(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152686
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】電動ラチェットレンチ
(51)【国際特許分類】
B25B 21/00 20060101AFI20241018BHJP
B25B 23/18 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B25B21/00 B
B25B21/00 520A
B25B23/18
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024063857
(22)【出願日】2024-04-11
(31)【優先権主張番号】112113672
(32)【優先日】2023-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】112211439
(32)【優先日】2023-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】508243684
【氏名又は名称】鑽全實業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユィ ター
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038AA04
3C038BC04
3C038CD05
3C038DA06
3C038EA05
(57)【要約】
【課題】電動ラチェットレンチの提供。
【解決手段】ツールヘッドユニット2と、出力ユニット3と、レンチ本体ユニット4と、電動ユニットと、制御ユニットとを含む。レンチ本体ユニット4は、前方空間と中間空間と後方空間とを画成し、最大把持長さL1を有し、且つ最大幅Hを有するスリーブ部材42を含み、最大把持長さL1と最大幅Hとの比が3~9の範囲内にある。前記電動ユニットは、レンチ本体ユニット4の後リング部に接続されており且つ電気エネルギーを運動エネルギーに変換する電動モータと、レンチ本体ユニット4の前リング部に接続されており且つ前記運動エネルギーを出力ユニット3のヘッド駆動装置31に送る伝動サブユニットとを含む。前記制御ユニットは、前記電動モータと信号的に接続されている前記制御モジュールと、前記前記制御モジュールと電気的に接続されており且つ電気エネルギーを供給する電池モジュールとを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ツールヘッドユニットと、出力ユニットと、レンチ本体ユニットと、電動ユニットと、制御ユニットとを含み、
前記ツールヘッドユニットは、第1の軸に沿って延伸し、
前記出力ユニットは、前記ツールヘッドユニットに取り付けられているヘッド駆動装置を含み、前記第1の軸と交差する第2の軸に沿って延伸し、且つ、選択した方向に回転し且つ回転エネルギーを出力するように構成されており、
前記レンチ本体ユニットは、前記第1の軸に沿って延伸し、着脱可能に前記ツールヘッドユニットに接続されているものであり、前記ツールヘッドユニットに近接する前方空間と、前記第1の軸に沿って前記前方空間とは反対の位置にある後方空間と、前記前方空間と前記後方空間との間に配置されて前記前方空間と前記後方空間と空間的に連通する中間空間と、を画成し、前記第1の軸に沿って延伸する最大把持長さを有し、且つ、スリーブ部材を含み、
前記スリーブ部材は、前記第1の軸に沿って延伸し、前記第1の軸を囲繞する外表面と、前記第1の軸に対して垂直であり、前記第1の軸に対して垂直である方向に沿って反対の位置にある前記外表面の2つの末端を通過し、前記スリーブ部材の他の部分の前記第1の軸に対して垂直である幅より大きい最大幅と、を有し、前記最大把持長さと前記最大幅との比が3~9の範囲内にあり、
前記電動ユニットは、前記中間空間に取り付けられており、且つ、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するように動作することができる電動モータと、
前記前方空間に取り付けられており、且つ、前記運動エネルギーを前記ヘッド駆動装置に送るように構成されている伝動サブユニットと、を含み、
前記制御ユニットは、前記レンチ本体ユニットに取り付けられているものであり、且つ、
前記電動モータと信号的に接続されている制御モジュールと、
前記後方空間に配置されており、前記制御モジュールと電気的に接続されており、且つ、電気エネルギーを供給するように構成されている電池モジュールと、を含む、電動ラチェットレンチ。
【請求項2】
前記レンチ本体ユニットは、前記後方空間を画成する前記スリーブ部材により囲繞されている部分を有する支持リングを更に含み、
