(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152713
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】粘着テープ、及び、電子ペーパー
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20241018BHJP
C09J 133/00 20060101ALI20241018BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20241018BHJP
G02F 1/167 20190101ALN20241018BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/00
C09J11/06
G02F1/167
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064774
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2023065515
(32)【優先日】2023-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】石堂 泰志
【テーマコード(参考)】
2K101
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BD61
2K101EG45
2K101EG52
2K101EH36
2K101EK35
4J004AA10
4J004AB01
4J004EA06
4J004FA05
4J040DF001
4J040EF282
4J040HD30
4J040HD36
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA31
4J040KA32
4J040KA35
4J040KA42
4J040LA06
4J040NA17
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】高い粘着力と優れた透明性とを有し、かつ、低い体積抵抗率を有し導電性に優れる粘着テープを提供する。また、該粘着テープを含む電子ペーパーを提供する。
【解決手段】粘着剤層を有し、前記粘着剤層はベースポリマーを含有し、前記ベースポリマーは(メタ)アクリル共重合体を含み、前記粘着剤層は、リチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有し、前記粘着剤層は、23℃、50%RHにおける体積抵抗率が3.50×108Ω・cm以下であり、前記粘着剤層は、ゲル分率が85質量%以下である粘着テープ。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層を有し、
前記粘着剤層はベースポリマーを含有し、前記ベースポリマーは(メタ)アクリル共重合体を含み、
前記粘着剤層は、リチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有し、
前記粘着剤層は、23℃、50%RHにおける体積抵抗率が3.50×108Ω・cm以下であり、
前記粘着剤層は、ゲル分率が85質量%以下である
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル共重合体は、アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記(メタ)アクリル共重合体中における、前記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合が19質量%以上である請求項2記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記(メタ)アクリル共重合体は、SP値が9.65(J/cm3)1/2以上である請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記(メタ)アクリル共重合体100質量部に対する、前記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量が1.5質量部以上15質量部以下である請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項6】
23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力が2.00N/25mm以上である請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項7】
電子部品を固定するために用いられる請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項8】
請求項1、2又は3記載の粘着テープを含む、電子ペーパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。また、本発明は、該粘着テープを含む電子ペーパーに関する。
【背景技術】
【0002】
粘着テープは多様な分野で広く用いられており、例えば、携帯電話、携帯情報端末(Personal Digital Assistants、PDA)等の携帯電子機器の組み立てのために、又は、車載用パネル等の車載用電子機器部品を車両本体に固定するために用いられている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-242541号公報
【特許文献2】特開2009-258274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子ペーパーを搭載した電子書籍リーダーの普及が進んでおり、なかでも、電気泳動方式の電子ペーパーの開発や普及が進んでいる。電気泳動方式の電子ペーパーでは、透明電極とマイクロカプセルとが、又は透明電極とマイクロカプセルを担持させた高分子材料とが直接接触する場合がある。この時、マイクロカプセル又は高分子材料の種類によっては、透明電極の腐食や劣化が起こる場合がある。これを抑制する一つの方法として、透明電極とマイクロカプセル又はマイクロカプセルを担持させた高分子材料とを粘着テープを用いて固定し、透明電極を保護することが挙げられる。
【0005】
粘着テープを用いて透明電極とマイクロカプセル又はマイクロカプセルを担持させた高分子材料とを固定して保護する場合、電子ペーパーの電気泳動方式を駆動可能とする電力を厚み方向に与えるため、用いる粘着テープは体積抵抗率を低くし導電性を向上させる必要がある。しかし、従来のこのような粘着テープでは、高分子材料との粘着力や、視認性を確保するための透明性が不充分であった。
【0006】
本発明は、高い粘着力と優れた透明性とを有し、かつ、低い体積抵抗率を有し導電性に優れる粘着テープを提供することを目的とする。また、本発明は、該粘着テープを含む電子ペーパーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示1は、粘着剤層を有し、上記粘着剤層はベースポリマーを含有し、上記ベースポリマーは(メタ)アクリル共重合体を含み、上記粘着剤層は、リチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有し、上記粘着剤層は、23℃、50%RHにおける体積抵抗率が3.50×108Ω・cm以下であり、上記粘着剤層は、ゲル分率が85質量%以下である粘着テープである。
