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特開2024-152670スポットCMのプランを広告主へ提示する代理店サーバ、プログラム及び販売方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152670
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】スポットCMのプランを広告主へ提示する代理店サーバ、プログラム及び販売方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20241018BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241018BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063071
(22)【出願日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2023064594
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】523086688
【氏名又は名称】株式会社CMI
(74)【代理人】
【識別番号】100135068
【弁理士】
【氏名又は名称】早原 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 陽樹
【テーマコード(参考)】
5L030
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】既存のCMの商取引の慣行に従うGRPを基準として、スポットCMのプランとして複数のテレビ局にまたがる見積額を広告主へ提示する代理店サーバ等を提供する。特に、スポットCMの発注作業に基づくデータファイルを、広告主が管理しやすくする。
【解決手段】代理店サーバは、端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する見積条件受信手段と、見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示するプラン提示手段とを有する。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告主によって操作される端末から、テレビ局に対するスポットCM(Commercial Message)の依頼を受け付ける代理店サーバであって、
端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する見積条件受信手段と、
見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示するプラン提示手段と
を有することを特徴とする代理店サーバ。
【請求項2】
Webブラウザをインストールした端末からアクセスされるWebサイトとして機能し、端末との間でWebユーザインタフェースを介して見積条件を受信し且つプランを表示するか、又は、
アプリケーションソフトウェアをインストールした端末からアクセスされるアプリケーションサーバとして機能し、端末との間でアプリケーションを介して見積条件を受信し且つプランを表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の代理店サーバ。
【請求項3】
プラン提示手段は、テレビ局毎に、配分額を単位GRPコストで除算した想定GRPを算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項4】
端末から、当該プランに基づく広告主の発注依頼を受信した際、当該プランにおけるテレビ局毎の予約放送枠を表示したタイムテーブルを、端末へ送信する発注処理手段を
更に有し、
タイムテーブルは、当該プランの想定GRP以上のGRPとなるべく決定されたものである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項5】
発注処理手段は、テレビ局毎のタイムテーブルにおける予約放送枠の過去GRPの統計値をGRPとして、プランのテレビ局毎に想定GRPを再計算した効率表を、端末へ更に送信する
ことを特徴とする請求項4に記載の代理店サーバ。
【請求項6】
発注処理手段は、プラン提示手段のプランと、発注処理手段のタイムテーブル及び効率表とを対応付けて、端末における広告主毎に設定されたダッシュボードに表示させる
ことを特徴とする請求項5に記載の代理店サーバ。
【請求項7】
放映時間帯は、1日の時間帯の軸と1週間の曜日の軸とからなる面のタイムゾーンであり、
見積条件受信手段は、端末に対して、異なるタイムゾーンからなる複数のパターンの中からいずれか1つのパターンを広告主に選択させる
ように実行することを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項8】
見積条件受信手段は、端末から、広告主によって入力された放映エリアを受信し、
プラン提示手段は、放映エリアに基づいてテレビ局を選択し、
及び/又は、
見積条件受信手段は、端末から、広告主によって入力された対象視聴者層を受信し、
プラン提示手段は、対象視聴者層に基づいてテレビ局毎の予約放送枠を決定させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項9】
プラン提示手段は、
複数のプランを、端末へ送信し、
端末から、広告主にいずれか1つのプランを選択させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項10】
放送完了後、端末へ、当該プランにおけるテレビ局毎の実績GRP(アクチュアル)を送信し、広告主に提示する事後検証提示手段と
を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項11】
事後検証提示手段は、端末へ、テレビ局毎に、想定GRPに対する実績GRPの実積率を更に送信し、広告主に提示する
ことを特徴とする請求項10に記載の代理店サーバ。
【請求項12】
発注処理手段は、タイムテーブルに、放映枠毎に、過去GRPの統計値を対応付けて提示しており、
端末へ、当該統計値に応じて、当該プランに基づく予約放映枠以外の他の放映枠を、レコメンド放映枠として広告主に提示する放映枠レコメンド手段を
