2CF2-等が挙げられる。
【0134】
式中、Aは、-COOM、-SO3M、-OSO3Mまたは-C(CF3)2OMである。Aとしては、-COOMまたは-SO3Mが好ましく、-SO3Mがより好ましい。
【0135】
Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウムまたは置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R7は、Hまたは有機基である。
【0136】
金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、KまたはLiが好ましい。
【0137】
Mとしては、H、金属原子またはNR7
4が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)またはNR7
4がより好ましく、H、Na、K、LiまたはNH4が更に好ましく、H、Na、KまたはNH4が更により好ましく、H、NaまたはNH4が最も好ましい。
【0138】
CF2=CF-O-Rf-A(式1a)としては、
たとえば、CF2=CFOCF2COOM、CF2=CFOCF2CF2COOM、CF2=CFO(CF2)3COOM、CF2=CFOCF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2SO3M、CF2=CFOCF2CF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2SO3M、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO3M(式中、Mは、H、NH4またはアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
中でも、
CF2=CFOCF2COOM、CF2=CFOCF2CF2COOM、CF2=CFO(CF2)3COOM、CF2=CFOCF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2SO3M、CF2=CFOCF2CF2CF2SO3M、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOM(式中、Mは、H、NH4またはアルカリ金属を表す。)
が好ましい。
【0139】
CH2=CF-CF2-O-Rf-A (式2a)
としては、
【0140】
【0141】
なかでも
【0142】
【0143】
であることが好ましい。
【0144】
一般式(2a)で表される単量体としては、式(2a)中のAが-COOMであることが好ましく、特に、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOM、および、CH2=C FCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOMがより好ましい。
【0145】
単量体(α)は、他の単量体と共重合されてもよい。すなわち、フルオロポリマー(α)は、一般式(α)で表される単量体の単独重合体であってもよいし、他の単量体との共重合体であってもよい。また、フルオロポリマー(α)は、2種以上の異なる一般式(α)で表される単量体に基づく重合単位(α)を含んでいてもよい。
【0146】
他の単量体としては、一般式CFR=CR2(式中、Rは、独立に、H、Fまたは炭素数1~4のパーフルオロアルキル基である)で表される単量体が好ましい。また、他の単量体としては、炭素数2または3の含フッ素エチレン性単量体が好ましい。他の単量体としては、たとえば、CF2=CF2、CF2=CFCl、CH2=CF2、CFH=CH2、CFH=CF2、CF2=CFCF3、CH2=CFCF3、CH2=CHCF3、CHF=CHCF3(E体)、CHF=CHCF3(Z体)などが挙げられる。
【0147】
他の単量体としては、なかでも、共重合性が良好である点で、テトラフルオロエチレン(CF2=CF2)、クロロトリフルオロエチレン(CF2=CFCl)およびヘキサフルオロプロピレン(CF2=CFCF3)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、テトラフルオロエチレンがより好ましい。従って、他の単量体に基づく重合単位は、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位であることが好ましい。他の単量体に基づく重合単位は、各出現において、同一または異なっていてもよく、フルオロポリマーは、2種以上の異なる他の単量体に基づく重合単位を含んでいてもよい。
【0148】
他の単量体としては、また、一般式(n1-2):
【0149】
【0150】
(式中、X1、X2は同じかまたは異なりHまたはF;X3はH、F、Cl、CH3またはCF3;X4、X5は同じかまたは異なりHまたはF;aおよびcは同じかまたは異なり0または1である。Rf3は炭素数1~40の含フッ素アルキル基または炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキル基)で表される単量体が挙げられる。
【0151】
具体的には、CH2=CFCF2-O-Rf3、CF2=CF-O-Rf3、CF2=C FCF2-O-Rf3、CF2=CF-Rf3、CH2=CH-Rf3、CH2=CH-O-Rf3(式中、Rf3は式(n1-2)と同じ)などが好ましく挙げられる。
【0152】
フルオロポリマー(β)における重合単位(β)の含有量としては、フルオロポリマー(β)を構成する全重合単位に対して、好ましい順に、50モル%以上、60モル%以上、70モル%以上、80モル%以上、90モル%以上、99モル%以上である。重合単位(β)の含有量は、実質的に100モル%であることが特に好ましく、フルオロポリマー(β)は、重合単位(β)のみからなることが最も好ましい。フルオロポリマー(β)中の重合単位(β)の含有量が多い方が、フルオロポリマー(β)の水溶性が高まる利点がある。
【0153】
フルオロポリマー(β)において、単量体(β)と共重合可能な他の単量体に基づく重合単位の含有量としては、フルオロポリマー(β)を構成する全重合単位に対して、好ましい順に、50モル%以下、40モル%以下、30モル%以下、20モル%以下、10モル%以下、1モル%以下である。単量体(β)と共重合可能な他の単量体に基づく重合単位の含有量 は、実質的に0モル%であることが特に好ましく、フルオロポリマー(β)は、他の単量体に基づく重合単位を含まないことが最も好ましい。
【0154】
フルオロポリマー(β)の重量平均分子量(Mw)の下限としては、好ましい順に、1.4×104以上、1.7×104以上、1.9×104以上、2.1×104以上、2.3×104以上、2.7×104以上、3.1×104以上、3.5×104以上、3.9×104以上、4.3×104以上、4.7×104以上、5.1×104以上である。フルオロポリマーの重量平均分子量(Mw)の上限としては、好ましい順に、150.0×104以下、100.0×104以下、60.0×104以下、50.0×104以下である。
【0155】
フルオロポリマー(β)の数平均分子量(Mn)の下限としては、好ましい順に、0.7×104以上、0.9×104以上、1.0×104以上、1.2×104以上、1.4×104以上、1.6×104以上、1.8×104以上である。フルオロポリマーの数平均分子量(Mn)の上限としては、好ましい順に、75.0×104以下、50.0×104以下、40.0×104以下、30.0×104、20.0×104以下である。
【0156】
フルオロポリマー(β)の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは3.0以下であり、より好ましくは2.4以下であり、さらに好ましくは2.2以下であり、特に好ましくは2.0以下であり、最も好ましくは1.9以下である。
【0157】
フルオロポリマー(β)は、通常、末端基を有する。末端基は、重合時に生成する末端基であり、代表的な末端基は、水素、ヨウ素、臭素、鎖状または分岐鎖状のアルキル基、および、鎖状または分岐鎖状のフルオロアルキル基から独立に選択され、任意追加的に少なくとも1つのカテナリ-ヘテロ原子を含有してもよい。アルキル基またはフルオロアルキル基は、炭素数が1~20であることが好ましい。これらの末端基は、一般的には、フルオロポリマー(β)の形成に使用される開始剤または連鎖移動剤から生成するか、または連鎖移動反応中に生成する。
