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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152716
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】液状組成物および吐出製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/14 20060101AFI20241018BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20241018BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20241018BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241018BHJP
   B01F 23/2375 20220101ALI20241018BHJP
   B01F 25/45 20220101ALI20241018BHJP
【FI】
B65D83/14 100
B05B9/04
A61K8/02
A61K8/34
A61Q19/00
B01F23/2375
B01F25/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064808
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2023065830
(32)【優先日】2023-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 春那
(72)【発明者】
【氏名】松平 一志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英俊
【テーマコード(参考)】
3E014
4C083
4F033
4G035
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PD02
3E014PE02
3E014PE03
3E014PE04
3E014PE05
3E014PE06
3E014PE09
3E014PE11
3E014PE16
3E014PE19
3E014PF10
4C083AC101
4C083AC102
4C083BB49
4C083DD08
4C083DD47
4C083EE01
4F033RA02
4F033RB04
4F033RC01
4F033RC08
4F033RC11
4F033RC16
4G035AB04
4G035AC26
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】超微細気泡(ウルトラファインバブル)が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散された、液状組成物および吐出製品を提供する。
【解決手段】超微細気泡が液体中に分散した液状組成物であり、超微細気泡は、圧縮ガスの気泡であり、超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、50~300nmであり、超微細気泡の個数は、1mLあたり、4.0×107個以上である、液状組成物。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超微細気泡が液体中に分散した液状組成物であり、
前記超微細気泡は、圧縮ガスの気泡であり、
前記超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、50~300nmであり、
前記超微細気泡の個数は、1mLあたり、4.0×107個以上である、液状組成物。
【請求項2】
前記圧縮ガスは、25℃、大気圧下における液体1mLに対する溶解量が0.001~5mLである、請求項1記載の液状組成物。
【請求項3】
前記液状組成物が、水を液体中60質量%以上含有している、請求項1または2記載の液状組成物。
【請求項4】
前記液状組成物が、炭素数が2~3個の1価アルコールを含む、請求項1または2記載の液状組成物。
【請求項5】
請求項1または2記載の液状組成物を、吐出容器に充填した吐出製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状組成物および吐出製品に関する。より詳細には、本発明は、超微細気泡(ウルトラファインバブル)が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散された、液状組成物および吐出製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体中に、ナノオーダー(1~1000nm)の気泡を分散させる方法が開発されている。特許文献1には、エアゾール容器を用いたウルトラファインバブルの発生使用方法と発生装置が開示されている。特許文献1の発生装置は、エアゾール容器に水を主成分とする液体と噴射ガス(窒素ガス)とを充填し、流量調整機構付きの噴射ボタンを用いることにより、粒子径が50~1000nm程度のウルトラファインバブルを含む液体を噴射することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/085628号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発生装置によれば、発生する気泡の粒子径は、50~1000nmであり、幅広い範囲を示す。ウルトラファインバブルのうち、粒子径の大きな気泡が多いと、液体中に保持されにくく、気泡が消失しやすい。その結果、特許文献1に記載の発生装置は、ウルトラファインバブルを、高濃度で、かつ、長期間安定に分散されることができない。
【0005】
本発明は、このような先行技術とは異なり、超微細気泡(ウルトラファインバブル)が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散された、液状組成物および吐出製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の液状組成物および吐出製品には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)超微細気泡が液体中に分散した液状組成物であり、前記超微細気泡は、圧縮ガスの気泡であり、前記超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、50~300nmであり、前記超微細気泡の個数は、1mLあたり、4.0×107個以上である、液状組成物。
【0008】
このような構成によれば、液状組成物は、超微細気泡が、体積積算分布で90%になる粒子径が50~300nmと小さく、1mLあたり4.0×107個以上と高濃度に分散している。これらの超微細気泡は、分散安定性が優れる。その結果、たとえば、液状組成物は、超微細気泡が対象物と接触する機会が多くなり、超微細気泡による効果が長期間に渡って得られやすい。
【0009】
(2)前記圧縮ガスは、25℃、大気圧下における液体1mLに対する溶解量が0.001~5mLである、(1)記載の液状組成物。
【0010】
このような構成によれば、超微細気泡は、粒子径が小さくなり、高濃度に分散しやすい。
【0011】
(3)前記液状組成物が、水を液体中60質量%以上含有している、(1)または(2)記載の液状組成物。
【0012】
このような構成によれば、液状組成物は、超微細気泡の粒子径が小さく、かつ粒子径の分布幅が狭くなり、超微細粒子の大きさが揃い、安定した効果が持続しやすい。
【0013】