前記支持リングは、前記前方空間を画成し且つ前記ツールヘッドユニットと接続されている前リング部と、
前記第1の軸に沿って前記前リング部の反対位置にあり且つ前記中間空間を画成する後リング部と、を含み、
前記電動モータは、前記支持リングと接続されており、且つ、前記後リング部の前記第1の軸に沿った長さより短い前記第1の軸に沿った長さを有する、請求項1に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項3】
前記電動モータは、前記前方空間内に延伸し且つ前記第1の軸を中心に回転可能なスピンドルを含み、
前記伝動サブユニットは、前記前リング部と係合している内歯車リングと、
前記スピンドルと共に回転できるように前記スピンドルと接続されており、且つ、前記内歯車リングと噛み合っている複数の遊星歯車と、
前記複数の遊星歯車と噛み合って前記複数の遊星歯車に駆動されて回転し且つ運動エネルギーを前記ヘッド駆動装置に送るギヤプレートと、を含む、請求項2に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項4】
前記支持リングの前記前リング部は、その内表面に形成されており且つその縁から前記後リング部に向かって延伸する複数の溝を有し、
前記内歯車リングは、その外表面に形成されており且つそれぞれが前記複数の溝とそれぞれ係合している複数のリブを含む、請求項3に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項5】
前記レンチ本体ユニットは、前記第1の軸に沿って前記レンチ本体ユニットが前記ツールヘッドユニットと接続され且つ前記ツールヘッドユニットから着脱可能になるように、前記支持リングの前記前リング部と前記ツールヘッドユニットと螺合している接続リングを更に含む、請求項2に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項6】
前記スリーブ部材は、その外表面から前記第2の軸と実質的に平行する方向で前記支持リングに向かって延伸して収納部を画成する2つの収納部画成壁と、
前記2つの収納部画成壁にそれぞれ形成されている2つのガイド溝と、を有し、
前記制御ユニットは、前記スリーブ部材と接続されており、前記収納部に回転可能に配置されており、前記電動モータをオンにするように動作することができ、且つ、2つのフランジ部を含むトリガーを更に含み、
前記2つのフランジ部は、前記トリガーの両反対側に形成されており、それぞれが前記2つのガイド溝に受け入れられており、且つ、前記2つのガイド溝に相対的に前記第2の軸と平行する方向で移動できる、請求項5に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項7】
前記制御ユニットは、前記制御モジュールと電気的に接続されているセンサーを更に含み、
前記トリガーは、前記第2の軸と実質的に平行する方向で前記センサーに向かって延伸し且つ前記センサーに相対的に移動できるトリガー部を更に含み、
前記制御モジュールは、前記センサーが前記トリガー部に押される時に前記センサーからの感知信号を受信すると前記電動モータをオンにするように構成されている、請求項6に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項8】
前記トリガーは、前記スリーブ部材に枢動可能に接続され、且つ、押圧位置と通常位置との間で前記スリーブ部材に相対的に枢動することができ、
前記押圧位置は、前記トリガーの前記トリガー部が前記センサーを押している位置であり、
前記通常位置は、前記トリガー部が前記センサーと間隔を開け且つ前記トリガーが前記第1の軸と共に画成する夾角が2度~5度の範囲内にある位置である、請求項7に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項9】
前記制御ユニットは発光素子を更に含み、前記発光素子は、前記スリーブ部材に取り付けられており、前記制御モジュールと電気的に接続されており、前記ツールヘッドユニットと前記トリガーとの間に配置され、且つ、実質的に前記第2の軸へ光線を発するように構成されており、
前記発光素子が発する前記光線と前記第1の軸とが画成する夾角は、40度~50度の範囲内にある、請求項6に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項10】
前記レンチ本体ユニット及び前記ツールヘッドユニットは、前記第1の軸に沿って並んでおり、且つ、前記第1の軸に沿う最大総長さを有し、
前記最大総長さと前記最大幅との比は、4.5~11の範囲内にある、請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項11】