更に有することを特徴とする請求項4に記載の代理店サーバ。
【請求項13】
放映枠レコメンド手段は、端末から、タイムテーブルにおけるプランに基づく予約放映枠を、レコメンド放映枠へ変更する変更要求を受信し、テレビ局へ通知する
ことを特徴とする請求項12に記載の代理店サーバ。
【請求項14】
プラン提示手段によって、端末へ送信されたプランについて、広告主が考慮する過去の比較対象期間におけるテレビ局毎の単位GRPコストに基づく過去見積額を、Webユーザインタフェースを介して端末へ送信し、広告主に提示する過去見積額提示手段を
更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項15】
予算額、放映期間及び放映時間帯が所定見積条件以上で類似する複数の広告主からなるコミュニティグループを構成し、コミュニティグループ内の広告主同士で情報交換可能なサイトを、端末へ提供するコミュニティグループ提供手段を
更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の代理店サーバ。
【請求項16】
広告主によって操作される端末から、テレビ局に対するスポットCMの依頼を受け付ける代理店サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する見積条件受信手段と、
見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示するプラン提示手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項17】
広告主によって操作される端末から、テレビ局に対するスポットCMの依頼を受け付ける代理店サーバの販売方法であって、
代理店サーバは、
端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する第1のステップと、
見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示する第2のステップと
を実行することを特徴とする代理店サーバの販売方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ局におけるCM(Commercial Message)の放映枠を、広告主へ販売する代理店のサービス技術にする。
【背景技術】
【0002】
企業や事業の成長にとって、広告を効果的に出稿することが重要な要因となる。近年、インターネット広告が堅調に伸びている一方で、テレビCMも、依然として高い存在感を持っている。テレビCMは、短期間で幅広い属性に向けて大規模に訴求できるために、認知向上に向けて、現在でも有効な施策となり得る。
【0003】
テレビ局によって販売されるCMの放映枠には、タイムCMとスポットCMとがある。タイムCMは、広告主が番組と一体的に制作費等を負担するもの放映枠であって、その番組の提供スポンサーとしてクレジットされる。一方で、スポットCMは、広告主が放映エリアや放映期間を指定して、テレビ局が任意に販売する空きの放映枠である。放映枠を指定できないスポットCMは、タイムCMと比較して、視聴率1%あたりの金額は安くなる。
【0004】
CMにおける一般的な商取引によれば、「広告主」と「広告代理店」と「テレビ局」との間の相対取引が主であり、販売対象となる放映枠の見積条件や価格の情報などは、一般に流通していない(例えば特許文献1参照)。このような商取引慣行の中で、テレビ局側としては、できる限り放映枠を埋めたいと考える。また、広告主側としては、視聴率が同じであれば、できる限りコストを低額に抑えたいと考える。
【0005】
ここで、広告代理店側として、スポットCMについては、広告主によって料金が異なり、多様なデータが必要となる場合もあり、作業の手間やコストが増加するという状況にあった。また、CMの販売に基づく業務知識や経験が大手広告代理店の寡占状態にあるために、新規参入が少なく、出稿経験が少ない広告主に対してまでスポットCMの放映枠を容易に販売しようとするサービス技術も発展しにくい状況にあった。
【0006】
これに対し、Webサイトを用いてスポットCMの放映枠を販売するサービス技術がある(例えば特許文献1参照)。この技術によれば、広告主の端末が、プラットフォームのWebサイトにアクセスすると、その端末の画面に表示された複数のテレビ局の中から、所望のテレビ局を選択することができる。次に、選択されたテレビ局が販売する放映枠の価格表が、端末の画面に表示される。広告主は、その価格表に基づくいずれかのプランと、放送日時とを選択することができる。これによって、端末には、選択されたプラン及び放送日時に応じた見積額が表示される。広告主は、この見積額で納得すれば、端末から、そのテレビ局の放映枠を予約して、その後、注文を依頼することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2019-070929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
CMの商取引の慣行によれば、GRP(Gross Rating Points)(延べ視聴率)が基準とされている。GRPとは、単位期間に放送されたCMの視聴率の合計であり、CMの露出の指標となる。具体的には、単位GRPとは、例えば15秒間のCMにおける1%の視聴率を1単位とする。即ち、GRPは、以下のように算出される。
GRP=視聴率(%)×CM本数
例えば視聴率5%の番組中に15秒間のCMを1本放映した場合、5GRP(=5%×1本)となる。例えば視聴率5%の番組中に15秒間のCMを2本と、視聴率10%の番組中に15秒CMを1本とを放映した場合、20GRP(=5%×2本+10%×1本)となる。
【0009】
スポットCMの費用は、GRPに、1GRP当たりの単位GRPコスト(パーコスト(Cost Per Rating))を乗算したものとなる。即ち、視聴率1%の費用を指す。例えば単位GRPコスト=\10,000であって、20GRPの請求金額は、以下のようになる。
20GRP×¥10,000=¥200,000
【0010】
しかしながら、現状、テレビ局は、同じ放映枠であっても、広告代理店毎又は広告主毎に異なる価格で、相対取引で販売している。特に、単位GRPコストの請求金額は、テレビ局毎、番組毎、広告代理店毎、及び、広告主毎に、個別に決定される。イベント時期(例えば新年度や年度末、クリスマスや正月)には、依頼されるCM本数が多くなり、単位GRPコストも高くなる。
