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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152729
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】多結晶ダイヤモンドラジアル軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/16 20060101AFI20241018BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
F16C33/16
F16C17/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024109769
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2021505815の分割
【原出願日】2019-07-26
(31)【優先権主張番号】16/049,608
(32)【優先日】2018-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524194034
【氏名又は名称】エックスアール リザーブ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】ミース デヴィッド ピー
(72)【発明者】
【氏名】プレヴォスト グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ マイケル ヴイ
(72)【発明者】
【氏名】スパッツ エドワード シー
(72)【発明者】
【氏名】リース マイケル アール
(72)【発明者】
【氏名】キング ウィリアム ダブリュ
(57)【要約】
【課題】多結晶ダイヤモンド要素を含むラジアル軸受組立体を提供する。
【解決手段】ラジアル軸受組立体は、各々が対向する係合面とスライド係合した係合面を有する多結晶ダイヤモンド要素を含む。対向する係合面は、ダイヤモンド反応性材料を含む。ラジアル軸受組立体は、ロータ及びステータ組立体内に含む、様々な構成要素及び用途において展開することができる。ラジアル軸受組立体の使用方法、並びにラジアル軸受組立体を設計する方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアル軸受組立体であって、
係合面を含む多結晶ダイヤモンド要素と、
ダイヤモンド反応性材料を含む対向する係合面と、
を備え、
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面が、前記対向する係合面とスライド係合する、ラジアル軸受組立体。
【請求項2】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、ドーム形、半球形、卵形、円筒形、放物形、のみ形、方形、及び矩形を含むグループから選択された形状を有する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項3】
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、平面を含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項4】
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、凸状面を含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項5】
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、凹状面を含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項6】
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、高度にラップ仕上げ、研磨、又は高度に研磨される、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項7】
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、20μin以下である表面仕上げを有する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項8】
前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、前記対向する係合面に正確に共形であるように成形されない、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項9】
前記係合面と前記対向する係合面との間の接触領域は、前記係合面の総表面領域の75%未満である、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項10】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記対向する係合面とエッジ又は点接触をしない、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項11】
前記対向する係合面は、炭素で飽和される、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項12】
前記ダイヤモンド反応性材料は、鉄又はその合金、コバルト又はその合金、ニッケル又はその合金、ルテニウム又はその合金、ロジウム又はその合金、パラジウム又はその合金、クロム又はその合金、マンガン又はその合金、銅又はその合金、チタン又はその合金、又はタンタル又はその合金を含む、或いは、前記ダイヤモンド反応性材料は、鉄ベース超合金、コバルトベース超合金、又はニッケルベース超合金を含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項13】
前記ダイヤモンド反応性材料は、表面硬化、コーティング、又はめっきの形態である、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項14】
ラジアル荷重に加えて、前記ラジアル軸受組立体は、軸方向荷重を担持する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項15】
前記ラジアル軸受組立体は、ロータと係合されたステータを含み、前記係合面及び前記対向する係合面は、前記ロータと前記ステータとの間のスライド接触を界接する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項16】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータとスライド接触して前記ステータ上に位置付け及び配置され、前記ロータは、前記対向する係合面を含む、請求項15に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項17】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ステータにおいて載荷ポート内に位置付けられる、請求項16に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項18】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの横方向移動を制限する、請求項16に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項19】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの軸方向移動を制限する、請求項18に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項20】
前記ロータは、前記対向する係合面を定める溝を含み、前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの前記溝内に位置付けられる、請求項16に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項21】
前記ロータは、前記対向する係合面を定める円錐面を含み、前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、前記円錐面と接触しており、前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの横方向及び上方への軸方向の移動を制限し、前記ロータの回転を可能にする、請求項16に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項22】
前記対向する係合面は、前記ロータ上の凸状面であり、前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、前記凸状面と接触しており、前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの横方向及び上方への軸方向の移動を制限し、前記ロータの回転を可能にする。
【請求項23】
前記ステータ上にリング状に配置された複数の多結晶ダイヤモンド要素を更に備える、請求項16に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項24】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ステータとスライド接触して前記ロータ上に位置付けられて配置され、前記ステータは、前記ダイヤモンド反応性材料の少なくとも一部を含み且つ前記対向する係合面を含む、請求項15に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項25】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータにおいてソケット内に位置付けられる、請求項24に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項26】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの横方向移動を制限し、前記ロータの回転を可能にする、請求項24に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項27】
前記ステータは、前記対向する係合面を定める円錐面を含み、前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、前記円錐面と接触しており、前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの横方向及び上方への軸方向の移動を制限し、前記ロータの回転を可能にする、請求項24に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項28】
前記対向する係合面は、前記ステータ上の凹状面であり、前記多結晶ダイヤモンド要素の前記係合面は、凸状であり、前記ステータの前記凹状面と接触し、前記凸状の多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータの横方向及び上方への軸方向の移動を制限し、前記ロータの回転を可能にする、請求項24に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項29】
前記対向する係合面上に固体潤滑剤を更に備える、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項30】
ラジアル軸受組立体を提供するステップであって、前記ラジアル軸受組立体は、多結晶ダイヤモンド要素を含み、前記多結晶ダイヤモンド要素の各々が係合面を含む、ステップと、
前記係合面が対向する係合面とスライド係合するように、ロータと前記多結晶ダイヤモンド要素を有するステータとの係合を界接するステップと、
を含み、
前記対向する係合面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料を含む、
方法。
【請求項31】
前記ラジアル軸受組立体を提供するステップは、前記係合面を高度にラップ仕上げ、研磨、又は高度に研磨するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記係合面は、20μin以下である表面仕上げを有するように研磨される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記ロータと前記ステータとの間の係合を界接するステップは、前記多結晶ダイヤモンド要素と前記対向する係合面との間のエッジ及び点接触を回避するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記界接するステップの前に、前記対向する係合面を炭素で飽和するステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記ダイヤモンド反応性材料は、鉄又はその合金、コバルト又はその合金、ニッケル又はその合金、ルテニウム又はその合金、ロジウム又はその合金、パラジウム又はその合金、クロム又はその合金、マンガン又はその合金、銅又はその合金、チタン又はその合金、又はタンタル又はその合金を含む、或いは、前記ダイヤモンド反応性材料は、鉄ベース超合金、コバルトベース超合金又はニッケルベース超合金を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