【0158】
含フッ素粒子分散安定化剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤も挙げられる。アニオン性含フッ素界面活性剤としては例えば式(1)で表されるものである:
Rf§(X-)j(M+)j 式(1)
(式中、Rf§は、C1~C30の(パー)フルオロアルキル鎖、又は(パー)フルオロ(ポリ)オキシアルキレン鎖であり、X-は、-COO-、-PO3
-、又は-SO3
-であり、M+は、H+、NH4
+、アルカリ金属イオンから選択され、jは1であってもよく、2であってもよい)。
【0159】
アニオン性含フッ素界面活性剤の具体的な例としては、(パー)フルオロ(オキシ)カルボン酸アンモニウム、(パー)フルオロ(オキシ)カルボン酸アンモニウムナトリウム、1個以上のカルボキシル末端基を有する(パー)フルオロポリオキシアルキレンを挙げることができる。
【0160】
フッ素化界面活性剤、特に(パー)フルオロオキシアルキレン界面活性剤についての例は、米国特許出願公開第2007/015864号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)8/01/2007、米国特許出願公開第2007/015865号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)18/01/2007、米国特許出願公開第2007/015866号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)18/01/2007、米国特許出願公開第2007/025902号明細書(3M INNOVATIVE PROPERTIES)1/02/2007に特に記載されている。
【0161】
含フッ素粒子分散安定化剤としてはまた、アニオン性部分の分子量が800以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
なお、「アニオン性部分」は、アニオン性含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。式(1)において「Rf§(X-)j」の部分である。
【0162】
粒子分散安定化剤としては、上記で説明したものの中で、含フッ素粒子分散安定化剤が好ましく、その中でも下式で表される単量体のフルオロポリマーがあげられる。なお、下式中、Mは、H、NH4またはアルカリ金属を表す。
CF2=CFOCF2COOM、CF2=CFOCF2CF2COOM、CF2=CFO(CF2)3COOM、CF2=CFOCF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2SO3M、CF2=CFOCF2CF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2COOM、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2SO3M、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CF2SO3M、CH2=CF-CF2-OCF(CF3)COOM、CH2=CF-CF2-OCF(CF3)SO3M、CH2=CF-CF2-OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOM、CH2=CF-CF2-O(CF(CF3)CF2O)2CF(CF3)COOM、CH2=CF-CF2-OCF(CF3)CF2OCF(CF3)SO3M、CH2=CF-CF2-O(CF(CF3)CF2O)2CF(CF3)SO3M。
【0163】
単量体は、特に、CF2=CFOCF2COOM、CF2=CFOCF2CF2COOM、CF2=CFO(CF2)3COOM、CF2=CFOCF2CF2SO3M、CF2=CFOCF2SO3M、CF2=CFOCF2CF2CF2SO3M、CH2=CFCF2OCF(CF3)COOM、および、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COOMが好ましい。
【0164】
粒子分散安定化剤としては、一般式(α)で表される単量体(α)のフルオロポリマー(α)及び一般式(1)で表されるアニオン性含フッ素界面活性剤からなる群より選択される少なくとも1種の含フッ素粒子分散安定化剤を用いることが好ましく、当該含フッ素粒子分散安定化剤と、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤とを併用することがより好ましい。
含フッ素粒子分散安定化剤は、フルオロポリマー(α)が好ましく、(式1a)CF2=CF-O-Rf-Aで表される単量体のフルオロポリマー(α)がより好ましい。
高分子分散安定剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸が好ましく、ポリビニルアルコールがより好ましい。
【0165】
粒子分散安定化剤の含有量は、溶液100質量部に対して、0.0001~10質量部であることが好ましく、0.005~5質量部であることがより好ましい。
【0166】
工程Aにおいて、溶液は、相分離促進剤の含有量が少ないことが好ましい。これにより、電気特性がより良好となる。相分離促進剤の含有量は、溶液1質量部に対して、好ましくは0.005質量部以下、より好ましくは0.001質量部以下である。下限は特に限定されず、0質量部であってもよい。
【0167】
工程Aは、パーフルオロモノマー及び非重合性溶剤、並びに、必要に応じて使用されるパーフルオロモノマーと共重合可能なモノマー、開始剤、分散安定剤等を含む溶液を水に分散させて分散液を得る工程である。
分散方法としては、例えば、ホモジナイザ-や膜乳化法など機械的せん断力による分散方法等の公知の方法を種々採用できる。分散の際の温度条件は、0℃以上100℃未満であってよく、0~90℃が好ましい。分散工程における溶液が開始剤を含む場合、使用する開始剤の分解に影響する温度以下である必要があり、通常は室温付近以下、特に0~30℃程度であるのが好ましい。
【0168】
工程Aにおいて、通常、溶液が分散されて形成される液滴の大きさは単分散ではなく、一般に種々の異なる粒子径の液滴が混在したものとなる。したがって、最終的に得られる中空微粒子も異なる粒子径を有する。
なお、分散方法を選択することにより、液滴の大きさを均一にして、単分散の液滴を得ることもできる。そのような単分散液滴を得る方法としては、例えば、多孔質ガラス(SPG)を利用した膜乳化法による単分散液滴を作製する方法を挙げることができる。このような粒子径が均一に揃った単分散の液滴を調製した場合は、最終的に得られる中空微粒子も粒子径が均一に揃った単分散となる。
いずれの場合も、液滴の平均粒径は、所望とする中空微粒子の平均粒径に応じて適宜決定すればよい。
【0169】
工程Aは、50℃以上(好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは65℃以上)の温度で溶液を水に分散させて分散液を得る工程A-1、又は、50℃未満の温度で溶液を水に分散させて分散液を得て、得られた分散液を50℃以上(好ましくは55℃以上、より好ましくは60℃以上、更に好ましくは65℃以上)の温度に加熱する工程A-2であることも好ましい。
工程A-1、A-2ともに上限温度は100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。
これらの工程を採用することによって、パーフルオロモノマーを使用していても、分散液が相分離しにくく、重合を効率よく進行させることができる。
【0170】
本開示の製造方法は、重合開始剤を使用することが好ましい。重合開始剤は、工程Aの前に溶液に添加してもよいし、工程Aの分散工程後、工程Bの前に分散液に添加してもよいが、上記のように分散工程を比較的高温(例えば50℃以上)で行う場合、工程Aの前に溶液に予め重合開始剤を添加していると、分散工程で重合が開始するおそれがある。よって、工程Aの分散工程後、工程Bの前に分散液に添加することが好ましい。これにより、工程Aの分散工程を比較的高温で行うことが可能となる。
