(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152701
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】ケーブルホルダ及び車両用電気システム
(51)【国際特許分類】
H01R 13/60 20060101AFI20241018BHJP
B60L 53/31 20190101ALI20241018BHJP
H02J 7/00 20060101ALN20241018BHJP
【FI】
H01R13/60
B60L53/31
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064536
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2023066413
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001977
【氏名又は名称】弁理士法人クスノキ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山澤 英丈
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋一
【テーマコード(参考)】
5E021
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5E021FB07
5E021FB20
5E021FC07
5E021FC27
5E021FC31
5E021GA03
5G503AA01
5G503BB01
5G503FA03
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC24
5H125FF14
(57)【要約】
【課題】車両用電気装置との関連性を認識しやすいように被取付面に取り付け可能なケーブルホルダとすること。
【解決手段】車両用電気装置のケーブルを保持するために用いられるケーブルホルダ2であって、車両用電気装置と別体として設けられており、ケーブル本体部の端部に設けられたコネクタ部を保持するために用いることが可能なコネクタ保持部23と、ケーブルのケーブル本体部を保持するために用いることが可能なケーブル保持部22と、取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部24と、を備え、少なくとも一つの取付面部が、平面視において、ケーブル保持部がケーブル本体部をガイドする方向となるケーブルガイド方向Cgdと鋭角をなす、若しくは、少なくとも一つの取付面部が、平面視において、コネクタ部が挿入される方向となるコネクタ挿入方向Cidと鋭角をなす構成とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両への充電若しくは車両からの放電を制御する制御部及び充電時若しくは放電時に車両に接続されるケーブルを備えた車両用電気装置のケーブルを保持するために用いられるケーブルホルダであって、
車両用電気装置と別体として設けられており、
ケーブル本体部の端部に設けられたコネクタ部を保持するために用いることが可能なコネクタ保持部と、ケーブルのケーブル本体部を保持するために用いることが可能なケーブル保持部と、取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部と、を備え、
少なくとも一つの取付面部が、平面視において、ケーブル保持部がケーブル本体部をガイドする方向となるケーブルガイド方向と鋭角をなす、
若しくは、
少なくとも一つの取付面部が、平面視において、コネクタ部が挿入される方向となるコネクタ挿入方向と鋭角をなす、
ケーブルホルダ。
【請求項2】
取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部を複数備え、
少なくとも一つの取付面部は、他の取付面部の内の少なくとも一つと異なる方向に向く請求項1に記載のケーブルホルダ。
【請求項3】
ケーブル保持部を備える本体部と、本体部を取付箇所に取り付けるために用いられる取付部材と、を備え、
取付部材の本体部への取り付け方を変更することで、本体部の取付箇所に対する角度を変更可能な請求項1に記載のケーブルホルダ。
【請求項4】
本体部を取付箇所に対して取り付ける場合に用いることが可能な第一取付部と、第一取付部を用いた取付箇所に対する取り付けとは異なる角度で本体部を取付箇所に対して取り付ける場合に用いることが可能な第二取付部と、を備え、
本体部を取付箇所に対して正面向きで取り付ける場合には、第二取付部が本体部の内側に位置することになり、