前記最大総長さと前記最大幅との比は、4.5~6の範囲内及び6~11の範囲内のうちの1者にある、請求項10に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項12】
前記制御モジュールは、前記スリーブ部材と接続されており、前記前方空間と隣接するように配置されており、且つ、前記電動モータをオンにするように動作することができるトリガーと、
前記スリーブ部材に取り付けられており、前記制御モジュールと電気的に接続されており、前記ツールヘッドユニットと前記トリガーとの間に配置され、且つ、実質的に前記第2の軸へ光線を発するように構成されている発光素子と、を更に含み、
前記最大幅は、前記中間空間及び前記発光素子を通過する、請求項10に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項13】
前記最大総長さは、121mm~260mmの範囲内にあり、前記最大把持長さは、70mm~200mmの範囲内にある、請求項10に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項14】
前記最大総長さは、210mm~220mmの範囲内にあり、前記最大把持長さは、145mm~155mmの範囲内にある、請求項13に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項15】
前記最大把持長さと前記最大幅との比は、4~9の範囲内及び3~4.2の範囲内のうちの1者にある、請求項14に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項16】
前記最大幅は、34mm~59mmの範囲内及び34mm~46mmの範囲内のうちの1者にある、請求項1~請求項9のいずれかの一項に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項17】
前記スリーブ部材は、前記第1の軸に対して垂直であり、前記第1の軸と交差する方向に沿って反対の位置にある前記外表面の2つの末端を通過し、前記中間空間を通過し、前記スリーブ部材の他の部分の前記第1の軸に対して垂直である幅より小さく、且つ、35mm~48mmの範囲内にある最小幅を更に有し、
前記最大幅は、前記後方空間を通過し、45.5mm~59mmの範囲内にある、請求項1~請求項9のいずれかの一項に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項18】
前記スリーブ部材は、前記第1の軸に対して垂直であり、前記第1の軸と交差する方向に沿って反対の位置にある前記外表面の2つの末端を通過し、前記中間空間を通過し、前記スリーブ部材の他の部分の前記第1の軸に対して垂直である幅より小さく、且つ、34mm~49mmの範囲内にある最小幅を更に有し、
前記最大幅は、前記後方空間を通過し、且つ、39mm~56mmの範囲内にある、請求項1~請求項9のいずれかの一項に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項19】
前記制御ユニットは、前記制御モジュールと電気的に接続されており且つ前記第1の軸と平行する方向で並んでいる複数の発光素子と、
前記電池モジュールの電力の残量を示すために前記レンチ本体ユニットに取り付けられている表示部材と、を更に含み、
前記表示部材は、前記第1の軸と平行する方向で並んでおり、且つ光を通す複数のウインドーと、
前記発光素子のそれぞれの1つが発する光線を前記ウインドーのそれぞれの1つへガイドするために、それぞれが前記発光素子のそれぞれの1つと前記ウインドーのそれぞれの1つとの間に配置されている複数の導光ストリップと、を含み、
前記制御ユニットは、前記電池モジュールの電力の残量に基づいて前記発光素子をオンにするように構成されており、オンにされる前記発光素子の数は前記電池モジュールの電力の残量と正の相関関係にある、請求項1~請求項9のいずれかの一項に記載の電動ラチェットレンチ。
【請求項20】
前記制御ユニットは、前記スリーブ部材と接続されており、前記前方空間と隣接するように配置されており、且つ、前記電動モータをオンにするように動作することができるトリガーと、
前記スリーブ部材に取り付けられており、前記制御モジュールと電気的に接続されており、前記ツールヘッドユニットと前記トリガーとの間に配置され、且つ、実質的に前記第2の軸へ光線を発するように構成されている発光素子と、を更に含み、
前記最大幅は、前記中間空間及び前記発光素子を通過する、請求項1~請求項9のいずれかの一項に記載の電動ラチェットレンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動ラチェットレンチに関し、より具体的には電池内蔵電動ラチェットレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