【0171】
重合開始剤は、溶液を水に分散して形成される液滴中でモノマーの重合を開始させるものであり、油溶性開始剤等、従来から使用されているものを使用することができる。例えば、ラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ化合物;クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物;等が挙げられる。
また、紫外線等の光により重合開始する光重合開始剤を用いてもよい。このような光重合開始剤としては、特に限定されるものではなく、従来から使用されているものを使用することができる。
【0172】
アゾ化合物としては、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、及び、アゾビスイソブチロニトリルからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)がより好ましい。
【0173】
重合開始剤としては、下記式(C1)、(C2)及び(C3)で表される化合物(本明細書中、各々、「化合物(C1)」、「化合物(C2)」、及び「化合物(C3)」と称することがある。)、並びに無機過酸化物も挙げられる。化合物(C1)~化合物(C3)、及び無機過酸化物は、1種単独又は組み合わせて使用できる。
【化15】
[式中、R
31及びR
32は、同一又は異なって、パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3~C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、又は、直鎖状又は分岐状C1~C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基である。]、
【化16】
[式中、R
33及びR
34は、同一又は異なって、パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC3~C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、又は、直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基である。]、及び
式(C3):
【化17】
[式中、R
35及びR
36は、同一又は異なって、パーフルオロフェニルで置換されていてもよいC1-C10のパーフルオロアルキル基における少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基、又は、直鎖状又は分岐状C1-C4パーフルオロアルキル基で置換されてもよいパーフルオロフェニルにおける少なくとも1個のフッ素原子が水素原子に置換された基である。]。
【0174】
R31及びR32は、好ましくは、同一又は異なって、少なくとも1個以上のフッ素原子が水素原子に置換された、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロ2-フェニル-2-プロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロsec-ブチル、パーフルオロtert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、パーフルオロネオペンチル、パーフルオロ2-メチル-2-ペンチル、パーフルオロ2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロ2-メチルヘキシル、パーフルオロ2-エチルヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロ4-メチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-エチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-tertブチルシクロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロ2-ヘプチル、パーフルオロ3-ヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2-メチル-2-オクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロフェニル、パーフルオロ2-メチルフェニル、パーフルオロ3-メチルフェニル、パーフルオロ4-メチルフェニルである。
【0175】
R31及びR32において、水素原子に置換されるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であり、好ましくは置換可能な最大個数より3少ない個数~置換可能な最大個数であり、より好ましくは、置換可能な最大個数より2少ない個数~置換可能な最大個数であり、さらに好ましくは置換可能な最大個数より1少ない個数~置換可能な最大個数であり、特に好ましくは置換可能な最大個数である。
R31及びR32は、より好ましくは、同一又は異なって、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、2-エチルヘキシル、4-tertブチルシクロヘキシルである。
R31及びR32は、特に好ましくは、同一又は異なって、プロピル、イソプロピルである。
【0176】
化合物(C1)の好ましい例は、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ビス(4-tertブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを包含する。
特に好ましい化合物(C1)は、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートである。
【0177】
R33及びR34は、好ましくは、同一又は異なって、少なくとも1個以上のフッ素原子が水素原子に置換された、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロ2-フェニル-2-プロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロsec-ブチル、パーフルオロtert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、パーフルオロネオペンチル、パーフルオロ2-メチル-2-ペンチル、パーフルオロ2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロ2-メチルヘキシル、パーフルオロ2-エチルヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロ4-メチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-エチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-tertブチルシクロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロ2-ヘプチル、パーフルオロ3-ヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2-メチル-2-オクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロフェニル、パーフルオロ2-メチルフェニル、パーフルオロ3-メチルフェニル、パーフルオロ4-メチルフェニルである。
【0178】
R33及びR34において、水素原子に置換されるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であり、好ましくは置換可能な最大個数より3少ない個数~置換可能な最大個数であり、より好ましくは、置換可能な最大個数より2少ない個数~置換可能な最大個数であり、さらに好ましくは置換可能な最大個数より1少ない個数~置換可能な最大個数である。