軸方向及び半径方向の荷重を前記ラジアル軸受組立体で担持するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ステータ上に設けられ、前記対向する係合面は前記ロータ上にある、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータ上に設けられ、前記対向する係合面は前記ステータ上にある、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
固体潤滑剤を前記対向する係合面上に提供するステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
ロータ及びステータのためのラジアル軸受組立体を設計する方法であって、前記ラジアル軸受組立体は、多結晶ダイヤモンド要素を含み、前記多結晶ダイヤモンド要素の各々は、対向する係合面とスライド係合した係合面を含み、前記対向する係合面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料を含み、
前記方法が、
前記ロータ及び前記ステータの最大スライド速度が予め設定された限界未満であるか否か判断するステップと、
前記最大スライド速度が前記予め設定された限界未満である場合、前記ロータ及び前記ステータ内の前記ラジアル軸受組立体の構成を選択するステップと、
前記ロータ及び前記ステータ内の前記ラジアル軸受組立体の前記選択された構成における前記多結晶ダイヤモンド要素の選択された数に基づいて及び予想される荷重に基づいて、多結晶ダイヤモンド要素当たりの最大接触圧を算出するステップであって、前記算出最大接触圧が任意選択的に安全係数で除算される、ステップと、
任意選択的に前記安全係数によって除算された前記算出最大接触圧が、予め設定された最大許容圧力未満であるかどうかを決定するステップと、
前記算出最大接触圧が前記予め設定された最大許容圧力未満であると決定された場合、少なくとも最小数の前記多結晶ダイヤモンド要素を前記ロータ及び前記ステータ内の前記ラジアル軸受組立体の前記選択された構成上で展開するステップと、
前記多結晶ダイヤモンド要素の数が、前記ロータ及び前記ステータ内の前記ラジアル軸受組立体の前記選択された構成に適合する場合、前記ロータ及び前記ステータのための前記ラジアル軸受組立体を作製するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ラジアル軸受、ラジアル軸受を含む装置及びシステム、並びにその使用方法に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年7月30日出願の米国特許出願第16/049,608号(係属中)の利益を主張するものであり、この全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本出願は、2017年2月10日に出願され且つ本出願と同じ譲受人である、名称が「Drilling Machine」の米国特許出願第15/430,254号の関連出願であり、当該特許出願は全てが記載されたように全体が本明細書に組み込まれる。本出願はまた、名称が「Roller Ball Assembly with Superhard Elements」である同時出願の米国特許出願、名称が「Cam Follower with Polycrystalline diamond Engagement Element」である同時出願の米国特許出願、及び名称が「Polycrystalline diamond Thrust Bearing and Element Thereof」である同時出願の米国特許出願の関連出願であり、これらの各々は本出願と同じ譲受人に譲受され、全てが記載されたように全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
適用せず。
【背景技術】
【0005】
ラジアル軸受は、工具、機械、及び荷重を担うための構成要素において使用されている。炭化タングステンによって担持されるか又は担持されない熱的に安定した多結晶ダイヤモンド(TSP)及び多結晶ダイヤモンド焼結体(PDC又はPCD)は、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、クロム、マンガン、銅、チタン、又はタンタルを含む、微量を超えるダイヤモンド触媒又は溶媒元素を含む鉄ベース金属及び他の金属、金属合金、複合材料、表面硬化、コーティング又はめっきを含む、ダイヤモンド反応性材料の機械加工での使用には禁忌であるものと見なされてきた。更に、多結晶ダイヤモンドの使用のこの従来の禁忌は、微量を超えるダイヤモンド触媒又は溶媒元素を含有する鉄ベース超合金、コバルトベース超合金、ニッケルベース超合金を含む、いわゆる「超合金」にまで広がっている。このような材料の機械加工において通常使用される表面速度は、典型的には、約0.2m/s~約5m/sの範囲である。これらの表面速度は、特に高くはないが、切削先端などで発生する荷重及びそれに伴う温度は、ダイヤモンドの黒鉛化温度(すなわち、約700℃)を超えることが多く、ダイヤモンド触媒又は溶媒元素が存在する場合には、構成要素の急激な摩耗及び故障につながる可能性がある。理論に縛られることなく、特定の故障メカニズムは、機械加工中である炭素誘引材料との炭素含有ダイヤモンドの化学的相互作用に起因すると考えられている。金属もしくは合金を含むダイヤモンド触媒又は溶媒機械加工のための多結晶ダイヤモンドの禁忌に関する例示的な参考文献は、米国特許第3,745,623号明細書であり、その全体が引用により本明細書に組み込まれる。ダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶剤含有材料を機械加工するための多結晶ダイヤモンドの禁忌は、このような材料との全ての接触用途での多結晶ダイヤモンドの使用の回避を長期にわたり引き起こしてきた。
【0006】
非鉄超硬材料と又はより一般的には緊密に適合された相補的な多結晶ダイヤモンド軸受面と嵌合する多結晶ダイヤモンドを含む面を有する多結晶ダイヤモンドラジアル軸受が開発されてきた。本明細書で使用する場合、「超硬材料」は、炭化タングステン(例えば、超硬炭化タングステンタイル又は炭化タングステンタイル)と少なくとも同程度の硬質の材料である。超硬材料又は適合する多結晶ダイヤモンドと接触する多結晶ダイヤモンドラジアル軸受に関する例示的な参考文献は、McPhersonに付与され、Smith International社に譲受された米国特許第4,764,036号であり、この全体が引用により本明細書に組み込まれる。当業者には理解されるように、硬度は、ASTM E10-14によるなど、ブリネルスケールを使用して決定することができる。
【0007】
いわゆる高性能多結晶ダイヤモンド軸受は、ダウンホール掘削及びポンピング環境又は風力タービンのエネルギーユニットなどの過酷な環境向けに特別に設計され、スライドし嵌合した重なり合う多結晶ダイヤモンド要素を利用する。これには、多数の多結晶ダイヤモンド要素が必要であり、各々が厳格な外側輪郭で成形される。例えば、ロータに取り付けられた多結晶ダイヤモンド要素は、ロータの外径に実質的に適合された凸状の外側輪郭で成形される。ステータ多結晶ダイヤモンド要素は、ステータの内径に実質的に適合された凹状の外側輪郭で成形される。多結晶ダイヤモンド要素のこの成形は、厳しい精度を必要とし、高価であり、例えば、放電加工(EDM)、レーザー又はダイヤモンド研削を用いた切削を必要とする。そのため、多結晶ダイヤモンド要素は、嵌合スライド係合を確保するために、正確な場所に、正確な位置合わせで、及び正確に規定された高さ又は暴露で取り付ける必要がある。このような構成要素の目標は、軸受領域としての多結晶ダイヤモンド要素の全面接触である。従って、このような多結晶ダイヤモンド要素を作製するのに使用されるプロセスは、費用及び時間がかかり、ばらつきの有意な機会が部品の廃棄を生じさせる。位置合わせ及び/又は暴露の不良は、多結晶ダイヤモンド要素が互いに回転して破損した要素を生成し、最終的には軸受故障を生じるので、いわゆる「エッジ衝突」を引き起こす可能性がある。
【0008】
多結晶ダイヤモンドを利用する安価なラジアル軸受が提案されており、ここで、曲線輪郭の多結晶ダイヤモンド要素のほぼ完全な円周方向のアレイが、ロータ上に取り付けられ、超硬材料は、ステータ上に取り付けられる。この手法では前述の手法よりも必要な多結晶ダイヤモンド要素が少ないが、それでも依然としてロータ搭載要素の曲線輪郭形成が必要である。加えて、このようないわゆる超硬材料は、本明細書で開示されるダイヤモンド反応性材料よりも脆性であり、衝撃損傷を生じやすい。
【0009】
本出願の技術の背景に関する情報を提供する追加の重要な参考文献は、「Polishing of polycrystalline diamond by the technique of dynamic friction, part 1: Prediction of the interface temperature rise」及び「Part 2, Material removal mechanism」(2005及び2006)という表題のMachine Tools&Manufacture46及び47のInternational Journalから提供される。これらの参考文献は、炭素誘因スチールディスクを使用した荷重下での乾式スライド接触を利用したPDC面の動的摩擦研磨について報告している。これらの参考文献の重要な知見は、研磨速度が荷重よりもスライド速度に敏感であること、並びにダイヤモンド表面の表面仕上げが改善されるにつれて、スチールディスクとダイヤモンド表面の間の熱化学反応の速度が大幅に低下することを示している。著者らは、Iwai, Manabu & Uematsu, T & Suzuki, K & Yasunaga, N. (2001)、「High efficiency polishing of PCD with rotating metal disc」、ISAAT2001の講演論文集、231-238を参照し、ここでは、スチールディスクとPDC面の間の熱化学反応は、27MPaの圧力で10.5m/s未満のスライド速度では発生しないと結論付けている。これらの参考文献は、全て記載されているかのように、引用により本明細書に組み込まれる。上記の数値は空気中での乾燥稼働に基づいていることを強調しておく必要がある。明らかに、液冷、潤滑環境での稼働の場合、熱化学反応を開始することなく、より高い速度及び荷重を達成することができる。また、研磨された多結晶ダイヤモンド面の熱化学応答が低いことも注目に値する。銅及びチタンは、通常はダイヤモンド合成に関する初期のGeneral Electricの文献には記載されていなかったが、後で追加された。関連参考文献には、「Diamond Synthesis from Graphite in the Presence of Water and SiO2」、Dobrzhinetskaya and Green、II International Geology Review Vol.49、2007、及び「Non-metallic catalysts for diamond synthesis under high pressure and high temperature」、Sun et al、Science in China 1999年8月が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第3,745,623号明細書
【特許文献2】米国特許第4,764,036号明細書
【特許文献3】米国特許第8,881,849号明細書
【特許文献4】米国特許第5,447,208号明細書
【特許文献5】米国特許第5,653,300号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Iwai, Manabu & Uematsu, T & Suzuki, K & Yasunaga, N. (2001)、「High efficiency polishing of PCD with rotating metal disc」、ISAAT2001の講演論文集、231-238
【非特許文献2】「Diamond Synthesis from Graphite in the Presence of Water and SiO2」、Dobrzhinetskaya and Green、II International Geology Review Vol.49、2007
【非特許文献3】「Non-metallic catalysts for diamond synthesis under high pressure and high temperature」、Sun et al、Science in China 1999年8月
【発明の概要】
【0012】
本開示の幾つかの態様は、多結晶ダイヤモンド要素を含むラジアル軸受組立体を含む。各多結晶ダイヤモンド要素は、対向する係合面とスライド係合した係合面を含む。対向する係合面は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む。
【0013】
本開示の他の態様は、ロータとステータの間を含む、構成要素間の係合を界接する方法を含む。本方法は、多結晶ダイヤモンド要素を含むラジアル軸受組立体を提供するステップを含み、各多結晶ダイヤモンド要素が係合面を有する。本方法は、係合面が、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料を含む対向する係合面とスライド係合するように、ロータと多結晶ダイヤモンド要素を有するステータとの係合を界接するステップを含む。
【0014】
