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特開2024-152699組み合わされたアブレーションモダリティのためのカテーテル及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152699
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】組み合わされたアブレーションモダリティのためのカテーテル及びシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20241018BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024064528
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】63/496,218
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/317,698
(32)【優先日】2023-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK54
4C160KK63
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】心臓内又は心臓付近でパルスフィールドアブレーションを実行するデバイス及び方法を提供すること。
【解決手段】開示された技術は、心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用するためのシステムを含む。システムは、カテーテル及びプロセッサを含む。カテーテルは、パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出し、肺静脈の生体組織の1つ以上の位置をアブレーションするように制御される先端電極を含むことができる。プロセッサは、パルス電界アブレーション中に先端電極が生体組織に接して受ける接触力を測定し、損傷が十分に耐久性があるか否かを決定することができるように、1つ以上の位置のうちの各位置について、測定された接触力及びパルス電界印加の回数の関数としてパルスフィールドアブレーション指標を決定するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用するためのシステムであって、
パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出し、肺静脈の生体組織の1つ以上の位置をアブレーションするように制御される先端電極を備えるカテーテル、及び、
プロセッサ、を備え、前記プロセッサが、
パルス電界アブレーション中に生体組織に接して前記先端電極が受ける接触力を測定し、
損傷が十分に耐久性があるか否かを決定することができるように、前記1つ以上の位置のうちの各位置について、前記測定された接触力及びパルス電界印加の回数の関数としてパルスフィールドアブレーション指標を決定するように構成されている、システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、

【数1】
によって定義される前記パルスフィールドアブレーション指標を計算するように更に構成され、
式中、nは、パルス電界印加の印加回数であり、AIは、パルス印加毎の指標であり、
式AI=A(B ln(力)+C)によって定義され、
式中、Aは90~130の範囲の数であり、Bは、
式B=B ln(n)+Bによって決定されるパラメータであり、
は、
式C=C exp(C n)によって決定されるパラメータである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
は、およそ0.2653に等しく、Bは、およそ0.1623に等しく、
は、およそ0.6862に等しく、Cは、およそ0.0867に等しい、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記計算されたパルスフィールドアブレーション指標が予め指定された目標アブレーション指標値に達することに応答して、前記パルスフィールドアブレーション適用の適用を停止するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記パルスフィールドアブレーション指標及び前記予め指定された目標アブレーション指標値をユーザに提示するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記アブレーション指標は、損傷の推定体積、前記損傷の推定深さ、又は前記損傷の推定直径のうちの少なくとも1つに対応する、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは、
高出力で高周波信号を提供するように構成された交流(AC)信号発生器と、
高電圧パルスを提供するように構成された直流(DC)信号発生器と、を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記高周波信号及び前記高電圧パルスが、順次又は同時のいずれかで前記器官組織に印加される、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記高周波信号が、少なくとも25ワットの出力を供給される、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記高周波信号が、350kHz~約500kHzの周波数を含み、前記高周波信号が、少なくとも1秒の持続時間にわたって提供される、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記高電圧パルスが少なくとも800Vの振幅を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記高電圧パルスの各々の持続時間が20マイクロ秒未満である、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
隣り合うパルス列の間に、0.3~1000ミリ秒から選択された任意の値の時間差が提供される、請求項7に記載のシステム。
【請求項14】
複数のパルス列がPFAバーストを提供し、前記PFAバーストが、0~500ミリ秒から選択された任意の値を含む前記PFAバーストの持続時間を有する2~100の任意の値のパルス列を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項15】
前記高電圧パルスがおよそ60ジュール以下を提供する、請求項7に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記パルスフィールドアブレーションによって生成される電界をシミュレートして、損傷の計画体積、前記損傷の計画深さ、又は前記損傷の計画直径のうちの少なくとも1つを推定するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
焦点アブレーションカテーテルであって、
管状部材を備え、前記管状部材は、ハンドルと、接触力センサと、前記管状部材の遠位端に設けられた先端電極との間で長手方向軸に沿って延在し、
前記先端電極は、エネルギー発生器に電気的に接続され、前記エネルギー発生器は、生体組織をアブレーションするために、プロセッサの制御下で、生体組織の1つ以上の位置において、前記先端電極を介して生体組織にパルス電界又は高周波信号のいずれかを放出するように制御され、
前記接触力センサが、前記先端電極に結合され、前記プロセッサに電気的に接続されて、パルス電界アブレーション中に生体組織に接して前記先端電極が受ける接触力の指標を提供し、それにより、アブレーション指標が、心臓内の前記1つ以上の位置のうちの各位置について、前記先端電極の前記測定された接触力と、パルス電界印加の回数との関数として前記プロセッサによって決定される、焦点アブレーションカテーテル。
【請求項18】
前記パルスフィールドアブレーション指標は、

【数2】
によって決定され、
式中、nは、パルス電界印加の印加回数であり、AIは、パルス印加毎の指標であり、
式AI=A(B ln(力)+C)によって定義され、
式中、Aは、90~130の範囲の数であり、Bは、
式B=B ln(n)+Bによって決定されるパラメータであり、
は、
式C=C exp(C n)によって決定されるパラメータである、請求項17に記載のカテーテル。
【請求項19】
は、およそ0.2653に等しく、Bは、およそ0.1623に等しく、
は、およそ0.6862に等しく、Cは、およそ0.0867に等しい、請求項17に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2023年4月14日に出願された先願の米国特許仮出願第63/496,218号の、米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、当該米国特許仮出願は、本明細書に完全に記載されるように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、心臓内又は心臓付近でパルスフィールドアブレーションを実行するデバイス及び方法に関する。デバイス及び方法は、高周波電気信号を使用するマッピング及び/又は熱アブレーションにも有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
心房細動(AF)などの心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣り合う組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を妨害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。望ましくない信号源は、典型的には、心房及び心室の組織に位置する。発信源にかかわらず、望ましくない信号は、心臓組織を通って他の場所に伝わり、不整脈を引き起こすか、又は不整脈を継続させる場合がある。
【0004】
心不整脈の治療は、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正するために、整脈を引き起こす電気信号の電動経路を遮断することができる。このような処置は典型的に、(1)マッピング、及び(2)アブレーションの2段階プロセスを含む。マッピング中、好ましくは高密度の電極を備えたエンドエフェクタを有するカテーテルが標的組織を横切って移動し、電気信号が各電極から取得され、取得された信号に基づいてマップが生成される。アブレーション中、非導電性の損傷がマップに基づいて選択された領域に形成され、これらの領域を介して電気信号を破壊する。現在、最も一般的なアブレーション技術は、電極を介して高周波(radio frequency、RF)電気信号を組織に印加して熱を発生させることを含む。組織全体に短い持続時間の高電圧パルスを印加して細胞死を引き起こすことを含む不可逆的エレクトロポレーション(IRE)アブレーションは、より最近開発された技術であり、パルスフィールドアブレーション(PFA)と呼ばれることもある。典型的には、RF及びPFAは、別個の異なる技術として適用される。PFAアブレーションによって形成される損傷は、パルスのパラメータ、PFA適用の回数、並びにアブレーション電極が組織壁に押し付けられる接触力に関連する。典型的には、パルスのパラメータ、例えば、振幅、持続時間、列内のパルス数などが事前設定され、PFA適用の回数並びに接触力は、ユーザによって操作されることができ、しかしながら、ユーザは、所望の損傷深さを得るために、どの程度の接触力及び/又は適用回数が必要とされるかを確信しない場合がある。