R33及びR34は、より好ましくは、同一又は異なって、イソプロピル、2,4,4-トリメチルペンチル、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘキシル、ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロオクチル、フェニル、3-メチルフェニルである。
【0179】
化合物(C2)の好ましい例は、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルm-メチルベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイドを包含する。
特に好ましい化合物(C2)は、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドである。
【0180】
R35及びR36は、好ましくは、同一又は異なって、少なくとも1個以上のフッ素原子が水素原子に置換された、パーフルオロメチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロイソプロピル、パーフルオロ2-フェニル-2-プロピル、パーフルオロブチル、パーフルオロsec-ブチル、パーフルオロtert-ブチル、パーフルオロペンチル、パーフルオロイソペンチル、パーフルオロネオペンチル、パーフルオロ2-メチル-2-ペンチル、パーフルオロ2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、パーフルオロヘキシル、パーフルオロ2-メチルヘキシル、パーフルオロ2-エチルヘキシル、パーフルオロシクロヘキシル、パーフルオロ4-メチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-エチルシクロヘキシル、パーフルオロ4-tertブチルシクロヘキシル、パーフルオロヘプチル、パーフルオロ2-ヘプチル、パーフルオロ3-ヘプチル、パーフルオロオクチル、パーフルオロ2-メチル-2-オクチル、パーフルオロノニル、パーフルオロデシル、パーフルオロフェニル、パーフルオロ2-メチルフェニル、パーフルオロ3-メチルフェニル、パーフルオロ4-メチルフェニルである。
【0181】
R35及びR36において、水素原子に置換されるフッ素原子の数は、1個~置換可能な最大個数であり、好ましくは置換可能な最大個数より3少ない個数~置換可能な最大個数であり、より好ましくは、置換可能な最大個数より2少ない個数~置換可能な最大個数であり、さらに好ましくは置換可能な最大個数より1少ない個数~置換可能な最大個数であり、特に好ましくは置換可能な最大個数である。
R35及びR36は、より好ましくは、同一又は異なって、イソプロピル、2-フェニル-2-プロピル、tert-ブチル、2-メチル-2-ペンチル、2,4,4-トリメチル-2-ペンチル、2-ヘプチル、2-メチル-2-オクチル、フェニル、3-メチルフェニルである。
【0182】
化合物(C3)の好ましい例は、パーオキシネオデカン酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ヘキシル、パーオキシ炭酸OO-tert-ブチルO-イソプロピル、パーオキシ酢酸tert-ブチルを包含する。
特に好ましい化合物(C3)は、パーオキシピバル酸tert-ブチル、パーオキシピバル酸tert-ヘキシルである。
【0183】
無機過酸化物の好ましい例は、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸、過マンガン酸の、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩を包含する。
特に好ましい無機過酸化物は、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムである。
無機過酸化物は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、無機化酸化物は、サルファイト系還元剤(例:亜ジチオン酸ナトリウム)、亜硫酸塩還元剤(例:亜硫酸ナトリウム、亜硫酸アンモニウム、及び亜硫酸水素ナトリウム)のような還元剤と組み合わせて用いてもよい。
【0184】
特に好ましい重合開始剤として、末端にエステル基を有する開始剤が挙げられる。開始剤のエステル基がポリマー(パーフルオロ樹脂)の末端に導入されることで、ポリマーの親水性がより向上する。
【0185】
上記開始剤において、エステル基は、一方の末端に存在すればよいが、両末端に存在することが好ましい。エステル基は、-COOR(Rは非分岐のアルキル基)で表される基であることが好ましい。Rのアルキル基は、C1~C5アルキル基が好ましく、C1~C3アルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0186】
上記開始剤としては、例えば、末端にエステル基を有するアゾ化合物や、末端にエステル基を有する過酸化物が挙げられる。
【0187】
上記開始剤は、フッ素原子及び芳香環を有しないことが好ましい。
【0188】
上記開始剤の使用量は、目的とするパーフルオロ樹脂の種類等に合わせて適宜調整すればよいが、使用するモノマーの合計量に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0189】
工程Bは、パーフルオロモノマーを重合して、パーフルオロ樹脂を含む相分離微粒子を得る工程である。工程Bは、少なくともパーフルオロモノマーを重合するものであればよく、パーフルオロモノマーのみを重合してもよいし、パーフルオロモノマーと、上述したパーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーとを重合するものであってもよい。
【0190】
工程Bにおける重合は、従来公知のマイクロエマルジョン重合、ミニエマルジョン重合、マイクロサスペンジョン重合等の重合方法に準ずる方法を用いることができる。
また、工程Bにおける重合は、懸濁重合であってもよい。溶液が分散された分散液を懸濁重合に供するには、該分散液を撹拌しながら加熱すればよい。
【0191】
重合温度としては、パーフルオロモノマー(及び、必要に応じて使用されるパーフルオロモノマーと共重合可能なモノマー)が開始剤により重合開始されるに足りる温度であれば特に限定されないが、一般には、10~90℃であり、好ましくは30~80℃、より好ましくは30~75℃である。
【0192】
重合は、所望の中空微粒子が得られるまで行う。重合に要する時間は、使用する含フッ素モノマー(及び、必要に応じて使用される含フッ素モノマーと共重合可能なモノマー)、重合開始剤及び非重合性溶剤の種類等により変動するが、一般には3~24時間程度である。
【0193】
また、重合に際しては、窒素ガス、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。
【0194】
こうして重合を行うことにより、溶液の液滴中で、パーフルオロモノマー(又は、パーフルオロモノマー及び含フッ素モノマーと共重合可能なモノマー)が重合する。
得られたポリマー(相分離微粒子)は、非重合性溶剤の存在により相分離が促進され、単層構造のシェルと、非重合性溶剤が内包されたコア部とを有する。相分離微粒子のシェル部は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位(又はパーフルオロモノマー及びパーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーに基づく重合単位)を含むパーフルオロ樹脂で構成される。
【0195】
パーフルオロ樹脂のガラス転移温度は、高強度および高硬度が期待できるという点から、好ましくは60℃以上、より好ましくは120℃以上である。
本開示において、ガラス転移温度(Tg)は、DSC(示差走査熱量計:日立ハイテクサイエンス社製 DSC7000)を用いて、30℃から200℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温(ファーストラン)-降温-昇温(セカンドラン)させ、セカンドランにおける吸熱曲線の中間点として求めることができる。