図1及び
図2に示されるように、引用文献1に開示されている従来の電動ラチェットレンチは、ツールヘッド部11と、ツールヘッド部11と接続されている本体12と、ツールヘッド部11に取り付けられており且つ回転エネルギーを出力する出力部材13と、本体12に取り付けられ且つ電気エネルギーを運動エネルギーに変換するように動作可能なモータ14と、本体12に取り付けられていてモータ14に電力を供給するバッテリーセル15と、ツールヘッド部11と本体12との間に取り付けられている前カバー16と、前カバー16に被せられ且つ運動エネルギーを送る減速ギアセット17と、ツールヘッド部11と本体12との間に移動可能に配置されており且つモータ14をオンにするためのクラウン部18とを含む。本体12は、前カバー16とモータ14とを囲繞する支持管121と、支持管121を囲繞し且つ把持用のハンドル122とを含む。
【0003】
従来の電動ラチェットレンチは、比較的大きな出力を提供するために、従来の電動ラチェットレンチに比較的大きな出力を有し、比較的大きな空間を占めるモータ14を搭載していた。更に、従来の電動ラチェットレンチ1は、前カバー16、減速ギヤセット17、支持管121を順次に1つずつ互いに被せ付けるため、従来の電動ラチェットレンチ1の全体積が、本体12の長手方向の長さ及び断面寸法と同じく、更に増加し且つ非常に大きくなり、小型化が困難である。したがって、従来の電動ラチェットレンチは、限られたスペース内で操作するのが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0266439号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本開示の目的は、従来技術の欠点の少なくとも1つを軽減することができる電動ラチェットレンチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によれば、電動ラチェットレンチは、ツールヘッドユニットと、出力ユニットと、レンチ本体ユニットと、電動ユニットと、制御ユニットとを含む。前記ツールヘッドユニットは、第1の軸に沿って延伸する。前記出力ユニットは、前記ツールヘッドユニットに取り付けられているヘッド駆動装置を含み、前記第1の軸と交差する第2の軸に沿って延伸し、且つ、選択した方向に回転し且つ回転エネルギーを出力するように構成されている。前記レンチ本体ユニットは、前記第1の軸に沿って延伸し、着脱可能に前記ツールヘッドユニットに接続されているものであり、前記ツールヘッドユニットに近接する前方空間と、前記第1の軸に沿って前記前方空間とは反対の位置にある後方空間と、前記前方空間と前記後方空間との間に配置されて前記前方空間と前記後方空間と空間的に連通する中間空間と、を画成し、前記第1の軸に沿って延伸する最大把持長さを有し、且つ、スリーブ部材を含む。前記スリーブ部材は、前記第1の軸に沿って延伸し、前記第1の軸を囲繞する外表面と、前記第1の軸に対して垂直であり、前記第1の軸に対して垂直である方向に沿って反対する前記外表面の2つの末端を通過し、前記スリーブ部材の他の部分の前記第1の軸に対して垂直である幅より大きい最大幅と、を有する。前記最大把持長さと前記最大幅との比が3~9の範囲内にある。前記電動ユニットは、前記中間空間に取り付けられており、且つ、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するために動作することができる電動モータと、前記前方空間に取り付けられており、且つ、前記運動エネルギーを前記ヘッド駆動装置に送るように構成されている伝動サブユニットと、を含む。前記制御ユニットは、前記レンチ本体ユニットに取り付けられているものであり、且つ、前記電動モータと信号的に接続されている制御モジュールと、前記後方空間に配置されており、前記制御モジュールと電気的に接続されており、且つ、電気エネルギーを供給するように構成されている電池モジュールと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の他の特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細に説明することにより明白になる。さまざまな特徴が正確な縮尺で描かれていない場合があることに注意されたい。
【
図1】米国特許出願公開第2022/0266439号明細書に開示された従来の電動ラチェットレンチの部分分解斜視図である。
【
図2】従来の電動ラチェットレンチの概略正面図である。
【
図3】本開示による電動ラチェットレンチの実施形態の斜視図である。
【
