(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152717
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
B65D 83/14 20060101AFI20241018BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65D83/14 200
B05B9/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024064809
(22)【出願日】2024-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2023065831
(32)【優先日】2023-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391021031
【氏名又は名称】株式会社ダイゾー
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 春那
(72)【発明者】
【氏名】松平 一志
(72)【発明者】
【氏名】宮本 英俊
【テーマコード(参考)】
3E014
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PC02
3E014PC03
3E014PD01
3E014PE17
4F033RA02
4F033RB04
4F033RC01
4F033RC03
4F033RC11
4F033RC16
4F033RC24
(57)【要約】
【課題】超微細気泡(ウルトラファインバブル)を高濃度で発生させることができ、かつ、超微細気泡の分布幅が小さくなる、エアゾール製品を提供する。
【解決手段】原液と噴射剤とが充填されたエアゾール容器と、エアゾール容器に装着され、噴射孔が形成された噴射ボタンとからなり、噴射孔から噴射物を噴射する場合において、噴射孔からの距離5cmにおける噴射力は、10~400mNである、エアゾール製品。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液と噴射剤とが充填されたエアゾール容器と、前記エアゾール容器に装着され、噴射孔が形成された噴射ボタンとからなり、
前記噴射孔から噴射物を噴射する場合において、噴射孔からの距離5cmにおける噴射力は、10~400mNである、エアゾール製品。
【請求項2】
前記噴射剤は、圧縮ガスである、請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項3】
前記圧縮ガスは、原液1mLに対し、25℃、大気圧下での溶解量が0.001~5mLである、請求項2記載のエアゾール製品。
【請求項4】
前記噴射剤は、液化ガスである、請求項1記載のエアゾール製品。
【請求項5】
前記噴射ボタンは、噴射される噴射物が噴射孔に向かって収束する溝が形成された収束通路を備えており、
前記溝の本数は、2~10本である、請求項1~4のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【請求項6】
前記噴射孔の直径は、0.2~1.0mmである、請求項1~4のいずれか1項に記載のエアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアゾール製品に関する。より詳細には、本発明は、超微細気泡(ウルトラファインバブル)を高濃度で発生させることができ、かつ、超微細気泡の粒子径の分布幅が小さくなる、エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体中に、ナノオーダー(1~1000nm)の気泡を分散させる方法が開発されている。特許文献1には、エアゾール容器を用いたウルトラファインバブルの発生使用方法と発生装置が開示されている。特許文献1の発生装置は、エアゾール容器に水を主成分とする液体と噴射ガス(窒素ガス)とを充填し、流量調整機構付きの噴射ボタンを用いることにより、粒子径が50~1000nm程度のウルトラファインバブルを含む液体を噴射することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発生装置によれば、流量調整機構は、噴射状態を一定にするためにピストンとスプリングとを用いて流量を調整している。そのため、発生する気泡の粒子径は、50~1000nmであり、幅広い範囲を示す。ウルトラファインバブルのうち、粒子径の大きな気泡が多いと、液体中に保持されにくく、気泡が消失しやすい。その結果、特許文献1に記載の発生装置は、ウルトラファインバブルを、高濃度で、かつ、長期間安定に分散されることができない。
【0005】
本発明は、このような先行技術とは異なり、噴射物中に超微細気泡(ウルトラファインバブル)を高濃度で発生させることができ、かつ、超微細気泡の粒子径の分布幅が小さくなる、エアゾール製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明のエアゾール製品には、以下の構成が主に含まれる。
【0007】
(1)原液と噴射剤とが充填されたエアゾール容器と、前記エアゾール容器に装着され、噴射孔が形成された噴射ボタンとからなり、前記噴射孔から噴射物を噴射する場合において、噴射孔からの距離5cmにおける噴射力は、10~400mNである、エアゾール製品。
【0008】
このような構成によれば、エアゾール製品から大気圧下に噴射される噴射物は、噴射ボタン内の通路抵抗により特定の噴射力で噴射されるため、噴射物中に超微細気泡が高濃度で発生しやすく、かつ、超微細気泡の粒子径の分布幅が小さくなる。そのため、得られる噴射物は、超微細気泡が噴射物中で安定に分散し、超微細気泡の効果が得られやすい。
【0009】
(2)前記噴射剤は、圧縮ガスである、(1)記載のエアゾール製品。
【0010】
このような構成によれば、エアゾール容器内で原液に溶解していた圧縮ガスは、外部に噴射されることにより噴射物中で気化しやすい。その結果、超微細気泡は、噴射物中において、体積積算分布で90%になる粒子径が50~300nmと小さくなりやすく、かつ、1mLあたり4.0×107個以上と高濃度に分散しやすい。
【0011】
(3)前記圧縮ガスは、原液1mLに対し、25℃、大気圧下での溶解量が0.001~5mLである、(2)記載のエアゾール製品。
【0012】
このような構成によれば、エアゾール容器内で原液に溶解していた圧縮ガスは、外部に噴射されることにより噴射物中で気化しやすい。その結果、噴射物は、超微細気泡が高濃度で発生しやすく、かつ、超微細気泡の粒子径の分布幅が小さくなりやすい。
【0013】
(4)噴射剤は、液化ガスである、(1)記載のエアゾール製品。
【0014】
このような構成によれば、エアゾール容器内で原液に溶解していた液化ガスは、外部に噴射されることにより噴射物中で気化しやすい。その結果、超微細気泡は、噴射物中において、体積積算分布で90%になる粒子径が50~300nmと小さくなりやすく、かつ、1mLあたり5.0×107個以上と高濃度に分散しやすい。
【0015】
(5)前記噴射ボタンは、噴射される噴射物が噴射孔に向かって収束する溝が形成された収束通路を備えており、前記溝の本数は、2~10本である、(1)~(4)のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0016】
このような構成によれば、噴射される噴射物は、収束通路を流れる際に通路抵抗を強く受け、原液に溶解している噴射剤の気化が抑制される。そのため、噴射剤は、噴射孔から外部に噴射された後で気化しやすい。その結果、噴射物は、噴射直後に超微細気泡が高濃度で発生しやすい。
【0017】
(6)前記噴射孔の直径は、0.2~1.0mmである、(1)~(5)のいずれかに記載のエアゾール製品。
【0018】
このような構成によれば、噴射物は、噴射孔により流量が絞られ、収束通路を通過する際に適度な通路抵抗を受けて噴射剤の気化が抑制される。そのため、噴射剤は、噴射孔から外部に噴射された後で気化しやすい。その結果、噴射物は、噴射直後に超微細気泡が高濃度で発生しやすい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、超微細気泡(ウルトラファインバブル)を高濃度で発生させることができ、かつ、超微細気泡の粒子径の分布幅が小さくなるエアゾール製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態(第1の実施形態)の噴射物を作製するためのエアゾール製品の模式的な断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態(第2の実施形態)の噴射物を作製するためのエアゾール製品の噴射ボタンの断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態(第3の実施形態)の噴射物を作製するためのエアゾール製品の噴射ボタンの断面図である。