本開示2は、上記(メタ)アクリル共重合体は、アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する本開示1の粘着テープである。
本開示3は、上記(メタ)アクリル共重合体中における、上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合が19質量%以上である本開示2の粘着テープである。
本開示4は、上記(メタ)アクリル共重合体は、SP値が9.65(J/cm3)1/2以上である本開示1、2又は3の粘着テープである。
本開示5は、上記(メタ)アクリル共重合体100質量部に対する、上記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量が1.5質量部以上15質量部以下である本開示1、2、3又は4の粘着テープである。
本開示6は、23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力が2.00N/25mm以上である本開示1、2、3、4又は5の粘着テープである。
本開示7は、電子部品を固定するために用いられる本開示1、2、3、4、5又は6の粘着テープである。
本開示8は、本開示1、2、3、4、5、6又は7の粘着テープを含む、電子ペーパーである。
以下、本発明を詳述する。
【0008】
本発明者らは、(メタ)アクリル共重合体を含むベースポリマーを含有する粘着剤層について、粘着剤層にリチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有させることを検討した。更に、該粘着剤層の体積抵抗率及びゲル分率を適切な範囲に調整することにより、高い粘着力と優れた透明性とを有し、かつ、低い体積抵抗率を有し導電性に優れる粘着テープを得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのことを意味する。
【0009】
本発明の粘着テープは、粘着剤層を有する。
上記粘着剤層は、23℃、50%RHにおける体積抵抗率の上限が3.50×108Ω・cmである。上記粘着剤層の23℃、50%RHにおける体積抵抗率が3.50×108Ω・cm以下であることにより、本発明の粘着テープの導電性が向上する。上記粘着剤層の23℃、50%RHにおける体積抵抗率の好ましい上限は2.00×108Ω・cm、より好ましい上限は1.50×108Ω・cmである。
また、体積抵抗値が低いほど装置を駆動しやすい観点から、上記粘着剤層の体積抵抗率の下限はないが、技術的な限界から体積抵抗率の下限は1.00×105Ω・cm程度である。
なお、上記粘着剤層の23℃、50%RHにおける体積抵抗率を測定する方法としては、例えば、JIS K6271を参考とし、抵抗率計(日東精工アナリテック社製、「ハイレスタUX MCP-HT-800」等)を用いて、23℃、50%RHにおける体積抵抗率を測定する方法等が挙げられる。
【0010】
上記粘着剤層は、ゲル分率の上限が85質量%である。上記粘着剤層のゲル分率が85質量%以下であることにより、上記粘着剤層は適度な柔軟性を有し、本発明の粘着テープは充分な粘着力を有するものとなるため、被着体を強固に固定することができる。上記粘着剤層のゲル分率の好ましい上限は80質量%、より好ましい上限は75質量%、更に好ましい上限は70質量%、更により好ましい上限は65質量%、特に好ましい上限は60質量%、殊更好ましい上限は55質量%である。
また、上記粘着剤層は、ゲル分率の好ましい下限が10質量%である。上記粘着剤層のゲル分率が10質量%以上であることにより、上記粘着剤層は凝集力がより向上し、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記粘着剤層のゲル分率のより好ましい下限は15質量%、更に好ましい下限は20質量%、更により好ましい下限は25質量%、特に好ましい下限は30質量%である。
なお、上記粘着剤層のゲル分率の測定方法は、例えば、以下の方法等により行うことができる。
即ち、上記粘着剤層W0(g)を採取し、採取した上記粘着剤層を酢酸エチル50mL中に浸漬し、振とう機で温度23℃、200rpmの条件で24時間振とうする。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ、質量:W1(g))を用いて、酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着剤層を濾過し、分離後の粘着剤層を110℃の条件下で1時間乾燥させた後、金属メッシュを含む粘着剤層の質量W2(g)を測定する。そして、得られたW0、W1、及び、W2を用いて、下記式(I)からゲル分率を算出する方法等により、測定することができる。
ゲル分率(質量%)=100×(W2-W1)/W0 (I)
(W0:初期粘着剤層の質量、W1:金属メッシュの初期質量、W2:乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤層の質量)
【0011】
上記粘着剤層の23℃、50%RHにおける体積抵抗率及び上記粘着剤層のゲル分率を上述した範囲に調整する方法としては、例えば、後述するリチウムイオンを含む導電性化合物や後述するアルキレングリコール構造を有する化合物の組成を変更する方法、後述するアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の組成を変更する方法、後述する架橋剤の組成を変更する方法、リチウムイオンを含む導電性化合物やアルキレングリコール構造を有する化合物の配合量を変更する方法、一般的に導電助剤と称されるものを加える方法、架橋剤の配合量を変更する方法、(メタ)アクリル共重合体の組成や分子量を変更する方法等が挙げられる。
なお、本明細書中において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートのことを意味する。
【0012】
上記粘着剤層はベースポリマーを含有する。
上記ベースポリマーは、(メタ)アクリル共重合体を含む。上記ベースポリマーが(メタ)アクリル共重合体を含むことにより、本発明の粘着テープが透明性に優れるものとなる。
【0013】
上記(メタ)アクリル共重合体は、アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有することが好ましい。即ち、上記(メタ)アクリル共重合体は後述するアルキレングリコール構造を有する化合物であることが好ましい。