【0005】
以前の解決方法は、2つ以上の別個のカテーテル(例えば、1つは電極電位及び温度測定用であり、別のカテーテルはアブレーション用である)を使用しており、所望の損傷深さの指標はない。本明細書に開示される実施形態は、2つの測定を容易にし、単一のカテーテルを使用して高周波電磁エネルギーを使用するアブレーションを可能にし、加えて、アブレーションが開始される前にPFAアブレーション指標を予測する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
概して、本明細書に提示される例は、心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用するためのシステムを含むことができる。システムは、カテーテル及びプロセッサを含むことができる。カテーテルは、パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出し、肺静脈の生体組織の1つ以上の位置をアブレーションするように制御される先端電極を含むことができる。プロセッサは、パルス電界アブレーション中に先端電極が生体組織に接して受ける接触力を測定し、損傷が十分に耐久性があるか否かを決定することができるように、1つ以上の位置のうちの各位置について、測定された接触力及びパルス電界印加の回数の関数としてパルスフィールドアブレーション指標を決定するように構成することができる。
【0007】
本開示の例示的な実施形態は、焦点アブレーションカテーテルを含む。焦点アブレーションカテーテルは、ハンドルと、接触力センサと、管状部材の遠位端にある先端電極との間で長手方向軸に沿って延在する管状部材を含むことができる。先端電極は、エネルギー発生器に電気的に接続され得、エネルギー発生器は、生体組織をアブレーションするために、プロセッサの制御下で、生体組織の1つ以上の位置において、先端電極を介して生体組織にパルス電界又は高周波信号のいずれかを放出するように制御される。接触力センサは、先端電極に物理的に接続され、プロセッサに電気的に接続されて、パルス電界アブレーション中に生体組織に接して先端電極が受ける接触力の指標を提供することができ、それにより、アブレーション指標が、心臓内の1つ以上の位置のうちの各位置について、先端電極の測定された接触力と、パルス電界印加の回数との関数として決定される。
【0008】
本開示の例示的な実施形態は、心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用する方法を含む。本方法は、先端電極を送達することを含むことができる。本方法はまた、先端電極から、パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出することと、パルス電界の放出中に生体組織に接して先端電極が受ける接触力を測定することと、を含むことができる。本方法はまた、先端電極を用いて肺静脈の標的組織の1つ以上の位置をアブレーションすることと、パルス電界アブレーションからの1つ以上の位置のうちの各位置について、先端電極の測定された接触力の表現と、パルス電界印加の回数との関数として、損傷が十分に耐久性があるか否かに関する決定することができるように、アブレーション指標を決定することと、を含む。
【0009】
上記の目的及び関連する目的の実現のために、特定の例示的な態様について、以下の説明及び添付の図面に関連して本明細書に説明する。しかし、これらの態様は、特許請求の範囲の主題の原理を用いることができる様々な方法のいくつかだけを示しており、特許請求の範囲の主題は、全てのそのような態様及びその均等物を包含することを意図したものである。他の利点及び新規な特徴は、図面に関連して考慮したとき、以下の詳細な説明から明らかになり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の上記及び更なる態様は、添付の図面と併せて以下の説明を参照して更に考察され、様々な図面において、同様の数字は、同様の構造要素及び特徴を示す。図面は、必ずしも縮尺どおりではなく、代わりに、本発明の原理を例示することに主眼が置かれている。図は、限定としてではなく単なる例解として、本発明のデバイスの1つ以上の実装形態を描写している。
図1】開示された技術による、使用することができる例示的な医療用プローブを含む医療システムの概略描画図である。
図2A】開示された技術による、図1のシステムとともに使用するためのカテーテルの側面図である。
図2B】開示された技術による、図1のシステムとともに使用するためのカテーテルの斜視図である。
図3A】接触力センサ、三軸位置センサ、及びカテーテルシャフトに結合された先端電極を有するカテーテル遠位端の拡大斜視図である。
図3B】開示された技術による、図3Aのカテーテルが心腔内の心臓壁と接触している心腔の概略断面図である。
図4A】開示された技術による、正面図(図4A)及び背面図(図4B)を含む、システムセットアップのための接続図である。
図4B】開示された技術による、正面図(図4A)及び背面図(図4B)を含む、システムセットアップのための接続図である。
図5】開示された技術による、デバイス及びそれらの機能の例を要約する表である。
図6】開示された技術による、カテーテルのための推奨動作フロー設定を要約する表である。
図7】開示された技術による、試験の処置中に左心房をセグメント化するためのVISITAG(商標)設定の概略図を提供する。
図8】開示された技術による、RFエネルギー及びPFAエネルギーを使用して患者群の心房細動を治療する方法のフローチャートを示す。
図9】開示された技術による、図8のフローチャートに利用されるようなPFAのアブレーション指標の全体的なフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
参照により本明細書に組み込まれる文書は本出願の一体部とみなされるべきであり、いかなる用語も、それらの組み込まれた文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0012】
開示された技術の例示的な実施形態が本明細書に詳述されるが、他の実施形態が企図されることを理解すべきである。したがって、以下の説明に記載される又は図面に示される構成要素の構造及び配置の詳細に開示された技術の範囲が限定されることを意図するものではない。開示した技術は、他の実施形態が可能であり、様々な方式で実施又は実行されることが可能である。優先権出願米国特許第63/496,218号の付録に開示されたものを含む本明細書に開示される実施形態の特徴は、本明細書の教示に従って、関連技術の当業者によって理解されるように組み合わせることができる。
【0013】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は範囲に対する「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の一部又は集合が本明細書に説明される意図された目的のために機能することを可能にする好適な寸法公差を示す。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指すことができ、例えば「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指すことができる。
【0014】
本明細書で述べる「被験者」又は「患者」の血管系は、ヒト又は任意の動物の血管系であってよい。動物は、哺乳類、獣医学的動物、家畜動物、又はペット類の動物などを含むが、これらに限定されない、様々な任意の適用可能なタイプのものであり得ることを理解するべきである。一例として、動物は、ヒトに類似したある特定の性質を有するように特に選択された実験動物(例えば、ラット、イヌ、ブタ、サルなど)であり得る。対象は、例えば、任意の適用可能なヒト患者であり得ることを理解するべきである。
【0015】
本明細書で述べる「操作者」は、薬剤抵抗性心房細動の治療のための多電極RFバルーンカテーテルの被験者への送達に関連する、医師、内科医、外科医、又は任意の他の個人若しくは送達器具を含み得る。
【0016】
本明細書で考察されるように、「NIHSSスコア」は、米国国立衛生研究所の脳卒中スケール、又はNIH脳卒中スケール(NIHSS)を意味し、脳卒中によって引き起こされる障害を客観的に定量化するために医療提供者が使用するツールである。NIHSSは11項目で構成され、各項目は0~4までの特定の能力を表す。各項目について、スコア0は、典型的には、その特定の能力の正常な機能を示し、一方、より高いスコアは、ある程度の障害があることを示す。各項目の個々のスコアを合計して、患者の合計NIHSSスコアを計算する。最大可能スコアは42であり、最小スコアは0である。
【0017】
本明細書で考察されるように、「mRS」は、脳卒中又は他の神経障害の原因を患っている患者の日常活動における障害又は依存の程度を測定するために一般に使用されるスケールである修正ランキンスケール(mRS)を意味する。mRSスケールは、症状のない完全な健康から死までの0~6になる。mRSスコア0は、観察されている症状はないと理解される。mRSスコア1は、重大な障害が観察されないと理解され、また患者は、いくつかの症状にもかかわらず、全ての通常の活動を行うことができる。mRSスコア2は、わずかな障害であると理解され、また患者は、支援を伴わずに自身の世話をすることができるが、以前の全ての活動を実行することはできない。mRSスコア3は、中等度の障害があると理解され、患者はそのために何らかの介助を必要とする場合があるが、支援なしで歩行することができる。mRSスコア4は、中等度から重度の障害があると理解され、患者は、支援なく自身の身体的な要求に対処すること又は支援なく歩行することができない。mRSスコア5は、重度の障害があると理解され、患者は、一定の介護及び世話を必要とし、寝たきりで失禁状態にある。mRSスコア6は、患者が死亡したと理解される。
【0018】
本明細書で心臓組織のアブレーションに使用されるデバイス、関連する送達システム、又は治療の方法に関して述べる用語「安全性」は、有害な出血事象、注入又は過敏反応を含む、有害事象の比較的低い重症度を指す。有害な出血事象が一次安全性エンドポイントであってもよく、例えば、大出血、軽度の出血、及び任意の出血事象の複合エンドポイントの個々の要素を含む。