(4)前記液状組成物が、炭素数が2~3個の1価アルコールを含む、(1)~(3)のいずれかに記載の液状組成物。
【0014】
このような構成によれば、液状組成物は、超微細気泡の粒子径が小さくなりやすい。
【0015】
(5)(1)~(4)いずれかに記載の液状組成物を、吐出容器に充填した吐出製品。
【0016】
このような構成によれば、吐出製品は、超微細気泡が高濃度で分散している液状組成物を用時に吐出して使用することができ、対象物上で効果が得られやすい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧縮ガスの超微細気泡(ウルトラファインバブル)が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散された、液状組成物および吐出製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の液状組成物を作製するためのエアゾール製品の模式的な断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の液状組成物を作製するためのエアゾール製品の吐出部材の断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)の液状組成物を作製するためのエアゾール製品の吐出部材の断面図である。
図4図4は、実施例1の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図5図5は、実施例1の噴射1日後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図6図6は、実施例6の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図7図7は、実施例6の噴射1日後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図8図8は、比較例1の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図9図9は、比較例2の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図10図10は、比較例3の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図11図11は、実施例8の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図12図12は、比較例4の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図13図13は、比較例5の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図14図14は、本発明の実施例11および実施例12の液状組成物を製造するためのエアゾール製品に用いられる吐出部材8aの一実施態様を示す概略説明図である。
図15図15は、実施例10の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図16図16は、実施例11の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
図17図17は、実施例14の噴射15分後の液状組成物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<液状組成物>
本発明の一実施形態の液状組成物は、超微細気泡が液体中に分散した液状組成物である。超微細気泡は、圧縮ガスの気泡である。超微細気泡の、積算分布の値が90%になる粒子径D90は、50~300nmである。超微細気泡の個数は、1mLあたり、4.0×107個以上である。以下、それぞれについて説明する。
【0020】
(液体)
液状組成物を構成する液体は特に限定されない。一例を挙げると、液体は、各種水性溶媒、油性溶媒を主成分として含有する。より具体的には、水性溶媒は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等の水や、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2~3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2~3価のポリオール等のアルコール類、および水とアルコール類の混合物等である。油性溶媒は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、コハク酸ジエトキシエチル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油、流動パラフィン、ケロシン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素油、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、麦芽油、ヤシ油、パーム油等の油脂、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等のシリコーンオイル、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E)、沸点19℃)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z)、沸点39℃)、シス-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロオレフィン(HFO-1224yd(Z)、沸点15℃)等の沸点が5~40℃であるハイドロフルオロオレフィン等である。
【0021】
溶媒の含有量は、液体中60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。また、溶媒の含有量は、液体中100質量%以下であることが好ましく、99.9質量%以下であることがより好ましい。溶媒の含有量が上記範囲内であることにより、後述する圧縮ガスの超微細気泡は、粒子径が小さく、長期間安定に分散しやすい。特に、水を液体中60質量%以上含有する場合は、液状組成物は、超微細気泡の粒子径が小さく、かつ粒子径の分布幅が狭くなり、超微細粒子の大きさが揃い、安定した効果が持続しやすい。なお、水性溶媒や油性溶媒で例示した上記成分は、添加剤や有効成分として溶媒に添加することもできる。
【0022】
(超微細気泡)
超微細気泡は、液体中に分散した微細な気泡である。
【0023】
超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、50nm以上であればよく、70nm以上であることが好ましい。また、超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、300nm以下であればよく、250nm以下であることが好ましい。D90が上記範囲内であることにより、液状組成物は、平均粒子径がナノオーダー(1~1000nm)である微細な気泡の中でも、特に、10~300nmである超微細気泡が多数を占める。その結果、得られる液状組成物は、透明度が高く、かつ、超微細気泡が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散され得る。また、超微細気泡は対象物と接触する機会が多くなるため、超微細気泡に吸着した有効成分の効果が得られやすくなる、超微細気泡が対象物に吸着して汚れ成分の付着を抑制する、超微細気泡に汚れ成分を吸着して浄化する、などの効果が得られやすい。
【0024】