本開示の更なる態様は、ロータ及びステータのためのラジアル軸受組立体を設計する方法を含む。ラジアル軸受組立体は、多結晶ダイヤモンド要素を含み、各多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む対向する係合面とスライド係合した係合面を含む。本方法は、ロータ及びステータの最大スライド速度が予め設定された限界(例えば10.5m/s)未満であるかどうかを決定するステップを含む。最大スライド速度が予め設定された限界未満である場合、本方法は、ステータ及びロータ内のラジアル軸受組立体の構成を選択するステップを含む。本方法は、ステータ及びロータ内のラジアル軸受組立体の選択された構成内の多結晶ダイヤモンド要素の選択された数に基づいて、及び予想される荷重に基づいて多結晶ダイヤモンド要素当たりの最大接触圧を算出するステップを含む。算出された最大接触圧は、任意選択的に安全係数で除算される。本方法は、任意選択的に安全係数で除算された算出最大接触圧が、予め設定された最大許容圧力未満であるかどうかを決定するステップを含む。算出最大接触圧が予め設定された最大許容圧力未満であると決定された場合、本方法は、少なくとも最小数の多結晶ダイヤモンド要素をステータ及びロータ内のラジアル軸受組立体の選択された構成で展開するステップを含む。この数の多結晶ダイヤモンド要素がステータ及びロータ内のラジアル軸受組立体の選択された構成に適合する場合、本方法は、ラジアル軸受組立体、ロータ及びステータの組立体を作製するステップを含む。
【0015】
本開示のシステム、装置、及び/又は方法の特徴及び利点をより詳細に理解することができるように、上記で概略的に要約されたより具体的な説明は、本明細書の一部を形成する添付図面において例示された実施形態を参照することにより行われた。しかしながら、図面は、様々な例示的な実施形態を例示しているに過ぎず、従って、他の効果的な実施形態も含むことができるので、開示された概念を限定するものと見なすべきではない点に留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本明細書で開示される技術の使用に対する一般化された評価基準を示すフローチャートである。
図2A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図2B】線A-Aに沿った図2Aのロータ及びステータラジアル軸受組立体の断面図である。
図3A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図3B】線B-Bに沿った図3Aの組立体の断面図である。
図4A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図4B】線C-Cに沿った図4Aの組立体の断面図である。
図5A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図5B】線D-Dに沿った図5Aの組立体の断面図である。
図6A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図6B】線E-Eに沿った図6Aの組立体の断面図である。
図7A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図7B】線F-Fに沿った図7Aの組立体の断面図である。
図8A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図8B】線G-Gに沿った図8Aの組立体の断面図である。
図9A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図9B】線H-Hに沿った図9Aの組立体の断面図である。
図10A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図10B】線I-Iに沿った図10Aの組立体の上部断面図である。
図11A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図11B】線J-J沿った図11Aの組立体の断面図である。
図12A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図12B】線K-Kに沿った図12Aの組立体の断面図である。
図13A】本出願の技術の1つの実施形態のロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図である。
図13B】線L-Lに沿った図13Aの組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示によるシステム、装置、及び方法について、様々な例示的な実施形態を示す添付図面を参照しながらより完全に説明する。しかしながら、本開示による概念は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載の例示の実施形態によって限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が完全且つ網羅し、様々な概念の範囲を当業者及び最良で好ましい実施方法に対して完全に伝えるように提供される。
【0018】
本開示の特定の態様は、ラジアル軸受及びラジアル軸受組立体、これらを含む装置及びシステム、並びにこれらの使用方法を含む。便宜上、以下の説明は、外側ステータ構成要素及び内側ロータ構成要素を示す。しかしながら、当業者であれば、本明細書で開示される例示的な実施形態の各々において、内側構成要素は静的に保持することができ、外側構成要素は回転させることができることが理解されるであろう。更に、当業者であれば、本開示の説明は、ロータ構成及びステータ構成に関するが、本明細書で開示される技術は、このような用途に限定されず、外側レース及び内側レースが両方とも回転するか、又は外側レース及び内側レースの一方又は他方が静止状態に保たれている、内側レース及び外側レースを有する個別の軸受を含む、様々な他の用途に適用できることが理解されるであろう。
【0019】
(ダイヤモンド反応性材料)
本明細書で使用する場合、「ダイヤモンド反応性材料」は、微量を超える量のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含む材料である。本明細書で使用する場合、「ダイヤモンド反応性材料」は、微量を超える量のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含む材料である。本明細書で使用する場合、「微量」を超える量のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含むダイヤモンド反応性材料は、少なくとも2重量パーセント(wt.%)のダイヤモンド反応性材料を含む。幾つかの態様において、本明細書で開示されるダイヤモンド反応性材料は、2~100wt.%、又は5~95wt.%、又は10~90wt.%、又は15~85wt.%、又は20~80wt.%、又は25~75wt.%、又は25~70wt.%、又は30~65wt.%、又は35~60wt.%、又は40~55wt.%、又は45~50wt.%のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含む。本明細書で使用する場合、「ダイヤモンド触媒」は、荷重下で且つダイヤモンドの黒鉛化温度(すなわち、約700°C)以上の温度などで、多結晶ダイヤモンドの黒鉛化を触媒することができる化学元素、化合物、又は材料である。本明細書で使用する「ダイヤモンド溶媒」とは、荷重下で且つダイヤモンドの黒鉛化温度以上の温度などで多結晶ダイヤモンドを可溶化できる化学元素、化合物、又は材料である。従って、ダイヤモンド反応性材料は、荷重下で且つダイヤモンドの黒鉛化温度以上の温度で、ダイヤモンドチップツールなどの少なくとも一部の多結晶ダイヤモンドから形成された又はこれを含む構成要素の摩耗、場合によっては急速な摩耗、及び故障につながる可能性のある材料を含む。
【0020】
ダイヤモンド反応性材料としては、微量を超える量のダイヤモンド触媒又は溶媒元素を含有する金属、金属合金及び複合材料が挙げられるが、これらに限定されるものではない。幾つかの態様において、ダイヤモンド反応性材料は、表面硬化、コーティング又はめっきの形態である。例えば、限定ではないが、ダイヤモンド反応性材料は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、クロム、マンガン、銅、チタン、タンタル又はその合金とすることができる。幾つかの態様において、ダイヤモンド反応性材料は、鉄ベース超合金、コバルトベース超合金、ニッケルベース超合金を含むがこれらに限定されない超合金である。特定の態様において、ダイヤモンド反応性材料は、いわゆる「超硬材料」ではなく、及び/又はダイヤモンド反応性材料を含まない(すなわち、特に除外する)。当業者には理解されるように、「超硬材料」は、材料の硬度によって定義される材料のカテゴリーであり、ブリネルスケール、ロックウェルスケール、ヌープスケール及び/又はビッカーススケールに従って決定することができる。例えば、超硬材料は、ビッカーススケール試験によって測定されたときに40ギガパスカル(GPa)を超える硬度値を有する材料を含む。本明細書で使用する場合、超硬材料は、ブリネルスケールなど、これらの硬度スケールの内の1つに従って決定されるなど、炭化タングステンタイル及び/又は超硬炭化タングステンと少なくとも同程度の硬い材料を含む。当業者であれば、例えば、ブリネルスケール試験がASTM E10-14に従って実施できること、ビッカース硬度試験は、例えば、ASTM E384に従って実施できること、ロックウェル硬度試験は、例えば、ASTM E18に従って実施できること、及びヌープ硬度試験は、例えば、ASTM E384に従って実施できることを理解するであろう。本明細書で開示される「超硬材料」としては、炭化タングステン(例えば、タイル又は超硬)、浸潤炭化タングステンマトリックス、炭化ケイ素、窒化ケイ素、立方晶系窒化ホウ素、及び多結晶ダイヤモンドが挙げられるがこれらに限定されない。従って、幾つかの態様において、「ダイヤモンド反応性材料」は、ブリネルスケールなど、これらの硬度試験の内の1つに従って決定された場合、炭化タングステン(例えば、タイル又は超硬)よりも硬くないなど、超硬材料よりも軟質である(硬質が劣る)材料(例えば、金属、金属合金、複合材料)で部分的に又は全体的に構成されている。
【0021】
(多結晶ダイヤモンドとダイヤモンド反応性材料の界接)
幾つかの態様において、本開示は、多結晶ダイヤモンド要素がダイヤモンド反応性材料と接触した状態で、ロータとステータとの間の係合を界接することを提供する。例えば、多結晶ダイヤモンド要素は、ロータとスライド接触するようにステータ上に位置付けて配置することができ、ここでロータは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む。或いは、多結晶ダイヤモンド要素は、ステータとスライド接触するようにロータ上に位置付けて配置することができ、ここでステータは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む。多結晶ダイヤモンド要素は、ダイヤモンド反応性材料の対向する係合面と係合するための係合面を有することができる。本明細書で使用する場合、「係合面」とは、軸受組立体の動作中に、係合面が2つの構成要素間(例えば、ステータとロータの間)の接触を界接するように、軸受組立体内に位置付けられて配置される材料(例えば、多結晶ダイヤモンド又はダイヤモンド反応性材料)の表面を指す。「係合面」はまた、本明細書では「軸受面」と呼ぶことができる。
【0022】
幾つかの態様では、対向する係合面は、少なくとも2wt.%のダイヤモンド反応性材料、又は2~100wt.%、又は5~95wt.%、又は10~90wt.%、又は15~85wt。%、又は20~80wt.%、又は25~75wt.%、又は25~70wt.%、又は30~65wt.%、又は35~60wt.%、又は40から55wt.%、又は45から50wt.%のダイヤモンド反応性材料を含むか、又はこれから構成される。特定の用途では、多結晶ダイヤモンド要素又は少なくともその係合面は、ラップ仕上げ又は研磨され、任意選択的に、高度にラップ仕上げ又は研磨される。少なくとも幾つかの用途では高度に研磨された多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、本開示の範囲は、高度に研磨された多結晶ダイヤモンド要素に限定されず、高度にラップ仕上げ又は研磨された多結晶ダイヤモンド要素を含む。本明細書で使用する場合、表面は、約18~約22μinに及ぶ表面仕上げなどのように、20μin又は約20μinの表面仕上げを有する場合に「高度にラップ仕上げされた」と定義される。本明細書で使用する場合、表面は、約10μin未満又は約2~約10μinの表面仕上げを有する場合に「研磨された」と定義される。本明細書で使用する場合、表面は、約2μin未満、又は約0.5μinから約2μin未満の表面仕上げを有する場合に、「高度に研磨された」と定義される。幾つかの態様において、係合面は、0.5μin~40μin、2μin~30μin、5μin~20μin、8μin~15μin、又は20μin未満、又は10μin未満、2μin未満、又はこれらの間の任意の範囲の表面仕上げを有する。0.5μinの表面仕上げに研磨された多結晶ダイヤモンドは、表面仕上げが20~40μinで標準的なラップ仕上げの多結晶ダイヤモンドの約半分の摩擦係数を有する。Lundらに対する米国特許第5,447,208号及び第5,653,300号(その全体が引用により本明細書に組み込まれる)は、多結晶ダイヤモンドの研磨に関する開示を提供する。当業者には理解されるように、表面仕上げは、プロフィロメータ(表面形状測定装置)又は原子間力顕微鏡法で測定することができる。
【0023】
以下の表1は、乾燥した静的状態と潤滑された静止状態の両方における研磨された多結晶ダイヤモンドを含む様々な材料の摩擦係数の要約を示しており、ここで、「第1の材料」は、「第2の材料」に対して移動されて、第1の材料のCoFを決定する。
表1*


*参考文献としては、Machinery’s Handbook;Sexton TN, Cooley CH、ダウンホールオイル及びガス掘削工具、Wear2009;267:1041-5が挙げられる。
【0024】
(評価基準)