【0019】
本明細書で考察されるように、特に断りがない限り、「臨床的に有効な」(独立して、又は「有効」という用語を修正するために使用される)という用語は、臨床試験によって証明されており、臨床試験が、米国食品医薬品局、EMEA、又は対応する国家規制機関の承認基準を満たしていることを意味し得る。例えば、臨床試験は、本開示の心臓アブレーションデバイス及び関連システムの効果を臨床的に証明するために使用される、適切なサイズのランダム化された二重盲検対照試験であってもよい。最も好ましくは、例えば、患者の臨床的に有効な結果を達成するため、及び/又はこれらの罹患した静脈における肺静脈隔離を達成するために、全ての標的肺静脈に対するデバイスの効果を臨床的に証明することが最も好ましい。
【0020】
本明細書で論じられるように、「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、本開示のデバイス及び対応するシステムに関するものであり、不規則な心臓信号の発生を低減又は防止するように構成されている構成要素及び構造的特徴を指す。非熱的アブレーションには、本開示全体を通して、パルス電界(pulsed electric field、PEF)及びパルスフィールドアブレーション(pulsed field ablation、PFA)と交換可能に称される細胞死を引き起こすための不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE)の使用が含まれる。熱アブレーションには、細胞死を引き起こすための極端な温度の使用が含まれ、RFアブレーションが含まれる。本開示のデバイス及び対応するシステムに関するアブレーションすること又はアブレーションは、不整脈、心房粗動アブレーション、肺静脈隔離、上室頻脈アブレーション、及び心室性頻脈アブレーションを含むがこれらに限定されない特定の状態の心臓組織のアブレーションを参照して、本開示全体を通して使用される。「アブレーションする」又は「アブレーション」という用語は、概して、既知の方法、デバイス、及びシステムに関するものであり、当業者によって理解されるように、様々な形態の身体組織アブレーションを含む。
【0021】
本明細書で考察されるように、「双極」及び「単極」という用語は、アブレーションスキームを指すために使用される場合、電流経路及び電界分布に関して異なるアブレーションスキームを説明する。「双極」とは、両方とも治療部位に位置付けされた2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指す。電流密度及び電束密度は、典型的には、2つの電極の各々でほぼ等しい。「単極」とは、2つの電極間の電流経路を利用するアブレーションスキームを指し、ここで、高電流密度及び高電束密度を有する1つの電極が治療部位に位置付けられ、比較的低い電流密度及びより低い電束密度を有する第2の電極が、治療部位から遠隔に位置付けられる。
【0022】
本明細書で考察されるように、「二相性パルス」及び「単相性パルス」という用語は、それぞれの電気信号を指す。「二相性パルス」とは、正電圧相パルス(本明細書では「正相」と称される)及び負電圧相パルス(本明細書では「負相」と称される)を有する電気信号を指す。「単相性パルス」は、正相のみ又は負相のみを有する電気信号を指す。好ましくは、二相性パルスを提供するシステムは、直流電圧(direct current voltage、DC)の患者への印加を防止するように構成されている。例えば、二相性パルスの平均電圧は、地面又は他の共通基準電圧に対してゼロボルトであり得る。追加的又は代替的に、システムは、コンデンサ又は他の保護構成要素を含むことができる。二相性パルス及び/又は単相性パルスの電圧振幅が本明細書に説明されている場合、発現された電圧振幅は、正電圧相及び/又は負電圧相の各々の近似ピーク振幅の絶対値であることが理解される。二相性パルス及び単相性パルスの各相は、好ましくは、相持続時間の大部分中に本質的に一定の電圧振幅を有する正方形形状を有する。二相性パルスの相は、相間遅延によって時間的に分離される。相間遅延持続時間は、好ましくは、二相性パルスの相の持続時間未満であるか、又はその持続時間にほぼ等しい。相間遅延持続時間は、より好ましくは、二相性パルスの相の持続時間の約25%である。
【0023】
本明細書で考察されるように、「管状」及び「管」という用語は、広義に解釈されるものとし、直円柱構造、若しくは断面が厳密に円形である構造、又はその長さ全体にわたって均一な断面である構造に限定されるものではない。例えば、管状構造は、概して、実質的な直円柱構造として例解される。しかしながら、管状構造は、本開示の範囲から逸脱することなく、先細状又は湾曲した外面を有し得る。
【0024】
従来の解決方法は、(例えば、電極電位及び温度測定に1つ、アブレーションに別の1つなどの)2つ以上の別個の指示を使用してきたが、本明細書に開示される実施形態により、それらの2つの測定が容易になり、更に、高周波電磁エネルギーを使用し、単一のバルーンカテーテルを使用するアブレーションが可能になる。カテーテルは、ルーメンを有し、バルーンは、カテーテルのルーメンを通って配備される(バルーンは、ルーメンを通って、折り畳まれた、非膨張の形態に移行し、バルーンはルーメンを出ると膨張する)。バルーンは、外壁又は膜を有し、ルーメンが延在する長手方向軸を画定する遠位端及び近位端を有する。
【0025】
例示的なカテーテルベースの電気生理学マッピング及びアブレーションシステム10を示す図1を参照する。アブレーションを実行するために、操作者24は、送達シースカテーテル14を、患者の血管系を通して心臓12の心腔又は血管構造内に挿入する。典型的には、送達シースカテーテル14は、心臓12の所望の位置付近の左心房又は右心房内に挿入される。その後、複数のカテーテルを送達シースカテーテルに挿入して、所望の位置に到達させることができる。複数のカテーテルは、心内電位図(Intracardiac Electrogram、IEGM)信号の感知専用のカテーテル、アブレーション専用のカテーテル、及び/又は感知、IRE、及びアブレーション専用のカテーテルを含み得る。操作者24は、心臓12における標的部位を感知するために、カテーテル14の遠位先端部28を心臓壁と接触させて位置付けることができる。アブレーション/IREのために、操作者24は、同様に、カテーテルの遠位端を標的部位に運ぶ。アブレーション/IREカテーテル14は、心房の肺静脈の心臓電気生理学的アブレーションのための多電極高周波バルーンカテーテルであってもよく、以下により詳細に記載するように、多チャネル発生器と組み合わせて使用される場合に、薬剤抵抗性再発性症候性PAFの治療用であり得る。このようなカテーテル24は、大腿動脈、手首動脈(橈骨アクセス)を通して、又は頸動脈を通して直接に導入可能であることに留意されたい。橈骨経由及び頸動脈経由の両方のアクセスは大動脈弓を回避するが、他の欠点がある。しかしながら、3つの手法は全て、当業者には既知であると考えられる。
【0026】
カテーテル14は、遠位先端部28において複数のスパイン(図示せず)にわたって任意選択的に分布し、IEGM信号を感知するように構成された、1つ、好ましくは複数の電極26を含む例示的なカテーテルである。カテーテル14は、遠位先端部28の位置及び配向を追跡するために、遠位先端部28内又はその近くに埋め込まれた位置センサ29を更に含むことができる。任意選択的にかつ好ましくは、位置センサ29は、三次元(three-dimensional、3D)位置及び配向を感知するための3つの磁気コイルを含む磁気ベースの位置センサである。
【0027】
磁気ベースの位置センサ29は、所定の作業体積内に磁場を生成するように構成された複数の外部磁気コイル32を含む位置パッド25とともに動作し得る。カテーテル14の遠位先端部28のリアルタイム位置は、位置パッド25によって生成され、磁気ベースの位置センサ29によって感知される磁場に基づいて追跡され得る。磁気ベースの位置感知技術の詳細は、米国特許第5,391,199号、同第5,443,489号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,239,724号、同第6,332,089号、同第6,484,118号、同第6,618,612号、同第6,690,963号、同第6,788,967号、及び、同第6,892,091号に記載されている。
【0028】
システム10は、位置パッド25の位置基準及び電極26のインピーダンスベースの追跡を確立するために、患者23上の皮膚接触のために配置された1つ以上の電極パッチ38を含む。インピーダンスベースの追跡のために、電流が電極26に方向付けられ、電極皮膚パッチ38において感知され、それにより、各電極の位置を、電極パッチ38を介して三角測量することができる。インピーダンスベースの位置追跡技術の詳細は、米国特許第7,536,218号、同第7,756,576号、同第7,848,787号、同第7,869,865号、及び同第8,456,182号に記載されている。
【0029】
レコーダ11は、体表面ECG電極18で捕捉された電位図21と、カテーテル14の電極26で捕捉された心内電位図(IEGM)と、を表示する。レコーダ11は、心臓の律動をペーシングするためのペーシング能力を含み得、及び/又は独立型ペーサに電気的に接続され得る。
【0030】
システム10は、アブレーションするように構成されたカテーテルの遠位先端部にある1つ以上の電極にアブレーションエネルギーを伝達するように適合されたアブレーションエネルギー発生器50を含み得る。アブレーションエネルギー発生器50によって生成されるエネルギーは、不可逆エレクトロポレーション(IRE)をもたらすために使用され得るような単極性若しくは双極性高電圧直流パルスを含む、高周波(RF)エネルギー若しくはパルスフィールドアブレーション(PFA)エネルギー、又はそれらの組み合わせを含み得るが、それらに限定されない。発生器50は、ワークステーション55内に設けられたプロセッサを介して制御され、予め決定された持続時間(60秒未満)にわたって事前設定電力レベル(ワット単位)でRFエネルギー(例えば、正弦波)を放出する。同様に、発生器50は、ワークステーション55内のプロセッサによって制御され、様々なパルスにおいて超短持続時間でパルスフィールドエネルギー(例えば、方形波)を放出することができる。
【0031】
発生器50は、カテーテル14を通して高周波(RF)又はパルスフィールド(PF)エネルギーを送達するための専用デバイスを含むことができる。RFエネルギーは、試験カテーテルを介して心臓内の部位に、選択された電力設定で電力制御アブレーションモードで送達される。PFエネルギーは、試験カテーテル14を介して心臓内の部位に印加される一連の短い持続時間、高電圧、高周波、単極、二相性パルス(又はパルスの「列」)からなる。発生器50は、心臓組織を標的とし、耐久性のある損傷を生成するために前臨床試験において最適化された所定の電圧、パルス長、及びパルス数でPFエネルギーを送達する。発生器50は、Biosense Webster CARTO(商標)3システム、nGEN(商標)ポンプ、及び標準的な電気生理学(EP)実験室用機器と互換性がある。発生器50は、心臓アブレーション処置中にRF又はPFエネルギーを送達するための適合性心臓アブレーションカテーテルと併せて使用するために示されている。