なお、本実施形態において、積算分布の値が90%になる粒子径D90の測定方法は、たとえば、ナノトラッキング粒子径測定装置(ナノサイトNS300、Malvern Panalytical Ltd製)を用いて、25℃に調整した液状組成物を測定し得る。
【0025】
上記ナノトラッキング粒子径測定装置によれば、D90のほか、積算分布の値が50%になる粒子径D50、積算分布の値が10%になる粒子径D10も測定し得る。また、ナノトラッキング粒子径測定装置によれば、1mLあたりの超微細気泡の個数も測定し得る。
【0026】
超微細気泡のD50は、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、超微細気泡のD50は、200nm以下であることが好ましく、170nm以下であることがより好ましい。また、超微細気泡のD10は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、超微細気泡のD10は、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。D50およびD10が上記範囲内であることにより、液状組成物は、平均粒子径がナノオーダー(1~1000nm)である微細な気泡の中でも、特に、10~300nmである超微細気泡が多数を占める。その結果、得られる液状組成物は、透明度が高く、かつ、超微細気泡が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散され得る。
【0027】
本実施形態の超微細気泡は、粒子径が300nmを超える気泡の割合が、全気泡の総数中、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
【0028】
超微細気泡の個数は、発生させた直後(例えば、超微細気泡を発生させた15分後)では、1mLあたり、4.0×107個以上であればよく、4.5×107個以上であることが好ましく、8.0×107個以上であることがより好ましい。超微細気泡の個数が上記範囲内であることにより、液状組成物は、高濃度に超微細気泡を含み得る。
【0029】
超微細気泡を構成する気泡は、加圧下で液体中に溶解していた圧縮ガスが減圧により気化した気泡であることが好ましい。これにより、液状組成物は、超微細気泡の粒子径が小さく、超微細粒子の大きさが揃いやすく、高濃度で分散しやすく、超微細気泡による効果が長期間に渡って得られやすい。
【0030】
圧縮ガスは特に限定されない。一例を挙げると、25℃、大気圧下における液体(溶媒)1mLに対する溶解量が0.001mL以上であることが好ましく、0.005mL以上であることがより好ましい。また、圧縮ガスは、溶解量が5mL以下であることが好ましく、3mL以下であることがより好ましい。圧縮ガスの液体への溶解量が上記範囲内であることにより、超微細気泡の粒子径が小さく、超微細粒子の大きさが揃いやすく、高濃度で分散しやすい。
【0031】
より具体的には、圧縮ガスは、窒素(水1mLに対して0.0141mL、エタノール1mLに対して0.137mL)、水素(水1mLに対して0.0175mL、エタノール1mLに対して0.0784mL)、ヘリウム(水1mLに対して0.0087mL、エタノール1mLに対して0.0294mL)、六フッ化硫黄(水1mLに対して0.00545mL)、空気(水1mLに対して0.0167mL)、酸素(水1mLに対して0.0283mL、エタノール1mLに対して0.222mL)、炭酸ガス(水1mLに対して0.759mL、エタノール1mLに対して2.706mL)、亜酸化窒素(水1mLに対して0.0588mL)、アルゴン(水1mLに対して0.0306mL、エタノール1mLに対して0.239mL)およびこれらの混合ガス等である。溶媒1mLに対して溶解量が1.0mL以下である低溶解性圧縮ガスを用いる場合は、液状組成物は、より小さな超微細気泡の含有量が多くなりやすく、好ましい。
【0032】
(その他の成分)
本実施形態の液状組成物は、上記した超微細気泡を含む以外に、たとえば、各種有効成分、界面活性剤、増粘剤、パウダー等の任意成分が含まれてもよい。
【0033】
有効成分は、液状組成物の用途や目的などに応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体などの両性樹脂;アクリル酸アルカノールアミン、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、アクリル酸・アクリル酸アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコーン共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどのアニオン性樹脂、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11)、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジメチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩酸塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7)、塩化-o-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)などのカチオン性樹脂などの頭髪用セット剤、l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類、アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノールなどの防腐剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤、ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液、センブリエキス、ニンジンエキスなどの抽出液、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤、ミノキシジル、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリドなどの育毛剤、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤、アルブチン、コウジ酸などの美白剤、クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤等である。
【0034】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、液体中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、液体中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、有効成分を配合することによる効果が得られやすい。
【0035】
界面活性剤は、超微細気泡に汚れ成分などを吸着して洗浄効果を向上させる、超微細気泡の保持性を向上させる等の目的で好適に配合される。
【0036】
界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、コカミドDEA、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの陽イオン型界面活性剤;アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等である。特に、イオン性界面活性剤を配合することにより、液状組成物は、プラスもしくはマイナスに帯電している花粉などの飛散物質の付着を減らすなどの効果が得られやすい。
【0037】