図1は、乾燥した無潤滑環境における本出願の技術の使用に対する評価基準の象徴的な一般化されたセットのフローチャート100を示す。ボックス101によって示されるように、最初に、ある用途における最大スライド速度が10.5m/s未満であるかどうか評価する。本明細書で使用する場合、「スライド速度」は、「スライド界接速度」とも呼ばれ、接触した2つの構成要素が互いに対して移動する速度(例えば、ロータが、ステータと接触し、ステータに対して移動する速度)である。
【0025】
最大スライド速度が10.5m/s未満ではないと決定された場合、ボックス102によって示されるように、評価された用途は、スライド速度が高すぎるので、ダイヤモンド反応性材料とスライド係合する多結晶ダイヤモンド要素の使用のための候補ではないと決定する。当業者であれば、潤滑環境又は湿潤環境において、スライド界接速度は、(本明細書で評価されるような)乾燥した無潤滑環境においてよりも有意に高い可能性があることを理解するであろう。
【0026】
最大スライド速度が10.5m/s未満であると決定された場合、ボックス103によって示されるように、多結晶ダイヤモンド要素の構成(例えば、形状、サイズ及び配置)が、当該特定の用途に応じて選択される。ボックス103は、様々な軸受構成におけるダイヤモンド反応性材料とのスライド係合のための様々な非限定的な多結晶ダイヤモンド要素構成を記載している。例えば、平面多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円筒形ロータと係合されるステータ上で使用するように選択することができ、凸状の多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円筒形ロータと係合されるステータ上で使用するよう選択することができ、凹状又は少なくとも僅かに凹状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円筒形ロータと係合されるステータ上で使用するよう選択することができ、凸状又は少なくとも僅かに凸状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円筒形ステータと係合されるロータ上で使用するよう選択することができ、のみ状多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む溝付きロータと係合されるステータ上で使用するよう選択することができ、ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む溝付きロータと係合されるステータ上で使用するよう選択することができ、平面多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円錐形のロータと係合される円錐形のステータ上で使用するよう選択することができ、凸状又は少なくとも僅かに凸状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円錐形のロータと係合される円錐形のステータ上で使用するよう選択することができ、凸状又は少なくとも僅かに凸状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円錐形のステータと係合される円錐形のロータ上で使用するよう選択することができ、凹状の又は少なくとも僅かに凹状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む円錐形のロータと係合される円錐形のステータ上で使用するよう選択することができ、凸状又は少なくとも僅かに凸状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む球状のステータと係合される球状のロータ上で使用するよう選択することができ、又は平面の凸状又は少なくとも僅かに凸状の表面を有する多結晶ダイヤモンド要素は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む球状のロータと係合される球状のステータ上での使用に選択することができる。当業者であれば、本開示は、これらの特定の選択された形状及び輪郭に限定されず、ロータ、ステータ、多結晶ダイヤモンド要素及び他の用途に特有の構成要素の表面の曲線輪郭形成を含め、形状は、特定の用途に応じて異なる場合ことができる点を理解するであろう。
【0027】
構成を選択した後、ボックス103に記載されるように、多結晶ダイヤモンド要素当たりの最大接触圧を算出する。ボックス104で記載されるように、多結晶ダイヤモンド要素当たりの最大接触圧は、多結晶ダイヤモンド要素の数と、ラジアル荷重、軸方向荷重、曲げ荷重又は他の荷重を含む予想荷重とに基づいて算出される。最大接触圧は、当業者に知られている方法によって決定することができる。
【0028】
多結晶ダイヤモンド要素当たりの最大接触圧の計算後、ボックス105で記載されるように、多結晶ダイヤモンド要素当たりの算出した最大圧力が安全係数で除算される。ボックス104において決定した最大圧力に加えて、安全係数の適用は、例えば、設計担当者の判断で設定及び適用することができる。従って、安全係数は、適用された場合、多結晶ダイヤモンド要素当たりの最大接触圧に対する多結晶ダイヤモンド要素当たりの減圧を提供する。
【0029】
ボックス106において、算出した最大圧力が装置の予想サイクルについて最高許容圧力未満であるかどうかを決定する。当業者によって理解されるように、ダイヤモンド反応性材料に作用する疲労は制限要因である。荷重は、ダイヤモンド/ダイヤモンド反応性材料(例えば、金属)の界接面にある。組立体内のPDC要素が多いほど、金属に掛かる現在の荷重が小さくなる。S-N曲線(サイクルに対する接触応力)を使用して、ボックス106においてこの決定を行うことを容易にすることができる。
【0030】
ボックス106に従って、算出した圧力が最高許容圧力未満ではないと決定された場合、ボックス107に示すように、更なる多結晶ダイヤモンド要素をボックス103において選択した設計構成に展開する。これらの更なる多結晶ダイヤモンド要素が展開された後、このように修正した設計構成は、ボックス104及びボックス105に従って評価し、その後、再度、ボックス106の基準に従って評価する。
【0031】
ボックス106に従って、算出した圧力が最高許容圧力未満であると決定された場合、ボックス108に示すように、前のボックス101~ボックス106によって必要に応じて示された少なくとも最小数の多結晶ダイヤモンド要素をボックス103の選択した設計構成の構成要素上に展開する(例えば、最小数の多結晶ダイヤモンド要素をステータ又はロータ上に取り付ける)ことによって、提案された設計構成を作成する。
【0032】
ボックス109において、最小数の多結晶ダイヤモンド要素が、ボックス108に従って、ボックス103の選んだ構成に適合することになるかどうかを決定する。最小数の多結晶ダイヤモンド要素が、ボックス103の選択した構成に適合することになると決定された場合、ボックス110に示すように、ロータ及びステータ内の軸受組立体を製造する。最小数の多結晶ダイヤモンド要素が、ボックス103の選択した構成に適合しないと決定された場合、ボックス103の選択した構成は、ボックス102に従って、ダイヤモンド反応性材料とスライド係合する多結晶ダイヤモンド要素の使用の候補ではないと決定される。
【0033】
軸受構成の設計担当者はまた、所要の最小数の多結晶ダイヤモンド要素が当初選択した設計構成に適合しない場合には、ボックス103から代替の軸受構成を選ぶオプション(図示せず)を有する。代替的に、安全係数を下げて、必要とされる多結晶ダイヤモンド要素の最小数を低減することができる。当業者であれば、図1に記載される基準は、例示的なものに過ぎず、特定の用途に応じて他の基準を評価することができること、及び少なくとも幾つかの用途において、本開示の範囲から逸脱することなく図1に記載された基準の一部を除外できることは理解されるであろう。
【0034】
次に、様々な例示的なロータ及びステータラジアル軸受組立体について、図2A図13Bを参照して説明する。図2A図13Bにおいて、同様の参照番号は同様の要素を指す。例えば、例示的な組立体は、図2A及び図2Bの参照番号「200」で識別され、図3A及び図3Bの参照番号「300」で識別される。
【0035】
(平面多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図2Aは、ロータ及びステータラジアル軸受組立体の部分側面図であり、図2Bは、線A-Aに沿った図2Aのロータ及びステータラジアル軸受組立体の断面図である。図2A及び2Bの両方を参照しながら、ロータ及びステータラジアル軸受組立体200を説明する。
【0036】
ロータ及びステータラジアル軸受組立体200は、ロータ203と係合されたステータ202を含む。4つの平面多結晶ダイヤモンド要素201は、ステータ202に嵌入されて、ステータ202とロータ203との間のスライド係合を提供し、ロータ203は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む。多結晶ダイヤモンド要素201は、載荷ポート204内でステータ202に展開され(例えば、機械的に嵌合され)、載荷ポート204は、ステータ本体211内に形成及び/又は位置付けられたポートである。例えば、限定ではないが、各多結晶ダイヤモンド要素201は、当業者に知られている方法によりステータ202(又は他の用途ではロータ)上に圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。当業者であれば、本開示は、これらの特定の取り付け方法又はステータ本体内のポートの使用に限定されず、多結晶ダイヤモンド要素は、様々な方法の何れかによってステータ又はロータに取り付けることができることを理解するであろう。更に、等間隔の平面多結晶ダイヤモンド要素を含むように示されているが、当業者であれば、多結晶ダイヤモンド要素の数、間隔、装備、形状及びサイズは、限定ではないが図1に記載される基準を含む任意の数の様々な設計基準に応じて異なる場合があることを理解するであろう。幾つかの態様において、多結晶ダイヤモンド要素は、炭化タングステンによって担持されるか又は担持されない熱的に安定した多結晶ダイヤモンド又は多結晶ダイヤモンド焼結体から構成される。
【0037】
各多結晶ダイヤモンド要素201は、係合面213(本明細書では平面として図示される)を含み、ロータ203は、対向する係合面215を含む。多結晶ダイヤモンド要素201は、作動中にロータ203の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ203の横方向移動を制限するために、ロータ203と確実に接触した状態でステータ202上に位置付けられる。多結晶ダイヤモンド要素201は、係合面213が対向する係合面215と接触(例えば、スライド接触)するように位置付け及び配置されている。従って、係合面213及び対向する係合面215は、ロータ203とステータ202の間のスライド接触を界接する。
【0038】
図2A及び図2Bは、ダウンホールポンプ又はダウンホールモータにおいて使用されるようなロータ及びステータを示す。しかしながら、当業者であれば、他の用途用のラジアル軸受、並びに別個のラジアル軸受は、本開示に従って同じ又は同様の方法で設計及び製造することができることは理解するであろう。このような別個の軸受の非限定的な近位及び遠位の寸法は、図2Aに示す破線205で示されている。図2Bに示すように、任意選択的に、貫通孔207がロータ203内に設けられ、これは、例えば、別個の軸受において使用することができる。図2Bにおいて明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素201は、ステータ202内に展開されて、ロータ203とのスライド係合を半径方向で担持して提供する。
【0039】
図2A及び図Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素201を含む組立体を示すが、当業者であれば、ステータ又はロータ上のこのような多結晶ダイヤモンド要素が利用可能な空間などの特定の用途及び構成に応じて、3つの多結晶ダイヤモンド要素など4つ未満の多結晶ダイヤモンド要素又は4つを超える多結晶ダイヤモンド要素を使用できることを理解するであろう。更に、図2A及び図2Bは、多結晶ダイヤモンド要素201の単一の円周方向セットを示すが、多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の更なる円周方向のセットをステータ(又はロータ)内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向担持及び横方向荷重を増大させることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0040】
(凸状の多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図3A及び図3Bは、ロータ及びステータラジアル軸受組立体300を示し、これは、多結晶ダイヤモンド要素301が図2A及び図2Bの平坦な平面係合面ではなく凸状の係合面313を有する点を除いて、図2A及び2Bと実質的に類似している。
【0041】
図3A及び図3Bを参照すると、ロータ及びステータラジアル軸受組立体300は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含むロータ303とのスライド係合を提供するために、ステータ302のステータ本体311に嵌入された凸状の多結晶ダイヤモンド要素301を含む。多結晶ダイヤモンド要素301は、載荷ポート304を介してステータ302内に展開され、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。多結晶ダイヤモンド要素301は、作動中にロータ303の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ303の横方向移動を制限するように、ロータ303との確実な接触位置に配置される。図3Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素301は、ステータ302内に展開されて、ロータ303とのスライド係合を半径方向に担持し提供する。図3Bはまた、別個の軸受において使用できるような任意選択的な貫通ボア307を示す。