【0032】
患者インターフェースユニット(patient interface unit、PIU)30は、カテーテルと、電気生理学的機器と、電源と、システム10の動作を制御するワークステーション55との間の電気通信を確立するように構成されたインターフェースである。システム10の電気生理学的機器は、例えば、複数のカテーテル、位置パッド25、体表面ECG電極18、電極パッチ38、アブレーションエネルギー発生器50、及びレコーダ11を含み得る。任意選択的に、かつ好ましくは、PIU30は、カテーテルの位置のリアルタイム計算を実装し、ECG計算を実行するための処理能力を追加的に含む。
【0033】
ワークステーション55は、メモリと、適切なオペレーティングソフトウェアがロードされたメモリ又は記憶装置を有するプロセッサユニットと、ユーザインターフェース機能と、を含む。ワークステーション55は、任意選択的に、(1)心内膜解剖学的構造を三次元(3D)でモデルリングし、モデル又は解剖学的マップ20をディスプレイデバイス27上に表示するためにレンダリングすることと、(2)記録された電位図21からコンパイルされた活性化シーケンス(又は他のデータ)を、レンダリングされた解剖学的マップ20上に重ね合わされた代表的な視覚的指標又は画像でディスプレイデバイス27上に表示することと、(3)心腔内の複数のカテーテルのリアルタイム位置及び配向を表示することと、(5)アブレーションエネルギーが印加された位置などの関心部位をディスプレイデバイス27上に表示することと、を含む、複数の機能を提供し得る。システム10の各要素を具現化する1つの市販製品は、Biosense Webster,Inc.31A Technology Drive,Irvine,CA,92618、から市販されている、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。
【0034】
図2Aに示されるように、カテーテル14は、細長いカテーテル本体17と、偏向可能な中間部分19と、その遠位先端部28に少なくとも先端電極15を担持する遠位部分13と、制御ハンドル16とを含むことができる。カテーテル14は、心臓12の電気生理学的マッピングを容易にするように、またアブレーション目的のために先端電極15に高周波(RF)及びパルスフィールド(PF)電流を送信するように設計された偏向可能な先端を有する、操縦可能な多電極管腔カテーテルとすることができる。心臓専門医などの操作者24は、カテーテルの遠位部分13が患者の心臓12の心腔に入るように、患者23の血管系を通してカテーテル14を挿入することができる。操作者24は、カテーテルの遠位先端部28が所望の位置又は複数位置で心内膜組織と係合するようにカテーテルを前進させる。カテーテル14は、その近位端の好適なコネクタによって、コンソール55に接続される。コンソール55は、遠位部分13によって係合される位置において、心臓12内の組織をアブレーションするためにカテーテル14を介して高周波電気エネルギーを供給するアブレーションエネルギー発生器50を含んでもよい。アブレーションのために、カテーテル14は、分散パッド(例えば、不関電極)と併せて使用され得る。この点において、カテーテル14は、8Fのリング電極を用いて7.5Fを測定するシャフトを含むことができる。カテーテル14はまた、カテーテル先端部と心臓12壁との間の接触力のリアルタイム測定を提供する力感知システムを有し得る。
【0035】
図2Bに示されるように、遠位先端部13は、電極アセンブリと、標的組織との直接的な接触に適合された非外傷性遠位端を有する少なくとも1つの微小要素とを含むことができる。カテーテル本体17は、長手方向軸と、カテーテル本体12から軸外に一方向又は二方向に偏向可能となり得る、カテーテル本体17の遠位側の中間部分19と、を有することができる。中間部分19の遠位側には、少なくとも1つの微小要素を担持する電極アセンブリがある。カテーテル本体の近位側には、中間部分14の偏向を含む、操作者によるカテーテルの操作を可能とする制御ハンドル16がある。
【0036】
長尺のカテーテル本体は、遠位先端部13が偏向可能な中間部分19に取り付けられ、電極のアレイを有する電極アセンブリ15を含む、比較的高トルク可能なシャフトとすることができる。例えば、遠位先端部13は、3つの微小電極を有する3.5mmの先端ドームを含むことができる。これらの電極の全てが、記録及び刺激の目的で使用され得る。遠位先端部13を偏向させるために、ロッカーレバー34を使用することができる。高トルクシャフトはまた、湾曲した先端部の平面を回転させて、所望の部位へのカテーテル先端の正確な位置決めを容易にする。「D」、「F」、及び「J」と指定される3つの曲線型構成が利用可能である。電極アセンブリ15は、アブレーション発生器50から所望のアブレーション部位にアブレーションエネルギーを送達する役割を果たす。電極アセンブリ15及びリング電極は、貴金属から作製することができる。いくつかの例では、カテーテル14はまた、3.5mmの先端電極に埋め込まれた6つの熱電対温度センサを含み得る。
【0037】
図3Aは、磁気位置センサ29、接触力センサCF、及び先端電極15に結合されたカテーテルシャフト19を有するカテーテル14の例示的なエンドエフェクタを示す。先端電極15は、先端電極15上の力が先端部28を通してCFセンサのばね28Bを圧縮する可撓性結合28Aに送達されるように、先端部28のための可撓性結合28Aを介してCFセンサに結合される。すなわち、先端電極15を介して接触力センサCFに力が印加されると、CF内に配置された磁場センサは、CFセンサ内に設けられた別個の磁場発生器コイルによって生成された磁場の力の大きさの変化を検出することができる。ばね28Bのばね定数Kを予め決定することができ、磁場発生器と磁場センサとの間の距離を検出することができるので、先端電極15に印加される力を(例えば、フックの法則、又は式F=dKを使用することによって)決定することができる。CFセンサに関する詳細は、米国特許第8,357,152号及び米国特許第10,688,278号に示され説明されており、これらの各々は、あたかも完全に記載され、優先権出願米国特許第63/496,218号の付録に添付されているかのように、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0038】
図3Bは、心臓12の心腔の概略断面図であり、心臓12内のカテーテル14の可撓性の偏向可能な中間部分19を示す。カテーテル14は、典型的には、大静脈又は大動脈などの血管を通って経皮的に心臓に挿入される。カテーテルの遠位先端部28の電極15は、心内膜組織31と係合する。心内膜に接触している遠位先端により加えられる圧力が心内膜組織を局所的に変形させ、その結果、電極15は、比較的大きな面積にわたって組織と接触する。図示された例では、電極15は、正面ではなく、ある角度で心内膜と係合する。したがって、遠位先端部28は、カテーテルの偏向可能な中間部分19に対して弾性接続部33で屈曲する。この屈曲は、電極と心内膜組織との間の最適な接触を促進する。
【0039】
接続部33の弾力的な性質のため、接続部の屈曲の角度は、典型的には、組織30によって遠位先端部28に対して加えられる圧力(又は遠位先端部によって組織に対して加えられる圧力と同等である)に比例する。このように、屈曲角度の測定は、この圧力の指標となる。接触力センサCFを介した圧力の指標は、確実に、所望の治療的又は診断的結果を得るのに十分な程度堅固であるが、望ましくない組織損傷を引き起こすほどは強くなく、遠位先端部が心内膜を押圧することを保証するために、カテーテル14の操作者によって使用され得る。米国特許第8,357,152号、同第9,492,639号及び同第10,688,278号(これらの各々は、優先権出願米国特許63/496218の付録に完全に記載され、添付されているかのように、その全体が参照により本出願に組み込まれる)は、このように圧力感知カテーテルを使用するシステムを記載している。カテーテル14は、このようなシステムにおいて使用されてもよい。
【0040】
アブレーションエネルギー発生器50は、高出力RF発生器を開示する米国特許第5,906,614号及び同第10,869,713号に開示されるような既知のRF発生器に従って、高周波(RF)電流を発生させることができ、両開示は、優先権出願米国特許63/496,218の付録に提供されるコピーとともに、参照することによって本明細書に組み込まれる。RF電流は、熱プロセスによってアブレーション損傷を形成する。RFアブレーションは、組織温度を上昇させ、加熱を通じて細胞を破壊する。更に、アブレーションエネルギー発生器50はまた、不可逆的エレクトロポレーション(IRE)を使用して損傷を形成するために、パルスフィールド(PF)電流も発生させることができる。IREは、細胞膜を破壊することによって細胞を破壊する、主に非熱的なプロセスである。RF及びPF信号の両方を生成することが可能なデュアルモードアブレーションエネルギー発生器50の議論は、米国特許第11,540,877号に見出すことができ、PF及びRFアブレーションを組み合わせて使用することを更に議論し、優先権出願米国特許第63/496,218号の付録に提供されるコピーとともに、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0041】
システム構成要素、セットアップ、及び接続性
本開示の電気生理学的処置を行うために、カテーテル14は、THERMOCOOL SMARTTOUCH(商標)SF Bi-Directional Navigation Catheter(Biosense Webster,Inc.(Irvine,California)から入手可能)を含むことができ、発生器50は、TRUPULSE(商標)発生器(Biosense Webster,Inc.(Irvine,California)から入手可能)を、Biosense Webster,Inc.(Irvine,California)から入手可能な以下のCEマーク付きデバイスのうちの1つ以上と組み合わせて含むことができる。
-nGEN(商標)ポンプ(D139701)
-SmartAblate灌注チューブセット(SAT001)
-CARTO(商標)3システムの患者インターフェースユニット(PIU)
-CARTO(商標)3システム及びCARTO(商標)V7.9ワークステーション
-滅菌カテーテル接続ケーブル(CR3434CT)
-多電極マッピングカテーテル
-≧8.5Fr適合性シース
【0042】
他の会社によってCEマークされた以下のデバイスも、この処置のために使用することができる。
-≧8.5Fr適合性シース
-電気生理学(EP)記録システム
-刺激装置
-体表面心電図(ECG)パッチ及びリード