本体部を取付箇所に対して傾けて取り付ける場合には、第二取付部が本体部の外側に位置することになる請求項3に記載のケーブルホルダ。
【請求項5】
本体部を取付箇所に対して正面向きで取り付ける場合には、正面視で、二つの第一取付部の間に第二取付部が位置することになる請求項4に記載のケーブルホルダ。
【請求項6】
取付台に対して請求項1乃至5に記載のケーブルホルダと車両用電気装置が少なくとも一つずつ取り付けられる車両用電気システムであって、
車両用電気装置が取り付けられる第一の被取付面と、ケーブルホルダが取り付けられる第二の被取付面は、略垂直の角度をなす位置関係であり、
第二の被取付面に対して、平面視においてケーブルガイド方向若しくはコネクタ挿入方向と鋭角をなす取付面部が取り付けられる車両用電気システム。
【請求項7】
同一平面上の被取付面に対して、請求項1乃至5に記載のケーブルホルダと車両用電気装置が少なくとも一つずつ取り付けられる車両用電気システムであって、
被取付面に対して、平面視においてケーブルガイド方向若しくはコネクタ挿入方向と鋭角をなす取付面部が取り付けられる車両用電気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルホルダ及び車両用電気システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されていることから理解されるように、取付台に取り付けられる車両用電気装置の背面を取付台の被取付面と対向するように配置することで、ケーブルのコネクタ部を被取付面に対して略垂直の方向から接続することができるケーブルホルダが知られている。このケーブルホルダのケーブル保持部は、ケーブルのケーブル本体部の巻き付け方向が被取付面と略平行となる。また、特許文献2の
図7に示されることから理解されるように、車両用電気装置保持用スタンドに車両用電気装置を取り付けるとともに、その側面にフック部を形成することが知られている。特許文献2に開示の構成では、フック部の被取付面と略平行となるように、フック部に対してケーブル本体部が巻き付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-201282号公報
【特許文献2】特開2015-43667号公報
【0004】
ところで、車両用電気装置保持用スタンドの前後方向に二つの車両用電気装置を取り付けることも想定される。車両用電気装置保持用スタンドの左右方向に二つのフック部を形成した場合、各フック部に巻き付けられたケーブル本体部は、車両用電気装置の左右両方に同じように位置することとなる。このため、どの車両用電気装置のケーブルのケーブル本体部がどのフック部に保持されているかを即座に判断できないおそれがある。また、特許文献1に開示されているようなケーブルホルダをフック部の代わりに車両用電気装置保持用スタンドに取り付けると、ケーブルホルダに対して、ケーブルのコネクタ部が左右方向に向いて保持されることとなる。このため、どの車両用電気装置のケーブルのコネクタ部がどのケーブルホルダに保持されているかを即座に判断できないおそれがある。また、一つの壁面に並列するように車両用電気装置を配置する場合、車両用電気装置どうしの間に特許文献1に開示されたようなケーブルホルダを配置すると、どの車両用電気装置のケーブルのケーブル本体部若しくはコネクタ部がどのケーブルホルダに保持されているかを即座に判断できないおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件の発明者は、この点について鋭意検討することにより解決を試みた。本発明が解決しようとする課題は、車両用電気装置との関連性を認識しやすいように被取付面に取り付け可能なケーブルホルダとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、車両への充電若しくは車両からの放電を制御する制御部及び充電時若しくは放電時に車両に接続されるケーブルを備えた車両用電気装置のケーブルを保持するために用いられるケーブルホルダであって、車両用電気装置と別体として設けられており、ケーブル本体部の端部に設けられたコネクタ部を保持するために用いることが可能なコネクタ保持部と、ケーブルのケーブル本体部を保持するために用いることが可能なケーブル保持部と、取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部と、を備え、少なくとも一つの取付面部が、平面視において、ケーブル保持部がケーブル本体部をガイドする方向となるケーブルガイド方向と鋭角をなす、若しくは、少なくとも一つの取付面部が、平面視において、コネクタ部が挿入される方向となるコネクタ挿入方向と鋭角をなす、ケーブルホルダとする。
【0007】