【
図4】
図4は、実施例1のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図5】
図5は、実施例2のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図6】
図6は、実施例3のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施例4のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施例5のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施例6のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、比較例1の液体(水)の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図11】
図11は、比較例2の製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、比較例3のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図13】
図13は、実施例7のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図14】
図14は、比較例4の液体(エタノール)の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図15】
図15は、比較例5の製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図16】
図16は、本発明の実施例10および実施例11の噴射物を製造するためのエアゾール製品に用いられる噴射ボタン8aの一実施態様を示す概略説明図である。
【
図17】
図17は、実施例9のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図18】
図18は、実施例10のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図19】
図19は、実施例13のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図20】
図20は、実施例14のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【
図21】
図21は、実施例15のエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態のエアゾール製品は、原液と噴射剤とが充填されたエアゾール容器と、エアゾール容器に装着され、噴射孔が形成された噴射ボタンとからなる。噴射孔から噴射物を噴射する場合において、噴射孔からの距離5cmにおける噴射力は、10~400mNである。以下、それぞれについて説明する。
【0022】
(原液)
エアゾール容器に充填される原液は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、各種水性溶媒、油性溶媒を主成分として含有する。より具体的には、水性溶媒は、精製水、イオン交換水、生理食塩水、海洋深層水等の水や、エタノール、イソプロパノールなどの炭素数が2~3個の1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどの2~3価のポリオール等のアルコール類、および水とアルコール類の混合物等である。油性溶媒は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン、コハク酸ジエトキシエチル、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール等のエステル油、流動パラフィン、ケロシン、スクワレン、スクワラン、イソパラフィン等の炭化水素油、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、ホホバ油、麦芽油、ヤシ油、パーム油等の油脂、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等のシリコーンオイル、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E)、沸点19℃)、シス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z)、沸点39℃)、シス-1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロオレフィン(HFO-1224yd(Z)、沸点15℃)等の沸点が5~40℃であるハイドロフルオロオレフィン等である。
【0023】
溶媒の含有量は、原液中、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。また、溶媒の含有量は、原液中、100質量%以下であることが好ましく、99.9質量%以下であることがより好ましい。溶媒の含有量が上記範囲内であることにより、原液は、超微細気泡を高濃度で発生させるために必要な量の噴射剤を溶解しやすい。特に、水を原液中60質量%以上含有する場合は、エアゾール製品は、噴射物中において、超微細気泡の粒子径が小さく、かつ粒子径の分布幅が狭くなり、超微細粒子の大きさが揃い、安定した効果が持続しやすい。なお、水性溶媒や油性溶媒で例示した上記成分は、添加剤や有効成分として溶媒に添加することもできる。
【0024】
原液は、たとえば、各種有効成分、界面活性剤、増粘剤、パウダー等の任意成分が含まれてもよい。
【0025】
有効成分は、エアゾール製品の用途や目的などに応じて適宜選択することができる。一例を挙げると、有効成分は、天然香料、合成香料などの各種香料、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、N-メタクリロイルオキシエチルN,N-ジメチルアンモニウム-α-N-メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体などの両性樹脂;アクリル酸アルカノールアミン、アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、アクリル酸・アクリル酸アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸アルキル・メタクリル酸・シリコーン共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体、ポリウレタンなどのアニオン性樹脂、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩(ポリクオタニウム-11)、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジメチル硫酸塩、ポリビニルピロリドン・N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩酸塩、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体(ポリクオタニウム-7)、塩化-o-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース(ポリクオタニウム-10)などのカチオン性樹脂などの頭髪用セット剤、l-メントール、カンフル、ハッカ油などの清涼剤、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸ナトリウム、dl-α-トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、ジベンゾイルチアミン、リボフラビンおよびこれらの混合物などのビタミン類、アスコルビン酸、α-トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどの酸化防止剤、グリシン、アラニン、ロイシン、セリン、トリプトファン、システイン、メチオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニンなどのアミノ酸、コラーゲン、ヒアルロン酸、カロニン酸、乳酸ナトリウム、dl-ピロリドンカルボン酸塩、ケラチン、カゼイン、レシチン、尿素などの保湿剤、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノールなどの防腐剤、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