【0196】
パーフルオロ樹脂は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位のみからなるものであってもよいし、パーフルオロモノマーに基づく重合単位、及び、パーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーに基づく重合単位を含むものであってもよい。
なお、パーフルオロモノマー、及び、パーフルオロモノマーと共重合可能なモノマーは、上述の本開示の製造方法で説明したものと同様である。
【0197】
パーフルオロ樹脂は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位が、全重合単位に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましい。上限は特に限定されず、100質量%であってもよい。パーフルオロモノマーに基づく重合単位が上記範囲であることによって、得られる中空微粒子の電気特性が良好となる。
【0198】
パーフルオロ樹脂は、単官能性モノマーに該当するパーフルオロモノマーに基づく重合単位及び多官能性モノマー(架橋性モノマー)に基づく重合単位を含むことが好ましい。これにより、中空微粒子のシェルが強固になるため、シェルの厚さを薄くし、空隙率を高くすることができる。
また、多官能性モノマーは、パーフルオロモノマー、パーフルオロモノマー以外の含フッ素モノマー、非含フッ素モノマーのいずれであってもよいが、パーフルオロモノマーが好ましい。すなわち、パーフルオロ樹脂は、単官能性モノマーに該当するパーフルオロモノマーに基づく重合単位及び多官能性モノマーに該当するパーフルオロモノマー(特に、式(b)で表されるパーフルオロモノマー)に基づく重合単位を含むことが好ましい。これにより、中空微粒子のシェルがより強固になるとともに、高い電気特性を実現できる。
【0199】
パーフルオロ樹脂は、多官能性モノマー(架橋性モノマー)に基づく重合単位が、全重合単位に対して5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、30質量%以上が更に好ましい。また、70質量%以下が好ましく、65質量%以下がより好ましく、55質量%以下が更に好ましい。架橋性モノマーに基づく重合単位が上記範囲であることによって、得られる中空微粒子を強度に優れ、かつ、電気特性にも優れるものとすることができる。
【0200】
パーフルオロ樹脂において、非含フッ素モノマーに基づく重合単位は、全重合単位に対して0~70質量%であることが好ましく、より好ましくは、0~50質量%である。
【0201】
パーフルオロ樹脂において、パーフルオロモノマー以外の含フッ素モノマーに基づく重合単位は、全重合単位に対して0~70質量%であることが好ましく、より好ましくは、0~50質量%である。
【0202】
パーフルオロ樹脂は、粒子分散安定化剤を含むことが好ましい。粒子分散安定化剤の含有量は、例えば、パーフルオロ樹脂に対して0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。また、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。上記範囲であると、水中での分散安定性が増し、保存安定性に優れる。
なお、粒子分散安定化剤は、上述の本開示の製造方法で説明したものと同様である。
【0203】
パーフルオロ樹脂は、フッ素含有率が10質量%以上であることが好ましい。フッ素含有率が10質量%以上であることによって、電気特性、耐水性がより良好となる。フッ素含有率は、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、特に好ましくは50質量%以上である。このようなパーフルオロ樹脂を含む中空微粒子は、上述した本開示の製造方法、特に、工程Aが工程A-1又は工程A-2である製造方法により得ることができる。
【0204】
パーフルオロ樹脂は、単官能のパーフルオロモノマー(パーフルオロオレフィン)に基づく重合単位(C)と、多官能のパーフルオロモノマー(パーフルオロオレフィン)に基づく重合単位(E)との質量比(C/E)が、75/25~25/75であることが好ましく、70/30~30/70であることがより好ましく、60/40~40/60であることが更に好ましい。
なお、パーフルオロモノマー以外の多官能性モノマーを使用する場合、当該モノマーに基づく重合単位の量は(E)に含める。この場合の好ましい質量比は上記と同様である。
【0205】
パーフルオロ樹脂は、比誘電率(1kHz)が5.0以下であることが好ましい。比誘電率は、4.0以下がより好ましく、3.7以下が更に好ましく、3.5以下が特に好ましい。比誘電率の下限値は特に限定されないが、例えば、1.1以上であってよい。
本開示において、比誘電率は、JIS C 2138に準じた測定方法より求める値である。
【0206】
パーフルオロ樹脂は、屈折率が1.40以下であることが好ましい。屈折率は、1.39以下がより好ましく、1.38以下が特に好ましい。屈折率の下限値は特に限定されないが、例えば、1.30以上であってよく、非重合性溶剤への溶解性の観点からは1.35以上が好ましい。
屈折率は、臨界角法により求める値である。
【0207】
工程Cは、相分離微粒子中の非重合性溶剤を除去して中空微粒子を得る工程である。工程Cにより、非重合性溶剤を実質的に含まない中空微粒子が得られる。
非重合性溶剤を除去する方法としては特に限定されないが、例えば、加熱処理、減圧処理、自然乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。簡便性、経済性の観点からは加熱処理が好ましい。また、中空構造を維持しやすい凍結乾燥も好ましい。加熱処理の条件は非重合性溶剤の種類や量等により適宜設定すればよいが、温度20~300℃、圧力1~100000Pa程度の条件下で加熱することが好ましい。
【0208】
本開示の製造方法は、工程A~工程Cにより、粒径が大きい中空微粒子を製造することができる。中空微粒子の平均粒径は、1.0μm以上が好ましく、2.0μm以上がより好ましく、5.0μm以上が更に好ましい。平均粒径は、粒子安定性の観点から、50.0μm以下が好ましく、30.0μm以下がより好ましい。
本開示において、平均粒径は、DLS(動的光散乱法)の方法により測定することができる。また、光学顕微鏡写真から粒子径解析ソフトLUZEX APを用いて算出することもでき、その場合、粒子数が合計50以上になるように写真を複数枚撮影して解析する事が望ましい。
【0209】
本開示の製造方法で得られる中空微粒子は、パーフルオロ樹脂を含むシェル及び中空部からなる単孔構造を有する。
なお、本開示において、「単孔構造」とは、多孔質状等のように複数の空隙を有する場合は含まず、ただ1つの閉じた空隙を有する構造のことをいう。また、以下の説明において、中空微粒子の空隙以外の部分を「シェル」という。
【0210】
中空微粒子において、中空部の孔径は、中空微粒子の直径に対して、66%以上が好ましく、74%以上がより好ましく、79%以上が更に好ましい。また、95%以下が好ましく、93%以下がより好ましく、90%以下が更に好ましく、88%以下が特に好ましい。
本開示において、中空部の孔径は、中空微粒子のTEM写真の画像解析を粒子径解析ソフトLUZEX APを用いて算出することができる。具体的には、TEM写真中の約200個の中空微粒子を無作為に抽出し、内半径(R1)を計測することで下記式により中空部の孔径を算出することができる。
中空部の孔径=R1×2
【0211】
中空微粒子は、中空微粒子の直径に対するシェルの厚さの割合が17%以下であることが好ましく、13%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましく、9%以下が特に好ましい。シェルの厚さが薄いと空隙率が高くなるため、より低誘電率の中空微粒子とすることができる。
上記割合は、中空微粒子の強度の観点から、4%以上が好ましく、6%以上が更に好ましい。