上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートとしては、*-O-R-O-*(Rはアルキレン基であり、*は結合位置である)で表される構造を有する(メタ)アクリレートである。上記Rとしては、例えば、エチレン基(-CH2CH2-)、プロピレン基{-CH2CH(CH3)-}、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)等が挙げられる。なかでも、導電性化合物に含まれるリチウムイオンと相互作用しやすく導電性をより向上できる観点から、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートとしては、具体的には例えば、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-(2-メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、カルビトールエチル(メタ)アクリレート、メトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ―トリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-テトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシ-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシ-ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、工業的に入手しやすい観点から、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、カルビトールエチル(メタ)アクリレートが好ましい。なお、上述したアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0014】
上記(メタ)アクリル共重合体中における、上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合は、好ましい下限が19質量%である。上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合が19質量%以上であることにより、上記(メタ)アクリル共重合体の極性がより高まり、上記粘着剤層は凝集力がより向上するため、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。また、後述する導電性化合物に含まれるリチウムイオンが上記粘着剤層中でより容易に移動できるようになるため、本発明の粘着テープの導電性がより向上する。上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合のより好ましい下限は39質量%、更に好ましい下限は59質量%、更により好ましい下限は79質量%である。
また、上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合は、上記(メタ)アクリル共重合体が後述する極性官能基含有モノマーに由来する構成単位に由来する官能基と後述する架橋剤とによる架橋構造を有する場合に上記粘着剤層の凝集力が更に高まることから、好ましい上限は99.5質量%、より好ましい上限は99質量%、更に好ましい上限は98.5質量%である。
【0015】
上記(メタ)アクリル共重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位等を有することが好ましい。上記アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル共重合体の凝集力を高める観点から、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレートが好ましく、更に、(メタ)アクリル共重合体の極性が高まり、本発明の粘着テープの導電性がより向上する観点からメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
上述したアルキル(メタ)アクリレートは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
上記(メタ)アクリル共重合体中における、上記アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合は、好ましい下限が15質量%であり、好ましい上限が99.5質量%である。上記アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合がこの範囲内であることにより、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなる。上記アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合のより好ましい上限は99質量%、更に好ましい上限は98.5質量%である。
【0017】
上記(メタ)アクリル共重合体は、極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有することが好ましい。上記(メタ)アクリル共重合体が極性官能基含有モノマーに由来する構成単位を有することにより、上記粘着剤層は極性がより高まり、凝集力がより向上するため、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。また、上記粘着剤層が、更に、後述する架橋剤を含有する場合、上記(メタ)アクリル共重合体は極性官能基含有モノマーに由来する官能基によって架橋構造を形成し、上記粘着剤層は凝集力が更に向上することにより、本発明の粘着テープは被着体を固定するために更に充分な粘着力を有するものとなる。
なお、本明細書中において、「極性官能基含有モノマー」は、上述したアルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートを除く。
【0018】
上記極性官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含モノマー、エポキシ基含有モノマー、アルケニル基含有モノマー、アルキニル基含有モノマー等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル共重合体の合成が容易に行える観点から、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましい。上述した極性官能基含有モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0019】
上記水酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、架橋度の調整を行いやすい観点から、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
上述した水酸基含有モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
上記(メタ)アクリル共重合体中における、上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合は、好ましい下限が0.1質量%であり、好ましい上限が10質量%である。上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合が0.1質量%以上であることにより、上記粘着剤層は凝集力がより向上することにより、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合が10質量%以下であることにより、上記粘着剤層は適度な柔軟性を有し、本発明の粘着テープは充分な粘着力を有するものとなるため、被着体をより強固に固定することができる。上記水酸基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合は、より好ましい下限は0.5質量%、より好ましい上限は5質量%、更に好ましい下限は1質量%、更に好ましい上限は3質量%、更により好ましい上限は2質量%である。
