IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アクシュネット カンパニーの特許一覧

特開2024-152671トラクション要素を具備するゴルフ靴
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152671
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】トラクション要素を具備するゴルフ靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 5/00 20220101AFI20241018BHJP
   A43B 13/22 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A43B5/00 303
A43B13/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063097
(22)【出願日】2024-04-10
(31)【優先権主張番号】18/133,857
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】390023593
【氏名又は名称】アクシュネット カンパニー
【氏名又は名称原語表記】ACUSHNET COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(72)【発明者】
【氏名】ジョン エフ. スウィガート
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エス. ベント
(72)【発明者】
【氏名】ジャン=マリー ビダール
(72)【発明者】
【氏名】キース エム. ダフィー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ イー. ボルマー
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA01
4F050BA22
4F050HA05
4F050HA20
4F050HA26
4F050HA53
4F050HA56
4F050HA59
4F050HA63
4F050JA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アッパーと、アッパーに接続されたソールアセンブリを具備するゴルフ靴を提供する。
【解決手段】ソールアセンブリは、ミッドソールおよびアウトソールを含む。アウトソールは、複数の異なる地面と係合するための1つ以上のトラクション要素を含む。いくつかの実施例において、トラクション要素は、変形可能な地面と機械的に噛み合うための第1の特徴要素と、変形可能な地面と摩擦係合するための第2の特徴要素とを含む。
【選択図】図6B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフ靴において、
アッパーと、
上記アッパーに取り付けられたソールアセンブリであって、ミッドソールおよびアウトソールとを有する上記ソールアセンブリと、
上記アウトソールの中央領域の周りに位置付けられた複数のトラクション要素とを有し、
上記複数のトラクション要素は、
(i)上記靴の周囲または縁に沿って、上記靴の周囲または縁の形状またはプロファイルに対応する第1の空間構成で配列された第1セットのトラクション要素と、
(ii)上記1セットのトラクション要素および第3セットのトラクション要素の間にネストされた第2セットのトラクション要素であって、上記第1の空間構成の形状またはプロファイルに対応する第2の空間構成で配列される上記第2セットのトラクション要素とを有し、
上記第1セットおよび第2セットのトラクション要素は、チャネリングおよびトレンチングのない構成において互いに対してずらされており、
上記第1セットおよび第2セットのトラクション要素は、(i)1つ以上の方向性トラクション要素と、(ii)1つ以上の全方向性トラクション要素とを有することを特徴とするゴルフ靴。
【請求項2】
上記第1の空間構成は、上記アウトソールの上記中央領域の周囲に第1の囲まれた形状を形成し、上記第2の空間構成は、上記アウトソールの上記中央領域の周囲に第2の囲まれた形状を形成し、上記第2の囲まれた形状は、上記第1の囲まれた形状内にネストされている請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項3】
上記第1セットおよび第2セットのトラクション要素セットは、(i)上記アウトソールの前側サイドおよび後側サイドに沿って配置された1つ以上のトラクション要素と、(ii)アウトソールの内側サイドおよび外側サイドに沿って配置された1つ以上のトラクション要素とを含む請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項4】
上記アウトソールの上記前側サイドまたは上記後側サイドが、上記アウトソールの上記内側サイドまたは外側サイドよりも単位面積当たりのトラクション要素の数が多い請求項3に記載のゴルフ靴。
【請求項5】
上記1つ以上の方向性トラクション要素が上記アウトソールの内側サイドまたは外側サイドに配置され、上記1つ以上の全方向性トラクション要素が上記アウトソールの前側サイドまたは後側サイドに配置される請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項6】
上記複数のトラクション要素のサイズ、形状、向き、または方向のバイアスが、(i)靴靴の内側サイドまたは外側サイドと(ii)靴の前面サイドまたは後面サイドとの間で、またはそれらに沿って徐々に変化し、または変異する請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項7】
上記複数のトラクション要素が上記アウトソールの上記中央領域の周囲に配置され、上記ソールアセンブリの内部領域またはコンポーネントを露出させ、上記ソールアセンブリの上記内部領域またはコンポーネントが、(i)上記ゴルフ靴のミッドソール、または(ii)上記ミッドソール内または上記ミッドソールおよび上記アウトソールの間に配置された機能性インサートを有する請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項8】
上記複数のトラクション要素は、上記アウトソール上に配置された1つ以上の適応性トラクション要素を有する請求項1に記載のゴルフ靴。
【請求項9】
適応性トラクション要素は、(i)第1の種類の地面を貫通してグリップまたはトラクション力を提供し、(ii)上記第1の種類の地面よりも硬い第2の種類の地面と接触している間はアウトソールに向かって平らになるように構成された尖端を有し、上記第1の種類の地面は、草、芝、土、または砂を有し、上記第2の種類の地面は、セメント、コンクリート、アスファルト、タイル、または木材を有する請求項8に記載のゴルフ靴。
【請求項10】
上記1つ以上の適応性トラクション要素が半月形または牙付きプロファイルを具備する請求項8に記載のゴルフ靴。
【請求項11】
ゴルフ靴において、
アッパーと、
上記アッパーに取り付けられたソールアセンブリであって、アウトソールを有する上記ソールアセンブリと、
上記アウトソール上に配置され、複数の異なる表面タイプでの靴のトラクション、グリップ、および安定性を高める複数のトラクション要素とを有し、
上記トラクション要素は約5:3である深さ対高さの比を具備し、
上記トラクション要素は、変形可能な地面と機械的に噛み合うための第1の特徴要素を有し、上記第1の特徴要素は、弾性率が約1メガパスカル(MPa)から少なくとも約1ギガパスカル(GPa)の範囲である第1の材料を有し、
上記トラクション要素は、上記変形可能な地面と摩擦係合するための第2の材料を有する第2の特徴要素を有し、
上記トラクション要素は、上記変形可能な地面上で内側から外側方向に約60N/mmから少なくとも約80N/mmの範囲のトラクション剛性を提供することを特徴とするゴルフ靴。
【請求項12】
上記トラクション要素は、上記変形可能な地面の前後方向において約80N/mmから少なくとも約120N/mmの範囲のトラクション剛性を提供するように構成される請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項13】
上記トラクション要素とオフコースの地面との間の摩擦係数が少なくとも約0.4~約0.6である請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項14】
上記第2の材料と上記変形可能な地面との間の摩擦係数が、上記第1の材料と上記変形可能な地面との間の摩擦係数よりも大きい請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項15】
上記第1の材料は上記第2の材料よりも大きな硬度または弾性率を具備する請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項16】
上記第1の特徴要素または上記第2の特徴要素は、テクスチャ表面、細長いリブ、溝、隆起、線、窪み、フィン、またはブレードを有する請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項17】
上記第1の特徴要素は上記トラクション要素のコアを有し、上記第2の特徴要素は上記コア上またはその周囲にコーティングされた材料を有する請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項18】
上記第1の特徴要素または上記第2の特徴要素は、上記トラクション要素の耐摩耗性を高めるように構成された1つ以上の粒子を有し、上記1つ以上の粒子は、炭素、チタン、ダイヤモンド、シリコン、またはガラスを有する請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項19】
上記第1の特徴要素または上記第2の特徴要素は、上記トラクション要素と上記変形可能な地面との間の摩擦係合を強化するように構成された1つ以上のナノ粒子を有し、上記1つ以上のナノ粒子の粒子サイズは最大で約100ナノメートル(nm)である請求項11に記載のゴルフ靴。
【請求項20】
上記複数のトラクション要素が約1/6~約2/3の範囲のテーパを具備する請求項11に記載のゴルフ靴。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ゴルフのスポーツには、ゴルフクラブを振ること、ゴルフコースを歩くこと、および/またはパットを並べるためにしゃがむことなど、対象者(例えば、ゴルファー)が実行できる種々の動作が関連する。ゴルフのプレーに使用される用具は、ゴルファーがゴルフに関連した動作や動作をどれだけうまく実行できるかに影響を与える。
【0002】
ゴルフ靴は、パフォーマンスに影響を与える可能性のある用具の一例である。ゴルファーがゴルフ関連の動作を実行するとき、ゴルフ靴のソールアセンブリおよび/またはゴルフ靴の下の地面に多くの力が加えられる。場合によっては、ゴルフ関連の動作中にかかる力により、靴が地面に対して意図しない、または望ましくない動きを引き起こし、パフォーマンスに悪影響を与える可能性がある。靴の望ましくない動きまたは意図しない動きを最小限に抑えるために、ゴルフ靴によっては、地面と物理的または機械的に係合するトラクション要素(牽引要素ともいう)を利用する場合がある。
【発明の開示】
【0003】
ここで、従来の靴およびゴルフ靴用のトラクション要素の設計および構成の様々な欠点および不利益が認識されている。従来の靴の多くは、(例えば、トラクション要素とオフコースの種々の地面との間の摩擦係数を最大にすることによって)滑りや転倒のシナリオを最小限に抑えるように設計または構成されたトラクション要素を利用している。しかしながら、スリップや転倒を軽減するためだけに摩擦係数を最大化しようとする従来のトラクション要素の設計および構成は、カジュアルゴルファーと熱心なゴルファーの両方のゴルフゲームを同様に向上させるために望ましい、または必要とされる最適なトラクション特性を常に実現するとは限らない。
【0004】
本開示は、コース地面における靴のトラクション剛性を最適化するトラクション要素を備えたゴルフ靴の種々の実施例を提供することによって、従来のトラクション要素の設計および構成を備えた靴の上述の欠点に対処する。本開示のゴルフ靴は、ゴルフ関連動作および移動の間に、ゴルフ靴の地面表面に対する動きの量を最小限に抑えるために、(1)最適なサイズおよび形状である、および/または(2)靴のアウトソール上に最適なレイアウトで集合的に配置されるトラクション要素を利用して良い。各トラクション要素のサイズ、形状、および/または配置(例えば、位置および/または配向)は、(i)対象者のゴルフスイングの生体力学的特徴および/または(ii)対象者の身体の解剖学的または生理学的特性に基づいて最適化されて良い。トラクション要素は、靴の異なる選択領域に最適なトラクション剛性を提供するように個別かつ集合的に構成することができ、これにより、ゴルフ関連の動作または動作中にオンコースの地面に対する靴の動きを最小限に抑えることができ、最終的には(i)例えば、ボールの分散をタイトにして一貫性を最大化し、および/または(ii)建夫バより長い飛距離を可能にして、パフォーマンスを最大化する。
【0005】
ここで説明されるトラクション要素の設計および構成は、一貫性および性能を最大化することに加えて、多くの利点を提供することができる。例えば、トラクション要素は、コース表面への損傷を保護し、最小限に抑えるように設計および構成されて良い。以下により詳細に説明するように、個々のトラクション要素のサイズおよび/または形状は、従来の典型的なゴルフ靴のトラクション要素と比較して、より多くのゴルフ関連の動作または動作にわたって、および、より長期間にわたってコース表面の品質または特性を維持するように最適化することができる。品質または特性は、コース表面を横切るゴルフボールの転がり距離、またはコース表面の滑らかさ、または粗さに関係して良い。オンコース表面を保存すると、時間の経過やラウンドの回数に応じてオンコース表面の状態を一定に保つために必要なメンテナンスを最小限に抑えることができる。本開示のトラクション要素は、時間と労力の両方がかかる日常的なメンテナンスの必要性を軽減し、1つまたは複数のゴルフ関連動作、または、オンコース表面と本開示のトラクション要素との間の物理的または機械的相互作用に関連する動作に関連するゴルフラウンドの途中、その間、またはその後の、コース表面の状態を許容可能な許容誤差または閾値内に維持することを保証することができる。
【0006】
関連する側面において、本開示は、オンコースおよびオフコースの両方の用途向けに設計または構成できる適応性トラクション要素を備えたゴルフ靴の様々な実施例を提供する。一般にオフコースでの使用には不快または非現実的である従来のゴルフ靴のトラクション要素とは異なり、ここでで参照される適応性トラクション要素の設計および構成は、1)オンコース表面に最適化された第1の水平および/または垂直断面積または寸法、および(2)オフコース表面に最適化された第2の水平および/または垂直断面積または寸法を提供するように適応する、または変形するトラクション要素を利用することにより、オンコースおよびオフコースの両方のトラクションに対する柔軟な解決策を提供することができる。本開示のトラクション要素の適応性により、対象者は、様々な種類の地面上での快適さ、フィット感、またはパフォーマンスを犠牲にすることなく、ゴルフコース内外の双方で快適な一足のゴルフ靴を着用することが可能になる。
【0007】
本開示は、また、ゴルフ靴の局所的なトラクション特性(例えば、ゴルフ靴のアウトソールの周囲またはエッジに沿った)を強化または微調整するためのトラクション要素の構成および配置の様々な例を提供する。本開示による方向性および全方向性トラクション要素の両方の最適な配置は、トラクション要素の他の従来の構成または配置を使用して実際には実現できないレベルで、局所的なトラクション性能に関して、ゴルフ靴にカスタマイズ性および柔軟性を提供することができ、これは、高性能ゴルフ靴に必要なトラクション性能特性の全範囲を提供しないかもしれない。
【0008】
いくつかの実施例において、ここに記載のトラクション要素は、ゴルフ関連の動作中にソールアセンブリにかかる荷重を地面上の選択された場所または領域に最適に導き、ゴルフ関連の動作中に地面に対する靴の動きを効果的に最小限に抑えるように構成され、(i)ゴルフ関連の動作中の対象者の足の動き、(ii)ゴルフ関連の動作を促進または実行するための靴全体にわたる1つ以上の力の分布、および/または(iii)(a)靴またはその任意のコンポーネント、または(b)靴の下の地面にかかる1つ以上の力の方向または大きさを制御し、案内し、および/または管理する。いくつかの実施例において、トラクション要素は、(1)靴を履いている対象者の固有の解剖学的または生体力学的特徴、および/または(2)対象者のスイングの固有の特性または特徴に基づいて構成または配置されて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、特定の対象者のスイングタイプ、スイング速度、解剖学的構造、または生体力学的特徴に基づいて、その対象者にとって最適な方法で構成または配置されて良い。
【0009】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、対象者のスイングタイプ、スイング速度、解剖学的構造、または生体力学的特性を考慮して対象者にとって最適ではない方法で動作を実行した場合でも、ゴルフ関連の動作中に荷重を最適に導き、靴の地面に対する動きを最小限に抑えるように構成されて良い。場合によっては、ゴルフ関連の動作の最適でない実行には、対象者による実際の動作が、(i)最大限の一貫性(例:ボールの分散の精度向上)および/または(ii)最大限のパフォーマンス(例:キャリー距離の延長)を提供できる最適な動作から逸脱することが含まれることがある。実際の動作または最適な動作は、たとえば、対象者の腕や手首の動き、対象者の体(腰、ウエストなど)の回転、対象者の足にかかる体重配分の変化、またはゴルフスイング中の対象者の足の旋回を含む。場合によっては、ゴルフ関連の動作の最適でない実行は、対象者の実際の姿勢と、(i)最大の一貫性および/または(ii)最大のパフォーマンスを提供できる最適な姿勢との間の偏差を伴うことがある。実際の姿勢または最適な姿勢は、例えば、対象者の足のゴルフボールまたは地面に対する位置または向き、および/または対象者の第1の身体部分と第2の身体部分に対する位置または向きを含んで良い。いくつかの非限定的な実施例において、ゴルフ関連の動作の最適でない実行は、靴のミッドソールまたは靴の下の地面に対する最適でない荷重プロファイルと関連している可能性がある。場合によっては、最適でない荷重プロファイルは、ゴルフ関連の動作の前、最中、および/または後に、ミッドソールまたは地面に対する最適でない圧力の適用または発揮を伴う可能性がある。場合によっては、最適でない荷重プロファイルは、一定期間にわたって地面またはミッドソールの種々の部分への圧力の適用または発揮における最適でない変化を含んで良い。場合によっては、最適でない荷重プロファイルには、ゴルフ関連の動作の前、最中、および/または後に、ミッドソールの1つ以上の部分または領域への圧力の適用または発揮が最適でないことがある。圧力の最適でない適用または発揮には、(i)最大限の一貫性および/または(ii)最大限のパフォーマンスを伴うゴルフ関連の動作につながる、または促進できる最適な大きさまたは方向から外れた大きさまたは方向で、1つ以上の力を(ミッドソールの種々の領域で、または選択した期間内の種々の時点で)適用または発揮することが含まれる場合がある。
【0010】
いくつかの実施例において、ここに開示されるトラクション要素は、対象者の実際の動きや姿勢と、対象者のスイングタイプ、スイング速度、解剖学的構造、または生体力学的特性を考慮して対象者にとって最適であると考えられる動きや姿勢との間の偏差に関係なく、対象者のゴルフスイングを支援するために、荷重を最適に導き、地面に対する靴の動きを予測可能な方法で制御するように構成されて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、各対象者のスイングタイプ、スイング速度、解剖学的構造、生体力学的特性、またはゴルフ関連の動作や姿勢に関する個人の好みの違いや変動に関係なく、複数の対象者のゴルフスイングを支援するために、荷重を最適に誘導し、地面に対する靴の動きを制御するように構成されて良い。
【0011】
ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素の設計および構成は、アウトソールの異なるゾーンまたは領域内またはその領域に沿って異なるトラクション特性を提供して良い。トラクション特性は、例えば、種々のゾーンまたは領域のトラクション剛性、または1つ以上のトラクション要素またはトラクション要素のセットの方向バイアスと関連して良い。場合によっては、異なるゾーンまたは領域のトラクション特性は、対象者の身体的特徴(体重、身長、足の形またはプロファイル、重心または質量中心など)および/または対象者の快適性、フィット感、および/またはパフォーマンスの好みに基づいて最適化できる。場合によっては、異なるゾーンまたは領域のトラクション特性は、異なる身体的特徴または快適性、フィット感、および/またはパフォーマンスの好みが異なる多種多様な対象者または種々の範囲の対象者向けに最適化できる。
【0012】
ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素の設計および構成は、靴に所望の特性または特徴のセットを提供または付与して良い。所望の特性または特徴のセットは、例えば、特定のゾーンまたは領域のトラクション剛性、または1つ以上のトラクション要素の方向バイアスを含んで良い。いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、アウトソールの種々の領域で方向バイアスされて良い。いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、異なる方向にバイアスさて良い。いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、全方向性または方向的に中立であって良い(すなわち、特定の方向にバイアスされないか、または2つ以上の異なる方向に均等にバイアスされて良い)。
【0013】
ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素の設計および構成は、ゴルファーの特定のおよび/または独自のスイング特性を支援し、(1)ゴルファーのスイングを最適なスイング経路または軌道に再調整し、(2)ゴルファーの身体または動作を、3次元空間内の1つ以上の最適な軸または平面内またはそれらに沿った最適な姿勢および/または最適な動作セットに調整し、および/または(3)(a)ゴルファーの実際の姿勢または動作と(b)ゴルファーにとって最適な姿勢または最適な動作セットとの間の偏差または変動を補償することができる。ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素の設計および構成は、特定のゴルファーの実際の動きまたは姿勢(好ましいか意図的でないかにかかわらず)から生じる可能性のある望ましくないショット軌道(例えば、プル、プッシュ、フック、および/またはスライス)の発生または可能性を低減するように実装することができる。
【0014】
一側面において、本開示は、アッパーと、アッパーに取り付けられたアウトソールを含むソールアセンブリと、アウトソールの中央領域の周囲に配置された複数のトラクション要素とを含むゴルフ靴を提供する。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、(i)靴の周囲または縁に沿って、靴の周囲または縁の形状またはプロファイルに対応する第1の空間構成で配置された第1のトラクション要素セットと、(ii)第1のトラクション要素セットと第3のトラクション要素セットとの間に入れ子になった第2のトラクション要素セットとを含む。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、第1の空間構成の形状またはプロファイルに対応する第2の空間構成で配置される。
【0015】
いくつかの実施例において、第1の空間構成は、アウトソールの中央領域の周囲に第1の囲まれた形状を定義し、第2の空間構成は、アウトソールの中央領域の周囲に第2の囲まれた形状を定義する。いくつかの実施例において、第2の囲まれた形状は、第1の囲まれた形状内にネストされる。
【0016】
いくつかの実施例において、第1および第2のトラクション要素セットは、(i)1つ以上の方向性トラクション要素および(ii)1つ以上の全方向性トラクション要素を有する。いくつかの実施例において、1つ以上の方向性トラクション要素は、アウトソールの内側(medial)サイドまたは外側(lateral)サイドに配置される。いくつかの実施例において、1つ以上の全方向性トラクション要素は、アウトソールの前側サイドまたは後側サイドに配置される。いくつかの実施例において、1つ以上の全方向性トラクション要素は、靴に全方向性トラクション特性または応答を集合的に提供する方向性トラクション要素のセットを有する。
【0017】
いくつかの実施例において、第1および第2のトラクション要素セットは、(i)アウトソールの前側および後側に沿って配置された1つ以上のトラクション要素と、(ii)アウトソールの内側サイドおよび外側サイドに沿って配置された1つ以上のトラクション要素とを含む。いくつかの実施例において、アウトソールの前側サイドまたは後側サイドは、アウトソールの内側サイドまたは外側サイドよりもトラクション要素密度が高い。
【0018】
いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットおよび第2のトラクション要素セットは、第1または第2の空間構成で配置された、間隔を空けて配置された一連のトラクション要素をそれぞれ有する。いくつかの実施例において、第1および第2のトラクション要素セットは、チャネリングおよびトレンチングを行わない構成で互いに対してずらして配置される。
【0019】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、異なるサイズおよび/または異なる形状を具備する2つ以上のトラクション要素を有する。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、異なる方向に向けられた2つ以上のトラクション要素を有する。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素のサイズ、形状、向き、または方向の偏りは、靴の内側サイドまたは外側サイドに沿って変化するか、または変異する。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素のサイズ、形状、向き、または方向の偏りは、(i)靴の内側サイドまたは外側サイドと(ii)靴の前側サイドまたは後側サイドとの間で徐々に変化するか、または変異する。
【0020】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、アウトソールの中央領域の周囲に配置され、ソールアセンブリの内部領域またはコンポーネントを露出させる。いくつかの実施例において、ソールアセンブリの内部領域またはコンポーネントは、ゴルフ靴のミッドソールを有する。いくつかの実施例において、ソールアセンブリの内部領域またはコンポーネントは、(i)ミッドソール内、または(ii)ミッドソールとアウトソールの間に配置された機能インサートを有する。
【0021】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、アウトソール上に配置された1つ以上の適応性トラクション要素を有する。いくつかの実施例において、適応性トラクション要素は、(i)第1のタイプの地面を貫通してグリップまたはトラクションを提供し、(ii)第1のタイプの地面よりも硬い第2のタイプの地面と接触している間はアウトソールに向かって平らになるように構成された尖端を含む。いくつかの実施例において、第1のタイプの地面は、草、芝、土、または砂を有する。いくつかの実施例において、第2のタイプの地面は、セメント、コンクリート、アスファルト、タイル、または木材を有する。いくつかの実施例において、1つ以上の適応性トラクション要素は、半月形または牙付きプロファイルを具備する。
【0022】
いくつかの実施例において、アウトソールは1つ以上の開口部を有する。いくつかの実施例において、1つ以上の適応性トラクション要素は、ゴルフ靴のアウトソールに対して平らになるように、1つ以上の開口部を通って移動するように構成される。
【0023】
他の側面において、本開示は、オンコースおよび/またはオフコースの路面に最適化されたゴルフ靴を提供する。いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、アッパーと、アッパーに取り付けられたソールアセンブリ(アウトソールを含む)と、複数の異なる路面タイプでの靴のトラクション、グリップ、および安定性を高めるためにアウトソール上に配置された複数のトラクション要素とを有して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は5:3の深さ対高さの比を具備する。いくつかの実施例において、トラクション要素は、変形可能な地面と機械的に噛み合うための第1の特徴(フィーチャー、特徴要素ともいう)を有する。いくつかの実施例において、第1の特徴は、弾性率が約1メガパスカル(MPa)から少なくとも約1ギガパスカル(GPa)の範囲にある第1の材料を有する。いくつかの実施例において、トラクション要素は、変形可能な地面と摩擦係合するための第2の材料を有する第2の特徴を有して良い。
【0024】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、変形可能な地面の内側-外側方向で約60N/mmから少なくとも約80N/mmの範囲のトラクション剛性を提供する。いくつかの実施例において、トラクション要素は、変形可能な地面の前後方向で約80N/mmから少なくとも約120N/mmの範囲のトラクション剛性を提供するように構成される。いくつかの実施例において、変形可能な地面は、草、芝、土、土壌、または砂のうちの少なくとも1つを含むオンコースの地面を有して良い。
【0025】
いくつかの実施例において、トラクション要素とオフコース地面との間の摩擦係数は、少なくとも約0.4~約0.6である。いくつかの実施例において、オフコース地面は、セメント、コンクリート、アスファルト、タイル、または木材を有して良い。
【0026】
いくつかの実施例において、第1の特徴または第2の特徴は、テクスチャ表面、細長いリブ、溝、隆起、線、窪み、フィン、またはブレードを有する。いくつかの実施例において、第1の特徴および/または第2の特徴は、ゴルフ靴に及ぼされる1つ以上の地面反力の方向に沿って配置され、配向される。いくつかの実施例において、1つ以上の地面反力は、ゴルフ関連の動作または動きに関連付けられる。
【0027】
いくつかの実施例において、第1の特徴または第2の特徴は、トラクション要素のオフコース摩耗に対する耐摩耗性を高めるように構成された1つ以上の粒子を有する。いくつかの実施例において、1つ以上の粒子は、炭素、チタン、ダイヤモンド、シリコン、またはガラスを有して良い。いくつかの実施例において、第1の特徴または第2の特徴は、トラクション要素と変形可能な地面との間の摩擦係合を高めるように構成された1つ以上のナノ粒子を有する。いくつかの実施例において、1つ以上のナノ粒子の粒子サイズは最大で約100ナノメートル(nm)である。
【0028】
いくつかの実施例において、トラクション要素の第1のサブセットは第1の特徴を有し、トラクション要素の第2のサブセットは第2の特徴を有する。いくつかの実施例において、トラクション要素の第1のサブセットと第2のサブセットは、アウトソールに沿って散在している。いくつかの実施例において、トラクション要素の第1のサブセットは、トラクション要素の第2のサブセットよりも高い高さまたはアスペクト比を有する。いくつかの実施例において、トラクション要素の第2のサブセットは、アウトソールのベース面に対応する。いくつかの実施例において、トラクション要素の第2のサブセットは、アウトソールのベース面上に配置されるか、またはベース面に沿って提供される。
【0029】
いくつかの実施例において、第1の特徴はトラクション要素のコアを有し、第2の特徴はコア上またはその周囲の材料コーティングを有する。いくつかの実施例において、第1の特徴はトラクション要素の本体を有し、第2の特徴はトラクション要素の表面を有する。
【0030】
いくつかの実施例において、第1の材料は、第2の材料よりも高い硬度または弾性率を具備する。いくつかの実施例において、第2の材料と変形可能な地面との間の摩擦係数は、第1の材料と変形可能な地面との間の摩擦係数よりも大きい。
【0031】
いくつかの実施例において、第1の材料または第2の材料はゴム材料を有する。いくつかの実施例において、第1の材料または第2の材料は熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性ポリウレタン材料を有する。
【0032】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、ピラミッド形または四辺形の円錐台形であって良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、約1/6~約2/3の範囲のテーパを具備して良い。
【0033】
他の側面において、本開示は、オンコースおよび/またはオフコースの表面を保護するように最適化されたゴルフ靴を提供する。いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、アッパーと、アッパーに取り付けられたアウトソールを有するソールアセンブリと、複数の異なる表面タイプでの靴のトラクション、グリップ、および安定性を高めるためにアウトソール上に配置された複数のトラクション要素とを有して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、ゴルフ靴を履いた対象者が第1の表面でゴルフ関連の動作を実行したときに、第1の表面への損傷の量を減らすか最小限に抑えるように構成される。
【0034】
いくつかの実施例において、ゴルフ関連の動きには、ゴルフスイングが含まれる。いくつかの実施例において、ゴルフ関連の動きには、歩くこと、走ること、またはしゃがむことが含まれる。いくつかの実施例において、ゴルフ関連の動きには、第1の表面に対するトラクション要素の並進運動および/または回転運動が含まれる。いくつかの実施例において、ゴルフ関連の動きには、少なくとも約100ニュートン(N)から少なくとも約1000Nの範囲の1つ以上の地面反力が含まれる。
【0035】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、一定期間にわたって実行される複数のゴルフ関連の動作にわたって第1の表面の品質または特性を維持するように構成される。いくつかの実施例において、第1の表面の品質または特性には、第1の表面を横切るゴルフボールのボール転がり距離が含まれる。いくつかの実施例において、第1の表面の品質または特性には、第1の表面の滑らかさまたは粗さが含まれる。いくつかの実施例において、トラクション要素は、約0%から約100%の範囲の表面維持メトリックをゴルフ靴に提供する。
【0036】
本開示のさらなる側面および利点は、本開示の例示的な実施例のみが示され、以下の詳細な説明から、当業者には容易に明らかになるであろう。理解されるように、本開示は、他の異なる実施例が可能であり、そのいくつかの詳細は、本開示から逸脱することなく、種々の明らかな点で変更可能である。したがって、図面および説明は、本質的に例示的なものであり、制限的なものではないとみなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本開示の非限定的かつ非網羅的な例および実施例を、以下の図を参照して説明し、概略的に図示する。
図1図1は、いくつかの実施例に従う、例示的なゴルフ靴を概略的に示す。
図2図2は、いくつかの実施例に従う、前足部領域、中足部領域、および後足部領域を備える例示的なゴルフ靴を概略的に示す。
図3A図3Aは、いくつかの実施例に従って、ゴルフ靴を内部側(ミディアルサイド)と外部側(ラテラルサイド)とに分割するために、例示的なゴルフ靴の前足部、中足部、および/または後足部の領域を通って延びる中心軸を概略的に示す。
図3B図3Bは、いくつかの実施例に従って、ゴルフ靴を内部側(ミディアルサイド)と外部側(ラテラルサイド)とに分割するために、例示的なゴルフ靴の前足部、中足部、および/または後足部の領域を通って延びる中心軸を概略的に示す。
図4図4は、いくつかの実施例に従う、ゴルフ靴用に最適化されたトラクション要素の様々な例示的な構成を概略的に示す。
図5図5は、いくつかの実施例に従う、ゴルフ靴用に最適化されたトラクション要素の様々な例示的な構成を概略的に示す。
図6A図6Aは、いくつかの実施例に従う、アウトソールの中央領域の周りに連続的に延びる1つ以上のトラックまたは通路を備えたゴルフ靴のアウトソールの様々な例を概略的に示す。
図6B図6Bは、いくつかの実施例に従う、アウトソールの中央領域の周りに連続的に延びる1つ以上のトラックまたは通路を備えたゴルフ靴のアウトソールの様々な例を概略的に示す。
図6C図6Cは、いくつかの実施例に従う、アウトソールの中央領域の周りに連続的に延びる1つ以上のトラックまたは通路を備えたゴルフ靴のアウトソールの様々な例を概略的に示す。
図6D図6Dは、いくつかの実施例に従う、少なくとも1つの切れ目を具備する複数のトラックまたは経路を有するアウトソールの一例を概略的に示す。
図6E図6Eは、いくつかの実施例に従う、靴のアウトソールの様々な異なるトラック構成を概略的に示す。
図6F図6Fは、いくつかの実施例に従う、靴のアウトソールの様々な異なるトラック構成を概略的に示す。
図6G図6Gは、いくつかの実施例に従う、靴のアウトソールの様々な異なるトラック構成を概略的に示す。
図6H図6Hは、いくつかの実施例に従う、靴のアウトソールの様々な異なるトラック構成を概略的に示す。
図6I図6Iは、いくつかの実施例に従う、靴のアウトソールの様々な異なるトラック構成を概略的に示す。
図7A-B】図7Aは、いくつかの実施例に従う、複数のトラクション要素を配置するためのトラック構成を有するアウトソールの拡大図を概略的に示す。
図7C図7Cは、いくつかの実施例に従う、複数の方向性および全方向性のトラクション要素を有するゴルフ靴のアウトソールを概略的に示す図である。
図8A図8Aは、いくつかの実施例に従う、例示的なトラクション要素の垂直断面を概略的に示す。
図8B図8Bは、いくつかの実施例に従う、トラクション要素の様々な側面図を概略的に示す。
図8C図8Cは、いくつかの実施例に従う、トラクション要素の様々な側面図を概略的に示す。
図8D図8Dは、ここで説明される適応性トラクション要素の半月形状または牙状輪郭の幾何学形状を定義または近似するために使用できる三次元形状の様々な例を概略的に示す。
図9A図9Aは、本開示の適応性トラクション要素に使用できる別の例示的な断面プロファイルを概略的に示す。
図9B図9Bは、本開示の適応性トラクション要素に使用できる別の例示的な断面プロファイルを概略的に示す。
図10A図10Aは、いくつかの実施例に従う、ゴルフ靴用の例示的な一組の適応性トラクション要素の側面図を概略的に示す。
図10B図10Bは、オンコース表面とオフコース表面の両方に対する本開示のトラクション要素の適応性を概略的に示す。
図10C図10Cは、オンコース表面とオフコース表面の両方に対する本開示のトラクション要素の適応性を概略的に示す。
図10D図10Dは、いくつかの実施例に従う、オフコース表面上の適応性トラクション要素の変形を概略的に示す。
図11A図11Aは、オンコースおよびオフコースでの使用の双方のために構成されたトラクション要素の種々の適応可能なプロファイルを概略的に示す。
図11B図11Bは、オンコースおよびオフコースでの使用の双方のために構成されたトラクション要素の種々の適応可能なプロファイルを概略的に示す。
図12A図12Aは、いくつかの実施例に従う、1つまたは複数の適応性トラクション要素を備えたゴルフ靴のアウトソールを概略的に示す。
図12B図12Bは、ここに開示される適応性トラクション要素の変形可能性を概略的に示す。
図13A図13Aは、いくつかの実施例に従う、一組の適応性トラクション要素の上面図を概略的に示す。
図13B図13Bは、図13Aに示される適応性トラクション要素を有する例示的なゴルフ靴のアウトソールの側面図を概略的に示す。
図13C図13Cは、いくつかの実施例に従う、靴のアウトソールの一部を通して移動可能な1つまたは複数の適応性トラクション要素を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
つぎに、様々な非限定的な実施例が示されている添付の図面を参照して、本開示をより詳細に説明する。しかしながら、本開示は、ここに記載の実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。図面において、同様の番号は全体を通して同様の要素を指す。一部のコンポーネントの厚さと寸法は、明確にするために誇張されている場合がある。添付の図面に示される図は、右靴に対応することがあり、場合によっては、左靴の構成要素が右靴の鏡像であり得ることが理解される。また、靴は様々なサイズで作製することができ、したがって靴の構成要素または機構(例えば、トラクション要素)のサイズは靴のサイズに応じて調整できることも理解されたい。
【0039】
ここで使用される用語は、様々な実施例を説明することのみを目的としており、限定することを意図したものではない。ここで使用される場合、単数形(「a」、「an」、および「the」に対応する)は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数形も含むものとする。
【0040】
ある要素が別の要素に「取り付けられる」(attached)、「結合される」(coupled)または「接続される」(connected)と呼ばれる場合、その要素は(何らかの介在の有無にかかわらず)他の要素に直接取り付けられ、結合または接続され得ることが理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素に「直接取り付けられている」、「直接結合されている」、または「直接接続されている」と呼ばれる場合、介在要素は存在しなくてもよく、またその必要もない。
【0041】
一実施例に関して説明した任意の1つまたは複数の態様または特徴は、異なる実施例に組み込むことができることに留意されたい。すなわち、すべての実施例および/または任意の実施例の特徴は、任意の方法および/または任意の順序で組み合わせることができる。出願人は、最初に提出された請求項を修正する権利、またはそれに応じて新たな請求項を提出する権利を留保する。これには、当初そのように請求されていなかったとしても、他の請求項に依存するか、および/または他の請求項の特徴を組み込むように最初に提出された請求項を修正する権利が含まれる。本開示の様々な態様および特徴は、以下に記載される明細書においてさらに詳細に説明される。
【0042】
[概要]
性能の観点から、ゴルフ靴は、ゴルフ靴を履いている対象者が様々な異なるゴルフ特有の動作(例えば、ゴルフコースを歩く、ゴルフボールにアドレスする、ゴルフクラブを振る、ショットの位置を合わせるためにしゃがむこと)を種々のな異なる表面上および/または種々の異なる気候や環境条件で、行うことができるように十分なトラクション性を実現する必要がある。ゴルフに関連する多くの動きでは、複雑な一連の生体力学的事象を通じてソールアセンブリに大きな圧力やねじれが加えられる可能性があるため、トラクションはゴルフにおいて特に重要である。場合によっては、加えられた圧力とねじれにより、靴が地面に対して意図的または望ましくない動きを引き起こす可能性があり、これにより対象者のバランス、安定性、姿勢、または体重配分が損なわれ、パフォーマンスや一貫性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0043】
場合によっては、ここに記載されるトラクション要素は、ゴルフ関連動作(例えば、ゴルフスイング)中の靴または足の動きまたは変位の量を効果的に最小化するために、形状および機能の両方において最適化されて良い。オンコース地面表面に対する靴の動きを最小限に抑えることは、カジュアルゴルファーや熱心なゴルファーが、(i)例えば、ボールの分散をより厳密にすることによって、安定性を最大化する、および/または(ii)例えば、より長い飛距離を可能にすることによって、パフォーマンスを最大化するのに役立つ。
【0044】
場合によっては、ここに記載のトラクション要素は、ゴルフ靴のアウトソールの周囲または縁に沿ったゴルフ靴の局所的なトラクション特性を強化または微調整するように配置されて良い。方向性および全方向性の両方のトラクション要素を最適に配置することにより、トラクション要素の他の従来の構成または配置を使用して実際には実現できない局所的なトラクション性能を備えたカジュアルゴルフ靴およびパフォーマンスゴルフ靴を提供することができる。
【0045】