界面活性剤が配合される場合、界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、液体中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、液体中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、界面活性剤を配合することによる効果が得られやすい。
【0038】
なお、界面活性剤が含まれる場合、液状組成物を構成する液体が水性溶媒(水など)であると、油性成分が乳化されたミセルを形成する場合がある。このような場合、液状組成物は、超微細気泡のほか、ミセルの粒子径や粒子数が測定されてしまい、超微細気泡の粒子径や粒子数が正確に測定されない場合がある。このような場合、本実施形態では、超微細気泡を分散させる前の液体中の粒子径と粒子数を測定し、超微細気泡を分散させた後の液状組成物の粒子径と粒子数を測定し、ある粒子径の範囲にある粒子数を引くことにより、超微細気泡の粒子径や粒子数を推定することができる。
【0039】
増粘剤は、液状組成物の粘度を高くしたり、チキソトロピー性を付与して、超微細粒子が発生する速度を遅くし、超微細粒子の粒子径を調整する、超微細気泡をより安定に分散させる等の目的で好適に配合される。
【0040】
増粘剤は特に限定されない。一例を挙げると、増粘剤は、セルロースナノファイバー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム等のガム質、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、ポリウレタン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、カルボキシビニルポリマー等の架橋型のポリアクリル酸、(アクリル酸/イタコン酸ステアレス)コポリマー、(アクリル酸/イタコン酸セテス)コポリマー、アクリル酸/アミノアクリレート/C10-30アルキルPEG-20イタコン酸)コポリマー等のアクリル酸とイタコン酸エステルの共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体等の会合型増粘剤等である。
【0041】
会合型増粘剤を含有する場合、液状組成物は、pH調整剤が配合されることが好ましい。pH調整剤は特に限定されない。一例を挙げると、pH調整剤は、トリエタノールアミン(TEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、ジエタノールアミン(DEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、2-アミノ-2-メチル-1、3-プロパンジオール(AMPD)などの有機アルカリ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リン酸などの有機酸、塩酸などの無機酸等である。
【0042】
増粘剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、増粘剤の含有量は、液体中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、増粘剤の含有量は、液体中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。増粘剤の含有量が上記範囲内であることにより、液状組成物中に分散する超微細気泡の粒子径を調整する、超微細気泡をより安定に分散させる効果が得られやすい。
【0043】
パウダーは、表面に超微細気泡を付着して効果を発揮させやすくする、使用感を向上させる等の目的で好適に用いられる。
【0044】
パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、タルク、シリカ、ゼオライト、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等である。
【0045】
パウダーが配合される場合、パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの含有量は、液体中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、液体中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が上記範囲内であることにより、パウダーを配合することによる効果が得られやすい。
【0046】
<液状組成物および吐出製品の製造方法>
本実施形態の液状組成物の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、液状組成物は、たとえば、有効成分などを溶媒に添加して液体を調製し、当該液体を原液として加圧・密閉可能なタンクに充填し、タンクに圧縮ガスを充填してタンク内の圧力を高めて圧縮ガスの少なくとも一部を液体に溶解させる。タンクの気相部を大気に開放して液体に溶解していた圧縮ガスを気化させることで、液体中で超微細気泡が発生し、高濃度に分散した液状組成物を製造することができる。
【0047】
ほかにも、液状組成物は、エアゾール容器のような耐圧容器に原液として液体を充填し、耐圧容器にバルブを取り付けて密封し、バルブから圧縮ガスを充填し、吐出製品を作製する。吐出製品内では圧縮ガスの少なくとも一部が液体に溶解しており、これを外部に吐出することにより、吐出物中で超微細気泡が発生して高濃度に分散した液状組成物を製造することができる。
【0048】
なお、液体を調製した際には液体中に様々な大きさの気泡が分散しているが、液体が加圧されることで気泡は圧縮され、さらには溶解する。その結果、大きな気泡は消失する。この状態から減圧すると液体中に溶解していた圧縮ガスが気化して超微細気泡となる。その結果、超微細気泡の大きさが揃いやすい。
【0049】
以下、一例として、エアゾール製品を用いて、圧縮ガスの超微細気泡を含む液状組成物を製造する方法について説明する。
【0050】
図1は、本発明の一実施形態の液状組成物を製造するためのエアゾール製品1の模式的な断面図である。図1には、非使用状態のエアゾール製品1が示されている。図1に示されるように、本実施形態のエアゾール製品1は、液体Lと圧縮ガスとからなる内容物が充填された耐圧容器2と、耐圧容器2に取り付けられるバルブ3と、バルブ3に取り付けられ、内容物を吐出する吐出孔が形成された吐出部材4とを主に備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール製品1の構成は、本実施形態に限定されない。そのため、以下に示されるエアゾール製品1の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。
【0051】
(耐圧容器)
耐圧容器2は、内容物である液体Lを加圧・密封状態で充填するための容器である。耐圧容器2は、汎用の形状であってよい。本実施形態の耐圧容器2は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、液体Lを充填するための充填口である。耐圧容器2は、密封するために開口に後述するバルブ3が取り付けられる。また、耐圧容器2は、上記液体Lと圧縮ガスを充填する容器本体を主に備える。
【0052】
・耐圧容器2
耐圧容器2は、開口に後述するバルブ3を取り付けて閉止することによりエアゾール容器となる。耐圧容器2は、有底筒状の外容器21と、外容器21の内部に備えられた内袋22とを備える。
【0053】
外容器21の材質は特に限定されない。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどの合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。