【0021】
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、2-アクリロイルオキシエチル-コハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、4-カルボキシスチレン等が挙げられる。なかでも、工業的に入手しやすい観点から、(メタ)アクリル酸が好ましく、特にアクリル酸が好ましい。
上述したカルボキシ基含有モノマーは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0022】
上記(メタ)アクリル共重合体中において、上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合は、好ましい下限が0.001質量%であり、好ましい上限が1.0質量%である。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合が0.001質量%以上であることにより、上記粘着剤層は凝集力がより向上することにより、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合が1.0質量%以下であることにより、上記粘着剤層は適度な柔軟性を有し、本発明の粘着テープは充分な粘着力を有するものとなるため、被着体をより強固に固定することができ、また、電極材料の腐食を抑制することができる。上記カルボキシ基含有モノマーに由来する構成単位の含有割合は、より好ましい下限は0.005質量%、より好ましい上限は0.5質量%、更に好ましい下限は0.01質量%、更に好ましい上限は0.3質量%である。
【0023】
上記(メタ)アクリル共重合体中における、上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有割合は、好ましい下限が0.1質量%であり、好ましい上限が10質量%である。上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有割合が0.1質量%以上であることにより、上記粘着剤層は凝集力がより向上することにより、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有割合が10質量%以下であることにより、上記粘着剤層は適度な柔軟性を有し、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなるため、被着体をより強固に固定することができる。上記極性官能基含有モノマーに由来する構成単位の合計含有割合は、より好ましい下限は0.5質量%、より好ましい上限は5質量%、更に好ましい下限は1質量%、更に好ましい上限は3質量%、更により好ましい上限は2質量%である。
【0024】
上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましい下限が30万であり、好ましい上限が200万である。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が30万以上であることにより、上記粘着剤層は凝集力がより向上し、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量が200万以下であることにより、上記粘着剤層は適度な柔軟性を有し、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなるため、被着体をより強固に固定することができる。上記(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は160万、更に好ましい下限は50万、更に好ましい上限は120万である。
なお、本明細書中において、「重量平均分子量」とは、ゲルパーミエーション(GPC)法において、測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量のことを意味する。具体的には、(メタ)アクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)により50倍希釈し、希釈した溶液をフィルターで濾過することにより、測定サンプルを調製する。次に、この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(例えば、Waters社製、「2690 Separations Module」等)に供給して、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行う。(メタ)アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、この値を(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量とする。
【0025】
上記(メタ)アクリル共重合体のSP値は、好ましい下限が9.65(J/cm3)1/2である。上記(メタ)アクリル共重合体のSP値が9.65(J/cm3)1/2以上であることにより、上記粘着剤層は極性がより高まり、凝集力がより向上するため、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記(メタ)アクリル共重合体のSP値のより好ましい下限は9.70(J/cm3)1/2、更に好ましい下限は9.80(J/cm3)1/2、更により好ましい下限は9.90(J/cm3)1/2、特に好ましい下限は10.0(J/cm3)1/2である。
また、上記(メタ)アクリル共重合体のSP値は、好ましい上限が12.0(J/cm3)1/2である。上記(メタ)アクリル共重合体のSP値が12.0(J/cm3)1/2以下であることにより、上記粘着剤層は適度な柔軟性を有し、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなるため、被着体をより強固に固定することができる。上記(メタ)アクリル共重合体のSP値のより好ましい上限は11.5(J/cm3)1/2、更に好ましい上限は11.0(J/cm3)1/2である。
なお、本明細書中において上記「SP値」とは、Hildebrandの正則溶液の理論に基づき定められる、多成分系での各成分の活量を定めるパラメーターであって、下記式(II)によりHoyの定数を用いてSmall法により算出されるSP値を意味する。
SP値(δ)=d*(ΣG)/M (II)
(d:密度(g/mL)、G:Hoyの各官能基の分子引力定数、M:分子量(g/mol))
なお、上記SP値の算出方法については、以下の参考文献に記載されている。