場合によっては、本開示のトラクション要素は、オンコースおよびオフコースの双方の用途向けに設計または構成することができる。トラクション要素の適応性により、対象者は、様々な異なる種類の地面上での快適さ、フィット感、またはパフォーマンスを犠牲にすることなく、ゴルフコース内外の双方で快適な一足のゴルフ靴を着用することが可能になる。
【0046】
場合によっては、ここで開示されるトラクション要素は、コース面上の損傷を保護または最小限に抑えるように設計および構成されて良い。場合によっては、個々のトラクション要素のサイズおよび/または形状を最適化して、伝統的な、または従来のゴルフ靴のトラクション要素と比較して、より多くのゴルフ関連の動きにわたって、より長期間にわたってコース表面の品質または特性を維持することができる。
【0047】
[ゴルフ靴]
一側面において、本開示はゴルフ靴を提供する。ゴルフ靴は、ゴルフなどの身体活動、またはゴルフのスポーツで使用できる1つまたは複数の動作または運動を含む他の任意の身体活動を補助するために対象者が着用できる履物製品(例えば、靴)を有して良い。ゴルフというスポーツ。ゴルフ靴は、以下により詳細に説明するように、複数の異なる表面タイプ上で靴のトラクション、グリップ、および安定性を強化するように構成された1つまたは複数のトラクション要素を有して良い。
【0048】
ゴルフ靴は対象者によって着用されて良い。対象者は、例えば、運動選手やゴルファーであって良い。ゴルフ靴は、対象者が着用すると、快適さとコントロールの最適なバランスを提供し、対象者が自分のゲームに集中してパフォーマンスを最大限に高めることができるようにする。ゴルフ靴は、(i)快適性、(ii)安定性、および/または(iii)対象者のスタンス、スイング、安定性、または全体的なパフォーマンス(正確性や精度など)を向上させるために、ゴルフ関連の動作中に対象者の足を支持し、かつ/または対象者の足の動きを制御するようなサイズ、形状、および構成とされて良い。
【0049】
図1は、例示的なゴルフ靴100を示しており、ここでは一般的に靴100とも呼ばれる。いくつかの実施例において、靴100は、靴アッパー110およびソールアセンブリ120有して良い。場合によっては、アッパー110は、インソールを含んで良い。インソールは、インソールフットベッドおよび/またはインソールボードなどのインソールコンポーネントを含んでも良い。場合によっては、ソールアセンブリ120は、ミッドソールおよび/またはアウトソールを含んで良い。いくつかの実施形例において、ソールアセンブリ120はアッパー110に接続されて良い。
【0050】
[足の部分領域]
ここに記載される実施例のいずれにおいても、アッパー110および/またはソールアセンブリ120および/またはその任意の構成要素(例えば、靴のインソールフットベッド、インソールボード、ミッドソール、および/またはアウトソール)は、前足部領域、中足部領域、および後足部領域を含んで良い。前足部領域、中足部領域、および後足部領域のそれぞれは、対象者の足の前足部、中足部、および後足部のそれぞれの解剖学的構造に対応て良い。一般的には、人間の足の解剖学的構造は3つの骨領域に分けることができる。足の後足領域には、足首(距骨)およびかかと(踵骨)の骨が含まれて良い。足の中足領域には、足の縦アーチを形成する立方骨、楔状骨、および舟状骨が含まれて良い。足の前足領域には、中足骨およびつま先が含まれて良い。靴、したがって、アッパーおよび/またはソールアセンブリの構成要素(例えば、インソールフットベッド、インソールボード、ミッドソール、および/またはアウトソール)は、後足部および/またはかかと領域に対応する後足部領域、中足部に対応する中足部領域、および前足部および/またはつま先領域に対応する前足部領域を有して良い。場合によっては、後足部領域(およびかかと領域)が靴の後端に相当して良い。場合によっては、つま先領域を含む前足部領域が靴の前端に相当して良い。
【0051】
後足領域、中足領域、および前足領域を具備することに加えて、靴、およびそれに応じてアッパーおよび/またはソールアセンブリの構成要素(例えば、インソールフットベッド、インソールボード、ミッドソール、および/またはアウトソール)は、また、互いに反対側の内側サイドおよび外側サイドを具備して良い。内側サイドは、一般に、着用者の足の内側領域および着用者のもう一方の足に面する表面に対応して良い。外側サイドは、一般に、着用者の足の外側領域、および着用者のもう一方の足とは反対側を向く表面に対応して良い。外側サイドおよび内側サイドは、後足部領域、中足部領域、および前足部領域のそれぞれを通って延びて良い。場合によっては、内側サイドおよび外側サイドが靴の周囲または外周に沿って延びて良い。
【0052】
図2は、例示的な左右のソールアセンブリ120の様々な領域を示す。ソールアセンブリ120は、前足領域、中足領域、および/または後足領域を有して良い。前足部、中足部、および後足部の領域は、ソールアセンブリ120の第1の寸法(例えば、幅)に沿って横方向に延びて良い。前足部、中足部、および後足部の領域は、上述したように、ソールアセンブリの内側サイドと外側サイドとの間で横方向に延びて良い。前足部、中足部、および後足部の領域は、ソールアセンブリ120の第2の寸法(例えば、長さ)の異なる部分またはセクションに沿って横方向に延在して良い。前足部、中足部、および後足部の領域は、ソールアセンブリ120の後端と前端との間に延在して良く、これは上述した。
【0053】
図2、3A、および3Bは、ソールアセンブリ120の中心軸200を概略的に示す。中心軸200は、ソールアセンブリ120の後足領域の最後部から中足領域および/または前足領域に向かって延びて良い。いくつかの実施例において、中心軸200は、ソールアセンブリ120の後足領域の最後部に接する軸に対して垂直または鉛直な方向に延在して良い。
【0054】
図3Aを参照すると、いくつかの実施例において、中心軸200の一部(例えば、ソールアセンブリ120の少なくとも後足領域および/または中足領域を通って延在する部分)は、ソールアセンブリ120を上述した内側サイドおよび外側サイドに分割または二等分して良い。場合によっては、中心軸200の一部(例えば、ソールアセンブリ120の中足部領域からソールアセンブリ120の前足部領域まで延びる部分)は、ソールアセンブリ120を内側サイドおよび外側サイドに正確に分割または二等分していないことがある。図3Bに示されるように、いくつかの実施例において、ソールアセンブリの前足領域の内側サイド(1)および外側サイド(2)は、中心軸200から逸脱する湾曲した軸201に沿って分割されて良い。ここにおけるインソール、ミッドソール、またはアウトソールの内側または外側への言及は、インソールフットベッド、インソールボード、ミッドソール、またはアウトソールの中心軸200および/または図3Aおよび3Bに示すような湾曲した軸201に沿った内側サイドおよび外側サイドの描写を意図して良い。
【0055】
[アッパー]
いくつかの実施例において、ゴルフ靴100はアッパー110を有して良い。場合によっては、アッパー110は、対象者の足の前足領域を少なくとも覆うためのバンプを有して良い。場合によっては、アッパー110は、対象者の足の1つ以上のサイドまたは後部(例えば、アキレス腱に隣接する、周囲の、および/または下方の領域、かかとの後方、および/または距骨および踵骨)を覆う、および/または、支持するためのクォーター(腰部)を有して良い。
【0056】
いくつかの実施例において、クォーターのかかと領域はヒールカップを有して良い。場合によっては、ヒールカップは、成形されたヒールカップを有して良い。いくつかの実施例において、クォーターの少なくとも一部が、成形されたヒールカップの一部を形成して良い。いくつかの実施例において、クォーターは、一緒に成形してヒールカップを形成することができる複数の層を有して良い。
【0057】
いくつかの実施例において、バンプおよびクォーターは、機械的、化学的、熱的または接着的に互いに接続または融着される別個の材料片を有して良い。場合によっては、アッパー素材は、縫い合わされたり接着されたりしてアッパー構造を形成する様々な素材を有して良い。
【0058】
いくつかの実施例において、アッパー110は、バンプおよびクォーター用の連続した材料片を有して良い。場合によっては、材料の連続片は、それぞれが異なる材料特性を有する複数の領域を含む単一の材料を有して良い。他の場合には、材料の連続片は、異なる材料特性を有する複数の材料を有して良い。複数の領域または複数の材料に関連する材料特性には、例えば、密度、多孔度、吸水性/撥水性、強度、柔軟性、弾性、柔らかさ、耐久性、耐薬品性、熱伝導率などが含まれて良い。
【0059】
場合によっては、アッパー110は、例えば、天然皮革、合成皮革、ニット、不織布材料、天然布地、および/または合成布地を有して良い。他の場合には、アッパー110は、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ゴム、発泡体、またはそれらの任意の組み合わせなどの材料から作られた通気性メッシュおよび/または合成織物生地を有して良い。アッパー110の材料は、通気性、耐久性、柔軟性、快適性、および/または耐水性などの所望の特性に基づいて選択および/または最適化して良い。
【0060】
いくつかの実施例において、靴100は防水性であって良い。場合によっては、アッパーの少なくとも前足部、中足部、および/または後足部領域は、耐水性を有する1つまたは複数の材料または層(例えば、膜)で構築されて良い。靴100を製造する際に、追加の特徴(例えば、湿気の選択的な移動または通過を可能にする非多孔質または半多孔質の膜)を適用して、追加の防水機能を提供することができる。
【0061】
いくつかの実施例において、アッパー110は、対象者の足を挿入するための開口部を備えた甲領域を有して良い。場合によっては、足の甲領域は、対象者の足の上部を覆うための舌部材(タン)を含んで良い。
【0062】
いくつかの実施例において、アッパー110は、開口部の少なくとも一部の周囲に延びるヒールカラーを有して良い。いくつかの実施例において、かかとカラーは、対象者の足または脚部(例えば、対象者の足または脚部の足首領域)の周りの快適性およびフィット感を向上させるように構成されて良い。
【0063】
いくつかの実施例において、アッパー110は、インソールコンポーネント(例えば、インソールフットベッドまたはインソールボード)を有して良い。場合によっては、インソールコンポーネントは、対象者の足をサポートするように設計されて良い(例えば、対象者が、歩き、走り、ひざまずき、しゃがみ、またはスイングをしている間にインソールに力を加えるとき)。インソール構成要素は、可撓性、半剛性、または剛性があって良い。場合によっては、インソールコンポーネントは、靴100内に配置できる取り外し可能なインサートであって良い。いくつかの例において、インソールコンポーネントは、靴100の内側に着用することができ、靴100を履いている対象の着用者にクッション性またはサポートを提供するように設計されて良い。
【0064】
いくつかの実施例において、アッパー110の前足領域は、バンプに取り付けられるアイステイを有して良いる。場合によっては、アイステイはタング部材の少なくとも一部を覆って良い。場合によっては、アイステイは、1つまたは複数の靴紐を通すことができる1つまたは複数のアイレットを有して良い。
【0065】
いくつかの実施例において、足の輪郭の周りで靴を締め付けるために締め付けシステムを使用することができる。例えば、様々なタイプの材料(例えば、天然繊維または合成繊維、金属ケーブル)の靴ひもが締め付けシステムに含まれていて良い。場合によっては、靴は、ダイヤル、スプール、ハウジング、およびケーブルを所定の位置にロックするためのロック機構を備えるケーブルベースの締め付けアセンブリを利用して良い。
【0066】
[ソールアセンブリ]
いくつかの実施例において、ゴルフ靴100は、ソールアセンブリ120を有して良い。ソールアセンブリ120は、ミッドソールおよび/またはアウトソールを有して良い。場合によっては、ソールアセンブリ120はアッパー110に接続されて良い。
【0067】
[ミッドソール]
いくつかの実施例において、ソールアセンブリ120はミッドソールを有して良い。ミッドソールは、靴100にクッション性および/またはサポートを提供するように構成された比較的軽量の材料を有して良い。いくつかの実施例において、ミッドソールは、例えば発泡材料などの1つまたは複数のミッドソール材料から作製されて良い。場合によっては、発泡材料は、発泡剤を使用して発泡させた材料(例えば、成形剤)を有して良い。場合によっては、発泡材料は、発泡体または発泡体様構造を含む材料を有して良い。場合によっては、発泡材料は、1つ以上の連続気泡または部分的に連続気泡を含む連続気泡発泡体を有して良い。他の場合には、発泡材料は、1つ以上の独立気泡または部分的に独立した気泡を含む独立気泡発泡体を有して良い。いくつかの非限定的な実施例において、発泡材料は弾性発泡体を有して良い。弾性発泡体としては、例えば、ゴムのような柔らかさと可撓性を有する弾性独立気泡発泡体であるエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)が挙げられる。他の非限定的な実施例において、発泡材料は粘性発泡体を有して良い。粘性発泡体としては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体などが挙げられる。いくつかの代替的実施例において、発泡材料は粘弾性発泡体を有して良い。粘弾性フォームは、弾性フォームの弾性特性と粘性フォームの粘性特性を具備して良い。場合によっては、粘弾性発泡体は、形状記憶フォームまたは形状記憶フォーム様材料を有して良い。いくつかの実施例において、ミッドソールは複数の異なる発泡材料を有して良い。複数の異なる発泡材料としては、例えば、発泡エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)および/または発泡ポリウレタン組成物が含まれて良い。
【0068】
[アウトソール]
いくつかの実施例において、ソールアセンブリ120はアウトソールを有して良い。アウトソールは、靴に支持力とトラクション力を与えるように設計されて良い。いくつかの実施例において、アウトソールはミッドソールと一体化されて良い。例えば、ミッドソールはアウトソールと融合されて良いし、あるいは、その他の方法でアウトソールに取り付けられて良い(例えば、接着剤を使用して、またはミッドソールおよび/またはアウトソールの製造プロセスの一部として)。場合によっては、ミッドソールは別個の部品として成形され、その後、ステッチ、接着剤、またはその他の適切な手段によってアウトソールの上面に接合されて良い。例えば、ミッドソールは熱プレスされ、アウトソールの上面に接着されて良い。いくつかの例では、ミッドソールとアウトソールは「ツーショット」成形法を使用して成形されて良い。ここに記載のいずれの実施例においても、ミッドソールは、少なくともミッドソールの一部が対象者の足とアウトソールの間にあるように、アウトソールの上に配置されて良い。
【0069】
いくつかの実施例において、アウトソールはアウトソール材料を有して良い。場合によっては、アウトソール材料の少なくとも一部は、靴の下の地面を掴むか、または他の方法で係合するように構成されて良い(例えば、ゴルフ関連の動作または動きの間)。いくつかの実施例において、アウトソール材料には、例えば、ナイロン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、および/またはポリウレタンなどの熱可塑性プラスチックが含まれて良い。いくつかの非限定的な実施例において、アウトソール材料には、例えば、Estane(商標) TRX熱可塑性ポリウレタンなどのポリウレタン組成物が含まれて良い。いくつかの実施例において、アウトソール材料には、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレンプロピレンジエン(「EPDM」)ゴム、および/またはスチレンブタジエンゴムなどのゴム材料または熱可塑性ゴム材料が含まれて良い。いくつかの実施例において、アウトソール材料には、プラスチック材料、熱可塑性材料、熱硬化性プラスチック材料、またはそれらの任意の組み合わせが含まれて良い。いくつかの非限定的な実施例において、アウトソール材料は、アクリル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、またはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)を有して良い。
【0070】
いくつかの実施例において、アウトソールは、1つ以上の選択された方向に沿って一方向に整列した複数のストランドまたは繊維材料を有して良い。いくつかの場合では、1つ以上の選択された方向は、ゴルフ関連の動作または動き中にアウトソールまたはアウトソールのトラクション要素に1つ以上の力が及ぼされる方向に対応して良い。いくつかの場合では、複数のストランドまたは繊維材料は方向性のあるグリップ力を有して良い。場合によっては、複数のストランドまたは繊維材料は、1つ以上の選択された方向またはあらかじめ定められた方向にトラクション力を提供するように配向されてっ良い。場合によっては、複数のストランドまたは繊維材料は、1つ以上の選択された方向または予め定められた方向に配向されないか、配向される必要がない。場合によっては、複数のストランドまたは繊維材料は、第1方向に沿ってトラクションまたはグリップを提供するが、第2方向に沿っては提供しないように配向されて良い。場合によっては、アウトソール材料は、生体(アンゴラ山羊など)から得られるケラチンベースの材料を含むモヘア織物または糸を有して良い。
【0071】
いくつかの実施例において、アウトソール材料は炭素系材料を有して良い。いくつかの場合では、炭素系材料は粒状の形で提供され、アウトソール材料の表面または体積に沿ってまたはその全体に分散されて良い。いくつかの場合では、炭素系材料は複合材料(例えば、炭素繊維複合材料)を有して良い。
【0072】
いくつかの実施例において、アウトソール材料は、ある深さを超えると地面とのインターロックを低減または最小限に抑えるように構成されて良い(例えば、オンコースおよび/またはオフコースの表面を保護するため)。場合によっては、アウトソール材料は、靴のトラクション要素と靴の下の地面との間の深い機械的インターロックを促進するように配置されないか、または配置される必要がない。
【0073】
[トラクション要素]
いくつかの実施例において、アウトソールの底面は複数のトラクション要素を含んで良い。複数のトラクション要素は、靴と種々の地面との間のトラクションを提供および強化するように構成されて良い。
【0074】
いくつかの非限定的な実施例において、複数のトラクション要素は、スパイク(例えば、ハードスパイクまたはソフトスパイク)を有して良い。スパイクは、少なくとも部分的に地面に貫通するか、または物理的に地面とインターフェースするか接触するように構成された突起を有して良い。
【0075】
他の非限定的な実施例において、複数のトラクション要素はスパイクを備えなくて良く、またはスパイクを備える必要がなくて良い。例えば、トラクション要素は、靴に力が加えられたときに地面に対する靴の横方向または並進方向の動きを低減するように構成された特徴を有して良い。特徴には、スパイクレス特徴が含まれて良い。実施例によっては、特徴は、アウトソールの他の部分よりも高い摩擦係数(静的および/または動的摩擦係数)を具備して良い。実施例によっては、特徴は、アウトソール上に設けられる、またはアウトソールと一体化される突起、くぼみ、または溝付きまたはテクスチャ付きの表面または材料を有して良い。
【0076】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素のうちの少なくとも1つは、アウトソールまたはソールアセンブリの別の部分に恒久的に統合、取り付けられ、または結合されて良い。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素のうちの少なくとも1つは、アウトソールから取り外し可能または着脱可能であって良い。
【0077】
[トラクションメカニクス]
いくつかの実施例において、ここに開示されるトラクション要素は、コース表面に特有の特定のトラクション機構を強化および/または促進するように構成されて良い。ゴルフ関連の動作または動きのトラクション機構には、複数の異なるトラクションモードが含まれ、それぞれがトラクションに影響を与える可能性のある種々の要因、または要因の組み合わせを含む。
【0078】
場合によっては、トラクション要素は、芝生のトラクション(すなわち、ゴルフコースまたはゴルフ練習場にある芝生表面または他の同等のオンコースの地面表面でのトラクション)を最大化するように最適化されて良い。芝生のトラクションは、芝生に適用される力(例えば、ゴルフ関連の動き中)による芝生に対するゴルフ靴の動きに抵抗する能力を表すことができる。
【0079】
いくつかの実施例において、ゴルフ靴またはゴルフ靴のトラクション要素の地面に対する相対的な動きは、ゴルフ関連の動きまたは動作中のトラクション要素と地面との間の複雑な物理的相互作用を総合的に特徴付けることができるいくつかの異なるトラクション/動きモードに左右されて良い。場合によっては、異なるトラクション/移動モードには、(i)トラクション要素と地面との間の機械的連結、および/または(ii)トラクション要素材料と地面との間の摩擦係合が含まれることがある。場合によっては、異なるトラクション/移動モードは、(i)トラクション要素と地面との間の機械的連結、および/または(ii)トラクション要素材料と地面との間の摩擦係合を含んで良い。
【0080】
様々な運動/トラクションモードに対応し、変形可能な芝表面でのトラクション剛性を最大化して、ゴルフ関連の動作中に靴の動きを制限または制限するために、現在開示されているトラクション要素は、以下でより詳細に説明するように、最適な寸法にすることができる。いくつかの実施例において、トラクション要素の形状および/または材料特性は、例えば摩擦係合および/または機械的インターロックを含む、トラクション要素と芝表面との間の異なるタイプの相互作用または異なる係合モードを考慮して最適化することができる。いくつかの実施例において、トラクション要素の形状には、トラクション要素の寸法(例えば、高さ、幅、深さ、テーパーなど)またはトラクション要素の寸法間の比率が含まれて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素の材料特性には、トラクション要素の材料組成または曲げ剛性が含まれて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素の材料特性は、トラクション要素とトラクション要素に接触する地面との間の摩擦係数に対応して良い。
【0081】
[トラクション剛性]