化クロルヘキシジン、パラクロルメタクレゾールなどの殺菌消毒剤、ローヤルゼリーエキス、シャクヤクエキス、ヘチマエキス、バラエキス、レモンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、セージエキス、茶エキス、海藻エキス、プラセンタエキス、シルク抽出液、センブリエキス、ニンジンエキスなどの抽出液、酸化亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、タンニン酸、クエン酸、乳酸などの収斂剤、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、アズレンなどの抗炎症剤、ミノキシジル、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリドなどの育毛剤、ラウリル酸メタクリレート、安息香酸メチル、フェニル酢酸メチル、ゲラニルクロトレート、ミリスチン酸アセトフェノン、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、緑茶エキスなどの消臭剤、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、エチルヘキシルトリアゾン、オキシベンゾン、ヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸、ジヒドロキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、酸化亜鉛、酸化チタン、オクチルトリメトキシシラン被覆酸化チタンなどの紫外線散乱剤、アルブチン、コウジ酸などの美白剤、クロロヒドロキシアルミニウム、イソプロピルメチルフェノールなどの制汗剤、サリチル酸メチル、インドメタシン、フェルビナク、ケトプロフェンなどの消炎鎮痛剤等である。
【0026】
有効成分が配合される場合、有効成分の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有効成分の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、有効成分の含有量は、原液中、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。有効成分の含有量が上記範囲内であることにより、有効成分を配合することによる効果が得られやすい。
【0027】
界面活性剤は、超微細気泡に汚れ成分などを吸着して洗浄効果を向上させる、超微細気泡の保持性を向上させる等の目的で好適に配合される。
【0028】
界面活性剤は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤は、コカミドDEA、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどの陽イオン型界面活性剤;アルキルベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルアミンオキシドなどの両性界面活性剤;シリコーン系界面活性剤等である。特に、イオン性界面活性剤を配合することにより、エアゾール製品は、プラスもしくはマイナスに帯電している花粉などの飛散物質の付着を減らすなどの効果が得られやすい。
【0029】
界面活性剤が配合される場合、界面活性剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、界面活性剤の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、界面活性剤の含有量は、原液中、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましい。界面活性剤の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール製品は、界面活性剤を配合することによる効果が得られやすい。
【0030】
増粘剤は、原液の粘度を高くしたり、チキソトロピー性を付与して、噴射物中で超微細粒子が発生する速度を遅くし、超微細粒子の粒子径を調整する、超微細気泡をより安定に分散させる等の目的で好適に配合される。
【0031】
増粘剤は特に限定されない。一例を挙げると、増粘剤は、セルロースナノファイバー、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系高分子、キサンタンガム、カラギーナン、アラビアゴム、トラガントゴム、カチオン化グアガム、グアガム、ジェランガム等のガム質、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマー、ポリウレタン、デキストラン、カルボキシメチルデキストランナトリウム、デキストリン、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子、カルボキシビニルポリマー等の架橋型のポリアクリル酸、(アクリル酸/イタコン酸ステアレス)コポリマー、(アクリル酸/イタコン酸セテス)コポリマー、アクリル酸/アミノアクリレート/C10-30アルキルPEG-20イタコン酸)コポリマー等のアクリル酸とイタコン酸エステルの共重合体、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体等の会合型増粘剤等である。
【0032】
会合型増粘剤を含有する場合、原液は、pH調整剤が配合されることが好ましい。pH調整剤は特に限定されない。一例を挙げると、pH調整剤は、トリエタノールアミン(TEA)、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP)、ジエタノールアミン(DEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)、2-アミノ-2-メチル-1、3-プロパンジオール(AMPD)などの有機アルカリ、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ、クエン酸、グリコール酸、乳酸、リン酸などの有機酸、塩酸などの無機酸等である。
【0033】
増粘剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、増粘剤の含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。また、増粘剤の含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。増粘剤の含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール製品は、噴射物中に分散する超微細気泡の粒子径を調整する、超微細気泡をより安定に分散させる効果が得られやすい。
【0034】
パウダーは、表面に超微細気泡を付着して効果を発揮させやすくする、使用感を向上させる等の目的で好適に用いられる。
【0035】
パウダーは特に限定されない。一例を挙げると、パウダーは、タルク、シリカ、ゼオライト、カオリン、雲母、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸亜鉛、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム等である。
【0036】
パウダーが配合される場合、パウダーの含有量は特に限定されない。一例を挙げると、パウダーの含有量は、原液中、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、パウダーの含有量は、原液中、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。パウダーの含有量が上記範囲内であることにより、エアゾール製品は、パウダーを配合することによる効果が得られやすい。
【0037】
原液の製造方法は特に限定されない。一例を挙げると、原液は、たとえば、有効成分などを溶媒に添加して溶解あるいは分散させることにより調製することができる。
【0038】
(噴射剤)
噴射剤は特に限定されない。一例を挙げると、噴射剤は、エアゾール容器内に充填されても気体である圧縮ガス、エアゾール容器内に充填されると一部が液化して液体と気体に分かれる液化ガスである。
【0039】
(圧縮ガス)
圧縮ガスは特に限定されない。一例を挙げると、25℃、大気圧下における原液(溶媒)1mLに対する溶解量が0.001mL以上である圧縮ガスが好ましく、0.005mL以上であるである圧縮ガスがより好ましい。また、圧縮ガスは、溶解量が5mL以下であることが好ましく、3mL以下であることがより好ましい。圧縮ガスの原液への溶解量が上記範囲内であることにより、エアゾール容器に充填された圧縮ガスは、原液中に好適な濃度で溶解し得る。その結果、超微細気泡は、噴射物中高濃度に発生しやすく、粒子径の分布が小さく、大きさが揃いやすい。