図4】電動ラチェットレンチのトリガーが通常位置にある状態を示す上記実施形態の断面図である。
【
図5】上記実施形態の一部を分解した斜視図である。
【
図6】上記実施形態の伝動サブユニットと支持リングの分解斜視図である。
【
図7】
図4のVII-VII線に沿った断面図である。
【
図8】
図4のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図4と同様の図であるが、押圧位置にあるトリガーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示をより詳細に説明する前に、適切と考えられる場合には、参照数字または参照数字の末端部分が、対応するまたは類似する要素を示すために図間で繰り返されており、これらは任意に同様の特性を有することができることに留意されたい。
【0009】
本明細書では、説明を明確にするために、「頂」、「底」、「上」、「下」、「上に」、「より上に」、「超え」、「下方に」、 「上方に」などの用語は、図面に示される特徴を参照しながら、開示全体を通じて使用される場合がある。特徴は異なる向き(例えば、90度回転または他の向き)であってもよく、本明細書で使用される空間相対用語はそれに応じて解釈されてもよい。
【0010】
図3、
図4及び
図5を参照すると、本開示の電動ラチェットレンチの実施形態は、ツールヘッドユニット2と、出力ユニット3と、レンチ本体ユニット4と、電動ユニット5と、制御ユニット6とを含む。
【0011】
この実施形態において、ツールヘッドユニット2は、H形部21と、H形部21と接続されており且つ第1の軸に沿って延伸する頸部22とを含む。
【0012】
出力ユニット3は、ヘッド駆動装置31とヨーク32とを含む。
【0013】
ヘッド駆動装置31は、ツールヘッドユニット2のH形部21に取り付けられており、該第1の軸と交差する第2の軸に沿って延伸し、且つ、選択した方向に回転するように構成され、且つ、回転エネルギーを出力する。この実施形態において、該第2の軸は該第1の軸と実質的に垂直である。
【0014】
ヨーク32は、ヘッド駆動装置31を囲繞する環状歯部321と、頸部22内に延伸する作動部322とを含む。
【0015】
出力ユニット3は、関連技術においてよく知られており、本開示の弁別的な特徴ではないため、簡潔を期すために、さらなる詳細は以下の説明では省略される。
【0016】
図4~
図6を参照すると、レンチ本体ユニット4は、該第1の軸に沿って延伸し、着脱可能にツールヘッドユニット2の頸部22に接続されている。レンチ本体ユニット4は、該第1の軸を囲繞し且つ前方空間401及び中間空間402を画成する支持リング41と、支持リング41の一部に被せられており且つ後方空間403を画成するスリーブ部材42と、支持リング41と接続されており且つ該第1の軸に沿ってスリーブ部材42とは反対の位置にある接続リング43とを含む。前方空間401と中間空間402と後方空間403とは、順に該第1の軸に配置されている。中間空間402は、前方空間401と後方空間403と空間的に連通している。
【0017】
支持リング41は、前方空間401を画成する前リング部411と、該第1の軸に沿って前リング部411とは反対の位置にあり、且つ、中間空間402を画成する後リング部412とを含む。前リング部411は、その内表面に形成されており且つその縁から後リング部412に向かって延伸する複数の溝413を有する。後リング部412は、後リング部412の外表面及び内表面を通って形成されている複数のスロット414を有する。
【0018】
図5~
図7を参照すると、この実施形態において、スリーブ部材42は、該第1の軸に沿って延伸し、互いに係合した2つの半体421からなり、該第1の軸を囲繞する外表面420を有し、且つ、その内表面に形成されており、それぞれが後リング部412の複数のスロット414と係合する複数の突起422を含む。突起422の数は、スロット414の数と同じであり、この実施形態においては、4つである。突起422とスロット414とが互いに接続されていることにより、スリーブ部材42と支持リング41との間の接続強度が高まる。スリーブ部材42は、その外表面420から該第2の軸と実質的に平行な方向に支持リング41に向かって延伸して収納部423を画成する2つの収納部画成壁424と、2つの収納部画成壁424にそれぞれが形成されている2つのガイド溝425(
図8を参照)とを有する。
【0019】
接続リング43は、レンチ本体ユニット4がツールヘッドユニット2と着脱可能に接続されるように、支持リング41の前リング部411とツールヘッドユニット2の頸部22と螺合する。
【0020】
図4~
図6を参照すると、電動ユニット5は、電動モータ51と伝動サブユニット52とを含む。
【0021】