【0054】
内袋22は、外容器21の内部に配設され、圧縮ガスの圧力により収縮可能な袋状の容器である。内袋22には、上記した液体Lが液密状態に充填される。内袋22の材質は特に限定されない。一例を挙げると、内袋22の材質は、ポリエチレンなどのポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミドなどの合成樹脂があげられる。また、内袋22は、前述の合成樹脂の単層体であってもよく、複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0055】
(バルブ3)
バルブ3は、耐圧容器2の開口に取り付けられて耐圧容器2内を密封するための部材であり、上下動することにより内袋22内と外部との連通/遮断を切り替えることができる弁機構31と、弁機構31が収容される所定の内部空間が形成されたハウジング32とを備える。弁機構31は、下方に押し下げることにより外部と連通するステム孔33aを有するステム33と、ステム孔33aをシールするステムラバー34と、ステム33を下方から常時垂直上方向に付勢するスプリング35とを備える。ハウジング32の側周壁には、ハウジング32の内部空間と耐圧容器2(内袋22)の内部とを連通する取込孔32aが形成されている。バルブ3の動作によりステム孔33aが開放されると、外容器21と内袋22との間に充填された圧縮ガスの圧力により内袋22内の液体Lは、押圧され、取込孔32aからハウジング32内に取り込まれ、ステム孔33aおよびステム33内の通路を通り、吐出部材4へ送られる。
【0056】
なお、取込孔32aの位置は、ハウジング32の側周壁に限定されない。取込孔32aは、ハウジング32の下部であってもよい。この実施の形態では液体Lが内袋22内に液密状態で充填されているため、耐圧容器2の向きに関係なく吐出することができる。
【0057】
また、本実施形態の内袋22は、図1に示されるように、液体Lが液密充填されている。そして、液体Lが吐出されて消費されると、内袋22は圧縮ガスの圧力を受けて収縮するため、内袋22の液密状態は維持される。その結果、取込孔32aは、常に液体L中に開口し、気相部分には開口しない。その結果、エアゾール製品1は、吐出時に気相部分や圧縮ガスを吐出することがなく、得られる超微細気泡の粒子径D90を50~300nmの範囲に調整しやすい。また、輸送時などで振動が加わっても内袋内の液体Lはほとんど動かない。そのため、外部に吐出したときに超微細気泡が分散した液状組成物を安定に製造することができる。
【0058】
なお、本実施形態のエアゾール製品1の変形例として、内袋22を備えず、容器本体内に気相部分と液相部分とが形成されるよう、容器本体の内容積の一部を占めるように液体が充填される場合には、ハウジングの横孔(気相導入孔)が閉塞されることが好ましい。この場合、ハウジングは、底部に液相導入孔および、液相導入孔に挿通するよう取り付けられた長尺のディップチューブを設けることにより、液相部分を構成する液体のみをハウジング内に取り込むことができ、気相部分の取り込みを防ぐことができる。このような場合であっても、エアゾール製品は、吐出時に気相部分を吐出することがないため、得られる超微細気泡の粒子径D90を50~300nmの範囲に調整しやすい。
【0059】
耐圧容器2に液体Lおよび圧縮ガスを充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、内袋22の開口から内袋22内に液体Lを充填し、内袋22の開口にバルブ3を嵌入して閉止し、その後、外容器21と内袋22との間の空間に圧縮ガスをアンダーカップ充填し、バルブ3を耐圧容器2に固着し、圧縮ガスの気化ガスの一部を、内袋22を透過させて液体Lに飽和溶解させる方法が採用される。この場合、内袋22はガス透過性を有する合成樹脂(たとえば、ポリエチレン)の単層体を用いることが好ましい。
【0060】
圧縮ガスは、耐圧容器2の外容器21と内袋22との間隙に充填され、圧縮ガスの一部が内袋22を経時的に透過して液体に溶解する。外容器21と内袋22との間隙にある圧縮ガスは、内袋22を加圧して吐出可能にする加圧剤として作用する。内袋22内の液体L1mLに対する圧縮ガスの溶解量は、耐圧容器2内で液体に飽和溶解された時点において、30ppm以上であればよく、40ppm以上であることが好ましい。また、圧縮ガスの溶解量は、80,000ppm以下であることが好ましく、70,000ppm以下であることがより好ましい。圧縮ガスの溶解量が上記範囲内であることにより、吐出後に、大量の超微細気泡を生じやすい。なお、本実施形態において、圧縮ガスの溶解量とは、耐圧容器に充填した液体の容量、圧縮ガスを充填する気相部の容量、圧縮ガスの充填量、25℃において圧縮ガスが耐圧容器内の液体に溶解して平衡になったときの圧力から算出した値である。
【0061】
圧縮ガスが充填され、液体L中に飽和溶解した後の耐圧容器2内の圧力は、25℃において0.3~1.0MPa(ゲージ圧)、好ましくは0.4~0.9MPa(ゲージ圧)である。この圧力に調整することにより、吐出により耐圧容器内の液体が少なくなって耐圧容器内の圧力が低下しても、圧縮ガスは液体中に上記溶解量の範囲内で存在しており、超微細気泡が高濃度で、長期間安定に分散された液状組成物が得られやすい。
【0062】
(吐出部材4)
吐出部材4は、操作によりバルブ3を開放し、バルブ3を経て取り込まれた圧縮ガスが溶解している液体Lを吐出するための部材である。吐出部材4は、使用者によって操作される操作部5から主に構成される。図1に示されるように、吐出部材4は、バルブ3のステム33に取り付けられている。
【0063】
・操作部5
操作部5は、略円柱状の部位であり、ステム33に取り付けられる取付孔51が形成された一端と、内容物を吐出する吐出孔52が形成された他端とを有する。取付孔51は、操作部5の一端側に形成された円柱状の接続口であり、ステム33が挿入される。取付孔51の底部には、バルブ3から取り出された内容物が通過する内部通路の一端が開口している。また、内部通路の他端は、吐出孔52として開口している。
【0064】
内部通路は、バルブ3から取り込まれた内容物が吐出孔52に至るまでに通過する一連の通路(吐出通路)である。内部通路には、バルブ3から取り込まれた内容物が通過する略L字状の第一管路53が形成されている。第一管路53の空間には、第一管路53を通過した内容物を衝突させ、流れる方向を変化させて流路を分岐するための略円筒形の分岐部材54と、分岐部材54の周面を覆うノズル55とが取り付けられている。また、第一管路53の下流側端部に第一管路53から外周に向かって拡がる溝(図示せず)が2~10本の複数本形成されている。そのため、円筒状の空間に分岐部材54を挿入することにより、溝と分岐部材54との間で内容物が外周方向に流れる拡散通路が形成される。
【0065】
ノズル55は、有底筒状であり、略円盤状の底部と、分岐部材54の周面を覆う周縁部とからなる。ノズル55の底部には、分岐部材54の外周面と周縁部の内周面との間を通った内容物が外周から中心に形成された吐出孔52に向かって流れる溝(図示せず)が2~10本、好ましくは2~8本形成されている。さらに、これらの溝が収束する部分に内容物を旋回させるための旋回室が形成されている。分岐部材54にノズル55を装着することにより、溝と分岐部材54との間で内容物が旋回室に流れる収束通路が形成される。旋回室の中心には吐出孔52が設けられている。なお、分岐部材54の外周面には、第一管路53側の拡散通路で外周に分岐した内容物をノズル55底部の収束通路に流すための横溝(図示せず)が複数本形成されている。横溝はらせん状にして流路を長くし、通路抵抗を大きくして流速をより遅くすることができる。
【0066】