【0040】
より具体的には、圧縮ガスは、窒素(水1mLに対して0.0141mL、エタノール1mLに対して0.137mL)、水素(水1mLに対して0.0175mL、エタノール1mLに対して0.0784mL)、ヘリウム(水1mLに対して0.0087mL、エタノール1mLに対して0.0294mL)、六フッ化硫黄(水1mLに対して0.00545mL)、空気(水1mLに対して0.0167mL)、酸素(水1mLに対して0.0283mL、エタノール1mLに対して0.222mL)、炭酸ガス(水1mLに対して0.759mL、エタノール1mLに対して2.706mL)、亜酸化窒素(水1mLに対して0.0588mL)、アルゴン(水1mLに対して0.0306mL、エタノール1mLに対して0.239mL)およびこれらの混合ガス等である。溶媒1mLに対して1.0mL以下である低溶解性圧縮ガスを用いる場合は、エアゾール製品は、より小さな超微細気泡の含有量が多くなりやすく、好ましい。
【0041】
圧縮ガスは、原液が充填されているエアゾール容器に充填され、原液に飽和溶解する。原液に飽和溶解した圧縮ガスの溶解量は、25℃において、原液1mL中、30ppm以上であることが好ましく、40ppmL以上であることがより好ましい。また、圧縮ガスの溶解量は、25℃において、原液1mL中、80,000ppm以下であることが好ましく、70,000ppm以下であることがより好ましい。圧縮ガスの溶解量が上記範囲内であることにより、特定の噴射力で大気中に噴射されたときに、噴射物中に大量の超微細気泡が生じやすい。なお、本実施形態において、圧縮ガスの溶解量とは、耐圧容器に充填した原液の容量、圧縮ガスを充填する気相部の容量、圧縮ガスの充填量、25℃において圧縮ガスが耐圧容器内の原液に溶解して平衡になったときの圧力から算出した値である。
【0042】
(液化ガス)
液化ガスは特に限定されない。一例を挙げると、液化ガスは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物からなる液化石油ガス、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エンなどの沸点が5℃以下であるハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物である親油性液化ガスや、ジメチルエーテルからなる両媒性液化ガス、およびこれらの混合物等である。
【0043】
これらの中でも、液化ガスは、プロパン、ノルマルブタン、イソブタンおよびこれらの混合物からなる液化石油ガス、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エンなどの沸点が5℃未満であるハイドロフルオロオレフィン、およびこれらの混合物である親油性液化ガスを含むことが好ましい。これにより、噴射物は、人体に使用する場合は超微細気泡が皮膚の表面に付着しやすく、適用箇所における皮脂などの汚れを除去する効果等が長期間に渡って得られやすい。また、噴射物は、噴射物中に、洗浄すべき物品を浸け置くことで、油汚れ等を吸着・除去する洗浄効果等が得られやすい。さらに、水を含有する溶媒を用いる場合、親油性液化ガスは、エアゾール容器内で原液と分離しやすい。しかしながら、親油性液化ガスは、原液中に常に飽和溶解している。そのため、噴射物は、超微細気泡の発生数が多く、また安定しやすい。
【0044】
液化ガスは、耐圧容器2に充填される。液化ガスは、一部が原液に溶解し、気相にも存在する。液化ガスを原液への飽和溶解量以上に充填する場合、液化ガスは、原液と分離し、液相を形成する。原液1mLに対する液化ガスの溶解量は、耐圧容器2内に充填された時点において、液体換算で0.0001mL以上であることが好ましく、0.0003mL以上であることがより好ましい。また、液化ガスの溶解量は、0.5mL以下であることが好ましく、0.3mL以下であることがより好ましい。液化ガスの溶解量が上記範囲内であることにより、噴射物は、吐出後に、大量の超微細気泡を生じやすい。なお、本実施形態において、液化ガスの溶解量とは、25℃において液化ガスが液体換算で原液中に溶解している量である。
【0045】
より具体的には、液化ガスは、プロパン(水1mLに対して0.014mL)、ブタン(水1mLに対して0.010mL)およびこれらの混合ガスである液化石油ガス、トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン(水1mLに対して0.000319mL)、ジメチルエーテル(水1mLに対して0.106mL)およびこれらの混合ガス等である。
【0046】
<エアゾール製品の製造方法>
エアゾール製品は、耐圧容器に原液を充填し、耐圧容器にバルブを取り付けて密封し、バルブから噴射剤を充填し、噴射剤を原液に飽和溶解させ、バルブに噴射ボタンを装着することにより製造することができる。なお、噴射剤は、耐圧容器にバルブを取り付ける直前に充填してもよい。
【0047】
図1は、本実施形態のエアゾール製品1の模式的な断面図である。
図1には、非使用状態のエアゾール製品1が示されている。
図1に示されるように、本実施形態のエアゾール製品1は、原液Lと噴射剤とからなる内容物が充填された耐圧容器2と、耐圧容器2に取り付けられるバルブ3と、バルブ3に取り付けられ、内容物を噴射する噴射孔52が形成された噴射ボタン4とを主に備える。以下、それぞれの構成について説明する。なお、エアゾール製品1の構成は、本実施形態に限定されない。そのため、以下に示されるエアゾール製品1の構成は例示であり、適宜設計変更を行うことができる。また、
図1では、噴射剤が圧縮ガスである場合が例示されている。一方、噴射剤として液化ガス(たとえば液化石油ガス)が用いられる場合、液相の上部には、液体Lが分離し、液相(図示せず)が形成され得る。
【0048】
(耐圧容器)
耐圧容器2は、原液Lを加圧・密封状態で充填するための容器である。耐圧容器2は、汎用の形状であってよい。本実施形態の耐圧容器2は、上部に開口を有する有底筒状である。開口は、原液Lを充填するための充填口である。耐圧容器2は、密封するために開口に後述するバルブ3が取り付けられる。
【0049】
・耐圧容器2
耐圧容器2は、開口に後述するバルブ3を取り付けて閉止することによりエアゾール容器となる。耐圧容器2の材質は特に限定されない。このような材質としては、アルミニウム、ブリキ等の金属、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルなどの合成樹脂、耐圧ガラス等が例示される。また、耐圧容器2は、その内部に内袋を備えることができる。内袋は噴射剤の圧力により収縮可能な袋状の容器である。内袋には、上記した原液Lが液密状態に充填される。内袋の材質は特に限定されない。一例を挙げると、内袋の材質は、ポリエチレンなどのポリオレフィン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリアミドなどの合成樹脂があげられる。また、内袋は、前述の合成樹脂の単層体であってもよく、複数の層が積層された積層体であってもよい。
【0050】
(バルブ3)
バルブ3は、耐圧容器2の開口に取り付けられて耐圧容器2内を密封するための部材であり、上下動することにより耐圧容器2内と外部との連通/遮断を切り替えることができる弁機構31と、弁機構31が収容される所定の内部空間が形成されたハウジング32とを備える。弁機構31は、下方に押し下げることにより外部と連通するステム孔33aを有するステム33と、ステム孔33aをシールするステムラバー34と、ステム33を下方から常時垂直上方向に付勢するスプリング35とを備える。ハウジング32の下部には、ハウジング32の内部空間とチューブ36を介して耐圧容器2の内部とを連通する液相導入孔32aが形成されている。バルブ3の動作によりステム孔33aが開放されると、耐圧容器2に充填された液体Lは噴射剤の圧力により、チューブ36下端の開口部から液相導入孔32aを通り、ハウジング32内に取り込まれ、ステム孔33aおよびステム33内の通路を通り、噴射ボタン4へ送られる。
【0051】
耐圧容器2に原液Lおよび噴射剤を充填する方法は特に限定されない。一例を挙げると、耐圧容器2の開口から原液Lを充填し、耐圧容器2の開口にバルブ3を固着し、その後、バルブのステムから噴射剤を充填し、噴射剤を原液に飽和溶解させる。なお、バルブは、噴射剤を耐圧容器2とバルブの間からアンダーカップ充填した後で耐圧容器の開口に固着してもよい。
【0052】
噴射剤が充填され、原液L中に飽和溶解した後のエアゾール容器内の圧力は、噴射剤が圧縮ガスである場合、25℃において0.3~1.0MPa(ゲージ圧)であることが好ましく、0.4~0.9MPa(ゲージ圧)である。エアゾール容器内の圧力が上記範囲に調整されることにより、噴射によりエアゾール容器内の原液が少なくなってエアゾール容器内の圧力が低下しても、圧縮ガスは、原液中に上記溶解量の範囲内で存在しており、超微細気泡が高濃度で発生させることができる。