K.L.Hoy,New values of the solubility parameters from vapor pressure data,J.Paint Techn.,Vol.42,No.541,p.76(1970);K.L.Hoy,The Hoy tables of solubility parameters,Union Carbide Corp.,1985;K.L.Hoy,Solubility Parameters as a design parameter for water borne polymers and coatings.Preprints 14th Int.Conf.Athene,1988.;K.L.Hoy,J.Coated Fabrics,19,p.53(1989).
【0026】
上記粘着剤層中における、上記(メタ)アクリル共重合体の含有割合は、好ましい下限が70質量%であり、好ましい上限が99.5質量%である。上記(メタ)アクリル共重合体の含有割合がこの範囲内であることにより、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有し、かつ、本発明の粘着テープの透明性がより向上する。上記(メタ)アクリル共重合体の含有割合のより好ましい下限は75質量%、より好ましい上限は99質量%、更に好ましい下限は80質量%、更に好ましい上限は98.5質量%である。
【0027】
上記(メタ)アクリル共重合体を製造する方法としては従来公知の方法を用いてよく、具体的には例えば、アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、極性官能基含有モノマー等を含むモノマー混合物を重合開始剤の存在下でラジカル反応させて重合すること等により得ることができる。
上記ラジカル反応の方式としては、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。リビングラジカル重合によれば、フリーラジカル重合と比較してより均一な分子量及び組成を有する共重合体が得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができることから、得られる粘着剤層の凝集力が上がり、得られる粘着テープの粘着力がより高くなる。
上記モノマー混合物を重合する方法としては、従来公知の方法を用いることができ、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、UV重合、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、得られる粘着テープの粘着力がより高くなることから、溶液重合、UV重合が好ましい。
上記モノマー混合物を重合する方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤としては、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0028】
上記重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
また、上記ラジカル反応の方式が上記リビングラジカル重合である場合には、上記重合開始剤としては、例えば、有機テルル重合開始剤が挙げられる。上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。なお、上記リビングラジカル重合においても、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として上記重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。
【0029】
上記粘着剤層は、リチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有する。上記粘着剤層がリチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有することにより、導電性化合物に含まれるリチウムイオンがアルキレングリコール構造と錯体を形成し、上記粘着剤層が導電性を有するようになる。更に、導電性化合物に含まれるリチウムイオンが上記粘着剤層中に含まれる複数のアルキレングリコール構造と錯体を形成することが可能であることから、リチウムイオンが上記粘着剤層中を移動しやすくなるため、上記粘着剤層の導電性が向上する。従って、上記粘着剤層がリチウムイオンを含む導電性化合物とアルキレングリコール構造を有する化合物とを含有することにより、上記粘着剤層は優れた導電性を有するものとなる。
【0030】
上記導電性化合物はリチウムイオンを含む。上記粘着剤層が上記リチウムイオンを含む導電性化合物を含有することにより、本発明の粘着テープの透明性が向上し、電子部品を固定することに好適に用いることができる。
【0031】
上記リチウムイオンを含む導電性化合物としては、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)のリチウム塩、過塩素酸のリチウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のリチウム塩等が挙げられる。なかでも、容易に入手できる観点から、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)のリチウム塩が好ましい。
上記リチウムイオンを含む導電性化合物は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記(メタ)アクリル共重合体100質量部に対する、上記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量は、好ましい下限が1.5質量部であり、好ましい上限が15質量部である。上記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量が1.5質量部以上であることにより、上記粘着剤層は導電性がより向上する。上記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量が15質量部以下であることにより、上記粘着剤層の表面上に上記リチウムイオンを含む導電性化合物がブリードアウトすることをより抑えることができるため、本発明の粘着テープの粘着力がより向上する。上記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量のより好ましい下限は3質量部、より好ましい上限は13質量部、更に好ましい下限は5質量部、更に好ましい上限は10質量部である。
【0033】
上述したように、上記粘着剤層は、上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル共重合体を、上記アルキレングリコール構造を有する化合物として含有することが好ましい。また、上記粘着剤層は、上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル共重合体以外の上記アルキレングリコール構造を有する化合物(以下、「アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体」ともいう)を含有してもよく、上記アルキレングリコール構造を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位を有する(メタ)アクリル共重合体と上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体との両方を含有してもよい。