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、オンコースおよび/またはオフコースの地面表面に対する靴のトラクション剛性を最適化する1つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、ゴルフ関連の動作または動き中に地面表面に対するゴルフ靴の移動量を最小限に抑えるために、(1)最適なサイズおよび形状であり、(2)靴のアウトソール上で最適なレイアウトで集合的に配置されているトラクション要素を利用して良い。トラクション要素は、靴の種々の選択領域に対して最適なトラクション剛性を提供するように個別および集合的に構成して良く、これにより、ゴルフ関連の動作または動き中にオンコースの地面に対する靴の動きを最小限に抑え、最終的には、(i)一貫性(ボールの分散をより厳密にするなど)、および/または(ii)パフォーマンス(キャリー距離を長くするなど)を改善または最大化するのに役立つ。
【0082】
本開示のトラクション要素は、ゴルフ靴に最適なトラクション剛性を提供するように構成されて良い。ここで使用する用語「トラクション剛性」は、トラクション要素が地面(例えば、オンコースの表面)と係合している状況(例えば、摩擦係合によって、および/または地面を貫通して機械的連結を形成することによって)において、地面に対するトラクション要素の動きに抵抗する能力を意味して良い。機械的インターロックは、地面の一部(例えば、土または草の葉)とトラクション要素の1つ以上の側面部分との間の接触を伴う場合がある。場合によっては、トラクション要素の1つ以上の側面部分と機械的インターロック状態にある地面の一部は、ゴルフ関連の動作中に地面に対するトラクション要素の動きを少なくとも部分的に抑制または制限する場合がある。ここで言及されるトラクション剛性は、トラクション要素が摩擦係合および/または機械的インターロックのいずれかによってオンコース表面(例えば、芝生)をどれだけしっかりと掴んでいるかを測定することができる。より大きなトラクション剛性を生み出すトラクション要素は、生成された地面反力に対して地面を横切る動きが少なくなる。場合によっては、摩擦係合および/または機械的インターロックの量は、ゴルフ関連の動作または動きの間に動的に変化または変動することがある。
【0083】
ここに記載のトラクション要素は、多種多様な環境条件および/または芝生条件にわたって最適なトラクション剛性をゴルフ靴に提供するように構成されて良い。場合によっては、トラクション要素は、周囲の環境の温度が約0℃から約40℃以上の範囲にあるときに、オンコースの地面上で最適なトラクション剛性を提供して良い。場合によっては、トラクション要素は、周囲の環境の湿度が約0%から約100%の範囲にあるときに、オンコースの地面表面に最適なトラクション剛性を提供して良い。場合によっては、トラクション要素は、地面の表面の圧縮が約0.400から約0.800の範囲にあるときに、オンコースの地面表面に最適なトラクション剛性を提供して良い。場合によっては、トラクション要素は、地面の表面の水分が約10%から約30%の範囲にあるときに、オンコースの地面表面に最適なトラクション剛性を提供して良い。
【0084】
いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、約50ニュートン/ミリメートル(N/mm)から約150N/mm以上の範囲のトラクション剛性を具備して良い。いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、約150N/mmを超えるトラクション剛性を具備して良い。いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、少なくとも約150N/mm、160N/mm、170N/mm、180N/mm、190N/mm、200N/mm以上のトラクション剛性を具備して良い。
【0085】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、第1の表面で約50N/mmから約150N/mmの範囲の第1のトラクション剛性を提供するように構成されて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、第2の表面で約50N/mmから約150N/mmの範囲の第2のトラクション剛性を提供するように構成されて良い。場合によっては、第1の表面はオンコースの地面の表面を含んで良い。場合によっては、オンコースの地面の表面は、例えば、芝、芝、土、土壌、砂、またはゴルフコースで見られるその他のタイプの地面の表面を含んで良い。場合によっては、第2の表面は、オフコースの地面の表面を含んで良い。場合によっては、オフコースの地面の表面は、例えば、セメント、コンクリート、アスファルト、タイル、木材、または人間または機械によって地面の表面(またはその要素)に加工および形成できるその他の材料を含んで良い。
【0086】
いくつかの実施例において、コースで使用される場合、本開示のトラクション要素は、芝の種類および芝の状態に応じて、前後方向のトラクション剛性が約80N/mmから約120N/mmの範囲であって良い。いくつかの実施例において、コースで使用される場合、本開示のトラクション要素は、内外方向(メディアル・ラテラル方向)のトラクション剛性が約60N/mmから約80N/mmの範囲であって良い。
【0087】
いくつかの実施例において、トラクション要素の配置および/または構成は、異なる個々のゴルファーに最適なトラクション剛性を提供するために調整または変更されて良い。場合によっては、最適なトラクション剛性は、(i)対象者のゴルフスイングの生体力学的特性および/または(ii)対象者の身体の解剖学的または生理学的特性に基づいて選択または決定されて良い。場合によっては、最適なトラクション剛性は、種々の個々のゴルファーの好みまたはパフォーマンスニーズに基づいて良い。
【0088】
図4および図5は、ゴルフ靴に使用できる例示的なトラクション要素の種々の透視図を概略的に示す。いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、ピラミッド形の錐台または四辺形の錐台の形状を具備して良い。
【0089】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、靴のアウトソールに取り付けられるか固定されるベース面501を具備して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、ベース面501の反対側に配置された自由端502を具備して良い。場合によっては、自由端502は、地面に接触して相互作用するように構成されて良い。場合によっては、自由端502は、地面(例えば、芝生)に埋め込まれて良い。場合によっては、自由端502は、地面に突き刺さって地面の一部と機械的に連動するように構成されて良い。いくつかの実施例において、自由端502が地面と機械的に連動し、対象者がトラクション要素を移動方向503に動かすゴルフ関連の動作を実行すると、トラクション要素と地面との間の初期の機械的連動により、地面がトラクション要素を反対方向に押す可能性がある。場合によっては、トラクション要素の動きに対する地面の反作用により、トラクション要素の垂直投影面積(VPA)全体に分散荷重が生じることがある。場合によっては、地面によって及ぼされる分散荷重により、移動方向503に沿って及ぼされる1つ以上の力を含むゴルフ関連の動き中にトラクション要素が移動する量が減少または最小限に抑えられることがある。
【0090】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、トラクション要素がオンコースの地面(例えば、芝生)と係合したときに、最適なトラクション剛性を提供するようにサイズ設定されて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は高さを具備して良い。高さは、トラクション要素のベース面501からトラクション要素の自由端502までの範囲であって良い。場合によっては、高さは約3ミリメートル(mm)から約6mmの範囲であって良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は幅を具備して良い。幅は、トラクション要素の自由端502の幅に対応して良い。トラクション要素の自由端502の幅は、ゴルフ関連の動作中のトラクション要素の移動方向503に対してほぼ垂直または直交して良い。場合によっては、幅は約5mmから約10mmの範囲であって良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は深さを具備して良い。深さは、トラクション要素の自由端502の深さに対応して良い。トラクション要素の自由端502の深さは、ゴルフ関連の動作中のトラクション要素の移動方向503とほぼ平行であって良い。場合によっては、深さは約5mmから約10mmの範囲であって良い。いくつかの実施例において、トラクション要素はテーパーを具備して良い。テーパーは、トラクション要素のベース面501からトラクション要素の自由端502まで延び、(i)移動方向503におけるトラクション要素面の水平方向の走行と(ii)トラクション要素の高さに沿ったトラクション要素面の垂直方向の上昇との比率を表して良い。場合によっては、テーパーは約1/6から約2/3の範囲であって良い。
【0091】
いくつかの実施例において、トラクション要素のテーパーを大きくして、靴のトラクション剛性をさらに高めることができる。場合によっては、トラクション要素のテーパーは、トラクション要素の固定ベースの断面積をトラクション要素の自由端の断面積に対して増加させることによって、または自由端の断面積を固定ベースの断面積に対して減少させることによって最適化することができる。いずれにしても、せん断力が加えられたときにトラクション要素の曲げモーメントは固定ベース(つまり、トラクション要素が靴のアウトソールと接合する部分)で最大になるため、使用される材料の量に対して最大の曲げ剛性を実現するために、固定ベースの断面積は自由端の断面積よりも大きくなって良い。
【0092】
いくつかの実施例において、トラクション要素を、面積慣性モーメントを最大化し、トラクション要素が負荷を受けたときに受ける曲げ量を最小化するように配向することにより、靴のトラクション剛性をさらに高めることができ、これにより、トラクション要素は、より大きな程度まで曲げに抵抗し、芝生内のより大きな負荷垂直投影面積(VPA)を維持して、望ましくない滑り動作を最小限に抑えることができる。場合によっては、トラクション要素を負荷の方向と平行に配向することにより、面積慣性モーメントを最大化することができる。このように配向すると、トラクション要素の深さは、負荷の方向と平行になり、トラクション要素の幅は、トラクション要素の深さまたは負荷の方向と垂直になる。場合によっては、トラクション要素の幅に対するトラクション要素の深さを増やすか、トラクション要素の深さに対するトラクション要素の幅を減らすことによって、靴のトラクション剛性をさらに高めることができる。場合によっては、トラクション要素の深さがトラクション要素の幅よりも大きくて良い。他の場合には、トラクション要素の幅がトラクション要素の深さよりも大きくて良い。ここで説明したようにトラクション要素を方向付け、寸法を決めると、トラクション要素の面積慣性モーメントが大きくなり、負荷がかかった状態でトラクション要素が受ける曲げの量が最小限に抑えられ、最終的にトラクション剛性が高くなる。
【0093】
いくつかの実施例において、トラクション要素の寸法は、アウトソール全体にわたって空間的に変化することができ、これにより、種々のトラクションモードにおける機械的インターロックと摩擦の役割をさらに最適化することができる。場合によっては、トラクション要素の寸法には、例えば、トラクション要素の長さ、幅、高さ、深さ、またはテーパーが含まれる。場合によっては、トラクション要素の寸法には、トラクション要素の2つ以上の寸法間の比率が含まれる。
【0094】
いくつかの実施例において、高さと深さを比例して増加させることにより、トラクション剛性を高めることができる。他の実施例において、高さと深さを比例して減少させることにより、トラクション剛性を高めることができる。場合によっては(例えば、ピラミッド状の錐台形状またはプロファイルを有するトラクション要素の場合)、トラクション剛性を最大化するための深さと高さの最適な比率は約5:3であって良い。場合によっては、最適な5:3比率を下回る比率では、トラクション要素が細すぎて、面積慣性モーメント(I)が小さく、高さ(H)が大きいため、芝生内に侵入して芝生を引きずってトラクションを維持するのではなく、簡単に曲がったり、抜けたり、表面を拭いたりする可能性がある。場合によっては、最適な5:3比率を超える寸法比率のトラクション要素は、水平投影面積(HPA)が大きすぎるため、芝生に完全に侵入できず、表面を滑ってしまう可能性がある。
【0095】
いくつかの実施例において、トラクション要素のテーパーを大きくすることによってトラクション剛性を高めることができる。いくつかの実施例において、トラクション要素のテーパーは、(a)トラクション要素面の移動方向の水平方向の走行と(b)トラクション要素の高さに沿ったトラクション要素面の垂直方向の上昇との比に対応して良い。いくつかの実施例において、トラクション剛性は、トラクション要素のテーパを大きくし、また高さを低くすることによって高めることができる。トラクション要素の少なくとも一部にTPU材料が使用されている場合、トラクション剛性はトラクション要素のテーパを大きくすることによって高めることができる。トラクション要素の少なくとも一部にゴム材料が使用されている場合、トラクション剛性はトラクション要素のテーパと幅の両方を大きくすることによって高めることができる。
【0096】
いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、円錐台とは異なる形状またはプロファイルを具備して良い。これらの非限定的な実施例において、トラクション要素は、トラクション要素の長さに対応する第1の寸法(次元)、トラクション要素の幅に対応する第2の寸法、およびトラクション要素の高さに対応する第3の寸法を具備して良い。第1の寸法は、靴の外側サイドと内側サイドの間、または靴の前端と後端の間に延びていて良い。第2の寸法は、靴の前端と後端の間、または靴の外側サイドと内側サイドの間に延びて良い。第3の寸法は、トラクション要素の下端(たとえば、靴が履かれる地面に直接近接するトラクション要素の端)からトラクション要素の上端(たとえば、トラクション要素が取り付けられるか統合される靴底の一部に直接近接するトラクション要素の端)まで延びて良い。
【0097】
いくつかの非限定的な実施例において、第1の寸法と第2の寸法との比率は、約1:10から約10:1の範囲であって良い。いくつかの非限定的な実施例において、第1の寸法と第3の寸法との比率は、約1:10から約10:1の範囲であって良い。いくつかの非限定的な実施例において、第2の寸法と第3の寸法との比率は、約1:10から約10.1の範囲であって良い。
【0098】
いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、1つ以上の断面を具備して良い。いくつかの場合では、断面は、トラクション要素の一部を通って延びる平面に沿った横方向の断面を含ん良い。いくつかの場合では、断面は、トラクション要素を通って垂直または水平に延びる平面に沿った横方向の断面を含ん良い。ここに記載のいずれの実施例においても、平面は、トラクション要素の表面に対して角度をなして配向されて良い。いくつかの場合では、角度は約1度から約179度の範囲であって良い。いくつかの非限定的な実施例において、平面は、1つ以上のトラクション要素の表面に対して垂直、直交、または垂直であって良い。
【0099】
いくつかの実施例において、トラクション要素の1つ以上の断面は、断面形状を具備して良い。断面形状は、トラクション要素の横方向または垂直方向の断面に対応して良い。場合によっては、断面形状は、円形または多角形であって良い。場合によっては、断面形状は、例えば、円、楕円、三角形、正方形、長方形、平行四辺形、または3辺以上の任意の多角形であって良い。断面形状は、規則的な形状(例えば、同じ長さの2つ以上の辺を有する形状)または不規則な形状(例えば、異なる長さの2つ以上の辺を有する形状)を具備して良い。場合によっては、断面形状は、少なくとも1つの直線部分またはセクションを具備して良い。場合によっては、断面形状は、少なくとも1つの湾曲または非直線部分またはセクションを具備して良い。場合によっては、断面形状は、少なくとも1つの直線部分またはセクションと、少なくとも1つの湾曲または非直線部分またはセクションとを具備して良い。
【0100】
いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、トラクション要素の寸法に沿って変化する断面形状を具備して良い。場合によっては、断面形状の寸法は、トラクション要素の一部に沿って変化して良い。寸法は、例えば、断面形状の長さ、幅、および/または高さを含んで良い。
【0101】
[摩擦ベースのトラクション]
1つの側面において、本開示は、滑り動作を悪化させる可能性のある変形可能な表面で使用するための高性能摩擦ベースのトラクションアウトソールを提供する。ここに記載のゴルフ靴は、例えば、あらゆる種類の天然芝および/または濡れた人工芝表面など、ゴルフ関連の動作中に滑りを誘発する可能性のある変形可能な表面に対する摩擦ベースのトラクション性能を高める材料を利用することができる。場合によっては、トラクションアウトソールは、ゴルフ靴のオンコースでのトラクションを強化しながら、最小限の数のトラクション要素を利用するだけで良い。
【0102】
本発明で開示されたトラクションアウトソールは、従来のトラクションアウトソールと比較して、芝生などの変形可能なオンコース表面で強化されたトラクションを提供するように構成することができる。ここで説明するトラクションアウトソールは、従来のアウトソールがコース表面に沿ってまたはコース表面を横切って滑ったりスライドしたりする状況やシナリオであっても、オンコース表面と係合したときに十分なトラクションを提供するように構成することができる。
【0103】
ゴルフ靴がゴルフ関連の動作中に芝生の表面で滑ったり、スライドしたりする可能性があるにもかかわらず、多くの従来のトラクションソリューションでは、オンコースのトラクションに、摩擦係数が低く、特に濡れた状態では芝生のプレー面上で滑りやすい傾向があるTPUやポリアミドなどの高弾性材料が依然として使用されている。柔らかい地面や濡れた状態での滑りやスライドの可能性を減らすために、従来のトラクションソリューションでは、通常、高アスペクト比の幾何学的構成(長いまたは高いスパイクやクリートなど)が使用されている。しかし、地面が乾燥して固くなると、高アスペクト比のトラクション要素の効果が低下し、靴の履き心地が悪くなる可能性がある。表面保護の観点から見ると、高アスペクト比のトラクション要素はグリーンを損傷する可能性があり(例:草や土を拾い上げて保持する)、コース表面の摩耗を加速し、コース全体の品質に悪影響を及ぼす。
【0104】
ここに記載のトラクションアウトソールは、特に機械的インターロックが低減されるか存在しないシナリオにおいて、地面に接触してトラクションを高めることができる高摩擦材料を使用することにより、芝生表面での滑りや滑りを最小限に抑えるように構成することができる。いくつかの実施例において、トラクションアウトソールは、オンコースおよび/またはオフコースでの使用に快適な比較的柔らかいアウトソール材料を使用することができる。比較的柔らかいアウトソール材料は、特にゴルフ関連の動作中に靴が表面上で横方向に移動する可能性があるトラクションモードで、アウトソールとオンコースまたはオフコースの表面との間のグリップを向上させることができる。いくつかの実施例において、トラクションアウトソールは、トラクションアウトソールの足底表面全体に適用される比較的柔らかく粘着性のあるアウトソール材料を有して良い。いくつかの実施例において、アウトソール材料は、柔らかく、しなやかで、地面に順応することができる。いくつかの実施例において、比較的柔らかく粘着性のあるアウトソール材料は、1つ以上の熱可塑性エラストマー(TPE)を含んで良い。いくつかの実施例において、比較的柔らかく粘着性のあるアウトソール材料は、オンコースおよび/またはオフコースの表面のトラクションに最適化されて良い。
【0105】
いくつかの実施例において、アウトソールに高摩擦材料および/または比較的柔らかく粘着性のある材料を使用することで、アウトソールの形状を簡素化することができる。いくつかの実施例において、トラクション要素の形状は、芝生に接触するトラクションアウトソールの表面積を増やすために、複雑さおよび/またはサイズの点で縮小することができる。芝生に接触するトラクションアウトソールの表面積を増やすと、靴が変形可能な地面に沿って滑ったりスライドしたりするときに、表面摩擦がトラクションを提供する役割を促進するのに役立つ可能性がある。場合によっては、簡素化されたトラクションアウトソール形状と、摩擦特性の高い比較的柔らかいアウトソール素材を組み合わせることで、オンコースおよびオフコースでのトラクション性能と快適性を総合的に向上させることができる。簡素化されたトラクションアウトソール形状では、地面を傷つける可能性のある高アスペクト比構造の使用を必要としない、または要求しない可能性があるため、簡素化されたトラクションアウトソール形状によって、トラクションアウトソールのグリーン親和性も向上させることができる。
【0106】
いくつかの実施例において、現在開示されているトラクションアウトソールは、靴の快適性を損なうことなく、またはグリーンを過度に傷つけることなく、オンコースのトラクション性能および滑り抵抗を維持または強化する、簡素化されたアウトソール形状を具備して良い。いくつかの実施例において、アウトソールは、オンコースの表面の芝の葉に接触するアウトソール材料の表面積の量を増やす、最小限または簡素化された形状を有して良い。場合によっては、この形状は、アウトソール表面の柔らかいまたは微妙なテクスチャリングを含んで良い。場合によっては、形状には、(i)靴のアウトソールの輪郭および/または(ii)ゴルフ関連の動作または動き中に靴にかかる地面反力に対して適切に配置および/または方向付けられた特徴(例えば、細長いリブ、溝、くぼみ、突起、隆起、尾根、線など)を備えたアウトソール材料の非常に細かいテクスチャリングが含まれて良い。場合によっては、アウトソールの形状には、ヤモリのつま先パッドのように、芝生または芝に隙間なく機能する短くて狭いフィンまたはブレードが含まれて良い。
【0107】
いくつかの実施例において、トラクションアウトソールは、耐摩耗性をさらに高め、オフコースでのトラクションを向上させるために、種々の他の材料または幾何学的特徴を具備して良い。例えば、いくつかの実施例において、トラクションアウトソールのベースポリマーに1つ以上の粒子を追加することができる。1つ以上の粒子は、例えば、炭素、チタン、ダイヤモンド、シリコン、またはガラス粒子を有して良い。いくつかの実施例において、1つ以上の粒子は、芝生表面とのグリップを向上させ、オフコースでの使用におけるトラクションアウトソールの耐摩耗性を大幅に向上させるように構成されて良い。