【0042】
図3A及び図3Bは、ダウンホールポンプ又はモータにおいて使用されるようなロータ及びステータを示すが、別個のラジアル軸受組立体を含む他の組立体を同じ又は実質的に同じ方法で設計及び製造することができる。このような別個の軸受の非限定的な近位及び遠位の寸法は、破線305で示されている。更に、図3A及び図3Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素301を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ302内に展開することができることは、当業者には理解されるであろう。更に、図3A及び図3Bは、多結晶ダイヤモンド要素301の単一の円周方向のセットを示すが、セットの多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の更なる円周方向をステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向担持及び横方向荷重を増大させることができる点は、当業者には理解されるであろう。
【0043】
組立体200と同様に、作動時、係合面313は、対向する係合面315と界接し、ロータ303とステータ302と間の荷重を担持する。
【0044】
(凹状の多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図4A及び図4Bは、ロータ及びステータラジアル軸受組立体400を示し、これは、多結晶ダイヤモンド要素401が、図2A及び図2Bの平坦な平面係合面又は図3A及び図3Bの凸状の係合面ではなく、凹状又は少なくとも僅かに凹状の表面413を有する点を除いて、図2A図3Bと実質的に類似している。
【0045】
僅かに凹状の多結晶ダイヤモンド要素401は、ロータ403とのスライド係合を提供するためにステータ402のステータ本体411に嵌入されている。多結晶ダイヤモンド要素401は、載荷ポート404を介してステータ402内に展開される。多結晶ダイヤモンド要素401は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。多結晶ダイヤモンド要素401は、作動中にロータ403の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ403の横方向移動を制限するために、ロータ403と確実な接触位置に配置されている。
【0046】
組立体300の場合と同様に、作動時には、係合面413は、ロータ403とステータ402の間の荷重を担持するために対向する係合面415と界接する。各多結晶ダイヤモンド要素401の少なくとも僅かな凹部は、ロータ403の円周方向の回転に一致して、凹部の軸線に配向され、これにより、多結晶ダイヤモンド要素401とロータ403との間にエッジ接触なしが確保され、多結晶ダイヤモンド要素401とロータ403との間で、一般に凹部の最深部分との線形領域接触を提供する。すなわち、多結晶ダイヤモンド要素401とロータ403との間の係合は、係合面413及び対向する係合面415によってのみ界接され、多結晶ダイヤモンド要素401のエッジ又は点417は、ロータ403と接触しないようになっている。このため、多結晶ダイヤモンド要素401とロータ403との間で線形領域接触のみが起こり、エッジ又は点接触は起こらない。図4Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素401は、ステータ402内に展開されて、ロータ403とのスライド係合を半径方向に担持し提供する。図4Bは、別個の軸受において使用できるような、任意選択的な貫通ボア407を示す。
【0047】
図4A及び図4Bは、ダウンホールポンプ又はダウンホールモータにおいて使用されるようなロータ及びステータを示すが、別個のラジアル軸受組立体を含めて組立体は、同じか又は実質的に同じ方法で設計及び製造することができる。このような別個の軸受の非限定的な近位及び遠位の寸法は、破線405で示されている。更に、図4A及び図4Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素401を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ402内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図4A及び図4Bは、多結晶ダイヤモンド要素401の単一の円周方向のセットを示すが、多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の更なる円周方向のセットをステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向担持及び横方向荷重を増大させることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0048】
(凸状の多結晶ダイヤモンド要素を有するロータ)
図5A及び図5Bは、ロータ及びステータラジアル軸受組立体500を示し、これは、凸状のドーム形の係合面513を有する多結晶ダイヤモンド要素501がステータ上ではなくロータ503上に設置されている点を除いて、図3A及び図3Bと実質的に類似している。
【0049】
凸状の多結晶ダイヤモンド要素501は、ステータ502とのスライド係合を提供するためにロータ503のロータ本体523に嵌入され、ステータ502は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む。多結晶ダイヤモンド要素501は、ロータ本体523内へ形成され及び/又は位置付けられたソケット504においてロータ503内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素501は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。多結晶ダイヤモンド要素501は、作動中にロータ503の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ503の横方向移動を制限するように、ステータ502との確実な接触位置に配置される。図5Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素501は、ロータ503内に展開されて、ステータ502とのスライド係合を半径方向に担持し提供する。図5Bはまた、別個の軸受において使用できるような任意選択的な貫通ボア507を示す。
【0050】
図5A及び図5Bは、ダウンホールポンプ又はダウンホールモータにおいて使用されるようなロータ及びステータを示すが、別個のラジアル軸受組立体を含む他の組立体を同じ又は同様の方法で設計及び製造することができる。このような別個の軸受の非限定的な近位及び遠位の寸法は、破線505で示されている。更に、図5A及び図5Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素501を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をロータ503内に展開できることは、当業者であれば理解されるであろう。更に、図5A及び図5Bは、多結晶ダイヤモンド要素501の単一の円周方向のセットを示すが、多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の更なる円周方向のセットをロータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向担持及び横方向荷重を増大させることができる点は、当業者には理解されるであろう。
【0051】
従って、図2A図4Bに示す実施形態とは違って、図5A及び図5Bに示す実施形態において、係合面513がロータ503上にあり、対向する係合面515がステータ502上にある。
【0052】
(のみ形多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図6A及び図6Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含むロータ603とのスライド係合を提供するために、ステータ602のステータ本体611に嵌入されたのみ状多結晶ダイヤモンド要素601を有する、ロータ及びステータラジアル軸受組立体600を示している。多結晶ダイヤモンド要素601は、載荷ポート604を介してステータ602内に展開され、載荷ポート604は、ステータ本体611内に形成及び/又は位置付けられている。多結晶ダイヤモンド要素601は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0053】
多結晶ダイヤモンド要素601は、作動中にロータ603の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ603の横方向及び軸方向の移動を制限するように、ロータ603のラジアル/スラスト面溝606内の確実な接触位置に配置される。のみ状多結晶ダイヤモンド要素601は、ロータ603のラジアル/スラスト嵌め合い面溝606にスライド係合するように位置付け、配置、成形、寸法決め、及び配向される。のみ状多結晶ダイヤモンド要素601は、(のみ状多結晶ダイヤモンド要素601によって定められる)係合面を含み、係合面は、対向する係合面、ここではラジアル/スラスト面溝606の表面と接触して界接する。のみ形状多結晶ダイヤモンド要素601がステータ602内に展開されて、ロータ603とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供することは、図6Bから明白である。図6Bはまた、別個の軸受において使用できるような任意選択的な貫通ボア607を示す。図6A及び図6Bに示す実施形態は更に、ロータキャッチの役割を果たすことができる。
【0054】
図6A及び図6Bは、ダウンホールポンプ又はダウンホールモータにおいて使用されるようなロータ及びステータを示すが、別個のラジアル軸受組立体を含む他の組立体は、同じ又は同様の方法で設計及び製造することができる。このような別個の軸受の非限定的な近位及び遠位の寸法は、破線605で示されている。更に、図6A及び図6Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素601を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素601をステータ602内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図6A及び図6Bは、多結晶ダイヤモンド要素601の単一の円周方向のセットを示しているが、1又は2以上の更なる円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素をステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持並びに横方向及び軸方向荷重を増大させることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0055】
(ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図7A及び図7Bは、ロータ及びステータラジアル軸受組立体700を示し、これは、多結晶ダイヤモンド要素701がのみ状多結晶ダイヤモンド要素ではなくドーム形の又は半球形の係合面713を有する点を除いて、図6A及び図6Bと実質的に類似している。
【0056】
ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素701は、ステータ702のステータハウジング711に嵌入されて、ロータ703とのスライド係合を提供する。多結晶ダイヤモンド要素701は、ステータ本体711内に形成及び/又は位置付けられた載荷ポート704を介してステータ702内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素701は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。多結晶ダイヤモンド要素701は、作動中にロータ703の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ703の横方向及び軸方向の移動を制限するようにロータ703のラジアル/スラスト面溝706に対して確実な接触位置に配置される。ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素701は、ロータ703のラジアル/スラスト嵌め合い面溝706にスライド係合する。ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素701は係合面を定め、係合面は、対向する係合面、ここではラジアル/スラスト面溝706の表面と接触して界接する。図7Bから明らかなように、ドーム形又は半球形の多結晶ダイヤモンド要素701は、ステータ702内に展開されて、ロータ703とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。図7Bはまた、別個の軸受において使用できるような任意選択的な貫通ボア707を示す。図7A及び図7Bに示す実施形態は更に、ロータキャッチの役割を果たすことができる。
【0057】