【0034】
上記粘着剤層が上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体を含有する場合、上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体としては、例えば、*-O-R-O-*(Rはアルキレン基であり、*は結合位置である)で表される構造を有するエーテル化合物等が挙げられる。上記Rとしては、例えば、エチレン基(-CH2CH2-)、プロピレン基{-CH2CH(CH3)-}、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)等が挙げられる。なかでも、導電性化合物に含まれるリチウムイオンと相互作用しやすく導電性を向上できる観点から、エチレン基、プロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
上記エーテル化合物としては、具体的には例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、テトラプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラプロピレングリコールジエチルエーテル、ポリプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。なかでも、導電性と粘着性とを両立しやすい観点から、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルが好ましい。
上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0035】
上記(メタ)アクリル共重合体全体100質量部に対する、上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体の含有量は、好ましい下限が1.5質量部であり、好ましい上限が10質量部である。上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体の含有量がこの範囲内であることにより、上記粘着剤層の極性がより高くなり、凝集力がより向上するため、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。また、上記リチウムイオンを含む導電性化合物に含まれるリチウムイオンが上記粘着剤層中でより容易に移動できるようになるため、本発明の粘着テープの導電性がより向上する。上記アルキレングリコール構造含有非(メタ)アクリル共重合体のより好ましい下限は3質量部、より好ましい上限は8質量部、更に好ましい下限は4質量部、更に好ましい上限は6質量部である。
【0036】
上記粘着剤層は、更に、架橋剤を含有することが好ましい。上記粘着剤層が架橋剤を含有することにより、上記粘着剤層のゲル分率を上述した範囲内により容易に調整しやすくなり、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなる。
【0037】
上記架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。なかでも、好ましい架橋度に調整しやすい観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、コロネートHX(東ソー社製)、タケネートD-170(三井化学社製)等が挙げられる。
【0038】
上記(メタ)アクリル共重合体100質量部に対する、上記架橋剤の含有量は、好ましい下限が0.05質量部であり、好ましい上限が5質量部である。上記架橋剤の含有量が0.05質量部以上であることにより、上記粘着剤層は凝集力がより向上し、本発明の粘着テープは被着体を固定するためにより充分な粘着力を有するものとなる。上記架橋剤の含有量が5質量部以下であることにより、上記粘着剤層が適度な柔軟性を有することにより、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなるため、被着体をより強固に固定することができる。上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は0.1質量部、より好ましい上限は3質量部、更に好ましい下限は0.15質量部、更に好ましい上限は1質量部である。
【0039】
上記粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、粘着付与樹脂、溶剤、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤を含有していてもよい。
【0040】
上記粘着剤層の厚みは、好ましい下限が5μmであり、好ましい上限が100μmである。上記粘着剤層の厚みが上記範囲内にあることにより、本発明の粘着テープはより充分な粘着力を有するものとなる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は75μm、更に好ましい下限は15μm、更に好ましい上限は50μmである。
【0041】
本発明の粘着テープは、基材を有しないノンサポートタイプであってもよいし、基材を有するサポートタイプであってもよい。なかでも、本発明の粘着テープの透明性及び導電性がより向上する観点から、基材を有しないノンサポートタイプが好ましい。
【0042】
本発明の粘着テープの製造方法については、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には例えば、ノンサポートタイプの粘着テープの製造方法として、(メタ)アクリル共重合体、リチウムイオンを含む導電性化合物、及び、アルキレングリコール構造を有する化合物と、必要に応じて、架橋剤と、添加剤とを、溶剤中に加えて充分に攪拌することにより、粘着剤溶液を得る。離型処理面を有する離型ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの離型処理面上に得られた粘着剤溶液を塗布し乾燥することにより、粘着剤層を形成し、別に用意した離型処理面を有する離型PETフィルムを離型処理面が粘着剤層と対向するように重ねることで、ノンサポートタイプの離型PETフィルム付き粘着テープを得ることができる。
【0043】
本発明の粘着テープは、23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力の好ましい下限が2.00N/25mmである。上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力が2.00N/25mm以上であることにより、本発明の粘着テープは被着体を固定するために充分な粘着力を有するものとなる。また、ゼラチンはイオンや電子の分散媒として用いられるため、上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力が2.00N/25mm以上であることにより、本発明の粘着テープは導電性部位同士を固定することにより好適に用いることができるようになる。