【0108】
いくつかの実施例において、トラクションアウトソールは、当該トラクションアウトソールの摩擦特性および耐久性を高めるために、充填剤が添加または分散されたポリマー材料を有して良い。場合によっては、充填剤は、粒径が約100ナノメートル(nm)以下のナノ充填剤を有して良い。場合によっては、充填剤は、ナノ粒子、ナノファイバー、またはナノプレートを有して良い。場合によっては、充填剤は、グラフェンナノ充填剤を有して良い。
【0109】
いくつかの実施例において、トラクションアウトソール材料に添加されるフィラーの量は、ポリマーベース材料と滑らかな表面との間の摩擦係数に依存して良い。いくつかの場合では、質量または体積ベースの添加フィラーの量は、ポリマーベース材料の摩擦特性に基づいて調整されて良い。いくつかの場合では、ポリマーベース材料内、上、または内部のフィラー材料のテクスチャ、配置、および/または空間配置は、ベース材料によって提供される摩擦グリップをさらに増強するために変更されて良い。
【0110】
いくつかの実施例において、トラクションアウトソールは、オフコースで使用された場合、約0.4~約0.6以上の摩擦係数を具備して良い。他の実施例において、トラクションアウトソールは、オフコースで使用された場合、約0.4~約0.7以上の摩擦係数を具備して良い。いくつかの代替的な実施例において、トラクションアウトソールは、オフコースで使用された場合、約0.4~約0.8以上の摩擦係数を具備して良い。
【0111】
[マルチモーダルトラクション]
他の側面では、本開示は、あらゆる種類の天然芝および/または湿った人工芝表面などの滑りを誘発する柔らかい変形可能な表面上での機械的インターロックおよび摩擦ベースのトラクション性能の両方に最適化されたトラクション要素の様々な例および実施例を提供する。いくつかの実施例において、トラクション要素は、ゴルフ関連の動作中に負荷がかかったアウトソールの変形を最小限に抑えるために、比較的高い弾性係数を有する材料を有して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、芝生などの変形可能な表面に沿った滑りを最小限に抑えるために、比較的高い摩擦係数を有する材料を有して良い。トラクション要素材料の弾性係数および摩擦係数は、芝生などの変形可能な表面上で発生する可能性のある種々のトラクションモード中にグリップを総合的に強化することができる。
【0112】
従来の靴の多くは、TPUやポリアミドなどの高弾性率材料を使用しており、これらの材料は摩擦係数が低く、特に濡れた状態ではほとんどの芝生の競技面に対して滑りやすい傾向がある。これらの従来の靴は、通常、柔らかい地面や濡れた状態での使用のために、アスペクト比の高いクリートまたはスパイクを具備しており、高弾性率材料の摩擦特性とトラクション性能をさらに補完し、強化している。
【0113】
他の従来の靴とは異なり、本発明は、曲げ抵抗のための少なくとも1つの高弾性率材料と滑り抵抗のための少なくとも1つの高摩擦材料とを含むトラクション要素の様々な例および実施例を提供する。これらのタイプの材料を組み合わせて使用することで、アウトソールと様々なプレー表面との間のグリップを強化するためのマルチマテリアルソリューションを提供することができ、これは、アウトソールとプレー面との間の視覚的に気付かない小さな相対的な動きでさえもゴルフボールの飛行に大きな影響を与える可能性があるゴルフのゲームでは非常に有益である。
【0114】
[例]
いくつかの実施例において、トラクション要素は、トラクション要素の曲げを低減するために使用できる少なくとも1つの高弾性率材料と、アウトソール材料と芝表面との間の摩擦を増大させることができる少なくとも1つの低弾性率材料とを有して良い。機械的なインターロックおよび摩擦によってトラクション性能を高めるためにマルチマテリアル設計を利用する高性能トラクションソリューションの種々の例を以下で説明する。これらの実施例は、特定のゴルファーおよび/または多種多様なゴルファーのトラクションニーズに最も適するように、個別におよび/または互いに組み合わせて実装できることに留意されたい。
【0115】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、高弾性率材料または低弾性率材料のいずれかを個別に有して良い。例えば、トラクション要素の第1セットは、トラクション要素の曲げを低減する高弾性率材料を含み、トラクション要素の第2セットは、アウトソール材料と芝表面との間の摩擦を増加させる低弾性率材料を有して良い。第1および第2のトラクション要素のセットは、対象者がゴルフ関連の動作(例えば、ゴルフクラブを振る)を行うとき、または対象者がオンコースまたはオフコースを歩くときに、トラクション剛性を高めるために、アウトソール上に戦略的に配置されて良い。
【0116】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、曲げに抵抗し、機械的な連結を提供する第1のトラクション要素セットと、摩擦を高める第2のトラクション要素セットとを含むことができる。場合によっては、第1のトラクション要素セットは、第2のトラクション要素セットよりも高い高さおよび/またはアスペクト比を具備して良い。場合によっては、第2のトラクション要素セットは、第1のトラクション要素セットよりも幅が広く、長く、および/または平らであって良い。場合によっては、第1および第2のトラクション要素セットは、靴のアウトソールに沿って散在されて良い。
【0117】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、異なる材料特性を具備する複数の層を有して良い。いくつかの場合では、トラクション要素は、曲げに抵抗し、地面と機械的に連動することができる高弾性率コアを有して良い。いくつかの場合では、高弾性率コアは、トラクション要素のコアよりも低い弾性率を有する高摩擦材料でコーティングされて良い。
【0118】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、曲げに抵抗し、トラクション要素が地面と機械的に連動できるようにする高弾性率材料を有して良い。いくつかの場合では、アウトソールのベース面は、トラクション要素の高弾性率材料よりも弾性率が低い、より柔らかい材料を有して良い。いくつかの場合では、より柔らかい材料は、芝生などの変形可能な地面を滑るときのグリップを強化するために、高い摩擦係数を具備して良い。場合によっては、アウトソールのベース面には、靴と地面の間の摩擦グリップをさらに強化するための追加の形状または特徴が設けられて良い。形状または特徴は、たとえば、アウトソールに伸びる、またはアウトソールから伸びる1つ以上の突起、隆起、隆起部、リブ、線、くぼみ、窪み、チャネル、溝、またはその他の2次元または3次元の特徴を含んで良い。
【0119】
いくつかの実施例において、トラクション要素に塗布されるコーティングは、靴とオンコースの表面との間の摩擦トラクションをさらに最適化するために、アウトソール上の位置に応じて(物理的構成および/または材料組成に関して)変化させて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素および/またはアウトソールのベース表面のサイズ、形状および/または寸法は、アウトソール上の位置に基づいて変化することができ、機械的インターロックに基づくトラクションと摩擦力に基づくトラクションの両方をさらに最適化することができる。
【0120】
[トラクション要素の配置]
ここに記載のトラクション要素は、トラクションを高めるために、アウトソールの1つ以上の選択領域に配置されて良い。場合によっては、1つ以上の選択領域は、アウトソールの周囲または縁部を含んで良い。場合によっては、1つ以上の選択領域は、アウトソールの中央部分(例えば、アウトソールの周囲または縁部内にあるアウトソールの一部)を含んで良い。
【0121】
いくつかの実施例において、1つ以上の選択領域は、アウトソールの中央領域の周囲に延びる1つ以上のトラックを含んで良い。場合によっては、1つ以上のトラックは、アウトソール上に形成された物理的なトラックを有して良い。他の場合には、1つ以上のトラックは、アウトソール上に物理的に形成されたトラック、またはアウトソール上で見えるトラックを含まないか、または含む必要がない。例えば、1つ以上のトラックは、(i)アウトソールの周囲または縁をトレースし、および/または(ii)アウトソールの中央領域を囲む抽象的なトラックまたは経路を含んで良い。
【0122】
いくつかの非限定的な実施例において、1つ以上のトラックまたは経路は、1つ以上の破断部を有して良い(すなわち、トラックまたは経路の1つ以上のセクションまたはセグメントが破断または不連続であって良い)。場合によっては、1つ以上の破断部は、1つ以上の破断部に沿って局所的または特定の屈曲プロファイルを提供するように構成されて良い。他の場合には、1つ以上の破断部は、その下のミッドソールまたはアウトソール材料を露出させ、1つ以上の破断部に対応する種々の選択された位置で靴の重量を軽減するように実装されて良い。場合によっては、複数の破断部を使用して、互いに独立して移動または屈曲できる複数の個別のゾーンを備えた靴底アセンブリを製造することができる。ここで説明するいずれの実施例においても、トラックまたは経路を破断すると、靴全体の剛性のバランスをとるのに役立つ可能性がある。
【0123】
場合によっては、1つ以上のトラクション要素は、アウトソールの周囲または縁の形状をトレースする空間構成で、1つ以上のトラックに沿って配置されて良い。場合によっては、1つ以上のトラクション要素は、互いに対して入れ子構成になっている1つ以上のトラックに沿って配置されて良い。場合によっては、入れ子になったトラックは、アウトソールの周囲または縁の形状に類似した形状をトレースするか、または近似して良い。
【0124】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、アウトソールの1つ以上の中央領域の周囲に配置されて良い。アウトソールの1つ以上の中央領域には、アウトソールの周囲または縁部内にあるアウトソールの任意の領域が含まれて良い。いくつかの実施例において、1つ以上の中央領域には、アウトソールの周囲に延びる1つ以上のトラックによって囲まれたアウトソールの任意の領域が含まれて良い。いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、アウトソールの1つ以上の中央領域内に配置されて良い。
【0125】
ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素は、アウトソールの前足部、中足部、および/または後足部領域に配置されて良い。ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素は、アウトソールの内側サイドおよび/または外側サイドに配置されて良い。いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、アウトソールの中心軸に沿って配置されて良い。
【0126】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、靴の幅にわたって延びる横軸に沿ったトラクション力を高めるために、アウトソールの内側サイドと外側サイドとの間に延びるて良い。他の実施例において、トラクション要素は、靴の長さにわたって延びる横軸に沿ったトラクション力を高めるために、アウトソールの前足部領域と後足部領域との間に延びて良い。
【0127】
いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、アウトソールの外側サイドおよび/または内側サイドに沿って配置されて良い。アウトソールの外側サイドおよび/または内側サイドに沿って1つ以上のトラクション要素を配置することにより、靴の内側サイドおよび/または外側サイドまたはその付近での靴の局所的なトラクション性能が向上する可能性がある。
【0128】
いくつかの実施例において、アウトソールの外側および/または内側に沿って配置されたトラクション要素は、アウトソールの長さに渡って良い。アウトソールの長さは、アウトソールの前側と後側との間の距離に対応して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、アウトソールの内側サイドおよび/または外側サイドの前足部領域と後足部領域との間に延びて、靴の内側サイドおよび/または外側サイドの縁でのトラクションを強化して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、アウトソールの内側サイドおよび/または外側サイドの前足部領域と中足部領域との間に延在し、靴の内側サイドおよび/または外側サイドの縁部におけるトラクション力を高めることができる。いくつかの実施例において、トラクション要素は、アウトソールの内側サイドおよび/または外側サイドの中足部領域と後足部領域との間に延在し、靴の内側サイドおよび/または外側サイドの縁部におけるトラクション力を高めることができる。
【0129】
いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、アウトソールの前端および/または後端に沿って配置されて良い。アウトソールの前端および/または後端に沿って1つ以上のトラクション要素を配置することにより、靴の前部および/または後部領域またはその付近における靴の局所的なトラクション性能が向上する可能性がある。
【0130】
いくつかの実施例において、アウトソールの前端および/または後端に沿って配置されたトラクション要素は、アウトソールの幅に渡って良い。アウトソールの幅は、アウトソールの内側サイドと外側サイドとの間の距離に対応してもよい。いくつかの実施例において、トラクション要素は、アウトソールの前端および/または後端の内側サイドと外側サイドとの間に延びて、靴の前部および/または後部領域でのトラクションを強化して良い。
【0131】
[トラクション要素密度]
いくつかの実施例において、アウトソールは、1平方インチあたり少なくとも1つのトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、アウトソールは、1平方インチあたり少なくとも2つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、アウトソールは、1平方インチあたり少なくとも3つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、アウトソールは、1平方インチあたり少なくとも4つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、アウトソールは、1平方インチあたり少なくとも5つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、アウトソールは、1平方インチあたり少なくとも10つ以上のトラクション要素を有して良い。
【0132】
いくつかの実施例において、アウトソールは、複数の領域を有して良く、各領域には、前記複数の領域内に配置された1つ以上のトラクション要素が設けられる。いくつかの場合では、複数の領域は、第1のトラクション要素密度を具備する第1の領域と、第2のトラクション要素密度を具備する第2の領域とを有して良い。トラクション要素密度は、単位面積あたりのトラクション要素の数に対応する。いくつかの場合では、第1のトラクション要素密度は、第2のトラクション要素密度以上であって良い。いくつかの場合では、第2のトラクション要素密度は、第1のトラクション要素密度以上であって良い。
【0133】
いくつかの非限定的な実施例において、アウトソールの前側または後側は、アウトソールの内側サイドまたは外側サイドよりも高いトラクション要素密度を有して良い。他の実施例において、アウトソールの内側サイドまたは外側サイドは、アウトソールの前側または後側よりも高いトラクション要素密度を有して良い。
【0134】
[トラック]
一側面において、本開示は、靴のアウトソールの中央領域の周りにトラック構成で配置された複数のトラクション要素を有するゴルフ靴を提供する。トラック構成は、靴のアウトソールの中央領域の周りに延びる1つ以上のトラックを有して良い。トラック構成は、靴のアウトソールの周囲または縁部に沿って延びる1つ以上のトラックを有して良い。場合によっては、1つ以上のトラックは、アウトソールの中央領域の周りに連続的に延びて良い場合によっては、1つ以上のトラックは、アウトソールの周囲または縁に沿って延びる経路または領域に沿って連続的に延びて良い。アウトソールの周囲または縁に沿って延びる経路または領域は、靴の周囲または縁に直接隣接していて良く、または、靴の周囲または縁から予め定められた距離だけオフセットされていて良い。一部の非限定的な実施例において、予め定められた距離は約0.1ミリメートル(mm)から約25ミリメートル(mm)以上の範囲であって良い。。
【0135】
いくつかの実施例において、1つ以上のトラックまたは経路は、様々な性能向上を提供するために、分割またはセグメント化されて良い。例えば、場合によっては、トラックまたは経路は、選択された様々な場所またはゾーンにおけるソールアセンブリの柔軟性を高めるために、分割またはセグメント化されて良い。
【0136】
いくつかの実施例において、靴の性能面を強化するために、トラクション要素の様々なグループまたはサブセットを1つ以上のトラックまたは経路に沿ってずらして配置して良い。例えば、場合によっては、トラクション要素をずらして配置して、(i)トラックまたは経路の形状を崩さず、(ii)トラックまたは経路の全体的な流れ、または、曲率を乱さず、または(iii)トラックまたは経路の形状または構成によって提供される性能上の利点を損なうことなく、ソールアセンブリの柔軟性を高めることができる。
【0137】
図6Aは、靴のアウトソールの周囲に延びる複数のトラックまたは経路601を有するゴルフ靴600を模式的に示している。複数のトラックまたは経路601は、アウトソールの1つ以上の中央領域602の周囲に延びて良い。1つ以上の中央領域602には、オンコースおよび/またはオフコースでの靴のトラクションをさらに強化するための追加のトラクション要素が含まれていても含まれていなくても良い。
【0138】
図6Bは、アウトソールのトラックまたは経路に沿って配置できる複数のトラクション要素603を概略的に示している。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素603は、異なるトラックまたは経路に沿って配置された複数のトラクション要素セットを含んで良い。場合によっては、複数のトラクション要素セットは、それぞれ第1または第2の空間構成で配置された一連の離間したトラクション要素を含む第1のトラクション要素セットと第2のトラクション要素セットとを含んで良い。
【0139】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、靴の周囲または縁部の形状またはプロファイルに対応する第1の空間構成で靴の周囲または縁部に沿って配置された第1のトラクション要素セットを有して良い。いくつかの実施例において、第1の空間構成は、アウトソールの中央領域の周囲に第1の囲まれた形状を定義できる。いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットは、アウトソールの中央領域の周囲に第1の囲まれた形状またはプロファイルを定義できる。
【0140】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、第2のトラクション要素セットを有して良い。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、第1のトラクション要素セットの第1の空間構成の形状またはプロファイルに対応する第2の空間構成で配置されて良い。いくつかの実施例において、第2の空間構成は、アウトソールの中央領域の周囲に第2の囲まれた形状を定義できる。いくつかの実施例において、第2の囲まれた形状は、上述の第1の空間構成に配置された第1のトラクション要素セットによって定義される第1の囲まれた形状に類似して良い。いくつかの実施例において、第2の囲まれた形状は、第1の囲まれた形状内にネストされて良い。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、第1のトラクション要素セット内にネストされて良い。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、第1のトラクション要素セットとアウトソールの中央領域との間にネストされて良い。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、第1のトラクション要素セットと第3のトラクション要素セットとの間にネストされて良い。
【0141】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、第3のトラクション要素セットを有して良い。いくつか例では、第3のトラクション要素セットは、第2のトラクション要素セットとアウトソールの中央部分または領域との間に入れ子にされて良い。いくつかの例では、第3のトラクション要素セットは、第2のトラクション要素セットと1つ以上の追加のトラクション要素セット(例えば、第4のトラクション要素セット)との間に入れ子にされて良い。
【0142】
ここで使用される用語「ネストされた」は、要素またはトラックのセットが連続的に互いにオフセットされ、隣接する要素のセットまたは隣接するトラックによって設定または定義される境界または周囲内に配置される空間構成を指して良い。ネストされた要素またはトラックは、互いの内側または周囲に位置する一連の類似の形状を形成するように空間的に配置されて良い。類似の形状は、ほぼ類似していて良い(つまり、正確な形状には多少のばらつきや中程度のばらつきがある可能性があるけれども、そのようなばらつきは許容範囲内である)。場合によっては、類似の形状は幾何学的に類似していて良い(つまり、形状は類似しているけれども、ネストされた構成を実現するためにサイズが異なる)。
【0143】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、アウトソールの中央領域の周りにトラック構成で配置され、ソールアセンブリの内部領域またはコンポーネントを露出させて良い。場合によっては、ソールアセンブリの内部領域またはコンポーネントは、ゴルフ靴のミッドソールを有し、または、それに対応して良い。場合によっては、靴底アセンブリの内部領域またはコンポーネントは、靴の(i)ミッドソール内、または(ii)ミッドソールとアウトソールの間に配置された機能インサートを有し、または機能インサートに対応して良い。一部の非限定的な実施例において、機能インサートは、例えば、プレート、トーションバー、エンドスケルトン、または靴のサスペンションまたは剛性特性を強化するように構成された任意の内部構造を含んで良い。場合によっては、機能インサートは、靴底の一部にわたってまたはその一部を貫通して延びるアームまたは部材を備えたサポートを含んで良い。