-不関電極パッチ
-蛍光透視/X線システム
-心臓除細動器
-心臓内超音波(治験責任医師の好み、必須ではない)
【0043】
図4A及び図4Bは、システム400のシステムセットアップ及び接続性についての正面図(図4A)及び背面図(図4B)からの接続図を示す。正面図に示されるように、システム400Aは、モニタ41と、カテーテル14と、コンソール相互通信ユニット(CIU)45と、インターフェースボックス46と、CARTO(商標)リレーボックス47と、コンソール48と、不関電極49と、CARTO(商標)コネクタ用安全プラグ51と、ECGコネクタ用安全プラグ52とを含む。背面図では、システム400Bは、モニタ41、CIU 45、インターフェースボックス46、CARTO(商標)リレーボックス47、コンソール48、不関電極49、CARTO(商標)システムPIU 54、CARTO(商標)3ワークステーション55、nGEN(商標)ポンプ60、及びペダル61を含む。CARTO(商標)システムPIUは、患者へのケーブル接続がなされる場所である。発生器50システムは、コンソール、モニタ、ペダル、接続インターフェースユニット(CIU)及びケーブルを備える。コンソールは、エネルギーの送達を制御するハードウェアを含む。モニタは、タッチ画面ユーザインターフェースを含む。それはまた、発生器及び外部デバイスと通信するソフトウェアを含む。モニタは、ユーザが、発生器のパラメータを設定し、エネルギーが送達されるときを制御することを可能にする。モニタはコンソールに直接接続されている。ペダルは、アブレーションを開始及び停止するための代替方法である。CIUは、カテーテルと不関電極とを接続し、CARTO(商標)システムへのインターフェースを可能にする。発生器の構成要素を互いに接続し、他のデバイスに接続するケーブルも存在する。デバイス及び機能の概要を図5に示す。
【0044】
典型的なRFアブレーションは、約3mm~約5mmの深さ/サイズを有する損傷を形成する。RFアブレーション損傷を形成するために使用されるパラメータの一例は、RF信号の出力を約1ワット~約400ワットに設定することである。更に、RF信号は、約1秒~約60秒にわたって維持される。RFアブレーションが組織を損傷するために熱を使用すると考えると、RF信号は典型的に、約20℃~約70℃の温度変化を組織内に生じる。この温度変化は、典型的な体温を超える温度上昇である。
【0045】
典型的なPFAは、少なくともPF信号が数度の温度変化しか生じないという点で、RFアブレーションとは異なっている。PFAは、典型的に、約4mm~約6mmのサイズの損傷を患者の組織内に形成する。損傷を形成するために、PF信号の電圧は、約900ボルト~約3000ボルトに設定される。更に、PF信号は、典型的に、特定の波形を使用して生成される。
【0046】
典型的には、PF信号送達中、ECGラインは、切断されたラインからのノイズのみが示されるように、CARTO(商標)システムPIUから一時的に切断される。このノイズは、ECGウィンドウを覆い、内科医の注意をそらし、切断前に収集されたECGが見られるのを防止する可能性がある。CARTO(商標)システムは、PF信号送達がいつ行われるかを通知され、同様に、ECGライン切断がいつ行われるかを通知されるので、CARTO(商標)システムは、操作者が注意をそらされないように、切断期間中にECGを暗くすることができる。ECGが再接続されると、CARTO(商標)システムは、ECG信号をその最大輝度に戻すことができる。代替として、又はそれに加えて、ECG信号は、0Vとして示される、又は背景ディスプレイに送信されることができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、デバイスは、(1)全ての臨床的に関連する標的PVの間の、及び被験者によるPVI(すなわち、タッチアップ)、又は(2)指標アブレーション処置中の左心房非PV AF標的(すなわち、後壁)アブレーション、又はブランク期間中の反復処置の目的のために使用されることができる。「指標アブレーション処置」という用語は、本明細書では、アブレーション中にアブレーション指標(AI)が得られるアブレーション処置の略語として使用される。アブレーションは、以下でより詳細に説明するように、パルス列の反復印加によって実行される。手短に言えば、アブレーション処置は、各反復印加の間におよそ1秒を有し得る。各印加は、AIを計算して表示することができる。いくつかの実施形態では、AIは、計算されたΔAIに従って、各印加後に徐々に増加することができる。
【0048】
アブレーション処置ガイドライン
発生器50は、カテーテル14へのRF及びPFエネルギーの送達を制御することが可能である。発生器50は、ユーザがエネルギータイプを選択し、アブレーションを適用することを可能にするタッチ画面を含む。エネルギー送達の前に、アブレーション画面上でRF又はPFが選択されているか否かを検証する必要がある。開始ボタンはドラッグ機能を含む。開始ボタンがドラッグされるか又はペダルが押された後、アブレーションが開始するまでカウントダウンが行われる。停止ボタンが押されるか、又はペダルが解放されると、エネルギーの送達が終了する。RFアブレーションを実行するために、ユーザは、アブレーション画面から標的電力及び時間を選択する。ユーザは、セットアップ画面からカットオフ温度及び警告温度を設定し得る。
【0049】
カテーテル14とともに使用されるとき、蠕動灌注ポンプ(例えば、nGEN(商標)ポンプ60)は、カテーテル14が体内にあるとき、室温のヘパリン化生理食塩水(1uヘパリン/1mL生理食塩水)の2mL/分の連続注入を送達する。カテーテル14の推奨動作フロー設定を図6に示す。
【0050】
アブレーション治療を予測及び制御するために、損傷サイズに対応する普遍的かつ線形のPFAスケールを有することが望ましいと思われる。RFアブレーションについて、可能なスケールは、カテーテルによって組織に印加される力Fと、アブレーション処置中に散逸する電力Pと、処置の時間Tとの積に比例すると仮定される損傷サイズSに対応し得る。RFアブレーション指標は、米国特許第7306593号、同第10,517,670号、及び同第11,096,741号に記載され、示されており、優先権出願米国特許63/496,218の付録に提供されているコピーとともに組み込まれる。このRFアブレーション指標を利用するソフトウェア製品は、Biosense Websterカテーテル及びシステムとともに使用するためのVisitag SurpointソフトウェアモジュールとしてBiosense Websterによって提供されている。PFAを介したアブレーション指標は、米国特許出願公開第2021/0186604号に記載され、示されており、優先権出願米国特許出願公開第63/496,218の付録に提供されるコピーとともに参照により組み込まれる。
【0051】
RFアブレーションの可能なスケールは、電力Pを伴うが、電力は、デバイス毎のプロトコル毎に固定される。PFAの損傷サイズとの関係は、主に、以下の式:P=HIにおけるパルス発生器RMS出力電流Iを介したパルス及びパルス列の反復の数に基づいており、式中、Hは定数である。この式は、以下のPFAアブレーション指標に関する議論の全てに適用される。
【0052】
したがって、この仮定による損傷サイズSを推定するためのスケールは、式1のSを使用して得ることができる。
S=K・F・P・T (式1)
式中、Kは、比例定数であり、P=H・V であり、式中、Vは、PFAパルス発生器のピーク出力電圧であり、組織内のピーク電界Eは、Vに比例する。比例定数は、電極間の間隔を含むカテーテルのタイプに依存する。
【0053】
式1から明らかなように、式によって得られる損傷サイズの推定値がF、P、及びTに線形比例するのは、式中でこれらの変数の各々が1でべき乗されているためである。すなわち、式1サイズSは、F、P、及びTの線形関数である。実際には、損傷サイズの推定値は、PFAの各印加i後に、各組織位置におけるPFA印加の「i」数としてカウントされる印加(好ましくは、i=24 PFA印加)の最大数まで増分される。
【0054】
実際には、損傷サイズと、F、P、及びTとの関係は、非線形であることが証明されており、したがって、PFAスケールも非線形になるであろう。この観察に続いて、開示された発明の例示的な実施形態は、F、P、及びTの値から損傷サイズのより正確な推定を提供し、損傷サイズのより正確な推定は、F、P、及びTの非線形関数を含む式の時間に対する積分を求めることによって得られる。この推定は、組織内に生成される損傷の体積、損傷の深さ、及び/又は損傷の直径を推定することとは別に、所望のサイズに達したときにPFAを停止するように、組織のPFA中に適用され得る。
【0055】
本発明の例示的な実施形態では、ユニバーサルPFA線形スケール(以下、「アブレーション指標」、AIPFA又は「PFA AI」と称する)は、接触力と反復の数との積の期間にわたる合計を計算することによって導出される。
【0056】
いくつかの例示的な実施形態では、印加された力とPFAパルスの印加回数との合計であるPFA AIが提供される。PFA AIの値(損傷の異なるサイズ/体積に対する)は実験的に決定され、較正される。所与のタイプの心構造、及び所与の組織特性について、アブレーション指標の値は、損傷サイズの反復可能な予測因子であると予想される。更に、PFA AIの所与の値の損傷サイズは、異なる構造及び組織特性によって異なり得る。
【0057】
PFAにおける電力は一定である。いくつかの実施形態では、アブレーションのための電力の1つの設定があり、ユーザは電力パラメータを調整しなくてもよい。パルスフィールドアブレーションは、非常に短いパルス列(例えば、<0.5秒)で電力を送達しており、米国特許出願におけるように、優先権出願米国特許63/496,218の付録に提供されるコピーとともに参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2021/0186604号時間の関数として定義される力率に部分的に指標を基づかせるのではなく、印加の数nに基づく個別のアブレーション指標が提供されている。したがって、パルスフィールドアブレーション指標(AIPFA)は、式2の式によって定義される。
【0058】
【数1】
式中、nは、PFAパルスの印加の回数に等しく(以下、「PFA印加」と呼ぶ)、パルスの最大数に等しい最大値24を有し、パルスの各印加に対するアブレーション指標AIは、係数Aを乗じた深さに等しく、深さは、各印加に対する力の対数関数(力)である。
AI=A(B ln(力)+C) (式3)
式中、Aは90~130の範囲の数、好ましくは110に等しい数であり、Bは次式によって決定されるパラメータである。
=B ln(n)+B (式4)
式中、Bは、およそ0.2653に等しく、Bは、およそ0.1623に等しく、Cは式によって決定されるパラメータである。
=C exp(C n) (式5)
式中、Cは、およそ0.6862に等しく、Cは、およそ0.0867に等しい。
【0059】
いくつかの実施形態では、B及び/又はCは、各々独立して、PFAパルスの全ての印加に対して一定値に設定され得る。