図7A及び図7Bは、ダウンホールポンプ又はダウンホールモータにおいて使用されるようなロータ及びステータを示しているが、別個のラジアル軸受組立体を含む他の組立体を同じ又は同様の方法で設計及び製造することができる。このような別個の軸受の非限定的な近位及び遠位の寸法は、破線705で示されている。更に、図7A及び図7Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素701を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ702内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図7A及び図7Bは、単一の円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素を示しているが、1又は2以上の更なる円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素をステータ内に展開し、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持並びに横方向及び軸方向荷重を増大させることができる点は、当業者には理解されるであろう。
【0058】
(平面多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図8A及び図8Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含むロータ803とのスライド係合を提供するために、ステータ802のステータ本体811に嵌入された平面多結晶ダイヤモンド要素801を含む、ロータ及びステータラジアル軸受組立体800を示している。多結晶ダイヤモンド要素801は、ステータ本体811内に形成及び/又は位置付けられた載荷ポート804を介してステータ802内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素801は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0059】
多結晶ダイヤモンド要素801は、作動中にロータ803の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ803の横方向及び上方への軸方向の移動を制限するようにロータ803のラジアル/スラスト面806に対して確実な接触位置に配置される。
【0060】
平面多結晶ダイヤモンド要素801は、ロータ803のラジアル/スラスト嵌め合い円錐面にスライド係合し、係合面813が対向する係合面806と接触して界接するようになる。図8Bから明らかなように、多結晶ダイヤモンド要素801は、ステータ802内に展開されて、ロータ803とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。
【0061】
図8A及び図8Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素801を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ802内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図8A及び図8Bは、多結晶ダイヤモンド要素801の単一の円周方向のセットを示しているが、多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の更なる円周方向のセットをステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持並びに横方向及び軸方向荷重を増大させることができることは、理解されるであろう。
【0062】
(凸状の多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図9A及び図9Bは、ロータ及びステータラジアル軸受組立体900を示し、これは、多結晶ダイヤモンド要素901が平面係合面ではなく凸状の係合面913を有する点を除いて、図8A及び図8Bと実質的に類似している。
【0063】
凸状の多結晶ダイヤモンド要素901は、ステータ902のステータ本体911に嵌入され、ロータ903とのスライド係合を提供する。多結晶ダイヤモンド要素901は、ステータ本体911内に形成及び/又は位置付けられた載荷ポート904を介してステータ902内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素901は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0064】
凸状の多結晶ダイヤモンド要素901は、作動中にロータ903の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ903の横方向及び上方への軸方向の移動を制限するようにロータ903のラジアル/スラスト面906と確実な接触位置に配置される。多結晶ダイヤモンド要素901は、ロータ903のラジアル/スラスト嵌め合い円錐面にスライド係合し、係合面913が対向する係合面906に接触して係合面906と整合するようになる。
【0065】
図9Bから明らかなように、凸状の多結晶ダイヤモンド要素901は、ステータ902内に展開されて、ロータ903とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。
【0066】
図9A及び図9Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素901を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ902内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図9A及び図9Bは、多結晶ダイヤモンド要素901の単一の円周方向のセットを示しているが、1又は2以上の更なる円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素をステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持並びに横方向及び軸方向荷重を増大させることができる点は、当業者には理解されるであろう。
【0067】
図10A及び図10Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又は少なくとも一部のダイヤモンド反応性材料を含むステータ1002とのスライド係合を提供するために、ロータ1003のロータ本体1023に嵌入された凸状の多結晶ダイヤモンド要素1001を含むロータ及び半径方向のステータ及びスラスト軸受組立体1000を示している。多結晶ダイヤモンド要素1001は、ロータ本体1023内に形成及び/又は位置付けられたソケット1004においてロータ1003内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素1001は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0068】
凸状の多結晶ダイヤモンド要素1001は、作動中にロータ1003の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ1003の横方向及び上方への軸方向の移動を制限するようにステータ1002のラジアル/スラスト面1006内で確実な接触位置に配置される。凸状の多結晶ダイヤモンド要素1001は、ステータ1002のラジアル/スラスト嵌め合い円錐面にスライド係合し、係合面1013が対向する係合面1006と接触して界接するようになる。図10Bから明らかなように、凸状の多結晶ダイヤモンド要素1001は、ロータ1003内に展開されて、対象材料のステータ1002とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。
【0069】
図10A及び10Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素1001を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をロータ1003内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図10A及び10Bは、多結晶ダイヤモンド要素1001の単一の円周方向のセットを示しているが、多結晶ダイヤモンド要素の1又は2以上の更なる円周方向のセットをロータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持並びに横方向及び軸方向荷重を増大させることができる点は、当業者には理解されるであろう。
【0070】
(平面多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図11A及び図11Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含むロータ1103とのスライド係合を提供するために、ステータ1102のステータ本体1111に嵌入された凹状又は少なくとも僅かに凹状の多結晶ダイヤモンド要素1101を含むロータ及び半径方向のステータ及びスラスト軸受組立体1100を示す。多結晶ダイヤモンド要素1101は、それを通って形成及び/又は位置付けられた載荷ポート1104を介してステータ1102内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素1101は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0071】
多結晶ダイヤモンド要素1101は、作動中にロータ1103の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ1103の横方向及び上方への軸方向の移動を制限するようにロータ1103のラジアル/スラスト面1106内で確実な接触位置に配置される。多結晶ダイヤモンド要素1101は、エッジ又は点接触なしを確保し、従って全体的に凹部の最深部分との線形領域接触のみを確保するために、ロータ1103の円周方向の回転に一致して凹部の軸線に配向されている。僅かに凹状の多結晶ダイヤモンド要素1101は、ロータ1103のラジアル/スラスト円錐面にスライド係合し、係合面1113が対向する係合面1106に接触して界接するようになる。
【0072】
図11Bから明らかなように、僅かに凹状の多結晶ダイヤモンド要素1101は、ステータ1102内に展開されて、ロータ1103とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。
【0073】
図11A及び図11Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素1101を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ1102内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図11A及び図11Bは、多結晶ダイヤモンド要素1101の単一の円周方向のセットを示しているが、1又は2以上の更なる円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素をステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持並びに横方向及び軸方向荷重を増大させることができる点は、当業者には理解されるであろう。
【0074】
(凸状の多結晶ダイヤモンド要素を有するロータ)
図12A及び図12Bは、ステータ1202とのスライド係合を提供するためにロータ1203のロータ本体1223に嵌入されている凸状の多結晶ダイヤモンド要素1201を含む、ロータ及びステータのラジアル及びスラスト軸受組立体1200を示す。多結晶ダイヤモンド要素1201は、ロータ本体1223内に形成及び/又は位置付けられたソケット1204においてロータ1203内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素1201は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0075】
凸状の多結晶ダイヤモンド要素1201は、作動中にロータ1203の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ1203の横方向及び上方への軸方向の移動を制限するように、ステータ1202のラジアル/スラスト凹状湾曲面1206内で確実な接触位置に配置される。凸状の多結晶ダイヤモンド要素1201は、ステータ1202のラジアル/スラスト嵌め合い凹状湾曲面にスライド係合し、係合面1213がラジアル/スラスト凹状湾曲面1206と係合するようにする。図12A及び図12Bの実施形態において、ラジアル/スラスト凹状湾曲面1206は、対向する係合面であるか又はこれを形成する。組立体1200において、凸状の多結晶ダイヤモンド要素1201上の接触領域は、略円形である。しかしながら、当業者であれば、多結晶ダイヤモンド要素は、このような接触領域を有することに限定されないことを理解されるであろう。
【0076】
図12Bから明らかなように、凸状の多結晶ダイヤモンド要素1201は、ロータ1203内に展開されて、ステータ1202とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。
【0077】
図12A及び図12Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素1201を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をロータ1203内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図12A及び12Bは、多結晶ダイヤモンド要素1201の単一の円周方向のセットを示しているが、1又は2以上の更なる円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素をロータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持及び横方向及び軸方向荷重を増大させることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0078】