【0144】
[方向性]
いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットおよび/または第2のトラクション要素セットは、(i)1つ以上の方向性トラクション要素および(ii)1つ以上の全方向性トラクション要素を有して良い。ここで使用される「方向性トラクション要素」という用語は、1つ以上の力が1つ以上の選択された方向でトラクション要素に及ぼされたときに、トラクションを提供し、地面に対するゴルフ靴の動きを低減または最小限に抑えるように構成されたトラクション要素を指して良い。場合によっては、方向性トラクション要素は、他の非選択方向でトラクション要素に作用する力に対して、同じレベルのトラクション性能を提供できない、または、提供する必要がない。ここで使用される「全方向性トラクション要素」という用語は、作用する力の方向性に関係なく、トラクション要素に1つ以上の力が作用したときに、同じまたは同様の量のトラクションを提供し、地面に対するゴルフ靴の動きを低減または最小限に抑えるように構成されたトラクション要素またはトラクション要素のセットを指して良い。場合によっては、全方向性トラクション要素は、複数の異なる方向からトラクション要素に作用する力に応じて、同じまたは同様のレベルのトラクション性能を提供して良い。一部の非限定的な実施例において、1つまたは複数の全方向性トラクション要素は、靴に全方向トラクション特性または応答を総合的に提供する方向性トラクション要素のセットを有して良い。
【0145】
いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットは、1つ以上の方向性トラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットは、1つ以上の全方向性トラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットは、方向性トラクション要素と全方向性トラクション要素の組み合わせを有して良い。
【0146】
いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、1つ以上の方向性トラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、1つ以上の全方向性トラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、第2のトラクション要素セットは、方向性トラクション要素と全方向性トラクション要素の組み合わせを有して良い。
【0147】
いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットは、全方向性トラクション要素セットを有して良く、第2のトラクション要素セットは、方向性トラクション要素セットを有して良い。代替的には、いくつかの実施例において、第1のトラクション要素セットは、方向性トラクション要素セットを有して良く、第2のトラクション要素セットは、全方向性トラクション要素セットを有して良い。
【0148】
[トラクション要素の配置]
場合によっては、第1および第2のトラクション要素セットは、(i)アウトソールの前側および後側に沿って配置された1つ以上のトラクション要素、および(ii)アウトソールの内側サイドおよび外側サイドに沿って配置された1つ以上のトラクション要素を含んで良い。場合によっては、1つ以上の方向性トラクション要素は、アウトソールの内側サイドまたは外側サイドに配置されて良い。場合によっては、1つ以上の全方向性トラクション要素は、アウトソールの前側または後側に配置されて良い。
【0149】
いくつかの実施例において、アウトソールの前側または後側は、アウトソールの内側サイドまたは外側サイドよりも高いトラクション要素密度を具備して良い。他の実施例において、アウトソールの内側サイドまたは外側サイドは、アウトソールの前側または後側よりも高いトラクション要素密度を具備して良い。
【0150】
[スタッガード構成]
いくつかの実施例において、第1および第2のトラクション要素セットは、アウトソールの中央領域の周囲に延びる隣接するトラックまたは経路に沿って配列されて良い。いくつかの実施例において、隣接するトラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素は、互いに対してずらすことができる。
【0151】
いくつかの実施例において、第1および第2のトラクション要素セットは、千鳥配置で配置することができる。千鳥配置は、隣接するトラックまたは経路内のトラクション要素が、隣接するトラックまたは経路を横切って延びる基準軸からオフセットされているトラクション要素の空間配置を有して良い。基準軸は、隣接するトラックまたは経路を横切って横方向に延びて良い。場合によっては、基準軸は、隣接するトラックまたは経路を横切って水平方向に延びて良い。場合によっては、基準軸は、トラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素の表面に対して垂直または直交であって良い。場合によっては、基準軸は、トラクション要素が配置されているトラックまたは経路の一部に対して垂直または直交であって良い。場合によっては、基準軸は、隣接するトラックまたは経路にわたって延びる水平軸に対して角度をつけて配置されて良い。場合によっては、角度は約1度から約179度の範囲であって良い。
【0152】
図6Bおよび6Cは、トラクション要素603が千鳥構成(スタガード構成)で配置された様々な例を示している。いくつかの実施例において、千鳥配置は、直接隣接するトラックまたは経路内のトラクション要素が、隣接するトラックまたは経路を横切って延びる基準軸からオフセットされている空間配置を有して良い。さらに、または代替的には、千鳥配置は、2つ以上の直接隣接するトラックまたは経路内で互いに最も近いトラクション要素が、トラックまたは経路の底部604から異なる距離に配置されているトラクション要素603の空間配置を有して良い。
【0153】
トラクション要素のずらした配置は、ゴルフ関連の動き中に隣接するトラクション要素が地面を移動する経路に対して種々のトラクション要素をオフセットすることにより、チャネリングや溝掘りのないトラクション設計を促進することができる。場合によっては、ゴルフ関連の動きは、地面を通り抜けたり横切ったりするトラクション要素の動きを伴うことがある(たとえば、靴に作用する圧縮力または回転力により)。当該トラクション要素により、地面に1つ以上の溝が作成されるけれども、この溝にはトラクション要素と効果的に連動するのに十分ではない。トラクション要素を、他の隣接するトラクション要素によって作成された溝に対してオフセットすると、トラクション要素と連動できる地面の表面積が増大し、それによって、種々のゴルフ関連の動きの際のトラクションが強化される。
【0154】
いくつかの実施例において、トラクション要素のずらした配置は、アウトソールの周囲に延びる第1のトラックまたは経路に沿って間隔をあけて配置された第1のトラクション要素セットを有して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素のずらした配置は、アウトソールの周囲に延びる第2のトラックまたは経路に沿って間隔をあけて配置された第2のトラクション要素セットを有して良い。第1のトラクション要素セットと第2のトラクション要素セットとの間の分離距離は同じであって良い。代替的には、第1のトラクション要素セットと第2のトラクション要素セットとの間の分離距離は異なっていて良い。
【0155】
いくつかの実施例において、第1および第2のトラクション要素は第1のトラックまたは経路に沿って配置され、第3および第4のトラクション要素は第2のトラックまたは経路に沿って配置されて良い。第1のトラクション要素は、第1のトラックまたは経路の底部から第1の距離に配置されて良く、第2のトラクション要素は、第1のトラックまたは経路の底部から第2の距離に配置されて良い。第2の距離は、第1の距離よりも大きくて良い。第3のトラクション要素は、第1のトラックまたは経路の底部から第3の距離に配置され、第4のトラクション要素は、第1のトラックまたは経路の底部から第4の距離に配置されて良い。第3の距離は、第1の距離よりも大きく、第2の距離よりも小さくて良い。第4の距離は、第1の距離、第2の距離、および第3の距離よりも大きくて良い。
【0156】
いくつかの実施例において、トラクション要素の第1セットと第2セットは、トラクション性能を向上させるために、溝およびトレンチの生成を行わない構成で交互に配置されて良い。いくつかの実施例において、溝およびトレンチ生成を行わない設計により、トラクション要素のコース表面への親和性を高めることができる(すなわち、トラクション要素は、トラクション性能を犠牲にすることなく、オンコース表面の状態または品質を維持するために最適な方法で間隔をあけることができる)。
【0157】
図6Cに戻ると、場合によっては、アウトソールの一部、またはアウトソールの周囲に延びるトラックまたは経路の一部が、1つ以上の凹部領域605を有して良い。場合によっては、凹部領域605は、アウトソール材料内に延びる溝を有して良い。凹部領域605は、トラクション要素に力が加えられたとき(例えば、ゴルフ関連の動きまたは動作中)にトラクション要素の屈曲または曲がりを促進するように構成されて良い。場合によっては、凹部領域605は、トラックまたは経路の外側エッジまたは内側エッジに沿って配置されて良い。場合によっては、凹部領域605は、1つ以上のトラクション要素603の外側サイドまたは内側サイドに沿って配置されて良い。
【0158】
いくつかの実施例において、凹状領域605は、開いた窓開口部を有して良い。開いた窓開口部の形状は、靴を履いている対象者の負荷の下でトラクション要素が平らになるように変形することをさらに促進するように構成されて良い。オフコースで履くと、トラクション要素は平らになり、オフコースの表面でより優れたグリップを提供することができる。オンコースで履くと、トラクション要素は、オンコースの表面に突き刺さってトラクションの剛性を高めるために、尖った形状またはプロファイルを保持して良い。
【0159】
図6Dは、1つ以上のトラック610を有する靴のアウトソールの例を示す。1つ以上のトラック610は、ここで他の箇所で説明されているように、アウトソールの周囲に延在して良い。いくつかの実施例において、1つ以上のトラック610は、選択された様々な場所またはゾーンにおけるソールアセンブリの柔軟性を高めるために、分割またはセグメント化されて良い。いくつかの実施例において、靴のアウトソールは、1つ以上のトラック610を分割またはセグメント化するように構成された1つ以上のブレーク領域620を有して良い。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、下にあるミッドソールまたはアウトソール材料を露出または露出するように構成されて良い。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、いかなるトラクション要素も含まないか、または含む必要がない。
【0160】
図6E~6Iは、靴のアウトソールの様々な異なるトラック構成を模式的に示している。以下でより詳しく説明するように、異なるトラック構成は、異なる個人または異なる使用例や用途に適した異なる性能特性または屈曲プロファイルを提供することができる。
【0161】
図6Eは、アウトソールの中央部分の周囲に連続的に延びる複数のトラック610を有するアウトソールの一例を示している。いくつかの実施例において、トラック610は、漸進的な前足部の屈曲プロファイルを提供するために、いかなる切れ目も含まないか、または含む必要がない。いくつかの実施例において、トラック610は、360度の前足部の屈曲感覚(すなわち、単一の屈曲点または単一の屈曲線に沿って局在化されない屈曲応答)を提供するように構成されて良い。
【0162】
図6Fは、複数のトラック610と単一のブレーク領域620とを有するアウトソールの例を示す。いくつかの実施例において、単一のブレーク領域620は、アウトソールを横切って横方向に延び、複数のトラック610を分割またはセグメント化するように構成されて良い。いくつかの非限定的な実施例において、単一のブレーク領域620は、靴の前足領域に配置されて良い。単一のブレーク領域620は、図6Eに示すアウトソールトラック構成と比較して、より局所的で特定の屈曲プロファイルを提供するように構成されて良い。
【0163】
図6Gは、複数のトラック610と少なくとも1つのブレーク領域620を有するアウトソールの別の例を示している。ブレーク領域620は、1つ以上の選択された領域またはゾーンで靴の重量を軽減するように戦略的に配置され、方向付けられて良い。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、アウトソールの中足領域またはその近くに配置されて良い。いくつかの実施例において、少なくとも1つのブレーク領域620は、アウトソールの内側縁または外側縁またはその付近に配置されて良い。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、当該ブレーク領域620に隣接するトラックセクションの形状またはプロファイルを補完する形状またはプロファイルを具備して良い。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、当該ブレーク領域620に隣接するトラックセクションの曲率と同様の曲率を具備して良い。
【0164】
図6Hは、複数のトラック610と、複数のトラック610を分割またはセグメント化して、互いに対して移動または屈曲するように構成された複数の独立したアウトソールゾーンを作成する複数のブレーク領域620とを含む例示的なアウトソールを示す。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、アウトソールの長さまたは幅にわたって(例えば、アウトソールの内側エッジから外側エッジまで、またはその逆)延びて良い。いくつかの実施例において、ブレーク領域620は、アウトソールの中央領域を横切ることなく、トラック610を含むアウトソールの選択された部分にわたって延びて良い。いくつかの非限定的な実施例において、複数のブレーク領域620は、アウトソール上のブレーク領域620の位置に応じて異なる寸法を具備して良い。異なる寸法には、たとえば、異なる長さ、幅、および/または深さが含まれる。
【0165】
図6Iは、複数のトラック610と複数のブレーク領域620とを有する他の例示的なアウトソールを示す。いくつかの非限定的な実施例において、複数のブレーク領域620は、1つ以上の切り込みを有して良い。いくつかの実施例において、1つ以上の切り込みは、アウトソールの周囲または縁部またはその近くに位置する1つ以上のV字型切り込みを含んで良い。いくつかの実施例において、1つ以上のノッチは、アウトソールの周囲または縁からアウトソールの中央領域に向かって延びて良い。いくつかの実施例において、1つ以上のノッチは、トラック610の少なくとも一部にわたって延び、1つ以上の選択された領域(例えば、靴の前足領域)でより柔らかい屈曲応答を提供し得る。
【0166】
いくつかの実施例において、アウトソールは、トラック610に沿って配置された1つ以上のトラクション要素の前方および/または隣接して配置された1つ以上の開口部またはウィンドウ630をさらに有して良い。いくつかの実施例において、1つ以上の開口部またはウィンドウ630は、トラック610の全長または経路に沿って360度の屈曲応答を提供するように構成されていて良い。いくつかの実施例において、1つ以上の開口部または窓630は、複数のトラック610に沿って(例えば、間隔をあけて配置および/またはずらして配置して)配置されて良い。ここで記載のいずれの実施例においても、1つ以上の開口部または窓630は、トラック610の曲率に合わせて湾曲または非直線であって良い。いくつかの実施例において、1つ以上の開口部または窓630は、1つ以上の選択された場所またはゾーンで靴の重量を軽減するように実装されて良い。
【0167】
図7Aは、トラック構成を有する例示的なアウトソールの拡大図を示す。トラック構成は、ここで他の箇所で説明されているように、アウトソールの周囲に様々なトラクション要素701をずらして配置することを可能にする。図7Bは、ゴルフ靴のアウトソールに設けることができるトラクション要素701の拡大図を示す。トラクション要素701の形状またはプロファイルは、図8A~8Dに示す例示的な形状およびプロファイルに基づいて設計または作成されて良く、これらについては以下で詳しく説明する。場合によっては、図7Aおよび7Bに示すトラクション要素701は、オンコースおよびオフコースの両方の使用ケース向けに構成された適応性トラクション要素を含んで良い。また、図7Aおよび7Bに示すトラクション要素701には、オンコースおよびオフコースの両方の使用ケース向けに構成された適応性トラクション要素が含まれなくてよく、または含まれる必要もないこともある。
【0168】
[変形例]
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、異なるサイズおよび/または異なる形状を有する2つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、第1のトラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素のサイズおよび/または形状は、第1のトラックまたは経路の一部に沿って変化または変動して良い。いくつかの実施例において、第2のトラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素のサイズおよび/または形状は、第2のトラックまたは経路の一部に沿って変化または変動して良い。いくつかの実施例において、第1のトラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素は、第2のトラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素とは異なるサイズおよび/または形状を具備して良い。
【0169】
いくつかの実施例において、複数のトラクション要素は、異なる方向に方向付けられた2つ以上のトラクション要素を有して良い。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素の向きまたは方向の偏りは、靴の内側サイドまたは外側サイドに沿って変化または変動して良い。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素の配向または方向バイアスは、靴の前端または後端に沿って変化または変動して良い。いくつかの実施例において、複数のトラクション要素の配向または方向バイアスは、(i)靴の内側サイドまたは外側サイドと、(ii)靴の前側または後側との間で徐々に変化または変動して良い。
【0170】
図7Cを参照すると、いくつかの実施例において、ゴルフ靴は、方向性トラクション要素702と全方向性トラクション要素703の双方を利用するハイブリッドトラクション構成を有して良い。場合によっては、方向性トラクション要素702は、ゴルフ関連の動作(例えば、ゴルフスイング)中に靴の横方向の変位を管理するように構成されて良い。場合によっては、全方向性トラクション要素703は、多方向グリップを提供するように構成されて良い。ハイブリッドトラクション構成は、地面に対して複数の異なる方向に向いた複数の力ベクトルを管理するように実装されて良い。複数の力ベクトルは、ハイブリッドトラクション構成内のトラクション要素の異なるセットまたはサブセットによって管理されて良い。
【0171】
いくつかの非限定的な実施例において、ハイブリッドトラクション構成は、オフコースでの快適性とトラクション性能をさらに向上させるために、1つ以上のゴム製インサートを利用して良い。場合によっては、1つ以上のゴム製インサートは、靴のアウトソールの前端または後端に沿って配置して良い。場合によっては、ゴム製インサートは、方向性トラクション要素702および/または全方向性トラクション要素703とは異なるサイズ、形状、または材料を具備して良い。いくつかの実施例において、ゴムインサートは、地面との接触面積比を大きくするために、平坦または実質的に平坦な構成のままであり、それによって、滑らかな表面および/または硬いセメント表面などの特定の表面でのオフコースのグリップが向上する。
【0172】
[材料]
いくつかの実施例において、トラクション要素は、ゴムやプラスチック、および/またはそれらの任意の組み合わせなどの任意の適切な材料で製造されて良い。場合によっては、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの熱可塑性プラスチックを使用して良い。場合によっては、ポリマーベースの材料(たとえば、種々の分子単位またはモノマーを結合して得られる任意の材料)を使用して良い。代替的に、または、追加的に、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレンプロピレンジエン(「EPDM」)ゴム、スチレンブタジエンゴム、スチレンブロック共重合体ゴム(「SI」、「SIS」、「SB」、「SBS」、「SIBS」、「SEBS」、「SEPS」など、ここで「S」はスチレン、「I」はイソブチレン、「E」はエチレン、「P」はプロピレン、「B」はブタジエン)、ポリアルケナマー、ブチルゴム、および/またはニトリルゴムを含む、種々のゴム材料を使用することができる。
【0173】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、剛性または準剛性の材料から構成されて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、変形可能または弾性の材料から構成されて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、ゴルフ関連の動きまたは動作中に対象者(例えば、ゴルファー)によって靴に加えられる力に応じて曲がったり曲がったりするように構成されて良い。
【0174】