【0060】
式2からのアブレーション指標は、損傷の推定体積、損傷の推定深さ、又は損傷の推定直径のうちの1つに対応する。好ましい実施形態では、アブレーション指標は、理想的なアブレーション及び理想的な損傷未満であるアブレーションを表す最小値と最大値との間の無次元数又は無次元数の範囲としてユーザに提供される。いくつかの例では、アブレーション指標は、0~1000の無次元スケールである。他の例では、アブレーション指標は、250~850の無次元スケールとして提供され、それにより、異なる電気モダリティ(すなわち、RF又はPF)にもかかわらず、(アブレーションによって形成された)損傷が十分に耐久性があるか否かを決定することができる。すなわち、アブレーション指標(RF又はPFモダリティのいずれか)は、アブレーションによって損傷がいかに効果的に形成されるかを表し、それにより、内科医又はエキスパートシステムは、十分な損傷耐久性を確保するために、特定のモダリティ(すなわち、パルスフィールドエネルギー又は高周波)を以前にアブレーションされた位置に(そのような位置で同じ又は異なるモダリティを使用して)再印加するか否かを決定することができる。損傷の耐久性とは、損傷部が、アブレーション処置後数ヶ月又は数年にわたって電気的再接続を有する可能性が低く、したがって、将来そのような損傷から生じる心房細動を防止することを意味する。そのようなアブレーション指標を有することによって、耐久性のあるアブレーション損傷を確実にするために、以前に印加された電気モダリティ(PF)を再印加するか、又は異なる電気モダリティ(RF)に切り替えるかが、操作者、システム、又は内科医によって決定されることができる。
【0061】
アブレーション指標は、RFからのアブレーション指標がPFAから得られるアブレーション指標と実質的に同等であり、逆もまた同様であるように、RFアブレーション指標計算又はPFAアブレーション指標計算を介して得られるか否かにかかわらず、同じ参照スケールを有することが意図される。PFAのためにカテーテル14を使用するとき、アブレーション指標は、アブレーション損傷深さを推定し、予測されたアブレーション指標数を出力するために、接触力及び(パルスフィールドエネルギー又はPFA印加の)反復の数を重み付けされた式に組み込む。PFA又はRFによる実際のアブレーション中に得られた実際のアブレーション指標(RFアブレーション指標計算を介して、又はPFAアブレーション指標計算を介して決定される)を使用して、予測されたアブレーション指標(RF又はPFAについて)と比較することができる。予測されたアブレーション指標、及び実際のアブレーション指標との相関がどれだけ近いかに基づいて、内科医は、特定の位置でのアブレーションを行うか否か、又はアブレーションを反復するかを決定し得る。加えて、予測されたアブレーション指標に基づいて、内科医は、アブレーション中により多くの又はより少ない接触力が所望されるか否かを決定することができる。RFエネルギー又はPFAパルス、パルス列、若しくはPFA印加を制御するためのエネルギー発生器及び関連付けられたコントローラは、米国特許出願公開第2021/0186604号に示され、説明されており、優先権出願米国特許第63/496,218号の付録に提供されるコピーとともに、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0062】
図7は、アブレーション指標処置中に観察さされた伝導ギャップのセグメントの図を提供する。第1の包囲アブレーション線700は、太い実線及び太い破線の両方によって表される。実線は、アブレーション指標目標値≧550を有するアブレーション損傷を表し、破線は、アブレーション指標目標値≧400であるがアブレーション指標目標値<550を表す。伝導ギャップは、それらのタイミング及び特性に基づいて、「残留ギャップ」及び「再接続ギャップ」に分割することができる。最初の解剖学的熱傷の後に残る肺静脈電気伝導は、「残留ギャップ」と呼ばれる。処置の残りの間に検出された急性再接続(残留ギャップ又は他の場所に位置するか否かにかかわらず)は、「再接続ギャップ」と呼ばれる。追加のRFエネルギーがタッチアップのために印加される場合、「成功タグ」は、局所PV電位が消失することが確認された最後のタグに割り当てられる。成功タグに関連付けられた2つの隣り合うタグは、「ギャップ関連タグ」と呼ばれる。第1の包囲700からの残りのタグは、「非ギャップタグ」と呼ばれる。各PVは、その後の分析のために6つのセグメント(すなわち、ルーフ、上前部、下前部、上後部、下後部、及び下部)に分割される。食道付近の2つの追加領域及び他の未分類領域を含めて、以下、合計16個のセグメントがCARTO(商標)操作者によって割り当てられた。
・LRF、左ルーフ701
・LSPST、左上後部702
・LIPST、左下後部703
・LINF、左下部704
・LIANT、左前705
・LSANT、左上前部706
・LSPV、左上肺静脈707
・LIPV、左下肺静脈708
・RRF、右ルーフ711
・RSPST、右上後部712
・RIPST、右下後部713
・RINF、右下部714
・RIANT、右前715
・RSANT、右上前部716
・RSPV、右上肺静脈717
・RIPV、右下肺静脈718
アブレーション処置は、以下のステップを含むことができる。
・治験カテーテルでアブレーションを開始する前のACT≧300秒の確認及びヘパリンでの系統的抗凝固が投与されるべきである。ACTは、アブレーション全体を通して≧300秒維持されることを目標としなければならない。ACTレベルは、治験デバイスが左心房にある間、定期的にチェックされなければならない。ACTが300秒未満である場合、ヘパリンによる系統的抗凝固は、アブレーション処置を休止することなく300秒のACT標的を確実にするように投与されるべきである。
・マッピングに使用されない場合、互換性のある8.5Fr以上のシースを導入する。シースを患者に挿入する前に、ヘパリン化生理食塩水でシースを洗い流して、気泡を除去する。
・使用説明書(IFU)に従ってカテーテル14を導入する。
・位置が満足のいくものである場合、推奨されるワークフローに従ってカテーテル14を用いてエネルギー送達を開始する。
【0063】
肺静脈隔離を受けている被験者については、処置は更に以下を必要とし得る。
・同側性PV隔離のための連続した損傷セットを得るためにポイントバイポイントアブレーションを使用する。
図7の画像に従って処置中に左心房をセグメント化するためにVISITAG(商標)設定を形成する。
・IFUによって推奨され、内科医の訓練に従って、アブレーションパラメータ及びVISITAG(商標)標的を使用する。
・VISITAG(商標)モジュール距離ツールを使用してタグ間距離(ITD)を評価する。6mm以下のITDが推奨される。
・冠状動脈付近をアブレーションする場合、冠状動脈痙攣を制限/低減するために、静脈内又は冠状動脈内投与のいずれかのために1~2mgのニトログリセリンを調製する。
・全ての被験者は、PVIが以下を含む全ての標的PVにおいて達成されるまで、治験デバイスを用いてPVアブレーションを受ける。
・PFは、PVIを達成するための一次アブレーションモダリティとして使用されることが推奨される。
・電力制御された灌注式RFは、臨床判断及び治験責任医師の裁量により、前壁及び隆線に使用することができる。
・治験責任医師が治験デバイスでPVIを達成することができないと判断した後にのみ、商用(RF)システムを使用して処置(PVIのみ)を完了することができる。
・全ての臨床的に関連する標的PVの入口ブロック(出口ブロックは任意選択である)(PVI)の確認
・入口ブロックを検証するために、冠状静脈洞及び/又は心房ペーシング律動における電位図を分析して、PV電位が存在しないことを確認する。
【0064】
肺静脈隔離後、処置は以下のステップを含むことができる。
・休止状態の伝導を除外するために、臨床的に関連する標的PV毎にアデノシン/イソプロテレノールを投与する。
・もしあれば、再接続位置上の残りの信号を検討することによって再接続されたPV領域を治療し、対応する位置にエネルギーを送達する。上記の推奨によれば、PFは一次モダリティであるが、RFは臨床判断に基づいて使用することができる。
・全ての臨床的に関連する標的PVの最終入口ブロック(出口ブロックは任意選択である)(PVI)の確認及び文書
・入口ブロックを検証するために、冠状静脈洞及び/又は心房ペーシング律動における電位図を分析して、PV電位が存在しないことを確認する。
・治験責任医師の選択毎に確認のために多電極マッピングカテーテルを使用する。
・アブレーション処置は、全ての臨床的に関連する標的PVにおける入口ブロックの確認が確認されたときに完了したと考えられる。
・右側PVでの最後の印加又は最終入口ブロック(出口ブロックは任意選択である)の確認後、横隔神経をペーシングしながら横隔膜捕捉を評価する。注:深い鎮静の場合、横隔膜の蛍光透視評価が使用され得る。
・ペーシング後活性化及び双極電圧マップは、内科医の裁量で、及びSOCの場合に形成され得る。
・PVI耐久性サブセットに参加している被験者について:
・前処置と同じ多電極マッピングカテーテルを利用して、ペーシングされた活性化マップ及び双極電圧マップを形成する。
【0065】
PV領域外のアブレーションの場合、右心房CTI線形アブレーションは、処置前又は処置中のいずれかに識別された典型的な心房粗動が記録されている場合にのみ許可される。治験システム、RF及び/又はPFモードの発生器50を有するカテーテル14は、治験責任医師の決定に基づいて使用されるべきである。CTIラインの遮断が治験システムで達成できない場合、互換性のある市販のRF発生器を有する市販の承認されたRFカテーテルを使用し得る。PV領域(例えば、SVC、PW、ルーフライン)の外側の予防的アブレーションは、本試験では許容されない。
【0066】
図8は、心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用する方法800の一例を示す。方法800は、カテーテル14を患者の肺静脈内に送達することを含むことができ、カテーテル14は先端電極を有する(ステップ802)。方法800は、先端電極からパルス電界又は高周波信号のいずれかを心臓組織に放出し、パルス電界アブレーション中に先端電極が心臓組織に接して受ける接触力を測定して(ステップ804)、(図9に関連して説明したように)無次元値の範囲によって表される推定損傷深さを提供することを更に含む。いったん接触すると、方法800は、カテーテル14を使用して、肺静脈の標的組織の1つ以上の位置をアブレーションすることを含むことができる(ステップ806)。標的組織をアブレーションした後、方法800は、パルス電界アブレーションのための1つ以上の位置のうちの各位置について、測定された接触力及びパルス電界印加の回数の関数として、アブレーションからのアブレーション指標AI(図9から)を決定することを含むことができる(ステップ808)。図示されていないが、いくつかの実施形態では、標的組織をアブレーションした後、方法800は、患者における肺静脈隔離の有効性率を達成することができる。