電動モータ51は、中間空間402に取り付けられており、且つ、支持リング41の後リング部412と接続されている。電動モータ51は、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するように動作することができるものであり、且つ、前方空間401内に延伸し且つ該第1の軸を中心に回転可能なスピンドル511と、スピンドル511に被せられており且つスピンドル511と共に回転可能にスピンドル511と接続されている伝動歯車512とを含む。この実施形態において、電動モータ51の最大出力パワーは、55ワットであり、且つ、電動モータ51は、後リング部412の該第1の軸に沿った長さより短い、第1の軸に沿った長さを有する。
【0022】
伝動サブユニット52は、前方空間401に取り付けられており、且つ、前リング部411と接続されている。伝動サブユニット52は、運動エネルギーを電動モータ51からヘッド駆動装置31に送るように構成されている。この実施形態において、伝動サブユニット52は、前リング部411と係合している内歯車リング521と、内歯車リング521と噛み合っていると共に、スピンドル511と共に回転できるようスピンドル511と接続されるように伝動歯車512と係合している複数の遊星歯車522と、複数の遊星歯車522及びヨーク32と接続されているギヤプレート523とを含む。内歯車リング521は、その外表面に形成されており且つ複数の溝413のそれぞれと係合している複数のリブ524を含む。この実施形態において、複数の溝413は、互いに等角度で間隔を空けており、且つ、複数のリブ524は、形状がそれぞれ溝413と相補的であり且つ溝413と位置合わせされている。更に、リブ524の数は、溝413の数と同じであり、この実施形態においては、4つである。ギヤプレート523は、遊星歯車522と噛み合って遊星歯車522に駆動されることによりヨーク32を回転させ且つ運動エネルギーをヘッド駆動装置31に送る。
【0023】
制御ユニット6は、レンチ本体ユニット4に取り付けられているものであり、且つ、制御モジュール61とセンサー62と第1の発光素子63と4つの第2の発光素子64と電池モジュール65と表示部材66とトリガー67と弾性素子68とを含む。
【0024】
制御モジュール61は、中間空間402の一部及び後方空間403に配置され、且つ、電動モータ51と信号的に接続されている。
【0025】
センサー62は、制御モジュール61と電気的に接続されており、且つ、トリガー67に押されると感知信号を制御モジュール61に出力するように動作することができる。トリガー67は、スリーブ部材42と接続されており、2つの収納部画成壁424により画成される収納部423に配置されており、電動モータ51をオンにするように動作することができる。
【0026】
第1の発光素子63は、スリーブ部材42に取り付けられており、且つ、制御モジュール61と電気的に接続されている。この実施形態において、第1の発光素子63は、ツールヘッドユニット2の頸部22とトリガー67との間に配置され、且つ、実質的に該第2の軸に向いて光線を発するように構成されている。第1の発光素子63から発する光線と該第1の軸とにより第1の夾角(θ1)が画成され、第1の夾角(θ1)は40度~50度の範囲内にある。この実施形態において、第1の夾角(θ1)は、45度である。
【0027】
各第2の発光素子64は、制御モジュール61と電気的に接続されており、且つ、該第1の軸と平行する方向で並んでいる。
【0028】
電池モジュール65は、後方空間403に配置されており、制御モジュール61と電気的に接続されており、且つ、電気エネルギーを供給するように構成されている。この実施形態において、電池モジュール65は、電動モータ51、制御モジュール61、センサー62、第1の発光素子63及び各第2の発光素子64に電気エネルギーを供給するバッテリー651を含む。バッテリー651は、電気エネルギーを蓄える再充電可能なリチウム電池であるが、本開示はこれに限定されない。
【0029】
図4、
図5及び
図7を参照すると、表示部材66は、電池モジュール65の電力の残量を示すためにレンチ本体ユニット4のスリーブ部材42に取り付けられている。表示部材66は、該第1の軸と平行する方向で並んでいる4つのウインドー661と、第2の発光素子64のそれぞれの1つが発する光線をウインドー661のそれぞれの1つへガイドするために、それぞれが第2の発光素子64のそれぞれの1つとウインドー661のそれぞれの1つとの間に配置されている4つの導光ストリップ662とを含む。
【0030】
トリガー67は、スリーブ部材42に枢動することができるように接続されており、且つ、収納部423に回転可能に配置されている。具体的に、トリガー67は、その両反対側に形成されており且つそれぞれが各ガイド溝425に受け入れられている2つのフランジ部671(