バルブ3から取り込まれ第一管路53を通過した内容物は、分岐部材54と衝突し、拡散通路により流れの方向が半径方向へと変わる。次いで、分岐部材54の外周面とノズル55の周縁部の内周面との間の横溝を通り、収束通路により流れの方向が中心方向へと変わる。さらに内容物は旋回室に導入されてここで渦流となり、吐出孔52から吐出される。
【0067】
第一管路53の内径は特に限定されない。第一管路53の内径は、所望する噴射速度等に合わせて適宜調整される。一例を挙げると、第一管路53の内径は、0.5~3mmである。
【0068】
また、吐出孔52の孔径は特に限定されない。吐出孔52の断面積(直径)は、所望する噴射速度等に合わせて適宜調整される。一例を挙げると、吐出孔52の孔径は、0.2~0.6mmである。吐出孔52の断面形状は特に限定されない。一例を挙げると、吐出孔52の断面形状は、円形、角形等であり、吐出孔は複数あってもよい。
【0069】
図1に示す拡散通路と収束通路とを設けた吐出部材4において、バルブ3から取り込まれ第一管路53を通過した内容物は、各通路を流れる際に通路抵抗を受けて、液体に溶解しているガスの気化速度が抑制される。内容物が吐出孔から外部に吐出されると吐出物自体は粒子が小さくなり、発生する超微細気泡は粒子径がより小さくなり、発生個数も多くなる。
【0070】
図2は、本実施形態の液状組成物を製造するためのエアゾール製品に用いられる吐出部材6の一実施態様を示す概略説明図である。
【0071】
図2に示される吐出部材6は、分岐部材62を一体成形した操作部6aを有しており、ノズル7が装着されている。このような収束通路を設けた吐出部材6は、バルブ3(図1参照)から取り込まれ第一管路61を通過した内容物が、分岐部材62の外周面とノズル7の周縁部の内周面との間の隙間を通り、収束通路により流れの方向が中心方向へと変わり、旋回室Rに導入されて過流となり、吐出孔7pから吐出される。収束通路の溝の数は2~10本が好ましく、2~8本がより好ましい。
【0072】
図2の吐出部材6の操作部6aは、略L字状の内部通路(第1管路61)と、ノズル7が挿し込まれる嵌合部63とが形成されている。嵌合部63は、略円筒状の凹部である。嵌合部63の内底面に円柱状の突部(円柱部64)が設けられている。
【0073】
円柱部64は、ノズル7が操作部6aに取り付けられる際に、ノズル7の脚部71内に埋設される部位である。ノズル7が取り付けられた状態(すなわち図2の状態)において、円柱部64の側周面は、脚部71の内周面と、わずかに離間する。このように円柱部64と脚部71とが離間することにより形成された間隙と、内部通路(第1管路61)とは、吐出時にエアゾール容器から取り込まれた内容物が通過する吐出部材内通路74である。また、図2に示されるように、円柱部64の先端面は、ノズル7の内底面と当接している。
【0074】
ノズル7は、有底筒状であり、底板72と、底板72の一方の表面の周囲に立設された筒状の脚部71とからなる。底板72は、所定の厚みを有する円盤状の部位であり、凹部73と、凹部73に接続された溝が形成されている。凹部73の内底面の中心部には、外部と連通するための吐出孔7pが形成されている。
【0075】
ノズル7が操作部6aに取り付けられることにより、上記凹部73の開口面は、円柱部64の先端面と当接し、閉止される。これにより、吐出部材6は、凹部73と円柱部64の先端面とによって画定された旋回室Rが形成される。旋回室Rの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、旋回室Rは、直径0.8~2.0mm、好ましくは1.0~1.5mmであり、高さ(深さ)0.05~0.2mm程度の円柱状の空間である。なお、旋回室Rの形状は、円柱状に限定されない。旋回室Rは、導入される内容物が旋回し得る内周形状であればよい。
【0076】
また、溝の開口面も同様に、ノズル7が操作部6aに取り付けられることにより、円柱部64の先端面と当接し、閉止される。これにより、吐出部材6は、旋回室Rに接続された収束通路が形成される。
【0077】
旋回室Rは、略円柱状の空間であり、周囲に溝が接続されている。溝は、吐出部材内通路と旋回室Rとを接続する通路であり、吐出部材内通路に接続された一端側開口と、旋回室Rに接続された他端側開口とが形成されている。
【0078】
それぞれの溝は、旋回室Rに対して、略等間隔で放射状に設けられている。ここで、それぞれの溝は、旋回室Rの内周縁に沿って導入されるように形成されている。このような方向に溝が形成されていることにより、溝を通過して旋回室R内に導入される内容物は、直接、吐出孔7pに向かうのではなく、旋回室Rの内周縁に沿って、旋回室R内を旋回することとなる。内容物は、旋回室R内で旋回した後、旋回室Rの中心にある吐出孔7pから噴射される。
【0079】
吐出孔7pの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、吐出孔7pの直径は、0.1~0.8mm程度であることが好ましく、0.2~0.6mm程度であることがより好ましい。このような寸法の吐出孔7pによれば、内容物は、旋回室Rで充分に旋回した後に、広範囲に拡がるよう吐出されるため、吐出自体の粒子径が小さくなり、超微細気泡が多く発生しやすい。そのため、液状組成物は超微細気泡が体積積算分布90%になる粒子径D90は小さくなりやすい。また、超微細気泡は、高濃度に分散しやすい。
【0080】
図3は、本発明の一実施形態の液状組成物を製造するためのエアゾール製品に用いられる吐出部材8の一実施態様を示す概略説明図である。
【0081】
図3に示されるように、吐出部材8は、分岐部材を設けず、第一管路81から吐出孔91に直線状に連通するノズル9が装着されている。この吐出部材8では、バルブ3(図1参照)から取り込まれ第一管路81を通過した内容物が吐出孔91から高い噴射圧で吐出され、超微細気泡を含んだ液状組成物を対象物に勢いよく付与することができる。
【0082】
ノズル9は、外部に突出しており、略円筒状である。ノズル9内の通路は、根元部92から吐出孔91までの内径がほぼ同じであり、吐出孔91は内径と同じでもよく、内径よりも小さくてもよい。吐出孔91の内径は、たとえば0.2~3.0mmであることが好ましく、0.3~2.5mmであることがより好ましい。したがって、吐出部材8を使用して吐出される内容物は、ノズル9内の通路を直線状に流れ、吐出孔91から外部に吐出される。
【0083】
なお、ノズル9内の通路の寸法は、ノズル内を流れる内容物に通路抵抗を与えて溶解している圧縮ガスの気化を抑制し、外部に吐出されたときに超微細気泡を高濃度で発生させようとする場合には、たとえば内径が0.2~4.0mmであることが好ましく、0.3~3.0mmであることがより好ましい。また、ノズル9内の通路の長さは3~20mmであることが好ましく、5~15mmであることがより好ましい。
【0084】
本実施形態のエアゾール製品1は、吐出部材8に代えて、図14に示される吐出部材8aが採用されてもよい。図14は、後述する実施例11および実施例12の液状組成物を製造するためのエアゾール製品に用いられる吐出部材8aの概略説明図である。図14に示される吐出部材は、略円筒状のノズル81aを備える。ノズル81a内の通路の径は、噴射孔82aの孔径とほぼ同じである。吐出部材8aは、吐出部材8と同様に、分岐部材が設けられていない。吐出部材8aは、第一管路81(図3参照)から噴射孔82aにかけて、直線状に連通している。その結果、バルブ3(図1参照)から取り込まれ、第一管路81を通過した内容物は、噴射孔82aから高い噴射力で吐出され、超微細気泡を含んだ噴射物となり、対象物に勢いよく付与され得る。
【0085】