上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力のより好ましい下限は4.00N/25mm、更に好ましい下限は6.00N/25mmである。
また、被着体をより強固に固定にする観点から、上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力は大きいほど好ましく、上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力の好ましい上限は特にない。
なお、上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力は以下の方法により、測定できる。
まず、幅35mm×長さ70mmのサイズにカットしたゼラチン(マルハニチロ社製、「ゼラチンリーフ」)を適当な両面粘着テープで幅50mm×長さ125mmのSUS板(エタノールで洗浄後乾拭きしたSUS304板)に貼り付ける。次に、本発明の粘着テープを幅25mm×長さ60mmの平面長方形状に裁断した後、一方の面の離型PETフィルムを剥離し、2kgのゴムローラを速度300mm/minで1往復して厚さ23μmのPETフィルムに貼り合わせる。次いで、他方の面の離型PETフィルムを剥離し、SUS板へ貼り付けたゼラチン上に、2kgのゴムローラを速度300mm/minで1往復して貼り合わせた後、23℃、50%RHの環境下で24時間静置して養生することにより、測定サンプルを得る。得られた測定サンプルについて、JIS Z0237に準拠して、引張試験機(島津製作所社製、「AG-IS」等)を用いて、23℃、50%RH、剥離速度300mm/minの条件で180°剥離試験を行い、本発明の粘着テープをゼラチンから剥離することにより、23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力(N/25mm)を測定する。
【0044】
上記23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力を上述した範囲に調整する方法としては、例えば、上記アルキレングリコール構造を有する化合物の含有量を変更する方法、上記粘着剤層のゲル分率を調整する方法、上記(メタ)アクリル共重合体の組成や分子量を変更する方法等が挙げられる。
【0045】
本発明の粘着テープは、23℃における全光線透過率の好ましい下限が95%である。本発明の粘着テープの23℃における全光線透過率が95%以上であることにより、本発明の粘着テープは透明性により優れるものとなり、電子部品を固定することにより好適に用いることができる。本発明の粘着テープの23℃における全光線透過率のより好ましい下限は97%、更に好ましい下限は98%である。
また、本発明の粘着テープの23℃における全光線透過率は大きいほど好ましく、好ましい上限は特にないが、99.99%程度が実質的な上限である。
なお、本発明の粘着テープの23℃における全光線透過率は、例えば、JIS K 7375:2008に準拠し、透過率測定器(日本電色工業社製、「ヘーズメーター NDH 4000」等)を用いて、測定することができる。
【0046】
本発明の粘着テープの全光線透過率を上述した範囲に調整する方法としては、例えば、上記リチウムイオンを含む導電性化合物の含有量を変更する方法、基材を有さないノンサポートタイプの粘着テープとする方法、粘着剤層や粘着テープの厚みを調整する方法等が挙げられる。
【0047】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、本発明の粘着テープは高い粘着力と優れた透明性とを有することから、電子部品を固定するために好適に用いることができる。なかでも、本発明の粘着テープは優れた導電性を併せもつため、導電性部位同士を固定するためにより好適に用いることができる。更に、本発明の粘着テープは低い体積抵抗率を有するため、厚み方向にも優れた導電性を有し、導電性部位が積層された電子機器の導電性部位同士を固定するために更に好適に用いることができる。
導電性部位が積層された電子機器としては、例えば、電子ペーパーが挙げられる。
【0048】
本発明の粘着テープを含む電子ペーパーをまた、本発明の1つである。
本発明の電子ペーパーが上記粘着テープを含むことにより、電子ペーパー内に含まれる透明電極とマイクロカプセル又はマイクロカプセルを担持した高分子材料との接触をより抑制することができるため、該透明電極の腐食や劣化をより抑えることができる。
【0049】
本発明の粘着テープを含む電子ペーパーの態様の1例を模式的に示す断面図を
図1に示す。
図1において、透明電極3とマイクロカプセル6を担持する高分子材料5とを本発明の粘着テープ4を貼り合わせることにより固定している。本発明の電子ペーパー1は本発明の粘着テープ4を含むことにより、透明電極3とマイクロカプセル6を担持する高分子材料5との接触を抑制することができるようになるため、透明電極3の腐食や劣化を抑えることができる。また、本発明の粘着テープ4は、体積抵抗率が低く厚み方向の導電性に優れるため、電気泳動方式を駆動可能とするのに大きな電力を必要としない。
【発明の効果】
【0050】
本発明によれば、高い粘着力と優れた透明性とを有し、かつ、低い体積抵抗率を有し導電性に優れる粘着テープを提供することができる。また、本発明によれば、該粘着テープを含む電子ペーパーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】本発明の電子ペーパーの態様の1例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下に実施例を掲げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0053】
(アクリル共重合体A~J)
(アクリル共重合体の合成)
温度計、撹拌機、冷却管を備えた反応器内に、溶剤として酢酸エチルを加えて窒素置換した後、反応器を加熱して還流を開始した。溶剤が沸騰してから、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を酢酸エチルで10倍希釈した重合開始剤溶液を投入した後、表1に示すモノマーの酢酸エチル溶液をモノマーの濃度が45質量%になるように滴下漏斗から反応器内に2時間かけて滴下した。滴下終了後4時間重合反応を行い、アクリル共重合体を含有する溶液を得た。
また、得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミエーションクロマトグラフ(Waters社製、「2690 Separations Module」)に供給して、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量を求めた。結果を表1に示した。
【0054】
なお、表1に示すモノマーは以下の通りである。
MOEA:2-メトキシエチルアクリレート
CBA:カルビトールエチルアクリレート
MA:メチルアクリレート
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート
AAc:アクリル酸
【0055】
(アクリル共重合体のSP値)