図8を参照)と、該第2の軸と実質的に平行する方向でセンサー62へ延伸し且つセンサー62に相対的に移動できるトリガー部672とを含む。トリガー67は、押圧位置(
図9を参照)と通常位置(
図4を参照)との間でスリーブ部材42に相対的に枢動することができる。トリガー67が押圧位置に位置すると、トリガー67のトリガー部672は、センサー62を押している。トリガー67が通常位置に位置すると、トリガー67のトリガー部672は、センサー62と間隔を開け且つトリガー67が該第1の軸と共に画成する第2の夾角(θ2)が2度~5度の範囲内にある。この実施形態において、第2の夾角(θ2)は、3度である。
【0031】
弾性素子68は、スリーブ部材42とトリガー67の間に取り付けられており、且つ、トリガー67に通常位置に向かってセンサー62から遠ざかるように付勢する力を提供する。
【0032】
制御モジュール61は、センサー62からの感知信号を受信すると、電動モータ51及び第1の発光素子63をオンにし、センサー62がトリガー部672に押されていない状態で感知信号を受信していないと、電動モータ51をオフにし、電動モータ51がオフになってから所定期間が経過した後、第1の発光素子63をオフにする、ように構成されている。この実施形態において、該所定期間は10秒であるが、これに制限しない。
【0033】
制御モジュール61は、電池モジュール65の電力の残量に基づいて第2の発光素子64をオンにするように更に構成されている。オンにされる各第2の発光素子64の数は、電池モジュール65の電力の残量と正の相関関係にある。例えば、電池モジュール65の電力の残量の百分率は、25、50、75及び100という等差数列であり得る。電池モジュール65の電力の残量の百分率が100%である時に、制御モジュール61は、4つの第2の発光素子64をオンにする。このように、各第2の発光素子64が発する光線は、光が4つのウインドー661の外側へ放出されるように、それぞれの1つの導光ストリップ662に沿ってそれぞれの1つのウインドー661へ伝わる。同様に、電池モジュール65の電力の残量の百分率が75%である時に、制御モジュール61は、3つの第2の発光素子64をオンにする。電池モジュール65の電力の残量の百分率が50%である時に、制御モジュール61は、2つの第2の発光素子64をオンにする。電池モジュール65の電力の残量の百分率が25%である時に、制御モジュール61は、1つの第2の発光素子64をオンにする。電池モジュール65の電力の残量の百分率が0%である時に、制御モジュール61は、第2の発光素子64をオンにしないので、4つの第2の発光素子64は光を発しない。
【0034】
図3、
図4、
図7及び
図8を参照すると、レンチ本体ユニット4は、該第1の軸に沿って延伸する最大把持長さ(L1)を有する。レンチ本体ユニット4及びツールヘッドユニット2は、該第1の軸に沿って並んでおり且つ該第1の軸に沿う最大総長さ(L2)を有する。スリーブ部材42は、該第1の軸に対して垂直であり、該第1の軸と交差する方向に沿って反対の位置にある外表面420の2つの末端を通過し、スリーブ部材42の他の部分の該第1の軸に対して垂直である幅より大きい最大幅を有する。スリーブ部材42は、該第1の軸に対して垂直であり、該第1の軸と交差する方向に沿って反対の位置にある外表面420の2つの末端を通過し、中間空間402を通過し、スリーブ部材42の他の部分の該第1の軸に対して垂直である幅より小さい最小幅を更に有する。
【0035】
最大把持長さ(L1)は、70mm~200mmの範囲内にある。一部の実施形態において、最大把持長さ(L1)は、145mm~155mm、70mm~150mm、70mm~110mmまたは70mm~102mmの範囲内にある。この実施形態において、最大把持長さ(L1)は、150mmである。最大総長さ(L2)は、121mm~260mmの範囲内にある。一部の実施形態において、最大総長さ(L2)は、121mm~215mm、121mm~160mm、121mm~153mmまたは210mm~220mmの範囲内にある。最大幅は、34mm~59mmの範囲内にある。一部の実施形態において、最大幅は、39mm~56mm、34mm~46mm、45.5mm~59mmまたは40mm~46mmの範囲内にある。この実施形態において、最大幅は、44mmである。最小幅は、34mm~49mmの範囲内にある。この実施形態において、最小幅は、35mm~48mmの範囲内にある。
【0036】
最大総長さ(L2)と最大幅との比は、3~9の範囲内にある。一部の実施形態において、最大総長さ(L2)と最大幅との比は、4~9、3~4.2または3~4の範囲内にある。最大総長さ(L2)と最大幅との比は、4.5~11の範囲内にある。一部の実施形態において、最大総長さ(L2)と最大幅との比は、6~11または4.5~6の範囲内にある。この実施形態において、最大総長さ(L2)と最大幅との比は、5.1である。
