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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152679
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】内服液剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/258 20060101AFI20241018BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/296 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/9068 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/64 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/8969 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/638 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 36/46 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241018BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A61K36/258
A61K9/08
A61K36/296
A61K36/9068
A61K36/64
A61K36/8969
A61K36/638
A61K36/46
A61K47/32
A61K47/36
A61P3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063685
(22)【出願日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】P 2023064903
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石田 恵美
(72)【発明者】
【氏名】加治佐 真吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 知美
【テーマコード(参考)】
4C076
4C088
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076CC21
4C076EE16
4C076EE30
4C076FF36
4C088AB12
4C088AB18
4C088AB63
4C088AB64
4C088AB81
4C088AB85
4C088NA03
4C088NA05
4C088ZC21
(57)【要約】
【課題】沈殿の生成が抑制された安定な生薬エキス配合内服液剤を提供することであり、ニンジン又はコウジン以外の特定の生薬をさらに含むにもかかわらず、品質が良好な内服液剤を提供することである。。
【解決手段】
次の成分(a)(b)(c)及び(d)を含む内服液剤。
(a)(a1)ニンジン及び/又は(a2)コウジン
(b)インヨウカク、ショウキョウ、ニクジュヨウ、オウセイ、ジョテイシ、及びトチュウからなる群から選択される少なくとも1種の生薬
(c)ポリビニルピロリドン
(d)デキストリン
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)(b)(c)及び(d)を含む内服液剤。
(a)(a1)ニンジン及び/又は(a2)コウジン
(b)インヨウカク、ショウキョウ、ニクジュヨウ、オウセイ、ジョテイシ、及びトチュウからなる群から選択される少なくとも1種の生薬
(c)ポリビニルピロリドン
(d)デキストリン
【請求項2】
実質的にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まない、請求項1に記載の内服液剤。
【請求項3】
pHが2.5~4.0である、請求項1又は2に記載の内服液剤。
【請求項4】
(d)デキストリンの含有量が、原生薬換算で(a2) コウジン1質量部に対し、0.1~170質量部である請求項1又は2に記載の内服液剤。
【請求項5】
(d)デキストリンの含有量が、原生薬換算で(a1)ニンジン1質量部に対し、0.1~45質量部である、請求項1又は2に記載の内服液剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニンジン又はコウジンを含有する内服液剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ニンジン又はコウジンは、古くから滋養強壮、虚弱体質、病後の体力低下時などに広く用いられてきた生薬であり、これらを配合した内服液剤が非常に多く上市されている。ニンジン又はコウジンにはサポニンであるジンセノサイドが多く含まれており、ジンセノサイド単独あるいは他の成分との相互作用により、様々な薬理作用を発揮することが知られている。しかし、ジンセノサイド類は水溶液中で経時的に濁りや浮遊物、沈殿を生成するため、いかにそれを防ぐかが商品性や有効性の観点から大きな検討課題となっている。
ジンセノサイド類由来の沈殿や浮遊物を抑制する方法として、ポリグリセリン脂肪酸エステルやポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの合成界面活性剤を添加する方法が報告されている(特許文献1)。一方、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を配合すると低pHで経時的に沈殿が生じ、外観が悪化することが課題となっている。