エアゾール製品1全体の説明に戻り、本実施形態のエアゾール製品1の圧縮ガスが溶解している液体Lは、バルブ3から取り出された後、吐出通路を通過する最中に、適宜減速されるとともに、溶解していた圧縮ガスが気化して生じた超微細気泡を伴った状態で吐出孔52から吐出され、液状組成物を構成する。
【0086】
以上、本発明の一実施形態について説明した。すなわち、上記実施形態では、エアゾール製品に、原液として液体を充填し、液体に圧縮ガスを溶解させて吐出することにより、液体中で圧縮ガスの超微細気泡を発生、分散させて、液状組成物を製造する方法、および、液状組成物を例示した。
【0087】
また、液状組成物は、加圧・密閉可能なタンク内で製造されたものを、吐出容器に充填
して吐出製品とすることができる。この吐出容器としては、図1に示す容器本体内に内袋を収容している二重構造のエアゾール容器や、内袋がないエアゾール容器、容器本体に直圧式/蓄圧式ポンプを備えているポンプ容器、容器本体内に内袋を収容し、エアレスポンプを備えている二重構造のポンプ容器、パウチなどが挙げられ、超微細気泡を安定に分散させることができる点から、液状組成物を液密状態に充填できるものが好ましい。
【実施例0088】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0089】
(実施例1)
内袋を備えていない外容器に液体として水を充填し、次いで外容器にバルブを取り付け、バルブから窒素ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を水に飽和溶解させてエアゾール製品を製造した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、外容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。バルブはステム孔がφ0.4、ハウジングは下穴φ1.0、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブが取り付けられており、外容器の底部から液体のみを外部に吐出することができる。バルブに図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数:4本)を設けている吐出部材(吐出孔:φ0.3)を取り付けた。得られたエアゾール製品から内容物20mLをカップ状の別容器に吐出し、超微細気泡を発生、分散させて液状組成物を作製した。
【0090】
(実施例2)
実施例1のエアゾール製品に図2の吐出部材(吐出孔:φ0.33、収束通路の溝の数:3本)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0091】
(実施例3)
実施例1のエアゾール製品に図2の吐出部材(吐出孔:φ0.3、収束通路の溝の数:8本)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0092】
(実施例4)
実施例1のエアゾール製品に図3の吐出部材(吐出孔:φ1.2、通路の長さ:10.5mm)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0093】
(実施例5)
図1に示される耐圧容器の内袋(ポリエチレンの単層)に液体として水を充填し、次いで外容器と内袋との間の空間に窒素ガスを充填し、バルブを取り付けた。内袋には、水が液密充填されており、バルブはステム孔がφ0.4であり、ハウジングの横孔は、水(液相)中に開口し、気相には開口していないよう構成した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を内袋を透過させ、水に飽和溶解させてエアゾール製品を製造した。図1に示す吐出部材(拡散通路の溝の数:4本、収束通路の溝の数4本、吐出孔:φ0.3)を取り付けた。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、外容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。得られたエアゾール製品から内容物20mLを別容器に吐出し、超微細気泡を発生、分散させて液状組成物を作製した。
【0094】
(実施例6)
窒素ガスに代えて、炭酸ガスを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を製造し、図1の吐出部材(吐出孔:φ0.3)を用いて内容物を吐出して、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、外容器の満注量、水の充填量、炭酸ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する炭酸ガスの溶解量は13,700ppmであった。
【0095】
(実施例7)
実施例6のエアゾール製品を図3の吐出部材(吐出孔:φ1.2、通路の長さ:10.5mm)を用いて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0096】
(比較例1)
実施例1で使用した水を用いた。
【0097】
(比較例2)
実施例1で使用した水をボトルに充填し、ボトルに直圧式ポンプを取り付けた。これを室温にて3日間保存して、ポンプ製品を製造した。図1に示す吐出部材(吐出孔:φ0.3)を取り付けた。得られたポンプ製品の直圧式ポンプを操作して水20mLを別容器に吐出し、液状組成物を作製した。
【0098】
(比較例3)
実施例1のエアゾール製品に、特許文献1に記載の流量調整機構付きボタン(吐出孔φ0.3、株式会社三谷バルブ製)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0099】
(実施例8)
水に代えて、エタノールを使用し、窒素ガスに代えて、炭酸ガスを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を製造し、図3の吐出部材(吐出孔:φ1.2、通路の長さ:10.5mm)を取り付けて内容物を吐出して、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、外容器の満注量、エタノールの充填量、炭酸ガスの充填量、圧力から算出したエタノール1mLに対する炭酸ガスの溶解量は54,000ppmであった。
【0100】
(比較例4)
実施例8で使用したエタノールを用いた。
【0101】
(比較例5)
実施例8で使用したエタノールをボトルに充填し、ボトルに直圧式ポンプを取り付けた。これを室温にて3日間保存して、ポンプ製品を製造した。図1に示す吐出部材(吐出孔:φ0.3)を取り付けた。得られたポンプ製品の直圧式ポンプを操作してエタノール20mLを別容器に吐出し、液状組成物を作製した。
【0102】
実施例1~8および比較例1~5で得られた液状組成物について、D90、D50、D10、粒子の個数を、ナノトラッキング粒子径測定装置(ナノサイトNS300、Malvern Panalytical Ltd製)を用いて、25℃に調整した液状組成物を測定した。なお、測定は、液状組成物を溶媒で希釈せずに行った。結果を表1に示す。また、実施例1、実施例6、実施例8、比較例1~5について、粒子径と濃度との関係を示すグラフを、図4~13に示す。
【0103】
【表1】
【0104】
表1および図4図5に示されるように、液体として水を採用し、窒素ガスを用いた実施例1の液状組成物は、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、特に小さな値の範囲に集中しており、D90が187.4nmであり、かつ、1mL中に3.19×108個もの超微細気泡が含まれ、噴射1日後の液状組成物は1mL中に1.33×108個もの超微細気泡が含まれていた。実施例2~5の液状組成物に関しても同様であった。
【0105】