いくつかの実施例において、トラクション要素はゴム材料から構成されて良い。ゴム材料は、約1メガパスカル(MPa)から約10MPaの範囲の弾性率を具備して良い。いくつかの例では、ゴム材料は、ゴム材料よりも弾性率が高い熱可塑性ポリウレタン(TPU)材料よりも高いトラクション剛性を提供し得る。例えば、摩擦係数(COF)がトラクション剛性に大きな影響を与える場合、ゴムは、TPUよりも弾性率が低いにもかかわらず、他のTPU材料と比較して優れたトラクション剛性を提供することができる。
【0175】
いくつかの実施例において、トラクション要素の材料は、材料の弾性率および/または地面に対する材料の摩擦係数に基づいて選択することができる。オンコースでのパフォーマンスのために、トラクション要素の材料は、大きな摩擦係数(COF)によって滑りに対する抵抗を提供しながら、大きな弾性率(E)によってトラクション要素の曲がりを最小限に抑えるように選択することができる。いくつかの実施例において、トラクション要素は、約1メガパスカル(MPa)から少なくとも約1ギガパスカル(GPa)以上の範囲の弾性率を具備して良い。場合によっては、トラクション要素は、弾性率が約2MPaの天然ゴムなどの軟質材料を有して良い。場合によっては、トラクション要素は、弾性率が少なくとも約2GPaのTPU材料を有して良い。場合によっては、トラクション要素は、弾性率が最大約3GPaのナイロン6などの硬質プラスチック材料を有して良い。いつくかの実施例において、トラクション要素とオフコースの地面との間の摩擦係数は、約0.4から約0.6の範囲であって良い。他の実施例において、トラクション要素とオフコース地面との間の摩擦係数は、約0.4から約0.7の範囲であって良い。いくつかの代替的な実施例において、トラクション要素とオフコース地面との間の摩擦係数は、約0.4から約0.8の範囲であって良い。オンコースで使用する場合、本開示のトラクション要素は、芝の種類および芝の状態に応じて、前後方向のトラクション剛性が約80N/mmから約120N/mmの範囲になって良い。オンコースで使用する場合、本開示のトラクション要素は、芝の種類および芝の状態に応じて、内外方向のトラクション剛性が約60N/mmから約80N/mmの範囲になって良い。
【0176】
場合によっては、高弾性率材料は、特に濡れた表面上で、より低い摩擦係数を提供することができる。場合によっては、ここに開示されるトラクション要素は、複数の材料のアプローチを利用することによって最適化することができる。例えば、少なくとも1つの高弾性率材料を使用してトラクション要素の曲がりを低減することができ、少なくとも1つの低弾性率材料を使用してアウトソール材料と芝生表面との間の摩擦を高めることができる。
【0177】
一側面において、本開示は、機械的インターロックおよび摩擦の双方を利用した種々の高性能トラクションソリューションを提供する。いくつかの実施例において、トラクションソリューションは、高弾性率材料または低弾性率材料のいずれかから個別に構成され、アウトソール上に戦略的に配置されたトラクション要素を利用して、ゴルフクラブをスイングしたり、オンコースを歩いたり、オフコースを歩いたりする機能を獲得することができる。他の実施例において、トラクションソリューションは、(i)曲げに抵抗し、機械的な連結を提供する、より高く、より弾性率の高いトラクション要素と、(ii)摩擦を高める、より低く、より平坦で、より幅広の、より弾性率の高いトラクション要素とを分散させて利用することができる。いくつかの代替的な実施例において、トラクションソリューションは、高摩擦材料でコーティングされた高弾性コアを備えたトラクション要素を利用することができる。いくつかのオプションの実施例において、トラクション要素は高弾性であり、アウトソールのベース表面は高摩擦のより柔らかい材料である。場合によっては、ベース表面にはグリップをさらに強化するための形状が追加されて良い。他のオプションの実施例において、トラクション要素に適用されるコーティングは、アウトソール全体にわたって空間的に変化し、機械的インターロックと摩擦の役割をさらに最適化することができる。ここに記載のいずれの実施例においても、本開示のトラクション要素によって提供されるトラクション剛性は、ここに記載の1つ以上のトラクションモード中にトラクション要素とトラクション要素が係合する地面との間の摩擦係数を最適化する材料またはトラクション要素構成を利用することによって強化され得る。
【0178】
[材料特性]
ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素の材料特性は、地面に接触したときのトラクション応答を最適化するように調整することができる。材料特性は、例えば、トラクション要素の硬度、柔らかさ、剛性、剛性、および/または引張強度を含む。ここに記載のいずれの実施例でも、ここに記載の靴の全体的なトラクション性能を高めるために、種々のトラクション要素は、異なる硬度、柔らかさ、剛性(stiffness)、堅固性(rigidity)、および/または引張強度を具備して良い。
【0179】
いくつかの実施例において、トラクション要素の硬度は、地面に接触したときのトラクション応答を最適化するように調整されて良い。場合によっては、個々のトラクション要素は、地面に押し付けられたときに異なる変形を伴って良い。たとえば、第1のトラクション要素は、硬くて濡れた表面でのトラクションを最大化するのに最適な比較的低い硬度を有し、第2のトラクション要素は、柔らかい天然芝でのトラクションを最大化するのに最適な比較的高い硬度を具備して良い。
【0180】
いくつかの実施例において、トラクション要素の1つ以上は、閾値硬度よりも高い硬度を有する比較的硬い熱可塑性ポリウレタン組成物を有して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素の1つ以上は、閾値硬度以下の硬度を有する比較的柔らかい熱可塑性ポリウレタン組成物を有して良い。場合によっては、閾値硬度は、最大で約50ショアA、約60ショアA、約70ショアA、または約80ショアAであって良い。
【0181】
ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素の材料特性は、インソール、ミッドソール、および/またはアウトソールの様々な領域の材料特性を補完または強化するように最適化または調整することができ、それによってここに記載の靴の全体的な性能を向上させることができる。材料特性には、例えば、インソール、ミッドソール、および/またはアウトソールの硬度、剛性、堅固性、および/または引張強度が含まれる。
【0182】
いくつかの実施例において、トラクション要素の材料特性は、靴のアウトソール上のトラクション要素の位置に応じて変化または変動して良い。いくつかの実施例において、トラクション要素の材料特性は、トラクション要素に隣接または近接するインソール、ミッドソール、および/またはアウトソールの種々のセクションの材料特性に応じて変化または変動して良い。材料特性には、例えば、インソール、ミッドソール、および/またはアウトソールの硬度、剛性、堅固性、および/または引張強度が含まれて良い。
【0183】
いくつかの非限定的な実施例において、トラクション要素は、マルチ・マテリアl構成を有して良い。マルチ・マテリアl構成は、それぞれ異なる密度を有する複数の材料を有して良い。いくつかの実施例において、マルチ・マテリアl構成は、構造コアと、構造コアの周囲の1つ以上の層とを有して良い。いくつかの実施例において、構造コアの材料は、1つ以上の層よりも高い密度を具備して良い。いくつかの実施例において、1つ以上の層の材料は、構造コアの材料よりも低い密度を具備して良い。いくつかの実施例において、構造コアの周囲の1つ以上の層の材料は、地面と係合したときに、構造コアの材料よりも大きな摩擦係数を具備して良い。
【0184】
[アダプティブ・トラクション]
他の側面において、本開示は、快適性、フィット感、または性能を犠牲にすることなく、オンコースおよびオフコースの双方で快適なゴルフ靴を一足着用することを可能にする適応性トラクション要素の様々な例および実施例を提供する。従来のゴルフ靴のトラクション要素は、一般的にオフコースでの使用には不快であったり実用的ではないけれども、ここに記載の適応性トラクション要素の設計および構成は、従来のゴルフ靴のトラクション要素と異なって、適応または変形して(1)オンコースの表面に最適化された第1の水平および/または垂直の断面積または寸法、および(2)オフコースの表面に最適化された第2の水平および/または垂直の断面積または寸法を提供することができるトラクション要素を利用することにより、オンコースおよびオフコースの双方のトラクションに柔軟なソリューションを提供することができる。いくつかの実施例において、適応性トラクション要素は、(1)オンコースの表面に最適化された第1の水平接触面積比および/または垂直接触面積比、ならびに(2)オフコースの表面に最適化された第2の水平接触面積比および/または垂直接触面積比を提供するように適応または変形して良い。
【0185】
関連する側面において、本発明は、ゴルフ靴のアウトソール上に配置可能な複数の適応性トラクション要素を具備するゴルフ靴を提供する。適応性トラクション要素は、ゴルフ靴に既に組み込まれているトラクション要素を手動で変更または修正する必要なく、オンコースおよびオフコースの双方の状況および用途に使用されて良い。
【0186】
いくつかの実施例において、複数の適応性トラクション要素は、第1のタイプの地面で使用されるときにトラクション力を提供し、第2のタイプの地面で使用されるときに快適性と歩行性を維持するために使用することができる。場合によっては、第1のタイプの地面には、例えば、草、芝、土、土壌、または砂が含まれる。場合によっては、第2のタイプの地面には、例えば、セメント、コンクリート、アスファルト、タイル、または木材が含まれる。
【0187】
場合によっては、適応性トラクション要素は、第1のタイプの地面を貫通して、第1のタイプの地面と適応性トラクション要素との間に機械的連結を形成するように構成されて良い。このような場合、適応性トラクション要素は、1つ以上の選択方向に沿った変形に抵抗し、1つ以上の選択方向に沿って適応性トラクション要素に1つ以上の力が加えられたときに支持またはトラクション力を提供するように構成されて良い。場合によっては、1つ以上の選択方向は、靴のアウトソールの周囲または縁に面する適応性トラクション要素の表面に向かって横方向に向けられて良い。
【0188】
場合によっては、適応性トラクション要素は、第1のタイプの地面よりも硬い第2のタイプの地面を貫通するように構成されないか、または構成される必要がない。そのような場合、適応性トラクション要素は、1つ以上の選択された方向またはその方向に沿って靴に及ぼされる1つ以上の力(例えば、圧縮力)に応じて変形するように構成されて良い。場合によっては、1つまたは複数の選択方向は、地面に向かって垂直下向きに向けられて良い。場合によっては、適応性トラクション要素の変形は、トラクション要素を曲げたり、屈曲させて、(i)地面および/または(ii)トラクション要素が配置されているアウトソールの表面に向かって移動したり、地面に対して平らにしたりすることを含む。
【0189】
場合によっては、靴に作用する圧縮力に対する適応性トラクション要素の変形量または変形度は、望ましい材料特性を具備する特定のミッドソール材料を選択することによって調整または調整されて良い。望ましい材料特性は、例えば、ミッドソール材料の硬度を含む。一部の非限定的な実施例において、ミッドソール材料の硬度は、約50ショアAから約80ショアAの範囲である。一部の非限定的な実施例において、より柔らかいミッドソール材料は、より硬いミッドソール材料と比較して、適応性トラクション要素の変形量または変形度を高めて良い。
【0190】
いくつかの実施例において、ここに記載の適応性トラクション要素は、方向性のある屈曲特性を有して良い。例えば、適応性トラクション要素は、第1の方向に作用する力に応じて曲がったり曲がったりするように構成され、第2の方向に作用する力に応じて曲がったり曲がったりしないように構成されて良い。適応性トラクション要素の方向性の偏りにより、トラクション要素は、異なるタイプの地面に対して異なる反応を示すことができる。
【0191】
場合によっては、適応性トラクション要素が地面と機械的にかみ合わされ、適応性トラクション要素に対して横方向の力が加わった場合(例えば、ゴルフスイング中)、適応性トラクション要素は曲がったり屈曲したりすることができない。他の場合には、適応性トラクション要素が機械的にかみ合うことができない硬い表面に配置され、適応性トラクション要素に対して垂直方向の力が加わった場合、適応性トラクション要素は容易に曲がったり屈曲して良い。
【0192】
[トラクション要素の形状]
[半月形状/牙付きプロファイル]
いくつかの非限定的な実施例において、1つ以上の適応性トラクション要素は、半月形または牙付きプロファイル(fanged profile)を具備して良い。図7A、7B、および7Cは、半月形または牙付きプロファイルを有する適応性トラクション要素の様々な例を示している。いくつかの実施例において、半月形または牙付きプロファイルは、アウトソールの底面から頂点領域に向かって延びる1つ以上の傾斜側面を有してもよい。頂点領域は、傾斜側面の間に位置し、傾斜側面よりもアウトソールから遠い距離に配置されて良い。場合によっては、頂点領域は平坦または実質的に平坦であって良い。他の場合には、頂点領域は湾曲または傾斜していて良い。代替的には、または任意選択で、頂点領域は、点またはエッジを形成するように角度が付けられていて良い。
【0193】
図8Aは、半月形または牙付きプロファイルを有する適応性トラクション要素の例示的な断面プロファイルを示す。断面プロファイルは、トラクション要素を、トラクション要素の垂直長さを通ってトラクション要素を二等分する平面で分割することによって形成することができる。垂直平面は、例えば、図7Bに示すように、Y軸およびZ軸によって形成されるYZ平面であって良い。トラクション要素の垂直断面は、図8Aに示す側面プロファイルを示すことができる。垂直平面は、半月形または牙付きプロファイルの頂点領域を通って延びていて良く、または延びていなくても良い。
【0194】
いくつかの実施例において、トラクション要素の垂直断面プロファイルは、円弧801を含むことができる。円弧801は、トラクション要素の垂直断面プロファイルを形成する残りの2つの側面を定義するために、2つの軸(たとえば、図8Aに示すように、Y軸とZ軸)によって境界が定められる。いくつかの実施例において、トラクション要素の垂直断面プロファイルは、靴の内側または外側の縁に面する平坦または実質的に平坦な表面または側面802を含んで良い。
【0195】
図8Bおよび8Cを参照すると、場合によっては、半月形状または牙付きプロファイルは、図7Bに示すトラクション要素を分割するために使用される垂直面上にある基準軸を中心に円弧803を回転させて、図8Aに示す垂直断面プロファイルを明らかにすることによって形成されて良い。場合によっては、円弧803は、基準軸を中心に時計回りに90度、反時計回りに90度回転して、半月形状または牙付きプロファイルを形成して良い。場合によっては、円弧803は、基準軸を中心に180度回転されて良い。場合によっては、基準軸は、図7Bに示すZ軸であって良い。
【0196】
場合によっては、円弧803がZ軸を中心に回転すると、円弧の半径および/または曲率が変化することがある。場合によっては、Z軸を中心とした回転角度の絶対値が増加すると、円弧803の半径rが徐々に増加することがある。また、Z軸を中心とした回転角度の絶対値が減少すると、円弧803の半径rが徐々に減少することもある。
【0197】
いくつかの非限定的な実施例において、円弧803は、以下の方程式の少なくとも1つに基づくか、またはそれに関連付けられた関数を使用して表現またはモデル化されて良い。
【数1】
上記の方程式は、非限定的な例としてのみ提供されており、使用される変数または式は、任意の数の他の変数、実数定数、または数学演算子を使用して数学的に変更され、軸を中心に回転して半月形または牙状のプロファイルを形成できる線分を生成できることに留意されたい。上で説明したように、円弧803がZ軸を中心に回転して半月形または牙状のプロファイルを形成すると、円弧803の半径rおよび/または曲率が変化して良い。
【0198】
図8Bおよび8Cは、図7Bに示すZ軸などの基準軸を中心に円弧803を回転させたときに形成される半月形状または牙付きプロファイルの例示的な側面図を示す。側面図は、図7Bに示すように、XZ平面に面するトラクション要素の一部に対応する。上述のように、限定されないいくつかのケースでは、円弧803がZ軸を中心に回転すると、円弧803の半径rおよび/または曲率が変化する可能性があり、そのため、図8Bおよび8Cに示す半径r1およびr2は、図8Aに示す半径rとは異なる場合がある。ただし、他の非限定的なケースでは、円弧801がZ軸を中心に回転しても、円弧801の半径rおよび/または曲率は変化しないか、変化する必要がなく、そのため、図8Bおよび8Cに示す半径r1およびr2は、図8Aに示す半径rと等しいか、またはほぼ等しくて良い。
【0199】
いくつかの実施例において(例えば、図8Bに示すように)、半月形または牙付きプロファイルの傾斜した側面と靴のアウトソール(X軸で表される)との交差部は、角度θを形成して良い。他の実施例において(例えば、図8Cに示すように)、半月形または牙付きプロファイルの傾斜した側面と靴のアウトソール(X軸で表される)との交差部は、円弧(例えば、楕円弧、放物線弧、双曲線弧など)としてモデル化できる曲率を具備する湾曲部分を形成して良い。
【0200】
図8Dは、ここに記載の適応性トラクション要素の形状またはプロファイルを導出するための追加のグラフィック参照を提供する。場合によっては、半月形状または牙付きプロファイルは、2つ以上の平面を使用して球、回転楕円体、または楕円体を分割することによって形成されてもよい。回転楕円体は、例えば、扁平回転楕円体または長楕円体で構成されて良い。楕円体は、例えば、不等辺楕円体または三軸楕円体で構成されて良い。場合によっては、球、回転楕円体、または楕円体を2つ以上の平面で分割して、半月形状または牙付きプロファイルを生成して良い。
【0201】
上述の半月形または牙付きプロファイルを有する適応性トラクション要素は、横方向の断面を有していて良い。横方向の断面は、球、回転楕円体、または楕円体を、3次元空間内の2つ以上の直交平面を使用して分割することによって形成されて良い。場合によっては、横方向の断面は、適応性トラクション要素のXY平面および/またはYZ平面に沿った断面をとることによって形成されて良い。場合によっては、横方向の断面は、適応性トラクション要素のXY平面および/またはXZ平面に沿った断面をとることによって形成されて良い。場合によっては、横方向の断面は、適応性トラクション要素のYZ平面および/またはXZ平面に沿った断面をとることによって形成されて良い。いずれの場合も、横方向の断面は、断面形状を具備して良い。いくつかの非限定的な実施例において、適応性トラクション要素は、凹状の断面を具備していて良い。場合によっては、凹状断面の少なくとも一部は、凹状円弧としてモデル化されて良い。他の非限定的な実施例において、適応性トラクション要素は、凸状断面を具備して良い。場合によっては、凸状断面の少なくとも一部は、凸状円弧としてモデル化されて良い。
【0202】
いくつかの実施例において、半月形または牙付きプロファイルの断面形状は、適応性トラクション要素の長さ、幅、または高さに沿って変化または変動して良い。いくつかの実施例において、断面形状の変化または変動には、断面形状の種々の部分またはセグメントの曲率または角度の変化が含まれて良い。いくつかの実施例において、断面形状の変化または変動には、断面形状の種々の部分またはセグメントのサイズまたは寸法の変化が含まれて良い。
【0203】
いくつかの実施例において、アウトソールの周りの経路またはトラックに沿って配置された種々の適応性トラクション要素は、適応性トラクション要素の位置および/または向きに応じて、異なる半月形または牙付きプロファイルを具備して良い。場合によっては、半月形または牙付きプロファイルのサイズおよび/または形状は、同じトラックまたは経路内に配置された適応性トラクション要素(すなわち、隣接するトラックまたは経路から、またはアウトソールの中央領域またはアウトソールの周囲または縁からほぼ等距離にある要素)に対して異なっていて良い。場合によっては、半月形または牙付きプロファイルのサイズおよび/または形状は、異なるトラックまたは経路内に配置された適応性トラクション要素(すなわち、異なるセットまたはサブセットの要素がアウトソールの中央領域またはアウトソールの周囲または縁から異なる距離に配置されるように、異なる隣接するトラックまたは経路に沿って配置されたトラクション要素)に対して異なっていて良い。
【0204】
ここに記載のいずれの実施例においても、適応性トラクション要素は地面接触面を有して良い。地面接触面はトラクション要素の遠位端またはその近傍に配置されていて良い。遠位端はトラクション要素のベース部と反対側のトラクション要素の部分に対応していて良い。場合によっては、遠位端はベース部から最も遠いトラクション要素の端部を含んで良い。ベース部はアウトソールに直接隣接するトラクション要素の部分に対応して良い。
【0205】
いくつかの実施例において、トラクション要素の地面接触面は、平坦または実質的に平坦な表面を有して良い。いくつかの場合では、平坦または実質的に平坦な表面は、ここに説明する半月形または牙付きプロファイルのピークまたはプラトーにまたはその近くに配置して良い。いくつかの場合では、平坦または実質的に平坦な表面は、ここで説明する半月形または牙付きプロファイルの遠位端を横方向の平面で切り取ることによって形成して良い。
【0206】
図9Aおよび9Bは、オンコースおよびオフコースの両方での使用において、現在開示されているトラクション要素の適応性を高めるために使用できる断面プロファイルの追加例を示している。上述の他の適応性トラクション要素と同様に、図9Aに示すトラクション要素901がオンコースの表面(例えば、フェアウェイまたは他の軟らかい地面の表面)で使用される場合、トラクション要素901はオンコースの表面を貫通して良い。適応性トラクション要素についてここに説明する他の実施例と同様に、図9Bに示すトラクション要素901がオフコース(例えば、セメントまたは他の硬い地面の表面)で使用される場合、トラクション要素901は、負荷を受けて平らになるように構成されて良い。いくつかの非限定的な実施例において、靴に負荷がかかったときに靴のアウトソールに対してトラクション要素901が平らになるのをさらに促進または容易にするために、戦略的に配置された1つ以上の溝902が設けられて良い。溝902は、ここで他の箇所においてさらに詳しく説明されているように、適応性トラクション要素901の内側サイドまたは外側サイドまたは端に向かってアウトソール材料内または上に配置されて良い。いくつかの非限定的な実施例において、溝902は隣接するトラクション要素901の間に配置されて良い。
【0207】
図10Aは、ここに記載の適応性トラクション要素1000のセットの別の例示的な断面プロファイルを示す。断面プロファイルは、互いに対して種々の角度で配置された複数の表面によって定義されて良い。