また、取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部を複数備え、少なくとも一つの取付面部は、他の取付面部の内の少なくとも一つと異なる方向に向く構成とすることが好ましい。
【0008】
また、ケーブル保持部を備える本体部と、本体部を取付箇所に取り付けるために用いられる取付部材と、を備え、取付部材の本体部への取り付け方を変更することで、本体部の取付箇所に対する角度を変更可能な構成とすることが好ましい。
【0009】
また、本体部を取付箇所に対して取り付ける場合に用いることが可能な第一取付部と、第一取付部を用いた取付箇所に対する取り付けとは異なる角度で本体部を取付箇所に対して取り付ける場合に用いることが可能な第二取付部と、を備え、本体部を取付箇所に対して正面向きで取り付ける場合には、第二取付部が本体部の内側に位置することになり、本体部を取付箇所に対して傾けて取り付ける場合には、第二取付部が本体部の外側に位置することになる構成とすることが好ましい。
【0010】
また、本体部を取付箇所に対して正面向きで取り付ける場合には、正面視で、二つの第一取付部の間に第二取付部が位置することになる構成とすることが好ましい。
【0011】
また、取付台に対して前記ケーブルホルダと車両用電気装置が少なくとも一つずつ取り付けられる車両用電気システムであって、車両用電気装置が取り付けられる第一の被取付面と、ケーブルホルダが取り付けられる第二の被取付面は、略垂直の角度をなす位置関係であり、第二の被取付面に対して、平面視においてケーブルガイド方向若しくはコネクタ挿入方向と鋭角をなす取付面部が取り付けられる車両用電気システムとすることが好ましい。
【0012】
また、同一平面上の被取付面に対して、前記ケーブルホルダと車両用電気装置が少なくとも一つずつ取り付けられる車両用電気システムであって、被取付面に対して、平面視においてケーブルガイド方向若しくはコネクタ挿入方向と鋭角をなす取付面部が取り付けられる車両用電気システムとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、車両用電気装置との関連性を認識しやすいように被取付面に取り付け可能なケーブルホルダとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態におけるケーブルホルダを斜めから見た例と、このケーブルホルダにケーブルを装着した例を示す図である。
【
図2】
図1に示すケーブルホルダにケーブル保持部材を取り付けた状態を斜めから見た例と、この状態のケーブルホルダにケーブルを装着した例を示す図である。
【
図3】ケーブル保持部材を取り付けたケーブルホルダを斜め後ろから見た状態を示す図である。
【
図4】ケーブルホルダの向きを変えて取り付けることができることを表す図である。ただし、被取付面を正面に見た図である。
【
図5】ケーブルホルダの向きを変えて取り付けることができることを表す図である。ただし、平面視における図である。
【
図6】
図5の左側に示したケーブルホルダにおける、被取付面に接する取付面部と、ケーブルガイド方向と、コネクタ挿入方向と、の関係を示す図である。ただし、取付面部とケーブルガイド方向がなす角度は破線と二重線がなす角度θ1として表し、取付面部とコネクタ挿入方向がなす角度は一点鎖線と二重線がなす角度θ2として表している。
【
図7】
図5の右側に示したケーブルホルダにおける、被取付面に接する取付面部と、ケーブルガイド方向と、コネクタ挿入方向と、の関係を示す図である。ただし、取付面部とケーブルガイド方向がなす角度は破線と二重線がなす角度θ1として表し、取付面部とコネクタ挿入方向がなす角度は一点鎖線と二重線がなす角度θ2として表している。
【
図8】
図5の中央に示したケーブルホルダにおける、被取付面に接する取付面部と、ケーブルガイド方向と、コネクタ挿入方向と、の関係を示す図である。ただし、取付面部とケーブルガイド方向の関係は、破線と二重線の関係で表されており、平行である。また、取付面部とコネクタ挿入方向がなす角度の関係は、一点鎖線と二重線の関係で表されており、90度である。
【
図9】取付台に車両用電気装置とケーブルホルダを一つずつ取り付けた例を示す斜視図である。
【
図10】取付台に車両用電気装置とケーブルホルダを二つずつ取り付けた例を示す斜視図である。
【
図11】取付台に車両用電気装置とケーブルホルダを二つずつ取り付けた例を示す平面図である。
【
図12】一つの面に車両用電気装置とケーブルホルダを二つずつ取り付けた例を示す図である。ただし、車両用電気装置とケーブルホルダが交互に配置されている。
【
図13】一つの面に車両用電気装置とケーブルホルダを二つずつ取り付けた例を示す図である。ただし、二つの車両用電気装置の間に二つのケーブルホルダが配置されている。