【0003】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油やその他の合成界面活性剤を使用しない方法としては、アルギン酸プロピレングリコールエステルを配合することにより、ニンジンやコウジンをはじめとするサポニン含有生薬の沈殿生成を抑制できることが知られている(特許文献2)。また、ニンジンエキス由来の沈殿や浮遊物の生成を、精油とポリビニルアルコールで抑制する方法が報告されている(特許文献3)。しかし、特許文献3では、ポリビニルアルコールに替えて、可溶化剤、溶解補助剤として知られているポリビニルピロリドンを使用すると、ニンジンエキスに起因する沈殿や浮遊物の生成を抑制することができず、商品性の観点から問題があったことが示されている(特許文献3)。
【0004】
デキストリンは不快味のマスキング剤として知られている(特許文献4)。また、一部の生薬を含む液体組成物において、pH調整剤と共に配合することによって経時的な沈殿や懸濁が抑制できることが報告されている(特許文献5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-193825号公報
【特許文献2】特開平3-99020号公報
【特許文献3】特開2013-100270号公報
【特許文献4】特開2015-128420号公報
【特許文献5】特開2013-126958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、a)ニンジン及び/又はコウジンと、b)インヨウカク、ショウキョウ、ニクジュヨウ、オウセイ、ジョテイシ、及びトチュウからなる群から選択される少なくとも1種の生薬を含む場合、デキストリンとpH調整剤を配合しても経時的な沈殿を抑制することができなかった。したがって、本発明の目的は、経時的な沈殿の生成が抑制された、ニンジン又はコウジン含有内服液剤を提供することであり、ニンジン又はコウジン以外の特定の生薬をさらに含むにもかかわらず、品質が良好な内服液剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ニンジン又はコウジン、及びニンジン又はコウジン以外の特定の生薬を配合した内服液剤に、ポリビニルピロリドン及びデキストリンを配合すると、経時的な沈殿の生成が抑制されることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)次の成分(a)(b)(c)及び(d)を含む内服液剤
(a)(a1)ニンジン及び/又は(a2)コウジン
(b)インヨウカク、ショウキョウ、ニクジュヨウ、オウセイ、ジョテイシ、及びトチュウからなる群から選択される少なくとも1種の生薬
(c)ポリビニルピロリドン
(d)デキストリン、
(2)実質的にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まない、(1)に記載の内服液剤
(3)pHが2.5~4.0である、(1)又は(2)に記載の内服液剤、
(4)(d)デキストリンの含有量が、原生薬換算で(a2) コウジン1質量部に対し、0.1~170質量部である(1)~(3)のいずれかに記載の内服液剤、
(5)(d)デキストリンの含有量が、原生薬換算で(a1)ニンジン1質量部に対し、0.1~45質量部である、(1)~(4)のいずれかに記載の内服液剤、
である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、経時的な沈殿の生成が抑制されたニンジン又はコウジン配合内服液剤を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に用いる(a)ニンジンとコウジンは、エキスの形態での配合が好ましい。エキスの製造は通常の方法、例えば、抽出溶媒を用いて、適当な温度(低温又は加熱)にて、原料から抽出する方法などにより行う。抽出溶媒は適当に選択できるが、好ましくは、水、親水性溶媒およびこれらの混合溶媒が用いられ、特に、親水性溶媒としてエタノールを用いるのが良い。本発明のエキスとは、液状抽出物をそのまま使用できるほか、水などで希釈したもの、液状抽出物の濃縮物、液状抽出物の乾固物としても使用できる。すなわち、本発明のエキスには、乾燥エキス、軟エキス、流エキス、チンキなどいずれのものも包含される。エキスは市販品を用いることもできる。
【0011】
本発明の「ニンジン」としては、オタネニンジン(ウコギ科 別名:チョウセンニンジン)を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。ニンジンの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.001~20w/v%であることが好ましく、0.06~15w/v%であることがより好ましく、0.01~15w/v%がさらに好ましく、0.6~5w/v%がさらに好ましい。
【0012】
本発明の「コウジン」としては、オタネニンジン(ウコギ科 別名:チョウセンニンジン)を蒸し、溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。コウジンの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.001~12.6w/v%であることが好ましく、0.015~8w/v%であることがより好ましく、0.05~7.5w/v%がさらに好ましく、0.15~3w/v%がさらに好まし
い。
【0013】
本発明に用いる(b)インヨウカク、ショウキョウ、ニクジュヨウ、オウセイ、ジョテイシ、トチュウは、エキスの形態での配合が好ましい。エキスの製造は通常の方法、例えば、抽出溶媒を用いて、適当な温度(低温又は加熱)にて、原料から抽出する方法などにより行う。抽出溶媒は適当に選択できるが、好ましくは、水、親水性溶媒およびこれらの混合溶媒が用いられ、特に、親水性溶媒としてエタノールを用いるのが良い。本発明のエキスとは、液状抽出物をそのまま使用できるほか、水などで希釈したもの、液状抽出物の濃縮物、液状抽出物の乾固物としても使用できる。すなわち、本発明のエキスには、乾燥エキス、軟エキス、流エキス、チンキなどいずれのものも包含される。エキスは市販品を用いることもできる。
【0014】