本開示において、シェルの厚さは、中空微粒子の光学顕微鏡写真又はTEM写真の画像解析を粒子径解析ソフトLUZEX APを用いて算出することができる。具体的には、光学顕微鏡写真又はTEM写真中の約50~200個の中空微粒子を無作為に抽出し、内半径(R1)と外半径(R2)を計測することで下記式によりシェルの厚さを算出することができる。
シェルの厚さ=R2-R1
【0212】
中空微粒子の空隙率は、好ましくは30体積%以上、より好ましくは40体積%以上、更に好ましくは50体積%以上、特に好ましくは55体積%以上である。空隙率が高いと、中空微粒子の比誘電率を低くすることができ、電材用途に好適である。空隙率の上限は特に限定されないが、強度の観点から、好ましくは80体積%以下、より好ましくは70体積%以下である。
本開示において、空隙率は、以下の式で算出した。
空隙率M(体積%)=非重合性溶剤量(g)/(パーフルオロモノマー量(g)+架橋性モノマー量(g)+非重合性溶剤量(g))×100
【0213】
中空微粒子の屈折率は、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.35以下、更に好ましくは1.30以下、特に好ましくは1.25以下である。屈折率の下限値は特に限定されないが、例えば、1.10以上であってよい。
本開示において、屈折率は、臨界角法により求める値である。
【0214】
相分離促進剤を使用した場合、相分離促進剤が中空微粒子のシェルに含まれることとなるが、電気特性の観点から、中空微粒子は、相分離促進剤の含有量が少ないことが好ましい。よって、本開示の製造方法では、相分離促進剤の使用量をできるだけ少なくすることが好ましい。
中空微粒子において、相分離促進剤の含有量は、例えば、パーフルオロ樹脂に対して5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が好ましい。下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
【0215】
低誘電性、低屈折率の観点から、中空微粒子の中空部に充填されているのは、気体であることが好ましく、空気であることがより好ましい。
【0216】
(中空微粒子)
本開示の製造方法により、本開示の中空微粒子が得られる。本開示の製造方法で説明した好適な形態は、本開示の中空微粒子にも適用可能である。
また、本開示の製造方法では、単離された状態であっても、粒子形状が維持された中空微粒子が得られる。
【0217】
本開示の中空微粒子は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂を含み、非重合性溶剤を実質的に含まず、平均粒径が1.0μm以上であり、単孔構造を有する。
【0218】
本開示の中空微粒子の粒子径は、上述した本開示の製造方法において、液滴の大きさを変化させることにより調節することができるが、従来の方法では、パーフルオロ樹脂を含む中空微粒子において、平均粒径を大きくすることは困難であった。
上述した本開示の製造方法を用いることにより、パーフルオロ樹脂を含む中空微粒子であっても平均粒径を大きくすることができ、平均粒径が1.0μm以上である中空微粒子を製造することができる。
【0219】
本開示の中空微粒子は、非重合性溶剤を実質的に含まない。ここで、中空微粒子が非重合性溶剤を実質的に含まないとは、中空微粒子に対して非重合性溶剤が0.1質量%以下であることを意味する。本開示の中空微粒子は、非重合性溶剤を完全に含まないものであってもよい。
【0220】
本開示の中空微粒子は、平均粒径が1.0μm以上である。平均粒径は、2.0μm以上が好ましく、5.0μm以上がより好ましい。また、平均粒径は、50.0μm以下が好ましく、40.0μm以下がより好ましく、30.0μm以下が更に好ましい。
【0221】
本開示の中空微粒子は、中空かつ単孔構造であることで、低誘電性に優れ、高周波特性に優れるため、電子材料用途に好適である。すなわち、本開示の中空微粒子は電子材料用であることが好ましい。
また、中空であっても多孔構造の場合は、添加剤として使用した場合、マトリックス樹脂が多孔に侵入することで中空度が大幅に低下し、目的とする電気特性が得られない場合がある。これに対し、本開示の中空微粒子は単孔構造であるため、このような問題が生じにくく、所望の電気特性に調整しやすいという利点がある。
【0222】
また、本開示の中空微粒子は、パーフルオロ樹脂を含み、平均粒径が1.0μm以上であることから、低誘電性に優れるとともに、同体積で用いた場合の表面積を小さくすることができる。この点からも、電子材料用途として好適であるといえる。平均粒径が小さいと比表面積が増えるため、界面に付着した水分等の影響で電気特性が著しく低下する場合がある。
【0223】
(相分離微粒子)
本開示の製造方法における工程A~Bまでを実施することで、本開示の相分離微粒子を含む水分散体(本開示の水分散体)が得られる。本開示の相分離微粒子は、水分散体のままで使用してもよいし、濾過し、必要に応じて水洗した後、粉体の形態で使用してもよい。本開示の製造方法で説明した好適な形態は、本開示の相分離微粒子にも適用可能である。
【0224】
本開示の相分離微粒子は、パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂と、非重合性溶剤とを含み、平均粒径が1.0μm以上であり、単孔構造を有する。
【0225】
本開示の相分離微粒子は、中空部分に非重合性溶剤を含むという点で、本開示の中空微粒子と相違する。非重合性溶剤の含有量は、相分離微粒子に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。また、非重合性溶剤の含有量は、相分離微粒子に対して、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
【0226】
本開示の相分離微粒子は、平均粒径が1.0μm以上である。平均粒径は、2.0μm以上が好ましく、5.0μm以上がより好ましい。また、平均粒径は、50.0μm以下が好ましく、40.0μm以下がより好ましく、30.0μm以下が更に好ましい。
【0227】
本開示の相分離微粒子は、本開示の中空微粒子と同様、電子材料用途に好適である。すなわち、本開示の相分離微粒子は電子材料用であることが好ましい。
【0228】
(組成物)
本開示の第一の組成物は、本開示の中空微粒子と、パーフルオロモノマーに基づく重合単位を含むパーフルオロ樹脂とを含む。
【0229】
本開示の第一の組成物は、中空微粒子及び絶縁性樹脂を意図的に混合したものであってもよいし、中空微粒子を製造する工程で生成されるものであってもよい。
また、本開示の第一の組成物は、絶縁性樹脂中に中空微粒子が分散していることが好ましい。
【0230】
本開示の第一の組成物において、絶縁性樹脂は、中空微粒子に含まれるパーフルオロ樹脂とは別に添加されるものである。当該絶縁性樹脂としては特に限定されず、例えば、含フッ素樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アニリン樹脂等が挙げられる。なかでも、含フッ素樹脂、エポキシ樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化型ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、及び、メラミン樹脂等が好適である。これらの絶縁性樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、絶縁性樹脂は、中空微粒子に含まれるパーフルオロ樹脂と同じ種類であってもよい。
【0231】
本開示の第一の組成物において、絶縁性樹脂と中空微粒子との組成比に制限はないが、例えば、質量比(絶縁性樹脂/中空微粒子)が5/95~95/5の任意の組成物である。
また、本開示の第一の組成物において、中空微粒子の含有量は特に限定されず、各用途で要求される特性に従って適宜設定すればよく、例えば、絶縁性樹脂100質量部当たり、10~90質量部であってよい。
【0232】
本開示の第一の組成物は、電気特性の制御が可能であるという点で好ましい。
【0233】
本開示の第二の組成物は、本開示の相分離微粒子と、絶縁性樹脂とを含む。
【0234】
本開示の第二の組成物は、相分離微粒子及び絶縁性樹脂を意図的に混合したものであってもよいし、相分離微粒子を製造する工程で生成されるものであってもよい。