そのために、前述した特許文献1によれば、端末に表示する価格には、GRPを用いないことを前提としている。即ち、既存の商取引のように、GRPに基づく価格を、広告主の端末に提示することはできない。
【0011】
これに対し、本願の発明者は、既存のCMの商取引の慣行に従って、広告主に対してGRPに基づく価格で見積額を提示することができないか、と考えた。広告主としては、予算額や放映期間、放映時間帯のような見積条件を満たせば、テレビ局を特定する必要性も少ないと考えるであろう。
【0012】
他の根本的な問題として、広告主にとって、テレビCMの発注作業は、難解でノウハウが求められるものとなっている。そのために、広告代理店が、広告主と放送局との間に介在し、プランニングや出稿業務を担っている。
しかしながら、現状、広告主と広告代理店との間でも、テレビCMにおけるプランやタイムスケジュールなど、大量の電子文書や表データがやり取りされている。また、広告代理店毎に、広告主に開示されるデータのフォーマットも異なっている。更に、スポットCMを、全国に放映しようとすると例えば120局以上の出稿データを管理する必要がある。結果的に、広告主(特に担当者個人)がデータを管理する難易度も高まることなる。
【0013】
これに対し、本願の発明者は、複数のテレビ局との間の放映枠の見積及び発注を、1つのWebインタフェースを持つサーバで完結させることができれば、広告主におけるスポットCMの発注作業の管理負担が軽減されるであろう、と考えた。特に、スポットCMの発注作業に基づくデータファイルを、広告主が管理しやすくすることはできないか、と考えた。
【0014】
そこで、本発明は、既存のCMの商取引の慣行に従うGRPを基準として、スポットCMのプランとして複数のテレビ局にまたがる見積額を広告主へ提示することができる代理店サーバ、プログラム及び販売方法を提供することを目的とする。特に、スポットCMの発注作業に基づくデータファイルを、広告主が管理しやすい代理店サーバ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明によれば、広告主によって操作される端末から、テレビ局に対するスポットCM(Commercial Message)の依頼を受け付ける代理店サーバであって、
端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する見積条件受信手段と、
見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示するプラン提示手段と
を有することを特徴とする。
【0016】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
Webブラウザをインストールした端末からアクセスされるWebサイトとして機能し、端末との間でWebユーザインタフェースを介して見積条件を受信し且つプランを表示するか、又は、
アプリケーションソフトウェアをインストールした端末からアクセスされるアプリケーションサーバとして機能し、端末との間でアプリケーションを介して見積条件を受信し且つプランを表示する
ことも好ましい。
【0017】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
プラン提示手段は、テレビ局毎に、配分額を単位GRPコストで除算した想定GRPを算出する
ことも好ましい。
【0018】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
端末から、当該プランに基づく広告主の発注依頼を受信した際、当該プランにおけるテレビ局毎の予約放送枠を表示したタイムテーブルを、端末へ送信する発注処理手段を
更に有し、
タイムテーブルは、当該プランの想定GRP以上のGRPとなるべく決定されたものである
ことも好ましい。
【0019】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
発注処理手段は、テレビ局毎のタイムテーブルにおける予約放送枠の過去GRPの統計値をGRPとして、プランのテレビ局毎に想定GRPを再計算した効率表を、端末へ更に送信する
ことも好ましい。
【0020】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
発注処理手段は、プラン提示手段のプランと、発注処理手段のタイムテーブル及び効率表とを対応付けて、端末における広告主毎に設定されたダッシュボードに表示させる
ことも好ましい。
【0021】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
放映時間帯は、1日の時間帯の軸と1週間の曜日の軸とからなる面のタイムゾーンであり、
見積条件受信手段は、端末に対して、異なるタイムゾーンからなる複数のパターンの中からいずれか1つのパターンを広告主に選択させる
ように実行することも好ましい。
【0022】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
見積条件受信手段は、端末から、広告主によって入力された放映エリアを受信し、
プラン提示手段は、放映エリアに基づいてテレビ局を選択し、
及び/又は、
見積条件受信手段は、端末から、広告主によって入力された対象視聴者層を受信し、
プラン提示手段は、対象視聴者層に基づいてテレビ局毎の予約放送枠を決定させる
ことも好ましい。
【0023】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
プラン提示手段は、
複数のプランを、端末へ送信し、
端末から、広告主にいずれか1つのプランを選択させる
ことも好ましい。
【0024】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
放送完了後、端末へ、当該プランにおけるテレビ局毎の実績GRP(アクチュアル)を送信し、広告主に提示する事後検証提示手段と
を更に有することも好ましい。
【0025】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
事後検証提示手段は、端末へ、テレビ局毎に、想定GRPに対する実績GRPの実積率を更に送信し、広告主に提示する