表1および図6図7に示されるように、液体として水を採用し、超微細気泡として炭酸ガスが分散している実施例6の液状組成物は、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、特に小さな値の範囲に集中しており、D90が213.4nmであり、かつ、1mL中に1.67×108個もの超微細気泡が含まれ、噴射1日後の液状組成物は1mL中に3.32×107個もの超微細気泡が含まれていた。実施例7の液状組成物に関しても同様であった。
【0106】
一方、表1および図8に示されるように、水のみを用いた比較例1の液状組成物は、気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)ではあったが、300nmを超える粒子径(たとえば400nm)のものも多くみられ、D90が378.5nmであり、かつ、1mL中に6.25×106個であり少なかった。
【0107】
一方、表1および図9に示されるように、液体として水を採用し、直圧式ポンプを用いた比較例2の液状組成物は、気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、特に小さな値の範囲に集中しており、D90が82.7nmであったが、1mL中に2.02×107個であり少なかった。
【0108】
一方、表1および図10に示されるように、液体として水を採用し、流量調整機構付きボタンを用いた比較例3の液状組成物は、1mL中に2.49×108個であり多かったが、300nmを超える粒子径(たとえば800nm)のものも多くみられ、D90が680.6nmであった。
【0109】
また、表1および図11に示されるように、液体としてエタノールを採用し、超微細気泡として炭酸ガスが分散している実施例8の液状組成物は、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、特に小さな値の範囲に集中しており、D90が181.4nmであり、かつ、1mL中に4.81×107個もの超微細気泡が含まれていた。
【0110】
一方、表1および図12に示されるように、エタノールのみを用いた比較例4の液状組成物は、気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、特に小さな値の範囲に集中しており、D90が21.5nmであったが、1mL中に5.03×104個であり非常に少なかった。
【0111】
一方、表1および図13に示されるように、液体としてエタノールを採用し、直圧式ポンプを用いた比較例5の液状組成物は、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)ではあったが、D90が238.2nmであったが、1mL中に2.87×107個であり少なかった。
【0112】
(実施例9)
内袋を備えていない外容器に液体として水を充填し、次いで外容器にバルブを取り付け、バルブから窒素ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を水に飽和溶解させてエアゾール製品を製造した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、外容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量および圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。バルブはステム孔がφ0.4、ハウジングは下穴φ1.0、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブが取り付けられており、外容器の底部から液体のみを外部に吐出することができる。バルブに図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数:4本)を設けている吐出部材(吐出孔:φ0.36)を取り付けた。得られたエアゾール製品から内容物20mLをカップ状の別容器に吐出し、超微細気泡を発生、分散させて液状組成物を作製した。
【0113】
(実施例10)
実施例9のエアゾール製品に図2の吐出部材(吐出孔:φ0.60、収束通路の溝の数:4本)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0114】
(実施例11)
実施例9のエアゾール製品に図14の吐出部材8a(吐出孔82a:φ0.35、通路の長さ:6mm)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0115】
(実施例12)
実施例9のエアゾール製品に図14の吐出部材8a(吐出孔82a:φ1.2、通路の長さ:6mm)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0116】
(実施例13)
実施例9のエアゾール製品に図3の吐出部材(吐出孔:φ0.3、通路の長さ:10.5mm)を取り付けて別容器に吐出し、液状組成物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であった。
【0117】
(実施例14)
内袋を備えていない外容器に液体として水を充填し、次いで外容器にバルブを取り付け、バルブから窒素ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を水に飽和溶解させてエアゾール製品を製造した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、外容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量および圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。バルブはステム孔がφ0.3、ハウジングは下穴φ0.3、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブが取り付けられており、外容器の底部から液体のみを外部に吐出することができる。バルブに図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数:4本)を設けている吐出部材(吐出孔:φ0.36)を取り付けた。得られたエアゾール製品から内容物20mLをカップ状の別容器に吐出し、超微細気泡を発生、分散させて液状組成物を作製した。
【0118】
実施例9~14で得られた液状組成物について、D90、D50、D10、粒子の個数を、ナノトラッキング粒子径測定装置(ナノサイトNS300、Malvern Panalytical Ltd製)を用いて、25℃に調整した液状組成物を測定した。なお、測定は、液状組成物を溶媒で希釈せずに行った。結果を表2に示す。また、実施例10、実施例11、実施例14について、粒子径と濃度との関係を示すグラフを、図15~17に示す。
【0119】
【表2】
【符号の説明】
【0120】
1 エアゾール製品
2 耐圧容器
21 外容器
22 内袋
3 バルブ
31 弁機構
32 ハウジング
32a 取込孔
33 ステム
33a ステム孔
34 ステムラバー
35 スプリング
4 吐出部材
5 操作部
51 取付孔
52 吐出孔
53 第一管路
54 分岐部材
55 ノズル
6 吐出部材
6a 操作部
61 第一管路
62 分岐部材
63 嵌合部
64 円柱部
7 ノズル
71 脚部
72 底板
73 凹部
74 吐出部材内通路
7p 吐出孔
8、8a 吐出部材
81 第一管路
9、81a、81b ノズル
81c ノズル部
82a、91 吐出孔
92 根元部
L 液体
La 液相
R 旋回室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17