また、本開示の第二の組成物は、絶縁性樹脂中に相分離微粒子が分散していることが好ましい。
【0235】
本開示の第二の組成物において、絶縁性樹脂は、相分離微粒子に含まれるパーフルオロ樹脂とは別に添加されるものである。当該絶縁性樹脂としては、本開示の第一の組成物で説明したものを使用可能である。
【0236】
本開示の第二の組成物において、絶縁性樹脂と相分離微粒子との組成比に制限はないが、例えば、質量比(絶縁性樹脂/相分離微粒子)が5/95~95/5の任意の組成物である。
また、本開示の第二の組成物において、相分離微粒子の含有量は特に限定されず、各用途で要求される特性に従って適宜設定すればよく、例えば、絶縁性樹脂100質量部当たり、10~90質量部であってよい。
【0237】
本開示の第二の組成物は、本開示の第一の組成物と同様、電気特性の制御が可能であるという点で好ましい。
【0238】
本開示の中空微粒子、相分離微粒子、第一の組成物及び第二の組成物を使用する電子材料用途としては特に限定されないが、プリント配線板、アンテナ基板や高周波コネクタの部材層間絶縁膜等が挙げられる。特に、5G、6Gで使用される高周波対応基板において有用である。
【実施例0239】
次に本開示を実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0240】
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
【0241】
[平均粒径]
微粒子の光学顕微鏡写真の画像解析を粒子径解析ソフトLUZEX APを用いて算出した。具体的には異なる場所の写真を撮影し、粒子数として合計50以上になるようにして平均粒径を算出した。なお、平均粒径は、相分離微粒子と中空微粒子とで同じ値となる。
【0242】
[空隙率]
下記式により空隙率を算出した。
空隙率M(体積%)=非重合性溶剤量(g)/(モノマーの合計量(g)+非重合性溶剤量(g))×100
なお、空隙率Mは、相分離微粒子と中空微粒子とで同じ値となる。
【0243】
[ガラス転移温度]
DSC(示差走査熱量計:日立ハイテクサイエンス社、DSC7000)を用いて、30℃以上から200℃以下の温度範囲を10℃/分の条件で昇温(ファーストラン)-降温-昇温(セカンドラン)させ、セカンドランにおける吸熱曲線の中間点をガラス転移温度(℃)とした。
【0244】
[重合率]
重量後に温度100℃、24時間の条件で乾燥させ、その残差より、固形分濃度比Zを算出し、仕込みのモノマー比率(全重量に対するモノマー量の合計比率Q)から下式にて重合率C(%)を計算した。
重合率C(%) = Z/Q×100(%)
【0245】
[実施例1]
単官能性モノマーに該当するパーフルオロモノマーとしてパーフルオロ(2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン)(モノマーa7(式(a-7)で表されるモノマー))を、多官能性モノマーに該当するパーフルオロモノマーとして1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロ-1,3-ビス〔(1,2,2-トリフルオロビニル)オキシ〕プロパーン(PFDVE)(CF
2=CF-O-(CF
2)
3-O-CF=CF
2)を、非重合性溶剤として含フッ素アルコールである2,2-3,3-4,4-5,5-6,6-7,7-ドデカフルオロ-1-ヘプタノール(H(CF
2)
6CH
2OH)を、粒子分散安定剤として含フッ素粒子分散安定化剤であるMw=10,000のCF
2=CFCF
2CF
2SO
3Hのホモポリマーと高分子分散安定剤であるPn=1700、ケン化度=88%のポリビニルアルコール(PVA)とを、重合開始剤として末端にエステル基を有するアゾ化合物である2,2’-アゾビス(イソ酪酸メチル)(下記化合物)(開始剤(1))を用いた。
【化18】
【0246】
下記表2の組成に従い、非重合性溶剤に架橋性モノマー、パーフルオロモノマーを質量比3:2で加え、さらに重合開始剤を溶解させた均一な油相(溶液)を、あらかじめ所定の濃度に粒子分散安定剤及びpH調整剤を溶解させた水媒体にホモジナイザ-を用いることにより分散させ、懸濁滴を含む分散液を作製した。これを、窒素雰囲気下にて70℃で24時間、180rpmで攪拌して重合することによって水中分散懸濁粒子を作製した。
【0247】
図1に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は6.05μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0248】
[実施例2]
実施例1で得られた相分離微粒子を、-50℃で凍結後、18Paで室温にて24時間乾燥させるという条件で凍結乾燥した後、SEMで観察した。その結果を
図2、3に示す。単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0249】
[実施例3]
重合開始剤の使用量を半分にした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0250】
図4に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は2.85μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0251】
[実施例4]
実施例3で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0252】
[実施例5]
重合開始剤の使用量を1/5にした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0253】
重合後の光学顕微鏡写真(不図示)では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は1.60μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0254】
[実施例6]
実施例5で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察した。その結果を
図5に示す。単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0255】
[比較例1~3]
表2の組成でパーフルオロモノマーと非重合性溶剤を混合したが、パーフルオロモノマーが溶解せず、重合することができなかった。
【0256】
[比較例4]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、光学顕微鏡で観察した。得られた粒子は、中空ではなく、内側がポリマー、外側が油相という実施例1とは逆転した構造であった(不図示)。
【0257】
[比較例5]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察した。その結果を
図6に示す。得られたのは多孔体であった。
【0258】
[比較例6]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様に実施したが、重合反応が進行しなかった。原因は、重合開始剤が溶解しなかったためであると推測される。
【0259】
[比較例7]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察した。その結果を
図7に示す。得られたのは多数の中実の微粒子の集合体(多孔体の一種)であった。
【0260】
[比較例8]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察した。その結果を
図8に示す。得られたのは多孔体であった。
【0261】
[比較例9]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、光学顕微鏡で観察した。その結果を
図9に示す。得られたのは多数の中実の微粒子の集合体(多孔体の一種)であった。
【0262】
[比較例10]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、光学顕微鏡で観察した。その結果を