【
図14】ケーブルホルダの別形態の例を示す斜視図である。
【
図15】
図14に示すケーブルホルダを異なる方向から見た斜視図である。
【
図17】
図15に示す取付部材の向きを変えた状態におけるケーブルホルダの分解斜視図である。
【
図18】
図17に示す向きで取付部材を取り付けたケーブルホルダの斜視図である。
【
図19】ケーブルホルダの向きを変えて取り付けることができることを表す図である。ただし、平面視における図である。
【
図22】
図19の右側に示したケーブルホルダにおける、被取付面に接する取付面部と、ケーブルガイド方向と、コネクタ挿入方向と、の関係を示す図である。ただし、取付面部とケーブルガイド方向がなす角度は破線と二重線がなす角度θ1として表し、取付面部とコネクタ挿入方向がなす角度は一点鎖線と二重線がなす角度θ2として表している。
【
図25】取付台に車両用電気装置と
図18に示すケーブルホルダを一つずつ取り付けた例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に発明を実施するための形態を示す。実施形態のケーブルホルダ2は、車両への充電若しくは車両からの放電を制御する制御部及び充電時若しくは放電時に車両に接続されるケーブル70を備えた車両用電気装置7のケーブル70を保持するために用いられる。このケーブルホルダ2は、車両用電気装置7と別体として設けられている。また、このケーブルホルダ2は、ケーブル本体部71の端部に設けられたコネクタ部72を保持するために用いることが可能なコネクタ保持部23と、ケーブル70のケーブル本体部71を保持するために用いることが可能なケーブル保持部22と、取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部24と、を備えている。そして、「少なくとも一つの取付面部24が、平面視において、ケーブル保持部22がケーブル本体部71をガイドする方向となるケーブルガイド方向Cgdと鋭角をなす」、若しくは、「少なくとも一つの取付面部24が、平面視において、コネクタ部72が挿入される方向となるコネクタ挿入方向Cidと鋭角をなす」ケーブルホルダ2である。このため、車両用電気装置7との関連性を認識しやすいように被取付面に取り付け可能なケーブルホルダ2とすることが可能となる。
【0016】
ここで、実施形態のケーブルホルダ2の概略構成について説明をする。ケーブルホルダ2は、車両用電気装置7とは別体で設けられている。より詳しくは、車両への充電若しくは車両からの放電を制御する制御部及び充電時若しくは放電時に車両に接続されるケーブル70を備えた車両用電気装置7とは別体として、ケーブルホルダ2が設けられている。実施形態のケーブルホルダ2には、車両への充電若しくは車両からの放電を制御する制御部が備えられておらず、主に、充電や放電をしない場合にケーブル70の保管先として利用される(
図1参照)。なお、ケーブル70には、ケーブル本体部71と、車両に接続されるコネクタ部72と、を備えている。
【0017】
実施形態のケーブルホルダ2は上部に、ケーブル70のケーブル本体部71を保持するためのケーブル保持部22を備えている。また、実施形態のケーブルホルダ2の前面には、ケーブル70のコネクタ部72を保持するコネクタ保持部23を備えている。また、実施形態のケーブルホルダ2は、別途ケーブル保持部材5を取り付けられるようにしている(
図2参照)。ケーブルホルダ2にケーブル保持部材5を取り付けられるようにすれば、ケーブル本体部71を保持できる箇所が増えるため、ケーブル本体部71の一部を他の部分と分けて整理することができる。したがって、ケーブル本体部71のうち、頻繁に利用する部分と、そうでない部分を分けて整理することができる。また、ケーブル保持部材5は、ケーブルホルダ2から下方に延びるものではなく、前方に傾けるように形成しているため、ケーブル保持部材5に保持させたケーブル本体部71が被取付面に接触することを防ぐことができる。
【0018】
図2に示す例ではケーブルホルダ2の下部にケーブル保持部材5を取り付けているが、このような態様に限る必要はない。ケーブホルダの上部にケーブル保持部材5が取り付けられるようにしてもよい。
【0019】
実施形態のケーブルホルダ2の背面側には、被取付面に取り付けるための取付面部24を備えている。実施形態の取付面部24は、取付孔24aを備えており、ネジ固定などを可能としている。
図3に示す例では一つの取付面部24に対して四つの取付孔24aを備えているが、取付孔24aの数はこれに限る必要はないし、取付孔24aを設けないようにしてもよい。ただし、取付面部24に取付孔24aを設ける場合は、一つの取付面部24に対して二つ以上の取付孔24aを設けることが望ましい。
【0020】
図1から