本発明の「インヨウカク」としては、淫羊霍(キバナカリソウ、イカリソウ、ホザキイカリソウ、トキワイカリソウを基原とする。別名:イカリソウ・仙霊脾)を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。インヨウカクの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.001~10w/v%であることが好ましく、0.005~8w/v%がより好ましく、0.1~5w/v%がさらに好ましい。
【0015】
本発明の「ショウキョウ」としては、生姜(ショウガ科ショウガ属の多年草)を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。
ショウキョウの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.01~10w/v%であることが好ましく、0.05~8w/v%がより好ましく、0.075~5w/v%がさらに好ましい。
【0016】
本発明の「ニクジュヨウ」としては、肉従蓉(ハマウツボ科 Cistanche 属植物)を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。ニクジュヨウの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.01~25w/v%であることが好ましく、0.05~13w/v%がより好ましく、0.1~10w/v%がさらに好ましい。
【0017】
本発明の「オウセイ」としては、黄精(カギクルマバナルコユリ、ナルコユリを基原とする) を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。オウセイの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.01~15w/v%であることが好ましく、0.1~12w/v%がより好ましく、0.2~10w/v%がさらに好ましい。
【0018】
本発明の「ジョテイシ」としては、女貞子(モクセイ科のトウネズミモチの成熟果実。別名「冬青子」「唐ネズミモチ」)を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。ジョテイシの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.01~10w/v%であることが好ましく、0.05~8w/v%がより好ましく、0.1w/v%~5v%がさらに好ましい。
【0019】
本発明の「トチュウ」としては、杜仲(トチュウ科)を溶媒抽出して得られた抽出液又はエキス末を使用するのが好ましい。トチュウの含有量は、特に限定されないが、本発明の内服液剤中、原生薬換算で0.001~5w/v%であることが好ましく、0.023w/v%がより好ましく、0.025~2.5w/v%がさらに好ましい。
【0020】
本発明に用いるポリビニルピロリドンは、ポリビドン、ポビドン、クロスポビドンとも呼ばれ、安定化剤、可溶化剤、溶解補助剤などとして内服液剤等に用いられる高分子化合物である。具体的にはK値が17から90のものを挙げることができる。いずれも市販品として容易に入手することができる。本発明におけるポリビニルピロリドンの含有量は特に制限されるものではないが、0.0005~20w/v%が好ましく、0.001~10w/v%がより好ましく、0.015~5w/v%がさらに好ましく、0.05~4w/v%がさらにより好ましい。また生薬の原生薬換算量1質量部に対して、好ましくは0.00002~4000質量部であり、より好ましくは0.00004~2000質量部であり、さらに好ましくは0.00067~1000質量部であり、さらにより好ましくは0.00222~500質量部、特に好ましくは0.003~40質量部、最も好ましくは0.005~20質量部である。
【0021】
本発明に用いるデキストリンとは、コーンスターチや馬鈴薯デンプンを原料とし、デンプンを化学的あるいは酵素的な方法により低分子化したものである。なお、本発明におけるデキストリンには、難消化性デキストリン及び環状構造のデキストリンは含まれない。本発明のデキストリンには、市販品を用いることができる。本発明におけるデキストリンの含有量は特に制限されるものではないが、0.001~65w/v%が好ましく、0.05~50w/v%がより好ましく、0.5~25w/v%がさらに好ましい。また、生薬の原生薬換算量1質量部に対して、好ましくは0.00004~13000質量部であり、より好ましくは0.0022~10000質量部であり、さらに好ましくは0.0222~5000質量部である。また、生薬のうち特にニンジンの原生薬換算量1質量部に対して好ましくは0.00005~65000質量部、より好ましくは0.0025~50000質量部であり、さらに好ましくは0.025~25000質量部、さらにより好ましくは0.1~45で質量部であり、特に好ましくは0.2~40質量部、最も好ましくは0.6~20質量部、コウジンの原生薬換算量1質量部に対して、好ましくは0.0001~65000質量部、より好ましくは0.005~50000質量部であり、さらに好ましくは0.05~25000質量部、さらにより好ましくは0.6~170、特に好ましくは1~50質量部、最も好ましくは1~20質量部、で質量部である。
【0022】
本発明の内服液剤には、その他の成分としてビタミン類、ミネラル類、アミノ酸又はその塩類、カフェイン、他の生薬や生薬抽出物などを本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。
【0023】
さらに必要に応じて、抗酸化剤、着色剤、香料、矯味剤、溶解補助剤、懸濁化剤、保存剤、甘味料、酸味料などの添加物を本発明の効果を損なわない範囲で適宜に配合することができる。保存剤はパラオキシ安息香酸メチルなどのパラベン類を配合しないことが望ましい。
【0024】
本発明の内服液剤中には、実質的にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まないことが好ましく、特に好ましくは合成界面活性剤を配合しないことが好ましい。本発明の内服液剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を添加しなくても、経時的な沈殿の生成が抑制されるからである。