【0067】
いくつかの例では、方法800は、標的組織の温度の第1の温度変化がほとんど又は全くない第1のサイズを含む第1の損傷を形成することを含む第1のアブレーション信号を標的組織に印加することを更に含むことができる。一例では、第1のアブレーション信号は、RFアブレーション信号とすることができる。しかしながら、別の例では、PFアブレーション信号を第1のアブレーション信号とすることもできる。第1のアブレーション信号は、第1のサイズを含む第1の損傷を形成し、組織内に第1の温度変化を生成することができる。第2のアブレーション信号は、組織内に第2の損傷を形成するために、電極を用いて組織に印加することができる。この例では、第2のアブレーション信号は、第1のアブレーション信号とは異なり得る。第2の損傷は、第2のサイズで形成することができる。第2のアブレーション信号は、第1の温度変化と少なくとも10℃異なる組織内の第2の温度変化を生じることができる。このように、RF信号が第1の信号であれば、PFA信号を第2の信号とすることができる。RFアブレーションが20℃を超える組織の温度変化を引き起こす場合、PFAは、わずか数度の温度変化を引き起こす。
【0068】
あるいは、第1の損傷は、組織の温度において第1の温度変化をほとんど又は全く伴わずに形成することができ、第2の損傷は、第1の温度変化と少なくとも10℃異なる組織内の第2の温度変化を生じることによって形成することができる。
【0069】
図示されていないが、方法800は、第1のアブレーション信号及び第2のアブレーション信号を印加することから生じ得る複合損傷を形成することを含むことができる。複合サイズを有する第1の損傷及び第2の損傷の組み合わせから、より深い/大きい複合損傷を形成することができる。複合サイズは、第1のサイズ及び第2のサイズのいずれかよりも約20%~約40%大きくすることができる。アブレーション信号は順次印加することができる。これは、最初にRF信号を印加し、次いでPF信号を印加すること、又はその逆を含むことができる。しかしながら、交流(AC)を使用してRF信号を生成することができ、直流(DC)の非常に短いパルスを使用してPF信号を生成することができると考えると、別の例は、両方の信号が同時に生成されるか、又は少なくともRF信号及びPF信号の印加のいくらかの重複を有する、両方の信号を有することができる。加えて、組織と電極との間の接触力は、損傷を形成する有効性の要因であることが知られている。一例では、接触力は、約5グラム~約40グラムの間とすることができる。
【0070】
各組織位置におけるPFAのアブレーション指標(AI)の決定は、図9に示されるフローチャートを介して得ることができる。図9は、AIを決定するための高レベルブロック図である。PFAのアブレーション指標(以下、「AI」)は、発生器モニタからのアブレーション開始コマンド900で始まる。クエリ902からアブレーションが実行されていない場合、システムは1100で待機状態に移動する。一方、ステップ902においてアブレーションが実行中であると決定された場合、プロセッサは、モニタからPFA印加の現在のカウント又はi回などの必要な入力データを受信する。ステップ902において、プロセッサは、PFAによるアブレーションが先端電極15を介して組織位置に現在印加されているか否かを決定する。はいの場合、プロセッサは、904で、この特定の組織位置において先端電極15を介して印加されているPFA印加の現在のカウント(カウンタ「i」を有する)に関してクエリする。ステップ907において、プロセッサは、i回のPFA印加がこの位置において4以上であるか否かをクエリする。カウントiのPFA印加がこの位置で4以上である場合、ステップ908において、この回数iのアブレーションに対するアブレーション指標AIが計算される。ステップ910において、現在のAIを前のAIと比較するためにクエリが行われる。クエリ910において、現在のAIが以前よりも大きい場合、プロセッサは、ステップ912において、PFA印加の現在のカウントiからのAIとしてユーザに提示されるようにAIを設定する。すなわち、PFA印加毎に、アルゴリズムは、クエリ910において、AIの現在の結果を前のPFA印加のAIと比較し、より高い値を選択する(一実施形態では、それに係数110を乗算する)。次いで、アブレーション指標(AI)は、ユーザに提示され、AIとしてシステム内に記憶される。AIが前のAI以下であるという910におけるクエリの場合、1つ前の(i-1)アブレーションAIi-1において計算されたAIが、ステップ914において設定され、ステップ1000において、現在のAIとしてユーザに提示される。AI出力は文書ファイルに記憶され、システムは1100で待機状態に戻る。
【0071】
様々な前臨床試験から生成されたデータから、PFA AI(接触力及びPFA印加から構成される)と損傷深さとの間に一般的な線形相関があることに留意されたい。AI値の予測精度は、±2mm以内の精度であることが分かった。PFAエネルギーに関して、期待値/深さを超える許容差は、以前の試験において実証されたように、このエネルギーモダリティによる付随的損傷がリスクであることが示されていないので、いかなる追加の安全性の懸念も提起しないことに留意されたい。
【0072】
図9のクエリ904に戻ると、各組織位置におけるアブレーション中のPFA印加の現在のカウントiが4未満である場合、ステップ907において、プロセッサは、AIを、現在のi回のPFA印加から計算されたAIと同じであるとして設定し、ステップ1000に進んで、現在のAIを、現在のi回のPFA印加からのAIとして表示する。PFA印加の現在のi回が各位置で4未満である場合、そのようなPFA印加の現在のカウントi回のAIは、一実施形態では、指定された低アブレーション指標又は0にさえ設定されることに留意されたい。また、MatLab実装で使用される変数AIは、上記の式3で説明した変数AIと同じであることに留意されたい。
【0073】
電気生理学用途のためのアブレーションシステムは、高出力で高周波信号を提供するように構成される交流(AC)信号発生器と、高電圧パルスを用いて非常に短い持続時間を提供するように構成される直流(DC)信号発生器とを有することができる。システムは、AC信号発生器及びDC信号発生器に電気的に結合されたエンドエフェクタを有するカテーテルも含むことができる。エンドエフェクタは、電極が、少なくとも1つの電極から患者の体内の器官組織に、そして患者の体外に結合された第1のリターン電極及び第2のリターン電極に高電圧パルスを送達し、少なくとも1つの電極と第1のリターン電極及び第2のリターン電極の一方との間でRF信号を送達するように、エンドエフェクタ上に設けられた少なくとも1つの電極を有することができる。RF信号及び高電圧パルスは、順次又は同時のいずれかで器官組織に印加することができる。
【0074】
一例では、エンドエフェクタは、遠位先端電極と、遠位先端電極に近接して灌注流体を提供するために円筒形部材上に設けられた灌注ポートとを有する円筒形部材を有することができる。
【0075】
別の例は、力センサに結合された遠位先端電極を有することができる。更に、高周波信号は、およそ5グラム以上の接触力で印加することができる。また、少なくとも25ワットの出力を有する高周波信号を提供することができる。高周波信号はまた、350kHz~約500kHzの周波数を含むことができ、高周波信号は、少なくとも1秒の持続時間にわたって提供することができる。
【0076】
他の例では、高電圧パルスは、少なくとも800Vの振幅を含むことができる。加えて、高電圧パルスの各々の持続時間は、20マイクロ秒未満であり得、およそ100マイクロ秒のパルス列を提供し得る。隣り合うパルス列の間には、0.3~1000ミリ秒から選択された任意の値の時間差を設けることができる。これらのパルス列は、PFAバーストを提供することができる。PFAバーストは、0~500ミリ秒から選択された任意の値を含むPFAバーストの持続時間を有する2~100の任意の値のパルス列を含むことができる。更に、高電圧パルスは、およそ60ジュール以下を提供することができる。
【0077】
理解されるように、本明細書に記載される方法800は、本明細書に記載される様々な要素及び例に従って変更することができる。すなわち、開示された技術による方法は、上述の工程の全部若しくは一部を含むことができ、及び/又は上記で明示的に開示されていない追加の工程を含むことができる。更に、開示された技術による方法は、上述の特定の工程の全てではなく一部を含むことができる。更にまた、本明細書に記載される様々な方法は、完全に又は部分的に組み合わせることができる。
【0078】
本開示は、様々な図に示され、上記で論じられたように、複数の例示的な態様に関連して記載されてきたが、他の態様を私用することができること、又は本開示から逸脱することなく本開示と同じ機能を実行するように、記載された態様に対して修正又は追加が行われ得ることとが理解される。例えば、本開示の様々な態様では、方法及び構成は、現在開示されている主題の態様に従って記載された。しかし、これらの記載された態様と同等の他の方法又は構成もまた、本明細書の教示によって企図される。したがって、本開示は、いずれの単一の態様にも限定されるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲による広がり及び範囲内で解釈されるべきである。
【0079】
本明細書に説明される本開示の技術は、以下の条項に従って更に理解することができる。
条項1:心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用するためのシステムであって、パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出し、肺静脈の生体組織の1つ以上の位置をアブレーションするように制御される先端電極を備えるカテーテル、及び、パルス電界アブレーション中に生体組織に接して先端電極が受ける接触力を測定し、損傷が十分に耐久性があるか否かを決定することができるように、1つ以上の位置のうちの各位置について、測定された接触力及びパルス電界印加の回数の関数としてパルスフィールドアブレーション指標を決定するように構成されたプロセッサを備える、システム。
【0080】
条項2:プロセッサが、式
【0081】
【数2】
によって定義されるパルスフィールドアブレーション指標を計算するように更に構成され、式中、nは、パルス電界印加の印加回数であり、AIは、パルスの各印加に対する指標であり、式AI=A(B ln(力)+C)によって定義され、式中、Aは、90~130の範囲の数であり、Bは、式B=B ln(n)+Bによって決定されるパラメータであり、Cは、式C=C exp(C n)によって決定されるパラメータである、条項1に記載のシステム。
【0082】
条項3:Bがおよそ0.2653に等しく、Bがおよそ0.1623に等しく、Cがおよそ0.6862に等しく、Cがおよそ0.0867に等しい、条項2に記載のシステム。
【0083】