(平面多結晶ダイヤモンド要素を有するステータ)
図13A及び図13Bは、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含むロータ1303とのスライド係合を提供するために、ステータ1302のステータ本体1311に嵌入された平面(又はドーム形、図示せず)多結晶ダイヤモンド要素1301を含む、ロータ及びステータラジアル及びスラスト組立体1300の部分側面図を示す。多結晶ダイヤモンド要素1301は、ステータ本体1311内に形成及び/又は位置付けられた載荷ポート1304を介してステータ1302内に展開されている。多結晶ダイヤモンド要素1301は、当業者に知られている方法を用いて、圧入、接着、ろう付け、螺着、又は他の方法で取り付けることができる。
【0079】
多結晶ダイヤモンド要素1301は、作動中にロータ1303の自由なスライド回転を可能にしながら、ロータ1303の横方向及び上方への軸方向の移動を制限するようにロータ1303のラジアル/スラスト凸状湾曲面1306との確実な接触位置に配置される。ラジアル/スラスト凸状湾曲面1306は、対向する係合面であるか又はこれを形成する。多結晶ダイヤモンド要素1301は、ロータ1403のラジアル/スラスト凸状湾曲面1306にスライド係合し、係合面1313が対向する係合面(すなわち、ラジアル/スラスト凸状湾曲面1306)と係合されるようにする。組立体1300において、平面又はドーム形多結晶ダイヤモンド要素上の接触領域は、典型的には円形である。しかしながら、当業者であれば、多結晶ダイヤモンド要素は、異なる接触領域を有することができることを理解されるであろう。
【0080】
図13Bから明らかなように、平面多結晶ダイヤモンド要素1301は、ステータ1302内に展開されて、ロータ1303とのスライド係合を半径方向及び軸方向に担持し提供する。
【0081】
図13A及び図13Bは、4つの多結晶ダイヤモンド要素1301を示しているが、より少ない(例えば、3つ)又はより多い多結晶ダイヤモンド要素をステータ1302内に展開できることは、当業者には理解されるであろう。更に、図13A及び図13Bは、多結晶ダイヤモンド要素1301の単一の円周方向のセットを示しているが、1又は2以上の更なる円周方向のセットの多結晶ダイヤモンド要素をステータ内に展開して、軸受組立体の能力を考慮に入れた横方向及び軸方向担持及び横方向及び軸方向荷重を増大させることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0082】
図2A図13Bの図で明らかなように、本開示の幾つかの態様は、少なくとも何らかのダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む湾曲又は円筒面とスライド係合した多結晶ダイヤモンド要素を組み込む高性能ラジアル軸受を含む。一部のこのような態様は、高性能ラジアル軸受を含み、ここでダイヤモンド反応性材料を含むロータは、ステータ上に取り付けられた好ましくは3又は4以上の多結晶ダイヤモンド要素とスライド接触状態にされる。ステータの多結晶ダイヤモンド要素は、好ましくは平面対向であるが、僅かに凹状、凸状、又は3つの内の任意の組み合わせとすることもできる。ステータの多結晶ダイヤモンド要素の面輪郭は、ステータの円周部の曲面に適合する必要がなく、好ましくは適合しない。3又は4以上の多結晶ダイヤモンド要素が好ましいが、本出願の技術は、多結晶ダイヤモンド要素が、水平配向された容積型ポンプ内のステータの重力の低い側で又は方向掘削組立体のスクライブ側の反対側での摩耗及び摩擦を低減するのに使用される場合など、僅かに1又は2の多結晶ダイヤモンド要素で実施することができる。
【0083】
特定の用途において、本明細書で開示される軸受組立体は、スラスト荷重に対抗するように構成されている。本明細書で開示される軸受組立体の少なくとも一部の実施形態は、ラジアル及びスラスト荷重の両方の成分を同時に処理することができる。
【0084】
開示される軸受組立体の少なくとも一部の実施形態は、経済的に実行可能であり、相対的に大きな直径のものである。
【0085】
(エッジ半径処理)
幾つかの態様において、多結晶ダイヤモンド要素は、エッジ半径処理を受ける。多結晶ダイヤモンド要素のエッジ半径処理は、当技術分野で周知である。平面又は凹状の多結晶ダイヤモンド要素を利用する本出願の技術の一部の実施形態において、このような多結晶ダイヤモンド要素のエッジ半径処理を利用することが好ましい。エッジ半径処理を利用する1つの目的は、対向する係合面(例えば、湾曲面)との所与の多結晶ダイヤモンド要素の線形係合領域の外側限界での外側エッジの切断又はスクラインビングの可能性を低減又は排除することである。
【0086】
(多結晶ダイヤモンド要素)
特定の用途において、本明細書で開示される多結晶ダイヤモンド要素は、当技術分野で知られているように、外側の多結晶ダイヤモンド面と担持する炭化タングステンスラグとの間コバルト含有量遷移層が増加している。
【0087】
多結晶ダイヤモンド要素は、炭化タングステンによって担持することができ、又は担持されない、軸受構成要素に直接取り付けられた「スタンドアロン」の多結晶ダイヤモンド要素とすることができる。
【0088】
多結晶ダイヤモンド要素は、非浸出、浸出、浸出及び埋め戻し、熱的に安定、化学蒸着(CVD)によるコーティング、又は当技術分野で知られている様々な方法で処理することができる。
【0089】
(多結晶ダイヤモンド要素-形状、サイズ、及び配置)
多結晶ダイヤモンド要素は、軸受の用途並びに構成及び直径に応じて、3mm(約1/8インチ)ほどの小ささ又は75mm(約3インチ)ほどの大きさの直径を有することができる。通常、多結晶ダイヤモンド要素は、8mm(約5/16インチ)から25mm(約1インチ)の直径を有する。
【0090】
多結晶ダイヤモンド要素は円筒形が最も一般的に利用可能であるが、本出願の技術は、正方形、長方形、楕円形、図を参照して本明細書に記載された形状の何れか、又は当技術分野で知られている他の適切な形状の多結晶ダイヤモンド要素で実施することができることは理解される。幾つかの用途において、ラジアル軸受は、ステータ(又はロータ)とスライド接触したロータ(又はステータ)上に取り付けられた1又は2以上の凸状の曲線輪郭の多結晶ダイヤモンド要素を有する。
【0091】
幾つかの用途において、多結晶ダイヤモンド要素は、軸受構成要素に沿ってリング状に展開される。非限定的な実施例は、ステータの遠位部分上に展開された5つの平面面多結晶ダイヤモンド要素のリング及びステータの近位部分上に展開された5つの平面面多結晶ダイヤモンド要素の別のリングである。従って、高性能多結晶ダイヤモンド要素軸受組立体は、従来の既存の組立体において使用されるよりも少ない総数の多結晶ダイヤモンド要素を必要としながら、ステータ/ロータ界接面の長さに沿った安定的作動を確保するように展開することができる。
【0092】
多結晶ダイヤモンド要素は、対向する軸受構成要素上の多結晶ダイヤモンド要素係合面との重なり合う接触の必要性を懸念することなく、所望の担持を提供するために軸受組立体内で任意のパターン、レイアウト、間隔又は交互して配置することができる。
【0093】
(多結晶ダイヤモンド要素-係合面の接触領域)
本明細書で開示される多結晶ダイヤモンド要素は、一部の実施形態において、対向する係合面に正確に共形となるように成形されない。特定の実施形態において、多結晶ダイヤモンド要素の係合面のスライド界接面接触領域は、多結晶ダイヤモンド要素の総表面領域の80%未満、又は75%未満、又は70%未満、又は60%未満である。本明細書で使用する場合、係合面の「接触領域」は、対向する係合面と接触状態にある係合面の表面領域を指す。
【0094】
重要な性能基準は、多結晶ダイヤモンド要素が、対向する係合面又は構成要素とのエッジ又は点接触を排除するように構成及び位置付けられることである。ステータ上に載置された平面対向の多結晶ダイヤモンド要素については、このような多結晶ダイヤモンド要素は通常、ロータとの全面接触未満を生じる。すなわち、ロータが多結晶ダイヤモンド要素に接して回転すると、係合面接触領域は全面未満である。少なくとも僅かにドーム形又は凸状であるロータ又はステータの何れか上に取り付けられた多結晶ダイヤモンド要素については、このような多結晶ダイヤモンド要素は、小さな略円形の係合面接触領域を示す。ロータ又はステータの何れか上に取り付けられた凸状の多結晶ダイヤモンド要素がサドル形である場合、多結晶ダイヤモンド要素は、小さな線形領域の係合面接触領域を示す。ステータ上に展開される僅かに凹状の多結晶ダイヤモンド要素については、幾分狭い線形係合面接触領域が、各多結晶ダイヤモンド要素上で示される。
【0095】
(多結晶ダイヤモンド要素-取り付け)
前述のように、多結晶ダイヤモンド要素は、限定ではないが、ろう付け、接着、圧入、焼きばめ、又は螺着を含む、当技術分野で知られる方法を介して軸受要素(例えば、ステータ又はロータ)に直接取り付けることができる。更に、多結晶ダイヤモンド要素は、別個の1又は複数のリング状に取り付けることができる。その後、1又は複数のリング又は、接着、圧入、ねじロック又はろう付けを含むがこれらに限定されない、当技術分野において知られている方法を介して軸受要素(ロータ又はステータ)上に展開することができる。
【0096】
平面又はドーム形の多結晶ダイヤモンド要素は、自己軸線周りに回転することを可能にするように取り付けることができる。Shen他の米国特許第8,881,849号について、多結晶ダイヤモンド要素が対象素材と面接触中に自己軸線周りに回転することを可能にする方法の非限定的な実施例として説明する。
【0097】
(対向する係合面の処理)
幾つかの態様において、ダイヤモンド反応性材料の対向する係合面は、(例えば、係合面との係合前に)炭素で事前飽和される。このような事前飽和は、多結晶ダイヤモンドの表面の黒鉛化を介して炭素を引き付けるダイヤモンド反応性材料の能力を低下させる。ダイヤモンド反応性材料表面接触領域の事前飽和は、当技術分野で知られている何れかの方法を介して達成することができる。
【0098】
(固体潤滑剤供給源)
特定の用途において、固体潤滑剤供給源、例えば、黒鉛又は六方晶窒化ホウ素スティック又は介在物は、励起又は非励起かにかかわらず、少なくとも一部のダイヤモンド反応性材料で形成されるか又はこれを含む対向する係合面と接触している。
【0099】
(用途)
本明細書で開示される軸受組立体は、機械又は他の装置もしくはシステムの一部を成すことができる。一部のこのような態様において、ステータの近位端は、ねじ接続、溶接、又は当技術分野で知られている他の接続手段によって、ドリルストリング又はモータハウジングなど別の構成要素に接続することができる。幾つかの態様において、軸受組立体がダウンホール用途において使用される場合、ロータの遠位端は、スラスト軸受によって増強することができ、ドリルビットの取付用のねじ接続部を保持することができ、又はロータの遠位端は、ロータのマンドレルの端部上に直接形成及び/又は位置付けられたドリルビットとすることができる。構成要素の接続は、ダウンホール用途に限定されず、他の用途、例えば風力タービンエネルギー発生装置又は海洋用途に適用することができる。
【0100】
更に、本明細書で記載される軸受組立体の別個の変形形態は、限定ではないが、重機、自動車、タービン、変速装置、鉄道車両、コンピュータハードドライブ、遠心器、医療機器、ポンプ、及びモータを含む、広範囲の他の用途で使用することができる。
【0101】
特定の態様において、本明細書で開示される軸受組立体は、過酷な環境(例えば、ダウンホール)内での展開及び使用に適している。一部のこのような態様において、軸受組立体は、多結晶ダイヤモンド係合面が別の多結晶ダイヤモンド係合面と係合する軸受組立体よりも破断が起こりにくい。特定の態様において、ラジアル軸受に適したこのような過酷な環境は、別の多結晶ダイヤモンド係合面と係合された多結晶ダイヤモンド係合面を含む軸受組立体と比較するとサービス価値の向上をもたらす。更に、本明細書で開示される軸受組立体は、別の多結晶ダイヤモンド係合面と係合された多結晶ダイヤモンド係合面を含む軸受組立体を使用する際に必要とされる間隔よりも大きな距離で離間して配置することができる。
【0102】
特定の用途において、本明細書で開示される軸受組立体は、ダウンホール用途においてなど、ロータキャッチの役割を果たすことができる。潤滑環境において、軸受組立体は、潤滑油の流体力学の効果の恩恵を受けて、軸受組立体の可動要素と静止要素との間にクリアランスを生成することができる。
【0103】
(例示的な試験)
出願人らの先に参照した米国特許出願第15/430,254号(「254出願」)の「Drilling Machine」で使用するための堅牢なカム従動子界接面を開発しようとして、出願人らは、高度の試験ベンチを設計及び構築した。試験ベンチは、表面硬化鉄ステータハウジング内で表面硬化の鉄ロータマンドレルを駆動する200RPMの電動ギアモータを採用した。マンドレルは、長さに沿って途中に非表面硬化オフセットカムシリンダを組み込んだ。ロータ/ステータ組立体には、容積式ポンプを使用して循環流体を供給した。候補カム従動子界接面機構が、ロータマンドレルのカムシリンダとシール接触及び荷重下で配置された。試験ベンチを使用して、候補界接機構は、清浄水又は砂混じりの掘削流体の何れかにおいて500~3000lbfの範囲の荷重下での生存性及び摩耗について試験した。
【0104】
出願人らは、有害な作用又は明らかな化学的相互作用なしで、研磨された多結晶ダイヤモンド面とスライド接触した鉄カムシリンダの試験を実施した。鉄材料は、入手が容易であること、成形及び機械加工が容易であること、高弾性、及びいわゆる超硬材料よりも低コストであることに起因して、軸受用途に魅力的である。
【0105】
出願人らによって実施された試験プログラムは、比較的高い荷重及び高いRPM速度でも、多結晶ダイヤモンドとダイヤモンド反応性材料との間の上首尾な荷重界接が軸受用途で利用できることが実証された。