ことも好ましい。
【0026】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
発注処理手段は、タイムテーブルに、放映枠毎に、過去GRPの統計値を対応付けて提示しており、
端末へ、当該統計値に応じて、当該プランに基づく予約放映枠以外の他の放映枠を、レコメンド放映枠として広告主に提示する放映枠レコメンド手段を
更に有することも好ましい。
【0027】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
放映枠レコメンド手段は、端末から、タイムテーブルにおけるプランに基づく予約放映枠を、レコメンド放映枠へ変更する変更要求を受信し、テレビ局へ通知する
ことも好ましい。
【0028】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
プラン提示手段によって、端末へ送信されたプランについて、広告主が考慮する過去の比較対象期間におけるテレビ局毎の単位GRPコストに基づく過去見積額を、Webユーザインタフェースを介して端末へ送信し、広告主に提示する過去見積額提示手段を
更に有することも好ましい。
【0029】
本発明の代理店サーバにおける他の実施形態によれば、
予算額、放映期間及び放映時間帯が所定見積条件以上で類似する複数の広告主からなるコミュニティグループを構成し、コミュニティグループ内の広告主同士で情報交換可能なサイトを、端末へ提供するコミュニティグループ提供手段を
更に有することも好ましい。
【0030】
本発明によれば、広告主によって操作される端末から、テレビ局に対するスポットCMの依頼を受け付ける代理店サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムであって、
端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する見積条件受信手段と、
見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示するプラン提示手段と
してコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、広告主によって操作される端末から、テレビ局に対するスポットCMの依頼を受け付ける代理店サーバの販売方法であって、
代理店サーバは、
端末から、広告主によって入力された少なくとも予算額、放映期間及び放映時間帯を見積条件として受信する第1のステップと、
見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、予算額を各テレビ局に配分し、テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRP(Gross Rating Point)コストとに基づいて想定GRPを算出し、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを、端末へ送信し、広告主に提示する第2のステップと
を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明の代理店サーバ、プログラム及び販売方法によれば、既存のCMの商取引の慣行に従うGRPを基準として、スポットCMのプランとして複数のテレビ局にまたがる見積額を広告主へ提示することができる。特に、スポットCMの発注作業に基づくデータファイルを、広告主が管理しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明におけるシステム構成図である。
図2】本発明における代理店サーバの基本的な機能構成図である。
図3】本発明におけるシーケンス図である。
図4】本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードに入力された見積条件の第1の例である。
図5】本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードに入力された見積条件の第2の例である。
図6】本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードのプランの例である。
図7】本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードのタイムテーブルの例である。
図8】本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードの効率表の例である。
図9】本発明における代理店サーバの拡張的な機能構成図である。
図10】本発明における放送完了後の実績GRP及び実積率を表す説明図である。
図11】本発明におけるレコメンドされた放映枠を表すタイムテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明におけるシステム構成図である。
【0036】
本発明によれば、広告代理店が、テレビ局に対するスポットCMの放映枠を、インターネットを介して広告主へ販売するビジネスモデルを想定する。
図1によれば、広告代理店が運用する代理店サーバ1と、広告主が操作する端末2とが、インターネットを介して接続されている。端末2は、専用的なものではなく、汎用的なパーソナルコンピュータやタブレット、スマートフォンなどであってもよい。
【0037】
テレビ局としては、地上波のテレビ局を想定しているが、それに限られるものではない。BS(Broadcast Satellite)やCS(Communication Satellite)、ケーブルテレビ局であってもよいし、勿論、放送時間が固定されたIP(Internet Protocol)テレビ局であってもよい。
【0038】
尚、本発明は、代理店サーバ1とテレビ局との間の情報の送受信までも構成要素として含むものではない。本発明はあくまで、代理店サーバ1と端末2との間の情報の送受信に関するものである。
【0039】
図2は、本発明における代理店サーバの基本的な機能構成図である。
図3は、本発明におけるシーケンス図である。
【0040】
図2によれば、代理店サーバ1は、Webユーザインタフェース部10と、単位GRPコスト(パーコスト)データ101と、見積条件受信部11と、プラン提示部12と、発注処理部13とを有する。これら機能構成部は、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、代理店サーバの販売方法としても理解できる。