条項4:プロセッサは、計算されたパルスフィールドアブレーション指標が予め指定された目標アブレーション指標値に達することに応答して、パルスフィールドアブレーション適用の適用を停止するように更に構成されている、条項1に記載のシステム。
【0084】
条項5:プロセッサは、パルスフィールドアブレーション指標及び予め指定された目標アブレーション指標値をユーザに提示するように更に構成されている、条項1に記載のシステム。
【0085】
条項6:アブレーション指標は、損傷の推定体積、損傷の推定深さ、又は損傷の推定直径のうちの少なくとも1つに対応する、条項2に記載のシステム。
【0086】
条項7:システムは、
高出力で高周波信号を提供するように構成された交流(AC)信号発生器と、高電圧パルスを提供するように構成された直流(DC)信号発生器とを更に備える、条項1に記載のシステム。
【0087】
条項8:高周波信号及び高電圧パルスが、順次又は同時のいずれかで器官組織に印加される、条項7に記載のシステム。
【0088】
条項9:高周波信号が、少なくとも25ワットの出力を供給される、条項7に記載のシステム。
【0089】
条項10:高周波信号が、350kHz~約500kHzの周波数を含み、高周波信号が、少なくとも1秒の持続時間にわたって提供される、条項7に記載のシステム。
【0090】
条項11:高電圧パルスが少なくとも800Vの振幅を含む、条項7に記載のシステム。
【0091】
条項12:高電圧パルスの各々の持続時間が20マイクロ秒未満である、条項7に記載のシステム。
【0092】
条項13:隣り合うパルス列の間に、0.3~1000ミリ秒から選択された任意の値の時間差が提供される、条項7に記載のシステム。
【0093】
条項14:複数のパルス列がPFAバーストを提供し、PFAバーストが、0~500ミリ秒から選択された任意の値を含むPFAバーストの持続時間を有する2~100の任意の値のパルス列を含む、条項7に記載のシステム。
【0094】
条項15:高電圧パルスがおよそ60ジュール以下を提供する、条項7に記載のシステム。
【0095】
条項16:プロセッサは、損傷の計画体積、損傷の計画深さ、又は損傷の計画直径のうちの少なくとも1つを推定するために、パルスフィールドアブレーションによって生成される電界をシミュレートするように更に構成されている、条項1に記載のシステム。
【0096】
条項17:焦点アブレーションカテーテルであって、管状部材を備え、管状部材は、ハンドルと、接触力センサと、管状部材の遠位端にある先端電極との間で長手方向軸に沿って延在し、先端電極は、エネルギー発生器に電気的に接続され、生体組織をアブレーションするために、エネルギー発生器は、プロセッサの制御下で、生体組織の1つ以上の位置において、先端電極を介して生体組織にパルス電界又は高周波信号のいずれかを放出するように制御され、接触力センサは、先端電極に結合され、プロセッサに電気的に接続されて、パルス電界アブレーション中に生体組織に接して先端電極が受ける接触力の指標を提供して、アブレーション指標が、心臓内の1つ以上の位置のうちの各位置について、先端電極の測定された接触力とパルス電界印加回数との関数として決定される、焦点アブレーションカテーテル。
【0097】
条項18:パルスフィールドアブレーション指標は、式
【0098】
【数3】
によって決定され、式中、nは、パルス電界印加の印加回数であり、AIは、パルスの各印加に対する指標であり、式AI=A(B ln(力)+C)によって定義され、式中、Aは、90~130の範囲の数であり、Bは、式B=B ln(n)+Bによって決定されるパラメータであり、Cは、式C=C exp(C n)によって決定されるパラメータである、条項17に記載のカテーテル。
【0099】
条項19:Bがおよそ0.2653に等しく、Bがおよそ0.1623に等しく、Cがおよそ0.6862に等しく、Cがおよそ0.0867に等しい、条項17に記載のカテーテル。
【0100】
条項20:心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用する方法であって、先端電極を送達することと、先端電極から、パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出し、パルス電界の放出中に生体組織に接して先端電極が受ける接触力を測定することと、損傷が十分に耐久性があるか否かに関する決定することができるように、先端電極を用いて肺静脈の標的組織の1つ以上の位置をアブレーションすることと、パルス電界アブレーションからの1つ以上の位置のうちの各位置について、先端電極の測定された接触力の表現と、パルス電界印加の回数との関数として、アブレーション指標を決定することと、を含む、方法。
【0101】
上に記載される実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、本明細書にこれまで具体的に図示及び記載されるものに限られるものではない。むしろ、本発明の範囲は、上記に説明及び例解される様々な特徴の組み合わせ及び副次的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読むと当業者に想起されるであろう、先行技術で開示されていないそれらの変形例及び修正を含む。
【0102】
〔実施の態様〕
(1) 心房細動を治療するためにパルスフィールドアブレーションを適用するためのシステムであって、
パルス電界又は高周波信号のいずれかを生体組織に放出し、肺静脈の生体組織の1つ以上の位置をアブレーションするように制御される先端電極を備えるカテーテル、及び、
プロセッサ、を備え、前記プロセッサが、
パルス電界アブレーション中に生体組織に接して前記先端電極が受ける接触力を測定し、
損傷が十分に耐久性があるか否かを決定することができるように、前記1つ以上の位置のうちの各位置について、前記測定された接触力及びパルス電界印加の回数の関数としてパルスフィールドアブレーション指標を決定するように構成されている、システム。
(2) 前記プロセッサは、

【数4】
によって定義される前記パルスフィールドアブレーション指標を計算するように更に構成され、
式中、nは、パルス電界印加の印加回数であり、AIは、パルス印加毎の指標であり、
式AI=A(B ln(力)+C)によって定義され、
式中、Aは90~130の範囲の数であり、Bは、
式B=B ln(n)+Bによって決定されるパラメータであり、
は、
式C=C exp(C n)によって決定されるパラメータである、実施態様1に記載のシステム。
(3) Bは、およそ0.2653に等しく、Bは、およそ0.1623に等しく、
は、およそ0.6862に等しく、Cは、およそ0.0867に等しい、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記プロセッサは、前記計算されたパルスフィールドアブレーション指標が予め指定された目標アブレーション指標値に達することに応答して、前記パルスフィールドアブレーション適用の適用を停止するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記プロセッサは、前記パルスフィールドアブレーション指標及び前記予め指定された目標アブレーション指標値をユーザに提示するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
【0103】
(6) 前記アブレーション指標は、損傷の推定体積、前記損傷の推定深さ、又は前記損傷の推定直径のうちの少なくとも1つに対応する、実施態様2に記載のシステム。
(7) 前記システムは、
高出力で高周波信号を提供するように構成された交流(AC)信号発生器と、
高電圧パルスを提供するように構成された直流(DC)信号発生器と、を更に備える、実施態様1に記載のシステム。
(8) 前記高周波信号及び前記高電圧パルスが、順次又は同時のいずれかで前記器官組織に印加される、実施態様7に記載のシステム。
(9) 前記高周波信号が、少なくとも25ワットの出力を供給される、実施態様7に記載のシステム。
(10) 前記高周波信号が、350kHz~約500kHzの周波数を含み、前記高周波信号が、少なくとも1秒の持続時間にわたって提供される、実施態様7に記載のシステム。
【0104】
(11) 前記高電圧パルスが少なくとも800Vの振幅を含む、実施態様7に記載のシステム。
(12) 前記高電圧パルスの各々の持続時間が20マイクロ秒未満である、実施態様7に記載のシステム。
(13) 隣り合うパルス列の間に、0.3~1000ミリ秒から選択された任意の値の時間差が提供される、実施態様7に記載のシステム。
(14) 複数のパルス列がPFAバーストを提供し、前記PFAバーストが、0~500ミリ秒から選択された任意の値を含む前記PFAバーストの持続時間を有する2~100の任意の値のパルス列を含む、実施態様7に記載のシステム。
(15) 前記高電圧パルスがおよそ60ジュール以下を提供する、実施態様7に記載のシステム。
【0105】
(16) 前記プロセッサは、前記パルスフィールドアブレーションによって生成される電界をシミュレートして、損傷の計画体積、前記損傷の計画深さ、又は前記損傷の計画直径のうちの少なくとも1つを推定するように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(17) 焦点アブレーションカテーテルであって、
管状部材を備え、前記管状部材は、ハンドルと、接触力センサと、前記管状部材の遠位端に設けられた先端電極との間で長手方向軸に沿って延在し、
前記先端電極は、エネルギー発生器に電気的に接続され、前記エネルギー発生器は、生体組織をアブレーションするために、プロセッサの制御下で、生体組織の1つ以上の位置において、前記先端電極を介して生体組織にパルス電界又は高周波信号のいずれかを放出するように制御され、
前記接触力センサが、前記先端電極に結合され、前記プロセッサに電気的に接続されて、パルス電界アブレーション中に生体組織に接して前記先端電極が受ける接触力の指標を提供し、それにより、アブレーション指標が、心臓内の前記1つ以上の位置のうちの各位置について、前記先端電極の前記測定された接触力と、パルス電界印加の回数との関数として前記プロセッサによって決定される、焦点アブレーションカテーテル。
(18) 前記パルスフィールドアブレーション指標は、

【数5】
によって決定され、
式中、nは、パルス電界印加の印加回数であり、AIは、パルス印加毎の指標であり、
式AI=A(B ln(力)+C)によって定義され、
式中、Aは、90~130の範囲の数であり、Bは、
式B=B ln(n)+Bによって決定されるパラメータであり、
は、
式C=C exp(C n)によって決定されるパラメータである、実施態様17に記載のカテーテル。
(19) Bは、およそ0.2653に等しく、Bは、およそ0.1623に等しく、
は、およそ0.6862に等しく、Cは、およそ0.0867に等しい、実施態様17に記載のカテーテル。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】