図10に示す。得られた粒子は、中空ではなく、内側がポリマー、外側が油相という実施例1とは逆転した構造であった。
【0263】
[比較例11]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、光学顕微鏡で観察した。その結果を
図11に示す。得られたのは多孔体であった。
【0264】
[比較例12]
表2の組成とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製し、光学顕微鏡で観察した。その結果を
図12に示す。得られた粒子は、中空ではなく、内側がポリマー、外側が油相という実施例1とは逆転した構造であった。
【0265】
[実施例7]
多官能性モノマーとしてCF2=CF-(CF2)2-O-CF=CF2を用いた点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0266】
図13に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は18.7μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0267】
[実施例8]
実施例7で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は110℃であった。
【0268】
[実施例9]
実施例1における単官能性モノマーに基づく重合単位と多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比を70/30(0.21g/0.09g)に変更し、非重合性溶剤との混合比を60/40(モノマーの総量が0.3g/非重合性溶剤が0.2g)とした点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0269】
図14に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は21.1μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは40体積%であった。
【0270】
[実施例10]
実施例9で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0271】
[実施例11]
多官能性モノマーとしてCF2=CF-(CF2)2-O-CF=CF2を用い、実施例1における単官能性モノマーに基づく重合単位と多官能性モノマーに基づく重合単位との質量比を30/70(0.075g/0.175g)に変更した点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0272】
図15に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は11.4μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0273】
[実施例12]
実施例11で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は109℃であった。
【0274】
[実施例13]
実施例1における非重合性溶剤としてSP値9.36のF(CF2)3CH2OHを用いた点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0275】
図16に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は29.2μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0276】
[実施例14]
実施例13で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は109℃であった。
【0277】
[実施例15]
実施例1における非重合性溶剤としてSP値9.01のF(CF2)4CH2OHを用いた点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0278】
図17に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は24.8μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0279】
[実施例16]
実施例15で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0280】
[実施例17]
実施例1における粒子分散安定剤の含フッ素粒子分散安定化剤としてMw=8,000のCF2=CF-OCF2CF2COOHのホモポリマーを用いた点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0281】
図18に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は12.8μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0282】
[実施例18]
実施例17で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0283】
[実施例19]
実施例1における粒子分散安定剤の高分子分散安定剤としてMw=40,000のポリビニルピロリドンを用いた点以外は実施例1と同様にして水中分散懸濁粒子を作製した。
【0284】
図19に重合後の水中分散懸濁粒子の光学顕微鏡写真を示す。重合後の光学顕微鏡写真では、中空構造(単孔)の粒子が得られていることが確認できた。
得られた水中分散懸濁粒子は、内部に非重合性溶剤を含む相分離微粒子であった。
光学顕微鏡写真より計算された平均粒径は14.4μmであった。
この相分離微粒子の空隙率Mは50体積%であった。
【0285】
[実施例20]
実施例19で得られた相分離微粒子を実施例2の条件で凍結乾燥後、SEMで観察したところ、単孔構造を有する中空微粒子が得られていることが確認できた(不図示)。
得られた中空微粒子を構成するパーフルオロ樹脂のガラス転移温度は130℃であった。
【0286】
[実施例21]
実施例1で得られた中空微粒子のエマルションをダイキン工業社製 水性塗料ゼッフルSE405に水系でブレンドし、固形分の質量%で中空微粒子が10質量%で混合された塗料を得た。次に、その塗料をスライドガラス上にバーコートし、40℃で2時間乾燥後、70℃で3時間、150℃で3時間乾燥させることで塗膜を得た。得られた塗膜の外観は均一であり、比重は1.43であった。なお、比重は島津製作所社製 比重測定装置を用いて24℃における比重を測定した。
また、水性塗料ゼッフルSE405のみで同様に作製した塗膜の比重は1.50であり、実施例1の微粒子が中空構造を有していないと仮定した際の塗膜の比重は1.54であった。これらの比重の測定結果から、実施例21で得られた塗膜中で微粒子の中空構造が維持されている事を確認した。
【0287】
【0288】
PFDVE:CF2=CF-O-(CF2)3-O-CF=CF2
DMF:ジメチルホルムアミド
HFCP:1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン
PVA:ポリビニルアルコール
BPO:過酸化ベンゾイル
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
前記粒子分散安定化剤がポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む請求項28記載の中空微粒子。
前記粒子分散安定化剤がポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルイミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン及びポリ(ハイドロオキシステアリン酸-g-メタクリル酸メチル-co-メタクリル酸)共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の高分子分散安定剤を更に含む請求項42記載の相分離微粒子。