図3に示す実施形態のケーブルホルダ2は、取付面部24を三つ備えている。各々の取付面部24は異なる方向に向くように構成されている。このため、取付に用いる取付面部24の選択によりケーブルホルダ2の向きを変えることができる(
図4及び
図5参照)。この例では、ケーブルホルダ2の向きを、前向き、右斜め前向き、左斜め前向き、の三つの中から選択することができる。
【0021】
また、実施形態のケーブルホルダ2に備えられる取付面部24のうちの二つは、平面視において、ケーブル保持部22がケーブル本体部71をガイドする方向となるケーブルガイド方向Cgdや、コネクタ部72が挿入される方向となるコネクタ挿入方向Cidと、鋭角をなす(
図6及び
図7参照)。したがって、取付面部24を被取付面と接するように配置した場合に、被取付面の垂線が延びる方向とは異なる方向に、ケーブルガイド方向Cgdやコネクタ挿入方向Cidが向くことになる。なお、この例においては、ケーブルガイド方向Cgdとコネクタ挿入方向Cidは平面視において90度異なる。
【0022】
これら二つの取付面部24を被取付面に取り付けた場合、コネクタ挿入方向Cidは、被取付面の垂線が延びる方向に対してずれる。より具体的には、一方の取付面部24を被取付面に取り付けた場合に、コネクタ挿入方向Cidが、被取付面の垂線が延びる方向に対して+45度ずれ、他方の取付面部24を被取付面に取り付けた場合に、コネクタ挿入方向Cidが、被取付面の垂線が延びる方向に対して-45度ずれる。角度のずれはこのようなものである必要はないが、被取付面を正面に見て右斜め方向にコネクタ部72を移動させてケーブルホルダ2に挿入する場合と、左斜め方向にコネクタ部72を移動させてケーブルホルダ2に挿入する場合と、を選択できるようにするのが好ましい。このようにすれば、ケーブルホルダ2が保持するケーブル70を有する車両用電気装置7と、ケーブルホルダ2と、の関連性を認識しやすいようにする場合であっても、ケーブルホルダ2の配置のバリエーションを多くすることができる。ここで、取付面部24とケーブル保持部22の間に厚みを持たせることで、二つの取付面部24を被取付面に取り付けた場合に、被取付面とケーブル保持部22との間に距離が生まれ、ケーブル保持部材5に保持させたケーブル本体部71が被取付面に接触することを防ぐことができる。
【0023】
また、実施形態のケーブルホルダ2に備えられた取付面部24のうちの一つは、平面視において、コネクタ部72が挿入される方向と90度をなすように構成されている(
図8参照)。また、この取付面部24は、平面視において、ケーブル保持部22がケーブル本体部71をガイドする方向となるケーブルガイド方向Cgdと平行をなすものでもある。この取付面部24は、従来から知られているような取付方法を可能とするものであり、必ずしも必要ではない。ただし、このような取付面部24を備えたケーブルホルダ2とすれば、取付態様のバリエーションを増やすことになるため、ケーブルホルダ2の利用範囲を広げることになる。
【0024】
もちろん、取付面部24は上記した態様である必要はない。ただし、取付箇所に接触させることが可能な面である取付面部24を複数備え、少なくとも一つの取付面部24は、他の取付面部24の内の少なくとも一つと異なる方向に向く構成にすることが好ましい。
【実施例0025】
図9に示すことから理解されるように、実施例1に示す車両用電気システムにおいては、枠体81を備えた取付台8に対して、ケーブルホルダ2と、車両用電気装置7が各々一つずつ取り付けられている。この例では、車両用電気装置7は、取付台8の前側に位置する第一の被取付面に取り付けられ、ケーブルホルダ2は、取付台8の左側に位置する第二の被取付面に取り付けられている。ケーブルホルダ2は、第二の被取付面に対して、平面視においてケーブルガイド方向Cgd及びコネクタ挿入方向Cidと鋭角をなす取付面部24が取り付けられている。このようにして、ケーブルホルダ2のコネクタ保持部23が形成された面が、前面側を向くように取り付けられている。そのため、車両用電気装置7とケーブルホルダ2の対応関係が明確になるとともに、ケーブル70のケーブル本体部71をケーブルホルダ2で保持する場合に、車両用電気装置7や取付台8が邪魔になることを抑制することができる。
実施例1及び実施例2についての記載から理解されるように、取付台8に対してケーブルホルダ2と車両用電気装置7が少なくとも一つずつ取り付けられる車両用電気システムとする場合には、車両用電気装置7が取り付けられる第一の被取付面と、ケーブルホルダ2が取り付けられる第二の被取付面は、略垂直の角度をなす位置関係とすることが好ましい。また、第二の被取付面に対して、平面視においてケーブルガイド方向Cgd若しくはコネクタ挿入方向Cidと鋭角をなす取付面部24が取り付けられる構成とするのが好ましい。