【0053】
(噴射ボタン4)
噴射ボタン4は、操作によりバルブ3を開放し、バルブ3を経て取り込まれた噴射剤が溶解している原液Lを吐出するための部材である。噴射ボタン4は、使用者によって操作される操作部5から主に構成される。
図1に示されるように、噴射ボタン4は、バルブ3のステム33に取り付けられている。
【0054】
・操作部5
操作部5は、略円柱状の部位であり、ステム33に取り付けられる取付孔51が形成された一端と、内容物を噴射する噴射孔52が形成された他端とを有する。取付孔51は、操作部5の一端側に形成された円柱状の接続口であり、ステム33が挿入される。取付孔51の底部には、バルブ3から取り出された内容物が通過する内部通路の一端が開口している。また、内部通路の他端は、噴射孔52として開口している。
【0055】
内部通路は、バルブ3から取り込まれた内容物が噴射孔52に至るまでに通過する一連の通路(噴射通路)である。内部通路には、バルブ3から取り込まれた内容物が通過する略L字状の第一管路53が形成されている。第一管路53の空間には、第一管路53を通過した内容物を衝突させ、流れる方向を変化させて流路を分岐するための略円筒形の分岐部材54と、分岐部材54の周面を覆うノズル55とが取り付けられている。また、第一管路53の下流側端部に第一管路53から外周に向かって拡がる溝(図示せず)が2~6本形成されている。そのため、円筒状の空間に分岐部材54を挿入することにより、溝と分岐部材54との間で内容物が外周方向に流れる拡散通路が形成される。拡散通路の幅は0.2~0.6mmであることが好ましい。
【0056】
ノズル55は、有底筒状であり、略円盤状の底部と、分岐部材54の周面を覆う周縁部とからなる。ノズル55の底部には、分岐部材54の外周面と周縁部の内周面との間を通った内容物が外周から中心に形成された噴射孔52に向かって流れる溝(図示せず)が2~10本、好ましくは2~8本形成されている。さらに、これらの溝が収束する中心部分に内容物を旋回させるための旋回室Rが形成されている。分岐部材54にノズル55を装着することにより、溝と分岐部材54との間で内容物が旋回室Rに流れる収束通路が形成される。溝の本数が上記範囲内であることにより、噴射される噴射物は、収束通路を流れる際に通路抵抗を強く受け、溶解している噴射剤の気化が抑制される。そのため、噴射剤は、噴射孔から外部に噴射された後で気化しやすい。その結果、噴射物は、噴射直後に超微細気泡が高濃度で発生しやすい。
【0057】
旋回室の中心には噴射孔52が設けられている。なお、分岐部材54の外周面には、第一管路53側の拡散通路で外周に分岐した内容物をノズル55底部の収束通路に流すための横溝(図示せず)が複数本形成されている。横溝はらせん状にして流路を長くし、通路抵抗を大きくして流速をより遅くすることができる。収束通路の幅は0.1~0.5mmであることが好ましい。旋回室Rの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、旋回室Rは、直径0.3~2.0mm、好ましくは0.4~1.5mmであり、高さ(深さ)0.05~0.2mm程度の円柱状の空間である。なお、旋回室Rの形状は、円柱状に限定されない。旋回室Rは、導入される内容物が旋回し得る内周形状であればよい。
【0058】
バルブ3から取り込まれ第一管路53を通過した内容物は、分岐部材54と衝突し、拡散通路により流れの方向が半径方向へと変わる。次いで、分岐部材54の外周面とノズル55の周縁部の内周面との間の横溝を通り、収束通路により流れの方向が中心方向へと変わる。さらに内容物は旋回室に導入されてここで渦流となり、噴射孔52から噴射される。
【0059】
第一管路53の内径は特に限定されない。第一管路53の内径は、所望する噴射速度等に合わせて適宜調整される。一例を挙げると、第一管路53の内径は、0.5~3mmである。
【0060】
また、噴射孔52の孔径は特に限定されない。噴射孔52の孔径は、所望する噴射速度等に合わせて適宜調整される。一例を挙げると、噴射孔52の孔径は、0.2mm以上であることが好ましく、0.25mm以上であることがより好ましい。また、噴射孔52の孔径は、1.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以下であることがより好ましい。噴射孔の直径が上記範囲内であることにより、噴射物は、噴射孔により流量が絞られ、収束通路を通過する際に適度な通路抵抗を受けて噴射剤の気化が抑制される。そのため、噴射剤は、噴射孔から外部に噴射された後で気化しやすい。その結果、噴射物は、噴射直後に超微細気泡が高濃度で発生しやすい。
【0061】
噴射孔52の断面形状は特に限定されない。一例を挙げると、噴射孔52の断面形状は、円形、楕円形、角形等である。
【0062】
図1に示す拡散通路と収束通路とを設けた噴射ボタン4において、エアゾール容器内の圧力より押し出されバルブ3から取り込まれた内容物は、第一管路53、拡散通路、横溝、収束通路を通過する際に通路抵抗を受けて、噴射孔から噴射されるときの噴射力は、噴射孔からの距離5cmにおいて、10mN以上となるよう調整されればよく、15mN以上となるよう調整されることが好ましい。また、噴射力は、400mN以下となるよう調整されればよく、100mN以下となるよう調整されることが好ましく、90mN以下となるよう調整されることがより好ましい。このような噴射力に調整されることにより、噴射ボタンの通路を流れる内容物は、溶解している噴射剤の気化速度が抑制され、噴射孔から外部に噴射された際に気化しやすく、超微細気泡の粒子数が多くなりやすい。また、
図1の噴射ボタンは、内容物が噴射孔から外部に噴射されると噴射物自体も粒子が小さくなり、発生する超微細気泡は粒子径がより小さくなり、発生個数も多くなる。その結果、エアゾール製品1から大気圧下に噴射される噴射物は、噴射ボタン4内の通路抵抗により特定の噴射力で噴射されるため、噴射物中に超微細気泡が高濃度で発生しやすく、かつ、超微細気泡の粒子径の分布幅が小さくなる。そのため、得られる噴射物は、超微細気泡が噴射物中で安定に分散し、超微細気泡の効果が得られやすい。
【0063】
図2は、本実施形態のエアゾール製品に用いられる噴射ボタン6の一実施態様を示す概略説明図である。
【0064】
図2に示される噴射ボタン6は、分岐部材62を一体成形した操作部6aを有しており、ノズル7が装着されている。このような収束通路を設けた噴射ボタン6は、バルブ3(
図1参照)から取り込まれ第一管路61を通過した内容物が、分岐部材62の外周面とノズル7の周縁部の内周面との間の隙間を通り、収束通路により流れの方向が中心方向へと変わり、旋回室Rに導入されて過流となり、噴射孔7pから噴射される。収束通路の溝の数は2~10本が好ましく、2~8本がより好ましい。収束通路の幅は0.1~0.5mmであることが好ましい。
【0065】
図2の噴射ボタン6の操作部6aは、略L字状の内部通路(第1管路61)と、ノズル7が挿し込まれる嵌合部63とが形成されている。嵌合部63は、略円筒状の凹部である。嵌合部63の内底面に円柱状の突部(円柱部64)が設けられている。
【0066】
円柱部64は、ノズル7が操作部6aに取り付けられる際に、ノズル7の脚部71内に埋設される部位である。ノズル7が取り付けられた状態(すなわち
図2の状態)において、円柱部64の側周面は、脚部71の内周面と、わずかに離間する。このように円柱部64と脚部71とが離間することにより形成された間隙と、第1管路61とは、噴射時にエアゾール容器から取り込まれた内容物が通過する噴射通路74の一部である。また、
図2に示されるように、円柱部64の先端面は、ノズル7の内底面と当接している。
【0067】
ノズル7は、有底筒状であり、底板72と、底板72の一方の表面の周囲に立設された筒状の脚部71とからなる。底板72は、所定の厚みを有する円盤状の部位であり、凹部73と、凹部73に接続された溝が形成されている。凹部73の内底面の中心部には、外部と連通するための噴射孔7pが形成されている。
【0068】
ノズル7が操作部6aに取り付けられることにより、上記凹部73の開口面は、円柱部64の先端面と当接し、閉止される。これにより、噴射ボタン6は、凹部73と円柱部64の先端面とによって画定された旋回室Rが形成される。旋回室Rの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、旋回室Rは、直径0.3~2.0mm、好ましくは0.4~1.5mmであり、高さ(深さ)0.05~0.2mm程度の円柱状の空間である。なお、旋回室Rの形状は、円柱状に限定されない。旋回室Rは、導入される内容物が旋回し得る内周形状であればよい。
【0069】