【0106】
重要な知見は、機械加工及び化学的相互作用につながる可能性があると考えられる、多結晶ダイヤモンド要素がダイヤモンド反応性材料とエッジ又は点接触状態にしない限り、多結晶ダイヤモンドは、多くの用途で要求される典型的な軸受荷重と速度でダイヤモンド反応性材料とのスライド接触を生じる可能性があることである。出願人らの試験のこの予想外の驚くべき成功は、新しい高性能ラジアル軸受の開発につながった。
【0107】
試験プログラムには、回転下での平面多結晶ダイヤモンドとの高荷重面線形領域接触における湾曲した鉄表面の試験が含まれていた。この試験では、多結晶ダイヤモンドの1/2インチ幅の面全体に沿って、約0.250インチ幅のPDCの面上に僅かに変色したヘルツ接触領域が生成された。接触領域の幅は、カムオフセット、システム内の振動、及び荷重下での鉄金属の僅かな変形によって説明することができる。所与の時点での1/2インチ多結晶ダイヤモンド要素面の総接触面積は、多結晶ダイヤモンド要素面の総面積の約7%以下であると推定される。試験で採用された構成は、多結晶ダイヤモンド要素の面上の小さな表面積でも大きな荷重がかかる可能性があることを示している。
【0108】
平面多結晶ダイヤモンド面に対して荷重及び回転下での球形の鉄球の更なる試験により、多結晶ダイヤモンド要素の中心に直径約0.030の小さな変色したヘルツ接触領域が生成された。上記の接触の説明と同様に、理論にとらわれることなく、変色の直径は、試験装置の僅かな振動及び荷重下での鉄金属の僅かな変形の結果であると考えられる。
【0109】
以下の表2は、スライディング界接の様々な構成について出願人によって実行された試験を要約したデータを記載している。
表2




【0110】
試験1及び試験2は、荷重下に鋼製カップ内で転動する個々の鋼製ボールの試験不合格を要約している。試験3は、鋼製カップ内の単一の研磨PDC要素によって担持された方の鋼製ボールの試験合格を要約している。試験4は、鋼のカップ内の3つの研磨多結晶ダイヤモンド要素のアレイによって担持された単一の鋼製ボールの試験合格率の高さを要約している。試験5~9は、各々、回転鉄鋼カム面とスライド接触する単一の研磨多結晶ダイヤモンド要素のより厳しい試験を要約している。試験10は、各々、回転鉄鋼カム面とスライド接続する、単一の未研磨多結晶ダイヤモンド要素対単一の研磨多結晶ダイヤモンド要素の比較試験を要約している。最終試験は、未研磨多結晶ダイヤモンド要素が使用された際の摩擦係数の有意な増加を示す。表2に提示する条件及び結果は、ダイヤモンド反応性材料上の多結晶ダイヤモンドの潜在的な使用を象徴し、制限的ではなく、又は本出願の技術を完全には包含していないとみなされたい。
【0111】
(試験の結論)
ラジアル軸受における多結晶ダイヤモンド要素の用途は、要素の全面の使用度ははるかに劣り、依然として有意な荷重が掛かる可能性があることがわかった。この発見事項は、ラジアル軸受を含む効果的な多結晶ダイヤモンド要素は、対向面との多結晶ダイヤモンド要素の全面接触の必要はなく、設計及び製造することができることを意味する。この発見事項を本出願の技術において使用することは、ラジアル軸受を使用多結晶ダイヤモンド要素の処理がはるかに少なく製造すること可能であり、エッジ衝突、又はダイヤモンド反応性材料対向面の機械加工の推進のリスクを実質的に低減されることを意味する。
【0112】
理論に縛られることなく、作動時に、カム及びカム従動子を液冷却潤滑環境において稼働させると、熱化学反応を開始することなく高速度及び高荷重化を達成することができる。更に、研磨された多結晶ダイヤモンド面は、とりわけ、熱化学応答の低減をもたらす。
【0113】
上記で提供された説明及び図から、本出願の軸受組立体技術は、ダウンホール環境内の用途を含め、広範囲な用途において使用できることは容易に理解することができる。加えて、本明細書で提供される技術は、他の工業用途に広範囲に応用される。
【0114】
更に、ラジアル軸受組立体内の表面同士の係合に関連して図示及び説明しているが、当業者であれば、本開示がこの特定の用途に限定されないこと、及び本明細書で開示される概念が、ダイヤモンド材料の表面と係合した何れかのダイヤモンド反応性材料面間の係合に適用できることを理解されるであろう。
【0115】
本実施形態及び利点について詳細に説明してきたが、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、置換、及び改変を行うことができることを理解されたい。更に、本出願の範囲は、本明細書に記載されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書に記載される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか又は実質的に同じ結果を達成する、現在既存の又は今後開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップが本開示に従って利用することができることは、本開示から容易に理解されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にこのようなプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップを含むものとする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
【手続補正書】
【提出日】2024-08-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラジアル軸受組立体であって、
ダイヤモンド軸受面を有する多結晶ダイヤモンド要素と、
金属軸受面を有する対向軸受構成要素であって、前記金属軸受面は、金属合金の総重量を基準として少なくとも2wt.%のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含む金属合金を含む対向軸受構成要素と、
を備え、
前記ダイヤモンド軸受面が、前記金属軸受面と摺動接触していることを特徴とするラジアル軸受組立体。
【請求項2】
前記ダイヤモンド軸受面は、高度にラップ仕上げされ、研磨され、又は、高度に研磨されている、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項3】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、熱的に安定した多結晶ダイヤモンドを含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項4】
前記熱的に安定した多結晶ダイヤモンドは、炭化タングステンによって担持されている、請求項3に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項5】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、多結晶ダイヤモンド焼結体を含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項6】
前記多結晶ダイヤモンド要素を含む複数の別個の多結晶ダイヤモンド要素を更に備え、各多結晶ダイヤモンド要素は、前記金属軸受面と摺動接触するダイヤモンド軸受面を有する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項7】
前記ダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒は、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、クロム、マンガン、銅、チタン、タンタル、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項8】
前記ダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒は、鉄を含む、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項9】
前記金属合金は、鋼である、請求項8に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項10】
前記金属合金は、鉄ベース超合金、コバルトベース超合金、又はニッケルベース超合金である、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項11】
前記金属合金は、超硬材料よりも軟質である、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項12】
前記金属合金は、炭化タングステンよりも軟質である、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項13】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、エッジ半径処理されている、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項14】
前記ダイヤモンド軸受面と前記金属軸受面との間の接触領域は、前記ダイヤモンド軸受面の総表面領域の75%未満である、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項15】
前記接触領域は、全面よりも小さい、請求項14に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項16】
前記接触領域は、円形接触領域である、請求項14に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項17】
前記接触領域は、線形接触領域である、請求項14に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項18】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記金属軸受面とのエッジ及び点接触を排除するように、前記対向軸受構成要素に対して位置決めされている、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項19】
前記ラジアル軸受組立体は、ロータと係合するステータを含み、前記ダイヤモンド軸受面及び前記金属軸受面は、前記ロータと前記ステータとの間の摺動接触を界接する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項20】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ロータと摺動接触して前記ステータ上に位置決めされて配置され、前記金属軸受面は、前記ロータ上の面である、請求項19に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項21】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ステータと摺動接触して前記ロータ上に位置決めされて配置され、前記金属軸受面は、前記ステータ上の面である、請求項19に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項22】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ステータ上又は前記ロータ上に取り付けられている、請求項19に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項23】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、前記ステータ上又はロータ上に圧入、接着、ろう付け、又は螺着されている、請求項22に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項24】
前記多結晶ダイヤモンド要素は、3mmから75mmの直径を有する、請求項1に記載のラジアル軸受組立体。
【請求項25】
ラジアル軸受組立体であって、
研磨されたダイヤモンド軸受面を有する多結晶ダイヤモンド焼結体であって、処理されたエッジを有する多結晶ダイヤモンド焼結体と、
金属軸受面を有する対向軸受構成要素であって、前記金属軸受面は、金属合金の総重量を基準として少なくとも2wt.%のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含む金属合金を含み、前記金属合金が超硬材料よりも軟質である対向軸受構成要素と、
前記多結晶ダイヤモンド焼結体は、前記ダイヤモンド軸受面の接触領域が前記金属軸受面と摺動接触するように、前記対向軸受構成要素に対して位置決めされ、前記接触領域は、前記ダイヤモンド軸受面の総表面領域の75%未満であり、前記多結晶ダイヤモンド焼結体と前記金属軸受面のエッジ及び点接触が排除されていることを特徴とするラジアル軸受組立体。
【請求項26】
各多結晶ダイヤモンド要素がダイヤモンド軸受面を含む複数の別個の多結晶ダイヤモンド焼結体を提供するステップと、
前記ダイヤモンド軸受面のエッジを処理するステップと、
前記ダイヤモンド軸受面を研磨するステップと、
ロータ及びステータを提供するステップと、
各ダイヤモンド軸受面の接触領域が前記ロータ及び前記ステータの他方の金属軸受面と摺動接触するように、前記ロータ及び前記ステータの一方に複数の別個の多結晶ダイヤモンド焼結体を取り付けるステップであって、各接触領域が、前記ダイヤモンド軸受面の総表面領域の75%未満であり、前記多結晶ダイヤモンド焼結体と前記金属軸受面のエッジ及び点接触を排除するように、前記多結晶ダイヤモンド焼結体が前記金属軸受面に対して位置決めされるステップと、
を備え、
前記金属軸受面は、金属合金の総重量を基準として少なくとも2wt.%のダイヤモンド触媒又はダイヤモンド溶媒を含む金属合金を含み、前記金属合金が超硬材料よりも軟質であることを特徴とする、方法
【外国語明細書】