【0041】
[Webユーザインタフェース部10]
Webユーザインタフェース部10は、Webブラウザをインストールした端末2からアクセスされるWebサイトとして機能する。Webユーザインタフェース部10は、例えばJavaScript(登録商標)によって構成され、端末2との間でWebユーザインタフェース介して、見積条件を受信し且つプランを表示する。
【0042】
端末2は、Webブラウザを予めインストールしたものである。例えばChrome(登録商標)やEdge(登録商標)などがある。端末2は、代理店サーバ1のWebサイトへアクセスし、そのWebユーザインタフェースをWebブラウザに表示する(図3のS1)。また、広告主に、端末2のWebブラウザに表示されたWebユーザインタフェースによって、情報を入力させることができる。
勿論、端末2は、専用のアプリケーションソフトウェアをインストールしたものであって、代理店サーバ1へアクセスするものであってもよい。この場合、代理店サーバ1は、アプリケーションサーバとして機能する。Webユーザインタフェース部10を実行することなく、端末2との間でアプリケーションを介して見積条件を受信し且つプランを表示する。
【0043】
<GRP(Gross Rating Points)>
GRPとは、前述したように、各テレビ局における放送枠毎に、単位期間に放送されたCMの視聴率の合計である。放映枠とは、例えば1日の時間帯と1週間の曜日とからなる所定時間帯の枠を意味する。
<テレビ局A> (日) (時刻) (GRP)
平日 6:00~7:00 2.4
7:00~8:00 3.4
8:00~9:00 1.9
・・・・・・・・・・・・・・
<テレビ局B> (日) (時刻) (GRP)
平日 6:00~7:00 1.2
7:00~8:00 2.4
8:00~9:00 2.0
・・・・・・・・・・・・・・
<テレビ局C>
・・・・・・・・・・・・・・
例えばGRP=2.4とは、視聴率2.4%の番組中に15秒CM1本を放映した場合を意味する。
【0044】
[単位GRPコストデータ101]
単位GRPコストデータ101とは、1GRP(視聴率1%)当たりのパーコスト(Cost Per Rating) (金額)を意味する。単位GRPコストは、テレビ局毎に、放映期間や放映時間帯によって異なる。
単位GRPコストとして、放映期間が例えば3月の場合は比較的高額となり、8月の場合は比較的低額となったりする。また、放映時間帯については、例えば広告主が広い放映時間帯を希望すれば、テレビ局としては自由に放映できるために、単位GRPコストは低額となる。一方で、広告主が狭い放映時間帯を希望すれば、テレビ局としても放映が制限され、単位GRPコストは高額となる。
【0045】
代理店サーバ1は、テレビ局毎に、各放映枠における単位GRPコストデータを収集する。広告代理店が、各テレビ局に、例えばメールやメッセージアプリを用いて問い合わせて収集したものであってもよい。勿論、代理店サーバ1が、各テレビ局の単位GRPコストデータを記憶する管理装置から取得するものであってもよい。
【0046】
[見積条件受信部11]
見積条件受信部11は、端末2から、広告主によって入力された少なくとも「予算額」、「放映期間」及び「放映時間帯」を見積条件として受信する(図3のS1)。
また、見積条件受信部11は、端末から、広告主によって入力された「放映エリア」及び/又は「対象視聴者層」の組み合わせを受信するものであってもよい。
【0047】
図4は、本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードに入力された見積条件の第1の例である。
図5は、本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードに入力された見積条件の第2の例である。
【0048】
図4及び図5のWebインタフェースによれば、広告主が、購入を所望するスポットCMの「見積条件」が入力されている。具体的には、以下のような入力インタフェースとなっている。
会社名
(キャンペーン名)
(商材)
★予算額
★放映期間
※放映エリア
※メインターゲット(対象視聴者層)
CM秒数(放映枠時間幅)
★取り方(放映時間帯・タイムゾーン)
・・・・・
【0049】
「予算額」としては、広告主の支払可能な金額を入力する。ここでは、各テレビ局や各放映時間帯を特定した予算額ではなく、総予算額である。総予算額は、広告主としても、放映枠毎の個別の金額を想定する必要がないために、入力しやすい。
【0050】
「放映期間」としては、放映開始日から放映終了日を入力する。
【0051】
「放映エリア」としては、放映を所望する地域をチェックする。図4によれば、例えば関東及び関西にチェックされている。
【0052】
「メインターゲット(対象視聴者層)」としては、そのスポットCMに接触させたい視聴者属性を入力する。視聴者属性としては、年齢代や男女別がある。例えば30代男性の場合、視聴時間帯は土日の夜が多いのに対し、例えば70代男性の場合、視聴時間帯は平日の昼が多かったりする。例えばCMの内容がゴルフ用品に関連するものである場合、広告主としてはできる限り、50代男性に接触させたいと考えるかもしれない。このように、対象視聴者層の視聴傾向は、放映枠を決定するために重要な要素となりえる。
【0053】
「CM秒数(放映枠時間幅)」としては、例えば15秒単位であってもよい。その単位で、広告主が放映を所望する30秒、45秒、60秒と、放映枠を確保することができる。例えば15秒間で視聴率1%を1GRPとした場合、30秒間で視聴率1%を希望した場合には2GRPとなる。
【0054】
「取り方(放映時間帯・タイムゾーン)」は、広告主が放映を所望する一定の時間範囲を指定する。具体的には、端末2に対して、異なるタイムゾーンからなる複数のパターンの中からいずれか1つのパターンを広告主に選択させるものであってもよい。例えば、放映時間帯を、1日の時間帯の軸と1週間の曜日の軸とからなる面のタイムゾーンで、以下のようなパターンに分類される。
全日型 :平日、及び、休日
ヨの字型:平日・朝帯(~9:00)、昼帯(12:00~13:00)、
プライムタイム(18:00~)、及び、休日
コの字型:平日・朝帯(~9:00)、プライムタイム(18:00~)、及び、休日
逆L字型:平日・プライムタイム(18:00~)、及び、休日