また、溝の開口面も同様に、ノズル7が操作部6aに取り付けられることにより、円柱部64の先端面と当接し、閉止される。これにより、噴射ボタン6は、旋回室Rに接続された収束通路が形成される。
【0070】
旋回室Rは、略円柱状の空間であり、周囲に溝が接続されている。溝は、円柱部64と脚部71との間で形成された間隙と旋回室Rとを接続する通路である。それぞれの溝は、旋回室Rに対して、略等間隔で放射状に設けられている。ここで、それぞれの溝は、旋回室Rの内周縁に沿って導入されるように形成されている。このような方向に溝が形成されていることにより、溝を通過して旋回室R内に導入される内容物は、直接、噴射孔7pに向かうのではなく、旋回室Rの内周縁に沿って、旋回室R内を旋回することとなる。内容物は、旋回室R内で旋回した後、旋回室Rの中心にある噴射孔7pから噴射される。
【0071】
噴射孔7pの寸法は特に限定されない。一例を挙げると、噴射孔7pの直径は、0.1~0.8mm程度であることが好ましく、0.2~0.6mm程度であることがより好ましい。このような寸法の噴射孔7pによれば、エアゾール容器内の圧力より押し出されバルブ3から取り込まれた内容物は、第一管路53、間隙、収束通路を通過する際に通路抵抗を受けて、噴射孔から噴射されるときの噴射力は、噴射孔からの距離5cmにおいて、10mN以上となるよう調整されればよく、15mN以上となるよう調整されることが好ましい。また、噴射力は、400mN以下となるよう調整されればよく、150mN以下となるよう調整されることが好ましく、100mN以下となるよう調整されることがより好ましい。このような噴射力に調整されることにより、噴射ボタンの通路を流れる内容物は、溶解している噴射剤の気化速度が抑制され、噴射孔から外部に噴射された際に気化しやすく、超微細気泡の粒子数が多くなりやすい。また、
図2の噴射ボタンは、内容物が噴射孔から外部に噴射されると噴射物自体も粒子が小さくなり、発生する超微細気泡は粒子径がより小さくなり、発生個数も多くなる。
【0072】
図3は、本実施形態のエアゾール製品に用いられる噴射ボタン8の一実施態様を示す概略説明図である。
図3に示されるように、噴射ボタン8は、分岐部材を設けず、第一管路81から噴射孔91に直線状に連通するノズル9が装着されている。この噴射ボタン8では、バルブ3(
図1参照)から取り込まれ第一管路81を通過した内容物が噴射孔91から高い噴射力で吐出され、超微細気泡を含んだ噴射物を対象物に勢いよく付与することができる。
【0073】
ノズル9は、外部に突出しており、略円筒状である。ノズル9内の通路は、根元部92から噴射孔91までの内径がほぼ同じであり、噴射孔91は内径と同じでもよく、内径よりも小さくてもよい。噴射孔91の内径は、たとえば0.2~3.0mmであることが好ましく、0.3~2.5mmであることがより好ましい。したがって、噴射ボタン8を使用して噴射される内容物は、ノズル9内の通路を直線状に流れ、噴射孔91から外部に噴射される。
【0074】
なお、ノズル9内の通路の寸法は、ノズル内を流れる内容物に通路抵抗を与えて溶解している噴射剤の気化を抑制し、外部に噴射されたときに超微細気泡を高濃度で発生させようとする場合には、たとえば内径が0.2~4.0mmであることが好ましく、0.3~3.0mmであることがより好ましい。また、ノズル9内の通路の長さは3~20mmであることが好ましく、5~15mmであることがより好ましい。
【0075】
このような寸法のノズルによれば、エアゾール容器内の圧力より押し出されバルブ3から取り込まれた内容物は、ノズル内の通路と噴射孔91を通過する際に通路抵抗を受けて、噴射孔から噴射されるときの噴射力は、噴射孔からの距離5cmにおいて10mN以上となるよう調整されればよく、30mN以上となるよう調整されることが好ましく、80mN以上となるよう調整されることがより好ましい。また、噴射力は、400mN以下となるよう調整されればよく、350mN以下となるよう調整されることが好ましい。このような噴射力に調整されることにより、噴射ボタンの通路を流れる内容物は、溶解している噴射剤が気化しながら噴射孔から外部に噴射され、超微細気泡を多く含有した状態で勢いよく対象物に付与することができる。
【0076】
本実施形態のエアゾール製品1は、噴射ボタン8に代えて、
図16に示される噴射ボタン8aが採用されてもよい。
図16は、後述する実施例10および実施例11の噴射物を製造するためのエアゾール製品に用いられる噴射ボタン8aの概略説明図である。
図16に示される噴射ボタン8aは、略円筒状のノズル81aを備える。ノズル81a内の通路の径は、噴射孔82aの孔径とほぼ同じである。噴射ボタン8aは、噴射ボタン8と同様に、分岐部材が設けられていない。噴射部材8aは、第一管路81(
図3参照)から噴射孔82aにかけて、直線状に連通している。その結果、バルブ3(
図1参照)から取り込まれ、第一管路81を通過した内容物は、噴射孔82aから高い噴射力で吐出され、超微細気泡を含んだ噴射物となり、対象物に勢いよく付与され得る。
【0077】
噴射孔82aの内径は、0.2~3.0mmであることが好ましく、0.3~2.5mmであることがより好ましい。ノズル81a内の通路の長さは、3~20mmであることが好ましく、5~15mmであることがより好ましい。
【0078】
このような寸法のノズル81aによれば、エアゾール容器内の圧力より押し出されバルブ3から取り込まれた内容物は、ノズル81a内の通路と噴射孔82aを通過する際に通路抵抗を受ける。これにより、噴射孔82aから噴射されるときの噴射力は、噴射孔からの距離5cmにおいて10mN以上となるよう調整され、30mN以上となるよう調整されることが好ましい。また、噴射力は、400mN以下となるよう調整され、300mN以下となるよう調整されることが好ましい。このような噴射力に調整されることにより、噴射ボタンの通路を流れる内容物は、溶解している噴射剤が気化しながら噴射孔から外部に噴射され、超微細気泡を多く含有した状態で勢いよく対象物に付与され得る。
【0079】
エアゾール製品1全体の説明に戻り、本実施形態のエアゾール製品1の噴射剤が溶解している原液Lは、バルブ3から取り出された後、噴射通路を通過する最中に、適宜減速されるとともに、溶解していた噴射剤が気化して生じた超微細気泡を伴った状態で噴射孔52から噴射され、噴射対象物に超微細気泡の効果を付与することができる。
【0080】
なお、噴射孔から噴射される噴射物の噴射量は、噴射剤として圧縮ガスを用いる場合、エアゾール容器内の圧力が25℃において0.8MPaであるとき、0.6g/秒以上であることが好ましく、0.7g/秒以上であることがより好ましい。また、噴射量は、6.0g/秒以下であることが好ましく、5.5g/秒以下であることがより好ましい。特に、噴射ボタンが収束通路を備えている場合、噴射量は、2.0g/秒以下であることが好ましい。このような噴射量に調整されることにより、エアゾール製品1は、噴射物が噴射孔を通過するときの流速が調整され、噴射孔からの距離5cmにおける噴射力を10~400mNに調整しやすく、超微細気泡が高濃度で発生しやすい。
【0081】
(超微細気泡)
超微細気泡は、本発明のエアゾール製品から内容物を噴射し、噴射物中に分散した微細な気泡である。
【0082】
超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、50nm以上であることが好ましく、70nm以上であることがより好ましい。また、超微細気泡の、体積積算分布の値が90%になる粒子径D90は、300nm以下であることが好ましく、250nm以下であることが好ましい。D90が上記範囲内であることにより、噴射物は、平均粒子径がナノオーダー(1~1000nm)である微細な気泡の中でも、特に、10~300nmである超微細気泡が多数を占める。その結果、得られる噴射物は、超微細気泡が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散され得る。また、超微細気泡は噴射対象物と接触する機会が多くなるため、超微細気泡に吸着した有効成分の効果が得られやすくなる、超微細気泡が噴射対象物に吸着して汚れ成分の付着を抑制する、超微細気泡に汚れ成分を吸着して浄化する、などの効果が得られやすい。
【0083】
なお、本実施形態において、積算分布の値が90%になる粒子径D90の測定方法は、たとえば、ナノトラッキング粒子径測定装置(ナノサイトNS300、Malvern Panalytical Ltd製)を用いて、25℃に調整した噴射物を回収した噴射物を測定し得る。
【0084】
上記ナノトラッキング粒子径測定装置によれば、D90のほか、積算分布の値が50%になる粒子径D50、積算分布の値が10%になる粒子径D10も測定し得る。また、ナノトラッキング粒子径測定装置によれば、1mLあたりの超微細気泡の個数も測定し得る。
【0085】