【0208】
いくつかの実施例において、適応性トラクション要素1000は、靴の周囲または縁に面する第1の表面1001を有して良い。場合によっては、第1の表面1001は平坦または実質的に平坦であって良い。場合によっては、第1の表面1001は、アウトソールの最下面から角度をつけて延びて良い。場合によっては、角度は約90度であって良い。場合によっては、第1の表面1001は、アウトソールの最下面から垂直下向きまたは実質的に垂直下向きに延びて良い。
【0209】
いくつかの実施例において、適応性トラクション要素1000は、第1表面から(i)アウトソールの最下面に向かって、および/または(ii)靴の中央領域または部分に向かって延びる第2表面1002を有して良い。場合によっては、第1表面1001と第2表面1002の交差部が尖った先端を形成し、これが第1タイプの地面を貫通してグリップまたはトラクション力を提供するように構成されて良い。場合によっては、第2表面1002は、第1表面1001に対して角度をつけて配置されて良い。場合によっては、角度は約1度から最大約90度までの範囲であって良い。第1表面1001と第2表面1002との間に形成される角度は、第1タイプの地面よりも硬い第2タイプの地面で使用されるときに、適応性トラクション要素1000の屈曲または曲げを容易にすることができる。
【0210】
いくつかの実施例において、適応性トラクション要素1000は、第2表面1002からアウトソールの最下面まで延びる第3表面1003を有して良い。場合によっては、第3表面1003は、第2表面1002に対して角度をつけて配置されて良い。場合によっては、角度は約90度から約180度の範囲であって良い。第2表面1002と第3表面1003との間に形成される角度は、第1タイプの地面よりも硬い第2タイプの地面で使用されるときに、適応性トラクション要素1000の屈曲または曲げを容易にすることができる。
【0211】
ここに記載のいずれの実施例においても、第1の表面1001と第2の表面1002との交差によって形成される尖端は、第1のタイプの地面を貫通して、第1のタイプの地面と機械的に連結するように構成されて良い。図10Bに示すように、第1のタイプの地面は、垂直方向の圧縮力によって適応性トラクション要素1000がアウトソールに向かって曲がったり、屈曲したりすることなく、尖端が地面に貫通できる柔らかさおよび/または密度を具備して良い。場合によっては、第1のタイプの地面は、垂直方向の圧縮力によって適応性トラクション要素1000が曲がったり、屈曲したりする量または程度を制限または低減しながら、尖端が地面に貫通できる柔らかさおよび/または密度を具備して良い。
【0212】
いくつかの実施例において、第1の表面1001と第2の表面1002との交差によって形成される尖端は、第2のタイプの地面を貫通して第2のタイプの地面と機械的に連結するように構成されなくてもよく、または構成される必要がない。図10Cおよび10Dに示すように、第2のタイプの地面は、尖端による貫通を防止する硬度および/または密度を具備し、靴に負荷がかかったときにトラクション要素1000が変形する。トラクション要素1000の変形により、靴が第2のタイプの地面で着用されたときにトラクション要素の接触面積比が高くなり、トラクション性能に対する摩擦力の影響が増大して良い。第2のタイプの地面は、垂直方向の圧縮力に応じて適応性トラクション要素1000がアウトソールに向かって曲がったり曲がったりするように誘導する硬度および/または密度を具備して良い。場合によっては、適応性トラクション要素1000がアウトソールに向かって屈曲または曲がると、第1の種類の地面よりも硬い第2の種類の地面と接触しているときに、適応性トラクション要素1000がアウトソールに対して実質的に平らになって良い。
【0213】
図11Aおよび11Bは、オンコースの表面およびオフコースの表面で使用される場合の適応性トラクション要素1101の種々の断面を示している。図11Aに示すように、トラクション要素1101は、垂直接触面積比(VCAR)が高く、水平接触面積比(HCAR)が低くて良い。ここで使用される用語「VCAR」は、地面と、地面に突き刺さり、水平地面反力の方向に対して垂直な各トラクション部材領域の部分との間の垂直表面接触面積の比を、同じ特定のアウトソール領域の部分の総正味面積で割ったものを指して良い。ここで使用される用語「HCAR」は、アウトソール領域の任意の特定の部分に関して、トラクション部材と硬く平らな表面との間の合計水平表面接触面積の比を、同じ特定のアウトソール領域の部分の総正味面積で割ったものを指して良い。場合によっては、靴のVCARを最大化し、または靴のHCARを最小化することが望ましい場合がある。たとえば、オンコースでの用途では、ゴルフスイング中の横方向の動きや変位に対する抵抗力を高めながら、地面への浸透を最大化するために、靴のVCARを高くし、HCARを低くして良い。このような場合、適応性トラクション要素1101は、オンコースの地面への浸透性を高めるために、比較的高い高さと比較的小さな断面積を持つように構成して良い。
【0214】
図11Bに示すように、場合によっては、靴のHCARを最大化しつつ、靴のVCARを最小化することが望ましい場合がある。例えば、「オフコース」用途の場合、靴は、オフコース表面との摩擦接触量を最大化するために、高いHCARおよび/または低いVCARを具備して良い。これは、アウトソールの滑り止め特性(例えば、硬い表面または滑らかな表面上)を改善するのに役立つ場合がある。このような場合、適応性トラクション要素1101は、硬い表面または滑らかな表面をよりよくつかむために、比較的大きな幅および比較的低い高さを具備するように構成されて良い。ここに記載のいずれの実施例においても、適応性トラクション要素は、ゴルフ靴が着用される表面の種類に基づいて異なるトラクション特性を提供するために、図11Aおよび11Bに示される2つのプロファイル(および/または付随する図に示されるそれらの間の任意の中間のプロファイル)の間をシームレスにシフトするように構成されて良い。ここに記載のいずれの実施例においても、トラクション要素は、ゴルフ靴を履いている対象者による手動介入なしに、異なる表面タイプに適応することができる。
【0215】
図12Aは、1つ以上の適応性トラクション要素1201を備えた例示的なゴルフ靴のアウトソール1200を概略的に示している。図12Bに示すように、適応性トラクション要素1201は、硬い表面(例えば、ここで他の箇所で説明されているように、オフコースの表面)で使用される場合、負荷を受けて変形するように構成して良い。いくつかの実施例において、適応性トラクション要素1201が負荷を受けて変形する場合(例えば、対象者がオフコースの表面で動作または動きを実行する場合)、適応性トラクション要素1201の高さが減少し、地面と接触するトラクション要素の表面積が増加して、摩擦ベースのトラクション力が最大化されて良い。
【0216】
[特徴要素]
いくつかのオプションの実施例において、アウトソール表面は、トラクション要素がオフコース表面で使用されるときに、適応性トラクション要素の変形(例えば、屈曲または曲げ)を助ける1つ以上の特徴要素(feature)を備えていて良い。変形により、適応性トラクション要素がアウトソール表面に向かって移動し、より快適なオフコース体験のために平らになることができる。1つ以上の特徴要素は、例えば、アウトソール材料の1つ以上の開口部、切り欠き、溝、チャネル、またはくぼみを含んで良い。
【0217】
いくつかの実施例において、1つ以上の特徴要素は、適応性トラクション要素に隣接して配置されて良い。いくつかの実施例において、1つ以上の特徴要素は、適応性トラクション要素の1つ以上の側面または端に直接接して良い。1つ以上の特徴要素は、トラクション要素の1つ以上の側面または端がアウトソール材料の一部から切り離されたままになることを可能にし、靴に及ぼされる力に応じてトラクション要素の変形可能性または柔軟性を高めることができる。
【0218】
ここに記載のいずれの実施例においても、適応性トラクション要素は、力が靴に作用したときに、1つ以上の特徴要素に対して移動するように構成されて良い。場合によっては、アウトソール材料から取り外された適応性トラクション要素の一部またはセクションは、靴に作用する様々な力に応じて、アウトソールに向かって上方に移動するように構成されて良い。場合によっては、1つ以上の適応性トラクション要素は、ゴルフ靴のアウトソールに対して平らになるように、アウトソール材料の一部または体積を通って移動するように構成されて良い。ここで論じたように、靴のアウトソールに対して適応性トラクション要素を平らにすることで、オフコースでのゴルフ靴の快適性および着用性が向上する可能性がある。
【0219】
図13Aは、1つ以上の適応性トラクション要素1302の変形可能性を高めるための1つ以上の特徴要素1301を含むアウトソールの例を示す。1つ以上の特徴要素1301は、アウトソール1303の開口部、切り欠き、溝、チャネル、または凹部を有して良い。場合によっては、1つ以上の特徴要素1301は、適応性トラクション要素1302の縁または周囲の周囲に配置されて良い。場合によっては、1つ以上の特徴要素1301は、適応性トラクション要素1302の縁または周囲の周囲に延びて良い。いずれの場合も、適応性トラクション要素1302の少なくとも1つの縁または側面は、アウトソール1303に直接接続されて良い。
【0220】
図13Bは、靴のアウトソール1303上に配置された複数の適応性トラクション要素1302の側面図を示す。いくつかの実施例において、適応性トラクション要素1302は、こkで他の箇所で説明されているように、トラックまたは経路に沿って間隔をあけて配置されて良い。いくつかの実施例において、1つ以上の特徴要素1301は、隣接するまたは近隣のトラクション要素1302の間に配置または散在することができる。
【0221】
図13Cは、図13Aおよび13Bに示される適応性トラクション要素1302がゴルフ靴のアウトソール1303の一部を通って移動する能力を示している。いくつかの実施例において、1つ以上の特徴要素1301は、適応性トラクション要素1302とゴルフ靴のアウトソール1303とを接続する材料の量を減らすことができる。適応性トラクション要素1302とゴルフ靴のアウトソール1303とを接続する材料の量を減らすと、トラクション要素1302の変形可能性、柔軟性、または曲げ可能性がさらに向上し、トラクション要素がオンコースおよびオフコースの表面を含む種々の表面に応じて反応し、適応することができる。ここで他の箇所で説明されているように、適応性トラクション要素1302は、オンコースの地面の表面を貫通してオンコースの地面の表面と機械的に連結し、オンコースの表面よりも硬いオフコースの表面で着用されたときに、負荷がかかった状態でゴルフ靴のアウトソール1303に向かって平らになって良い。
【0222】
[付加的な実施例]
他の側面において、本開示は、ゴルフ靴のアウトソールに設けられた1つ以上のトラクション要素を含むゴルフ靴の様々な例および実施例を提供する。場合によっては、アウトソールは、1つ以上のトラクション要素が延びることができるアウトソールコンポーネントを有して良い。場合によっては、アウトソールコンポーネントは、アウトソールの表面部分を有して良い。場合によっては、アウトソールコンポーネントは、アウトソールの表面に設けられた、またはアウトソールの表面と一体化された1つ以上のポッドを有して良い。
【0223】
いくつかの実施例において、1つ以上のポッドは、1つ以上のトラクション要素が延びることができるベース領域を提供するように構成されて良い。いくつかの場合では、ベース領域は、アウトソールの表面とトラクション要素の本体との間の中間の物理的インターフェースとして機能して良い。いくつかの場合では、ベース領域は、トラクション要素と地面との間の機械的な連結を促進するために、アウトソールまたは地面に対するトラクション要素の位置および/または方向を固定するように構成されて良い。
【0224】
いくつかの実施例において、1つ以上のポッドは、アウトソール材料に延びる凹部または窪みを有して良い。いくつかの場合では、1つ以上のトラクション要素は、窪みまたは窪みから靴の下の地面に向かって延びるように構成されて良い。いくつかの実施例において、1つ以上のポッドは、アウトソールの表面から地面に向かって延びる突起を有して良い。いくつかの場合では、1つ以上のトラクション要素は、突起の底面から地面に向かって延びるように構成されて良い。
【0225】
場合によっては、1つ以上のポッドは第1の材料を有して良い。場合によっては、1つ以上のトラクション要素は第2の材料を有して良い。場合によっては、第1の材料は第2の材料よりも硬度、堅さ、剛性、または引張強度が高くて良い。場合によっては、第2の材料は第1の材料よりも摩擦係数が高くて良い(例えば、オンコースの地面に沿って移動または滑るとき)。一部の非限定的な実施例において、第1の材料は炭素または炭素ベースの材料(例えば、炭素繊維)を有して良い。一部の非限定的な実施例において、第2の材料はゴム材料、プラスチック材料、または熱可塑性材料(例えば、TPU)を有して良い。
【0226】
いくつかの実施例において、1つ以上のポッドは、トラクション要素に追加の構造的支持を提供できる比較的高弾性率の材料を有して良い。場合によっては、1つ以上のポッドの材料は、トラクション要素のベースまたはその近くでのトラクション要素の曲がりを減らすのに役立つ可能性がある。ここで他の箇所で説明されているように、トラクション要素のベースとは、アウトソールまたはアウトソールと一体化された1つ以上のポッドに直接隣接または直接接触するトラクション要素の部分を指して良い。トラクション要素のベースは、トラクション要素の自由端の反対側に配置され、この自由端は地面に直接接触して相互作用するように構成されて良い。いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、トラクション要素と地面との間の機械的連結が特定の閾値を下回ったときに滑り抵抗を提供するように構成された材料から構成されて良い。場合によっては、トラクション要素の材料は、トラクション要素と地面との間のグリップを高めるために、高い摩擦係数を具備して良い(例えば、ゴルフ関連の動作または動き中に、トラクション要素と地面との間の機械的連結が減少または損なわれる場合)。
【0227】
いくつかの実施例において、1つ以上のポッドは、アウトソールに直接取り付けられて良い。他の実施例において、1つ以上のポッドは、アウトソールと一体に形成されてもよいし、アウトソールの一部として形成されて良い。いくつかの場合では、1つ以上のポッドは、アウトソールに取り外し可能に結合されて良い。他の場合では、1つ以上のポッドは、アウトソールに取り外し可能に結合されなくてもよいか、または結合する必要がない。
【0228】
いくつかの実施例において、1つ以上のトラクション要素は、1つ以上のポッドに直接固定されて良い。他の実施例において、1つ以上のトラクション要素は、1つ以上のポッドと一体に形成されて良い。いくつかの場合では、1つ以上のトラクション要素は、1つ以上のポッドに解放可能に結合されて良い。他の場合では、1つ以上のトラクション要素は、1つ以上のポッドに解放可能に結合されないか、結合する必要がない。
【0229】
[グリーンズ保全]
他の側面において、本開示は、対象者が地面上でゴルフ関連の動作を実行するときに地面(例えば、オンコースの表面)への損傷の量を低減または最小限に抑えるように構成されたトラクション要素の種々の例および実施例を提供する。ゴルフ関連の動作には、歩く、走る、しゃがむ、またはゴルフクラブを振るなどの動作が含まれる。場合によっては、ゴルフ関連の動作には、地面に対するトラクション要素の並進動作および/または回転動作が含まれる。場合によっては、ゴルフ関連の動作には、約100ニュートン(N)から約1000N以上の1つ以上の地面反力が含まれる。
【0230】
いくつかの実施例において、トラクション要素は、ここで他の箇所で説明されているように、地面の品質または特性を維持するために個別にサイズおよび形状が決められて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、地面の品質または特性を維持するために、ここで説明されている最適な空間構成に従って集合的に配置され、間隔が空けられたり、ずらされたりして良い。場合によっては、品質または特性には、地面を横切るゴルフボールのボール転がり距離が含まれて良い。場合によっては、品質または特性には、地面の滑らかさまたは粗さが含まれて良い。いくつかの実施例において、トラクション要素は、対象者がゴルフ関連のアクションまたは動作を実行した後に、アウトソールに付着する芝の量または地面から除去される芝の量を減らすように構成されて良い。
【0231】
いくつかの実施例において、ここに記載のトラクション要素構成は、約1日から約7日以上の期間にわたって地面の品質または特性を維持するように実装されて良い。いくつかの実施例において、ここに開示されているトラクション要素構成は、少なくとも約10回以上のゴルフ関連の動きまたは動作の過程にわたって地面の品質または特性を維持するように実装されて良い。場合によっては、本開示のトラクション要素は、従来のトラクション要素構成と比較して、より長い期間およびより多くのゴルフ関連の動きまたは動作の過程にわたって、オンコースの地面の品質または特性を維持するように構成されて良い。いくつかの非限定的な実施例において、現在開示されているトラクション要素構成のグリーン保存性能は、従来のトラクション要素構成のグリーン保存性能を少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、200%、300%、400%、500%以上、上回って良い。
【0232】
いくつかの実施例において、本開示のトラクション要素は、約0%から約100%の範囲の表面保全メトリックを有するゴルフ靴を提供するように構成されて良い。いくつかの実施例において、表面保全メトリックは、(i)所定の期間にわたって、または所定の数のゴルフ関連の動作または動きが地面上で実行された後に地面に測定可能または知覚可能な損傷の量、または(ii)一定数のゴルフ関連の動作または動きが地面上で実行された後の地面の品質または特性の変化の大きさを示す1つ以上の要因に基づいて計算されて良い。
【0233】
[方法]
一側面において、本開示は、トラクション要素を設計または構成する方法を提供する。いくつかの実施例では、この方法は、1つ以上のトラクションパラメータを調整することにより、特定の対象または対象クラスのトラクション要素を設計または構成することを含んで良い。1つ以上のトラクションパラメータは、例えば、1つ以上のトラクション要素の形状、サイズ、構成、または配置を含んで良い。1つ以上のトラクションパラメータは、トラクション剛性を最適化するために、ゴルフ関連の動作に関する個々の対象の解剖学的構造または生体力学に基づいて調整することができる。場合によっては、1つ以上のパラメータは、トラクション要素の寸法(例えば、高さ、幅、長さ、深さ、テーパーなど)を含んで良い。場合によっては、1つ以上のパラメータは、アウトソール上のトラクション要素の位置または向き、および/またはトラクション要素同士の相対的な位置または向きを含んで良い。
【0234】
いくつかの実施例では、方法は、トラクション要素またはトラクション要素が組み込まれた靴部品を生産または製造するための機械またはシステムの動作を制御すること有して良い。靴部品は、例えば靴のアウトソールを含んで良い。機械またはシステムの動作は、1つまたは複数のトラクションパラメータに基づいて制御されて良い。1つまたは複数のトラクションパラメータは、特定の対象者の解剖学的構造または生体力学に基づいて調整または変更されて良い。
【0235】
ここに記載のいずれの実施例においても、種々のトラクションパラメータは、靴のアウトソール上に配置可能なトラクション要素のセットを製造する製造プロセスを制御するために使用されて良い。いくつかの実施例において、トラクションパラメータは、処理ユニット(例えば、コンピュータ、プロセッサ、論理回路など)を含むシステムまたは機械の動作を制御するために使用されて良い。いくつかの実施例において、処理ユニットは、特定の対象に対して選択された1つ以上のトラクションパラメータに基づいて、機械またはシステムの動作を制御または調整するように構成することができる。場合によっては、1つ以上のトラクションパラメータは、機械またはシステムのオペレータによって設定されて良いい。他の場合には、1つ以上のトラクションパラメータは、アルゴリズムまたは人工知能または機械学習ベースのシステムによって設定または決定されて良い。
【0236】
ここにおいて数値の下限値および上限値が規定されている場合、これらの値の任意の組み合わせが使用されることが意図される。操作例以外、または明示的に別途規定されていない限り、ここにおける材料の量などの数値範囲、量、値、およびパーセンテージはすべて、「約」という語が値、量、または範囲とともに明示的に示されていない場合でも、「約」という語が前置されているものとして読み取られる。したがって、反対のことが示されていない限り、明細書および添付の請求項に記載されている数値パラメータは、本技術によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化する可能性がある近似値である。
【0237】
また、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」、「第5」、「第6」、「第7」、「第8」、「第9」、「第10」、「第11」、「第12」、「上部」、「下部」、「上部」、「下部」、「上方」、「下方」、「右」、「左」、「中央」、「中間」、「近位」、「遠位」、「前方」、「後方」、「前足部」、「中足部」、「後足部」などの用語は、1つの視点に基づいて要素の1つの位置を指すために使用される相対的な用語であり、技術の範囲を制限するものとして解釈されるべきではないことも理解されるべきである。
【0238】
優先権文書を含む、ここに引用されたすべての特許、刊行物、試験手順、およびその他の参考文献は、かかる開示が本技術と矛盾しない範囲で、およびかかる組み込みが許可されるすべての管轄区域において、参照により完全に組み込まれる。ここで説明および図示されている靴の材料、設計、構造、靴のコンポーネント、および靴のアセンブリおよびサブアセンブリは、本技術のいくつかの実施例を表すだけであることが理解される。当業者であれば、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、かかる製品および材料に種々の変更および追加を行うことができることを理解するであろう。かかる実施例はすべて、添付の請求項によってカバーされることが意図されている。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図7A-B】
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
【外国語明細書】