全日型は、例えば全世代をターゲットとして、露出量の増大を目的としている。ヨの字型は、例えば昼食の時間や、職場での昼休みの時間での視聴を想定している。コの字型は、出社前や帰宅後の時間帯での視聴を想定している。逆L字型は、視聴率が比較的高い時間帯における露出を目的としている。尚、単位GRPコスト(パーコスト)としては、例えば以下の順に増額する場合が多い。
全日型 < ヨの字型 < コの字型 < 逆L字型
【0055】
[プラン提示部12]
プラン提示部12は、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなる「プラン」を、端末2へ送信し、広告主に提示する。ここで、広告主にとって、プランにおける需要な指標は、出稿するGRPと、単位GRPコスト(パーコスト)とである。
勿論、プラン提示部12は、「放映エリア」及び/又は「対象視聴者層」の組み合わせを更に見積条件とするものであってもよい。
【0056】
図6は、本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードのプランの例である。
【0057】
図6によれば、以下のような、スポットCMの放映企画としての「プラン」が表示されている。
(エリア)(局名) (見積額) (単位GRPコスト)・・・(想定GRP)
関東 合計 131,185,609円 182,863円 717.4
A 19,675,271円 199,250円 98.7
B 0円 188,150円 0.0
C 48,543,933円 192,156円 252.6
D 39,352,932円 189,000円 208.2
E 23,613,573円 149,558円 157.9
関西 合計 31,492,857円 47,202円 667.2
F 3,150,581円 58,040円 54.3
G 11,021,256円 44,092円 250.0
H 9,448,067円 54,134円 174.5
I 7,872,953円 41,786円 188.4
J 0円 35,086円 0.0
請求金額
出稿金額 162,678,566円
割引 8,133,922円
消費税 15,454,464円
合計 169,999,108円
尚、想定GRPは、広告主がそのプランで発注したとしても、将来的に実現されるか否かは不明である。あくまで、見積段階における想定値に過ぎない。
【0058】
1つ以上のテレビ局からなるプランは、(s11)見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択し、(s12)予算額を各テレビ局に配分し、(s13)テレビ局毎に、配分された配分額と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の単位GRPコストとに基づいて「想定GRP」を算出する。そして、(s14)テレビ局毎に、想定GRPに、単位GRPコストを乗算した「見積額」を算出し、(s15)全てのテレビ局の見積額の合計金額を、そのプランに基づく見積総額とする。
【0059】
<プラン作成の例>
(s11)最初に、見積条件から1つ以上のテレビ局を任意に選択する。地上波のテレビ局の場合、例えば放映エリアの中から選択されるものであってもよい。
【0060】
(s12)次に、広告主の「予算額」を、各テレビ局に配分する。勿論、予算額を等分に割り振ってもよいし、各テレビ局がカバーする地域の人口の比率に応じて割り振ってもよい。
ここで、「放映エリア」に応じて、予算額を、テレビ局毎に配分するものであってもよい。放映エリアが、例えば関東及び関西である場合、関東の複数のテレビ局と関西の複数のテレビ局とについて、広告主の予算額を、テレビ局それぞれがカバーする地域の人口の比率に応じて配分してもよい。
また、テレビ局それぞれがカバーする地域の人口ではなく、それら地域の「対象視聴者層」の人口の比率によって、予算額を、テレビ局毎に配分することも好ましい。
勿論、テレビ局毎の配分額は、地域の人口に限られず、様々な放送条件や営業条件に基づいて任意に決定するものであってもよい。
【0061】
(s13)次に、テレビ局毎に、配分された「配分額」と、当該テレビ局における放映期間及び放映時間帯の「単位GRP(Gross Rating Point)コスト(パーコスト)」とに基づいて「想定GRP」を算出する。具体的には、テレビ局毎に、配分額を、単位GRPコストで除算した想定GRPを算出する。
テレビ局Aの想定GRP=(テレビ局Aの配分額/
テレビ局Aの単位GRPコスト)
テレビ局Bの想定GRP=(テレビ局Bの配分額/
テレビ局Bの単位GRPコスト)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
例えば、テレビ局Aに例えば19,675,271円が配分され、そのテレビ局Aの単位GRPコストが199,250円である場合、想定GRPは、19,675,271円/199,250円=98.7となる。
【0062】
(s14)次に、テレビ局毎に、想定GRPに、単位GRPコストを乗算した「見積額」を算出する。
テレビ局Aの見積額=(テレビ局Aの想定GRP×テレビ局Aの単位GRPコスト)
テレビ局Bの見積額=(テレビ局Bの想定GRP×テレビ局Bの単位GRPコスト)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
例えば、前述したテレビ局Aの場合、想定GRPは98.7であり、そのテレビ局Aの単位GRPコストが199,250円であるので、見積額は、98.7×199,250円=19,675,271円となる。
【0063】
(s15)全てのテレビ局の見積額の合計金額が、そのプランに基づく見積総額となる。この見積総額は、広告主の予算額以下となるようにする。
広告主の予算額≧(テレビ局Aの見積額+テレビ局Bの見積額+・・・)
図6によれば、最終的に、出稿金額280,406,893円が算出される。そして、予算額以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランが、端末2へ送信され、広告主に提示される。
【0064】
尚、プランについては、様々な方法で作成することができる。本発明はあくまで、プラン提示部12が、見積条件となる「放映期間」及び「放映時間帯」から、広告主の「予算額」以下となる見積額で作成された1つ以上のテレビ局からなるプランを作成できればよい。