超微細気泡のD50は、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。また、超微細気泡のD50は、200nm以下であることが好ましく、170nm以下であることがより好ましい。また、超微細気泡のD10は、10nm以上であることが好ましく、20nm以上であることがより好ましい。また、超微細気泡のD10は、150nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。D50およびD10が上記範囲内であることにより、噴射物は、平均粒子径がナノオーダー(1~1000nm)である微細な気泡の中でも、特に、10~300nmである超微細気泡が多数を占める。その結果、得られる噴射物は、超微細気泡が、高濃度で、かつ、長期間安定に分散され得る。
【0086】
本実施形態の超微細気泡は、粒子径が300nmを超える気泡の割合が、全気泡の総数中、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
【0087】
超微細気泡の個数は、発生させた直後(たとえば、超微細気泡を発生させた15分後)では、1mLあたり、4.0×107個以上であることが好ましく、4.5×107個以上であることがより好ましく、8.0×107個以上であることがさらに好ましい。超微細気泡の個数が上記範囲内であることにより、噴射物は、高濃度に超微細気泡を含み得る。
【0088】
超微細気泡を構成する気泡は、加圧下で原液中に溶解していた噴射剤が減圧により気化した気泡であることが好ましい。これにより、噴射物は、超微細気泡の粒子径が小さく、超微細粒子の大きさが揃いやすく、高濃度で分散しやすく、超微細気泡による効果が長期間に渡って得られやすい。
【実施例0089】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。
【0090】
(実施例1)
図1に示す耐圧容器に原液として水を充填し、次いで耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから窒素ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を水に飽和溶解させた。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、耐圧容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。バルブはステム孔がφ0.4、ハウジングは下穴φ1.0、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブが取り付けられており、耐圧容器の底部から原液のみを外部に噴射することができる。バルブに
図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数4本)を設けている噴射ボタン(噴射孔:φ0.3)を取り付け、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品から内容物20mLをカップ状の別容器に噴射し、超微細気泡を発生、分散させて噴射物を作製した。25℃における噴射量は0.8g/秒であった。
【0091】
(実施例2)
実施例1のエアゾール製品に、
図2の噴射ボタン(噴射孔:φ0.33、収束通路の溝の数:3本)を取り付けて別容器に噴射し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は1.6g/秒であった。
った。
【0092】
(実施例3)
実施例1のエアゾール製品に、
図2の噴射ボタン(噴射孔:φ0.3、収束通路の溝の数:8本)を取り付けて別容器に噴射し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は0.7g/秒であった。
【0093】
(実施例4)
実施例1のエアゾール製品に、
図3の噴射ボタン(噴射孔:φ1.2、通路の長さ:10.5mm)を取り付けて別容器に噴射し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は5.4g/秒であった。
【0094】
(実施例5)
窒素ガスに代えて、炭酸ガスを使用した以外は、実施例1と同様の方法により、エアゾール製品を製造し、
図1の噴射ボタンを取り付けて別容器に噴射し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、耐圧容器の満注量、水の充填量、炭酸ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する炭酸ガスの溶解量は13,700ppmであり、噴射量は0.7g/秒であった。
【0095】
(実施例6)
実施例5のエアゾール製品に、
図3の噴射ボタン(噴射孔:φ1.2、通路の長さ:10.5mm)を取り付けて別容器に噴射し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は4.2g/秒であった。
【0096】
(比較例1)
実施例1で使用した水を用いた。
【0097】
(比較例2)
実施例1で使用した水をボトルに充填し、ボトルに直圧式ポンプを取り付けた。これを室温にて3日間保存して、ポンプ製品を製造した。
図1に示す噴射ボタン(噴射孔:φ0.3)を取り付けた。得られたポンプ製品の直圧式ポンプを操作して水20mLを別容器に噴射し、噴射物を作製した。
【0098】
(比較例3)
実施例1のエアゾール製品に、特許文献1に記載の流量調整機構付きボタン(噴射孔:φ0.3、株式会社三谷バルブ製)を取り付けて別容器に噴射し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は0.5g/秒であった。
【0099】
(実施例7)
図1に示す耐圧容器に原液としてエタノールを充填し、次いで耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから炭酸ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、炭酸ガスの一部をエタノールに飽和溶解させた。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、耐圧容器の満注量、エタノールの充填量、炭酸ガスの充填量、圧力から算出したエタノール1mLに対する炭酸ガスの溶解量は54,000ppmであった。バルブはステム孔がφ0.4、ハウジングは下穴φ1.0、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブが取り付けられており、耐圧容器の底部から原液のみを外部に噴射することができる。バルブに
図3の噴射ボタン(噴射孔:φ1.2)を用いて別容器に噴射し、噴射物を作製した。25℃における噴射量は4.5g/秒であった。
【0100】
(比較例4)
実施例8で使用したエタノールを用いた。
【0101】
(比較例5)
実施例8で使用したエタノールをボトルに充填し、ボトルに直圧式ポンプを取り付けた。これを室温にて3日間保存して、ポンプ製品を製造した。
図1に示す噴射ボタン(噴射孔:φ0.3)を取り付けた。得られたポンプ製品の直圧式ポンプを操作してエタノール20mLを別容器に噴射し、噴射物を製造した。
【0102】
(噴射力の測定)
実施例1~7および比較例2、3、5で得られたエアゾール製品、ポンプ製品を25℃の恒温水槽に30分間浸漬して製品を25℃に調整し、デジタルフォースゲージFGP-0.5(日本電産シンポ株式会社製)を用いて、噴射孔から距離5cmの位置における噴射力を測定した。結果を表1に示す。
【0103】
(粒子径および粒子数の測定)
実施例1~7および比較例1~5で得られたエアゾール製品、ポンプ製品もしくは原液を25℃に調整し、ナノトラッキング粒子径測定装置(ナノサイトNS300、Malvern Panalytical Ltd製)を用いて、D90、D50、D10、粒子の個数を測定した。なお、測定は、噴射物を溶媒で希釈せずに行った。結果を表1に示す。また、粒子径と濃度との関係を示すグラフを、
図4~
図15に示す。
【0104】
【0105】
表1および
図4~
図7に示されるように、原液として水を使用し、圧縮ガスとして窒素ガスを使用した実施例1~4のエアゾール製品は、噴射力が10~200mNの範囲にあり、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、D90が200nm以下と小さな値の範囲に集中しており、かつ、1mL中に8.0×10
7個以上もの超微細気泡が含まれていた。
【0106】
また、表1および
図8~
図9に示されるように、原液として水を使用し、圧縮ガスとして炭酸ガスを使用した実施例5~6のエアゾール製品は、噴射力が20~250mNの範囲にあり、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、D90が250nm以下と小さな値の範囲に集中しており、かつ、1mL中に1.0×10