【0037】
該最大幅と該最小幅とは、中間空間402及び発光素子63を通過しない場合もある。本開示の他の実施形態において、
図8に示されるように、該最大幅と該最小幅とは、後方空間403を通過する。該最大幅は、最大把持長さ(L1)と最大幅との比、及び最大総長さ(L2)と最大幅との比がそれぞれ上記範囲内にあれば、該第1の軸に沿って変更することができる。
【0038】
使用者がレンチ本体ユニット4を把持し且つトリガー67を押してトリガー67を押圧位置に移動すると、トリガー部672がセンサー62を押すので、センサー62が感知信号を制御モジュール61に出力する。このように、制御モジュール61は、感知信号を受信すると電動モータ51及び第1の発光素子63をオンにする。
【0039】
その際、第1の発光素子63が発する光線は、実質的に該第2の軸へ向かっており、これにより、ヘッド駆動装置31の下方に配置されヘッド駆動装置31により駆動されるボルトやナット(図示せず)が第1の発光素子63の発光範囲内に入って照明される。
【0040】
電動モータ51からの運動エネルギーは、伝動サブユニット52によって送られて、ヨーク32の作動部322を駆動して枢動させ、且つ、環状歯部321を介してヘッド駆動装置31を駆動して該第2の軸を中心に回転させ、それにより電動ラチェットレンチがボルトやナット(図示せず)を締めたり緩めたりすることができるようにする。
【0041】
使用者がトリガー67をリリースし、弾性素子68によりトリガー67が通常位置に戻されると、センサー62が制御モジュール61への感知信号の出力を停止するので、電動モータ51は直ちにオフにされ、且つ、第1の発光素子63は、電動モータ51がオフになってから該所定期間例えば10秒が経過した後オフにされる。
【0042】
結論として、上記の実施形態の利点は以下の通りである。
【0043】
第1に、支持リング41により、電動ラチェットレンチの構造強度は比較的に高く、段差がなく比較的に滑らかな外観を提供することもできる。更に、電動ラチェットレンチの最大把持長さ(L1)、最大総長さ(L2)及び最大幅は比較的に短いので、電動ラチェットレンチの全体の体積は比較的にコンパクトであり、限られたスペース内での電動ラチェットレンチの操作に有益である。
【0044】
第2に、電動モータ51は、レンチ本体ユニット4を把持している指でトリガー67を簡単に押すことにより作動することができ、これは非常に便利で使いやすい。
【0045】
第3に、第1の発光素子63は、電動ラチェットレンチに駆動される部品を照明して電動ラチェットレンチの使用に役に立つ。
【0046】
上記においては、説明のため、実施形態の完全な理解を促すべく多くの具体的な詳細が示された。しかしながら、当業者であれば、一またはそれ以上の他の実施形態が具体的な詳細を示さなくとも実施され得ることが明らかである。また、本明細書における「一つの実施形態」「一実施形態」を示す説明において、序数などの表示を伴う説明は全て、特定の態様、構造、特徴を有する本発明の具体的な実施に含まれ得るものであることと理解されたい。更に、本説明において、時には複数の変化例が一つの実施形態、図面、またはこれらの説明に組み込まれているが、これは本説明を合理化させるためのもので、また、本開示の多面性が理解されることを目的としたものであり、また、一実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例は、適切な場合には、本開示の実施において、他の実施形態における一またはそれ以上の特徴あるいは特定の具体例と共に実施され得る。
【符号の説明】
【0047】
2 ツールヘッドユニット
21 H形部
22 頸部
3 出力ユニット
31 ヘッド駆動装置
32 ヨーク
321 環状歯部
322 作動部
4 レンチ本体ユニット
401 前方空間
402 中間空間
403 後方空間
41 支持リング
411 前リング部
412 後リング部
413 溝
414 スロット
42 スリーブ部材
420 外表面
421 半体
422 突起
423 収納部
424 収納部境界壁
425 ガイド溝
43 接続リング
5 電動ユニット
51 電動モータ
511 スピンドル
512 伝動歯車
52 伝動サブユニット
521 内歯車リング
522 遊星歯車
523 ギヤプレート
524 リブ
6 制御ユニット
61 制御モジュール
62 センサー
63 第1の発光素子
64 第2の発光素子
65 電池モジュール
651 バッテリー
66 表示部材
661 ウインドー
662 導光ストリップ
67 トリガー
671 フランジ部
672 トリガ部
68 弾性素子
θ1 第1の夾角
θ2 第2の夾角
L1 最大把持長さ
L2 最大総長さ
【外国語明細書】