特に、プランの提示時における「単位GRPコスト」及び「想定GRP」は、放映枠にも基づくものではなく、あくまで、「放映期間」及び「放映時間帯」に基づくものである。
【0065】
他の実施形態として、また、プラン提示部12は、複数のプランを、端末2へ送信するものであってもよい。そして、プラン提示部12は、端末2から、広告主にいずれか1つのプランを選択させる。複数のプランを提示することによって、広告主に選択肢を与えることができる。
【0066】
[発注処理部13]
広告主は、端末2のディスプレイに表示されたプランを視認し、そのプランに対して発注依頼をすることができる。
代理店サーバ1は、発注処理部13によって、端末2から、当該プランに基づく広告主の「発注依頼」を受信する。
【0067】
発注処理部13は、プランに基づく各テレビ局へ、スポットCMの放映について発注する。具体的には、テレビ局それぞれへ発注依頼を通知するものであってもよいし、専用システムへメールやメッセージを送信するものであってもよい。その際に、広告代理店とテレビ局との間で、CMの仲介販売に基づく専用システムが用いられるものであってもよい。
【0068】
これに対し、発注処理部13は、テレビ局毎に、そのプランに基づく予約放映枠を表示した「タイムテーブル」(線引き、放送スケジュール)を取得する。そして、発注処理部13は、端末2へ、当該プランに基づく予約放映枠を表示したテレビ局毎のタイムテーブルを送信する。
タイムテーブルとは、各テレビ局が、プランに基づく放映期間及び放映時間帯(例えば2023年4月の第1週~第4週目)に、「想定GRPを確保する」ことを予約したテーブルである。特に、タイムテーブルは、当該プランの想定GRP以上のGRPとなるべく決定される。また、タイムテーブルは、対象視聴者層に基づいてテレビ局毎の予約放送枠が決定されたものであってもよい。
【0069】
図7は、本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードのタイムテーブルである。
【0070】
タイムテーブルは、プランに応じて、テレビ局毎に作成される。図7によれば、テレビ局Aのタイムテーブルが表示されている。
タイムテーブルは、1日の時間帯の軸と1週間の曜日の軸とからなる面であって、放映枠に区分されている。また、プランに応じてテレビ局による「予約放映枠」には、斜線や横線(線引き)が表示されている。これは、1本の線に対して1本のCMが流れることを意味する。これによって、広告主は、発注したプランについて、テレビ局毎のタイムテーブルを視認することができる。
【0071】
線引きの「斜線」は、PT(Participating Commercia)と称され、番組中に流れるスポットCMを意味する。
線引きの「横線」は、SB(Station Break)と称され、番組間(第1の番組から第2の番組へと移行するタイミングに流れるスポットCMを意味する。
【0072】
図8は、本発明におけるWebユーザインタフェースのダッシュボードの効率表の例である。
【0073】
発注処理部13は、「効率表」を、端末2へ更に送信する。
効率表とは、テレビ局毎のタイムテーブルにおける予約放送枠の過去GRPの統計値をGRPとして、プランのテレビ局毎に想定GRPを再計算したものである。
【0074】
ここで、プランの想定GRPと、効率表の想定GRPとは、異なる場合が多い。プランの作成時には、テレビ局毎に、放映期間及び放映時間帯に基づくGRP及び単位GRPコストを用いる。これに対し、タイムテーブル作成時には、テレビ局毎に、放映番組毎に基づくGRP及び単位GRPコストを用いて具体的に線引きされる。そのために、プランと効率表との間で、テレビ局毎のGRP及び単位GRPコストも異なってくる。
勿論、プラン作成時と効率表作成時とで、統計的な視聴率が変動している場合もある。特に、同じ時間帯に放映される他社の競合番組やCMによって、ターゲット(視聴者)へのリーチ効果も異なり、視聴率が変動する場合もある。また、スポットCMの場合、プラン通りの時間帯に放映されるとは限らず、あくまで、広告主の予算額の範囲で実際の放映時間帯も異なってくる。
【0075】
特に、本発明の特徴的な点として、発注処理部13は、プラン提示部12の「プラン」と、発注処理部13の「タイムテーブル」及び「効率表」とを対応付けて、端末2における広告主毎に設定されたダッシュボードに表示される、ことにある。
広告主は、自らのID及びパスワードによって代理店サーバ1にログインすることによって、自らのダッシュボードで、広告主自らの見積条件のみならず、「プラン」「タイムテーブル」「効率表」を一覧することができる。また、広告主自らが発注途中にあるスポットCM(キャンペーン)の進捗状況も閲覧することができる。
【0076】
図9は、本発明における代理店サーバの拡張的な機能構成図である。
【0077】
図9によれば、図2と比較して、GRPデータ102と、事後検証提示部14と、放映枠レコメンド部15と、過去見積額提示部16と、コミュニティグループ提供部17とを更に有する。これら機能構成部も、サーバに搭載されたコンピュータを機能させるプログラムを実行することによって実現される。また、これら機能構成部の処理の流れは、代理店サーバの販売付加方法としても理解できる。
【0078】
[GRPデータ102]
GRPデータ102は、複数のテレビ局から放送済みのGRPデータとして収集したものである。
【0079】
[事後検証提示部14]
放送完了後、代理店サーバ1は、当該プランに基づくタイムテーブルにおける放映枠の放送済みのGRPを受信する。
その上で、事後検証提示部14は、端末2へ、広告主が発注した当該プランについてテレビ局毎に集計した「実績GRP」を送信し、広告主に提示する。ここで、「実績GRP」とは、テレビ局毎に、タイムテーブルにおける放映枠の放送済みのGRPの合計となる。
テレビ局Aの実績GRP=(テレビ局Aの予約放映枠a1の放映済みのGRP+
テレビ局Aの予約放映枠a2の放映済みのGRP+
・・・・・)
テレビ局Bの実績GRP=(テレビ局Bの予約放映枠b1の放映済みのGRP+
テレビ局Bの予約放映枠b2の放映済みのGRP+
・・・・・)
【0080】
また、事後検証提示部14は、端末2へ、テレビ局毎に、想定GRPに対する実績GRPの「実積率」を更に送信し、広告主に提示するものであってもよい。
テレビ局Aの実績率(%)=テレビ局Aの集計した実績GRP/
テレビ局Aの想定GRP
テレビ局Bの実績率(%)=テレビ局Bの集計した実績GRP/