得られたアクリル共重合体について、下記式(II)によりHoyの定数を用いてSmall法により、アクリル共重合体のSP値(J/cm3)1/2を算出した。結果を表1に示した。
SP値(δ)=d*(ΣG)/M (II)
(d:密度(g/mL)、G:Hoyの各官能基の分子引力定数、M:分子量(g/mol))
【0056】
【0057】
(粘着テープの作製)
(実施例1~3、比較例1)
得られたアクリル共重合体を含有する溶液に各材料を表2~3に示した質量部となるように加えて充分に攪拌することにより、粘着剤溶液を調製した。なお、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド及びテトラエチレングリコールジメチルエーテルは混合溶液としてTGR(三洋化学工業社製、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド含有量:0.56g/TGR1g、テトラエチレングリコールジメチルエーテル含有量:0.44g/TGR1g)を用いた。離型処理面を有する離型ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの離型処理面上に、調製した粘着剤溶液を乾燥した後の厚みが25μmとなるように塗布し乾燥して粘着剤層を形成した。更に、別に用意した離型処理面を有する離型PETフィルムを離型処理面が粘着剤層と対向するように重ねることで、ノンサポートタイプの離型PETフィルム付き粘着テープを得た。
【0058】
(実施例4~17、比較例2~7)
得られたアクリル共重合体を含有する溶液に各材料を表2~3に示した質量部となるように加えて充分に攪拌することにより、粘着剤溶液を調製した。離型処理面を有する離型ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムの離型処理面上に、調製した粘着剤溶液を乾燥した後の厚みが25μmとなるように塗布し乾燥して粘着剤層を形成した。更に、別に用意した離型処理面を有する離型PETフィルムを離型処理面が粘着剤層と対向するように重ねることで、ノンサポートタイプの離型PETフィルム付き粘着テープを得た。
【0059】
(粘着剤層の23℃、50%RHにおける体積抵抗率)
得られた粘着剤層を幅50mm×長さ50mmの大きさに裁断し、離型PETフィルムを剥離した後、JIS K6271を参考とし、抵抗率計(日東精工アナリテック社製、「ハイレスタUX MCP-HT-800」)を用いて、23℃、50%RHにおける体積抵抗率(Ω・cm)を測定した。結果を表2~3に示した。なお、比較例3~5の「測定不能」は用いた抵抗率計の測定可能上限を超えたことを意味する。
【0060】
(粘着剤層のゲル分率)
得られた粘着テープから粘着剤層W0(g)を採取し、採取した粘着剤層を酢酸エチル50mL中に浸漬し、振とう機で温度23℃、200rpmの条件で24時間振とうした。振とう後、金属メッシュ(目開き#200メッシュ、質量:W1(g))を用いて、酢酸エチルを吸収し膨潤した粘着剤層を濾過し、分離後の粘着剤層を110℃の条件下で1時間乾燥させた後、金属メッシュを含む粘着剤層の質量W2(g)を測定した。そして、得られたW0、W1、及び、W2を用いて、下記式(I)からゲル分率を算出することにより、粘着剤層のゲル分率(質量%)を測定した。結果を表2~3に示した。
ゲル分率(質量%)=100×(W2-W1)/W0 (I)
(W0:初期粘着剤層の質量、W1:金属メッシュの初期質量、W2:乾燥後の金属メッシュを含む粘着剤層の質量)
【0061】
(粘着テープの23℃における全光線透過率)
得られた粘着テープを幅50mm×長さ50mmに裁断し、両面の離型PETフィルムを剥離した後、JIS K 7375:2008に準拠して、透過率測定器(日本電色工業社製、「ヘーズメーター NDH 4000」)を用いて、23℃における全光線透過率(%)を測定した。結果を表2~3に示した。
【0062】
<評価>
実施例、比較例で得られた粘着テープについて以下の評価を行った。結果を表2~3に示した。
【0063】
(粘着力)
まず、幅35mm×長さ70mmのサイズにカットしたゼラチン(マルハニチロ社製、「ゼラチンリーフ」)を両面粘着テープで幅50mm×長さ125mmのSUS板(エタノールで洗浄後乾拭きしたSUS304板)に貼り付けた。次に、上述した「(粘着テープの作製)」で得られた粘着テープを幅25mm×長さ60mmの平面長方形状に裁断した後、一方の面の離型PETフィルムを剥離し、2kgのゴムローラを速度300mm/minで1往復して厚さ23μmのPETフィルムに貼り合わせた。次いで、他方の面の離型PETフィルムを剥離し、SUS板へ貼り付けたゼラチン上に、2kgのゴムローラを速度300mm/minで1往復して貼り合わせた後、23℃、50%RHの環境下で24時間静置して養生することにより、測定サンプルを得た。得られた測定サンプルについて、JIS Z0237に準拠して、引張試験機(島津製作所社製、「AG-IS」)を用いて、23℃、50%RH、剥離速度300mm/minの条件で180°剥離試験を行い、上述した「(粘着テープの作製)」で得られた粘着テープをゼラチンから剥離することにより、23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力(N/25mm)を測定した。
得られた23℃におけるゼラチンに対する180°剥離力が、6.00N/25mm以上であった場合を「◎」、4.00N/25mm以上6.00N/25mm未満であった場合を「○」、2.00N/25mm以上4.00N/25mm未満であった場合を「△」、2.00N/25mm未満であった場合を「×」として、粘着テープの粘着力を判定した。
【0064】
(透明性)
上述の「(粘着テープの23℃における全光線透過率)」において、得られた23℃における全光線透過率を用いて、以下の基準により、粘着テープの透明性を判定した。
・○:23℃における全光線透過率が90%以上であった。
・×:23℃における全光線透過率が90%未満であった。
【0065】
(導電性)
上述の「(粘着剤層の23℃、50%RHにおける体積抵抗率)」において、得られた23℃、50%RHにおける体積抵抗率を用いて、以下の基準により、粘着テープの導電性を判定した。
・◎:23℃、50%RHにおける体積抵抗率が1.50×108Ω・cm以下であった。
・○:23℃、50%RHにおける体積抵抗率が1.50×108Ω・cmより大きく、2.00×108Ω・cm以下であった。
・△:23℃、50%RHにおける体積抵抗率が2.00×108Ω・cmより大きく、3.50×108Ω・cm以下であった。
・×:23℃、50%RHにおける体積抵抗率が3.50×108Ω・cmより大きかった。
【0066】
【0067】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、高い粘着力と優れた透明性とを有し、かつ、低い体積抵抗率を有し導電性に優れる粘着テープを提供することができる。また、本発明によれば、該粘着テープを含む電子ペーパーを提供することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 電子ペーパー
2 表面層
3 透明電極
4 粘着テープ
5 高分子材料
6 マイクロカプセル
61 黒色粒子
62 白色粒子
63 分散媒
7 電極
8 基材