8個以上もの超微細気泡が含まれていた。
【0107】
一方、表1および
図10~
図11に示されるように、水のみを用いた比較例1の液体(水)は、粒子数が1mL中に6.25×10
6個と少なく、また、水をポンプで噴射した比較例2の製品の噴射物は、噴射力が62mNであったが、粒子数が1mL中に2.02×10
7個であり少なかった。
【0108】
さらに、表1および
図12に示されるように、特許文献1記載の流量調整機構付き噴射ボタンを用いた比較例3のエアゾール製品は、噴射力が8mNであった。また、比較例3のエアゾール製品は、300nmを超える粒子径(たとえば800nm)のものも多くみられ、D90が680.6nmであった。この流量調整機構は、取付孔から噴射孔までの間にピストンとスプリングを備えており、ピストンの位置で噴射孔への連通孔の大きさが変化し、流量を調整することができる。そのため、ステムから取り込まれた内容物は、ピストンを介してスプリングの押し付け力に逆らいながら噴射されるため圧力損失が大きく、噴射力は大きく抑制されたとともに、連通孔を通過した内容物は気泡が発生しやすく、300nmを超えるような気泡が多くなったと考えられた。
【0109】
また、表1および
図13に示されるように、原液としてエタノールを使用し、圧縮ガスとして炭酸ガスを使用した実施例7のエアゾール製品は、噴射力が323mNであり、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、D90が200nm以下と小さな値の範囲に集中しており、かつ、1mL中に4.81×10
7個もの超微細気泡が含まれていた。
【0110】
一方、表1および
図14~
図15に示されるように、エタノールのみを用いた比較例4の液体(エタノール)は、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)ではあったが、粒子数が1mL中に5.03×10
4個であり極めて少なく、エタノールをポンプで噴射した比較例5の製品の噴射物は、噴射力が52mNであったが、粒子数が1mL中に2.87×10
7個であり少なかった。
【0111】
(実施例8)
図1に示す耐圧容器に原液として水を充填し、次いで耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから窒素ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を水に飽和溶解させた。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、耐圧容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。バルブはステム孔がφ0.4、ハウジングは下穴φ1.0、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブを取り付けており、耐圧容器の底部から原液のみを外部に噴射することができる。バルブに
図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数4本)を設けている噴射ボタン(噴射孔:φ0.36)を取り付け、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品から内容物20mLをカップ状の別容器に噴射し、超微細気泡を発生、分散させて噴射物を作製した。25℃における噴射量は1.0g/秒であった。
【0112】
(実施例9)
実施例8のエアゾール製品に
図2の噴射ボタン(噴射孔:φ0.60、収束通路の溝の数:4本)を取り付けて別容器に吐出し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は3.7g/秒であった。
【0113】
(実施例10)
実施例8のエアゾール製品に
図16の噴射ボタン8a(噴射孔:φ0.35、通路の長さ:6mm)を取り付けて別容器に吐出し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は2.7g/秒であった。
【0114】
(実施例11)
実施例8のエアゾール製品に
図16の噴射ボタン8a(噴射孔:φ1.2、通路の長さ:6mm)を取り付けて別容器に吐出し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は4.9g/秒であった。
【0115】
(実施例12)
実施例8のエアゾール製品に
図3の噴射ボタン8(噴射孔:φ0.3、通路の長さ:10.5mm)を取り付けて別容器に吐出し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、噴射量は2.1g/秒であった。
【0116】
(実施例13)
図1に示す耐圧容器に原液として水を充填し、次いで耐圧容器にバルブを取り付け、バルブから窒素ガスを充填した。これを室温にて3日間保存して、窒素ガスの一部を水に飽和溶解させた。なお、容器内の圧力は0.8MPa(25℃)であり、耐圧容器の満注量、水の充填量、窒素ガスの充填量、圧力から算出した水1mLに対する窒素ガスの溶解量は130ppmであった。バルブはステム孔がφ0.3、ハウジングは下穴φ0.3、横孔なし、ハウジングの底部にディップチューブを取り付けており、耐圧容器の底部から液体のみを外部に吐出することができる。バルブに
図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数4本)を設けている噴射ボタン(噴射孔:φ0.36)を取り付け、エアゾール製品を製造した。得られたエアゾール製品から内容物20mLをカップ状の別容器に噴射し、超微細気泡を発生、分散させて噴射物を作製した。25℃における噴射量は0.9g/秒であった。
【0117】
(実施例14)(実施例A2)と同じです。
図1に示す耐圧容器に原液として水を90g(90質量%)充填し、バルブを開口部に固着して密閉した。さらに、ステムから液化石油ガス10g(10質量%)を充填し、ステムに
図3に示す噴射ボタン(噴射孔φ1.2)を取り付けて、エアゾール製品を作製した。得られたエアゾール製品から内容物20mLを、噴射ボタンを用いてカップ状の別容器に吐出し、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.21MPa(25℃)であり、噴射量は2.3g/秒であった。
【0118】
(実施例15)(実施例A3)と同じです。
液化石油ガスに代えて、ハイドロフルオロオレフィン(HFO-1234ze:トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロパ-1-エン)を使用し、
図1に示す拡散通路(溝の数:4本)と収束通路(溝の数4本)を設けている噴射ボタン(噴射孔:φ0.3)を取り付けた以外は、実施例14と同様の方法によりエアゾール製品を製造した。
図1の噴射ボタンを用いて内容物を別容器に吐出して、噴射物を作製した。なお、容器内の圧力は0.42MPa(25℃)であり、噴射量は0.7g/秒であった。
【0119】
(噴射力の測定)
実施例8~15で得られたエアゾール製品を25℃の恒温水槽に30分間浸漬して製品を25℃に調整し、デジタルフォースゲージFGP-0.5(日本電産シンポ株式会社製)を用いて、噴射孔から距離5cmの位置における噴射力を測定した。結果を表2に示す。
【0120】
(粒子径および粒子数の測定)
実施例8~15で得られたエアゾール製品を25℃に調整し、ナノトラッキング粒子径測定装置(ナノサイトNS300、Malvern Panalytical Ltd製)を用いて、D90、D50、D10、粒子の個数を測定した。なお、測定は、噴射物を溶媒で希釈せずに行った。結果を表2に示す。また、実施例9、実施例10、実施例13、実施例14、実施例15について、それぞれのエアゾール製品の噴射15分後の噴射物の粒子径と濃度との関係を示すグラフを、
図17~
図21に示す。
【0121】
【0122】
表2および
図17~19に示されるように、原液として水を使用し、圧縮ガスとして窒素ガスを使用した実施例8~13のエアゾール製品は、噴射力が10~200mNの範囲にあり、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、D90が200nm以下と小さな値の範囲に集中しており、かつ、1mL中に4.0×10
7個以上もの超微細気泡が含まれていた。また、表2および
図20~21に示されるように、原液として水を使用し、液化ガスとして液化石油ガスを使用した実施例14、ハイドロフルオロオレフィンを使用した実施例15のエアゾール製品は、噴射力が10~200mNの範囲にあり、超微細気泡が、ナノオーダー(1~1000nm)の中でも、D90が200nm以下と小さな値の範囲に集中しており、かつ、1mL中に4.0×10
8個以上もの超微細気泡が含まれていた。