テレビ局Bの想定GRP
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
【0081】
図10は、本発明における放送完了後の実績GRP及び実積率を表す説明図である。
【0082】
図10によれば、端末2に、発注前のプランに基づくテレビ局毎の「想定GRP」と、放送完了後の当該プランに基づくテレビ局毎の「実績GRP」とが、異なる色で表示されている。また、図9によれば、端末2に、プランに基づく「実績率」も表示されている。
図10によれば、広告主は、発注したプランにおける想定GRPに対する実績GRPを、一見して理解することができる。
【0083】
[放映枠レコメンド部15]
放映枠レコメンド部15は、端末2へ、過去GRPの統計値に応じて、当該プランに基づく予約放映枠以外の他の放映枠を、広告主にレコメンドするものである。
【0084】
図11は、本発明におけるレコメンドされた放映枠を表すタイムテーブルである。
【0085】
まず、前述した発注処理部13は、広告主によって発注依頼された後、プランに基づく各テレビ局のタイムテーブルを、端末2へ送信する。このとき、タイムスケジュールについて、テレビ局の「放映枠」毎に、過去GRPの統計値を対応付けて提示することもできる。統計値とは、過去GRPを用いた平均値であってもよい。勿論、統計値は、過去GRPの平均値に限られず、中央値、最大値、最小値などであってもよい。
これによって、広告主は、タイムテーブルを視認することによって、予約放映枠のGRPのみならず、その他の放映枠のGRPも視認することができる。
【0086】
図11によれば、タイムテーブルには、例えば広告主の見積条件「放映時間帯」の中で、予約放映枠が明示されている。その放映枠の統計値よりも高い統計値の放映枠を、レコメンド放映枠として表示することもできる。レコメンド放映枠の統計値は、予約放映枠の統計値よりも所定閾値以上高いことが好ましい。
【0087】
ここで、広告主は、タイムテーブルの中で、予約放映枠を、レコメンド放映枠に変更することもできる。例えばWebユーザインタフェースの場合、表示されたタイムテーブルに対して、ユーザ操作によって、レコメンド放映枠を選択できるようにする。
【0088】
放映枠レコメンド部15は、端末2から、タイムテーブルにおけるプランに基づく予約放映枠を、レコメンド放映枠へ変更する変更要求を受信した際に、その旨を、テレビ局へ通知する。
但し、レコメンド放映枠が選択された場合であっても、必ずしも変更されるとは限らない。あくまでテレビ局によって再度スケジューリングされることとなり、テレビ局によって決定される。
【0089】
[過去見積額提示部16]
過去見積額提示部16は、プラン提示部12によって、端末2へ送信されたプランについて、広告主が考慮する過去の比較対象期間におけるテレビ局毎の単位GRPコストに基づく過去見積額を、端末2へ送信し、広告主に提示する。
【0090】
単位GRPコストは、期間に応じて変動する。例えば広告主が、代理店サーバ1から提示されたプランの見積額について、昨年同時期における同じプランのコストを比較したい場合がある。その場合、端末2から、比較対象期間を「昨年同時期」として代理店サーバ1へ送信することによって、過去見積額提示部16は、昨年同時期の過去見積額を提示することができる。但し、想定GRPは、現在の放映期間における単位GRPコストに基づくものである。
【0091】
[コミュニティグループ提供部17]
コミュニティグループ提供部17は、予算額、放映期間及び放映時間帯が所定見積条件以上で類似する複数の広告主からなるコミュニティグループを構成し、コミュニティグループ内の広告主同士で情報交換可能なサイトを、端末2へ提供する。
【0092】
コミュニティグループとは、例えばSNS(Social Networking Service)のグループである。所定見積条件としては、例えば予算額、放映期間放映時間帯それぞれの範囲内で、広告主をグループ化する。同じような見積条件でスポットCMの放映枠を購入する広告主同士で、情報交換をすることができる。
【0093】
<機械学習を用いたGRPの予測値>
他の実施形態として、例えばテレビ局毎に、機械学習エンジンによって、以下のような教師データによって訓練したものを用いることもできる。
説明変数:過去の放映期間及び放映時間帯(放映エリア及び/又は対象視聴者層)
目的変数:過去のGRP
この機械学習エンジンによって、以下のように、GRPを予測することができる。
入力 :放映期間及び放映時間帯(放映エリア及び/又は対象視聴者層)
出力 :GRPの予測値
尚、機械学習エンジンとしては、統計学的には非線性分類のアルゴリズムを採用することができる。例えば、サポートベクタマシン(support vector machine)やニューラルネットワーク、k近傍法、決定木、ランダムフォレストのようなものである。
【0094】
以上、詳細に説明したように、本発明の代理店サーバ、プログラム及び販売方法によれば、既存のCMの商取引の慣行に従うGRPを基準として、スポットCMのプランとして複数のテレビ局にまたがる見積額を広告主へ提示することができる。特に、スポットCMの発注作業に基づくデータファイルを、広告主が管理しやすくすることができる。
【0095】
特に、本発明によれば、広告主は、見積条件指定、見積、発注及び実績まで一連の操作を全て、サーバ上ですることができ、操作負担が軽減されると共に、コストも削減することができる。また、過去の発注履歴は、サーバに蓄積されていく。一方で、テレビ局としても、販売が困難であった放映時間帯の放映枠であっても、スポットCMとして販売しやすくなる。
【0096】
前述した本発明の種々の実施形態について、本発明の技術思想及び見地の範囲の種々の変更、修正及び省略は、当業者によれば容易に行うことができる。前述の説明はあくまで例であって、何ら制約しようとするものではない。本発明は、特許請求の範囲及びその均等物として限定するものにのみ制約される。
【符号の説明】
【0097】
1 代理店サーバ
10 Webユーザインタフェース部
101 単位GRPコストデータ
102 GRPデータ
11 見積条件受信部
12 プラン提示部
13 発注処理部
14 事後検証提示部
15 放映枠レコメンド部
16 過去見積額提示部
17 コミュニティグループ提供部
2 端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11