実質的にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まないとは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を実質的に配合しないが、例えば配合する原料にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が含まれることにより、製剤中に極めて微量が混在してしまうような場合は実質的にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含まないものに包含される。本発明におけるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、内服液剤中に0.05w/v%以下であり、好ましくは0.025w/v%以下であり、より好ましくは0.01w/v%以下であり、さらに好ましくは0.005w/v%以下であり、さらにより好ましくは0.001質量%以下であり、特に好ましくは含有しない。また、実質的に合成界面活性剤を含まないとは、合成界面活性剤を実質的に配合しないが、例えば配合する原料に合成界面活性剤が含まれることにより、製剤中に極めて微量が混在してしまうような場合は実質的に合成界面活性剤を含まないものに包含される。本発明における合成界面活性剤の含有量は、内服液剤中に0.05w/v%以下であり、好ましくは0.025w/v%以下であり、より好ましくは0.01w/v%以下であり、さらに好ましくは0.005w/v%以下であり、さらにより好ましくは0.001質量%以下であり、特に好ましくは含有しない。
【0025】
本発明の内服液剤は、pHは特に限定されず、例えばpH2.0~7.0である。風味の観点からは低pHであることが好ましく、さらに好ましくはpH2.5~5.0であり、さらにより好ましくはpH2.5~4.6、さらにさらにより好ましくはpH2.5~4.0、最も好ましくは2.5~3. 5である。本発明の内服液剤はpH4.0以下の低pH範囲においても、経時的な沈殿の生成を抑制することができる。本発明の内服液剤のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができる。具体的なpH調整剤としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、乳酸、コハク酸、アスコルビン酸、酢酸等の有機酸及びそれらの塩類、塩酸、リン酸などの無機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基等が挙げられる。
【0026】
本発明の内服液剤は、常法により調製することができ、その方法は特に限定されるものではない。通常、各成分をとり、適量の精製水で溶解した後、必要に応じてpHを調整し、さらに精製水を加えて容量調整し、必要に応じてろ過、殺菌処理し、容器に充填する工程により得られ、容器詰め内服液剤とすることもできる。
【0027】
本発明の内服液剤は、例えばシロップ剤、ドリンク剤などの医薬品や医薬部外品などの各種製剤、健康飲料、清涼飲料などの各種飲料に適用することができ、シロップ剤、ドリンク剤などの医薬品や医薬部外品への適用が好ましい
【実施例0028】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
【0029】
表1~6に示す組成の通り、塩酸水溶液及び水酸化ナトリウム水溶液以外の成分を精製水に溶解し、精製水で容量を調整した後、塩酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液でpHを調整し、調製液を得た。調製液をろ紙濾過後、ガラス瓶に充填しキャップを施して殺菌工程を経て試験溶液(実施例1~24、比較例1~19及び参考例1)を得た。なお、ニンジンエキスAはアルプス薬品工業社製のニンジンエキス-P、ニンジンエキスBはアルプス薬品工業社製のニンジン軟エキスB、インヨウカクエキスはアルプス薬品工業社製のインヨウカク軟エキス-C、ショウキョウエキスは松浦薬業社製のショウキョウエキス、ニクジュヨウエキスは松浦薬業社製のニクジュヨウエキス、オウセイエキスはアルプス薬品工業社製のオウセイ流エキス、ジョテイシエキスはアルプス薬品工業社製のジョテイシ軟エキス-C、トチュウエキスは日本粉末薬品社製のトチュウ葉抽出液、ヨクイニンエキスは日本粉末薬品社製のヨクイニン流エキス、コウジンエキスAは日本粉末薬品社製のコウジン流エキス、コウジンエキスBは日本粉末薬品社製の紅参エキス、コウジンエキスCは小城製薬社製のコウジン乾燥エキス-Aを使用した。
デキストリンAは松谷化学製の日局パインデックス#1、デキストリンBは松谷化学製の日局パインデックス#2を使用した。
【0030】
実施例1~24、比較例1~19及び参考例1の試験溶液を65℃の条件下で14日保存し、目視にて外観を評価し、表7の評価基準に従って外観評価結果とした。外観評価で沈殿がある場合でも、特に生薬が配合されている場合は商品化が可能な場合がある。外観評価の結果A0~A3が内服液剤として許容できる外観、B~Dが内服液剤として許容できない外観とした。
【0031】
処方及び外観評価結果を表1~6に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
【表5】
【0037】
【表6】
【0038】
【表7】
【0039】
表1~6に示したように、ポリビニルピロリドン及びデキストリンをそれぞれ単独で配合した内服液剤では、内服液剤として許容できないほど多くの沈殿の生成が認められた(比較例1~19)。一方、ポリビニルピロリドン及びデキストリンを同時配合した内服液剤では、比較例と比較して沈殿の生成が少ないことが明らかとなった(実施例1~24)。
【0040】
(製剤例)
表8~12に製剤例を示す。
【0041】
【表8】
【0042】
【表9】
【0043】
【表10】
【0044】
【表11】
【0045】
【表12】
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明により、沈殿の生成が抑制された安定な生薬エキス配合内服液剤の提供が可能となった。